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1980-11-27 第93回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十五年十一月二十七日(木曜日) 午後一時五分
開議
出席委員
委員長
井上
泉君
理事
青木 正久君
理事
岸田 文武君
理事
谷 洋一君
理事
吹田 愰君
理事
小野 信一君
理事
武部 文君
理事
長田 武士君
理事
塩田 晋君 小澤 潔君
狩野
明男
君 亀井 善之君 工藤 巖君 長野 祐也君 牧野
隆守
君
五十嵐広三
君 金子 みつ君 春田 重昭君 岩佐 恵美君 依田 実君
出席国務大臣
通商産業大臣
田中 六助君
出席政府委員
通商産業省産業
政策局長
宮本 四郎君
資源エネルギー
庁長官
森山 信吾君
資源エネルギー
庁石油部長
志賀 学君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
石油連盟会
長)
永山
時雄
君
特別委員会
第二
調査室長
秋山陽一郎
君 ――
―――――――――――
十一月二十一日
物価
の
抑制
に関する
請願
(
鳥居一雄
君
紹介
)( 第二三一七号) 同(
吉浦忠治
君
紹介
)(第二三一八号) 同月二十二日
物価値上げ抑制等
に関する
請願
(
稲葉誠一
君紹 介)(第二四七三号) 同(
田邊誠
君
紹介
)(第二五〇一号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 閉会中審査に関する件
物価問題等
に関する件(
石油製品
の
価格問題
等) ――――◇―――――
井上泉
1
○
井上委員長
これより
会議
を開きます。
物価問題等
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
参考人
として、
石油連盟会長永山時雄
君に御
出席
をいただいております。
永山参考人
には、御多忙中のところ本
委員会
に御
出席
いただき、まことにありがとうございます。 本
委員会
におきましては、
物価問題全般
にわたり
調査
を行っており、本日は、特に
石油需給
の
現状
と
見通し
、
石油製品
の
価格問題等
について
調査
をすることになっております。
永山参考人
には、そのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 それでは、まず
永山参考人
から十分
程度
御
意見
をお願いいたします。
永山時雄
2
○
永山参考人
私は、
石油連盟会長
の
永山時雄
でございます。 本
委員会
からの御依頼に応じまして、
参考人
として、特に
わが国石油産業
の最近の
財務状況
を中心に、当面の諸問題について御
説明
をする
所存
でございます。
本論
に入るに先立ちまして、この際、
石油製品
の
価格問題等
に関し、
石油連盟会長
という
立場
がいかなるものであるかを御
理解
をいただくために、
石油連盟
の
事業内容
について若干の御
説明
をさせていただきたいと存じます。
石油連盟
とは、
わが国
の
石油精製
、
元売り業者
のほとんどすべてを網羅した
合計
二十九社による
産業団体
でありまして、その
定款等
により、
石油業
に関する
意見
の
発表
、建議、
石油
及び
石油業
に関する
調査研究等
をその目的とするものでございます。
石油製品
のいわゆる
価格問題等
につきましては、特に
独占禁止法
との
関係
から、
石油連盟
としては取り扱い得る問題ではございませんし、現にまた全く取り扱っておらないのでございます。 したがいまして、
石油連盟
の
会長
といたしましては、
石油製品
の
価格問題等
について御
説明
をする
立場
にないということをあらかじめお断りをしておきたいと思うのでございます。
本論
に入りまして、まず、
石油産業
の五十五
年度
九月
期中間決算
について申し述べたいと存じます。
わが国
の
石油精製
、
元売り業者
は、
先ほど
申し上げました
石油連盟
の
会員会社
を含めまして現在三十四社ございますが、このうち、九月
期中間決算
が公表されている
石連傘下
の
会社
は、日石、東亜、丸善、興亜、三菱、ゼネラル、出光、共石、九石の九社でございまして、この九社の
決算
を取りまとめてみますると、大要、次のとおりのことが言えるかと存じます。 第一は、
販売数量
が前年同期に比べて一四%
減少
をしているにもかかわらず、
売上高
が同じく前年同期に比べまして四七%も増加をしていることでございます。これは一方において、本年に入ってからの
国内需要
の
減退傾向
を示しますとともに、他方、
OPEC
による
原油値上げ等
の
石油製品コストアップ要因
がいかに大きなものであったかを如実に
反映
をしているものでございます。 第二は、
石油産業
の
収益
の
不安定性
の問題でございます。この九月期、九社
合計
で二千二百九十二億円の
経常利益
を上げたわけでございますが、最近の
石油産業
の
収益動向
を見ますると、とりわけ
原油価格
が
高騰
をして、
取引金額
が膨張をいたしております
関係
上、ここ数年来
為替レート
の
変動
が年々の
為替差損益
に大きなぶれを生じさせまして、これが大きな
要因
の
一つ
となって、
石油産業
の
収益
を非常に不安定なものにいたしておるのでございます。 第三は、言うまでもないことでございますが、九月
期中間決算
はあくまでも
年度
途中における
中間的決算
であり、しかも
石油産業
の場合、公表された九社についてのものでありますから、
石油産業
の
決算状況
についてはあくまで下期を経過した後の
年度
末
決算
でその帰趨を評価をしていただきたいことでございます。 といいますのも、
石油産業
は今後下期にかけて
原油価格
の
動向
、
為替レート
の成り行き、さらには
製品市況
の
動向等
、不確定な、しかも
影響力
の大きい
コスト要因
、
収益要因
に数多く取り巻かれており、今後の
動向
については予断を許さない
状況
にあるからでございます。
石連会長
という
立場
を離れて個人的な
感じ
で申し上げますと、現在すでに
石油産業
の
経理
は瞬間風速的には
赤字基調
に陥っているものと思うのでございます。 五十五
年度
九月
期決算
について、最後に最も注目すべきは、その
決算
の
内容
と
財務体質
の問題でございます。すなわち、九社
合計
で
経常利益
は二千二百九十二億円計上をいたしましたが、その
内訳
を見ると、そのうち二千六十三億円が
ユーザンス差益
で占められておる点でございます。 申すまでもなく、
ユーザンス差益
とは
原油購入代金
の
借り入れ時点
とその
返済時点
とのずれの間の
為替レート
の
変動
によって生ずる
一過性
の
為替差益
でありまして、その性格上はなはだ不安定なものであります。現に
先ほど
も申し述べましたとおり、
ユーザンス差損益
のぶれは年々大きくなっており、このぶれが
石油産業
の
収益
を非常に不安定なものにしているわけでありますが、こうした
一過性
の不安定な
ユーザンス差益
が九月
期経常利益
のほとんどを占めておるということでございまして、
ユーザンス差益
については短期的な判断ではなく、長期的な目で見ることが必要と考えております。 また、
売上高
と
ユーザンス差益
を含む
経常利益
との
関係
を
売上高経常利益率
で見ますと、九社
合計
で三・五%となっており、データのそろっている五十四
年度
の
製造業平均
四・七五%と比べまして依然として
低位
にあるのでございます。 次に、
企業
の
財務体質
を最もよくあらわすところの
自己資本比率
で
製造業平均
と九社のそれとを
比較
をしてみますと、五十四
年度
の
製造業平均
二一・九六%に比べ
石油
九社はわずかに五・九%しかなく、実に
製造業平均
の三、四分の一にしかすぎないのでございます。
石油産業
の九月
期決算
については、その内実はきわめて厳しいものがありまして、後述をいたしますように、今後の
石油産業
に課せられた責務とビヘービアをあわせ考えるならば、
石油産業
として過大な
利益
を上げているどころか、むしろ依然として不安定な
財務状況
にあると言うべきであると
感じ
ております。 次に、
石油危機
以降の
決算状況
でございますが、九月
期決算
についてはただいま申し述べましたが、ここで従来の
石油産業
全体の
決算状況
がいかなるものであったか、またそれが今回の
石油産業
の
財務体質
にどう
影響
しているかを明らかにする一端として、
昭和
四十八年秋のいわゆる第一次
石油ショック
以降の
石油産業
全体の
経理状況
について、簡単に振り返ってみたいと存じます。 まず第一次
石油ショック
以降、一部の世評に反して
石油産業
は未
曽有
の
連続大幅赤字決算
を余儀なくされ、
全社ベース
の
赤字額合計
は、五十
年度
までの
経常損益ベース
で約二千四百億円にも達しました。五十一
年度
に入りまして、こうした巨額の
赤字経営
を背景に発動されました
石油業法
に基づく
標準価格
の
浸透
によりようやく
黒字
に転じ、引き続いて五十二
年度
も大幅な
ユーザンス差益
の
発生
などに支えられて
黒字
に
推移
をいたしたのでございますが、五十三
年度
は
製品価格
の大幅な
下落等
の
事情
によって、五十二
年度
のそれと
比較
をいたしますと約五分の一という異常な
決算
に
低落
をいたしたのでございます。 この間、
決算
上は確かに
黒字
に転じたわけでありますが、
売上高経常利益率
を見ますると、五十一
年度
は一・三九%、五十二
年度
が一・七五%、五十三
年度
は〇・三八%と、
製造業平均
がそれぞれ三・〇五%あるいは三・〇八%、三・八%という
程度
に比べまして、なお格段に低い
水準
にございます。続いて昨五十四
年度
は、五十二
年度
の
水準程度
に回復するに至りましたが、その
内訳
を見ますと、
経常利益自体赤字
の
会社
が三十六社中四社もあるなど、依然として不安定な
状況
を続けております。このように、
石油産業
は第一次
石油危機
以降、大略して非常に困難かつ不安定な
決算
の
状況
を重ねて今日に至っておるのでございます。 こうした
状況下
にあって、
石油産業
の
企業体質
は今日著しく脆弱なものになっております。すなわち、
石油産業
の
売上高経常利益率
、
自己資本比率等
の
財務比率
は、第一次
石油ショック
以前から
一般製造業
に比べて格段の
低位
にあり、たとえば
売上高経常利益率
は
製造業平均
の約三分の一、それから
自己資本比率
は約二分の一
程度
で
推移
をしてきたのでありますが、とりわけ第一次
石油ショック
を境としてさらに一層
悪化
をしまして、
期近
の五十四
年度
を見ますると、
石油産業
の
経常利益率
は一・三五であり、
製造業平均
は四・七五ということでございまして、
先ほど
も触れましたが、
企業
の
財務体質
を最もよく示す
自己資本比率
に至っては
石油産業
はわずか五・二%であり、
製造業平均
の二一・九%に比べますとわずかに四分の一
程度
にしかすぎないという
状況
にあるのでございます。 ちなみに、この
自己資本比率
五・二%を他業種と
比較
をいたしますと、自動車は三六%、鉄鋼は一三%、悪い悪いと言われる造船ですら八・六%でありまして、
石油産業
のそれがいかに惨たんたるものであるか、判然とすると思うのでございます。
石油
は現在、
わが国
一次
エネルギー
の約七五%を
供給
する地位にあり、
総合エネルギー調査会等
の答申によりましても、今後当分の
間エネルギー供給
の大宗を占めるものと見込まれております。
産業経済
と
国民生活
の基幹とも言うべきこの
石油
を、今後とも安定的に
確保
するためには、
石油備蓄
の増強、
石油開発
のなお一層の推進、さらには重
質油対策
の促進などがぜひとも必要でありますが、そのためには、これらの巨額な資金を要する
国家的事業
の
中核的担い手
とも言うべき
石油産業
に
一定
の適正な
収益水準
を
確保
せしめ、現在の
悪化
した
石油産業
の
企業体質
を
石油
の
安定確保
を果たすに足りる強靱な
体質
に改善強化することが何よりも必要であると考えるのでございます。 翻って、ここで内外の
石油情勢
について一べつをいたしますと、
世界
の
原油生産
は、本年に入りまして
OPEC諸国
の中で
減産政策
に移行した国が相次いだ結果、八月
時点
で約六千万バレル・パー・デーと昨年の
平均生産量
に比べて約四%減の
水準
となっております。 一方、
世界
の
需要
は、昨年来の
原油価格
の
高騰
や
各国
の
節約政策
の
浸透
などから
停滞傾向
が顕著となりまして、二百万ないし三百万バレルが
余剰
と言われておりましたところが、九月下旬からの
イラン
・
イラク紛争
の
本格化
に伴いまして約四百万バレルの
石油輸出
が現在停止をするに至っております。しかし、ただいま申し述べました
世界需要
の
低下傾向
、
各国
とも昨年来
備蓄水準
が高くなっていること、さらには
湾岸諸国
などが増産に踏み切ったこと等の
事情
から、
世界
の
石油需給
については一応平穏な
状態
にあるというのが
現状
かと思われます。 一方、
原油価格
につきましては、相次ぐ
OPEC値上げ
により、
わが国
の
輸入原油
の
平均CIF価格
は九月
時点
ですでに三四・六ドルと、五十三年十二月に比べて約二・五倍の
水準
に達しておりますが、現在
冬場
の
需要増
や来年以降の
原油値上がり
を見越しての
スポット価格
の
上昇等
の
事情
も出てきており、
イラン
・
イラク紛争
が長期化する様相を呈しておる
現状
において、今後の
原油価格
の
動向
については一段と懸念が持たれておるのであります。 こうした
国際石油情勢
のもとにおいて、
わが国
の
石油需要
は、昨年来の
消費節減対策
の
浸透
、とりわけ
産業界
における
石油
以外の
燃料
への転換、さらには冷夏の
影響
による
需要減
などによって、本年上期の
燃料油
の
需要
は昨年同期比約一〇%の著しい
減少
を示しております。 また、
石油備蓄
につきましては、
現有能力
いっぱいの
備蓄積み増し
が行われておりまして、九月末現在
民間備蓄
が約百四日分、これに
国家備蓄
の七日分を加えますと、
合計
約百十一日分の
備蓄水準
に達しております。 こうした
事情
から、ことしの
冬場
の
需給
につきましては、よほどの突発的な
事情
が出ない限りまず問題はなかろうと思われますが、いずれにしろ、
石油産業
といたしましては
石油製品
の
安定供給
の
確保
に今後とも最大限の努力を傾注する
所存
でございます。 御
説明
を終わるに当たりまして、
石油安定確保
の観点から一、二申し添えさせていただきますと、第一は、
わが国
はその必要とする
石油
のほとんどを
輸入
に依存をしている国でございますから、
石油
の
量的確保
をまず第一に考え、そのためには、
わが国
の
石油マーケット
を
海外
の
石油価格
が素直に
反映
をされる
市場
にするなど、
海外
から見て
日本
の
市場
を魅力のあるものにしておくということであります。換言すれば、
石油
の円滑な調達を図るためには、まず、国を挙げて
石油
の
量的確保
に全力を傾注し、その基盤の上に
価格政策
が展開をされてしかるべきものである、かように考えるのでございます。 第二は、若干繰り返すことになりますが、今後とも長期にわたって
石油
を
安定確保
するためには、
原油
の
供給源
を分散化し、
石油
の
自主開発
を一層促進するなどして
ナショナルセキュリティー
に備えるとともに、この
事業
の
中核
となるべき
石油産業
に
一定
の
収益
を
確保
せしめ、現在の
悪化
した
石油産業
を、これらの
事業
を遂行するに足る
企業体質
に改善強化することこそ、最も緊要な問題であるということでございます。
皆様方
を初め、
国民各位
の心からなるこれらの点に対する御
理解
と御
協力
とを衷心からお願いをいたしまして、私の
説明
を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
井上泉
3
○
井上委員長
ありがとうございました。 ――
―――――――――――
井上泉
4
○
井上委員長
これより、
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
狩野明男
君。
狩野明男
5
○
狩野委員
きょうは、お忙しいところ、
永山参考人
にはありがとうございました。
先ほど
の
お話
の中で、本
年度
の
上半期
における
石油企業
の
決算
について細かく
お話
がありましたが、私の手元に十一月二十日に
発表
になった九月期の九社の
中間決算
の
資料
がございますが、この
決算
を見ますと、九月期の
経常利益
は二千二百九十二億円となっておりまして、これだけを見ますといかにも莫大な
利益
を
石油企業
が上げているように見えるわけでありますけれ
ども
、その
内容
は、
先ほど
の
お話
によりますとその約九〇%に当たる二千六十三億は
原油代金
の金融上に
発生
した
為替差益
によるものであることがよくわかりました。やはりこの
資料
によりますと、五十四
年度
の
為替差損益
を見ますと、この九月期とは逆に五十四
年度
は二千九十八億という
為替差損
になっているのを見ますと、この
為替差損益
のぶれがいかに大きいかというのに驚くわけでございます。現在
円高基調
が崩れつつある
方向
にあるとも言えるし そしてまた
けさ
の
新聞
などでは
