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1980-11-18 第93回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十八日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 鈴切 康雄君    理事 神田  厚君       上草 義輝君    小渡 三郎君       粕谷  茂君    片岡 清一君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    笹山 登生君       田名部匡省君    船田  元君       宮崎 茂一君    上原 康助君       矢山 有作君    安井 吉典君       渡部 行雄君    市川 雄一君       小沢 貞孝君    小沢 和秋君       榊  利夫君    中島 武敏君       河野 洋平君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         行政管理政務次         官       堀内 光雄君         行政管理庁長官         官房審議官   林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         内閣総理大臣官         房参事官    三上 義忠君         大蔵省主計局主         計企画官    藤原 和人君         大蔵省理財局資         金第一課長   亀井 敬之君         大蔵省理財局地         方資金課長   長島 和彦君         大蔵省銀行局特         別金融課長   日向  隆君         厚生省年金局資         金課長     阿部 正俊君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      三野 正博君         運輸省港湾局管         理課長     佐々木建成君         気象庁総務部長 森  雅史君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     佐藤 仁彦君         建設大臣官房住         宅・都市整備公         団(仮称)設立準         備室長     中村 博英君         自治大臣官房総         務課長     坂  弘二君         自治省財政局地         方債課長    持永 堯民君         会計検査院事務         総局事務長官         房総務課長   秋本 勝彦君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社厚生局長   澤田 道夫君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 十一月十八日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     船田  元君   田村  元君     片岡 清一君   角屋堅次郎君     安井 吉典君   榊  利夫君     小沢 和秋君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     田村  元君   船田  元君     有馬 元治君   安井 吉典君     角屋堅次郎君   小沢 和秋君     榊  利夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時行政調査会設置法案内閣提出第二四号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  臨時行政調査会設置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 きのうで臨時国会も終わるのじゃないかと思いましたが、また十二日間延長になりまして、きのうのきょうでいささか戦意もそがれているのですが、当委員会にはまだ審議をしなければならない関係法案がかなり残っているということもありまして、不本意ながら、この臨時行政調査会設置法案に対する質問を続けさせていただきたいと思うのです。  そこで、これまで同僚委員の方からいろいろとお尋ねもありましたし、また私も、すべてほかの方々の御質問を聞いたわけじゃありませんが、大方本法案に対する重要な点についてはお尋ねがもうなされたような感じもいたします。しかし、まだ釈然としない点あるいはお尋ねをしておかなければならない点もかなり残っておるような感がいたしますので、若干重複をする点もあろうかと思うのですが、中曽根長官を初め各関係者の誠意ある御答弁を求めたいと思います。  そこで、まず最初に、法案についていろいろ確認をする点も含めながらお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、最初に第一次臨調と、この第二次臨調法案といいますか、この二つの相違点というのは一体どこにあるのか。また相違点がなければないでいいわけですが、改めて設置をする趣旨なり目的なり、あるいは一次臨調、二次臨調相違点、そういうのがあれば、ひとつ御見解を聞いておきたいと思うのです。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一次臨調は、前に申し上げましたように、高度成長期の玄関に立ちまして、行政診断を行うという意味性格が強かったと思います。今日はその経験を踏まえまして、安定成長時代に入りまして、新しい行政あり方につきましていろいろ指針をつくっていただくという性格が強いと思います。一次臨調の場合には、委員構成が七名でございましたが、今度は九名にふえます。また一次臨調は三年有半かかりましたけれども、今回は二年で打ちとめにしよう、そういう点が変わっておると思います。
  5. 上原康助

    上原委員 いまお答えがあったわけですが、確かに御答弁がありましたように、第一次臨調設置時代と、また今日のこの置かれている環境といいますか状況は異なっているというのは、私たちも否定はいたしません。  そこで、いま長官お答えがあったわけですが、第一次臨調の際にはいわゆる権威の高い行政診断機関として位置づけられているわけですね。今回の第二次臨調行政調査会は、権威の高い調査審議機関としての位置づけをしているわけです。委員の数なりあるいはこの行政診断といいますか審議をする期間は、第一次が三年で、今回は二カ年で打ちとめどいいますか、二カ年間でこの作業を終わるということですが、一体権威の高い行政診断機関ということと権威の高い調査審議機関というのはどう違うのか、そこいらはきわめて漠然としているわけですね。行政診断機関というのは、あるべき行政機構あるいは態様といいますか構成、そういうのはどういうものなのかを全般的に分析してとらえてみるということかもしれませんが、調査審議機関というふうに位置づけますと若干違ってくるような感じがするわけですね。もちろん、その答申される内容も違う面が出てくるのではないかという感じが私はするわけなんですが、そこいらの相違点は一体何なのか、これをもう少し明確にしておいていただきたいと思うのです。
  6. 林伸樹

    林政府委員 第一次臨調におきましては、いわゆるお役所仕事を排しまして行政に近代的、合理的な思想を導入する、民間高度成長時代に非常に生産性が上がった、役所がそれに追いつかなければならないということで行政近代化をするというようなことに主眼が置かれておりまして、専門家の目から見て行政運営近代性非合理性、これの実態を診断していただくというようなことで調査診断機関と私どもは呼んだわけでございます。しかし、今回の臨時行政調査会におきましては、むしろ今後における行政のあるべき姿を国民的立場に立って調査検討し、そのビジョンのもとで現行の行政を抜本的に改革する構想を審議し立案していただくというようなことが課題になっておりますので、今回はこれを私ども調査審議機関というふうに呼んだわけでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 そうしますと、今後の行政機関のあるべき姿を調査審議をして、抜本的改革というか、それを推進していくためにこういう調査審議機関という位置づけをしたのだ。せんだって長官から、財政再建問題と行政改革関連性はある、あるいは一体のものじゃなくしてそれぞれの性格を持っておるのだ、財政再建が必要であろうがなかろうが、行政改革というものは必要なんだという趣旨の御答弁があったかと思うのですが、いまの答弁からすると、今日の経済社会情勢立場に立ったということになると、含みとしては財政再建ということに非常にウエートが置かれているのではないかという感じも受けるわけですね。われわれも全く無関係のものとは考えないわけですが、今度の調査審議機関として位置づけたということと財政再建とのかかわりにおいてはどう関連づけ、位置づけようとしているのか、ここいらの点についてももう一度改めて御所見を伺っておきたいと思うのです。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調は、財政再建のためにのみつくられるものではございません。前から申し上げましたように、行政制度及び行政機能について改善策をつくっていただくというのが趣旨でございまして、行政制度行政制度としての独自の性格を持っておると思います。したがって、第二次臨調財政再建のためにのみ設立されるものではございません。しかしながら、現在の世の中の客観的情勢国民世論考えてみますと、やはり政治国民世論背景にこれをくみ上げてやらなければならぬ性格のものでございますから、そういう政治的配慮として、やはり財政再建に役立つという結果が出てくるということもまた忘れてはならない一面になってきている、そう思います。
  9. 上原康助

    上原委員 その点はまた後ほど具体的な問題とあわせてお尋ねをいたしますが、財政再建のみを目的として設置をされるものでないという点だけは明確にしておきたいと思います。  そこで、次に任務の件ですが、第一次臨調の際は、その任務は「行政改善し、行政国民に対する奉仕向上を図るため、行政実態に全般的な検討を加え、」云々とありますね。それを任務としておったように受けとめているわけですが、今回の第二臨調においては、前段の「行政改善し、行政国民に対する奉仕向上を図るため、」という文言はなくなってしまっているのですね。なぜそういうふうになったのか。もちろん「奉仕」という表現そのものも私は必ずしも的確であるかどうかは疑問を持ちますけれども、しかし、いずれにしても、この点が第一次と二次の場合に違いが出てきている。その理由、どうしてそういうふうになったかということをお答えいただきたいわけです。これはいわゆる守備範囲見直しということを考えてのことなのか、言うところの官業民業移行などの名のもとに、これまでの長官の各委員とのやりとりを聞いてみましても、行政守備範囲見直しということをかなり強調されておるやに感じられます。私は、官業民業移行といいましても、必ずしもそう簡単にいかない点が多いのじゃないかという感じもするわけですが、そういった前段で申し上げましたような点が落とされているということは、そういう官業民業移管などの大義名分のもとにといいますか、それを盾にして弱者切り捨てなりあるいは福祉後退を余儀なくされる危険性はないかという疑問を持たざるを得ないわけですね。これも後ほどまたお尋ねをしてみたいわけですが、いずれにしましても、いま申し上げましたような点が、私が知る限りにおいては、第一次臨調と今度設置をしようとするものとの異なった点として出てきているわけですが、この真意はどこにあるのか、この点もひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  10. 林伸樹

    林政府委員 第一次臨調の主要な課題は、先ほど申しましたようにお役所仕事を排し、民間における技術革新等に対応して行政近代化能率化を進めるというようなことで、国民に対してサービス向上を図る、こういうことでございました。このような行政運営改善、これは今後とも引き続き進める必要があるわけでございますけれども、今後の行政改革の推進に当たりましては、高度成長から安定成長へという社会的経済的に非常に大きな変化がございます。そこで適正かつ合理的な行政あり方というものも、やはり追求していかなければならない、国民負担との関係においてそういうことも考えていかなければならないということが非常に重要なテーマになってきていると私ども考えているわけでございます。それで本法案目的も先生御指摘のようなことにしたわけでございます。  このような観点から、今回の臨時行政調査会審議の結果、充実を図るべき部門は当然指摘されると思いますが、また一方、合理化を要する部門についてもいろいろと指摘されるということを私ども期待をしているわけでございますが、ただ全体として行政水準を非常に切り下げるとか弱者切り捨てる、あるいは福祉後退させるというようなことを目的としているということではございません。
  11. 上原康助

    上原委員 その点は長官の方からもお考えを聞いておきたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま政府委員が申し述べたとおりでございます。
  13. 上原康助

    上原委員 全体としてはそういう弱者切り捨て、とか福祉後退を意図したものでない。もちろんそういうお答えしかしないと思うのですが、しかし、その面への懸念が相当持たれているということもぜひ御留意をいただきたいと思うのです。  次に、この調査会意見または答申についてですが、もちろん現段階でどういう答申になるのか、あるいは意見になるのか予見をすることは控えたいし、またそうすべきでないかもしれませんが、いずれにしても、この調査会設置されて、二カ年間にわたる作業の結果というものに対しては、行政改革に対する相当のものが出てくることは予測できるわけですね。  そこで問題は、調査会内閣総理大臣意見を出す、報告をするということになっているわけですが、この設置法では、要するに「内閣総理大臣から国会報告するように、内閣総理大臣申し出ることができる。」となっているわけですね。     〔委員長退席染谷委員長代理着席行政改善問題については行政府がその責めに任ずるということではそれでいいかもしれませんが、この調査会が出す内容なり問題点国民及びその代表たる国会——たとえば人事院がいろいろ給与問題その他で勧告を出す場合は、内閣国会勧告書を出しているわけですね。そういうふうに総理大臣が必要を認めたというか、そういう申し出があったということにとどめるのではなくして、やはり国会にも直ちにというか同時にその内容勧告する、報告するということがよりベターじゃないのかという感じもするのですが、なぜそういう手法というか方法をとっておられないのか。この点もぜひお考えを聞いておきたいと思うのです。
  14. 林伸樹

    林政府委員 調査会意見につきましては政府の責任で実施する。したがって、答申はまず総理大臣に出していただくわけでございますが、内閣総理大臣管轄下にある調査会意見等につきましては、やはり法制上三権分立の考え方等もあり、まず総理大臣報告をしていただき、国会への提出について閣議決定した上でこれを国会報告するという形式をとった方が好ましいのではないかということでこのような形式にしたわけでございます。
  15. 上原康助

    上原委員 そうしますと、これは当然のことでしょうが、第一臨調の経緯を考えましても、当然内閣総理大臣を通じて国会には報告されるということでいいわけですね。
  16. 林伸樹

    林政府委員 前回調査会におきましても改革意見総理大臣に出されまして、その直後に閣議決定を経て国会に出されておりますし、今回も当然そのようにされるものと私ども理解しております。
  17. 上原康助

    上原委員 仮定のことでお尋ねすることになるわけですが、いまの答弁では、答申が出て閣議決定されて後に国会報告するという手順があるわけですね。それはそれなりにわからないわけではありませんが、答申そのもの全体が閣議決定になるのか、あるいは取捨選択をした中での閣議決定になるのか、そこいらはいまの段階では的確なものにはならないかもしれませんが、そういう選択の範囲というのは残っているのか残らないのか、そこも重要な点だと私は思うので、ちょっと御見解を聞いておきたいと思うのです。
  18. 林伸樹

    林政府委員 調査会の方では、調査会のつくった改革案そのものをそのまま国会に出してくださいというのが前回の例でございますし、恐らく今回もそのようになると思います。そうしますと、総理はそれを尊重しなければならないということで、案の決定でなくて、出てきたものを国会に出すという閣議決定をしていただいて、それを出していただく、こういうことになると思います。
  19. 上原康助

    上原委員 次に、委員会構成の問題でちょっとお尋ねをしておきたいのですが、これもすでに何回かお尋ねもありましたし、また長官の御答弁も聞いたわけですが、先ほども前回七人が今回は九人になったということの御答弁があったのですが、第一次臨調では委員の数は七人であったということと、もう一つ大事な点は、第一次臨調設置の際には、超党派的なきわめて権威の高い機関臨時に設けるという表現も随所にあります。今回はこのような文言はほとんど落ちているという点も注目しておきたい点ですね。それにたしか先回の場合の三十六年の際は、委員は七人ですが、中立的なお立場に立つ人あるいはマスコミ財界官界OB労働界法曹界学界からそれぞれお一人が選任されておったのじゃないかという感じがいたします。今回の第二次臨調では九人となって二人増加されているわけですが、せんだって同僚委員の方からお尋ねがあったときには、地方団体といいますか、地方公共団体の方から入るのは適当だと思うという長官の御答弁があったやに記憶いたしております。  そうしますと、今回その人選は全く白紙だというふうに余りお触れになりたがらないのですが、しかし、その委員として上がってくる背景は、個人個人のお名前はここでお述べになるのは、現段階では法律もまだ審議中ですから確かにむずかしい面があるかと思うのですが、私がいま挙げたバックグラウンドといいますか、そういう面は前回と大体同じような人選になるのか、そこが一点。  もう一つは、追加されるというお二人については、仮にお一人は地方自治団体代表者ということになりますと、あともう一人はどうなのかということです。  それと一番大事な点は、私がさっきも申し上げましたように、これら委員人選に当たっては、やはり超党派的な立場に立ち公正を期すべきであると私は思うのです。特に財政再建問題あるいは行革に対する意見も必ずしも十分なコンセンサスが——行政改革をすべきである、むだを省くべきであるという点では共通しているわけですが、よく言われますように、各論になりますと、いろいろな御意見があることもおわかりのとおりなんですね。そういう面からしても、この委員会構成ということ、あるいは運営ということには私たちも十分な関心を持たねばなりませんし、また国民も多くの期待関心を寄せておられると思うのですね。したがって、そういった国民各階層の意見十分反映をさせた行政改革答申あるいは意見、声を集約するということにおいては、やはり中立的な立場に立った、公平に運営をしていくという、ある意味では超党派的な立場に立つ公正な人選というものが一番肝心だと私は思うのですね。何と言ったって仕事を進めていくのはこの九人の委員方々ですからね。そういう面で、改めてこの人選に対する長官の確たる御見解を聞いておきたいと思うのです。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 上原さんが最後にお述べになった要件につきましては全面的に賛成でございまして、そういう考えに立って人選すべきものであると考えます。
  21. 上原康助

    上原委員 最後というと、超党派的立場に立つ構成ということですか。——そうしますと、改めてお尋ねをするのですが、第一次臨調のときにはマスコミ界あるいは財界官界OB労働界法曹界学界と大体分かれていますよね。それにこの間長官おっしゃっていましたように地方代表。大体八名くらいはどういう分野から選出されるであろうということはある程度想像されるのですが、残ったXはどういうことをお考えなんですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ人選につきまして具体的にどういう方面から出すかというようなことは一切触れておりません。超党派的に日本の各界を代表する公正な世論を反映し得る見識ある方をぜひ選任すべきであると考えております。
  23. 上原康助

    上原委員 これは念を押すようで恐縮なんですが、委員構成いかんが第二次臨調の成否にかかわると私は思うのですね。そういう意味では、人選に当たっては、国会はもとよりですが、国民の側から見ても、なるほどこの方々行政診断行政改革についてのいろいろな意見を集約していかれるとするならば期待が持てるだろう、そういう人選というものをぜひやってもらわなければならないと思いますし、そこでつまずくと、第二次臨調設置をした目的そのものがやはり半減すると私は思いますので、念には念を入れてこの点にはひとつ十分な御配慮を賜りたいということを重ねて要望をしておきたいと思うのです。  そこで、調査会調査審議事項との関係でちょっとお尋ねをしておきたいのですが、せんだってからいろいろ長官の御答弁を聞いてみますと、何を調査してもらうのか全く白紙だと言っているわけですね。もう見識のある方々だから権威のある委員会にするのでフリーハンド政府としては臨みたいということを盛んに強調しておるように私は受けとめているのです。しかし、若干これも疑問があるのです。すべて任せ切りということになりますと、結果としては、権威のある委員皆さんがこういう意見書なり答申を出したのだから尊重しなければならないというように法律ではなっている。だからこうするのだということに結びつきかねないわけですね。さっきも言いましたように、福祉後退とか弱者切り捨てとか出血問題とか、後で若干聞きますけれども、そういう答申が仮に出たとしても、いやこれは尊重しなければならないのだ、お任せしたのだからということでは、私はいかないと思うのです。ある程度の大枠程度委員皆さんに、あるいは専門委員を含めて作業を進めていく段階では、政府としてはこういう行革をしたい、こういう面で意見を求めたいというものをアウトラインとしては出すのが筋だと私は思うのです。その方がまた、二カ年という期間でより着実に作業を進めていく上においてはいいと思うのですが、これが全くフリーハンドだ、白紙だということになりますと若干疑問があるのですが、この点まず改めて御見解を聞いてから少し中身に入ってみたいと思うのです。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法案にありますように、やはり行政制度あるいは行政機能等につきましていろいろ調査審議を願うというように一般的に考えておりますが、当然中央と地方関係とか、あるいは官業民業関係とか、あるいは公務員制度あり方とか、そういうような問題は問題点になるのではないかと予想しております。
  25. 上原康助

    上原委員 そこで、十月十七日の「新たな臨時行政調査会設置趣旨」というのがありますね。これにも若干触れられているわけですが、後でこの点はまとめてお尋ねいたしますが、いまも御答弁がありましたように「新たな臨時行政調査会設置趣旨」、このいま私が挙げたものによれば、調査会検討課題の基本的な考え方として、おおむね次の三点を挙げているんじゃなかろうかと思うわけです。  第一点は「今後における国民行政、」いま御答弁がありましたように「官業民業、国と地方の間等の基本的在り方を確立するとともに、行政の簡素効率化を一層推進するため、行政の責任領域の見直しを図るなど行政運営の抜本的な改善方策を検討」させる。第二点目は「我が国社会の今後における新たな時代への移行に対応するよう行政組織、公務員管理その他の行政の基本に関する諸制度についての所要の見直し」を行っていきたい。そのための審議調査といいますか、そういう点。第三点目は、「このほか、我が国行政において基本的な課題を抱え、総合的視点から見直しを要する分野の行政について、必要に応じその改革方策を検討」させたいということのようですが、大体調査審議事項の主な点としては、いま私が言ったことが当たっているのかどうか、そのほかにもあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  26. 林伸樹

    林政府委員 第二次臨調は、私どもがこれまで検討してきました設置の経緯からいたしまして、いま先生がお述べになりましたようなことが検討課題の基本的なテーマになるであろうというふうに私ども考えるわけでございますが、こうした中で実際それでは具体的にどういうテーマを取り上げるのかということになりますと、これは委員の先生方が決まってからそこでいろいろ議論をされて、その先生方の意向を踏まえて具体的に決めていく、こういうふうになるものと考えております。
  27. 上原康助

    上原委員 いま申し上げたのはこれにも書いてありますが、ある程度漠然としている面があるわけです。よく言われておりますように行政改革を実効あるものにするためには、これは大臣もおっしゃっておられるように思うのですが、単なる機構いじり、あるいは人減らしを主目的とするようなことであってはならないと私は思うのです。そうしないまでもできる点もいろいろあると思うので、その前段のことがまだなされていないんじゃないかという感じさえするわけです。まず行政事務、事業の見直し、その軽減が第一主題にされるべきではないかという点ですね。その上で、機構、人員のあり方というものを検討していくべきじゃないのか。  後で公務員の先進諸国との比較数においても改めて聞いておきたいのですが、せんだっても長官は、公務員の質というものはフランスと日本が一番いいと思うということをおっしゃっておったわけです。地方と国の責任領域の問題とか官業民業移管というようなことが主な審議事項とされるということになると、やはり行政事務量とか事業の見直し、その軽減ということよりも人員ということが重点的に取り上げられる懸念はないのかどうか、この点もぜひ見解をお聞かせいただきたいと思うのです。  さらに中曽根長官は、今後の行政改革の基本的な考え方においては、今回の行政改革は複雑肥大化した行政実態にも切り込むことを主眼とするもので、いわゆる機構いじりや器減らしを重点とするものではない、こういうことを再三強調しておられるように思います。さらに、法令、許認可の廃止整理、何回も言うようで恐縮ですが、官業の民営移行、規制監督等の見直しを断行するとしているわけですが、第二次臨調検討課題というものもこういうことが主題となると考えてよいのかどうか、この点改めてひとつ御見解を聞かしておいていただきたいと思います。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調は人員整理のみを目的にして行うものではございません。やはり行政制度の改革あるいは行政機能改善、そういうようなものをいろいろ審議調査を願って、そして改革案を出していただきたい、そう思ってやるものでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 その点は何回もおっしゃっておりますので、ぜひその趣旨が生かされるように要望申し上げておきたいわけです。  もう一点は、先ほどもありましたように地方公共団体と国の関係ということがしばしば強調されております。その線引きの問題も大変むずかしいのじゃないかという感じがするわけですが、今日地方時代とかあるいは地方分権の時代と言われている時勢ですから、政府はまず地方の出先機関あり方とか、あるいはもっと地方に権限を委任してもいい分野が相当残っていると思うので、そういう地方と国との許認可事務を含めての整合性のある改革を主点とすべきであって、せんだっても若干出たのですが、地方公務員の給与の問題とかあるいはまた人員の問題、これはある面では自治省なりそれぞれの地方自治体の権限の範囲なんですね。やはり二次臨調で最も主題とすべきなのは、もちろんそういった実態についての把握ということは私は必要性はあると思うのですが、行政上の手続問題とか許認可の問題、地方機関でできるものも国の方でやっているところに事務の繁雑さというものがあって負担も重なっている、そのことを審議事項の面においても主題にしていくべきだと思うのです。この点はどうなんですか。
  30. 林伸樹

    林政府委員 第二次臨調におきましては、国の制度のみならず国、地方を通じまして行政のあるべき姿を考えていきたいということでございますので、その点では当然地方も対象になるわけでございますが、私どもといたしましては、国の面から反省すべき点もたくさんあるということがいろいろ指摘されておりますので、そういうことも踏まえ、また地方制度調査会等からもいろいろ貴重な答申等が出されておりますので、それらも十分参考にいたしました上で国、地方を通じた改革案をつくってもらいたいというふうに調査会期待をしているところでございます。
  31. 上原康助

    上原委員 いまの点はぜひそういったことを御考慮の上で審議事項にしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、これもしばしば議論されてきたことなんですが、新たな「臨時行政調査会における検討課題の基本的な考え方」の中に、「行政の基本に関する諸制度について所要の見直し」ということが言われているわけですが、これには言うところの行政手続法あるいは総定員法、国家行政組織法、そういうこともお考えになっているのかということと、もう一点は情報公開法、これも長官は意欲的、前向きな答弁をすでになさっているわけですが、情報公開法を制定するとすれば、これはどこが法案をつくって提出をするのか、行管でやるのか、あるいは担当省庁はどこになるのかという点、また作業はどういうふうに進んでいるのか。さらにプライバシー保護法等の問題についての検討も今度の第二次臨調に含まれているのか。すでに議論がありましたように、特にプライバシー保護法につきましてはOECDが各加盟国に勧告をしている点もある。また情報公開法との関係、いろいろありますが、これはやるとすると法律事項になりますね。これまで御答弁を聞いても、その二次臨調設置は二カ年の隠れみのにしないのだ、できるものから早目に答申もさせて、ばりばりと言いましたか、どんどん実行していくんだということも長官はおっしゃいましたが、そうしますと、こういった情報公開法とかあるいはプライバシー保護法とかいうものは、ある面では臨調答申なり意見を待たなくても、政府がその気になれば作業ができることですね。そこいらとの関係はどうなるのか、この点もぜひ明確にしておいていただきたいと思うのです。まず長官の方からお考えを……。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 情報公開に関する法制あるいはプライバシー保護に関する法制等も、行政管理庁としては重大関心を持って研究させております。いま研究室を発足させるという段階に至ってきております。これをどこの省で取り扱うかは、内閣官房等とも相談をして最終的には決めなければいかぬと思っておりますが、われわれにも関係する部門でもあり、衆議院、参議院におきましてもこれに関する重要な質問もございました。そういうことも踏まえまして、われわれとしてもいま検討しておるところであります。  もう一つは……(上原委員行政手続法」と呼ぶ)行政手続法やその他につきましては、政府委員から答弁させます。
  33. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政手続法につきましては、現在行政管理庁の中の行政管理基本問題研究会の方で審議をお願いしまして始めたところでございます。行政手続法の問題はこれまた非常に広範ないろいろな問題が絡みますので、学者先生方に御意見を出していただくように審議をお願いしている最中でございます。
  34. 上原康助

    上原委員 そうしますと、行政組織法その他は後で続けて聞くとしまして、いま長官からお答えがありましたように、情報公開法それからプライバシー保護法については衆参の委員会で重要な質問を受けたので、行管としても関心を持ってその検討を進めておるとすると、当然臨調の方でもこれらのことについては、これまでのやりとりからしまして審議対象といいますか審議事項といいますか、話題にはなると思うのですが、その答申なり意見を待たずしても、この情報公開法とかプライバシー保護法については、政府は具体的に進めていく、そして適当な時期に国会提出する、そういう作業に着手していると判断していいのか、あるいはせっかくこの臨調ができるのだからそれまで待とうやというお気持ちなのか、この点は改めてひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆる第二次臨調委員の皆様方がどういうお考えを持たれるか、その委員の皆様方の御見識によると思います。しかし、われわれの方も前から情報公開やプライバシー保護につきましては、いろいろ研究もしてきたところであり、われわれ自体も独自の研究やら考えを持つべき重大問題である、そう考えまして、いままで進めてきたところであります。どういうふうな立法過程を経るかということは、第二次臨調が設立されまして、委員皆さんの御意見等も承った上で、どういうふうに取り扱っていくかということを最終的に決めたいと思っております。
  36. 上原康助

    上原委員 調査会設置をされ、委員方々がこの問題で一定の会合を持たれる段階で御意見を聞きたいということですね。そうすると、情報公開法とかプライバシー保護法につきましては、前段でも政府として国会法案提出ということも考えられる、こういうふうに理解していいですか。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、第二次臨調委員の皆様方とよく相談した上でわれわれの態度を最終的に決めたい、そう考えます。
  38. 上原康助

    上原委員 だんだん慎重になってきたですね。それで、先ほど国家行政組織法、行政手続法の問題についても触れたのですが、恐らくないと思うのですけれども、念のためにお尋ねしておきたいと思うのです。総定員法の見直しとか、あるいはこれまでも問題になってまいりました国家行政組織法、これは第一次臨調の際にも若干取り上げられてはいるようですが、こういうことにも手を触れるのですか。この点についてはどういうお考えを持っておるのか、御見解だけ聞いておきたいと思うのです。
  39. 林伸樹

    林政府委員 第二次臨調では、行政制度運営全般について基本的な事項を調査審議するということになっておりますので、対象といたしましては、先生おっしゃったようなことも当然その範囲に入るわけでございますが、実際にそれではそういうものを具体的にどういう形で取り上げるのかあるいは取り上げないのかというようなことは、調査会委員の先生方の意向をくみながら決まっていくというふうに理解しております。
  40. 上原康助

    上原委員 いま私が申し上げたことにつきましては、特に行政組織法の問題は国会における経緯もいろいろございますから、国会審議権を剥奪するとかあるいは強権を発動するというか、そういった逆行にならないようなことでないといかないと思うのですね。この点は私は余り中身に触れませんが、指摘をしておきたいと思うのです。ただ、そういうふうなことがどんどん委員皆さんの自由な裁量というかお考えでということになりますと、これまで相当問題になってきた行政組織に関係する事項が今回の二次臨調でどんどん取り入れられることにならないかという懸念を私たちは持たざるを得ないわけです。そうなりますと、その趣旨なり目的というものが別の方向に一人歩きしていく危険性もなきにしもあらず、そう私は思うので、その点は行管としては特に御留意をいただきたいということを指摘しておきたいと思うのです。  それともう一点は、いまのこととも関連するのですが、よく公務員制度ということをおっしゃっております。あるいは一面では公務員の管理の問題等が今度の臨調でも審議対象になる、これは当然かと思うのです。その場合に、これも中身については現段階では触れるわけにはまいりませんが、ただ言えることは、本来ですと公務員の任用の問題とか、あるいは公務員制度ということについては、一応は人事院が権限を持っておるわけですね。そうなりますと、この臨調と人事院との関係はどのように律していくのか、これもやはりわれわれとしては聞いておかなければいかない一つのポイントです。臨調で、たとえば公務員制度についてこうこうしたいとかいろいろな意見が出てきたとすると、人事院の権限との関係も出てきますね。当然考えられます。そこいらの点についてはどのようなお考えで、どういうふうに審議事項なりを委員皆さんにやっていただくのか、この点も少しお考えを聞いておきたいと思うのです。
  41. 林伸樹

    林政府委員 第二臨調行政の制度及び運営全般の基本的事項について調査審議するということでございますので、行政組織、公務員制度の一環として先生御指摘のような公務員のいろいろなあり方についても触れることはあり得るというふうに考えますが、先ほど申しましたように、実際取り上げるのか取り上げないのか、あるいは取り上げるとすればどういう形で取り上げるのかというのは、発足後委員の先生のお考えを踏まえながら決めていく問題であるというふうに理解しております。     〔染谷委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 上原康助

    上原委員 少なくとも人事院の権限といいますか、存在を無視したような、私も何も人事院そのものを全面的に擁護するとか、そういう立場はとれませんが、あってはならないと思いますね。その点はお考えとしてはそのとおりかと思うのですが、どうなのですか。
  43. 林伸樹

    林政府委員 人事院と関係機関とは十分連携をとりながらやっていくことになると思います。
  44. 上原康助

    上原委員 そこで、これも本会議等でもお尋ねがあったことなのですが、改めて聞いておきたいのですが、行政改革をする、いろいろなむだを省くということについては、私はいまの社会情勢の中で全面的に賛成なのです。しかし、その反面、公務員無用論的な意見には抵抗を感ずるのですね。何回もこの席でも発言をしてきたことなのです。そういう観点から、一体わが国の公務員の数というのはそんなにだぶついているのかどうかということ、また公務員の多くがそんなに職務に専念していないとは私は思っておらないわけですね。これは長官もそのことは言っておられた。  そこで、日本の公務員の数は、たとえばイギリスとかフランス、西ドイツ、アメリカと比較して現段階でどういうふうになっているのか、改めてこの点も明確にしておいていただきたいと思いますし、同時に、質もフランスの公務員と日本の公務員は非常に優秀なのだということを大臣御自身お認めになったことですから、量においても諸外国とそんなに変わらない。変わらないどころか少ない。質もりっぱであるとするならば何も人減らしということを考える必要はないわけですね、ある面では。そういう理屈も十分成り立つ。誤解されてはいけませんが、客観的な状況も私たちは踏まえた上で内部の実情をとらえるということにならないといかないと思うのですね。しかし、民間が減量経営を断行してきたのだ、不況だからけしからぬじゃないのか、そう短絡的にやることは、私はいかないと思うのですね。そういう面で、いまの先進諸外国と比較した公務員の数、それと本当に仕事量と現在の公務員の数がだぶついているというふうにわれわれとしてはどうしてもとらえられない。この点はぜひ明確にしておいていただきたいと思いますので、ひとつ事務当局を初め長官の方からも御見解を改めて聞いておきたいと思うのです。
  45. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 公務員数の諸外国との比較のお話でございますけれども、諸外国では、御存じのとおり国によっていろいろ国のやっている仕事範囲等がかなり違うし、また連邦制をとっているというような国もございますので、必ずしも公務員の数の比較が完全な意味でできるとは思わないわけでございますが、一応いまの先生のお話の国際比較の数字を申し上げます。  国民千人当たりの数字でございますが、国家公務員等、日本の場合には十八・九、アメリカの場合が二十三・〇、イギリスの場合が五十五・三、ドイツの場合が二十七・八、フランスの場合が五十八・五というふうになっておりまして、こういう数字を見る限りは、わが国の国家公務員の数はいま申し上げましたようないわゆる先進諸国に比べて決して多いとは言えないわけでございます。地方公務員の話もいろいろあるわけでございますが、ただこの数字は、先ほど申し上げましたように、国のやっております仕事が必ずしも一致しておりませんので、直接の比較は無理かとは存じますが、このような数字が手元にございます。これは一九七六年の数字でございます。  ただ、いま申し上げましたようないろいろな条件が違うというような点でございますけれども、決して多いとは考えておりませんが、ある意味においては国のやっております仕事に携わっております国家公務員のその仕事の部分部分を比較してみますと、わが国においても部分的にはさらに簡素化、効率化できるような部分も必要なところもあるのじゃないかというふうにも考えられます。とりわけ最近非常に厳しい条件がいろいろとございますので、なお一層そういう簡素にして効率的な政府をつくるという意味においても、少数精鋭の原則にのっとって厳正な定員管理といったものを進めていく必要があろうかと考えております。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま政府委員答弁したとおりであります。
  47. 上原康助

