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小笠原貞子君
皆さんそうおっしゃってくださるわけなんです。ところが、現在残念なことに小樽市と北海道の計画は、この歴史的な文化的な建造物、
小樽運河と石造群と、これは価値のないものにしてしまおうというような危険な状態になってまいりました。この八月二十九日に道の都市計画審議会は、道民や全国の人々の多くの反対を押し切って、現在の運河の半分を埋め立てて、そして石造群の一部も取り壊す、そして六車線の道路をつくりたいということで強行採決を市議会でやりましたし、またこの都計審でも強行決定をされたわけでございます。
この
小樽運河を守ろうというのは単なる小樽の問題ではございませんで、もう御承知だと思いますけれ
ども、「
小樽運河を愛する会」というのが東京にございまして、「
小樽運河を守る会」というのが小樽にございます。「
小樽運河を考える会」というのが札幌にございまして、そしてまた「小樽夢の街づくり実行
委員会」というのやら、また「全国歴史的風土保存連盟」、「全国町並み保存連盟」というように、いろんな団体が一緒になりまして、何としてもこれ、一たんつぶされてしまったら大変だというようなことで運動の広がりも非常に多うございます。いろいろとアンケートをとったり
調査をいたしました。埋め立てしてもいいよというのは三百八十九通、そしてこれはもっと
検討すべき価値のある問題だというふうに、再
検討すべきである、残せというのが、これが約四倍近くですね。しかし、この地元の意思というものが生かされないで強行されようというようなことになっているわけでございます。
文化庁としても文部省としても、何とかこれを残したいというような立場から御
指導もいただき説得もしていただくというような御
努力をいただきましたけれ
ども、なかなかこれが効果を上げるというところにはなりません。そして、いよいよ今度の段階では、国の判断が求められるというところの段階になってきたわけでございます。特に、
運輸大臣として、きょうまたこの問題を、私、
運輸大臣の立場から質問や御意見を伺いたいと思いましたのは、これは埋め立てするにいたしましても港湾計画の変更ということをしなければなりませんし、公有水面の埋め立てという二つの問題が
運輸省に係ってきている、
運輸大臣の御判断がここで示されなければならないという段階にきたわけでございます。
これは五十四年の予算
委員会で、時の文部
大臣内藤誉三郎さんに質問いたしましたときに、
大臣、こういうふうにお答えになっていらっしゃるんですね。いろいろおっしゃいましたけれ
ども、一つは「こういうすばらしい文化は、一遍つぶしたらもう二度と出ないんです、
日本文化の伝統ですからね。」と、これが第一点です。つぶしたらもうだめになっちゃうということです。
〔
委員長退席、
理事桑名義治君着席〕
それから今度二つ目の点は、私も行ったと。そして、「あの場所を見たけどね、あの運河と倉庫一体ですから、この文化財を失うことは、これは
日本の偉大な損失だと思う。」、つまりこれは運河と石造倉庫群、これが一つになっての貴重な文化的な遺産であるということが二つでございますね。そしてまた、建設省に協力をお願いしたいと文部
大臣としても思っている、こういうふうにおっしゃいました。何としてもこれだけは残しておきたい、後世に残す誇りがなくなってしまうよ、つぶしたら。こういうふうな立場から、一体のものであるという、保存をしたいということをはっきりおっしゃっていただいたわけでございます。
それからまた、先ほど申しました「
小樽運河を守る会」というのが四十八年結成されまして、そしてそこにいろいろと書いてありますけれ
ども、私は非常に大事だと思いましたのはこういう言葉で表現されているんです。「
昭和四十八年末の会結成以来今日まで」いろいろとやってきました云々と書いてありました。そして終わりの方に「神が与えてくれた自然」
——この会長さんというのはクリスチャンで私のよく知っている方でございます。「神が与えてくれた自然、人間がつくり出した創造物、そして私たち人間の調和のとれた環境づくりを、この運河地区を拠点として、小樽市全体に広げていきたい。それが本当に人間らしい生活につながるものと、私たちは存じます。」、こういう言葉がありました。
で、いろいろな団体が残したいと。この年齢層も非常に厚うございまして、若い青年たち、いまもう白けているとかなんとか言われるけれ
ども、その青年たちも非常に小樽のこれを守りたいということで毎年夏にはポートフェスティバルというようなことをやりましたりして、もう本当に一生懸命になって残すということを
努力していらっしゃるわけでございます。
大臣としても、いろいろと文化的な立場に立っても御理解いただける
大臣だと私は思っておりますので、御
検討をお願いしたいと思うわけなんです。
具体的にお伺いしたいと思いますけれ
ども、運河の水面埋め立てに当たって、住民や自治体での民主的な
議論ももっと詰めて一致できるようにしたいと思うんでございますけれ
ども、具体的にはどのような手続とそしてどれくらいの期間がかかるかというような点を、これ
局長でも結構です、お伺いさせていただきたいと思います。