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1980-11-12 第93回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       羽田野忠文君    長谷川四郎君       吹田  愰君    森  美秀君       森山 欽司君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    竹内 勝彦君       小渕 正義君    中路 雅弘君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         文部省大学局企         画官      井上 孝美君         文部省学術国際         局国際教育文化         課長      福田 昭昌君         文化庁文化部著         作権課長    吉田  茂君         労働省職業安定         局業務指導課長 若林 之矩君         会計検査院第五         局長      小野光次郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経営総務室室         長)      片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (日本民間放送         連盟専務理事) 杉山 一男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     福永 健司君 同月十二日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     小渕 正義君   村上  弘君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   小渕 正義君     木下敬之助君   中路 雅弘君     村上  弘君     ――――――――――――― 十一月一日  郵便料金値上げ反対に関する請願外一件(有  島重武紹介)(第九三五号)  同(大橋敏雄紹介)(第九三六号)  同外一件(岡本富夫紹介)(第九三七号)  同(鍛冶清紹介)(第九三八号)  同外一件(武田一夫紹介)(第九三九号)  同(鳥居一雄紹介)(第九四〇号)  同外一件(春田重昭紹介)(第九四一号)  同外一件(山田太郎紹介)(第九四二号) 同月六日  郵便料金値上げ反対に関する請願坂井弘一  君紹介)(第一一三九号)  同外一件(渡部一郎紹介)(第一一四〇号) 同月八日  郵便料金値上げ反対に関する請願浅井美幸  君紹介)(第一四一二号)  同(鈴切康雄紹介)(第一四一三号)  同(田中昭二紹介)(第一四一四号)  同(竹入義勝君紹介)(第一四一五号)  同(玉城栄一紹介)(第一四一六号)  同外一件(伏木和雄紹介)(第一四一七号)  同(矢野絢也君紹介)(第一四一八号)  同(玉城栄一紹介)(第一四八七号)  同(吉浦忠治紹介)(第一四八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。本件の審査が終了するまで、随時、参考人として日本放送協会当局出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については委員長に御一任願い、また本日、日本民間放送連盟専務理事杉山一男君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 まず、郵政大臣から説明を求めます。郵政大臣山内一郎君。
  5. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十二年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十三年三月三十一日現在における資産総額は、一千八百七十億七千六百万円で、前年度に比し、百四十一億五千万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、七百四十六億一千四百万円で、前年度に比し、三十八億八百万円の減少となっております。  資本総額は、一千百二十四億六千二百万円で、前年度に比し、百七十九億五千八百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産四百九十億八千五百万円、固定資産一千三百六十一億五千五百万円、特定資産十六億五千二百万円、繰延勘定一億八千四百万円であり、固定資産内容は、建物五百二十六億九百万円、土地百五十五億九千四百万円、機械三百七十五億九千四百万円、その他の固定資産三百三億五千八百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債二百五十九億四千三百万円、固定負債四百八十六億七千百万円であり、固定負債内容は、放送債券百六十五億二千万円、長期借入金二百五十四億五千百万円、退職手当引当金六十七億円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金百九十五億四百万円、当期事業収支差金百七十九億五千八百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、二千九十一億二千四百万円で、前年度に比し、百七十六億一千九百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、一千九百三億五千九百万円で、一前年度に比し、二百一億四千四百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は、百八十七億六千五百万円となっております。  これに、特別収入二億九千七百万円及び特別支出十一億四百万円を含めまして、事業収入は二千九十四億二千百万円、事業支出は一千九百十四億六千三百万円で、事業収支差金は百七十九億五千八百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 佐藤守良

  7. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明を申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は、一千八百七十億七千六百万円で、この内訳は、流動資産四百九十億八千五百万円、固定資産一千三百六十一億五千五百万円、特定資産十六億五千二百万円、繰延勘定一億八千四百万円でございまして、このうち固定資産内容は、建物五百二十六億九百万円、土地百五十五億九千四百万円、機械三百七十五億九千四百万円、その他の固定資産三百三億五千八百万円でございます。  この資産総額を前年度末に比較いたしますと、百四十一億五千万円の増加となっております。  これは主として、事業収支剰余金六十二億三千六百万円と、受信料前受け金の増加七億二千百万円などにより流動資産が八十八億三千四百万円増加し、また、当年度建設計画に基づきテレビジョン放送網建設放送設備整備等を行ったことにより固定資産が五十四億八百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、七百四十六億一千四百万円で、この内訳は、流動負債二百五十九億四千三百万円、固定負債四百八十六億七千百万円でございまして、このうち固定負債内容は、放送債券百六十五億二千万円、長期借入金二百五十四億五千百万円、退職手当引当金六十七億円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと、三十八億八百万円の減少となっておりますが、これは、長期借入金減少等により固定負債が五十一億三千万円減少し、一方、受信料前受け金等増加により流動負債が十三億二千二百万円増加したためでございます。  また、資本総額は、一千百二十四億六千二百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金百九十五億四百万円及び当期事業収支差金百七十九億五千八百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、百七十九億五千八百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は、二千九十一億二千四百万円で、前年度に比較しまして、百七十六億一千九百万円の増加となりました。  これは主として、受信料増加によるもので、昭和五十二年四月以降沖繩県の区域における放送受信料額の調整を行うとともに、極力受信者維持増加に努めました結果でございます。  なお、有料受信契約者数は、カラー契約増加等により六十八万件増加し、当年度末の有料受信契約者数は二千七百十一万件となりました。  次に、経常事業支出は、一千九百三億五千九百万円で、この内訳は、給与六百九十九億七千五百万円、国内放送費四百八十三億四千三百万円、国際放送費十一億八千百万円、営業費二百六十二億五千二百万円、調査研究費二十三億五千三百万円、管理費二百三十九億八千九百万円、減価償却費百五十億八千九百万円、財務費三十一億七千七百万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと、二百一億四千四百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百八十七億六千五百万円となりました。  この経常事業収支差金に、特別収入二億九千七百万円を加え、特別支出十一億四百万円を差し引いた当期事業収支差金は百七十九億五千八百万円となりました。  このうち、債務の償還に充てた資本支出充当は百十七億二千二百万円であり、事業収支剰余金は六十二億三千六百万円であります。  なお、この事業収支剰余金のうち二十億一千万円は、翌年度の予算において予定する財政安定のための財源の一部に充てるものであります。  これをもちまして、協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終らせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  8. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院第五局長小野光次郎君。
  9. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 日本放送協会昭和五十二年度決算検査結果につきまして御説明を申し上げます。  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十三年十一月七日内閣から送付を受け、その検査を終えて、同年十二月八日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査をいたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  12. 武部文

    武部委員 私は、最初に、五十二年の予算が通過するに当たりまして幾つかの附帯決議が付されましたが、その中の二つについてお伺いをいたしたいのであります。  一つは、二番目にあります「難視聴解消対策を効率的に推進すること。」という項目でありまして、これは手数料の問題だというふうに記憶をいたしておりますが「政府は、ミニ・サテの利用を促進するため、放送事業者負担をさらに軽減するよう特段の配慮をすること。」という附帯決議が示されましたが、これについて郵政省はどういうようなことをやったのか、最初にこれをお聞きしたい。
  13. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  テレビジョン放送の難視聴解消を図るということでございますが、放送事業者に対しまして、かねてからミニサテ等置局指導を熱心に行っております郵政省といたしまして、ミニサテ置局に伴う放送事業者負担を軽減するということで、決議の趣旨に沿いまして、電波法手数料令というものを五十三年に改正いたしまして、ミニサテ手数料というものを、従来十ワット以下ということで一律に処理しておったわけですけれどもミニサテというのは〇・一ワットと非常に電力も低いということで、従来のおおむね三分の一程度に大幅に減額することといたしたわけでございます。  ちょっと詳しく申し上げますと、改正前は十ワット以下ということで、免許申請料が八千五百円、落成検査料が四万四千円、定期検査料が二万二千円というものであったわけですけれども、五十三年度の改正におきまして、ミニサテに当たります〇・一ワット以下について申し上げますと、免許申請手数料が八千五百円に対しまして三千三百円、落成検査料は四万四千円に対しまして一万四千円、定期検査料につきましては二万二千円に対しまして七千円というような改定を行ったわけ  でございます。  また、補足して申し上げますと、ミニサテ送信装置につきまして型式検定というものを実施いたすと同時に、免許申請等手続簡略化というものにも努めてきたわけでございます。  まずミニサテ型式検定でございますが、五十三年に開始いたしまして、この型式検定機器を使用する、ミニサテにつきましては、先ほど改定いたしました手数料検査手数料でございますが、さらに二分の一にするということでございます。ですから、落成検査料は一万四千円に対しまして型式検定を受けた機器については七千円にする、定期検査手数料も半分にするというようなことをやっております。  また、この型式検定制度の導入に伴いまして申請手続簡略化、もう少し詳しく申しますと、工事設計書の記載の一部あるいは添付図面の一部を省略するという方向で、現在これにつきましては省令改正作業を進めており、すぐにも改正されるという手はずになっておるわけでございます。  また、実際にミニサテ検査に立ち会っていただくわけですけれども、これにつきましても電界強度測定などは省略いたしまして、聴取試験、うまく見えるかどうかというのを主にやっておるというようなことで、いろいろ努力してまいっておるわけでございます。
  14. 武部文

    武部委員 決議が具体化されておりますから、大変結構だと思います。  次、第四番目にあります、これはNHKに対してでありますが「協会は、負担の公平を期すため、受信料未収及び未契約解消を図るとともに、今後の財政の安定化を考究するための措置を講ずること。」という附帯決議がございますが、これについてNHKはどういうことをおやりになったか、これをお伺いしたい。
  15. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生御指摘の附帯決議につきましては、NHKといたしまして、受信料制度協会経営の基盤でございますから、この問題については最大の努力を払ったところでございます。  先生も御承知のように、私どもは、常に事業活動受信料制度についてNHK視聴者との相互理解と信頼ということを深めなければ、この制度維持存続が図れないというふうに考えまして、事業内容周知放送番組利用の促進、それから受信相談など視聴者サービスの向上に努めてまいりましたけれども、五十一年度につきましては、特に受信料改定を行わせていただきましたので、日常の契約収納業務その他各種の広報番組充実視聴者会議その他を通じまして積極的にこの問題に努力いたしまして、受信料負担の公平ということを期した次第でございます。  また、この受信料改定は、五十三年度までの三カ年間の経営計画期間収支均衡維持を図るということでございましたけれども、その後の経済情勢あるいは私ども企業努力等によりまして、五十四年度も受信料額を据え置きまして事業運営を行ったということでございますので、御了解賜りたいと思う次第でございます。
  16. 武部文

    武部委員 協会それなり経営努力をされたことは認めますが、現実には五十五年、本年受信料値上げが行われたわけであります。したがって、この経営努力ということは、これから具体的に項を追って質問をいたしますから、一応お聞きをしておくわけであります。  そこで、五十二年度の決算議題になっているわけでありますが、前年の五十一年に受信料値上げが行われたわけであります。したがって、五十二年の状況というものは、ことし値上げをされた来年に非常に大きな意味を持っておるというふうに私は理解をするわけでございまして、そういう意味から以下質問をするわけであります。  五十一年に値上げが行われてどういう影響が出てきたのか。特に収納状況それから契約件数、そういうものが、五十一年に値上げされて、五十一年もそうでございましたけれども、その直後の五十二年にはどういう傾向になってきたのか、それをちょっと参考人にお伺いしたい。
  17. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃいます五十一年の改定のときでございますけれども、そのときの収納状況は、受信料額改定に伴います説明に現場で時間を要するというようなこと、集金効率の低下などのため、収納率は一時九五%に低下したことがございました。しかし、その後収納努力を積極的にいたしまして、五十一年度の末には九六・五%にまで回復したということでございます。  五十一年について申し上げました。
  18. 武部文

    武部委員 それならば、五十二年はどうでしょうか。
  19. 海林澣一郎

    海林参考人 ただいま資料を出しておりますので、ちょっとお待ちください。――失礼申し上げました。五十二年度におきましても、九六%、九七%、その水準で推移したということでございます。
  20. 武部文

    武部委員 そこでお伺いしたいのですが、今年度受信料値上げをやったわけであります。当委員会で非常に時間をかけてやりとりいたしましたので、そのことを反復いたしませんが、値上げ後の受信料というものは、いまお話がございましたように、五十一年度の例を見ましてもわかりますように、直後は大幅にダウンをするということが今日までの経過として出ておるわけであります。  それで、ことしの論議を通じて明らかになりましたように、意識的な不払い運動が行われておる、具体的な数字も挙げられて、われわれもそういう動きを知ったわけでありますが、今年度値上げをされて、一カ月間の暫定予算を組んだわけでありますけれども、その後五、六、七、八、九、十とすでに六カ月経過をしておるわけですが、値上げ後の受信料収納状況と、それから不払い運動動きについて、協会として把握しておる点を述べていただきたい。
  21. 海林澣一郎

    海林参考人 五十五年度でありますが、今回の改定につきましては、先ほど会長も触れましたように全協会的な努力をするということで、五十一年度にやりおおせなかったもろもろのこと、たとえば事前の周知活動、これは新聞、雑誌などへの広告掲載とか、あるいはNHK電波放送によりまして周知をするというような手をたくさん使いまして、その結果収納活動が順調に進みまして、新料額によります受信料収入はほぼ順調に経過しているというふうに御報告できょうかと思います。一応の定着を見つつございます。  それから、不払いについてでございますが、五十一年度と五十五年度、不払い状況がどうかということは、先生承知のように、まず五十一年度の受信料改定後には、たとえばNHK視聴者会議、これは小金井の佐野さんという方が指導されたわけでありますけれども、あるいは全国放送市民センター、あるいはテレビを告発する会というような三つの団体ができまして、受信料支払い拒否値上げ阻止連絡会議佐野さんが事務局長でやるということがございまして、そのときには、集会がある、あるいはNHKに対する公開質問状がある、あるいはNHKの前でハンストをやるというようなことがございまして、非常に状況が悪うございました。しかしながら、ことしはその点を踏まえまして対策を講ずるということで、五十五年度の今回の値上げについて、特段のこういったトラブルはなかったという御報告ができようかと思います。
  22. 武部文

    武部委員 収納状況が順調で定着しておるということをおっしゃるわけですが、パーセントとしては大体どのぐらいですか。
  23. 海林澣一郎

    海林参考人 九七%でございます。
  24. 武部文

    武部委員 われわれは、値上げ後、それを理由とした不払い運動、あるいは収納状況が非常に悪くなるのではないかということを一番心配したわけですが、いまお答えのように、全国的に九七という数字は非常にいい数字だと思います。大変りっぱな数字だと思います。  私は、一昨日大阪へ参りました。近畿管内というのは全国の中でも特に収納状況の悪いところだということを聞いておりましたので、大阪へ参りまして収納状況をちょっと調査をしてきたわけですが、いま地方局は、大阪と言わず非常に努力しておられるようでありまして、大阪で聞きますと、五十一年に値上げを不満として不払いをやっておったのは値上げの直後約六千件あった、それが今度の五十五年の値上げ後は約千八百件、三分の一に減っておるということでありまして、五十一年とこんなに変わっておるかということがよくわかったわけです。それなり大変努力をしておられるようでありまして、収納状況が私どもが心配したよりも逆にいい方向に向かっておるということのようですが、一層努力をして収納状況の成績を上げるためにさらにいろいろと、困難はあるだろうと思いますけれども努力をしていかなければならぬ、こう思うのであります。状況、わかりました。  そこで、受信料は五十一年に値上げ、五十五年に値上げ、一体これが何年もつだろうか。こういう経済情勢の変転の中で一体NHK経営がこれでいつまで続くだろうか、この受信料でもって何年もてるだろうかということが当委員会予算審議する場合に出たわけであります。いまのところ全く予測はつきませんが、まあ三年、四年、いや、もっともだしてもらわなければならぬという意見もあったわけですが、今後の経営のあり方について、NHKとしてどうかという質問がいろいろあったわけですが、予算が成立した後、NHK長期ビジョン審議会というものを設置されたようであります。七月でありますが、一体この目的はどのようなものであるか、同時に、この内容は何を審議しようとしておるのか、それから委員が二十一人選任されておるようでありますが、この委員の選定はどういう選定方法をとられたのか、視聴者の代表――みんな視聴者かもしれませんが、この中にどういう人が視聴者の代表として入っておるだろうか、そういう点について、まず、協会側の長期ビジョン審議会の設置の目的、内容委員の構成、そういうことについて説明をしていただきたい。
  25. 坂本朝一

    坂本参考人 御質問の点につきましては、先生御指摘のように、協会を取り巻きます経営環境その他大変厳しゅうございますので、将来にわたっての展望を持つという意味で、部外有識者等による委員会等を設けて検討したらどうかというような御指摘もございまして、それで設置した次第でございます。  二十一名の方々の分野といたしましては、学術、文化あるいは経営関係ないしは消費者関係の方々、またはマスコミ、スポーツ関係等々、かなり広い分野にわたってお願いいたしましたわけでございまして、これらの方々は、先生いまおっしゃいましたようにすべてNHK視聴者でもあるわけでございますので、格段に視聴者代表というような形でお願いしてはいないつもりでございます。  そういうわけで、七月から、冒頭申し上げましたような八〇年代を見通しての協会のいろいろな問題について、会長の諮問という形で御検討願おうということで現在運営しておる次第でございます。
  26. 武部文

    武部委員 七月にこれを発足したわけですが、今日まで何回ぐらい持たれたのでしょうか。大体どういうことを――いまおっしゃったように、八〇年代の見通しをしてNHK経営の方針なりということをおやりになる、具体的にもうちょっと言っていただけませんか。
  27. 坂本朝一

    坂本参考人 七月にお願いいたしまして、総会ということで、協会が現在当面しております問題ないしは過去から現在までのいろいろな状況、そういうことを中心に私どもが御説明をし、それに対していろいろの質疑をいただいて、総会的な運営をしてまいったわけでございますが、今月からそれを四つの部会に分けまして、放送、これは番組等が中心になろうかと思います。それから技術、これは御承知のようにいろいろ技術革新等が展望されます、そういう技術の問題、それから当然のことでございますけれども財政の問題、それからもう一つは、やはり受信料制度等を中心とする制度の問題、そういう放送、技術、財政、制度という四つの小委員会を中心に運営をしていただいて、その結果をまた総会で御討議いただくというような段取りにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  28. 武部文

    武部委員 四つの部会ということがわかりました。確かに、NHKがいま受信料だけに頼っておるわけでありますが、後でまた申し上げますけれども、なかなかむずかしい情勢になってくる、こういうときに受信料制度を一体どうするか。コマーシャルの話もまた後で出ますが、そういうようなこともいろいろ論議されたわけでありまして、この長期ビジョン審議会が一年半後に答申をしてもらいたいということがこの発足の中に書いてあるようでございますから、いずれにしても、具体的な問題が出れば、われわれはそれをぜひお聞かせいただいて、今後のNHK経営について私ども意見もぜひ述べたいと思っておりますから、この問題はこれでおきたいと思います。  そこで、実はきょう、問題となっておりました放送大学学園法案が文教委員会で最後の場面になったということを聞いておるのであります。この放送大学というのは、御承知のように昭和四十四年ごろに当委員会で取り上げた問題であります。私も、放送大学の問題は四十四年当時から逓信委員会NHKといろいろやりとりした記憶を持っておるのでありますが、今日、当初から何遍かいろいろな曲折を経て放送大学学園法案なるものが、きょう委員会で採決に付されようとしておるということであります。  先般も、当委員会は文教との連合審査をやったのでございまして、たしか去年もそうでありますし、私は連合審査のときにも申し上げましたけれども、この放送法の根幹ともいうべき改正が、もう何遍も言いません、ただ単に「附則」として上程されるということについては大変不満を持っておるということは一貫して述べてきたとおりでございまして、今日もその考え方は変わりはないのであります。少なくとも、この放送法昭和二十五年に制定されてから三十年、その間ほとんど本質的な問題の改正はなされておらないのであります。しかも、民放とNHKという二本立てに加えて、国営放送という全く変わった形の放送が出現をすることになる。したがって、郵政省は、これは三本立てだということを何回かこの委員会で認めておられるわけであります。二本立ての民放、NHKという放送が三本立てになるということは、放送の体系にとっては全く根幹に触れる問題だというふうに私どもは指摘をしたわけでありますが、残念ながら、当委員会ではそういう問題についての本質的な解明がなされないままに放送大学がいよいよ衆議院を通過するという段階になってきたわけであります。  国営放送である放送大学が発足することによって、教育テレビの番組、これも後で申し上げますが、そういう問題もさることながら、受信料の問題に非常に大きな影響をもたらすことになる。国営放送であって、これは無料であります。ただである。したがって、これは与党、野党を問わず、このことについて連合審査会では逓信委員会側が触れたのであります。一体郵政省は、この放送大学学園法案なるものが国会を通過し、放送大学が発足した場合に、NHKに対して影響があると思っておられるのか、影響は全くないと思っておられるのか、この点を私ちょっと郵政大臣にお聞きしたいのであります。
  29. 山内一郎