    上原委員 実にむだのない御答弁ですね。  そこで、一九七六年の比較となると若干古いような感じもしますが、おおむねその傾向は続いているのじゃないかと思います。ですから、私も社会情勢なり経済情勢、いろいろな面で国民行政需要、ニーズといいますか、そういう面の変化によって行政機構の人員配置にも変化が出ることは必然な面もありますから、それはそれなりに理解をしているつもりですし、決して偏見的な立場で私は申し上げていないということを御理解いただきたいわけですが、反面、官業の減量経営と言ってみても、なかなかできない場合もあるわけですよね。どうしても機構によっては人は必要だが業務量はさほどないという面も出てくるわけですよ、船員の関係とかいろいろな面からしますと。季節的な面も出てくる。だから単なる民間の減量経営とか合理化というようなことと官業行政機構というものを同一視するというところに無理が出てきはしないのか、そのために公務員労働者なり職員の皆さんが不当な処遇を受けるとか、あるいは強制的に配置転換をされるとか、そういうことはやはり好ましくないことなので、そのことはぜひこれからの行政改革なり、あるいは二次臨調ができても、十分に踏まえた上で理解と協力が得られる人事管理といいますか、公務員制度というものを確立していくように御努力をいただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  この件につきましては、ほかの方々からもまたいろいろお尋ねがあると思いますので、一応締めくくりをしたいわけですが、要するに機構いじりはやめて減量経営に徹していくと言いましても、いま私が申し上げたようなことがあるということをひとつお含みをいただきたいわけです。結果としては、一つは特に公務員の人員問題については出血整理になるようなことは避けるということですね。さらに強制的な配置転換はしない、本人の意思尊重ということ、こういう点は踏まえていただかなければいかないと私は思うのです。いかに融通性がなく固定化し硬直化している行政あり方があるとしても、やはり出血整理ということは避けてもらわにゃならぬということと、強制配転というようなことも、省庁間の配置がえの問題にしましてもいろいろあるでしょうが、一面においてはスト権なりそういうものが否認をされている以上は、それなりのまた特典というものも保障されてしかるべきだと思います。この点は、総定員法あるいは一次臨調の場合の附帯決議等にも出ておりますので、そのものずばり私は申し上げませんが、少なくともその考え方というか姿勢というものは政府としても貫いておいていただかなければいかないと思うのですが、この点どうなのかということであります。  それと、さっきちょっと委員会構成運営の中で落としましたので改めて申し上げたいのですが、会議運営にしましても、一次臨調では重要な問題については全会一致制というか満場一致制をとっているわけですね。少なくともそのこともやはり尊重をしていただきたい。重要問題の審議に当たっては全会一致制を原則として運営されてきたという経緯がありますから、今回もできるだけというか、そういう考え方というものは貫いてもらいたい、こう考えるのですが、いまの点について、長官の方からまとめてこの臨調問題についてのお考えを聞いて、ひとまずこれは終わりたいと思うのです。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調の発足に当たりましては、できるだけ委員の皆様方にフリーハンドで自由な御判断をしていただくのが望ましいと思いますので、こちらから押しつけがましい前提条件のようなものはできるだけ差し控える方がいいと思っております。いま御指摘の問題は、この前の附帯決議の問題でございまして各党間でお話し願う問題でございますので、われわれの方としては差し控えたいと思いますけれども、要するに、第二次臨調は公務員のそのような整理を目的にしてやるものではないのでありまして、行政の正しいあり方等々の重要問題について審議していただくというのが趣旨であります。そういうような趣旨を踏まえまして、無用な混乱等を起こさないようにやることは必要ではないかと思います。  また、運営につきましても、これは委員の皆様方が議事規則等を自分でお決めいただくことでございまして、これらもわれわれがあらかじめ制肘すべきものではないと思いますが、いずれにせよ超党派的な各界の意見を網羅した方々が集まってやる調査会でございますから円満に行われることが望ましい、そのように考えます。
  49. 上原康助

    上原委員 それと、もう一点つけ加えて会議の公開ですね、公開制を原則とするということ、あるいは公聴会の開催等。さらに、公聴会の開催となりますと地域やいろいろな方々意見聴取ということに当然なると思うのですが、要するに、民主的で国民の参加が得られる公開の原則、そういうものも政府考え方としては貫いていただきたいと思うのです。この点も当然でしょうが、念のためにお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公開や公聴会の問題も委員の皆様方がどういうふうに調査会運営していくかということでお決めいただくことであると思います。まあいろいろ委員の皆様方も全国民世論というものにも目を配っておやりいただけることだろうと思います。
  51. 上原康助

    上原委員 どうもその委員の皆様皆様と言われると、みんな肝心のところでするっと逃げているという表現は悪いかもしれませんが、されますと、なかなかよくないような感じもしますが、私がいま申し上げたようなことにつきましては、ぜひひとつ御留意をいただきたいと思いますし、そういう点がうまく運ばれないと、この法案調査会設置する意義が、何回も言うようですが半減する感じもしないでもありませんので、十分御検討をいただきたいと思います。  そこで、次に補助金の問題について、これとの関係がありますので若干お尋ねしたいのですが、これは地方支分部局の点でもいろいろお尋ねはありましたが、たしか財政再建問題あるいはむだな行政支出というか財政支出の削減というようなことで、五十五年度以降四年間で四分の一を整理するという方針だと思うのです。各省庁の補助金の整理合理化案を策定して概算要求に盛り込む、この計画というか方針は具体的にはどうなっておるかをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 藤原和人

    ○藤原説明員 補助金の整理合理化につきましてのお尋ねでございますが、昨年のいわゆる五十五年行政改革の一部といたしまして昨年の暮れに閣議決定がございましたが、その中におきまして、補助金の整理合理化という計画が決められているわけでございます。  それの主な点を申し上げますと、先ほど御指摘のございましたように、既定の補助金につきまして昭和五十五年度以降四年間にその件数の少なくとも四分の一を整理するということが決められております。さらに各省庁は毎年度その所管に係る補助金につきまして整理合理化案を策定をして、翌年度の概算要求にその内容を織り込む。その整理合理化につきましての基本的な考え方みたいなのがございまして、もう一つ柱といたしまして新規の補助金については極力抑制をする。しかしながら行政需要の変化等に即応して真にやむを得ず認めるような場合にも、件数につきましてスクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底するとともに終期を設定することなどが決められておるわけでございます。  現在五十六年度の予算編成の過程で整理合理化に取り組んでおるわけでございますが、基本的にはこの計画に沿って整理合理化に取り組んでおるわけでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 そこで、この閣議決定の四分の一削減は実現可能かということです。五十五年度は、たしか千九百六件で千六百六十七億円の削減合理化になっているかと思うのですが、五十五年度補助金予算額は御承知のように十三兆八千五百二十億円ですね。よく言われておりますように予算総額の三二・五%を占めている。これを件数にして四分の一ということになりますと、五十五年度ベースでいくとどのくらいの減になる見込みなんですか。
  54. 藤原和人

    ○藤原説明員 五十五年度の整理合理化の件数と金額は、ただいま先生おっしゃいましたように件数で千九百六件、こう申し上げましたが、これはいわゆる廃止した補助金だけでございませんで、具体的に申し上げますと、合理化により廃止をしましたのが三百二十八件、そのほかに前年度より減額をしたものが七百三十七件ございます。さらに、いわゆる統合・メニュー化といったような合理化もございます。そのほかに、たとえば終期の設定をする、こういうのも件数として六百六十七件カウントをしておるわけでございまして、千九百六件といいますのは、このような合理化の件数を加えたいわゆる延べの件数としてお示しをしておるわけでございます。  そこで、先ほど御説明いたしました閣議決定との関係でございますが、五十四年度の補助金等の件数は約三千八百件でございましたが、それの四分の一を五十五年度以降四年間で整理をする、こういうことにしているわけでございます。そういうことで申しますと、先ほど申しましたように五十五年度は三百二十八件を実施したということでございます。  四分の一をなくせば金額的にどのくらい減るのかというお尋ねがございましたが、補助金といいますのは、社会保障ですとか文教ですとが非常に重要な国の政策を実現するための手段でございまして、その補助金の整理合理化考え方は、補助金だから必ずしも悪いものだということではないわけでございます。しかしながら他方で、その補助金につきましては、一たび予算化をされますと既得権化するとか慢性的に運用されているのではないかとか、いろいろ御批判が多いわけでございます。そこで補助金と言われるものにつきましては、絶えず見直しをいたしまして、すでに必要がなくなったというものにつきましては整理合理化をやっていく必要があるということで、件数の面をとらえて閣議決定をしているということでございまして、どういうものが廃止になるかということは、来年度以降の予算によって具体的に決まってくるものでございますから、閣議決定によって金額的に何億円減るかということについては申し上げられないわけでございます。
  55. 上原康助

    上原委員 確かにこれもさっきの官民比較の問題等との関連、性格は違いますけれども、一般で言われているのは十三兆八千億、約十四兆近くも補助金があるんだ、ばらまき政策だと言っていますね。われわれもその中身をいろいろ検討してみますと、それは削減できるものもあると思いますよ。しかし、国民に非常に悪い印象を与えている面が強いわけです。もちろんそこにはいろいろ不正行為があったりした面もありまして、またせっかく補助金を支出したってろくに使われていないというようなこと、これは厳しくやらなければいけないと思いますが、そういった取捨選択が非常にルーズといいますか、うまくやられていないのじゃないかという感じがしないでもないのです。おっしゃいましたように、確かに五十五年度で社会保障関係費が三三・八%、文教、科学振興関係が二一三・〇%、航空事業関係が二二・二%ですか、そうしますと八〇%は大体法律事項ということになり、あとの二〇%が予算事項である。こういうことについてももっと国民に理解をさせていく必要があると私は思うのです。しかし、どう考えても削らなければいけないものがあるということもまた指摘されているとおりだと思いますが、件数で三千八百の四分の一を向こう四カ年間で削っていくんだ、金額はわからないということです。確かにそうでしょうが、行革の方で出されたのは、たしか五十五年度行革から五十九年度まで達成されると行革関係で約五千一百億、あるいは補助金の四分の一削減をしていくとすると、おおむね一兆円程度の財政再建に寄与するんだということが言われているわけなんですが、ここら辺の関連はどうなっているかということ、果たしてそんなに出るのかどうか、これはやり方いかんの問題だと思うのです。たとえば私が若干調べた点でも疑問を持つような補助金というのは、たとえば納税貯蓄組合補助金とか環境衛生金融公庫補給金、これはどういうふうに使われているか、これは委託費のようです。生活改善普及事業負担金、こういうものもどういうふうに使われているのか。高圧ガス保安協会事業費補助金、国際観光事業費補助金、国際観光にまで五十五年度で十八億二千九百七十五万円出ています。いま国際観光は非常に問題になっている。もちろん観光も大事なことではあるのですが、果たして必要性があるのかどうか。問題の鉄建公団、日本鉄道建設公団補給金ですか、百二十九億七千十三万円出ている。あるいは住宅生産工業化促進費補助金ですか、これは五十五年度はなくしたのですかね、前年度まで出ておる。いま言いましたように、三百何件かはそのものを削減してずばりゼロにして、あとは額を変更したということのようですが、そういう面からしても、この分野についてはまだまだ洗えばいろいろあるんじゃないかという感じはするわけです。  ここも非常にむずかしい問題でもあると思うのですが、要するに私が申し上げたいことは、どうしてもやらなければいかない社会福祉とか義務教育関係とか、そういった国民生活にかかわる補助のあり方、助成のあり方というものは内容を十分検討した上で継続しなければいかない面、より強化をしなければいけない面は、社会は動いているわけですから必要かと思うのですが、削れるものについては行管なり大蔵なり、政府全体としてこの際もっと洗い直してみる必要がないのかどうか。そういうことはやらないで、大蔵大臣は手も足もくくって泳げというのは何事だ、増税しかないじゃないかと盛んにラッパを吹いていらっしゃる。これも非常に奇妙なことだ。どうなのですか。これは政治の話でもありますので中曽根長官からお答えをいただきたいのですが、行管としてはこの種の問題についてはどう取り組んでいかれようとするのか、この際ぜひ明確な御答弁を承っておきたいと思うのです。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず政府委員から答弁させまして、後で私から御答弁申し上げます。
  57. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま御指摘のございました補助金の問題でございますが、行政管理庁でも従来からいろいろな調査をやっております。昨年度やりましたもので法律補助以外の零細補助金等の問題でございますが、五十四年度分で全体の件数が約百件、三十六億円の寄与をしております。非常に零細な補助金でございますが、二百三十八の事項等を調べましたところそういう結果が出ております。なお、大きなものにつきましては施策監察等で、たとえば農業構造改善等、そういったものの勧告を行って所要の効果を上げているというふうに考えております。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のこれらの問題につきましては、一々もう少し検討いたしまして、関係方面とも相談をして処理いたしたいと思っております。  しかし、一般論といたしまして、補助金の中には、もう民間関係機能が非常に充実してきたり、あるいは対象がもうすでに非常に成熟してきたりというようなものもございまして、必ずしも補助する必要がないものも多々出てきており、あるいはさらに別の方向に補助を向けた方がいいものも新しくできつつあると思います。そういう点については十分に留意してやりたいと思っております。
  59. 上原康助

    上原委員 私も、何もみんなばさばさ切ってしまえという意味で言っているのではない。むだは省きなさいということを皆さんは盛んにおっしゃっているわけですから、そういうむだなところにもっと焦点を当てるべきだということで、これは私も十分に調査をして確信を持ってというところまでいきませんが、大体こういう面は相当むだがあるのではないか。しかも鉄建公団などは、あれだけ問題になっているにもかかわらず出している。不正を犯すところは厳しくストップするぐらいの勇断がないとだめですよ。そういう面で申し上げているということと、補助金が十三兆、十四兆もあるのだからむだなんだという言い方もちょっと短絡過ぎるということを申し上げているわけです。しかし、いまもありましたように、そういった面からもっと財政再建の問題とか予算節約というものはできる可能性があると私は思う。そこをきめ細かくやっていただきたいということを注文申し上げておきたいと思うのです。  そこで、時間もだんだん迫ってまいりましたが、あと少しありますのでお願いしたいと思います。  次は、地方債の問題についてちょっとだけお尋ねしておきたいのです。これは時間があればどこの市町村か例を挙げながらお尋ねしたかったのですが、そういうゆとりがありませんでしたので考え方を聞いておきたいのです。  言うまでもなく地方債は、地方公共団体が学校とか社会福祉施設あるいは病院、公園、上下水道を建設する場合の財源として調達する中期、長期の借金ですが、この場合に、全国知事会からも毎年相当陳情などが出ておりますように、国の出先機関による二重行政、二重監督だという指摘が強いわけです。つまり県が起債する際は、自治省に起債申請を出して資料の提出や説明を行う。さらにまた大蔵省の出先の地方財務部や財務局にも起債申請を出す。同じ資料を出している。さらに特別地方債になりますと、今度は大蔵省、自治省に加えて厚生省にも起債申請を出さなければいけない。こういうことがいまだになされている。長官、これは言うところの行政の簡素化になっていませんね。もっとこれを簡素化することはできないのかどうか。これは地方自治体の多年の強い要望なんですよ。しかし、それぞれのなわ張りとそれぞれの監督権があるということで、大蔵省も自治省も厚生省もどこも譲らない。こういうことこそ何らかの改善策をとるべきだと私たち考える。これこそなすべき行政の簡素化じゃないでしょうか。節減にもなり、地方自治体の財政にも寄与すると思う。これは全国の市町村になるとばかになりませんよ、県を含めてですからね。こういった点はどうなんですか。
  60. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの地方自治体が地方債を起債する場合の事務手続が非常に繁雑であるというお話でございますが、これに関しましては自治省と大蔵省が一番関係のあるところでございまして、従来自治省関係の方への進達その他は都道府県を通じ、あるいは大蔵省の方へは財務局部を通じというようなことでございましたけれども、五十三年の三月、この繁雑さをなくすために両省間で「地方債の許可手続等の改善について」ということで取り決めが成立しております。これによりますと、地方債の許可手続等について、まず第一点は枠配分方式の拡大、これは事業ごとに枠を設定しまして、その枠内でやるということで事務手続が簡素化されるわけでございます。第二点目に一般市町村分につきまして補助裏債あるいは全額民間資金が予定されているような全額民間資金債についての許可手続の簡素化。三番目に融資事務の簡素化。これは添付資料の簡素化などでございますけれども、こういう合理化が図られておるわけでございます。  行政管理庁としましては、この取り決め、合意に基づきまして簡素化された手続によって今後とも地方公共団体との関係における事務の簡素化、合理化を推進していきたいというふうに考えております。
  61. 上原康助

    上原委員 しかし、そういった資料の提出とかいう手続は、大蔵省にも自治省にもやっているわけでしょう、いまあなたがおっしゃることは一々申し合わされておっても。大蔵省、自治省がいらしておると思うのですが、それはどうお考えなんですか。見解を一応聞いておきましょう。
  62. 持永堯民

    ○持永説明員 起債の許可事務の簡素化につきましては、いま行政管理庁の方からお答えがあったわけでございますけれども、そのようなことで前向きに対応してきておるわけでございます。先ほどお話もございましたが、一般市町村分の起債につきましては、以前は起債の許可段階で財務部あるいは財務局ともいろいろ調書のやりとり等があったわけでございますけれども、そういった手続は現在では廃止しておるわけでございまして、今後とも起債の許可事務につきましては極力改善をしてまいる方向で考えてまいりたいと思っております。  ただ、大蔵省の場合はあくまでも融資機関としての性格は持っておるわけでございますので、許可とは別の問題として、資金の貸し付けあるいは借り入れという事務は依然として残る。これは必要といいますか、やむを得ないものだと思いますが、いずれにいたしましても、融資事務を含めて極力簡素化、改善の方向で考えてまいりたいと思っております。
  63. 長島和彦

    ○長島説明員 ただいま自治省の方からお答え申し上げたとおりでございますが、五十三年に大幅に簡素化が行われております。それで、今後の問題といたしまして、五十三年の大幅な簡素化の結果、その効果なり影響なり、そういうものを見きわめながら、なお簡素化の余地があるかどうか検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  64. 上原康助

    上原委員 これは私はもっと実態を聞いてからと思ったのです。先ほどお断りしましたようにね。しかし私が聞いている範囲では、実例を持ってきていませんからわかりにくい面もあるかもしれない。こういうのは本当は実例があるんですよ。そこまで時間的ゆとりがなかったので……。確かに簡素化は、これだけ全国知事会なり町村会で問題になって、されてはいるんだが、いまだに基本的には変わっていないんだということが一致点なんですね。ですから、中曽根長官、事務当局もそうおっしゃっているわけですから、これはひとつ検討課題にしてくださいよ。それは僻地の市町村とか、あるいはそういった地方支分部局あたりから離れているところは大変な負担ですよ、市町村にとってみれば。そういう面の複雑さといいますか、繁雑さ、あるいは一般にいうなわ張り、これはやはりこの際改善できるところは改善していくべきだと私は思うのですね。ひとつ長官の御決意を聞いておきたいと思うのです。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民の皆様方の利便が一番大事なポイントでもございますから、検討課題といたします。
  66. 上原康助

    上原委員 次に、せんだって報道されております気象庁のことについてちょっとお尋ねをしてみたいと思うのです。  行管庁が「気象行政監察結果に基づく勧告」といって、私、きょう質問せよと言ったものですから、ゆうべちょっと大急ぎでこれに目を通してみたのですが、えらい強い勧告を書いてあるのですね。どうして運輸省をこんなに目のかたきにするのかなと思うほどきついことをお書きになっている。何も擁護するつもりはありませんが、まあ当たらないのは政府の経済見通しと天気予報だとよく言われているくらいなんですが、これだけ強い勧告をお出しになったからには、それ相応の背景、理由があると私は思いますね。先ほどの地方債の問題等についても、お調べになってこういう勧告を出せばりっぱだと思うのだが、そういう面は出ない。水道料金を上げなさいということと天気予報は当たっていませんということだけをえらいりっぱに書いてお出しになっている。それで実態はどうなのかということに疑問を持たざるを得ないのですね。これを全部引用するわけにまいりませんが、この「前書き」の一ページの後段で、「気象庁は、これまでに多額の費用を投入して、気象レーダー観測網及び自動気象計による地域気象観測網(以下、「アメダス」という。)の展開、気象衛星による観測の開始など観測体制の整備・拡充を図るとともに、電子計算機を活用した数値予報の導入、気象資料自動編集中継装置及びファクシミリ装置の配備など予報及び通信方法の改善を図ることなどにより、気象業務の近代化に努めてきており、また、地震予知についても、東海地域における観測資料の常時監視体制の整備のほか、その他の地域においても逐次観測網の拡充とその成果のテレメータ化を行ってきている。」「しかしながら」として、こういうふうにやってきたんだが、予報は当たらないというわけですね。「観測資料の有機的な利活用が十分図られていないこと、注意報及び警報に関する基準の整備が不十分なことなどから、予報精度は依然として国民の要請にこたえるまでに向上しておらず、注意報、警報の見逃し、出し遅れ等も少なくないなど、気象業務の近代化の効果はいまだ挙がっていない。また、近年、世界各地でひん発している大規模な熱・寒波、豪雨・雪等の異常気象についても、その要因解明に関する気象庁の調査研究は、欧米先進諸国に比し立ち遅れたものとなっている。」こういうことになっているわけですね。  いろいろありまして、これは大分あるわけですが、さらに九ページの「気候変動に関する調査研究等の推進」のところでも手厳しく指摘しておりますね。最後の十二ページの「研究業務の管理改善」における三項においても、「研究成果が挙がらず、実用化に至らなかった研究が何らの検討も加えられずそのまま放置されているなどの適切を欠く事例がみられる。」相当問題だと思うし、これはそのとおりであれば、やはり改善されなければいけないと思うのです。  そこでまず、この勧告をお出しになった——内容はこうだということはこれを読めばわかるわけですが、改めてどうしてここまで勧告せざるを得なかったのか。同時にまた、気象庁はこれだけ言われて本当にそうなのか。本当にそうだとすると、これは大問題ですね。当たらないまではいいけれども、むだ遣いが多い。本当に陣容も設備もそろっているが、だめなのか。そこいらについては解明をしていただかないと、これはやはり公式見解としてこれだけのものを出してあるわけですから、ひとつ双方からお答えをいただきたいと思います。
  67. 中庄二

    ○中政府委員 気象庁の業務でございますが、国民生活との関連、それから安全面との関連で非常に重要な業務でございます。行政管理庁といたしましては、十三年前でございましたか、一度気象庁の監察をやりましたが、その後いま先生お読み上げのように、気象庁の内部体制も相当充実整備されてまいりました。気象庁も一つの転換期にあるのではないか、年齢構成等から見まして。私ども全般の見直しが必要であるという観点から、昨年実態調査をいたした次第でございます。  ただいま非常に厳しいというお話がございましたが、内容をごらんいただくとおわかりいただけるかと思いますが、私どもは自信を持った勧告だと思っておりますし、私ども勧告は、特に気象庁にだけ厳しいというつもりはございませんので、内容で御理解をいただきたいと思います。
  68. 森雅史

    ○森説明員 ここ十数年の間におきまして、気象衛星とか気象レーダーあるいはまたアメダスといったような近代的な計器気象設備が整備されてまいりました。われわれといたしましては大変喜んでおるところでございますが、これらの近代的な機器を大いに利活用いたしまして、今後予報精度を上げていくということが課題であろうと考えておる次第でございます。  このたびの行政管理庁の御勧告は、そのような施設整備の現況あるいは最近におきます異常気象の条件等におきまして、なお一層予報精度の向上を図るようにという趣旨であろうかと思います。われわれ決して安閑としておるわけではございませんで、一生懸命やっておるわけでございますが、勧告趣旨をよく心に受けとめまして、これからなお一層業務の改善に努めてまいりたい、こう思っております。
  69. 上原康助

    上原委員 そうあっさり認めると、これはこっちも物の言いようがないんで、いいわけです。いいというか、やっていただかなければいかぬが、ただ気象庁のこの勧告だけに厳しいのでないということですが、ぜひできれば大蔵省に対しても、さっきの補助金の問題とか、一番大事なところは抜かして、何か天気予報が当たらないから雨でぬれたからということでしっぺ返しみたいな感じを受けかねないですね。中曽根長官、これは何か中曽根派と福田派の対決じゃないかという見方もあるのですよ。どうなんですか、そこいらの長官の御見解は。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 気象庁の予報が当たらないことがあっても行政管理庁の勧告が当たらないことはありません。
  71. 上原康助

    上原委員 これはまた少し張り切り過ぎるね。そのとおりであれば、ぜひ気象庁としてもそれなりの御努力をいただきたいと思います。  同時に天気予報の問題についてですが、私も沖繩ですから台風情報なんかよく聞くのですよ。たまには停電でテレビが消えますから、テレビを見るといま大体どの位置にあって明朝どこどこへ行くということがわかりますが、トランジスタで聞いていると北緯何度、東経何度というような表現をするわけですね。それは素人には全然わからないですよね、台風がどこにあっていつごろ去っていくのか。そこいらはもう少し親切さが欲しいなという感じはしますよ。あれはいろいろ用語があるからいいわけですが、天気予報、台風情報というのも、風速にしても最大瞬間風速が幾らということで、一体外に出ていいのか悪いのか、そういうことは一切言わないのですね。だからそういう点は昔ながらの手法でやっていらっしゃるかもしれませんが、ラジオを聞いても素人でもわかるような工夫というのは私は必要だと思うのです。完璧だとおっしゃいますが、そういう面が抜けているんだよ、中曽根さん。そういう点も含めてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。この種の勧告が出ることも悪いことではないと思うのですが、行政全般について見落としのないようにお願いしたいと思うのです。  ちょっと時間だという話もありますが、あと一、二点だけ聞かせてください。  次に、沖繩の行政監察事務所は一体何をしているのかと思ってちょっと調べてみましたら、少し仕事らしい仕事をしておるようでございます。陣容も二十五名ぐらいですか、私は五、六名じゃないかと思ったらえらいたくさんいらっしゃるようです。  そこで、時間がありませんので、これは簡単にお尋ねしておいて、後で実情をもう少し調べてみたいのですが、ことしの一月から三月にかけて「自然公園等海浜地帯の保全・管理に関する実態調査」をこの行監事務所が中心になってやっておるようであります。その結果が報告をされているのですが、その中で問題点として挙げているのが、特に自然公園の面で「この地帯には、他県にほとんど類がない一般客の海浜利用を制限した有料ビーチが多く存在するが、その制限行為の妥当性には疑問がある。」こういう指摘ですね。この「制限行為の妥当性には疑問がある。」というのはどういう意味なのか。さらに、「海岸保全区域等には、法違反の観光用施設等の占有物がかなり見受けられるが、この中には、安全性等からみて早急に改善を必要とする事例もある。しかし、県は、これらの実態はあくが十分でなく、かつ維持管理の基本となる海岸保全区域台帳も未調整等のままとなっている区域が多くみられる。」そういう点とか、さらに「森林法に基づく保全管理」が不十分であるとか、いろいろな点を指摘をしておるわけです。さらに「自然公園法に基づく保全管理」が不十分であるとか、「関連諸法の連携による保全管理」の面でも「国定公園特別地域では、自然公園法及び海岸法、国有財産法の併願許可を必要とするが、いずれの許可も受けていないもの等、関係諸法の連携による保全対策として不適切な実態が認められる。」これもいささか気になりますので、こういうことについて、いま私が挙げたようなことが具体的にはどういうことなのか、またこれから改善策としてどういうふうなことを進めようとしておられるのか、これは観光産業ともいろいろな面で問題がありますので、違法行為だと決めつけられたのじゃそのままほっておくわけにもいきませんので、ひとつお考えを聞かせておいていただきたいと思います。
  72. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま御指摘ございました沖繩の自然公園等海浜地帯の保全管理の問題でございますが、私どもの沖繩の行政監察事務所で先ほど御指摘のような調査をいたしまして、県とその改善策検討しているところでございます。ただいま御指摘の具体的な事例という話でございますが、たとえば古い壊れそうな工作物がそのまま残っておって、夜になりますと若い人が入っていって危ないというようなこともございますし、全く無許可でバーベキューの設備をつくっておるというようなものもございますし、また事務所、売店等が夜になるとあきましてこれも若い人が入って危ない、こういうのがまだ県の方でも十分体制が整っておりませんので、無許可のままで台帳にも載せられないでいるという実情でございます。県の方とも御相談いたしまして、県の方では土木事務所の方に権限を委譲するとか、具体的な措置につきましては占使用の許可の必要なものは手続をとらせる、撤去措置の必要なものは工事させる、きめ細かくやりますために出先の事務所の方に権限をおろすといったような具体的な対策を講じているところでございます。
  73. 上原康助

    上原委員 私もちょっと後でまたこれに問題として指摘されていることについて御報告いただきたいのですが、特定公園の周辺云々の問題とか、きわめて放置しておくわけにはいかない点があるやに感じますので、ひとつ県なり関係町村と十分連携をとって改善措置をやっていただきたいことを強くお願いをしておきたいと思います。  最後に、特殊法人の剰余金吸い上げ問題について大臣に見解お尋ねして質問を終わりたいと思うのです。  これまでいろいろ出たのですが、行管庁は今月の十五日までですか、「個々の特殊法人について、剰余金の処分や政府の持ち株売却など、国庫納付の具体化構想を固めた。」という報道がなされております。そこで、一つは電電公社の利益金、商工組合中央金庫、日本開発銀行、中央競馬会の利益隠し金というか、あるいは日本航空、電源開発、東北開発株式会社などの政府持ち株を民間へ売却する、あるいは国民金融公庫の一般会計からの貸付金の回収などを図る、行管首脳は、これらの特殊法人の剰余金というか、そういう面から大体五千億円を目標とした財政再建寄与をしたいという方針で臨むということが明らかにされたのですが、それぞれは行管だけの権限ではできないものだと思うのです、仮にそのことが実施に移されるとしましても。そこで電電にしましても、商工組合中央金庫にしましても、日本開発銀行、日本航空、その他含めてこれは法律改正事項になると思うのですが、そういった法律改正の準備までやっておられるのか、改めてこのことに対しての大臣の御見解を聞いておきたいと思うのです。これはひとり歩きしているような感じもしますし、また一方では、与党内部でも強い抵抗があるとか、関係機関からもいかぬ、応じかねるという意見ども出ておるんじゃなかろうかと思うのですが、この件は具体的にどうなさるのか。仮に実施をするとすると、法律改正なり法的な措置というものがそれぞれ必要になってくるのですが、ここいらのことについてはどういうふうにお考えで、どう作業を進めておられるのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一部の新聞記事にそういう記事が出ましたけれども、あの記事は全くわれわれは関知しておりません。あの内容は私たちがまだ検討もしていないことも載っておったり、大変間違っている内容があると思っております。いわゆる特殊法人と言われるものを全部いま洗っておる最中でありまして、どの法人をどうするというふうに具体的に特定して方向を決めたということはないのであります。それがもう幾つか固有名詞が挙がってやっておるのを見まして、あれは全く間違った報道であると私たち考えております。
  75. 上原康助

    上原委員 もうそのとおりですと言ったら、私、質問を終わろうかと思ったんだが、それは新聞のせいにしてもいかないと思うのですよ。何か最近あれは誤報だとか事実無根だというほかの話もありますがね。新聞のせいにしてはいかぬよ。大物たる中曽根大臣がそういうふうにむげにお答えになってもいかぬと思うんだよ。  問題は、ではそういった特殊法人の剰余金の取り扱いについては大臣はどういうお考えなんですか。全般的に洗っている段階だ、法人を特定したことはやっていないんだということなんですが、私が申し上げたように、仮にそういった剰余金を国庫に納入させるとすると、これは法律行為ですね。何かの法的措置をとらなければいかぬわけでしょう、法改正とか。それとも内閣で決めるとか大蔵で決めればそのままできるのですか。そこいらのことも含めて御見解を聞いているわけです。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革をやるにつきまして、一般の中小企業は、あの石油危機を乗り切るときに、みんな株を売ったり土地を売ったりあるいはいやな首切りをしたり非常な苦労をしてきた。いま政府が金がない。そういうときになって、のほほんとしておってどうして国民が納得できるか。やはり政治姿勢を正すということも今日はわれわれが考えなければならぬ。そういう意味において、政府国民に負担増をお願いする前に、財産を売りなさい、あるいは株も手放しなさい、あるいは剰余金があったら国庫に入れて、公債をふやすお金を減らすようにして協力してもらったらどうか、そういうような考えを持ちまして、いま特殊法人について洗っている最中でございます。  どういうふうに具体的にするかということが決まりましたら、それをどういうふうなやり方でやるのか、行政措置でできるのか、立法行為を伴うのか、関係各省庁とどういう協議をするのか、そういうような問題については具体的に詰めていきたいと思っておりますが、現在はまだ洗っておる、そういう状態でございます。
  77. 上原康助

    上原委員 洗って乾くのはいつごろですか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは予算編成をにらみながら進行していく問題であると思いますので、十二月に入って予算編成という問題が日程に上ってさましたら、そういう問題が並行して取り上げられる問題であると思っております。
  79. 上原康助

    上原委員 終わります。
  80. 江藤隆美

    江藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時九分開議
  81. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢山有作君。
  82. 矢山有作

    ○矢山委員 まずお伺いしたいのは、第一次臨調とも言うべき昭和三十六年の臨調は、たくさんの費用と人材、歳月を費やして三十九年九月二十九日に貴重な改革意見を出されたわけでありますけれども、その後の行政改革の実績はどうなっておるか、御説明をいただきたいと存じます。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調におきまして大体四十項目にわたるいろいろな提言、勧告をいただきましたが、全然手をつけていないというのはたしか九項目でございまして、三十一項目は、全面的にやったものや部分的にやったものや、ともかくいろいろ手をつけてやっております。大体七、八〇%は消化したと考えておりますが、詳細につきましては、政府委員から御答弁申し上げます。
  84. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 臨時行政調査会答申が三十九年に出て以来、まず最初に昭和四十二年の一省庁一局削減によりまして十八局削減整理されております。  それから第二番目は、昭和四十四年に総定員法が制定されまして、四十三年から開始されております一次定員削減計画以後今日まで五次にわたりまして定員削減計画を実施しております。  三番目は、昭和四十三年から四十六年にかけまして行政改革の三カ年計画を立てまして、行政改革をやってまいっておるわけでございます。  四番目に、昭和五十二年の行政改革等がありました。  現在では、先生御存じのとおり昭和五十五年行政改革を実施中でございますが、さらにこれに加えまして、先般「今後の行政改革に関する基本的な考え方」を策定し、目下具体案の作成に取りかかっている最中でございます。  いま申し上げましたような行政改革による主な実績としましては、まず第一番目に、中央省庁の統廃合、これは先ほど申し上げました四十二年の一省庁一局削減措置でございますが、十八局を整理したわけでございます。  それから二番目に、地方支分部局の整理、これは昭和四十五年の閣議報告に基づきまして、昭和四十六年度以降五十四年度末までに約三千七百カ所の支所とか出張所とかいった地方支分部局を整理しております。  三番目に、定員管理の問題でございますが、昭和四十三年度以降十三年にわたりまして、定員の削減措置によりまして約十三万六千人に上る削減を実施いたしました。  第四点目が特殊法人の統廃合でございます。これは昭和四十二年の「特殊法人の整理について」という閣議口頭了解がございましたが、これらによりまして整理、統廃合を実施してきております。四十二年の設置数百十三、現在は百九となっております。五十五年行政改革によりまして十八の特殊法人の縮減がすべて実施されると九十五になる予定でございます。これはまだ五十五年の行政改革による十八法人全部は実施されておりませんので予定でございますが、そういうことでございます。  五番目に、審議会の整理でございますが、これは昭和四十一年の一括整理を初めとしまして、数次にわたる改革が行われております。審議会の設置数が最大であった四十年度末には二百七十七ございましたが、五十四年度末には二百十二というふうに大幅に減ったと考えております。  第六番目に、事務事業のうちの許認可等の整理でございますが、許認可等の一括整理法案、こういう法案をお願い申し上げまして、過去八回成立いたしております。これらによりまして、昭和五十四年度末までに約五千五百事項の許認可等を整理してまいりました。  第七番目としまして、補助金の問題でございますが、これも事務事業の中に入るかと思いますが、毎年度の予算編成過程で整理合理化を実施してきております。昭和五十五年度の予算では、この補助金の合理化によりまして千六百六十七億円の整理合理化ということになっております。  以上、大要を申し述べました。今後ともすべての面におきまして簡素にして効率的な行政を実現するような所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  85. 矢山有作

