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1980-10-23 第93回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十三日(木曜日)     午後一時十二分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       東家 嘉幸君    長谷川四郎君       吹田  愰君    森  美秀君       森山 欽司君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第九十二回国会閣法第二号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  郵便法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳥居一雄君。
  3. 鳥居一雄

    鳥居委員 郵便法の一部を改正する法律案について御質問をしたいと思います。  今回のこの法案の大幅な引き上げ、そして消費者物価指数をどういうふうに押し上げるのか、寄与率で〇・〇四%と説明されてまいりました。これは十月一日から実施とした場合の数字が〇・〇四%で、もっと違う数字が出ているはずだと思うのです。それから、公共料金の、しかも重要な独占度の非常に高い、これは国鉄あるいはたばこの場合とは全く違っていわゆる信書の送達というのは独占で、その公共料金の大幅な引き上げ、それに伴います心理的な波及効果便乗値上げ、こういうのが全くない数字がはじき出されているわけですけれども、この点どういうふうに数字を改められるのか。十月一日実施とした場合の数字が〇・〇四であったはずです。それから、波及効果便乗値上げ、これを加味してどういうふうに認識をされていますか。
  4. 魚津茂晴

    魚津政府委員 〇・〇四%と申しますのは、先生すでにお話しございましたように、十月一日から、御提案申し上げているような、あるいはまた省令等考えております料金値上げをした場合に消費者物価に与える影響ということではじいたわけでございますが、ただいま先生おっしゃっておられますように、心理的な影響あるいはそれを引き金にして便乗値上げ可能性としてあるのではないだろうか、そういう値上げによる連関作用というようなものを考慮してみるならば、その数字は一体どうなるだろうかというような御趣旨だろうと思いますが、私どもといたしますと、そういったものが数字に具体的にどうなるかという点については、はじいているものはないわけでございます。  私たちといたしまして、今回御提案を申し上げている料金値上げの心理的な影響を少しでも抑制するというようなことで、郵政審議会の答申としましては七月からというような御提言もいただいたわけですが、十月に繰り下げをするとか、あるいははがきの四十円という値上げに向けて、なだらかな一つのステップということで、ある期間三十円にするとか、あるいは郵便書簡を五十円にとどめるというような心理的なものへの配慮もしつつ御提案を申し上げているわけでございまして、抽象的といいますか、いろいろ考えますと、数字によって表現されているものプラスアルファというものがあるのじゃないかというような御議論は御議論としてわれわれ受けとめるわけでございますが、ではそういったものが数字で具体的にどうなるかという点については、われわれ持ち合わせていないわけでございます。
  5. 鳥居一雄

    鳥居委員 これは重大問題だと思うのですよ。恐らくこの波及効果便乗値上げを含めて考えれば数倍になるに違いないです。はっきりとその数字で出てくるはずです。制度法定対象から外す、これは緩和どころか除外です。  それで、これまでの過去の値上げ足跡をいろいろたどってみますと、第二種、はがきについて五回私たちの記憶にあるのでございます。昭和二十六年に五円になりました。そしてそれが四十一年に七円、四十七年に十円、五十一年に二十円。この値上げ足跡を見ると、五円の期間が十五年続いたわけですよ。四十一年に改定しまして七円になって、この七円の時代が六年続きました。それから四十七年になって七円が十円になって四年続いて、そして今日を迎えている。この値上げ傾向を見てみますと、二十六年以来、十五年、六年、四年、そして今回の値上かり、向こう三年はもちそうだという答弁です。等差級数的に急激に縮まっているのです。しかも、ここのところ三回の値上がりは、十円が二十円になり、二十円が四十円になろうという倍々ゲームです。五円が七円、七円が十円という小幅の値上がりとは違うのです。このままの経営状態ではどうしようもない事態、つまり毎年値上げをしなければならない事態がもう目の前にやってきた、法定制はどうしても外さなければ郵政省としては郵便事業はやっていけない、そういう腹づもりが今回の法案じゃないのですか。そういう意味で、法定制を撤廃する、これは断じて認めるわけにいかない内容です。大臣どうですか。
  6. 山内一郎