    山内国務大臣 現在、NHKにおきましては、幼稚園から上は大学レベルの教育教養放送が実施されております。今度新しく放送大学学園ができまして、大学教育専門の放送が行われることになりますので、ほとんどないと思いますけれども、多少放送内容においてダブる場合もあり得るかとも思われるわけでございますが、受信料というような点に対するNHKに対する影響というのは、私はほとんどないのではないだろか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  30. 武部文

    武部委員 私はその点は非常に認識が甘いと思います。放送大学学園法案なるものは、もちろんまだ発足しておりませんが、当初は東京タワーだけですから地域は本当に限定されたものであることは承知をしておるわけです。しかし、無料の国営放送が出る、これは後でまた東京学芸大学の問題にも絡んで私は申し上げたいと思っておりますが、放送大学がNHK経営、番組あるいは財政、そういうものに全く無関係だというような認識は、私としては受け取れないのであります。  郵政大臣はそういうお考えのようですが、NHKは一体この放送大学、なるほど文部省は膨大な組織を持った外郭団体ができてほくほくかもしれません。いまのところ大した金額ではないようですが、膨大な金額がここに投ぜられるわけであります。文部大臣任命の理事長から、教授から、みんな出てくる。そういう全く日本ではかつて経験したことのないような放送大学が間もなく誕生するということになったときに、NHKにこの放送大学は何の影響もないというふうにお考えでしょうか、私は、NHKとしてどういう見解を持っておられるか、この機会にはっきりとひとつお聞きしたい。
  31. 坂本朝一

    坂本参考人 放送大学の問題はこの委員会でもたびたび御指摘をいただいておりますとおりで、昭和二十五年以来のNHK、民放の二本立ての日本の放送の基本体制に、新たに国費を主財源とする第三の放送事業が誕生するということになりますわけでございますから、NHKの責任者といたしましては、当然NHKの将来の経営に与える影響を十分考慮しておく必要があるんではないだろうかというふうに常々考えておる次第でございます。  ただ、この場合、放送大学の放送がどのような態様になるのか、その結果NHKの教育番組に影響を与えることにならないか、あるいは受信料を主財源とするNHKと広告費を主財源とする民放の中に、新たに国費を主財源とする放送大学の放送が加わることによりまして、先生御指摘の受信料関係に影響を与えることにならないかということは、まあもちろんそういう影響がないことを希求するものでございますけれども、しかし経営を預かる者としては、あらかじめ十分考えておかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  32. 武部文

    武部委員 発足しておらないときに、どんな影響があるかと言ったってなかなか予測はつかないと思うのです。しかし、もう何遍も言ったことですから、私も口が酸っぱくなるほど言って、これ以上のことを言ってもばかばかしいので言いません。しかし、この放送大学なるものが、いまのような規模、内容、そして将来性を持って、一体どういう効果を上げるだろうか、この点についてはいまだに私は疑問を持っておるのであります。そのものに一つの貴重な波を与えるということが必要だろうかということを、私はいまでも疑問に思っておるのであります。  しかし、残念ながら、この放送大学は衆議院で間もなく、先ほど申し上げるように通るわけでございまして、協会としては私どもが心配する以上に、協会側自身がこの放送大学の発足に当たって、協会経営あるいは財政に影響がないように、あるとするならば具体的にそれを明らかにして、禍根は絶たなければならぬ、こう思うのであります。  もちろん、まだ参議院に行くわけですから、通ったとも何とも言えませんけれども、私はこの放送大学学園なるものが今後NHK経営、なかんずく受信料に何がしかの影響を与えてくるんじゃないかということを大変心配するがゆえにそういうことを述べておるのでありまして、これは他の委員会のことでございますからこれ以上のことを申し上げませんが、いずれ具体的な問題が出れば、皆さんと十分この点は論議をしながら対応していかなければならぬ、このように思っておるわけであります。  さて、予算の際にもいろいろ意見が出たわけでありますが、協会としてはこれからの経営に合理化を一層進めていくという姿勢を示されてきたわけでありまして、合理化大変結構であります。  これから幾つかの点についてお伺いをいたしますが、NHKの組織というのは、地方に地方本部というものがある。私どもは、たとえば中国なら広島に中国本部ですか、あるいは近畿本部とかいろいろなものがあるというふうに理解しておったわけですが、ちょっと大阪へ行って聞いたら、もうその本部はなくなってしまって、何か近畿管内担当局大阪放送局長、こういう名前になっておりました。前は本部長と副本部長というものがおったはずだったのに、今度はそんなものはなくなって、いつの間にやら局長と副局長が出てきておる。これは一体どういうことだろうかと思って聞いたところが、いや実はこの間変わりましたというようなことを聞いたわけですが、一体これはいつごろ、何の目的でこのように変えられたのか、最初にそれをお伺いしたい。
  33. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃいましたとおり、ことしの七月二十五日に実は協会が全面的に組織改正をやったわけでございます。そのうちの一つの大きなねらいとして、やはり視聴者理解と信頼を深めようということがそのうちの一つの大きな眼目であったわけであります。そのためには協会組織もまた大変わかりやすい簡明なものでなければならぬ、こういうことがわれわれの頭の中にあったわけでございます。こういった観点から、今回協会の組織名称その他を含めましてかなり変えました。  その中で、先生の御指摘になったような地方本部という名前を放送局に変えたわけでございます。地方本部という名前は、従来管内の管理機能というものを表示するために実は地方本部という名前をつけて使用してきたわけでございます。依然として地方管内の管理機能というものはその局に果たしてもらわなければいかぬわけでございますけれども、何分にも地方本部という名前がちょっといかめしい感じがいたします。それで、冒頭に申しましたように、視聴者にとってできるだけ親しみやすい、なじみやすい名前を付したい、こういうことを一つ念願といたしまして、それで放送局と改めました。しかし、いま触れましたように、管内の管理機能というものも依然として持っているわけでございますので、部内的にその管内管理機能というものを表示しなければならぬときに限りまして、たとえば近畿で申しますならば近畿管内担当大阪放送局というふうに呼びたい、ただ、外にはあくまで大阪放送局という親しみ深い名前で呼んでいただきたい、こういう趣旨でもって変えたわけでございます。したがいまして、組織改正とともどもに、いろいろな組織改正のねらいに従いまして実はこの本部の名前を変えたというのが実情でございます。
  34. 武部文

    武部委員 わかりました。私はその方がいいと思います。やはり放送局長の方がいいです。地方本部長なんて言ったってぴんとこない、何のことやらわけがわからぬ。そんな名称では余り通用しません。そういうことで、変えられることは大変結構だと思いますが、そんなことはこっちは知りませんから、呼び名がそんなものだと思っていたら、そんな者はいませんよということになったので、いっそういうことになったかということをお聞きしたがったということでありまして、結構なことだと思います。  もう一つ、合理化の問題で職員数が問題になりました。人員の問題ですね。したがって、合理化を進められる中で人員の問題は一体どういうふうに考えておられるか、これをちょっと説明してください。
  35. 武富明

    ○武富参考人 お答え申し上げます。  この三年間で効率化をやっていこうという決心を実はNHKとしてはいたしておるわけでございます。これは、もちろん視聴者からの要望というものもございますし、これにこたえて効率化をやっていくのは経営の任務だというふうに考えますので、大体の計画といたしましては、五十五年度に百人、五十六年度に二百人、五十七年度に三百人、この三年間では六百人というものを効率化いたしていこうという目標を立てております。  そのうち、五十五年度では、本部部局を三局減らすとか、あるいは管理・間接部門を一〇%減らすとか、あるいは視聴者関係業務とか、あるいは国際協力、海外関係の業務を統合するとか、あるいはまた管内放送局あるいは本部の乗用車を削減して要員の効率化を図るとか、そういったことをやりまして、大体百名という効率化をやりました。しかし一方、五十五年度に新たにやらなければいけない業務というのがふえてまいっております。具体的に申しますれば、教育テレビの充実刷新ということがございますし、また近畿圏のローカルを充実しようという実際の施策も講じております。あるいは当然増として受信契約増に伴います要員の増というのがございます。また、置局がふえることによって、その保守にかかる人間の増というものも当然起こってまいります。現場から、そういう業務というものをやるためにこれだけの要員が欲しいという要望があるわけでございますけれども、われわれとしてはこの必要というものはもちろん果たさなければいけませんし、一方には効率化というものがございますので、この要員増というものを計画どおり五十人というところで抑えまして、そして、事実上人員の削減というのは五十五年度につきましては五十名になっているというのが現状でございます。  さらに五十六年度以降につきましては、これはやはりいま御説明いたしましたとおり、効率化は効率化としてはっきりした目標を定めまして効率化に相努めます。しかし一方、どうしてもその年度ごとに業務の拡張というのが生じてまいります。その業務の拡張というのは、業務を拡張する業務内容というのが決まりまして初めて何名を増員しなければならぬかという事情が生じてまいりますので、実はあらかたの目標をこういうふうに立てておりますけれども、増要員というのは年度ごとにその事業内容に従いまして定めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。したがいまして、五十六年度はただいま検討いたしておるというふうにお答えをさせていただきたい、こういうふうに思います。
  36. 武部文

    武部委員 合理化は私は結構だと思いますが、いまお話がございましたように、ローカル放送、これは今回の値上げ決定の際の附帯決議の中にもわれわれの要望として挿入したわけであります。ローカル放送を重視してもらいたい、重視すべきだ、こういうことがたしか附帯決議に入ったと思います。ローカル放送重視、それは当然人間にも影響してくるでしょう。あるいは収納をどうするか、これも後で申し上げますが、収納を上げるためには人間の数も必要になってくるだろうと思います。そういうような点を考えると、どういういい放送を出すか、そのためには一体人間が何人要るのか、収納のパーセントを上げるためには一体いまの人員でいいのかどうか、そういうことが前提でその中から人数が出てくるのであって、人数が先に出ていくというような合理化であってはならぬと私は思うのであります。そういう意味で、非常にむずかしいことかもしれませんが、このローカル放送の重要視あるいは収納の向上というような点も十分考えて合理化というものは進めてもらいたい。現実にマッチしたような点で進めるべきだということを強く要望しておきたいのであります。  次いで合理化の問題でございますが、私は素人でございますから、機材、資材のことはよくわかりませんが、いま資材は非常に進歩して、フィルムでないところのいわゆるミニハンディー、小型ビデオカメラというものがどんどん伸びてきた。しかも民放ではもうすでに相当な広い範囲でこのミニハンディーというものが使用されておる。どうもNHKの方がおくれておるじゃないかというふうに思われるのですか、特にニュースなどを見ると、民放はミニハンディーを使って直ちに画像にそれが出てくるのに、NHKの方は肝心かなめのところがただ字が出ておるというような点があるように思うのですが、この機材の問題について、ミニハンディーの導入というものはどういうふうになっておるのか、この点はいかがでしょうか。
  37. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のように、最近放送機器の技術革新が日進月歩でございまして、非常に急速な進歩を遂げております。そういった意味合いで、報道の資材あるいは番組の制作に必要な機材、特にいま御指摘の小型のビデオカメラにつきましては、私ども、事情の許す限りできるだけ導入を図っていきたいという基本的な考え方を持っております。それで、現在NHKの方で持っておりますこういった小型ビデオカメラは、ことしの三月末現在で約百三十台ございまして、これを使いまして現在いろいろ報道、番組制作などもやっておるわけでございます。ことしに入りましてからも、こういった機材の配布もやっておりまして、現在では約二百台のこういった小型ビデオカメラを使って仕事をしているというのが現状でございます。そういった意味合いから、今後も私どもといたしましては、こういった小型ビデオカメラの導入につきましてはひとつ積極的に整備をやっていきたいというふうに思っております。  こういったことで、決してほかの放送機関におくれをとらないように、私ども今後とも努力をしていく所存でございます。
  38. 武部文

    武部委員 特にニュースで民放よりも立ちおくれるというようなことは、一般の人から見れば受信料を払って――ニュースだけしか見ないという人もたくさんおるのですから、そういう人が何か民放の方はちゃんと出ておるのに、NHKは字ばかり出ておる――字ばかりとは言わぬけれども、おくれておるじゃないかというようなことを私は聞くのですよ。その点で、いま百三十台が二百台ということをおっしゃっているが、一体この程度で――これだけの放送局を持っておるわけですが、五十五年度の予算の中で、こういう予算がどのくらい計上されておったでしょうか。私はちょっと記憶がございませんが、お聞かせいただきたい。
  39. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいますような放送機材の関係としましては、約十五億ほど計上してございます。
  40. 武部文

    武部委員 何台ですか。
  41. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 台数については、いま詳細に、どの種類のものがどの値段でというふうにやっておりますので、ちょっと詳細に申し上げかねますけれども、全体として十五億でございます。
  42. 武部文

    武部委員 わかりました。私はいまお答えがございましたように、ビデオ時代に入ると思うのです。そういう場合に、これからのNHKの運営というものは、確かに予算的にもいろいろ制約があるかもしれませんが、少なくとも民放におくれをとるようなことがあってはならぬ。特にニュースはそうだと思います。そういう点の努力はぜひしていただきたいと思うのです。  そこで、これはとっぴなことになるかもしれませんが、ビデオの時代になってくると、機材の流れが変わってくるわけでありますが、さらにこういう機材がどんどん改良され、進歩してくるということが予測できると思うのです。したがって、私どもが図書館に行けばどんな本でも借りて見られるというように、見逃した番組をNHKのあるところに行けばビデオで簡単にもう一遍見せてもらうことができるというような、一般の図書館と同じように、ビデオを活用していままで見られなかった番組をもう一回見るとか、あるいはいい番組だからもう一遍見たいとかいうことがあった場合には至極簡単に見られるようにする。ビデオをストックし、そういうものの施設をつくることによって、図書館と同じような時代が来るのではないか。というよりも、そういうものをNHK自身も長期の中において考えていくべきではないだろうかというように思うわけです。したがって、ビデオの図書館と言うと言葉が悪いわけですから、ビデオ文化センターというような名前がいいか悪いかわかりませんが、そういうものが中央にも地方にもあって、国民が簡単にそういうものを見れる、もうフィルムじゃないですから、そういう時代が間もなくやってくるのではないだろうか。いや、それよりもむしろNHKが積極的にそういうものに取り組んでいく。これは地方の文化の向上にとっては非常にいいことだと思うので、私はそんなことを素人なりに考えておるわけですが、こういう点についてNHKとしては何か御感想でもありますか。
  43. 坂本朝一

    坂本参考人 先生御指摘のように非常に世界の科学技術の進歩が著しい状況でございまして、そういう点では、放送の一過性というのでしょうか、そういうものが、記録、保存、反復利用というのが可能になってきたということで、放送事業者の一人としては大変喜ばしいことだというふうに考えておるわけでございますけれども、また反面、その対応を誤ってはいけないのではないかというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、われわれの資料が視聴者の反復利用等のお役に立つという方向でどうあるべきかということは当然考えなければいけないだろうということで現在も考えておるわけでございます。ただ反面、著作権の問題等もございまして、そういう方方の権利保護ということもあわせて考えなければならない問題もございますので、そういうことも含めまして、前向きの形で検討すべきテーマであろうというふうに認識しておる次第でございます。
  44. 武部文

    武部委員 これは将来の問題ですから、これ以上のことを申し上げません。  そこで、次にコマーシャルの問題についてお尋ねしたいのであります。  当委員会NHKのコマーシャルというようなことが正式に論議をされたというのは、私の記憶ではことしが初めてのように思います。それは、NHK経営受信料だけではもうにっちもさっちもいかぬという時代が来るかもしらぬ、そのときに外国の例にならってある程度のコマーシャルを入れたらどうだろうかというような意見が若干の部門から出てきた。これが委員会で論議をされたのは、先ほど申し上げましたように初めてだと私は思うのです。  私はコマーシャルを入れることには基本的に反対でありますが、問題は、いまNHKがコマーシャルに似たようなことをやっておるじゃないか。ただ、この委員会で私自身も申し上げたのですが、自分たちがブラウン管を持っているのだから、それを通じて、NHK受信料だけで運営をしておる協会でございますということをもっと何で宣伝しないか、自分たちでちゃんと持っているんだからやれと言ったことを私は記憶しております。それは、経営の問題について、受信料制度というものをもっと国民によく知ってもらうためにはそういう方法を手近な問題としてやったらどうかということで述べたのですが、そうではなくて、いまNHKが番組と番組との切れ目にコマーシャルらしき、NHKに自身のコマーシャルをやっておる。この時間がだんだんふえて、今日十分を超しておるということすら言われているのであります。それはたとえば番組の予告であります。娯楽番組の予告、あなた方のお出しになる番組の予告を、いいところだけぱっぱっと撮って、そして何月何日何時からかくかくの番組でございますと。それはみんなに見せようと思っておやりになることだろうと思うけれども、いいところばっかり出しておるから、現実に見たら、何だこれはということになれば、逆にNHKの信用ががた落ちしてしまう。なるほど予告編というものはいいところばっかりをやりますからね。そういうことをやっておるようです。私も現実にそれを見ました。本当にいいところばっかりをやっておる。ところが長い番組のいいところばっかりですから、全部見ると、何だNHKは予告ほどのこともないという結果も出てくる。あるいはまた、番組の切れ目に、あの代々木のところにラジオの受信機を置いて、ラジオはNHKというようなことをぱあっと中に入れてやっていますな。これはNHKの宣伝です。コマーシャル。このNHKでというのを民間の企業の名前に置きかえたらりっぱなコマーシャルですよ。そういう時間帯がだんだんふえてきておるというふうに思うのです。  そういう点については、皆さんの方で意識してそういうことをおやりになっておるのでしょうか。無意識的に――無意識的にだとは思いませんが、意識して見させよう、視聴率を高めよう、こういうことでおやりになっておるのですか、どうですか。
  45. 坂本朝一

    坂本参考人 コマーシャルというものを制度として導入するという問題は、これはヨーロッパの公共放送などでも一定の限度で導入しております先例がございます。ただNHKの場合は、先生に向かっては釈迦に説法でございますけれどもNHKと民放の二本立てという基本体制の中で、NHKは広告放送を禁止されておりまして、受信料収入によるということになっております。反面、民放は広告放送収入経営するんだ。これは昭和二十五年の放送法制定以来の現状でございますから、それを改めるということになりますれば、これはもう非常に重要な問題でございますから慎重な検討が当然なされるべきではないかと思うわけでございます。  ただ、先生御指摘のNHKのコマーシャルというのは、番組と番組の間に出てくるもろもろのPRにたぐいする番組がどうなのだということでございますけれども、従来ともあの種のPR関係の番組はやっておりますし、多少お言葉を返すようでございますけれども、むしろNHK事業内容周知、たびたびの世論調査などの結果でもNHKが半官半民ではないかとか、あるいは国営なんではないかというような御認識の視聴者も多いという中で、もっとNHK自身、自分の番組を持っているんだから、それで視聴者NHKの本質を理解してもらうというためにそういう手段をとることはむしろやるべきではないかというような基本問題調査会等の御答申もございまして、現在実施しておるわけでございます。  一つ一つの番組の巧拙、それが予告を見て本番を見たらば、何だ羊頭狗肉じゃないかというようなことは、むしろ本番の番組の方のお粗末さを申し上げるようなことになるわけで、そうではなしに、予告を見て本番を見たらもっとよかったというふうにわれわれ自身努力すべきであろうと思っておりますし、そういう意味での番組の使い方ということは、この際ぜひ先生にも御理解賜りたいと思うわけでございます。
  46. 武部文

