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1980-10-16 第93回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月十六日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    大原 一三君       太田 誠一君    粕谷  茂君       木野 晴夫君    倉成  正君       田名部匡省君    田村  元君       竹中 修一君    上原 康助君       角屋堅次郎君    渡部 行雄君       市川 雄一君    小沢 貞孝君       榊  利夫君    中島 武敏君       田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         総理府人事局長 亀谷 禮次君         行政管理政務次         官       堀内 光雄君         行政管理庁長官         官房審議官   林  伸樹君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         林野庁長官   須藤 徹男君         通商産業大臣官         房審議官    柴田 益男君  委員外出席者         法務大臣官房秘         書課長     千種 秀夫君         法務大臣官房調         査官      建持 忠雄君         法務省入国管理         局総務課長   妹尾 正毅君         法務省入国管理         局参事官    亀井 靖嘉君         大蔵大臣官房地         方課長     杉田 昌久君         大蔵大臣官房審         議官      名本 公洲君         厚生省医務局管         理課長     田中 健次君         農林水産大臣官         房文書課長   山田喜一郎君         運輸省海運局総         務課長     熊木 藤吉君         郵政省貯金局規         画課長     野田 玄武君         郵政省貯金局第         一業務課長   小倉 久弥君         労働大臣官房総         務課長     小粥 義朗君         建設大臣官房文         書課長     吉沢 奎介君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     粕谷  茂君 同月十六日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     太田 誠一君   河野 洋平君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     川崎 二郎君   田島  衞君     河野 洋平君     ――――――――――――― 十月十六日  公務員給与法早期改正に関する陳情書外二十  二件  (第一号)  靖国神社の公式参拝に関する陳情書外四十件  (第  三号)  軍人恩給欠格者救済措置確立に関する陳情書  外一件  (第四号)  非核三原則の立法化に関する陳情書  (第五号)  行政改革の推進に関する陳情書外一件  (第六号)  同和対策改善強化に関する陳情書  (  第七号)  新憲法の制定に関する陳情書  (第八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方支分部局整理のための行政管理庁設置法  等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、四国行政監察支局等設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、四国行政監察支局等設置に関し承認を求めるの件の両案件議題といたします。  両案件について趣旨説明を求めます。中曽根行政管理庁長官。     —————————————  地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、四国行政監察支局等設置に関し承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま議題となりました地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  先般、政府は、行政の各般にわたる簡素化効率化を推進するため、昭和五十五年度以降の行政改革計画を決定いたしました。その一環として、行政機構簡素化を図るため、本省等に置かれる地方支分部局整理編成を行うこととし、ここにこの法律案を提案した次第であります。  次に、法律案内容について御説明申し上げます。  行政管理庁につきましては、中国管区行政監察局四国管区行政監察局とを統合して中国四国管区行政監察局とし、同局四国行政監察支局を置くこととしております。  法務省につきましては、札幌入国管理事務所仙台入国管理事務所東京入国管理事務所成田入国管理事務所横浜入国管理事務所名古屋入国管理事務所大阪入国管理事務所神戸入国管理事務所高松入国管理事務所広島入国管理事務所下関入国管理事務所福岡入国管理事務所鹿児島入国管理事務所及び那覇入国管理事務所の十四事務所東京入国管理局大阪入国管理局名古屋入国管理局広島入国管理局福岡入国管理局仙台入国管理局札幌入国管理局及び高松入国管理局の八地方入国管理局に再編成し、残余の六事務所支局または出張所とすることといたしております。  大蔵省につきましては、北九州財務局南九州財務局とを統合して九州財務局とし、同局福岡財務支局を置くことといたしております。  厚生省につきましては、中国地方医務局四国地方医務局とを統合して中国四国地方医務局とし、同局四国地方医務支局を置くことといたしております。  農林水産省につきましては、昭和六十年三月三十一日までに、国有林野事業改善進捗状況を考慮して国有林野事業改善に関する計画につき必要な検討を加え、その結果に基づいて営林局を統合するために必要な措置を講ずるものとすることといたしております。  通商産業省につきましては、名古屋鉱山保安監督部大阪鉱山保安監督部とを、広島鉱山保安監督部四国鉱山保安監督部とをそれぞれ統合することといたしております。  運輸省につきましては、新潟海運局関東海運局とを統合して関東海運局とし、同局海運監理部を置くことといたしております。  建設省につきましては、筑波研究学園都市営繕建設本部を廃止することといたしております。  なお、行政管理庁四国行政監察支局大蔵省福岡財務支局及び厚生省四国地方医務支局は、昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとすることといたしております。  以上のほか、関係法律関連規定について所要の整備等を行うことといたしております。  これらの改正については、昭和五十六年四月一日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、四国行政監察支局等設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  ただいま提出いたしました地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案による本省等に置かれる地方支分部局整理編成に伴い、次の措置を講ずる必要があります。  第一に、行政管理庁につきましては、中国管区行政監察局四国管区行政監察局とを統合して中国四国管区行政監察局とすることといたしておりますが、四国における行政監察行政苦情あっせん等に関する業務を円滑に遂行するため、高松市に四国行政監察支局設置する必要があります。  第二に、大蔵省につきましては、北九州財務局南九州財務局とを統合して九州財務局とすることといたしておりますが、福岡県、佐賀県及び長崎県における国の財務等に関する行政事務を円滑に遂行するため、福岡市に福岡財務支局設置する必要があります。  第三に、厚生省につきましては、中国地方医務局四国地方医務局とを統合して中国四国地方医務局とすることといたしておりますが、四国における国立病院及び国立療養所業務指導監督並びに国立病院特別会計の経理に関する事務を円滑に遂行するため、高松市に四国地方医務支局設置する必要があります。  第四に、通商産業省につきましては、名古屋鉱山保安監督部大阪鉱山保安監督部とを、広島鉱山保安監督部四国鉱山保安監督部とをそれぞれ統合することとしておりますが、鉱山保安法施行等事務を円滑に遂行するため、大阪市に中部近畿鉱山保安監督部大阪支部を、高松市に中国四国鉱山保安監督部四国支部をそれぞれ設置する必要があります。  以上が、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、四国行政監察支局等設置に関し国会承認を求めることの提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 江藤隆美

    江藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
  6. 太田誠一

    太田委員 私は、この地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案について、これから質問をさせていただきますが、具体的な内容に入る前に、これからの行政改革に臨む中曽根大臣の決意のほどを簡潔にお伺いしたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革は現在の政治課題の最重要課題一つであると心得ております。  一つは、戦後三十年たちまして非常に膨大化いたしました行政機構あるいは人員等につきまして、国民の御要望にこたえてこれを簡素化し能率化するという急務を私たちはしょっております。それと同時に、また財政再建を目睫に控えまして、この財政再建国民の御期待におこたえするためには、政府みずからが姿勢を正して、中小企業者国民の皆様が石油危機に際して御苦労なさったと同じ苦労をやらなければ筋が通らぬところでございます。それは政府減量経営に徹して、そして民間の皆さんと同じような苦労をこの際行うということであると心得ております。  そういう面からいたしまして、この行政改革の問題は現下の政治課題の最重要課題一つであり、自民党といたしましては、政府与党一体となって国民期待にこたえるべく全力を尽くす方向でございます。私はその第一線にありまして直接の責任者でございますが、このような環境のもとに、真剣に内閣一体になってこれを遂行する決心でございます。
  8. 太田誠一

    太田委員 ありがとうございました。  この法律案は、言ってみれば、亡くなられました大平総理が簡素で安上がりな政府を実現しようということで、安上がりの政府を標榜した大平内閣の遺産でありますし、私も基本的にはこの法律趣旨考え方に賛成をいたします。しかしながら、残念なことは、この法律案によりまして統廃合対象となります一部の地域におきまして、行政サービスが急激に低下をするのではないかということを恐れる声が非常に強くわき起こっていることもまた事実であるわけであります。  その一例といたしまして、特に南九州財務局北九州財務局統合する、いわゆる九州財務局を新たにつくり、福岡市にこれまで存置されておりました北九州財務局を廃止する、そして財務支局に格下げをするということが法案の中にあるわけであります。これに対しまして、前にこの法案提出をされました時期にも大変な反対運動あるいはその不安が地元経済界を中心といたしまして起こっていたわけでありますが、今度の国会にこの法案提出されるに際しましても、北部九州におきまして大きな反対運動が再びわき起こってきたわけであります。  この具体的な例を挙げますと、佐賀県議会におきまして十月三日に存置を要望する決議がなされております。そしてまた福岡市議会におきましても十月九日に存置を決議することが行われております。そしてまた、いまの段階ですでに実に四十万人に及びます反対署名というものが集められておりまして、これは近日中に提出される予定となっております。このような地域経済界あるいは地域住民の根強い不安というものに対しまして、ここで納得のいく御説明をお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  9. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 太田委員地元の総意を一身に受けられまして、日夜北九州財務局存置につきまして御熱心に御努力なすっていることは私もよく承知しております。また、日本経済政治全般における北九州重要性等々から考えまして、その御主張の筋もよく理解できるところでございます。さりながら、昭和五十五年行革の目玉の一つといたしまして、地方支分部局整理統合ということを大平内閣のときに決定いたしまして、そして各官庁に御協力を求めまして、九州におきましては、やはり財務局一つ統合することがしかるべきである、そういう結論になりまして、じゃ熊本にするか福岡にするかという重大な判断を迫られたわけでございます。いずれも重要な地域であり、また非常に重要な機能を果たしておるということは私たちも心得ておったところでございます。まあ結局は南九州の方は明治の半ばに設立されて歴史が古い。北九州の方は戦後設置された。重要度においてはどちらが重要であるかということは甲乙つけがたいところでございますが、どちらかをやめなければならぬという段階になると、やはりこれは歴史の古いところに新しいところが譲っていただく、そうせざるを得ぬというまことに残念な結論になりまして、そういう措置をいたした次第でございます。重要度におきましてはよく認識しておりますが、そういうことでございましたので、御了承を賜りたい。太田委員の御熱意はよく理解しておるところでございます。
  10. 太田誠一

    太田委員 いままでにさまざまな議論がなされてきたわけでありますけれども、いわゆるこの北を南に統合するという考え方の中に、一部の新聞報道などによりますと、北に経済力集中し過ぎているんだ、北に余りにも多くの人口が集まり過ぎている、したがって、これを国土の有効な利用という観点からすると南の方に移さなければならない、南の方に、その地域の発展のために財務局は置かれるべきだというふうな議論がなされていたわけでありますけれども、この考え方は、もしそれが事実だとすれば重大な問題だと思います。行政改革目的あるいは大蔵省財務局がそこに設置されているということの目的は、決して国土開発のために行政改革があり、あるいは財務局がそこにあるのではないというふうに私は信じるわけでありまして、特に今回の行政改革法律案につきましては、この財務局を除くほかの地方医務局でありますとか、あるいは海運局ですか、その他のブロック出先機関整理統合につきましては、すべて行政需要の小さな地域出先機関が廃止されて、行政需要の大きな出先機関に吸収されるという形をとっております。九州だけが、あるいは財務局だけが行政需要の大きなところが小さなところに吸収されるというふうなきわめて異例な取り扱いを受けているわけであります。中曽根長官のただいまのお答えは、それはそれとして一つ考え方でありましょうけれども、この際、大蔵省のお考えもお聞きしておきたいと思うわけであります。  そういうことなのか。つまり人口集中を何とかするために熊本に持っていくのか。経済力集中を何とかするために、福岡から何とか都市機能というものを取っていこうという考え方なのか。恐らくこれは福岡市が人口が過密である、あるいは経済力集中し過ぎているとするような考え方には、いまのところ日本全体の合意ができているわけではない。東京大阪やあるいは名古屋といったところが人口集中し過ぎているということについては異論がないと思いますけれども福岡やあるいは札幌広島のようなところが人口集中し過ぎている、あるいは経済力集中し過ぎているということは、だれもそんなことは、国全体としての合意というものはでき上がっているわけではない。こういう時期に、一部で報道されるような経済力集中し過ぎているからそれを何とかするんだという目的でもって財務局の位置を決めるということは、まことにこれは重大な誤りであるというふうに私は考える次第でございます。この点につきまして大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います。
  11. 名本公洲

    ○名本説明員 財務局を南北統合いたしましてどこに置くかということにつきまして判断をいたしますにつきましては、先生が御指摘になりましたような点だけをもって判断をすべきものでは当然ないわけでございまして、ただいま大臣からもお答えがございましたような行政需要でございますとか、地元の実情でございますとか、あるいは財務局設置の経緯でございますとか、そういうふうなもろもろの事情を総合的に判断をいたしまして慎重に検討いたした結果、私どもといたしましては熊本に本局を新たにつくるということにさせていただくという決定に至ったわけでございます。
  12. 太田誠一

    太田委員 いまの大蔵省答弁一つだけ私確認しておきますが、このブロック出先機関統合に際して、経済力集中し過ぎを是正するために南九州九州財務局を持ってきたんじゃないということ、それが主な理由ではないということが確認されたというふうに私は理解をいたします。  次に、本題になりますけれども、先ほどから中曽根長官お答えをいただきましたように、北九州南九州というものを比較した場合に、経済的なさまざまな機関あるいは行政機関というものの集中度が大変異なっているわけでありますけれども、たとえば大蔵省あるいは財務局監督対象になります都市銀行母店というものは、これはすべてが北九州集中をしております。南九州にはゼロでございます。北九州には十一の都市銀行母店があるのに対しまして、南九州はゼロである。あるいは国の出先機関大蔵省が常々ほかの官庁と接触を持たなければいけないという本来持っている性格からいたしまして、出先機関がどのくらい集中をしておるかということも、またこれは考えなければいけない。三十二の国の出先機関北部九州にあり、そして九つの出先機関南九州にあるというように、行政機関もまた北部集中をいたしております。そしてまた大蔵省財務局業務の中で証券取引所監督する、取引監督するという仕事があるわけでありますが、証券取引所福岡市にしかない、南部九州の方にはないというのが事実であります。そしてまた財務局の重要な業務であります国有財産管理ということがありますが、国有財産台帳価格で比較をいたしますと、実に九対一の比率で北九州に葉中をしているわけであります。このような行政需要の大半が財務局の主要な仕事に関連して北九州集中しているにもかかわらず、南九州の方に九州財務局を置いて、北九州の方は支局降格をするというような措置をとって、実際に国民に対して不便をかけない、あるいは行政サービス低下するということを恐れる声があるのに対してどういうふうに説明をされるのか、これを大蔵省にお伺いしたいと思います。
  13. 名本公洲

    ○名本説明員 お答えいたします。  行政機構簡素合理化に当たりましては、それを簡素合理化することによりまして、住民その他に対します行政サービス低下を招くようなことがあっては相ならないというふうに私どもも常々考えておるところでございます。  そこで、九州について見ますと、先生指摘のように、金融証券等につきましては、北九州にウエートが大変多くかかっているというのは事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、福岡福岡支局を置かしていただきまして、そういう金融証券関係事務をそこにおいてとり行いまして、そういう行政サービスにおいて遺憾のないようにさせていただくというようにこの法案におきまして計画をさしていただいておりまして、北九州財務局南九州財務局と一本化されました後におきましても、地元の方々には御迷惑をおかけいたしませんし、また必要な行政管理というものも十分行ってまいるような措置を行っておるところでございます。
  14. 太田誠一

    太田委員 いまの御答弁は大変私どもを安心させるものでございますけれども一つここで確認をさしていただきます。  いまの北九州財務局の具体的な一つ一つ業務、たくさん挙げるとありますけれども、その一つ一つ項目について迷惑をかけない、あるいは行政サービス低下をしないように手を打っていただけるというふうに理解をいたします。全体を統括する総務部のようなものは別といたしまして、そのほかのものはほぼ現状の機能どおりを維持するというふうにお答えいただいたものと理解をいたします。  これは一つ疑問点でありますが、実はこの財務局統廃合の問題が起こりましたときには、この財務支局降格をされた後に、五十九年の年度末までにこれが廃止されるというふうな一項は地元では全く知らなかったわけであります。途中から、閣議を通過した後に突然この項目が出てきたというふうに受け取っております。これがさらに地元経済界あるいは地域経済の不安をかき立てておりまして、五年後に、五十九年度末「までに廃止するものとする。」とされている点につきまして、その時点でさまざまな情勢を踏まえながら見直しをするということはできないのかどうかということを大蔵省にまずお伺いしたいわけであります。
  15. 名本公洲

    ○名本説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の前に、先ほど先生がおっしゃいましたが、財務支局になることによる行政サービス低下をカバーする面でございますけれども、この法案におきましても、証券金融につきましては財務支局長財務局長と同じ権限を与えることに改正案の中で措置をしてございまして、十分なサービスができるように確保するよう措置をいたしてございます。  それから、ただいま御質問のございました五十九年度末をもって「廃止するものとする。」というこの規定でございますが、これは五十九年度末、五年先になりますけれども、経過した後の措置につきましては、その時点における状況を踏まえまして、その業務を効率的かつ効果的に実施していき、また地域社会住民に対します行政サービスを適切に提供するためにはどういう体制が最も望ましいかということを慎重に検討いたした上で判断をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  16. 太田誠一

    太田委員 いまの同じ点につきまして、行政管理庁長官のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  17. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先生の五十九年度末についての御発言でございますけれども、現在の段階先生のおっしゃっているような見直しをしてどうするということを申し上げる段階ではないと思いますけれども行政サービス低下を来さないようにやっていく、あるいはやはり地元のいろいろな諸関係において、そのときにそういうものを十分に見きわめた上で慎重に検討していきたいというふうに考える次第でございます。
  18. 太田誠一

    太田委員 いまのお二人の答弁で、私はその時点でこの福岡財務支局を廃止するかどうかということについて検討をされる、見直しをされる機会が得られるというふうな希望を持たしていただきました。まことにありがとうございます。  それに加えまして、私ここで少し過分な期待を述べさせていただきたいと思いますが、南九州財務局が移転することによりまして、これは恐らくさまざまな面で予見せざる行政費用が新たにかかってくる。一部の機能というものは、一部の人員でありますとか一部の経費というものは節約されるかもしれないけれども、一方において熊本市のような九州全体から見ると大変に交通の中心地にない場所。たとえば飛行機は九州域内で熊本にどのくらい飛んでいるかといいますと、一週間に一便しか九州域内の飛行機は飛んでこないわけであります。一方それに対して、福岡の場合は九州域内で十九便が常に飛んでいる。あるいは経済界の企業の本社の数にいたしましても、資本金一億円以上の本社というのは三百八十五社が北九州集中しておりまして、南九州は二百三十五というふうに、もしそうであれば、さまざまな面で財務局の持っております検査、監督管理という機能を十分に果たすためにはたびたび出張しなければいけない、あるいは大きな時間的なロスをたびたび経験しなければいけないというふうな予見せざる行政費用が新たに生じてくるという可能性がきわめて大なわけであります。私は今後のそのような行政費用というものをはっきり掌握をしていただきまして、五年以内に、もしいまのこの法案をつくられたときに予見をせざるさまざまな障害あるいは行政改革趣旨に反したような事象が起こってきた場合には、これはちゅうちょすることなく、南九州ではなくて北九州の方に財務局を置こうではないかというふうなお考えが出てくることを心から期待するわけであります。  そしてまた、この財務局の位置を決めるに当たりまして、巷間伝えられるところではさまざまな政治的なあつれきがあったというふうに聞いております。もし今回の行政改革のように、さまざまな地域あるいはさまざまな官庁に血を流させる、これはどうしても切られたくないというものをどうしても切らせるというふうな犠牲を強いる場合に、たとえ一部にせよ、そのような政治的な圧力でもってどこかの地域が優遇されあるいはどこかの地域が冷遇をされたというふうな疑いを抱かれるようなことがあっては決してならないというふうに考えるわけであります。行政改革というのは、いまのわが国のさまざまな社会的な状況あるいは力関係というものから言いますと、みんなに納得をしてもらいながらやらなければいけないものであります。政府はわれわれに犠牲を強いたけれども、その中で公正な行政改革という筋はちゃんと貫いてきたと言われるように、ぜひともこれから勇気を持って臨んでいただきたいと思うわけであります。  行政管理庁の皆様方、そして大蔵省の皆様方の行政改革に臨む毅然たる態度、公正な態度というものを持っていただきますことを改めて強調をいたしまして、私の本日の質問を終わらしていただきます。  本当にありがとうございました。
  19. 江藤隆美

    江藤委員長 小渡三郎君。
  20. 小渡三郎

    ○小渡委員 ただいま議題になりました一法案、そして一承認案件に関連をいたしまして、きわめて簡単ではございますけれども、謹んで御質問を申し上げたいと思います。明快な御答弁期待いたしたいと存じます。  まず第一点でございますが、財政再建論とかあるいは行政改革論とか大変盛んでございます。しかし、いずれの場合におきましてもきわめてむずかしい問題でございまして、相当の決意をしなければ、決意だけではだめです、行動しなければ、実践しなければ問題の解決はできないわけでございますけれども、ただいまは同僚議員の最初の質問、いわゆる行政改革推進に対する長官の御決意につきましては、謹んで拝聴させていただきました。  そこで、今後の行政改革に関する基本的な考え方をまずお伺いいたしたいと存じます。
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の行政改革に関する基本的な考え方は、いわゆる機構いじりをやめて、むしろ減量経営に徹する方針で行こう。機構の問題はいま御審議願っておりますブロック法案とかあるいは公社公団の統合であるとか、まだやり残している仕事がかなりございまして、この法律を成立させるだけでも相当な精力を要する点がございます。今回はむしろ機構の問題よりも仕事減らしをやろう。仕事減らしの中心はどこにあるかと言えば、やはり仕事をつくっているのは法律、許認可等でございますから、法律、許認可の整理に力を注いで、まず仕事を減らしていく。それと同時に、自然減耗を促進して、そしてそれをできるだけ補充しない。それによって人員を浮かしていく。それにはやはり仕事がなくならなければ補充せざるを得ぬ、そういうところがございますから、仕事を減らしていくということが大事なことのように思いました。  それから第二は、行政の本質でございます奉仕ということを再確認し、再強調して公務員の諸君にサービスの徹底的改善をこの際やっていただこう。  そして第三番目は、八〇年代になりまして、さまざまな政治需要、行政需要も出てまいり、社会経済も大きな変化を遂げております。したがいまして、この新しい時代に即応するような日本行政体系の哲学なりあるいは具体的な施策というものをこの際真剣に策定しておく必要がある、そういうような考えに立ちまして、必要な機関設置して御審議を願う、こういう三つの方向を決めまして、これを実行しようと考えておる次第でございます。
  22. 小渡三郎

    ○小渡委員 その基本的な考え方に関連をいたしまして、これから三点ばかりお尋ねをしたいと存じます。  昭和三十九年の第一次臨時行政調査会の答申を初め政府や民間の機関から多くの提言がなされております。また昭和五十二年十二月には「行政改革の推進について」の閣議決定だとかあるいは昭和五十三年に公社及び現業経営形態及びその経営合理化についての公共企業体等基本問題会議からの意見書、五十四年に行政管理基本問題研究会の意見書などが提出をされております。これらの建議や答申が現実には十分に生かされてないといたしまして、五年も継続して行政監理委員の職にあられる日経連会長が、行政改革につきまして、結果から見ればみんなが本気にならなかったのではないか、高度成長時代にはその必要はなかっただろうけれども、これから後低成長時代に入るので、そういう時期には悠長なことは言っておられないのではないかということを警告といいますか、そういうことをお話ししております。それは私は報道で知ったわけでございますけれども、長官、第一次臨調答申の実施状況というのは一体どうなっているのでございましょうか。それとまた実施されてないもの、主な事項がおありかと思うのでございますが、それもお聞かせいただきたいのでございます。そういう第一次臨調の答申につきまして、未実施の分について今後どう措置されようとしておられるのであろうか。非常に単純な質問ではございますが、はっきりしておきたいな、こういうぐあいに思っておるわけでございます。  そして、基本的な考え方につきましても、いまお話を承りましたけれども、八〇年代に向けて行政改革の大きな柱に第二次臨調がうたわれております。設置の意義は具体的に何なのだろうか。なぜかと申しますと、この第二次臨調を行政改革を実行する上で引き延ばしのための隠れみのにするのではないかという意見もあるのでございます。私は必ずしもそうではないと思いますので、その辺いわゆる第二次臨調の設置の意義だとか、どのぐらい時間をかけるのか、こういうようなことはこの委員会において明確にお答えをいただきたい、このように思うわけでございます。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆる第一次臨調におきましては、約四十項目のいろいろな御提案がなされました。その中で全然手にさわらなかったというのは約九項目でございまして、三十一項目は全部やったかあるいは八分どおりやったか、あるいは四分どおりに終わったか、大なり小なり手をつけてやってきておるのであります。  その中でも大きな点を申し上げますと、第一次臨調の指摘した問題の中で、部局の整理統廃合の実施、たとえば一省一局の削減、このようなことはかなり大きな仕事であったと思います。  それから、定員管理体制の確立という点で総定員法をつくりました。これも非常に歴史的な大きな仕事であったように思います。これがあるために、この十三年間国家公務員の数は約九千人近く減っておるわけであります。地方公共団体が七十五万人ふえておると言われておりますが、やはり総定員法問題とも関係しておるのではないかと思います。  それから、総合開発庁の設置という提言に対して国土庁を設置したという点もございます。  消費者行政見直し、強化という点につきましては、経済企画庁国民生活局とか物価局、あるいは国民生活審議会、国民生活安定審議会、こういうものを設置したという実績がございます。  内閣の運営の改善という点については、官房長官を国務大臣に格上げした。  そのほか、審議会の整理統合、これは大体七十件やっておりますし、許認可の整理統合も約五千五百件に及ぶものを十数年間に手をつけております。  公団、公社等の特殊法人の統廃合も十八法人中十一法人について実施しておるところであります。  それから、貿易関係許認可事務簡素化という点が実は大きいのでございまして、外国為替関係の自由化を断行いたしまして、十月一日からすでに政令もつくっておるということで、これは非常に大きな仕事であると考えております。  やらなかったところはどこかといいますと、内閣府の設置とか内閣補佐官の設置、あるいは総合企画官庁としての総務庁を設置せよということはやらなかった。あるいは地方事務官制度の廃止、これはまだ行われていない。行政の公正確保の手続の改革、いわゆる行政手続法の実施、あるいは職階制の実施、これもまだ行われておりません。こういう点についてまだ行われていない点もございますが、総じて四十提案の中で九提案が未着手である、あとは大なり小なり手をつけてきた、こういうことでございます。  第一次臨調というのは、日本の膨張発展期の玄関口でつくられたものでございまして、大体そういう性格のものが多うございました。もちろん行政簡素化、能率化するという面で厳しい御提案もございましたが、時代の背景がそういうものであったわけであります。しかし、いま安定成長の時代に入りまして、減量ということやあるいは新しい、たとえばコンピューターの出現とか行政の公開あるいはプライバシーの保護、そういう新しい行政ニーズも出てまいりまして、新しい時代にふさわしいような行政の体系及び機能を策定する必要があるわけであります。官業と民業との分解点とか、いま銀行と郵便局がけんかしておりますが、それらも官業と民業の問題にも関係してくると思いますし、あるいは中央と地方の限界線とか、これも地方団体から熾烈な御要望もございます。そういういろいろな点につきまして、新しい時点に立ったしっかりとした考え方を策定していただいてお示し願いたい、こういう考えでいわゆる第二次臨調というものを考えてきておるわけであります。非常に急を要しますから、今国会に提案いたしまして御審議をお願いいたしたいと思いますし、来春にはこれを実際に出発させて調査活動、審議活動に移るようにいたしたいと思っており、二年でその仕事は終わらす。その過程におきましても総会を随時開いていただいて、できたものから実行していく、こういうようにスピードアップしてやっていきたいと考えておる次第でございます。
  24. 小渡三郎

    ○小渡委員 先ほどの基本的な考え方の中で、長官は行政サービス、いわゆる公務員の奉仕、これを行政改革の重点の一つとして取り上げていらっしゃるというお話を承ったのでありますが、具体的な例を一、二例挙げまして、行政改革、いわゆるサービス面でぜひ実行していただきたい点があるわけでございます。  例の一つといたしましては、沖繩県に現在海洋博跡に海洋博公園ができております。この海洋博公園はその管理を事業団がいたしております。沖繩におきましては、昨年度百八十万人もの観光客が訪問しております。そして沖繩経済一つの大きな柱になっているわけでございますが、実はこの事業団のいわゆる行政サービスにおいてきわめて不都合なことがあるわけでございます。それは月曜日は皆休みでございます。だれ一人おらないわけでございまして、公園内で見学をする、あるいは見物をすることは全くできないわけでございます。こんな実情がございまして、これはサービス精神にもとるのではないか。こんな行政サービスはないのじゃないかという声が非常に強うございます。どちらかといいますと、海洋博公園を管理する事業団でございますから、当然一日でも休んではいけないと私は思います。交代して休めばいいことでございまして、公園そのものはいつでもオープンにしておく。そうしないと、観光客は月曜日に観光する場合には皆はじき飛ばされてしまう、こういう実態があるわけでございます。  またもう一点は、これも行政サービスといえばサービスだと思いますが、沖繩県において国の工事が発注される場合の入札でございます。全部ではございませんけれども、大型の工事入札になりますと、沖繩から本土に来て、本土で各省庁で入札をしなければならない、このようになっているわけです。指名されるのがやっとでございまして、指名されて後入札をするのに本土まで出かけてまいりまして、東京まで来て入札をするというようなことがあって、これも確実に落札するという前提があるならば何でもありません。しかし、落札するかどうかはわからないわけであります。往復だけでも六万五千円かかるわけでございます。こういう行政サービスが実際あっていいものだろうか、このようなことを感ずるわけでございます。徹底的に行政サービス面、いわゆる奉仕の精神に徹するということでメスを入れていただいて問題を解決していただきたい。長官の御決意のほどをひとつ承りたいと存じます。
  25. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の事項でございますが、いま各省と協議会を開いておりまして、具体的にどういう事項をやるかということの詰めもやっておりますので、その際に関係の省に連絡もいたしますし、現地でも取り上げてみたいというふうに考えております。
  26. 小渡三郎

