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島田委員 ことしは
冷害の年になりまして、東北、
北海道におきます大事な
水稲作は大変残念な結果に終わりそうな気配の中で、
畑作の
主力になっております
てん菜がいま御
報告のような
状況でほぼ
収穫ができるというのは
大変慶賀にたえないところでありまして、
政府自身も
閣議で七万七千ヘクタール、おおよそ三〇%の
自給率を
目標にして進めております
甘味対策の立場からいって大変喜んでいい、こういうふうに考えておるわけであります。不幸中の幸いといいますか、
畑作に大きな
冷害の影響が出なかったというのは、私も
北海道に住む者の一人として大変うれしく思っておるわけであります。しかしながら、ややもすると
農家の間に
不安材料となって出てまいりますのが、
てん菜がこんなにいいのだから
価格がまた
豊作貧乏みたいな結果になるのでないだろうか、したがって、今度の
価格決定に当たっては
政府の
決定を非常に神経質に見守っているというのが
農家の心情であるというふうに私は理解をしているのであります。
さて、この際、
目標自給率に近づきつつあるというふうに私は喜んでいる一人であります。しかしながら、現場におきましてもう
一つ心配がありますのは、
ビートは大根のまま食べるわけにはいかない
作物でありまして、当然
砂糖にしなければいけない。そういたしますと、現状八
工場の
処理能力というのに
大変心配がございます。昨年も一部操業の日数が
予想以上に延びまして、三月以降の
処理については
大変危惧をいたしましたが、幸い天候が助けをしてくれましてそんなに大きな
ロスを出さないで
処理をすることができました。しかし、いま御
報告のとおり三百四十万トンという
原料ビートを抱えるわけでありますから、
処理に対して相当真剣に取り組まないと、せっかくつくったものが
最終盤で
ロスばかりで
砂糖ができないといったような結果にもこれはなりかねません。私は年来、七万七千ヘクタールの
閣議決定の後を受けて早急にそこへ持っていくための
受けざらづくりが必要だということを言ってまいりました。いままでは幸い私が言ったようなことにならないで八
工場で
十分処理ができてまいりました。これは
国内糖業の
皆さんの大いなる努力によるものであって、私はその点は敬意を表するわけであります。しかし物理的な問題はやがて大きな壁にぶち当たるという
心配を私もいたしておりまして、やはりこの際
政府としては、言葉としては適切であるかどうかわかりませんが、やはり
完全処理をして
砂糖をつくるというところまでの
受けざらづくりに真剣に検討を加えなければならない時期に来ているのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、その前に、いまのような一〇%
水準で来年も再来年も
伸びていくなどと考えるということはきわめてむずかしいと思うのでありますけれども、しかし、いま
北海道にとって、
作物を並べて見ている中ではだれが何と言ったって
ビート抜きにして経営はできない。つまり、
ローテーションの問題
一つ考えましても、あるいは将来の地力を維持していくという大事な基本の問題にしても、
ビートというのは
重要作物の
一つとしてこれからも依然
農家の間に定着し続けていくであろう、こう考えますと、
政府の施策よろしきを得れば私は七万七千ヘクタールの
目標達成はそんなに困難ではない、こんなふうに実は
見通しを持っている一人であります。
したがって、私がいま申し上げました単にこれを
完全処理するというそういう受け
ざらだけではなくて、いま御
報告の最後にありました
稲転のこういう問題だって、今後さらに
政府としては
北海道の米に対して大変厳しい制約を加えるというような考え方がありますから、私はこれ以上
稲転の
ビートがふえるということには賛成ではありませんけれども、しかし、何をつくればいいかというふうに混乱をいたしてまいりますと、当然
単位当たり収量を目指した
作物に指向せざるを得ない。そうなってまいりますと
ビートに
作付指向が流れるというのは避けることができないのではないか。ですから、この辺のところは、これから第二期
減反政策に対して私どもは物申してまいりますが、
北海道にこれ以上の
水田の
転作を強要するというようなことになれば、あわせて
皆さん方がお困りになるような
作物の方に流れていくという
危険性が当然考えられる。こういう
相関関係を持っているということを
大臣しっかり腹に置いていていただきませんと、単に
北海道の稲をつぶしてしまえばいいんだということだけでは済まないという問題になっていくわけであります。
そしてまた、いままでは
転作の後作として
ビートづくりが可能な土地がある
程度残っていました。しかし、これから
水田から移行する場合には、湿田であって、
ビートをまいたって適切でないということがわかっていてもまかなければならぬということだって起こり得る。これでは
ビートのいわゆる
砂糖づくりの
本命としては逆行するものだというふうに私は考えるので、そこに
本命を置いた
ビートの
面積の拡大というようなことは限度があるし、やるべきではない。そうなってまいりますと、
畑作の中におきます
ローテーションを考えた
ビートづくりということになるのが当然であります。そういたしますと、これは逆説的になりますけれども、七万七千ヘクタールのそれでは
面積確保はなかなか困難だということにもなりかねません。しかし、テンポが落ちるというぐらいのところでいってくれればいいですけれども、また
面積が
停滞するあるいは減退する、こういうふうな形にもなりかねないといったような問題も出てまいりましょうが、当面その問題は別にいたしまして、三百三十万トン、四十万トンという
原料ビートを抱え込んでこれからいくということは、
北海道の
ビートづくりとしては
一つ考えに置いておかなければならない点だろう。こうなりますと、
受けざらづくりというものは急がなければならない。こういう点についての構想が
政府当局におありなのかどうか、その点をお聞きをしたいと私は思うのです。