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川原新次郎君 石油の備蓄の
関係でお尋ねを関連して進めたいと思っております。
いま非常に国が挙げて心配しているエネルギーの確保ということが、これは日本の政治経済、ひいては国民生活を安定的に守っていくために最優先しなければならない緊急課題だということは、ひとしくお考えになっておられて、そして備蓄の問題とかあるいはまた代替エネルギーの問題、いろいろ御検討いただいていることはまことに結構だと思って、敬意も表している次第であります。
ところが、その中身を考えてみますると、また聞いてみますると、十年後に石油がエネルギーとして五〇%、その辺のいろいろな
計画は聞いております。ところが、そこに到達する過程までが何が起こってくるかわからないという現実の中で、それでイラン、イラクがああいうふうに騒いでいる。ところがあれでおさまるとしましても、その後十年の間に、あるいは十年と言わず、ここ二、三年の間にもどこに何が起こってくるかわからない。それが起こってきた場合に、現在の備蓄百四日ある、あるいは国家備蓄が一週間ある、百十一日間あるという安心したような
言葉が聞かされるのだけれ
ども、そういうような安心できる状態じゃない事態がいつ起こらないとも限らない。したがって、それに備えて備蓄というものはやはり一大消費国家と並んだ備蓄をば備えなければならないと思うわけですね。あるいはそれ以上であればなお結構だけれ
ども、そういうようなこと等に対して、代替エネルギーのこと等について真剣な検討が加えられているけれ
ども、目の前の、問題が発生したときに対処する構えというものに対しておろそかじゃないか。ちょっと
言葉が過ぎるかもしれませんけれ
ども、ほかのものに比べた場合におろそかじゃないか、そういうような気がしてならないわけなんです。
そこで備蓄の問題についてお尋ねをしてまいりますけれ
ども、まず第一に、石油備蓄をこれから国家備蓄あるいは民間備蓄もやるでしょうけれ
ども、それらの備蓄基地をやろうとする立地市町村に対するメリットの
問題等からまず入ってまいりたいと思います。
それは、立地させようとする町村あるいはしようという各市町村においては、執行部がしよう、しょうと言うても、
関係住民の中には反対だという層もあるのがいまの現状なんですね。そういうような中において、備蓄基地を立地させていく過程の中ではむずかしい問題やら困難な問題やら、地元に対してはいろいろあります。そういうような中で、いやでもこれを進めなければならないのは先ほど申し上げたとおりですね。だが、市町村としては、これをやらしていかされる、あるいはやっていこうとする。それは何がねらいかというと、やはり財政が非常に苦しい、苦しい財政でもがいている中で何とか立ち直っていこうとする、いわゆるそのメリットに対する魅力からこれが立地されていくんだと思うんです。それ以外何にもないんです。
石油の備蓄、いわゆる原油の基地なんというのは、その船が入った、そこに備蓄されたというので、市町村に対する、あるいはその
関係住民に対する直接のメリットというのはもう微々たるものなんです。それで、何がメリットかというと、固定資産税あるいはとん税、そういうようなものがメリットになって、何とかもがいている町村財政から立ち直ろうとしてやろうとしているわけなんです。ところが、そのメリットがメリットにならないというようなこと等であるとするならば、煩わしいこの原油基地とか備蓄基地なんというものを望んでつくる町村というのは恐らく出ないはずなんです。その証拠に、いま国が国家備蓄をやろう、あるいは民間備蓄にしましても、やろうとし、やらせようとする町村の中では、これは交付団体のところが多いはずです。いわゆる貧乏市町村ですね、財政の不如意な市町村。その中から交付税をもらって食うている市町村というのは、家庭で言うならば生活保護家庭と同じである。生活保護の中から立ち上がっていくためには、何らかの交付税以外の自主財源というものを求めたいという一念から、余り住民全体が好ましいことではないけれ
ども、それに飛びついてでも何とかしよう、こうしていくのが基地であると思うんです。
その証左に、いま国が思いついたように、このごろになって国家備蓄を進めなければならない、備蓄を進めなければならないということを言い出しているんだけれ