インドネシア
が
石油値上げ等
の
方向
にあるということなどを考え、
原油価格
が何となく
上昇ムード
にあり、さらにまたこの十二月には
原油
の
値上げ
が予定されている国もあるやに聞いております。 そういう中で、現在九月期の
中間期
の
石油企業
の
決算
はいかにも大変大きな
利益
があるように見えますけれ
ども
、本
年度
の下期の
見通し
などはこのままで
推移
するのかどうか、ちょっと判断できないように思うわけでございますので、この
年度
末の
決算
などについてどのような
見通し
を持っているか、具体的な御
説明
を
参考人
にお聞きしたいと思うわけであります。
永山時雄
6
○
永山参考人
ただいまの御質問にお答えをいたしますが、
お話
のとおり上期におきましては九社で二千二百九十二億円という
利益
を上げたのでございますが、これは
お話
の中にもございましたような
為替差益
がほとんどその主要な部分を占めておりまして、下半期に入りました
現状
は、これは
個々
の
石油会社
によって
大分状況
は違うと思います。御
承知
のとおりいま
原油
の
値段
は
石油会社
によって
大変ばらばら
でありまして、したがって、
損益状況
というものが
個々
の
会社
によって大変違うのでありますが、ごく大まかに言いまして、
原油
の安い
アラムコ系統
といいますか、そういう
会社
は別といたしまして、
一般
的に申しますと、私の
感じ
では現在は瞬間風速的には
赤字状態
ではなかろうか、かように考えております。といいますのは、
上半期
の終わりごろから、六、七月あたりから
原油
の
値段
が若干上がっております。それから
為替
の
関係
は若干改善といいますか、
円高
の
傾向
にあったのでございますが、これが大体行って来い、ツーペイでありまして、しかも
石油製品
の
国内
の
マーケット
の
価格
はかなり
低下
をいたしております。現在でもなお若干の
低下傾向
が続いておるというようなことでございまして、そこで瞬間風速的には、まず
月次決算当たり
をいたしますと大体マイナスの
状況
ではなかろうか。したがって、
石油産業
全体としては、上期の
石油差益
を含めた
利益
というものを下期においてある
程度
食いつぶしをしながら進んでおるというのが
現状
でございますので、さように御
理解
をいただいてよろしいんじゃないか、こう考えております。
狩野明男
7
○
狩野委員
先ほど
の
説明
の中でも触れておられましたが、最近
スポット原油価格
が非常に
高騰
の
傾向
が見られ、そして
世界
的な
石油需給
の
逼迫傾向
であるとき、
石油企業
が今後
石油エネルギー
の
安定供給
のために、
先ほど
も
備蓄
の話も
お話
しいただきましたけれ
ども
、そういうことも含めて具体的に今後どのように取り組んでいかれるか、それをお聞かせ願いたいということが
一つ
。それから今後の
石油企業
の課題として
行政当局
にどのようなことを望んでおられるか、この二点をお聞かせいただきたいと思うのです。
永山時雄
8
○
永山参考人
今後の問題でございますが、当面は、
先ほど
冒頭陳述
で私が申し上げましたように、
世界
的に
原油
の
需給
はおおむね緩んでいる。
イラン
、
イラク
の
紛争
が
発生
をいたしまして多少
状況
は変わってきておりますが、しかし何分にも、
日本
を含めまして
消費国
いずれも相当大量な
備蓄
を持っておるのでございます。したがいまして、ことしの
冬場
、当面の問題についてはまず不安はない。これまた特別な
事態
がどこかで出てまいりますれば、そういう異例な
事態
があれば別ですが、そうでない限りはまず
需給
的にいうと問題はないのじゃなかろうか、かように考えます。ただ、
価格
の問題からいたしますと、
けさ
の
新聞
にも載っておりましたような
インドネシア
がある
程度
値上げ
をするとか、あるいはところどころの
産油国
が十二月の
OPEC総会
で
値上げ
をするんだというような声も聞こえておりますし、それから何にも増して
スポット価格
がかなり上がってきておるのでありまして、したがって、
原油価格
は今後の見込みはなかなか楽観を許さないのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。 それから
行政当局
への
希望
といいますか、これは、いま
通産省
の方の御
指導
は大変きめ細かに、そして周到な
指導
をしておられるのでありまして、きわめて
事態
に即した
指導
をしておられると私
ども
は日ごろから感謝をいたしておるのでございますが、いまのような
事態
に即しまして、私
ども
も
冬場
の
灯油
を初めその他の
需要
につきましては、できるだけの配慮をいたしまして
安定確保
に
支障
のないようにいたす
所存
でございますが、それらにつきましても一層の御
指導
を受けたい、かように考えておるのでございます。
狩野明男
9
○
狩野委員
石油
の
安定供給
について大変御努力していただいているのは
先ほど
の
お話
でも十分
承知
いたしましたが、特にことしの冬の
灯油
の問題についてでありますが、まず
灯油価格
の
現状
と
見通し
について簡単に
お話
しいただきたいと思います。
永山時雄
10
○
永山参考人
灯油
の
価格
につきましては、たしか六月の末でありましたか、他の
石油製品
と同じようにある
程度
の
価格
の引き下げを
石油業界
はいたしたのでございます。ところが、その後の
先ほど
も申し上げました
市況
の
悪化
といいますか、沈滞によりましてある
程度
一般
に
石油製品
も
価格
は
低落
をいたしておるのでございます。私
ども
の損益的な
立場
から言いますと、先刻申し上げましたとおり現在はむしろ損益的には
赤字状態
になりつつあるというようなことでございまして、したがって、ある
程度
その
価格是正
をできるならばしたいというのが私
ども
の
希望
ではございますが、ただ
現状
は
需要
が
停滞
をいたしておりまして、昨年同期に比べて、
燃料油一般
に申しますと、約一〇%くらいの
需要低下
をいたしております。要するに
需給関係
は非常にだぶついておるわけでございまして、このだぶつきの
状況
からいたしますと、なかなか
是正
はむずかしいのじゃなかろうかということと、上期の
為替
の
差益
をわれわれとしては食いつぶしつつ、できるだけ下期の
安定確保
に努めていくということを目下の
考え方
にいたしておると思います。 ただ、
冒頭お話
をしましたように、
石油連盟
としては
価格問題
を扱っておりませんで、したがって、別に
石油業界
がその点について統一した
考え方
を持っておるわけではございませんし、それから
石油会社個々
にいって、
損益状況
は、かなり
原油
の高い
会社
と、
原油
を
比較
的安く入手している
会社
によって
大変違い
がありますので、その辺はばらばらでございますが、
一般
の
石油製品
の
需給状況
から考えてみて、なかなか
価格
の引き上げということは困難な
状態
で、おおむねこういう
状態
で進んでいくのじゃなかろうかと私は想像いたしておるのでございます。
狩野明男
11
○
狩野委員
灯油
の
価格
安定も非常に大切なことでありますけれ
ども
、その
安定供給
といいますか、
灯油
の
確保
も最も重要な問題であります。この点に関して、
C重油ネック
により
灯油
などの
供給
に
支障
を生ずるとの声も聞かれますが、このような事実があるかどうかお聞きしたいと思います。
永山時雄
12
○
永山参考人
御
承知
のように、
石油
は
連産品
でございまして、
灯油
を
生産
をいたしますと、自然に
重油
もある割合で出てくるという
状況
で、したがって、
灯油
の
需給関係
と
重油
の
需給関係
とが食い違ってまいりますと、
重油
の方に
余剰
が出てくるとか
灯油
に不足が出てくるとかいうような
関係
に立つわけでございます。
現状
は、
C重油
の
需要
は、
灯油
よりも一層
低下
をいたしております。それだけ
C重油
は過剰がひどいという
状況
でございますが、これは
通産省
の御
指導
もありまして、
電力会社等
もできるだけ
協力
をしていただいて
C重油
の取得をしていただいておるとか、それから
ボンド重油
と申しまして、
船舶用
の
重油
ですね、これは
外航船舶
に使うものは保税の
重油
としてそれに販売するというような道があるのでございますが、幸か不幸か
イラン
、
イラク
の
紛争
が起きてから若干
ボンド重油
の
需要
もふえてきているということから、そちらの方面にそれを振り向けつつあるというようなことで、問題がないということはない、確かに、ある
程度
C重油
が
ネック
になっていることも事実でございますが、最近においては、その
ネック
もやや軽い
状態
になってきているということで、
C重油
の
ネック
のために、ことしの
冬場
の
灯油
に非常に問題を生ずるというような
事態
は避けられるんじゃなかろうか、かように考えているのであります。
狩野明男
13
○
狩野委員
ただいまの御答弁で、
灯油
の
安定供給
は可能であると考えられますが、
灯油
の
価格
の
安定供給
は国民の関心事であり、
国民生活
の安定につながる問題であります。この
石油
、また目先に迫った
灯油
問題については、業界はもちろんのこと、
行政当局
におきましては十分な御
指導
をいただきながら、
国民生活
安定のためにひとつ御努力をいただきたいということをもう一度確認しておきたいのと、それから
石油業界
は、ほかの製造業界に
比較
して
自己資本比率
が三分の一
程度
であるというような
お話
も聞いておりますし、そのような弱い
体質
であるとするならば、今後
行政当局
におきましても十分な御
指導
をいただきたいと思っている次第であります。 最後に大臣に、今後の
石油
の
安定供給
及びこの冬の
灯油
の
確保
について、どのようにお考えになっておられるか、お答えをいただきたいと思います。
田中六助
14
○田中(六)国務大臣
石油
の
需給状況
につきましては、いま
永山参考人
からつぶさに業界としての見解をお述べでございます。多少ダブると思いますけれ
ども
、政府では、
先ほど
から申しておりますように、
民間備蓄
は多少一日か二日切れましたけれ
ども
、それでも民間と政府
備蓄
合わせまして百十一日あるいは百十日という
備蓄
をやっております。 それから
灯油
につきましては、九月末で私
ども
は六百五十万キロリットルを予定しておりましたけれ
ども
、それが八月末、一月早くその目標以上を達成しまして、十月末の数字は七百二十万キロリットルあります。したがって、
先ほど
の話にもありましたように、むしろだぶついておるというようなこと。 それから、
日本
は百十一日分
備蓄
をしておりますけれ
ども
、近くIEAの
会議
が再びパリでございまして、私
ども
も
出席
いたしますけれ
ども
、IEA二十一カ国の
備蓄
が、一カ国平均百四十日分あるんです。これを相互にプールし合おうという話はもう決まっております。そのほか中近東、サウジアラビアな
ども
むしろ減産の
方向
に行こうとしておったのを増産というようなペースを持っておりまして、それで十分賄えるという
方向
にも行っておりますし、私
ども
が心配しておりました
イラン
・
イラク紛争
によるホルムズ海峡の閉鎖というものもないわけでございまして、そういう点から、
石油
、
灯油
、あるいはその
関係
につきましては心配要らないということをたびたび国民の皆様に言明しているわけです。また、幸いに国民の皆様も非常に落ちついてくれておりまして、五十四
年度
は五%の節約を私
ども
標榜したわけですけれ
ども
、今
年度
は七%節約、これもみごとに目的達成をしております、そういうようなこと。将来の
見通し
といたしましては、私
ども
あくまで
石油
、つまり
エネルギー
の
安定供給
というものが
一つ
、それから
石油
代替
エネルギー
という項目、それから省
エネルギー
、そういう三本の柱を完遂すべく立てておりますが、これらいずれも私
ども
一生懸命やろうとしておりますし、そういう観点からすれば、現実に現在も、それから将来の
見通し
も、まあまあ大丈夫だという
方向
にあることをお伝えしたいと思います。
狩野明男
15
○
狩野委員
ありがとうございました。以上で質問を終わらしていただきます。
井上泉
16
○
井上委員長
午後二時十五分から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十一分
開議
井上泉
17
○
井上委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続行いたします。武部文君。
武部文
18
○武部委員
永山参考人
にはお忙しいところありがとうございました。
先ほど
の
お話
の中に、
石油連盟
は
価格問題
を取り扱っていない、こういう
お話
がございました。お伺いいたしますが、
石油連盟
の中に営業
委員会
というものがあると思いますが、ございましょうか。
永山時雄
19
○
永山参考人
現在はございません。
武部文
20
○武部委員 これまでに営業
委員長
が何人か在籍しておられたようでございますが、いつごろまであったでしょうか。
永山時雄
21
○
永山参考人
御
承知
の
価格
カルテルの問題について裁判問題が
発生
をいたしましたその直後において廃止をしたと記憶しております。
武部文
22
○武部委員 いま
お話
がございましたように、
価格
カルテル問題が、判決が出まして大変大きな関心を呼んでおるのであります。当
委員会
にはいままで何回か石連から
会長
にお越しをいただきまして、
円高
差益
の問題等についていろいろと御
意見
を承ったのであります。したがって、石連が
価格
の問題について取り扱っていない、こういう
お話
でございましたけれ
ども
、私
ども
はそのように
理解
をしておらないのであります。この問題は後ほどの具体的な問題を通じて明らかにいたしたいと思いますから先に進みますが、まず最初に、去る九月二十六日東京高裁が判決をいたしました例の
石油
やみカルテル事件、この判決について石連の
会長
としてはどのように考えておられるか、それを最初にお伺いをいたしたい。
永山時雄
23
○
永山参考人
独禁法違反の問題については、二つの裁判がございまして、御
承知
だと思いますが、
生産
調整に関する問題、それから
価格
カルテルの問題、この前者につきましては
石油連盟
が被告になっておりまして、御
承知
のとおりの判決でございまして、私
ども
はこれにつきましてはまずまずの評価、満足をいたしておるのでございます。
価格
カルテルの問題につきましては、
石油連盟
の問題でございませんで、これはそれぞれの
石油会社
が被告になっておる問題でございます。さように御了承願いたいと思います。
武部文
24
○武部委員 わかりましたが、
永山参考人
は
昭和
石油
の社長さんであります。あなたのところもその判決を受けた
会社
であります。社長としてこのカルテル事件についてどのようなお考えでしょうか。
永山時雄
25
○
永山参考人
価格
カルテルの問題につきましては、私
ども
は先般の判決に対して不服でございます。その意味で上告をいたしたのでございますが、これは私
ども
の主張は、あくまで、業界がつくりましたのは、
価格
に関する
一つ
のガイドライン、
通産省
が四十六年でしたか、私の記憶ですと四十六年のころだったと思いますが、そのころから始まりましたガイドラインにつきまして、新しいそのときどきの時代に即して
価格
の改定を必要とするという場合には、そのガイドラインの改定が必要でございますので、そのガイドラインの案を業界側が
通産省
に提案をいたしまして、そして
通産省
の
指導
案、ガイドラインというものを決めていただいた。そして、そのガイドラインに即してそれぞれの
石油会社
が
製品価格
の調整をしたということでございまして、要するにあくまで
通産省
の行政
指導
を仰いで、そしてそれによっての
価格
調整をしたというのが私
ども
の信念でございます。したがいまして、
生産
調整の場合といささかも実質的には変わりがないという
立場
において不服だ、こういうことでございます。
武部文
26
○武部委員 それでは、ちょっと参考までにお伺いしたいのですが、最大手の
日本
石油
は上告を断念いたしておりますが、これはどういう理由だとお思いでしょうか。
永山時雄
27
○
永山参考人
これはどうも人様の
会社
のことでございますから、私から推察して申し上げることは適当でないと思いますから、御了承願います。
武部文
28
○武部委員 わかりました。 通産大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これは後で独禁法の問題との
関係
でお伺いをいたしますから、最初に一言だけ聞いておきたいのであります。 通産大臣はごらんになったかどうかわかりませんが、文芸春秋の十二月号に、「和の倫理と独禁法の論理」という、「
日本
社会において独禁政策はどうあるべきか」という、通商産業審議官天谷直弘さんの大変大きな論文が出ました。私なりに拝見させていただきましたが、これは今回の九月二十六日の東京高裁の
石油
やみカルテル事件についての論文であります。十八ページにわたる長文でありますが、この中に書かれておることをずっと検討してみますと――天谷審議官は
通産省
の首脳の一人であります。この論点は、明らかに、アメリカの独禁法をそのままの形で
日本