    山内国務大臣 過去の値上げ経緯、こういうものもいろいろ検討してまいりましたけれども郵政審議会あるいは公企体等基本問題会議というようなところからいろいろ御提言があるわけでございます。それで、その御提言の中で、料金を適時適切にひとつ確保するようにしなさい――郵政審議会でも二回御提言を受けておりますし、公企体の方でも受けているわけでございますので、従来の経緯考えてみますと、やはり適時適切にこれをやるようにする方がかえって一般の方に対して影響を与えることが少ないのではなかろうかという見地から、今回の法律改正をお願いしておりますけれども郵政省郵政審議会にただかける程度でやるということは、私はやはり大変な問題がある、こういう認識は持っているわけでございます。     〔委員長退席畑委員長代理着席〕  したがって、改正案の中でごらんいただきますように、いろいろ条件が付されております。その中でも特に値上げの幅につきましては、物価等変動率以上にすることはまかりならない。しかも変動率いっぱい持っていきましても、物によりますと値上げによってその数量が減っているものもあるわけですね。したがって、そういう点は十分に勘案をいたしまして今回の料金改定をお願いしているのでございまして、今後はそういう弾力化によってひとつお願いいたしたい、そういう根拠から改正案というものを御提案申し上げている次第でございます。
  7. 鳥居一雄

    鳥居委員 私は、単純に割り出した〇・〇四、この数字に大変疑問を持ちます。それで、その波及効果便乗値上げについてどういうふうに評価しているのか、これをいま郵政当局にただしたわけですが、確たる答弁がありません。また、これまでの値上げ足跡は、等差級数的に毎年の値上がりをもってするしか郵便事業を続けることができないという現状であることがわかったわけです。つまり、物価に与える影響が非常に強大です。ぜひとも物特との連合審査を実現できる方向で、ひとつ御協議をぜひお願いしたいと思います。  次に、この累積赤字、二千億をはるかに超えておるわけでありますが、単年度で取り上げてみて、いろいろ分析ができるだろうと思うのですが、おしなべて、郵便事業赤字というのは、収支改善させるためには一体どう守ればいいのか、お答えいただきたい。
  8. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  赤字原因というのをまず考えてみたいわけてございますが、赤字原因というのは郵便物収入よりか郵便を運営する経費の方がより大きく伸びておる、その格差が抽象的に申しますと赤字になるわけでございます。とりわけ昨今の趨勢からいたしますと、人件費伸びが大きかった、しかもその人件費の全経費に占める割合というのは、何度も申し上げているわけでございますが、人件費及び人件費的な経費を含めますと約九割になるという、そのインパクトが赤字の大きな原因になっているということを申し上げたいわけでございます。  そういった赤字原因考え対策に及ぶというのが一般的でございますが、収入をふやすということが、まず大きいと思います。そのためには、時代に即応した、あるいはまた国民皆様方ニーズに応じたサービス、そしてそのサービスを絶えず見直しながらやっていくという姿勢、それから郵便というものの信頼感というのは何としても大切でございますので、業務正常運行、それからいま一つは、私たち働きかけ姿勢ということで、親方日の丸――郵便というものは出してくれるものを処理すればいいのだということでなくて、積極的に郵便というものを販売するという姿勢も必要だろう、そういうことで、より大きな収入を絶えず目指しながら仕事をするということが必要だろうと思います。それからいま一つは、当然のことでございますが、経費を少しでも抑制する施策を講ずるということが必要になってまいります。そのためには、これまた抽象的な言い方でございますけれども郵政事業効率化合理化というものを絶えず考えながら実践に移していくというようなことがこの収支改善する。それからもう一つ、これは私として言わしてもらいたいわけでございますが、適時適切な郵便収入というものの増を図り得る体制、つまり法定制緩和ということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  9. 鳥居一雄