    武部委員 私は、事業内容周知をやめよと言うのではないのです。それは当然やってもらいたい、NHK受信料のみで経営をしておるものだということを知らない人もおるわけですから。それは世論調査数字を見ても、前回述べたとおり、まだ国営放送だというふうに思っておる人もおるし、そういう人たちにNHKというものを知らせるためには、事業内容周知というものを私は否定いたしませんし、やっていただきたい。ただ、娯楽番組その他、視聴率を上げるためにやるような手前みその宣伝はなるべくやめた方がいいというのが私の主張なのです。  フランスの国営放送はニュースの前後にコマーシャルを入れているようですね。私、調べてみましたら五分ずつ入れておった。最初は九対一の比率だったが、だんだんその方が伸びちゃって、いまは六対四という比率になっておる。私はフランスに行ってそういう事実を聞きました。自然とそういうことになってくるのですよ。そういう意味で、やはりコマーシャルは本質的にNHKはとるべきでないという意見については私も同感ですし、それを堅持していくべきだ。ただ、いま申し上げるようないろいろな形のものが出始めてきておる、その時間帯がだんだん伸びてきておるということは事実ですから、それはお調べになっていただければわかることですから、そういうことについては、事業内容周知とは別の問題ですから、お考えをいただきたいということを申し上げたかったのです。  今度はちょっと変えまして、集金の問題でありますが、当委員会で同僚の野口委員から集金人の問題についていろいろお話がございました。  いまのNHKの委託集金というものは、郵政省に対するものと直接の委託というものと大体二つに分かれておるようですね。この比率が非常に高い。こういう人たちに対する契約が出来高払いということになっておるところに問題がある。したがって、うるさいところ、何遍行っても留守のところはもうやめた、取りやすいところへ行った方が得になるわけですから、うるさいところや留守のところは避けて通って、たやすいところに行く、これは人情だと思うのです。そういうことになってくるわけですから、収納の率が上がらないということにもつながると思うのです。  そういう意味で、この人たちに職員としての待遇を与えるということは、またいろいろな意味で、勤務の時間帯の不規則とかあるいは日曜とかそんなこともあるわけですから、なかなかむずかしい。これは説明されたとおり、私もそうだと思う。そうだと思うけれども、さればといって、こういうふうな出来高払いを続けておったのでは、どうしても取りにくいところが避けて通られるし、払わない者は払わない。そうすると、それを見た者が払わないでいいものならおれも払わぬということになってくれば、自然にこれがふくれ上がってくるということになると思うのです。したがって、NHKの専門的な専属の人が一局に何人かおって、特に都市が多いですから、こういう出来高払いの委託の人たちが行って取れないところはわかるわけですから、そういうところは職員の肩書きを持った専門の人が何回でも出かけていって説得をし、収納の率を上げるということでないと、そういう払わない層がふえていく危険性が、いまのままを続けていくと私は出てくると思うのです。しかも、野口議員が指摘をしておったように、出来高払い制の人たちは勤続が非常に短い、すぐやめてしまう。待遇もそうですけれども、勤務時間帯もそうだからなかなか続かない。いつもかわっておるというような状況ですから、今後の収納にとって非常に大きな問題点がここにあるのじゃないかということを、現実に地方の第一線の職員からもそういう声を聞くのですか、いま言ったような一局に何人置くかは別にして、収納率の悪いところ、そういうところには専門職を置いて、出かけないで済ませるということでなくて、積極的にそういうところには行って、説得なり協力を求めなければ、むしろ不払いというものの件数がふえていく危険性、可能性があるのじゃないかと思うのですが、そういう考え方はどうでしょう。
  47. 海林澣一郎

    海林参考人 ほぼ先生のおっしゃったような形で運営されているというのが結論でございますけれども、実はおっしゃいますように委託集金人の事務費は出来高制を含んでおる。固定部分ももちろんございます。そういうことで、不払い者とまず対応するわけでございますけれども、まさに先生がおっしゃいましたそういう出来高的なことでの心理的なこともございましょう。したがいまして、その委託集金人の方が御自分の力でフォローし切れなくなるという部分につきましては、私の方に、千百人おりますけれども、外務職というのがおります。これはNHKの職員でございます。この外務職の方に取れなかった分の処理を上げまして、そこで困難であるということの所定のチェックをいたしまして、それではわれわれがやろうということで、職員であります外務職がそれを処理するというふうにしてございます。  それから、先生おっしゃいました特別のあれでございますけれども、東京、大阪、札幌に五十二年の秋から営業特別対策員というのを置きまして、これは職員じゃございませんけれども、委託の方がフォローできなかった後の滞納でございますか、それを取って歩いているということを実施しております。
  48. 武部文

    武部委員 いや、外務職があるということは私も承知しております。ただ、近畿あたりは非常に成績がよくない。そういうところには重点的にそういう人たちを置いてあげないと、やはり避けて通ってしまって、いつまでたっても、何年たっても払わぬ。来ないから払わぬでもいいと思ってしまいますから、そういう輪が広がるようなことは避けなければならぬ、全く正直者がばかを見ることになるわけですから。したがって、千百人という枠にとどまらないで、先ほど私が申し上げたように、人員の整理というようなことは、仕事の量に応じて人間を考えるべきだというのはここにあるわけでして、そういう一番困難な――商品を売って、商品の代金をくれというのじゃないのです。見ておるか見ておらぬかわからぬ者のところにまで行っても説得をするというむずかしさがある。そういう第一線の諸君の気持ちを十分そんたくして、千百人という枠にとどまらないで、むしろここにもつとメスを入れて、収納状況の向上と同時に不公平にならないような施策をぜひとってもらいたいという意味です。
  49. 海林澣一郎

    海林参考人 実は五十五年、今回料額改定するということで、収納についても滞納がふえるのではないかというような危惧があったわけでございまして、先ほど会長が申しましたように全協会的な力を入れる。たとえば九月に特別営業対策月間というのを一カ月設けまして、これは営業のみならず、放送であれ技術であれ管理部門であれ、この管理職を動員しまして滞納者の方と対話をするというような形で処理いたしました。つまり千百人をふやすということにつきましてはまた経費の増高というような問題が絡みますので、全局的なそういう対応の中で、非常措置と申しますか、ということで対応しているということを御報告を申し上げます。
  50. 武部文

    武部委員 わかりました。  次に、国立にあります正規の高校であるNHK放送学園、この経営が非常に赤字になっておる。NHKから相当な金額をこれに持ち出さなければならぬようにだんだん経営というものがむずかしくなってきておるということを聞いておるわけですが、このNHK放送学園の実態はどうでしょうか。
  51. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  御承知のように、このところ高校への進学率というものがことしの三月あたりには九五%というふうに非常に上昇傾向にございまして、それに伴いましてこのようなNHK学園高校のような通信制の生徒が次第に減少の傾向をたどってきているということは事実でございます。それで、このNHK学園の本科生といいますか、いろいろ放送などを通じて勉強している本科生も、五十四年度の生徒数といたしましては約五千九百人余りでございまして、前の年に比べますと約六百人ほど減ってきているというのが現状でございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  こういった厳しい状況の中で、学園といたしましてもできるだけ経営をよくしていこうということで取り組んでいるわけでございますけれども、その中の一つといたしましては、五十年度から、最近の生涯教育への社会的な高まりというものが非常に多くなっておりますので、そういったところに対応いたしますように社会通信教育の講座を開講いたしました。これが大変人気を呼びまして、こういったことなども生かしながら、現在経営努力を続けてきているというのが現状でございます。  ちなみに、五十四年度の収支バランスを見ますと、大体収入、支出とも十三億五千三百万ぐらいで、大体五十四年度のNHK学園の決算状況というのは収支バランスがとれたというような財務状況になってきているのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、今後ともきわめて厳しい社会情勢にあろうかと思われますので、われわれといたしましては、設立の趣旨なども十分踏まえながら、今後の状況の推移を見きわめながら、慎重に今後の経営状況を見守っていきたいというのが現状でございます。
  52. 武部文

    武部委員 そうすると、生徒の数もだんだん減ってきておるけれども、当面NHK放送学園というものは続けていく、そういうふうに協会としては考えているというふうに理解していいのですね。
  53. 田中武志

    田中参考人 そのとおりでございます。
  54. 武部文

    武部委員 時間が来ました。最後に、私は、ついせんだって報道された東京学芸大学付属研究機関の海外子女教育センターの著作権の問題でお伺いしたいと思います。  このことは大々的に報道されましたので皆さんも新聞でごらんになったと思いますが、二年間もこういうことが行われておった。しかもこの二年に千七百本もの番組テープを複製しておる。五十三年には一本一万二千円でこれを売りさばいておるということが報道されておるわけですが、これは明らかにNHKの教育番組の無断の録画であって、著作権の侵害だというふうにとれるのですか、東京学芸大の付属機関であるところの海外子女教育センターのこの問題について、著作権を侵害するということになろうかと思うのですが、文部省としてはどういう見解か、どういう措置をとろうとしておるのか、とったのか、それを聞かしてください。
  55. 吉田茂

    ○吉田説明員 先生御指摘の件でございますけれども、一般に教育関係の放送番組を録画等の方法で利用する場合には、御指摘のように、その番組に含まれております脚本あるいは音楽、あるいは先生が講義しておればその講師の方の講義、こういった著作物、これにかかわる著作権、それからNHKの場合ですと、放送事業者たるNHKの著作隣接権というものの権利がかかわってくるわけでございます。  今回の件について、私ども著作権行政を担当しておりますもので直接の当事者ではございませんので、事実関係あるいはどのような権利が具体的に関係しているかということについては必ずしもつまびらかではございませんが、御指摘のような点を仮に前提といたしますと、やはり当該放送番組を録画するに当たって、これらそれぞれの権利者の権利を処理しないで行ったとすれば、著作権あるいは著作隣接権の侵害という問題も生じてこようかと思うわけでございます。御指摘のような問題、いずれにいたしましても放送番組をビデオにとるというような場合でございますと、非常に権利関係が複雑多岐にわたるわけでございますので、問題が生じないような権利処理というものは非常に重要でございます。今後使用者と権利者が速やかに話し合って必要に応じた権利処理を行うよう、私どもといたしましても関係担当課と話し合っておるところでございます。  以上でございます。
  56. 武部文

    武部委員 NHKはこれについてどういう措置をとりましたか。
  57. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  われわれといたしましては、十年前から海外子女教育振興財団というところに、私どものサービスセンターというところを通じまして、海外の日本人学校用といたしまして諸権利を十分処理した上で教育番組の提供を五十三年まで行ってきたというのが経緯でございます。  そこで、二年前に、先生御指摘の学芸大学の海外子女教育センターというところからNHKの番組の複製を、著作権の未処理のままで提供を受けているというような事実がわかりましたので、私どもといたしましては、提供者でありますこの海外子女教育センターに対しまして、著作権の未処理の事実、そういったことを指摘するとともに、早く適切な処置をとってほしいということを申し入れまして今日に来ているというのが実情でございます。  今後私どもといたしましては、著作権者としても多くの関係団体がありますので、こういったことにつきまして、いろいろ著作権関係者に対して近く必要な措置をしてほしい、そういうことを向こうの方でなされるのではないかということで理解しております。  なお、こういったNHKの教育番組が海外の子女教育のために利用されるということ自体につきましては、私どもは大変意義の深いことだというふうに理解しておりまして、今後こういった提供の方法なども十分踏まえながら、権利の処理なども適法に行っていただいた上で、番組の提供がうまくいくように関係者ともよく話し合っていきたいというふうに思っているわけでございます。
  58. 武部文

    武部委員 私が一本一万二千円と言ったのは、NHKから著作権料を含めて財団が買った金額のようです。これは今回は一万幾らですか、千七百本も売ったとなっているわけですが、一体幾らで売ったというふうに聞いているのですか、NHKの方は。金額を知っていますか。
  59. 田中武志

    田中参考人 私どもその辺の事情につきましては存じておりません。
  60. 福田昭昌

    ○福田説明員 ちょっと繰り返しになるかと思いますが、経過も御説明させていただきたいと思います。  御承知のように、NHKの学校放送番組は、国内におきましては直接学校で放映を利用することもできますし、また授業の過程におきまして使用に供することを目的とする場合には、その放送を学校でビデオに複製して利用するということも認められておるわけでございます。ところが海外の日本人学校の場合には、このNHKの学校放送番組をこのように活用するということが事実上できないというようなことで、海外子女教育センターが、希望する日本人学校にかわってNHK学校放送番組を複製していたという事実でございます。  こういうことにつきましては、関係の権利者の権利に対する配慮が十分でなかったということで、今後そのあたりと十分話し合って、円滑にできるようにやっていただきたいということでいま指導しておるところでございますが、いま先生質問なさいました売っているというようなことは、これは全く事実無根でございます。海外子女教育財団で教材費の援助をやっている事業がございますが、日本人学校が希望する場合には、テープをそこで買いまして、そしてセンターに渡して、センターがそれを複製したということでございまして、売っているとかそういうことは全くございません。
  61. 武部文

    武部委員 わかりました。時間が来ましたが、私は放送大学ができた場合に、これと同じようなことが起こる危険性がありはしないかということをちょっと心配するのです。そういうことで、この東京学芸大の問題というのは、決して放送大学と無関係だとは思わないのです。将来の問題ですからこれ以上のことは申し上げませんが、そういうこともNHKとしては十分対応をとっておいてもらいたいということを要請しておきたいと思います。  ちょうど時間になりましたから、これで終わります。
  62. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 武部君の質疑はこれで終了いたしました。  米田東吾君。
  63. 米田東吾

    ○米田委員 NHKの五十二年度決算について、若干の質問をいたします。  最初に、会計検査院検査結果を見ましても、特に指摘事項がないと言われておりますように、きわめて良好な決算ということになっておるのではないかと思うのであります。内容につきまして、若干の質問をしてみたいと思います。  まず、会計検査院はおられますか。――それじゃNHK会長さん、会計検査院から特に指摘事項がないほどの良好な決算ということじゃないかと思うのでありますが、会長としてはどうですか、この決算についてそのように受けとめておられますか、ちょっと心境を聞きたい。
  64. 坂本朝一

    坂本参考人 先生御指摘のように、NHK予算執行に当たりましては、何といっても視聴者受信料を使うということでございますので、慎重の上にも慎重ということで努力してまいりました結果、会計検査院からいまおっしゃいましたような形の講評でございましたので、大変うれしく存じておる次第でございます。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 大臣も御用があるそうでございますので、最初に大臣にお聞きをしておきたいと思います。  一つは、春の九十一国会で幸か不幸か廃案になりましたけれども放送法改正、要するにこれは受信料の収納の状況にかんがみて、ある意味では強制的な収納を図るという内容が中心でありました。この放送法改正の考えは、大臣、いまでも持っていらっしゃるのですか。次期の通常国会あたりでこれがまた出てくる心配もあるのかないのかお聞きをしておきたいし、私はこの際、この放送法改正は、九十一国会でも議論されましたけれどもNHKにとってはまさに角をためて牛を殺すような結果になりはせぬかということを心配しておるわけでありますので、大臣の考えを聞いておきたいと思います。
  66. 山内一郎

    山内国務大臣 受信料の支払い義務化を含めた放送法改正でございますけれども、今度の通常国会に出すかどうかという法律全般の問題でございますけれども、これも含めて全部の問題を現在のところまだ検討中でございます。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 大臣、全部の問題を目下検討中ということは、放送法改正全般についてこの委員会でもよく議論されている経過があるわけでありますけれども放送法改正についてはもう少し現状に合わしたらどうかというような改正の議論もあったわけであります。そういう全般的な、総体的な法改正を検討しているというふうに受けとめていいんでしょうか。
  68. 山内一郎

    山内国務大臣 ちょっと説明が不足でございましたけれども、ほかの放送法以外の法案も全部通常国会に出すかどうかということを検討中でございますので、そういう状況でございます。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 一つ私がいま取り上げましたのは、放送法改正の、しかも受信料の収納の状況にかんがみて改善策はこれだということで出されたような義務制、この関係についてお聞きをしたのでありますが、これについてはひとつ願わくは再度国会に出てくるようなことのないよう、これは大臣、どう考えても私はNHKにとっては大変心配な案件だと思いますので、これ以上申し上げませんけれども、ひとつ大臣に要望しておきたいと思います。  それから、もう一つ大臣にお聞きしたいのでありますけれども放送大学の関係については武部君からもいろいろ御指摘がありましたし、御質問いたしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、この放送大学は、この国会で仮に衆参あわせまして成立を見ることができなかったといたしましても、非常に問題のある法律だと思うのであります。特にNHKを主管されておる郵政大臣として、NHK、特に教育放送なんかも含めまして一体どういう関係が出てくるだろうか、NHKとしてはこれに対する対策としてどの点がいまから準備をしておかなければならぬ事項になるのだろうか、もう一つは、受信料の関係がさらに未納、未収の方向に、この放送大学法の施行によってそういう言いがかりあるいはそういう事情になってくるような心配はないのかどうか、これは郵政大臣としても十分慎重に検討されておかなければならない問題だと思うのであります。この点については大臣からもひとつお聞きをしておきたいと思いますし、あわせて坂本会長からもこの点についてお考えをお聞きしておきたいと思います。
  70. 山内一郎

    山内国務大臣 現在、NHKにおきましては幼稚園から大学レベルまでの教育教養放送を実施されているわけでございます。今度新しく放送大学学園が仮にできて放送が始まるといたしますと、大学放送が開始をされますので、一部競合する面があるとは考えられます。しかし、その影響はどうだろうということになりますと、受信料を含めまして私は影響はそう大してないのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  71. 坂本朝一

    坂本参考人 放送大学の問題につきましては、しばしば御説明申し上げておりますように、従来の日本の放送体制に一つの大きな変化といいますか、そういうことになろうかと思います。したがいまして、受信料を徴収させていただいておるNHKにしましては、そのあり方によって影響があるのではないだろうかというふうに、経営を預かる者といたしましては心配いたしておりまして、それに対する対応を考えなければいかぬだろうと考えております。  なお、番組そのものの影響が一番大きな影響としてあろうかと思いますので、これは放送大学は大学の資格を取るための講義内容と申しますか、そういうところにしぼって――一般教養的なところにまで出てくるということになると、教育番組に影響が出てくるのじゃないかという心配をしておるわけでございます。したがいまして、いずれにいたしましても、そういう問題で、NHKの責任者といたしましては、その対応を誤らないようにしなければならぬと考えておるわけでございます。
  72. 米田東吾

    ○米田委員 大臣の御答弁ですが、総体的に言えば、そう大して影響ないのじゃないかという御答弁のようでございます。大臣が考えられておる状態であればそう問題はないと思いますけれども、私どもの見解からいたしますと十分問題が出てくるのじゃないか、逆に言えば非常に大きな影響が出てくるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。ただ、これはすでに衆議院の審査を終わりまして参議院に行っている段階でございますから、余りここで触れてもどうかと思いますけれども……。  ただ、番組の関係では、NHKが現在進めておる教育放送、特に国民大学的な一般教養的な放送なんかにも、講義の内容あるいは科目の設定等によっては重複することもあるだろうし、また一つのものに対してそれぞれ違った講義がなされるということもあるだろうし、一体どっちが本当かという疑問を、勉強している諸君あるいは視聴者に与えることにもなりはせぬか、こういう気もするわけであります。電波法、放送法の基本的な関係は一応別といたしまして、そういう心配もあるわけでありますし、これは大臣、そう影響ないのじゃないかということじゃなしに、郵政省としても真剣に検討しておいてもらわなければならない問題じゃないか、こういうふうに思うわけであります。それで、いかがでございますか、大臣。
  73. 山内一郎

    山内国務大臣 私の考え方は先ほど述べたとおりでございます。お互いに放送番組の編成の自由権というものがあるのでございますから、おのおのNHKにおかれても放送大学におかれても、番組編成の基本方針も放送法で決まっておりますので、それに準拠してひとつおやりをいただきたいと思うわけでございます。
  74. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 関連です。鈴木君。
  75. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは非常に大事なことですから、ちょっと関連して大臣に承っておきたいのですが、実は文教との連合審査の際に、あなたに私ただしました。その前、文教委員会に傍聴に行きまして、田中電波監理局長の答弁を聞いておりましたら、ほとんど関係ない、こういう答弁でした。私は非常に不思議に思いましたね。そこで、大臣に同じような質問をいたしましたところ、大臣はあの席で、確かに競合する場合が出てきます、ですから、その面については調整をする必要がある――議事録を私はっきり見ておりますが、そういうふうにお答えになったと思うのです。そこで、田中電波監理局長のは、何か全然関係ないのだというような答弁でしたから、私は非常に不思議に思っておりました。ところが、あなたが答弁されたので、少なくとも大臣として最高の責任にあるのだから、大臣の言を私は信頼するということまで議事録にあるはずなんですね。ところが、その後阿部委員が立って質問をしたようですね。私ちょっと留守にしておりまして、後議事録を拝見しました。ところがまた大臣の考え方が監理局長の方に近寄っていってしまって、ニュアンスがかなり違っているのですね。ここら辺は、少なくとも大臣が言われたことですから、その方針がまた途中で変わるということは合点がいかない。きょうも聞いておりますと、ほとんど影響がないという考え方でございますね。  私たちは、NHK会長も何か遠慮して物を言っておられると思うのですけれども、少なくとも公共放送としてのNHKの使命は大変なのですから、本来NHKがこれをやっていけばよかったと私いまでも思っているのですよ。あれは経営主体が国営になってしまったのだ。したがって、これはNHKの教育放送と完全に競合してくるのですよ。だから電波を使ってむだのないように、そこを競合しないように調整をしていくということは当然出てこなければならぬことだと私は思うのですね。ですからNHKとしてはかなりの影響を受けると私たちは考えるわけですよ。その点を郵政省はぼかしていこうとしている。あなたも、NHKという機関ですから、何か遠慮して物を言っているように思うのだけれども、やはりちゃんとするところばしておかないと悔いを千載に残すと思うのですよ。  だから、根本的には、放送体制のあり方について二本立てでいくのがいいということが答申として出ているのですよ。そういう答申が出ておるにかかわらず、今度は準国営的な放送として第三の放送が出てくるから放送体系を乱すことになる。なぜもっとここで根本的な論議をさせなかったか。これは郵政大臣の責任だって大きいですよ。放送法改正電波法の改正でもそうじゃないですか。もう十年も、毎年やります、やりますとわれわれの質問に対して答えておきながら一遍も出してこないのだ。そうしておきながら、こんな基本的な体制にかかわる問題を逓信委員会を抜きにして「附則」でもって文教へかけるなどということは言語道断だ。  われわれはいままで電波行政に携わってきて、政治の面からこれを見てきましたけれども、実際これはむちゃくちゃなんです。これは公聴会でも開いて、前の臨時法制調査会の審議をもう一回やるならやり直して――これはやるだけの値打ちがあるのですよ、そういう重大なことを置き去りにして文教ペースでもってやってしまった。これは前に前田会長NHKにおられたが、放送衛星のことも考えながらやられたことば事実ですよ。文教サイドが入ってきて、そして経営主体でもって悩んだけれども、結局ああいうふうな財団法人というものでやることになってしまった。だから自民党の中にだってまだ反対している人はたくさんいますよ。私はそれを知っているのですよ。こんなむちゃくちゃな、しかも東京タワーから波を出してそこだけやるような、そんなことは時期尚早じゃないですか。だからそういう点をもっと明確にしてもらわぬと困るわけだ。大臣が右へ行ったり左へ行ったり、答弁が揺らいでは困るのです。必ず競合しますよ。調整もしなければならぬと思いますよ。だから電波にむだがないように、そういう点ははっきりしてもらわなければ困りますよ。そういう趣旨においてちゃんと答弁してもらわなければ私は困る。
  76. 山内一郎

