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稲葉議員 最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する
法律案について、提案の趣旨を御説明いたします。
憲法第七十九条は
最高裁判所の長官及びその他の
裁判官について、国民に直接その適否を問う
国民審査の制度を規定しています。これは、
主権者である国民の監視によって、民主的で公正な裁判を保障する重要な制度であります。つまり憲法が内閣に
最高裁判所長官の指名権及びその他の
裁判官の
任命権を認めながら、直接国民の審査に服さなければならぬとしたことは、
最高裁判所が憲法と人権の守り手として非常な重要な役割を担っていることから見ても当然のことであります。
ところが、
公正中立であるべき
最高裁判所が時の政府の
党利党略的選任による
裁判官で占められ、
政治権力に追従、迎合する判決が近年目立っており、司法の反動化はいまや黙過できない状況に至っています。
このような司法の危機を打開するためにも、不合理な
投票方法をとっている現行の
国民審査法を改め、
主権者である国民の
権利行使の一つであるこの制度を充実させることは焦眉の急であります。すでに、第七十一国会の本
委員会において、「政府は、
最高裁判所裁判官国民審査の方法等について検討すべきである。」との
全会一致の
附帯決議を採決しているのも、この制度の改善が国民の大きな要求となっているからであります。
右の理由により本
法律案を提案するに至った次第であります。
次に本
法律案の要旨を申し上げます。
第一は
記載方法の改善であります。
現行国民審査法は罷免を可とする
裁判官に×印を記載することを認めているだけで、その他の白票はそれがたとえ棄権の意思を込めたものでも、すべて罷免を可としない票とみなされるというきわめて不合理、非民主的な方法であります。
そこで本
法律案は、国民の意思を正しく反映させるために、罷免を可としない
裁判官には〇印、罷免を可とする
裁判官には×印を記入することとし、無
記入投票は棄権とみなすことにより、棄権の自由を保障するものとしています。
第二は
点字投票の改善であります。
点字投票について、現行では
視力障害者の審査権が行使しにくい面があるので、これを是正するための点字で印刷された用紙を準備し、通常の投票に準じて決められた記号を記入するだけで意思を表示し得るものとしています。
第三は
罷免成立の
有効投票率の
引き上げであります。
投票方法の変更に伴って、罷免が成立する
有効投票率を改め、
現行有権者総数の百分の一を、百分の十に
引き上げることにより、棄権が大量に出た場合、少数の罷免票で罷免されることの弊害を除いています。
以上が本
法律案の
提案理由並びに要旨であります。何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案について、提案の趣旨を御説明いたします。
最高裁判所は、終審としての
違憲立法審査権、
規則制定権、最高の
司法行政権を有する
司法裁判所であり、司法権の独立と裁判の公正を保持し、
基本的人権を保障すべき責務を全うするために、当然の事理として
最高裁判所裁判官の
選任人事は慎重かつ適正に行われなければなりません。そしてその
選任人事が慎重かつ適正に行われたことを国民が理解し、納得するのでなければ司法は国民的な基盤を失うことになり、その権威の保持は期待できません。
しかるに、
現行法上
最高裁判所裁判官の指名または任命は、内閣の
自由裁量であり、しかも国民はその
選任人事が慎重かつ適正に行われたかどうかを知ることができません。これらは明らかに法の不備であり、重大な欠陥であります。
よって、この法の不備、欠陥を是正する必要があります。
なお、一九四七年に、
裁判官任命諮問委員会が設置されたことがありますが、その
委員会の構成及び運営は政令にゆだねられていたため、その成果は期待に十分こたえるものではなく、翌一九四八年に同
委員会は廃止されるに至りました。この経緯を踏まえ、
諮問委員会の設置はもちろん、その構成と運営についても法律をもって定めておく必要があると考えます。