    鳥居委員 おっしゃるとおりなんですよ。合理化効率化、これがまず第一。取り扱い通数をふやすのだ、収入を上げるのだ、これが第二。そうして第三に受益者負担をふやすのだ。一番安直な、一番軽い選択を今回されたんじゃないですか。私は、この取り扱い通数をふやしていくのだということと、合理化省力化、これは十分国民が納得できるような、利用者が納得できるような、そういう努力の積み上げがあって初めて受益者側がこれを理解するのであると思うのです。  いま指摘しました十五年、六年、四年そして三年、毎年と、これは、経営上の努力通数をふやすために一体どういうふうにしたらいいのか、そういう成果のあらわれてない数字ではないですか。据え置き期間が十五年あった、その次は六年あった、その次は四年あった。四年が三年になり、今度は一年ですよ。恐らくこのままのかっこうで行けば、収支改善していくためには毎年になるでしょう。そんなかっこう受益者負担をさせていく、国民負担をかぶせていく、一番安直な行き方だと思うのです。  だから、いまはからずもこの三つ、これだと答えられたあと二つの点、合理化効率化通数をふやす、これは今後どういうふうにやっていくのですか。
  10. 魚津茂晴

    魚津政府委員 まず、郵便物数をふやす、そうしてそれを通じて収入を増加させるということにつきましては、私たち、新しい営業的な感覚で臨むという基本姿勢が一番強調されなければならないと思います。そういったことで、私たち組織の中にも営業課というようなものをつくりまして、文字どおり、郵便というものの一つの重要な性格は販売である、販売のための営業というものが必要だというような組織と、それによる職員の営業的なマインドというものを徹底させるということを講じてまいりました。そして今後ともそういった線上における施策をさらにふやしてまいりたい、こういうふうに思います。  それから、これはまた先生御案内のところでございますが、郵便というのは個人事業所というものからの差し出しの割合というのが二対八であるということで、大口利用者対策ということで全国に一万人を超えるコンサルタントというものを実行上こちらの方で指名をいたしまして、大口利用者利用促進というものの体制を講じているところでございます。それから、個人ということは量的に少ないわけでございますけれども何といってもやはり郵便をふやす基盤というものは個人通信にも置かなくてはならないということで、これまた非常に大切にしなければならないと思います。そういうことで、手紙を書く土壌をいろいろな施策を通じてつくらなければならない。そういう習性を身につけるような施策も必要だということで、いろいろの行事でお手紙を書いていただくという働きかけも進めてまいりましたし、今後とも進めるつもりでございます。それから、今度の法案で御審議をお願いしている観点から申し上げましても、これはいろいろ御議論があるかと思いますが、私ども気持ちといたしまして、広告郵便物あるいは官製の絵はがきというようなことも、もちろんお客様の利便を図るということが第一義的な、制度的な趣旨でございますけれども、そういうことを通じまして郵便物をさらに出す空気をあるいはまた手だてを高め講じていきたいという気持ちでございます。  以上が郵便物数をふやすあるいはそれに伴う収入を高めるという観点からのおおよその概要でございます。  合理化効率化という問題につきましては、まず機械化ということでいろいろと郵便番号の自動読取区分機配備してまいりました。大局における大型の番号読み取り機は大体配備完了というのが現状でございますが、今後さらに、もう少し小さな郵便局に同様の効果をねらえる自動読取区分機配備していく、大体五年程度配備をしていきたいというようなことでございますとか、それから、作業能率を高めるというようなことから郵便局搬送設備というようなものにも改善を、あるいはまた新しい機械も取り入れてまいりました。それから、今後の開発ということでバーコード方式というものの省力化ということでございますとか、音声入力装置区分装置というようなものも考えているところでございます。これが大体機械化ということでございます。それから効率化というような観点、さらにまた転力化という観点で、小包請負配達でございますとかあるいは団地配達主婦労働力の活用でございますとか、あるいは集配面においては集合受け箱の勧奨をして、御理解をいただきながら、それを通じて効率的な配達作業考えるということでございますとか、ともかく物数をふやしながらそれを処理する経費を少しでも抑制をするということで一層の、懸命の努力をしていく所存でございます。
  11. 鳥居一雄