    山内国務大臣 この前、たしか文教との連合審査において御質問がございまして一きょうお答えしたのは、競合がないとは言っておりません、あることもあり得ましょう、ただ影響は少ないでしょうというお答えでございますが、その連合審査のときには私の口がちょっとすべりまして、放送の番組の編成の自由権というものがあるのじゃないか、それをお互いに話し合って調整してもらったらどうかというようなことをちょっと言ったのでございますが、やはり自由権の方が放送法においてウエートが高いと思います。したがって……(鈴木(強)委員「それは後からあなたが言ったのだ。ぼくの質問に対する答弁じゃない、阿部委員に対する答弁だ。議事録を見ればわかる」と呼ぶ)ええ、そうです。だから先生に対する御答弁についてはほとんど影響はないだろうというようなお答えで、その調整については、後ほど問題になりましたので訂正をいたしまして……(鈴木(強)委員「訂正したの」と呼ぶ)ええ、訂正したのです。そして委員会において訂正させていただいて、やはり番組編成の自由権の方が放送法としてはウエートが高いものである、だからお互いにおのおの番組を基準に従っておつくりをいただきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  77. 米田東吾

    ○米田委員 いずれにしても、この放送法改正の問題と関連いたしまして、放送大学法の関係につきましては、政省、特に大臣を含めてこれに対する方針、対策というものをきちっと立てておいてもらわなければいかぬ。よく統一見解というものがはやりでありますけれども、このことについて郵政省が統一見解を出す必要はないと思いますが、しかしそのときそのときの答弁によってニュアンスが違ってみたり、あるいは方向が変わるということは私は許されないと思うし、それでは審議ができないと思う。そういうことからひとつそのことを御注文申し上げておきたいと思います。  なお、坂本会長のさっきの御答弁でございますけれども、番組の関係が中心でございましたが、私はもう一つ心配をしているのは、受信料の収納に影響がないかということも申し上げた。これはいかがですか。
  78. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもとして、受信料収納に影響があるということが一番大きなテーマだろうというふうに認識を持っておりまして、そういうことについて、具体的に実現した場合にどう対応していくかということをやはりきめ細かに検討していくべきだろう。全く受信料の収納に影響はないというふうに申し上げるのはいささか軽卒ではないかというふうに考えておりますので、そういう問題について、やはりわれわれとしては万全の備えをするべきであろうというふうに認識しておる次第でございます。
  79. 米田東吾

    ○米田委員 当面の見解についてはわかりましたが、一つ要望しておきますけれども放送番組に与える影響あるいは放送大学の開校に当たって出てくるであろうNHKの教育番組についての変更とか介入、そういうような事態がないように十分いまから検討をしておいていただかなければならぬじゃないか。あわせて受信料の収納等についても万遺憾のないようなNHK自体の対策が必要であろうし、その段階で必要があれば、郵政大臣でもあるいは政府に対してもひとつ大胆率直にNHKの立場というものを伝えるべきではないか。これから先行きNHK経営というものは非常に心配される、構造的な要因で心配の向きも多いわけでありますから、それとあわせましてひとつNHKとしての毅然たる対策を要請しておきたい。よろしゅうございますか。
  80. 坂本朝一

    坂本参考人 先生に大変NHKの将来の問題について御懸念いただいて御指摘いただきましたことを感謝いたします。  なお、先ほど御答弁を申し上げましたように、万遺漏なきを期すということで対応したいということを申し上げたいと思います。
  81. 米田東吾

    ○米田委員 もう一点、ひとつ大臣の見解をお聞きしておきたいのでありますけれども、この臨時国会で郵便法の改正は衆議院を通過いたしまして、本委員会でもこの審議に慎重を期したわけでありますが、その郵便法の改正で、郵政省の看板とも言われる郵便はがき、第二種郵便に対してコマーシャルを取り入れるというところに踏み切ったわけですね。官業の最たる、独占の最たる郵政事業のしかも郵便はがきにコマーシャルを入れなければならぬというところまで郵政省経営の問題あるいは一般の世間の現況を考えられて踏み切られたわけなのでありますから、どうですか、NHK放送に対しても、やはりこういうことについて、連動するというとちょっとこれは問題はあろうかと思いますけれども、同じ目で見てみるということが必要じゃないのでしょうか。大臣、その点はいかがでございますか。
  82. 山内一郎

    山内国務大臣 NHKにコマーシャルを取り入れたらどうかという御意見でございますけれども、はがきとちょっと違う点があるのじゃないかと思うのです。といいますことは、放送にはNHK以外の一般民間放送がある、それからNHKにはひとつ公共性を十分に持ってもらって放送してもらわないといけない、そういうような二点を勘案して、やっぱり相当これは慎重に検討を要すべき問題であるというふうに私は考えております。
  83. 米田東吾

    ○米田委員 これはあくまでも慎重に対処すべきでありましょうし、大臣のおっしゃることも十分わかるわけであります。ただ、要するにコマーシャルだっていろいろありますし、ケースが多様でありますから、郵政省がいい知恵を出して郵便はがきにコマーシャル的なものを一応初歩的に取り入れられたわけなんですけれども、あれは知恵としては私は郵政省の官僚の皆さんはなかなか頭がいいなと実は思っているわけなんです。NHKがもろに民間と競合するようなコマーシャルベースに入れとはもちろん私は言っているわけじゃないのですけれども、取り上げようによっては、NHKも知恵者がそろっているわけでありますから、何かそういうことについてひとつ考えてみる、道を開いてみるというふうに、この問題についてはやはり検討に値する問題ではなかろうか、波の関係よりもNHK経営の関係だと思うが、そこにウエートを置いて考えてみるとそういう方向性というものがやはり私どもとしても検討の課題にならざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思うのであります。私の真意はそこにあるのですが、大臣、いかがでしょうか。
  84. 山内一郎

    山内国務大臣 真意のほどはよくわかりましたので、NHKと相談をしながら、NHKにも十分にひとつお考えをいただいて、私の方も指導してまいって、検討させていただきたいと思います。
  85. 米田東吾

    ○米田委員 いま私が提起した問題については、坂本会長はどのような御見解でございますか。
  86. 坂本朝一

    坂本参考人 この問題につきましては先ほども長期ビジョン審議会の御説明の際にも触れた次第でございますけれども、やはり先生御指摘のコマーシャルの中身が何であれかんであれコマーシャルを入れるということは、基本的に放送法の基本に触れてくる問題であろうということでございますので、そういうことも含めましてやはり検討する課題の一つであろうということで、長期ビジョン審議会で御検討願うテーマの一つであろうという認識は持っておりますけれども、現実問題としてはなかなかむずかしいのではないだろうかというふうに思います。
  87. 米田東吾

    ○米田委員 ひとつきょうはその程度で私もやめておきたいと思う。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つ、NHK決算で私はやはり問題になると思いますのは、受信料の未納、未収に対する対策なんですね。特に私ここで取り上げてみたいと思うのは、前々からこの委員会にも指摘をされて、その改善策について政府に対してもあるいはNHKに対しても厳重に要請をしてあったはずなんでありますけれども、いわゆる米軍の基地の中の受信者に対する取り立ての問題、これは件数にしてはそう大して多いものではないと私は思いますし、NHKの現在の予算の中で占めるパーセントからいきましても、大きな問題だというふうには言い切れないと思う。しかし、これを放置しておくということは、日本の法治国家としてのたてまえもありますし、それから、米軍といえどもやはり負担すべきものは負担する、そういうふうに公平の原則というものを踏まえて対処していかなければならない問題だろうと思います。したがって、これは、取り立て機関はNHKなんだからNHKでやればいいのだということになるのかどうか、またそれだけで解決するのかどうか、そういう点が私は非常に心配なんですけれども、これは前の服部郵政大臣のときでありましたけれども、大分みえを切って、これはやりましょうという答弁を大臣がしておったときもあったのですが、しりつぼみになって大きな壁になっているという状況であるようでありますけれども、これについてはひとつ大臣、問題を軽視されないで、郵政省自身が、大臣の政治的な対処も含めまして、当たってみる考えはないかということをお聞きしておきたいと思います。
  88. 山内一郎

    山内国務大臣 一番問題になりますのは日米地位協定の内容だと思うわけでございます。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について、租税は免除されると、こう明記してあるのです。ところが、放送料については全然触れられていない。そこで、外務省を通じましていろいろアメリカと折衝いたしておりますが、日本の方は払ってもらうべきである、向こうは払わないでいいんじゃないかと、こういう議論がございまして、まだ協議は調っておりません。さらにこれは続けてまいりますけれどもNHKの方では、御苦労されまして、郵送によって契約勧奨をお進めになって、ある程度契約ができたというお話も聞いております。したがって、この点をさらに進めていただいて、その経緯を見守りながら、またさらに外務省を通じてひとつ強力にやってまいりたい、こう考えております。
  89. 米田東吾

    ○米田委員 ちょっとそれだけでは不十分だと私は思うのですが、大臣がおっしゃったように、要するに地位協定に基づいて免除される税金であるのかどうか。これは、米軍あるいは防衛施設庁あたりの見解では、税金に準ずるものとしてみなしておるから、結局視聴者の方も納めない、納めないというよりも納める必要がないものだ、こういう解釈をしているのじゃないかと私は思います。問題はそこにあるだろうと私は思う。大臣も、日本の政府も、NHK受信料は税金ではない、その範疇に入らぬということを当初から明確に意思統一されているわけでしょう。そうでなければ皆さんの怠慢だと私は思うのです。そういうことであるとすれば、やはり毅然として日本政府の方針――NHKの徴収に対する努力に対して、さらに積極的に前に出て取り立てに協力すべきだと思うし、必要があれば外交ルートでもどんどん使って解決される問題じゃないかと私は思うのでありますけれども、どうも後ろ向きで、NHKだけのけつをたたいて、適当にやっていればそれでいいというようなことになっているのじゃないかという、これはひがみかもしれませんけれども、そういう見方を私はしているわけであります。  ですから、いまのままではこれはずっと永久に解決しない。しかも、NHKが毎年予算で上げる取り立ての目標というのは、米軍の関係のものも含まれているんだという答弁は返ってくるでしょうけれども、大体これは除外されておるんじゃないか。大臣、どの程度の件数があるかということもNHKとしてはなかなかはっきり資料としてつかんでおるような状態にはいまなってないというようなことも聞いておるわけでありますから、そういうことからいきましても、私は、この問題は、ひとつ郵政省も挙げて解決をするというふうに踏み切ってもらわなければいかぬだろうと思いますが、いかがでございますか。
  90. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま大臣からも御答弁申し上げましたように、この受信料というものの性格につきまして、残念ながら日米間で解釈がくっきりと食い違っているということが一つございます。その上に、やはり施設内に住んでおられますのでいろいろな面で、テレビを備えておられる世帯がどの程度あるかということもつかみかねておるというような実情であるわけでございます。  それで、先ほど御指摘のございましたように日米合同委員会というものもございますので、そこに問題を付託するということも一つの方法だというふうに考えてあるわけでございますが、何分にも講和条約発効以来NHK受信料は、米側の見解でございますけれども、租税公課の一種であるため支払いの義務はないというふうに信じていたようでございまして、事実その間支払い請求も受けなかったという米軍人側の意識というものも一応考える必要があるというようなことで、いまひとつ勧奨しまして、ごくわずかの件数でございますけれどもお払いいただいた、支払われたということもございますので、実際にこの辺の努力ももう一度やっていただくというようなことで現実的努力を重ねると同時に、政府の立場としてもやるべきことをやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 米田東吾

    ○米田委員 私もさっきも申し上げましたけれども、件数、金額、これが実際問題として推定できないのですね。これはどうなんでしょうかね。米軍の窓口がどこにあるかわかりませんけれども、しかし大体日本における基地の中の施設あるいは駐留軍の数と家族の数、世帯、そういうようなものを計算すれば、大体私は推定でも出てくるんじゃないか。それをやはりきちっと出して、それに対する金額の、要するに未収が幾らかと、やはり毎年それがはっきりわかるようにしておかぬといかぬのじゃないか。それがいつまでも、なかなか困難だ、うまくいかないということになって、一方また二、三年後には受信料改定というふうに一般視聴者に対してその分を負担させるということになってくるわけでありますから、私はそういう点からいっても、その不公平あるいは米軍の特権というものはこれは法律の根拠もないわけでありますし、認めることはできないと思いますから、ひとつあなたの方もしっかりとやっていただきたいと思います。  それから、NHKの方は、どうですか、件数、それから金額はどの程度だと、現在でも何か持っていられるものがあったら聞かしていただきたい。
  92. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  先生仰せのとおり、どのくらいの数があるかということは明確に把握はできないわけでありますけれども、手元にございますところでは、五十三年三月のこの委員会で防衛施設庁が答弁した数が住宅数ということで一万一千戸、わが国の防衛白書の中でアメリカ軍人の数は四万四千百人、軍属が三千百人、それらの家族は三万四千四百人、この数字NHKといたしまして手持ちしております数でございます。それから、これで換算いたしますと、大体五千万円の受信料に相当するであろう、あくまで推察でございますけれども、そういったデータを持っている次第でございます。
  93. 米田東吾

    ○米田委員 件数が三万四千四百人――件数ですか、人員ですか。
  94. 海林澣一郎

    海林参考人 住宅数ということで一万一千という数が出ております。住宅数と件数がさてイコールになるかどうかということの追求はちょっとできません。
  95. 米田東吾

    ○米田委員 これは大臣とNHK会長に私はくぎを打っておきたいと思いますが、何年後かわかりませんけれども、この次受信料改定国会に提案される事態があるだろうと思うのであります。それまでにはこの問題は必ず決まりをつけておく、そういうふうにしておいてもらわないと、われわれは受信料改定についてそう簡単に審議に応ずるわけにいかない。NHKも、郵政大臣の指揮する郵政省もひとつ本腰を入れて、この特権あるいは不公平だけは是正するようにぜひ御努力をいただいておきたい。これははっきりここで申し上げておきたいと思います。  大臣、どうぞ時間があれだそうですから……。  NHKに若干細かいことをちょっとお聞きいたします。  五十二年の受信料収入で大体二十四億円程度の減収になっているわけでありますけれども、これは取り立て不能ということなんでしょうが、どういう努力をされて、そしてどういう結果になって、こういう金額になっておるのか、また、取り立て不能、未収の状況はどういうものなのか、今後の参考にもしたいと思いますから、聞かしておいてもらいたい。
  96. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  いま先生が、五十二年度の決算で見て受信料収入が二十四億減収になっているということでございますので、なぜ減収になっているかということをまず申し上げたいと思います。  二十四億という額は当初予定いたしました受信料収入に対しまして約一%になっているわけでございますけれども、二十四億減りました理由は大きく分けて二つございます。  一つは受信者数にかかわるものでございまして、これは五十二年度予算を立てます場合に、前年度の受信者がどこまで伸びるかという予想を立ててスタートするわけでございますけれども、残念ながら前年度の決算を迎えました場合に、予定しました数量に達しなかったというのがございます。それから五十二年度中に七十万の予定を掲げたわけでございますけれども、これも年間には達成できなかったという事情がございます。  それからもう一つ、二十四億の減収につながりましたのは災害の免除でございますけれども、これはNHKで台風あるいは集中豪雨等によります受信料の免除をしているわけでございますが、この年度には有珠山の噴火、噴煙もございまして、一段と免除が多くなりまして一万件を超える数になりまして、その受信料免除額も含めまして、この五十二年度は当初予算に対して二十四億の減額をしたもので計上せざるを得なかったというわけでございます。  これに対してどのように収納していくかという問題は、営業の現場の話になりますのでまたお話しさしていただきますけれども、これについてもとにかくできるだけ回収に努めるようにということで、あらゆる営業施策を動員してやったということをまず申し上げておきたいと思います。
  97. 米田東吾

    ○米田委員 いま一つちょっとお聞きいたしますが、雑収入、これはNHKにとっては副次的な収入ということになるのだろうと思うのですが、これは金額は大した金額ではありませんけれども、こういう方向で、雑収入であろうと副次収入であろうと、入ってくることは結構なことじゃないかと思います。どのような内容であってどういう努力をされたのか、これからの見通しも含めてちょっとお聞きしておきたいと思います。
  98. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  五十二年度の収入の大半を占めます受信料がそのような状況でございましたので、収入の中に占めますいわゆる雑収入につきましては、できるだけ各項目について収入が上がるように努力をしたわけでございますけれども、その中で大きなものを申し上げますと、ちょうどこの年度は、五十三年度以降の財政安定のための資金というものを八十七億ほど手持ちに残すようにという計画でございましたけれども、おかげさまでこれをかなり上回ったもので手持ち資金として残りました。そのほかに、支払いに当たります金につきましては、支払い時期の調整というようなものをかなり有効にやってまいりました。  そのほかに、副次的収入としましてはここでは一億九千四百万円当初予算よりも上回ったわけでございますが、どういうもので副次収入を上げたかということでございますけれども、大きく分けまして、番組関係では、実際に放送しました番組の二次利用をしていただく、あるいはNHKが著作権を持っておりますものの使用料を上げる、さらにはテキストの編集手数料を収納するというような面でございますけれども、全般といたしまして、番組関係では番組の実際の利用を高めていったという問題で五千万以上のものが予定よりふえたということが申し上げられます。それからもう一つ、副次的収入につきましては技術関係でございますけれどもNHKの持っております工業所有権を実際に利用していただいて、これによる収入を上げるという面でございますけれども、予定しましたよりもかなりの項目について引き合いがございまして、一億四千万余りのものが収入としてふえたわけでございます。したがいまして、副次収入全体としましては当初四億七千万程度のものでございましたが、六億以上の実績を上げることができたということでございます。  このような実績を五十二年度は上げ得たわけでございますが、将来とも上げ得るのかどうかというお尋ねでございます。現在、副次的収入につきましては法律の許す範囲において最大の努力をしているわけでございますけれども、これらについて各年度努力はいたしますけれども、画期的な増額ということをにわかに期待することは無理かと思っているわけでございます。
  99. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つ、事業支出のところでは、これは企業内部努力もあったのだろうと思うのですが、五十六億円の節約、節減ということになっているわけでありますけれども、この中身というものはどういうものなのか聞かしておいてもらいたい。
  100. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  五十六億円の予算の残をしたわけでございますが、これが約三%に当たるわけでございますけれども、これは大きく分けまして私どものみずからの努力によりますものと、それから予想に反しての物価の低減といいますか、経済事情の推移によるものと大きく分けることができます。  まず、物価上昇のところで予想よりも余し得たと申しますのは、この当時、国鉄の運賃等の公共料金が、予定いたしましたものがいずれも見送りになるという状況がございまして、かなりの金額を予定しておりましたものがこれで出ないで済んだというものもございます。それから、番組に使います資材につきましては多少値下がりをしてまいったという時期でございましたものですから、これにつきましても六、七億の残を手持ちにすることができたわけでございます。そのほかに為替レートの問題も私どもかかわってまいりまして、これでも一億四、五千万のものが浮くということでございまして、さらにはお金を借りております支払いの利息につきましても、借入金の金利が下がってまいったという事情に助けられてかなり余すことができたわけでございます。  これを要するに、私ども努力もありますが、経済情勢等にも助けられて五十六億になったという事情にあるわけでございます。
  101. 米田東吾