    ○小渡委員 最初に申し上げましたように、簡単ではございますけれども、本当に最初でございますから謹んでお伺いをいたしておるわけでございますから、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。  最後の質問になります。  特殊法人の統廃合でございますけれども、「行政改革の推進について」という昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定によりまして、その中身を見ますと、特殊法人沖繩電力株式会社がその対象になっております。特殊法人沖繩電力株式会社は、復帰前の電力公社とそれから五つの配電会社を統合いたしまして復帰後発足した特殊法人でございますけれども、民営移行のための諸条件を整備するのだということでございます。そして去年の十二月には、この特殊法人沖繩電力は来年度いっぱいで、五十六年度末までに民営移行するのだということが閣議決定されました。しかし、この沖繩電力は経営状況がきわめて悪うございます。毎年十八億の赤字を出しているわけでございます。そして現在累積赤字が百四十六億に達しております。これは五十四年度末でございます。今年いっぱいでは二百億を超えるのではないかと言われているわけでございます。この特殊法人沖繩電力株式会社は資本金が百四十七億でございますけれども、累積赤字百四十六億でございます。  こういう実態でございますが、これを来年度末までに民営移行するということになりますと、いまでさえ年二回にわたって電力料金が値上げをされているという実情にございます。沖繩の生産基盤はもとより県民の生活を恐ろしく脅かしている実態があります。けさの報道によりますと、この秋口から購買力が非常に落ちているということが報ぜられております。これも電力料金の一九%の値上げが大きく影響しているものと言わなければならないわけでございます。将来、沖繩の電力会社、いわゆる電力問題を解決する上に当たりまして、全国で一番安い電気料金にしてほしい、そういう要求はいたしませんけれども、全国の平均程度の電気料金というのはあってしかるべきだと思うのです。人口百万しかいない沖繩で、離島も有人離島を含めまして三十ばかりあります。そこへ電力を供給するわけでございます。大変な経費がかかりまして、完全に原価計算の立場でいくならば、原価主義をとるならば、全国一高い電気料金になるのは当然でございます。  私は、この件につきましては、本日総務長官にもおいでをいただいて、実はただしたいという気持ちは持っておったのでございますけれども行政管理庁長官に、この特殊法人を統廃合するという趣旨はよくわかるのでございますけれども、さきに閣議決定された沖繩電力株式会社の特殊法人としての取り扱いについては慎重に対処していただきたい、このことを一応具申申し上げると同時に、ある時期まで私はこの問題についての質問を留保したいと思います。そして沖繩問題特別委員会においてさらに通産大臣やあるいは総務長官等においでをいただきましていろいろただしてまいりたい、このように考えるわけでございます。長官の行政改革、特殊法人の取り扱いについて、いますぐ沖繩の電力株式会社をどうせいということは一切申し上げていないのでございますけれども、実情のほどを申し上げまして御賢察をいただきたい、このように思うわけでございます。
  27. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 小渡委員の御発言につきましては、十分留意してまいりたいと思います。  沖繩につきましては、特別措置法もございまして、社会経済の変化に対しましては十分われわれとしても注意しなければならぬ立場にございます。特に経済生活に激変を与えるということは十分われわれは慎重にやらなければならぬ点でございまして、段階的にならしていくという方向が適切な方向ではないかと考えております。先般の電力料金の値上げの際にも、たしか一九%という切り込みをやりましたのもその一環でありますけれども、ただいまのような御発言につきましては、今後とも十分留意してまいりたいと思う所存でございます。
  28. 小渡三郎

    ○小渡委員 最後に、長官、行革というのは大変むずかしい、しかも批判の大きい問題であることは私どもよく承知をいたしております。しかし、どうしてもやらなければならない問題ではございますので、手っ取り早くしやすいものから勇断をふるっていただきましてぜひ実行していただきたいことを御期待申し上げまして、質問を終わります。(「行政サービスの問題で、月曜休むのは……」と呼ぶ者あり)調査されると言われましたので……。  では、先ほどの質問でございますが、海博公園の管理事業団のことでございますが、あれは月曜日の問題ではございますけれども、一週間ぶっ続け交代で県民に奉仕する、あるいは国民に奉仕するという姿勢をとっていただきますように、強い姿勢で改革に臨んでいただきたいことを希望いたしまして終わります。
  29. 江藤隆美

    江藤委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ————◇—————     午後零時五十六分開議
  30. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  31. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 早くから総理大臣候補のお一人であり、閣僚の重要ポストや党の役員をこなしてこられた中曽根さんが行政管理庁長官になられたことについて、国民が大きな期待を寄せていることは事実だと思います。私どももこれは否定しません。しかし同時に、公務員労働者は、実力大臣が出てきてばっさばっさと首切りや配転や労働条件の切り下げをやられたらたまったものじゃないぞという感じで警戒心を持って見詰めていることも私は事実だろうと思うのです。率直に申し上げて、私ども社会党も行政改革に対する具体的な方針を示してまいりまして、それが決して十分なものだとは思いません。これからも研さんをして、より国民期待にこたえていく、そういう方向を決めなければならぬと思っておりますが、その立場から、中曽根さんが行政管理庁長官におなりになって、今日まで行革行脚などを含めさまざまなお仕事をなさってこられたわけですが、行政管理庁のお仕事に対する率直な所感とでもいいましょうか、最初に承っておきたいと思います。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は労働者の味方だと思っております。労働者は国民の中でも非常に大きなパリティを占めておる働く大事な方々でございまして、日本経済をここまで持ち上げてきた底力の一つ、また日本が外国に比べて肩を並べ、あるいは引き離すことに至った大きな原因の一つ日本の労働者の実力と自覚にあると確信しておりまして、これらの労働者の皆さんが生きがいを感じて働き得るようにすることが政治の大事な要諦の一つであると、本当にそういうふうに確信しておりまして、そういう面に向かっても努力してまいりたいと思っておる次第でございます。  行政改革につきましては、本会議及びこの委員会におきましても先ほど申し上げましたが、幾つかの面がございまして、一つは、戦後三十年間の行政の実績を踏まえまして、この三十年たった過去を振り返り、将来を展望して、国民の皆様方の御要望に沿うものにどういうふうにして仕立て上げていくか、そういうポイントがございます。  もう一つは、行政というものは、ある一面においては日本の国家統治の一翼を担っているその機構並びに人員でございます。国家統治の中には防衛もありますし、外交もありますし、教育もございますし、社会福祉もございます。そういうような国としての機能を果たしていく上にとって非常に大事なスケルトンと申しますか、体で言えば脊髄やあるいは神経やあるいは血管の部分をなしておる要素も非常に大きいと思っております。したがって、そういう部面からの行政というものもまた忘れてはなりません。断面的に見ると、奉仕とかサービスという面が出てまいりますけれども機能的に見ますと、やはり国家統治という憲法に決められた仕事をしていく上の大事な要素である。この両面をいかにうまく調和させながら合理的にかつ国民の負担を少なくして、しかも国民の活力を最大限に出すやり方がいずくにありや、そういう観点からこれは点検すべきものである、そう考えましていろいろ策定してきたところなのでございます。
  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最近の財政再建論議の中で、ある種の行革万能論とでもいいましょうか、つまり財政再建をするために支出を減らさなければならぬ、その意味では行革をやれば片づくんだ、一種の打ち出の小づち論と言ってもいいのでしょうか、そういう風潮が一部にある感じが私はするのです。率直に言って、たとえば行革で日本の財政支出を減らせるその限度というのは、それほど大きな、つまり万能論と言われているほど大きなものではないだろう、こんな感じが私としてはしているわけです。もちろんやるべきことはやらなければなりませんけれども、そういう立場というか、そういう考え方について、行管庁長官におなりになって、他の省庁でもきちんと仕事をなさってこられたわけですが、そういう経験も含めてどのようにお感じになっていらっしゃいますか。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、行革がすべてであるとは思いませんし、万能であるとも思いません。ただ、政治的に見まして、また政治は国民感情の上に成り立っておるものでございますから、国民の要望や国民の願望というものを考えまして、現時点に立って見ますと、日本の高度経済成長期に膨張、肥大化した行政機構について国民が非常に不満をお持ちの点も十分ございますし、また財政再建という急務を前にして、国民の皆さんはもうその前にすでに石油危機を乗り切るについてはみんな減量経営に徹して、汗を流して生き残ってきたわけでございますから、今度は政府が困ってきたというときには、国民と同じような汗を流さなければ御政道の筋は通らない、そういう面もまたございます。現時点に立って見るその国民と政治との関係という面、国民の願望がいずくにありや、それを実現するのが政治であるという面を見ますと、行政改革の意義は非常に重大である、そう考えております。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初に労働者の立場に立っての物の言い方をして、その後で全体に入っていこうと思うのです。  これは参議院の予算委員会でも御答弁いただいているようですが、昭和四十四年の総定員法の際の附帯決議というのがございますね。これを尊重されることは当然だと私は思うのですが、ちょっと新聞で見たのですが、長官、新自由クラブと御懇談なすったときに、何か総定員法の附帯決議なんというのは取っ払ってくれみたいことをおっしゃったということを私は伺ったのですが、そういう事実はございませんね。それから同時に、附帯決議についていまどのようにお考えになっていらっしゃるか、その辺もお尋ねしておきたいと思います。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新自由クラブの柿澤さんとは、長い間の友人でございまして、新自由クラブの柿澤さんという立場と友人という立場で、非常に隔意なき懇談をいたしました。柿澤さんは非常に政策マンで豊富な政策をお持ちでございました。その雑談をしているうちに、この附帯決議の問題も実際は出ました。それで、国民の皆さん方のいろいろな御要望あるいは行政監理委員のいろいろなお考え考えてみると、あの附帯決議というものに対していろいろな考え方が実は出ておったわけであります。そういう考え方があるということをお伝えして、それでいわばつぶやきみたいなことでお伝えしたというのが真相でございます。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは附帯決議に対する長官のお立場といいましょうか、決意はやはり伺っておかなければならぬと思いますので、念のために伺っておきたい。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまの第一次臨調が討議されましたときに、佐藤総理大臣は附帯決議の趣旨に沿った御答弁をしております。また、附帯決議も参議院内閣委員会において成立しているところでございまして、あの決議は尊重さるべきである、そういうふうに考えております。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 意地の悪い質問なんですが、取っ払うように長官の方からあっちこっちに働きかけられたのではたまったものではございませんので、念のためにいまおっしゃったお気持ちというものを、そういうことはなさらぬと思いますけれども、念を入れて、ここのところは予算委員会でもはっきりした答弁をなさっていらっしゃるようですから、繰り返して御答弁をいただきたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 附帯決議は尊重いたします。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官は、去る九月に「今後の行政改革に関する基本的な考え方」を発表されました。この点について若干伺っておきたいと思うのですが、その中で、行政改革というのは「いわゆる機構いじりや器べらしを重点とするものではない。」機構の整理や人員整理の前に、まず行政サービスの改革、親切とか清潔とか能率とかいうことを挙げまして、それを重要な眼目とするというふうに述べられております。私はそれなりに新鮮な感じを受けたことを率直に申し上げておきたいと思うのですが、公務員が全体の奉仕者としての自覚に立って仕事をしてもらうということは当然のことでありますけれども、それが過去に郵政や国鉄や何かで経験したように、いわゆるマル生運動とでも言いましょうか、そういうものと混同されたりあるいは誤解をされて、労働強化だけを押しつけるという面がなかったわけではございません。そういう点で労使間に不当労働行為や無用なと言っていいトラブルが起こった経験があるわけでございますので、この点を含めて行政サービス改革の方針について御意見を承っておきたいと思います。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来、行政改革というと機構いじりが行政改革の大部分であるように言われておったと考えています。確かに機構をいじることも大事な要素ではあると思っております。しかし、そればかりが行政改革ではないのではないか。行政の本質という面を考えてみた場合に、奉仕とかサービスという考え国民の側から見ればなってきておるわけであります。また、為政者の方から見ますと、国家の統治行為の一端を担うという要素も出てまいります。その統治行為をやるについて国民本位に立脚してやる。憲法にありますように、その権限というものは国民から発している、その便益、ベネフィットは国民が受ける、そういうふうに書いてあるわけでございますから、国民がすべての基準点にあることは間違いないことでございます。しかし、機能論から見ると、国家統治という一つの独特の機能はあるわけであります。そういうすべての面から見てこれを考えないといかぬと思うのです。そういう統治論の面から見ますと、私は日本の公務員あるいは公務員機構というものは外国に比べて決して遜色はない。むしろ日本の公務員は優秀である。大体、政治が非常に混乱をしても日本経済がこれだけ発展し治安が保たれているのは、日本の公務員制度あるいは行政機構というものが優秀であり、公務員が優秀である、これはフランスと並んで世界に誇るべき要素を持っていると思うのであります。だが、しかし今度は国民の側から見ますと、高度経済成長の時期にいろいろ公社、公団が生まれたり、あるいは行政機構が膨大化いたしまして、目に余るものすら出てきた。これは鉄建公団やそのほかで厳しく糾弾されたところでございます。そういう面で行き過ぎが出てきた場合には、これを是正するということは当然でございまして、日本の長所を生かしながら、行き過ぎた点や間違った点は是正する、それは常に営々として努力していくべきものである、そう思いまして、五十五年行革は五十五年行革なりのねらいをつけ、五十六年行革は五十六年行革なりのねらいをつけ、将来も必要に応ずる需要、国民の願望を見ながらねらいをつけて進めていく、そういう性格ではないかと思います。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま、日本の公務員というのは国際的に見ても非常に能力の高い公務員だということも、私も率直に認めます。  公務員の人数の国際比較、これは局長の御答弁をいただければいいのですが、私、行管庁から「国家公務員の定員管理の経過と現状」と言われる文書を拝見いたしまして、日本は就業人口で見ますと千人当たり九十一・九、イギリスは二百十五・四、フランスは百五十、それからアメリカが百六十八・九、西ドイツが百七十九・一。これは国防を除いて、こういうふうにいろいろ例示されておられるのですけれども、多いか少ないかという国際的な比較の問題について、行管庁としていろいろ話をしてきたと思うので、それに対する見解をちょっと承っておきたいと思います。
  44. 佐倉尚

    佐倉政府委員 公務員数の各国比較でございますけれども、いま先生お挙げになった数字でございます。大体そのとおりでございます。いまの数字からもわかりますように、私どもは、諸外国、いまお話の出ましたイギリス、フランス、アメリカ、西ドイツといったような先進国に比べましても、わが国の公務員数は決して多いとは言えないというふうに考えております。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 多いとは言えないのじゃなくて、やはり少ないのですよ、これは。物の言い方でいろいろ角が立ちますから、言葉の使い方を気をつけてほしいと思います。いま私が指摘した例示によれば、そういうことだということだけははっきり押さえておきたいと思います。  次に、長官に引き続いてお伺いします。  さっきの考え方に関連をいたしますが、「民間の減量経営の努力に呼応して、行政自らもまた、その減量化を図っていかなければならない。」とございまして、たとえば、許認可とか補助金を通じて必要以上に保護助成を行っている分野にメスを入れる、とあります。これも後でまたもう一遍その部分については御質問をいたしますが、率直に申し上げて、高度成長を通して築かれた企業と行政との癒着の関係、これはさっき長官もちょっとお言葉を触れられたわけですが、あるいは行政の企業に対する過剰な保護あるいは介入、こういうものが諸制度、諸措置の上にあらわれているわけですから、私はそれを洗い直すということが非常に重要ではないだろうかというふうに思うのです。その意味では、たとえば補助金や許認可はもちろん、これは後から触れますが、それだけじゃなしに、たとえば財政投融資のあり方あるいは信用保証、あるいは税制で言えば優遇税制、あるいは設備や操業のいわゆる調整といいましょうか、あるいは輸入原材料の割り当てなど、いろいろな行政手段を通しまして行政指導というか許認可というかは別として、全般的な見直しというものをやらないと本当の意味の行政改革にはならないのじゃないだろうか、この面から行政の守備範囲を明確にする必要があるというふうに私は思うのです。その点について長官はどんなお考えを持っていらっしゃるか。許認可問題や補助金問題はまた後ほどお伺いしますけれども、その点で御答弁をいただきたい。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かに御指摘のように、行政の守備範囲を再点検する時期に来ておると思っております。高度経済成長が行われました一つの背景には、いわゆる行政指導あるいは補助、誘導政策というものがございまして、優遇税制等も行われたわけでございます。しかし、日本の体質全般を見ますと、私は、いわゆる発展途上国からいま先進工業国まで来たので、この過程を見ると、やはり一種の混合経済的性格がある、そう見ておるのです。したがって、フリードマンさんが言うようなああいう自由主義、まあ古典的自由主義と申しますか、ああいうもので一刀のもとに断ち切るというわけにはいかぬ性格がある、そう思っておるのです。ただ、もう要らなくなった部面があるわけです、高度経済成長の時期は過ぎてしまったわけでございますから。そのときにいろいろ機能し、役割りを果たしたことで、もうすでに要らなくなったこともずいぶんある。こういうものは早くお葬式を出した方がいいし、それから民間の経済活力あるいは民間の活動力をもっと旺盛にするためには、これがいまあるけれども、むしろ取り除いた方がもっと活発に動けるというものもあるわけであります。そういう点をこの際検討し直して、そして間引くものは間引く、整理するものは整理する。その一番根源は法律でございますから、したがって、法令の整理をやろう、そこへねらいをつけたわけでございます。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま長官からも言われましたけれども、たとえば低生産部門といいましょうか、あるいは衰退産業とでもいいましょうか、いろいろな種類があるのですが、それに対する保護、振興のあり方についても、私は、原則的にやはり見直してみる必要があるのじゃないか、こういう感じがするのです。この施策というのは、生産者や業者の利益保護のためにいままではやむを得ない面があったかもしれません。しかし、経済的な意味ですでにもう合理的な範囲を超えているという面も実はなきにしもあらずだと私は思います。  そういう点に立って見ますと、本来の政策効果と、この場合は消費者の利益といいましょうか、そういうバランスというものを十分考慮して、いわゆる政治的な理由からする過剰な保護やあるいは助成措置というものは、やはり反省をしなければならぬじゃないだろうか。これらの点についても検討を加えていく必要がある、私はこんなふうに思いますが、これは言うまでもないことですが、ぜひ長官の御答弁を煩わしたいと思います。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感でございます。その点も大いに見直して洗ってみる必要があると思います。  ただ、それをやるにつきましては、その善後措置、アフターケア、波及する影響、そういうものも考えて、できるだけ摩擦を少なくしながら実益を上げていく、そういうやり方でよく説得しながら進むということが大事だろうと思います。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最近、いろいろなものを読みますと、行政責任限界論というようなものが言われておりまして、特に福祉の面で、たとえばサービスの切り下げであるとか切り捨てであるとかあるいは料金の値上げだとか受益者負担とか、そういうことが随所に奨励されるような傾向が出ています。問題だと思うのは、こうした考え方が、財政危機ということをいわば理由にして、無原則に主張されているということを私は少し警戒をする気持ちなんであります。私はかねてから、福祉に対する国民行政需要というものを国や自治体が十分に把握し得ているんだろうか、私は、把握し得ていない、こういう考え方を持っている、それを主張している一人なんですけれども政府としてその福祉に対する需要をやはり一遍客観的に把握する、見きわめてみる、それをもとにしていわゆる行政サービスの必要最少限の水準——これはいろいろな言葉で言われています、たとえばシビルミニマムとかナショナルミニマムとか。そのことをやはり明らかにする時期ではないだろうか。その点については特にシビルミニマム、ナショナルミニマムと言われるものについての長官のお考え方、私はそれを国として設定をすべき状況というものはいまあるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 シビルミニマム的発想というのは憲法にある程度明記してあります。したがって、その精神はわれわれは十分くみ上げてやらなければならぬと思いますけれども、そのシビルミニマムのラインがどこに引かれるかということは、そのときの財政需要、財政状況あるいは国民の意思あるいは平衡感覚あるいは将来の子孫に対する配慮あるいは国民精神の健全性、そういういろいろな面から考えられるのでございまして、形式的にこの線でというような硬直したものはできないと思います。常にこれはいまのような諸元の上に流動しながら線が移動していく、そういうふうに考えております。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 にもかかわらず、国民がいま求めている課題というものに対して、憲法の保障している「健康で文化的な最低限度の生活を營む權利」というものとバランスを持ってそういうものを示していくということが、福祉に対する過剰な期待というか、そういうものに対してもこたえると同時に、切実な要求に対してこたえていく道ではないか。という意味では、私はシビルミニマムを積み上げてナショナルのレベルにというふうに考えたいわけですけれども、やはりめどというものは必要ではないだろうか。それが未来永劫に変わるものではないと考えることはいけないけれども、それはローリングシステムでいろいろ考えればいいのです。これは長官の再度の答弁を煩わしませんが、私の意見だけ申し上げておきたいと思います。  それから、組織や機構の問題なのですけれども、まあ不要化したものは行政組織の上で当然整理しなければいかぬ、あるいは二重行政と言われるものは整理しなければならぬ、こんなことははっきりしていると思うのです。それがまだ十分行われていない。それから地方分権を促すためにも、地方自治体を統制監督することなどを主な目的として位置づけられている国の出先機関整理するということも当然だろうと思う。これに関連して、たとえば機関委任事務とか国、地方間の行政事務あるいは財政配分の見直しというようなものを考えていると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは非常に行政学的にも大問題のところで、まだきわめ尽くされていない問題ではないかと思います。行政管理庁におきましても、学者を動員いたしましてその辺の検討をしていただいておりますが、まあ戦争前の体制では国の出先機関というものはほとんどなかったわけです。なぜなれば、官治行政で知事は中央政府が任命するという形でありましたから、公選制度というものは地方では特にございませんでした。そういうことで出先機関の必要はなかった。ところが、新憲法になって地方公共団体の長を公選する。そして「地方自治の本旨に基いて、」と憲法に書かれまして、地方分権制というものが厳然として確立された。そういう面から、あるいは中央官庁が国の仕事をやるについて地方自治体との間で距離が出てきましたから、それで地方支分部局を置くというふうになって、それが三十年前後にぐっと激増して出てきた。これはある意味においては日本の高度経済成長に伴ってそういう事務が非常にふえてきたということも考えられます。また一面においては、地方自治体に対する不安感というものもあったのではないか。うっかり任したら全国的統一が阻害されるという心配もあったのではないかと思います。そういう面で、今日の時点まで来て、地方支分部局が非常に大きく雨後のタケノコのごとくにできまして、どっちかと言えば、各省が競ってつくるような印象すら持つに至った。これはやはり整理すべき性格を持ってきておる。そのかわり中央と地方の仕事機能的分配という原則を確立して、しっかりとした体系のもとにやらないといかぬ。思いつきで一省一局削減みたいに機械的にやることは余り上策ではない。その土地土地、あるいは行政仕事内容等を見ながら親切にやるのが行政の本旨だろう、そう思います。また、そういう趣旨に沿って、中央、地方は合理的なものには服従してもらわないといけない。自分たちの我だけを通すとそういう整理もできないということでございますから、その理に服するという形で合理的な整理が進められてしかるべきである、そう思います。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも長官のお言葉にしては、地方は服従してもらわなければいかぬ、ここが問題なのです。さっき「地方自治の本旨」という言葉が出たわけですから、これはいわば法律の精神から見ても対等の関係なんですから、これはできるだけ御理解をいただかなければならぬという行政の姿勢と同時に御努力がないと、おい、やれというようなことではどうにもなりませんので、その点は揚げ足をとる議論ではありませんが、ぜひひとつお言葉遣いを含めて御配慮をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 「地方自治の本旨に基いて、」と私が申しましたように、地方分権という言葉は厳然と存在し、また私もそれに従っておるつもりでございます。  私が申し上げましたのは、最後に申し上げましたように、理に服する、筋道に服する、そういう合理主義に服するという意味で申し上げておるのであります。何も中央政府に服するという意味ではありません。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま地方分権の問題に長官もお触れになりましたが、長官がいま就任をされてすぐ責任をとれ、こう言われてもなかなか大変なことでしょうけれども、しかしやってもらわなければならぬのは、昭和二十二年の地方自治法施行以降、社会保険関係一万五千人、職安関係五千人、運輸関係三千人の職員が地方事務官として三十年にわたって放置されてきております。この問題については、これまで四十九年五月に地方行政委員会で地方事務官を地方公務員にする決議がされています。にもかかわらず、それは今日も実現されていない。同時に昨年の十二月二十八日の閣議で、五十五年の六月を目途に結論を出す。今年の六月はもう過ぎてしまっている。閣議決定は行われていないという状況がございます。運輸省関係の地方事務官を国家公務員にするという法案を、前回廃案になったものですから、今度の国会でまた出しているわけですが、これは地方行政委員会の決議にも背いているわけであります。しかも四十三年に厚生、労働、運輸三省の同時決着ということを三省間で約束したにもかかわらず、それにも反している。運輸省だけが先行するということは、他の地方事務官でもこれは国家公務員にするのかなというふうに言わざるを得ないし、私どもこういうことは賛成できません。従来の約東どおりに、三省同時解決と地方公務員化、これは政府の約束ですから早急に実現すべきだと思うけれども、現状は御理解のとおりです。私は、そういうことを言ってはおかしいのですが、こういう約束が守れないで行革というようなことを言われたのでは、そうして地方分権というようなことを言われたのでは、たまったものではないという感じなのです。歴史的な経過は長官恐らく御存じだろうと思いますので、どうなさるおつもりか、その具体的なプログラムと約束の履行について明解な答弁をひとつ煩わしたいと思います。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この問題がまだ解決しないことはまことに申しわけない次第であると思います。実際問題といたしまして、厚生省関係の方は年金関係が府県庁に入っておる。ところが労働省の職安関係の第一線機関は国家公務員であって、県庁にある分は地方公務員という形になっておる。それから運輸省関係は、車検、登録は今度は国家公務員にしよう、これは全国的統一、機械化という点がありましてそういうことになったが、それ以外の陸運関係のものはいま地方公務員の情勢でおる。こういうふうに省によっても錯雑した情勢であって、これは正しい姿であるとは私は思いません。歴代内閣もそういう観点に基づいてこれを解決するように努力してきたのでございますが、各省各省にはやはり言い分があって、そしてその間の調整がなかなかできなかったのでございます。これは政府の怠慢であると言われればまさに御指摘のとおり、われわれも遺憾の意を表さざるを得ません。しかし、できるだけ早い機会にこの問題を解決しなければならぬと思いまして、それで努力して続けてまいりたいと思います。ただ、その間におきましても、人事の交流であるとかあるいは仕事の円滑化であるとかいう点につきましては大いに推進してやっていかなければならない、そう思っております。  なお、府県単位の支分部局の処理につきましては、行政監理委員会において鋭意いま最後の詰めの作業をやっておりまして、近い将来に答申をいただけることになっております。その答申を拝見いたしまして処置をしてまいりたいと思っております。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この問題は三省協議という形ですからそれぞれの省庁ということになりますが、やはりある程度行管庁長官がリーダーシップをとってもらわぬことには車は動きませんよ。ですから、やはりどの辺をめどにして努力をするぐらいのことは言っていただきたいというのが私の率直な気持ちなんですが、その点はいかがですか。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 なるべく早い機会に各省の意見をまとめまして、そして調整して解決していきたい、そう思っておりまして、何月何日とか何カ月後というふうに具体的な数字はちょっとお約束できかねる状態でございます。
  59. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 できるだけ早い機会にというのは言葉として私は信頼をしたいと思うのですが、当分の間で今日まで来ていますから、言葉遣いだけの問題でやりとりをしようとは思いませんが、できるだけ早く問題の解決のために行管庁長官がリーダーシップをとっていただくことを改めて私はお願いをしておきたいと思います。  私も不勉強なんですが、それなりに行政改革という問題点を少し勉強してみますと、単なる減量経営とか公務員一般の削減や倫理観の問題に行政改革というものを矮小化してはいけない、こういう気持ちを最近持つに至っているのです。先ほど若干触れましたけれども行政改革というのは日本の国の基本的な政策形成システム、言い方によれば国民の税金をどう使うかという公的資源の配分の問題、それをどう民主化していくかということを前提に置かないとどうもまずいのじゃないかという感じがいたします。まあ長官にそんなことを申し上げるのは大変失礼なんだけれども、そういうことを言う理由は、たとえば予算の編成、これは実務的には大蔵省の主計局がやります。だけれども、高度成長の時代だけではないんですが、とりわけその時期に、長官もおっしゃっていらしたが、業界や利益団体の圧力そして予算の分捕り合戦がある。これは自民党だけとは言いませんけれども、すぐれて政府・与党の議員がこれに介在、介入をする。そして各省庁の官僚も、特殊法人というようなものをどんどんふやしていったと同じように、そのことに見られるように、これを利用して予算の拡大あるいは権益というか権限というかそういうものを広げていこうという努力がずっと続いてきた。大変言葉が悪くて恐縮ですが、その三角同盟みたいなもの、それを通じて業界や利益団体は実益を得る、そして議員は得票と政治資金を得る、官僚はなわ張りと権益を拡大する、こういう関係がずっと積み重なってきた。そこがどん詰まりここへ来ているという感じを私はどうも持たざるを得ないのであります。であるから、行政改革というものはそういう根本的な構造にメスを入れない限り本物にはなり得ない、そのように私は実は思います。  しかも、最近見られる傾向として、それが実は政治の腐敗や汚職の原因というか温床というかそういうものにどうもなっているような感じがしてならないのです。言葉を変えて言いますと、特定の利害というものを、民主的に政策形成過程を通らないで、そういう手続というかルートを通らないで、政界と財界と官界の癒着を通じて既得権益として定着してきてしまっている、そしてまたそれが維持されている、これはやはり改善をしなければならぬ、こういうふうに思うのです。  これは総論になってしまって大変どうもおかしいのですが、私も党内でそういうことをこれからも言っていくつもりなんですが、第一には、それをチェックするには、民主的な政策決定機関としては国会があるのだから、国会の権威というものを予算編成の全般に、まあ予算局というような具体的なことを申し上げるつもりはありませんが、やはり考えていかなければいけない。  それから二番目は、やはり地域にかかわりのある政策や予算の決定に当たっては、地方自治体と言われるものの参加を通して利害を国政に反映させるというシステム。これはシステムの問題ですが、参加ということに道を開かなければいかぬじゃないか。  三番目は、国の政策形成に消費者や一般の納税者の意見をどうやって反映させるか。これは単に諮問委員会とか審議会の民主化ということにとどまらないで、いろいろな参加のシステムというものを強化拡充することが必要じゃないだろうか。  四番目は、これと関連をするわけですが、行政による意思決定の根拠と過程というものを国民の前に明らかにするための情報公開法、これらもやはりワンセットではないだろうか。  五番目は、行政における政策の執行や財務あるいは公的資産の管理、あるいは特殊法人の経理、経営を消費者や一般納税者の代表が管理監督というかチェックする機構の確立、たとえばオンブズマンですが、そういうものが必要だと思うのですけれども、これはまだ実はわが党の方針でもきちっとなっていないのに私が感じていることを申し上げているわけですけれども、どうしてもそういう総論というかそういう大きなシステムで考えていかないと、本当の意味の行革というのは中途半端に終わってしまうのじゃないだろうか。さっき言ったように、矮小化した形だけが行革なんだというふうにとられるおそれがあるという点で、これは長官、生意気なことを申し上げましたが、ぜひそういう問題点を御理解をいただきたいということと、それからやはりこれらをこれからの行革を進めるに当たって大きな前提として組み入れてほしいということと、それに対する長官の御見解を承りたいと思います。
  60. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 岩垂委員のいまの病理学的構造分析と申しますか、それについては傾聴いたしました。われわれが行政改革をやりあるいは八〇年代以降の行政機構問題を考えるに当たりましては、いま御指摘のような諸点は深く検討さるべき諸点であると考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 中曽根行革はどうも地方自治体に焦点が合っているのではないだろうかというような憶測というか心配というものがあることはお耳に達していらっしゃると思うのです。そして「地方公共団体における定員の抑制等に関する改革を断行する。」という文章が突然という感じなんですが、ぼつっと入ってくる。これに対して全国の知事会など地方六団体から要望が出されていることは御理解のとおりです。知事会の見解は、地方公務員の定員というのは昭和四十九年から五十四年の五年間で二百八十五万七千人から三百十一万八千人と二十六万一千人、つまり九・一%ふえている。これは認める。しかし、これらは地方公務員の半分近くを占める教育や警察や消防の職員の増加である。さらに一般行政部門の中でも、福祉や現業部門の定員増は避けられない現状だ。そして福祉部門を除いた一般行政職員だけを見てみると、五年間にわずか〇・二%しかふえていないし、都道府県に限定をすれば逆に七千人、二・九%減少しているというふうに指摘しています。この点を十分理解されておられると思うのですが、おられるかどうか。そして地方自治体にしわ寄せをなさるつもりはよもやないと思いますが、この点を念のために、地方団体の心配を含めて私は長官の見解を承っておきたいと思います。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の行革の中に、地方の関係というものも非常に重視しておることは事実でございまして、私も重視したいと思っておるのです。ただ、先ほど申し上げましたように、「地方自治の本旨に基いて、」、条例制定によって地方は自律的に行うという点がございますから、その点については十分慎重に注意してやらなければならぬと思っております。したがって、政府の閣議における発言等々も自治省を通じて地方公共団体に強く要請する、そういう姿勢をとっておるので、こういう姿勢で自治省を通じて御協力を願うようにしたいと思っております。そういう趣旨もよく私、お伝えいたしまして、地方の知事さんの代表の東京の知事さん、それから市長さんの代表の岡山市の市長さん、町村関係の代表の茨城県の町長さんにお会いいたしましてよく御趣旨説明申し上げましたら、御理解をいただいて、そして協力しようというお話を承って非常に喜んでおる次第でございます。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ことしの春だと思うのですが、通常国会の予算分科会でわが党の山口鶴男議員が法令の整理に取り組むべきだという問題点を提起しております。それは今日かたかなの法律だとか旧憲法の時代の法律であるとか、すでに実効性のない法律がたくさんあるじゃないか、これは現在の憲法体系のもとではいかがかと思われる法律も含めてたくさん残っている、この改廃というのは国会がまずやらなければいけないのじゃないだろうか、こういうふうに主張をしているわけです。それに関連して、行政管理庁はこの点で検討なさってこられたということを私、承っていますが、その法令の見直し整理について、管理庁はどんな御見解を持っておられるか。たとえば法律が幾つあって実効喪失法律というのはどのくらいあるか、どんな結論を導かれたか、それらを受けて私は国会議論しなければならぬと思いますけれども、お教えをいただきたいと思います。
  64. 佐倉尚

