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国務大臣(
伊東正義君) いま
先生いろいろ、いままで出ているタカ派じゃないかとか、あるいは政策変化があって強い
アメリカといいますか、力による平和といいますか、そういうことで防衛分担の問題でございますとか、あるいは貿易の問題で自動車の問題、あるいは対ソ政策、いろいろおっしゃったわけでございますが、
外務省でもいろいろ分析をしたことは確かでございます。しかし、いまの段階でこうじゃないか、こうじゃないかといろいろ私は憶測をするということは余り利益のあることじゃないと、ああ
日本はそんなことを考えているのかというふうなことにもなりますし、私はその点非常に慎重な態度で政策を
発表されるのを見守ろうと実はそういうことでおるわけでございます。その中でタカ派というようなことがいろいろ言われましたが、われわれの知る限り、カリフォルニア知事をしておられたときに権限委譲といいますか、周囲のブレーンといいますか、そういう人にいろいろ権限を与えて十分仕事をさせてというようなタイプの人だというようなことも言われておるわけでございまして、そういう意味から言うと、だれが一体国務長官になられるのか、だれが国防長官になられるのかというようなことは、やっぱり非常にその人の性格によって政策がある
程度左右されるというようなことがありますれば、これはだれがなるのかということも静かに関心を持って見守っているということでございます。
それから、選挙中にいろいろ言われたことは途中で軌道修正がありましたり、選挙中のことでございますから、いざ政策になるとそのままそれが出てくるかどうかというようなこともいろいろこれわからぬことがございますので、慎重に見ているというのが本当でございますが、ただ私が直接ブッシュさんに聞きましたのは、力による平和ということでソ連との
関係をいろいろ言われたということを、私は直接会いましたので非常に印象に残っているわけでございますので、そういう面からすれば、対ソ政策というようなものは非常に大きな問題になるならどういう政策をやられるのかなというようなことを見ておるわけでございますし、防衛の問題につきましても、強い
アメリカとこう言われましても、恐らくやっぱり同盟国あるいは自由主義陣営についての責任分担がなければやっぱり自由主義というところが協調していかなければならぬということは当然考えられましょう。そういうことからすれば、防衛の問題というのも非常に問題が出てくるのかもしらぬ。その場合に
日本はどうかというようなこともいろいろ考えているところでございますが、
一つ防衛の問題とってみましても、これはカーター政権でも
日本に対して強い期待表明があったことは確かでございます。しかし、私はどういう政権であろうとも
日本の憲法というものはこれ厳然としてあるわけでございまして、その憲法のもとで考えているということになりますれば、これは専守防衛ということもはっきりしております。個別自衛権しかないということもはっきりしておりますし、また非核三原則というものも
日本では堅持している、武器の輸出はしないというようなこともやっておるわけでございまして、こういうことにつきましては、
日本というのはこういう平和憲法があってこういう制約があるんですと、その中で最小限度の自衛力、他国には脅威を与えない、自分を守るだけの、侮られはしないが他国に脅威は与えないということは、
日本の原則でございますので、これは私は堂々と
アメリカに主張して、理解をしてもらうということを
日本としては考えなけりゃいかぬというようなことを思っているわけでございますが、いずれにしろ自動車をめぐるその他の
経済の市場開放の問題、いろいろ問題はあるわけでございますが、具体的に政策が出ないうちにいろいろああだこうだとわれわれが言うのはどうも時宜を得たものじゃないだろう、静かに政策を見守って、静かに対応していくというのが私は一番大切な態度でなかろうかと、こういうふうに思っております。