の土壌に受け入れることはこれはおかしい、なじまないという言葉は使っておりませんが、その論文は、鈴木内閣の和の精神だとかいろんなことが書いてありまして、読んでみても大変文学的な表現が使ってあります。人間の大脳の動きはどうだとかあるいは「天ノ安ノ河原に八百万の神」が出たとか、いろんなことが書いてありまして、大変、どこから、そこと独禁法とどういう
関係
があるのかよくわかりませんが、私
ども
が忘れておったような八紘一宇の精神だとかあるいは南総里見八犬伝がどうこうだとか、忠臣蔵がどうだとか、それが一体どういうことなのかよくわかりませんが、そういう見解で、今日の
日本
の独禁法は誤りだ、したがってこのカルテル判決は行き過ぎだ、こういう意味の論文が
通産省
の首脳として書かれておりますが、一体この判決について通産大臣はどのようなお考えを持っておられるか、最初にこれをお伺いしたい。
田中六助
29
○田中(六)国務大臣 天谷論文なるものは、私、実は読んでいなくて、
けさ
ほどこういうものがあるんだということを知らされたわけでございますけれ
ども
、彼の論点は、私は前々から、数年前から何となくわかっておると思うのですが、彼は、それぞれ風土というものがあって、独禁法に限らず法律というものはそこから生まれ育つものじゃないかというような考えを持っておることは知っております。したがって、そういうような考えにライトを浴びせておるのではないかと思います。 私も、法律あるいはそういう
一つ
の
関係
というものはその環境によっていろいろ変化していく、国情によって違っていくのは当然だと思っておりますし、御
承知
のように独禁法はアメリカのシャーマン法というのが原典でございまして、これは三条から成るものです。それから、西ドイツ、つまりドイツで育ったと思っております。つまり自由主義諸国で生まれ育った法律でございまして、これは御
承知
のように占領政策の一環として
日本
に実施された法律でございます。したがって私は、
日本
の風土、国土になじまないのじゃないかという趣旨が多分天谷審議官の頭に去来しておったと思います。まあとやかく申しませんがそういうことではなかったかと思いますが、私は、独禁法そのものは
日本
に定着しつつありますし、あっていいのじゃないかと思いますし、寡占、独占というものも自由主義経済にむしろ反するのではないか、自由主義経済を維持するためにもそういうルールづくり、環境づくりにとってはいいのじゃないかというふうに思っております。 それから今回の判決についてでございますけれ
ども
、やはり三権分立という
立場
から見ますときに、私
ども
立法、行政に携わっておる者がそういう判決をとやかくいろいろ批判すべきかどうかということを私は常々疑問に思っておりますし、いまの
立場
で、まだ裁判が一応結論が出たとは申せ係属の
方向
にいっておりますので、私の見解は差し控えたいと思います。
武部文
30
○武部委員 お読みになっておらないようでございますからこれ以上のことは申し上げませんが、いまの大臣の答弁はいささか天谷論文とは
内容
が違うようであります。 かつて大臣は商工委員を長くやっておられましたので、私はあなたのこのカルテル事件後の
新聞
記者とのやりとりの言葉を報道を通じて知りました、これをきょうは聞きたかったのですが、時間がなくなれば困りますので、最初に
一つ
だけお聞きをして、もし時間があれば大臣がカルテル事件の判決の後お述べになったことを取り上げて見解をただしたいと思います。 大臣は、いままで商工
委員会
でしばしば独禁法のことについて触れておられます。たとえばここに議事録がございますが、「公取はいつも
通産省
の言い分に負けて追従しておるというような印象さえ受ける」また「常に
通産省
は、行政
指導
だということからやっておるのでしょうが、それにはみ出したような印象を受ける。」また「
生産
数量の調整を何らかの形でこれを協定したり共同行為によって行なって、実質的に競争がその業界で制限されておるならば、これはやはり問題があると思う」、
昭和
四十一年三月四日、商工
委員会
で田中大臣の委員としてのこういう発言があります。こういう態度をおとりになってきたということを私
ども
は
承知
しておるのであります。ところが、今度のカルテル判決が出た後の大臣の談話あるいは衆議院の商工
委員会
における私
ども
の同僚委員の質問に対してのお答え、いささかこの
昭和
四十一年当時の商工
委員会
における発言と違っておるのであります。この点については疑問に思いますから、
先ほど
申し上げますように、時間がもしございましたらそれに触れますから、これで次に進ましていただきます。 そこで、お越しをいただきました
永山参考人
にお伺いをいたしたいのであります。
先ほど
の質問を聞いておりまして具体的な数字が出ておりました。お伺いをいたしたいのでありますが、時間の
関係
がございますから私が申し上げますから、間違っておれば訂正してください。
経常利益
、五十五年上期、元売り七社で千七百十四億円、十三社では二千八百十五億円、こういう数字になりますが、間違いございませんか。
為替差益
、五十五年上期、元売り十二社で二千八百九十億、元売り六社では二千百三十億という金額になります。 そこでお伺いしたいのは、業界全体で
経常利益
はどのくらい上期としてありましょうか、
為替差益
として業界全体では上期にどのくらいの数字になるでしょうか、これをちょっとお伺いしたい。
永山時雄
31
○
永山参考人
私がここで持っております
資料
ではっきりいたしておりますのは、五十五
年度
上期につきましては、
石油会社
、日石以下その他全部で九社の
経常利益
が二千二百九十二億でございます。そして、その中に
為替差益
二千六十三億が含まれておるということでございます。
武部文
32
○武部委員 数が違いますから金額もどうしても違ってくるのですが、私の方は九社ではなくて十三社を調べておるわけであります。それから二千六十三億とおっしゃいましたけれ
ども
、われわれは十二社で計算をしておりますから、そこの間には違いがあります。これはやむを得ません。いずれにしても
経常利益
が膨大であることは
先ほど
お認めになったとおりです。
差益
の問題は何かちょっと
考え方
が違うようですから、これは後で
お話
をしてみたいと思います。 いずれにいたしましても、九月の上期の
決算
において大変な金額が出た、これは報道を通じて国民の前に明らかになったのであります。
日本
石油
は
経常利益
で前年同期に比べて十一・六倍という
利益
を上げておるのであります。 そこで、これから具体的にお伺いをいたしますが、
原油価格
の
推移
を見ますと、五十三年十二月から五十五年八月までの間に七回
OPEC
が
値上げ
をしております。七回
値上げ
がありまして、その総計は十七・三ドルになります。五十三年十二月に十二・七ドルであった
原油価格
が、ことしの八月で三十ドルになっておりますから十七・三ドルの値上がりであります。ところが
石油
の元売り
会社
の
値上げ
を見ますと、五十三年十二月からこの
OPEC
の
値上げ
に付随をしてたびたび
値上げ
をされております。通算八回、平均して四万七百七十円という
値上げ
であります。値下げか一回あります。これはガソリンとそれから中間留分で千三百円から三千円です。民生用
灯油
は五百円から千四百円までばらばらでありますが、一回だけ値下げをしておられるわけであります。
OPEC
の
値上げ
が七回、
石油製品
の
価格
は八回
値上げ
、金額は一々申し上げませんが、平均して四万七百七十円という
値上げ
になっておるのであります。こういう莫大な
利益
が出た理由は一体どこにあるか、
先ほど
ちょっとお触れになっておりましたが、もう一回
説明
してほしいと思います。
永山時雄
33
○
永山参考人
武部先生の持っておられます
資料
と私の
資料
と若干違いがありますので少しかみ合わない点があると思いますが、大綱観察からいたしますと余り変わりはないはずだと思います。 私の調べでは、
原油
のCIF
価格
は、五十三年の十二月、つまり
イラン
政変の直前でございますが、それと五十五年の九月と
比較
をいたしますと、二・八倍になっております。しこうして製品の方は、若干ばらばらでございますが、
燃料油
全部で平均をいたしまして二・五倍。この中にはそれぞれ
石油製品
いろいろございますから、製品の種類によって若干ずつばらつきがありますが、
燃料油
総平均をいたしますと二・五倍というような
状況
になっております。
武部文
34
○武部委員 金額はちょっとかみ合いません。しかしこれは大事なことです。きょうおいでいただきましたのは、そういう点をお尋ねしたいと思っておいでをいただいたわけで、かみ合わないのはちょっとぐあいが悪いわけですから、それでは具体的なことでこれからお伺いをしてみたいと思います。
先ほど
お話
がございました中に
ユーザンス差益
二千六十三億ということをおっしゃいました。これは
一過性
であって大変不安定だからという話がございましたが、いままでわれわれが当
委員会
に何回か
石油連盟
の
会長
さんにおいでをいただきましていろいろやりとりをいたしましたときに、
ユーザンス差益
というものは
差益
ではないというようなことは一音も出ておらないのであります。また
一般
の国民から見て一体仕入れ
差益
と
ユーザンス差益
を区別して国民の皆さんが考えるでしょうか。仕入れ
差益
と
ユーザンス差益
とは、なるほど若干の
内容
は違いますが、
差益
として、
利益
として
石油
元売り
会社
に入ってくるということは間違いない。しかるに、この
ユーザンス差益
を
円高
差益
と見ないという
意見
が
石油連盟
の大手の中にあるようでありますが、これについてはどうお考えですか。
永山時雄
35
○
永山参考人
お話
のように、
ユーザンス差益
も
会社
としては
利益
でございまして、これを含めて経常損益というものが出るわけでございますが、ただ、営業活動から出てまいります
利益
と
ユーザンス差益
とでは性質が非常に違うことは、これは武部先生御
理解
をいただけると思うのです。要するに、
ユーザンス差益
は
為替
相場の上下によって出てまいるものでありまして、今回の二千六十三億の
為替
の
差益
も、要するにそれだけ
円高
によって出てきたものでございます。相場のことですから、円が高くなればその次にまた必ずや円安になってくるのでございまして、したがって、この
差益
をとかく世間では、要するに営業の努力によって出てきたものでないからそれを還元をすべしというような議論を私
ども
は聞くのですけれ
ども
、しかしそれは必ず円安というものが反面において出てくるわけでございますので、したがって
円高
差益
が出てきたら必ずこれを還元するという議論は私
ども
には
理解
ができないということで、要するに
円高
差益
だからといって特別な扱いをするということは適当でないのじゃなかろうか、こういうような判断をいたしております。
武部文
36
○武部委員
円高
差益
を還元しろということが
理解
できないという御答弁でございますが、私はむしろそのことについて
理解
できないのであります。還元にはいろいろ方法があります。たとえば
価格
の据え置きもあるでしょう。値下げもあるでしょう。いろいろな形があるはずです。それを、
ユーザンス差益
は仕入れ
差益
と違う、だからこれは還元する必要はないとかいうような御
意見
が大手の中にある、
石油連盟
の中にもそういう
意見
があることをわれわれは
承知
しておるのであります。それならば、
日本
石油
あたりは前期に比べて十一・六倍の
利益
を上げておるわけですが、国民の側から見れば非常に高い
石油製品
をわれわれは買わされておる、そして
石油会社
はこれだけの
利益
を上げておる、だとするならば、国民の側から見れば製品の値下げを要求することは私たちは当然だと思うのです。そういう中で、
先ほど
お述べになった具体的な数字は言いませんが、これだけ莫大な
利益
を得た
石油連盟
、元売り
会社
としては、この
利益
をどうしようとしておられるのか、それをひとつお述べをいただきたい。
永山時雄
37
○
永山参考人
五十五年上期のただいまの数字が大変な
利益
であるかどうかということが、若干私の
理解
と武部先先の御
理解
とで違うように思います。 たとえば、武部先生は日石の
利益
をつかまえまして過去の十何倍かというような
お話
でございますが、確かに、昨年と比べれば倍数からするとかなり高率な結果になってはおるのでありますが、今期の五十五年上期の
利益
自体をとりましても、
売上高
に対しての
経常利益率
からいたしますと、たしか三・六%くらいでしたか、というくらいの
利益
になっているのじゃないかと思うのです。それで、製造業の
利益
が
一般
的に言いますと、これもその年々の景気不景気によってかなり違いがあるのですけれ
ども
、大体三%から六%、最近のところではそのくらいのところでございます。 ところが、
石油産業
は従来からこの
経常利益率
も非常に低い、大体一%台。それから製造業が三%という、製造業としては非常に低いような年、それは第一次
石油ショック
直後でございますが、そのときは
石油産業
は〇%だとか赤字だとかいうようなことでございまして、元来が非常に低いのです。それでその結果、先刻
冒頭陳述
で申し上げましたように、
石油会社
の
自己資本比率
というものが非常に低くなって、したがって、これから
石油会社
としては
石油開発
だとか
備蓄
だとかいろいろやらなければならぬことが山積をいたしておるのでありますが、その重い責任を果たしていくには非常に弱い
体質
になっている。これらの重責を遂行していくに足りる
経常利益
を上げていきたいというのがわれわれの悲願でございまして、その
立場
からいたしますと、必ずしも五十五年上期、今期の
利益
はそれほど高いというようには私は判断をいたしていないのでございます。
武部文
38
○武部委員
先ほど
申し上げましたように一年間に八回
石油製品
が
値上げ
になっておる。この
値上げ
を見ますと、円安部分もこの中に含まれておる、このようにわれわれは
理解
をしておるわけです。八回の
値上げ
、具体的に金額はここにございますが、これは当時確かに五十四年の九月ごろから円安
傾向
になりまして、五十五年の四月ごろまでは円安が続きました。五月から急騰して今度は
円高
になったわけですから、それまでの間の
値上げ
の金額を見たり
内容
を見ますと、円安が
値上げ
の中にちゃんと入っておる。だとするならば、
円高
になれば当然その金額というものを製品の値下げに使うべきだ、こういうことはだれもが考えるんじゃないでしょうか。そういう意味で、あなたは大した金額でないとおっしゃるけれ
ども
、二千数百億、私
ども
から見れば、大体
上半期
で全部の業界で約四千億円ぐらいあると思います。一説には年で一兆円と推定できるという
意見
がございますが、われわれの計算では半期で
石油業界
は約四千億
程度
の
利益
を上げておる、このように見積もっても決してこれは多額ではないと思います。 そういうことを考えたときに、今日円は二百十円そこそこでありますが、そういう高いところにあるわけです。確かに不安定と言われればそうでしょう。しかし、先のことはだれもわからない。一体いつ、どのぐらい安くなるかということは、あなただって私だってわからない。そうなってくると、一説にありますように、
円高
の
利益
というものは別な勘定に積み立てて国民の皆さんから一目瞭然わかるようにすべきではないかという
意見
があるのです。これは河本企画
庁長官
の持論でありますが、われわれとやりとりすると、企画
庁長官
はそういう発言をされる。少なくとも
円高
差益
というものは不労所得だ。これはわれわれ何回かここでやりとりして、瓦斯協会の
会長
は反論しておられましたけれ
ども
、これは労せずしてふところに入るわけで、別に皆さんが努力されて入ったものじゃない。
為替
変動
相場制で入ってくるわけですから、そういうものが何千億あるということになれば、国民の側から見ればこれは不労所得である。当然それを製品の値下げなり還元すべきがあたりまえじゃないかということになると思うのです。円が安くなって損をしたといえばすぐ製品に転嫁をして八回も上げるのですから、そういうことを考えるのは国民感情として私は当然だと思うのです。だとすれば、
円高
を皆さんの方では別勘定にして、これだけの
円高
差益
がございますということを国民の前に明らかにする、そういうお考えはありませんか。
永山時雄
39
○
永山参考人
石油製品
の
価格
の改定は、
お話
のとおり八回ほどあったのでありますが、これは
原油
の
値段
が上がりますと、それに応じましてある期間を置いて
価格
の引き上げをするということで、その都度これは
通産省
がウォッチシステムといいますか、
価格
が行き過ぎないように、適正なところにとどまるようにという意味でチェックをしておるのでございまして、その
通産省
のチェックを受けて
価格
の引き上げを
是正
をする。その場合に当然
為替
の問題、
為替
の相場というものを
通産省
としては観察して、そしてそれを考慮して
価格
の改定をしておるというようなことになっておるのでございます。 それで、
為替
の
差益
につきましては、先のことですから、
お話
のとおりよく推測がつきませんで、そこで
為替
の
変動
があれば
原油
の
価格
を込めて
価格
の改定をしてきているというのがいままでの実情で、その意味で
為替
の相場というものもいままでの
価格
の中に、それはそれなりに
反映
をされておるということに考えていただいていいんじゃなかろうか、こう思うのですね。 それから、
為替
の
差益
については別途に積み立てをしておいて、そして一方において
為替