    佐倉政府委員 法令整理の件に関しまして、まず現行法令の数でございますけれども法律が千四百九十、政令が千六百八、勅令が百三十六、そのほか実効性喪失法律と言われているものが約三百二十件ございます。それで現存するものは三千五百件、約の数字でございますけれども、大体そういうふうにわれわれは把握しております。  それで、その実効性喪失法令等もありますことですし、こういうものも含めまして、それから行政改革の基盤をなす法令の整理ということが、やはり仕事減らしにもつながるということで、法令の整理もやっていかなくちゃいかぬということで、いま各省と折衝中でございまして、各省からそういう自分のところの法律を洗い直していただきまして、いま申し上げましたような整理になじむようなものがあれば、それを出してくれということで鋭意折衝中でございます。近くこれをまとめまして、それからわれわれの考えも含めまして、再度各省と折衝してまとめ上げていきたいというふうに考えております。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実効性のない法律が三百二十件もあるのですね。これはやはりいまおっしゃったような取り組みを国会にも働きかけながら対応していきたいものだと思いますね。  それから、これは長官に聞くのもどうかと思うのですが、北海道旧土人保護法という法律があるのを長官聞いたことありますか。——私も実はこれを聞いてびっくりしたのですよ。明治三十二年三月二日に制定をされているのですが、実は昭和四十三年六月十日に法律改正があった。あったのですが、現実にこの法律は生きているのです。私はこんな差別の名称が堂々とまかり通っているという実態を、法律を見てびっくりしました。こういうのは、それは法律で書いてある項目について言えば、これは現在も生きているという感じがするのですが、しかし、どう考えたって北海道旧土人保護法、これはいかがなものかと思いますので、長官、これは少し御見解をいただきたいと思うのです。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま拝見いたしましたら、明治三十二年にできて、大正八年に改正されております。なるほど読んでみますと、ちょっと時代的に適当でない、名称からしてそうでありますが。しかし、つくった意味を見ますと、北海道のそういう農業に従事する者に対して一戸につき一万五千坪以内を無償交付する、そういうような法律で、一種の保護助成法のように思いますが、現在から見ると、それはちょっと適当な表現でないところが多々あると思います。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 適当な表現でないことが多々あるということだけでなしに、行管庁のお仕事かどうかわかりませんけれども、実効性の失われた法律に対する見直しをせっかくやっておるときなんですから、こういうのはきちんとしようじゃないか。ぜひ行管庁から勧告をいただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のように、検討してみたいと思います。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきの考え方に沿ってまた御質問をいたしますが、官業と民業の役割り分担の再検討ということが言われております。官業の民業への移行ということを考えているようですけれども、官業には官業なりの公共性の確保というものが意味を持っている場合が決して少なくはないと私は思うのです。いたずらに、たとえば専売制の廃止だとか公社現業の民営化ということよりも、まず事業の目的が効果的に達成されているかどうか、そういうことをはっきり吟味するところから取りかかるべきではないだろうか。またそういうことが重要である。その意味から専売公社を含めて今後の方針を、率直な長官の見解で結構ですが、承っておきたいと思うのです。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 官業には官業の役割りがあり、民業には民業の役割りがあったと思います。しかし、時代の進展に応じ、内外の情勢の変化に即応して見直すべきものは見直すべきであると思っております。八幡製鉄所は官営製鉄所で、農商務省に属しておって国家の仕事としてやっておりましたが、あれが民営になって、現在のように日本の鉄鋼業をこれだけすばらしいものにした。これは民間に移したからあれだけの大きなものに発展し得た、世界をリードする力に成長したと思います。こういう先例もありまして、どの専売あるいはどの事業が適当であるかどうかは将来検討すべき問題であると思いますが、一般論的に申し上げますと、官業と民業の限界点というものをここで見直すべきときに来た、そう思います。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 見直しがその事業が行われている目的と関連してどうなっておるかということをきちんと前提にして御検討を煩わしたい、こんなふうに思うのです。  それから、許認可について、これも「考え方」の中にあるのですが、許認可等新設抑制は今後どのように進めていかれるつもりか。また現行の許認可などの総点検を行って、二年間に一割を目途として逐次整理すると言っておりますが、それの具体的な方針をこの際承っておきたいと思うのです。
  72. 佐倉尚

    佐倉政府委員 許認可事項の整理につきましては、いままでもかなりいろいろ努力してきたところでございますけれども、この際、行革の一環として、さらに許認可の整理についてやっていきたいというふうに考えております。  これからどうするかということでございますけれども、これも法令の整理と同じく各省庁と折衝して許認可数を減らす、要らないようなものを各省から出していただきまして、それをまとめてやっていくということにしております。これは現在までも過去八回ほど国会に一括整理法案でお願いした経緯がございますけれども、そういうやり方でやっていきたいというふうに考えております。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 多少スケジュールなどということは考えていますか。たとえばこの次の国会とかなんとか。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま申し上げましたとおりでございますが、大体許認可事務が約一万件あると推定しています。二年間にこの一割、つまり一千件を整理統合しようあるいは廃止しよう、こういう目途で各省と折衝したいと思っております。それで大体こっちの方で、これは要らぬじゃないかという勉強を片一方ではやっております。片一方ではまた、民間団体に対しましてもう要らないと思う許認可のアンケートをとろうと思っておるのです。民間が一番よく知っておるわけでございますから、念のために民間団体からアンケートもとる。それと同時に、各省庁とも緊密な連絡で協議いたしまして、許認可が要らぬものはこの際整理していく。いろいろな機会を通じて整理に努力していく。来年はどれぐらいやるか、再来年はどれぐらいやるか見当をつけて、そして努力目標を決めてやってまいりたい、そう思っておる次第でございます。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私が伺ったのは、二年間に一千件というものですから、二年間に一千件たまるまでやらないというのではなしに、束ねたところで最寄りの国会、たとえばこの次の国会はどうするかという形でぜひお進めいただきたい。そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのように御理解願って結構です。  なお、これからふえるのを防がなければいけない。特に地方公共団体から、中央からいろいろ押しつけられた仕事が多い、福祉関係において保育所をつくれば主事を置けとか、それが地方増員のもとにもなっているという強い御不満がございます。われわれが地方に対して定員の抑制をお願いする以上は、中央においても自粛措置を講じなければ筋が立たない。そういうことで、特に地方に負担増を強いるような場合、あるいはそうでない場合も含むつもりですが、許認可がふえるような場合にはこれをチェックする機関をつくろう、そういうことで各省と話し合いを始めたいと思っております。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 地方の時代という言葉があるわけですが、国の法律で地方公共団体に各種の審議会などの設置を義務づける、いわゆる必置制というのですか、そういうものがあります。必置制をとっている特別地方機関というのがあるわけですが、これは行管庁からどんな種類があってどんなふうになっているかということを資料を伺ってみますとたくさんあるんですね。そして、これは地方自治体に任せることが地方自治の見地から見て重要ではないかと思うものがたくさんあるわけです。そういう点で、これからこれを廃止していくというか、あるいは検討をどうしていくかという整理の方向について伺っておきたいと思います。
  78. 中庄二

    ○中政府委員 御指摘のように、特別地方機関は全部で百八十一ほどございます。これらの中身を私どもで検討いたしまして、廃止したらいいのではないか、あるいは規制の緩和をしたらどうかという事項が七十七事項ございました。これは各省庁へ通知してございます。今月の末までに大体回答が参ります。法令の整理とあわせましてできるだけ改善を進めてまいりたいと考えております。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官、公社や公庫や特殊会社など特殊法人の余剰金の国庫納入の問題が話題になっています。これはすぐれて大蔵省の問題にもなろうと思うのですけれども、国務大臣として中曽根長官がどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思うのです。  と申しますのは、私どもは、全電通の組合の諸君とも話をしてみますと、それは問題だ、反対だというふうな気持ちも非常に強いわけでございまして、それはそれとして、その立場は明らかにしておきますが、長官の御見解を賜っておきたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小企業が石油危機を切り抜けたときには非常な苦労をなすって、株を売り、土地を売りあるいは銀行へ行って手形の決済期限を延ばしてもらい、ある場合には肩たたきや首切りまでやって、そうして一家を挙げて夜なべをやってこの石油危機を乗り切ったわけです。政府の方はいよいよ金が足りないという場合になって何をすべきかといえば、やはり中小企業がやったと同じ苦労をやらなければ御政道の筋は立たない、私はそう感じたのでございます。したがいまして、こういう財政非常時期に入った以上は、政府はまずあらゆる努力を行うべきである。その一環として、特殊法人につきましても、ある場合には日本銀行のように納付金を出しているのもあれば、専売制度で納付金を出しているのもあれば出さぬのもあります。出さぬのでも相当利益金を上げているのがあります。しかし、その利益金が事業の拡張資金に用いられているのもあります。さまざまな態様があるわけです。しかし、こういう時局ですから、仮に全部出さないにしても、でき得る限りこの際出していただいて国債を減らすお金にすべきだ、これが御政道の筋である、大蔵省国有財産を売りなさい、中小企業は土地を売り株を売って危機を切り抜けたじゃないか、そういうように政治の姿勢を正すことがまず第一である、そう思いまして、その件に着手している次第なのでございます。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官がお考えになっている事業主体といいましょうか、主なものを挙げるとどんなことになりますか。幾つぐらいになりますか。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは堀内政務次官が、あの人は会社経営をやっておりまして非常に財務に詳しい、したがって、損益計算書や貸借対照表を読めば即座に内容を看破できる力をお持ちでございますから、八月中一応洗ってもらいました。それで正式に各公社、公団等に対しまして財務諸表の提出を願いまして、それは到着いたしました。そこでいま非常に厳密に精査しておる最中でございます。どこを対象にするということが表に出ると大騒ぎになりますから、これは秘中の秘として外へは出さぬようにして、結論が出たときにお願いをする、そういう形になると思います。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 件数ぐらいはいいでしょう、アンケートも出したわけですから。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 件数を言うと大体見当がついてしまいますから、これも遠慮さしていただきたいと思います。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アイエヌジーの問題ですから、それ以上は言いません。  府県単位機関整理合理化の問題が近く行政監理委員会で意見がまとまるというふうに聞いているのですが、これがどんなことになっているかということを——まあ委員会があるわけですから、何もかもお話しいただくわけにいかぬと思いますが、どんなふうになっているかということと、当然関係の地元や職員組合などからの陳情もあるだろうと私は思うので、これらの諸君の実情に対しても十分耳を傾けて改革案づくりをやってほしいということを申し上げておきたいと思うのですが、その御報告できる——たとえばいつごろどんな問題を中心にしてというようなことがもうまとまっていると思いますから、御答弁いただきたいと思います。
  86. 佐倉尚

    佐倉政府委員 都道府県単位の国の出先機関の問題でございますけれども、昨年末の閣議決定に基づきまして、行政監理委員会において現在審議を進めているところでございます。これはことしの初めから何回も審議を重ねてきたところでございますけれども、現在成案がまとまりつつあります。今月中ぐらいには御意見が提出されるのではないかというふうに思われます。  一般的に申し上げますと、先生からいまお話のあったいろいろ地元の事情、御指摘の職員組合の御意見、要望なども十分留意して進めるべき問題だとわれわれも考えております。監理委員会において地方公共団体の代表者、あるいは関係省庁その他からの意見聴取、現地調査も実施することによって、各種の意見の把握に努めながら現在まで審議が進められてきたということでございます。御意見が提示されましたならば、それによって政府としても成案を検討し、なるべく早くということに留意しながら、都道府県単位の整理合理化を進めていくというふうに考えております。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 特殊法人の整理統合の問題は、この前の内閣では十八法人の減という方針が出されていますが、いままでに国会法案が出されているのは余り多くないような感じがするのです。それで五十六年度の案件になるのじゃないだろうかという感じもするわけですが、特殊法人の整理状況をどんなふうにお進めになっていらっしゃるか、ちょっとこれを御答弁いただきたいと思います。
  88. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先生いまお話しのとおり、五十五年行革で十八法人の整理ということで現在法案等を国会にお願いしている最中のものが多いわけでございます。これを実現していくことが当面の最重要な課題であるというふうに私ども考えております。それで、その各法人が時代の要請に適合したものであるかどうかということは、今後とも各方面の議論をよく承りながら常に検討していきたいというふうには考えておりますけれども、現在のところ先ほど申し上げました十八法人の整理合理化ということを最重要課題として考えております。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 余り時間がありませんから次に移ります。  第二臨調の関係についてちょっと伺っておきたいと思うのです。八〇年代行政について展望を見ると、高齢化社会だとか高学歴化社会の到来だとか、あるいは資源エネルギーの問題、とりわけその制約、あるいは国民の価値観の多様化等問題が多い。第二臨調をそういう観点からつくって、八〇年代行政のあり方を検討するということを言われているわけですが、その点での基本認識、私がさっきいろいろなことを申し上げたことを含めて、もしおつくりになるとすればお考えをいただきたいと思うのです。第二臨調のねらいを最初に承って、それからちょっと中身に立ち入って御質問をしたいと思います。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 端的に申し上げますと、この激しい大きな変化に対応できる日本政府及びその行政機能のあり方、最終的に日本政府というのはどういう姿に落ちついたらいいのか。中央と地方の関係とか、官業と民業の関係とか、行政機能のあり方とかあるいは情報公開の問題とか、そういう新しい問題も出てきているわけでございまして、最終的にどういう姿に日本政府というものはおさめたらいいのか、あるいは行政機能はどうあるべきか、そういうビジョンを持って具体的施策を策定していただく、こういう考えでおります。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は実は、太田さんが委員におなりになった第一臨調のときに少しお手伝いをさせていただいたことがあるのです。第一臨調との関係でちょっと伺いたいと思うのですけれども国民各界から公正に選考するということ、それから国会承認を得るということが手続として重要ではないかということなどはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感でございます。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 規模とかなんとかということについていろいろ新聞記事が出ておりまして、統一見解をひとつお述べいただきたいと思うのです。七人だとか九人だとかそういう問題点が出ていますけれども、その点は煮詰まっているのかどうか、あるいはどんなことを、何人ぐらいが適当とお考えになっていらっしゃるか、長官の御判断をまず聞きたい。第一臨調は御存じのとおりに委員が七名、専門委員が二十一名、それからその下に調査員が七十名ぐらいで、そのもとに事務局で四十名というスタッフだったと思います。大体第一臨調と同じような組織あるいは運営というふうにわれわれは考えてよろしいかどうか。この辺で長官の統一見解を承っておきたい。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 委員を何人にするかというようなことは、いま検討中でございまして、最終的にどういう結論を下すかということを党とも相談する段階にいま大体来ております。したがいまして、まだ差し控えさせていただきたいと思います。  それから、機構等については大体第一次臨調に沿ってやりたいと思いますが、こういう時局ですからできるだけ簡素にやりたい。ただ、第一次臨調の場合は三年有余かかりましたが、今度は二年でやる。その間でも総会を開いて結論の出たものはどしどし出していただく、こういう考えで、非常にスピードアップする考えですから、そのスピードアップできるような体制にまたしなければいけない。それから問題が非常に広範になってまいりまして、第一次臨調のときには予想しなかったようなコンピューター化、情報問題あるいはオンブズマン制度、そういうような具体的な検討の事項等も出てきております。そういう意味におきまして、機動性と迅速性に沿うような形もまた考えなければならない、そう思います。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 党の方と相談をしなければならぬことは事実ですが、長官の腹づもりの中に七人とか九人とかという数がございまして、これは当然労働代表は入れることになるだろうと思うのですが、その辺のところを、なぞ解きになっている感じがございますけれども、もう少し胸のうちを明かしてほしいものだ。私も長官御存じのとおりに、総評に長いこといましたから、そんな経験を含めて対応の仕方を承っておきたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 岩垂さんのことですからできるだけ早く申し上げたいという熱情には非常に駆られておるのでございますが、何しろデリケートな問題でございまして、まだ完全に煮詰まっておらない、今明日中ぐらいに結論を出すという状況でございますので、しばらく御容赦をお願いいたしたいと思います。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 労働代表というものを入れるか入れないかということは、この臨調が持っている意味について、私がさっき申し上げた国民各層というのは何も労働だけ言っているわけではないのですが、やはり広範なジャンルから出す、その中では当然労働組合にかかわりのある問題も多いわけだから、そういう点は配慮するつもりだと、ここは長官、御答弁いただきたいと私は思いますが……。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民各層の意見が正確に反映されるようにバランスをとって委員を選出していただくようにしたいと思っております。もちろんその中には労働関係の御意見、見識をお持ちの方も出てくることは至当であると思っております。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、けさの新聞に、堀内さんが総理のところへ行って設置法要綱の中間報告をした、首相はこれを基本的に了承した、十七日に党行財政調査会、二十一日に政調会、総務会に諮って了承を得る。それによれば、第二臨調というのは「各省庁など関係行政機関に対する調査権や資料の提出や事情の説明を求める権限を盛り込む」、二番目は「首相の答申尊重義務規程を明示する」、三番目に「付則で設置期間を二年間とし、調査会の結論を二年以内にまとめる——などの内容が固まっている。臨調の委員数については第一次臨調並みの七人にするか、新たにわくを広げ九人にするか検討中だったが、幅広い委員構成、審議のスピード化から九人となることが固まった。」こう書いてあるわけです。長官が信頼をする政務次官が総理に報告をしたこのいきさつが記事に出ているわけですから、当たらずとも遠からずだ、このように理解してよろしゅうございますか。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新聞の記事に私は責任を持つわけにはまいりません。しかし、最終的にいよいよ煮詰めているという段階であるということは申し上げることができると思います。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 第一臨調のときに佐藤会長、三井銀行会長でしたか、大変りっぱな方だというふうに私も当時感じておりましたけれども、できるだけ公平にという配慮をなさったように思うのです。ここで会長の人事のことを申し上げることはおかしいのですが、財界代表というような形の会長がいいのか、そうではなくてもっと公正中立な、本当に世論を代表するような立場の人がふさわしいのかという点について言えば、後者の方がなじみやすいという感じを私は持つわけです。これは長官にその点での御配慮を願いたいということを申し上げますが、いかがでしょうか。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財界代表とか文化界代表とか労働界代表とかそういうものにとらわれないで一番適任者を選びたい、そういうことが正しいと思います。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 軽くいなされた感じですが、それは私は第一臨調のときに佐藤さんという人柄があったものですから、それなりに感じたことで申し上げたわけです。  次に、プライバシーの保護に関連をいたしまして、例のOECDの理事会の勧告がありました。この点について伺ってみたいと思うのですが、この勧告によれば、プライバシー権というのは個人が自分に関する情報をコントロールできる権利というふうに規定しています。長官、この権利は御理解、御承認いただけますか。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 定義としては一応正しいと思います。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それに関連して、保護の基本原則というものをガイドラインとして原則的に八項目挙げておりますが、これも文句はないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 プライバシー問題に関連してやはり検討すべきアイテムである、そう考えます。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最近新聞などで取り上げられていますけれども、大学生の名簿を企業に売ったりしている。実は私の知っている子供たちなんですけれども、複数なんですが、女の子から突然電話がかかってくるんですね。どこどこの喫茶店で会いましょうというような話をする。どういう話ですかとよく聞いてみると、どうも何かいろいろなものを売り込む。そういうように、高校生や大学生を対象にして電話で物を販売するというようなことがある。しかし、考えてみると、女の子は、どこどこの学校に行っていらっしゃいますね、何年生ですねというところから始まるわけですね。つまり、これはやはり大学の名簿が販売をされているという事実だと私は思うのです。就職に関連しての青田刈りなどの問題も社会問題になっているという状況も実はございますね。  それから、この前の国会で、行管の設置法のときだったのですが、情報化産業の問題について私はいろいろやりとりをしたことがございました。コンピューターと通信技術の進歩によって国際的な通信網がつくられ、情報の国際化時代を迎えているということは、私がいま申し上げるまでもない。そのときに、プライバシー保護法のない国での個人データの処理というのは、どうも個人に対する権利を侵害するということにならざるを得ない、そういうことが言われている。これはもう御理解のとおりだと私は思うのです。やはり早急に対策を講ずべきだと思うのですが、その点で伺いたいのは、行管庁は年内に世論調査を行うというふうに言っておられますね。それはプライバシー保護法の立法化を目指すものというふうに理解してよろしゅうございますか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 プライバシー保護の問題は非常に重要な問題になってくるだろうと思います。こういうふうにコンピューターが普遍化してまいりますと、これが不用意に漏れたら大変な結果を生み出します。お互いでも後援会名簿が漏れたら大変ですからね。これはもう選挙の一大脅威になるわけですから。これ一つ考えてもいかに大事であるかということはわかります。ですからOECDで、これは一国だけでやったってだめだ、外国に流れたらもっと大変になる。ですから、ヨーロッパ勢はこれを国境でせきとめる、そういう発想ですし、アメリカの方はコンピューターを売りたいものだから国境を取っ払ってどんどん流通させよう、そういう点で対立しておる。日本の立場はどっちかと言えばOECDに近い立場ではないか、そう思います。その上に今度は国内的にきめの細かい措置をやっていかなければならぬ。そこでいま各省で検討させております。各省の検討の成果を踏まえまして、将来立法をすべきかすべからざるかということを考慮してまいりたいと思いますが、各省の検討の結果にもよりますが、恐らく立法の方向にいくのが至当ではないかというふうにいくのではないかと私は予想しております。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国会政府、これは勧告のことをすりかえて、プライバシー保護法をサボるということにもなりかねない。いま長官がおっしゃったように、そういう両面もありますので、それはそれとして、やはり立法化を急ぐべきだという観点で、これは長官にぜひリーダーシップをとっていただきたい、このことをお願いしますが、いかがですか。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 承知いたしました。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今度のブロック整理法案に関連をいたしてお尋ねをしますが、ブロック機関整理というのは、行政簡素化とか効率化とかいうことに資するためだというふうに言っているのですが、同時に、やはり住民行政サービスという点も配慮しなければなりません。その点で一般論で恐縮ですが、今度の国会でそれらの点はどんな形で配慮しているのかということを、これは事務当局で結構ですから、ぜび御答弁を願いたい。
  112. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ブロック機関等の整理編成につきまして、五十五年行革において、各機関設置数あるいは管轄区域、事務内容それから内部組織等について個別に再検討した上、一定基準による整理を含めて整理編成に関する成案を得るものとする、こういうふうに決められております。  それで、ただいまのお話でございますけれども、各主務省庁でいろいろと各方面の御意見を徴し、あるいは議論を尽くして、現在の十省庁三十五機関についての整理編成に関する成案を得たというふうに考えているわけでございます。  具体的に申しますけれども、これは必ずしも一局一律ではございませんで、郵政省の地方貯金局あるいは入国管理事務所等については、郵便の場合にはオンライン化の問題に伴ってあるいは入国管理事務所については業務の量と内容に応じた組織体制の再編成というような観点も含めております。以上のとおりに、各方面の意見を徴しまして、このブロック機関整理を行おうとしているということでございます。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきも自民党の先生の御質問にあったように、どうも必ずしもそうなっていない。それは実態は私が申すまでもないと思うのですが、その点では慎重の上にも今後慎重な配慮をすべきだということを申し添えておきたいと思うのです。  今回のブロック機関整理というのは、原則的に各省庁一つずつ。さっき長官おっしゃられましたけれども、どうも私も一律削減方式というのはいかがなものだろうかという感じがするのです。というのは、各省庁に責任を持たせるわけでしょう。そんなことを言うと怒られるかもしれませんが、リーダーシップがないからそうなってしまったのかもしらぬけれども、押しつける。押しつけると、結局各省庁は、私は弱い者いじめとは言わぬけれども、各省段階で全部スケープゴートをどうするかという議論になって、そしてどちらかと言えば必要性とは別に、抵抗の弱いとでもいいましょうか、そういうところからどうも片づけられていっている。私はひがみじゃないと思うのです。たとえばこどもの国法案なんというのがぽこっと出てきてみたり、こんなことはやはり問題だろうと思うのでありまして、その点で今度の問題で十分な個別的な検討は行管庁としては行えなかったと私は言わざるを得ないのです。私のその見解について、まさか行えなかったなんて答えるわけにはいかぬと思うが、やはり問題点はある、私はこう思いますので、その点についての御見解をただしておきたいと思うのです。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 岩垂委員のおっしゃることは、まさに一面をついていらっしゃると私も考えます。ただ、各省の抵抗が強うございまして、行管庁なかなか非力でございまして、内閣全体としてもそういうことで一、二、三でやるのが一番早く迅速にいくという形でそういう形になったのですけれども、この姿が理想的な姿であるとは思いません。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ブロック機関整理と申しましても、さっき沖繩の小渡さんがおっしゃっておられたように、もともと行政というのは国民のためにある。だからサービスの著しい低下を招くのではどうにもならぬ。その点で、たとえば海運局とか入管とか鉱山保安監督部、各機関とも国民に対してあるいは住民に対して一番接点の仕事をしていらっしゃる。各それらの問題については同僚の議員がやってくれることになっていますから、私は細かくは触れませんけれども行政水準や行政サービスの著しい低下を招くことがあるとすれば重大な問題点だと思います。したがって私は、その点で十分な配慮が行われていない、そのことも申し上げておかねばなりませんが、その点について行管庁としてはどんな判断に立っておられるか、これは事務当局でも結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  116. 佐倉尚

