○柳谷
政府委員 このたび内閣
委員会の
先生方が各地の在外公館を見ていただきまして、その御見聞によりましていろいろ御提言いただいたこと大変感謝しております。いろいろな御提言を伺いまして、私
どもこれに耳を傾けたいと思っております。
いまその中の定員のお話が出たわけでございますけれ
ども、外交体制の充実というのはいろいろな側面からやらなければなりませんけれ
ども、確かにその中で一番大事なのは、やはり人、最終的には外交は人間だ、人材だということに帰着するわけでございますので、この人材という側面からの体制の充実については特段の努力をしてきているつもりでございますが、その中で幾つかの側面があろうかと思います。
一つは、やはり質の問題でございます。ただ量だけふやせというようなことを私
どもは言ってきているつもりはございません。そのためには試験制度の改革もいろいろやっておりますし、本当に優秀な人材が試験を受けてくれているわけですけれ
ども、もっとそういう人材を試験の
段階から発掘して、一生の
仕事として外務省に入る人間を一層確保したい。
それから、入った人間の研修というのが非常に大事でございます。これにも、入省直後の研修のみならず、赴任前の研修とか中間研修等もいろいろ
計画しておりますが、これはまた若干人間が足りませんと研修に回す人間が出てこないという困難はございますが、研修制度の充実にも努力しているつもりでございます。
それから、非常に重要な点は、淘汰、登用の実行であると思っております。確かに、試験を通ってきた人間は将来の幹部になるべく入ってくるわけですけれ
ども、一回の試験を通った人間がそのままぬくぬくとみんなが幹部になるというわけではない。淘汰ということもしなければなりませんし、また上級試験を通らない専門職試験の者からも優秀な者については選考の上、上級職扱いにする。年々二、三名のそういう扱いをこの十年間やっておるわけでございますが、そういうことをやります。
そのほかに、さらに私
どもは、各省庁から現在在外公館に二百九十五名のアタッシェが来ておられますけれ
ども、こういう方々を初め民間の専門家の方からも、いろいろ専門家として活躍される方を一時的あるいは恒久的に受け入れて新しい血を入れるという努力もしているつもりでございます。
第二には、
一つ申し上げたいのは、やはり私
どもは機械化並びに省力化という努力をいたしているつもりでございまして、たとえば電信量がこの十年間に十倍になりましたけれ
ども、電信官は一割そこそこしかふえていないという
状況でございますが、これは機械化を行ってそれを補ってきたつもりでございますし、それから外務省が抱えている必要がだんだんなくなってきた
業務については、各省庁あるいは民間にだんだんにこれを移す、外務省は総合
官庁として全体の調整に努力するという点に徹するべくいろいろ工夫じてきたつもりでございます。
しかしながら、岩垂
先生御
指摘のように、人員の絶対的不足というのも、率直に言って事実と
考えております。現在、在外公館、それから本省全体のすべての職員を入れまして三千四百八十名という数を持っておるわけでございますが、非常に厳しい中で、
昭和五十五年度も八十名の純増をいただいて大変感謝しているわけでございますが、私
どもから見ると、当初の要求が満額ではなかったという点は非常に残念に思っております。五十六年度の要求につきましては、現在二百名強の要求を出しまして、連日行管当局、財政当局と目下御相談している
段階でございまして、何とかこの要求を達成したいと思っているわけでございます。
そのほかに、私
どもは、御承知かと思いますけれ
ども、かねてから
昭和六十年までに外務省の省員を五千名にふやしたいという六カ年
計画を立てている次第でございます。六十年で五千人では少ないではないか、ほかの国の現在の
状況から見ても、主要国と比べてなお足りないじゃないかという御
指摘もありますけれ
ども、一挙にそうそうは望めないということも
考えまして、
昭和六十年現在五千人という悲願を立てまして、これを
段階的に達成していきたいと
考えておりまして、これは来年の予算だけの問題でございません、数年間にわたる問題でございますけれ
ども、この方も各当局の
理解を得て進めてまいりたいと思っております。
それから、一言つけ加えますと、省庁間の配転ということが最近提起されまして、外務省もネコの手もかりたいと言っては失礼ですけれ
ども、何とか少しでも、一人でも二人でもそういう面からも人を得たいと思いまして、若干余剰が生じた省庁からその配置転換ということもいただきたいと思いまして、現在数名の候補者について相談に入っている。それやこれやを合わせまして、質、量並びに機械化というような点を総合いたしまして、二十一世紀の外交に見合う外交関係の人材の確保ということに全力を尽くしたいというのが私
どもの気持ちでございます。