○沓脱タケ子君 このケースは、当然もう
労働委員会でも明確に不当
労働行為だということになり、これは地裁でも勝っているんですね、実際には。で、ちょっと
考えてみなさいな。最高裁判決が出ても聞かぬと。それで職場では何かあったら殴ったりけったりして、くちびるが切れたり口の中が切れたりするような暴力事件がしょっちゅう起こると。だってそうでしょう、十七件、起訴されているものだけで十七件あるんだからね、判決が出た分だけで。それで給料は三分の一以下になるようなさじかげんで査定をする。明らかに組合員と非組合員との差別をする。余りにもひどい。御飯も食べさせない、寮の給食もやらぬ。ちょっとこんな前近代的な労務管理というのが、今日の時代にあるんだろうかと思うようなことが現に起こっている。
こういう事態なんで、
昭和四十九年の三月に大阪弁護士会は、会社に対してきわめて異例な勧告をやっているんです。これはもう本当に異例だと思いますよ、こんなものね。ちょっと読みますと、
勧告
貴社と全国自動車運輸
労働組合大阪合同支部葦原運送分会との間の
労働争議について、貴社は数次にわたる裁判所の仮処分決定をもまったく無視し、さらに代表取締役自身並びに職制による右組合員らに対する暴力行為をも頻発させてきている。
かかる
状況は、通常の
労働争議の範疇を越えたきわめて異常な事態と
考えられ、貴社の右組合に対する態度は、組合員の人権無視、また
法律無視も著しいものであり、われわれも人権擁護の立場よりして黙過できない極めて遺憾なものであると
考える。
よって、貴社におかれては、早急に右の如き異常事態を解消させ、そして健全な労使
関係を回復されるよう
努力されることをここに勧告する。
こういうことで、これは大阪弁護士会、当時の会長辻中一二三さんから
葦原運輸機工株式会社の左崎充代表取締役に出されているわけです。
こういう
社会的な指弾を受けても会社は少しも反省することなく、さらに引き続いて五十一年の五月には五名の組合員を解雇してきました。この解雇は当然無効とする仮処分決定が大阪の地裁でなされました。これはことしの三月二十六日に大阪地裁の判決が出ているわけですね。首切り
理由なんかも見ましたら、ちょっと異常なんですね。たとえば首切りの
理由というのも、毎日事務所の窓ガラスに便せんやら紙に書いて張るんですね、解雇
理由を。何と四百種類ぐらい張ったと言う。
労働組合の方はそれを写しておる。その
理由の中には噴き出しそうなのありますよ。噴き出しそうなのがあるけれ
ども、その噴き出しそうな
理由で
労働者の首を切られたんではたまったもんじゃないんですがね。たとえばこんなことがある。この四百項目の中の
一つです。「事務所内にタバコの吸いがらをわざと捨て、清掃に一時間以上かかる行為があった。」それから、「勤務中の動作が非常に遅く
仕事にならない。また、暴力行為に出る時は別人の様にすばやい事から性分ではない。」そういう書き方なんです。それから「解雇の
理由はまだ沢山ある。」これも
理由なんですよ。解雇の
理由はまだたくさんあるというて張りつけて、
労働者の首切られたらたまらぬですよ。ところがそんなことをやっている。だから
大臣ね、ちょっとこれは全貌を簡単に全部は言えませんけれ
ども、お聞きのとおりなんですよ。信じられないような前近代的な労務管理、しかもまさに無法地帯というんですね。
法律に基づいて決定をされても、最高裁判決が出ても、これに従おうとしない。無法地帯です。
大臣、まず御感想をひとつお伺いしたいと思います。こういうことがいま大阪でやられている。