    佐倉政府委員 整理されました後に、どういうふうにサービス低下を招かないような措置をとっていくかということでございますが、現在事後措置について、それぞれ鋭意検討を進めているわけでございますけれども、現地で処理しなくてはならないような事務については、必要に応じて支局等の現地的な処理機関を設けるということをお願いしているわけでございます。それに権限を委任するようなことも順次考えていく、それで国民に無用の負担を課すことがないようにしたいというふうに考えております。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 考えております、なくなった、考えたけれどもできなかった、こういうことになるのです、これは。なるおそれがある。そういう面についてのアフターケアも、経過措置があるとすれば、その中で十分対応するという努力はやはり必要だろうと思うのです。  実は、二、三日前からそれぞれ現地の労働組合の代表が、深刻に住民の世論を含めて私のところへもやってきてくれております。聞けば聞くほど、一体これでやっていけるのかなという感じがするのです。だから、反対をするのは理由があることだし、それなりに自分たちの身分だけでなしに、地域住民との接点における問題意識を持って上京されておられるということは、これはもう皆さんもおわかりいただけると思うので、この点についての一種のアフターケアというのを、いま申し上げるのも変ですけれども、それらに対する配慮というものは十分やるべきだ。いまもう一遍、それらの点についてきちんと対応できることを、この法案審議する過程でも御検討いただきたい。このことを私は申し上げておきたいと思うのです。  これは選挙区のこともやらなければ怒られちゃうから言いますけれども、選挙区じゃないのですが、地元なんですが、貯金局の問題で郵政省おられますか。  横浜貯金局が地方貯金事務センターになりますね。これは格下げというふうに言っていいかどうかわかりませんけれども、人員配置や機構などを含めて一体どうなるのか、地元に対するサービスというものはどうなるのかということを郵政省と、その後法務省横浜入管事務所、大変どうも長い時間待たせて、それだけ聞くのは気が引けるのですが、御答弁をいただきたいと思うのです。
  118. 野田玄武

    ○野田説明員 横浜地方貯金局が事務センターになることになりまして、そのために国民サービス上の変化はまずないと思っております。一般論で申し上げますと、オンラインが進行いたしますので、元加利子の即時払いあるいは送金決済事務の迅速化または新種サービス等の提供と、むしろサービスの向上が見込まれているものと考えております。  それから、労働組合関係になりますけれども、労働条件がらみでございますが、これも事務センターとなることによって、職員の勤務時間、俸給等、労働条件につきましては全く変化はございません。なお、オンライン化の進展に伴いまして、所要の減員は行ってまいります。しかしながら、この減員に際しましては、ルールに基づきまして関係労働組合と十分話し合いをいたしまして、円滑に実施していきたいと思っております。  以上でございます。
  119. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 お答えいたします。  横浜の場合、やはり現在の入国管理事務所が残念ながら格下げという形になるわけでございますが、これは内部組織的な面の変化が主でございまして、行政サービスと申しますか、在留資格の更新とかそういう対外サービス面につきましては、現在のやり方、それから人員というものを大体そのまま残しまして、行政サービス低下しないようにできたらというふうに考えているわけでございます。  それから、入管の場合は、全国的に大きな機構の改正をやるものでございますから、組合関係からも、どういうことを考えているのか、どうなっているのかという心配、これは当然だと思いますが、そういうことがありまして、私どものところにもいろいろ質問を受けているわけでございますが、その辺のところは現状を説明いたしまして、不必要に心配されなくて済むようにというふうに心がけているつもりでございますが、ただいまの横浜の場合も、これは結局人の問題だと思うのでございますが、現在の人数、特に窓口関係の人数を減らすということになりますと、行政サービス低下とか、そうでなければ夜遅くまで無理をして、そのふえた仕事をこなすということになり得ると思いますので、そういう人員面の手当て、現在の水準を維持して確保するように、これは私どもだけではできないことでございますので、関係方面の御理解と御協力を得まして、そういうふうに労働条件の低下を来すことのないように、職員が不安を持つことのないように努力したいと考えております。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 お二方にお願いをしますが、やはり労働組合との関係というのは非常に大事なことだと思います。それで同時に、非常に不安を持っていることも事実です。ですから、それらの点について十分な交渉なりあるいは話し合いなり、そのことを重ねていただいて、そういう不安をなくするように御配慮願いたい。  同時に、それは単に——いま二つの省にお願いをしたわけですが、横浜というふうに特定してお願いをしました。それだけでなしに、やはり全国のそういう対象になるところについてぜひそういう態度というものを、これは実は前回のこの委員会でも私は当時の行管庁長官ともお約束をしたこともあるわけでございますので、御配慮願いたい。この点はよろしゅうございますね。
  121. 野田玄武

    ○野田説明員 いたずらに職員に不安感を与えないように、これからも従来同様、関係労働組合とも十分話し合いいたしまして、意見交換をしていきたいと思っております。
  122. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 御指摘のとおりでございまして、今後ともそういうふうに努力したいと考えております。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この法案で拝見をすると、行管庁、大蔵省及び厚生省の各支局についてはサンセット条項を盛り込むということになっているのですが、これはどういうわけですか。また、これ以外の機関についてサンセット条項を盛り込まなかったのはどういう理由か、御答弁をいただきたいと思います。
  124. 佐倉尚

    佐倉政府委員 今般のブロック機関整理の再編成に伴いまして、国民に対する行政サービス低下するおそれがあるものや、その円滑な行政運営に支障を来すもの等については、必要に応じてその事務を現地的に処理する機関をかえて設置するということをお願いしているわけでございます。これらの機関につきましては、もちろん行政簡素化趣旨に沿って、その内部組織あるいはその定員等についても極力簡素にして効率的な体制をとるべきだというふうに考えられるわけでございますが、この方針において行政管理庁四国行政監察支局、それから大蔵省福岡財務支局及び厚生省四国地方医務支局についてお願いしているわけでございます。この三つにつきましては、「昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとする。」という条項を盛り込んだものでございます。  その他の機関でございますけれども、これになぜサンセット条項がないのかというお話でございますが、恒常的な行政組織体制として、出張所等も含めて整理、再編成することにしたものが、法務省とか郵政省の関係がそのようなものだと考えているわけでございます。また、その許認可事務等もかなり多くてあるいは保安監督関係の国民一般の便宜あるいは行政運営等の面から当面現地機関の存続を必要とするだろう、近い将来においても廃止することは非常に困難だというふうに考えられるものが、通商産業省運輸省の関係であろうというふうに考えております。それで、これらにつきましては現段階においてサンセット条項の適用対象から外しまして、これを盛り込まなかったというのがわれわれの考え方でございます。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 十月一日にやった例の役所の公文書閲覧窓口オープンというのですか、あれは所管はどこですか。行管庁もかかわっていますね。それについてかかわっているとすれば、やってみてこれで十分かどうか、こういう御判断にはならぬと私は思います。やはりそれは国民に対する役所の情報公開という観点から見ると、まあアメリカというふうに言うつもりはございませんが、余りにもおざなりではないかという感じがするわけです。たとえば資料の種類といいましょうか、文書を窓口任せということになるとばらばらになる、だから、早く政府の公開の統一基準をつくってほしいなどという役所の関係者の意見もあるようですが、この窓口オープンについて、情報公開の足がちらっと見えた程度なんですけれども、これについてどんな御判断と評価で、これからどうなさっていくおつもりか御答弁をいただきたいと思うのです。
  126. 林伸樹

    ○林政府委員 実はこの問題は、私ども行政管理庁も一省庁として総理府から文書をいただいておりますけれども、これから具体的なことを検討いたしますので、ちょっとまだ具体的なことを申し上げる段階にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは総理府でしたね、ごめんなさい。行管が全体に絡んでいると思ったものですから伺ったのですが、行管も足の指だけ半分見せてというような話ではなしに、もうちょっとやはりそういう取り組みについて積極的な姿勢をお願いしたいものだと思います。  長官、新しい構想の中で行政サービスの向上を約束すると同時に、行政簡素化効率化のための行政改革の推進ということを明らかにされました。これらはいずれも公務員に奉仕と献身を求めるものであることは言うまでもありません。にもかかわらず、他方で人事院勧告の完全実施をなかなか閣議で決定しようとしないのです。いつになるかわからないのです。その上に定年制や退手法案、つまり退職金のカットというようなものが押しつけられようとしている。公務員に能率とサービスの向上を求めるならば、人事院勧告という雇用者である政府が果たさなければならない最低限の義務というものだけはやはりやってもらわないと困る。私はそう思うので、これは内閣を代表してとは——代表していただいてもいいですが、そうもいかぬでしょうから、行管庁長官として、給与改善についておくれている状態を一体どんなふうにお考えになりますか、その点を御答弁いただきたいと思います。
  128. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この問題につきましては、主管大臣がおりますので、越境して発言することは慎みたいと思いますが、なるべく適正な判断が早く示されるようにすることが適当であろうと思います。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは、中曽根行革の方向、考え方をお示しになった、その最も具体的なかかわりというのは公務員にかかわるわけです。だから、それを言う以上は、その前に彼らに対する義務はやはり果たしてもらわぬことには、おまえら協力しろというようなことを言ったって、その前提が果たされていなければ、これはどうにもならぬと私は思うのです。ですから、願わくば、越境した答弁を求めようとは思いませんが、閣議の中で、長官がいま行革に対するお考えを述べられている、お進めになろうとなさっているその前提として、人事院勧告の完全実施などは当然のことであるというふうにお考えをいただきたいと思いますし、御答弁をいただきたいと思います。
  130. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、最初申し上げましたように、労働者の立場を十分尊重すると申し上げておるのでありまして、岩垂委員が申されることはよく理解し、傾聴いたしております。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ぜひ御努力をいただきたいと思うのです。  それから、これはどこへ質問したらいいかわかりませんが、これもちょっと私の疑問で、しかも役所の人たちに聞いてみてもそんな気持ちを述べられることもあるので伺いたいのですが、長官にお願いできればと思うのですが、行政改革のあり方とか行政のあり方というようなことを考えるときに、各省庁間の一種のセクショナリズムの壁が非常に厚いわけです。各省の公務員というのは、大蔵省事務官とか通産省事務官といったような意識を捨てて、日本政府事務官だというふうな意識に徹すべきではないかという点で、国家公務員の採用や人事を内閣で一体化するというようなこと、私も素人ですからどうもそれがよくわからないのですが、やはりそこらのところから出発をしていると思うのですけれども、これらについてはどんなふうにお感じでございましょうか。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その御議論も非常に傾聴に値する御議論であると思っております。
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 では、第二臨調で、どうも中曽根長官は、何といいましょうか、行革をそこへ任してしまって、何となくその間は余り積極的でないというような御意見の報道もあるわけですが、——報道ということになれば、報道の責任は持ちませんと言われてしまうので、そういう意見もあるわけですが、つまりその点についてある不安というものに対する長官の御見解を承っておきたいと思います。
  134. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第二臨調は隠れみのではございません。その前に七項目の法令整理以下、やるべきことは断じてやる、その上さらに八〇年代の展望について第二臨調でお願いする、こういうことははっきりしております。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 役所というもののこれは一つの例を申し上げて恐縮なんですが、私、実は多摩川のところが選挙区だものですから、多摩川が非常に汚れておりまして、事実上魚も住めないような状況になっている。これを何とかきれいにできないかといって環境庁に行ったら、いやそれは水質問題ということになれば環境庁だけれども、たとえば下水の整備ということになったら建設省です、建設省へひとつお願いをしたい。そして自然保護というか植生などの保護ということになったら農林省も深いかかわりがありますので、これは農林省へ行っていただかなければならぬのじゃないかという話。どこへ行ってもそれぞれの分野があることは事実だが、どうもばらばらだ。そしてもっとびっくりしたのは、大変お恥ずかしいお話なんですが、たとえば川崎市と東京都あるいは神奈川県との間に、両岸に接していながら多摩川の浄化について合同に会議をやったことも一遍もない。つまり縦割り行政となわ張り行政というもので、それぞれの権限の拡大は一生懸命で考えているけれども、全体として一つ行政目的や課題に対して取り組んでいこうという姿勢が十分でないなということを感じまして、私、当時、公害対策特別委員会でその問題を取り上げて、環境庁が事務局団体になって、大臣にも全部、建設大臣、環境庁長官、農林大臣、それから東京都知事、神奈川県知事、川崎市長、それに行管庁も入っていただきましたが、そういう方々に集まっていただいて、オフィシャルな、環境庁の正式な機関としての多摩川流域浄化に関する特別委員会というものをつくって、いまでも作業しております。  私は、行政改革でぜい肉落とし、余分なものを切るということには反対するものではないのですけれども、ただ、そういう既成の役所が持っているなわ張りあるいは縦割り状況、こういうものをいまや新しい行政のニーズに対して対応するために新設をしていかなければいけないのじゃないだろうかという感じがするのですよ。たとえば老齢化社会になった。福祉や年金や住宅問題、老後の問題、これも厚生省から取ってこいとかなんとかという議論をするのではなしに、そういう中央政府機構の再編成というものが、長い長い歴史の上で積み重ねられて、ある意味で固まってしまっている状況に対してソフトに対応するということが非常に重要ではないだろうかという感じがするのです。その問題意識は、長官は幾つかの大臣を経験しておられますのでお感じになっていらっしゃるのだろうと思うのですが、これらの問題も、私はさっき事務官問題で若干申し上げたのですが、考えるに値することではないか。つまりつぶすとか整理とかいうことだけでなしに、新しくつくったり再編成をしていくという観点も強調されなければいけないという点について、長官の御答弁をわずらわしたいと思います。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は非常に大事な御指摘であるだろうと思います。縦割り行政の弊害ということは年来指摘されておりまして、それが必ずしも顕著に改善されているとは思われません。これらの問題について行管庁も、いかなる方策がそれを打開するか積極的に考究してまいりたいと思いますし、また、案ができ次第、各省庁に勧告すべきものは勧告するように取り上げてまいりたいと思います。
  137. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 できるだけ時間を節減をするという約束ですからあれしますが、ちょっと一つ陳情を申し上げたいことがあるのです。  それは、後ほどお手元にお届けをいたしますが、横須賀の池上というところですが、旧海軍の軍港でありまして、海軍工廠がありまして、たくさんの人がそこに働くということで海軍工廠の社宅みたいなものが非常にたくさんできたのです。そのある個人の地所の上に、あれは縦が三十メートルで横が二十五メートルぐらいあるのでしょうか、はかったわけではないのですが、高さが恐らく十五、六メートル、コンクリートの幅はこのぐらいあるのですが、貯水槽ができておりまして、それは旧軍がつくったのです。ところが、今日までどの役所に行っても、わが方ではないと言う。それはまさに旧海軍がつくったんで、海軍はもうありませんのでということになって、個人の宅地というか土地の上にそういう大きなコンクリートの建物が建っていまして、いまどきこれを取り壊すということになったら、恐らく相当なお金がかかる、私、素人ですからわかりませんけれども。こういう状態は、やはり放置をしておいてはいけない。その人は、何年となくその問題の解決のために大蔵省へ行ったりあっちへ行ったりしてやっているのですが、さっぱりらちが明かない。願わくは、後ほど事務局にこの資料を差し上げますけれども、一種の監察の対象にしていただいて、そして監察の結果についてひとつアプローチをしていただく。戦時中の防空ごうの問題についてリーダーシップをとっていただいた経験がございますので、それにちなんでというふうに申し上げては恐縮ですが、それらをぜひ御配慮いただきたいと思いますが、ぜひ御答弁をいただきたいと思うのです。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 承知いたしました。監察局長によくお話しいただきまして、早速事態を取り調べまして処理するようにいたしたいと思います。
  139. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 若干の時間をいただきまして、実は、委員長江藤先生を団長にして、内閣委員会の海外調査のために、在外公館の実態や日本人学校やあるいは現地に働いている日本人の状況を調査するために、二週間の日程をいただいて調査をいたしてまいりました。特に、たとえばナイジェリアとかエジプトとかギリシャとかイラクとかパキスタンとか、そういういわゆる発展途上国の状況について調査をしてきたわけであります。私が申し上げるのは大変僭越ですが、恐らく委員長もそのお気持ちであろうと思いますので、ここで私はその問題についてちょっと触れたいと思います。  たとえば外務省は在外公館をつくっても、結局二人とか三人とかあるいはそれよりもちょっと多い程度の在外公館のメンバーでは、つくったということだけなんです。実際問題として、実は仕事にならない。つまり機能できない。こういう点があるわけですが、外務省は、定員問題について非常に厳しい制約があるわけですが、在外公館の職員をふやしたいというお気持ちがあるだろうと思うし、私どもも行く前にそのことを聞きましたが、そのスケジュールというか希望というか、そのことをお述べいただきたいと思います。
  140. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 このたび内閣委員会先生方が各地の在外公館を見ていただきまして、その御見聞によりましていろいろ御提言いただいたこと大変感謝しております。いろいろな御提言を伺いまして、私どもこれに耳を傾けたいと思っております。  いまその中の定員のお話が出たわけでございますけれども、外交体制の充実というのはいろいろな側面からやらなければなりませんけれども、確かにその中で一番大事なのは、やはり人、最終的には外交は人間だ、人材だということに帰着するわけでございますので、この人材という側面からの体制の充実については特段の努力をしてきているつもりでございますが、その中で幾つかの側面があろうかと思います。  一つは、やはり質の問題でございます。ただ量だけふやせというようなことを私どもは言ってきているつもりはございません。そのためには試験制度の改革もいろいろやっておりますし、本当に優秀な人材が試験を受けてくれているわけですけれども、もっとそういう人材を試験の段階から発掘して、一生の仕事として外務省に入る人間を一層確保したい。  それから、入った人間の研修というのが非常に大事でございます。これにも、入省直後の研修のみならず、赴任前の研修とか中間研修等もいろいろ計画しておりますが、これはまた若干人間が足りませんと研修に回す人間が出てこないという困難はございますが、研修制度の充実にも努力しているつもりでございます。  それから、非常に重要な点は、淘汰、登用の実行であると思っております。確かに、試験を通ってきた人間は将来の幹部になるべく入ってくるわけですけれども、一回の試験を通った人間がそのままぬくぬくとみんなが幹部になるというわけではない。淘汰ということもしなければなりませんし、また上級試験を通らない専門職試験の者からも優秀な者については選考の上、上級職扱いにする。年々二、三名のそういう扱いをこの十年間やっておるわけでございますが、そういうことをやります。  そのほかに、さらに私どもは、各省庁から現在在外公館に二百九十五名のアタッシェが来ておられますけれども、こういう方々を初め民間の専門家の方からも、いろいろ専門家として活躍される方を一時的あるいは恒久的に受け入れて新しい血を入れるという努力もしているつもりでございます。  第二には、一つ申し上げたいのは、やはり私どもは機械化並びに省力化という努力をいたしているつもりでございまして、たとえば電信量がこの十年間に十倍になりましたけれども、電信官は一割そこそこしかふえていないという状況でございますが、これは機械化を行ってそれを補ってきたつもりでございますし、それから外務省が抱えている必要がだんだんなくなってきた業務については、各省庁あるいは民間にだんだんにこれを移す、外務省は総合官庁として全体の調整に努力するという点に徹するべくいろいろ工夫じてきたつもりでございます。  しかしながら、岩垂先生指摘のように、人員の絶対的不足というのも、率直に言って事実と考えております。現在、在外公館、それから本省全体のすべての職員を入れまして三千四百八十名という数を持っておるわけでございますが、非常に厳しい中で、昭和五十五年度も八十名の純増をいただいて大変感謝しているわけでございますが、私どもから見ると、当初の要求が満額ではなかったという点は非常に残念に思っております。五十六年度の要求につきましては、現在二百名強の要求を出しまして、連日行管当局、財政当局と目下御相談している段階でございまして、何とかこの要求を達成したいと思っているわけでございます。  そのほかに、私どもは、御承知かと思いますけれども、かねてから昭和六十年までに外務省の省員を五千名にふやしたいという六カ年計画を立てている次第でございます。六十年で五千人では少ないではないか、ほかの国の現在の状況から見ても、主要国と比べてなお足りないじゃないかという御指摘もありますけれども、一挙にそうそうは望めないということも考えまして、昭和六十年現在五千人という悲願を立てまして、これを段階的に達成していきたいと考えておりまして、これは来年の予算だけの問題でございません、数年間にわたる問題でございますけれども、この方も各当局の理解を得て進めてまいりたいと思っております。  それから、一言つけ加えますと、省庁間の配転ということが最近提起されまして、外務省もネコの手もかりたいと言っては失礼ですけれども、何とか少しでも、一人でも二人でもそういう面からも人を得たいと思いまして、若干余剰が生じた省庁からその配置転換ということもいただきたいと思いまして、現在数名の候補者について相談に入っている。それやこれやを合わせまして、質、量並びに機械化というような点を総合いたしまして、二十一世紀の外交に見合う外交関係の人材の確保ということに全力を尽くしたいというのが私どもの気持ちでございます。
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは江藤委員長、それから木野理事、染谷理事、鈴切理事、神田理事そして私と、一つの報告をまとめる過程で意見が一致しましたから、私だけが申し上げるのは少し変ですけれども、皆さんの気持ちだということで……。  長官、江藤委員長から恐らく調査旅行のことについては伺っておられると思うのです。特定の国の名前を言えばいろいろ問題が出ますから言いません。しかし、いわゆる瘴癘地と言われるところ、そういう状態のもとで非常な困難を冒してやっている、この実態というものを目の当たりに見て、私は心を打たれるものがありました。また、情報活動など考えても、商社に依拠しなければどうにもならぬという実態がある。やはり外交の体制というものを進めていく上で、定員という問題を避けて通ることはできないのじゃないだろうか、こんなふうに私は思うのです。特に、たとえば武装強盗が大使館を襲ったばかりのところに行ったというようなことを含めて見ますと、治安対策などという点でも生命、財産に対する保護というものもないがしろにすることはできない。あるいは領事事務などの面でもいろいろ問題がやはりある。  などなどのことを考えてみますと、ある雑誌によると、外務省が行政サービス改善行政サービス向上推進委員会というものを官房長が大将になってやるということで、行管庁がこれは推奨事例として公開を考えているなどということもありますけれども、外務省の定員要求というものに対して、いまここですぐというお答えを求めるつもりはございませんが、最大限こたえてやるという努力について行政管理庁長官の前向きな御答弁を煩わしたいと思います。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 江藤委員長から御帰国になった後で在外公館の現状、御要望に対してはよく承っております。外務省が年来イタリー並みに力をふやしていきたいという希望を持っておることも私承知しております。特にアフリカ、発展途上国あるいは中近東、あの辺は非常に重要な地帯に今後もなっていくだろうと私は個人的にも考えております。  ただ、いま外務省官房長が申されましたように、質、量、機械化と三つの点を申されましたが、まさに同感であります。やはり一人一人の原単位の稼働率と申しますか、エネルギーを向上していただく、情報でも執務でも質が非常に大事なので、のんべんだらりんと時間を食うことは必ずしも精勤であるとは申されない。そういうような点とかあるいは機械化であるとか、そのほか、いま質、量、機械化と三つ挙げられましたが、そういう点について十分留意をされて御努力願うことを期待したいと思いますし、行管庁といたしましても、いままで過去十三年間の経過を見ますと、一般の官庁は六%減っておりますが、外務省は二七%ふえておる。二番目が国立学校で二四%、三番目が病院で一六%。これを見ても、政府が外務省の要望を入れて一生懸命努力してきつつあるということはおりかりいただけると思いますが、当庁といたしましても、外務省の希望はよく理解できるところでありますが、外務省自体も大いに引き締めて、最小限の力で最大の効果を上げるように今後とも努力していただきたい、そう思っております。
  143. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間ですからやめますが、官房長にもう一遍、特地勤務手当。これは大変ですよ。水を飲むこともできない、いつマラリアやそういう病気にかかるかわからぬ、そういう状況のもとで大変苦労している。だから、やはり医務官をふやしてほしいという気持ちはあるのですが、それも含めて、特地勤務手当というようなものは、日本でもそういうものに見合う制度はあるわけですから、そういうことを含めて御考慮願いたいということが一点。  それから、日本人学校に対する対応というのがやはりちょっとおくれている。これだけ日本人が海外に出ているという条件のもとに、それらの義務教育体制というものができていない。これは鈴切先生の専門でございますけれども、そういうことを私からもお願いをしたいと思うのです。官房長の御答弁を煩わして、その上で大変恐縮ですが、行政管理庁長官は、私がそういうことを言ってはおかしいかもしれませんが、事実上の副総理格で閣内をまとめていかなければいかぬわけですから、それらの面を含めて前向きな御答弁を引き続いていただきたいと思います。
  144. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 ただいま御指摘の点、特地勤務手当、これは瘴癘地の中でも特に瘴癘度の高い任地についてそのような制度を実施していきたいということで、現在主として、これは予算の問題が伴いますので、大蔵当局と連日これも折衝しているところでございます。  日本人学校の問題につきましては、文部省と外務省と一体となって努力しているところでございますけれども、まだ日本国内の学校に比べますと、教員の生徒に対する割合とかその他の面におきましていろいろ不十分なところはあります。非常に日本人の多い地域はかなりりっぱな日本人学校になってまいりましたけれども、それが少し日本人の少ない地域へ参りますと、父兄の負担能力がぐっと落ちるということ等もありまして、まだ非常に不十分であること、御指摘のとおりであります。その点につきましては、引き続き文部省とも協議して、来年の予算でも、これも新しい学校の創設とそれから既存学校の充実、そういう二面があるわけですが、努力を続けてまいりたいと思っております。
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ぜひひとつそれらのことを、所管外でございますけれども、これも広い意味で行政を円滑、スムーズに進めていくという立場から見るならば、管理庁長官の広い意味での所管事項——所管事項と言ってはおかしいと思いますが、かかわりのあることでございますので、バックアップをする御答弁をいただきたいと思います。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外務省の皆さんが乏しい予算、乏しい人員の中で非常に努力をされておる、特に瘴癘の地における皆さん方は人一倍の努力をされておることは私もよく認識しております。特にまた最近、在外邦人の数が非常にふえてまいりまして、子供の教育の問題、あるいは今度の中近東の動乱に見られますように、生命、財産の保護の問題等も出てきております。そういう事情もよく考慮いたしまして、外務省の問題につきましては対処してまいりたいと思っております。
  147. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間どおりに終わらしていただきます。
  148. 江藤隆美

    江藤委員長 鈴切康雄君。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根長官に対する質問はしばらく時間を置いていただきまして、先ほども岩垂先生から公務員の給与問題についてお話がありましたけれども中曽根長官は、所管の委員会でない、このようにおっしゃいましたので、所管の委員会であり大臣であります総務長官に御出席いただいたわけでございますが、そんなに長い時間おかけいたしませんから、ぜひお聞きいただきたいと思います。  それは、まず今国会に内閣委員会として法案が約十二本ばかり出ておりまして、言うならば、その中において総理府所管の法律も数本出ております。今回、何といっても公務員の皆様方が一番関心のある問題は給与法の改正であり、いま消費者物価も非常に上昇して、生活も厳しい条件の中にあって耐え忍んでおられるわけであります。ゆえに、例の八月に出ました人事院勧告に基づいて、今国会政府としては当然法案を出されるわけでございましょうけれども、それについてぜひお伺いをしたいわけであります。  今回の国家公務員の給与に関する法律は、ベースアップの部分と週休二日制の問題とが一緒になつで出されるということを聞いておりますけれども国会への提出はいつごろになると判断されていましょうか。
  150. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お答え申し上げます。  先生御案内のように、八月八日に人事院から今年の勧告がございまして、四・六一%のベースアップということでございます。政府が本年度予算に組んでおる財源ではとても間に合いませんので、完全実施をやります場合には、約千六百五十億円の新しい財源が必要である。御案内のように、財政事情がきわめて厳しい中で、ただいま財源の問題で大蔵当局と鋭意折衝中でございます。また、週休二日制の問題につきましては、すでに法律案提出する方針をうたっておりますけれども、どちらも給与法の改正にかかわる問題でございますので、現時点では一本の法律案で御審議願いたいと考えております。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は今週の十四日でしょうか、議運でこの問題について、給与法をいつ出すのだろうかということを宮澤官房長官にお聞きになったところが、宮澤官房長官は、ぜひ来週給与関係閣僚会議を開きたい、そしてそこで煮詰めていきたい、こういうお話がございました。給与関係閣僚会議といいますと、総務長官を筆頭に、そして自治大臣、大蔵大臣、官房長官、労働大臣、この五閣僚になるわけでございますけれども、来週といってももう間もなくですが、いつ閣僚会議をお開きになるおつもりでしょうか。
  152. 中山太郎