    ○矢山委員 いまのお話を聞いておりますと、第一次臨調における答申を踏まえて相当大きな成果を上げたというふうに言われておるわけですが、しかし、一つ申し上げてみたいと思うのは、たとえば中央省庁におきましても、私が調べたところでは、五十四年度の場合、たとえば課、室の数が千百四十六になっておるようです。これは佐藤内閣が一省庁一局削減を開始した四十二年当時は千三十一ですから、課、室は相当の数がふえておる、こういうことになるんじゃなかろうかと思います。それから局、部にいたしましても、四十二年には二百十六であったのが現在は二百十七になっておる。それから特殊法人にいたしましても、いまお話しのような状態である。ところが特殊法人はいささか数は減ったといいながら、特殊法人にかわるものとして認可法人、こうしたものの数が非常にふえてきておる。  ところが人員の方は、なるほど先ほどおっしゃったように削減が進んでまいりまして、いまかなりの純減になっておるようでありますが、こういう状況を見てまいりますと、結局行政改革というのは、首切りあるいは地方支分部局の切り捨て、こういうようなことに終わっておるのではないか。そして抵抗の強い中央省庁、あるいは中央省庁と深いかかわりを持ったいわゆる特殊法人とか認可法人、こういったもののところまでは本格的なメスが入っていない、こういう感じがしておるわけであります。その点いかがでしょうか。
  86. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまお話しの定員等につきましても、私は先ほど削減の数だけ申し上げましたが、その間に必要な部分につきまして増員を行っているということがございまして、先生御指摘のとおり、それでも純減約九千近くということになっておるわけでございます。  先生のお話に、たとえば中央省庁の局、部の数が一つでございますか、ふえているんじゃないかというお話がございましたが、局だけで見ますと、昭和四十二年に百二十ありましたのが現在百十四という数字で、六つばかりでございますけれども、局だけを見ますと減っております。
  87. 矢山有作

    ○矢山委員 部は……。
  88. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 部の数は、いまちょっと手元に資料がございませんでしたので局だけ申し上げましたが、そのほか特殊法人の問題につきまして、数はかなり減っているけれども、認可法人等の問題があるじゃないかという御指摘でございます。私どもも確かにそういう問題は各方面からいろいろと御議論があることは存じております。認可法人の問題自身は私どもの直接の所管ではございませんが、特殊法人の議論をいたす場合に、やはり関連の深い問題だと考えております。  全体としていろいろな御意見、御批判があろうかとは思いますけれども行政改革というものは、着実にできるだけのことはしてきたんじゃないかと私ども考えております。
  89. 矢山有作

    ○矢山委員 できる限りのことというのは、先ほど私が申し上げたように、存外抵抗の弱いところに整理統廃合が集中しておるというふうに私は感じましたので、そのことを申し上げてみたわけであります。これはあなたの方としては大いにやったということはあくまでも言われるでしょうが、なかなかそういうふうに受け取られるということにはならぬのじゃないか。  そこで、今度行政管理庁は、行政改革の柱の一つとして、特殊法人の経営実態見直しのために実態調査をしておるというふうに聞いております。恐らくこれは特殊法人について改革の手をお伸べになるつもりだろうと思うのでありますが、その際の基本的な考え方、これはどういうふうな考え方でこれに取り組んでおられますか。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この前上原さんにも申し上げましたが、特殊法人につきましても、こういう時代でございますからできるだけ簡素効率化で経営をやっていただきたい、そういう意味で全般的にいま洗っております。財務諸表をみんな出してもらいまして、それを経理的感覚あるいは経営的感覚等も交えまして、原価計算等も考えながら全部洗っている最中でございます。  具体的には政府委員より御答弁申し上げます。
  91. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま大臣からもお話がございましたように、特殊法人の業務の概況と財務諸表をとりましてやっておりますが、見直し作業に当たりましては、会計経理基準のあり方、これは特殊法人ごとに相当ばらつきもございます。それから経営の合理化、効率化の面。三番目には利益剰余金の処分のあり方、これもいろいろな差がございます。そういったもの。それから、民間能力の活用の問題等につきましてただいま検討しているところでございますが、何分百十の数でございますので、鋭意作業を進めているという段階でございます。
  92. 矢山有作

    ○矢山委員 その場合、当然統廃合の問題についても、いま出されておる計画だけでなしに、さらに手を入れて本格的に検討するということになりますか。統廃合の問題はちょっと触れられなかったようですから。
  93. 中庄二

    ○中政府委員 ただいまは経営実態見直しをやっておるところでございますので、既定の行政改革計画に入っておりますところは検討は進んでおるかと思いますが、私どもの経営実態見直しの面では、その面にはまだ検討の手は及んでおりません。
  94. 矢山有作

    ○矢山委員 しかし、経営実態見直しをやっていけば、これは統廃合すべきかすべきでないかということは出てくるんじゃないですか。経営実態見直しだけで、統廃合をすべきかすべきでないかということにはつながりませんか。
  95. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま検討中でございますが、検討の結果によっては、あるいはそういう一つの視点というものが出てまいるかもしれませんが、現在のところはその段階に至っておりません。
  96. 矢山有作

    ○矢山委員 検討の結果を私ども注目しております。それでその経営実態調査の進捗状況はどうですか。いまここで御発表になれる程度にまで進んでおりますか。
  97. 中庄二

    ○中政府委員 まだ中間報告もいたす段階にもございません。
  98. 矢山有作

    ○矢山委員 そこでお伺いしたいのですが、経営実態見直しをやるということになると、それは相当なことになると思うのですが、一体どういう組織、人員といいますか、どういう体制でこれをお進めになっていますか。
  99. 中庄二

    ○中政府委員 確かに御指摘のとおり非常にたくさんの数に及びます。  まず第一次的には、私どもの監察官のところで省庁別の監察官に分担いたさせまして、出てまいりました財務諸表のうち連続貸借対照表、連続損益計算書といったものの基礎的なものはまず監察官に持たせまして、その後は総括の監察官というものをプロジェクトチームをつくりまして、そういう二段構えでやっております。  人員でございますが、総括の監察官のところでは約十名でございます。
  100. 矢山有作

    ○矢山委員 さきの国会の行管の設置法の改正で、従来四十八法人が調査対象になっておったのですが、それが全法人を調査対象にされたわけです。−そういうところへもってきて今度はさらに徹底的な経営実態調査をやるということになると、私は、いまおっしゃったような陣容で果たして徹底した実態調査ができるのだろうかという危惧の念を持たざるを得ないのですが、この点はどうなんですか、正直に言って。
  101. 中庄二

    ○中政府委員 さきの通常国会で特殊法人全部に調査権が及ぶようになりました。これにつきましていろいろ準備をしていたところでございますが、たまたま今度の九月の行革の新しい考え方で、全部の特殊法人の経営実態見直しということもございましたので、全部の監察官等も動員いたしまして、それから総括の監察官、二段構えでやっております。少ない人員ではございますが、できるだけのことはやりたいと思っております。
  102. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、私はきょうは特殊法人の問題にしぼって、この問題だけでひとついろいろとお伺いをしてみたいと思うのです。  まず最初にお伺いしたいのは、従来特殊法人においては非常に役員の数が多過ぎるということが言われておりまして、臨時調査会答申においても「人事の合理化」というような表現でそれが指摘されておりますし、それからその後、閣議了解だとか閣議決定だということでこの役員の数を減らすということが取り上げられてきたわけでありますけれども、現実どういう状況になっておりますか、これは。
  103. 栗林貞一

    ○栗林説明員 現在の特殊法人の役員数、これは常勤役員数でございますが、十一月一日現在で七百七十四人でございます。(矢山委員「百十一法人で」と呼ぶ)ちょっと減になっているものがございますので、百九法人でございます。
  104. 矢山有作

    ○矢山委員 私はこの間から政労協が出した天下り白書というのをずっと見ておるのですが、役員の数が非常に多いというのは、たとえば職員に対比をして役員の数が、全法人の平均の役員数の六・一%を超えておる法人が非常に多い。あるいはまた多いものになると、役員の比率が職員に対して一七・一%という高い比率を占めておる。これは例の蚕糸事業団の場合のようですが、そのほかにも社会保障研究所が九・一%、林業信用基金が八・九%というように相当高い比率を占めておると言われておりますし、また役員一人当たりの職員の数が二十人以下というような法人もかなりの数に上っておるようです。政労協関係調査したところによりますと、特殊法人の中で調査をしたものだけのようでありますけれども調査した特殊法人五十五法人、そのうちの二十三法人が、職員二十人以下であるのに役員が一人おる。こういうような状態だということで、私はこれはまさに役員の数が多いなという感じがしておるのですが、こういう点は御存じですか。——御存じなければ、時間がかかりますから私の方で言ってもいいのですが、どうなんでしょう。
  105. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特殊法人の役員の数につきましては、先般の閣議決定を踏まえまして一割を減らすということで現在検討中でございます。
  106. 矢山有作

    ○矢山委員 現在検討中はいいのですけれども、役員一人当たりの職員が二十人以下の法人が二十幾つもあるというのですよ。あるいはこの中に統廃合になっているものがあるかもしれませんが、船舶整備公団だとか京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団、それから新技術開発事業団、糖価安定事業団、日本蚕糸事業団、環境衛生金融公庫、公営企業金融公庫その他、とにかく二十以上あるというのですが、それは御承知ですね。
  107. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 そういう事実は把握して承知はいたしております。
  108. 矢山有作

    ○矢山委員 把握しておられるのでしたら、きわめて簡単な質問ですからちゃんとおっしゃっていただいた方がいいと思います。  そこで、次に役員の天下りの問題なんですけれども臨時行政調査会答申で、先ほど言いました「人事の合理化をはかる。」というようなことが言われ、その後閣議決定、閣議了解等々で、特殊法人の役員人事について適任者を広く各界有識者から選任するということが言われておるのでありますが、果たしてそれが着実に守られ、実行されておるのか。その実態はどういうふうになっておりますか。
  109. 栗林貞一

    ○栗林説明員 先生おっしゃいますように、閣議決定あるいは閣議了解によりまして目標が示されております。  まず、最近におきましては、五十二年の十二月の閣議決定で方針が示され、五十四年の十二月末の閣議決定、閣議了解でもさらに具体的な方針が示されまして、私どもそれに従って各省庁と相談しながら進めておるわけでございますが、私どもが最近調べました十一月一日現在の特殊法人の常勤役員のいわば構成と申しますか、出身別の構成を申し上げますと、国家公務員から直接就任した人あるいはそれに準ずるかっこうと申しますのは、これは閣議了解の中で、直接就任した者あるいはこれに準ずる者というふうな言い方をしておりますので、そういうもので合わせてみますと四百四十八人程度であろうと思っております。約五八%程度。したがって、民間、部内から就任された方が三百二十六人、四二%程度。これが現状だと把握しております。
  110. 矢山有作

    ○矢山委員 あなたの御説明と政労協の調査されたのでは、そこに数字の隔たりは幾らかあるようでありますけれども、政労協の調査結果によりますと、天下りと称せられておる役員の数が全体の、七九年ですから昨年ですが、七七%を上回っておるという指摘をしているようです。そしてまた七八年の十一月から七九年の十月の間に就任した役員を見ましても、大体七〇%以上が天下りの役員だというふうに指摘されておりますけれども、数字にはちょっと開きがあるようですが、最近それだけ改善されたわけですか。
  111. 栗林貞一

    ○栗林説明員 たしか五十五年の一月ごろの数字でも、私どもは六割程度という数字を申し上げたかと思います。私、いま正確には覚えておりませんが、政労協の白書を私も拝見したのでございますけれども、たしか記憶によりますと、特殊法人については全法人ではなくて五十幾つかの法人、そのほかに認可法人の一部あるいは公益法人などがいろいろ入っておりまして、もちろんそういうものを網羅的にやったものではなくて、アンケート方式である部分について回答を求めて集計したというふうに了解しておりますので、私どもの方は、特殊法人に限ってでございますけれども、全部について正確に調べたものでございますので、数字が違っておるのだろうと思います。  ただ、改善ということになりますと、なかなかこれ、任期が来たときに順次考えていくものでございますので、急にというわけにまいりませんけれども、少しずつ改善されているものと私ども考えております。
  112. 矢山有作

    ○矢山委員 いずれにしても、天下りの役員が相当な数を占めておるということだけは間違いないだろうと思います。  そこで、次のお尋ねは、役員の一〇〇%を天下り官僚で占めておる特殊法人というのは一体どれくらいあるか、御存じですか。
  113. 栗林貞一

    ○栗林説明員 国家公務員出身者が常勤役員のすべてを占める特殊法人は二十幾つかあると思います。ただこれらは、業務内容が国の業務の延長上にあるものとか、行政上の専門的な知識、経験を必要とするものとか、あるいは常勤役員が比較的少ない、日が浅いといったようないろんな事情でこういったものがあるわけでございますが、私どもとしては閣議決定、閣議了解の、全体として、特殊法人全部の役員総数で見て半数ぐらいに持っていくというあたりを目標にして、いま努力しているところでございます。
  114. 矢山有作

    ○矢山委員 先ほどおっしゃったように、政労協の調査がどういう調査をやっておるかということは御存じのとおりでありますからもう言いませんが、その調査で見ますと、天下り官僚が役員の一〇〇%を占めておる三十一法人というのが列挙されておるわけです。この中には、先ほどおっしゃったように、特殊法人のほかに認可法人が含まれております。しかしその中で、特殊法人五十五法人を調査した結果として出てきておる数字は、二十三法人が一〇〇%天下り官僚で占められておる、こういう結果が出てきておるわけですね。これは天下り官僚をなるべく減らせということが言われていることから見ると、実行が伴っていないという気が私はするわけです。  その天下り官僚の整理がつかない理由についていまおっしゃったわけでありますけれども、私はいろいろ検討してみると、必ずしも天下り官僚を特殊法人の役員にしなければ仕事ができないというようなことにはならぬのではないか、むしろそういう面を強調することは、一体、特殊法人をつくった趣旨とどうなるんだということになると思うのです。特殊法人というのはどちらかというとできるだけ自律的な運営をやらせよう、能率的な運営をやらせようということでできたのでしょうが、そういうところに役員を全部官庁から天下りをさせるというようなことで、そういうことができるのか、私はこの点については大きな疑問を持つのです。  そこで、その典型的なものとして、私は年金福祉事業団の問題についてお尋ねしたいのですが、年金福祉事業団の役員の構成というのは一体どうなっておりますか。これは、きょう厚生省に言ってあるからおいでになっておると思います。
  115. 阿部正俊

    ○阿部説明員 御説明いたします。  役員は五名おりまして、そのうちで理事長それから理事三名、監事一名という構成でございますが、いまの分類でいかれますと、前職として国家公務員という方が五名全員でございます。
  116. 矢山有作

    ○矢山委員 私がこういうことを申し上げておるのは、後で行政管理庁長官の御意見を聞きたいと思っておるので細かいことを申し上げておるわけですが、先ほどおっしゃったように、年金福祉事業団の役員は五人、その五人が全部お話のように天下りであります。そのうちの四人が厚生省、一人が大蔵省、こうなっておると思うのですね。  ところが、これをさらに見てみますと、これは特殊法人について東京新聞の特殊法人取材班がいろいろ細かい調査をした資料なんですけれども、役員はいまのような状態ですが、部長以下全職員の出身に関する調査を進めてみたところが、こういうことを言っているのです。「役員ばかりでなく、中間管理職、ヒラ職員に至るまで、この事業団は厚生省OBまたは同省からの出向組一色なのだ。五人の部長は、総務、業務第一、同第二、施設の四部長が厚生省出身(あと一人、経理部長は大蔵省出身)。十二課二室に総務課長代理を加えた課長級の一五人も全員が官庁出身者で、中心はやはり厚生省組。一一人の調査役クラスまできて初めて市中銀行出身者が一人顔を出す。三〇人の係長も二九人までが天下りで、わずか一人が民間企業からの中途採用者。つぎの主査四人は全員天下り。」そして主任が三十一人おるのだそうですが、「主任(三一人)にきて、ようやく官庁出身者が一三人、プロパー職員が一八人と、官民出身の比率がかろうじて逆転する。」こう言っているわけですね。「同事業団は三六年一一月に年金福祉事業団法によって設立された特殊法人だが、一八年間経っても子飼い職員の昇進はやっと主任どまりなのである。役員からヒラ職員まで全部で一七三人の組織」これは多少動きがあるのかもしれませんよ。「組織だが、うち一二七人(七三・四%)が官庁出身者。そして、筆頭理事の出原が「ほとんど厚生省社会保険庁出身者です」と認めるように、一二七人のうち一二〇人までが厚生省関係者で占められ、同省の占拠率は全体の約七〇%に達する。」こう言っているのですね。  こういうことでないと、年金福祉事業団というのは運営がつかぬのですかね。天下りをやめて特殊法人の自律性を生かすようにしなければいかぬと盛んに言われておるときにこのていたらくでは、まさに臨調答申なりあるいは閣議決定、閣議了解というものが一切無視されておるのじゃないかという感を深くするのですが、この点、どうなんですか。
  117. 阿部正俊

    ○阿部説明員 御説明申し上げます。  役職員一括してお尋ねでございますが、役員の問題と職員の問題と区別して御説明申し上げたいと思います。  まず、役員につきましては、御存じのとおり、年金福祉事業団といいますのは、年金の積立金の還元融資を原資といたしまして運用しているわけでございますけれども、厚生年金保険あるいは国民年金保険等の制度との絡みが非常に強うございますので、その役員の資質といたしまして、高度な知識、経験が要るというふうな観点は御理解いただけるのではないか、こう思いますが、そういうことから、経験、知識という面から結果としてどうしても国家公務員の出身者が多くなったというふうに私ども理解いたしております。  ただ、先ほどお触れになりました閣議了解の趣旨もございますので、今後は人選に当たりましては、その趣旨にのっとりまして慎重に対処してまいりたい、こう思います。  それから、職員の問題でございますが、御指摘いただきましたように、かなりの部分が、社会保険行政の職員が出向という形で事業団の方に行きまして仕事を行っているということは事実でございますけれども、ただ、制度発足以来なかなか部外から適任者が得られなかったということもございますし、それから仕事の中身が相当専門的なことになりますので、勢いすでに知識と経験のある者を登用してきたという面が確かにあろうかと思います。  これにつきましては、いわゆる出向職員が大多数を占めるという点につきましては、これまでも委員会でも数度御指摘いただいておりますので、私どもといたしましてもこのままではどうかというふうな問題認識を持っておりまして、具体的なこれからの改善策につきまして事業団の方に検討を命じ、現に事業団の方でも検討を続けているというふうな状況でございます。
  118. 矢山有作

    ○矢山委員 年金福祉事業団が専門的な知識を要するというのは、これまでの国会答弁でも言われておるのです。年金関係の専門知識がなければ年金福祉事業団には行っても仕事ができぬのだ、こういう意味のことだろうと思うのですがね。  では、年金福祉事業団というのは一体何やるんですか。
  119. 阿部正俊

    ○阿部説明員 御説明いたします。  先ほど申し上げましたとおり、年金の保険料を原資といたしましてその還元融資を受けまして、それを原資といたしまして被保険者あるいは年金の適用事業所の事業主さん等に対しまして必要な融資をするというふうなのを主な業務としている団体でございます。
  120. 矢山有作

    ○矢山委員 年金保険料を原資として年金福祉事業団が融資をする、それはもう聞かぬでもわかっているのです。ところがやる仕事は結局社宅だとか個人住宅への融資、そういうことが主な仕事なんでしょう。そうすると、年金それ自体についての知識がなければこんなことできぬのですか。むしろ逆に言うなら、建物の建築確認だとか、担保物件の評価だとか、抵当権設定だとか、土地建物に関する専門知識のある人でないと使えないのじゃないですか。  私は、年金福祉事業団のやっておる事業から言うなら、年金の問題それ自体について専門的な知識を持っておるから年金福祉事業団で有用な役割りを果たすんだとは考えられませんよ。むしろ年金福祉事業団がやっておるその仕事について専門的な知識を持っていなければ、これは仕事にならぬ。しかも、あなたは先ほど一般職員の問題についても直接は触れられなんだけれども、一般職員というのはそういった実務を実際にやらなければならぬわけでしょう。それが厚生省から年金の専門的な知識だけ持っておるという者が出向してきて一年おるのか二年おるのか、せいぞい二年もおったら帰ってしまう。二年ほどおる間にそういった仕事自体についての専門的な知識をようやく勉強する。勉強したころにはまた本省に帰ってしまう、こんなことになるわけです。こんなことで年金福祉事業団の仕事ができるとは私は思いませんよ。  しかも内部の登用がなかなかむずかしい、内部に人材が育たぬ、適任者がおらぬとおっしゃる。こんなことをやっていたら適任者育ちませんよ。係長から主任クラスまで厚生省からの天下りでだあっと占めてしまって、一般職員の数は微々たるものでしょう。一般職員が上がっていこうったって主任だとか、係長だとか、課長、そんなところは出向者でほとんど占められているというのでは、頭を押さえられてしまって内部で人材養成すらできないじゃないですか。こんな矛盾した年金福祉事業団の運営というのは、私はないと思いますよ、どうなんですか。
  121. 阿部正俊

    ○阿部説明員 専門知識ということでございますが、保険料を原資としてやっているということもございまして、貸付先は厚生年金の被保険者でありかつ事業主であるというような点が第一でございます。原資が保険料であるということ、その原資の動向なんかは年金法の改正その他の制度と密接に絡んでくる問題であるということと、それから細かいことでございますけれども、たとえば貸し付けに当たりましても、住宅資金ならばどなたにでもお貸しするということではなくて、その被保険者資格の確認、それから貸付額にいたしましても、被保険者期間に応じまして金額の最高限度が決まってくるというふうな点とか、あとは保険料の納付状況等も勘案しながら事業主に対する融資を考えるというふうな面もございます。  それから、医療機関等に対する融資も行っているわけでございますけれども、その融資先は被保険者等が十分利用できるような状況になっておるかどうか。たとえば差額ベッドの状況などはどうかというふうな点も加味した上で融資を決定するというふうなことを行っているわけでございます。こういうことを称しまして専門的知識と申し上げたわけでございますけれども、ただ先生御指摘のように内部登用という将来のこともございますので、出向職員だけで大多数を占めるというあり方は、事業団としてどうかというふうに私ども思っておりまして、プロパー職員の採用の拡大といいましょうか、その改善策につきまして至急事業団に検討を命じておるという状況でございます。
  122. 矢山有作

    ○矢山委員 いろいろ理由づけはあると思うのですが、いまの理由づけをお聞きになっておって、だから厚生省からの天下りでなければ勤まらぬのだというふうにお感じになるかならぬか。いま御説明になったようなことは、プロパー職員で十分こなしていける仕事だし、それどころじゃない、むしろ、住宅資金その他の貸付業務をやるわけですから、その貸し付けに伴う実際的な専門知識というのが非常に大切になってくるのじゃないかと私は思います。  しかし、この問題は幾ら議論したってすれ違いでしょうからこれ以上やりませんし、また厚生省の方も、多分に矛盾があるということをお感じになって是正を考えておられるようですから、これ以上申し上げませんが、いまの言いわけは単なる言いわけですよ。そんなべらぼうな、ほとんどの主要ポストは全部厚生省の天下りで占めてしまう、官僚の天下りで占めてしまうというようなことをやったのでは、年金福祉事業団の自律的な運営だとか経営だとかそんなことはけし飛んでしまいますよ。これは全く厚生省のひもつきで、厚生省の言うようにしか動いていかないということになってしまう。この点は十分御検討いただきたいと思います。  それから、天下りの場合に非常に問題になるのは、天下りによってその主務官庁と特殊法人が結びついてしまって、某主務官庁の管轄にある特殊法人には、そこに役員が全部おりていく、つまりなわ張りみたいなものができてしまっているわけですね。  そのなわ張りみたいなものの激しい例を言いますと、たとえば通産省で、天下りの数及び天下り先の法人数というので、三十一法人あって六十五名が天下りをしておる。ところが通産省関係の法人への天下りを見ると、二十六法人に対して六十名が天下りをしておる。通産省関連法人以外の法人への天下りはわずか五法人で五名だという調査が出ておるわけです。  それから、農林省は十六法人、四十五名の天下りがあります。これに対して農林水産省関連の法人への天下りは十法人で三十九名、それ以外は六法人で六名。  大蔵省の場合は、天下りの数及び天下り先法人数は三十一法人、四十一名で、大蔵省関連法人への天下りが五法人、九名、大蔵省関連法人以外の法人への天下りが二十六法人、三十二名。この大蔵省の場合にはまた別に問題がありますので、後で言いますが、そういう状況です。  建設省は、天下り数及び天下り先法人数が十法人で三十四名、建設省関連法人への天下りが七法人で三十名、建設省関連法人以外の法人への天下りが三法人で四名、こういう状態であります。  だから、主務官庁から天下り先の法人というのは大体なわ張りが決まってしまっておる、こういう形になっておるのですね。これはお認めになりますか。
  123. 栗林貞一

    ○栗林説明員 国家公務員の出身者が役員に就任する場合の問題でございますが、先生御承知のように、五十二年十二月の閣議決定でもその点をとらえまして、国家公務員出身者が役員に就任する場合でありましても、「関係省庁の職員にとらわれず、広く各省庁から適任者を選考する」という方針が一つ示されております。  ただ、特殊法人の業務は国の業務と密接に関連しておりますために、特定の法人の役員としての適任者を求めた場合、関係省庁の経験豊かな人、知識を持っている人が選ばれることが多いということは、実際問題としてはある程度はやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。しかし、それはその人の適格性の問題でございまして、そのこと自体役員ポストのなわ張り化を招いていいというものではないというふうに理解しております。  したがいまして、実際の人選に当たりましては、その業務の内容とか役職の職務内容などを十分お聞きしまして、私どもも協議を受ける際には十分配慮しながら、その辺を慎重に考慮しながら協議を受けているというふうな状況でございます。
  124. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで私は、なわ張り化の典型的な例として、ここに調査されているものがありますから一つ申し上げてみますと、地域振興整備公団というのですか、これは一九七二年にそれまでの産炭地域振興事業団が改組されて発足した工業再配置・産炭地域振興公団を、七四年に再度改組して誕生したものだ。それぞれの時期の役員数を見ますと、改組されるに従い、また主務官庁がふえるに従って役員がふえてきている。どういうことになっているかというと、産炭地域振興事業団は、主務官庁は通産省です。このときの役員定数は六名。工業再配置・産炭地域振興公団に改組されて、このときは通産省で十二名。それから地域振興整備公団になった。このときには、主務官庁は国土庁、建設省、通産省、資源エネルギー庁になった。役員定数は十八名になったわけですね。  それから、国際協力事業団というのがあります。これは一九七四年にそれまでの海外技術協力事業団と海外移住事業団を統合して発足した。その結果どういうことになっているかというと、海外技術協力事業団は、主務官庁は外務省で、役員定数は八名。海外移住事業団は、主務官庁は外務省で、役員定数は七名。これがくっついて国際協力事業団になった。その段階で主務官庁は外務省と農林水産省と通産省になって、役員定数は十八名になった、こういうふうになっているわけです。  そうすると、特殊法人の統廃合をやることによって、役員の数が減るどころの話じゃない、むしろ逆に役員の数がふえてきた。そしてそれぞれの主務官庁から、従来の役員数を確保するという形で全部入っている。また新しく主務官庁になったところからも役員に入っていく、こういう形になっているわけですね。これは全く主務官庁と特殊法人のつながりを明確に示している。まさに役員の天下りというのがなわ張りのようになってしまっておるということを示しておると私は思うのです。こういうひどい状態なんです。  そこへもってきて、もう一つ問題は、ある主務官庁が特殊法人に役員を送り出す、それがまた世襲化されておるわけです。ある主務官庁からある特殊法人に役員が出された。そうすると、その役員がやめた後は、やはりその主務官庁から役員を出している。ほかには絶対渡さない。全く世襲化されてしまっておるわけですね。こういう実態等も御存じでしょうね。
  125. 栗林貞一

    ○栗林説明員 特殊法人が統合されて合併して、その際に役員がどの程度の数になるかということは十分査定を受けて決まることだと思いますが、その際、具体的に役員がふえた場合にどういう人が就任するかということは、そのふえた業務との関連においてできるだけ有能な人を求めるということで具体的な人選がなされたのだろうと思います。その結果、その人の適格性というものを判断して主務官庁において人選を行い、私どもの方に協議が来るということで、そういう結果になっておるのだと思います。  また、世襲化という問題でございますけれども、一部において同じ省から行くという場合があることは私ども十分承知しておりますが、それについても一々話を聞いて、そういった業務上との関連において必要性があるということで、ある程度はそういうことがあり得るというふうに理解して、しかし、批判を招くことのないように各省とは十分話し合いをしながら進めているというところでございます。
  126. 矢山有作

    ○矢山委員 私が言っているのは、あなたがおっしゃるように、ある程度世襲化されているというどころの話じゃない、もうほとんど完全に世襲化されてしまっているということなんです。ある程度世襲化されているというような認識では、今後閣議決定やあるいは臨調答申を踏まえて特殊法人に手を入れる場合に、本気で手を入れることにならぬのじゃないですか。私は、天下りの実態、それがなわ張り化されておる実態、あるいはまた世襲化されておる実態、そういったものをもっと的確に把握しておかぬといかぬのじゃないかと思いますがね。
  127. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私どもいま、各省別にどのポストがどのような人によって、その経歴を全部見て、どういう世襲の実態になっているかというふうなことまで実は把握はしておりませんけれども考え方といたしましては、先ほど来申し上げておりますようなことで、業務の内容によって必要性を見ながら協議に応じ、オーケーを出すべきものは出すということで、その辺といまの天下り自体の問題につきまして相当厳しく各省と話し合いをしながらやっているというふうに考えておりますので、今後とも十分注意してその辺はやっていきたいと思います。
  128. 矢山有作

    ○矢山委員 各省との関連がある、したがって、また各省から天下りをさせた方がいい、その方が適格者が得られるというようないろいろな言い分はあります。しかしながら、私はまず第一に、そうした天下りの実態というものを全体として細かく把握してもらわなければいかぬと思うのです。把握してもらった上で、そういう実態が特殊法人の運営について一体どういう影響を及ぼすのかということを考えていただきたい、そういうふうに思うわけでありますので、ぜひこの問題については、特殊法人の実態調査をやられるわけですから詳細な把握を願いたい。ただ、財政難だから剰余金を吸い上げて、ときに財政難をしのぐための実態調査というのでは、行政改革という立場から言うと余り意味がないと思いますので、私はその点を特に強く要請をしておきたいと思います。  それから、天下りの問題について言うと、大蔵省の場合は特に激しいのです。大蔵省が自分が主務官庁として関係をしておる特殊法人に役員で天下りさせることはもちろん、自分が主務官庁でないところにも役員として出す。その場合に、役員として出すのは経理部の担当理事というような形で出していく。さらにもっと言うなら、役員だけでなしに、その特殊法人の経理、資金面を握る部署に部長だとか課長だとかいう形で全部出していっておるというのが実態でありますが、その点も御存じでしょうね。
  129. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私ども立場では、閣議決定に基づきまして役員の就任に当たっての協議を受けているわけでございまして、具体的に把握しているのは役員の問題でございますが、いま先生がおっしゃいましたようなことは、どこの省の人が行っているかということは、実は私どもも資料をいろいろ見ますけれども、各省で出向してそこでやめるとかいろいろな事情がございまして、どこの省の人というような言い方がむずかしい場合も多々ございまして、なかなか正確に把握ができないわけでございますけれども、たとえば各法人の幾つかにおいて、経理関係に有能な人を求めて、経理担当の理事になるとかいうふうなことはあり得る話だと思っております。
  130. 矢山有作

    ○矢山委員 行管としては、いま問題になっておるのは役員の問題だけで、それはまあわかっておるが、それ以外のものはよくわからぬということのようですが、しかし、特殊法人の実態調査していく、そしてその機能を今後どうするかということを考えるについては、そういった中間管理職というのですか、そういうものの実態もやはり十分掌握されておらぬといかぬと思いますよ。  経理の堪能な者は何も大蔵省の天下りや大蔵省出向組だけに限定しなくたって、経理の問題ぐらいは幾らでも専門家は採れるわけですし、内部だって長いことそこでやっていれば、経理問題ぐらいはこなせるので、何も経理を担当させる職員は大蔵省の出向組や天下り組でなければならぬという、そんなことは私は理屈として通らぬと思いますので、そういった点について十分御検討いただきたい、こういうふうに私は思うわけであります。  それで、先ほども触れましたが、これはもうお聞きしてもおわかりにならぬようですから質問としてお聞きすることはやめますけれども、この特殊法人についての問題は役員だけじゃない、いわゆる中間管理職の天下りの問題があるということを申し上げたわけで、その極端な例として年金福祉事業団というものを取り上げてみたわけです。  しかしながら、この政労協関係で調べた克明な資料を点検してみますと、先ほど私が言いましたように、中間管理職段階にまでその官庁からの天下りあるいは出向組が多数入り込んでおるという実態であるということは申し上げておきますので、特殊法人の改革を言われるのなら、そういった実態把握をやるように努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。これも私は特に、特殊法人の問題について実態調査をやっておられるというので、強く要望しておきたいと思います。  それから、特殊法人は現在百九と言われましたね。ところが最近の問題は、三十九年の九月に行政改革全般にわたる答申が出て、それを受けて四十二年十月の閣議で愛知用水公団など五法人の廃止を決めた。このころから特殊法人の設立というのがなかなかむずかしいという徴候が出てきたわけですね。そこで特殊法人にかえて認可法人の形をとるという例が非常にふえてきておるわけです。  これはどういう状況になっておるかといいますと、三十年代に八つ認可法人がつくられた。それが四十年代には二十、五十年代には十三というふうにつくられてきたというのであります。そして現在認可法人の数が九十九になっておる。しかし、その九十九の中で公務員関係の共済組合が四十七、それから弁護士連合会などのような国の資格試験合格者の職能団体、これが五つばかりあるそうですが、これを合わせて計五十二法人、これを除外して四十七の認可法人があるというのです。それは先ほども一部言いましたが、戦前に二法人あった、二十年代に四法人できた、三十年代は先ほど言いました八法人できた、四十年代に二十法人できた、五十年代に十三法人できた、特殊法人の設立がむずかしくなった段階でこういうふうに認可法人の数が非常にふえてきているわけです。これは認可法人は調査をしておらぬからおわかりにならぬということですか。
  131. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 認可法人につきましては、国の必要な事業を行うため国みずからの手で強制的につくるのが特殊法人でございますが、これと異なりまして、民間等の関係者の発意に基づきまして設立されるものでございます。必ずしも特殊法人を抑制した結果ただいまのような数字になっているというふうには考えませんけれども、私どもの方は、国家行政組織を管理する立場にございますので、認可法人につきましては特段詳しい調査は行っておりません。
  132. 矢山有作

