○松沢
委員 農林省の方では、去年から
農林水産技術会議でいろいろ研究を始められたようですね。しかし、研究を始められたのに、研究の中間報告だとかそういうものが全然出ておりませんですね。これは一体どういうことなのか。
それから、
農林省ではえさ米というのは
生産しても経済ベースに乗らないのだ、こういう理由を挙げておられるわけですね。もう
一つの理由といたしましては、識別が困難だという理由なんですね。でありますけれ
ども、民間の方でもこれは研究がずっと進められてきているわけなんです。それで、いま成績を上げておりますのがアルボリオJ一とJ十でありますけれ
ども、これは非常に大粒でありまして、普通の米の一・五倍から二倍ぐらいな大きさなんですよ。だから識別が困難だなんということは全く根拠がないと私は思います。それからもう
一つは、米にすると粉々になってしまうのですね。でありまするから米にはならない、
食糧にはならない。こういう品物でありますから、識別が困難であるということにはならぬわけです。
それから、経済ベースに乗らない、こう
お話なんでありますけれ
ども、確かに米は
日本の価格でトン二十八万円ぐらいでありますけれ
ども、えさはトン三万円ぐらいですね。だから比較からして問題にならぬじゃないか、こういう
お話でございますけれ
ども、トン三万円というのは港の価格なんでしょう。農家の庭先価格ではトン七万円ぐらいになっておるのですよ。ところがこの研究の結果、どの程度それじゃこのえさ米というのがとれているのであるかとなりますと、ことしの成績では六十キロを一俵にいたしましてJ十が二十二俵とれているのですよ。
〔菊池
委員長代理退席、
委員長着席〕
だから、民間の方が
農林省の方よりも研究は進んでいる。もうすでにこれは十年ぐらい研究しているわけなんですね。二十二俵とれて庭先価格でトン大体七万円程度となりますと、
外国のえさと比較してそう経済ベースに乗らないというものではないと思うのです。
それからもう
一つは、そのほかにわらがとれるわけなんですね。わらが大体トン二、三万しているわけなんでありますから、それを足しますと十万近くの反当
生産というのができる、こうなるわけでしょう。こういうものが、いま水田をつぶせということで、そしてその水田の中でこれは行われるわけですから、要するにこの
答申の中にも出ておりますが、潜在
生産力を確保しておかなければならぬと言っておられるわけです。だけれ
ども、潜在
生産力を確保するなんて言ったって簡単にできません。やはり水田は水田なりに使っているということによって確保ができるわけなんです。そういう点からいたしますと、
農林省が否定しておられるところのいわゆる反論ですか、われわれはこれを認めるべきである、こう批評するのに対して反論しておられますけれ
ども、反論の根拠は非常に薄いのじゃないか、こう思うのです。
そして、
農林省の
技術会議等でいろいろ研究もしておられるわけでございますけれ
ども、それよりも先に民間の方が先行している。民間の方が悪い、それから官の方はいいという理屈も私はおかしいと思うわけなんでありまして、こういうものが
生産されているという
現実の上に立って、転作を進めていこうというようなことを言って無理な青刈りなどをさせるよりは、えさの米をどんどん
生産をして、そして
輸入の数を幾分なりとも減らしていくというところの
努力が
日本の
畜産を
振興させる
一つの足がかりということになるのではないか、こんなぐあいに
考えているわけなんでありますが、問題は
大臣がどういう決断をつけられるかという問題だと思います。
そしてまた、鳥取県でえさ米の
農業協同組合の設立ができたわけでありますが、まだ認可申請を出していません。それはどういうことかというと、いろいろな理屈をつけてそれを認めようとしないわけなんです。要するにだんだん聞いてみますと、やはり本省の方の指示によってわれわれは動いていると県庁の役人は言っているわけなんです。何でそういう
日本の
農業の発展のためにいろいろ工夫をしているところの者に対してけちをつけ、そして
農林省の方で抑えるのか、そういうことは私はけしからぬと思いますが、こういう点につきましても
農林大臣の方でひとつ御見解を賜りたいと思うわけなんです。