    ○中山国務大臣 二十一日に開くというふうに私どもはただいま考えております。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、二十一日に閣僚会議をお開きになりましていろいろとお話し合いになるわけでありますけれども、どうでしょうか、一回で閣僚会議結論が出そうですか、あるいはそれはむずかしいというような感触でございましょうか、担当大臣としての感触を聞かしていただきたいと思います。
  154. 中山太郎

    ○中山国務大臣 総理府が所管しております国家公務員の給与は、先ほど申し上げたように新しい財源が千六百五十億、自治大臣が関与されます地方公務員に必要な財源が二千三百五十億、きわめて膨大な新しい財源が必要でございますので、二十一日の関係閣僚会議で果たして結論が出るかどうか、ただいまの時点では申し上げにくい状態でございます。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、二十一日の関係閣僚会議結論が出ないということになりますと、その後閣議決定、そして法案提出ということになりますと、今月中はちょっともうむずかしいということでしょうか。
  156. 中山太郎

    ○中山国務大臣 政府といたしましては、先生から御指摘がございましたが、御案内のように、消費者物価の上昇が八%を超えているという中で労働賃金の実質ダウンが三・五%ということでございますから、公務員の方々の生活を確保するためにもできるだけ速やかにこの給与の改正をお願いしたいというふうには考えております。鋭意努力いたしたいと考えております。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総務長官は給与担当大臣ですし、またかねて人事院勧告がなされたときに、この場所で総務長官にもお伺いをいたしたことがございます。国家公務員の代償機関である人事院の勧告については、政府は尊重する、こういう立場を堅持して御答弁になっているわけでありますが、大臣は完全実施、これは譲れない最低限の問題であるというふうにはっきり認識されておられましょうか。またその努力をされるおつもりでしょうか。
  158. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生御案内のように、すでに人事院勧告を完全実施するという一つの方向が完熟しておるところでございます。私どもといたしましては、綱紀の粛正を堅持するということのためにも、公務員の方々の生活を人事院勧告を完全実施することによって確保することがぜひ必要であろう、総務長官としてはそのような考え方で対処してまいる覚悟でございます。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理府所管の法案の中には、国家公務員災害補償法あるいは寒冷地手当、そして公務員三法、また定年制、退職金のカットの法案、こういうような大変にたくさんの法案を抱えているわけでありますけれども、これが来月にずれ込むということになりますと、こういう法案自体が会期内においてなかなか取り扱いづらくなるということでもありますので、その点についてもう一度、いずれにしても今月中にぜひ法案国会に出したいという御熱意のほどをお聞かせください。それで結構でございます。
  160. 中山太郎

    ○中山国務大臣 大変御心配をかけておりますが、私どもとしては、大変多くの法案を当委員会でいろいろ御審議いただくことになるわけでございます。勧告の完全実施ということも当然必要なことでございますが、国民から見ると、法律案がどうこうということでなしに、すべてが公務員の方々の問題というふうに考えるだろうと思っておりますので、私どもとしては、お願いする法律案をすべて今国会で御審議をいただき、一日も早く成立をさせていただくようにお願いをしたいと考えております。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ありがとうございました。総務長官への質問はそれだけでありますが、どうかひとつ鋭意御努力を願いたいと思います。  大変にお待たせをいたしました。今度は中曽根長官に順次お伺いをしてまいりたいと思っております。  私ども十月三日に、実は公明党と民社党、そして新自由クラブと社会民主連合の四党合意に関する行政改革の提言を、行政管理庁長官である中曽根さんを初め総理大臣、大蔵大臣にお持ちいたしましてしたわけであります。  政党というのは確かにいろいろの基盤がありますし、また発生をしたそういう経緯というものがありますので、私どもそういうことで合意できた政党においてまとめた内容でございます。私どもは、行政改革の断行というものは、安易な増税に頼らないで財政を再建するための当面する重要政治課題と位置づけまして、そして大胆にしかも具体的の実施を要求いたしました。中曽根行政管理庁長官は、私どもの政審会長がお持ちしましたときに、それなりのコメントをされたようでございますけれども、きょうはこの行政改革という一つの大きな審議の中にあって、四党合意の提言をどのように評価されるか、そしてまた中曽根長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四党合意の申し入れ書を拝見いたしまして、非常な御苦心の策であると敬意を表した次第でございます。中身は非常に各方面にわたりましてしさいな御検討を経た上の御結論で、かなり勇断をふるった結論が出ているように承りました。私たちは一々あれを検討いたしまして、われわれでできる範囲内のことは全面的に努力してまいりたい、そう思っております。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その中の項目的なものを申し上げますと、私どもは中央省庁の機構の整理ということもやはり必要だろう。中曽根長官は今回は機構いじりはやらないんだという話でありましたけれども、私は仕事減らしも確かに今後一つの大きな課題であり必要であると思いますが、行政機構の改革、それは仕事減らしと同時に機構の整理合理化、そしてまた定員の言うならば管理、それに伴っての予算の問題、これが相まって非常にバランスをとっていかなければなかなかこれはむずかしい問題だろう、そういうふうに思いますので、まず「中央省庁の機構の整理」あるいは「地方出先機関の原則的廃止」、これは原則的な廃止というよりも中央、地方の二重行政をやめ、行政簡素化し、地方分権を進めるために、国の地方出先機関は現業関係を除いて原則として廃止し、その事務は中央並びに地方自治体に移管する、そういう内容であります。あるいは「国家公務員の定員削減」、これは国家公務員の定員削減と言っても、しょせんは出血の伴うというやり方でなくて十分にできるわけでありますから、そういう意味におけるところの定員の削減。あるいは「公務員の定年制導入」あるいは「特殊法人の統廃合等」「補助金の大幅整理」「各種審議会の整理・合理化」「許認可事項の整理・合理化」「行政改革特別委員会設置とオンブズマン制度の設置」「行政改革と地方分権の推進」と、十項目になる提案でございます。これについて、いろいろと私ども合意して出したものについて、先ほど勇断を持っていろいろやられたということでございますが、ぜひ長官の御意見を賜りたいと思います。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御提案の中で「中央省庁の機構の整理」をうたわれて、五十九年までに一割削減を目標に局、部、課、室、官というものを洗い直し整理をせよ、そういう点を御指摘になっておりますが、私ここでも申し上げましたが、今回は仕事減らしをやろう、そういう考えに立ちまして、まず省庁が存在する一番支点になっておる法律を減らし許認可を減らす、それによって人員が要らなくなる、局、課が要らなくなる、そのもとを洗おうという方向でいま努力を開始しておるところでございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 しかし、中央省庁の問題につきましては、これは時代の進展とともにいま見直さなければならぬときには来ておりますので、自主的、自律的に再編成案をつくらせよう、そういうことで閣議決定をして、何年以内にローテーションで逐次各省が再編成案を自分でつくって持ってきてもらう、そういういわゆるマネージメント・レビュー方式をとりたい、そう考えておるわけでございます。  「地方出先機関の原則的廃止」、これは思い切った御提案であると思っております。「原則的」と書いてありますから一律に全部やめるということではないと思いますが、これもやはり大事な点であると思っておりまして、ブロック機関整理等やっておりますけれども、いまやっておる行革をやった後の一つ重要課題としてこれも受けとめてまいりたいと思っております。  それから「国家公務員の定員削減」の問題は、現在われわれがやろうとしておりますのは、引き続いて定員削減の努力をしておるのでございまして、大体三万七千人、ちょうど数は同じでありますが、四・二%の自然減耗による縮減を行う。ただ国立大学、特に医科大学が各地でいまできつつありまして、そういうような福祉関係あるいは教育関係の増員というものはある程度やむを得ませんし、いまお話がございました外務省の要員の問題等もございまして、その補充はできるだけ最小限にとどめて、できるだけ実質的にネットで人員を浮かしていく、そういう努力を今後も引き続いてやっていきたいと思っております。  「定年制導入」については、六十年六十歳ということを目途に定年制導入の法案提出しているところでございます。  そのほか「特殊法人の統廃合」、これもいまやりかけておるところでございます。  「補助金の大幅整理」も、大体三千八百件のうち四分の一整理をする、そういうことで、これも今回予算の査定に当たって大蔵省と一緒に協力して着手し、推進していこうと思っておるところでございます。  「各種審議会の整理・合理化」の問題も、今回は特に地方の支分部局に付属する審議会等々につきまして重点的にやりたい。中央における審議会はもとよりでございますけれども地方支分部局の付属しておる審議会がいままでわりあいに看過されておりました。こちらに今度はひとつ手をつけようと思っておるわけです。  「許認可」の問題は、前に申し上げたとおりでございますし、「行革委員会設置とオンブズマン制度」は、国会に置くという制度でございますから、これは各党のお話し合いの推移を見守るという考えであります。しかし、われわれの方でも林修三先生にお願いいたしましてヨーロッパのオンブズマン制度の視察をことしの夏やっていただいて、いまその研究の結果をまとめていただいて、行政の枠内で置く場合にはどういうことが適当であるかという検討をやらしております。  それから「行政改革と地方分権の推進」という点については、これは事務配分、中央と地方との関係の再調整という点で今後検討して進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この中でちょっと勘違いされておる点があるかと思いますけれども、実は国家公務員の定員の削減問題については、四年間に実質三万七千人を目標ということですからね。それについては、政府考えているのは三万七千人の削減をしながら、また新規需要に見合って定員をふやすといういつもの考え方ですから、実質になかなかそれだけのものは減らないだろうと思うわけでありますけれども、いずれにしてもちょっとお聞きしますが、自然退職というのがございますね。この自然退職で国家公務員が一年間に退職される数、そしてまた地方公務員が自然退職される人数というものは大体どれくらいあるでしょうか。
  166. 佐倉尚

    佐倉政府委員 国家公務員の場合は約四%でほぼ二万人見当、地方公務員の場合はちょっと私どもの方で把握しておりません。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 年によって三万人とか、あるいはまた地方公務員の場合は六万六千人とか、いわゆる十万人見当というふうに言われております。ですから、そういう自然退職される方々がおられるわけでありますから、いま長官が言われたように、仕事減らしをしていくということ自体が新規採用を抑制していくという意味において定員管理の方法として非常に効果的であろう、私はそう思うわけでありますが、仕事減らしというのは、そういう意図をお持ちになっているのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  168. 佐倉尚

    佐倉政府委員 毎年の御退職者、その分を補充しないでというようなお考えかと思いますけれども、結局ただいま長官からもお話がございましたように、特に国立大学の医学系統の方面とか、あるいは各種の施設の問題、あるいは二百海里問題等で航空管制官の問題等かなり人数を必要とするような場面が多いわけでございます。そういう方へ定員としてその減りました部分を充てましてやっていきますので、減った分をそのまま減らすようにということはとても不可能でございますけれども、極力充てる分を縮減して人数を全体として減らしていくという努力はいたしております。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、一度肥大化した機構というものを縮小するということ、あるいは定員管理をやっていくということは非常に大変なことなんですね。ですから、やはりそういう観点に立ったときに、これだけ苦しんで行政改革を進めようと思いながらも進めることができないというその根幹に触れてこれから取り組んでいかないと、それは行政を大きくしていくのは、こんなたやすいものはございません。しかし、行政改革を進め、簡素合理化していくということは、もう非常にむずかしい問題ですから、私はそういう意味において、やはり政府のリーダーシップ、そしてまた取り組みというものは非常に大切ではないか、こう思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 出血を伴う整理は行わないという御決議もございますから、それを尊重してやりますと、これは必然的に自然減耗とそれをできるだけ補充しない、そういう形にならざるを得ないわけであります。そういう考えに立ちまして、自然減耗とそれに対する不補充ということをいままで懸命に努力してまいりまして、それでもこの十三年間に約八千人ばかりのネットの減を実行したわけでございます。引き続いてこういう努力を営々といたしまして、ネットでも減らしていこう、そう思っておりますが、これだけ複雑に近代化し多面化した時代であり、特に教育とかあるいは病院、福祉という関係の需要も非常に強くなって、特に老人福祉問題高齢化社会に対応するいろいろな措置という問題も次に大きく隆起してくる時代でございますので、そういうネットでいかに減らしていくかという点について、どう調整をするか、われわれ苦しまなければならぬところも出てくるのだろう、そう思っております。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先般の国会での論議の中で、実は国民の方々に行政のあり方または行政改革の進み方を知ってもらうために、やはり行政白書をつくって出すべきであるということを私ども提言をいたしましたときに、たしか前の長官でありました宇野長官が、前向きに検討しましょう、こういうお話がありました。それから今度新しい長官に中曽根長官がなられたわけでありますけれども行政白書について、私はもう国民によりよく知っていただくためには行政白書を出す必要がある時期に来ているのじゃないか、こういうふうに思っているわけですが、長官はどうお思いでしょうか。
  172. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は鈴切さんと同感でございます。よって、過日来年の秋を目指して行政白書を出す準備にかかるように指示をしたところでございます。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、五十六年の秋に行政白書をお出しになられる、こういうふうに理解したわけでありますけれども、それではその行政白書の内容をどのようにお考えになっておられるか。たとえば、なぜ行政改革が必要であるかという問題、あるいは長期的、短期的な問題について今後どのようにして取り組んでいくかという問題、あるいは一年間の行政改革はどこまで進んだかという政府の取り組んだ実績、あるいは行政改革の残されたいろいろの問題点、こういうふうな内容になるのか、皆さん方がお考えになっている内容はさらにもっともっと進んだものになっておるのか、その点について。
  174. 林伸樹

    ○林政府委員 お答えいたします。  大臣の御指示によりまして、私ども内容の検討を始めておりますが、内容的には、来年の秋を目指しまして、行政機構、定員、行政サービス等の現状、それからどういう改善措置がとられたか、またその結果どういう改善効果があったか、また今後われわれがどういうことを考えていかなければならないかというようなことを毎年、毎年過去を振り返り、また先を見通しまして、現状とこれからの問題点について一年に一度ずつまとめていきたいということで準備をしたいということで、すでに検討を始めておりますので、お答えいたします。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この行政白書というものはかって行政監理委員会が出したことがございます。しかし、それも途中で立ち消えになってしまったわけでありますけれども、今度は行政管理庁として、政府として行政白書をお出しになられる、こう理解してよろしゅうございますか。また、毎年引き続いて、検討された問題について国民の皆さん方に理解をしていただく、あるいはまた問題点は問題点で国民の皆さん方に提起する、こういう意味で、これから毎年お出しになられる御決意でしょうか。
  176. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鈴切さんのお考えのとおりでございます。  いまの説明の中に国際的比較という問題が抜けておりましたが、こういうのも入れたいと思っております。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではさらに進めてまいります。  さきに政府は五十五年度以降の行政改革計画の実施のための五カ年計画をおつくりになられました。これは大平内閣のいわゆる五十五年行革と言われているものであります。  そこで、お聞きしたいことは、大平内閣のいわゆる五十五年行革をどのように評価されているか。また、中曽根長官が今回就任されて三カ月ぐらいたちましたけれども、長官も大変に熱意を持ってこれに取り組んでおられるわけでありますが、新しい長官として、行政改革に取り組む御決意というものをまずお伺い申し上げます。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和五十五年行政改革、いわゆる大平行政改革という問題はかなりよくやったと私は評価しております。これは与野党の皆さんの御協力で宇野長官があそこまでよくやってくだすったのだろうと思いまして非常に感謝しておるところでございます。  そこで、その後を受けまして、どういう行革がいま日本に適切であるかということを、私、一カ月ばかりよく検討いたしまして、それで八月の初めごろから打ち出してきたものは、いま申し上げた点及び八項目にわたる点で、これは器減らしよりも仕事減らし、それから行政サービスの画期的な改善を図ろう、そういうようなことと、八〇年代を展望した新しい行政のビジョンをつくる、日本政府はどういうふうにおさまったらいいのか、あるいは行政機能はどういう機能が正しいのであるか、中央と地方の関係とか、あるいはコンピューターの活用とか情報公開の問題であるとか、そういういろいろな問題が出てきているわけでございますから、そういう問題に関する確固とした体系的基礎を持った案をつくっていただこう、こういうことでいわゆる第二臨調というものを提案を申し上げようとしている次第でございます。これらの諸問題につきましては、内閣一体のもとに確固たる決意を持って断行していくつもりでおります。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここに「今後の行政改革に関する基本的な考え方」がございますが、その中で仕事減らしに重点を置かれるということでございますけれども、具体的にどのようなことをお考えになっていましょうか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 佐倉尚

    佐倉政府委員 簡素化の根本である仕事減らしをまずやりまして、それに伴いまして器減らしの方にもつなげていこうという発想でございますが、仕事減らしの中身は、まず法令の整理。これは先ほども議論がございましたけれども、役所の仕事というものは、やはり法律等に基づいて行われておりますので、その基盤になるべき法令というものも十分に見直して、要らないものはなくしていこうじゃないかというのがその考え方でございます。  それから、許認可事務整理でございます。これも先ほども話がございましたけれども、いままでもいろいろと努力してまいりましたけれども、さらに一層それを深めるということでございます。  それから官業、民業の問題でございますが、国のやるべき仕事と民間のやるべき仕事との接点をいかに考えるべきか、そして国等がやらなくてもいいものはなるべく民間の活力を利用するという方向で、官業から民業への移行というものを考えたらどうか。この中には非常に大きな問題もございますし、いろいろ大きな組織でやっているような問題もございますけれども、中くらい、細かな問題としましては、民間能力の活用で、検査、検定なども民間でできるようなものは順次移していく方向で、民間委託といったような問題も考えられるのではないかというふうに思っております。  その他いろいろございますけれども、大きなものはそのとおりでございます。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 許認可等行政事務整理合理化の中の法令の整理という柱がございますけれども、現行法令数というのは法律、政令、勅令という縦分けをいたしますとどういうことになりましょうか。
  182. 佐倉尚

    佐倉政府委員 五十四年の十二月末現在の数字でございますけれども法律が千四百九十件、政令が千六百八件、勅令が百三十六件という状況になっております。このほか、すでに実効性を喪失したと考えられるような法律が、これは一カ月ばかり前でございますけれども、五十四年の十一月三十日の各省からの報告によりますと約三百二十件ほど存在する。以上合わせますと現在約三千五百件の法令が存在するというふうに把握しております。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実効性を喪失をした、そういうことなんですが、その実効性を喪失をしたということの判断あるいは基準というものはどこに置かれますでしょうか。
  184. 佐倉尚

    佐倉政府委員 これは法制局等ともいろいろ相談をし協議をした、その中で次のようなケースが考えられるわけでございます。まず第一番目は、その法律目的としましたそういう目的が完全に遂行されたのではないか、されたというようなもの、それから二番目としまして、制度制定後長時日を経過して、存在理由がもうないのではないかというような二つの例が考えられます。大体以上二つの事由によって実効性が喪失しているのではないかと判断されるものがわれわれが把握しております実効性を喪失したということでございます。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 仕事減らし、器減らしについて重点を置くという具体的な内容は何かと私、申し上げましたところが、いま法令の整理と民間と国との接点の問題あるいは許認可事務等の整理、こうおっしゃいましたけれども審議会の整理というのも一つの大きな柱じゃないでしょうか。
  186. 佐倉尚

    佐倉政府委員 当然大きな一つの分野でございまして、審議会につきましても、特に中央の審議会につきましては、先般もいろいろとやったことがございますので、審議会の中でも地方に置かれているような審議会というようなものも一つの重点かと存じております。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革一つの柱として、国会審議会の統廃合の問題が論議されているわけであります。しかし、私はまだ決して十分だとは思っておりません。それよりもいまお話がありましたように、国の地方出先機関が抱えている審議会あるいはまた法律で各都道府県単位に義務づけている審議会についてはまだまだ整理統合されていない点が実はずいぶんあるわけであります。なかんずく法律で義務づけているということになりますと、審議会をやめようと思ってもやめられないわけでありますけれども、今後、都道府県単位に対して審議会をある程度任意に任せた方がいいのじゃないかというふうに判断されるもの、あるいは法律できちっと審議会をつくらなければならないものというふうな縦分けをおやりになって審議会の整理をしていきませんと、審議会といってもなかなか思うようにメスを入れるわけにはいかないと思うわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  188. 中庄二

    ○中政府委員 先生指摘の都道府県関係でございますが、国で必置規制をやっておりますが、五十二ほどございます。確かにおっしゃるとおりでございますので、私の方でも審議会関係につきましても数々の指摘をしておりますが、先ほど申し上げましたように、今月の末に各省からの指摘をしましたものについての回答が参ります。その後各省と協議をいたしまして、法令整理の一環といたしまして五十六年行革に盛り込みたいというふうに考えております。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は私、驚いたわけでありますけれども、三百も実効性のない法令がそのまま六法全書の中に残っているということであります。法令整理というものは、こんなに三百本も残していいものであるかということを考えたときに、私はそうではないだろうと思うのです。法令整理を実際におやりになったのは過去に何回ありましたのでしょうか。また一番新しい法令整理をおやりになったのはいつだったのでしょうか。
  190. 佐倉尚

    佐倉政府委員 私が承知している範囲でございますけれども、かつて昭和二十七年四月に内閣に法令整理本部が設けられました。ここで整理諮問委員会の答申の線に沿いまして二年にわたる作業を行った後に、第十九回国会にその整理法案提出され、合計四百二十七件にのぼる法令の廃止、整理が行われた例があるというふうに承知しております。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和二十七年四月ということになりますと、今日まで二十八年間ですね。二十八年間実効を失った法令の整理をそのままほうっておったということは大変に行政の怠慢じゃないかと私は思うのです。長官、ですから二十何年間もほったらかしにしておくということでなくして、少なくとも十年なら十年たったときに、こういう法令の見直しをするということを制度化した方がいいんじゃないかと思うのですが、その点については長官はどうお考えでしょうか。
  192. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全く同感でございます。最近サンセット方式の導入というようなことが言われますのも、そういうお考え基づいて工夫をこらしてきたのだろうと思います。御趣旨には全く賛成でございます。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、三百本の実効性のない法令といっても、現在六法全書にも残っているでしょうから、それをなくさなくちゃいけないわけですね。なくすためには、これの法律を当然おつくりになって、何々法律という形で国会にお出しになりませんと、ただそのままほうっておきますと、何十年とそのままに生きてくるわけでありますけれども、その点については、法令の整理を大体いっそういう法案をお出しになるおつもりなんでしょうか。
  194. 佐倉尚

    佐倉政府委員 法令の整理につきましては、先ほど私が申し上げましたのは、昭和二十七年から二十九年の例でございますけれども、それ以後も法令所管の各省庁において改正、廃止を行っている例はもちろんなくはないのでございます。ただ、先ほど申し上げましたのは、一斉にやったのはそういう例があるということを申し上げたわけでございます。  それで、制定後において実効性を喪失するに至ったものでも、その廃止の手続がとられていないというような場合には残っているわけでございますので、こういうものは先生おっしゃるように、やはりなくす必要があるんだろうと考えるわけでございますが、その手続については、その法律その法律によって主務官庁があるわけでございますので、そこでどういうふうに考えるかということがまず第一の段取りでございます。九月十二日の閣議においても、長官から各閣僚に対して法令の整理を含む行革の趣旨説明して協力を要請して、その中に法令の整理も入っておりますので、現在各省庁からそれぞれの主務省庁としての整理計画全体を取りまとめている最中でございます。年内を目途に取りまとめまして、法令整理のための法案提出したいと考えております。法案のかっこうがどうなるかは逐次詰めていくわけでございます。それぞれの省庁から出すのが適当であるのか、あるいは部分的に一括していくのが適当であるのかということは、その段階で詰めてまいる所存でございます。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、通常国会にお出しになる、こういうふうに判断してよろしゅうございますね。
  196. 佐倉尚

    佐倉政府委員 いまのスケジュールで参りますと、そのようにできるように一生懸命努力したいと考えております。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども長官からお話ありましたように、今後の対策としましては、法律としての実効性がないにもかかわらず残っているということのないように、いわゆるサンセット方式とかあるいはたとえば付帯事項として定義づけをするとかというようなことで、法律整理する一つのシステムというものをお考えになった方がいいんじゃないかというように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  198. 佐倉尚

    佐倉政府委員 法律の中には、当該法令の目的によりまして、それによる施策が内容的に臨時的あるいは限時的であるというようなものもあるわけでございます。こういうのが策定の当時に明確な場合には、従来からも有効期限をつけたり特定期日の廃止の規定を置くなどの措置が講ぜられてきているものがあるわけでございますけれども、法令について一般的には安定性という問題もございますので、どのようにいま御指摘のサンセットの概念を導入してくるか、今後慎重に検討する問題であろうかと考えております。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年行革は五十五年度以降の五年間の行政改革計画を明らかにしたものでありますけれども、その初年度の五十五年度の実施状況はどれぐらいでございましょうか。
  200. 佐倉尚

    佐倉政府委員 五十五年行政改革の実施状況でございますが、いま先生お尋ねのは五十五年度中にどうなったかというお尋ねかと存じます。  特殊法人の問題につきましては、五十五年度に四つ減ということになっております。特殊法人は全部で十八法人の縮減ということになっているということは御存じのとおりでございますけれども、いま申し上げました数字は五十五年度に実施する分でございます。  それから、特殊法人の役職員の人事、給与の適正化等の問題でございます。これは先ほどの数の問題で統合といったようなものもございますけれども、この際は、役職員もそれ相応に縮減するということに決まっております。  それから、出先機関整理でございますけれども、支所、出張所等、これは五十五年度九十六機関整理いたします。それからブロック機関につきましては、現在お願い申し上げている部分でございます。  それから、許認可等の整理一つ項目である報告等の整理につきましては、全部で二年間に千四百七十七事項というふうに決められておりますけれども、五十四年度七百二十を整理済みでございます。残りは一応五十五年度中にやるということで目下努力の最中でございます。  それから、公務員管理の中の定員管理でございますけれども、第五次定員削減計画、これはよく御承知のとおり五十五年度から五十九年度までの五カ年計画でございますが、三万七千六百五人削減ということでございます。五十五年度の増減分を申し上げますと、七千四百五十七人の削減というふうになっております。  部門間の配転でございますけれども、これはなかなかいろいろ各省の考えもございまして、一応努力の目標がございますけれども、これから五十五年度中に若干やることになっておりますけれども、一部を除きこれからの問題になっておりますが、五十五年度中にせっかく努力しているわけでございます。  補助金の整理合理化でございますが、五十五年度以降四年間の計画になっておりまして、五十五年度に三百二十八件を合理化、廃止というふうになっております。  ざっと以上のような状況でございます。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 聞いておりますと、五十五年度いかにも大変進んだように思えるわけでございますけれども、それでは五十五年度行革の経費削減効果というものについては、補助金整理、特殊法人、いろいろの問題を含めてどれぐらいの実績になるのでしょうか。
  202. 佐倉尚

    佐倉政府委員 五十五年度行革の五十五年度中の経費節減効果は、いろいろ合わせまして約二千二百七十億というふうに試算されております。これは当然五十五年度予算の中ですでに措置済みでございますが、五十五年度現在進行中でございますので、ほぼその数字が達成されるものと考えております。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年の行革でぜひやりたい、こういうふうに決められた中で、実際に五十五年度の中でとてもできなかった、未処置に終わってしまったというのはどういう事項が残っていましょうか。そしてまた、今後のその実施についてはどうされるおつもりでしょうか。
  204. 佐倉尚