    ○矢山委員 私がなぜこういう点を申し上げるかというと、たとえば阪神外貿埠頭公団ですか、それと京浜外貿埠頭公団というのがありますね、これは統廃合の対象になっているわけでしょう。ところが統廃合の対象になったという時点で、これにかわるものとしてごみ処理をやらなければいかぬというので、これは運輸省と厚生省が一緒に考えておるようですが、ごみ処理の関係の団体をつくる。それは認可法人としてつくろう、こういうような動きが出ておるというのです。その例に見られるように、特殊法人が抑制される。したがって、特殊法人にかわるべきものとして、行管との関係で認可法人が設立しやすい。したがって、認可法人をつくっていくという傾向が出てくるんじゃないかと私は思う。この認可法人の問題を全然それは関係ないということで放置をしておくと、行政改革をやっていくという上に問題が起こってくるんではないか。  認可法人にいたしましても、現在の調査のところで見ますと、先ほど言いました四十七の認可法人があります。その代表者のうちで大半がこれまた中央省庁からの天下りなんです。民間人で代表になっておる人がわずかばかりあります。ありますが、しかしながら、これは財界人など有名人を飾り物のように代表者に置いておるだけの話であって、実際を占めておるのは高級官僚の出身者が専務理事というような形に居座ってやっておる、こういう実態なんです。  それで、現在四十七法人の役員が九百八十人、職員が五千六百六十三人。これで職員対役員の比率がいかに高いかということがおわかりだと思うのです。そこへもってきて四十七法人に対する補助金の総額が千百三十六億五千百万円、政府出資金の総額が八百二十九億五千五百万円、合わせて一千九百六十六億六百万円、こういうふうになっておるわけです。そうすると、認可法人は私は知らぬよと言っておったのでは、これは済まぬのじゃないかと思うのです。これはどうですか。
  133. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生御指摘のとおり一認可法人につきましてもみだりに設立されるようなことは厳に戒めるべきだろうというふうに考えております。予算編成過程等を通じまして、各主務大臣が中心になってその必要性を厳しく見ていくべきものと考えております。
  134. 矢山有作

    ○矢山委員 各主務大臣が厳しく見ておったんじゃだめなんですよ。主務大臣が厳しく見ておったところで、その主務大臣は主務官庁の官僚の言うままに動いておるわけで、主務大臣で官僚が言ってきたのを抑えつけて、それはだめだ、行政改革をやろうとしておるときにそんなものは認可するわけにはいかぬというふうに言える方が、一体何人おられるのですか。そういう姿勢で臨むのなら、特殊法人がやりにくければ認可法人に流れる、こういう傾向が必ず起こってきますよ。そうすれば今後の問題として、認可法人を行管の所管の問題として考えるということを検討しなければいけないんじゃないですか。
  135. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 認可法人につきましては、当然のことでございますが、これも法律によってつくられるわけでございますので、そこの面のチェックは当然受けているわけでございます。それから補助金、出資金等につきましては、財政当局のチェックを受けているわけでございますので、それと監督をすべき立場にある各主務大臣がチェックしているということでございます。  先生御指摘のことにつきましては、それでは不十分じゃないかというようなお話もございますが、これにつきましては、確かにみだりにつくるべきものではないということを先ほど私申し上げましたけれども、そういうふうなことで厳正にやっていくべきものと考えております。
  136. 矢山有作

    ○矢山委員 特殊法人なり認可法人の具体的な人事問題を取り上げましてずっといままで議論を進めてきたわけでありますが、特殊法人にしろ認可法人にしろ、特殊法人の場合はもっと経営の実態を十分把握して、その人事がどうなっておるのか、その結果特殊法人が一つのなわ張りのように特定の官庁に囲い込まれ、そしてそれが世襲的に役員やあるいは中間管理職が配置をされていくというような状態というものを、徹底的に全体をつかんでメスを入れるということが、私は特殊法人を対象に行政改革ということを考えた場合に必要なんではないかと思うし、ましていわんや、特殊法人の逃げ道として認可法人が先ほど来申し上げましたような状態であるとするなら、これに対してもやはり特殊法人と同じような体制をもって臨まなければいけないのじゃないかというふうに私は思うのですが、この点は長官の方から、どういうふうにお考えになるかということを承りたいと存じます。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 認可法人と特殊法人とは若干性格が異なります。特殊法人はある程度強制的に設立された面がありまして、監督の面がこちらからも出てまいりますが、認可法人は御承知のように強制的にやられたものではないのであります。しかしながら、これが官庁やあるいは特殊法人等の線とつながって一連のものとして機能している面もございますから、そういう点につきましては委員のお申しつけのとおりよく検討も加え、また注意してまいりたいと思います。
  138. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、問題を移したいのですが、財政投融資計画合計の実行状況を見ますと、五十年度当初の計画が九兆三千百億円になっておるようです。これは数字が多少私の調べが違った場合はそう言ってください。それから追加改定で十兆七千五十七億円になった。ところが実際の使用額は八兆九千百七十五億円と、改定計画はおろか当初計画を下回る実行額にとどまっているわけですね。  同様に五十三年度までを見ていくと、計画額に対する実行額は年を追って低下しております。五十三年度においては、当初計画が十四兆八千八百七十六億、改定計画が十五兆五千四百十二億に対して、実行額が十兆八千二十一億円と大幅に低下し、改定計画と実行額との差、いわゆる未実行額、使い残りが四兆七千三百九十一億円、これは比率で言うと実に三〇・七%に達しております。  地方公共団体を以上の分から除いた実行状況を見てみます。五十年度当初計画で七兆六千億円が、追加改定で八兆六千二百五十七億円、実行額は八兆六百四十六億円となっております。繰り越しは五千七十億円と地方を含んだ額にして三分の一の額となっておりますが、五十一年度七千九百三十三億、五十二年度九千六百七十六億、それから五十三年度が一兆七百四十一億円と、これが増加をしてきております。これはいま申し上げたのでおわかりのように、明らかに地方公共団体以外の機関でも繰り越しが増加しておることを示しておるわけです。  それから使い残りの増加は、繰り越しを増加させるとともに不用額をも急増させております。五十年度の不用額は八百二十三億円でありますが、これが年を追って増加して、五十三年度では一兆四千九百七十三億円とふくれ上がっております。不用額も地方公共団体分を除いてみると、五十年度が五百四十一億、五十一年度が七百七十億、五十二年度が四千四百五十億、そして五十三年度には一兆四千六百二十六億円と、繰り越しを上回って急増しておるわけです。地方以外の機関での不用計上、つまり未使用の増加がこれで急激にふえておるということがわかるはずでありますが、これをこう見てくると、財投運用が全体的に悪化しておるということを私は示しておると思います。  この点については、先般どなたかが質問なさったかもしれませんが、こういう状況に対して大蔵省はどういうふうにお考えになりますか。私は、このように年を追って未実行額、つまり繰り越しや不用が増加しておるのにもかかわらず、毎年財投計画の規模が拡大しておるのはなぜだろうか、これはやはり疑問を持たざるを得ないのです。御所見を伺いたいと思います。
  139. 亀井敬之

    ○亀井説明員 御指摘の財政投融資計画の不用額また繰越額でございます。  ただいま委員は五十年から五十三年までおっしゃられました。確かに五十年以降不用、繰り越しが上昇いたしてまいりました。特に五十三年度につきましては、財政投融資計画を編成いたしました五十二年の秋でございますが、このころは景気振興、資金需要喚起といったような声といいますか、そういう点に重点を置いて計画を編成いたしたわけでございますけれども、その後の内外の景気情勢の変化といいますか金融情勢の緩和と申し上げますか、そういった事情等によりまして、不用、繰り越しが御指摘のように相当額出ておることは事実でございます。  ただ、先ほど委員は五十四年をおっしゃいませんでしたが、五十四年は五十三年に比べまして不用額は約七千億円というように半減をいたしております。  私ども、これで十分満足をといったようなことは毛頭思っておりませんが、五十五年財投計画の編成に当たりまして、そういった事態をできるだけなくするようにということで、財政投融資計画の規模自身も八%ということで二十二年ぶりに一けたに抑制をするとか、そういう努力を重ねてまいっておりまして、できるだけお金を効率的に使ってまいるように、そういう努力を重ねているところでございます。
  140. 矢山有作

    ○矢山委員 五十四年度分についていささか改善されつつあるということは認めます。しかしながら、こういう実態を見ておりますと、財投計画の編成なり改定のあり方というものは、おっしゃっておったように、やはり徹底的に考えていかなければならぬのじゃないかと思いますので、これはぜひ十分な御検討をいただきたいと思うわけです。  ところで最近、政府系統の金融機関の融資対象が非常に拡大されておりますね。たとえば開銀が地方のデパートやホテルにどんどん融資をするというようなことで問題になりつつあるようでありますし、また新聞報道によりますと、次期民間航空機のYX、ボーイング767の購入のために、それをどこが扱うかということで、目下開銀と輸銀とが競り合っておるというようなことも言われておるようであります。  いずれにいたしましても、政府系統の金融機関がどんどん進出していって、これは三菱銀行の調査だと言われておりますが、財投資金の融資額のうちで民間部門への融資比率が、三十五年度では三七・四%だったのが、五十四年度には四九・一%、五十五年度には五四・二%となって、官による民への進出が非常に急速になっておるということで、いろいろ批判の対象になっておるようですけれども、大体政府系統の金融機関というのは、民間の経済活動を補完するというような立場じゃないかと思うのです。こういった傾向というのは必ずしもいい傾向ではないと私は思いますが、どうでしょう。
  141. 日向隆

    ○日向説明員 ただいま委員から政府系金融機関につきまして問題点の提起があったわけでございます。委員も御案内と思いますが、政府関係金融機関につきましては、法律に規定された政策目的を遂行するために政策金融を行っておるわけでございまして、したがいまして、その融資はまず第一に政策的に決められた一定の分野に限って行われるということでございます。  それから、さらに実際の融資に当たりましても、輸開銀とか北東公庫、いまお話がございましたが、それにつきましては一定の融資比率、たとえば開銀の場合におきましては融資対象金額の三〇%から七五%といったような程度に抑えておりまして、量的な節度を守っておるわけでございます。  さらにまた、国民金融公庫や中小企業金融公庫につきましても、これも一件当たりの融資に限度をつけております。原則といたしまして、国民金融公庫の場合には一件当たり一千五百万円、中小企業金融公庫の場合には一件当たり一億五千万円という限度をつけておりまして、また実際の融資に当たりましては、その取引先金融機関との協調にも十分留意しているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、先生の御指摘ございましたが、政府関係金融機関民間金融機関との摩擦という問題はできるだけ少なくするように留意しているところでございますが、なお今後とも輸開銀等各機関におきまして政策金融を一層徹底する、こういう立場から政府系金融機関民間金融機関との摩擦をできるだけ少なくするように指導上努力してまいりたい、こう思っております。
  142. 矢山有作

    ○矢山委員 余り消化ができないのに潤沢な財投資金をつぎ込んでいくという、これは無理な融資をやることになるわけです。私はかつて共和製糖事件のときにこれを徹底的に追及した経験があるのですが、やはり金がだぶついてたくさんあると、それを貸して運転しなければならぬというので、無理な融資先をこしらえる。そこに利権が絡んでくる。そういった問題で非常に問題を起こすわけです。この不用額や繰越額をたくさん出しておるそういった政府系統の金融機関をしさいに点検すれば、そういった無理をせざるを得ないようなところに来ておる部分があるのじゃないか。たとえば開銀なんかがいま盛んに世上にやり玉に上がっておるというのは、開銀が消化もできぬのにたくさんの財投資金を受ける。どこか貸付先を探そうというので無理な融資をやろうとする。そしてまた融資を受ける方の側は、これは利子が安いですから積極的にこれを受けるという形になるでしょう。そういった問題が出てくるので、私はやはり財投の編成にはよほど慎重でなければならぬと思うのです。  特に財投の経過、私がいまさら言うまでもないのですが、財投計画というのは、戦後においては産業基盤の充実強化に重点を置いて資金配分をやったわけでしょう。それが高度成長を支えた。ところが四十年代の後半からは、今度は国民福祉の充実が叫ばれて、生活基盤充実ということのための資金配分に比重がかかってきたわけでしょう。今度は、オイルショック以後五十年代に入ってからは、経済体質が高度成長から低成長に変わってきた。すると当然資金需要にも従来とは異なったものが出てくるはずなんです。それにもかかわらずやはり財投の配分は、基本的な枠組みはいままでどおり、そして前年度に比べて何ぼふやしていくのだというような編成の仕方をしておるところに多大の問題があると私は思うのです。だからこの点は財投計画の問題として、今後十分な御検討をいただきたいと思います。  それからさらに、補助金の問題については先般大出委員からいろいろ指摘されておりました。補助金を整理すると言われながら、件数では幾らか減ったにいたしましても、総額としては非常にふえてきて、補助金の整理ということの実態から言うとおよそ違いはせぬかというふうな意味の御指摘がありました。  要するに、こうした多くの問題を抱えておる財投計画とかあるいは補助金、こういうものに積極的にメスがなぜ入らぬかというのです。そのメスの入らぬ一つの原因は、特殊法人と主務官庁とが密接に絡む。特殊法人と官庁が密接に絡んでおる。特に大蔵省の場合には、政府系統の金融機関は申すに及ばず、特殊法人の多くあるいは特殊法人のほとんどと言ってもいいと思うのですが、多くの部分に経理担当重役として入れる、あるいは経理部長だ、経理課長だ、資金課長だというような形で人を送り込む。そういうようなことをやっておるから、そこに癒着が起きて、補助金や財投計画に根本的なメスが入らぬ大きな原因があるのではないか、私はこういうふうに思わざるを得ないわけです。  そうしてまた、この行政改革の重要な部分として特殊法人が取り上げられておりながら、特殊法人に対する統廃合、改革というものが徹底をしていかないというのも、先ほど来指摘いたしました人事問題を通じての特殊法人と主務官庁、その他官庁との強いしがらみというものがあるのではないか。それだからこの特殊法人の整理、統廃合が思うに任せぬ、私は先般来いささか調査をしてみまして、こういうふうな感を深くしたわけであります。  したがって、特殊法人等、あるいはまた補助金や財政投融資の問題にメスが入らぬ一番大きな責任はやはり大蔵省にある、と同時にそれを断じてやっていこうとする政府側の姿勢が弱い面があるというふうに私は思わざるを得ないのです。したがって、経営実態調査をやるなら、こういう面について徹底的なメスを入れられて、そして特殊法人に対しての改革というものを積極的に進めていただきたいというふうに考えるわけでありますが、長官の御所見を承りたいと存じます。
  143. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 矢山委員のお考えに全く同感でございまして、慎重に検討して実行したいと思います。
  144. 矢山有作

    ○矢山委員 もうこれでそろそろ終わりにいたしますが、さらにいろいろ調べてみますと、特殊法人や、認可法人でもそうですが、子法人、孫法人と言われるものがありますよ。そして特殊法人の子法人のところへ官僚が天下りをする、その特殊法人をやめた人がまたこれに天下りをしている、こういう構図もあるのですね。こういった問題を見ると、私は、いかにがっちりと官僚というものが自分の権限保持、自分の身分保持のために大きな大きな根を張っておるかということを痛感したわけです。だからこうした子法人、孫法人というものが一体どういう実態なのかということも、やはり政府としては、今後頭に置いて実態を調べられる必要があると私は思います。  私の方で子法人、孫法人に対する資料提出を求めたわけです。求めたところが、わからぬというのがほとんど、二、三わが省の管轄しておる特殊法人の子法人、孫法人はこういう状態だと言って幾らか資料を出した人もあります。しかしながら、よくよく聞いてみると、その実態はよくわからぬというのが本当じゃないかと思うのです。まさに奇々怪々という現象だろうと思います。  したがって、こうした面もやはり行政改革と言う以上は手を入れるくらいの覚悟がないと、官僚勢力に押されて、あそこを押したかと思うとここが飛び出し、押したかと思っておると、いつのほどにかまたそこが飛び出してくるというようなことで、進まないという結果になるおそれがありますので、こういう点について特に発言をいたしまして、今後に対する対処をお願いしておきたいと思います。  そして、最後に一つだけ、これは長官にお伺いしたいのです。  これは新聞報道でございますので、私はこういうことがあったというふうな断定はいたしませんが、しかし、いずれにいたしましても大新聞の報道でございますからまんざら根も葉もないことは書かぬだろうという前提に立ってお伺いするわけです。  長官は十月二日の午後、「新自由クラブの柿沢政策委員長と会談、行政改革への協力を要請するとともに、今後の行革の進め方に関し意見交換した。席上、中曽根長官臨時国会提出することにしている第二次臨時行政調査会設置法案の取り扱いについて、三十六年の臨調設置法であったように「公務員の人員整理を意図しない」というような付帯決議をしないよう特に求めた。」こういうことが報ぜられておるのであります。  これがもし事実なんだとすれば、私は公正な国会審議に対する不当な介入だと言わざるを得ないと思うのですが、どうなんでしょうか。
  145. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点はこの委員会でも前にお尋ねいただきましてお答えいたしましたが、そういうように私から発言し、またお願いした事実はございません。  ただ、第二次臨調の提案に関しましていろいろ御質問がございましたが、それに対していろいろ私から説明を加えました。その中に、人員問題や何かについて世論が非常に厳しいことを言っているのが私らのところに聞こえます、困ったものです、しかし、われわれといたしましては、いままで決められたいろいろな附帯決議やその他については十分考えていかなければならぬとは思っております、そういうような一連の話を申しました。その中で、世論がこういうふうにいろいろ厳しく言っているのは困ったものです、そういう意味の不定愁訴みたいなことを申し上げたことはございますけれども委員会がおつくりになる附帯決議について干渉がましいようなことを申し上げたことはございません。
  146. 矢山有作

    ○矢山委員 そういう一連の話の中でそういうふうに受け取られるような部分があったから、そう言われたんだろうと解釈せざるを得ませんが、私も私自身が聞いたことではございませんから、これ以上は追及はいたしません。しかし、そういうことがもう万々あってはならぬことでありますし、まさか良識ある長官がそんなことをおやりになったとも思えませんが、十分御留意をいただきたいというふうに思うわけであります。  以上、私は行政改革の問題に関連をいたしまして、特殊法人の問題に的をしぼって御質問申し上げたわけであります。しかしながら私は、特殊法人一つを取り上げても改革なり統廃合がいかに困難かということを、一、二の問題を挙げながら申し上げてみたわけでありますが、行政改革全般というのはきわめて困難なものだろうと思います。それだけに私は、内閣が総力を挙げてこれに取り組むということで御努力をいただきたいと思いますし、そのことは、単なる首切りをすれば行政改革だということにはならぬ。従来ともすれば、行政改革といえば首切りだ、こういうふうなことになっておっただけに、その点が問題になろうかと思うのです。  私ども地方でいろいろな出先の機関を歩いてみます。たとえば職業安定所あるいは労働基準監督署、ここらあたりに行ってみますと、定員削減ということで一律に削減をされる。そこで本来のいわゆる職安の求職のあっせんあるいはまた労働基準監督署の仕事がまさにできない、こういうような実態が出ておるということも私ども承知しておるわけであります。  上部の機構、中央省庁の機構だけをふくらまして、肝心かなめの人員整理で、しかもそのしわ寄せが第一線の行政担当者のところにいくというのでは本末転倒もはなはだしいということになりますので、この点は強く御指摘を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  147. 江藤隆美

  148. 安井吉典

    安井委員 わずかな時間をいただきまして臨調法案、さらにいわゆる中曽根行革の基本的なお考え等を伺いたいわけでありますが、最後の締めくくりには岩垂理事から問題点の総まとめをやっていただくことになっております。私はその前段で二、三の点について伺いたいのですが、その前に、先ほど午前中の上原委員質問に際して、その質問の中身は、朝日新聞の「特殊法人の剰余金吸い上げ」という記事についての質問であったそうでありますが、私、そのときここにいませんでしたので、明確な御答弁の中身を聞いていないのですが、全くの推測記事でそういう事実はありませんという御答弁があったそうですが、そのとおりですか。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのとおりでございます。
  150. 安井吉典

    安井委員 私は全部の新聞を読んだわけじゃないのですけれども、九月十一日の日経にそんな記事が載っていますし、それから東京新聞にも十一月十二日の新聞に載っていますよ。それから読売の十月十一日にも「剰余金吸収、五法人から 行管庁方針」というので出ています。私のほんのわずかな、大急ぎで集めたスクラップだけでもこのくらいあるのですよ。これも全部推測記事で、全部事実無根なのですか。
  151. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全部推測記事であります。  それから、事実無根かどうかという点は、調べた方はいろいろお調べになったので、私から干渉がましいことは申し上げませんが、われわれの方でどの法人をどうするとか、幾つ行うとか、幾らお金を吸い上げるとか、そういうことを決めたことはございません。
  152. 安井吉典

    安井委員 これには決めたとは書いてありませんね、どの新聞も。そういうことで検討を進めていると書いてありますが、それも事実無根ですか。
  153. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 幾つにするとか、幾ら巻き上げるとか、そういう方針で検討していることもございません。
  154. 安井吉典

    安井委員 それじゃいまの段階はもう全く白紙だ、こう受けとめていいわけですね。
  155. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人全般について財務諸表の提出を求めまして、一つ一つ検討している、そういう状態でございます。
  156. 安井吉典

    安井委員 それではもう少し伺ってまいりたいと思いますが、いま財政難で財政再建という大きな課題政府は持っているわけです。そういう際に、特殊法人から剰余金を納付させるという方針で行管庁は進んでおられるのではないかというふうに思うわけでありますが、さっきもどこまで検討するのかということについて御答弁もあったそうですが、明年度の予算に間に合わせるようにやろう、こういうことでお進みになっているということですか。
  157. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 予算編成をにらみながら並行してやっているということは事実でございます。
  158. 安井吉典

    安井委員 その調査結果に基づいて、行政管理庁としては、その法人に勧告するあるいは関係官庁に勧告をするというだけなのですか。それとも、かなりの問題は立法措置が必要だというふうにも思われるわけでありますが、行管として立法措置までやるつもりなんですか。
  159. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この委員会でも申し上げましたように、もし可能であれば、国有財産も売りなさい、あるいは株式も売りなさい、あるいは剰余金も出してもらいたい、そして国債をできるだけ減らすようにいたしたい、そういう願望も持っておりまして、そういう点も考えながら洗っておる最中でございます。もしそれが可能であるということになれば、いずれ各省庁とも協議をいたしまして、また大蔵省とも相談をいたしまして、やっていただくようにしたいと思いますし、その状況によりましては、あるいは行政措置でやれるもの、立法措置を必要とするもの、おのおのに従って進めていかなければならないのではないかと思います。
  160. 安井吉典

    安井委員 行管庁は勧告はできると思いますね。調査もできるし、勧告もできますよ。しかし、そこの法人の持っている財政の問題に深くかかわって、行管庁長官の権限で金を取り上げるとか、そこの金を吸い上げるような法律を出すとか、それは行管の仕事でそこまでおやりなんですか。
  161. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ですから、予算編成と見合いながら関係各省にも御相談をするあるいは大蔵省にもお願い申し上げる、そういうふうに申し上げたのでありまして、行管庁は勧告する権限しかございません。
  162. 安井吉典

    安井委員 大蔵省からもおいでいただいているはずですが、大蔵省としてこの問題についてどう考えておられるのかを伺いたいわけです。  大蔵省側の希望で行管がこういう作業をお始めになっているのか。行管の方でこういう財源があるから教えてやろうというようなことで、行管独自で作業をお始めになっているのか。その辺が聞きたいわけです。今日までの段階で両省庁の間でいかなる協議や連絡が行われてきたのか。それもあわせて伺います。
  163. 藤原和人

    ○藤原説明員 御承知のような財政危機の状況でございますので、私どもといたしましては、歳入歳出の両面にわたりまして財政再建に資するような見直しの余地があるかどうかということを検討をいたしていかなければいけないというようなことであるわけでございます。ただいまの御指摘の点につきましては、「今後の行政改革に関する基本的な考え方」というところで、「特殊法人の経営基盤の強化に配意しつつ、財務の厳正化を図る観点から経営の実態を見直す」ということになっているわけでございまして、具体的には行政管理庁とも十分協議を行いつつ、財政再建にも資するように今後検討をしてまいりたい、こういうふうに考えています。
  164. 安井吉典

    安井委員 私、お聞きしているのは、いままでの経過です。どの程度お話し合いが進んで今日まで来ているのか。その点です。
  165. 藤原和人

    ○藤原説明員 行政管理庁におかれまして特殊法人の経営見直し調査をされておられるということは、私どもも承知しております。
  166. 安井吉典

    安井委員 では、いままで相互連絡はないわけですね。
  167. 藤原和人

    ○藤原説明員 調査の結果につきまして、私どもはその結果を伺っているというような段階にはまだ至っておりません。
  168. 安井吉典

    安井委員 行管庁として、関係省庁の方とこの問題についてお話し合いを今日までされてきているのですか、どうですか。
  169. 中庄二

    ○中政府委員 現在調査中でございまして、話というのが、調査ということが話であれば別でございますが、私ども意見めいたことは申し上げたところはどこもございません。調査をやっている段階でございます。
  170. 安井吉典

    安井委員 大蔵省側は、この特殊法人の中でも一番大どころは電電公社ということで押さえて、電電公社から電話加入税というような形で納付させるというような仕組みを考えているという報道もありました。これも中曽根長官に言わせると、もう日本の報道機関は推測ばかりで書いているような感じを受けるわけですが、この点はどうなんですか。大蔵省として、この問題についてそういうふうなことになっているのかどうか。電話加入税というようなことになると、加入者にずっと一遍にかかっちゃうわけですから、悪平等の新しい税金がまた生まれてくるというような感じも受けるわけでありますが、大蔵省、どうでしょう。
  171. 藤原和人

    ○藤原説明員 私どもの方といたしましては、電電公社に対しまして何らかの御協力をお願いできないだろうかということも含めて、種々検討していかなければならないと考えているというようなことを大臣から別の委員会お答えを申し上げているわけでございます。
  172. 安井吉典

    安井委員 そうすると、電話加入税などという構想は全くないのですね。白紙なんですね。
  173. 藤原和人

    ○藤原説明員 ただいまお答えしたとおりでございます。
  174. 安井吉典

    安井委員 では、これも事実無根だということのようですね。きょうは事実無根がよくはやる日ですが、やはり大変重大な問題ですから慎重に扱っていただく必要があるのではないかと思います。  特殊法人といいましても百十もあり、全部性格が違うわけで、特殊法人一般というようなルールはないわけです。三公社五現業だけでも一つずつ全く性格の違うものであるわけです。それぞれの法人の成立過程のいきさつやら特殊な性格等が違うわけですから、私は問題はそう簡単ではないと思います。新年度の予算に間に合わせるといったって、もう十一月も半ば、下旬に近づいてきているわけですからね。来月の末にはもう予算編成でしょう。もう決まっちゃうんじゃないですかね。ですから、時間的にはあと一月もないわけですよ。そういうような段階でどろなわ式に問題を結論化していくというようなことでは、私はまかり間違えば将来に大きな悔いを残すことになりはしないかと思います。大臣どうでしょう、どろなわ式で予算に間に合わせるなんということができるでしょうか。私は非常にむずかしいと思うのですが、どうですか。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人のいろいろな経理や財務につきましては、八月ごろからいろいろ調査もしておりまして、また財務諸表の提出も正式に求めていろいろ検討も加えておるところでありまして、そのような成果を踏まえてどういうふうにするか関係各省や大蔵省とも相談をしてやっていきたいと思っておるのです。基礎調査をしっかりすれば、あとは政策論の問題でございますから、党とも相談をし関係各省とも相談をして予算に間に合うようにやれるのではないかと思います。
  176. 安井吉典

    安井委員 調査が進んできても、ここでまだお話をしてもらえるところまでいってないわけですよ。新聞に推測記事が出るところでしかないとさっきおっしゃったじゃないですか。大蔵省と行管との間のお話もできていないし、まして各省庁との話もない。そういうようなことで一月足らずで私は間に合うようなものができるわけがないと思う。もしできるとすれば、それはまさにどろなわだろう、こう思うわけであります。  そこで、この特殊法人の中でも一番大きなねらいは電電公社だと伝えられているわけですが、電電公社の剰余金についてはどれくらい見込んでおられるのか、その剰余金というのは一体どういうような形で保有されているのか、その点、行管の今日までの御調査の結果を伺います。
  177. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま調査中でございますが、電電公社の剰余金、五十二年、五十三年、五十四年と非常に多額のいわば収支差額と申しますか、出ておるのは事実でございます。それから設備の積立金等いわば資本に該当するものも相当あるのも事実だと思っております。
  178. 安井吉典

    安井委員 その剰余金というのは、いまどういう形で積まれているのですか。
  179. 中庄二

    ○中政府委員 剰余金は、現在の実際の形から申しますと、資産に化体しているのが多いと思っております。
  180. 安井吉典

    安井委員 では、みんな物に変わっているわけでしょう。つまり収入と支出の差額ですよね。しかし、それは法律に基づいて国会がきちっと使い道を決めて、設備やら償還やらみんなそういうものになってしまっているのではないですか。何か一兆何千億円も電電公社のどこかにうずたかく積まれているような感じを受けるのですが、そうじゃないでしょう。実際はお金はないのでしょう。
  181. 中庄二

    ○中政府委員 果たして適切な例かどうかわかりませんが、昭和五十三年度に専売公社の特別納付金制度というのがございました。それもほぼ同様の状態と承知しております。
  182. 安井吉典

    安井委員 よそのことを言わないでください、いま電電公社の話を聞いているのですから。それはみんな物に変わっていて、何かお金が積まれているような印象をみんなに与えているわけですが、そうじゃないのでしょう。償還なり施設になっているのでしょう、いままでのその剰余金なるものは。そうじゃないですか。
  183. 中庄二

    ○中政府委員 詳細な数字をいま手元に持ち合わせておりませんが、大きな部分については先生御指摘のとおりかと思います。
  184. 安井吉典

    安井委員 では、どれだけ余っているのですか。どういう調査になっているのですか。
  185. 中庄二

    ○中政府委員 まだ私のところにそこまで報告が上がってきておりません。
  186. 安井吉典

    安井委員 報告が上がってきてないで五千億円取り上げるとかなんとか、これは一体だれが長官で、だれが局長なんですかね、行政管理庁という役所は。あなた方何にも知らないけれども、新聞にちゃんと書いてあるではないですか。一般がどんどん、みんな知っているわけですよ。  きょうは電電公社の総裁にもちょっとおいでをいただいておりますが、予算を上回った純利益、これは勝手に何でも使えるような仕組みではないように私は思うのです。一般の会社の決算剰余金とは何か違うように聞いておりますが、その点ひとつ明確にしてください。
  187. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  電電公社の事業経営の基本としましては、いわゆる受益者負担によって運営する、また独立採算制によって運用するということが設立の経緯からはっきりしておるわけでございます。いまのお尋ねのいわゆる収支差額の問題でございますが、各年度の予算の中で、加入者に対するサービスの改善のためのいわゆる改良投資に充当するということで予算化をされております。実行の過程に入りまして、いわゆる収支差額が予算を上回りました場合でも、同じような趣旨で利用者の何らかの形に、サービスの利便の向上その他に使えるように還元をする、こういう使い方をしておるわけでございます。  現実の問題といたしましては、いわゆる支出予算の支出権の拡大をいたします場合には弾力条項がございますが、予算総則の規定によりまして、主務大臣、つまり郵政大臣の認可を経なければ支出権の拡大に充てるような支出はできないということになっております。
  188. 安井吉典

    安井委員 ですから、いままでの剰余金といま行管の方で称しているお金は現実にあるのですか。お金としてはないのでしょう。何かのかっこうになっているのではないですか。
  189. 岩下健

    ○岩下説明員 御指摘のように、いわゆる余り金という形で剰余金がキャッシュの形であるものではございません。そのすべてが通信サービスを提供しますための通信設備、つまり固定資産に化体をしておるというのが現状でございます。
  190. 安井吉典

    安井委員 収支の差額が出れば、それはまだ料金が高いからそういうふうにプラスが出てくるのかもしれません。そういうような意味で受益者に還元をするということを私たちはこれまで主張してまいりました。そういうような中で、夜間の遠距離通話料の値下げをぜひやるべきだという主張を続けてきたわけです。これが間もなく行われるはずだと思いますが、どのくらいの支出の増になるのか。そしてその分だけいわゆる剰余金というのは減るのではないですか。その点明らかにしてください。
  191. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  いわゆる電話料金の市外、特に遠距離市外通話料が高い、また逆に市内通話料は諸外国に比べまして安いわけでありますが、この遠近の格差を是正するということは、国会の御指摘もあり、また政府の御指摘もございまして、公社の大きな研究課題になっておったわけでございます。  さしむき、まず大臣の認可をもって可能な夜間通話料金の値下げを実施するということを先般郵政大臣から認可をちょうだいいたしまして、この十一月二十七日に実施をすることになっております。内容は、現在の四割引きの夜間の割引の時間帯を前後一時間ずつ拡大をするということと、新たに午後九時から翌朝の六時まで六割引きという深夜の割引を設ける、この二点が内容でございまして、この影響額は、平年度で申しまして約千五百億円の減収になるはずでございますが、推計によりますと、恐らく逆に二百億円程度の利用増もあるだろうということで、差し引き平年度千三百億円の減収というふうに見積もっております。今年度は実施の期日が短うございますので、全額ではございませんが、五十六年度はこの約千三百億円の減収を見込むということで、現在政府提出しております電電公社の五十六年度予算の中に組み込んでございます。
  192. 安井吉典