が安くなってきたときにそれを運用するというお考えは、これはなかなかむずかしい問題がいろいろあるようですが、私個人としては、むしろそういう制度が適当じゃないか。
石油
については、御
承知
のとおり非常に
為替
の
影響
を受けやすい産業でございますし、いまの
変動
相場制のもとにおいては、
為替
の
変動
というものは避けられないことでございますし、それからまた、現在のような制度でいきますと、
為替
の
差益
でも普通の
一般
の
利益
と同じように見られて、そして税金を課せられるわけでございますから、そういうようないろいろな意味を込めて、やはり私は別途にある期間積み立てをしていって
変動
に備えるということは、それはそれなりに
一つ
の合理性を持っているんじゃなかろうか、こう思うのです。 しかし、
現状
においてはそういう制度になっておりませんので、そこでやはりわれわれとしては、
会社
全体の
利益
、損益という
立場
で事を判断をするということにならざるを得ない。そうなりますと、なるほど上期では御
承知
のような
利益
が一応出たのでありますが、
会社
の損益というものは一年
決算
でございますから、下半期の問題というものを見ないと、
利益
なら
利益
がそれで確定をしたということにはなりません。現に
現状
を見ますと、
上半期
と違って下半期は、これは
会社
によってそれぞれ
原油
の
値段
の高低がありますからさまざまでありますが、総じて言いますと、現在はむしろ瞬間風速的な損益は
赤字基調
ではなかろうか、私はこういうように考えておるのでございまして、したがってその意味で、
為替
の
差益
が二千億何がしかあったからそれをすぐ値下げをして還元をするというような議論がとかくあるのでありますが、それにはくみすることができない、こういう意味で申し上げたのでございます。
武部文
40
○武部委員 通産大臣にちょっとお伺いいたしますが、いま
永山参考人
とやりとりしたわけですが、現実に大幅な
黒字
が出ておる。
会社
の方じゃ、大した額じゃないとおっしゃっておるけれ
ども
、国民から見れば大変な額だと思うのです。そういう
利益
をめぐって、
円高
差益
は国民に還元しろ、値下げをしろ、あとで
灯油
の問題を申し上げますが、そういう
意見
が出てくるのは当然だと思うのです。
先ほど
ちょっと触れましたけれ
ども
、電力
会社
あるいはガス
会社
、
石油会社
いずれも何回か、
円高
差益
の還元問題をめぐってやりとりしているわけですから、大臣も御
承知
だと思いますが、現在の元売り
会社
の
利益
、そして現在の
価格
、国民の感情、そういうものから見て、大臣はこの
価格
について一体どういうふうにお考えになっておるか。 この間
新聞
に出ましたように、最大手の
日本
石油
は販売店に三十億円のボーナスを支給したという記事が出ておる。日石だけじゃない。日石はそういうことをやったが、他の
会社
は大体毎回の
値上げ
のときにそんなことをやっているのだというようなことを
日本
石油
は弁解しておったようでありますが、こういう
利益
とそれから
価格
ということについて、大臣はどういうふうにお考えですか。
田中六助
41
○田中(六)国務大臣
市場
メカニズムから申しますと、
利益
があったり損失があったり、そういうようなことは当然あることでございますし、もうけたから直ちにそれをばらまくというようなことはどうかというふうに考えております。特にその
利益
があった分が
円高
によるとか、特殊ないろいろな
事情
によるというようなことになりますと、また特殊な
事情
の変更というものもあるでしょうし、いずれにしても大きなぶれがあるというようなこと、そういうのを考えますと、やはり直ちにそれに即応して国民感情がどうだからどうということは、十分考慮しなければなりませんけれ
ども
、
市場
メカニズムあるいは将来の不透明な要件というものが感知される限り、そこは慎重にあらねばならないというふうに考えます。
武部文
42
○武部委員 円安になって損失が出てくると、すぐ
製品価格
に転嫁をして円安の損失は直ちに埋めてしまう。そういうことをやりながら、片一方で
円高
が出たら、そのものは販売店の系列
会社
にボーナスだ。こういうことで、
内容
が全然わからない。では、原価計算の
内容
はどうだと言っても、
石油会社
の原価計算の
内容
が私
ども
に
理解
できますか。そういう
資料
だって全然出てこない。そうなってくれば当然、円安で損をしたことを認めますよ。円安になれば当然そうなんですから。しかし、そのものはすぐ製品に転嫁されて、一年に八回も
原油
が値上がりしたからといって、みんな便乗して
値上げ
しておるじゃありませんか。後で
灯油
の
価格
を言いますから、そうすればどれだけ差があるかということをおわかりいただけると思いますが、そういうことをしておるのですから、
円高
になって
ユーザンス差益
と仕入れ
差益
はこれだということは一目瞭然出てくるわけですから、そのものを河本長官が言うように別途勘定に積み立てて、国民の皆さんの前に一目瞭然、
為替差益
はこれだけのものがちゃんと積み立ててあるということがわかるような仕組みをとったらどうだという提言が
物価
の
委員会
であったんですよ。これも
一つ
の
考え方
だと私は思うのです。そういう点について、通産大臣はどういうお考えでしょうか。
田中六助
43
○田中(六)国務大臣 いま御指摘のように、河本長官の発言は
一つ
の方法であるというふうにおっしゃっておりますが、私もそれは
一つ
の方法だと思います。いろいろな方法があると思います。その中の
一つ
の方法ではないかと思います。
武部文
44
○武部委員 時間が来ますので、それでは具体的な問題でお尋ねいたします。
先ほど
も
灯油
の問題が出ておりましたが、これからいよいよ
需要
期に入ってくるわけでありまして、民生用
灯油
というのは
国民生活
にとって欠くことのできないものでありますから、大変関心が高いのであります。 そこで、
灯油
の
価格
でありますが、私の手元に調べた
価格
がございますからこれを申し上げますと、総理府統計局の十月の小売、これが千五百八十円であります。それから、
新聞
社の
調査
によります
価格
を見ますと、同じ十月で千三百八十六円から千六百八十円という若干の開きがありますが、平均して千五百四十円であります。通産モニターの東京での十八リッターの一かんの金額は千五百九円であります。こういう金額になっておるのでありますが、
日本
銀行の
発表
によります
灯油
の卸売
価格
、これと
原油
のCIF
価格
と
比較
をしてみたわけです。そういたしますと、五十四年一月の
原油
のCIF
価格
は、キロリッターで一万七千五十九円であります。それが先月の五十五年十月には四万五千四百二十七円になっています。したがって、五十四年の一月から五十五年十月までの間に、CIF
価格
はキロリッター当たり二万八千四百円の値上がりになっておるのであります。 この
日本
に入ってきた
原油
が
灯油
になって出てくるときにどういう金額になってくるか、これを
調査
いたしますと、これは
日本
銀行の
調査
でありますが、
灯油
の卸売
価格
は、CIF
価格
が一万七千五十九円であったときに二万八千七百八十九円であります。先月の五十五年十月には、
灯油
の卸売
価格
は六万七千七百五十六円になっています。同じ期間中にキロリッター当たり三万九千円の
値上げ
になっておるのであります。 数字をべらべら言ってもなかなかおわかりにくいと思いますが、これを私が何で言うかといいますと、五十五年十月の
原油
のCIF
価格
は四万五千四百二十七円なのに、これが精製されて
灯油
となって卸売
価格
になったときには六万七千七百五十六円になる。その差は二万二千三百三十円にもなるのです。このCIF
価格
から
灯油
の卸売
価格
になっていく過程の二万二千三百三十円という金額は、一体どういう
内容
を持っておるのでしょうか。
石油製品
を一キロリッターつくるためにかかる総コストは幾らか。これは電力の査定をするときに、当
委員会
でいろいろやりとりしたときに出てきた数字であります。それを見ますと、税金とロスと自家消費で約五千円、精製費が二千円、販売管理費が三千円、金利が二千二百円という
説明
がございました。したがって、これは約一万二千円になるわけであります。CIF
価格
からこれだけの税金や精製費や販売管理費やあるいは金利一万二千円を引いてみますと、これでもなお一万円以上の差が出てくるわけであります。 この一万円を国民に返す、値下げをするということになると一体幾らになるか。十八リットルかんで一かん百九十円は下げられる数字が計算で出てくるのであります。一体、CIF
価格
と
灯油
の元売り
価格
との間に何でこんなに大きな開きがあるのでしょうか。それは恐らく販売手数料だ、金利だ、いろいろなことをおっしゃるけれ
ども
、それは一万二千円で済むのです。あとは全部
利益
じゃありませんか。そういう点で百九十円一かん当たりで下げられるということを私
ども
は指摘をしたいのですが、いかがでしょうか。そういう点について石連の方としてはお考えございますか。あるいは
通産省
としてどういうお考えでしょうか。これをお伺いしたいのであります。
志賀学
45
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。 私
ども
五十四年の一月以降、元売り仕切り
価格
の改定に際しまして各社からコストアップの
要因
がどうか、あるいは円レートの見方がどうであるか、そういった点につきましていろいろヒヤリングをいたしましてチェックをしてまいっておるわけでございます。先生ただいまいろいろ数字をおっしゃったわけでございますけれ
ども
、全般的に申しますと、
イラン
政変前の五十三年の十二月の
石油
のCIF
価格
と最近の十月のCIF
価格
の伸び率が約二・七倍ということになっております。それに対しまして卸売
価格
の上がりは、
灯油
で申しますと大体二・四倍ということになっているわけでございます。小売
価格
につきましても同様に、CIF
価格
の上がりに比べまして低い数字にとどまっておる。こういう点から申しまして、総じて申しますと、現在の
価格
のレベルというものにつきまして、いわゆる便乗的な
値上げ
があったのではないかという点について、私
ども
としてはそういった要素はなかったのではないかというふうに思っておるわけでございます。 そこで、CIFが上がるわけでございますけれ
ども
、同時に、その場合に
石油
税、そういったような付帯費用というものも当然ふえてまいります。それから
価格
が上がってまいりますと、調達金額、手当てをいたします資金というのがふえてまいります。それに従いまして金利負担もふえてまいります。あるいは精製費の問題であるとかロス率の問題とかいろいろな要素が実はあるわけでございまして、単純にCIF
価格
の上がりだけを取り上げまして考えますと、必ずしもその実態にそぐわない面が出てまいります。CIFが上がりますと同時に、それに伴って上がってまいるそういった費用がかなりあるということでございまして、いずれにいたしましても、私
ども
の判断といたしましては、全体的な判断として、最初に申し上げましたように、現在のCIF
価格
の上昇ぐあい、あるいは卸売
物価
指数、あるいは小売
物価
指数、そういった動きから判断いたしますと、いわゆる便乗的な引き上げがあったというふうには考えていないわけでございます。
武部文
46
○武部委員 いやいや、私が言っているのは具体的に言っておるのですよ。別にCIF
価格
や卸売
価格
を架空な数字を言っておるのじゃないのです。卸売
価格
は
日本
銀行の
調査
の
資料
によって出ておりますし、CIF
価格
は通産の通関ベースで出ておるのですから間違いないのですよ。ですから、たとえばCIF
価格
がキロリッター当たり四万五千円で先月十月入ってきたものが、自家消費とか精製費とかいろいろなことで一万二千円かかる、それは総コストだ、一キロリッターつくるためにはこれだけコストが要るんですよということは、
通産省
が
説明
した数字なんですよ。それをこれに加えたところで五万七千円にしかならぬじゃないか。それが何で卸売
価格
に六万七千七百五十六円という数字になって出てくるのか。そうすれば一万円以上差があるじゃないか。だからこれを十八リッターで割ったら百九十円になるのだ。百九十円が高かったら百八十円でもいいですよ。そういう点について
通産省
はそこまで検討しておられますか。私が言いたいのはそこなんですよ。総コストはあなた方がおっしゃった金額なんですから、私はそれをここへ書いておるだけのことですから、そういうことでCIF
価格
と卸売
価格
との間に余り差があり過ぎるじゃないか。ですから、これだけ
利益
を上げておるなら、そこへメスを入れて下げたらどうですかということを言っておるので、それを間違いなら間違いと言ってください。それでいいのですから。
志賀学
47
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生から三万九千円という
お話
がございました。五十三年の十二月から最近の十月までの販売
価格
の動きに対応いたします
原油
のCIFを考えます場合には、大体通関いたしましてから一月で製品になるということで、一月ずらして計算を仮にしてみますと、すなわち五十三年の十一月から本年九月までということで、
原油
のCIF
価格
の増加額について計算をいたしますと、大体一キロリットル当たりCIFの値上がりは三万二千円ぐらいということになります。そういうことで、三万九千円に対応するCIFの値上がりというのは約三万二千円と私
ども
としては考えております。
武部文
48
○武部委員 私はあなたの
説明
で納得できません。時間がございませんから、それでは改めてやります。 そこで、
灯油
でありますが、五十三年八月から五十四年七月、ですから去年の七月までの使用量、金額、それから五十四年八月から五十五年七月、すぐこの間のことです、その間を
比較
した統計があります。確かに量は減っているのです。使用の量はみんな、省エネで、また暖かかった
関係
もありましょうか、減っておるのに、金額だけはべらぼうにふえておるのです。これを見ますと、五十三年に全国で六百六十三リッター使っておるものが五十四年には六百五十四リッター。若干減っています。ところが金額は逆に、五十三年で全国二万一千五百六十二円であったものが、五十四年には四万八百七十一円、一八九・五%もふえておるのであります。こういうふうに、量は減ったが金額はべらぼうにふえておる。これは
灯油
を使うところにとっては大変なことなんです。特に北海道は、量も減っておりますが、金額は、五十三年に六万二千百二十六円であったものが、五十四年には十一万九千八十四円、実に一九一・七%、大変な支出増になっている。東北地方も、調べてみますと、一七四・九%も金額がふえておるのです。それほど家計の支出の中で
灯油
の占める割合は大きいのです。ですから、
灯油
の値下げを求める声が強く出てくるのは私は当然だと思うのです。そういう意味で、これだけの
黒字
が出た業界として、八回も
値上げ
をしておられますが、値下げは、民生用
灯油
についてはたった五百円から千四百円ぐらいしか値下げしてないじゃありませんか。そういうことを考えたときに、今度の
決算
を機に
灯油
の
値段
について、業界も
通産省
もこの問題について真剣に取り組んでもらいたいというのが私の要望であります。 ですから、時間の
関係
でこれ以上のことは具体的に述べられませんが、特に
差益
の問題については、
ユーザンス差益
は別な問題だとかというようなことは通用いたしません。少なくとも、一歩下がっても、そういう
差益
は別途勘定に積み立てて国民の皆さんに明らかにするように。そうでないと、差損のときにはいいかげんなことにしてそれを消化して、
差益
のときもまたいいかげんなことにして消化するようなことは許されません。だから、そういう点についてきちんとした
指導
を
通産省
にもお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。 時間が参りましたから、私は最後に独禁法のことについて若干触れて、終わりたいと思います。 独禁法の問題は、判決全文がまだ手に入りませんが、判決の
生産
調整と
価格
カルテルの具体的な問題については私
ども
の手元に、
新聞
を通じてはっきりいたしました。そこで、この判決を見ますと、これは明らかに
通産省
の行政
指導
があった、行政
指導
を受けてやったのだ、こういうことが判決の中にございます。 そこで、時間がございませんから要点だけ申し上げたいと思います。
価格
カルテルは、
値上げ
の金額、時期、このことについては業界の代表者に対して
通産省
が了承したということが認められるという判決
内容
があります。また
生産
調整についても
通産省
の容認のもとに行われた、いわゆる
通産省
の担当官がこの問題に深く関与しておるということが言われておるのでありますが、
通産省
はこのことについてどういうふうにお考えでしょうか。それをお伺いしたい。
森山信吾
49
○森山(信)政府委員 ただいまの
石油
カルテル判決につきましては、
生産
調整と
価格
カルテルと両方ございまして、前段の方は無罪になったわけでございますけれ
ども
、その中に示されました司法当局の
一つ
の見解を私
ども
は冷静に受けとめておる次第でございます。これは、いま武部先生御指摘のように、
通産省
が行政
指導
に関与したのではないかという御指摘、まさにそのとおりでございまして、私
ども
は行政
指導
を行ったわけでございます。その行政
指導
のあり方につきまして司法当局からの見解が出ておりますので、その見解を十分尊重して対応したい、かように考えておる次第でございます。