右の理由により本法案を提出するものであります。
次に、本法案の要旨を申し上げます。
第一に、
最高裁判所裁判官任命諮問委員会の設置だけでなく、その組織・運営についても法律をもって具体的に規定しております。
第二に、
裁判所法第三十九条第四項として、内閣は、
最高裁判所裁判官の指命又は任命を行うには、
最高裁判所裁判官諮問委員会に諮問しなければならないこととしております。
第三に、
任命諮問委員会は、委員二十人をもって組織することとしております。
その内訳は、
衆参両院議長、
最高裁判所長官、
検事総長、
日本弁護士連合会会長、及び
最高裁判所指名の
裁判官五名、
日本弁護士連合会指名の弁護士五名、さらに
内閣指名の
学識経験者二名、
日本学術会議指名の
学識経験者三名、以上のとおりとなっています。
第四に、
任命諮問委員会が答申する
候補者の数は、内閣の
任命権と同
委員会の
権威保持との調和を考慮して、
最高裁長官については二人以内、
最高裁判事については
任命予定者の二倍以内としています。
第五に、
任命諮問委員会は、
裁判官の適任者として
候補者を推薦するに至った理由を、内閣に答申すると同時にこれを広く国民の前に公表することとしています。
以上が本法案の
提案理由並びに要旨であります。何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
刑事訴訟法の一部を改正する
法律案について提案の趣旨を御説明申し上げます。わが国において
人権意識はようやく高まりを見せているとは言うものの、国内の
人権保障の現実には、なおはなはだ危ういものがあります。身に覚えのない事件のために逮捕され、裁判でも有罪の判決を受ける者、場合によっては死刑の執行におびえながら無実を訴え続ける者も少なしとしないのであります。もしも無事の者が
国家権力により処罰されるとすれば、およそこれに過ぐる不幸、これにまさる残酷があり得るでありましょうか。このような冤罪者を救済することなくして、
人権擁護も
民主主義も存在しないのであります。
一般世人からは、神のごとく
至公至正と見られる
刑事裁判においても、不幸にして誤判の数の決して少なくないことを裁判の歴史は示しています。著名な
冤罪事件として知られる
松川事件、八海事件、
仁保事件にしても、三審制の中で二度ないし三度にわたって有罪・死刑の判決がなされた後に、辛うじて最高裁の段階で救われたのであります。また、三審制度の中ではついに有罪が確定し、服役を終わった後において、再審の結果無罪を獲得したものに、最近においては
弘前事件、加藤老事件、
米谷事件があります。これらはいずれも厳正を生命とする裁判においても、ときに誤判のあり得ることを例証しています。しかも
弘前事件、
米谷事件は、真犯人がみずから名のり出ることによって、ようやく
再審開始に至ったのであります。
もって
再審開始のいかに困難なるかを想像し得るでありましょう。
また、一九七九年に入ってからは
死刑確定の事件のうち、
財田川事件、
免田事件で
再審開始の決定がなされるに至りました。これらは、
即時抗告または
特別抗告がなされたことにより、いまだ再審の審理が開始されてはおりませんが、
死刑確定の事件の中にさえ誤判の可能性が存するという深刻な事態を明らかにしております。
日本国憲法は全文百三条のうち、第三十一条から第四十条に至る実に十カ条にわたって被疑者・
被告人の
人権保障を規定しておりますが、これは戦前・戦中の司法のあり方を根本的に改善する必要に迫られたからであります。憲法の規定を受けて一九四九年に施行された新
刑事訴訟法も、個人の
基本的人権保障の観点から抜本的な改正がなされていますが、
刑事訴訟法の「第四編 再審」については、
不利益再審の廃止を除いて、旧
刑事訴訟法をほぼそのまま引き継いだ形になっております。
これらの理由により、
再審法の改正は焦眉の急を要するものと思われます。
したがいまして、
再審法を無事の救済の立場から正しく運用し得るよう、以下のような改正をしようとするものであります。
第一は、
再審要件の緩和及び理由の拡大であります。
再審請求事件の大部分は、刑訴法第四百三十五条第六号によるものでありますが、その要件である証拠の新規性と明白性について、従来
