○角屋
委員 私がこういう問題を総合安全保障全体の中で特に冒頭に取り上げましたのは、言うまでもなく
国民の生活あるいは産業活動、こういうものを考えます場合に、一つは命の糧である食べ物の問題、あるいは同時に産業活動、庶民生活等も含めて原油というものが総合エネルギーの中で相当大きな比重を現在では占めておる。やがてこれを全体の中で五〇%程度に持っていきたいという
政策意図はありましても、現実にはやはり大きな比重を占めておる。しかもこういったものについては、原油の場合はほとんど大部分を外国に頼らなければならぬ。中近東その他いま各地域のバランスを述べられましたが、いま問題になっております中東地域から相当程度仰いでおる。穀物を中心にした大豆等を含めた状況を見てくれば、項目によって違いますけれ
ども、たとえば大豆は九一・九%アメリカ、あるいはトウモロコシにおいては八五・八%アメリカ、小麦においても五六・二%アメリカ、大体主要なものについては相当部分アメリカ依存という形になっているわけでありまして、これはいわば日本から輸出していく近代産業の製品、それとのある意味での関連におけるアメリカからの強い農産物輸出、これに日本が現実にはこたえておるといううらはらの
関係でありますけれ
ども。従来からも国際的に石油戦略あるいは食糧戦略ということが言われてまいりましたけれ
ども、こういった石油戦略や食糧戦略という意味では、石油戦略を行使されれば日本はお手上げという現状にならざるを得ない。また現実に、いま日本の農業
政策等との関連で言えば、残念ながら食糧戦略を行使される場合においては、
国民生活に相当大きな影響を持ってくる。この食糧の問題については相当部分アメリカに依存をしておるという現状から言えば、日本はアメリカのいわゆる核のかさ、食糧のかさという中に置かれておるとも言えようかと思うのであります。
そういう状況の中で、
一体こういうエネルギーの安全性あるいは食糧の安全性の問題をどう考えるかというのは、この場での
議論としては別途の機会に譲りたいと思いますけれ
ども、いずれにしても
国民の命の糧である食糧あるいは農林水産物、そして産業や日常の
国民の生活にかかわる原油問題という現状から見ますと、これは国際的な平和の環境というものが持続されることによって、初めて日本が
経済の面でもあるいは産業の面でも生活の面でも生々発展していく条件を持っておる。もしこれが、小規模の場合は別として、相当大規模な不幸な事態が生ずる場合においては、たちまち重大なピンチに立つということが、いま言われたこの置かれておる条件の中でも明白だというふうに思うのであります。われわれが総合安全保障を考える場合に、いまのこの問題を抜きにして、軍事優先主義で問題を考えることができないというのが、私
どものこういう問題を考える基本的な
立場の一つになろうかと思っております。
そこで、私は次に
お尋ねをいたしたいのでありますけれ
ども、この
防衛白書「日本の
防衛」、昭和五十五年八月に
防衛庁からお出しになったわけでありますけれ
ども、これはかつて中曽根さんが
防衛庁長官当時に出されて、一時中断をしておりまして、坂田
防衛庁長官のときに「日本の
防衛昭和五十一年六月
防衛庁」ということで出されておりました。この久方ぶりに出されました五十一年六月の「日本の
防衛」と、最近出ております、ことに本年出されております「日本の
防衛」とを見ますと、
防衛の中身の性格というのが、これは国際情勢の変化に籍口しているのでありましょうけれ
ども、相当大きく変化をしてきておると受けとめざるを得ないのであります。坂田さんはこの
防衛白書を出される場合に「刊行によせて」という中で冒頭に「ようやく
防衛白書ができあがった。昨年の暮には出したいと作業を進めていたが、ほぼ一年かかってしまった。いざとりかかってみると思いのほか難渋した。一つには、
防衛問題を積極的に提起して
国民のものにしようとする意欲よりも、世間に問題をひき起すまいとする配慮が先立つ、長年の
防衛庁内にある消極的雰囲気にも原因があったように思う。」ということで前置きをしながら、この
防衛白書を出す考え方について述べておられます。そして坂田さんは、同時に
わが国の
防衛を考えるということで
防衛を考える会というのをつくられて、メンバーにいろいろ検討してもらい、そういうものもお出しになっておる。この当時の
わが国の
防衛を考えるということで出された考え方あるいはまた「日本の
防衛」ということで五十一年六月に出された考え方と、いま申しましたように、その後ずっと出ておりますけれ
ども、最近、特に本年度の「日本の
防衛」を対比してまいりますと、中に書かれていることは、いざいざと言わんばかりの態勢の書き方をされておるわけであります。
この問題については、後ほどまたさらに触れるといたしまして、私が第二に聞きたいのは、この
防衛問題を考える場合に、われわれは第二次世界大戦ということを想起しなければならぬと思います。もちろん第二次世界大戦の問題ばかりではありません。それは第一次世界大戦であれ、日本がかつて中国に、東南アジアに、あるいは旧名称で言えば満州にと各方面に展開をいたしました大東亜戦争というものをやはり振り返ってみなければならぬと思うわけでありまして、それは単に日本だけではなしに、国際的にも第二次世界大戦の教えるものが、こういった
防衛、安全保障を考える場合の原点になければならないと私は思うのであります。
そういう
立場から、まず第一にお聞きをしたいのは、第二次世界大戦において国際的に
一体どれだけの死者あるいは負傷者があったのか、特に日本の場合はどれだけの戦死者あるいはまた民間を含めての死者や負傷者があったのかという点について、まず御
答弁を願いたいと思います。