武部文
50
○武部委員
生産
調整については無罪の判決がございました。これは業界に違法性の認識がなかったから無罪だ、こういう判決になっておるのであります。ということは、裏を返せば、これは
通産省
の行政
指導
を糾弾したことになると思うのです。受けた方はそういう認識がなかったんだから無罪だ、しかしそう言うということは、やった者が悪いんだということになるのですから、そういう意味では、やはり通産の行政
指導
が厳しく糾弾されておると
理解
しなければならぬと思いますが、それでよろしゅうございますか。
森山信吾
51
○森山(信)政府委員 判決の要旨を見ますと、
通産省
がその任務遂行のため
生産
計画に関し行政
指導
を行うことは
一定
の限度で許容されるということでございまして、完全な意味ですべて行政
指導
が許容されるわけではなくて、
一定
の限度で許容される、こういう判決があったわけでございますので、
先ほど
申し上げましたように、私
ども
の行政
指導
のあり方につきましても
一定
の限度ということを十分踏まえた行政
指導
を行いたい、かように考えておる次第でございます。
武部文
52
○武部委員
事業
者団体を通じて行政
指導
する場合は問題だが、個別
指導
ならば問題ではないという発言がこの判決が出た後
通産省
の幹部の口から出ておるようでありますが、個別
指導
ならば何でもできる、個別
指導
ならば行政
指導
は認められるというふうに御
理解
でしょうか。
森山信吾
53
○森山(信)政府委員 個別
指導
ならすべてよろしいという判断を私
ども
はしているわけではございませんで、
先ほど
の判決をよく読んでみますと、個別
指導
の中にも画一的な個別
指導
は独禁法上問題があるという趣旨の判決がございますので、個別
指導
であっても画一的な、つまり具体的に申し上げますと、
生産
を五%削減するということを個別に
指導
すればそれは独禁法に抵触するという趣旨に解釈いたしておりますので、個別
指導
のあり方につきましても弾力的な、つまり画一的でない個別
指導
を要求されておる、こういうふうに認識をいたしておる次第でございます。
武部文
54
○武部委員 この問題は大変重要な問題を含んでおりますが、判決全文が手元に入りません。したがって判決の要旨だけでいまいろいろやりとりしてもどうかと思いますが、もう時間が来ましたから、私は
一つ
だけ最後に申し上げておきたいと思います。
通産省
が、業者の団体を通じて行政
指導
するためにいろいろな会合に
出席
をしておる、これはやはり避けるべきではないかと思うのです。たとえば十月十一日の「東洋経済」に出ておりますが、高炉メーカーの販売担当員と
通産省
の業務課長が鋼材倶楽部で毎週「月曜会」という会を持って、そして、そのときどきの
需給
事情
全般にわたって情報を交換して、
通産省
はこれに基づいて四半期ごとの鉄鋼の
需給
見通し
を立てるとか、あるいはこの間ちょっと申し上げましたけれ
ども
、省エネの通達が出ると直ちに紙業課長が紙パルプを集めて、その席上に行って、休暇をとって休めというような行政
指導
をやっておる。したがって一週間もだっと休むものだから、減産をして
価格
は高値のまま安定していく、こういうことが随所に行われておる。これは私は
通産省
の組織法のどこから出てきたかわからぬけれ
ども
、そういうようなことがやたらに行われておる。これはやはり避けるべきだと思うのです。 そういう意味で、行政
指導
と独禁法との兼ね合いというものは非常に微妙であります。したがって、いまここで結論は出ませんが、いずれにしても判決全文が出れば、
通産省
の行政
指導
が独禁法上一体どこまで許されるか、
一定
の限度とおっしゃるが、
一定
の限度とは一体どこなのか、いまの
石油業法
でそれじゃそれが許されておるか。
石油業法
から言えば勧告することができますね。
価格
を設定することができます。それをやらないで行政
指導
だけで行われておる、ここに私は問題があると思うのです。そういう点についてまた改めてやることにいたします。もう時間が参りましたから、これで終わりたいと思います。以上です。
井上泉
55
○
井上委員長
長田武士君。
長田武士
56
○長田委員 本日は、
参考人
といたしまして
永山
石連会長
に御
出席
をいただきましてありがとうございます。 私は、
円高
による
為替差益
の還元、これにつきまして消費者の
立場
から業界の代表であります
石連会長
に若干の質問をしたいと考えております。 そこで、ことしに入りましての円相場の
推移
でありますけれ
ども
、四月八日には二百六十円七十銭、この円安から、九月十二日には二百十四円七十銭と急激な
円高
を
反映
いたしまして、この九月の
石油
各社の
中間決算
を私注目しておったのでありますが、大手九社の
決算
を見ますと、
先ほど
来数字が出ておりますとおり、
経常利益
では二千二百九十二億円、
為替差益
では二千六十三億円、このような膨大な金額が出ておるわけであります。そこで、業界全体といたしましてどの
程度
の
為替差益
が出ておるか、この点お答えをいただきたいと思います。
永山時雄
57
○
永山参考人
私
ども
も、すでに公表された九社につきましても、要するに公表して初めて
承知
をいたしておりますので、全部で
石油連盟
加入
会社
二十九社あるのですが、公表されていないものについては私
ども
は
資料
を持っておりませんので推察ができかねるのでございます。
長田武士
58
○長田委員 二十九社連盟に入っていらっしゃるわけでありますけれ
ども
、その
円高
差益
というのは、
傾向
としては、基調としてはほとんど変わっていないだろう、そういう
感じ
を強く持っております。 本来、
円高
差益
というのは、
企業
努力であるとかあるいは経営の合理化であるとか、
企業
が主体的な努力をして生んだ
利益
ではないわけであります。言葉は悪いですけれ
ども
いわばたなぼたであります。こういう
円高
差益
については本来消費者に還元するというのは国民の声も非常に強く訴えておるわけでありますけれ
ども
、私はそれは正論だろうと思うのですね、正しいと思っております。そういう点では、いままで
円高
差益
の還元はする必要はないというような非常に強腰と私拝聴しておったのですけれ
ども
、やはり国民の声をしっかり聞くということも
企業
としては当然の責任であろう、私はそう思いますが、
会長
どうですか。
永山時雄
59
○
永山参考人
円高
の
差益
というものは、
一つ
には、
先ほど
も申し上げたことですが、
円高
があれば必ず円安が出てまいりますが、円安になったときの保障というものは別段ないのであります。したがって、
円高
で出てまいりました
差益
についても、
企業
はそれを
一つ
の
利益
として見て、そして
利益
全体として見て適正な
利益
であるかどうかということを判断してその対応をするということが常識ではなかろうか、かように考えるのでございます。
長田武士
60
○長田委員 一面真理であるかのように受け取るのでありますけれ
ども
、私はそれは非常に詭弁だろうと思うのです。やはり商売ですから、仕入れ
価格
が安くなる、自由経済社会においては当然
価格
を引き下げるというのは経済の原則です。したがって、私は、
企業
が内部努力をし、合理化をし、そうして上げた
利益
ならば何とも言いません。そういう意味で私は
会長
に強く申し上げるのでありますけれ
ども
、その点もう一度答えてください。これは
企業
としての責任じゃありませんか。
永山時雄
61
○
永山参考人
私は、
先ほど
申し上げたような意味で、
円高
差益
だからといって絶対にこれは還元しちゃならぬものだ、こういうような意味で申し上げているのではないのでありまして、ただ、要するに、
円高
差益
を含めた現在の九社の
利益
、これが、先刻も申し上げましたように、
石油産業
の置かれている責任の
立場
、それからいまの
財務体質
、そういうようなところから見ると、そんなに大きな
利益
だと、かように判断をしていないのであります。いわんや、
上半期
における業績も下半期、
現状
においてはじりじりマイナスになっておるのでありまして、これはある意味においては、見方によっては
為替差益
を食っている、還元をしているという見方もできなくもないような
状態
でございまして、
現状
はなかなか
値上げ
が困難な
状況
でございますから、結果的にはある意味において
為替差益
を還元しているという
状態
に等しいという
状況
でございます。
長田武士
62
○長田委員 どうも理論がはっきりしないのでありますけれ
ども
、国民のこのような声にこたえるためには、
一つ
は
価格
の凍結の問題もあるでしょう。あるいは値下げという方法もあります。あるいは、
先ほど
来出ておりましたとおり
中間決算
でありますから、商法からいっても私は別途積み立てというのは不可能だろうと思います。三月の本
決算
をやった場合においては、当然別途積み立てという勘定は立てることはできる。そのような方法が考えられるのですが、具体的にこの三つも何にも考えていないということですか。
永山時雄
63
○
永山参考人
上半期
における
為替差益
を含めた
利益
ですね、これは昨年に比べると確かに相当大幅な
利益
でございますが、これをどういうように処置をするか。
企業
によっては、場合によっては御期待のような若干
価格
を下げるとかあるいは
価格
の据え置きをするとかいうようなことで対応する
企業
もあるかもしれませんし、あるいはまた、
企業
によっては極度に
財務体質
も悪い、
利益
高も、
上半期
における
利益
も大したことはないというような
企業
は、若干
価格
修正、
価格
調整をせざるを得ないというところもあろうと思いますので、これはそれぞれの
会社
が決めることでございまして、私から一律にこうすべきだということを申し上げる
立場
にない点をひとつ御了承願いたいと思います。
長田武士
64
○長田委員 それでは
昭和
石油
さん、
会長
さんが社長さんですね、
円高
差益
は二百十三億円くらい出ておりますが、間違いありませんか。
永山時雄
65
○
永山参考人
そのとおりでございます。
長田武士
66
○長田委員 そうですね。では、その処分については大体のお考えはどうでしょうか。わが社としてはという
立場
で結構であります。
永山時雄
67
○
永山参考人
私の
会社
は月次
決算
ですから正確な
決算
ではございませんが、月次損益の、何といいますかある
程度
の
決算
をいたしております。それは、
現状
においては赤字の、マイナスの
状況
でございます。その意味において、
先ほど
申し上げたようなだんだんと
為替差益
を食っているというような
状況
でございますが、ただ今後の問題として、十二月に
OPEC総会
がありまして、
原油
の
価格
が上がる若干の可能性というものもあるんだろうと思います。 それから、これは私のところばかりでなく、
日本
の
石油会社
全部を通じて言えることですが、
財務体質
がいかにも悪いんです。そして私の信念からすると、
石油会社
は、メジャーは頼りになりませんのでこれからだんだん自分で
石油
の開発をしなくちゃならぬのです。自分で
石油
の開発をしなくちゃならぬとすると、これはもう大変危険率の高い仕事でございまして、千三つでもありませんけれ
ども
、近ごろでもやはり二十本、三十本掘って一本当たればいいというくらい危険率の高い
事業
でございまして、その一本に二十億も三十億もかかる。そういうものをやることになりますと、よほどの
利益
あるいはよほどの強い
財務体質
を持ちませんとなかなかできないのであります。失敗すれば借金だけ残って赤字の
会社
になってしまう。しかし、これは国家的に見て、また
石油精製
会社
の
立場
としては本来当然自分でやるべきことなんですね。そういうような点を考えますと、私
ども
のいまの
自己資本比率
五%か六%という
体質
、これを改革をするということが私
ども
は
日本
の
石油産業
のために何よりも大事だ、かように考えておりますので、やはりできる限り社内の蓄積を多くして、そうしてそういう必要な方面に積極的に出られるようにしたいと、かように考えております。
長田武士
68
○長田委員
OPEC総会
が十二月ということでありましたけれ
ども
、きのう私、商工
委員会
の
エネルギー
の小
委員会
で懇談会をやりました。閣僚
会議
も延期になっておりまして、恐らく十二月は開催されないだろうという
見通し
のようであります。そうなりますと、十二月に
値上げ
されるというようなそういう点はもうちょっと先になるんじゃないかなという
感じ
が私はしております。 そこで、
昭和
石油
さんは期首に当たって
収益
予想という
会社
独自でいろいろ書類をつくられると思うのですね。その場合、この
上半期
の円レートはどのくらいで予想を立てられましたか。
永山時雄
69
○
永山参考人
お答えをいたします。 たしか二百四十円か五十円か、大体その当時の相場で立てておると思います。
長田武士
70
○長田委員 電力とガスは二百四十二円と見ました。したがって、業界では大体二百四十一円と見たようなんですね、私の調べたところによりますと。そうなりますと、
会長
、やはり
会社
の収支予想の上から考えた場合、円レートは二百四十一円で見ておるわけでありますから、当然予想に反した
経常利益
を上げていますね。ですから、私は、
先ほど
来くどく申し上げますのは、
企業
が努力されて
企業
収益
としてきちっと認められる、そうして内部留保をする、資本を蓄積するということについては何ら異論がないのです。全く異論がありません。いま申し上げているのは、完璧に
為替差益
部分については、これは
企業
利益
とは言いながら国民に還元すべきが筋じゃないかというふうに私は何回となく申し上げているのです。この点なかなか御
理解
いただけないのですが、どうでしょうかね。
永山時雄
71
○
永山参考人
会社
の予算と、それからこの席でしきりに出ます
為替
の差損益とは直接
関係
がないのでありまして、要するに、予算のとおりにいかなければ、結局やはりそのときの
状況
で
為替
の決済をするというよりいたし方がないというようなことになるんでして、そうすると、当然、予算で予定をしたような
収益
というものがまた結果的には大いに違ってくるわけでございます。それで、私のところは、いま申し上げた二百四十円ぐらいで予算は立てたと思いますが、しかし、実際がそれが二百三十円になり二百十円になるということになれば、これは私のところだけのレートじゃなくて、各社に共通したレートでございますししますので、当然それに応じた
製品価格
というものが
マーケット
価格
になるわけです。ですから、それの方によって損益が左右されてくるということで、私
ども
が二百四十円の
為替
相場で
製品価格
の予想をしてみても、二百四十円が崩れればその
製品価格
は実現ができないわけですから、結果的には、二百四十円で予算を立てたからそれだけ
利益
があるはずだとかいうようなことには決してならないのです。ただ、私のところの、何といいますか、
為替差益
以外の
利益
というものがたまたま出たのは、これはちょうどその期にわれわれのところの
原油
の評価方法が変わったために、そこから相当の
利益
が出てきた。これは御
承知
のとおり、
原油
の評価方法には先入れ先出しだとか、後入れ先出しだとか、あるいは総平均法だとか、いろいろな方法がありまして、これによって結果の損益が大変違ってくるのでありますが、われわれは従来六カ月の平均法をとってきたのを、たまたまその期にそれを月別平均法に変えたということで、それから出てまいった
利益
が大きいのでありまして、特別にこの
為替
の
関係
あるいは
製品価格
の
関係
で出てきた
利益
でないということを御了承願いたいと思います。
長田武士
72
○長田委員 さきに
会長
は先行き非常に不確定要素、確かにあると思います。まあ円レートについては今後著しい変化はないだろうという
感じ
を私は非常に持つのです。と申しますのは、民間の経済研究機関でも、そうした見方に立って分析しておるのが大半なんですね。 もう
一つ
は
石油価格
でありますけれ
ども
、不安材料はないとは言えませんけれ
ども
、著しい上昇というのは、
需給
がだぶついていますから、そういう点ではないだろう。 そういう点を考えますと、今回
中間決算
でありますけれ
ども
、本
決算
まで
推移
というのはそのまま続くだろう、そういう
感じ
を強く持っておるわけであります。この点、
先ほど
あしたでも値上がりするみたいな
感じ
で発言をされておりますから、私は申し上げておきたいわけであります。 それでは、
先ほど
武部委員からも話があったのですけれ
ども
、円安
傾向
が出た場合においてはいわゆる
石油製品
というのは
値上げ
していますね。
先ほど
も話がありましたとおり、五十四年から五十五年四月までに八回も
値上げ
をいたしております。大手九社平均で計算してみますと、キロリットル当たり四万一千六百三十八円の
値上げ
がなされました。したがって、五十五年七月の値下げ分を差し引いてもキロリットル当たり約四万円もの
値上げ
がされているのですね。これは当然円安の差損部分も入っておるのです。この点間違いありませんかね。
永山時雄
73
○
永山参考人
従来、
為替
相場だけの
関係
で、円安になったから
価格
の引き上げをする、あるいは
円高
になったから特別に
価格
の改定をするという例は、私は不敏にして余り
承知
をしていないのでありますが、要するに従来の
価格
改定は、
OPEC
の
原油価格
の改定があって、それを機会にして、同時にそのときの