    鳥居委員 収支改善させるために赤字原因分析しなければならないと思うのです。この赤字原因物件費だ、人件費だという縦の分析しか説明されないわけですね。つまりいま郵便事業の中で商品として一種、二種、三種あるいは四種。そしてこの人件費赤字赤字だという言い方は、まるで何もやっていないでいて赤字でさもさも悪いという印象ですよ。もっと違うんじゃないですか。つまり品目別に見て収支ぐあいは一体どうなっているのか、この分析はありますか。単年度で五十四年度を取り上げてそれぞれの部門業種別にどうなっているのか、簡単に御説明願いたい。――御答弁いただけないようですから申し上げますが、これは郵政省から提出いただいた資料です。これを見てみますと、通常郵便の二種、五十四年度で六百十三億円の赤字、第三種二百八十三億円の赤字、第四種十四億円の赤字小包四百九十一億円の赤字、合計一千四百一億円、これが郵便事業の中の赤字の元凶です。寄与率をそれぞれ見てみます。赤字にどのくらい貢献しておるのか、一番大きいのが第二種四三・七%、その次が小包郵便三五・〇%、それから三種の二〇・二%、四種の一・一%、こういう赤字現状。これに対しまして黒字はどうなっているかというと、黒字の方を見てみますと、第一種定形あるいは定形外七百五十八億円の黒字で七八・七%、そのほか特殊扱いが二百五億円の黒字で二一・三%。つまりこの第一種と特殊扱い黒字九百六十三億円が先ほど申しました二種、三種、四種、小包、この赤字を埋めているわけですが、なお赤字がそのまま残る。埋めてなお残る。こういう現状をどういうふうにお考えになりますか。
  12. 澤田茂生

    澤田政府委員 お答え申し上げます。  小包赤字を他の分野でカバーしているということについてどう考えるかというお尋ねでございます。確かに先生指摘ございましたように、原価から見まして小包については赤字が出ておるということでございまして、その部分を第一種あるいは特殊、通常、こういうものでカバーしておるというのが現状でございます。  郵便料金設定当たりましては、ただ原価だけをもってこれを設定をするということでもございません。個別の料金算定当たりましては、公共性あるいは種類別バランスと申しましょうか、個々の郵便種類別バランス、こういったようなもの、あるいは小包等につきましては他との競争力、こういったものを加味しながら決定をしなければならないということでございますし、また郵便事業全体の費用というものは郵便料金収入でこれを賄うということが郵便法で書いてございますたてまえでございますので、そういった範囲の中でいま申し上げたような個別の料金についての考え方というものを盛り込みながら決定をしていくということで、ただいまのところそういう状態で今回の料金改定当たりましても設定をいたした、こういうことでございます。
  13. 鳥居一雄