    安井委員 遠距離の料金はまだ高いですね。私は北海道だものだから、東京との連絡の電話、私は特別に電話をたくさんつけているわけでもないし、特別たくさん電話をかけるわけではないのですが、一月の電話料は二十万円ぐらいかかってしまいます。向こうからかけるものとこっちからかけるもの。普通の形でそれぐらいかかりますよ。だから距離が遠いと大変なんです。こういう意味で、もしそんなに余っているなら、まずそういうふうな遠距離の料金を下げるとか受益者へのサービスをもっと強くすべきだと私たちは思うのです。それについて今後のお考えはどうですか。
  193. 岩下健

    ○岩下説明員 先生御指摘のとおり、市外通話料、特に遠距離の市外通話料の問題、これは夜間だけではございませんで、昼間の料金も含めました全般的ないわゆる通話料の遠近格差の是正、これの本格的な実施に現在取り組んでおる、現在いろいろと案を検討しておるという段階でございます。
  194. 安井吉典

    安井委員 もう少し積極的な取り組みをぜひ期待したいと思うのです。  これもきのうの新聞ですか「電電公社の逓信病院新設利益隠しの疑い 行管庁が特別調査へ」という大きな見出しで出ている記事があります。金が余っているから大急ぎで病院をつくったというような、これも中曽根さんの言葉を使えば推測記事なのかどうかわかりませんが、どうなのですか。この事実関係をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  195. 中庄二

    ○中政府委員 五現業、それから三公社の付属の現業関係の病院と申しますか、これは非常に赤字が多い。収支率が二割から三割であるということがかなり前から言われておりまして、五十五年度の監察計画にのっとりまして、私ども近く監察を実施する予定でございまして、そういう意味合いで、電電公社の逓信病院も対象になるという意味では、いま検討を進めておる段階でございます。
  196. 澤田道夫

    ○澤田説明員 お答えいたします。  新聞に記載されておりました東北逓信病院でございますが、この病院の設置に関しましては、部内的には昭和四十八年に設置の方向を定めておりまして、その後準備調査を進めました。予算の要求は五十一年度から五十二、五十三、五十四と四年間に分割して予算が成立いたしております。五十一年度には敷地の選定を行い、五十二年度から百三十床の規模をもちまして建築に入りました。以後、建物の完成後必要な医療設備の導入を行いまして、昭和五十五年一月完成、二月から診療に入っております。したがいまして、このような長期的な観点から設置を図り、開設したものでございまして、新聞報道にございますような利益隠しというようなことはとうてい考えられないといいますか、無縁のものであるというふうに考えております。
  197. 安井吉典

    安井委員 金が余ったから急にばたばたとつくったというものではないわけですね。電電公社のお金というのは、あくまでも電話加入者の払った金だということになるわけでありますから、その経営目的に合うような方向で使われなければいかぬと思うし、それからまた、これからますます電信電話事業の近代化が行われなければいけない。そのための建設事業がかかってくるようにも思いますし、それから電電債券、これは世界のどこの国にも加入者から債券をもってお願いをするという仕組みはないと聞いております。日本しかないのだそうですが、いずれにしても、この償還が進んでいかなければいけないというふうな事情にもあるわけでありますが、今後の経理の見通しですね、どういう問題点を意識されておられますか、それもお伺いします。
  198. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  現在、公社の抱えております財務上の問題としましては、まず一つは事業収支の動向でございますが、住宅の電話が非常に普及をいたしまして、その結果、実は住宅用の電話の使い方が業務用に比べますと三分の一ないし四分の一程度でございますので、いわば収入といたしましては、平均的に見ました場合に、一つの電話当たりの収入が若干低減するという傾向にございます。経費の方は余り違いませんので、シェーレが狭まりまして、収支としては構造的にやや悪化の傾向があるということでございます。  それから二番目が資金調達の問題でございますが、現在、公社の資金ソースの大きなものの一つが、先生御指摘の拡充法に基づくところの加入者の方に引き受けていただいております債券引受制度でございます。これの根拠法であります法律が五十七年度末が期限でございまして、時限立法の期限が到来いたします。加えまして、昭和四十年代の後半、昭和四十八年、九年ごろ、また五十年ごろ、三百万を超える架設をいたしました。その関係でいまの加入者引受債券が大量に発行されまして、これの期限が十年でございますので、これが五十八年、九年ごろ償還のピークがやってくるということで、需給両面におきまして非常に資金的に苦しい事情になってくる。片方でまたいろいろ今後のサービスの改善、電話以外のデータ通信その他のいわゆる非電話系サービス等に対する投資需要あるいは既設の加入者に対するサービスの改善の投資、こういった設備投資の需要も増加してくる、そういう中で資金調達の問題が昭和五十七年の終わりから五十八年、五十九年ころにかけて大きな問題として出てくるだろう、そのために現在いろいろ対応策を考究中である、こういう状況でございます。
  199. 安井吉典

    安井委員 公社の総裁もおいでをいただいておりますから、最後にちょっとお考えを伺っておきたいと思うのですが、今度の剰余金の問題というのは、結局電話料の収入と支出とが、余ったというかっこうで差ができた、それが問題だということらしいのですが、一つは、このことは収入の方を本当はもっとサービスをよくして料金を下げておけばこんな余りが出なかった、そういう言い方もできます。料金が高過ぎるのではないかということですね。第二には、今度は支出の方です。設備の改善あるいは債務の償還をもっと積極的にやるべきだったが、それを十分やっていないから金が余っちゃったんだ、こういう見方もできるわけです。それから三番目には、いまも御説明ありましたけれども、長期的に見て将来の経理全体の見通しの中からセーブしておいた方がいいのではないかというような形で、意識的にそういうふうなものを残してきたのだという、三通りの見方ができるわけであります。  しかし、いずれにしても私は、今日までの公社のこのあらわれてきている数字というのは、公社の経営の中で労使が生み出したものであって、そしてそれは利用者たる国民のものだ、こう意味づけていいのではないかと思います。ですから、私から言わせれば、今日までの放漫財政で赤字が一般会計でどんとできて、国債を減らさなければいかぬというところにそれを向けられたり、まして防衛力の増強の費用にわれわれの電話のためのお金が使われていくというようなことじゃがまんができないような気がするわけであります。  そこで、電信電話事業の将来は、近代化の方向が期待されているし、利用者の要求も非常に多様化してくるわけです。そういうような中で、あくまでも真に国民のための情報、通信の役割りを果たすことができるような公社制度の見直しこそ先決ではないかと私は思うのです。その点、お考えを伺います。
  200. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答え申し上げます。  非常に基本的な御質問でございますが、いま先生がおっしゃった中で一つだけ、電電公社は設備投資をまだやっていないんじゃないかというふうなお話でございますが、ひとつ根本的に考えていただかなければならぬ問題は、電電公社の建設投資というものは実に巨大な、ことしの予算で申しますると一兆六千八百億という巨大なものでございます。その金はほとんど借金、電電債それから外債もありますが、借金によって賄っているんで、一部を、いま問題の収支差額と申しますか余剰金といいますか、そういうものによってやっておるのでございまして、公社発足以来二十八年になりますけれども、公社の財産というものは、八〇%は国民の加入者の拠出したあるいはお借りしたお金からできているということが正確にバランスシートから申せるのでございます。あと二〇%は電電債、独自の力で借金をしている。要するに全部借金と自己資金でやっておる。それで政府はどういう立場に立っておるかと申しますと、財政面からいいますと千分の八、金額でいいますと百八十八億、いわゆる民間の資本金に当たるものはわずか〇・八%でございます。だから、まず私はないと言ってもしかるべきだと思います。そういうのでございまして、現在のところ借金と自己資金によって賄っているということで、建設投資は十分考えてやっているということだと私たちは思っております。  今後この納付金の問題も、まずこの問題は国民の皆様にお返しする、便益のために使うということでございまして、一番直接的なものは、料金値下げをするということ。それからもう一つは、間接に、自己資金によって、安い、利息のつかない金によって建設をするということでございますが、この問題も世帯が非常に大きくなりましたから、四千五百億とか三千何百億という金は非常に大きく見えますが、率としたら一割ぐらいでございまして、過去におきましては二割五分の収支差額を上げたときもございますが一先般来私どもはこれを早く国民にお返しするという意味で、さしずめ夜間割引の料率を変えまして、この十一月二十七日から割引をよくする、これが一番手っ取り早い話でございますが、将来の展望としますると、来年度早々案を立てまして、五十七年度からは本格的な遠距離の格差を是正するということを私は考えておるのでございます。この是正に当たりましては、ちょうどたまたま五十七年、八年ごろから料金の水準が水面すれすれになりますので、同時に将来の展望を立てまして、根本的に料金の改正を図るというやさきでございます。そしてもう一つは、五十八年の三月には、二十年間われわれ非常にお世話になりました加入者からの引受電電債の時限立法が切れますので、これはまだ法案を出さないと決めたわけではございませんが、これも非常に大きな財源が二千億ほど減ってまいります。そういうやさきでございますので、この問題に対しましては、私たちは非常に苦慮しているところでございまして、将来の展望を考えますと、受益者負担、独立採算ということに徹して今日までやってきましたけれども、この問題に対しましては、私たちは非常に困難な問題だと思っております。先ほど来承っておるように、まだ具体案というものは何一つできておりませんので、まだかれこれ言う立場ではございませんけれども、一般論としては、非常に公社の制度にはなじまない方針であるというふうに理解しております。  ちょっと訂正させていただきます。さっき一兆六千八百億と申しましたのは、一兆七千百億でございます。失礼しました。
  201. 安井吉典

    安井委員 時間がだんだんなくなってきたんだが、郵政省からもおいでですから、ごく簡単にこの問題についての考えを伺いたいと思います。
  202. 守住有信

    守住政府委員 電電公社に対します納付金の問題、たとえば収入の一定割合だとかあるいはまた収支差額の一定額とかあるいは臨時的にとか、そういうことで何らか知恵を出して協力してほしいというのが、実は大蔵省の方からも協力依頼があっておるところでございます。行政管理庁の方で御調査中だということは承知しておりますけれども、その御調査の結果と申しますか、それについては承知しておりませんので、この席で直接お答えする立場にはございませんけれども、まず一般論として申し上げますと、いま総裁が申し上げましたような電電公社の経営上の問題から、あるいは公社の制度の特質と申しますか、そういう面からも、これは非常に重大な問題である。また私どもの通信政策という立場から申し上げましても、電電公社自身が例の全国ダイヤル化と積滞解消、これは表面的には解消はいたしておりますけれども、なおいろいろなサービス面で、たとえば農山地域の問題だとかあるいは新しい高度なサービスが都会地でも行われておりますけれども、電子交換機の導入はわずか七%であるとか、いろいろな面で非常に設備投資面もなお問題の余地をよけい残しておる、こういうふうに認識をいたしておりますので、やはり通信政策上の立場からもこれは非常に大きな問題で、電話加入者のための諸施策に使用されていかなければならない、このように認識をいたしておる次第でございます。
  203. 安井吉典

    安井委員 もうこの問題で時間がかかり過ぎて、大臣の答弁をいただこうと思いましたが結構です。いずれにしても、いま電電公社の例ですけれども、その他の特殊法人でもなかなか問題がたくさんあるんじゃないかと思うのです。したがって、慎重な態度で臨んでいただきたいということをひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、臨調の問題でありますが、経費はどれぐらいを見込んで要求されておるのか。それから事務局はどこへ置くのですか。総理府の中だ、こう書いてありますが、総理府の中のどこかの一室を充てるのか、それとも別なところに持っていくのか。それからまた委員の給与はどうお考えなのか。専門委員のようなもの、第一次臨調にはあったわけですが、そういうようなものを置くことできちっとしたものにしていくのか。それらについてのお考えを伺います。
  204. 林伸樹

    林政府委員 まず建物をどこに置くかということでございますが、ただいまそれを方々適当なところを探している最中で、近々決まると思います。  それで、建物の部分を除きまして経費がどれぐらいかかるかということでございますが、来年度で年間大体三億余りでございます。経費の内容でございますけれども、まず委員九名、これは非常勤でございますが、大体週一回くらい集まっていただく。前回もさようでございました。それから専門委員、これは前回二十一名でございましたが、今回もなるべく規模は小さくしたいと思いますけれども専門委員は余り減らせないと思いますが、これが週二回くらい来ていただくということでございます。それからあとは事務局、これは調査員と会議等の庶務、それからいろいろな資料整備等でございますけれども前回百十人ほどでございましたが、今回はそれよりも少なくしたいと思っております。これは行政管理庁等からの出向職員で充てたいと思っております。なお、単価でございますが、一日当たり幾らというのは、これから予算折衝の過程で査定当局といろいろ御相談して決まるということでございまして、まだ決まっておりません。  以上でございます。
  205. 安井吉典

    安井委員 行管の今後の方針等も伺ってみたいのですが、もうわずかな時間しかありません。特に中央地方を通ずる改革という方向が私は望ましいと思うし、そういう意味合いのことも長官はいままでもおっしゃっておるわけです。地方制度調査会等の建議もこれまでしばしばあるのですが、ほとんど取り上げられていないということでかなり不平や不満が出ているということはすでにおわかりだと思います。やはり地方時代というが、中央集権から自治、分権、参加、そういうような方向への行政改革というようなことでなければならぬのではないか。特に府県では市町村に対して権限委譲をするというのが近ごろはやりみたいに広がっています。情報公開のことも同じようにいろいろ自治体では努力しているわけですよ。しかし、いままでの行革方針の中には、中央地方を通じて問題を考えると言いながら、この権限委譲や財源委譲等については全くノータッチと言ってもいいような状況の中にあるわけです。これからもっともっと臨調の討議の中にもこれを入れていく必要があるだろうし、行革の具体的なあり方として、そういうことに配慮を加えていくべきではないかと思うわけでありますが、どうでしょう。
  206. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央地方の問題も第二次臨調の大きな課題として御論議いただくことになると思います。  御指摘のように、中央と地方との関係におきましては、第一次臨調においても指摘されたこともあり、また最近の地方制度調査会において相次いでいろいろ御議論も承っておりますが、それらも十分に参考にして処理されるであろうと期待いたしますし、われわれもそういう考えを持っております。
  207. 安井吉典

    安井委員 そういう中で地方事務官の問題がいまだに未解決になってきているわけです。地方自治法の附則第八条で「当分の間」というのがもう三十数年続いてきているわけです。憲法が変わって地方自治法ができて国と地方との間でかっきり区分ができて自治権を尊重するという立場が貫かれながら、ちょうど旧憲法の時代地方自治体はおサルみたいだったと思うのですが、そのおサルが新憲法で人間になった。しかし、いまだにしっぽだけが地方事務官という形で三十数年続いてきている。いまだに当分の間だというのはおかしい話だと思います。今度の国会にも従来から提案になりました運輸の関係についての法案がそのまま残ってきているわけです。しかし、運輸だけが問題ではないので、厚生関係もあるし、労働関係もあるし、そういうものを一括解決をするという姿勢でなければ問題が残ってしまうのではないかと私は思うわけです。運輸だけ先に行ってしまえば、あとの問題はぐずぐずのままに終わってしまうというおそれもあるからです。七十二回国会の附帯決議もあるし、五大臣の覚書もあるわけですね。そういう中でことしの六月をめどに決めるという行政管理庁の約束があるわけです。それが果たされないまま今日まで来ているわけですが、これはどういうふうに御処理をされるおつもりでしょうか。
  208. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 この地方事務官制度の問題でございますが、なかなかむずかしい問題がたくさんございます。先生お話しのとおり、運輸省のうち車検、登録問題につきましては、現在今国会に道路運送車両法等の一部を改正する法律案を御提出して御審議をお願いしているわけでございますが、御指摘のとおり、そのほかの厚生省の社会保険関係及び労働省の職業安定関係地方事務官の問題並びに運輸省のも陸運関係地方事務官制度のうちの引き続き懸案とされているこの三点につきましては、鋭意政府部内においてその取り扱いを検討、協議を進めてきているところでございますが、これらの問題は国と地方公共団体機能分担のあり方及び現にそこに勤務しております職員の身分等に関連する問題でございますので、なかなかそういう問題の抜本的な解決策を見出すことができなく、現在までのところ、その成案が得られていないわけでございます。  政府としましては、今後とも問題の基本的解決の方向を見出すべく、引き続き検討、協議を進めてまいるということになっておりますが、さしあたりこの結論が得られるまでの間においても、何らかの改善策はないかということで、暫定的な措置としまして、これは都道府県の方のでございますが、地方事務官関係部局と一般知事部局との間の人事交流の活発化を初めとしまして、行政運営改善を図ろうということを決めているわけでございます。これはもちろんこれにかわるというほどのものではございませんけれども、暫定的な措置としてそういうところからでも手をつけていこうということで、いま申し上げました人事交流の活発化というようなことは考えておりますが、なお基本的な問題につきましては、いろいろ困難がございますが、引き続き協議を進めていくということになっておりますので、十分検討していきたいというふうに思います。
  209. 安井吉典

    安井委員 六月をめどというそのめどは、もう六月を過ぎてしまったわけですよ。今度はどこをめどにされるわけですか。
  210. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 この問題は確かに六月ということでございましたが、いろいろ諸般の情勢等がございまして六月には結論が得られず、九月の行政改革本部におきまして、この問題について当面の取り扱いについてという行革本部の了承がございますが、ここでは私が先ほど申し上げました段階の議論でございまして、現在まだ未解決の部分は検討、協議を進めることとすること、そういうことがこの行革本部の了承として決まっておるわけでございますが、行革本部におきましては、この時点におきましては、いつまでにというようなことは特に決められてはいない状態でございます。
  211. 安井吉典

    安井委員 これは毎年、三月末だとか六月をめどだとか、一応めどを立てながらずるずる来ているわけです。問題がむずかしいのはわかりますよ、これまで来たわけですからね。しかし、やはり何かめどをきちっと置かなければ、ずるずるのままに行ってしまうというおそれがあるのではないかと思います。  いまのことで言いますと、検討するじゃ、どこまで行ってしまうのですか。やはり来年の三月末とか、そういうふうな一つのけじめをつけるという目標を立てなければ、これはまたいままでと同じことですよ。大臣、どうでしょうか。
  212. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 できるだけ早く解決したいと思っております。いままで解決できなかったということは、歴代長官もお約束したことができなかったことで、まことに申しわけない事態であると思っております。私の代にもなりましたので、私も責任を感じまして、できるだけ早期に関係各省及び地方との了解を取りつけて、よい解決案をつくってみたいと思っております。
  213. 安井吉典

    安井委員 中曽根さんのときに解決できた、そう歴史に残るように、ぜひ御努力をお願いしておきたいと思います。  最後に、行政改革というのは、新しい社会経済の情勢に対応して、国民のニーズにこたえる行政制度を新しくつくることであり、したがって、たくさんある政策に優先順位を付していく、優先順位の高いところには人も金も多くつけていく、機構的な充実もやっていく、そうでないところは減らしてもですね。その政策の優先順位ということに、私は行政改革ということの大きな意義を思うわけであります。一律削減だとか数字合わせのやり方だとか、たとえば営林局は何としてでも二つつぶさなければいけないというふうな法律をつくる。行政制度立法などというのは、実に具体的、現実的な法律でなければいかぬのが、なくなる役所の名前も、できる役所の名前もないわけですね。あんな法律なんて、私は初めて見たと思います。もう国会を通ってしまった。ですから、あんなやり方はおかしいと思うのです。国民のための緑の山々をつくり上げていくという大きな政策目的があれば、それを充実するということも必要だし、もうそんなのはどうでもいいと思えば減らすのもしようがないかもしれませんが、いまもどんどん減らしているわけですね。  一例を挙げればそういうことなんですけれども行政に対する優先順位をつけていくということの大切さ、その点について、大臣、どうお考えでしょうか。
  214. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 きめの細かい真実をつかんだやり方は、そういう安井さんのおっしゃるようなことであるだろうと思います。私たちもそういう心がけで一生懸命努力してまいりたいと思いますが、いままで歴代なぜそれができなかったか。佐藤さんのときにも一省一局削減というようなことがあって大分批判も受けましたが、それを見ると、やはり相当役所の抵抗があったり、いろいろ障害になることが惹起される、いわゆる各論になると反対が出てしまう、そういうことで、一律にそういう措置をせざるを得ないのが次善の策となったのであるだろうと思います。しかし私たちは、ベストを求めて、できるだけ次善の策に流れないように努力をしてまいりたいと思っております。
  215. 安井吉典

    安井委員 次善でなしに最善の策を目指していくというそのいまのお言葉に期待をして、私の質問を終わります。
  216. 江藤隆美

  217. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この臨時国会で、地方支分部局の整理統合法案で三日間、第二臨調で三日間、中曽根長官におつき合いをいただいたわけであります。この中で私ども、さまざまな角度から質問を申し上げ、御答弁を煩わしてきたわけでありますが、今度できるであろう臨時行政調査会運営について、最初に確認をしたい点を申し上げて、御答弁を煩わしたいと思います。  これはもうすでにやりとりのあったことですから、まとめて申し上げます。  第一は、言うまでもないことですけれども調査会には広範な国民世論が反映できるように配慮すること。第二は、関係する労働組合との交渉、協議を通して円満な審議を保障すること。これは長官のお言葉の中にも何度か触れられている言葉であります。三番目は、委員会は新しい社会情勢や国民生活にかかわるニーズにこたえる行政の制度、機能あり方検討すること。第四は、財政再建の名において、福祉切り捨てや社会的な弱い立場の人々を切り捨てることのないように十分に配慮すると同時に、公務員労働者の人員整理や身分あるいは労働条件の切り下げは避けること。またつけ加えますけれども形式的な一省一局削減方式というふうなことにこだわらないで、大局的見地から検討を加えていくことなどなどの点について要請をし、御答弁をいただいたわけでございますが、この席上で改めて長官の誠意のある御答弁をいただきたいものだと考えます。
  218. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず第一に、調査会で広範な国民世論が反映できるように配慮することという点については、お説のとおり、広範な国民世論が反映できるように配慮いたしたいと思います。  第二に、関係労働組合との関係でございますけれども関係労働組合の意見をこの審議の過程におきまして十分に徴して、お互いに意思が洞通するような措置を講ずるように委員に対して私の方からもお願い申し上げておきたいと思います。  第三番目に、社会経済や国民生活の新しいニーズに即した行政の制度、機能あり方検討する。これは恐らくプライバシー法や情報公開等も含めてのお説であると思いますが、この点も同感でございます。  それから、財政再建の名において福祉切り捨て弱者切り捨てを行うことのないようにするということは当然のことでございまして、財政再建のためにのみ福祉切り捨て弱者切り捨ては行わないということは穏当な政治であると思います。     〔委員長退席染谷委員長代理着席〕  ただ、一般的に国民負担との関係におきまして、福祉切り捨てとか弱者切り捨てとかいうことのみを目的としないで、政治全般として穏当な政策を行う上の過程におきまして、弱者はまあ別といたしまして、福祉問題やその他についてある程度の影響が出てくるようなことは、将来大蔵当局がどういうような措置をとりますか、これはわれわれがそれ以上言及することは越権でございますから申し上げませんけれども、しかし、福祉弱者に関します問題は、われわれとしても十分慎重に考慮しなければならないことであると思いますから、そのように措置いたしたいと思います。  公務員労働者の処遇の問題でございますが、公務員労働者の身分や待遇にいたずらなる混乱やあるいは不安定なことが起こらないようにできるだけ配慮すべきものであると考えております。  なお、この行政改革について画一的な措置を避けるようにというお話でございましたが、これも安井委員の御質問お答え申し上げましたとおりに、画一的な処理というものはできるだけ避けるようにいたしまして、真実に向かってわれわれが直進していくような措置をできるだけとるように努力いたしたいと思っております。
  219. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 多少言葉遣いにちぐはぐな点もございますけれども、それはそれとして、とにかく公務員労働者の不安を避ける配慮あるいはまた行政サービスの低下などについては、これをもたらさないような最善の努力をまず求めておきたいものだと思います。  次に、これは私自身がブロック機関の整理統合に関する法案審議の中で、あるいは長官御存じのとおりに本会議の席上で、民主的な行政の制度、機能の改革を推進することを具体的な形で提案をいたしてまいりました。それはもうここでは繰り返しませんけれども、政界、財界官界の癒着の構造、これを排除しなければならぬ。そのためには政策形成に至る過程の民主的なルールの確立という点。なかんずく予算編成にかかわる組織あるいは体制を見直すという点。このことをまず強調しながら、二番目に、補助金や財政投融資や許認可制度やあるいはいわゆる行政指導と言われることを通しての企業に対する干渉あるいは介入、さらには特殊法人の問題、これらを洗い直すということに重点を置くべきではないだろうか、このように申し上げた点。それから中央集権、縦割り行政の現状を改善するということ。四番目には、地方自治の理念を尊重して国の地方に対する不当な介入をやめて、国と地方の行財政の再配分というものを促進をするということ。実は、これは私が指摘したわけじゃなくて、先日総評の諸君が申し入れた項目でもございますが、公務員制度検討するときには、国際社会において日本の責任を明確にするためにILO条約の批准などが当然含まれなければならない、こういう指摘もしておりますけれども、これらについてまとめて一つ一つ御答弁をいただきたいと思います。
  220. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず、行政改革政府の政策形成の過程において民主的に行われるようにというお考え並びに中央地方における業務の配分を公正、適正に行うという点は同感でございます。それと同時に、公務員制度の管理あるいは行政の管理等についても公正、適正に行われる必要があるであろう、そのように思います。  それから、ILO条約の問題でございますが、この問題は外務当局の所管の問題でございまして、私から軽々に外交問題をお答えすることは慎みたいと思いますが、御意見のほどはよく紹介いたしまして、外交当局とも相談いたしたいと思います。
  221. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そのほかの補助金、中央集権、縦割り行政の排除、地方自治の理念云々のところは問題はございませんね。
  222. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 同感でございます。
  223. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一番最初に申し上げた広範な国民世論を反映させるということに関連をいたしまして、長官委員人選にはかたく口をつぐんでおられるわけですけれども、これは私が申し上げるまでもないと思うのですが、たとえば消費者行政の問題は、これからの日本で非常に大きな問題になっていると私は思います。あるいは国連で採択になりました、例の婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准に関係する諸措置というのは、単に婦人の人々ということだけではなしに、日本の行政全体にかかわる問題を深く内包しているように思われまして、国民の過半数を占める婦人の委員の選任についてぜひ検討願いたい。長官もフェミニストだと思いますので、御検討いただけるかどうか御答弁を煩わしたいと思います。
  224. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの岩垂委員の御発言は慎重に検討いたしたいと思います。
  225. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 慎重に検討いたしたいというのは、何となくわかったようなわからぬような気がするのですが、とにかく各界各層、こういうわけですから、各層という配慮の中にその点をぜひ念頭に置いていただきたい。これについてもう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  226. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 率直に申し上げて、女性は半分以上おるわけですから、そういう意味において、もし適任者がおれば女性を選出することも考えていいなあ、そういうふうに感じております。
  227. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 労働界代表という点について言えば、どこどこの組織がという形にはならないと思いますが、今日の日本の労働組合の現状から考え、なかんずく官公労働者の結集の状態などを含めて、何々系何々系とは申しませんが、それらに対する組織状況等を踏まえたナショナルセンターとの配慮というものは多少なさると思いますけれども、確定的にしろと言うつもりはございませんが、当然配慮なさることだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  228. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 労働者の御意見が公正に反映できるようによく考えて措置いたしたいと思います。
  229. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 情報公開の問題についてもうちょっと詰めてみたいと思うのです。  そこで、開かれた民主的な政府、自治体の行政制度を確立するために情報公開法の設定が必要である、それを促進したいというわけですが、率直に言ってこの問題には二つのパターンがあると私は思うのです。これは実は私の感じなのですが、一つは情報の受け手の側といいましょうか、そういう立場からの運動が進んできて、つまり市民運動、住民運動が進んできて、それに対して国民の知る権利というものを保障するという実定法上の、あるいは制度化をしようというやり方、これはアメリカなんかのケースだろうと思うのですが、そうではなしに、やはり行政に対する不満あるいは不信という関係が非常にある。それに対して市民の参加を求めるという形で、むしろ政府の側が情報公開というものを通して開かれた政府とか自治体とか、そういう形にしていくケース。つまりこれは原因と結果がどっちが先かということだろうと思うのですが、日本の場合は率直に言ってまだそうした意味の市民運動が成熟しているとは言いにくいと思います。しかし、だからといって、これが一緒になるまで待っているというのはまことにどうも少しのんびりし過ぎてやしないだろうかという感じがするわけであります。その意味では、政府のリーダーシップということを私は求めたいのですが、この間ある新聞を見ていましたら、どうも第二臨調へお任せしてしまう、こういう感じがするわけです。行政管理庁として法制化に積極的に取り組むべきだと考えますが、その点についての御見解をただしておきたいと思います。
  230. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理庁といたしましても、情報公開につきましては前向きに取り組んでおりまして、よく検討の上必要に応じまして法制化に進んでまいりたいと思っております。ただ、第二臨調が成立しました場合に、この問題を第二臨調側においてどういうふうに受けとめ、御処理になるかということも委員と相談をする必要もあると思いまして、それらの点は留保しておきたいと思っております。
  231. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 申すまでもないのですけれども、情報公開法というのは国民の知る権利の確定というか、確立を法律の上で制度化することだ、こんなふうに理解してよろしゅうございますか。
  232. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民の皆様側のそういう知る権利の側からの御主張を受けとめるという面もございますし、また為政者の側といたしましても、たとえば歴史の真実を後世に残していかなければならないという責任もあると思います。よく歴史が歪曲されて伝えられたり間違った歴史が伝えられたりしておるものでございます。やはり歴史の真実を伝えるということも為政者の大きな責任の一つであると思いますから、そういう面からも情報公開は必要であると感じておるわけです。マッカーサー司令部が占領中のいろいろな事態について、米側から公開された情報はよく出てまいりますが、日本側もそれに応ずるように、やはり正しい情報が出ることが日本の歴史を正しく伝えるためにも必要である、そうとも感じまして、これは為政者の側といたしましてもそういう責任がある問題である。また現在の情報につきましても、原子力やそのほかについてできるだけ国民皆さんに真実をお知らせするということは大事であると思いまして、ある一定の制約条件があるとは思いますけれども、できるだけ公開するということは望ましいことであると考えております。
  233. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の住んでいる神奈川県、それから横浜、川崎なども地方自治体として情報公開の条例制定に対する準備を進めています。これはぜひひとつ歓迎をする立場でそうした制定を激励してほしい、私はこういうふうに思うのです。もちろん自治体が自主的にやることですから、行政管理庁が云々ということではないのですが、そういう情報公開法の制定というものを促進させる意味でも、そういう運動があるいはそういう自治体の動きというものが全国的に広がっていくことが望ましいと思いますので、長官の御答弁を煩わしたいと思います。
  234. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方自治体のことは地方自治の分野でございまして、われわれが干渉すべきことでもございませんし、仮にそういう分野でわれわれが必要である場合には、自治省がこれを行う立場にありますので、私からとかく申し上げる立場にはございませんが、一般論として歴史の趨勢に沿った方向の行動であると考えております。
  235. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 第二臨調の中身の議論を申し上げるのはちょっと僭越かもしれませんが、しかし、かなり優先的にというか、プライオリティーを考えてもらわなければならぬ議論になろうと思うのですが、分科会みたいな方式で第二臨調の中ではこれらの問題に取り組んでいくおつもりですか。おつもりと言ってはいけませんが、そういう立場で希望をなさいますか。
  236. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 どういうアイテムを選び、どういうふうに審議運営するかということは、委員がお決めになることでありますが、重要問題についてはそういうような分担をして行うことになるのではないかと想像いたします。
  237. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この問題は行政管理庁と内閣審議室が並行してやるというふうに承っているのですが、あっちもこっちも同じことをやってもむだというか、それなりの成果はあるのかもしれませんが、できるだけ一元化すべきではないだろうか、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  238. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 この情報公開の問題でございますが、先生おっしゃるように、一元化することは望ましいというふうに考えられますが、現在のところ政府における情報公開の問題についての対応は、去年の暮れから内閣が中心になって各省庁間の連絡会議を開催するなど、そういうかっこうで推進してきております。第二臨調設置された場合、この第二臨調の方でどのようなお取り扱いになるかということは別といたしまして、政府としては、行政管理庁を含めどのような体制が適当であるかということがやはり問題になると思います。これらについては、現在御審議願っている臨調法案が通りましてから、十分内閣審議室の方とも連絡して考えていきたいと思います。
  239. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この前もちょっとお伺いをして、その意味ではまだ経過的な措置でもあって、総括していらっしゃらなかったのですが、官庁の公文書閲覧制度をもうあっちもこっちもジャーナリズムが取り上げているのですけれども、いろいろな問題点というか、やり方についてさまざまな意見が出されています。私は情報公開法という制度としての定着というものが若干の時間がかかるとすれば、これらの制度を、つまり閲覧制度というものをもう少し充実させていく、もう少し国民の身近なところにそれを保障していくということが大事ではないかと思うのですが、官庁の公文書閲覧制について反省点というか、この時点でもしお取りまとめなりあるいは御見解があるなら少し承っておきたいと思います。
  240. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 現在の官庁の公文書の閲覧制度でございますけれども、この点につきましては、先生御指摘のとおり、本年の五月二十七日の閣議了解で、表題は「情報提供に関する改善措置等について」ということでございますが、その中でいまの公文書の閲覧制度の問題点が掲げられております。  それによりますと、まず第一点は、情報の体系的な分類、保存、保存方式あるいはその保存の年限等、こういうものについての全般的な見直しをしろということでございます。  第二点目が、各省庁に共通する公開基準の策定。これは各省庁いろいろな事情がありますので、必ずしも全体的に簡単にできることではございませんけれども、やはり共通するものがあれば、そういう公開基準を策定する必要があるであろうというのが第二番目でございます。  第三点としましては、わが国に合いました、これは諸外国でもいろいろな実情がございますけれども、それらのことを参考にしまして、わが国の実情に合ったような情報公開に関する法制化を検討しろ、そのときの諸問題を検討するようにというような大体三点が挙げられるかと考えております。
  241. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 情報公開法に関連をしてオンブズマン制度について伺っておきたいと思います。  これは国会に設けるべきだというような議論をしますと、長官は、国会の問題ですから国会の方でひとつよしなにという議論になって返ってしまいますので、もう一歩踏み込みまして、私は実は社会党の政策審議会の副会長でもございますものですから、この間うちから相談をしているのですが、次期国会にというふうに特定できるかどうかは別として、しかしできるだけ次期国会にも、各党と協議して、これは行政管理庁の方とも相談をして、議員立法ででも国会にオンブズマン制度というものの設置を求める法案を提案をしようかなというふうに考えているのです。きょうも実は政審会長とも話をしたのですが、率直なところ、議員立法よりも政府の方が対応していただく方が、その意味では私は適当ではないかと思います。と申しますのは、ほとんどの政党がこの制度化について異論はないだろうと私は思うのです。これは本委員会における審議を通しても、自民党はなさっていらっしゃらないからまだはっきりした意思表示はわかりませんが、恐らく反対をなさることはないだろう、こんなふうに思うので、長官、この辺についてどんなふうにお考えになっていらっしゃるか。これは、実は情報公開の関係もこれあり、ある意味ではオンブズマン制度というものが先行していくような形の方が、情報公開制度が定着する上では非常にいいのではないだろうか、こんなふうにも感じますので、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
  242. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 オンブズマン制度につきましては、各党みんな御意見をお持ちでございまして、私たちもそれを参考にさせていただいております。国会にお設けになるという場合は、これはわれわれの管轄外でございますので、発言を申し上げるすべもございませんが、行政部内で設けるという場合につきましては、われわれの方もいま検討を加えているところでございます。  しかし、問題は、日本的に定着した、そして日本の水に合ったようなオンブズマン制度をいかにつくるか、つくる以上は非常に効率的な、つくったかいのあるものにしないといけない、屋上屋を架するものではいけない、そういう面から非常にいま研究を重ねておるところでございます。  いろいろ考えてみますと、オンブズマン制度と行政管理庁とのかかわりというものは一体どうなるのだろうか。実際行政管理庁は全国に行政相談委員を数千人持っておって、末端の窓口、意見の吸収場所を持っておるところでございますし、また各県に監察局も持って、いま懸命に監察も実行しているということでありまして、ある意味においては日本的オンブズマン制度というものを事実上いまやっておるところで、外国がこれをやっていないということなのであります。しかし、行政管理庁がいままでやってきた仕事の中で、やれないことや国民の皆様方で空白になっておる盲点、苦情を申し上げる場所もないような盲点が一つあるように思います。たとえば、行政制度というものについて国民皆さん方から苦情を言ってくる。正式に苦情を言ったり取り上げてくれるしっかりとした場所があるであろうかというようなことも実はある。これは法律違反であるという場合には、いろいろ訴訟や何か救済手続もあるのでしょうが、行政裁量による処分というものについては、いろいろ苦情申し立ての場所もありますけれども、正規にがっちり受けとめてやる場所は実はないようなものでもあります。これは独禁法違反等との関連にも及んでまいりますが、そういうような問題もございますし、あるいはまた名誉の保護とか人権の保護とかという問題についても、これは人権擁護局でやっておりますけれども、ちょっと弱い感じがしております。  そういうようないろいろな面について考うべき点もありますので、いま一生懸命検討させておるところでございまして、岩垂委員におかれていい知恵がありましたらぜひ教えていただきたいと思う次第であります。
  243. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま長官いみじくもおっしゃったのですが、私は行政管理庁のあり方についても少し意見を申し上げて、長官見解を承りたいと思うのです。  行政監察あるいは行政相談をやっているわけですね。地方へ行ってみて、行政相談という機能は、私は、非常に重要な、行政が錯綜してくればくるほどやはり必要だと思うのです。その意味では私は、行政管理庁が監察と同時に行政相談機能というものを国民的に定着させていく、別に駆け込み寺ということを申し上げるわけではないのですが、そのくらいに、何か問題があるならば、もちろんそこでは政党の役割りや、つまりぼくらの役割りというのはあるわけですけれども役所がやはりそのことに窓を常にあけておく、そういう体制というものが非常に必要ではないか。その点ではどうも少し弱いのじゃないかという感じがするのです。行政相談の週間みたいなものを設けられてそれなりにやっていらっしゃる。しかしどうも、考えてみると、あっちこっちの省が出てきて、それに対する調整機能がないわけですから、たらい回しという点も実はないわけではございません。ぼくは、行政管理庁長官に中曽根さんがおなりになって、いま全国行脚をなさっていらっしゃるわけですが、やはり在任中にそういう行政管理庁の国民的な役割りというものをもう一遍クローズアップさせる、そして本当に駆け込み寺的に行政管理庁の窓口が中央にも地方にもあって、そこへ行けばいろいろなことが解決される、そういう関係というものをぜひ打ち立ててほしいと思うのですけれども、この辺について若干御見解を賜りたいと思うのです。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまの岩垂委員の御発言は非常に貴重な、ありがたい御意見であると思いまして、いまの行政管理庁の機能をもっと大型にし、かつまた深度を深める、そういう形で国民ともっと密着して、国民考えや気持ちあるいは不満が打てば響くような形でもっと機能させる方法はないものか、よく検討してみたいと思う次第でございます。
  245. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 相談委員が、これはいま長官がおっしゃったけれども、ある意味で草の根オンブズマンみたいな役割りも持っているわけですが、人口五万人に一人でしょう。地方というか、人口が密集していないところでは、それはそれだけの人数割合でいいのかもしれませんけれども、大都会へ行きますと、どなたがそうなのか、そういう窓口が一体あるのかという点で言えば、どうも私は相談委員の人数というのは不足しているのじゃないかと思う。もっといろいろな人たちに参加を求めていく、それが結果的に行政に対する理解と知識を広めるという役割りにもなる。そういうことを考えると、増員というものを考えるべきではないかということ。それから、国や地方を問わずに、国民行政に対する意見や要望というものを広く吸い上げていく機能としての行政管理庁、そういうものをぜひ考えていただかなければならぬわけですが、行政改革をやっているときに、行政管理庁だけ定員をふやすという議論にはなかなかならぬと思いますけれども、私はやるところはやっていいと思うのです。そのくらいの決意を持ってやらないことには、何か隗から始めよという議論だから、あなたのところも全部切りなさいという議論になっていくのは時代に合っていないと私は思うので、定員問題など含め、あるいは体制を含めて、長官におなりになってからあちこち歩かれて、そんなことについての所感を伺いながら、改善に対する対策というか方向をお持ちでしたらお示しをいただきたいと思うのです。
  246. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政相談委員等を通ずる行政相談はいま年間十八万件余に及んでおりまして、かなり広範に国民の不安やら苦情を実は吸い上げて機能しております。その中で一番多いのは年金や恩給問題あるいは登記の問題等々たくさんございます。そういう機能を果たされているのを見、また、私、現地へ参りまして相談委員の皆様方とも会ったりいろいろ機能の状態を聞いたりしてみますと、岩垂委員いまおっしゃいましたように、小さな町あたりではまだ目についておりますけれども、大きな都会になると、行政相談委員というものは陋巷に埋没してしまって存在がわからない、そういう形でどうしても力不足になっております。せっかく日本的なこういういい制度を行って、世界でもまれな制度を実は実行しておるわけでございますから、これは日本的な純風美俗としてぜひ定着させ、これを物にしていきたい、そういうふうに私自体は感じております。  ただ、いまこういうふうに財政緊縮の折でありますから、岩垂委員申されましたように、私も実は多少遠慮ぎみの気持ちがありまして、実際地方を回ってみると、これがもっと活発に活躍して、いま個々の相談委員権威や見識に頼ってやっておりますけれども、これを組織的に体系化して全国に大きな網をつくって国民の不満やあるいはうっせきしたものをくみ上げていけば、相当行政に役立つというふうに感じておるわけです。全国に網を張って体系化してこれを機能させるためには、金もかかったりいろいろ知恵を要するところでもありますけれども、これはわれわれの大きな課題として今後検討してまいりたいと思います。
  247. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう行政相談機能のシステマチックな展開というものについてぜひ御検討をいただきたいと思います。  それから、行政相談や行政監察では国民行政の不正に対する意見や要望に対しても積極的に対応すべきだと思うのですが、これは警察なりあるいは検察なりとのかかわりが出てくるわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  248. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  行政監察も行政相談も実は不正の摘発なり処理を目的としたものではございません。ですが、来ました案件によりまして、処理の仕方と申しますかルールというのがございまして、まず一次的には監督機関なり内部の監察機関に通報いたしまして適宜の措置を講じさせる。なぜかと申しますと、犯罪の容疑事実なり証拠書類をつかむのがなかなかむずかしいということでございます。事実、相談なり監察の過程で始末がつく問題もございますが、一般的にはそういう形でやっております。いまお話しのように、国民の批判の厳しい時期でございますので、この点についても今後十分考えてまいりたいと思っております。
  249. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき情報公開法のところでやればよかったのですが、管区あるいは地方行政監察局というふうな機能はまさにネットワークで全国的にあるわけですね。ここに情報公開サービスセンターのような役割りを分担していただくということについて、これもまた新しい仕事になってしまうのですが、御検討いただけますか。
  250. 中庄二