為替
相場というものを参酌をして、そして
価格
の査定を受けているというようなことになっておるのであります。
長田武士
74
○長田委員 そうなりますと、円安のときには
値上げ
はしていませんということなんですか。
永山時雄
75
○
永山参考人
円安だけで
価格
改定をしておりませんで、
原油価格
の
変動
の際にそれと抱き合わせにするというとおかしいのですが、要するにそのときの
為替
相場というものを考慮して、そして
価格
の査定を受けている、こういう
状況
でございます。
長田武士
76
○長田委員 抱き合わせということは、やっぱりしているということじゃありませんか。そうでしょう。 そこで、聞くところによりますと、鉄鋼とか電力、大口ユーザーに対しましては
石油製品
の
価格
が引き下げられて
差益
金は還元されておる、私たちの周りにはそういうニュースが入ってくるのですが、その点は事実でしょうか。
永山時雄
77
○
永山参考人
重油
の大口につきましては、トップ
企業
といいますか、たとえば鉄鋼について言えば新日鉄、
石油
について言えば日石なら日石というようなところが、三カ月ごとに
価格
交渉をいたしまして、そしてそれが決まりますと、その他のところは大体それを見ながら、それに準じて
価格
をそれぞれ決めていくというような方式になっておりますが、その三カ月ごとの交渉というのは、そのときの
為替
相場、
原油価格
、その他いろいろな経費を、これはトップ
企業
同士でお互いに交渉し合って、
値段
を決めていっているという
状況
でございます。
長田武士
78
○長田委員 この点はどうもそういう
傾向
があるようです。
先ほど
も話に出たのですが、
日本
石油
の場合は三十億円のいわゆる特別調整一時金というのを出していますね。私、きのう
日本
石油
のスタンドに電話しましたら、一リットル当たり二円もらいました、キロリットル当たり二千円ですが、受け取っていると言っていますよ。販売店も
差益
というものは出ませんから営業
状態
は大変苦しいようなんですが、そういう点では、いま
会長
が言われたように部分的には還元的なそういう処置をとっておる。しかし
一般
消費者に対しては依然として冷たい態度をとるというのは、国民は納得しませんよ。それで、いま抱き合わせでやっていますなんて、円安のときにはがっちり
値上げ
しておいて、逆に
円高
になった場合には
会社
でちゃんと内部留保します、こんな常識外れた理論というのは通用するのでしょうか。
永山時雄
79
○
永山参考人
私
ども
は
価格
の改定は、先刻来申し上げておりますように、
原油
の
値段
が変わりますと、それで二カ月ほどたって
通産省
にチェックをしてもらった上で
価格
の改定をいたしておりますので、したがってそれがそのときの適正な
価格
だ、かように考えておるわけでございます。
長田武士
80
○長田委員 それでは
通産省
にお尋ねいたします。 ことしの六月から七月にかけまして各社は
石油製品
を千三百円から三千円値下げしております。これは実質的には
円高
差益
の還元ということで
通産省
が行政
指導
したということなんですね。そこで、四月以降も
輸入
価格
のドルは上昇はいたしておるわけでありますが、CIF
価格
の円を見てまいりますと、四月にはキロリットル当たり五万六百六十六円、これはピークでありますけれ
ども
、以後は値下がりをしております。十月には四万五千四百二十七円、ここまで下がってきておる。つまり値下げをされた七月以降もさらに
差益
が出ておるということが数字で出ております。私は、当然
通産省
としても
価格
チェックをして具体的な行政
指導
をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
森山信吾
81
○森山(信)政府委員
先ほど
来
お話
のございました円安のときにどうしたかということのメカニズムを申し上げておきたいと思いますが、
永山
会長
からも
お話
のございましたように、私
ども
の方で、
値上げ
をしたいという申請がありますと、円安だけの理由で申請があった場合は一切認めないという方針をとっております。
原油
のドル
価格
が上がった機会に申請がありましたときにあわせて円安の分を勘案して
値段
のチェックをするということでございます。 そこで、今度は
円高
の場合はどうなるかということになりますと、やはり同じ方式を適用いたしますと、今度
原油価格
が上がってこれこれの
値段
上げたいという申請がありましたならば、そのときのレートの
状態
を勘案いたしまして、今回の場合は恐らく
円高
になっておると思いますので、この次
値上げ
の申請がなされる場合は恐らく
円高
のままの
値上げ
の申請だと思いますので、
原油
の
価格
の上昇だけを認めるんじゃなくて、それからマイナスした
円高
分の相殺といいましょうか、そういったものを勘案して
指導
をするという方針でございますから、そういう限りにおきましては、言葉をかえて言いますと、これまで上期に残りました
円高
差益
分が今後の
値上げ
分のときに勘案されて一
値上げ
の率がそれだけ低く抑えられる、こういう
考え方
を持っているわけでございます。
長田武士
82
○長田委員 それでは、時間が参りましたので最後のお尋ねをいたします。
永山参考人
にお尋ねするのでありますけれ
ども
、これは仮定の話ですから、私は結論はなかなか出しにくいとは思いますが、このまま
円高基調
が続く、あるいは
石油
の急騰がない、こうなった場合は、どうしても本
決算
の場合は相当な
利益
が生まれてくると思います。そうなった場合、
円高
差益
の還元というものを真剣に考えなければならないと私は思うのでありますけれ
ども
、それの対応というのはいまから考えていますか。
永山時雄
83
○
永山参考人
仮に、
現状
横ばいというようなことで
円高
状態
が続いているような場合には、余り
為替差益
というものは出てこないんですね。要するに
原油
を買ったときの
為替
相場と、それから
原油
代を支払うときの
為替
相場とが違ったときに、そこに
為替
の差損益というものが出てくるわけです。したがって、
為替
相場が横ばいである限りは、新しい
為替差損益
というものは出てこないのです。 それて、現在の
市況
はかなり――最後の値上けが何月でしたか、四月か五月、八回目の
値上げ
がそのころだったと思いますが、そのころに、それからさらに値下げをしたわけですね。そのときの理論
価格
といいますか基準の
価格
に比べて、現在の
市況
は相当下がっております。したがって、その分だけはマイナスだというのが実態でございますから、その辺ひとつ御
理解
いただきたいと思います。
長田武士
84
○長田委員 以上、終わります。
井上泉
85
○
井上委員長
塩田君。
塩田晋
86
○塩田委員
石油
というものは経済のいわば血液であり、不可欠の要素でございまして、また生活にとっても非常に
関係
の深い、経済の各分野に対しての
影響力
の大きいものでございます。したがいまして、この
石油
の
価格
というものが経済にとって非常に大きなかかわりを持ってき、それだけに関心が深いわけでございまして、そういった観点からお伺いをしたいと思います。
価格
は重大なかかわりを持っておるわけでございますが、しかし、
日本
の経済は言うまでもなく統制経済でもありません。自由な競争
市場
というものを前提にいたしまして、その中で
石油
の
需要
と
供給
量、その
関係
におきまして
価格
が成立する。言うならば
価格
が
需給
の調整機能を果たしておる、また果たすべきものであるというふうに考えております。したがいまして、直接的な
価格
の統制ということは弊害がむしろある、不公正を助長するという観点から、とらないところでございます。
先ほど
来出ておりますような
石油価格
につきましての
通産省
の内部
指導
というものも、これはよほど慎重に、基本原則を忘れない中で慎重にやっていただかないと誤りを犯すものであると思います。したがいまして、この
価格
の安定というものを図るのには、現在の自由経済、
市場
競争を基本といたしますと、やはり安定的な
石油
、そのもとになるところの
原油
の
供給
を
確保
するということが基本でなければならないと思います。
わが国
の
エネルギー
の中に占める
石油
のウエートというものは七五%と大きいものでございますし、また今後ともこの大きいウエートは大幅には変わらないだろうということが考えられます。したがいまして、この
石油
の
需給
をにらんで、そして安定的な
供給
を
確保
するための最大の努力をしなければならない、これが基本でなければならないと思いますが、その点について
永山参考人
の御
意見
を伺いたいと思います。
永山時雄
87
○
永山参考人
御説のごとく、
日本
の場合におきましては
石油
の必要量の
確保
ということはこれは最高の使命だということで、私
ども
もさように痛感をいたしております。いま自由経済といいますか
市場
経済といいますか、ということに、余り
価格
に介入するということが適当でないんじゃないかというような
お話
もございました。基本的にはまさにそのとおりだと私
ども
思いますが、ただ
石油
の
現状
は、要するに
石油製品
のコストの八割五分から九割は
原油
の
価格
、
原油
のコストでございまして、そのコストの大部分を占める
原油
の
値段
というものが、御
承知
のとおり非常にまちまちでございます。したがって、いまの
原油
の取引
状態
というものの改変なくして、ただ
日本
の
国内
だけで
石油製品
について自由経済をやるということはなかなかむずかしいし、かえっていろいろ問題が生ずるんじゃないかと思いますので、私
ども
は、安いところの
原油
ばかりとれればいいんですが、なかなかそういきませんで、やはり数量
確保
ということに重点を置いて、そして
値段
も考慮した
輸入
をするということで、多少まちまちの
価格
になる。そして、それぞれの
石油会社
というものがやはり立っていくように確実に
輸入
の
確保
ができるようにしていくというより当面はいたし方がないんだろうと思いますので、現在のやり方は
一般
的に言えば必ずしも最善の方法とも申しかねますけれ
ども
、
現状
においてはやむを得ない方法じゃなかろうか、こう考えております。
塩田晋
88
○塩田委員
石油
が経済にとって不可欠のものであるという観点に立って、また
日本
の
現状
について申し上げておるわけでございますが、
日本
の
原油
というものはほとんど
海外
から
輸入
するという
状況
でございます。そこで
世界
の
原油
の最近の
需給
の
状況
、そして短中期の
需給
見通し
につきましてどのように考えておられるかお尋ねします。
永山時雄
89
○
永山参考人
イラン
・
イラク紛争
の
発生
する直前におきましては、
世界
の
原油
の
需給状況
というものはかなり
供給
過剰の
状況
で、まあなかなか正確な数字はわかりませんが、大体三、四百万バレル、あるいは一説には二、三百万バレルともいいますが、
供給
が余っておった
状態
だということが多くの見方であります。ところが、
イラン
・
イラク
問題の
発生
によりましてほぼ四百万バレルばかりのものが
生産
から消えたわけでありまして、そこで現在の
需給状況
は、まあまあほぼいっぱいいっぱいの
状況
だろうというようなことではなかろうかと思うのですが、ただどうも、
日本
ばかりでなく
世界
的に非常に景気が冷えておりまして、そしてどこの国もかなり
備蓄
をたくさん抱えておりますからそれほどあわてないということで、本来
備蓄
がなければ、今度の
イラン
・
イラク
問題が出たらば
日本
もやはりかなりあわてざるを得なかったのじゃなかろうかと思いますけれ
ども
、幸いにして
備蓄
を抱えておりましたので、まあまあ平静な
状態
にあることはごらんのとおりであります。そして、なお今回のこの
イラン
、
イラク
の事変に対応して、サウジを中心にした三、四の国で若干の増産をするというようなことで、
日本
に対してもその増産分の若干の部分が割り振られてくるようでございますので、当面の問題としてはそれほど
支障
があるとは思えない、心配をする
状況
でない、かように考えるわけです。ただ、
イラン
・
イラク
問題が長引きますとまたいろいろそこにとがめが出てまいりますので、そういう意味においてはできるだけ早期終結をわれわれは
希望
するというようなことでございます。
塩田晋
90
○塩田委員
石油
に対しましては、安定的な
供給
を
確保
するということが最も重要でございます。いま言われましたように、短期的にはかなり楽観的な
見通し
のようでございますが、長期的には、
石油
は地球上からなくなることは明らかでございますし、そのなくなる前に代替
エネルギー
の開発をしなければならない、それまでの間の問題でございますが、中期的に見た場合にどのような
見通し
でありますか、その点をお伺いしたいと思いますのと、いま御
説明
ございましたように、
石油
輸入
の量にいたしましても
見通し
にいたしましても、非常に不安定な
要因
が多くてしょっちゅう
見通し
か変わっている、また予想されない突発的な
イラン
・
イラク
戦争といったような国際間の
紛争
が直ちに
世界
の
石油需給
に響いてくるというような
要因
をはらんでおります。こういった点から、その不安定な
要因
を除くためには、そして安定的な
わが国
への
石油
供給
というものを
確保
するにはどうすればよいかということにつきましてお考えをお聞きしたいと思います。
永山時雄
91
○
永山参考人
事柄はどうも通産大臣なりあるいは
通産省
当局の方からお答えをいただいた方がより的確な答えになるのじゃないか、こう思いますが、お尋ねでございますから私からお答えをいたしますが、短期的には
先ほど
申し上げたとおりでございます。 それから中期的には、御
承知
のIEAが見ている数字というものがまあ
比較
的よりどころになると申しますか、それ以外に余り権威のある数字がありませんから、大体それで見込みを立てるよりいたし方がないのだろうと思いますが、IEAの
需給
見通し
からいきますと、一九八五年には二百万バレルばかり、ほうっておけば不足をするので、その分を
各国
がそれぞれできるだけ節約なり何なりをすべきだ、一九九〇年には五百万バレルくらいその節約量をふやさなければいかぬだろうというようなことでございまして、それにはさらに、全般的に
石油
がだんだん不足物資になるということはほぼ常識でございますので、
お話
のような代替
エネルギー
の開発の問題なりそうした方面に特段の強化を図っていく必要があるというようなことになっておるようでございます。 もう
一つ
は何でしたかな……。(塩田委員「不安定
要因
解消のための対策です」と呼ぶ)これは、やはりどうも
エネルギー
というものなくしては経済というものは当然動かないわけでございますので、
日本
は特に
海外
依存度というものが
石油
ばかりでなくその他の
エネルギー
についても非常に高いわけでございますから、まず
石油
については、従来から言われているように、できるだけソースを分散をするということ、それから
産油国
に対する外交を一段と強化をしていただく、これは近く通産大臣もじきじき出かけられてその意味の外交をされるようでございますけれ
ども
、こういう
方向
の努力を今後さらに強化をしていただくというようなこと、それから、代替
エネルギー
につきましても政府がいろいろ強化策をとっておられますが、これをさらに一層推進をしていくというようなことでございますが、私
ども
石油会社
の
立場
からすると、やはり
石油開発
というものをもっとできるだけやっていく、
世界
的にはまだまだ未探査の地域というものはずいぶんあるわけでございますし、それから採掘技術の進歩によっていままで手がつけられないようなところもだんだん手をつけられるわけでございますから、それを強化をしていく。それには要するに
石油
を使う
石油精製
会社
というものが一番その中心になってやらなければ効果は上がらないわけでございまして、そのためには
先ほど
から申し上げております
日本
の
石油会社
の
体質
強化ということをまずやって、そしてそちらの方面の方策を強力に遂行していくということもぜひとも考えなければならぬ問題である、かように考えるわけでございます。
塩田晋
92
○塩田委員 いま対策として、
石油
輸入
国の先を分散していくということを対策の第一に挙げられました。また、
石油
の
国内
開発をやっていくということも言われましたが、その
輸入原油
の国別あるいは地域別の
世界
からの
日本
への
輸入
状況
、これは五十一年から最近年までとってみますと、
世界
の地域別に見るとかなり大きい変化が行われておりますし、またその中で国別に見ますとなお一層大きな変化があります。最も大きいのは
イラン
の二〇%ぐらいあったのがいまや五十四
年度
で一三%、五十五
年度
上期で四・二%、そしていま現在ではほとんどゼロというような
状況
のようでございますし、地域的には中東地域から八〇%を五十一年に
輸入
しておったのがいまや七二、三%になっておるという
状況
がございます。反対に南方地域のものは、一六・七%が五十五年の上期で一九・六%というふうにふえてきております。一方、共産圏のうちの中国について見ますと、五十一年が二・六%、これが五十四
年度
で三・一%、そして五十五年上期では三・六%というふうに、わずかではございますけれ
ども
上がってきておることが手元の
資料
でわかるわけでございます。 それで、中国からの
供給
の
見通し
でございますが、どのように見ておられるか、そのことをお尋ねいたします。