    ○米田委員 ことしの料金改定は、まだ数カ月でございますけれども、収納の面で何か影響が出ておりますか。心配ありませんか。
  102. 海林澣一郎

    海林参考人 結論的には格別の問題がないというふうに思っておりますけれども、新しい料額によります収納につきましては、御承知の二カ月を一期とするという形で、一カ月暫定がございましたので、実際には六月から収納が開始されたという事情にございます。事前の周知活動、新聞広告、放送というようなことで積極的にそのPRをしたということ、それから収納活動にも万全を期するということで、新料額によります受信料の収納は、五十一年のときに不払い同盟というようなことがございましたけれども、そういうようなことは一切ございませんで、格別の問題なしに推移しているというふうに考えております。
  103. 米田東吾

    ○米田委員 そう心配はないということですね。料金改定で、新たに契約拒否だとかあるいは料金を納めない納入拒否、そういうような動きはないというふうに見ていいわけですか。
  104. 海林澣一郎

    海林参考人 契約拒否、滞納につきましても、特に滞納は、五十四年の末から五十五年の九月まででございますけれども、三千の増加ということで、例年に比べますとその辺も非常に抑えられている。それから、契約の拒否につきましてもほぼ横ばいであるという御報告ができます。
  105. 米田東吾

    ○米田委員 これは多分要望にもなりましょうけれどもNHKの場合の前納制あるいは銀行振り込み、この制度は他の電気料金や水道やガスや、郵便局でも簡易保険や何かでも、いろいろなところで採用しておりますけれどもNHKの場合は、あるいは私が間違っておるのか、そういう面についてのPRがどうも足りないように思うのですけれども、そういうことはないのですか。したがって、いま率からいきますともっと進んでいいと思うのですけれども、この率はNHKの場合は案外少ない。月々の料金から計算いたしましても、半年分前納あるいは一年分前納ということで、しかも割引制度があるわけですから、これはPRいかんによってはもっと私は進むと思いますし、それから銀行振り込みというような制度もまだ件数も進むのじゃないかと私は思うのですけれども、PRの面は皆さんはどう見ていらっしゃいますか。
  106. 海林澣一郎

    海林参考人 先生の仰せのとおり、たとえば口座につきましても東京でおよそ五〇%、全国平均しますと四三%というような数字でございますけれども、実は実態的には、たとえば農村地帯であります郵政委託地区、この辺のところがまだ口座ができないというような事情がございまして、東京でほかの公共企業が六〇%、七〇%ということに比べますと、いささか遜色ありでございますけれども、そういう実態を踏まえながら、しかし先生の御指摘のとおり口座でぜひお願いしたい、これは現場を回る委託の方あるいは職員にも言明してございますし、放送の方でもそういったPRをしようと積極的な努力を進めている次第でございます。
  107. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つは、沖繩のことについてこの機会に聞いておきたいのですけれども、いま特別措置法の適用で、本土とは料金において差があるわけですね。恐らく収納のパーセントなんかでも、沖繩は本土と比べて余りよくないということになっているのじゃないか、これは聞いてみなければわかりませんけれども、私はそんなふうに見ているのでありますが、沖繩に対する対策は、なお当分NHKとしては現状でいくというふうに考えていらっしゃるのか、さらに特別また沖繩対策でサービス向上の面でいろいろな手を考えていらっしゃるのか、ちょっとその点だけお聞きをしておきたい。
  108. 海林澣一郎

    海林参考人 まず現在でございますけれども、本州方面から十四人の応援を送り込んでいるということが現在ございますけれども、五十二年度から毎年職員を派遣いたしまして、受信料制度に対します沖繩県視聴者理解を深める活動をやっている、視聴者懇談会であるとか、そういったグループを集めての会合もやっているということで、徐々に、たとえば四十七年の沖繩復帰のときに収納率が四一・二%でございますけれども、五十二年度には五六・三%と、わずかずつではございますけれども上昇カーブに入っておりますので、このカーブを落とさないように、全面的な応援、支援をするということを現在の施策にしてございます。  今後の対策、これを個条書きにいたしますと、委託集金員の随行指導によります未収、未契約対策――職員を随行させて対策をする。それから集金訪問順路の整備、どういう町筋をどういうふうに回っていくかということが復帰後まだ完全に整備されておりませんので、そういった地図も明確につくる。本州方面から応援に行った者がそれをやっております。それから受信料制度周知理解促進、これは放送を通じあるいは広告を通じてやっている。これが具体的なところでございます。
  109. 米田東吾

    ○米田委員 いろいろお聞きをいたしましたが、一番問題は、NHKのこれからの長期ビジョンといいますか、一体これからの経営がどうなっていくのか、先行き明るいのか暗いのか、そこらあたりが一番問題になっていくと思いますが、審議会の設置もされまして検討を加えられておるということでありますけれども、ひとつNHKとしても真剣にこの問題に取り組んでいただいて、しかも早く方針を決められて取り組まれるということが必要だと思いますから、必要によっては本委員会等に対しても、中間でもいいですから、NHKはこういうことを検討している、こういう方向でいきたいというようなものが示されれば大変私どももありがたい、こう思っておるわけであります。  いずれにしても、会長を初め皆さんの最大限の御努力を要請いたしまして、私はこれで終わりたいと思います。
  110. 佐藤守良

    佐藤委員長 米田東吾君の質疑は終わりました。  午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十一分開議
  111. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず最初に、NHK公共放送としてのあり方、こういったものをいまもう一度見直さなければならない、あるいはいろいろ各方面から論議がされておるときではないか、こう考えます。特に、NHK経営環境というものを展望すると、民間放送事業、こういったものが急速に発展しておる。それから、今回のこの放送大学学園法の具体化ですね。こういうことになりまして、現在でもこれで三本立て体制と言っても過言ではないわけですね。  こういう中で、放送事業に関連する電気通信のニューメディアの開発、たとえば多重放送、御承知のとおりです。あるいはAMステレオであるとかキャプテンシステム、さらにまたペイテレビというのが出てまいりましたね。これを日活が申請をしたということでこの問題がいろいろとクローズアップされております。そのほかペイケーブル、緊急警報放送システム、ビデオディスク等等、幾つもございますね。こういうニューメディアの開発、技術革新など次々と状況というものが変化してきておる。その中で、従来の放送事業の体制そのものが事実上転換期に来ておるように私は考えるわけです。  そこで、いま一度確認しておきたいのでございますけれども、もともと公共放送としてのあり方、位置づけ、国民生活に与える影響からいってそういった面がどうであったのか、その位置づけ、あり方に関して郵政省並びにNHKから御答弁をお願いしたいと思います。
  113. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  わが国の放送は、受信料制度に基礎を置きます公共放送としてのNHKと、民間の創意に基づきまして広告放送を基礎といたします一般放送事業者と相まって、生々発展してまいったということでございます。  最近、いま先生御指摘のようにいろいろなニューメディアが出てまいっております。これをどのように現在の放送体制に持ち込むかということも問題でございますけれども、また放送大学も御提案申し上げておるわけですけれども、基本的にはただいま申しましたように、NHKと一般放送事業者の併存する放送体制というものは変わるものではないというふうに理解いたしておる次第でございます。
  114. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもといたしましては、先生御指摘のようにいろいろと目覚ましい技術革新そのものがNHKの存在というものにどうつながっていくのか、これは経営の課題としては一番大きなテーマであろう。NHK自身も、放送の技術革新にいかに対応していくかというところに今後の展望が開けていくのではないかというふうには考えている次第でございます。  ただ、基本的には、いま電監局長からも御説明がございましたように、NHK受信料制度に支えられて、国民のコンセンサスと申しますか、国民の理解の上に立つ事業体でございますから、そういうNHKに対する理解を深め、なおかつ新しい技術革新に適切に対応していかなければいけないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  115. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公共放送というものはもともとNHKから出発していきましたね。ところが、その後民放の大きな発展、それから今回のようにこういう放送大学学園法案というものがいよいよ具体的になっていく、こういう形にあって、果たして公共放送というものの性格を守っていくのかどうなのか、その意思というものが今後あるのかどうなのか。その辺が、もしなし崩しにいろいろなものができていったならば、いまのニューメディアの意味から考えてもそうでございますけれども、本来の公共放送というものをもう一度考え直さなければならないことになってくるのではないか、こう考えるわけです。そこで、政府としましてこの性格を守る意思があるのかどうか、その点を確認しておきたい。
  116. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、私どもといたしましては、現在の体制と申しますか、一般国民大衆の視聴者の賛意を得ましたNHKというものと民間の創意を含めました一般放送事業者の併存する体制、これが最もよろしいということを確信いたしておるものでございます。  今度の放送大学の発足というものは、教育番組の中で最もレベルの高い大学教育の番組が入るわけでございます。それとの競合というものもあるわけでございますけれども、これらを刺激といたしまして、NHKといたしましてもますます視聴者の要望というものを従来以上に取り入れて、公共放送としての使命をお考えの上発展していってほしいというふうに考えている次第でございます。
  117. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKにお伺いしておきますが、放送大学ができたならば、その影響についてはどう考えていますか。
  118. 坂本朝一

    坂本参考人 いま御指摘の点につきましては、午前中の委員会でも御説明申し上げましたように、受信料経営の基盤とするNHKと広告収入を基盤とする民放と、それに国費において賄われる放送大学、こういう三本立てになるわけでございますから、受信料そのものについて私ども視聴者との対応を誤りますと、影響を生じるということなしとしないのではないかということで、その点について十分対応していかなければいけないだろうということで、現在部内でもその点の検討を始めているという次第でございます。
  119. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 同じく電気通信において、いわゆるニューメディアですね。これは多重放送、こういったものから文字多重放送、それからAMステレオ、キャプテンシステム、さらにまたペイテレビ等々、こういったものが出てきた段階でこの影響はどうなりますか。NHKとして受信料をいただいてそして視聴者に番組を提供していく、こういう立場での公共放送としてきておるものが、今回はこの放送大学というもので、これはだれでもスイッチをひねれば無料で見られるわけですね。そこへ今度はもっと違ったもので、有料でペイテレビというようなものがもしも発展していったときにはどうなっていくのか、その辺の影響をNHKとしてどう考えているか、あるいはその対応についてお伺いをしておきたいと思います。
  120. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生の御指摘のようなペイテレビというようなものが実現した暁におきましては、当然、受信料をいただきますわれわれと、それからそういう機械設備を設置することによって逆に受信料を払うという方法ということになるわけでございますから、これはもうわれわれとしては、相当重大な影響があるであろうというふうに考えざるを得ないわけでございます。  ただ、さればといって、そのことは法律上の問題でございますので、私がここで軽々にどうこう申し上げる筋合いではございませんけれども、そういうことの技術革新にどう対応をしていくかということが、私どもに与えられた課題であるという認識のもとに現在部内検討を進めておる、こういう次第でございます。
  121. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日活が去る九月三十日、郵政省に対してUHF電波を使った有料テレビ、いわゆるペイテレビですね、この開設の免許を申請した、こういうように伺っておりますが、それと同時に、田中電監局長が、法制になじまぬ、現時点では無理じゃないかというような発言もされておりますけれども郵政省としてペイテレビについての見解をお伺いしておきたいと思います。
  122. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  ペイテレビと申しますか、有料テレビをわが国の現在の放送制度の中に取り入れるに当たっての問題点はどうかという御質疑かと思いますけれども、まず、わが国におきましては、従来放送事業者というものは、広く公共の福祉のために放送を行わなければならぬという放送の公共的使命というものが強く意識されておったというふうに考えるわけでございまして、そういうところへ、直接料金を支払う国民に対してと申しますか、そうした方々に対してのみ放送番組を提供するような放送形態を認めるということが果たして妥当であるかどうか、あるいは先生御高承のとおり、ペイテレビというものは一般の放送とは異なりまして、利用料というものを支払いましてデコーダーを借りなければ受信ができない。支払う人がいなければまたペイテレビも成り立たないということでございますが、周波数の有効利用あるいは放送の能率的な普及という観点からしてもこれまた妥当かどうか、また事業として成り立つためにはどうしても人口の多いといいますか、需要が認められる特定の地域に恐らく限られるであろう、そういう地域をサービス対象とせざるを得ないと見るわけでございますけれども、そうしたものに限られた周波数というものを割り当てるといたしますと、他の重要無線等との関連でどうか、あるいはその他、ただいまも御指摘ございましたように、NHK受信料制度への影響というものがどうなのかというようないろいろな点がございますので、このペイテレビそのものが、いわゆる放送の多様化の時代を迎えまして需要はあるだろうという点は十分考えられるわけでございますけれども、たとえばいま申し上げましたようなこと、今後の取り扱いにつきましては、制度上の問題を検討するとともに、社会的ニーズと申しますか、導入によります社会的影響というものを十分見ながら検討してまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  123. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このペイテレビに関して申請が出たわけでございますが、これは受理したのかどうか、その点はっきり聞いておきましょう。
  124. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 結論だけ申しますと、たしか十月の十四日に関東電波監理局が受理したというふうに記憶いたしております。
  125. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 現行の放送体制というものを考えて、いま公共放送として一応受信料制度で賄っておるNHKというものがございます。そしてその受信料というものを支払う義務づけが一応できていますね。そういう中で、また今後有料の――国民はまた負担していかなければならぬですね。そういうものを、現行の放送体制という立場から考えて、私は果たしてそれは受理できるのかどうか。アメリカにおいてもそのようなことがあるということは伺っておりますがこれはわが国とは放送体制が違います。そこで、果たして受理できるのかどうかという点をもう一度聞いておきたいのですが、それはどうでしょうか、その見解は。
  126. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  この日活の申請は、私ども受けましたときにいろいろ検討いたしたわけでございます。果たしてこういうものが、先ほども検討点を申し上げましたけれども、それよりも前に、たとえばこういうものは放送であるだろうか、同時放送というのがございますけれども、そういうものであるのかどうかということで、受理いたしましたということは、たとえばチャンネルの割り当てのないところでも、申請がございました場合に特段に書類が整っておれば、検討、審査いたすために電波監理局としましては、言葉は悪いですけれども門前払いを食わせるというか、そういうことではなくて、一応お受けする、そういう意味で受理いたしましたというふうに申し上げたわけでございます。
  127. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公共放送としての大きな柱、これは公共性の高い、公平な放送内容、そして国費を導入しないという、そういう受信料制度のはずでございます。しかし、内容面では、NHKの教育教養番組は今度は放送大学、これは教養学部ということで、教養面において何らかの形でこれが脅かされておる。ここでも何回か論議したものでございます。しかも、そのほかの総合的なもの、娯楽番組も含まれて、そういったものが民放の進出などによって圧迫されておる。そこで、受信料不払い運動みたいなものも出てきておるとか、NHKとして努力はしておりながら、その面が国民のニーズとの間でどうもしっくりいかないものが最近になって出てきておるというように考えられるわけです。  そこで、さらにまたいま電波監理局長の答弁では、もしもこのペイテレビというようなものができるならば、これは任意の契約者のみが有料で視聴できる、NHKのテレビの設置者、これは全部を対象に受信契約することを義務づけている、その中でまたこれが任意に有料で契約ができる、こういうふうになってきたときに、いろいろな角度から総合的に検討しなければならぬ問題でございますけれども、ますます本来の公共放送としての、全国民に一応義務づけてきたそういったものが、もう一度見直さなければならぬ形になってくるのではないか。そこで、公共放送の立場というものは一体どうなるのか、郵政省として政府として、公共放送というものを本当に今後も守っていくのかどうなのか、この点だけはっきりさせておいてください。そして、どう守っていくのかはっきりさせてください。それも一緒に答えてください。
  128. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず最初の御指摘の点は、仮にペイテレビというようなものが実現した場合、われわれが育ててまいりました公共放送NHKに対する影響についてどう考えているのかという御質問かと思います。  御高承のとおり、NHKは受信設備を設置した者から受信料を徴収するものでございます。ペイテレビは受信契約を締結した者からデコーダーの利用料を徴収するものであるということで、本来両者は無関係に両立できる事業体であろうかとは思います。しかしながら、両方とも契約といいますか受信契約を締結する、及び、額は別といたしましても、一律同額の料金を徴収するというようなことできわめて類似性があるということで、そのままではNHK受信料制度への誤解といいますか、それに従いまして大事な公共放送受信料徴収について実際上の影響が出ることも十分考えられるというふうに受けとめておるわけでございまして、先ほどペイテレビの導入に当たってどんな問題点があるかということを申し上げましたけれども、もちろんこれについての検討の途中におきましても、NHK意見を十分聞きながら慎重に参ることは当然であると考えております。  先ほども申しましたように、二本立ての体制ができてから三十年になるわけですけれども、私どもとしては、このNHKと民間放送の二本立ての体制というものは世界にも誇り得る体制であると考えておる次第でございまして、この体制は守ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  129. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度、その点ちょっとはっきりしないのですが、私はこう聞いているのです。  もしもペイテレビができていった場合に、これは有料ですから相当影響が出てきますね。その場合でもこれを守っていくという姿勢はいま聞いていますが、それをどう守っていくのか。いまNHKとしては国民から受信料をいただいて経営を成り立たせておる。ところが経費等がかさんできてまた受信料をアップさせていくという形で、国民との間にいろいろ問題が出てきておるときでございますね。その中で守っていくというのはわかるのですけれども、果たしてどうやっていくのかということをもう一度はっきりと答えてください。いまの回答ではわからないです。
  130. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどからいろいろな問題点といいますか、私どもが今後早急に検討すべき点がいろいろございますというふうに申し上げたわけですが、先生のいまの御指摘のどう守っていくのか、逆説的に申しますと、いまの体制は守り切れない、影響があるということだと、このペイテレビに対する結論が出せないということであろうかと思います。
  131. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 音声多重放送についてお伺いします。  現在の状況はどのようになっているのか、さらに今後の見通しを郵政省にお伺いします。
  132. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョンの音声多重放送の現状はどうかということでございますけれども、御承知のように音声多重という新しいメディアが参りまして、いろいろな角度から検討したわけです一ともかく明快な補完的利用であるということで、ステレオホニック放送と翻訳による二カ国語放送というものに限りましてその利用を認めてきたところでございますけれども、いま現在二年間たっております。  その普及は、時間数で申しますと、五十五年十一月現在でございますが、NHKは平均放送時間一週間に、六局ございまして四時間三分程度やっております。また、民間放送につきましては、三十五社ございますけれども、十二時間一分程度の放送を行っておるということでございます。それから受信機の普及台数でございますけれども、五十五年八月末現在で、アダプターと申しまして従来のテレビに別の付加装置を加えたものが五十万六千台程度あるだろう、またテレビ受像機そのものに組み込んでございます内蔵型百七十三万程度、合計いたしまして二百二十万程度普及しておるだろう。これをどう見るかということでございますけれども、メーカーなどはもっと普及さしてほしいという要望もあるようでございます。  私どもとしましては、かなり普及はしたというふうに思うわけでございますけれども、なお電波の有効かつ能率的な利用を図るということで、この番組をより一層多彩で魅力あるものにしたいということで、もちろん独立利用等につきましては音声放送全体の秩序の中にどう取り込むかという非常に重大な問題がございますけれども、ただいまやっております補完的利用の範囲内の拡充をもっと考えまして現在作業中という状況でございます。
  133. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKにお伺いしておきます。  現在の音声多重放送の補完的利用についての状況あるいは普及はどうなっておるのか、今後の拡充計画等はどうなのか、それを聞かせてください。
  134. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  五十三年の十月に東京、大阪におきまして実用化試験放送を開始して以来、その実用化には積極的に取り組んできたつもりでございます。五十五年度におきましては、実用化試験放送の実施区域は七地区でやっております。それで全国の世帯カバレージで申し上げまして五〇・七%、世帯数で千六百三十万世帯が聴視できるような状況に至っております。放送時間は、ステレオ放送と二カ国語放送を合わせまして一日平均一時間二十分程度の計画で実施しております。五十六年以降につきましては、聴視者の意向並びに動向を把握勘案しながら音声多重放送にふさわしい番組を開発し、また逐次放送区域の増大、放送時間の増というものを計画検討してまいりたい、さように考えておる次第でございます。
  135. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま郵政省並びにNHKからの御報告を聞いておりますと、たとえばNHKの場合で週で平均四時間、民放全部で約十一時間、非常に少ないですね。そして普及もそう伸びていない、そう魅力もない、こういった形に受け取れるわけでございますが、どうもこれは現在の状況では、当時服部郵政大臣が、時期尚早じゃないかといういろいろな意見もある中を押し切った形になってこの放送に踏み切ったわけでございますが、この多重放送の補完的利用そのものに魅力がないのじゃないか、こう考えますけれども、一体その理由というのは何なのですか。音声多重、あれだけ騒がれていたものがここのところ余り普及していかないという原因は一体何なのか、その点をどうとらえていますか。
  136. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生ただいまおっしゃったようなお声が私どもにもいろいろ入ってまいっております。それから、この間のダブル選挙ではこれを急遽使うということにもいたしたわけでございますが、その辺の声を踏まえまして私どもとしましても前向きに鋭意検討しようということで、関係のテレビ会社あるいはラジオ会社等にもいろいろ御意見を寄せていただきまして、ただいま省としてのその御意見等に基づきますアンケートと申しますか、そういうものもまとまりましたので、早急により魅力のある多重放送ができるようにという線で検討を続けておるという現状でございます。
  137. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、音声多重に関してこれを独立利用という形に持っていくならば、これは新しく放送局をつくることと同じような形になりますね。郵政省の音声多重に対する対応、これに関しては、民放局に対してことしの八月ごろから始めました音声多重放送の改善に関する意見聴取の実施、こういったものを見てみましても、補完的利用に関することについては非常にあいまいではないか、こう思います。  そこで、もし独立利用を目指すとするならば、これはまた一つの局にメディアというものが集中してくる、そういう意味では集中排除の原則というものがあるわけでございますから、これをどういう形で独立利用を認めていくのか。それからまた、第二音声といったものをどう取り扱っていくのか、方針を伺っておきたいと思います。
  138. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多様化するメディアをどう吸収し、発展させていくかということでございますが、先生先ほどから御指摘のように、最近いろいろなメディアが出てまいった。放送のメディアも、送りの側のメディアとしてもそうでございますし、需要者の側においても多様化してまいったということで、衛星放送、多重放送あるいはキャプテン、いろいろございます。そのような状況に対処するということで、実はごく最近、七月でございますが、部外の学識経験者に今後の放送サービスの需要動向あるいは各種メディアの開発動向等の諸問題につきまして検討していただきまして、将来の放送サービスのあり方について見通しを得たい、ただいま御指摘の音声多重放送の独立利用等につきましてもあわせてお考えをいただき、御提言をいただきたいと考えておる次第でございます。
  139. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKの財政に関してちょっと伺っておきますが、この前五十四年十一月に第二次のNHK基本問題調査調査報告書が出ております。その中でもいろいろと言われておりますけれども、過去十五年間ぐらいNHK状況というものを見てみますと、カラー受信契約数の増加が四十六年度をピークに減少の傾向をたどっておりますね。それから受信料収入の頭打ち傾向、これが順次に明確になってきている。そこで経営事業の収支は四十七年度以降は赤字の状況となり、そのまま五十一年と五十五年、本年でございますが、受信料値上げによって当面の収支バランスを何とか保っているわけです。ここの報告でもあるとおり、五十五年度から五十七年度までの三年間において千五百九十一億円、これだけのものが不足になってくる、これだけの赤字が見込まれておる、こういう報告になっております。その辺の、五十一年の値上げから五十五年の値上げまでの間の経営努力というものは一体どういうふうになっていたのか、概略で結構でございますので説明をお願いしたいと思います。
  140. 山本博