裁判所の解釈は厳し過ぎ、そのために再審は開かずの門となっておりました。
そこで「
再審開始のためには
確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において、「疑わしいときは
被告人の利益に」という
刑事裁判における鉄則が適用される」という最高裁・
白鳥決定の趣旨を踏まえ、刑訴法第四百三十五条第六号を全面的に改正しようとするものであります。
具体的条文は、
現行法中「明らかな証拠をあらたに」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠を新たに」に改めることであります。
第二は、
再審請求人の手続面における
権利保障の明確化及び
前審関与の
裁判官の除斥をしようとするものであります。
再審手続は二
段階構造をとっておりますが、第一段階が非常に重要であるにもかかわらず、
現行法ではその手続はすべて
裁判所の職権にゆだねられておりますので、これを改め、
再審請求段階の
国選弁護人制度、
弁護人の
秘密交通権及び
記録閲覧権・謄写権、記録及び証拠物の保存、審理の公開及び
請求人・
弁護人の
再審請求理由を陳述する権利と事実
取り調べ請求権の保障等を導入することであります。
また、前審に関与した
裁判官は除斥される旨の規定を設け、審理の公正を期することであります。
第三は、
検察官の
反対立証の制限及び
不服申し立ての禁止をしようとするものであります。
再審制度は有罪の
確定判決を受けた者の利益のためにのみ存在する制度であり、これを具体化するため、
再審請求段階における
検察官の立証を一部制限し、そのため
検察官は新たな事実の
取り調べ請求ができないこととし、ただ
請求人・
弁護人側から出された新証拠の
取り調べに際し証拠の証明力を争うため必要とする適当な機会を与えられるものとしております。
また、
再審開始の決定に対する
検察官の
不服申し立てを禁止することとしております。
第四は、
訴訟費用の補償についてであります。
再審で無罪が確定した事件につきその
訴訟費用は、
現行法では
再審開始後の公判に要した費用のみ補償されるにとどまっており、一例を挙げれば
加藤新一老の場合、最も困難な闘いを要した
再審請求段階の
費用補償は全く認められず、
再審開始後の費用を対象とし、しかも
所要経費の一部が認められたにすぎません。
これを改め、
再審請求より
再審開始決定に至るまでの費用も補償することであります。
第五は、
確定判決にかわる証拠についてであります。
有罪確定判決の証拠となった証言・証拠等が偽証もしくは偽造である等の理由で
再審請求をする場合、
現行法では、偽証・
証拠偽造等の事実が
確定判決により証明されなければならないとし、
確定判決が得られない場合はその事実を証明して再審の請求ができることとしています。この際に刑訴法第四百三十七条ただし書きの解釈として
検察官により、偽証・
証拠偽造の事実につき
公訴提起がなされなかった場合は、
再審請求の道を閉ざしているのであります。
これは全く不合理であるのでこれを改め、
検察官により
公訴提起がなされなかった場合にも再審の道を開くこととすることであります。
第六は、
理念規定の創設及び刑の
執行停止を規定しようとするものであります。
再審制度は、無事を救済し、その人権を尊重するためにある旨の
理念規定を設けるとともに、
再審請求がなされた場合は、
請求人等の
申し立てにより、刑の執行を停止することができることとすることであります。
第七は、その他として、
不服申し立て期間及び旧
刑訴法下の事件について、所要の改正をしようとするものであります。
以上が
刑事訴訟法の一部を改正する
法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
ただいま議題となりました刑法の一部を改正する
法律案について、提案の趣旨を御説明申し上げます。
本
法律案は、
汚職防止を目的とする改正と、尊属殺
重罰規定の削除等を目的とする改正の二件を一本の
法律案にまとめたものであります。
初めに、
汚職防止を目的とする改正につき趣旨を御説明申し上げます。