志賀学
93
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。 先生からも
お話
がございましたように、
石油
の
安定供給
を
確保
するためにできるだけ地域分散というものを進めていくことが必要である。もちろん中東地域の重要性というのは、これはやはり埋蔵量、
生産
量からいって異論はないわけでございますけれ
ども
、できるだけ分散していくことが必要であるというふうに思っております。その中で、やはり中国というのが
一つ
重要な
日本
としての
原油
供給源
というふうに思っておるわけでございます。 御案内のように、中国の
原油
につきましては一九七八年に日中長期貿易取り決めというものが結ばれまして、毎年
石油
の
輸入
が中国から行われているわけでございます。ことしについて申し上げますと、貿易取り決めの予定数量は年間八百万トンということになっておりまして、これは大体現在の
見通し
といたしまして順調に
輸入
されるという
見通し
でございます。 ただ、長期貿易取り決めにおきましては、一九八一年が九百五十万トン、一九八二年が千五百万トン、その後千五百万トンというような取り決め数量に一応なっているわけでございますけれ
ども
、この一九八一年と一九八二年、来年、再来年の
供給
につきまして、去る九月十一日に行われました日中長期貿易定期協議におきまして、中国側から
国内
の
原油生産
が伸び悩んでおる、あるいは内需がふえてきておる、こういったようなことを背景といたしまして、どうも取り決め数量どおり
供給
するのは困難である、それで両年とも八百三十万トンとしたい、こういうような要請が中国側からあったわけでございます。それで
わが国
といたしまして、できるだけ長期貿易取り決めに従って
供給
をしてくれるように中国側に要請したわけでございますけれ
ども
、ただ中国側のそういった
事情
もございますので、わが方といたしましてもやむを得ないものというふうに考えております。 ただ、いずれにいたしましても中国の現在の
原油
の
生産
は一億トンぐらいでずっと横ばいを続けております。大慶油田がそのうちの半分ぐらいでございますけれ
ども
、そういった中国側の主な油田の
生産
が伸び悩んでおるということでございまして、私
ども
といたしまして中国からの
原油
輸入
をふやしていくというためには、基本的にはやはり中国における
石油
の探鉱開発といった面に
日本
側としても最大限の
協力
をしていく、そういうことによって中国の
原油
供給
力というものをふやしていく、そういうことが必要であるというふうに思っております。
塩田晋
94
○塩田委員 いま
通産省
から御
説明
を受けましたように、
昭和
六十年に千五百万トン
輸入
をするという日中長期貿易取り決めが八百三十万トンになる、予定しておった見込みのものよりも半分になってしまう、こういうことが言われておるわけでございます。これの穴埋めも安定的な
供給
のためにはもちろんしなければならないわけでございますが、いま言われましたように中国自体は
日本
に
原油
を輸出したいという気持ちが非常に強いわけでございますが、
国内
的な
事情
あるいは技術的な
事情
からこれができないということを言ってきておるわけでございます。これは
石油
の安定的
供給
という
立場
からのみならず、日中間の貿易の支払いの原資の大きな部分がこの
石油
でございます。対日輸出額のうち四〇%を占めて、これをもって
日本
からの
輸入
の支払いに充てている、これは大きな部分でございます。 そういった観点から、中国も非常に困っているのだろうと思いますが、その中国
原油
をふやす、また日中貿易拡大のためにも、
協力
のためにも、中国の
原油
を増産するということが必要だと思います。そのためにも、日中間の技術的な探査、開発、そのための
協力
、これをもっと進める必要があると思いますが、いまどのような
状況
で進行しておるか、またそこに
ネック
があるとすれば何かについて御
説明
願います。
志賀学
95
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。 中国に対します
石油
探鉱開発面における
日本
の
協力
でございますけれ
ども
、現在すでにスタートしておりますプロジェクトといたしまして、渤海での日中共同開発がございます。この渤海におきます日中共同開発のプロジェクトと申しますのは、昨年の十二月に日中間で基本的な合意ができたわけでございます。その後、
日本
側のプロジェクトの遂行
会社
といたしまして日中
石油開発
、それから渤海の中にチェンペイという、既開発のほぼ探鉱が済んでおりますチェンペイ油田というのがございますけれ
ども
、それを対象といたしますチェンペイ
石油開発
という二つの
会社
ができたわけでございますが、その二つの
日本
側の
会社
と中国側とが交渉いたしまして、正式の契約がことしの五月に締結されております。七月に探鉱作業を開始いたしまして、ことしの十二月には第一鉱の試掘が開始される予定というふうに
承知
しております。そういう意味で、この渤海、チェンペイの探鉱開発
事業
は現在順調に進んでおるというふうに
承知
しております。 それから、中国は現在黄海、南海、そういった海域におきまして欧米の
石油開発
会社
に物理探査を行わせており、大体物理探査は終わったようでございますけれ
ども
、その欧米の物理探査の
事業
につきまして
日本
側も
石油
公団を中心として参加をしております。中国側の現在の意向といたしましては、この探査の結果を見て、来年以降こういった海域の
石油
探鉱開発につきまして国際入札に付する、こういうような意向を持っておるというふうに
承知
しておるわけでございまして、
わが国
といたしましてもこの黄海、南海のプロジェクトに積極的に参加していきたいというふうに思っております。それで、事がありますたびに中国側にも
日本
側としてもぜひ
協力
をしたいということを申し入れをしておるというのが
状況
でございます。 それからもう
一つ
、渤海の陸上地区におきます
石油
の共同開発という問題がございます。これにつきましても、現在どのようなやり方で
協力
をしていくかという点につきまして中国側と
石油
公団との間で話し合いが進められている、こういう
状況
でございます。 中国の海域あるいは陸上の
石油
探鉱開発について、いま申し上げましたように、
日本
としても積極的に取り組んでいきたいということで進めておるわけでございますが、そういう意味で技術的な面での
協力
というのはもちろんございます。ちなみに申し上げますと、この渤海のプロジェクトと申しますのは、まさに
日本
の技術によって探鉱開発を進めていくということになっておるわけでございまして、そういう面でまさに中国側と
日本
の
石油開発
技術が一体となって実施されつつある、こういう
状況
でございます。
塩田晋
96
○塩田委員 中国は
日本
に最も近い国であり、経済
協力
をしてともに発展すべき国だと思いますし、渤海湾そして中国の南方海域にはかなりの
石油
埋蔵量があると言われております。足らないのは開発技術であり、そしてまた資金でございます。こういった面について
日本
は十分に今後前向きに取り組んでいただきますよう要望いたします。通産大臣、最後にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
田中六助
97
○田中(六)国務大臣 中国は
わが国
の隣国で地勢上も歴史的にも非常に
関係
の深いところでございますし、この国に石炭あるいは
原油
などの資源、
エネルギー
があるわけでございますし、私
ども
も経済
協力
、技術
協力
相互に摩擦のないような体制でやっていきたいというように考えます。
塩田晋
98
○塩田委員 ありがとうございました。
井上泉
99
○
井上委員長
岩佐恵美君。
岩佐恵美
100
○岩佐委員
永山
会長
には当
委員会
に御
出席
をいただき、大変御苦労さまでございます。
先ほど
武部委員からもいろいろお聞きをしていた件でございますけれ
ども
、
石油
やみカルテル事件で
日本
石油
が上告について、「不満もあるが、反省すべき点は謙虚に受け、本件については終止符をうち、依然として
石油
事情
がますます多難とされる今日、
原油
の
安定確保
と
石油製品
の
安定供給
に全力を集中することが最重要の使命であると判断した」と
説明
をして上告を断念をしております。 この問題につきまして、
昭和
石油
の責任者である
永山
さんがなぜ上告をされたのか。私
ども
同時に消費者の裁判が行われているということを
承知
していますが、その中では、
価格
カルテルの問題等につきましては、どこから見てもこれはカルテルであるというふうにはっきりしているような、いわゆる公正取引
委員会
には気をつけろというようなことで小鳥のマークがあちこちに使われて、それは表に出ないようにというような注意がされているなどのそういういろんな証拠があるわけですけれ
ども
、こうしたはっきりした事件についてなぜ上告をされたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
永山時雄
101
○
永山参考人
私は、日石さんはどういうように考えておられるか知りませんが、
価格
カルテル問題につきましても
生産
調整の場合と同じように
通産省
の行政
指導
があった、それとほとんど変わるところがない、かように考えて、したがって裁判所の方で事実に重大なる誤認をしている、かように考えて上告をいたしたのでございます。
岩佐恵美
102
○岩佐委員 そこで、通産大臣にお伺いをしたいと思いますけれ
ども
、この裁判の判決では、いわゆる明確に個別
指導
であってもそれはカルテルになるんだ、そういう指摘がされています。同時にまた当
委員会
でも私
ども
の質問の中で公正取引
委員会
の
委員長
は、
通産省
あるいはほかの省庁でも同じですが、業界に対する
指導
が個別
指導
であってもそれがカルテルを誘発するようなもの、そういうものについてはやはり厳重に対処をしていかなければいけない、こういう見解を述べておられます。この点について、
通産省
は従来から個別の
指導
であるならばそれはいいんだという解釈をとっておられるやにいろいろ
新聞
報道等で私
ども
は
承知
をしているわけですけれ
ども
、その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
田中六助
103
○田中(六)国務大臣
通産省
といたしましては、
石油
というような品物は非常に
国民生活
にも大切なものですし、産業にとっても重要な製品でございますので、
石油業法
とかあるいは
石油業法
に連なるいろんな
指導
というものは適時適切にやらなければなりませんし、また
灯油
などの問題につきましても便乗
値上げ
のないように、これらがうまく国民の普通の生活にマッチしておるかというようなことなどにつきまして適時適切に行政
指導
をしていかなければなりませんし、そういう点で業界と個別的な問題は常日ごろやっておることで、そのことについては私
ども
は当然のことではないかというふうに考えております。
岩佐恵美
104
○岩佐委員 ただ、今回の判決の中では、
昭和
四十一年の公正取引
委員会
の
委員長
の国会質問の中での答弁、これについて、これは田中大臣がお聞きになった質問に対しての答弁だというふうに聞いておりますけれ
ども
、この中で
石油業法
に基づいてやられるという行政
指導
ならいいんだみたいな、そういうふうにとれる個所があって、そしてその問題についてそれでもなおかつカルテルにつながるような行政
指導
、これはよくない、それを放置した公正取引
委員会
の責任というものについて言及をしているわけですけれ
ども
、この問題についてどういうふうな考えを持っておられるか、大臣の再度の考えを伺いたいと思います。
田中六助
105
○田中(六)国務大臣
先ほど
も申しましたように、
石油業法
に基づく
国民生活
と直結するような問題につきましてはやはり適時適切に私
ども
は行政
指導
をすることが義務であると思っておりますし、そういう点につきましては何らやましいことはございません。ただ、御指摘のようなことが考えられるあるいはそういうような解釈ができるというようなことにつきましては、個別的な行政
指導
におきましても十分注意してやっていかなければならないというふうには考えております。
岩佐恵美
106
○岩佐委員 次に、
石油業界
は五十四
年度
決算
では四千億円近い
為替差損
を出しながら二千九百十五億円もの大幅な
利益
を出しています。しかもこれは当
委員会
でも私明らかにしたところですが、国民の目から
利益
増を隠すという形で内部留保が
石油会社
千社で五百七十三億円もふやされています。そして今
年度
の
石油
九社のいままで問題になってきました九月
中間決算
が
発表
されているわけですが、
経常利益
は前年同期比で約六倍、二千二百九十一億円、それから税引き後
利益
が六・七倍の一千十一億円、これは史上空前の
利益
となっています。しかも今度は内部留保という形ではなくて、現金預金とかあるいは有形固定資産、固定資産部分を除いた投資部分、それでもって五十五年の上期だけでわかっている部分をずっと計算してみますと、日石、丸善、共石、出光、三菱、この五社計でもって六百六十七億円も半期で
企業
資産をふやしているわけです。いま私たち国民は低賃金、
物価
高、とりわけことし二月からボーナス期の七月を除いては実質賃金がマイナスとなっている。九月にはついに三・六%もの大幅なマイナスになりました。そういう
国民生活
が非常に危機的な
状況
にある中で、
灯油
を一かん六百円から千四百円以上にも
値上げ
をする、そうして
石油業界
が史上空前の
利益
を上げている、しかも申し上げたように巧妙な形で多額の
利益
隠しをしている。これは国民感情から絶対に許すことができないというふうに思います。 そこで伺いたいと思いますけれ
ども
、
石油業界
は当然
価格
を決める際に原価計算をされておられると思います。この史上空前の
利益
について原価計算の中で推定をされておられたのかどうか、伺いたいと思います。
永山時雄
107
○
永山参考人
先ほど
来申し上げておりますように、五十五年の今回の上期の
中間決算
におきましては
為替差益
がその大部分でございまして、これは結果がこういうことになったということで、われわれの想像外のものであることは事実でございます。それで、
先ほど
来諸先生方から史上空前だという
お話
で、確かに
石油業界
の損益の従来の経過というものから見ると空前であるのですが、それがまた私には大変悲しむべきことだと思いますので、いままでがいかにも低過ぎるのでございますね、
先ほど
から申し上げているようなことでございまして。ですから、これをやはり少なくともほかの製造業並みと私は言いたいところなんですが、ほかの製造業以上に実は
石油業
というものは
利益
を上げなければならぬと思うのです。しかし、当面、
一般
の製造業に
比較
してせめて劣らないところまでもっていくという意味におきましては決して過大な
利益
ではないということをよく御
理解
いただきたいと思うのです。
岩佐恵美
108
○岩佐委員 私の試算によりますと、これからも
石油業界
は
利益
を順調にふやしていける、そういう好条件がそろっているというふうに考えています。 それをこれから
お話
をしてみたいと思うのですが、その
一つ
は
為替差益
です。上期だけでもいままで業界全体で――いま話題になっている二千六百億円、これは九社ですが、全体では四千億円出ている。引き続き十月五百二十一億円、十一月は三百五十億円、十二月で六百億円、一月四百億円、これから千八百七十億円出るし、いままでのと合わせると業界全体では五千八百億円出るのではないかと推定されます。 二つ目には仕入れ
差益
です。これは
原油
高が
円高
によって相殺されて実際のCIF
価格
が下がっているということを指すわけですけれ
ども
、私の試算によると、五十五年五月から十月までですでに千八百七十二億円業界全体で仕入れ
差益
が出ているという勘定になります。 それから三つ目には公定歩合の二回の引き下げによる金利負担軽減額です。これは丸善の七十億円を初め日石、昭石など九社、わかっているだけで二百六十四億円になります。これを三十六社ベースで直してみると五百億円以上になるんではないかというふうに推定できます。 それから四つ目には、採算の悪い
C重油
の得率が五十三年上期から三七・一二から三四・三四、三%も下がっています。反面、ガソリン、軽油、
灯油
などの採算のよい油種の得率が他油種とも一%ずつ上がっています。さらに、これから
冬場
に向かいます。採算のよい
灯油
についてはせっせと春と夏にため込んで冬に売るわけです。ですからこれからまた売り上げ高が上がると同時に
利益
もふえるだろう、これは当然予測をされることです。 いま
永山
会長
は、今度の
利益
について、予測されなかった
利益
であるというふうに言われましたけれ
ども
、そういうことであればあるほど、
国民生活
が非常に苦しい中でこういう
石油業界
の
状況
、この中でたとえばもしいまみんな困っている
灯油
を一キロリットル当たり二千円下げる、そうすると四百八十億円の支出になります。それはたとえばいま挙げた中の金利負担軽減額だけで十分に賄える数字となっています。それに加えて
ユーザンス差益
あるいは仕入れ
差益
、わかっているだけで七千三百億円あるわけですから、私は十分値下げが可能だというふうに思います。この点について
会長
のお考え、そして
通産省