    ○中政府委員 いまお話がございました行政相談の内容を見ますと、どこでどういうことをやっておるかといういわば行政案内、窓口の機能、それから中身についての申し出というのもたくさんございます。  そういう意味で、私どもの方で行政案内機能といいますか、ある意味の情報の案内機能は持っておりますが、先生ただいま御指摘の問題は、いわば情報公開の台帳なり何かを私どもの出先にそろえろ、こういうお話ではないかと思います。これは関係各省とも相談しなければならない問題でございますので、即答いたしかねる問題ではございますが、私どもといたしましては、先生の御趣旨を体しまして、いままでやっておりますものを積極的にもっと深化させるという意味で努めてまいりたいと思っております。
  251. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に、プライバシー保護法の問題に関連をして申し上げます。  二、三日前の新聞にも出ていましたけれども地方自治体ではほとんど電算機の利用が行われているという状況の中で、個人情報を保護するという条例が生まれています。たとえば国立の場合に「1電算組織には、個人の思想、信条、宗教、意識、身体的特徴、犯罪、特別な社会的差別の原因となる社会的身分に関する項目を記録してはならない2電算組織に記録する項目は必要最小限度とし、市民の個人的秘密を不当に侵害するおそれがある項目は記録してはならない3電算組織に記録された個人情報は、記録の保存期間を定め、不必要となった個人情報はすみやかに消す、」というふうなことが決められているようであります。またこれも朝日新聞の記事ですが、「1コンピューターの運用は正確に2個人情報を外部に出す場合は正当な理由がある時に限る3訂正の申し出があれば調査し、誤りがあれば訂正する4電算処理した項目を示せ、といった規定を盛り込んでいるところもある。」と書いてございます。  プライバシー保護に関してこういう一種のアイテムは、これからその法制化をしていく過程で当然考慮されるべきものだと長官考えておられると思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  252. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま挙げられました数項目は当然考慮さるべき対象であると思います。
  253. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは総理も本会議行政管理庁を中心に前向きに検討してやっていきたいというふうにお答えになっておられますし、長官はそのときもはっきり御答弁をいただいたわけですが、この際、これからの検討、法制化のプログラムをちょっとお示しいただきたいと思うのです。
  254. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 情報公開問題及びプライバシー保護問題ともにわれわれといたしましては法制化に向かって検討もし、努力もしていきたいと思っておる次第であります。
  255. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは分けてという議論にはならぬと思うのですが、たとえば消費者のクレジットなどに関連をいたしましていろいろな過ちが起きる可能性がある。個人信用情報センターが本年二月現在で五十三センター営業している。これに対するチェック機能は何もない。もし間違っていれば、それは間違ったまま個人の信用にかかわって金も借りられないという状態が生まれてくるおそれがあるわけで、そういう点で、こういう一般的なプライバシー保護とは別に、たとえばアメリカが公正な信用報告法というのですか、正確な名前は私、わかりませんけれども、そういうものが九年前に制定されて効果を上げているということを聞くのですが、長官は、こういう特別のジャンルでこういうふうにやっていくよりは、グローバルなものとしてとらえた方がいいとお考えでしょうか、個人的な見解を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  256. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一般にわれわれが考えておるプライバシー保護というものは、個人的な事情や情報が中心であったように思います。  いまの御指摘の場合は、民間の金融上の問題のように思いますが、これは民間側も銀行や金融機関等は当然考えるべきことでもありましょう。われわれが一般的に考えておる情報のプライバシーの問題といまのような業務上のそういう問題との関係をどういうふうに調整するか、これも検討してまいる問題だと思います。
  257. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま私がいろいろなことを申し上げました。つまりそれは開かれた政府というか自治体というか、より民主的な行政の体制を整えていく上で欠くことのできない一つ一つの条件だと私は申し上げて、この前はそのことをまとめて御提案申し上げたわけであります。それらがいま長官答弁の中で時間的にいつごろというわけにはいかないまでも、可及的速やかにそういう行政の体制を整える、それが第二臨調の非常に大きな課題である、このことをまず御確認をいただいておきたいと思います。
  258. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見のとおりに考えております。
  259. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に、特殊法人の関係について、先ほど矢山委員からもお話がございましたが、それに関連しない形で質問をいたしたいと思います。五十四年末の閣議決定で十八法人を縮減するということになり、それぞれが実施時期を明示されているわけでありますけれども、現在までの実績あるいは未実施のものを含めてどんなふうになっているのか、どういう取り組みを進めていらっしゃるのか御答弁をいただきたいと思います。
  260. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特殊法人の整理合理化の問題でございます。  政府としましても、従前からいろいろ取り組んできたところでございますけれども、いま御指摘の五十四年末の閣議決定でございます。これ以前にも五十年、五十二年のころに閣議決定等を行っていたわけでございます。先生御指摘のは五十四年末の問題だけでよろしゅうございますか。
  261. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その後も問題があれば……。
  262. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 十八法人について統廃合することが決まっておりまして、そのうち五十五年度に四、五十六年度に七、五十七年度に二、五十八年度に一、五十九年度に一、六十年度に一、その他一、その他というのは、まだ具体的に年度は決まっておりません。それからもう一つ、なるべく速やかにということが決まっておりまして、これは措置済みでございます。  以上のようなスケジュールに従って、順次この統廃合を進めていくという計画になっております。
  263. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 具体的にちょっとお尋ねしますが、建設省お越しですか。——日本住宅公団と宅地開発公団、これは昭和五十六年十月を目途に統合することになっておりますけれども、現在どんな状況にあるか、御答弁をいただきたいと思います。
  264. 中村博英

    ○中村説明員 現在、住宅公団と宅地開発公団は、住宅の供給と宅地の開発を行っております。昨年末の閣議決定によりまして、両公団の統合が決められまして、これに沿いまして私どもいろいろ準備作業を進めておるわけでございますが、これは仮称でございますけれども、新しい住宅・都市整備公団を設立しまして、住宅、宅地の供給と今後新しく政策的に必要になっております都市の整備をあわせまして、新公団が事業実施主体となって推進するということでいろいろ構想を検討しておる状況でございます。この構想がまとまりますと、来年度予算の編成にも関連をいたしておりますけれども、次期通常国会関係法案を提案いたしたいと考えております。
  265. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 相当大きなものになりますね。一般的な意味で簡素合理化と言うのですけれども、具体的にその辺はどんな構想になっているのですか。少し立ち入って、御答弁いただける範囲でやってください。
  266. 中村博英

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  現在、住宅公団が五千百人余りの職員を抱えて一兆数千億の事業を行っております。また宅地開発公団も三百数十名の職員を抱えておりまして、それぞれ大規模な宅地開発事業を進めております。いずれも動いておる公団でございまして、こういった公団が現在進めております住宅、宅地の供給という国民生活に密着した課題に何ら支障を来すことなく、かつ今後の住宅、宅地対策の推進の上で新しい課題とされております都市整備も並行して行っていくという観点から新しい公団を設立したいと考えておるわけでありますけれども、いずれにしても、行政改革の要請にこたえる必要がございますので、組織の面とか役員の面とかそういった面で所要の要請にこたえると同時に、こういった国民的な課題にもこたえる形で新公団を考えたいというように考えております。
  267. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 蛇足なんですけれども、役員が倍になったり偉い人ばかり並べるということについては十分な配慮をしているのでしょうね。
  268. 中村博英

    ○中村説明員 役員の削減につきましては、昨年の閣議決定の際に、あわせまして相応の削減を行うという趣旨の取り決めもございまして、そういった趣旨に沿って、新しい公団の役員の数を削減するという方向で検討しておる次第でございます。
  269. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 建設省、お忙しいでしょうから結構です。  京浜及び阪神外貿埠頭公団、これも昭和五十六年末を目途に廃止することになっていますが、現在どのような進行状態にあるか、伺いたいと思います。
  270. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘をなされましたように、京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団につきましては、昨年暮れの閣議決定によりまして「昭和五十六年末を目途に廃止する。」ということが決められておるわけでございます。運輸省といたしましては、この問題をできるだけ円滑に処理をしてまいるという観点から、昨年十一月に私どもの方の諮問機関であります港湾審議会に、外貿埠頭公団の業務の移管についてということで諮問をいたしまして、現在管理部会において検討をお願いしているという状況でございます。  御承知のように、外貿埠頭につきましては、これを借り受けております船会社であるとか港運業者であるとか、そういう関係者がたくさんございますし、それから港湾管理者とも非常に密接な関連があるということで、このあたりの関係者とのコンセンサスを得ることが非常に大事でございますので、管理部会の場でこういった方たちとの調整をやるための懇談会を開催するということで現在まで審議をしてきたわけでございますが、公団の業務の移管先をどうするかということについて、現在のところ必ずしも関係者意見の一致を見ていないという状況でございますけれども、最近は若干歩み寄りの様子も見られておりますところ、去る十一月十二日に開催いたしました管理部会におきまして、これまでのそういった検討結果を踏まえまして、いわば第三者的な立場委員の方で小委員会をつくりまして、そこで議論の収拾を図っていくということになったわけでございます。そういったことについて関係者が合意をしておりますので、審議会の結論をなるべく早く得た上で、私どもはそれを早急に方策に反映をさせてまいりたい。いずれにいたしましても、五十六年末を目途に廃止するということでありますと、次の通常国会には関係法案あるいは関連の予算を出さないといけませんので、目下そういったことで努力をいたしているところでございます。
  271. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 公団の資産は、コンテナ用とかあるいは定期船用の埠頭七十三バース、時価で三千六百億円という大変な金額だそうでありますが、五十二年の閣議決定のときには、両公団は廃止し、業務を自治体へ移管するということを決定していますね。そして昨年末の場合には、移管先をはっきり示さなかったが、五十六年末までに廃止するとなっているわけでしょう。筋道を追ってみると、地方自治体の意見を尊重するということは当然ですね。その点の御答弁はいただけますか。
  272. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 先生の御指摘のように、二回閣議決定がございまして、五十二年のときは港湾管理者に業務を移管する、それから昨年の閣議決定では移管先を必ずしも明示してないという状況でございます。その両方の閣議決定の効力がどうのという議論はあるかと思いますけれども、先生御指摘のように、五十二年にそういう意味閣議決定があったという事実は非常に重みを持っておりますので、そういった趣旨については十分考えて今後の方策を決める必要があるだろうというふうに考えております。
  273. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この点について、地方自治体がおたくに非常に強い要請を出していると思うのですが、それらは十分尊重していただきた。このことをもう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  274. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 この移管先をどうするかということにつきまして、港湾管理者は、最近では必ずしも港湾管理者そのものの直営方式でなくても構わないというようなニュアンスの意見になっておりますので、それをまず御承知いただきたいということと、そういった上で管理者にきわめて関係の深い事柄でございますので、いまおっしゃいましたような趣旨については十分念頭に置いて考えてまいりたいと思っております。
  275. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どっちかというのではなしに、私の言いたいのは、地方自治体、つまり港湾管理者の意向を十分尊重してほしいということを申し上げたわけです。  小委員会の結論はいつごろ出るのですか。
  276. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 小委員会を余り時間を置かないでなるべく早くやりまして、いずれにしましても、五十六年度予算との関連がございますので、来月の上旬と申しますか、少なくともそういうころまでにめどをつけたいというふうに考えております。
  277. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 以上、お忙しいでしょうから、ありがとうございました。  では労働省に伺いますが、中小企業退職金共済事業団、建設業退職金共済組合及び清酒製造業退職金共済組合の三法人を、これはまた昭和五十六年度に二法人に再編改組するということになっていますが、現在どんな状況になっておりますか。
  278. 佐藤仁彦

    ○佐藤説明員 昨年の十二月の閣議決定におきまして、労働省関係の特殊法人の行政改革の問題につきましては、ただいま御指摘のありましたように、中小企業退職金共済事業を行っております三法人を二法人に再編改組するという決定がございます。それで労働省といたしましては、この閣議決定の方針に沿いまして、五十六年度に建設業退職金共済組合と清酒製造業退職金共済組合を統合することにいたしまして、現在次期通常国会関係法案提出すべく鋭意検討中でございます。
  279. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その改組するという具体的なことをちょっと言ってくださいよ。ここまで来ているんですから、予算絡みの話になるわけですから、率直に言って、通常国会に出すには三本を二本にいたしますだけじゃちょっとつれないじゃないですか。
  280. 佐藤仁彦

    ○佐藤説明員 御指摘のように、中小企業退職金共済事業を行っております特殊法人は三つございまして、そのうちの同種の事業を行います建設業退職金共済組合と清酒製造業退職金共済組合を統合することにいたしました。したがいまして、建設の退職金共済事業と清酒製造業退職金共済事業をあわせて行う一つの法人を五十六年度に発足させたい、こういうふうに考えております。
  281. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。建設業は一本にしておいて、それから中小企業と清酒製造業の方をやるということですね。まとめて一本にするというわけですね。
  282. 佐藤仁彦

    ○佐藤説明員 ちょっと早口で御説明が十分でなかったかと思いますが、中小企業退職金共済事業を行っております団体は三つありまして、一つは中小企業退職金共済事業団、それから二つ目が建設業退職金共済組合、それからもう一つが清酒製造業退職金共済組合でございますが、この後者の建設業と清酒製造業の退職金事業を行っております組合を統合して一つの組合で行うようにするということでございます。
  283. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。私が聞き間違えて恐縮でした。労働省としてそういう対応をしているわけですので、予算その他の絡みもございますから、国会へ、あなた後でのんびり出してもらっちゃ困るので、これはわが委員会でやるかどうか知りませんけれども、ぜひ促進をしていただきたい。  忙しいところありがとうございました。  総理府にお伺いをしますが、特殊法人に対する高級官僚の天下り、渡り鳥の規制について、五十四年末の閣議決定で、これは閣議了解ですか、新しい方針が定められていますけれども、その後どんなふうになっているか、御答弁をいただきたいと思います。  ついでですから、役員の削減もありますね、これも一緒に五十四年の閣議了解になって、一割削減ということになっているのですが、その二つ、実施状況を教えていただきたい。
  284. 栗林貞一

    ○栗林説明員 五十四年末の閣議了解におきまして、五十二年十二月に閣議決定いたしました特殊法人の役員の問題をさらに厳格、適正に実施するということで閣議了解が行われたわけでございますが、その内容は、先生言われましたように、まずいわゆる天下り問題と申しますか、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内」、「その」と申しますのは、全体の特殊法人の全役員についても一応言っているわけでございますが、半数にとどめることを目標として努力する、こういうことになっております。     〔染谷委員長代理退席、委員長着席〕 現在、私ども把握しておりますのは、十一月一日付でございますが、特殊法人の常勤役員数全体で七百七十四人のうち国家公務員出身者、この閣議了解に言います国家公務員出身者と考えられる者が四百四十八人、約五八%ぐらいになっておると思います。これは昨年に比べても、少しでございますけれども、減ってきていると思います。  それからその次に、たらい回しと俗に言われております特殊法人相互間の異動でございますけれども、それにつきましては、現在のところ十一月一日付で私ども二十七名というふうに考えておりまして、パーセンテージで申しますと三・五%ぐらい、これも少し減ってきておると思います。  そのほか、この閣議了解では特に高齢の人あるいは長期在職者についても厳しく運用するということになっておるわけでございますが、高齢のいわゆる長、総裁、副総裁については七十歳以上あるいは理事、監事等については六十五歳以上というふうなところで例外的なケースを見ますと、やはり十一月一日で十八人、これは二・三%程度でございます。それから長期在職、総裁、副総裁等はおおむね八年を超えるという者、あるいは理事、監事はおおむね六年を超えるという者を見ますと四十七人で、これは六%程度というふうに私どもは把握をいたしております。いずれも一年前ぐらいに比べますと、少しずつ減ってきておるというふうに私どもは理解しております。  それからもう一つ、先生おっしゃいました特殊法人の常勤役員を減らす縮減計画の問題でございますが、これは三年計画で、いわゆる普通の法人については一割、七十五人でございますが、それと法人の廃止に伴うものは当然減ってまいります。それから統合によってもそのときの査定によって減るものがありますが、それを含めて三年間で百二十二人という数字であり、またそのうち初年度分として三十九人を予定したわけでございますが、現在のところ三十四人が縮減実績ということになっておるのが現状でございます。
  285. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 特殊法人の場合、一生懸命その中で働いている諸君の気持ちにしてみれば、あるとき突然天下りという形あるいは渡り鳥という形を含めて移って歩いている。政労協という特殊法人に働いている労働者を組織している組合がございますが、そこでは、特殊法人のまず新設というものを禁止してほしい、新しい行政需要には既存の特殊法人などを活用して、同種の法人はできるだけ統合して効率的に活用する、これは実は内部的にここまで言うにはかなり勇気が要ったことだろうと私は思うのです。しかし、そこまで討論集会の中で明らかにしている中で、特に不正経理や官僚支配というものを排除してほしい、民主的な運営を確保するために、高級官僚の天下りや出向や渡り鳥人事や一般職員の出向人事などを禁止してほしい、これは率直な要請だと思うのです。なかんずく役員は減らして半分にして、給与や退職金というのは職員並みにすべきじゃないか。私はこれはまさに正しい要求だと思うのです。これらの方向に向かって、やはり努力をしてほしいと思うし、それらの点について長官、この要求というものをしっかりと受けとめていただきたい。御答弁をいただきたいと思います。
  286. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人に働いている勤務員の諸君が営々として努めておって、ある日突然落下傘みたいにおりてきて総裁や役員になる、あるいはいまおっしゃったように渡りで来られるというのを見る気持ちを考えてみますと、おっしゃることは無理もないことのように思います。やはりできるだけ励みがいのあるやり方をやっていただき、かつ民間人の力を活用するという趣旨が、特殊法人をつくった趣旨であると思いますので、私は御趣旨には同感であります。
  287. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 こんな機会ですからわかっていただく意味でもちょっと申し上げたいのですが、その二項目に続いて、3、勤労国民による特殊法人への民主的な規制が及ぶようにするために、イ、として、予算、決算、事業計画などについて公開を義務づける制度を設けてほしい。省庁間のなわ張り支配というのはやめてほしい。口、として、理事会や運営委員会などに民主的手続によって関連する勤労国民代表が参加できる制度をつくってほしい。4ですが、むだをなくして財政支出を節減するために、産業基盤整備や技術開発などはその計画年数を延ばすなどの措置をとるとともに、いま必要とされている国民生活に密着した事業を充実させてほしいということ。あるいは5は、特殊法人労働者の労働基本権、自主交渉権を完全に保障し、労働者と労働組合が法人事業について下からの点検が行えるようにする。また個々の事業の性格にかかわる特殊法人の民主的改革の指針として次の問題を提起するということで、単組ごとに具体的な方針を確立する方向を実は示しています。  私は以下細かくは言いませんけれども、この要求は第二臨調などという議論でなしに、やはり行政管理庁としてこういう正論、だれが考えたってまともな要求だと私は思います。これらについてぜひ前向きな検討をいただきたい、このことを要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
  288. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお読みいただきました内容は、お聞きいたしますと、われわれがやれることもあるしまたやれないこともあるように思います。よく取拾選択いたしまして、御趣旨のほどはよく心にとどめおきたいと思います。
  289. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 二、三見別に長官に政労協議長の滝沢君が一言だけ言いました。雇用の確保だけお願いします、こう言った言葉は非常な重みを持っていると私は思うのです。つまり特殊法人の場合には、一般の公務員と比べてというふうに申し上げるつもりはございませんが、率直に言って生首が飛ぶのです。同時に労働条件の切り下げなどが簡単に行われる。組合のあるところとないところとございます。その意味では雇用の確保について労働者が不安を感じているわけですけれども、それらに対してやはり長官としてこたえてほしいということだけは私、お願いをしたいと思う。たとえばもう目に見えている問題があるのです。幾つかの事業がなくなった、それで何百人生首が飛ぶだろうという議論がある、特定のところは言いませんけれども。だから、できれば私は特殊法人が横断的な雇用保障と言いましょうか、たとえば今度のオリンピックの経過の中に見られるように、同じ文部省の中のさまざまな団体においてどのように配置されるかというようなことを含めて、やはり横断的な雇用保障という制度を何とか考えてほしいものだ。私は検討してみると、スクラップ・アンド・ビルドである程度人員を必要としているところもある。こういう横断的な雇用保障のために精いっぱい御努力を願えないものか。そのことによって、特殊法人に対する、いま進めようとしている諸施策に対して、そこに働いている労働者が不安を感ずることのないような最低限の歯どめだけは求めたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  290. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特殊法人の勤務員諸君の雇用につきましても、私たちは重大な関心を持っていかなければならないと思っております。できるだけ不安を起こさないように慎重に配慮するようにいたしたいと思います。
  291. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろ縦割りがありますから性格は違うけれども、可能な限り横断的な雇用保障みたいなところへ御配慮を願いたい。この点について重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  292. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 オリンピックセンターに際して措置いたしましたように、できるだけ横断的に流通できるようにしながら雇用に不安を感じさせないようにすることが私たちのやはり仕事であると思います。
  293. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 特殊法人の問題での研究会を行政管理庁がやっていらっしゃるようですが、これはどんなメンバーでおやりになっているのですか。そしてどんなことを研究されておられるのか。それからその結論というのはいつごろ出る予定なのか。さらにできればそれらが第二臨調と結びつくのかそれとも単独でそれなりのことで結論を出した上で行政管理庁が進めていかれるというふうにお考えになっているのか、少し長くなりますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  294. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特殊法人の研究会でございます。まずどういう方かというメンバーのお尋ねでございましたので、メンバーから先にお答え申し上げますと、辻清明東大名誉教授を座長といたしまして、十二名の学識経験者から成る行政管理基本問題研究会という名前の研究会を部内に設けておりますが、本年の六月からそれを開催しまして、特殊法人等——これは特殊法人というのはいろいろほかの公的事業主体のあり方とも関連しますので、それらを含めまして、御指摘のように、その特殊法人の行政上占めるべき守備範囲の問題とか、基本的な制度上のあり方政府行政関与のあり方等を御討議願っている次第でございます。  それでいつごろ結論が出る予定かというお話しでございますが、これは研究会の委員の先生方がお決めになることではございますけれども、できるだけ早くと考えておりまして、私どもとしましてはそういう希望を持っておりますが、来年度の一・四半期ごろまでに取りまとめていただくことを期待しているわけでございます。
  295. 林伸樹

    林政府委員 先ほどの、基本問題研究会でやりました特殊法人の研究成果、これを第二臨調でどう扱うのかということでございますが、第二臨調におきましては、行政改革に関する基本的な諸問題をなるべく広く審議するということになっておりますし、ことに特殊法人につきましては、近年その役割りの重要性が非常に増大しておりますし、また組織、運営等の問題でいろいろと言われておりますので、第二臨調では非常に重要な問題の一つということで検討されることになるのではないかと思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 ちなみに、前回臨調では調査対象は行政機関だけでございましたが、今度は行政機関と特殊法人ということに法律も変えております。ところで現在基本問題研究会で研究しているわけでございますが、その成果につきましては、第二臨調で特殊法人を研究する場合に非常に重要な資料として十分活用することになると思いますが、ただ、具体的にどうするかということは、また発足してからということでございます。
  296. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 少し省略をいたしますが、この前の国会行政監察の調査対象が全特殊法人に拡大をされて行政管理庁が監察をやっているわけですが、どんな調査をやるのですか。
  297. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  行政管理庁の調査対象の法人が全部にふえましていろいろなことを考えておりました。たとえば類型別の調査をやっていくのも一つの方法ではないか。数が非常にふえましたので、いろいろ考えておりましたが、この九月に五十六年の行革の方針が出てまいりまして、全部の特殊法人の経営実態見直しをやるということになりました。ちょうど調査の権限もふえたところでございますので、いま全部の見直しをやっているところでございます。それに関連いたしまして、当初考えておりましたような事実も基礎資料として使いまして、今後の参考にしていきたいというふうに考えております。
  298. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私どもの知っている組合の諸君が、いままでは会計検査院が来た、今度はまた行政管理庁が来ている、労働問題を含めていろいろなことを言っていくのかなというような不安を率直に訴えられました。私は、この前の国会でこういうふうになったから経営実態調査ということだろうと思うけれども、別に労働問題のことを中心にして議論をしていくなどということはないだろうと言ってはおいたんですが、やはり現場の分会だとかそういう諸君にしてみれば、何だろうというふうな不安というか心配をしておりますので、これらの点については、そういうことを目標にしてやっているんじゃないんだというふうに答えていいですか。
  299. 中庄二

    ○中政府委員 今回の経営実態見直しに当たりまして作業しておりますのは、いわば会計経理基準のあり方、それから経営の効率化、合理化、利益剰余金の処分のあり方民間能力の活用等について調査を行っているところでございます。非常に幅広い調査でもございますし、各般に関する御心配等はあろうかと思いますが、私どもは経営実態をつかむことに現在集中しているわけでございます。
  300. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 とりたてて労働問題などで何かはじくっていくというようなことでやっているわけではないというふうに考えてよろしゅうございますね。いいですね。
  301. 中庄二

    ○中政府委員 労働問題を主体にしてやっているものではございません。
  302. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間を少し供出いたしますので早目にやりますが、運輸省、おられますか。日本船舶振興会のことを伺いたいのですが。——いない。それじゃ運輸省お見えになる前に、通産省の方から先に聞いておきたいと思います。  自転車振興会、小型自動車振興会の売上総額、利益金、あるいはそれと別枠ですが、振興会の運営費がどんなふうになっているか御答弁をいただきたいと思います。
  303. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会は、競輪及びオートレースの売り上げから、施行者から一定の交付金をもらいまして機械工業なり公益事業の振興及び競輪及びオートレース事業の運営の円滑化のための選手の養成とか審判の訓練その他の事業を行っております。  それで、概略申し上げますと、昭和五十四年度でございますけれども、競輪の売り上げは約一兆二千億でございまして、その売り上げの中から法律に定められました率に基づきまして日本自転車振興会に対しまして交付金というのが拠出されます。  それで、まず交付金が三種類ございますが、ちょっとややこしゅうございますけれども、御説明申し上げます。  第一は、自転車その他機械工業の振興に充てられる資金でございまして、これは大体二百十億程度でございます。これを原資にいたしまして、それに過去の繰越金とか運用金等をベースにいたしまして自転車産業とか機械工業の振興に支出いたしております。五十五年度の予算額では、補助額は約二百二十七億円でございます。  それから第二番目は、二号交付金と私ども呼んでおりますけれども、体育事業とか社会福祉事業等の公水量業への助成でございます。これも施行者からの法律に基づきます交付金を原資にその運用益等でやっているわけでございますが、五十五年度は、交付金収入は二百十五億円、支出総額、補助金総額は二百二十二億円という予定でございます。  それから、日本自転車振興会は競輪選手の養成とか審判の登録、選手の訓練、八百長防止のための各種調査等々やっておりますが、そういう関係、私ども三号資金と呼んでおりますけれども、これは収入が三十五億で、雑収入その他を入れまして三十九億円程度でございまして、支出は各種の事業費、人件費等に充てております。  それから、オートレースの方でございますが、これは日本小型自動車振興会がやっておりまして、まず第一の機械工業振興関係でございますけれども、交付金収入三十七億、これに繰越金、運用益等を充てまして支出額は、機械工業の振興で補助金約四十二億でございます。  それから、二号交付金に当たります公益事業振興資金でございますけれども、交付金収入三十八億でございまして、補助金額は四十三億ということになっております。  それから、日本小型自動車振興会もオートレースの選手の訓練とか登録とかあっせんその他をやっておりまして、これも三号交付金によっておりますが、交付金収入が十一億、支出予算は予備費等入れまして十三億。  以上のとおりでございます。
  304. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自転車振興会の方の積立金というのはどのくらいあるのですか。
  305. 三野正博

