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政府委員(
正田泰央君) この知床百平米運動につきましては、ただいま
先生御
指摘の時点で五十五年十月十八日現在で第一期目標分九千六百万円、百二十ヘクタール以上の募金が集まっているというふうに聞いております。そこで、この事業に対しての財政的なアプローチという御質問でございますが、現在の
自然公園法の体系でまいりますると、
先生御
案内と思いますが、地種区分がございまして、特別保護地区及び特別
地域の中の第一種特別
地域について民有地の土地買い上げ制度がございます。その趣旨とするところは、いわば私権が
自然公園法に制限されている、たとえばその
地域においての家屋の新築ができないとか、あるいはその他の
工作物の造成ができない、そういうようなことに対する私権に対する制限、これをまあ賠償するというような意味合いで、現在の、ただいま申し上げた土地買い上げ制度ができておるわけでございます。そこで、第二種
地域及び第三種
地域につきましてはそういうような制限が緩やかで、特に第三種
地域になりますと、許可制度によりましていろいろな土地の売却あるいは土地の造成等ができますので、そういった適用がされておりません。したがいまして、そういうところに対する財政的なアプローチは奨励制度、奨励補助制度といったようなものが
考え方としては成り立つのだろうと思います。
そこで、現在各県におきまして――各県というのはちょっと言い過ぎでございますが、県によりましては管轄内のそういった市町村の――このトラスト運動は知床しかございませんが、若干似たようなものは
地域によってございます。そういうところでは、各県によっては県の
段階で奨励補助をしているというところもございます。そこで、国から見た場合でございますが、
先ほど申し上げました私権の制限に伴いますところのいわば賠償措置としての土地買い上げ制度を始めましてこの充実を期しているわけでございまして、さらに二種、三種につきましては、
先ほど申し上げたような理由及び二種、三種
地域及び普通
地域あるいは都道府県
自然公園地域と申しますのは全国で膨大な土地でございますので、それだけの経費及びそういった労力等から見まして、そういったところの
地域についていろいろな国費の援助をするというようなことは現在
考えておりません。
ただ、
自然保護についての費用負担の問題と申しますのは、いま
先生がおっしゃった問題以外に、まあより複雑なむずかしい問題もございまするが、たとえばそういった
地域でいろいろな管理をする、あるいは清掃をする、あるいは保護をするといったようなものに対しての別途の補助金でございますとか、そういったようなアプローチがございます。さらに、この知床運動はイギリスのナショナル・トラスト運動が恐らく原型だろうと思うのでございますが、それと大分変わった姿で知床で行われております。そこで、私
どもの方では
先ほどの民有地買い上げ制度は別といたしまして、何らかしら、いわばその貴重な自然を保護する、あるいはそれをいろいろな住民あるいは団体の手で守っていこうという、非常な貴重な精神がございますので、そういったものが日本で育たないかという問題がございます。そこで、かつて
自然保護審議会におきましてもこういったものの問題提起がございますので、そういった面から私
どもの方では研究したい、または先般から研究の着手をしてみたというところでございます。