のお考えを伺いたいと思います。私、持ち時間が大変少ないのでその点考慮していただいて、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
永山時雄
109
○
永山参考人
いまいろいろ
お話
がございましたが、再々申し上げておりますように、われわれの業界の
価格
の調整つまり
価格
の引き上げのときには、その都度
通産省
の査定を受けて、それは
原油
の
価格
も考慮するし、それから
為替
が安いか高いか、そこのところも考慮して決めてもらった
値段
で
価格
調整をするわけですから、したがって不当な
利益
というものはそこに出てくる余地はない、かように私
ども
は考えております。 それから、いま
お話
しの中に、
為替差益
と仕入れ
差益
と両方あるかのごとき御発言があったんですけれ
ども
、要するに
為替差益
というのは、
原油
の買い付けをしてから三カ月なり四カ月後に決済をするわけですから、そのときに
為替差益
というものが出るので、別に仕入れ
差益
というものはないのです。これがどうも少し世間の誤解を受けていると思いますので、その点はなお時間をかけて改めて御
説明
を申し上げたいと思います。 それからなお、いろいろ得率の
関係
についての改善だとかなんとかという点もありますが、それらの点も、
先ほど
の
通産省
の
価格
査定という際にはその辺の得率の変化や何かも十分考慮して決めておられるので、
お話
のような点はないと私は信じております。
志賀学
110
○志賀(学)政府委員 ただいま先生から
一つ
の推定の数字をいろいろおっしゃられたわけでございますけれ
ども
、私
ども
といたしまして現
時点
において、
為替レート
が今後どうなっていくであろうか、あるいは
原油価格
がどうなっていくか、非常に先行き不透明な部分が多いわけでございます。したがいまして、今
年度
下期の
石油企業
の
決算
がどうなるかという点について、現在ここで特にコメント申し上げることは控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。 ただ、私
ども
といたしまして、先般来
為替差益
の消費者への還元をすべきではないか、値下げをすべきではないか、こういう
お話
があるわけでございますけれ
ども
、この点につきましては、
先ほど
申し上げましたように、先行き不透明な部分が非常にある、ただ、同時に他方におきまして、上期において
為替差益
がかなり
発生
しておる、これもまた事実でございます。そこで、この消費者への還元というのはいろいろな方法があるわけでございまして、もちろん
一つ
には値下げという形での還元というのがあるわけでございますけれ
ども
、私
ども
の現在の判断といたしましては、そういった
円高
差益
を背景にいたしまして、今後
原油
の
価格
の引き上げということがあった場合にも、極力
石油製品
の
価格
を安定させていく、こういう
方向
で対応していくことが、現
時点
においては一番いいのではないかというふうに考えているわけでございます。
岩佐恵美
111
○岩佐委員 時間も限られておりますので、次の質問に行きたいと思いますが、ちょっと石連の
永山
会長
が言われた
為替
の問題については、私が申し上げているのは、
一過性
の
ユーザンス差益
と、そして仕入れ
差益
とを別に分けているということで、これは通常そういう
考え方
をしているというふうに聞いております。 それから、
石油連盟
は、私
ども
の調べた範囲内でですけれ
ども
、政治献金を連盟として国民政治協会、これは自民党ですね、五十一年二千四百万、五十二年三千六百万、五十三年五千七百万、そして五十四年四千百六十万。それから政和協会、これは民社党ですね、三百万円、五十四年から始まっています。それから新自由クラブに対しては、やはり五十四年から三百万円政治献金をしているようですけれ
ども
、この点について、私
ども
はやはり
石油連盟
というのは公益的な団体だというふうに思っているわけで、そういう団体が政治献金をある特定の政党にするのはどうかというふうに思うわけですが、
会長
の
考え方
を伺いたいと思います。
永山時雄
112
○
永山参考人
どうも前の数字は私は知りませんが、私になりましてから、五十五年に国民政治協会、政和協会、新自由クラブ、そういうところに対しまして政治献金をしたことは事実でございます。これは、私
ども
はやはり自由経済というものを信奉をいたしておりまして、この自由経済を維持するという意味におきまして、その
立場
から政治献金をいたしたのでございまして、おおむねわれわれと同様な鉄だとかあるいはその他いろいろの
産業団体
がございますが、それらの団体も同じようなことをしておりますので、それに準じていたしておるという
状況
でございます。
岩佐恵美
113
○岩佐委員 終わります。
井上泉
114
○
井上委員長
依田実君。
依田実
115
○依田委員 きょうは、
石油精製
会社
の九月期の
中間決算
が空前の
利益
だ、こういうことでいろいろ議論が行われておるわけでありますが、しかし考えてみると、この
為替差益
であるとか
為替差損
であるとか、言ってみればみんなあなた任せでありまして、われわれとしては、やはりもっと
日本
のコントロール下にある
石油
の
供給
というものをふやしていかなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
通産省
にちょっとお尋ねをしたいのでありますけれ
ども
、いま
日本
が
自主開発
をして入れておる
石油
の量、全
石油
輸入
量のどの
程度
になっておるのでしょうか。
志賀学
116
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。
昭和
五十四
年度
について申し上げますと、いわゆる
自主開発
原油
として
輸入
されましたものが二千四百七十万キロリットルでございます。全
輸入
量の約九%ということに相なっております。
依田実
117
○依田委員 いまのお答えにありますように、
現状
では全
輸入
量の一割にもなっていないということであります。これでは困るのでありまして、
自主開発
というものをこれからもっとふやしていかなければならぬ。特にリファイナリー
利益
が出ているようなときに、
石油精製
会社
をいかにして開発の方へ顔が向くように
指導
をしていくかということが大事じゃないか、こう思うのであります。 もちろん、開発には膨大な資金が要るわけでありまして、それも非常にリスクの大きい資金であります。また、最近はいろいろ開発する場所も、自然条件の非常に厳しい場所になってきておるわけであります。また、資源国の要求が非常に厳しくなって、いわゆるうまみといいますかプロフィット、
利益
がなかなか出ない。こういうことが、開発意欲をそいでいる原因じゃないかと思うのであります。 しかし、そうだからといって、じゃ、この開発をしないというわけにはなかなかいかぬと思うのであります。いま
自主開発
をしているものには、公団そのほか幾つかの形態があると思うのでありますが、これはどういう形で行われておるのでしょうか。
通産省
、ひとつ。
志賀学
118
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。 先生おっしゃるように、
日本
が探鉱開発
事業
をやります場合に、いろいろな形態がございます。昔はいわゆるコンセッション契約と申しましょうか、利権契約を結んで、利権を取って探鉱開発をやるというような形が多かったわけでございますけれ
ども
、最近は、
産油国
側の資源に対する支配というのが進みまして、次第にいわゆるサービスコントラクトであるとか、いろいろな新しいタイプのものができてきておる、こういう
状況
でございます。 そこで、
日本
の探鉱開発
企業
の
状況
でございますけれ
ども
、これはいわゆる統括
会社
というのが、九つでございましたか、ございまして、民間の各グループごとに、
石油
探鉱開発資金のパイプ役という形でできております。そのほかに、いわゆるプロジェクトカンパニーというのがございまして、
海外
であるプロジェクトを遂行する場合に、そのプロジェクトカンパニーができる、そこにそういう統括
会社
が金を出していく、同時に、
石油
公団が適当であるというふうに判断した場合には、
石油
公団がそこに参加していくという形でございます。 そのほかに、申し落としましたけれ
ども
、
石油
資源開発であるとかあるいは帝国
石油
であるとか、昔からの
石油
の探鉱開発
会社
というのがございまして、こういった
会社
も幅広く活躍をしておるという
状況
でございます。
依田実
119
○依田委員 統括
会社
であるとか、
石油開発
を専門にする
会社
だとか、いろいろ形態があるという
お話
でございますけれ
ども
、要は、一番肝心なのは、
石油精製
会社
が開発に余り積極的に取り組んでないということじゃないかと思うのであります。日石であるとか出光であるとか、幾つかございますけれ
ども
、そめほかはどうもそうじゃないということであります。 外国では、もう御
承知
のように、メジャーが開発もやれば精製もやることになっておるわけでありまして、アメリカなどでは、このメジャーが大変
利益
を出したときに、やはり議会でいろいろ追及される。そういうときに、精製で
利益
が出ても、開発で非常にリスクのある仕事をしているのだから、こういう
説明
で国民の皆さんも納得するわけでありますけれ
ども
、
日本
はそこがないからいろいろこういう議論も出てくるのじゃないか、われわれこういうふうに思うわけであります。 そこで、
日本
の
石油精製
会社
がなぜこの開発に取り組まないのか、その辺のことを
永山
会長
にお聞かせいただきたいと思います。
永山時雄
120
○
永山参考人
日本
の
石油業界
というものは非常に
石油
の仕事には立ちおくれておりまして、
石油
の開発あるいは
原油
の取得というものは、
日本
が
石油
問題に取り組んだ
昭和
三十年代ごろには、御
承知
のとおりすでにメジャーが
世界
的にすっかり網を張っておりまして、したがってメジャーから
石油
を買うというような形にならざるを得なかった。そこで、
石油精製
業、販売業といういわゆるダウンストリームという形で
日本
の
石油業界
がだんだんと発展をしてきたわけでございますが、
お話
しのとおり、
石油会社
というには
石油
の開発から、いわゆるアップストリームからやりませんと本来の
石油会社
とは言えないと私も思うのです。そこで、ただいまはだんだんとメジャーの力が衰えて、われわれ自体の力で
石油
を獲得してこなければならぬ。それには
産油国
から直接買うという問題もありますが、しかし同時に自分の力で開発をしていくということを今後大いにやらなければならぬと思っております。いずれの
石油会社
も心がけてだんだんとそういう
方向
に手を出しているのが
現状
でございますけれ
ども
、
お話
のとおり大変リスキーなそして金のかかる仕事でございますので、いまの
石油会社
からすると、勇猛果敢にそれに取り組むことがその体力、金の面からいって非常に因難だという
状況
でございます。ただ、何とかしてそれに取り組んでいこうということで努力をしておることを御了解願いたいと思います。
依田実
121
○依田委員
先ほど
の
会長
の
お話
の中にも、こういう
利益
が出たときに
体質
を改善して開発の方にもぜひ出たい、こういう御意欲は出ておるわけであります。しかし、民間
会社
にこの開発に積極的に取り組め、こう言ってもそれなりの助成を政府がしなければいかぬのじゃないか、こう思うのであります。もちろん、政府に言わせれば公団から七、八割の金を出すのだからこれが一番の援助だ、こういうことになるかもしれませんけれ
ども
、まだそのほかいろいろ、税制の面であるとかそういう面での優遇策が必要じゃないか、こう思うのであります。これはいい例かどうかわかりませんけれ
ども
、北極海の開発など、カナダの例をとれば、税の面で非常な優遇策をとっておるとも聞いておるわけでありまして、
日本
政府としてこの開発についてどういう助成なり優遇政策をとっていくのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
志賀学
122
○志賀(学)政府委員 助成策につきましてお答えする前に、
先ほど
申し落としましたので
日本
の
石油精製
企業
の取り組み方についてちょっとコメントさせていただきます。
先ほど
永山
会長
から
お話
がございましたように、
日本
の
石油
探鉱開発
事業
、これは歴史が浅いということもございまして、従来精製
企業
の取り組み方というのは
比較
的小さかったわけでございますけれ
ども
、最近はかなり積極的に取り組む姿勢というのが出てきておるわけでございまして、現在までの
石油
探鉱開発
事業
に対します民間
企業
の出資額のうち、
石油精製
企業
が負担いたしました割合は二三%ということでございます。これはほかの業種に比べて、当然と、言えば当然でございますけれ
ども
、格段に高い負担を負っておるわけでございます。さらに五十四年だけについて見ますと、民間
企業
の負担のうち四四%を
石油精製
企業
が負担しておる、こういう
状況
でございまして、そういう意味で、先生の御指摘の
方向
に向かって動いておる、こういう
状況
でございます。 そこで、助成措置についてどのようなことをやっているかという御質問に対するお答えでございますが、先生御指摘のように、
石油
の探鉱
事業
について最大の助成、メーンの助成というのは、やはり公団による投融資、これが
一つ
の大きな助成でございます。ただ、そのほかに、公団の投融資と申しますのは
海外
あるいは
日本
周辺海域である、こういうことでございますが、申し上げるまでもなく、最も安定した
供給源
というのは
国内
でございます。これは周辺海域を含む
国内
でございます。その
国内
の
石油
あるいは可燃性天然ガス、これに対する施策といたしまして、
一つ
は、これは基本的な問題でございますけれ
ども
、要するに埋蔵の可能性を把握する、これは
企業
だけではなかなかやりにくい向きがございます。基礎的な
調査
を国がやって、それによって
企業
の探鉱活動を誘導していく、これが
一つ
大事なことだと思いますけれ
ども
、この国の基礎
調査
事業
というものをやっております。特に最近におきましては、国が物理探査だけではなくて、基礎的な試錐をやるということでこの強化を図っているところでございます。 それから、
国内
の
企業
の探鉱活動についての助成措置といたしましては、天然ガスの探鉱費補助金という制度がございまして、大体二分の一の補助率ということで補助をやってまいっております。 それから
海外
につきましては、
先ほど
申し上げましたように公団の投融資がございますけれ
ども
、同時に、税制上の措置といたしまして、
海外
投融資損失準備金制度というのがございまして、探鉱
事業
あるいは開発
事業
に金を出資した
企業
に対して税制上の優遇措置を講じているところでございます。 また、ちょっと申し落として恐縮でございますけれ
ども
、
国内
につきましてもこの準備金制度というのは適用になっておりますし、あわせて減耗控除制度という制度がございまして、これは探鉱
事業
をやった
企業
について税制上の優遇措置を講じているところでございます。
依田実
123
○依田委員 もう時間が、大変短くて、来てしまいましたのであれですが、いずれにしても、こういう
利益
が出ているとき、そしてまた、
永山
会長
の
お話
は、開発から精製、販売まで一貫したものにならなければ
石油会社
と言えない、こういう
お話
でございます。ぜひそういう
方向
でこれから精製
会社
がこの開発に取り組めるように、政府としてもいろいろ施策あるいは環境整備をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。 以上、時間が参りましたので終わらしていただきます。
井上泉
124
○
井上委員長
これにて
質疑
は終わりました。
永山参考人
には、貴重な御
意見
をお述べいただき、まことにありがとうございました。 御退席いただいて結構です。 ――――◇―――――
井上泉
125
○
井上委員長
この際、申し上げます。 本
委員会
に付託になりました
請願
は四十五件であります。先刻の
理事
会で協議いたしましたが、
委員会
の採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。 ――――◇―――――
井上泉
126
○
井上委員長
次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。 本
委員会
といたしましては、閉会中もなお審査を行うため、
物価問題等
に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をすることとし、その手続等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
井上泉
127
○
井上委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 次に、閉会中審査のため、
委員会
において、
参考人
より
意見
を聴取する必要が生じましたときは、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
井上泉
128
○
井上委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会