    ○三野説明員 自転車振興会におきましては、競輪事業というのは——先ほどの機械工業及び公益事業振興資金の補助先というのは、前年度末、ことしの三月に決めておりまして、ことしの各地の競輪の売り上げから収入をいただいてそれを助成するという仕組みになっておりますから、一種の準備金と申しますか、競輪ができなくなって、あらかじめ交付を内定しました方々に助成されないと困るということがございますから、振興事業準備金といったようなものを準備しております。それで、先ほど申しました事業別に準備金を積んでおりまして、本年度初めでございますけれども、一号資金、機械工業振興関係でございますと約三十六億でございます。  それから、公益事業振興関係でございますと、これも三十七億でございます。  それから一般会計、先ほど選手の訓練その他と申し上げましたけれども、こちらは競輪学校の改修、増改築等の準備もございますから、事務費の準備金と合わせまして約二十億ということになっております。
  306. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう自転車振興会関係だけでなしに、自転車競技会百六十五億円、それから小型自動車競走会二十九億円というのはどういうふうに使われておるのですか。
  307. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  まず、競輪場におきます選手のあっせんを受けまして番組をつくり、それから出場します選手の自転車の検車、審判等の業務は施行者から自転車競技会の方へ委託を受けておりまして、その事務費といいますか、委託費として支払っているわけでございます。ちょっと五十三年度の数字が手元にございますけれども、これは大体八競技会ございますが、トータルで百五十六億という程度でございます。  競走会も同様でございまして、オートレースの番組の編成、検車、選手管理、審判といった関係の業務を競走会にやらせておりまして、施行者から委託して実施しており、それに施行者から支払われます委託費というものが約二十九億でございます。
  308. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この配分というのはどこが決めるのですか。
  309. 三野正博

    ○三野説明員 機械工業及び公益事業振興資金の補助先の決定だと思いますけれども、手続的には大体九月末ないし十月末に各希望する法人から自転車振興会及び小型自動車振興会に補助要望を出してもらいます。どういうものを助成するかにつきましては、あらかじめ公示をいたしますけれども、それから両振興会におきまして関係省庁の意見等を聞き、あるいは申請団体の中身をよく聴取いたしまして、補助先の案というのを事業計画としてまとめます。これを通産大臣に事業計画の認可を求めてまいりますけれども、私の方といたしましては、通産大臣の諮問機関でございます車両競技審議会の御意見も承りながら決めていく。そこで事業計画の認可がおりますと、両振興会は補助要望を出しました方に内定通知いたしまして、以後国の補助金にほぼ準じた形で補助金の交付等を行っております。
  310. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 船舶振興会について聞こうと思ったら、運輸省帰っちゃってまだ来ないそうですので、その間にちょっとお伺いをしたいのですが、いまこの競輪とオートレースというのですか、小型自動車競走会なんですが、大変な金額だと私は思うのです。たとえば売り上げで言うと、競輪で言えば一兆二千億円、オートレースで言えば二千十億円ですか、大変な金額であります。  もうここでいろいろ申し上げておる時間がなくなってしまったので残念なんですが、たとえば配分のことについて不合理だという指摘が何回か出されている。昨年の六月二十一日に総理府に設けられた公営競技問題懇談会の答申が行われている。のみならず、実は昭和三十六年の公営競技調査会答申もある。これは長沼委員会とでもいうんですか、そういう検討を行って「総理府総務長官三原朝雄殿」こういう形で答申が行われている。今日までこの答申について総理府は何か具体的な手だてをおとりになったことがございますか。
  311. 三上義忠

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  公営競技問題懇談会につきましては、先生御指摘のとおり、昨年六月に意見書提出がございまして、総理府といたしましては、閣議にも直ちに御報告をし、さらに関係省庁に送付をいたしまして、その検討方をお願いいたしておるところでございます。またこの懇談会の意見書最後のところに、関係省庁との連絡体制を一層強化せよという項目が盛られておりまして、これにつきましては、関係省庁の連絡会議というものを総理府の中に設置いたしまして検討を続けております。約一年間にわたりまして、意見書に盛られました各事項につきまして検討を進めて、その各省におきます対応ぶりをまとめたところでございます。  意見書内容につきましては、運用等によりまして対処し得るものもございます。中には法律改正を要するものもございますが、運用の改善でできるもの等につきましては、すでにその一部は実施に入っている段階でございます。
  312. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ここに書いてありますね。これは古い五十二年の資料ですが、「公営競技については、おおむね売上金額の七五%が的中者に払い戻され、残りの二五%が施行者の収入となる。このうち開催経費等を除いたものが広い意味での公営競技による収益と考えられ、その額は、昭和五十二年度において約五千七百億円に達している。このうち各競技の振興団体への交付金は、約一千億円であるが、その一層、適正・効率的な使用を図るため、次のような措置を考慮すべきである。」というふうに書いてある。書いてあることがどういうふうに行われているか具体的に言ってください。適切な措置をとったこともあるというので、その部分について言ってください。
  313. 三上義忠

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  交付金の適正、効率的な使用につきましては、新しい時代の要請に合うような、そういう事業に重点的に配分しろというのが答申内容でございまして、これにつきましては具体的に昭和五十五年度の事業計画の中で、たとえば省エネルギーの推進でございますとかあるいは代替エネルギーの開発、こういう項目を重点項目にいたしております。
  314. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 問題はそこのところなんですよ。「交付金の配分の公正確保について」という項目がございますね。もう読みませんが、最低限、たとえばその「配分に当たっては、主務大臣が任命した者を構成員とする第三者機関意見を徴すること。」第三者機関がどういうふうに設けられているのか。あるいは「交付金の配分が決定したときは、遅滞なく、対象団体、交付金の額等を公表すること。」というふうな項目が具体的にある。こういうことが現実に行われていますか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 あるいはここがかなり問題なんですが、「交付金の収納、配分を行う振興団体については、十分な監督体制を確立するため、会長、副会長および監事を主務大臣の任命制とすることなどを検討すること。」というのがありますね。私、笹川さんだけ言っているわけではないのですが、その辺についてはどのように考えていらっしゃるか、どのように対応していらしたか、はっきりさせてください。
  315. 三上義忠

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  交付金の配分の公正確保の件でございますが、たとえば競馬の場合におきましては、地方競馬全国協会に評議員会というのがございまして、そこに交付金配分の基本的事項が諮られるかっこうになっております。この評議員会の委員は農林水産大臣の任命という形になっております。  それから、通商産業省の関係でございますが、競輪及びオートレースにつきましても、交付金の配分先を含めた事業計画につきましては、通産大臣の諮問機関であります車両競技審議会に諮られることになっておりまして、これも同様に委員は通産大臣の任命という形をとっております。  それからさらに、船舶振興会の関係でございますが、これも交付金運用専門委員会というものに諮られることになっておりまして、これは船舶振興会会長の委嘱ではございますが、その任命に当たりましては運輸大臣の承認を得ることが前提になっております。  それから、対象団体、金額等の公表につきましては、すでに各競技におきまして公表をいたしておるところでございます。
  316. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 会長の委嘱で大臣が任命するというルールについて、問題を感じていらっしゃいませんか。
  317. 三上義忠

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  競艇の場合につきましては、他の公営競技の場合と法律構成等に若干違いがございます。したがいまして、全く横並びのかっこうにいたしますと、法律改正等の問題になろうかと思いますが、現行の運用でいま申し上げましたような形の運用をしておる、こういう状況でございます。
  318. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 運用をしているということと、この答申に盛られている精神から考えていかがなものかというふうにはお考えになりませんでしたかということを私は聞いておるのです。
  319. 三上義忠

    ○三上説明員 この件につきましては、なお今後とも慎重に検討するというのが運輸省の基本的な態度でございます。
  320. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 慎重に検討するということは、会長の委嘱で大臣が任命するという手続は、ほかとの横並びという議論は、法律上の問題を言っておるのではないのですよ。第三者機関にという意味は、その公平を期していく、社会的に見てそれがまともだと思われるようなルールを担保するわけでしょう。そういう意味から言うと、ちょっと不自然だと思いますので、改善措置について検討しておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  321. 三上義忠

    ○三上説明員 その点も含めまして検討しておるという状況でございます。
  322. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 運輸省、間に合わないか——じゃしょうがない、時間が来たからいいです。  これは大臣にお尋ねをいたしますが、船舶振興会やいま私が指摘しました自転車振興会あるいは小型自動車振興会、それぞれ行政管理庁の監察対象になったわけです。実はこの前、あなた、笹川さんにきちんと言うのですかとやりとりしました。そして問題点をきちんとして、それらの問題について政府が方針を示す、こういうことについて私は宇野さんともやりとりしたことがございます。  中曽根長官にお伺いしますが、先ほど剰余金の問題についていろいろなやりとりがございました。私は、このようないわゆる公営のギャンブルが大きな収益を上げている、そしてその資金というものが法律の保護のもとでということになるだろうと思うのですけれども、必ずしも明確でない、明朗でないあるいは公平でないということはだれでも感じていらっしゃることだと思う。これらの改善措置について、長官は監察その他の経過を経て今後どのように対応なさるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  323. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆるギャンブル法人と言われるものは、おのおの性格が違っているものもあると思いまして、一様に扱うこともいかがと考える節もございます。しかし、いわゆる振興法人と言われているように、社会福祉やあるいは機械産業の振興やあるいは地方公共団体のためにも活用されておるところであると思いますが、いやしくもそういうような法人という形をもって活躍しております以上は、社会の疑惑を受けないように、公正に活動、機能が行われるように、われわれも常時監督をし、必要な機関を通じて公正な活動が行われるように督励していかなければならない、そのように思います。
  324. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、運輸省を呼んだのですが来ていません。先ほど御答弁をいただいた方は港湾局の方ですから、関係ではないだろうと思うのです。来てないというのはどういうことなんですか。私はさっきメモでちゃんと渡しましたよ。——手違いがあったそうでありまして、どっちの手違いかよくわかりませんが、私はちゃんとメモにしてお渡しをして、呼んでくださいと頼んだのですが、来ていません。恐らくは時間が間に合わないと思いますし、もう私の割り当ての時間が来てしまいましたからここでやめたいと思いますが、いま大臣の御答弁がありました。やはりギャンブルというものがこれだけの影響力というか、かけごとが法律で認められているわけであります。しかし、にもかかわらず、それによって上げられる収益というものは、国民の目から見て疑惑のないような対応をしなければならぬ、そして行政監察の対象になさった。だとすれば、この辺のところを余りへっぴり腰でなくてきちんとやっていただきたい。大変な金額なんです、これは。いまの競輪だけでも一兆円を超えています。こういう状態を、行政管理庁の機能としてぜひ問題点を明らかにしながら対応をしていただきたい、私はこのようにお願いをしておきたいと思うのです。  行政改革、第二臨調について質問をいたしてまいりました。私どもは、党内でさまざまな議論がございました。そして、その上に立って私どもの態度を決めました。率直なところ臨調設置法案でございますから、入れ物を決める議論であります。その中身が一体これからどうなっていくのだろうかということを考えると、正直なところ多くの不安を感じざるを得ません。行政改革が国の大きな課題であることを否定するものではございませんけれども、そこに働いている労働者の気持ち、家族の気持ちをも含めて考えますと、やはりその行く末に対して重大な関心を寄せざるを得ない、これが私どもの気持ちであります。  その点で、これからも臨時行政調査会運営あるいは審議の経過、内容について十分な監視といいましょうか、関心を持って見詰めてまいりたいと思っておりますが、でき得べくんば国民に対して開かれた委員会としての機能を保障していただくこと、そして同時に、当該労働者の要求やあるいは気持ちというものを十分そんたくをしていただくこと、そしていたずらな行政サービスの低下をなさないように、それらの点を冒頭に申し上げましたけれども、再度長官の御答弁を煩わして質問を終わりたいと思います。
  325. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 岩垂委員からいろいろ御指摘いただきました点は、よく慎重に検討いたしまして、遺憾なきを期したいと思います。
  326. 江藤隆美

    江藤委員長 中島武敏君。
  327. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私が最後質問になりましたが、第二次臨調設置法案について長官お尋ねします。  いろいろとたくさんお尋ねしたいと思っておりますので、どうぞひとつ簡潔に御答弁をお願いいたします。  不正腐敗を一掃して清潔な行政を実現することは、行政改革の重要な眼目でなければならないと思います。そこで具体的にお尋ねしたいのですが、すでに長官から、情報公開法あるいはプライバシー保護法についての答弁がこの委員会でありました。そこで私、この問題に関連して機密保護法の問題についてお尋ねをしたいわけであります。  情報公開、プライバシー保護の法制化に便乗して機密保護法やスパイ防止法制定の企てがいわば見え隠れしているという状態であります。政府としても、臨調としても、機密保護法制定を検討すべきではないと私は思います。政府として検討しない、臨調が仮に答申をしても実行しないということをお約束いただけますか。
  328. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調がどういう御答申をなさるかわかりませんが、臨調の御答申を待って検討いたしたいと思います。
  329. 中島武敏

    ○中島(武)委員 審議会の問題についてお尋ねをいたします。  審議会の制度は、戦後の行政民主化の中で、公正、民主的行政運営確保のために広く採用されたものであります。今日における審議会をめぐる中心問題は、委員構成運営を民主化して本来の趣旨に沿って活用することが大事であると思うのであります。  委員長、ちょっと資料の配付をお許しいただきたいと思います。
  330. 江藤隆美

    江藤委員長 資料を配ってください。
  331. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この委員構成実態につきましては、経済関係審議会の委員構成の問題につきましては十一ページ、十二ページにございます。これを見ますと、前回、私ここでもちょっとお尋ねをしたことがありますが、財界あるいは大企業の代表が七五年は五九・一%であったものが七九年には六二・八%というようにふえてきておるわけであります。この点では私、委員構成の問題、財界、大企業の代表が重要な地位と比重を占めて審議会を牛耳っておる現状は改めるべきであるということを申しました。ブロック機関整理法案審議の際にも、私の質問に対して長官は、財界、大企業の代表は、経済に対する見識を買われて入っているので、特に問題はないという趣旨答弁をされました。  そこで、お尋ねしたいのですが、委員構成あり方にメスを入れる、入れなければいけない、こういう考えは依然としておありでないのか。また臨調にも諮問をされるというお考えはないのか、この点をしかと承りたいと思うのであります。
  332. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 審議会の委員は、おのおのその審議会の目的に応じて学識経験者なり客観的な公正な人材を選出されておるものと確信をしております。われわれ、第二臨調をつくるに際しまして、その審議会問題というものを、これは前から申し上げますように、委員方々がみずから審議すべき対象を御選定いただくことになっておるものでありますから、われわれの方からとやかくここで申し上げる段階ではないと思っております。  以上でございます。
  333. 中島武敏

    ○中島(武)委員 非常に残念であります。これは非常に重要な問題の一つだと私は思っているのです。その点では、前回答弁それから今回の答弁を聞いても、自主的に臨調委員の人たちがと言われるのですけれども政府として積極的に諮問をして答申を得るというようにするべきではないかと私は思います。  これに関連しまして、特殊法人の運営問題を調査審議する運営審議会あるいは運営評議会があります。この委員構成も各省庁の審議会と全く同様であります。十三ページをごらんいただけばおわかりと思いますけれども、ここにもやはり財界、大企業の代表が六四・一%を占めているのが実態であります。中には一〇〇%財界、大企業の代表で占めているという日本硫安輸出株式会社の審議会もあるわけであります。しかも、私は重大だと思いますのは、委員人事を介した政財官癒着は、天下り人事とともに特殊法人の汚職腐敗構造の重要な支柱の一つとなっていることであります。こうした実態にメスを入れるべきであると思います。同時に、臨調にも諮問すべきであると考えますが、この特殊法人の運営審議会あるいは運営評議会について長官はどう考えられますか。
  334. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これもそのおのおのの特殊法人の設立の趣旨にかんがみて、必要な意見を徴したり建議をするためにつくられているものであると思いまして、それが特に腐敗構造の原因であるとは私は考えません。  また、これらの特殊法人の審議会をどうするかということも新しくできる臨調が自主的に御判断なさることで、われわれから先に先入観を持ってとやかく言うことは避けた方がいいと思います。
  335. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次に、行政改革関係審議会の答申や閣議了解などで大臣会長制はとらない、委員の兼職を最高四とする、あるいは代理出席は認めない、こういうことが提言をされたり決定をされてきたことは御存じのとおりであります。ところがこれはほとんど守られておらないわけであります。八ページにこれについての一覧表を載せましたのでおわかりと思いますが、こういう実態であります。八ページと九ページです。決定されてもほとんど守られていない、こういう実態なんです。  それでこれも具体的にお尋ねしたいのですが、各省次官の約半分が五つ以上の審議委員を兼職しておりますけれども、これは明白に閣議決定に違反する問題であります。長官はこれを改めるべきであると考えられますか。
  336. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 審議会等の委員の兼職数は、昭和四十四年の閣議決定によりまして最高四とされております。当時は兼職数五以上の委員が相当数おりましたけれども、その後各省庁において兼職数の多い者の任命を極力控えた結果、現在はおおむね基準に沿った運用がなされているものと承知しております。  以上でございます。
  337. 中島武敏

    ○中島(武)委員 全部四以下になりましたか。
  338. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 実は、兼職数につきましては内閣官房の方で取りまとめておりますので、私どもの方に詳細な数字がちょっと手元にございません。
  339. 中島武敏

    ○中島(武)委員 おおむねそうなっているという答弁でしたが、はっきりしたことは結局わからないということでございますね。  それから、非常に兼職が多いためにほとんどの次官が代理出席または欠席、こういう状態なんです。それはこれを見ていただければ非常に明瞭であります。代理出席は認めてはならないのだ、こういうことが答申であるのですけれども、私ども政府から提出してもらっている資料によりますと、どうも改善されているとは思えないのです。この点ではやはり答申は守っていかなければならないのじゃないかと思うのですが、これは守らなくてもよろしいという立場に立っておられるのでしょうか。
  340. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 臨調答申において審議会等への代理出席は認めないものとすることとの意見が出されておりますことは承知しております。この是非につきましては、各審議会等それぞれの議事運営の問題でございまして、個別の判断によるべきところもあるかと存じます。今後とも、それぞれの事情はあるかとは思いますが、原則としては望ましいことではないと考えますので、原則的にはこの趣旨に沿った適切な運用がなされるように、必要に応じて各省庁に要請していきたいというふうに思います。
  341. 中島武敏

    ○中島(武)委員 くどいようですが、次官の代理出席が常態化しておる、そのために開議要件それから議決要件を欠いている、こういう場合もあるわけであります。それにもかかわらず会議を開いて答申を議決するという異常な事態がいろいろと出ております。私はこういうことは即刻改めるべきである、答申もあれば閣議決定もある、即刻改めるべきであると思いますけれども、行管庁の態度はどうなんですか。
  342. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生のおっしゃるとおり、今後十分検討してまいりたいと思います。
  343. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は長官にちょっと伺いたい。鈴木内閣というのは都合の悪い閣議決定は守らぬでよろしい、まさかそう思っているわけじゃないでしょう。しかし、前回お尋ねし今回お尋ねしてお話を聞いても、十分検討するとか、あるいはこういうことのないようにしていきたいというわけですけれども、それは確かにそうでしょう、これはあたりまえだというふうには答えられないとは私は思うのです。しかし、審議会の答申なんか無視していい、そういう態度はまさか鈴木内閣としてはとっていないのだと思いますけれども、この点長官からもしっかり伺いたいと思うのです。
  344. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 決めたことは守らせるようにいたしたいと思います。
  345. 中島武敏

    ○中島(武)委員 各種審議会の委員構成運営を適正化するために、これらに関する通則を定めるべきであるという答申が行われたことは御存じだと思います。国会でも政府は、検討する、こういう答弁を過去行ってきておりますが、今日に至りますも何一つ具体化されていないわけであります。審議会通則を定める意思がおありかどうか、また臨調にこの問題を諮問する意思がおありかどうか、この点を伺いたいと思います。
  346. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 審議会等の設置及び運営あり方について、昭和四十四年の閣議決定において原則的な方針が示されております。従来これに基づいていろいろ整理合理化が行われてきたところでございます。また会議の公開あるいは公聴会の開催の是非等につきまして、それぞれの審議会の設置目的あるいはその任務性格、そういうものに照らしまして、どのような運営方法が最も適切かというような見地から個別に決定されるべき問題でございまして、会議の公開等を一律に義務づける通則法の制定というものはなかなかむずかしい点があるのではないかと考えております。
  347. 中島武敏

    ○中島(武)委員 第一次臨調答申は「審議会等を法律上の機関として設置する基準のほか、答申意見の取扱い方式、議事運営の準則、報酬の基準等、審議会等に関する通則を法定する。」こういうふうに答申しているのであります。これは法定するということを答申しているのでありまして、あなたはいま、私はまだ聞いてもいない——聞いてもいないというふうに言っていいかどうかわかりませんが、公開問題を答弁されましたけれども、法定するということについてはどうですか。
  348. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 今後なおよく検討されるべき問題だと考えております。
  349. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今後検討するということであって、この第一次臨調が出されてから何年になると思いますか。ずいぶんになりますが、さらにまた今後、こういうお考えだということがわかりました。  それで私は、通則にはアメリカのサンシャイン法を参考にして会議公開の原則、事案審議に当たっての公聴会開催主義の原則を明記すべきであると考えますが、公聴会の問題については、前回審議のときにも長官から答弁がありました。しかし同時に、会議公開の原則をやるべきであると思いますが、長官どうでしょうか。
  350. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 案件により、あるいは会議性格によって、おのおのその会議構成員が適否を決めるべき問題であると思います。一律に、原則的に物を決めることは必ずしも適当でないと思います。
  351. 中島武敏

    ○中島(武)委員 どうも大変消極的に聞こえます。この臨調法案には、運営に関する事項が何も規定されておらないわけであります。本来私は法律に明記すべきだと思いますけれども、いま申し上げました公聴会、また会議を公開にするという二つの原則を少なくとも政令には明記するべきであると考えますが、長官どうでしょう。
  352. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政令にそういうことを書くことについては、私は消極的意見であります。
  353. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは引き続き別の問題についてお尋ねいたします。  天下り人事の問題です。清潔な行政を実現するために、審議会の構成運営とともにメスを入れられるべきは、高級官僚の天下り人事の問題であると思います。天下り人事については、第一次臨調でさえもその弊害と規制の甘さを問題にして、特殊法人への横すべり的天下りは公社、公団等を設立した趣旨から見て適当でない、このように述べています。また民間企業への天下りについては「離職後二年間は、離職前五年間に密接な関係のあった民間企業へは、事由のいかんを問わず転出できないこととすべきである。」このように提言をしているところであります。ところがこの問題は、天下り人事というのはその後一向に改善されていないわけであります。お配りしてあります資料の十六ページから二十四ページをごらんいただきますと、このことが非常にはっきりすると思います。先日、私もこの委員会長官にこの件についてお尋ねしましたところが、天下りが多いのはよくない、できるだけ減らすよう精力的に努力をする、こういう答弁がありました。  そこで、特殊法人への天下り、この問題についてお尋ねしたいのですが、特殊法人への天下りに法的規制を加えるという方向で臨調に諮問する考えはないでしょうか。現在は何の規制もないことは御存じのとおりであります。
  354. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆる天下りと言われるものについては極力抑制することが望ましいと思っておりまして、いまでも、何らかの内規によると思いますが、人事院がこれをコントロールしていると思います。この人事院のコントロールを徹底してやらせるようにいたしたいと思います。
  355. 中島武敏

    ○中島(武)委員 実はそのことなんですけれども、天下り禁止期間、これが二年間というふうに法定されておるわけであります。これをフランス並みに離職後五年間に延長することが必要なのではないか。そしてさらに民間企業に対する天下りの問題については、高級公務員は五年間は理由のいかんを問わず禁止されるというようにしなければならないのではないかと私は思います。また関係業界、団体に対する規制は全く何もないわけでありますから、この関係業界、団体に対する天下りも禁止する、そういう法律改正をやらなければならないと思うのです。この点も重要な問題として臨調に諮問するべきではないかと私は思いますが、長官見解を伺いたいと思います。
  356. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調に諮るべき事項というものは、先ほど申し上げたとおり臨調が自主的に決めていただくべきものであると思っております。中島委員の御意見は御意見として承っておきます。
  357. 中島武敏

    ○中島(武)委員 関連してもう一つこの問題で伺います。  自衛官の防衛産業に対する天下りは全く野放しになっています。これは御存じだと思います。しかも一般職のように審査会の審査結果が国会にさえ報告されない仕組みになっているのです。自衛官の天下りについても、私は現行国公法並みに国会報告するという方向で法律改正を検討するように諮問するべきであると思います。諮問するべきだと言うと、長官は諮問についてはどうも同じ答えが返ってくるのですけれども、この自衛官の天下り禁止問題について法律改正を考えられますか。
  358. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点も中島委員の御意見として承っておきます。
  359. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これもまた関連して伺います。  民間企業に籍を置いたまま委嘱調査員などの名で公務に従事し、政府情報入手などの利権を握る天上がり職員が、今日なお各省庁が公表したものだけでも百人前後に上るわけであります。これはお配りしました資料の二十五ページに載っております。八〇年の九月末現在で九十四名という数字になっているわけであります。この問題についても衆議院で初めて取り上げられているわけではありませんで、この問題についてお尋ねしたところが、政府の態度は、制度論から言えば不届き至極なやみの存在であるので是正する旨の答弁が行われました。しかし、一向に是正されていないわけであります。天上がり人事一掃のための方策を検討すべきではないでしょうか。
  360. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前にどういう答弁政府がしたか知りませんが、私の現在の考えを申し上げますと、やはりこれは民間の知恵や活力を導入するという意味において意味のある行為ではないか。ただ、政府の機密やその他が不当に漏れたり利用されてはいけない、そういう点は注意しなければならぬと思っております。
  361. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これが単に注意でできることかどうかという問題をこの問題ははらんでおります。私はやはり一掃しなければいけないというように思うのであります。  さらに、似たような問題についてお尋ねします。  各省庁の最頂点から重要な政策決定に参画する顧問、参与の人事を介した癒着にももっとメスを入れる必要があります。この点で公正、民主的な行政を実現するため、現在の顧問、参与の構成には大いにメスを入れて、第二次臨調にもそのあり方検討するよう諮問すべきであると思いますが、どうでしょうか。  なお、続けて申しますと、顧問、参与の設置規定が各省庁によってばらばらなんです。これは資料の二十七ページをごらんいただけばおわかりになるとおりであります。法律設置されているのもあれば規則でやられているのもあれば、訓令でやられているのもあれば、省令でやられているのもあれば、政令でやられているのもあり、またお尋ねしても、設置根拠がよくわからない、そういう答えが返ってくるものもあるわけであります。また身分も非常にばらばらでありまして、守秘義務のない非公務員も決して少なくはないわけであります。現行の設置規定のあり方を直ちに是正するとともに、そのあり方についても大いに臨調検討するよう諮問するべきであると私は思います。これも長官見解を伺います。
  362. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調に諮問する云々ということは、先ほども申し上げたとおりでありまして、中島委員の御意見として承っておきます。
  363. 中島武敏

    ○中島(武)委員 臨調に諮問するかどうかということは別として、こういうあり方がよろしいと思いますか。先ほど申し上げたように、設置根拠もばらばらで、非公務員もいる。だから守秘義務がないわけですから、いろいろと筒抜けになっていく。しかも重要な政策決定に参画しているというこのシステム、このあり方、これについてはどうですか。
  364. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 各省における顧問、参与はそれほど重要な政策決定に直接参画しているとは思いません。時に応じて来てもらって参考意見を徴するという程度でありまして、ライン上の仕事には参画していないと私は思っております。
  365. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大事な仕事に参画していないと長官は言い切っておられますが、必ずしもそうではないのではないでしょうか。これは具体的に事実を明らかにすればはっきりすることだと思います。  それで、この各省庁の顧問、参与問題と同じように、特殊法人にも顧問、参与の制度があるわけであります。これは二十八ページのところに載せてあります。これも私は、特殊法人における政財官癒着のやはり腐敗構造の重要な支柱の一つになっているというように考えるわけであります。これもやはり臨調に諮問するとか、あるいはまた是正するとかいう措置を図らなければならないというふうに考えるのですけれども、いかがでございますか。
  366. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり民間の知恵や運営方針、活力を導入するという意味においては意味のあるやり方であると思います。これがために莫大な費用を要したり、あるいは機密が不当に漏れるということは注意しなければなりませんけれども、普通行われているような程度では、これはそれほどとがめ立てすべきものではない、むしろ活用されているのではないかと思います。
  367. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはずいぶん長官見解を異にするところであります。  では次に、行政運営通則の制定問題について伺います。  これまで各種の行政改革関係審議会から数回にわたって行政運営に関する通則を制定すべきであるという提言が行われてきました。だがしかし、これらの答申はたなざらしにされたまま今日に至っておるわけであります。情報公開法、審議会公開とともに、予算編成過程の公開、重要な許認可事項の許認可過程の公開を含む公正、民主的な行政運営通則が制定されるならば、わが国の行政国民本位の清潔な行政実現に向けて大きな一歩を踏み出すことになると私は確信します。同時に、行政経費の浪費を大幅に削減し、財政危機打開にも大きく寄与することができると確信するものであります。  いま述べましたような各種の公開原則を含む公正、民主的な行政運営通則を速やかに確立するとともに、臨調にもそのあり方検討するよう諮問するべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  368. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政策形成過程を公開するということは、途中で百花斉放を引き起こして、必ずしも能率的ではないであろうと思います。
  369. 中島武敏

    ○中島(武)委員 そうでしょうか。これは私は違うと思います。たとえば不正談合入札などによる国費の浪費は膨大な額に上るわけであります。岡原前最高裁長官などは、長官も御存じと思いますが、航空機疑惑防止対策協議会の席上で、私が扱ったケースで驚いたのは、談合入札が前の日には全部決まっている、予定入札の金額には賄賂が入っている、こういうふうに語っておるわけであります。また第一次臨調委員でありました太田薫氏によりますと、花井元検事総長は、公共事業はいまの半値でできるというのが検察内部の定説だというふうに語っていたということであります。現在の半分ということになりますと五兆円ということになりましょうか。非常に膨大な額であります。それから会計検査院のベテラン調査官も「会計検査情報」の誌上で、公共事業の入札のあり方にメスを入れたら、財政再建にもどれだけ大きく寄与するかわからない、よく三Kと言われるが、それに匹敵するかもしれない、こういうふうに言っておられるわけであります。公正、民主的な行政運営通則をしっかり確立をして、こうしたむだを省くべきではないかと思います。臨調に対しても、公共事業の入札のあり方にメスを入れて、その改善方策を検討するように諮問するべきであると考えますけれども、どうでしょうか。
  370. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調問題は、先ほども申し上げたとおりでありまして、入札制度等は厳重に監督しなければならぬと思っております。  また、先ほどおっしゃいました花井さんや太田さんのお話というものは、恐らく断片的な極端なお話で、普通のお話ではないと私は思います。
  371. 中島武敏

    ○中島(武)委員 予算編成期などに特殊法人が監督省庁や大蔵省の幹部を高級料亭に接待したり、あるいは各省庁が大蔵省の幹部を接待するというようないわゆる宴会接待行政がずいぶんとやられておるわけであります。  そこで、会計検査院来ておられますでしょうか。——このお配りしました資料の三十九ページから四十ページにかけてですけれども、これは一九七八年のものですが、たとえば日本住宅公団による大蔵省主計局幹部接待ということで、公団の幹部五名、大蔵官僚三名、合計八名、宴会に要した経費は三十一万二千百二十円ということであります。時間の点で全部は申しませんけれども、二月十三日、二月十六日、三月三日、三月二十八日、五月九日、五月十七日、五月二十三日、六月十四日、八月十七日、八月二十一日、八月二十八日、九月十九日、九月五日というふうに大変いろいろとやられておるわけであります。この資料に間違いがないかどうか、確認できるかどうか、これについてお尋ねいたします。
  372. 秋本勝彦

    ○秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまのリストでございますが、私どもこの中で二月十三日の分につきましては確認ができておりません。それから九月の五日の分でございますが、これは地方公共団体主催というようなものでございまして、私どもの対象にならないものでございます。その余のものにつきましては、開催者あるいは開催の月日、金額など確認しております。
  373. 中島武敏

    ○中島(武)委員 二月十三日は、大蔵省の方では調べていない、通産省の方では確認できないというふうに言われておるところであります。九月五日の件と申しますのは、これは地方自治体によるものでありまして、これも確認はできない、しかしそれ以外のものは全部確認ができるといういまの答弁でありました。ずいぶんこういうことが予算編成の過程などにおいてやられているということは、私は非常に重大な問題だと思うわけであります。会計検査院の方、お忙しいでしょうからどうぞ結構です。  自治省の方、いらっしゃいますか。その次のページの四十一ページに、地方自治体による省庁幹部の接待例というのを載せておきました。これは、七九、八〇年度の予算概算要求時に新潟県が都内の高級料亭に各省庁の幹部を接待した宴会行政の一部であります。これは確認できますか、自治省。
  374. 坂弘二

    ○坂説明員 お答えいたします。  この表のうち、当省に関する分につきましてはこのとおりでございます。その他の省庁のものにつきましては、われわれの方ではちょっと確認いたしかねます。
  375. 中島武敏

    ○中島(武)委員 自治省の分については御確認をいただいたわけです。他の省庁の問題につきましては、これまた別の機会に一つ一つ確認をしたいと思います。自治省の方も結構です。  こういうのを見ておりますと、会計検査院も先ほど確認されましたように、こうしたむだ遣いがあることを知っているのです。ところが、権限がありませんから、毎年の決算検査報告では何も触れられていないというのが実情なんです。触れられていないから知らないのかといったら、いま申し上げたように、また確認をいただいたように、こういうことを知っておられるわけなんです。私はこれは非常に大変なことがいろいろやられていると思うのです。それで、こういう国費あるいは公費の浪費を一掃するために会計検査院の権限、機能といったものを強化するための措置が必要なんじゃないか。そしてこのことも重要な問題として臨調に諮問されるべきなんじゃないかというように私は考えるのです。臨調に諮問せよと言うと、長官答弁は何か初めからわかっているような気がしてしまうのですけれども、いま確認されたこういう実態について、長官はどう思われますか。
  376. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 むだなことはやめた方がいいと思います。
  377. 中島武敏