    ○山本参考人 五十一年度に受信料改定をお願いいたしまして、五十三年度まで三カ年間の収支のバランスをとった経営計画を立てたわけでございます。ところが、この三カ年間は非常に経済情勢の変動も激しゅうございましたし、また当初二カ月間の暫定予算という特殊な事態もございましたので、この三カ年間が終わりました時点においてどういう状況になるかというのが非常に予測いたしがたかったわけでございますが、いずれにいたしましても、いろいろな条件を克服いたしまして三カ年間をしのごうということで事業運営に当たりました。その結果、約二百五十億ばかりの支出の削減をこの三カ年間にいたしました。もちろんこの金額の中には、NHK経営努力だけでなくて外的な経済条件の好転という要素もございますが、約百億少しの支出の削減をいたしまして、三カ年間計画の中で予定をいたしておりました約五十億の節減目標を約八十億まで引き伸ばして達成いたしました。これを含めまして、いま申し上げました約百億ばかりの経営努力によりまして五十四年度に百五億の繰越金を持ち越すことができまして、それで五十四年度は受信料改定ということをいたさないでしのぐことができたわけでございまして、この中には、組織の改正それから人員増の抑制、それから日常的ないろいろな経費の削減、こういうものも全部含めましてこういう金額になりました。これが大要でございます。
  141. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最後に一点お伺いしておきます。  いま私もここで質問をさせてもらいましたけれども、現在の放送体系が非常に曲がり角に来ているという認識においては共通しておるのではないか。そしてまた相互の関連性といったものがばらばらであり、放送体系がいかにあるべきかということに関して、放送法が制定されて以降現在に至るまで三十年間何をしてきたのか、また、何が問題であるのか、将来いかにあるべきか、こういった議論を全体のレベルでやっていかなければならない、こう考えます。  それで、昭和三十九年のあの臨時放送制度調査会の報告、これがどのように生かされたのか。また、現在民放やNHK等の電波行政全般を通じて国民的合意を得るために、いまこそこういった臨時放送制度調査会というようなものを国民各層の代表から選んで、そういったものをつくって早急に検討すべき段階に来ているのではないか、こういった点を考えるわけでございますが、郵政省並びにNHKの見解をお伺いして終わりたいと思います。
  142. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  放送法の抜本的な改正でございますが、ただいま御指摘ございましたように、臨放調の答申も得まして昭和四十一年の第五十一回国会に提案いたしましたわけですけれども審議未了、廃案になったわけでございます。これら一連の電波法、放送法改正につきまして、いまなお検討中ということでございますけれども、先ほども御指摘のございましたように、放送衛星あるいは多重放送等非常に新しく発生した分野で流動的な要素が多いということもございますので、それらの点を十分見きわめた上で処していかざるを得ないということでございます。いずれにいたしましても、放送法の根本的改正ということになりますと、言論の自由と申しますか表現の自由にかかわる重大な問題でございますので、関係者の意見それから世論の動向というようなものも踏まえた上で成案を得るべく努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  143. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘の点はNHKも全く重要なテーマだというふうに考えておりまして、御承知のように、一九八〇年代を迎えまして非常に世の中が変わってまいります。特に視聴者放送に対する期待とか要望というのは大変多様化してまいっておりますし、一方、民間放送事業の急速な発展、さらには放送大学構想あるいは多重放送、衛星放送等、放送事業にかかわります技術革新の飛躍的な発展というような、そういう情勢の中でわれわれはどうあるべきかということで、したがいまして、現代社会に欠くことのできない放送の持つ重要な意義を十分踏まえながら、時代の要請に適応する放送体制の整備ということについて検討が進められる必要があるのではないだろうかというふうに認識しておる次第でございます。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  145. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  西村章三君。
  146. 西村章三

    ○西村委員 きょうはNHKの五十二年度決算審議でございますが、具体的な御質問を申し上げる前に一つお尋ねをしておきたいと思います。  それはNHKと非常にかかわり合いの深い放送法の一部改正でございますが、これは御案内のとおりことし春の通常国会に提案をされまして、審議が経られないうちにああいう事態の中で解散になり廃案となった、こういうことでございます。当初非常に熱意を示されておったという経緯から考えまして、臨時国会にも再び提出されるのではないか、こう思っておったのでありますが、今国会は出てまいりませんでした。出さなかったという理由についてまずお尋ねをしたいと思います。
  147. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 第九十一通常国会に対しまして、放送法改正ということで、NHK受信料制度、その趣旨を一層明確にする、受信者負担の公平を図りたいというところから提案いたしましたわけですけれども、五十五年五月十九日に廃案ということになったわけでございます。  なぜ提出しなかったかということでございますが、この五月に受信料改正があったわけでございますけれども、その収納状況等につきまして、現在のところ私どもその動き、行方、趨勢がどうであるかということで注目をしておるところでございまして、このNHK受信料制度の整備というものはNHKの財政基盤にかかわる重大な問題であるということ、また受信料負担の公平を図るということは十分必要だということでございますけれども、先ほども申しましたように、その後の収納状況等を見詰めながらさらに引き続いて検討をしておるというふうに考えておる次第でございます。
  148. 西村章三

    ○西村委員 もろもろの波及効果あるいは料金改定に伴う収納率、いろいろと御検討なされていると思うのでありますが、一たん閣議決定をされてあそこまで熱意を示されたものですから、まさか撤回されることはあるまいと思っておるのですが、通常国会あたり再提出をされるのか、あるいはもうそのままでその推移をながめて、場合によっては見送るということになるのか、もし再提出をされるという場合には内容的に前のまま同じなのかどうか、その辺はどう考えておられますか。
  149. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多少お答えがダブるようなことになるかとも思いますけれども、先ほども申しましたように、NHK受信料不払い増加の傾向にあったというような実態もございましたので、現在書かれております契約という言葉の不明確さと申しますか、あいまいな点があるというようなことで、受信料制度の趣旨を一層明確化して、NHKの基盤でございます受信料の徴収の円滑化に資したいというようなことで提出したわけでございます。  再提出するかどうかということでございますが、先ほども申しましたように、値上げ後の動きというものに非常に関心を持っておるわけでございます。いずれにしましても受信料制度というものはしっかり整備されねばならない、NHKの財政基盤にかかわる問題だという認識は持っておるわけでございまして、引き続き検討してまいりたいということでございますが、仮に改正案を再提出するとした場合どういうものになるのか、その辺の内容につきましてもあわせてただいま検討いたしておるということでございます。
  150. 西村章三

    ○西村委員 この問題でありますが、NHKとしては不公正の是正という立場から従来これも非常に御熱心だったわけでございますが、現段階において、早く提出してほしいという御希望なのか、あるいはまだまだいまおっしゃられたようないろんな不確定要素がございまするからもっと検討したい、こういうことなのか、NHKとしての態度はどうなんですか。
  151. 坂本朝一

    坂本参考人 この問題はこの三月に国会に提出いたしましたわけでございますけれども、これはあくまでも受信者負担の公平に資することを目的としたものでございまして、これは現在においてもNHKの考え方は変わっていないわけでございます。しかし、同法案が審議未了になり廃案になるまでの間の同法案をめぐります国会の御論議あるいはマスコミの論調、世論の動向というものにはさまざまなものがございました。現在政府におきましても電波監理局長の御説明のような状況というふうに承っておりますので、NHKといたしましても、それらの情勢の推移を十分考慮しながら対処していきたいというふうに考えております。  なお、つけ加えさせていただきますれば、衆参両院の逓信委員会附帯決議などを踏まえまして、この七月からNHK長期ビジョン審議会というものを設けまして、そして一九八〇年代社会におきますNHKの使命、役割り、そういうものについて調査、検討をお願いするということでもございますので、そういうことも勘案して対応していきたい。  なお、電監局長もお触れになりました収納の問題につきましても、当然のことではございますが、われわれ全力を挙げて収納に努めておりまして、おかげさまでどうやら、五十一年度の値上げのときと比較いたしますれば、視聴者の御理解をいただきまして、そういう点についてのさわりが比較的少なく済んで推移しているという状況でございます。
  152. 西村章三

    ○西村委員 検討中ということですから仮定の問題になるわけですが、その場合に、春のあの原案のままでまいりましたら、いわゆる契約義務制から支払い義務制に変えていこう、こういうことでございましたね。その場合、受信料の性格というものは変わるのか変わらないのか、いわゆる負担金的な性格というものが。仮定の問題でございますが、答えていただけますか。
  153. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  支払い義務制の導入によって受信料の性格は変わるのか変わらないのかという御質問でございますけれども、先通常国会に提出しました放送法改正案では、NHK放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKに対し受信料を支払わなければならないという明確な条文を考えておったわけでございます、けれども現行法のもとにおきましても、契約という経過がございますけれども、終局的には受信者受信料の支払い義務を負っておるというふうに考えておりまして、また改正案の場合でも、NHKに強制徴収の権限は別につくわけではございません。強制執行といいますか、そういうところに行き着くまでには民事訴訟によらなければならないというようなことで、現行法の受信料と先国会に出しました改正案の受信料というものも、その基本的な性格は変わらないというふうに理解いたしております。
  154. 西村章三

    ○西村委員 現在の時点で、国民全体のNHKそのものの性格についての認識がまだまだ十分ではない。公共放送だという認識を必ずしも全国民がしているわけではない。一部では国営放送ではないかという受けとめ方もかなりされておるわけでございます。そういう時点ではありますけれども、いわゆる公共放送負担金、当然これは契約義務というものがあり、それに従って国民全体で支えていくということを考えましたときに、一〇〇%契約が結ばれて受信料が支払われるということは望ましいのでありますが、現在の時点ですでにもう二千八百万、およそほとんどの人が契約をしておる、こういうことを考えました時点で、国民の中に若干の異質な人があって、かたくなに払わないという人があっても、それはやむを得ないのではないか。それよりもむしろ、支払い義務化、いわゆる放送法を一部改正することによってこれを義務づけて強行することによる弊害といいますか、反発感情といいますか、こういうものが生まれて、公共放送そのものの性格に対しての疑念を抱かせる、このことの方が私はむしろこわいわけでございます。そういうことを考えましたときに、またその収納率そのものも悪くなるのではないか、こういうことも懸念をされるわけであります。したがって私は、支払い義務化は現在の時点ではきわめて時期尚早だ、まず、多少時間がかかりましても、現在のいわゆる収納努力といいますか、経営努力、営業努力というものを続けていただくことの方が先決だと思うのでありますが、これは郵政省並びにNHK、両方からお答えをいただきたいと思います。
  155. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 一部重複いたしましてまことに失礼でございますけれども改正案は、受信料不払い増加の傾向にあったという背景があったわけでございます。放置すればNHKの財政基盤にもかかわる問題ではないかということで、受信料負担の公平を図るという観点からも重大な問題であるという理解のもとにあのような改正案を提案いたしたわけでございますけれども先生御指摘の、NHKの徴収努力で解決すべきではないかということでございますけれどもNHK受信料の徴収につきまして公共放送としての受信者理解と信頼を得るための最大の営業努力を行うべきだということは、法が改正されようとあるいは改正されなかろうと当然のことであるというふうに私ども認識いたしておるわけでございまして、そういう観点からも、受信料の確実な収納につきましては、毎年度のNHK予算が出ました際に郵政大臣意見等もその旨付記いたしまして、この理解と信頼を得ながら徴収努力を払うべきだというふうに考えておる次第でございます。
  156. 坂本朝一

    坂本参考人 受信料の三十二条問題は、先ほども申し上げましたように負担の公平を図るということでございますので、受信料制度そのものに変更があるというふうには考えておりませんけれども、ただ、御指摘のように、いろいろと国会の御論議あるいはその他世論の動向等々、その経過の中で示されました点について、やはりわれわれとしても当然考えるべきだろうということは先ほど申し上げた次第でございます。ただ、一般的に貸し倒れ等と同じように考えますことは、これはやはり受信料制度そのものの負担の公平という見地からとるべきではないのではないか、お一人でも払わない方のないように努力するのが私どもの務めであろうというふうに考えておりますので、先生の、多少の理解度はやむを得ないのではないかという温かい御指摘でございますけれども、私はそれに甘えてはいけないのではないかというふうに自戒しておるわけでございます。しかし、何と申しましても、いろいろと価値観の多様化している現状の中でこの問題に取り組みますことは、相当の努力でも達成いたしかねる点もございますので、いよいよもってこの問題に取り組みたいというふうに考えておるので、御理解賜りたいと思います。
  157. 西村章三

    ○西村委員 郵政省の考え方も、いまのNHK会長のみずから努力をするというお言葉も、きわめて賢明なことだと思います。私は、むしろその負担の公平を欠くということのために、NHK公共放送としての性格といいますか、あるいは根幹そのものまで揺るがすようなことはやるべきではない、こういう観点から、そのお考え方に賛成でございます。むしろそれよりも、けさほどからもいろいろと御論議がございましたけれども、現在民放が非常に飛躍的に伸びてきておる、技術革新が著しく発展をしてきておる、こういう中で、放送法全体を見直すべきことの方が先決だと、こう思うのでありますが、郵政省のお考えはどうですか。
  158. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  支払い義務制に関する部分改正などよりも、放送法の全面改正を行うべきではないかということでございますけれども受信料の支払い義務化の趣旨等は、何度も繰り返し申し上げたようなことで御提案申し上げたわけでございますが、受信料に係る条項以外の放送法改正についてでございますけれども、現在検討中ということでございます。それで、先ほども申し上げたかと思いますけれども、何分にも新しい多重放送とか放送衛星等、非常に新しくて、しかも流動的な要素のものも出てきておるということで、なかなかいい知恵が出てまいらないというようなことで、その辺も十分やはり見きわめて措置していく必要があるということでございまして、私ども省内にも電波放送関係法制調査委員会というのを設けまして、私が会長でございますけれども審議官、各部長、あるいは私が指名いたします調査官等々によりまして鋭意検討中ということでございます。  検討項目でございますけれども、たとえばNHKの組織、財政等これからのあり方、あるいは非常に関心の深い難視聴解消の促進のためにとるべき方策はいかがあるべきか、あるいは非常に発展してまいりました一般放送事業者についての規律等々いろいろ論議いたしておるわけでございますけれども、何分にも表現の自由と申しますか言論の自由というようなものに関係するというところで、関係者の御意見あるいは世論の動向を踏まえました上で成案を得るべく鋭意努力いたしたい、こういうことでございます。
  159. 西村章三

    ○西村委員 放送法全体の見直しにつきましては、いま御答弁がありましたように、できるだけ速やかにそういう努力を続けていただくようにお願いをしたいと思うのです。  そこで、最近のNHK、御案内のとおりでございまして、受信機の設置が伸び悩んでおる、そのために収益の伸びが余り期待できないという状況が続いております。財政基盤そのものが揺らいできておるということも言い得るわけでございますし、また民放が非常に発展をしたこともあります。加えて放送大学、これも予定をされている。NHKそのものを取り巻く環境は日に日に厳しくなっておるということでございます。ある意味では、放送開始以来初めての重大な曲がり角に来ておるのではないか。そうした中で、公共放送としての使命を果たすために今後NHKはどうあるべきか、これがわれわれとしてもあるいは国民の立場から考えましても非常に重要な課題になってまいります。大臣として、NHKの将来への展望といいますか構想といいますか、こうあるべきだというようなお考え方あるいはNHK会長としてのお考え方がございましたら、この際お示しをいただきたいと思います。
  160. 山内一郎

    山内国務大臣 御承知のとおりに、NHK受信料収入によって経営をされております。したがって、非常に苦労されてやりにくい仕事でございますけれどもNHKは懸命な努力をされながら今日までやっておいでになったわけでございます。  そこで、いよいよテレビの普及も大体いいところまで参りましたので、これ以上受信料をふやすということになりますと、払ってくれない人をどうやって払ってもらうようにするとか、受信料を上げていかなければいけないとか、そういう以上になかなかいい知恵がないわけでございます。そこで、今度は経営面についてどう合理化をやって効率よくやっていくか、これも一つのやっていかなければならない問題でございまして、いろいろと御検討され、郵政省でも御指導は申し上げているわけでございますが、ともかくそういう二面について、現在のところはその路線の上を一生懸命動いていかなければやむを得ないじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。  先ほどはコマーシャルのお話も出まして、コマーシャルもいろいろあって、NHKにふさわしいようなコマーシャルはどうであろう、こういうお話がございますが、それは将来の検討事項にさせていただいて、収入の面と経営の面の合理化ということでさらに一層努力をしながら進んでいかなければならないと考えております。
  161. 坂本朝一

    坂本参考人 NHK経営環境は、先生御指摘のように確かに厳しゅうございます。受信料収入の基礎となります受像機の設置世帯の普及がほぼ限界に達している、反面、民間放送事業の急速な発展その他いろいろな技術革新に伴います放送関連の事業の展開ということを考えますと、NHKといたしましては、何といっても視聴者との結びつきと申しますか、そういう視聴者理解と申しますか、そういうことを第一に考えて経営に当たっていくべきであろうかと思っております。そして視聴者が要望する――視聴者が要望すると申しましても、価値観の多様化でなかなか要望の中身も多種多様でございますけれども、しかしそれはそれとして、視聴者の要望に沿うということで結びつきを強めまして経営基盤の確立を図り、受信料制度を守っていきたい。一方、経営そのものといたしましては、効率的な経営の推進等々でさらには長期経営ビジョンの確立ということにつながるのではないだろうかと考えております。そして、当委員会附帯決議等にも示されましたように長期ビジョン審議会等もこの七月に発足いたしまして、その問題についていろいろな面から御検討をいただき、御献策をいただこうというふうに考えておる次第でございます。
  162. 西村章三