    佐倉政府委員 五十五年計画のうち、五十五年度のうちにやると決められておりましてやっていないというのはほとんどないわけでございますけれども、たとえば、ただいまお話のございましたどれくらいの経費節減になるのかというお話の中で試算を申し上げましたが、その後事情が若干変化しているものの例としましては、日本学校給食会と日本学校安全会の統合が五十五年十月に予定されておりましたけれども、現在法案がまだ成立を見ておりませんので、これが若干残っているというようなものはございます。そのほかのものは、五十五年度中に実施すべきものと考えられているものは順次現在やっている最中でございますし、実現したものもございますけれども、これからやるというものもあるわけでございますが、五十五年十月に予定されていたものでやっていないのはいまのものがございます。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根長官が今度行政管理庁長官となられまして、これから取り組もうとされているいわゆる中曽根行革と位置づけられた行政改革の基本的な考え方というものを、今後長官はどのように推進をされていくおつもりでしょうか。
  206. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政には幾つかの本質的な特性がございます。住民の側から見ればサービスということになりますし、公務員の側から見れば奉仕ということになります。それから治める側から見れば国策の遂行、その手段としての機構と人員、つまり統治権の行使、そういう形にもなります。そういう中で、今日の時点でどういう観点から弊害が一番多いからその弊害を是正していこうか、そういう立場に立ちましていろいろ見渡して、この前御報告申し上げました八項目の問題を提起したわけでございます。  それは一つは、現時点においてはまず減量経営に徹しよう。いろいろな仕事考えました。それから行政サービスの改革を思い切ってやろう。そして第三点に八〇年代を見通した日本政府及び行政機能のあり方のビジョンをつくって、体系的な観点から今後のあり得べき政府のおさまりぐあい、行政機能のあるべき姿というものを論じていただいて具体的結論を出していただこう、そういう考えに立ちまして八項目を提起したわけでございます。この八項目を今後適切に具体化しつつ強力に推進してまいりたい、そう考えておる次第であります。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年行革は、五十五年から五年間の行政改革ということに取り組んでおられるわけでありますけれども、前任者の宇野行政管理庁長官が五十五年度以降の行政改革計画の実施の五十五年度をおやりになったわけであります。それを第一弾の行政改革というふうに位置づけるとするならば、中曽根行革というものは、第二弾の行政改革だと思われるわけでありますけれども、その位置づけですね。ちょっと見たところでは、五十五年度以降の行政改革計画の実施について、いまお話がありましたように仕事減らしをしていこうというふうになった。行政いじりをやっておった大平行革と仕事減らしの方に力を入れていこうというふうになった中曽根行革、これとの位置づけ、これはどのように判断したらいいでしょうか。
  208. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五十五年行革は、主として第一次臨調答申等も受けまして、わりあいに手をつけなかった機構の問題に手をつけたわけでございます。それで、機構問題も不幸にして衆議院の解散等々もございまして重大な法案が残されました。私、その後を受けましてやり残した法案の成立、機構問題を完結させる、そういう仕事が残っておりまして、これをまずやるということが第一であると思いました。  それから第二に、宇野行革で手をつけなかったことややり残したことで、これから非常に重要な問題がありはしないか、そういう点でいろいろ考えまして、それが仕事減らしという形になり、かつ地方問題についても、自治省を通じて適切な処理を願うということ、あるいは特殊法人につきましても、いろいろ減量経営等々について協力をしていただく、そういうことを考えたわけであります。  それと同時に、未来的展望も考えなければいけない。また行政のあるべき哲学や基本的態度を固めた上で、これからの変動する時代に対処する構えをつくっていかなければならない。そういう意味から第二臨調といわれる機構によりまして、その基本的態度を確立して具体案を出していただく、そして次の時代に備える。そういう三段階にわたる発想をもちまして、いま御審議を願っておる次第なのでございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、五十四年の十二月二十八日に五十五年度以降の行政改革計画の実施というものをお決めになったわけです。それに対して大平行革ということで五十五年をやった。しかし、中曽根さんが行政管理庁長官になられて、その反省を含めていろいろと考えてみるのに、必ずしもこの五十五年度以降の行政改革計画だけでは進まないだろう。だから、進められるところは進めていくけれども、しかし、さらに効率的な方法としては、仕事減らし、器減らしの方がより有効であろうということで、この線については一応踏襲をしながら、少し中曽根さんとしての考え方を入れてこれから進めていかれる、こういうふうに判断していいんでしょうか。
  210. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さようでございます。  宇野行革の後を引き受けまして、宇野行革のやり残したことを完成させていく、それと同時に、さらにいままで手をつけなかった大事と思われるポイントを摘出してそれを推進していく、そしてさらに八〇年代の展望を踏まえて新しい体系に対する準備をしていく、こういう考えに立ちまして御審議を願っておるわけでございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度の行政改革一つの柱といたしまして、全特殊法人の経営の見直しをやりたい。特殊法人の機構いじりについては、もうすでに五十九年までの機構の整理案というものがあって、一刻も早く整理をすると同時に、全特殊法人の経営の見直しというふうに言われているわけでありますが、その経営の見直しというのは、財務会計の点検調査に乗り出された、こういうふうに一部報道がありますが、その目的というのはどういうことなんでしょうか。
  212. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財政的にも非常事態になってまいりまして、政府の正しい政治の姿勢はいずくにありやという課題が迫ってきておるわけであります。そういう面からも、先ほど申し上げましたように、中小企業の皆さんがこの石油危機を乗り切るために努力をされた、その姿そのものを政府も実行しなければいけない。そういう一つとして、国有財産も売りなさい、あるいは特殊法人も利益があるものはこの際国家にお出しください、あるいは出資金等も民間に肩がわりできるものは肩がわりしていただいて、公債を減らすお金にそれを充てたい、そういうような政治として国民が納得していただける姿勢を示して、そして当然やるべきことをやっていきたい、そう考えてやっておるわけでございます。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、経営改善ということも含めて、民間の方では出血するようなそういう努力がなされているから、特殊法人といえども、やはり国として当然経営改善と同時に経営の努力向上に資するという意味も含めて、財務会計の点検をされるということになったわけでしょうけれども、いまあなたがおっしゃるように、非常に利益の上がっている特殊法人、これもあります。また余り利益が上がってないという法人もあるわけですけれども、そういう場合において、この利益の上がっているのと利益の上がっていない特殊法人に対する指導監督をどのようにおやりになるつもりなんでしょうか。
  214. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたが、私どもは百十の特殊法人すべてを見ておりまして、しかも先生の御指摘は、いわば積極的に寄与する面と申しますか、利益の面だけの御指摘でございますが、私どもから見ますと、ゼロ決算のところもあれば赤字のところもございますが、赤字のところも節減をいたしますと、国の出資等あるいは補助金等も少なくなりますし、ゼロのところで余裕がございますれば財政に寄与するということも考えられますから、非常に幅広い観点からいま検討をやっているわけでございます。  たとえて申しますと、いままで行政監察で範囲が及びましたのは四十八でございました。前国会ですべてに調査権が及ぶようになりましたので、ちょうどこの機会をとらまえまして全部幅広く見たわけでございますが、たとえばその第一のポイントは会計経理基準のあり方、私どもの監察の結果から見ますと、いままでの特殊法人は経営成績の表示が必ずしも適正ではないのではないか、非常にわかりにくいというようなこともございますので、会計経理基準のあり方等が一つの見方でございます。それから先ほど先生指摘の経営の効率化、合理化、これはいろいろな観点からいままでやってまいりました。そういうものを参考にいたします。三番目に、先ほど大臣からお話しございました剰余金の処分等の方法が特殊法人によってパターンがいろいろございます。そういうものからの見直しもございます。それから民間能力の活用のあり方等からの合理化への寄与といった観点等々がございますので、そういう面にわたりまして一わたり特殊法人全部から資料を集める、いまその分析、検討をやっている段階でございます。先生指摘の面の赤字法人もあるのじゃないかということでございますが、全般広く見ている次第でございます。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 百十の特殊法人を一遍に調査するということは、人員的な観点から言うとなかなか無理だと思うのですけれども、いま手をつけられて調査の対象とされているのは大体何カ所くらいでしょう。
  216. 中庄二

    ○中政府委員 ただいま百十の法人から基礎的な事業の概況その他組織の問題それから財務諸表を取り寄せまして全部を見ているところでございまして、どうしぼっていくのかということはこれからの問題になろうかと思います。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特殊法人の余剰金を国庫に納付させるということなんですけれども、どういうお考えで国庫に納付させるのか。いわゆる納付金制度というものをつくられるのか、あるいは別の考え方に立ってのいわゆる納付の仕方をお考えになっているのか、その点についてはいかがでしょうか。
  218. 中庄二

    ○中政府委員 特殊法人の剰余金の処分の形態につきましては、まず第一の型が、欠損が出てまいりました場合にはその欠損を埋める、その残額を全部国庫へ入れる、こういうものもございます。これは計算の結果の話でございまして、そのまままいります。もう一つの型が、一定の率を積み立てました後、残額を国庫納付、これも計算で出てくるものでございます。もう一つの型が、利益を生じたときにこれを積み立てたきり、こういうものがございますが、これについては何らかの措置が要るかと思います。そのあとの利益金の配当なり分配制をとるものというものもございます。これは個々に細かい問題でございますが、そういう形態がございますが、いま申し上げました第一、第二あるいは第四番目の問題でございますと、既存の現行の法制でもある程度いけるということが言えようかと思います。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第三番目のいわゆる余剰金を積み立てている、そういうような場合にはどうやって国庫に納付をしていただくような方法をおとりになるのでしょうか。
  220. 中庄二

    ○中政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、これから各省とも、大蔵省とも具体的に詰めていかなければならぬ問屋かと思っております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま政府の方では、配置転換をしなければ柔軟な定員管理にならないということから、配置転換計画を各省その窓口をお決めになりましてやっておられるようでありますけれども、その配置転換計画のいま現在の対象人数と、そしてもうそろそろ配置転換というものも結論が出てこなければならないわけでありますけれども、大体どれぐらいの進捗状況になっておりましょうか。
  222. 佐倉尚

    佐倉政府委員 部門間の配置転換は非常に重要な問題でありますけれども、これはまたなかなかむずかしい問題があるわけでございます。実行に当たってまず関係者の十分な理解を得る必要があるわけでございますけれども、そのために関係省庁間で話し合いを進めております。現在、その具体的な要員の異動の折衝を各省庁間でやっている最中でございます。逐次具体的にこれが実ってくるものだというふうに期待をしております。長官からの答弁もございましたけれども国会の附帯決議に「出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわないこと。」というのがございますので、政府としてはその部門間配転問題についてもこうした経緯を尊重しなければならないという立場もあるわけでございます。  ただ、ここでひとつ御理解をいただきたいのは、その部門間配置転換の問題は、定員管理の問題というよりは、むしろ人事管理の問題でございまして、これを円滑に行うためには今後とも各省庁と相談しつつ関係各方面の十分な理解が得られるということが重要だと思うわけでございます。どの程度の実績が見込めるのかというような話でございますけれども、五十五年度はまず初めての試みであるその道づけの年でございまして、個別具体的な配置転換の折衝中であって、現段階でその実績の見込みを申し上げる段階には現在はない、いま進行中であるというふうに申し上げたいと存じます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに出血とそれからまた本人の意思を尊重する、そういう点はこれは当然必要なことでありますけれども、当面、今回配置転換の計画基づいて約二百数十名、これが大体俎上に上がっているわけでありますから、それに対して各省ごとにいろいろ努力をされているわけでありましょう。けれども、現在の進捗は余り進んでいない、そういうふうなことも聞いているわけです。二けたはまだいっていないということで、非常に困難になってきているというのが現状だというふうに聞いております。この問題はなかなかむずかしい問題ですけれども、長官、いまのたとえば各省間のそういう窓口、小さい窓口でなくして、やはりもっと改善をしていかなければならない点があるんじゃないだろうか。そうしませんと、これからそういう問題が行政改革の中にはかなり出てくるわけです。たとえて言うならば、郵政省の貯金局なんかは、今度オンラインシステムにいたしますと、合理化は恐らく数千名ということになるでしょうね。そうなりましたときに、これをどうやるかということについては、当然郵政省がこれから労働組合の方々といろいろ話し合いをするにしても、いまのような小さい窓口ではどうにもならない、行き詰まってしまうというように考えられるわけですが、その点についての長官のお考え方をお聞きします。
  224. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先生よく御承知のことでございますけれども、われわれの努力目標に対しまして現在の進捗状況、必ずしも十分というふうに私ども考えているわけではございません。先ほども申し上げましたけれども、この試みは今年度が初めてでございますので、これからいろいろなやり方、いま先生が御指摘のようなどういうシステムをつくるのが一番いいのかというようなことも今後十分に勉強して、関係方面とも協議をしつつ、そういうシステムも考えていきたいというふうに思っております。受け入れ側とそれを出す側との関連も非常にいろいろございます。それから実際に動く人の希望なりあるいはどちらに向くかといったような素質もございますので、これからどういうシステムを組んでいくのがいいか、各方面からもいろいろと御意見を聞きたいと存じております。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の中曽根行革の大きな柱として、いわゆる世間で言われております第二次臨調の設立ということが今後の行政改革に関する基本的な考え方の中にも大きな柱として残っているわけでありますが、私は、この第二次臨調をおつくりになるということは、やはり第一次の臨調の反省がなければならないと思うわけでありますが、第一次の臨調の実施状況というものについては、もうすでに実施されたもの、あるいは一部実施されたもの、あるいは全然手をつけなかった、実施していない、こういうふうに大別して分かれると思いますけれども、どういうことになっておりましょうか。
  226. 林伸樹

    ○林政府委員 大体実施したものが十一項目、一部実施したものが二十項目、実施していないものが九項目、全体で四十項目でございます。  内容について申し上げますと、部局の整理統廃合及び新設抑制という面では、一省庁一局削減、課室官整理、スクラップ・アンド・ビルドというようなこと、あるいは定員管理体制の確立ということで総定員法の制定、定員削減計画の実施、配置転換制度の導入あるいは行政監理委員会設置あるいは総合開発庁の設置ということにつきましては、実際には国土庁の設置ができた、あるいは消費者行政につきましては経済企画庁国民生活局、物価局の設置、あるいは国民生活審議会の改善等がございます。  それから、一部実施したものでは、審議会の整理統合、許認可の整理合理化あるいは公団、公庫等特殊法人の統廃合、予算の編成及び執行の効率化、貿易関係許認可事務簡素化がございます。  ただ、実施されていないものも幾つかございまして、たとえば内閣府の設置と内閣補佐官の設置あるいは総務庁の設置、地方事務官制度の廃止あるいは行政の公正確保の手続の改革あるいは職階制の実施等、いまだに手つかずのものも一部ございます。  以上でございます。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一部実施したという中には、ほんのちょっと手をつけたという程度のものもあります。実施してないというのは、これは本当に実施してないわけでありますから、この実施していないものの項目で一番大きな項目は何でしょうか。また、これをどうされるのでしょうか。実施していないもの、未実施になっているものについてはどういうふうな取り扱いをされるつもりなんでしょうか。
  228. 佐倉尚

    佐倉政府委員 実施してない主なものは、先ほど官房審議官の方からお答え申し上げましたが、これらの未実施事項あるいは先生指摘の未実施の部分、これをどうするかということでございますけれども、これはいろいろな種類の違ったものもたくさんございますし、またその一つをとりましてもなかなかむずかしい問題が残っているわけでございます。  そういうことで、個々の改革意見に盛られました精神といいますか、そういうものを極力踏まえつつ、答申当時と現在との社会経済情勢、こういったものもいろいろ変わっているわけでございますので、そういうものも考慮しながら、行政簡素合理化に役立つような方向で鋭意努力していくというふうなことでございます。現段階ではそういうふうに申し上げるよりほかちょっとないので、具体的にどの部分をどうせよということは、特に決まっているということではございません。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根さんが考えておられるいわゆる第二臨調が発足をするということになれば、第一次臨調をどういうふうに取り扱われるおつもりなんでしょうか。
  230. 林伸樹

    ○林政府委員 午前中最初の大臣説明にありましたけれども、第一次臨調ができたときには非常に高度成長期でございまして、主たるねらいは民間が非常に技術革新が進み生産性が上がった。ところが役所は旧態依然たる状態であった。しかも、今後行政が非常に急膨張することが予想された。それに対して新たな行政需要に的確に適応するような体制ができていなかったというようなことで、行政を非常に近代化するというようなことが主たるねらいであったわけでございますが、二十年たちまして、現在では全体として低成長に切りかえていかなければならない。しかも、財政再建を抱え、いろいろな行政分野でいろいろなむずかしい問題ができている、あるいは国際関係でも国内問題でもいろいろな困難が今後予想されるということでございますので、一つは従来問題にならなかったような行政の守備範囲をどうするとか、あるいは国と地方の関係、前は軽く触れていますけれども、その辺をもっともっと触れるとか、あるいは第三セクターのあり方についてももっと考え直すとかというようなことで、従来取り上げなかった問題を取り上げる、あるいは取り上げた問題についてももう一度いまの時点でさらに見直してつけ加える、あるいは当時必ずしも情勢に合わないとか、あるいは機が熟さなくて実現しなかった問題についてももう一度見直して、取り上げるべきものは取り上げるというようなことになると思いますが、実際具体的にどういう問題をどういう形で取り上げるかということになりますと、これは選ばれた委員の方々のお考えも踏まえた上で、実際には具体的には決まっていく、個別の問題については決まっていくというふうに理解をしている次第でございます。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえば臨調答申を受けて推進とお目付役だというように言われておりました行政監理委員会、これは第二臨調ができますと、その絡みはどうなりましょうか。
  232. 林伸樹

    ○林政府委員 行政監理委員会は、第二臨調ができますれば一時廃止という方向でいま私ども検討しているところでございます。と申しますのは、行政監理委員会はもともと第一次臨調の答申の中の一項目であったわけでございますが、総務庁もできない、その前に内閣府もできない中で、行政監理委員会が特別に先にできたということは、せっかく答申を出したのにその推進機関がなかなかできないというようなことで、早く行政監理委員会をつくって、これを推進する。経済四団体から申し入れがあったり、あるいは前の臨調の委員から要請があったり、いろいろなことでこれだけを切り離して早くできたという経緯もございますし、またできてからも、やはり行政監理委員会行政改革の推進に非常に大きな役割りを果たしてきた。ところが今度それをさらに発展的解消といいますか、より一層大きな範囲で臨時的な機関としてやるというようなことでございますので、第二臨調ができれば行政監理委員会は一時廃止したい。そのかわり第二臨調の答申が出れば改めてその時点で推進の機関は当然考えなければならないし、第二臨調自体からも同じような意見は出てくるだろうと私ども考えている次第でございます。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政監理委員会は第一次臨調の推進とお目付役で、それはそれなりの役割りをなしてきたわけであります。それを発展的解消ということになりますと、第二臨調の委員というものはこれから選ばれるわけでありますけれども、かなり尊重されるべき地位にあるんじゃないかという私は感じもするのですが、その点はどうなんですか。
  234. 林伸樹

    ○林政府委員 先生指摘のように、ただいまの行政監理委員会委員は確かにりっぱな方々だと私ども承知いたしておりますが、第二臨調はこれまた本当に全政府的といいますか、国民各界各層の中から最高の人を選んでいただく。またさらに委員だけでなくて、各部会をつくっていただきまして、そこにも学者等民間人にたくさん入っていただいて幅広く検討していただくというようなことで、より一層広い検討がしていただける。具体的な人選につきましては、これは私の申し上げるべき事項ではないと思いますので避けさせていただきたいと思います。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど岩垂さんから、委員は七人か九人かということがいろいろ言われているけれども、要するにネックになってなかなか長官がそれに対しておっしゃらないのは、大蔵省との関係が出てくるのではないかと私は思うのです。人数をいまここでお聞きしても、これはもうわずかの時間を待っていただきたいと言われるわけで、それをお聞きすることは差し控えますけれども、各界各層ということになりますと、当然行政改革に対しての大変に大きな視野に立って研究されている学者の方あるいは直接働いておられるところの労働界、あるいは経済界、文化人、中立的な立場の方、言うならば、こういう方々を網羅した委員になるというふうに判断してよろしゅうございましょうか、長官。
  236. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 各界各層から代表的意見を公正に出していただく方で網羅してつくっていただきたいと思っております。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各界各層ということは、いま申し上げましたように、学者とかあるいは労働界とか経済界とか文化人とか中立的な立場の方々、こういうことにならぬと各界各層と言えないんじゃないですかね。ほかに何かありましょうか。
  238. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体そんなところじゃないかと思います。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第二臨調の基本的な命題といいますか、ずばり申し上げてどこに視点を置かれるつもりなんでしょうか。
  240. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これからの日本政府というもののあるべき姿、おさまりぐあい及び行政機能というものがどういうふうにあるのが最も適切であるか、そういうような点について諮問もし答申も得たいと思っております。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この第二臨調の場合には、設置法案というものが出されなければならないと思うわけでありますけれども、その法案のめどをできるだけ早くというふうにお考えになっていると思いますが、長官としてはいつの閣議におかけになって決めたいという御希望なんでしょうか。もうすでにきょうかあしたのうちには委員の構成も決まるし総体的な枠も決まる、言うならば大枠が決まるのだ。こうなればあとは法案を出してどうかひとつ早くということになるでしょうから、その点についてはいつの閣議におかけになるつもりでしょうか。
  242. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま各省間で調整をしておる最中でございまして、いつということをここで明言するわけにまいりませんが、できるだけ早く調整を終えて、そしてできるだけ最近の閣議にこれを付議するように努力したい、そう考えております。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 できるだけ早く、できるだけ最近の閣議というと、十月の二十四日ということでしょうか。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、目下調整中でございますので、日というものを明言する段階ではございません。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第二臨調の答申まで、先ほどの御答弁で約二年間はかかるだろう、こういうことですね。そうしますと、その期間の行政改革がとどまるということになりますと、これについては第二臨調は隠れみのだというような国民的な批判も当然出てくると私は思うのです。  そこで、そうじゃないんだ、そうおっしゃるならば、第二臨調の答申までにどういうことをやらなければならないとお考えでしょうか。
  246. 林伸樹

    ○林政府委員 五十五年行革に引き続きまして五十六年度行革、とりあえずやるべきことを七項目決めたということが一つございます。これについては、すでに一部は、たとえばサービス行政については実施に移しておりますし、その他のものにつきましてもスケジュールを決めまして、各省と鋭意折衝を続けているところでございまして、できれば年末には閣議決定に持っていきたい、あるいは次の通常国会に一括整理法案を出したいということで努力をしているわけでございます。  また、五十五年行革の積み残し法案につきましても、本日もそうでございますが、鋭意努力をするということでございます。  さらに、臨調二年の間でも、二年たたなくても、たとえば一年で考えのまとまるものは途中ででも出してもらって、それを一日も早く実施に移したい。二年たって全部出てくるということでなくて、その途中でも出してもらえるものは出していただいて、それを実施に移していきたいというふうに考えているわけでございます。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 「八〇年代以降を展望した新たな臨時行政調査会の設置について」という行管がおまとめになりました書類なんですが、その中で「行政改革に対する政府の努力は、全体として見ると、なお不徹底かつ部分的な段階にとどまっている面が少なくない。」こう反省されていますね。その点の具体的な問題は何でしょう。
  248. 佐倉尚

    佐倉政府委員 具体的なものは何かというお尋ねでございますけれども、私、考えまするに、具体的にはこれということではなく、やはりいろいろ各方面との折衝等が難航しできていないというものも種々あるわけでございますので、そういうものがそこで指摘されているものというふうに受け取っております。
  249. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法案の方に入ろうと思ったら、大分時間がなくなってきました。今回の法案を閣議決定されましたが、その趣旨の中で「八局以上のブロック機関を配置する十一省庁について個別に検討の結果、行管庁と十省庁のブロック機関等の整理編成を行うこととし、総数三百八機関の一一・四%に当たる三十五機関について整理編成を行うこととした。」とありますけれども、交通、通信の発達した今日、ブロック機関が八局制がいいのか、あるいは十局制がいいのか、あるいは七局制がいいのか、どのように考えておられましょうか。
  250. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまのお話は、ブロックの数の問題と関連するようなお話だと思います。これはやはり国の出先機関、特に管区単位、ブロック単位の機関がどういうふうに置かれるのが適当かという問題でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いままでの沿革等もいろいろありますし、またそれを考慮の外にしましても、その機関その機関によって種々取り扱っている業務が違うわけでございます。そういう点も考慮しますと、日本全国で幾つが適当かということは一概には言えないと思います。現に置かれているブロック機関の数もまちまちでございます。そういうものを勘案しまして一概に言えないわけでございますけれども、ただ、それが不必要にたくさんある必要はないのじゃないかということは言えると思うのです。でございますので、今回お願いしております法案につきましても、必ずしもその数の点は一律にはなっておりません。これはやはりその業務内容によって種々違うという点と、いままでの沿革によって違うということの絡み合いだというふうに私は受け取っております。
  251. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま言われたように、確かに一律というわけにはいかないわけですが、特殊事情を抱えた省庁を除いてある程度まとめていく、そういう趨勢になってきているのではないかという感じがするのですが、その点はどうお考えでしょう。
  252. 佐倉尚

    佐倉政府委員 確かに一部にそういう御意見があります。またその御意見の中にも、検討すべきといいますか、傾聴に値する御意見もございます。ただ数が同じでも、ブロックを形成する場合に、そこに入ります地方公共団体、都道府県の出入りの問題等もございまして、なかなかむずかしい問題がございます。またさらにこの問題を詰めていきますと、一時議論になりました道州制等の問題とも絡みますが、今後どう持っていくかということは、なお各方面の意見を慎重に聞いて検討していく問題だろうと考えております。
  253. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三十五ブロック機関整理することによって、定員の削減というのはどれくらい行われると判断されておりましょうか。そしてまた給与体系はどう変わりましょうか。それから配置転換が果たして必要になるのかどうか。財政効果としては年間どれくらいと見込まれているでしょうか。まとめてお話をいただきたい。
  254. 佐倉尚

    佐倉政府委員 三十五機関簡素化することによって人数がどう浮くのかという点では、私どもの方で定員の問題を取り扱っておりますが、これから五十六年度の予算編成と並行しましてその中で煮詰めていく問題でございまして、現在、何人どうなるということはちょっと申し上げかねる段階でございます。経費の節減につきましても全く同様でございます。  それから、配置転換が必要になるのではないかというお話でございますが、場合によってはごく少数と申しますか、若干の配置転換があるいは必要になる場合も当然予想されます。こういう問題につきましては、五十六年度の予算編成に並行しましてその中で煮詰めていく問題だと受け取っており、鋭意努力しております。後に置く機関をどうするかということと同様に、同時に取り扱っていっている問題でございます。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与体系についても、いままで局であった場合は一等級ですけれども、それが支局長になった場合には二等級となるわけですが、それでは実際に一等級の局長が二等級に格下げされるかといえば、そうではなくして、一等級の局長は次のポストに入ってしまうわけですから、二等級の人が支局長になるということで、結局は余り実損はない、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  256. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまもお話し申し上げましたように、廃止された後にどのような現地事務処理機関を置くか、その体制、内容をどうするかという問題と絡むわけでございます。給与体系というお言葉でございましたが、現にそこにおります職員の給与の格づけがどうなるのかという御趣旨かと思いますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、その機関、その省の配置転換等に関するいろいろな人事上の慣例等もございますし、一概にどうする、こうするということは言えないわけでございます。私どもの方としましては、なるべく簡素な機関を置く、また職員の数等につきましても、できるだけ改革の精神を生かした簡素な方向でやっていただきたいというふうに考えております。特に職員の格づけ等についてどのようになるか、一等級になるのか二等級になるのかという話は、ちょっと具体的にどこをどうということは、これから煮詰める問題でもございますし、また一概に言える問題でもないと思いますので、現段階で特にどこというふうにお答え申し上げられないわけでございます。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行管庁は隗より始めよということで、いち早く管区行政監察局の一局廃止を打ち出したわけでございますが、その内容は、四国管区行政監察局中国管区行政監察局統合して中国四国管区行政監察局にし、四国行政監察支局を置くということになっているわけであります。四国仕事の一部を広島に持っていって、四国仕事を減らすということになるのでしょうけれども、実際に四国と中国、中国といってもなかんずく広島というところです。広島というところでは、交通体系としては独立をしてつながっていないということになりますと、行政サービス低下という問題が大変に心配になるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  258. 林伸樹

    ○林政府委員 先生指摘のように、私ども四国管区も整理対象になるわけでございますが、現在私どもといたしましては、四国行政監察局の事務内容につきまして、先ほど管理局長から話がありましたように、なるべく簡素な組織にしたいということで、五十五年行革の趣旨を踏まえまして、現在いろいろ検討を進めているところでございますが、たとえば、人事会計事務については可能な限り広島にまとめてやれないか、あるいは四国地域における行政監察なり行政相談の年度運営方針、これは各管区でつくっておりますが、年度方針あるいは基本計画、これらの策定を両方一緒に広島にまとめてやる等、少しでも事務簡素化したいということでいろいろ内部的に検討をいたして、一案、二案いろいろつくっておりますが、具体的には年末の査定の段階で決まるということで、それまでにどこまで切り詰められるかということを内部的に検討している状態でございます。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 附則第4に「四国行政監察支局は、昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとする。」そうありますね。「廃止するものとする。」というのは、どういう意味なのか。廃止するというのとどう違うのか、その点についてはいかがでしょうか。
  260. 佐倉尚

    佐倉政府委員 「廃止するものとする」という一般論でございますので、私からお答え申し上げます。  「廃止する」と書いた場合には単純に廃止するわけでございますが、「廃止するものとする」と言った場合には、廃止する際に廃止するかしないかという検討が必要である。言うならば自動的には廃止にならないというのが法令上の「廃止するものとする」という言葉の使い方と理解しております。
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 「廃止するものとする」ということは、五十九年度に見直しをするということですか。
  262. 佐倉尚

    佐倉政府委員 「廃止するものとする」という文言そのものから見直しをするかどうかということは出てまいりませんけれども、実質的にはそういう行為が当然あってしかるべきかと存じます。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大分時間がせっぱ詰まってまいりましたので、急いで一つ一つ聞いてまいります。  各省大変お待たせしました。私の方から質問申し上げますが、後でどうかお答え願いたいと思います。  まず、大蔵省でありますけれども、閣議決定では「北九州財務局南九州財務局とを統合する。」「所在地熊本市」とあります。政治経済の中心市であるという福岡北九州財務局熊本南九州財務局統合したというのはどういう理由なんでしょうかということを大蔵省に聞きたいと思っております。  それから、法務省には「昭和五十五年度末までに、入国管理事務所十四事務所を八局に再編成し、残余の六事務所はその下部機関とする。」いわゆる「(二支局四出張所)とする。」と閣議決定されておりますけれども東京大阪名古屋広島福岡、仙台、札幌高松の八事務所を局に格上げをし、成田、那覇の二事務所支局にし、横浜、神戸、下関、鹿児島の四事務所を出張所に格下げにしております。局に格上げしたりあるいは出張所に格下げしたりしなくても実際にはよいではないか。また事務所のままで統廃合はできないものか、この点についてはいかがでしょうか。  郵政省にお聞きします。  「為替貯金業務の総合機械化に伴う業務処理の変化に対応して、昭和五十九年度末までに、計画的に地方貯金局二十八局を九局に再編成し、残余の十九局を貯金事務センターに縮小改組する。」という閣議決定をしておりますが、郵便貯金のオンライン化はいつ完成の予定であるのか。キー局として九局体制にしたのはどういう理由によるものか。オンライン化に伴いコンピューターを導入し、管理するために局を置く必要はないのではないだろうか。またコンピューター導入によってどれくらいの定員の削減合理化できるのか。またいま問題になっている銀行等の金融機関と郵便貯金の間には、預金獲得のためのホットな合戦が行われておりますが、大蔵省、郵政省との間で何か話し合われ、調整がついたのか、それについてお伺いをいたします。  農水省にお聞きします。  閣議決定は「営林局について、一局の統廃合を行う。」ということだったが、今回の法案では「国有林野事業改善進捗状況を考慮して同法第二条第一項の改善計画につき必要な検討を加え、その結果に基づいて営林局を統合するために必要な措置を講ずるもの」となっておりますが、なぜ表現が食い違ってこられたのか。「必要な措置を講ずる」とは具体的にはどういう内容のものであるか。数のことについては何にも触れていないけれども、いつ整理をされるつもりなんでしょうか。  あと、厚生省もありますけれども、余りたくさんやりますと困りますので、御答弁願います。
  264. 名本公洲

