○沓脱
タケ子君 まあしかし、判断がむずかしいという点は確かにありますけれ
どもね。
計数を、これは私
ども感情を交えずに見ましても、やっぱり一定の
受診率が特に本人のところで下がっていると。それで非常におもしろいなあと思うのは、薬剤の一部
負担を中止した翌月あたりから、これはずっと上がっていっているわけですね、実際。それは百円から二百円になったということは、確かに
国民生活の中でそんなに大きな影響が四十二年のときにはなかったのかもわかりません。しかし、それにプラス薬剤の一部
負担というのが出たというのが相当な影響になってあらわれているんじゃないかというふうに見られないことはないんですね。これは
厚生省、そんなこと認めたらまたえらいことになるとは思いますから、率直になかなかそうむずかしゅうございますということでしかおっしゃらないと思いますけれ
どもね。やっぱり心情的にはそういうことが抑制になるんですね。ちょっと仕事の帰りに病院に寄ろうかと思うけれ
どもああ六百円かと、今度は八百円かと、それならしようがないなあ、ちょっと薬屋で何か薬でも買うて帰ろうかと、こうなるんですね、気持ちの上で。
だから、いわゆる軽い疾病、いわゆる初期診療ですね。そういうところがどうしても低下してくるというのは考えざるを得ないと思うんです。これは笑い話みたいなものだけれ
ども、
厚生省のある課長さんが五十二年当時、後で具体的に言いますが、薬事関係の会合で、今後軽医療は、これは五十二年当時ですから、二百円から六百円にするときですよ。今後軽医療は売薬の方に行く可能性があるんではないかという
意味の発言をされている、そういうことを。これは後でちょっと触れますが、だれでもそう思うんですよ、気分的に。そのことが、全体の心情的な抑制というものが一定の
受診率に依然としてやっぱり影響するということなんですね。だから、今度の場合にもそれがあるんではないかということを心配いたします。そんなことがあってはならぬと思うわけでございますが、そういう点でそう関係ないとも言いにくいと思うんですよ。で、たとえば
入院時の一部
負担金が二百円から五百円、今日の経済情勢だからということでお考えになっておられるのかもしれませんけれ
ども、これはやっぱり
入院料の一部
負担金の増についても、被
保険者には相当な影響を及ぼすということです。
たとえばこういう実例があるんですね。単身の独身者の被
保険者本人、この人が
入院をしたときにどうなるかといいますと、月収十五万円の
労働者、一カ月
入院したとしなさいよ。傷病手当金が単身者ですから四〇%ですね。だから、十五万円の月収の
労働者でも傷病手当金は六万円しかもらえないわけでしょう。六万円から一日五百円ずつ一部
負担金を引かれて一万五千円、一カ月ね。そうすると、残るのが四万五千円ですわ。四万五千円の中からやっぱり健保や年金、雇用
保険等を含めまして大体一万二、三千円から一万四、五千円、すると、大体残るのが三万円内外しか残らないんですよ。これは税金除いても。単身
労働者ですからアパートを借りて生活をしているとしますと、これは東京の近郊のアパート代というのは一体何ぼするか、うんと安いところだって三万五千円や四万円かかるでしょう。大体通常の相場というのは、いわゆる一部屋のアパートでも四万円や五万円はするという時代ですね。そうしたら、このほかに光熱水費なんか含めたら、残り三万円言うたらアパート代も払われないでしょう。病気は治ったけれ
ども、アパート代が払えなくてアパートを返してしまって、治ったけれ
ども帰るところがないということにだってなりかねないんですよ。ですから、こういう法
改正というのは給与の低い
労働者にとってはこういう実態になるんだということを、これは
大臣、御存じですか、こんなに影響あるんですよ。