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上原委員 私は、日本社会党を
代表して、ただいま議題となりました
臨時行政調査会設置法案に対し、わが党の
見解を述べ、態度を明らかにしたいと思います。
近年、わが国を取り巻く内外の
経済社会情勢は大きく変化し、
国民の
行政に対する要請も多様化しております。
行政がこの変化に適切に対処し、要請にこたえるため、その体制を整えることが強く求められており、
行政改革が重要な
政治課題の一つとなっておることは否定するものではありません。
申し上げるまでもなく、
行政機構や制度は、とかく固定化し、硬直化する傾向があり、これを防止し、是正するためにも
行政改革は常に不断の努力を傾けて行われるべきであり、ただ単に
財政再建の名のもとに、減量経営や人員整理のごとき
行政整理的な
考えで進められるべきものではないと
考えます。
わが党は、
行政改革について、従来から公正、民主、効率的な
行政の実現のため、民主、公開、参加、分権を前提とし、
国民の理解と協力のもとに、中長期の見通しに立って
行政諸制度の改革を行い、
国民の要請に的確にこたえるべきであるとの
立場を明らかにしてまいりました。
昭和三十六年に、
行政の根本的な体質
改善を図る改革案の
答申を目指して
設置されたいわゆる第一次
臨時行政調査会は、約三年の歳月と多額の費用を費やして、昭和三十九年に
行政における総合調整
機能の強化、民主化の徹底、膨張抑制と中央集権の排除等を主眼として十六項目にわたる
答申を
政府に
提出したのでありますが、十六年後の今日、
答申の基本的な部分は実現を見るに至っていないことは、きわめて遺憾であります。
今回、新しく第二次
臨時行政調査会を発足させるに当たっては、まず第一に、この第一次
臨調答申の実施の経緯を反省し、それを第二次
臨調に反映させることが必要であると思うのであります。
第二は、わが国が今後、エネルギー、資源の制約、高齢化社会への急速な進展等、新たな
課題に対応し、
国民の要請に的確にこたえるため、
政府がまずこれらに対し中長期的な政策を確立することが必要であります。これがなければ、
調査会が単に
行政諸制度の
あり方等を
答申しても、その
答申は、再び絵にかいたもちになりかねません。また、反対に税制
調査会の増税の
考えを、
政府の政策に先行させようとする例にも見られるように、
調査会の
意見を先行させ、その
意見を
政府の隠れみのに利用されるおそれがないとは言えない問題があります。
第三は、
調査会の
委員構成についてであります。
委員は、
国会の同意を得て
内閣総理大臣が任命することとなっておりますが、
委員の
人選は
調査会の
性格に大きな影響を与えることは当然であります。それゆえ質疑の中でも指摘いたしましたように、
人選に当たっては、超党派的に公正を期することを強く求めるものであります。
第四は、
調査会の
運営についてであります。申し上げるまでもなく、
行政改革を進めるに当たっては、
国民の理解と協力が必要であります。その理解と協力を得るためにも、
調査会の
運営については、
関係公務員労働組合を含め、広く
国民の声を聞き、
会議を公開し、公聴会を開くなど、民主、参加の方針のもとに
調査審議が行われ、重要問題については全会一致を原則とすることを望むものであります。
第五は、
調査会の
目的が、まじめに働く公務員労働者に無用の不安、動揺を与える人員整理等を意図するものであってはならないということであります。当
法案の
審議の過程において、わが国の公務員の数は先進諸国の中では決して多くはなく、むしろ、一番少ないこと、またその質はフランスと同じく優秀であることが中曽根
行政管理庁長官みずからの
答弁で明らかにされており、また
長官は、わが党の
委員の
質問に対し、
調査会は公務員の人員整理を
目的としているものではないことを明確に
答弁しておるのでありますが、この際、これらの点を明確にしておきたいと
考えます。
最後に、
政府は
行政機関の不正、不祥事等を厳しく戒めるとともに、討論の初めにも申し上げましたとおり、
行政改革は、単に
財政再建という観点のみで進められるべきものでなく、民主、公開、参加、分権という理念を前提とし、
行政サービスの
向上、
福祉の
向上を目指す
国民本位の改革であるべきであります。そのため、
審議の過程でわが党の
委員が明らかにしたように、不急不要と思われる補助金等を整理し、第二の予算となっている財政投融資の現状を改め、特殊法人の
見直し等も図るべきであります。
以上、日本社会党の
見解を述べ、この
臨時行政調査会設置法案に賛成するものでありますが、ただいま表明したわが党の
意見に沿い、第二次
臨調が
運営されるよう今後、深い
関心を持って監視してまいる
考えであることを明らかにしておきたいと思います。
次に、共産党
提出の修正案についてでありますが、
臨時行政調査会設置に対するわが党の
考えとの
相違点があり、納得しかねる
内容となっておりますので、反対せざるを得ないことを明らかにし、私の討論を終えるものであります。(拍手)