ども、ところが、やらせようとする場合に、基地交付金というのを最高限度四十億出そうとしている。それと、交付金というものも、これは立地後において基地交付金というものを出そうとしている。これを誘いにかけているということは、とりもなおさず、これはただじゃ立地してくれないという心配がある、そういうような心配の中だからこれを出さざるを得ないということにほかならないと思うんです。それほどの金を出してまでもつくっていかなければならない現実があることはもう認めるし、と同時に、今度は裏を返して、それだけのものを与えてやらない限りは立地が困難であるということを当局も認めているということを証明すると思うんですね。
そこで既設の、すでに立地している、備蓄がなされている市町村に対するメリットというものは、これはもう当然のメリットであるべきものがこれはそがれている、抹殺されているというような
言葉に等しいような現実があるわけなんですね。
それらについてちょっと触れてみたいと思いますけれ
ども、それは基地立地している市町村で最も取れるものは、とん税と固定資産税なんです。御承知のように、固定資産税はずっと減っていきます。とん税は船がふえたらふえてくるでしょう。ところが、そのとん税と固定資産税とを合わしたものがメリットであるということは、これはもちろん固定資産税については七五%の規制があることは御存じのとおりですけれ
ども、その残余と、とん税というのは特別とん税法という法律に基づいて、これは国が一トン当たり十六円、
関係市町村が一トン当たり二十円というのを取れる。これが年間何億となる。それが大いなるメリットで、その収入を願いして立地をしていったのがこれが実情なんです。この法律に基づいて市町村に二十円上げますと、ところが税関がちゃんと一銭も漏らさず取ってくれます。国の方では十六円取っておるでしょう。ところが、その二十円なるものは、一口に言うならば国が全額没収している。一億取ったのを一億没収ならまだしも、一億何百万という端がつくような厳密な計算をして没収をしているわけなんです。
どんな形で没収しているか。これは初めて実情をお聞きになる方もおるかわかりませんけれ
ども、とんでもないいま申し上げる状況が起こっているわけなんです。それは不交付団体、いわゆる国の交付金ももらわずに暮らせるような裕福な市町村であったならば、これ
関係ないことなんです。ところが、さっきから言うとおりに、基地でもつくらしていこうというところは恵まれない
地域しか全国でもないはずですが、ほとんど交付団体である。いわゆる生活保護家庭に等しいような市町村である。その市町村は交付団体である。交付団体は御承知のように交付税というのをもらっている。その交付税は、
基準財政需要額あるいは収入額、これは差額が交付税で出るわけですけれ
ども、とん税というものを一〇〇%を超すほどの域まで収入の中に見込まれている。したがって、これが収入にならない。収入にならないということは、船が入ってきても、何十万トンという船がじゃんじゃん入ってくる、それが出入りする、地元にはいろんな迷惑もかかる、特に漁民あたりには大いなる迷惑をかけていかなければならない。そういうような中で、また、事故でもないのか、起こったらどうなるんだというような
問題等もはらんでいるわけだけれ
ども、そういうような危険を感じながらも、あるいは現実に不便を感ずる中でも、漁民としては損害を受けながらも、船が自分の港に入ってくることで、とん税というものが町村財政を潤して、それがわれわれの生活にはね返ってくれるんだということを考えて忍んでいるのが現実なんです。
ところが、先ほど言うとおりに、交付税は、船が入らなくても、そのとん税を一銭も取っていなかったとしても、やはり交付税でばんとくるわけですから、何にもメリットがないという現実があるわけなんです。それで一方では、特別とん税法という法律によって、税関を使ってちゃんと上がってくる金というものは現実に町の中には一銭も入ってこない。こういうようなこと等は許されるべきことではないと私は思うのです。まして、とん税というと、特別とん税にしましても、富裕市町村の港、いわゆる不交付団体の港もありましょう。そんなところに入る船というのは、油だけでなくて、ほかの物資を積んだ外国船も出入りするでしょう。その物資からは直接その
関係地域住民が大いなる受益を受けているという面が多いわけなんです。ところが原油に限っては、その港にそれが入ってきたから、それでそこに陸揚げされているからというので、直接のメリットというものは何にもないということを再確認してもらうために重ねて言っているわけです。
そういうような現実の中で、とん税が一〇〇%余り没収されておって何にもならないという現実があるとすれば、
