○神田
委員 私は民社党・国民連合を代表して、いわゆる
防衛三法、自衛隊法、
防衛庁設置法並びに
防衛庁職員給与法の一部改正について、一括して賛成の討論を行うものであります。(拍手)
わが党は、結党以来、
わが国の平和と安全の確保のために
責任野党の
立場を貫きつつ、全力を尽くして闘ってまいりました。しかるに
政府は、国民や国会に対し、
わが国を取り巻く軍事情勢や
わが国の自衛力の実態を率直に示そうとせず、事なかれ主義の態度をとりながら、なし崩し的に自衛力を整備してきたのであります。しかし、いまや
わが国を取り巻く国際情勢はこのような対応が許されない厳しいものとなっております。われわれはいまこそ国家と国民に対する政治の
責任を自覚し、
防衛問題に対する不毛の議論や無
責任な議論を排し、事なかれ主義の態度を改めて、現実に立脚した具体的な政策をもって
防衛問題に取り組んでいかなければなりません。
わが党は今後とも
責任野党の
立場に立って、
防衛問題について是々非々の
立場を貫いていくものであります。
以下、賛成の
理由を述べます。
その第一は、
わが国を取り巻く国際情勢が大きく変化し、
防衛力整備が急務となったことであります。
この数年来、
ソ連は世界的規模で
軍事力の
増強を図るとともに、アフガニスタンへの侵略に見られるように、
軍事力を
背景として強引な対外進出を続けております。そのため、いまや
米ソのデタントは大きく崩れ、西側自由陣営は協力して
ソ連の進出に対処することを迫られつつあります。
また、
ソ連は極東地域においても、
わが国固有の領土である北方四島のうち三島にまで軍事基地を建設したのを初め、海軍力や空軍力の大規模な
増強を進めており、極東の軍事バランスは大きく変化しつつあります。
こうした
事態に対処するためには、
わが国としても西側自由陣営の一員としての
立場を踏まえつつ、
わが国の平和と安全を守るに足る
防衛力の整備を着実に進めていかなければなりません。
第二は、自衛隊に対するシビリアンコントロール体制が前進したことであります。たとえば、わが党が昭和四十年以来多年にわたって設置を主張してきました国会の
安全保障特別委員会がつくられ、いまだ不十分ながらも機能し始めていることであります。またさきのわが党と自民党との党首会談において、中期業務見積もりが国防
会議に付議されることが確認されたことなどがその一例であります。
第三は、
防衛問題に対する国民的合意が生まれつつあることであります。わが党はこれまでも
防衛問題に対する国民的合意づくりの重要性を強く指摘し、そのために全力を尽くしてまいりました。しかし、いまや国際情勢の厳しさと相まって、平和確保のための
防衛力整備の必要性について、国民的コンセンサスが生まれつつあります。すなわち、各種の世論調査からも明らかなように、憲法を
擁護しながら現状程度の規模の自衛隊を整備し、その足らざるところは日米安保によって補いつつ、西側自由陣営の一員として、
日本の平和と安全を図っていこうというのがそれであります。
第四は、
防衛力整備についてのわが党の主張が、
政府によって基本的に認められつつあることであります。さきの党首会談を通じて、
防衛力整備については、平和戦略の推進、憲法の枠内、財政事情への配慮という三
条件に立つべきであるというわが党の主張に
政府・自民党が基本的に同意したことであり、今後、自衛隊の欠陥是正やシビリアンコントロール等の一層の前進について、わが党の方針が反映される状況が生まれつつあることであります。しかし、それはあくまでも
防衛問題について共通の議論の場ができたということであり、個々の具体的問題については、今後建設的な議論を進めていかなければなりません。
以上が、民社党が
防衛三法に対し賛成する
理由でありますが、この際、私は
政府に対し、
防衛力整備について次の諸点に十分配慮して取り組むべきことを、改めて要望するものであります。
その第一は、
防衛力整備は、前述したように、平和戦略の推進、現行憲法の枠内、財政事情への配慮を基本原則として進めることであります。
第二は、
安全保障特別委員会を機能的に運営するとともに、形骸化している国防
会議を改組
強化し、総合的
立場から
安全保障全般を協議する最高機関とするなど、シビリアンコントロールの確立を図ることであります。
第三は、
米ソのデタントと没
脅威論を前提とした現在の「
防衛計画の
大綱」を抜本的に見直し、
脅威の実態に即したものに改めることであります。
第四は、奇襲対処
能力の欠如など、各方面から指摘されている自衛隊の欠陥を是正し、質的整備を進めることであります。
政府は、以上の点に十分に配慮し、その実行を通して、
わが国の平和と安全を確保するに足る適正な自衛力の整備を進めるよう強く要望し、私の賛成討論を終わるものであります。(拍手)