○沓脱
タケ子君 それでは、ぜひそれは実現方を早期にお願いをしたいということを申し上げておきます。
次に、
富士見病院の問題でございますが、
富士見病院事件というのは、全く反人道的、反
社会的、まさにショッキングな
事件でございます。しかも、その
訴えたというんですか、
保健所に
訴えて出た
被害者の方が千人以上に及ぶというんですね。そのうちの九百六十九人がME機器で検査を受けている。七百二十六人が手術室に送られている。しかも、正常な
子宮や
卵巣まで
摘出をしたという今回の
事件というのは、恐らく世界にも類例を見ないまさに人道上許すことのできないような
事件だと思うのでございます。したがって、私
ども考えますのは、当然のこととして、この
富士見病院に対しましては厳正な
態度をとるということは当然のことだと思いますし、すでに同僚
委員からも御意見が出され、また衆議院でもわが党の浦井
委員等からいろいろと具体的に申し上げております。そのことを私ここで繰り返そうとは思っておりません。
確かに理事長の
北野早苗という人の
逮捕だけにとどまってはならない。当然
北野千賀子院長ですか、院長を初め五人の
医師の
犯罪行為の
調査、これはもうあたりまえのことだと思うのです。そうして、
病院の閉鎖あるいは
医師の資格の取り消し等、
調査の上でこれは当然やらなければならない、これはもうできるだけ厳しく追及をするべきだという立場でございますし、このことはすでに衆議院でも述べられておるとおりです。同時に、再発防止のために、これは
大臣もお認めをいただいてやっていただける運びになっていると思いますが、各県での
苦情処理委員会――名前はどうなるかしりませんが、そういったものをつくって
国民の
医療に対する
苦情を受けていくという問題、同時にまたME機器の適正配置等々、これらの問題については、これはすでに論議がなされておりますし、わが党の同僚議員も衆議院でもすでに提起をしておりますので、これは私繰り返すつもりはございません。しかし、今日この
医師、
医療機関と
国民との間の
信頼を取り戻すということが、何よりも大事だと思うわけでございます。そういう中で、
富士見病院問題が出まして以後、
医師のモラルの向上あるいは
医療団体、
医師団体等の自浄能力の強化等々をみずから自発的に
訴えを挙げてきておりますし、私はこのことを実現をさせていくということが非常に大事だと思うんですが、しかし、今日の深刻なまでになっております
医療危機、この
医療危機の進む中で、
医師や
医療団体だけがそう考えても本当にうまくいくんだろうかという点がやはり
一つ心配になります。
といいますのは、きょう時間がありませんから端的にお伺いをしていきたいと思うんですが、たとえばこういうことがあるんですね、
病院が倒産するというような出来事があります。以前には
病院の倒産などというものは聞いたことがありません。ところが、最近急増しております。
昭和五十二年度には九件、負債が十八億円です。五十三年度は十八件、五十二億円。五十四年度は二十四件で負債が七十二億円。五十五年度は九月末現在でもう昨年の二十四件を上回るというほど倒産件数が出てきているわけです。これはやはり
医療の世界という点では異常な
事態だと思うわけです。やはり、こういう異常な
事態というのはなぜ起こってきているかという点に深くメスを入れるということなしには、これは本当に目先だけの手当てでは
国民の
信頼を取り戻し、
医療を本当に
国民の手に取り戻していくということができないのではないかという点が非常に大きな
課題だと思うわけです。
たとえば、どんどん倒産が出てきているという背景というのを考えてみますと、たとえば
わが国の歴史的な
医療制度というものがあろうと思うわけです。
わが国の
医療というのは、民間
医療機関が
中心になって発展をしてきたというのが、御承知のとおり日本の
医療制度の特徴でございます。したがって、勢い官公立
病院が少なくて、民間
医療機関が非常に多いという結果が出ているわけです。ですから、そういうことになってきている状況を見ますと、たとえば日本では、開業してうまくいくとまずベッドを持って有床
診療所にする。さらに、それでやっていけると思うと
病院にしていくというふうに発展をさしてきている。これが大体
わが国における個人
病院のパターンなんですね、これは。そういう中で、今日十兆を超すと言われている膨大な
医療費に対して、やはり大資本からの攻勢というのは、いろんな形でかかってきています。
その
一つは、薬づけというふうに言われておりますことに代表されます製薬資本ですね。製薬企業が十兆円を超す
医療費に対して、黙って指をくわえているはずはないわけです。ですから、製薬
関係では三兆円を超すという生産を上げ、御承知のように各業界と比べましても、経常利益等はずば抜けて高い。ずっと続いているという状況になってきておりますが、そういう結果が
国民の中では薬づけなどと言われるような状況を生んできているわけですね。最近、特に顕著になってきておりますのは、もう
一つの
医療産業が、やっぱり
国民医療というのを
一つの重要な市場としてねらいを定めてきているという点があると思うわけです。
その
一つは、問題になっておりますMEを
中心といたします
医療機器産業ですね。それからもう
一つは、最近顕著になってきておりますことは、銀行資本などの直接参加による、こういう直接参加型の大
病院の建設ですね。こういう結果が、ごく大ざっぱに見てみましても個人
病院に対してはどういうふうな影響を及ぼしてくるかといいますと、片方ではME機器による重装備をやらなければ競争に勝てない。だから装備をせざるを得ない、上手に売り込んでもくると。こういう
関係があるわけです。片や大資本、特に銀行資本などの直接参加する大
病院に競争を吹っかけられるという形になるわけですから、そういう両方の挾撃の中で生き延びていくためにというか、生き残るための競争というのが
医療機関の中で猛烈に起こっているわけです。これはもう私
ども十年前にはちょっと考えられなかったことですが、昨今急激にそういう
事態が起こってきています。そういう結果が、やはり
医療の原点であります医は仁術といわれるこの理念を吹き飛ばして、やっぱり利潤追求、経営
中心主義的なところに走らざるを得ない、生き残るためにはやらざるを得ないというところまで追い込まれてきているという状況が出てきています。生き残れない、競争に負けた分はばたばたと倒産をしてきている。だから、かつては聞きもしなかった
病院の倒産というのがどんどんふえてきている、こういう状況でございます。
したがって、この
富士見病院事件が、先ほど
大臣、氷山の一角だと思うとおっしゃっておられましたけれ
ども、そういう氷山の一角としての御心配を本当に払拭をしていこうと思うならば、背景にこういう状況があるんだという御認識をお持ちかどうか。ここにメスを入れなければ、本当に
国民の
信頼の得られるような
医療機関というのは確立できないのではないかという点を非常に憂えているわけでございますが、その点、
大臣、そういった背景が流れとしてあるんだというふうな御認識をお持ちになるかどうか、その点どうですか。