○柳澤錬造君 本当に、私は別に九州と利害関係何もあるわけじゃないけれ
ども、この間行って、債券も昭和四十年度からですよ、利子補給もどっちも。昭和四十年度から五十年度までそういうことをやって、そうして地元の人たちに期待を持たせて、それでずっとやってきたわけでしょう。それでいまここへ来て、そういうやり方が、私に言わしたら本当に血も涙もないやり方だと、よくあんたらそんな薄情なようなことをやれるわな、本当に。確かにそうやって通して走ったって、じゃいま採算に乗るかというと乗らないのはわかって、いままでなにしているところだって乗らないんで、日本全国でもう十本ないんだから、収支係数一〇〇以下というのは。採算に乗らぬことはわかっているけれ
ども、やっぱりそういうところの
住民の期待にどうこたえるかといったならば、そこのところにもう少し温かい思いやりというか、心のあるものを
考えて、あるところは何としてもだめでやめなきゃいかぬ、あるところはこれは赤字が少し大きく出るかわからぬけれ
ども、いろいろ地元のそういうものにという、私はそれが政治の本当のあり方だと思うんですよ、こんな線を引っ張って四千人だとか八千人だとか線を引いてなにしてしまうなんていうことでなくて。
それで、時間もだんだんもうなくなってきたんで、それで私が特に
国鉄の幹部の皆さんや、それから
運輸省の幹部の皆さん方に申し上げたいんだけれ
ども、皆さん方が再建の熱意がどこまでおありなんですかということなんです。私にはその気魄が感じられないんです。三年前のあのときも申し上げたんだけれ
ども、台風が来たときに、皆さん方は
計算機を持って外へ飛び出して、いま風速何メートルだ、じゃこの雨戸の厚みが何ミリだからそれに耐えられるか耐えられないかと、そんな
計算をしているんですか。だれだって台風が来て自分の家がぶっ倒れるかどうかといったら、飛び出していってずぶぬれになったってそこのところへ板をぶち当てて、そうしてその台風でもって家が飛ばないようにするというのがだれもがやることじゃないんですか。いまの
国鉄は、私はそれと同じことをやらなくちゃいけないときだと思うんですよ、へ理屈を並べてどうだこうだと言っているときじゃなくって。
ただ、そういう中でも私は
国鉄の中で中堅の層の人たちというものが、この
国鉄を再建しなくちゃといって真剣になって取り組んでいるということも知っている。だから、そういう人たちには私は本当に敬意も表するし、りっぱだと思うし、むしろ総裁以下幹部の皆さん方が、そういう意欲を持ってやっておる人たちが一生懸命に仕事のやれるようにあなたたちはしてやることだと思うんですよ、上に立っているんだから。その辺のところが私は欠けると言っちゃいかぬけれ
ども、私たちがなるほど総裁以下皆さん方そうまで本気になってやっているか、それじゃいろいろなこともあったけれ
どもこの
法案に賛成してやろうかという気持ちになれるような、そういうものの一つの気魄というものを見せてほしいと思う。それが感じられないということが、いろいろきょう言っていることもそうなんです。
だから、もちろん政府ももっといろいろやってやらなきゃいけない。それから国会もいろいろなことがあったことも反省しなくちゃいけない。しかし、何といっても
国鉄、それからその監督官庁の
運輸省というものがこの
国鉄をどうするか、国民の期待にこたえる上についてできるだけのことはこたえて応じていく。しかし、どうしてもこのところはといって、やっぱり聞いていただかなきゃいかぬところは聞いていただくということにしなくちゃいけないことです。だから、そういう点でもって私は、
国鉄と言うんだから、やはり国民の皆さん方が本当に喜んで利用のしていただけるような
国鉄になることだし、その
国鉄で働いている人たちが本当に気持ちよく働けるような、そうしておれは
国鉄マンだと言ってみんながプライドを持って働けるような、そういう
国鉄にしてあげることじゃないんですか。そういう気持ちを皆さん方がお持ちならば、何もこんな膨大な借金なんかに私はならせなかったと思う。
で、これは私の個人的な意見だけれ
ども、申し上げてお聞きをいただきたいんです。政府が何でもっと
国鉄に出資をしてあげないんですか。いまの
国鉄の状態から見れば、私だったら資本金二兆五千億ぐらいにしたらいいと思う。しかも、政府は昭和四十八年には一兆五千億出資を決めたわけなんです、あのときに。一兆五千億を出資をするというのを決めたのも三千七百八十億出資しただけ。後、昭和五十年かなんかその辺でもって打ち切っちゃっている。で、現在も資本金というものは、だから四千五百六十億のままなんです。いまの