    ○名本説明員 大蔵省におきます南北九州財務局統合でございますが、統合いたしまして熊本に本局を持っていくことにいたしてございますが、これを判断いたしますにつきましては、各地域行政需要、それから地元の実情、それから財務局が、これは非常に古く設置されたものでございますが、古く設置されて現在までに至っておりますところの財務局設置の経緯等もろもろの要素を勘案いたしまして決定をしたものでございます。先生指摘のように、財務局で所管いたしております金融証券関係につきましては、北九州にかなりのウエートがあるわけでございます。そちらの方面の行政需要にも十分こたえられるように、南北両財務局統合いたしますが、そういう面を考慮いたしまして、福岡には支局を置かしていただく、そしてそちらの方の行政サービスに遺憾のないように十分手当てをいたしたい、かように考えておるところでございます。
  265. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 入管関係でございますが、ただいま先生から格上げ、格下げという点がございましたけれども、私ども今回の行政改革趣旨は、戦後三十年たちまして業務量が非常にふえ、かつ業務内容が大幅に変わってきた、そういうところで業務あるいは行政需要の実態に即しまして、地方の入国管理関係の組織を再編成するということにございまして、それは従来の十四の地方の主要拠点、あるいはブロック機関を八つに整理統合することによりまして、地方組織の合理化を図ることと、それから従来本省でやっておりました業務のうち地方に移せるものをできる限り地方におろして、業務処理の合理化と迅速化を図るという趣旨のものでございますので、全体を通じまして組織の再編成を通じて業務の合理化を図る。それで広域行政の実を上げるということをねらいとするものでございますので、格上げ格下げということで私ども考えてはいないということでございます。  その場合、それじゃ事務所というままで整理あるいは統廃合はできないかという御指摘でございますが、そういう考え方もあり得るかと思いますが、でき上がりました再編成の結果というものは、この八つの局に見合うところは大体局ということで呼ばれておりますので、私どももそういうふうな言葉を使うのが適当であると考えているということでございます。
  266. 野田玄武

    ○野田説明員 まずオンラインの完成時期でございますけれども、現在のところ五十八年度末をめどに完成する予定でございます。  それから第二番目に、九局にした理由でございますけれども、現在郵政省において進めております替為貯金業務のオンライン計画を簡単に申し上げますと、替為貯金業務のうち現在二十八局の地方貯金局で行っております利子計算、原簿記録等の事務東京名古屋等九カ所に集中いたしまして、オンラインにより処理をしようとするものでございます。したがいまして、この九カ所を地方貯金局としたのでございます。  なお、この九カ所にした理由でございますけれども、機械化するについての経済性、障害対策上の危険分散、システム運営上の利便性及びシステムの規模による技術面等を考慮して九カ所にいたしました。  次に、この減員の数でございますが、この九カ所に集中してオンライン化をすることによりまして、地方貯金局の職員約一万五千名のほぼ二〇%に当たります約三千名の要員の節減が可能になると思っております。  次に、九局に縮小するのであれば局として置く必要はないのではないかという御質問でございますけれども、実は先生指摘のように、計算事務をコンピューターで処理するための人員だけでございますと比較的に少人数で終わります。しかしながら、それぞれの局には計算事務のほか、利用者への各種通知書等の発送、送付事務、利用者からの各種届け書等の処理事務、それからオンライン化されない業務の手作業事務、証拠書類の整理保管等がございまして、これらの事務を処理するために相当数の職員が必要でございます。最終的に一局平均約七百名程度の規模になる予定でございますので、したがいまして、これらの九局は地方貯金局として存続することにした次第でございます。
  267. 小倉久弥

    ○小倉説明員 郵便貯金と銀行預金等に絡みます大蔵省と郵政省の間の調整について簡単に御説明申し上げます。  これはグリーンカード制度に関します所得税法の改正の中身についてでございますが、これは前通常国会でグリーンカード制度の中の取り扱いということで、郵便貯金につきましても、また銀行預金につきましても、それぞれの取り扱いが所得税法で決まったところでございますが、この改正内容に若干不満があると称されておりますところの民間金融機関団体等からいろいろ要望が出ておりまして、この要望を拝見いたしまして、大蔵省から、法律改正内容はそれはそれといたしまして、そのほかにさらに郵便貯金の預入限度額の管理を強化してほしい、このようなお申し出がございました。これにつきまして大蔵省、郵政省両事務当局間でいろいろと協議、お話し合いをいたしまして、私ども郵政省といたしましても、郵便貯金の限度額管理につきましてはいろいろと最近論議がされておりますけれども、さらに国営事業である郵便貯金に対しますいろいろな懸念あるいは誤解というものが仮にありとすれば、これを払拭する必要があるということを考えるにやぶさかではございませんので、両省協議いたしまして、その結果といたしまして法律で定まっておりますグリーンカード制度を実施いたしますほか、法律規定はございませんが、昭和五十八年までに預入されました郵便貯金につきましても、五十九年以降払い戻しの際に仮に架空名義等のものが発見された場合には国税庁に通知するということ、それからまた五十九年以降の郵便貯金の名寄せにつきましては、グリーンカードの番号を用いまして名寄せをするという方向で検討するというようなこと、この二項目を両省間で合意いたしまして、さらに一層郵便貯金の預入限度額の管理を励行していくということで合意したものでございます。
  268. 須藤徹男

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  先生の御質問は、閣議決定とこの法案の表現が異なっているがその理由はどうかということと、「営林局を統合するために必要な措置」とは具体的にはどのようなことか、この二つであろうかと思いますが、それについてお答えいたします。  現在、国有林野事業におきましては、昭和五十三年七月に公布、施行されました国有林野事業改善特別措置法に基づきまして十カ年間の改善計画を策定いたしまして、これに即しまして鋭意経営改善に取り組んでおるわけでございますが、着実な成果を上げつつあるところでございます。  そこで、改善計画についての見直しでございますが、この改善計画についての見直し検討は、国有林野事業改善特別措置法附則第二項に定められておりますとおりきわめて幅広い範囲のものでございまして、その検討結果が出ないうちに統合する営林局の数が明示されるというのは適当ではないとの判断を踏まえての法文化されたものであるというふうに理解しておるところでございます。  また、「必要な措置」といいますのは、政府が営林局の統合に当たり講ずべきとされております措置を指すものと理解されておりまして、その主なものといたしましては、先ほど申し上げました国有林野事業改善特別措置法に基づきます改善計画についての所要の変更。もう一つ統合対象となります営林局の名称なり位置、管轄区域等の事項についての立案及び所要の法律案の整備などであるというふうに考えております。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ちょっとお聞きしまして、まだいろいろ質問したいことがありますが、時間になってきたようでございますので、最後に行政管理庁長官にお伺いいたします。  これは全く今回の話とは違うわけでありますけれども、今国会においていろいろ憲法論議がなされております。そしてそれをめぐっての改憲論議が盛んにされておるわけでありますけれども、以前から私は、中曽根さんは自主憲法推進論者、もう非常にいろいろの場所において自主憲法を推進するという立場で進めてこられたと聞いておりますし、私もそう認識しておりますけれども、この間、実は予算委員会のテレビを見ておりましたところが、中曽根長官質問がいかなかったために、はたから見ておりますと一百申し上げたいというようなお顔をされておられたように思いますので、国務大臣としてのいわゆる改憲論議に対する所見をお伺いします。
  270. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鈴木内閣の閣僚でおる間は総理と同じ言葉をもってお答え申し上げたいと思う次第でございます。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、鈴木内閣でなくなりますと自主憲法を推進をしていく、こういうことでございましょうか。
  272. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大臣をやめまして自由な身になりましたら、自分の所信に従った行動を自由にやってみたいと思います。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根さんはニューリーダーと言われております。少なくとも中曽根さんに対して総裁・総理ということの射程距離もかなり近くなってきているというふうにも言われているわけでありますが、あなたは個人的に言うならば推進論者であるということは、あなた自体がそういう立場になったときにはどのようにされるのでしょうか。
  274. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 将来の仮定の問題には御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上をもって質問を終わります。
  276. 江藤隆美

    江藤委員長 神田厚君。
  277. 神田厚

    ○神田委員 地方支分部局整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案についての御質問を申し上げます。  この法案に入ります前に、この国会で初めての行政改革に対する質問でございますので、行政改革に対する基本的な考え方等も含めましてこれから御質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、中曽根長官は七月十七日就任直後の記者会見におきまして、「行政改革は今内閣の最大の課題の一つ国民の強い要望もあり、誠心誠意、一生懸命その実を挙げていきたい。行革は内閣全体としてやっていかねばならず、初閣議の席上、首相が陣頭指揮で声をかけてくれと(鈴木首相に)お願いしてきた。」このような抱負を述べておられました。鈴木内閣の行政改革に対する姿勢につきまして、鈴木総理が陣頭指揮でこの行政改革に取り組んでくれというふうなお話を長官はしたようでありますが、その後の総理の姿勢と長官とのこのやりとりはどういうふうになっておりますか。
  278. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行管長官を引き受けます際に、総理にお願いをいたしまして、これは最大の重要問題であると自分は心得ております、これは内閣が一体でなければとても私ごとき微力の者にはできることではありません、願わくは総理が陣頭に立ってわれわれを指揮していただきたい、そういうふうにお願い申し上げた次第でございます。
  279. 神田厚

    ○神田委員 そういう経緯の中で、鈴木内閣が長官の要請のとおりに全力でこの行政改革の推進に取り組むような姿勢になっておるでありましょうか。
  280. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 総理は施政方針演説でも申し述べましたように、非常な熱意を抱いておられまして、私と総理との間には一ミリの狂いもございません。
  281. 神田厚

    ○神田委員 それでは、新しい内閣のもとで、しかも国民が注視をしているこの行政改革の推進をしていかなければならないわけでありますが、この行政改革については、過去何度か具体的ないろいろなものが出ましたけれども、実行するにはむずかしい問題がたくさんありまして、なかなかその実を上げることができていないというのが現状でありますが、中曽根長官行政改革に対するみずからの決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  282. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革は、現下の政治的課題の中で最も重要なものであると私、心得ております。特に財政再建、財政非常時というこの事態を前にいたしまして、政府がみずから姿勢を正してやるべきことをやるということは政治の筋道であると心得ております。したがいまして、八項目にわたる大体の大綱を整えまして、いま逐次実施に移しているところでございまして、内閣一体になりまして真剣にこれを遂行していく決心でございます。
  283. 神田厚

    ○神田委員 五十五年の九月十二日に行政管理庁は、「今後の行政改革に関する基本的な考え方」という文書を発表しております。この中に「当面の検討課題」といたしまして七項目、さらに八〇年代以降の問題として第二次臨調の設置、こういうふうなものがうたわれておりますが、この関係につきまして二、三質問をさしていただきたいと思います。  まず、「「行政サービス改革」の推進」ということを非常に大きな目玉としてその第一項目に挙げておりまして、長官もあらゆる機会に、行政サービスをもっと向上させるんだ、行政サービスの改革をするんだということを言っておるようであります。そしてこの行政サービスの改革の推進に当たりまして、行政管理庁長官みずからが、あるいは行政監理委員みずからが全国を行脚して各地で国民の声を聞き、行政の現場をよく見て歩くんだということも言っておるようでありますけれども、具体的にどういうところをどういうふうに見ようとしておるのでありましょうか。
  284. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さきに、九月十六日でありましたか、行政サービス改革に関する閣議決定をいたしまして、大体の方向を打ち出しました。それに基づきまして各省庁におきましてはそういう推進の委員会をつくっていただいて、また地方もこの線に沿ってやるように自治省を通じて要請もいたしておるわけでございます。それで、中央省庁におきまして連絡会議をつくって、すでに第一回をやったと思いますが、その線に沿って各省とも責任者も決めて励んでいただく。また支分部局にもそれを示達していただき、公社、公団にも監督下にあるものについて御指示を願う。各府県におきましては、各官庁で同じく推進の連絡協議会等を地方公共団体も御参加を願ってやっていただいて、「一、二、三」で一生懸命やっていただこう、そういう努力をしております。  それにつきまして、先般名古屋大阪へ出かけまして、午前中は政府関係機関や公共団体、公団の皆さんにお集まりをいただいて、今回政府はこういうことを決定してやっておりますから御協力願いますということで、その趣旨をよく説明をし、また午後は民間団体にお集まりをいただきまして、今度はこういうことをやり始めております、いろいろ御注文、御苦情があったらここで十分聞かしてください、きょうは注文取りに来ました、そういうことでよくお話を承らしていただき、こういうふうに始めましたからよく監視してください。  それで、行政管理庁としてはこの十二月までに実行している状況を点検し、中間報告を各県の監察局を通じてわれわれは得たいと思っております。そして来年の三月を一応区切って、よくやっているところあるいはやり足りないところ等々を一々評価をいたしまして、いいところは表彰するし、悪いところは大臣を通じて注意を与える。そういうようにして、今回は信賞必罰を伴って実効性を上げるように努力したい。そのことは各府県の行政監察局にも具体的に指示いたしまして、その評価の方法とか標準のとり方とか、そういうものについてこれから具体的に指示してやっていこう、そう思っておる次第でございます。
  285. 神田厚

    ○神田委員 「「行政サービス改革」の推進」ということを改めてここで取り上げて、しかも閣議決定までして全国的な運動にまでしていく、こういうふうなことのお考えのもとはどういうことなのでありましょうか。
  286. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政の本質論に関係いたしますけれども行政の本質というものは、恐らく統治行為、政府の政策推進ということを受け持っておって、その推進するについての道具、機構、それからそれを行う機能、ファンクションと申しますか、そういう面が一面にあります。それについては、いわゆる権力的行政とか誘導行政とか福祉行政とかいろいろ行政学的には分類できると思いますが、受ける住民の側及び公務員それ自体の本質等を見ますと、憲法に明記してありますように「公務員は、全體の奉仕者」である。「奉仕」という言葉で規定されておるわけであります。そういう面から、行政の一面は、国民から見ればサービスを受ける、そういう面もございます。憲法によれば、その権力は国民に発し、そのベネフィットは国民が受ける、そう書いてある。国民主権でございますから、国民が中心にあるわけでございまして、したがって、政府の機構というものは国民に奉仕する、そういう面が非常にあるわけです。治安維持というようなことも、これは国民に対する奉仕であると思います。  そういうような考えに立ちまして、サービスという概念をもう一回見直して、そして公務員自体の心構え、官庁、公団の心構えとしても奉仕優先、それから個々の公務員もそういう倫理性あるいは奉仕というものを中心に一生懸命勤務していただく、その点がわりあいにいままで自覚が足りなかったように思いますし、政府は強調していなかったように思うのです。ややもすれば、行政改革と言えば機構いじりとかあるいは綱紀の粛正とか、そういうことのみが中心にあったように思いますが、本質的にはサービスの改革である。国民の皆さんの側からすれば、税金を出していて何の恩恵を受けるか。具体的に言えば、サラリーマンが出生届を出しにいったときにどういうふうに親切に教えてもらい、それが受理され、有効に発動されたか、そういうことにあると思うのです。そういう点について細かい配慮をして、税金を納めておる皆さんが、ああ納めておるかいがあったな、個々のケース、ケースについてそういうお気持ちを持っていただくように指導していくのがわれわれ政府の責任である。そのことを強調して公務員の皆様方に御精励を願おう、そういう考え方に立脚しているわけでございます。
  287. 神田厚

    ○神田委員 この行政サービスと同時に、ここにも述べられておりますけれども、「公務員倫理の高揚」ということをしていかなければならない、こういうふうな形で公務員の倫理の高揚の問題がここに出ております。すでにやみ給与や空出張、そういうもので公務員に対しまして国民の側からは非常にそういう意味では信頼を失ってしまっている関係がございますが、こういう形で公務員の倫理の高揚をお取り上げになったのは、それなりの理由があるはずでありまして、そのことにつきましてはよくわかるのでありますけれども、それではこの公務員の倫理の高揚に具体的にどういうふうにして取り組んでいくのか。大きく三つぐらいの項目が出ておりますけれども、どうも非常に抽象的で大変わかりづらい。この問題は具体的にどういうふうな形で指導していかれるおつもりでございますか。
  288. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは公務員の皆さんに心構えとしてまず自覚を高めて実践していただくということでございますから、所轄庁がその自分の責任範囲について皆さんとよく話し合って、そしてこれが正しい、あるべき姿であるという自覚を高めていただく、そういうことを繰り返し繰り返しやっていただいて、そして国民の皆さんの期待しているような綱紀の粛正された形で円滑に行政が行われるようにしたい、そう思っておる次第でございます。
  289. 神田厚

    ○神田委員 そのほか、法令の廃止や許認可の問題、さらにたくさんございますが、この点につきましては、先ほど公明党の鈴切委員の方から質問もありましたいわゆる四党合意行政改革に対する申し入れ書もございますので、その関係につきまして、四党合意を中心に少し細かくわれわれの考え方と、政府の見解を聞いていきたいと思っております。  この四党合意に先立ちまして、わが党といたしましては、五十四年十二月二十四日に行政改革についての政府への第二次提言というのを出しております。この中で、いわゆる中央省庁の問題、さらには特殊法人の問題、さらには審議会あるいは公務員の定員の問題、それから各種補助金の問題あるいは許認可事項の問題等につきまして提言をしておりますが、その内容の延長といたしまして四党合意を中道四党でつくりまして御提言を申し上げた次第であります。  この四党合意行政改革に関する問題につきましては、私どもは、やはり行政改革は勇断をもって断行しなければならない、そしてしかもその実効あらしめるために、いわゆる時間かせぎやあるいはごまかしではなくて、きちんとした、しっかりとした姿勢でこれを実行していただかなければならない、こういうふうなことをまず基本に置いているわけでありますけれども、この行政改革に関する四党合意、長官もすでに御案内と思いますけれども、どういうふうにお受け取りなさったでありましょうか。
  290. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四党の合意につきましては、この御提示と御説明をいただきまして、しさいにこれを検討いたしましたが、苦心の御労作であると敬意を表しておる次第でございます。かなり周到にいろいろ目を配って、かなり勇断をふるった結論をお出しになっておりまして、私たちもこれを拝読して非常に叱咤激励されたというのが実際の所感でございます。これらの点につきましてはできるだけその趣旨を尊重いたしまして、実現に移すことができるものは実現に移していきたい、誠意をもって努力してまいりたいと思っております。
  291. 神田厚

    ○神田委員 この四党合意の中のそれぞれの問題につきまして、少し詳しく御質問を申し上げたいと思っております。  まず第一には、中央省庁の機構の整理ということをうたっております。このことはすでに鳩山内閣のころからの行政改革がありまして、鳩山内閣におきましては、行政改革を最重点の課題としてこれを取り上げ、各行政機関の課の二割の削減を断行したのであります。しかしながら、これによって九百二十六の課が七百三十四に減ったのでありますけれども、その内容は、課が室とか官に衣がえをしただけで、実質的な効果が上がらなかった。さらに、三十九年には臨時行政調査会の答申が出されて、中央省庁の改革の問題についての必要性が指摘をされましたけれども、しかしながらこれも中途半端になってしまいました。ほとんど実現をされなかったのであります。そしてこういうような形で佐藤内閣に入りまして、一省庁一局削減、こういう問題が提案をされまして断行されましたけれども、これも非常に内容が乏しいものであった、田中内閣においては逆に国土庁が新設されてしまう、そして福田内閣におきまして今度はこれをまた新しくやろうと思いましたけれども、いろいろな反対があってうまく動かなかった、こういうふうなことがありますので、中央省庁の機構の整理というのは非常にむずかしい問題になっております。しかしながら、われわれとしましては、たとえば国土庁の問題等を初めとしまして、この中央省庁の機構はどうしても五十九年度までに約一割程度の削減を断行しなければならない、こういうことを提案をしているわけでありまして、中央省庁のいわゆる機構の問題につきましてはどんなふうなお考えでございましょうか。
  292. 佐倉尚

    佐倉政府委員 四党合意についてでございますが、ただいまの中央省庁の機構の整理につきましては、今回の行政改革においては、機構いじりよりも、むしろ仕事減らしに重点を置くという大臣からの御指示もございまして、中央省庁の組織につきましては各省庁がそれぞれの組織を自主的にあるいは計画的に最も時宜に適した、現在に合うような状態に改編を行うような仕組み、そういうシステムを導入してみたらどうか。そしてたとえば定期的に、何年かで各省庁を一巡するようなシステム、これはイギリスなどで行われているわけでありますが、そういう物の考え方でやってみたらどうかというふうに考えております。  これからの問題でございますけれども、いま申し上げましたように、自分の省庁のことを自分で自主的に、計画的に組織再編をやらせるような、やってもらうような推進策、そういうシステムを取り上げて推進したいと考えておるわけでございます。
  293. 神田厚

    ○神田委員 自主的に各省庁に任せてできるということならば、何もそんなに大上段に振りかぶっていろいろな苦心をしながらやらなくても済むのでありますが、結局各省庁がそれぞれ自分たちの組織の中で人減らしをし、行政改革をきちんとやるんだという姿勢がはっきりしていれば、行政改革というのは余り騒がなくてもできるわけでありますから、それができないというところが問題なんでありまして、私はやはり行政管理庁が、その責任の上におきまして、大胆な形で中央省庁の機構の簡素化あるいはその廃止統合、これを研究をしていかなければならないのではないか、こういうふうに思っている次第でございます。  御答弁が同じような平行線でございましょうから、続いて地方の出先機関の問題に移らせていただきます。  地方出先機関は、すでに御案内のように中央省庁が各地方に膨大な出先機関を持っている、北海道全部を管理する北海道開発庁、こういう大きなものもあれば、郵便局のようなところもあるということでございまして、全国に実に二万六千カ所以上もの地方出先機関がある、こういうふうに言われております。この地方出先機関の中にいわゆる自衛隊や五つの現業関係、国立学校、病院、こういうものを除いた一般職の国家公務員の八六%、つまり二十二万六千人余りがあるわけでありまして、この地方機関の問題を抜きにしまして行政改革はできない、こういうふうにわれわれは考えているわけであります。したがいまして、この問題につきましては、行政簡素化、中央地方との二重行政をやめさせる、そして地方分権を進める、こういう形から、現業関係を除いて原則として廃止の方向に持っていかなければならない、そういうふうなことで、われわれとしましては、これについての要求をしていっているわけであります。その事務は中央から地方に移管をする、そういう行政指導をしていくべきである、こういうふうに考えているわけでありますけれども、その点につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  294. 佐倉尚

    佐倉政府委員 地方出先の問題に入ります前に、先ほどの私のお答えで、各省庁自主的にと申し上げましたのは、もちろん行政管理庁、私どものところは行革を推進するのが任務でございますから、手をこまねいて各省にお任せをするということでは決してないのでございまして、当然各省庁の仕事あるいは機構、そういうものを十分に精査し、各省庁と一緒に、こちらの考えも言い、さらに自主的に計画的にということでございまして、私たちの方が十分関与した形での自主的、計画的組織の再編ということを考えているということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。  それから、ただいまの地方出先の原則的廃止の問題でございますけれども、その事務を主として地方に移譲せよという御提言のようにお伺いします。  この問題は確かに大問題でございまして、国と地方との任務の分担あるいはそれに伴います財源配分の問題、それから広域行政の対応の必要性等の基本問題がずいぶんあるわけでございます。なおかつ地方公共団体の方の受け入れ体制の問題あるいは住民国民行政の接点である、そういう地方の問題でございますから、その利便等いろいろと検討すべき問題がまたその機関によって非常に違うわけでございます。そういうことでございますので、これを一律に廃止するというようなことはなかなか困難な面があるというふうに考えますけれども、御趣旨は非常によくわかりますので、今後十分検討していきたいと思います。
  295. 神田厚

    ○神田委員 趣旨がわかって検討していただけるというのは大変ありがたい話でありますけれども、そういうことについてはずっと前からわかっているわけで、それができないこと、そのことを取り除く、推進していくことの方が大事なんでありますから、その趣旨を尊重するということではなくて、どういうふうにしたら実効が上がっていくかという考え方を進めていかなければならないと思っているわけであります。  私は、各出先機関が全部だめだと言っているわけではないのでありまして、たとえば郵便局や税務署や気象台、海上保安部、こういうふうに国民生活に密着をしている大変に大事なものもあるわけであります。しかし反面、その存在意義が非常に疑問なものもたくさんあるわけでありまして、そういうものについて早くこれを廃止して、あるいは地方に移管をするような形に持っていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。  この問題につきましては、きょう出されております法律の方とも関係がありますように、わが党はずっと何年も前から、まず行政改革は隗より始めよということで財政再建を主張している大蔵省行政改革の推進母体である行政管理庁、この二つのところがまず自分たちの地方の出先機関から手をつけなければだめなんだという話をしてまいっているわけでありまして、今回、特に行政管理庁関係ではいわゆる行政監察局の問題が出てまいっているようでありますけれども、こういうふうな形で、できるところからこれを断行していってもらわなければならない、こういうふうに考えているわけであります。そしてすでに政府は、昨年十二月二十八日に決定いたしました「昭和五十五年度以降の行政改革計画の実施について」という文書の中で、いわゆる出先機関についての方針を明らかにしているわけであります。一つは、出先機関のうちの最末端に当たる事務所、支所、出張所等については、いわゆる北海道開発庁以下ずっとどういうふうにするかという大方針を出しておるわけであります。先ほどの委員の方の質問にも触れられておりましたけれども、しかしながら、五十五年度中にこれをやるといってもなかなかできてないようなところもまだあるようでございますね。ですから、その辺は、これはどうしてできないのか。「昭和五十五年度以降の行政改革計画の実施について」という発表文書の中で盛られている各省庁の行政改革のうち、計画どおりに推進をされているものとされていないものとがあるわけでありますが、この問題につきましてはどんなふうに把握をなさっておられますか。
  296. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまのお話のように、出先機関と申しましても、ブロック機関あるいは主としてその都道府県単位の機関、それ以下の支所、出張所等いろいろあるわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。ただいま御発言のございました支所、出張所等二百三十機関以上の整理、これは五十五年行革で決めてございます。五十五年度にはそのうち九十六を整理し、五十六年度以降も計画的に推進するというかっこうになっております。  進捗状況がいろいろばらばらではないかという御指摘でございますけれども、主務省庁においていろいろ検討してただいまのこういう数字が出てきているわけでございまして、その機関それぞれの任務あるいはその周りの地元地域との関連性、こういうものが種々ございますので、進捗状況も若干ばらばらになっているということは免れ得なかったのだろうというふうに考えております。
  297. 神田厚

    ○神田委員 若干免れ得なかったということだけではなくて、ですから、管理庁としてはそういう問題についてどういうふうな形で対応なさるおつもりですか。
  298. 佐倉尚

    佐倉政府委員 都道府県単位機関以下の出張所等につきましては、できるだけ廃止する方向で私たちはやってきておるわけでございます。いろいろの出張所等につきまして、廃止がかなり進んでいる部分もございますし、これからというものもございますけれども、そういう方向でやっているわけでございます。
  299. 神田厚

    ○神田委員 どうも何か余りはっきりしませんけれども、どういうふうなところがだめだから行政管理庁としてはどういうふうなことをこの際さらに進めていくのだということの答えがないと、答えにならないと思うのであります。
  300. 佐倉尚

    佐倉政府委員 行政改革計画に載っているものについてはやっているわけでございます。先生の御指摘は、その計画に載っていないものをどうするかという御指摘でございましょうか。——行政改革計画に載っているものは逐次全部やっているわけでございます。
  301. 神田厚

    ○神田委員 先ほど行政改革計画に載っているものは全部そのまま実行されているということではない、若干おくれているものもあるし、いろいろばらばらだという話をしたのでしょう。
  302. 佐倉尚

    佐倉政府委員 都道府県単位機関結論が若干おくれているというわけでございます。これは先ほども議論がございましたけれども行政監理委員会の方であるいは十月中には御提言が出るのではないかという状況でございますので、その御提言を受けて政府としてどのように扱うかということを検討いたしたいというふうに考えております。
  303. 神田厚