    ○西村委員 大臣と会長からそれぞれ御答弁をちょうだいいたしましたが、大臣のお言葉、当面は従来の路線を走らざるを得ない――夢がないわけでございます。会長としても、長期ビジョンの中での将来のあり方についてのビジョンをまだお持ちでないような感じがいたします。  そこでお尋ねをいたしますが、ただいま会長の方から申されましたいわゆるその長期ビジョンをつくるための審議会が発足をしたようでございます。目的、性格はけさから尋ねられておりましたから省略いたしますが、この審議会は従来の基本問題調査会と、その設立趣旨なり運営はどこがどう違うのか、その基本的な違いというものを教えていただきたいと思います。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  163. 坂本朝一

    坂本参考人 第二次のNHK基本問題調査会について申しますと、これはNHK経営のあり方、それから財政基盤の確立の方策等につきまして調査検討をお願いしたものでございまして、今回の長期ビジョン審議会はNHKの長期ビジョンについて調査検討をお願いしようということで、もちろんその御検討願い、御審議願う中身については当然重複するところもあろうかと思いますけれども、基本的な姿勢と申しますか、お願いするテーマと申しますか、そういうところに差異があるのではないだろうか。第二次基本問題調査会におきましては、当然長期展望も踏まえてはおりますけれども、三年の経営の見通しのスパンを中心といたしまして調査検討をしていただいたわけでございますが、今回の長期ビジョン審議会は、その名前のように一九八〇年代を見通してNHKの果たすべき使命、役割りというものについて多角的に御検討をお願いしたいということで御審議をお願いしておる次第でございます。
  164. 西村章三

    ○西村委員 第一次、第二次の基本問題調査会もそうでございましたが、五十一年度のときも、あるいは五十四年から五十五年にかけての基本問題調査会もそうでありましたが、およそ半年間で、きわめて短期のものしかやれなかったということでございます。基本問題というのはそういうものじゃないわけでございまして、これは名称に偽りありだと私は思っておるわけでございます。したがって、今回の場合は長期ビジョンと明確に銘打っておられるわけですから、ぜひこの役割りを果たしていただきたい。ただ、際限のない時間だらだらと審議をしてもしようがないわけでございますから、今後の審議の運び方あるいは大体いつごろにめどをつけておられるのか、このことはどうなのでしょうか。
  165. 坂本朝一

    坂本参考人 ことしの七月に発足いたしまして、午前中の委員会でも御説明申し上げましたように、現在は小委員会に分かれて御審議いただきまして、大体一年半というタームで最終的な御結論を出していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  166. 西村章三

    ○西村委員 現在の経営状況が非常に厳しいという形の中で、さらに料金改定を含むいわゆる経営計画というものを立案されましたが、その中で二番目の事業運営の方針、これを出しておられます。ことしの一月に出されたものです。四つの柱を立てておられるのでありますが、これはいずれもNHKの今後の存立基盤という問題もあわせて非常に重要かつ緊急な課題であろうと思います。しかも、これは書くことはやさしいのであります。口で言うことはやさしいのでありますが、これは実行というものはなかなかむずかしいものであります。すでにこの問題に着手をされていると思うのでありますが、この四項目のそれぞれの柱について、現在やっておられる内容、着手をされた内容を簡単にそれぞれ説明してください。
  167. 山本博

    ○山本参考人 ただいまお示しになりました四項目につきましては、これは三カ年計画そのものを設定いたしますときに、この中に織り込んだ基本的な項目でございます。したがいまして、これはすでに五十五年度の予算を本年度御審議いただきますときの予算案の中にそれぞれ織り込み済みでございます。なお、五十五年度だけでなくて、五十六年度、五十七年度にも割り振りをいたしてございます。  たとえば第一の項目でございますが、これはすでに三カ年計画そのものの収支の計画を立てますときに、あの時点で物価の上昇率を六%と見まして、三カ年間の経営計画の中で経費の支出の計算をいたしますときにこれは六%に全部抑えまして、したがいまして三カ年間とも六%という上昇率を基準にして収支の計画を立てております。したがいまして、具体的な経営計画の中で必要な経費もその範囲内で織り込んであるということでございます。なお、物価の上昇がそういう範囲で済まないような場合もあるかもわかりませんけれども、三カ年間としてはすでに五十五年度に物価上昇率をその範囲内で抑えてスタートをしておる。  なお、ついででございますけれども、五十五年度の予算の中の当初に一カ月間の暫定予算がございましたので、四十四億の収入不足というものを生じておりますが、これは私たちといたしましては、この三カ年間の中にこれを吸収するような努力をしようということで、五十五年度ば当然でございますし、五十六年度、五十七年度にわたりましても、この収支不足を解消するようにもろもろの努力をいたしたいというふうに考えております。  二つ目の効率化の問題でございますが、これもほほ予定どおり五十五年度にスタートをいたしておりまして、組織の問題それから業務体制の問題、これは人員の削減の問題それから業務体制の合理化の問題、これもスタートいたしております。  三つ目の経費は、これは三カ年間で七十億円の経費の節減という計画を立てておりまして、五十五年度には十五億の経費節減ということで予算の中に織り込んでございます。  四つ目でございますが、これは多少将来構想にもかかわってまいりますので、これは現在ビジョン審議会の中に新しいメディアの問題もつけ加えまして御審議をいただいておるという状況でございます。
  168. 西村章三

    ○西村委員 いろいろと御努力をいただいているようでありますが、効率化の実施計画、これは具体的にお立てになって、現在その計画に基づいて組織だとか機構だとかあるいは要員削減だとかいろいろとおやりになっておられるのでありますが、この実施計画全体で一体どれぐらい経費の節減がこの三カ年間でできるのか、その数字はおわかりでございますか。
  169. 山本博

    ○山本参考人 経費全体といたしまして、計算をいたしております額は七十億円でございます。
  170. 西村章三

    ○西村委員 朝からの質問の中で要員の問題が出てまいりましたけれども、当初目標が千二百人、三年間で六百人、初年度百、次年度二百、そして三年目が三百ということでございますが、これはこの効率化実施計画を遂行することによって可能でございますか。初年度の方はけさ聞きました。あとはまだ不明だ、こういうことですか。
  171. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  初年度は、ただいま先生のおっしゃいましたとおり百人は実現できるという考えを持っております。それで、この効率化の計画につきましては、年度ごとに具体的な計画を立ててまいるということでございまして、二年目の二百人につきましてはただいま検討をいたしております。しかし、この全体で六百名の効率化というのは、視聴者の皆さん方に協会がお約束したことでありますから、何としてもこれは実現をいたしたいという考え方で、何とか具体化を図ってまいりたい、どういうふうに考えております。
  172. 西村章三

    ○西村委員 私の手元にあります資料によりますと、管理・間接部門の削減目標数が五年間での目標として二百十名、内訳は本部が百四十六名で地方本部が六十四名、計二百十名ですね。こういうことが記載をされておるのでありますが、これは三年間六百人とのかかわり合いの中で、どのように考えたらいいのですか。
  173. 武富明

    ○武富参考人 お答え申し上げます。  三年間の計画の中で、この管理・間接部門の削減というのはどのぐらいになるかという御質問でございますけれども、先ほどお答えをいたしましたように、二年目、三年目につきましては、具体的な業務の効率化の進捗状況、あるいは現実に人間を減らすわけでございますから、そこを円滑にやる必要がございますので、・年度ごとに相定めたいというふうに考えておりますが、やはりこの効率化の中では、管理・間接部門をできるだけ早く完成をしたいというふうな考え方でおりますので、大体ことしは管理・間接部門で四十名の効率化をしたわけでございます。ややそれを上回る速度でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  174. 西村章三

    ○西村委員 この事業運営方針の柱の三番目、その中で「経費の重点的効果的支出と節減の徹底に努める。」ということでありますが、いわゆる徴収経費というものが営業費の中で占める割合、この中で特別徴収員制度というのですか、例のいわゆるフクロウ部隊、これを過去ずっと、二年ぐらいですか、おやりになってこられたわけでございますが、現在も継続をしておられるのか。採算を無視して、約二億の受信料を徴収するのに八億も金をかげておる。負担の公平を期すためとはいいながら、これは許しがたいことだとわれわれは考えておるわけです。今後もこれを継続をしていかれるのか。仮に継続をしていかれるとするならば、たとえばその基準、限界というのはどこまでなんだ、訪問回数によるのか、あるいは一定額が上がればそこでこれを廃止をするというのか、あるいは継続的にやるというのか、その辺の基準がなければ、無制限に金をつぎ込んでわずかな額しか徴収できない、こんなむだなことはないわけでして、これはぜひ考えていただきたいし、お答えをいただきたいと思うのです。
  175. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  いわゆるフクロウ部隊、特別営業対策員につきましては五十二年以来の発足でございまして、われわれとしては効果を上げているというふうに思っております。しかし、先生のおっしゃいますように、二億の収納を上げますのに十億かかるというようなことでございますけれども、基本は公平負担と申しますか、受信料の公平負担というものを遂行しなければいけない。単に特別営業対策員がその収納ということでございませんで、継続的な効果がございます。一回滞納者の中に入りましてそれを収納し得るということでございますと、その後にも持続して収納できるという波及効果がございますので、私どもといたしましては、この制度は十二分に評価をするという形で、先生のおっしゃいます費用効果という面で多少アンバランスという側面がございましても、再度申し上げますれば、公平負担を貫くためにこの制度維持したいというふうに思っている次第でございます。
  176. 西村章三

    ○西村委員 重ねてお尋ねをしますが、やることは結構なんですけれども、むちゃくちゃな、採算を度外視したやり方というものはいかがなものであろうか。そのためには一つの基準を決めるべきだ。たとえば訪問回数を何回かやって、しかもなおかつ応じないという人、この訪問回数は大体どれぐらいのめどに置くのか、あるいはどれぐらいの料金が収納されればいいんだという一つの基準を持たなければ、無制限に幾ら金をつぎ込んでもいいのだ、不公平だけ直せばいいのだという物の考え方は通用しないと思うのですが、どうですか。
  177. 海林澣一郎

    海林参考人 おっしゃるとおりでございまして、二億取るのに十億ということが公平であるかどうか、これは本当に私ども、先ほど申しました公平に負担していただくということに投資するコストとしてどうであろうか。しかし、受信料制度を守るという基本にどうしても立ち返りますので、これはいま慎重にわれわれ鳩首討議をしているということでございます。
  178. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたので、もうこれ以上申し上げられないわけですけれども、一定の基準をつくるべきだ、一遍考えていただきたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  179. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 西村章三君の質問は終了いたしました。  次に、藤原ひろ子君。
  180. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、過日の当委員会におきまして、来年の国際障害者年の取り組みについて質問をさせていただきました。国際障害者年の目的であります障害を持つすべての人々の社会への完全参加と平等を実現していく上で、今日、NHKが国際障害者年の趣旨を広く普及をして、障害者の皆さんを励ます番組づくりをしていくことに大変大きな期待が寄せられているわけでございます。きょうは、これを別の角度から、そうした番組をつくりますNHKの職場は一体どうなっているのかという点についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず労働省にお尋ねをしたいのですけれども、私は、障害者の完全参加と平等を実現していく基本的な問題は、社会福祉の施策の充実とともに、障害者自身の雇用をどう確保するのかというところにあるというふうに考えるわけですが、労働省の意見はいかがでしょうか。
  181. 若林之矩

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  明年は国連総会決議に基づきます国際障害者年でございまして、完全参加と平等というものをテーマにいたしているわけでございまして、障害者に対して適当な雇用の機会を与えるということもその大きな目的として掲げられているところでございます。  労働省といたしましては、国際障害者年を単に一年限りの問題として終わらせることなく、長期的視野に立ちまして、心身障害者の雇用対策をさらに充実していきたいと考えているところでございまして、具体的には、第一に、公共職業安定所等におきます障害者の方々のお世話に対する態勢を強力に強化してまいりたいということが第一点でございます。  第二といたしましては、身体障害者職業訓練校等の拡充によりまして、障害者のリハビリテーション体制を総合的に推進してまいりたいと考えております。  第三といたしましては、通勤対策充実など、心身障害者へ特に重度障害者の方々を取り巻きます環境の整備充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  182. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま御答弁いただきましたように、障害者の雇用問題というのは非常に重要でございます。わが国では、身体障害者雇用促進法によりまして、障害を持つ人々の雇用を企業の社会的な責務として位置づけ、障害者の雇用を一層促進していくんだということを明記いたしております。来年の国際障害者年を迎えて、それぞれの企業が、法で義務づけられた障害者の雇用を達成していかなければならない、こういうふうに思います。  そこでNHKにお尋ねをいたしますが、最近三年間のNHKの身体障害者の雇用状況、これはどのようになっているでしょうか。雇用人数と雇用率についてお尋ねをしたいと思います。
  183. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  五十三年、五十四年、五十五年について申し上げますと、協会の身体障害者の雇用は、五十三年度は百七十人、五十四年度は百七十七人、五十五年度は百八十一人となっております。パーセンテージから申しますと、五十三年度は〇・九九%、五十四年度は一・〇三%、五十五年度は一・〇四%となっております。
  184. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁によりますと、五十三年、五十四年、五十五年、いずれの年度におきましても、法定雇用率でございます一・五%を満たしていないわけでございますね。身体障害者雇用促進法は、未達成企業には罰金として納付金を納めることになっているわけですけれどもNHKは幾ら納めていらっしゃるでしょうか、各年度ごとにお答えいただきたいと思います。
  185. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  五十三年度は二千八百万円、五十四年度は二千八百万円、五十五年度は三千二百万円となっております。
  186. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、このようにお金で解決すればよいというふうな考えは全くけしからぬ、許せないと思うわけですけれども、こうしたことについて労働省はどうお考えでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
  187. 若林之矩

    ○若林説明員 身体障害者雇用促進法に基づきます納付金制度は、事業主の社会的な責任というものを経済的に調整する、さらには雇用の促進を図るという目的で徴収されているものでございまして、もとよりこれは罰金という性格のものではないわけでございます。雇用率は、このような納付金とは関係なく、あくまでもその雇用率を達成していただくべきものでございまして、納付金を納めたから雇用率の義務が免除されるというものではないわけでございます。
  188. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁のとおりに、納付金を納めているからそれでよいというものではない、この法定雇用率を達成するためにぜひ努力せよという労働省の御答弁もあったわけですが、私も直ちに法定雇用率を達成すべきだ、こういうふうに思いますが、それではそうした計画をNHKは持っていらっしゃるんでしょうか。もしなければ、これを作成するような意図があるのかどうかお答えいただきたいし、あれば御提示いただきたいと思います。
  189. 武富明

    ○武富参考人 お答えを申し上げます。  私どもといたしましても、お金でこの問題が片づくとは考えておりません。まして法で定められたものでございますから、一・五%という雇用率というのは、やはりそれを目標にわれわれとしては努力をしていかなければいかぬものだ、このように心得ております。先ほど御説明いたしましたとおり、五十三年度から五十四年度、五十五年度と、年度を追いましてわれわれとしてもささやかながら前進をしているつもりでございます。  ちなみに、ちょっと御紹介をいたしますれば、千人以上の大企業の身体障害者の雇用率というのは〇・九%でございます。それから比べますれば、われわれとしては努力の成果が若干なりともあらわれていようかというふうに思うわけでございますが、と申しましてこれで十分だと考えるわけではございません。まあ、これから実は私どもといたしましては効率化その他を進めていかなければいかぬという事態もございます。その中で可能な限りの努力をいたしまして前進を続けたいと思いますが、ただ問題が問題でございますし、また事情が事情でございますので、急激に一・五というふうに実現することはむずかしいかと思いますが、いままでの努力を積み重ねまして、やはり一・五というのを最終的な目標として進んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  190. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ほかの大企業に比べたらまだましなんだ、それを多とせよということを熱心におっしゃっているわけですが、私の質問は、そういう一・五にあしたからせよというのではなくて、それを達成すべく計画があるのかないのか、あれば出してください、なければどういうふうな意図を持っておられるのですかと、これをお聞きしているわけです。
  191. 武富明

    ○武富参考人 端的にお答えをいたしますと、そのための具体的な計画はまだ持ち合わせておりません。しかし、気持ちといたしましては、先ほど申し上げましたように一・五に向かって進んでいこう、こういう決意は持っておるわけでございます。
  192. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHK視聴者からの受信料で成り立ち、電波というものは国民のものだ、これは一貫して言われてきているし、NHKもその認識を持って事業を進めていらっしゃるというふうに私は認識をいたしております。こうしたNHKの公的な立場から申しまして、他の企業と同じというのではなくて、また他の企業が〇・九だけれども、それよりも少しましだというのではなくて、公共の福祉の発展のために、むしろ率先して障害者の雇用といった面でもNHKは模範を示すべきではないかというふうに私は思うのですね。会長初め役員や理事者の皆さん、また、きょうはお願いをしたのですがお越しになっておりませんですけれどもNHKの最高決議機関であります経営委員の皆さんに考えていただきたいというふうに私は思います。  車いすのアナウンサーがブラウン管に登場するようになる、こういうことが夢ではなくて、そして絵にかいたもちではなくて現実の姿になれば、どんなに障害者の皆さんに生きがいを持たせ、励ましになるでしょうか。さらに、国連決議に基づきます完全参加と平等をまさに実践するNHKだ、こういう社会的な位置も高まっていくのではないでしょうか。広く障害を持つ人々にも門戸を開いていくべきだ、こういうふうに思いますが、たとえば、いま申しました車いすでアナウンサーをやっていらっしゃる、こういうことを御検討になるかならないか、NHKの御答弁を求めたいと思います。
  193. 坂本朝一

    坂本参考人 精神としてはもう先生のおっしゃるとおり、私とすればそういう問題に立ち向かうべきであろう、ただ、具体的な計画がまだお示しできないという点については申しわけないと思っておりますけれども放送の仕事と申しますのはかなり特殊ないろいろな状況がございますので、身体障害者の方にお願いする場合にいろいろと障害があるという、その一面も先生に御理解いただきたいと思います。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、具体的にいま御指摘のありました車いすのアナウンサーというようなことができるのかできないのかという御指摘につきましては、すべての事柄を含めて私は考えるべきであろうというふうに思っておりますので、それで御理解賜りたいと思う次第でございます。
  194. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私も、仕事の中身につきまして特殊な状況にあるといいますか、身体障害者がかえって大変だという仕事もあろうかと思います。しかし、一万六千人の方々を雇用していらっしゃる中で、多方面にわたる仕事があります。それからまた、先ほど申しましたような公共の福祉ということについて皆さんにやはり広く理解をしていただくという点では、私は、車いすのアナウンサーが出て元気でアナウンスしてくださるというふうな姿は本当に夢ではありたくない、来年こそやるべきではないかというふうな考えも持っているわけです。ですから、これからこの具体的計画をお持ちになるわけですから、ぜひともこういった点もお考えいただいて計画の中へ入れていただきたい。  この率ですと、全局で申しますと、各局に一人あるいは二人の障害者の方々を雇用するということで目標は達成できる。目標を達成したらそれでよいというのでなくて、一層この雇用促進を進めていくということは、そう特殊な状況にあるNHKではないというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  それでは次に、難視聴対策の問題についてお尋ねをしたいと思います。  昭和五十年に郵政大臣に提出をされましたテレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書におきましても「辺地難視聴解消の必要性」ということについてこのように書いております。国民のテレビジョン放送に対する接触率、余暇時間に占める視聴時間の割合、教育並びに選挙の面でのテレビジョン放送利用状況等を考えると「今日、テレビジョン放送は、」「国民の日常生活に必要不可欠なものとなっている。」とした上で、都市に見られるような多様な情報媒体、娯楽の機会の少ない辺地においては、この必要不可欠性はより大きいと評価している、こういうふうに述べております。  それにもかかわらず、辺地には相当の難視聴地域が残されているわけです。五十四年度末でNHKで約五十六万世帯、民放で約百四十四万世帯の難視聴世帯が残されているわけでございます。五十二年にNHK予算に対する附帯決議で「難視聴解消対策を効率的に推進すること。」こういうことが衆議院でも指摘されて、この決議に沿ってNHK努力していらっしゃるわけですけれども、現在辺地の難視解消NHKはどのように対処していらっしゃるでしょうか、また郵政省としてはいかがでしょうか。両方から御答弁をいただきたいと思います。
  195. 高橋良