現在公判中の
ロッキード事件を初めとする
国際的汚職が国民の政治に対する信頼を損なっておりますが、
汚職事件の
再犯防止策の一環として、さきの
通常国会において
贈収賄罪の法定刑の
引き上げを内容とした刑法の改正が実現しました。今回の提案はそのときに実現しなかった点につき、刑法の一部を改正しようとするものであります。
現行刑法百九十七条の四の
斡旋収賄罪の適用を免れるため
国会議員等が、その後援会その他の団体等、
第三者に賄賂を供与させる事例が多数発生しております。
このような事例に対処するため、
改正刑法草案は、第百四十二条に
周旋第三者収賄を新たに設けております。が、本
法律案の内容の第一は、それをそのまま、「
斡旋第三者収賄」としたものであります。
本
法律案と同じ内容の案が昭和五十一年十一月
ロッキード問題閣僚連絡協議会で合意され、他の諸問題とともに発表されましたが、その後放置されたままとなっており、早急な実現が望まれます。
さらに、最近の汚職が
国際的事件であることにかんがみ、
日本国民が外国で犯すこの種事件についても、
処罰規定を設ける必要があります。
以上の理由により本
法律案を提案した次第であります。
改正の要旨は次のとおりであります。
第一に、
斡旋第三者収賄罪の新設であります。
公務員が請託を受けて、他の公務員にその職務上不正の行為をしまたは相当の行為をさせないようにあっせんすることまたはあっせんしたことの報酬として、
第三者に賄賂を供与させ、またはその供与を要求し、もしくは約束したときは五年以下の懲役に処するものとすることであります。
第二に、
斡旋第三者贈賄罪を規定します。
すなわち、前項の賄賂を供与し、またはその申し込みもしくは約束をした者は三年以下の懲役または五千円以下の罰金に処するものとすることであります。
第三に
国外犯規定の整備であります。
すなわち、
斡旋第三者収賄罪を刑法第四条の国外犯とすることと同時に、贈賄罪を刑法第三条の国外犯とすることであります。
次に尊属殺
重罰規定の削除等を目的とする改正につき趣旨を御説明申し上げます。
最高裁判所は昭和四十八年四月四日、昭和二十五年の旧判例を変更して、
尊属殺人に特に重罪を科している刑法第二百条は違憲無効であり、
尊属殺人についても
普通殺人罪の規定である同法第百九十九条を適用するほかはないことを示しました。これは、最高裁が憲法第八十一条に定められた
違憲立法審査権に基づき、
現行法の規定を違憲無効とした最初の判例でありました。
日本国憲法第十三条は、「すべて國民は、個人として尊重される。」べきことを規定していますが、これは個人の尊厳を尊重し、すべての個人について人格価値の平等を保障することが
民主主義の根本理念であるという基本的な考え方を示したものであり、法のもとの平等を定めた憲法第十四条第一項も、右の基本的な考え方に立ち、これと同一の趣旨を示したものであります。
近代国家の憲法がひとしく右の意味での法のもとの平等を尊重、確保すべきものとしたのは、封建時代の権威と隷従の関係を打破し、人間の個人としての尊厳と平等を回復し、個人がそれぞれ個人の尊厳の自覚のもとに平等の立場において相協力して、平和な社会、国家を形成すべきことを期待したものにほかなりません。
日本国憲法の精神もここにあるものと解すべきであります。
刑法第二百条の
尊属殺人に関する規定が設けられるに至った思想的背景には、封建時代の
尊属殺人重罰の思想があるものと解され、同条が、
配偶者の直系尊属を殺す場合までも刑を加重するのは旧憲法下の家の観念を存続させるものであります。
ところが、
日本国憲法は、封建制度の遺制を排除し、
家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等を確立することを根本のたてまえとしこの見地に立って民法の改正を行ったのであります。
この憲法の趣旨に徴すれば、尊属がただ尊属なるがゆえに特別の保護を受けるべきであるとか、本人のほか
配偶者を含めて卑属の
尊属殺人はその背徳性が著しく、特に強い道義的非難に値するとかの理由によって、