    ○中島(武)委員 会計検査院の機能、権限、これを強化するという方向で諮問されますか。
  378. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 諮問問題は前からお答え申し上げているとおりで、御意見として承っておきます。
  379. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは次の問題に移ります。  私は、行政の基本は民生安定にある、そのように思っております。したがって、国民の要望にこたえる行政改革というのは、国民奉仕の見地に立って民主的に推進されなければならないと思うのです。  そこで、お尋ねしたいと思いますが、まず一つは定員管理、定員配置の問題であります。  現在の定員配置のあり方には、国民生活に直結する分野で慢性的な定員不足を来す一方で、自衛隊や防衛庁などの不要不急部門で膨大な過剰定員が温存され、全体として大きなひずみと行政のむだがあります。たとえば総定員法の基礎となった一九六七年度末予算定員と本年度末予算定員を比べてみますと、行政機関全体で本年度は一万八千八百九十八人増となっておりますが、その大部分が防衛庁の増員で占められております。一万六千九百八十三人であります。防衛庁と公安調査庁、警察庁の三庁の本年度末定員は計三十万八千二十六人で、国の行政機関全体の定員百十六万九千四百七人の四分の一強を占めておるわけであります。  他方、国民生活直結分野では、国立学校と国立医療機関では三万三千四百九十六人増と一定の増員が行われておりますが、国立医療機関などでは人事院が示しております二・八体制に入れないとか、必要な定員が十分確保されないといった問題があることは長官も御存じのとおりであります。さらに食糧関係、治山治水関係、鉱山保安関係、気象関係、郵政事業、労働基準、職安、労働保険関係などでは計三万五千三百二十一人の減となっております。これは四十二ページ、四十三ページにあります。行政経費の浪費をなくし、税金を国民本位に使うというのであるならば、大多数の国民にとって不要不急の部門の定員を大幅に削減をし、国民生活密着部門の定員を十分確保すべきであると思うのであります。  そこで、この問題について長官は、この前も私お尋ねをしたわけですけれども、わが党のこういう提案に対して、防衛庁の増員は内外の情勢から見て防衛を近代化し充実していくためにやむを得ない、この点はわれわれと共産党の考えが基本的に違う、このようにこの前答弁をされました。長官、どうでしょうかね。自衛隊の増員というのはやはり民生安定に役立つ、国民に対するサービス向上に役立つ、こんなふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  380. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは日本の安全と独立に役立っていると思います。
  381. 中島武敏

    ○中島(武)委員 重ねて伺います。憲法違反の公安調査庁の定員を減らさないのは、これもまた民生安定に役立つ、国民に対するサービス向上に役立つ、こんなふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  382. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国家統治行為の重大な内容である国内治安維持に重大に役立っていると思います。
  383. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公安調査庁の調査対象には、日本共産党を含めている。これは治安に役立つという見解はいただけない。私はこういうことは憲法に違反した行為じゃないかというように思うのであります。あるいは労働基準監督署や職安の定員、これもなぜこんなに減らさなきゃいけないのですか。実際にはやらなければならない仕事は山積しているじゃありませんか。私はこの点は長官は一体どう考えているのだろうということをぜひ聞きたいものだと思うわけであります。
  384. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 労働基準局、職安の定員の話でございますが、現在の厳しい行財政事情のもとにありまして、簡素効率化を強力に推進することが非常に重要な課題となっております。全体の定員事情から、いま申し上げましたような組織につきましても、その中での定員のやりくりということが必要になってくると思うわけでございます。要員面につきまして、政府としましては、行政事務の合理化等によりまして、定員の計画削減を推進する一方、必要に応じ、行政需要に応じた所要の増員措置というものは講じてきているところでございます。労働者の安全と労働基準の確保あるいはその雇用の安定等、こういう重要な任務を持つ労働行政についても、この基本姿勢によって業務の合理化を進めていただく一方、所要の増員措置を講ずることによって円滑な行政執行を損なわないように配慮してきたところであると思っております。民生安定に役立たないから減らしているというようなものではないと考えております。
  385. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、定員の配置あるいは管理という問題については、先ほども言いましたけれども、不要不急部門というものは削減をする、そして国民生活密着部門というものはふやす、こういう方向でやらなければならないと思うわけであります。長官は、この委員会で何度も繰り返し答弁をされ、御自分の考え方を披瀝をしておられますが、機構いじりをやめて減量経営に徹する方針でいくとかあるいは国家統治の機能見直しをやるというような答弁をいろいろ繰り返しておられるわけでありますけれども、私どもは、いま言ったような自衛隊あるいは公安調査庁、内閣調査室あるいは公安警備警察あるいはまた高度成長の中でいろいろと民間のリスクを肩がわりするためにあるいは国家財政を利用するためにつくられた各種の特殊法人、こういうものを縮小あるいは廃止をするべきだということをこれまでいろいろ言ってきたんです。ところが、これについてきょうの発言を聞いておりましても、やはりこの辺は縮小しないということなんですかね、長官考えは。
  386. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それらの点については、中島委員意見を異にいたします。
  387. 中島武敏

    ○中島(武)委員 関連をしてちょっと伺いたいと思います。  五十五年度で七百七十四億円の収益金をモーターボート競争の収益金から吸い上げることを予定して、笹川良一氏みずからが会長などにおさまっている各種の財団法人などに補助金としてばらまいている。これは日本船舶振興会でありますが、これだけではなくて各種のギャンブル関係の特殊法人があります。これに抜本的なメスを入れてそのあり方を公正、民主的なものに改める、収益金なども厳重にチェックするべきであるというように考えるわけであります。これについては長官見解を伺いたいと思います。
  388. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど私、御答弁申し上げましたように、いわゆるギャンブル法人と言われるものは、ある意味においては地方公共団体の財源にもなっており、あるいは機械の振興やそのほかのいわゆる振興法人としての役目も果たしております。しかし、ギャンブル行為ということによってそれらの収益が上がっているという点については、国民の皆様も重大な関心をお持ちであると思っております。したがって、これらが公正に行われることが望ましいのでありまして、そういう観点から私たち関係機関を通じて常時監督していかなければならぬと思います。
  389. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはどういうふうにあるべきかということを、単に監督するというだけではなくて、臨調でも審議をしてもらうという考えはありませんか。
  390. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど来申し上げましたように、臨調に諮問すべきことにつきましては累次お答え申し上げたとおりであります。
  391. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次の問題でありますが、国家の統治機能行政組織の設置規制との関係について第一次臨調は次のように言っています。「内閣自体の自律的な組織編成権を大幅に認めるべきである。」というふうに言いまして、「現行の国家行政組織法を改正し、」「組織の編成権は、原則として、」「政令以下の段階で定めることとすべきである。」こういうふうに提言をしております。政府はこれにこたえて、一九七一年以降三回にわたって国家行政組織法改正案を国会提出しました。しかし、これらは広範な国民の反対でいずれも廃案に追い込まれました。その後、前大平内閣は正面突破作戦をあきらめて、各省設置法を一括改正して、地方支分部局と付属機関設置規制を政令以下に移すという迂回戦術に転換をして、今春の通常国会で成立をしたわけであります。これに続いて大平内閣が、部局増を伴わない本省庁機構の改編を政令以下の命令でできるような各省設置法の改正を企図されましたけれども、これは志半ばにして倒れられたわけであります。こういうのを見てみますと、自民党政府はこれまで一貫して内閣の組織編成権の強化を目指してきたというようにとれるわけであります。  行管庁の次官でありました小田村氏あるいは平井氏などは、現職の時代から繰り返し、行政改革を困難にしている構造的要因の一つに立法府による行政権の規制があるとして、内閣の組織編成権強化の必要性を主張しまして、さらにまた経団連など財界首脳部も、国会による内閣の規制が行政事務の膨張と停滞を招いているというふうに言いまして、国会行政府との関係改善の必要性を繰り返し政府に要望してきておることはよく御存じのとおりであろうと思います。  そこで、私が伺いたいのは、内閣の組織編成権の強化という方向は政府の一貫した方針なのかという問題であります。長官見解を伺いたいと思うのです。
  392. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄運賃やたばこの値段等についても弾力条項が認められてきておりますが、内閣の組織編成についても重要ならざるものについては弾力条項が認められることが望ましいと思います。
  393. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今度臨調をやられる、そうした場合に改めて内閣の組織編成権の強化についての方策を提言するかもしれない。そうした場合、やはり政府としてはこれを実行するということになるわけでしょうか。
  394. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 諮問の問題は前からお答え申しているとおりであります。
  395. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は諮問をお尋ねしたのではありません。答申が出てきたあるいは意見が出てきたというときには、やはり政府はそれを実行するか、このようにお尋ねしたのです。
  396. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは法文にも「尊重しなければならない。」と書いてありますので、検討した上、尊重しなければならないと思います。
  397. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、これは重要な問題だと思っております。憲法の六十六条で行政機関の法定主義の原則を非常に高らかにうたい上げておるわけでありまして、私は非常に重要な問題だと思うのですが、戦後における戦時立法研究の原形と言われる三矢作戦研究では、政府機関の臨戦化のための法令整備として、非常時行政簡素化や非常時行政特別法などとともに、その最大の眼目として内閣総理大臣の権限強化を打ち出しております。  私は、内閣の組織編成権の強化という問題は、有事体制に即応する体制づくり、そのための国家の統治機能見直しということに沿うものになるのではないかというように考えるのですけれども長官見解を聞きます。
  398. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二次臨調で議論していただく問題は、委員の皆様が自主的にお決めいただくということでございますから、そういう前提でわれわれはものを考えたいと思っております。もしそれに対していろいろ答申が出てきた場合には、その答申をよく検討した上で尊重していきたい、そのように思っております。
  399. 中島武敏

    ○中島(武)委員 仕事減らしあるいは行政守備範囲見直し、この問題について伺いたいのです。  中曽根長官は、昨年七月の行政管理基本問題研究会の「今後における政府・公共部門の在り方と行政改革」と題する報告政府行政改革方針との関係について、この研究報告は、行政守備範囲あり方について検討し、今後において望ましい行政あり方を実現するため、学問的、理論的立場から行政改革の基本方向を示したものであると、この前答弁をされました。それから行管庁の臨調設置法案の説明文書を見ましても、臨調検討課題の基本的な考え方として、国民行政官業民業、国と地方との間の基本的なあり方を確立する、あるいは行政の責任の領域の見直しを図るというふうに言っているわけですけれども、これはやはり研究会が提言したのと同じ方向を出しているものじゃないかというように思うのです。  そこで、ちょっと具体的にお尋ねをしたいのですけれども、この研究報告の場合には、当面、治安、国防、外交等の行政機能については考察の対象から除くとしております。また政府財政再建路線を体系的に展開した「歳出百科」を見ましても、ここでも国防、外交、警察などの分野のサービスは政府部門によって供給されなければならないとしておりますが、臨調での検討課題の基本的な考え方も、結局大筋のところはこういう考え方と理解をしてよろしいでしょうか。
  400. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調検討課題は、臨調委員によって自主的にお決めいただくようにしておりますので、私がここでとやかく申し上げることは差し控えた方がいいと思います。
  401. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この治安、国防、外交などについては除くというのは、長官は正しい考えだと思いますか。
  402. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 除く除かないは、臨調委員が自主的にお決めいただくのが適当である。しかし、国家統治という大きな観点から見れば、それらは当然国家統治の中に入る仕事ではないかと思います。
  403. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これに関連をして、行政守備範囲見直しの基本方向の問題についてなんですが、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、先ほどから言っております行政管理基本問題研究会が何を言っているかといいますと、第一に「社会経済情勢の変化に伴う不要不急化現象の検討」を挙げ、その対象として食管制度、低生産性部門や衰退産業部門に対する援助行政などを例示しております。第二に「特例的行政水準検討」を挙げまして、その対象として特定業種に対する援助行政、低生産性部門に対する保護援助、医療施策の一部などを例示いたしております。第三に「民間活動への介入限界等の検討」を挙げ、その対象として、外国貿易管理、対外取引規制など民間部門の自由な活動の阻害要因、事業活動の効率性向上の阻害要因となっている行政、また保健、福祉、教育、文化等の若干の部門など行政機能の一部民間化、行政機能の部分的撤収の可能性のある行政、さらに国鉄や各種の検査、検定業務など政府直営事業部門を例示いたしております。さらに第四ですが、「新規行政需要の制御方策についての検討」を挙げておりまして、その方策として一部の福祉施策や公共サービス等について、施策体系に適切、合理的な負担制度を内蔵するシステムの効果的活用、一部福祉施策等に対する年齢、所得制限など行政対象の合理的限定などを例示いたしております。  ちょっと長くなって恐縮だったのですが、こういうふうに研究報告はかなり具体的に挙げているわけです。それで、これもこの前ちょっと答弁のあった点に関係するのですけれども長官の言われる仕事減らし、減量経営というのは、結局いま述べましたようなことになるわけでしょうか、この点お尋ねしたいのです。
  404. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生から研究報告の中身についてございましたが、ただいまの仕事減らしということに関係しますと、そのうちの民間活動への介入限界について、規制、監督行政の分野における規制の緩和あるいは保護助成行政の分野における民間能力の活用、あるいは政府直轄事業部門見直し、こういったところが仕事減らしに非常に関連があるのではないかと考えております。  これらの点につきましては、今回の行政改革におきましてもそういう観点から取り組もうとしている官業民業への移行というような問題を考えるに当たって、この研究会の報告は大いに参考になるものであるというふうに考えております。
  405. 中島武敏

    ○中島(武)委員 長官も大体同じと考えてよろしいでしょうか。
  406. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの政府委員の御答弁のとおりであります。
  407. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次の問題ですが、地方自治の問題についてお尋ねしたいと思っております。  私は、国民本位の民主的な行政改革にとっては、地方自治を拡充する方向で国と地方自治体の間の事務、権限、税財源を民主的に再配分する地方行財政改革はどうしても必要なことであると思うのであります。私どもは、これまで繰り返し、次のような方向で地方行財政改革に着手するように提案してきました。  それは、第一に、機関委任事務を原則的に廃止し、現実性、民主性、自主性、総合性の四原則に基づいて事務、権限を再配分すること、第二に、中央省庁の権力的な許認可命令権など条例制定権の縮小をもたらしている国の関与、統制を原則として廃止する、当面、廃止、統合、移譲、規制緩和の区分に従って抜本的な縮小、合理化を断行すること、第三に、現行補助金を教育補助金あるいは福祉補助金、農林補助金などの形でできるだけ大項目に統合して、地方自治体がみずからの必要に応じて内容を自由に選択し得る総合補助金方式に改めること、そして補助金行政を通ずる中央省庁の官僚的統制を排除して、繁雑な事務手続から地方自治体を解放すること、さらに第四に、起債許可制度の廃止など、地方自治を保障する行財政構造を実現すること、こういうことを私どもは繰り返し主張してきたわけであります。そしてこういう方向で民主的な地方行財政改革が実行されるならば、地方自治の拡充と国、地方を通ずる行政機構、定員、事務の合理的再編成を一体的に進めることができると確信するわけであります。  そこで、お尋ねしたいのですが、わが党が提起したこういう地方行財政改革の基本方向というのは、実はわが党だけの主張ではありません。これは神戸委員会以降の地方制度調査会が繰り返し政府に提言をし、地方六団体などの地方自治体関係者が繰り返し政府に要望してきた積年の課題であります。  具体的にお尋ねしますが、全国知事会や自治省、行管などは、こうした方向で行革が実行された場合、補助金制度改革分だけでも数千億円のコストダウンになる、全体では相当膨大な経費節約が可能であると言っておりますけれども、どの程度の経費節減になるか、大ざっぱな試算でよろしいですからわかったら御説明をいただきたいと思います。
  408. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生のお話、国と地方公共団体との間での事務、それに伴う権限あるいは税財源の配分等、非常にむずかしい問題がいろいろ入っております。その程度もいろいろございますし、またその整合性等もいろいろ問題になるわけでございますので、国と地方との間でどの範囲の再配分が行われるかという非常にむずかしい点がございまして、必ずしも明確でない点がございます。でございますので、権限移譲に伴う行政コストの比較は非常にむずかしいわけでございますから、具体的な数字をここで推計して示せと言われましても、その推計数字をお示しすることはきわめて困難であろうかというふうに思います。
  409. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはお配りした資料の中にも五十三ページに載っておりますが、「補助金事務手続の問題点及び改善策」ということで行管庁の増島監察官が書いておられるものですが、この一番最後のところに「個々の補助金事務手続に要する人件費を中心とするコストも、正確な推計は困難な面があるものの、全国知事会が指摘するように相当膨大なものとなっていると考えられる。」こういうふうに述べておられるわけであります。これは補助金の事務手続の改善の問題なんですけれども、「相当膨大なものとなっていると考えられる。」というのですが、これは具体的にいいますと、行管庁では一体どれぐらいというふうに考えていらっしゃいますか。
  410. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いまのお話は、補助金の事務手続に関しまして各地方公共団体等がやっておりますその事務量がどれくらいあるかというお話でございまして、これをそれに従事しております職員の人件費等から勘案しますと、かなり膨大な事務量になるであろう、事務量のエスティメートとしての数字でございます。まあ四千億かそこらになるのじゃないか、あるいはもうちょっと上回るかというふうにわれわれは考えております。これも非常にラフな話でございまして、明確なことは言えません。これは事務量を推計したものでございます。
  411. 中島武敏

    ○中島(武)委員 まあ四千億あるいはもっと多く五千億かもしれない、非常に改革の余地がある問題なんです。そしてまた地方六団体などが繰り返し政府に対して要請をしておるところであります。ですから私は、こういうことも今度の臨調においては大いに検討されてしかるべきじゃないかというように思っているわけであります。  行管庁は臨調での検討課題の基本的な考え方として、国と地方の間の基本的あり方を確立する、こういうふうに述べておられますが、これはわが党や地方六団体などが提起するように、地方自治を拡充する方向で民主的な地方行財政改革を進めるための具体的な方策を検討するよう諮問をするということなんでしょうか。諮問の問題になりますと、さっきから長官との話が平行線になってくるのですけれども、いま補助金の問題で申しましたように、非常に改善をされなければならない、そしてまた地方自治拡充の方向というものが必要なわけであります。そういう点で、この点について長官見解を伺いたいと思うのです。
  412. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央と地方との限界をよく見きわめて案をつくっていただきたいという希望は持っております。恐らくそういう点も第二臨調で議論されるアイテムになると思います。しかし、どういうふうに結論が出るかは委員がお決めいただくことであると思っております。
  413. 中島武敏

    ○中島(武)委員 質問最後でありますが、行政改革でもう一つ私、大事だと思っておりますのは、公務員がやはり全体の奉仕者としての役割りを大いに発揮できるようにするということが非常に大事であると思っているわけであります。いわば、この問題は民主的に行政改革がやられるかどうかの一つの試金石でもあるというように思っております。  そこで、お尋ねしたいと思うのですが、どんな行政機構も、大臣であるとかあるいは次官、局長の意思が敏速かつ正確に行政機構のあらゆる段階に到達をするように仕組まれる必要がある。そのための一つの方式として、行政機構とそれを支える公務員制度をピラミッド型に編成するということが古くから行われてきたわけであります。階級、職級ごとに細分化された給与体系、研修と職務評価、試験を中心とする昇給制度などがそのために導入されてきたと私は理解をいたしております。第一次臨調は公務員に関する改革意見でどう述べているか、幾つかのことを述べておりますが、メリットシステムの確立、管理、監督者の養成と管理意欲の高揚、人事管理機能の強化、職階制の実施とその活用、勤務評定の完全実施と評定結果の給与制度運用との結びつけ、表彰制度の改善と報償制度の設定、こういったことを打ち出してきたわけであります。それからさっき私言いました行政管理基本問題研究会もその研究報告の中で、メリットシステムの強化、教育訓練の充実など、公務部門を支える公務員管理の面からの方策の検討の必要性を提言をしているわけであります。最近のことですが、政府も公務員給与改定に関する取り扱いについて、十月二十八日でしたか閣議決定を行っておられる。ここでも勤務成績本位の人事運用の措置を講ずるということを述べておるわけであります。これらはピラミッド型行政機構を支える公務員制度の確立を目指すものであって、やはり第二次臨調では、こうした方向に沿って新しい時代に対応した公務員制度あり方検討することになるんじゃないかと私は思うのですけれども、一貫した流れから言いますと、そんなふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  414. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調公務員制度に関するいまのようないろいろな御提言は、私はおおむね妥当なものであると思っております。しかし、第二次臨調におきましては、委員がかわるものでありますから、どういう結論を出すか、いま予断はできないと思っております。
  415. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は率直に言いまして、第一次臨調答申をした、意見を述べた方向ですね、これは一番典型としてわが国の場合にはどこが当てはまるかということですけれども、警察と自衛隊じゃないかというように思っておるわけであります。こういうピラミッド型の公務員制度のもとでは、どうしても上意下達の官僚主義がはびこるのじゃないでしょうか。それから国民要求の反映を困難にするのじゃないか、あるいは時には下級の公務員が高級公務員とともに汚職腐敗に巻き込まれるという事態も生み出される場合があります。高級官僚の天下り人事も実はこうした公務員制度に深く根差していると私は思っております。その点では私は、国民本位で民主的な行政改革を進めるためには、こういう公務員制度こそ抜本的に転換するべきじゃないのかと考えるわけでありますけれども長官はどうでしょう。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  416. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり公務員制度は、昔からよくテーラーシステムであるとかあるいは日本ではJK運動であるとか、いろいろさまざまなアイデアが導入されておりますが、メリットシステムというものは大事なシステムではないかと思っております。
  417. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間も終わりに近づきましたので、最後にもう一つお尋ねいたします。  国民本位で清潔で、そして民主的なむだのない行政を実現するためには、公務員労働者がその政治活動の自由、組合活動の自由が保障されなければならないと思うのであります。公正、民主的な給与、昇格制度を確立することも必要であります。公務員労働者が国民とともに下から行政の民主化、効率化を進めて、文字どおり憲法でいうところの全体の奉仕者としての役割りを発揮するようにすべきであると思います。私は、組合活動や政治活動の自由が保障され、また公正、民主的な給与、昇格制度を確立する、こういう方向で公務員管理、公務員制度改善方策を臨調検討されるべきではないのか、このように思うのでありますが、これについての長官見解を伺いたいと思います。
  418. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調のアイテムは前から申し上げたとおりでありますが、公務員管理システムについて、いわゆる人民管理方式というものは適当でないと思っております。
  419. 中島武敏

    ○中島(武)委員 人民管理方式を私は何もここで述べたわけではありません。公務員が本当に全体の奉仕者として活動できるためには、やはり政治活動の自由や組合活動の自由がきちんと保障される必要があるのだ。実態はどうかといえば、そういう実態になってないからこそ私はこのことを主張したわけであります。また大変公正で民主的な給与や昇格制度というものも必要だと思います。そういうものがありませんと、全体の奉仕者としての役割りを果たすことが阻害されるのじゃないか、そう思うのです。長官は何だか話を幾らかそらして、人民管理なんというようなことを言われましたけれども、まじめに考えてどうでしょうか。そういう方向こそが必要であるし、臨調審議をするという場合にも、こういう方向が諮問されなければならないんじゃないのかというように思うのですけれども、もう一度答弁をお願いします。
  420. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調で論議すべきことは臨調委員がみずからお決めいただくという方針は、前から申し上げたとおりであります。  公務員システムにつきましては、やはり信賞必罰、メリットシステム、しかも、その中で民主性と愛情を込めた方法を採用することが適当であると思っております。
  421. 中島武敏

    ○中島(武)委員 万般の問題にわたっていろいろときようは長官見解お尋ねいたしました。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 かなりわかりましたけれども、しかしどうもなかなか意見が一致しないのが大変残念であります。民主的な行政改革こそがいま望まれているんだということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  422. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  423. 江藤隆美

    江藤委員長 この際、日本共産党中島武敏君から本案に対する修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。中島武敏君。
  424. 中島武敏

    ○中島(武)委員 日本共産党を代表して、臨時行政調査会設置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  周知のとおり、国、地方とも財政は破局的ともいうべき深刻な危機に陥っており、また、政官界における不正腐敗が相次いで露呈する中で、不正腐敗と行政経費の浪費を一掃し、大多数の国民奉仕する清潔で、むだのない民主的な行政を実現することは、いまや文字どおりの国民的要望になっています。  しかるに、鈴木内閣仕事減らしとか減量経営などと称して進めようとしている行政改革は、国民に対してサービス切り捨てと負担増を迫るとともに、国防、治安、エネルギーなど日米支配層が八〇年代に期待する分野については削減の対象から除外するとしか考えられず、国家機構と財政の構造を日米支配層の八〇年代戦略に沿って反動的に再編することを目指すなど、国民本位の民主的行政改革とはおおよそほど遠いものと言わなければなりません。  しかも、黙過できないのは、国民本位のそれとは異なる長期的な行政改革の実践課題を具体化し、それを強力に推進するための機関として臨時行政調査会設置が提案されたことであります。わが党は、こうした目的位置づけを持った臨時行政調査会設置の提案にくみすることはできません。  言うまでもなく、民生安定こそ国民主権の現憲法下の行政の基本であります。国民期待にこたえる当面の行政改革は、清潔な政治国民への奉仕地方自治の拡充、公務員の全体の奉仕者としての役割りの発揮を基準に、民主的に構成運営される調査審議機関を設けて進めるべきであります。本修正案は、臨時行政調査会国民本位の民主的行政改革の実践課題を具体化し推進する機関として役立てる見地から提案するものであります。  修正案の案文は、お手元に配布したとおりであります。  以下、その概要を申し上げます。  第一は、臨時行政調査会設置目的については、政府案を全面修正し、一、国民全体に奉仕する清潔で、むだのない民主的な行政の実現に資すること。二、地方自治体の自主性を拡大する方向で国と地方の事務、権限、税財源を再配分し、その民主的で健全な発達に資することを明記することとしたことであります。  第二は、一、大企業奉仕の諸機構や自衛隊、公安調査庁など、国民にとって不要不急の諸機構とその事務、事業、定員の縮小、廃止。二、地方自治権の拡充強化のための方策を具体化するため、所掌事務に所要の修正を加えたことであります。  第三は、調査会調査審議に、国民各層の意見が正しく反映できるような委員構成を実現するため、内閣総理大臣の一方的な委員任命方式に縛りをかけることとしたことであります。すなわち、調査会は、日本学術会議地方六団体、労働組合の全国組織及び内閣が推薦する者から両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員各三人、計十二人で組織することとしております。  第四は、調査会の公正、民主的な運営を確保するため、一、会議公開の原則、二、公聴会開催主義の原則を新たに明記することとしたことであります。  以上が、修正案提出の理由と修正案の内容の概要であります。  何とぞ同僚各位が御賛同くださることをお願い申し上げて、修正案の趣旨説明を終わります。(拍手)
  425. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣意見があればお述べください。中曽根行政管理庁長官
  426. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。     —————————————
  427. 江藤隆美

    江藤委員長 本修正案について別に発言の申し出もありません。  これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  428. 上原康助

    上原委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました臨時行政調査会設置法案に対し、わが党の見解を述べ、態度を明らかにしたいと思います。  近年、わが国を取り巻く内外の経済社会情勢は大きく変化し、国民行政に対する要請も多様化しております。行政がこの変化に適切に対処し、要請にこたえるため、その体制を整えることが強く求められており、行政改革が重要な政治課題の一つとなっておることは否定するものではありません。  申し上げるまでもなく、行政機構や制度は、とかく固定化し、硬直化する傾向があり、これを防止し、是正するためにも行政改革は常に不断の努力を傾けて行われるべきであり、ただ単に財政再建の名のもとに、減量経営や人員整理のごとき行政整理的な考えで進められるべきものではないと考えます。  わが党は、行政改革について、従来から公正、民主、効率的な行政の実現のため、民主、公開、参加、分権を前提とし、国民の理解と協力のもとに、中長期の見通しに立って行政諸制度の改革を行い、国民の要請に的確にこたえるべきであるとの立場を明らかにしてまいりました。  昭和三十六年に、行政の根本的な体質改善を図る改革案の答申を目指して設置されたいわゆる第一次臨時行政調査会は、約三年の歳月と多額の費用を費やして、昭和三十九年に行政における総合調整機能の強化、民主化の徹底、膨張抑制と中央集権の排除等を主眼として十六項目にわたる答申政府提出したのでありますが、十六年後の今日、答申の基本的な部分は実現を見るに至っていないことは、きわめて遺憾であります。  今回、新しく第二次臨時行政調査会を発足させるに当たっては、まず第一に、この第一次臨調答申の実施の経緯を反省し、それを第二次臨調に反映させることが必要であると思うのであります。  第二は、わが国が今後、エネルギー、資源の制約、高齢化社会への急速な進展等、新たな課題に対応し、国民の要請に的確にこたえるため、政府がまずこれらに対し中長期的な政策を確立することが必要であります。これがなければ、調査会が単に行政諸制度のあり方等を答申しても、その答申は、再び絵にかいたもちになりかねません。また、反対に税制調査会の増税の考えを、政府の政策に先行させようとする例にも見られるように、調査会意見を先行させ、その意見政府の隠れみのに利用されるおそれがないとは言えない問題があります。  第三は、調査会委員構成についてであります。委員は、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命することとなっておりますが、委員人選調査会性格に大きな影響を与えることは当然であります。それゆえ質疑の中でも指摘いたしましたように、人選に当たっては、超党派的に公正を期することを強く求めるものであります。  第四は、調査会運営についてであります。申し上げるまでもなく、行政改革を進めるに当たっては、国民の理解と協力が必要であります。その理解と協力を得るためにも、調査会運営については、関係公務員労働組合を含め、広く国民の声を聞き、会議を公開し、公聴会を開くなど、民主、参加の方針のもとに調査審議が行われ、重要問題については全会一致を原則とすることを望むものであります。  第五は、調査会目的が、まじめに働く公務員労働者に無用の不安、動揺を与える人員整理等を意図するものであってはならないということであります。当法案審議の過程において、わが国の公務員の数は先進諸国の中では決して多くはなく、むしろ、一番少ないこと、またその質はフランスと同じく優秀であることが中曽根行政管理庁長官みずからの答弁で明らかにされており、また長官は、わが党の委員質問に対し、調査会は公務員の人員整理を目的としているものではないことを明確に答弁しておるのでありますが、この際、これらの点を明確にしておきたいと考えます。  最後に、政府行政機関の不正、不祥事等を厳しく戒めるとともに、討論の初めにも申し上げましたとおり、行政改革は、単に財政再建という観点のみで進められるべきものでなく、民主、公開、参加、分権という理念を前提とし、行政サービスの向上福祉向上を目指す国民本位の改革であるべきであります。そのため、審議の過程でわが党の委員が明らかにしたように、不急不要と思われる補助金等を整理し、第二の予算となっている財政投融資の現状を改め、特殊法人の見直し等も図るべきであります。  以上、日本社会党の見解を述べ、この臨時行政調査会設置法案に賛成するものでありますが、ただいま表明したわが党の意見に沿い、第二次臨調運営されるよう今後、深い関心を持って監視してまいる考えであることを明らかにしておきたいと思います。  次に、共産党提出の修正案についてでありますが、臨時行政調査会設置に対するわが党の考えとの相違点があり、納得しかねる内容となっておりますので、反対せざるを得ないことを明らかにし、私の討論を終えるものであります。(拍手)
  429. 江藤隆美

    江藤委員長 次に、小沢和秋君。
  430. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、日本共産党を代表して、臨時行政調査会設置法案に対し、反対の討論を行います。  私どもは、清潔、公正、効率的で民主的な国民本位の行政改革を強く求めるものであります。財政危機打開の課題はもとより、ロッキードからKDD、鉄建公団に至る一連の汚職、不正事件が示した綱紀粛正の必要も、決して過去のものとはなっていないのであります。  ところが、いま設置されようとしている第二次臨時行政調査会は、国民の望む民主的行政改革を助けるものではなくて、結局、財界本位、軍事優先の反動的な行政再編に通じるものと言わざるを得ません。  たとえば臨調設置法案は、その目的を「適正かつ合理的な行政の実現に資するため」と称しています。しかし、高級官僚の天下りに対する法的規制とその強化、宴会、接待行政など行政経費の浪費一掃に向けた会計検査院制度の改善、政財官癒着の打破等々を調査会に諮問することに行管庁が消極的な態度を示したように、清潔、公正、民主的な行政という今日的な行政改革課題は抜け落ちています。また、いわゆる軍事、公安関係の改革、削減問題が初めから聖域化され、大企業への各種の補助金など不要不急の諸経費削減にも政府が消極的であるような状況では、第二次臨調を積極的に評価することは不可能であります。  調査会委員任命も、法案では「優れた識見を有する者」、国会の同意を得ると記されているだけで、総理大臣の一方的な委員任命方式が貫かれています。これでは財界中心という第一次臨調の枠組みと基本的に大差ないものとなることは、すでに審議を通じて明らかなところであります。調査会運営も、会議の公開、傍聴、公聴会、国会への定期報告などが明記されておらず、密室化の危険をはらんでいます。  さらに、国と地方行政あり方検討するとされていますが、知事公選制の廃止を含む道州制の導入がもしも調査会検討されるなら、憲法の地方自治の原則に照らしても事は重大であります。わが党は、道州制を調査会検討課題にしないとの保障を政府に求めたものの、残念ながら、そのような言明を得ることはできませんでした。  調査会目的の一つとなっている官業民業あり方検討も、アメリカのたばこ輸入拡大の要求に日本の国益を犠牲にし、たばこ、アルコールなどの専売制を壊して、国民の財産を大企業に引き渡したり、福祉、教育など生活直結部門を他に肩がわりさせて住民の負担増を招くという結果になりかねないのであります。  日本共産党は、以上のような立場から、政府提出の第二次臨調設置法案に反対、修正案に賛成するものであります。あわせて、わが党は、真に国民本位の清潔、公正、効率的で民主的な行政改革を目指してこれからも努力することを表明して、討論を終わります。(拍手)
  431. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  432. 江藤隆美

    江藤委員長 これより採決に入ります。  臨時行政調査会設置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、中島武敏提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  433. 江藤隆美

    江藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  434. 江藤隆美

    江藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  435. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  436. 江藤隆美

    江藤委員長 この際、行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根行政管理庁長官
  437. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま臨時行政調査会設置法案を可決していただき、ありがとうございました。  御審議の間におきまして承りました貴重な御意見を体し、一層行政の改革、合理化に努めてまいる所存であります。今後ともよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。(拍手)
  438. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る二十日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十九分散会      ————◇—————