国鉄の実力からいったら少なくとも二兆五千億ぐらいにしたって私はおかしくないと思うし、二兆五千億の資本金にするということになるならば、政府はまだあと二兆四百四十億のお金を出してよかったんですよ。
それから、次には
地方交通線の交付金です。
大臣、これもよく聞いておいてほしい。昭和五十一年から五十五年までに交付金として出したのが二千七百四十五億しかないんですよ。で、大体いまのところはごく大ざっぱに言って
地方交通線というのは収入が約一千億、支出がさっきの
計算でいって四千億で、差し引き三千億の赤だといって、それで昨年で言えば七百
幾らが交付金で出ているわけだ。これも少なくても
大臣ね、いま塩川
大臣に言ってもそれは無理なことだけれ
ども、あの昭和四十六年に償却前赤字になったときに、その数年前から言われた構造的欠損はということをあの時点でもってそこまで思いをめぐらして、それでこの
地方交通線についてどうするかということをお
考えになっておったならばかなり私は条件が変わってきておると思う。それで私なりに言わしてもらえば、だからその昭和四十六年から五十年まで少なくてもあのころでも七百億ずつ政府が交付金で出しておったらそれで三千五百億、で、五十一年から五十五年まではもう二千億です、これは、いまの
ローカル線の
実態からいくならば。そうすると、この五
年間に二千億ずつ出しておったとするならば一兆円で、合計その後いままで交付金で出してきたのを差し引いても一兆七百五十五億というものをもっと出しててよかった。そうすると、この出資と
地方交通線の交付金と両方で政府は三兆一千百九十五億のお金を出しててよかったはずですよ、借金の金利負担なんてそんなけちなことやらないで。
それから
国鉄の方もこれはお聞きをいただきたいのは、これは前にも私は言ったことがあるんだけれ
ども、あの減価償却です。何でやめないんですか。償却前赤字の企業体が減価償却して何の意味があるんですか。
計算がそうなってますからというのはいつかの総裁の答弁だけれ
ども、減価償却のところでもって毎年そうやって赤字のところをやっていって、償却率は確かに上がっているかわからぬけれ
ども、
現実に片方でそれだけの借金つくっているだけなんです。借金をつくってその借金は金利を払わなくちゃいけない。なるほどその金利は政府が持つことになったからそれは
国鉄としては痛くなかったかわからぬけれ
ども、しかし少なくとも私が
計算してみれば、この昭和四十六年に償却前赤字になったときから五十五年までの減価償却やったのは二兆九千五十一億償却しているんですよ。これだけ借金つくっただけなんだ。
そうすると、政府が三兆一千百九十五億本来なら出しててよかったお金、
国鉄も赤字だから償却前赤字のところでもって償却したってしようがないから、これは黒字になるまでしばらく中止をしておくという形でもって中断をしておけば、いま言ったような二兆九千五十一億というものをしないで済んだ。そうすれば両方合計すれば六兆二百四十六億円なんです。前回と今回でたな上げをしてくださいといってお願いしたのが五兆三千二百三十八億あるんだから、あのたな上げなんか何もしてくださいって言って頼まなくてもよかったことだし、それで六兆からの金がそういう形になってれば、大ざっぱに言ったって四千数百億の金利をそれでもって払わぬで済むわけですよ。それはいま確かに
国鉄はそれだけの金利を、ほとんどこれはもう政府に肩がわりをしてやらしているんだから
国鉄には痛手はないけれ
ども、政府も一生懸命になってそんな金利の負担なんてしないで、その分を資本金なら資本金、
ローカル線の交付金なら交付金できちんと出して、そして本当の救済のことを
考えてあげなかったんですか。そうしたら現在膨大なその借金もしないで済むことだし、何もたな上げなんてこんなことやらなくて済むことだし、それでこれからもまだそういう形でやっていたならば、いま言ったように、
年間四千数百億の金利というものは払わぬで済むわけなんですから。
どうしてそういうことをやって、そうして
国鉄というものがもっと健全な形で運営できるように、そして
国鉄の総裁以下幹部の皆さん方にも当事者能力を持って思う存分皆さん方ざっとやりなさいよと言ってやらせるようなことをしなかったんですかと。これは特に政府側を代表して
大臣からお答えいただきたいし、また高木総裁の方も、
国鉄の側としてのお
考えも聞きたいです。