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岩佐委員 次に、健康食品の問題について
伺いたいと思います。
最近、大変労働強化、
日本人は働き過ぎということ、あるいは公害等で病人がふえたり、あるいは健康に自信のない人が非常にふえております。そういう中で健康食品が大変はんらんをしている。そういう実態があるわけですが、五十三年の七月に
国民生活センターが「健康食品 その
問題点を
考える」というレポートを出しておられます。この中で健康食品についていろいろ書いておられるわけですが、たとえば「「食品」と称しながら健康食品は、種々の点からみて、医薬品的であるということである。食品と称しながら、1その効能効果は食品の範囲を超え、病気の治癒に効くという医薬品的な効果を期待させるものが大多数であること、2形状も丸剤、カプセル、顆粒状、粉末といったように、医薬品的であること、3摂取
方法も特定されているものが多いこと、4価格も通常の食品と比べて著しく高いこと、5味覚の点でも食品的ではないことなど、およそ食品という名にふさわしくない面が多い。すなわち、本来、医薬品として、薬事法に基づいて規制されるべきものが、薬事法のがれのため、食品と銘打っているのではないかと思われるものが多いことである。製造する時点では食品と称されていたものが、販売する時点では医薬品に変身している場合も少なくない。」「効能に関する問題は、現在販売されているもののなかには、効能効果をうたっていながら、それが医学的、薬学的
観点からみても、また経験的にみても明確でないものが多いことである。また、その不明確さを神秘性におきかえてそれをセールス・ポイントにしているものもある。」というようなことが言われているわけですが、実は私、この
委員会で取り上げるに当たって、健康食品の店を回ってみました。
そういう中で気がついたのは、
一つはこういう「密教食」という食品があります。これは食べ物なんですね。「密教食」と書いてある。こういう箱に入っている。ちょっと値段が高いものですから、買ってこようかと思ったのですけれども、商い物になると三千、五千、二万円、三万円なんというものがあるものですから、ちょっと買い切れなくてやめました。あと、食べる気もないものですから。それで、こういう「密教食」で、中がよくわからないものですね。あけてみますと、こういう粒のものなんですね。およそ、これは食べる物かどうか。まあ、薬みたいな感じですね。こういうものが売られていた。あるいは「えんめい茶」という、お茶みたいなものなんですが、あけてみると、何かこれはパンダのえさじゃないかと思うような、クマザサが入っているのですね。こういうものとか、これは「えんめい茶」といって、だからこれを飲むと何か健康がよくなる、長生きする、そういう感じを受けるわけですね。きのう私が買い物をしまして、お金を払う際に、サルノコシカケの最高峰ということでこういうものが出ました、これはとってもいいのです、ガンにきくのです、ということを言っておられました。これの方は、ちなみに、いま食品添加物とか農薬とか、皆さん悪い物質が体にたまっておりますけれども、これを全部外へ取り出すものなんです、というふうに言って、試供品をいただいてまいったわけですけれども、こんなものが売られていました。
そして、では、これがどうかといいますと、この
国民生活センターでは、健康食品による被害があったとする
相談件数、これは五十年、五十一年、五十二年の二年半くらいの間にわたって調べておられますが、たとえばクロレラについて全体で四十五件あるのですね。それからチョウセンニンジンについては二十一件、植物の葉、それから根(ホルモン入り)、そんなものでは十四件、ローヤルゼリーでも十件、それからプルーンというので十二件、こういう被害が出ているわけです。そして読んでみると、その被害の内容なんですが、たとえばクロレラによる被害の四十五件の中身を、時間もありませんのでざっとはしょって読みますと、「(下痢、おう吐、腹痛、胃痛など胃腸障害)一日八錠飲んでいるが下痢をし、吹き出ものができる。飲むとつわりのような
状態になる。食前三十分に六~七粒飲んだら三十分ほどで吐いた。飲みはじめて一週間したら下痢をした。」そういうこととか、それから皮膚炎を起こした。湿疹が出た。そういう、読んでいると何かひどいなあというふうに思うようなものがあります。
それからチョウセンニンジンについては、医学的に一応漢方の中に位置づけられているわけですが、このレポートによりますと、「漢方医学においては体質を虚証、実証に大別し、また病を病勢により陰・陽証に大別し、証にしたがって治療するというが、朝鮮人参は虚証タイプの人には効くが、実証タイプの人には害になるとされている。」その虚証タイプ、実証タイプの説明として、「すなわち、体つきががっちりして太りぎみ、赤ら顔で、のぼせ症の人、高血圧ぎみの人は実証タイプとされ、」だから、この人にはチョウセンニンジンというのは効かないわけですね。こういう医学的なことがあるわけですけれども、チョウセンニンジンを使ったものが無制限に効くかのごとくに売られている。そういう問題があります。
それからあと、クロレラの問題についてはいろいろ調べておられますが、ケンビクロレラというのはこの間問題になった皮膚炎症が出る。東京都の衛生研究所における
調査によると、フェオホルバイドと一致する物質が検出されている。このフェオホルバイドというものは動物実験によって光過敏症を発現する、そういうことが言われているわけですね。「このフェオフォルバイド様物質は、ほとんどのクロレラ中にも微量ながら含まれているといわれる。したがってクロレラを多量常用することは好ましくないとの説もある。」こういう状況が健康食品にあります。
そして、五十四年度に東京都がこの健康食品について実態
調査を行っているわけです。これもまた読んで非常に問題だと思ったのは、たとえば一般の雑菌、これは生きているものですけれども、五十九品目調べたうちいわゆる一般の雑菌は、健康食品には十万個以上のものが十七品目、二九%出た。ところが一般食品の場合には一〇%未満でありました。それから、逆に十万個以下の一般雑菌の場合、健康食品には四十二品目、七一%だったわけですが、一般食品の場合には九〇%近くであった。つまり、一般食品の方がきれいだということですね。それから大腸菌については、検出されなかったものが、健康食品の場合には五九%、三十五品目、ところが一般食品は八〇%あった。検出されたものについては健康食品が二十四品目、四一%、そして一般食品は二十数%と低い。つまり倍、健康食品の方が大腸菌があった。こういう検査結果が出ているわけです。
それから農薬についても、たとえばBHCは規制がある。それから出てはいけないものとしてディルドリンがあるわけですが、こういう農薬がチョウセンニンジンから出ているという状況があるわけです。
それから表示違反が全体の四四%にわたっている。これは非常にわかりにくい。この「えんめい茶」なんかもそうじゃないかと思うのですけれども、たとえば「ミンネリオレ」という名前で売られているもの。これは粉末清涼飲料、それから最近わりあいと有名で、きょうテレビでやったそうですけれども、コンニャク加工品で「ヘルスマンナン」、これもよくわかりにくい商品名ですね。それから「青汁の素」というのですか、清浄野菜粉末、こういうものがひっかかってきている。
それからあと薬事法違反の問題として、五十九検体中三検体薬事法違反ということでこれは明らかになったわけですけれども、東京都が薬事法違反じゃないかということでお
伺いを立てたのは五十九品目中十三品目、つまり二二%とかなり多いわけですね。ところが、薬事法の場合には非常に厳密に四つの
条件でチェックをするということになっているものですから、範囲が狭まってしまう。だから、薬事法違反でとらえることができない。そうすると、あとは一般食品ということになってしまうわけですね。こういう健康食品が野放しになっている状況というのは私は非常に大きな問題だというふうに思うわけです。
物すごい超特急でいろいろ申し上げましたけれども、まず厚生省の、今後こういう健康食品をどうしていかれるのかということについて簡潔に
お答えをいただきたいというふうに思います。