    ○高橋参考人 お答えいたします。  難視の解消につきましては、法律に定められたようにNHKの基本的使命でございますから、最大限の努力を払ってまいりましたし、今後も払うつもりで計画しておるわけでございます。  現状を申し上げますと、残存難視世帯は五十四年度末で五十一万世帯でございます。このうち約四十二万世帯というのは、非常に遠い離島とか遠隔地の山の中とかの散在地域にあるわけでございます。そのために地上施策による解消は大変しにくくなっておりますし、対象地域は逐年小さくなり、また微小化してまいりますので、経費の効率は非常に悪くなっております。しかし、これにつきましては、今後の対応策といたしましては、地上施設つまり置局とか辺地の共同受信施設、これによる対策は、世帯が比較的まとまって、引き続き経済的にも効率的に進められるところはその計画で進めてまいりたい、しかし、抜本的にはもりと経費効率のよろしい放送衛星によりまして、五十八年度の打ち上げをめどに開発を実用化し、できる限りの難視解消の施策を進めてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  196. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKにつきましては、ただいま御答弁もあったところでございますし、また放送法の第七条でも「あまねく日本全国において受信できるように」というようなことでございますので、民放はどうかということかと思いますけれども、いずれにいたしましても、有限貴重な電波というものを使用して放送事業を営んでいただいておるという考え方で、放送を最大限普及させるように努めるということが放送事業者の使命であろうと考えておる次第でございます。  郵政省といたしましては、このような考え方のもとで、機会のあるごとに難視聴解消を促進するよう指導してまいったところでございますけれども、たとえば、特に再免許というのが三年ごとにございますけれども、その際には過去三年間においてどのように難視解消について努力していただいたか、また予定される今後の三年間においてどういう御計画をお持ちか、そういうことを考えまして、聴取した際に私どもの判断で、難視聴解消への取り組みというものがどうも十分ではないと考えられる事業者に対しましては、特に強力に難視聴の解消を促進するよう指導し、お願いもしてまいっておるというふうに考えておる次第でございます。
  197. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 杉山参考人にお越しいただいております。お忙しいところ大変ありがとうございます。  テレビジョン放送が国民の文化的な日常生活に必要不可欠となっております今日、この辺地難視解消に対する国民の要望というのは大変強くなってきているわけでございます。ことしの第二十八回の民放の全国大会での浅野民放連会長のごあいさつを読ませていただいたわけですけれども、この中に「経済的に文化的に恵まれない辺地の人々に、可能な限り放送文化の恩恵を受けられるようにすることは、放送事業者の社会的責任であります。」こういうふうに言われております。民放として辺地難視の解消にどのように取り組まれるおつもりでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  198. 杉山一男

    杉山参考人 お答えします。  民放としても辺地難視の解消には重大な関心を持っておりまして、先ほど先生が示されたように、浅野会長もこの問題を取り上げてできるだけ推進をしたいということでございます。そこで、過去においては五十二年度には四百九十九局の中継局をつくっております。五十三年度には六百二十三局、五十四年度には五百九十二局つくったわけですが、これからもこの問題の推進を続けていきたい、こういうふうに思っております。民放連としましても、この問題を重視しまして、東京の社長会でもこの問題を取り上げていただいて、今後促進していこうということで、この問題の了解をとっております。  以上でございます。
  199. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 近畿地方、京阪神の広域圏におきましては、地形からきます辺地難視地域を大変多く抱えております。その上、都市化によります宅地造成などによって新たな難視地域も生まれてきているわけです。特にNHKの微小電力テレビジョン放送局がすでに設置されております地域での民放の難視聴地区におきまして、民放テレビの受信を要望する声というのは非常に強いわけです。たとえば、その典型的な地域として挙げてもいいと思うのですけれども、京都府におきましても、天下の名勝であります嵐山、こういうところとか亀岡市が難視地域になっているわけです。亀岡市はどんなところかといいますと、四方を山に囲まれた盆地で、NHKと近畿放送についてはUHF中継放送局二局によってほぼ良好に受信できるという条件にあるのですけれども大阪の生駒から来ます民放四社のVHFの波につきましては、四十から五十キロメートルの距離となる上に、市の南部にずっと連なります標高四百から六百七十メートルの山岳部を通過するために、複雑な地形による影響を受けているわけです。このために人口約七万の、大阪、京都に近く、今後ベッドタウンとしても一層人口の増加が考えられるこういう地域でありながら、総世帯数の半分以上であります一万二千余りの世帯が、民放の難視地域になっているわけなんです。共同受信アンテナを設置するなどされているわけですけれども、これも加入金が七万円、維持費として月に五百円、年に六千円かかるというふうな状態にあるわけなんです。一万二千世帯もの難視地域には一刻も早く中継局をつくるべきだ、こういうふうに考えますが、民放としてどのような計画をいまお持ちになっているか。社長会でもお話し合いをされて、促進をということですが、具体的にどう促進されるのか。亀岡の例を挙げたわけですが、お答えいただきたいと思います。
  200. 杉山一男

    杉山参考人 いま先生から近畿地区の問題が提示されたわけですけれども、近畿地区の方でもこの問題についていろいろ検討しております。私が情報として受け取っておる限りにおいては、いま先生がお話しになった亀岡地区は重点地区として考えるということで、現在技術的な調査を行っておる。この調査がまとまり次第建設についての基本的な計画を立てていきたい、したがって近い将来必ず中継局ができると思っております。
  201. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 亀岡につきましては重点地区としていま調査して、まとまったときはすぐ計画に上がっていくということですが、郵政省としてもこの民放の計画を促進されるように努力をするというふうにさっきおっしゃったのですが、この亀岡地区につきましてどうでしょうか。
  202. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。-いま亀岡地区につきまして、NHKの二つの番組と近畿放送の番組は二カ所から、計六局になるかと思いますけれども、それによりまして解消されておるということですか、いま詳しく御説明のありましたとおり、私どもも、世帯数の数字は多少違いますけれども、大変難視になっておるということを把握しております。  先ほどのお話は一般的に再免許時に当たってどういうことをしたかということでございますが、在阪四社と申しますか、これにつきましても五十四年度の再免許時の事情聴取をいたしまして、幾つか全地域的にかなり見えないところがございます、亀岡の場合も入っておる、かなり世帯が多いということでお話ししましたところ、在阪四社としても、候補地に挙げておる、そして三十ワットと三ワットというような二つの地区から出すということによりまして難視解消を図りたいという意向を私どもも聴取いたしておりますので、ただいま民放連の方からお話がございましたのと同じ計画を私どもも把握いたしておる次第でございます。
  203. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、郵政省としても、状況把握だけでなくて、この促進方にぜひとも御努力をいただき、御指導を強力にされるようにお願いをして次に進みたいと思います。  京阪神の広域圏におきましても、五十四年度末のミニサテは、NHK八十七局に対しまして民放四社は八十三局、微小局は、NHKが二百七十一局に対して民放四社は十八局というふうに極端に悪い状況になっております。全国的に見ましても、NHKと民放のテレビジョン放送局の置局格差というのは微小局の置局にあらわれているというふうに思われます。ここのところを克服していかない限り、民放の難視問題というものの解決はないというふうに思うわけですけれども郵政省としてはこれに対してどのように対処していくおつもりでしょうか。
  204. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま御指摘のように、中継局と申しますか、微小局あるいはミニサテにおきまして、全国的でもあるし、先生御指摘の大阪広域圏と申しますか、かなりの格差がある、御指摘のとおりでございます。  民放テレビの在阪四社の五十四年度再免許後の中継局置局計画というものはどうなっているのかというようなお話かと思いますけれども、私ども五十四年度の再免時に当たりまして、はっきり申しまして過去三年間の難視解消努力は私どもとしては不十分であると評価せざるを得ないということで、各社から再免許後の難視解消計画というものを聴取いたしたわけでございます。それによりますと、微小局につきましては、まず難視世帯数三千以上のものを基準に当面八地区に設置する、ミニサテ局につきましては、NHK置局する際に同時に共建といいますか、共同で建設する。経費を節約する効果もあるわけでございますけれども、同時共建を行う計画であるということで、その時点でカバレージが民放の場合九四・六%ということであったわけですけれども、九五・三%まで高めたいというような意向を聴取しておる次第でございます。
  205. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今後の問題として、いま局長さんもおっしゃいましたが、辺地難視の解消のためには一層NHKと民放の連携が必要でございます。これからNHK置局をするときには極力民放も共同で置局をするべきだというふうに思いますが、民放はどうお考えになるでしょうか、またNHKはいかがお考えでしょうか。
  206. 杉山一男

    杉山参考人 お答えします。  私は、中継局の建設は可能な限り共同建設で経済的にやるのが一番いいのではないかというふうに考えております。したがって、これからはNHK郵政省とともにいろいろ経済的で合理的な中継局の建設について話し合ってこの問題の処理の前進を図りたい、こういうふうに考えております。
  207. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 具体的に挙げました亀岡のような点が全国的に見てもたくさんあるわけですから、そういう点ぜひ御協力をお願いをしたいと思います。  それから、NHKの方から聞くのを忘れました。NHKどうぞ。
  208. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  現状におきましても、民放さんとは各地区におきまして打合会を持ちまして、この共同建設には協力し合っておるわけでございます。なお、先ほど電波監理局長からも御説明ございましたように、共同建設をしやすいというような放送機の新しい開発も郵政省指導のもとに進んでまいっておりますし、先ほどお話ございましたミニサテ、これもNHKと民放との間で共建しやすいという送信機の形でもって五十年度から導入してまいったわけでございますので、今後とも民放と協力いたしまして難視解消には努力してまいりたい、さように考えております。
  209. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 最後に大臣にお考えをお聞かせいただいて終わりたいと思いますが、テレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書の中でも、民放には貴重な電波を託された者として難視聴解消に努める責務がある、こういう意見が強いというふうに指摘をされているわけです。私も、民放が国民の電波を国民の負託によって運営されている以上、みずからのサービス地域内を一〇〇%カバーしていくというのは当然だというふうに思うわけです。放送事業によります収益、これは視聴者に還元をしていくべきだ、こういうふうにも考えるわけなんです。しかし、現実にはいままではなかなかうまくいっておらなかったわけですね。しかし、先ほどの全国大会で、小林前会長ミニサテ方式などのいろいろな導入を図って努力してこられた、だから今度の浅野会長も、こうした過去の経験を生かして、経済的で合理的な中継局の建設システムを、政府放送事業者が一体となって過去の慣習や規則の壁を乗り越えてつくり出し、辺地難視の解消を促進したいと考えておるというふうなごあいさつがあるわけなんです。  そういたしますと、この際どうしても郵政省としてもっと強力な指導を行うべきではないだろうか。やっているやっているとおっしゃいますけれども、過去三年、将来三年にわたる計画などを出さしたりして強力にやっていると言いながらいまこういう状態だったということですから、そうすると、それを実現させるためには制度的にも検討すべきじゃないかというふうに思うのですね。これがなければ、NHKはあまねく国民に、とうなっておりますが、民放はそういうことは規制がないというふうな状態の中で、安易になるというふうな状況もあったのではないかというふうに思うのです。こういう強力な指導をするという点と、そのためにも制度的に検討すべきだというふうに思うのですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  210. 山内一郎

    山内国務大臣 難視聴の問題は厄介な問題でございますけれども、非常に重要な問題でございます。全国受信者があまねく受信できるように、民放においてもNHKにおきましても、当然私はやる使命があると思うわけでございます。  そこで、逐次私も進んでいると思いますけれども、先ほどの数字がございましたように、まだまだ残された地域もございます。私も現地を見てまいったこともございますけれども、いま御主張のように何とかしてもっと強力に――制度的にも私、不十分だと思っております。また法制的にも民放の方はまだ不十分でございますし、そういう点を改善して、日本全国の人がテレビが本当に難視聴でないように、見られるように、これから力を一層入れていきたい、こう考えておるわけでございます。
  211. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  212. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  依田実君。
  213. 依田実

    ○依田委員 まだ少し早いのかもしれませんけれども、次回のオリンピック放送放送権、この問題についてNHKにお尋ねをしたい、こう思うのであります。  前回のモスクワの場合はテレビ朝日の独走、こういうことでいろいろ放送界に波紋を生じたわけでありますけれども、先般、一部報道を見ますと、すでにNHKと現地側といろいろ交渉が行われておる、こういう記事が出ておったわけであります。これの交渉経過などについて御説明をいただければと思います。
  214. 田中武志

    田中参考人 先生御存じのように、最近のスポーツの放送権料というものは年々非常に高騰してまいっております。オリンピックも例外ではないわけでございます。そういった意味合いで、私どももできるだけ今度の交渉につきましては、NHKと民放とが一緒になって、一枚岩になって交渉に当たるべきであろうということで、昨年の十一月の初めにNHK坂本会長と民放連の浅野会長が、今後はロサンゼルスにつきましては共同で交渉を行うということを確認し合いまして、共同記者会見も行ったものでございます。それで、日本はこういうことで交渉をやるということはIOCあるいはロサンゼルスの組織委員会の方にもすでに通知をしてございます。  それから、今後の交渉につきましては、一緒にやろうという日本の交渉団を結成いたしまして、いま先生が御指摘のように今月の三、四といったところで私と民放連の川手報道小委員長の二人が一応代表ということで交渉をしてきたという経緯でございます。
  215. 依田実

    ○依田委員 一部報道には、すでに放送権料金額まで交渉段階に入っておる、こういうふうに伝えられておるわけでありますけれども、そこのところまで立ち入って御説明いただきたいと思うのです。
  216. 田中武志

    田中参考人 ただいま申し上げましたように、今回が公式には第一回の折衝とも言えようかと思いますが、この席上、ロサンゼルスの組織委員会の方では、アメリカと日本との受信機台数の比率がアメリカを一〇〇とすれば日本は大体一九%ぐらいであろう、それで御存じのように昨年の秋に、アメリカ国内の放送権料は組織委員会の方とアメリカの三大ネットワークの一つでありますABC放送との間でもう妥結しているわけでございます。これをロサンゼルスの組織委員会の方は、ABCとの放送権料は二億二千五百万ドルだと言い張りまして、これの一九%、約四千三百万ドルが日本の分担していただきたい放送権料だということを席上申しまして、これに対しまして私たちは、そのABCの放送権料の向こうが出してきました二億二千五百万ドルにつきましては、これは異議あり、組織委員会の中での公式の報告書の中でも放送権料は一億ドルと明記されているという反論をいたしましたし、また国内事情その他も違うところで、単純に受信機の保有台数の比率だけでいままでかってなかったような放送権料の提示をするのはおかしいということなど、また、この権料のほかに、御存じだと思いますけれども、施設の使用料だとかあるいはこちらの方から行きます制作費、直接制作費、そういったものもかかるわけでございますので、こういったことから言ってもこんな高い放送権料は支払えないということで、残念ながら今回の交渉は物別れに終わったというのが実情でございます。
  217. 依田実

    ○依田委員 いまの御説明の前段の部分に、民放と去年話し合いができて今度は一本化される、こういうことで、非常に結構だろうと思うのであります。民放連の方いらしておりますので伺いますが、民放の内部はそれで意思統一ができておるのでしょうか。
  218. 杉山一男

    杉山参考人 お答えします。  民放連は、昨年の民放大会が長野で開かれましたか、その際に開かれました理事会において、ロサンゼルスのオリンピックはモントリオール方式でいくということが議決されておりますので、問題ないというふうに私は理解しております。
  219. 依田実

    ○依田委員 放送権料の交渉でありますから、こちらの手のうちというのはなかなか教えるというわけにもいかぬでしょうけれども、ABCとの権料が一億ドル、こういうふうにNHKの方は評価をしている。もしそれを基礎にするならば、算定方式というのはその一億ドルにどういう数字を掛けるのでしょうか。
  220. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  過去の放送権料の推移を見てまいりますと、アメリカの権料に対しまして日本は大体一〇%前後、多い場合や若干の例外はございますけれども、そういったことでまいっております。われわれといたしましては、こういった放送権の問題につきましては、できるだけそういった面で少ない方がいいと思いますので、息の長いねばり強い交渉で臨みたいというふうに思っておるわけでございます。
  221. 依田実

    ○依田委員 それじゃオリンピックの問題はそれだけにさしていただきまして、放送大学法案いよいよ大詰めでございますが、この前連合審査で一、二お尋ねできなかった部分についてお尋ねをさせていただきたい。主にNHKとの関係についてお尋ねをさしていただきたいのでございます。  文部省の方にお尋ねをさしていただきたいのでありますが、この放送大学、できますと、相当膨大なスタッフとそしてまた番組制作にいろいろたくさんの資材、そしてまた人員を要するわけであります。そこで、いわゆる放送大学独自で全部、人員から番組制作からおやりになるのか、一方NHKという長い教育放送の実績を持つ機関があるわけでありまして、これのスタッフなりノーハウなりを発足する時点に借りるのかどうか、その辺について文部省のお考えをただしたいと思うのでありますが、いかがでしょう。まず、当初スタートの場合に、人員などの応援についてNHKにいろいろ要望を出されますでしょうか。
  222. 井上孝美

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  NHKでは昭和十年にラジオによる学校教育放送を開始され、さらに昭和二十八年にはテレビによる学校教育放送を加えられまして、多年にわたり教育放送に幾多の実績を積み重ね、すぐれた教育番組を提供してまいられましたことは、文部省といたしましてもこれを高く評価しているところでございます。  放送大学学園の放送局の開設及び運営に当たりましては、NHKを初め既存の放送事業者から、技術的な面であるとか放送関係の人材その他、これまでの豊富な御経験に基づくいろいろな御援助をぜひ賜りたいと考えており、具体的な問題につきましては、今後関係者とも協議しながら検討することといたしております。
  223. 依田実

    ○依田委員 抽象的なお答えでございますけれども、いまのお答えに対してNHK側で、もしそういうような要望がありました場合に、これに協力する方針があるのかないのか、それについてお答えをいただきたいと思います。
  224. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  朝から私ども会長が申しておりますように、放送大学の放送がどのような態様になるのか、その結果NHKの教育番組にどのような影響を与えることになるのか、あるいは先ほども質問がありましたように、受信料関係にどのような影響を与えることになるのかということにつきましては、われわれといたしましては、十分あらかじめ考えておかなければならないというふうに思っております。  いま先生御指摘のように、NHKは教育番組につきましては非常に長い年月にわたります経験と実績を持っておりますので、放送大学が設立されまして、協力について具体的な申し出がありましたならば、その時点においてどのようにお役に立つことができるか考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  225. 依田実

    ○依田委員 特に番組の内容について準国営放送的な性格を持たれるわけであります。そういう場合に、NHKというのは国の言論統制の外にあったわけでありまして、そういう意味で、労働組合などこういうものに対する納得が果たして得られるのかどうか、その辺のことを見きわめがおつきになっているのでしょうか。
  226. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  私どもが長年にわたって培いました教育番組についての経験、実績、ノーハウ、これをもってどのような形で、具体的にどのように協力していけるか、もちろんNHK放送番組についてはNHKに編集権があるわけでございますが、具体的に放送大学の放送について協力の申し出がございましたら、十分そういう点を踏まえて、具体的にどういう形で御協力できるかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
  227. 依田実

    ○依田委員 時間がありません。最後に一問だけ。  放送大学のときもお尋ねをいたしたのでありますけれども、また最近いわゆる有料テレビの申請がすでに出ておるわけでありまして、これをいまの放送法の中でどう処理されるか。その問題をお聞きするよりも、こういうようにいろいろ放送大学あるいは有料テレビなど、これまでのNHK、民放の放送体系と違う放送界になるわけでありまして、そういう中で、放送法というものを全面的に改正する、そういう時期が迫っておるのじゃないか、こう思うのであります。前回、前に臨放調ができたわけでありますけれども、その後そういう動きがないわけでありますが、郵政大臣いかがでしょう、この放送法の全面改正というようなことについてお考えになっておるのでしょうか。そしてまたその具体的準備というものを開始される意思があるのでしょうか。
  228. 山内一郎

    山内国務大臣 今回放送大学につきましては、現在の放送法の基本的範疇の中でやっていただく、こういうことでございますけれども、ペイテレビが出たり、多重放送も改善していかなければいけない、また衛星放送の問題もございます。等等、いろいろとたくさんの要請とかございますので、学識経験者にお集まりをいただいて、放送の多様化に関する調査研究会議を設けているわけでございます。大体来年の春ごろにはそのお考えが聞けるかと思いますけれども、そういう点の結論が出た場合に参考にいたしまして、これから放送法をどういうふうに改正していくかということを十分に検討して現代の要請にこたえる、こういうようにやっていきたいと思っております。
  229. 依田実

    ○依田委員 時間が参りましたので、終わります。
  230. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。これにて質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  231. 佐藤守良

    佐藤委員長 討論の申し出がありませんので、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 佐藤守良

    佐藤委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  234. 佐藤守良

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会      ――――◇―――――