○
栗林卓司君
お答えですけれ
ども、需給がバランスをするようにといま言われたんだけれ
ども、需給はいつもバランスしているんですよ。ただ問題は、潜在的に需給がバランスしているかどうか、その指標は地価に出るわけです。地価は、御
承知のとおり前回の
調査で
都市部で一八・七%ですか、ということはいまでもバランスしていないんですよ。それから職住接近等があるのでマンションがとおっしゃるんだけれ
ども、それもありましょうけれ
ども、主たる理由は
土地の値段が余り高くなったから高度
利用していかないと販売ができない。これがマンションが一ころブームになり、しかもマンションの立地というのは既成
市街地の中しかないということで今日まで立ち至ったということだと思います。
ところが、そのマンションでさえ、新聞記事で申し上げて失礼ですけれ
ども、「十月に首都圏で新しく発売した七千二百戸のマンションのうち、売り出したその月に契約できたのは、約四千三百戸と五九・四%になった。また即日販売戸数も二三・九%で、昨年一年間の平均が四四・八%」、約倍ですね、「だったのに比べると、大幅に落ち込んでいる。その一方で、販売価格は需要の落ち込みとは関係なく、一戸当たり二千四百七十万円と、前年に比べて一二・七%も上昇した。」これはそうなるんですね。だけど、ここで購買力との格差が開いてくると、マンションがやはりつくっても売れなくなる。潜在的な
土地の需給バランスはいまでも崩れてきている。しかも主たる供給対象としてわれわれ期待するのは
農地なんです。
農地のうちでどれぐらい
宅地になるだろうか。これも
建設省でお調べになったと思うけれ
ども、見ますと、
農用地として保存が適当というのは五%、条件
整備によって
宅地化が可能というのが三六%A
宅地条件
整備、即座に
宅地にできるというのが五九%、条件
整備と合わせますと九五%は
宅地にすることができる。
ところが、農民の方の意識はどうかといいますと、これはお調べになった
内容だけれ
ども、東京圏の
農地利用に関する
調査を見ますと、片一方でこういう
宅地に転換可能の
農地の
実態にもかかわらず、
農業を続けたいというのが四五・五%、ちょっと売っていいけれ
ども、大
部分は持っていて
農業を続けたいというのが三九・三%、合わせますと八四・八%がクリをちょろちょろ植えているだけでも
農業だ、
農業だというんだったら続けていきたい。静岡県と比べますと、売るつもりはない、なるべく売らずに残しておきたい、合わせますと八四%。非常に似ているんです。大
都市圏では、将来どうするのかねと伺いますと、
農業に積極的に取り組みたい八八%。今後の
土地利用の方針はどうかねといったら、売却意思全くなしが二九%、資金が必要な場合に最小限だけ売却したいが五八%、合わせますと八七%、約九割が売る気がないんです。この
実態は御存じでしょう。
じゃ、何で売る気がないかというと、いま
農業生活者は兼業の場合先ほど申し上げましたように不動産
経営の比重が非常にふえてきている。平均的
実態見ますと、平均収入は
都市の給与生活者の最高水準、一切合財ひっくるめて。いまちっとも生活に困ってないんです。これまでは
土地が上がりましたから、やれ家をつくりたい、やれあれしたいといって、そういう
意味で
土地の売却が出てきたけれ
ども、ここまで来ますともう売らなくても十分やっていけるんです。したがって売る場合というのは、貸し家、アパートをつくる、自宅を新築する。これでもいまほとんどこれは大体目いっぱいだということになると、残るのは相続税の心配だけ。相続税というのはいつときに集中するわけじゃないから、したがって向こう十年かかるか二十年かかるかわからないけれ
ども、そんな展望の中で
土地がちょろちょろ出てくる。これがいまの農家の
実態です。片一方では
土地の値段が上がる。需給バランスがこわれる。何としても
農地にお願いしなければいかぬけれ
ども、
農地適地というのは九五%が条件さえ整えば
宅地として使える。ところがそれをお持ちの農民の諸君は、約九割の人が売る気がない。これが行き詰まりでなくて何ですか。出てきた
法案が
農住組合法。いまのこの
実態から見て、
土地供給は現在の努力ではなかなか困難だという点はお認めになりますか。