尊属殺人に関する特別の規定を設けることは、一種の身分制道徳の見地に立つものと言うべきであり、前述の旧家族制度的倫理観に立脚するものであって、個人の尊厳と人格価値の上平等を基本的な立脚点とする
民主主義の理念に抵触するものと言えます。
諸外国の立法例において、
尊属殺人重罰の規定を廃止する傾向にあるのも、右の
民主主義の根本理念が浸透してきたからであります。
親子の情は美しく、自然であります。だが、それは個人の尊厳と人格価値の平等の原理の上に立って、個人の自覚に基づき自発的に守られるべき道徳であって、法によって強制すべきではありません。強制の上に成立する制度がいかにもろいかは歴史が示しています。
普通殺人と区別して
尊属殺人に関する規定を設け、
尊属殺人なるがゆえに差別的取り扱いを認めること自体が
民主主義の根本理念に抵触し、直接には憲法第十四条第一項に違反するものであります。刑法第二百条だけではなく、尊属傷害致死に関する刑法第二百五条第二項、尊属遺棄に関する刑法第二百十八条第二項及び尊属の逮捕監禁に関する刑法第二百二十条第二項の各規定も、被害者が直系尊属なるがゆえに特に加重規定を設け差別的取り扱いを認めたものとして、いずれも違憲無効の規定であります。
この理由により、本改正案では右に挙示した諸条項を全面的に削除することとしております。
以上が本
法律案の趣旨であります。何とぞ御審議の上御賛同あらんことをお願い申し上げます。
ただいま議題となりました
政治亡命者保護法案についてその趣旨を御説明申し上げます。
一九四八年の世界人権宣言は、人類の基本的権利と自由を平等に享受することを明らかにし、国連はあらゆる機会に難民に対し深い関心を示し、この基本的権利と自由を可能な限り最大限に難民に与えようと努力し、また難民の地位に関する
国際条約の批准を全世界に求めています。
難民受け入れに不熱心であるとして諸外国から強い批判を浴びてきたわが国政府がようやく重い腰を上げ、難民条約加入の方針を打ち出したことは喜ばしいことであります。
しかし十数年来、わが国に庇護を求めて入国した
外国人や強制送還を拒否して訴訟を起こした
外国人などがあり、その都度政治問題化しております。わが党はこの課題にこたえて、一九六九年以来三度にわたって国会に法案を提案いたしましたが、成立には至りませんでした。
この際、政治亡命者の在留資格など最小限度の要点について、難民条約の批准前といえども法定することが緊要と考え、本法案を提出した次第であります。
以下法案の概要について御説明申し上げます。
第一に、法の目的として世界人権宣言第十四条の規定の趣旨にかんがみ、政治亡命者の保護を図るため、これに対する在留資格の付与その他必要な事項について、出入国管理令等の特例を定めることといたしております。
第二に、政治亡命者の定義は難民条約と同様とし、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団への所属、または政治的思想を理由として自国において迫害を受けるおそれがあるため、自国の外にあり、自国の保護を受けることができず、または自国の保護を受けることを望まない者としております。
第三に、本邦にある
外国人は永住許可者を除き、すべて政治亡命者としての在留資格の取得ができるものとし、不法入国者、不法残留者なども法務大臣へ申請することによって在留資格を取得できることとしております。
第四に、申請に対する許可または不許可の処分があるまでの間、不許可の処分に対する出訴期間及び当該処分についての取り消し訴訟の提起後六十日間は本邦から退去させることができないものとしております。
第五に、政治亡命者といえども一定の場合には退去強制を求めるものとしておりますが、その事由は出入国管理令第二十四条に比して著しく限定しております。
第六に、右の場合の送還先については、迫害を受けるおそれのあるときは本国に送還せず、本人の希望する国としております。
第七に、政治亡命者としての在留資格を取得した者については、当該在留資格の取得前の不法入国等の行為は処罰しないものとしております。
その他、在留資格の変更、更新など、所要の規定をしております。
以上が本法案の趣旨であります。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げます。