○松沢
委員 大臣、農林省の物の考え方が間違っているのじゃないかと思うのですよ。さっきも官
房長の方から御
答弁ありましたけれ
ども、
現金収入の面からするならば、これは共済金も早期支払いをやるようにやっているんだ、それも金のうちなんだ、こういう
意味のことを御
答弁しておられますけれ
ども、これは御
承知のように三割足切りなんですよね。でありますから、たとえば四百五、六十キログラム、そういう反収があったとしても、その七割を引き受けるということになるわけなんでありますから、これは私の
計算からいたしますと、たとえば四百七十八キロの
基準反収の場合におきましては三百三十五キロを引き受ける、こういうことになるわけですね。それで結局、キロ当たりの共済金というのは二百七十円から八十円
程度ということになりますから、
収穫皆無になったといたしましても、反当九万五千円
程度しかもらえないことになるわけです。ところが、稲作の場合におけるところの農林省の統計からいたしましても、反当たりの第一次
生産費の面を見ましても十一万九千八百円ということになっているわけなんです。したがって、共済金をもらったといたしましても、なおかつ二万四千四百円ぐらい足りないということになるのですよ。だから、借金を払うにも払えないという
状態が共済金をもらった時点の
農家経済ということになるわけですよ。だから、
現金収入というものを何とかしてやらなければならないということで、救農土木を起こしてやってもらいたいということをこの
委員会でも決議をしておるわけなんです。
ところが、聞きますと五十一年災でさえも百十億の金というのを予備費から繰り出して別途に使っている。ところが数十年来の大凶作でございますというときに、全然金も出さないで救農土木をやっているなんということは、これはおこがましいと言わなければならぬじゃないですか。だから私はそういう点で、どうも
大臣は十月いっぱいは
災害に取っ組んでやるのだ、それ一心にやるのだ、こう言っておられますけれ
ども、
大臣の熱意と農林省のやっているところの結果というのは全く合っていないじゃないか、これを
大臣は一体どうお考えになっているかということ。
もう一つは、公共
事業というものを二百四十億繰り上げてやったといたしましても、労力、つまり労賃部分、これが大体二〇%、よくいって三〇%になるかどうか、山の方はそのくらいになるのではないかというようなお話でございますけれ
ども、実際はこういうことをやっても、やはり土建業者の皆さんを利する面の方がむしろよけいであって、被災農民に対するところの受ける
割合というのは非常に不足になってくるのではないか。
私は新潟県でございますけれ
ども、
昭和四十一年、四十二年の連年の水害を受けたことがあるわけなんです。これは
大臣も新潟県から嫁さんをもらっておられますからよくおわかりだと思うのですけれ
ども、とにかくこれは大変な
被害でございまして、当時の県知事は、それに対しまして二億円の金を出して救農土木
事業というものをやったわけです。その中身は一体何であるかということになりますと、天地返しをやるにも、被災者手帳というのを被災者の
農家の皆さんに全部交付いたしまして、そして村単位でたんぼの天地返しをやるとか、あるいはあぜを直すとか農道を直すとかというところの仕事に出てきた人たちにちゃんと手帳に印をつけまして、それに対して幾らという金を払ったわけなんですよ。だから、今回の場合におきましても、青立ちになっている、刈り取ってから出かせぎに行ってくれと言っても、刈り取ってから出かせぎなんかに行かぬで、帰ってきてから火をつけて燃やした方がいいじゃないかという考え方も出てくる。だから、そうした場合、青立ちになっているものを青刈りをする、その場合においてはちゃんと手当を出してやる、あるいはまた天地返しをやった者に対しては手当を出してやる、こういうぐあいにしてやっていかなければ、本当の救農土木ということにはならぬではないか。
二番目の政府の対策といたしましては、
市町村の方でいろいろなことを工夫してやったものに対しては
地方債を認める、そして公庫から金を出してあっせんをしてやる、こういうことを言っておられるわけでありますから、要するに
市町村でやるところの仕事、いま私が申し上げましたようなものを含めましてのそういう仕事に対しまして、政府の方ではまだ一銭も金を出しておらぬわけだから、いまからでも遅くございません。これはやはり
大臣が決断をつけて、そういうところの
市町村に対しては、何らかの方法で政府の金でめんどうを見てやる、こういうことをはっきりしてもらいたいと思うわけなんでありますが、
大臣はどのようにお考えになっておりますか。