    ○神田委員 この問題だけで時間をとれませんので前に進みますが、実施計画が出されてもなかなかそのとおりにいかないというのが行政改革の一番の問題点でありますから、あなたがいまおっしゃったように、この計画にのっとってすべての行政改革ができておるというふうなことではないと思うのです。そういうことで、やはり計画に沿った形での実施というものを心がけていくし、さらに行政管理庁としてはそれを推進していかなければならないと思っております。  次に、国家公務員の定員削減の問題についてわれわれは提言をしております。この問題も、昭和四十四年五月にいわゆる総定員法が成立をしました。そして国家公務員の定員に上限が定められたわけでありますけれども、その後、その計画によって定数削減計画を定めて、膨張した機構やむだな人員を削減していけるはずであったわけであります。しかしながら、ここに非常に問題でありますのは、政府は定数は削減しても実数は減らさないというふうな形でやっているのでありまして、昭和四十三年度から五十四年度の四次にわたる削減計画で、国家公務員は十二万八千四百七人削減されるはずでありましたけれども、実数はこの十二年の間にわずか七千九百二十三人しか減っていないのであります。このことは、政府計画的に削減を行っていると言っておりますけれども、一方では別枠として十二万四百八十四人の新規増員を行っている。つまりそういう意味では、第五次五カ年計画がスタートする五十五年度も七千五百人の削減を公表しておりますけれども、実質は七百七十人の減にしかすぎない、こういうふうにわれわれとしては把握をしておるわけであります。このようにしまして、国家公務員の総定員法というのは非常に問題があった法案であります。しかしながら、膨大なものになってきた行政を何とかしなければならないというふうなことで、せっかくこれを可決していい方向で出そうとしているときに、こういうふうな形で国家公務員の定数の問題につきましても非常に取り組み方の姿勢が悪いとわれわれは判断をしているわけでありますが、この辺につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
  304. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまの定員の問題でございますが、先生のお話のとおり、昭和四十三年から五十四年まで第四次計画で削減してまいりました。先生の御指摘は、削減したにもかかわらず、それとほぼ同じくらいふえているじゃないかというようなお話であると思います。これは、ふえている部分はどういうところが増員になったかと申しますと、まず国立学校、国立病院、療養所、それから航空行政、管制官が中心でございますが、それと登記所というところで五万二千九百三十四人ふえております。その他若干ございますけれども、そういうことでございまして、削減はほかのところでしているわけでございますから、ほかのところはかなりの削減があったわけでございまして、なるべくどうしてもふやさなければならないところへこの削減の定員を回しているわけでございます。  それで、こういうことが可能になるのは、やはり総定員法のおかげでございまして、これは上限が決められているわけでございますので、何が何でも増員をしなければならないところに人間を回すという効果は、総定員法の効果としてあったわけでございまして、この総定員法が非常に機能しているというふうにわれわれは考えております。削減しっ放しでということは、いま私が例に挙げたような、どうしても増員が必要な部分というものには、あるいは看護婦さんの問題とか航空管制官の問題がございますので、そちらがふえているというふうに御理解願いたいわけでございます。これも総定員法の一つの効果であるとわれわれは考えております。
  305. 神田厚

    ○神田委員 行政改革の問題で局長とわれわれとは余り意見が合わないようで、これはともかく少し困ったことになってきたと思っておりますが、われわれとしましても、社会保障関係、医療関係、それから教育関係者、こういうものについてはかなり柔軟な姿勢を持っているわけでありまして、それ以外のところで計画的な削減をちゃんとやっておきながら、その削減をしていないというふうな問題、あるいは別枠での採用、増加をしているというような問題については少し考えなければならぬのじゃないか、同じことじゃないかという話をしているわけでございます。  そこで、ついででありますから御質問申し上げますが、配置転換の問題は、それではどういうふうになっているのか。われわれは行政改革というのはただ単に人を減らすということではなくて、必要なところにはできるだけ多くの人材を持っていかなければならないわけでありますから、この配置転換というのはよほどしっかりと考えていかなければならない。いわゆる研修センターやあるいは配置転換のための教育機関というものを新たに設けて、そして無理のない形で配置転換もやはり同時に進めていかなければならないというような考え方を持っておりますけれども、これらのことにつきまして、どうも配置転換の実効が上がっていない。この辺についてはどういうふうにお考えでありますか。
  306. 佐倉尚

    佐倉政府委員 定員の問題を扱う場合に、特に各省庁間の部門間の配置転換の問題、これが非常に重要である、またこれに積極的に取り組むべきであるということはわれわれもそのように考えております。ただ、部門間の配置転換につきましては、非常な困難がいろいろあるわけでございまして、まず第一に、関係者の十分な理解を得る必要があるわけでございますが、なかなかそういうことで各関係者間の意見が食い違う場面が多いわけでございます。それで、この問題は具体的にいまいろいろ進めておりますけれども、逐次それが結実していくものと期待はしております。  ただ、先ほど申し上げましたように、いろいろな困難がございまして、なかなか実効が上がりにくい。特に今年度はその初年度でございまして、道づけの年とわれわれ考えておりますけれども、これが確かに配置転換される個々人の問題も絡みまして非常に困難な問題であるということは御理解いただきたいと思うわけでございます。
  307. 神田厚

    ○神田委員 そういう原則的なことにつきましては十二分にわかっているのであります。しかしながら、政府は昨年暮れに公務員管理についての政府としての方針を閣議決定しているわけであります。その中で、一つには、五十四年十月十二日の閣議決定の定員削減を着実に実施する、二つ目には、昭和五十五年度増員を厳に抑制し、総数を縮減する、三つには、部門間配転を具体的に実施する、四つには、定年制は早急に具体的方針を取りまとめる、こういう取り決めをしている中で、特にその部門間配転を具体的に実施するという一項目を、これはいろいろな問題があるので入れてきたわけであります。そして、それではその中でこれがどういうふうになされているかというと、しかしながら、部門間の配転については、政府は五十五年度は二百五十四人を目標に省庁間の配転を行うこととしておりますけれども、この二百五十四人というのも、この数字は行政需要が増加して各省庁が受け入れてもいいですよというふうな数字でございまして、どうもこの形からいきますと、そんなに積極的ではない。やはりこの行政改革というのは、これだけの大きなことをやっていこうというときに、配置転換や何かの問題を全然考慮に入れないで、こういう小さな、少しのウエートしかかけてないようなことでは、それの実行はできないというように考えているのですが、いまの局長の答弁も非常に消極的ではなはだ不十分でありますね。
  308. 佐倉尚

    佐倉政府委員 この問題は、先ほど申し上げましたように非常にむずかしい問題でございますけれども、現在各省庁と連絡協議会をつくりまして、鋭意詰めております。その実効が順次実ってくるというふうに期待しております。
  309. 神田厚

    ○神田委員 それはどの程度の目標で、どの程度やろうとしておるのか。
  310. 佐倉尚

    佐倉政府委員 どの程度かということでございますが、いま個人的にいろいろ詰めております。そういう段階でございますので、実績の見込みを申し上げる段階にはないという状況でございますので、御理解願いたいと思います。
  311. 神田厚

    ○神田委員 しかしながら、受け入れの問題と出す方の問題があるわけでありますから、おおよその見当というのはつけてやっているわけでしょう。
  312. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいま鋭意煮詰めている段階でございます。どのくらいの見当かちょっと予測がつきかねる場面もございますので、御理解願いたいと思います。
  313. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、五十五年度の二百五十四人、これよりももっとたくさん人数がふえるということでいいんでございましょう。
  314. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいま先生のおっしゃった数字は、これは受け入れ側の可能数というものを取りまとめた数字でございますので、そこまではなかなかいかないのではないかと考えております。
  315. 神田厚

    ○神田委員 しかし、局長、これは部門間の配置転換を具体的に実施をするという閣議決定がある中で、わずかこれだけの、国家公務員の中の受け入れ規模の二百五十四人にまで満たないというようなことで、行政改革を本気になってやる姿勢があるのかというその姿勢の問題を問われる問題になるんじゃないですか。その辺のところはやはりもうちょっと発想の転換といいますか、しかもこれだけの、閣議決定の中にこういう部門まで入ってきたんですから、やはりやる姿勢を見せなければ、ぼくは配置転換というのは、ある意味では行政改革の一番決め手になると思っているのですよ。そういう姿勢でいいんですか。
  316. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先生の御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、現在各省との連絡会議で具体的にそれを煮詰めている段階であるということでございます。鋭意やっているわけでございます。  ただ、この問題につきましては、先ほども申し上げましたけれども、困難な事情がいろいろあるということでございます。たとえば「公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわないこと。」という国会の附帯決議等もございます。政府も同趣旨答弁を行っております。こうした従来の経緯を尊重していかなければならないという立場にあるわけでございます。そういう事情もございます。  それから、これも先ほど申し上げましたけれども、五十五年度はとにかく初年度でございますので、この問題がどの程度に実ってくるかという道づけの年でもございますので、可能な限り実績を上げられるように、現在個別の具体的な配置転換の折衝中であるということを申し上げたいと思います。
  317. 神田厚

    ○神田委員 この配転の問題はそれ以上の答弁ができないようでありますが、私どもとしましては、この問題につきましては非常に大事な問題だと思っておりますから、いわゆる附帯決議等の問題ももちろんそれは尊重はされなければなりませんが、しかし同時に、やはり行政改革というのはこれを推進していかなければならない。しかも首を切るとかそういうことじゃなくて、できるだけ配置転換をして、しかもお互いのいい形でやっていこうということですから、配転に対する考え方というものをもっときちんとまとめてもらわないと困るとぼくは思うのです。そういうふうなところで、閣議決定の問題もありますけれども中曽根長官としましては、この配置転換の問題についてどういうふうな御感想をお持ちでございますか。
  318. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本年度は二百五十二名でありましたか五名でありましたか、配置転換を行う、そういう目標を立てまして、各省との協議会を開いて、そして鋭意詰めておるところなのでございます。初めてのそういう各省間の折衝でありますので、なかなか難航しているところもございます。やはり強制的なことはできません。そういう状態のもとで、本人本人、一人一人が納得して行っていただくという形になっておりますので、やっている方も非常に苦労してやっておる。それをこちらの方は一生懸命督促して、もう少しふやしてくれ、もう少ししっかりやってくれ、そう言っておるのが実情でございます。これで一たん道をつけたら、次の段階ではその例に準じまして、毎年毎年努力していく道が開かれる、そう思っております。
  319. 神田厚

    ○神田委員 これはただ各省で、おまえ向こうに行けとかそういう話じゃだめなんですね。こういうものについては、現場をかわるわけでありますから、かわるに当たっての研修なり教育なりそういう機関をつくって、喜んでその仕事に対応できるような教育機関をつくって、そして配置転換を促進していかなければならない、こういうふうなことでないかと思っております。そのようなことにつきましては、また後ほど別の機会でわれわれとしましてもいろいろ御提言を申し上げたいと考えております。  続きまして、特殊法人の統廃合の問題につきまして御質問申し上げます。  宅地開発公団、鉄道建設公団、これらを初めとしましてすでに目的を達成したりほとんど機能してない公社、公団、これを中心にしまして特殊法人を速やかに抜本的な見直しを行い、大幅に整理をする、われわれはこういうふうな提言をしているわけであります。このために速やかに特殊法人の整理法案提出をすることを要求したいと思っております。そしてそれらの統廃合は五十七年度までにこれを完了させるようにしたい、こういうことがわれわれの考えでありますが、この点につきましてはどういうふうになっておりますか。
  320. 佐倉尚

    佐倉政府委員 特殊法人の整理合理化につきましては、まず昭和五十五年の行政改革において取り上げられました十八法人の統廃合を着実に実現していくのが現段階の先決の問題であろうと考えております。ただ、その特殊法人のあり方につきましては、今後も絶えず見直して、御指摘の点も含めて今後そのようによく検討していくべき問題だと考えております。
  321. 神田厚

    ○神田委員 特殊法人の総数は百十一と言われている。百十一の数の中で十八をやっていくというわけでありますが、具体的に実現をされたのは幾つでありますか。
  322. 佐倉尚

    佐倉政府委員 百十一から勘定しまして、三つでございます。
  323. 神田厚

    ○神田委員 その特殊法人の内容をもう少し具体的に検討しまして、この特殊法人に莫大な国民の税金が使われている事実はすでに御案内だと思いますが、五十五年では補助金が一兆八千百四十二億円、財政投融資の八〇%を占める十四兆三千四百八十九億円、これだけ投入をされているわけであります。しかも、いろいろな特殊法人がありますけれども、どう考えましてもすでに役割りが済んでしまったりあるいは不必要なところがたくさんある。これに大なたをふるっていかなければ行政改革というのは本当に進まないと私は思うのであります。そういう意味で、一つはこれら特殊法人の見直しを速やかにして特殊法人の整理法案を早く出すべきだと考えますが、その点についてはどういうふうに考えておりますか。
  324. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先ほども申し上げましたように、特殊法人につきまして今後も絶えず見直しを行っていく必要はあると考えております。御指摘の点も含めて検討していくというつもりでございますけれども、現在の段階では五十五年行革に含まれました十八法人の実現が先決の問題であると考えております。
  325. 神田厚

    ○神田委員 その行革の中に含まれた十八の法人の中の三つしかまだできていない。あとの十五についてはどういう見通しでありますか。
  326. 佐倉尚

    佐倉政府委員 二つにつきましては現在法案提出中でございます。それからあと五十六年度に七つ法案提出する予定にしております。
  327. 神田厚

    ○神田委員 残りはどういうふうになっていますか。
  328. 佐倉尚

    佐倉政府委員 五十七年度に二つ、五十八年度に一つ、五十九年度に一つ、六十一年度に一つ、順次そのようになっていく計画になっております。
  329. 神田厚

    ○神田委員 ちゃんときちんと答弁してください。そんなの一遍に答弁すれば二回も質問しなくて済むのですからね。  それから、この特殊法人の場合は役員数が非常に多いということ、それからさらには退職金が非常に多いということ、こういうことが言われておりまして、われわれとしましては、この職員定数の実質的な削減を行うべきだということを主張しております。これらについては、たとえば役員数は非常に多くが、六割以上が高級官僚の天下りだ、こういうふうなこともありますので、これらについてこの役員数の半減と退職金の大幅引き下げ、そして職員定数の実質的な削減というものを考えておりますけれども、それらについてはどういうふうにお考えでありますか。
  330. 佐倉尚

    佐倉政府委員 御質問の事柄はいずれも当庁の直接の所管事項ではございませんけれども、特殊法人の役員数については、やはり昭和五十五年度行政改革において全特殊法人の役員数約八百人のうち百二十二人、大体一五%以上でございますけれども、これを三年間を目途に縮減することとされております。役員数、これは一五%でございますけれども、いまの段階で役員数を完全に半減してしまうということは、業務の円滑な遂行に若干の支障が生ずるのじゃないかとも考えられるわけでございます。  それから、退職金につきましては、従来から引き下げる措置を講じてきておりまして、現状では民間並みの水準となっております。これ以上の引き下げは現在のところは困難であろうかと考えております。  それから、特殊法人の職員の要員管理については、国家公務員の定員管理に準じて削減措置を講じてきているわけでございます。
  331. 神田厚

    ○神田委員 どうも答弁を聞いているあたりでは、大して積極的に取り組む意思もないようでありますが、しかしながら、われわれといたしましては、その法人一つ一つに対しまして洗い直しをしながらさらにその見直しを要求していきたい、こういうふうに考えております。  時間が余りなくなってまいりましたので先に急ぎますが、補助金の問題につきまして御質問をいたします。  この補助金問題も、われわれとしましては、各種補助金を大幅に整理しろ、こういうことを言っておりますけれども、具体的には補助金総額の一割を削減して、補助金件数も三分の一以上に整理をしろ、非常に大ざっぱな言い方でありますけれども、決して根拠がないわけではないのであります。その中で公共事業関係補助金の一括化、新規補助金の抑制、同時にサンセット方式を導入して、これはやはりある程度時限化をしなければだめだということを言っておるわけでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになりますか。
  332. 佐倉尚

    佐倉政府委員 補助金の整理合理化について従来から行革の一環として推進してまいったわけでございますけれども、ことしにつきましても、サマーレビュー等につきましては、各省庁において所管の補助金を根本的に見直して、その結果を各省庁からの概算要求に盛り込んでいるわけでございます。その内容につきましては、現在政府部内において予算の編成過程でさらに一層の検討を加えて、五十六年度予算においてその成果を盛り込む、示すということになると存じます。行政管理庁としましても、今後補助金の整理合理化に一層の成果が上がるようにいろいろと協力していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  333. 神田厚

    ○神田委員 大平内閣におきまして、昨年暮れ補助金の整理合理化案を閣議決定いたしました。その内容につきましては御案内のとおりであろうと思いますが、この閣議決定の中で、一歩前進ではあるのでありますけれども、五年間に件数の四分の一を整理する、こういうふうなことが言われておりますが、金額を基準としていないために、零細な補助金だけが整理対象になっている、こういうことがあります。あるいは名称変更による衣がえのような場合も出てきておる。現実に合理化減額されたはずの林業構造改善事業費補助金などは結局二十九億五千三百万円でありますが、新林業構造改善事業費補助金としまして四十九億六千万円つけられて名称を変えて出てきているような状況がある、こういうことで、われわれとしましては、補助金の問題につきましては、やはりここに出ておりますように、つまりサンセット方式等を導入しながらその効率的な運用を要求していきたいというふうに思っておりますが、いかがでありますか。
  334. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまの問題、主として財政当局の問題でございますけれども、去年の行革で決めましたのは件数で決めたわけでございます。御指摘のような点につきまして、あるいはその方法につきましては、今後とも政府としてもいろいろと取り入れられるものは取り入れて、御指摘の点なども考慮しつつ補助金の合理化に努めていきたいと存じております。
  335. 神田厚

    ○神田委員 やはり件数だけではだめだということですね。実効が上がらないから、それについてもう少し実効の上がる形でやはりそれをやっていってほしいということを言っているわけであります。  続きまして、時間も余り、法案の方にも入っていく関係がありますので、先に各種審議会の整理合理化について御質問を申し上げます。  現在二百十二に上る各種審議会があります。これはこれだけ本当に必要なんだろうか、こういうふうな声がありますし、現実にほとんど機能しないようなものもあるようでありますから、これらにつきましてこの審議会を大幅に整理すると同時に、委員の構成あるいは非常に官製審議会の傾向が強いのでありますから、民意が反映するような審議会に改組するというようなことをしていかなければならない。同時にその審議会の構成メンバーを見ますと、国会議員等も大変入っておりますから、これらにつきましては、さきに「国会議員および行政機関の職員は、原則として審議会等の構成員にしないものとする。」という閣議決定が昭和四十二年と四十四年の二回行われております。こういう経緯を見まして、構成の問題、国会議員をそこに入れるか入れないかという問題も、やはりこの際見直していったらどうかと私は思うのでありますが、それらについてはどういうふうにお考えでありますか。
  336. 佐倉尚

    佐倉政府委員 中央省庁に設置されております審議会につきましては、一昨年の昭和五十三年に全面的な見直しをしました。それで審議会等の設置数を三十六純減しております。それで現在、先ほどのお話のように二百十二という数になったわけでございます。それとともに委員数の縮減あるいは委員構成の改善を行ったわけでございますけれども、活動が不活発なもの、あるいはその必要性の乏しくなったようなもの等について、いま一段の見直しを行うこととしております。中央省庁ばかりでなく、地方支分部局に置かれている審議会等につきましても、また法律によって地方自治体に設置が義務づけられております必置規制のあるような審議会等も今後整理統合していくということを考えるべきだろうと思います。  なお、御指摘委員構成の問題でございますけれども、国会議員が審議会等の構成員として関与することについては、すでに昭和三十九年の臨時行政調査会の答申にも望ましくないというような意見がございました。そういう諸方面の御意見を伺いながら委員構成の是正についても検討してまいりたいと存じます。
  337. 神田厚

    ○神田委員 委員構成で問題でありますのは、審議会の答申や意見を聞く立場である大臣事務次官、国会議員が委員を兼務しているケースが非常に多いのであります。たとえば電源開発調整審議会、国土開発幹線自動車道建設審議会、科学技術会議、貿易会議は、いずれも総理大臣が会長で、各省大臣委員の半数近くを占めている。特に国土開発幹線自動車道建設審議会は、総理以下各閣僚、衆参両院の国会議員十三人、二十七人のうち何と二十三人を国会議員が占めるというような状況になっております。こういうことは、審議会のあり方そのものも非常に問題になってくるわけでありますから、こういうものにつきまして物を言うということはなかなか大変でありましょうけれども、この際、やはり閣議決定もあるし、いろいろな意見もあるわけでありますから、そういうことにつきましてひとつ勇断をふるってこれをやるべきだというふうに考えておりますが、いかがでありますか。
  338. 佐倉尚

    佐倉政府委員 審議会等の委員構成についてでございますが、そのうち、国会議員がその審議会の委員に入ることはどうかという問題につきましては、いろいろ各方面からの御意見もありますし、また閣議でも問題になったわけでございますので、これは国会議先生方のことでございますので、国会の方でもいろいろお決め願うことが適当かと存じますけれども、今後そういう点を含めまして、またその審議会の運営の問題等も含めまして委員構成等もいろいろ検討してまいる、政府としても検討していくことになろうかと存じております。また検討していくべきだと考えております。
  339. 神田厚

    ○神田委員 この問題につきましては、長官はどういうふうにお考えでございますか。
  340. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 審議会の委員につきまして国会議員に関する問題は各党でいろいろ御協議願うのがしかるべきであると考えます。  それ以外の審議会の委員につきましてはお説を傾聴いたしました。よく検討して、御趣旨に沿うようにできるだけ努力してまいるべきであると思います。
  341. 神田厚

    ○神田委員 やはり審議会の委員の二十七人のうち二十三人が国会議員だなんというようなことでは、これは本当に審議会なのか委員会なのかわかりませんから、そんなふうなものはやはり変えていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。  いろいろ申し上げてまいりましたが、さらに許認可事項の整理合理化の問題あるいは行政改革特別委員会設置とかオンブズマン制度の設置とか、いろいろわれわれとしまして要求をしているものがあります。それらにつきまして、特に行政監察委員を置こうというオンブズマン制度につきましてどういうふうにお考えでございますか。
  342. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四党合意のその点に関する御提言は、国会に置くという御提言でございまして、言いかえればパーラメンタリーコミッショナーという性格のものでございますので、それは国会の方でいろいろ御論議願うのがしかるべきで、われわれ行政府としては沈黙を守るべきことである、そう思っております。  行政府内部におきまする問題につきましては、林修三さんにことしの春、夏にヨーロッパへ行ってもらいまして、スウェーデンそのほかも調べてまいりました。この問題については研究会を開きましていま詰めておる最中でございます。
  343. 神田厚

    ○神田委員 この最後の提言になりますが、十番としまして行政改革と地方分権の推進ということを言っております。これは毎年全国知事会が行政改革の問題につきまして提言を行っているわけでありますが、主にこのことはいわゆる行政改革と地方との関係につきましてこういうことをしてくれという要請事項が出ているわけであります。国、地方を通ずる行政事務の再配分、機能分担の明確化、こういうふうなことが中心にいろいろ言われておりますけれども、たとえば五十四年十一月三十日に出されました「地方財政に関する今後の措置についての報告」、この中の行政改革の推進の項目の中で、行政事務の再配分、許認可事務整理合理化、国の出先機関整理縮小、地方事務官制度の廃止という四つの項目につきまして大きく出されており、さらにその細かい問題につきまして二、三付言をされておりまして、国と地方との協力体制の確立、地方分権の推進ということについて触れられているわけでありますが、この問題につきましては行政管理庁としてはどういうふうにお受けとめでございますか。
  344. 佐倉尚

    佐倉政府委員 国と地方公共団体はそれぞれ果たすべき役割りを踏まえながら、お互いに連絡をし、相協力して国民のために福祉の向上等に努めなければならないものであろうと考えております。ただ、住民の身近なところでその住民の意思を反映しながら行われることが望ましいような事務につきましては、地方公共団体の責任において行政が行われるべきであろうかというふうに思いますので、このような観点に立って、地方公共団体への事務移譲及びこれに伴う財源配分等に努めていきたいというふうに考えております。
  345. 神田厚

    ○神田委員 ただ、これらの問題は具体的な提言も入っているわけであります。ですから、それらにつきまして、たとえば地方事務官制度の廃止の問題やあるいはいろいろな問題等につきましても、これらの問題をどういうふうに取り扱っていくのか、その辺のところはどういうふうにお考えでありますか。
  346. 佐倉尚

    佐倉政府委員 国と地方公共団体の事務配分の問題等、あるいは許認可等も絡みますし、また機関委任事務をどうするかという問題、地方事務官の問題は先生よく御存じのとおり非常にいままでも難航している問題でございますので、今後ともそれぞれの部分をそれぞれ十二分に検討していくべきであろうというふうに考えております。先ほど申し上げました基本的な考え方に立って、国と地方公共団体との事務配分等を十二分に進めていくべきだというふうに考えております。
  347. 神田厚

    ○神田委員 かなり時間を使いまして、民社党の行政改革についての政府への第二次提言をもとにし、さらに四党合意の問題につきまして見解をお伺いしたわけでありますが、私はやはり行政改革は決断と実行だ、こういうふうに思っておりますから、絵にかいたモチではなくて、ひとつ実効を上げる形で推進をしていただきたい、こういうふうに考えている次第であります。  長官にお伺いいたしたいのでありますが、先ほど来から議論になっておりますいわゆる第二次臨調でございますね。現在果たして行革推進のために臨調を設置する必要があるんだろうかという議論もありますし、そういう意味から、いまあえて新しい哲学というものをつくるために時を費やす必要はないのではないかという議論もありますが、この第二次臨調についての長官の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  348. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次臨調のときからもう二十年も経過しておりまして、それからその間に石油危機が二回もありました。大激変が社会的にも行われて、日本の社会もこのような高学歴の成熟化した社会にもなり、また非常な高齢化社会を迎えようとしておりますし、コンピューターがこのように発達してまいりまして、プライバシー問題という問題も出てきております。また外国におきましては、情報公開制度というような制度も普遍化してきまして、それが国際問題にもなってきているという状態でございます。この間にあって官業と民業の関係あるいは中央と地方の関係等につきましても幾多の問題点が指摘され、事件が起きてまいりました。そういうことをすべて踏まえまして、過去の実績に立ってこれを分析し、反省し、そしてこの八〇年代の新しい時代、安定経済を迎えるという時代にどういう姿の行政が最も望ましき姿であるかということをまじめに検討する段階に入ってきたと思うのです。いわゆる五十五年行革というのは、鉄建公団とかKDDとかそういう問題が起こりまして、ややもすれば臨床的に急に仕事をしなければならぬという感覚で始まった、動機はそのような感じもいたしております。しかし、いまもっと腰を落ちつけて、そして八〇年代、九〇年代を展望しながらしっかりとした体系を持って、しかもそのしっかりとしたものを持ちながら勇断をふるう、国民の皆さんに全面的に御協力を願う足場もつくってやる、また各党間における協力体制も逐次進めていく、そういう一段とスケールの大きい行革をやらなければならぬときが来た、そう感じまして、第二次臨調という発想をもとにいたしましてそのような政策を展開していきたいと思っておる次第でございます。
  349. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、五十五年行革に盛り込まれた塩とかアルコールという専売見直しども含めまして、第二次臨調にこれらの問題を受けとめさせるというふうな方向になるわけでありますか。
  350. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五十五年行革に盛られたものは実行しなければなりません。それはもう既定の事実としてわれわれは遂行してまいりたいと思っております。官業、民業という関係になりますと、もっとスケールの大きい問題もございますし、将来的展望の問題もございます。そういう点について第二次臨調でいろいろまたお考えを示していただきたいと思っておるわけです。
  351. 神田厚

    ○神田委員 それでは次に、一番後まで残されていてなかなか結論が出ないと言われておりました府県単位機関行政改革の問題で、このたび行政監理委員会が意見書を出すというふうな報道がありまして、五年で府県単位機関の定員を一律一割削減するという報道がなされておりますが、これはどういうふうな関係になっておりますか。
  352. 林伸樹

    ○林政府委員 府県単位機関設置や府県単位機関の改革につきましては、行政監理委員会における審議結果等を待って整理合理化案を立案する、こういうふうに決められているわけでございますが、行政監理委員会におきましては、今年の二月以来関係省庁、地方公共団体の代表者等から精力的に意見の聴取を行うなど審議を進めてきたところではございますけれども、その後国会の解散、衆参同時選挙等、予期しない問題がいろいろ出てまいりまして、結論の取りまとめが若干遅れております。当初六月末ということになっておりましたけれども、おくれてまいりまして、ただいま最終取りまとめの審議が行われているわけでございまして、今月中には御意見をまとめていただけるという見込みでございます。
  353. 神田厚

    ○神田委員 報道されているところでは、統廃合等のいわゆる機構の問題についてはこれをいじらないということであるらしいのでございますが、私は、一連のこの行政改革の問題で機構いじりとか器はいじらないというふうな考え方は、それはそれなりに理屈もあると思いますが、しかしながら、機構をいじらないで本当に行政改革の実効が上がるかどうか非常に疑問でございます。そういう意味では、その点につきましてはこれから機会があるところにおきまして議論をさせていただきたいと思っておりますが、この法案につきまして、一、二御質問を申し上げます。  今度行管と大蔵の両官庁から、いわゆる手をつけるという形で行政監察局、それから財務局整理統合を初めいろいろな法案関係が出てまいりました。この法案成立によりまして行革の効果というのは一体どれだけ上がるのだろうか、つまり定員削減との問題はどうなのか、あるいは経費の節減の額というのは一体どのぐらいになるのだろうか、この辺はどうでございますか。
  354. 佐倉尚

    佐倉政府委員 この法案の成立に伴う効果でございます。これは五十五年行革の趣旨はもともと行政の各般にわたって徹底した簡素化効率化、そういう対策を進めるというわけでございます。今回のブロック機関整理も当然そういう簡素化が図られなければならないと考えておりますので、御指摘のような経費節減効果は期待できるわけでございますが、整理再編後の定員、機構あるいは予算措置等が今回の予算編成過程の中で決まっていく性格のものでございますので、経費節減の具体的な効果についていまお答えできる段階にはないことを御理解願いたいと存じます。
  355. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ御質問申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、行政改革はやる気だというふうに思っております。どうかひとつ実力行管長官でございますから、考えたこと、言ったことが実行できないはずはないと思っておりますので、最後に決意をお聞かせいただきまして質問を終わらしていただきたいと存じます。
  356. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 具体的な貴重な御意見を拝聴いたしました。行革に対する御熱意につきましては改めて敬意を表する次第でございます。四壁合意の線というのはわれわれも共感を持って拝読したところでございまして、できるだけその御趣旨を生かして全力を傾注してやるつもりでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  357. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十三分散会      ————◇—————