冒頭一番に申し上げた、今後備蓄基地はどうしてもやっていかなければならない、これは急がねばならないと思うのです。いつ何が起こるかわからないから。いま、よく政治の場でもあるいは世論の場でも、敵国が侵入したらどうなるんだ、国防費をああしろこうしろといういろいろな話等もけんけんがくがくあるようです。ところが、それよりも早く、これは日本じゃ戦争しなくても、あるいは外敵が来なくても、石油がストップするという時期がいつ来るかわからない、いつ起こるかわからない。そうなったとすれば、外敵によってごたごたをやってつぶされるという日本でなくて、これは、われわれと違っていまの若い世代は、戦争を知らない時代の国民が非常に多いわけですが、いわゆる耐乏生活をやったことのない国民がほとんどである。その人たちが、この現実の恵まれた生活の中で生きてきた彼らが、今度は石油がストップして全国暗やみになった、車がストップした、こういうような現実が日本に起こってきたとするならば、一ヵ月もたたないうちに国内の乱れがどうなるであろう、それの方がよっぽど日本はいま憂えなければならない現実である。こういうことからするならば、やはりその代替エネルギーの開発を進めると同時に、何としても備蓄を完全なものにしなければならない。国家備蓄をいまいろいろ国が考えておられる。それらについてこれを早急に進める
努力、何が起こってきても外国と匹敵するように何ヵ月間はりっぱに並んで耐え得る、そのうちには国際的に解決がされるであろう、その安全弁が押された形をとっておかなければならない。そうするため
には、何としましてもやはりこの基地を急がなければならないと思うのです。
そこまでおわかりと思うけれ
ども、それをやっていくのには、いま
関係市町村のメリットなるものがしかじかしかじかなっているということになったならば、これは絶対これからの立地というのは非常な困難を伴ってくるであろうということを銘記しなければならないと思うんです。だからして、この
関係市町村が立地した場合にこういうふうな交付金、あれは変則だと私は思うんですよ。当然市町村が法に基づく権利によって取るべきとん税というものはずっと没収されておって、それの何分の一あるいは一部に属するような交付金を立地交付金という名前で、ちょこっとあめ玉くれたようなのでごまかしてやっている、この辺が全く承知がならない現実だと思うんです。だからして、この取るべきとん税というものは当然そのまま一〇〇%市町村にくれて、船が入って迷惑をかけない港のない市町村も、あれだけ迷惑をかけた市町村も交付税において何にも変わらない、ひとつも船の恩典には浴していないということであったら基地をつくるばかがおるはずはないんです。だからして、皆さん、こういうような
考え方に立ってお互い国民が、皆さんがこの現実をわかってくるとするならば、これからの基地の立地というのは非常な困難をきわめるであろう。それを重ねて言うけれ
ども、新たに銘記をしておかなければならぬだろうと思うのです。
そこで、自治省の地方交付税
関係の方にお尋ねいたしますけれ
ども、このいまの交付税法だろうと思うけれ
ども、まだ素人だからよくわからないけれ
ども、交付税法の一部を、それに該当する法だとするならば、改正をしてこのとん税というものは
基準財政需要額から相殺をするようなインチキに等しいようなやり方をしないで、これは当然地元は港をつくり、そして船が出入りする迷惑あるいはそれに港の場所の提供代だと、それに該当するものであるから、当然その市町村が一〇〇%受益するものであると、法律どおりに。それだから、それを裏で相殺をして交付税を払うなんということをやるべきじゃないということ等からして、しかもまた、このようにエネルギー問題が非常に大事なときですから、いかなる金を使ってでもエネルギーを確保しようとするこういうような大事なときに、国策の最も重大な問題の中で起こっているこの処理をひとつ検討をし、早急に改正をしていかなければならない問題だと私は思うんです。それで交付税法であるとするならば、交付税法の一部等を改正してこれに対処していくという
考え方等があるかと。与えるべきメリットは十分に地元に与えながら、よけいなことを言おうとするのじゃない、既設の基地においてはあえていまさら四十億の金を出せというような、そういうようなけちくさいことを言うのではなくて、当然取るべきものを、吸い上げているのを吸い上げるなと、あたりまえに法どおりに渡せと。そして、それを交付税の対象にして相殺をする、それだったら、あなたたちは港をつくっても基地をつくっても、船が入ってきても何にもなりませんよ、邪魔にはなっても何にもなりませんよという現実ははっきりしてきておりますので、その辺について
お答えをまず賜りたいと思います。