    鳥居委員 それは個別にそれぞれの特色があり、こういう種別に商品があるわけですから、そして収支率が非常に悪い部門、比較的いい部門――悪い部門改善をどうするかという、そういう着眼がないのですか。小包についてはまた改めて別個取り上げたいと思うのですが、そういう発想に立たない限り、やはりお役所仕事と言われて仕方ないじゃないですか。  次に、郵便物の量を調べてみました。取り扱い郵便物数について見ると世界第三位、一番最近の統計ですが、第一位がアメリカの八百八十八億通、ソ連の四百九十九億通、第三位日本百三十億通。しかし、年間一人当たりという条件で見てみますと、何とこれが十六番目です。世界で十六番目。スイスアメリカの四分の一です。一年間に一人が受け、発する日本における通数百十五、アメリカにおいてはこれが四百二十三、一位のスイスが四百八十一、この現状をどうお考えになりますか。これでは少ないなと見ますか、それとも多過ぎるなと見ますか。
  14. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私率直に申しまして、現在郵便をやっている者として最大の疑問といいますか、今後の問題の所在というものは、まさにそこに私自身考えているわけでございます。先生指摘のとおりでございまして、郵便の総物数という点からしますとまさに世界第三位であるということなんですが、十六位ということで、その十五位とかあるいは十七位のその前後の国を見ると、国力と申しますか、常識的にその国の力というものからして、格段に一人当たり郵便利用物数という点につきまして低いという感じを私は持っております。     〔畑委員長代理退席委員長着席〕  それで、世に電気通信メディアというものの発達、そのことによる郵便減少傾向という御指摘もあるわけでございますけれども、ただいま先生のお話にもございましたように、じゃ一人当たり利用通数の高いところというのがそういう通信手段というものが多様化してないのだろうかというふうに考えてみますと、ある意味日本以上に通信メディアというものが多様化しているという点からしても、それも原因の解明にならない、そういうふうに考えておりまして、そこで、私どもやはり私たち施策いかん、あるいは郵便に取り組む総合的な取り組み方によってまだまだ一人当たり郵便というものが伸びていくのじゃないか。もちろん西欧社会手紙あるいははがき生活上に占める割合意味というものと日本のそれとはまたいろいろ歴史的なあるいは生活文化というものの中の差異はあろうかと思いますけれども、とにかくお答えとして申し上げたいのは、一人当たり物数が非常に低い、そのことから、今後の私たち努力施策いかんによってはかなり伸び得るというふうに考えている次第でございます。
  15. 鳥居一雄

    鳥居委員 第一種郵便の八〇%が業務用通信であり、業務用通信が第一種郵便黒字を支えているその大きな原因である、要因である、こう思いますけれども、どう認識されていますか。
  16. 魚津茂晴

    魚津政府委員 料金による収入というものは、現在の郵便料金体系の中で第一種によって支えておくということが、現在の料金決定考え方になっております。そしてそのうち大口利用のものが八〇%程度ある。もちろん二種も含めてということになりますけれども。したがいまして、料金収入業務収入というものの量的な観点からいたしますと、大口利用者対策あるいはまたその人たち郵便利用利便さ、あるいはまたその人たちニーズに沿った郵便制度であるかどうか、これがやはり郵便収入の確保という点からも非常に重要な意味を持っているというふうに理解をしております。
  17. 鳥居一雄

    鳥居委員 これは日本ダイレクトメール協会調査なんですけれども大口のユーザー一千社を対象にして実態調査を行った。その結果、郵便料金値上げになった場合には利用度を縮小する、こう答えたのが何と四一・九%あります。前回の値上げのときに利用減は五%どまりだろうと議事録によると残っております。ところが実際には七・八%と、大変な減りぐあいだったわけです。今回の値上げ、恐らく通らないと思いますが、もし実現したとして、利用減をどのぐらい見ていますか。
  18. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十五年度、本年度においては全体として前年に比べまして〇・七%の減、それから五十六年度におきましては五十五年度に比較しまして一・五%の減、そして五十七年度には五十六年度に比べまして三・三%の増、こういうふうに見ております。
  19. 鳥居一雄

    鳥居委員 この業務用郵便がふえるということは、一部に私信を圧迫するとかあるいは情報過多の洪水に埋まってしまうとか、こう言われる向きがありますけれども郵便需要の増大、また黒字を期待する、一部にまたそういう深刻な問題があるわけです。郵政省としてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
  20. 魚津茂晴

    魚津政府委員 事業所から差し出される郵便物、その代表的なものとしてダイレクトメールというものが傾向として次第にふえてきております、そして全体の割合としてもさほど影響はございませんが、われわれの日常的な感覚といたしますと、そのシェアというものは決して減ってないということは承知をしておりまして、やはり郵便というものは社会経済の諸条件の中で生々発展をしていくというふうに考えますとすれば、今後の郵便利用というものの中で、事業所から差し出されるあるいは大口利用者から差し出される郵便物が決して減りはしない、したがって、今後の郵便収支考えてみる、あるいは郵便運行をいろいろ配慮しながら施策を講じていく際に、そういったことを重要な着眼点として当然考えていくべきだ、こういうふうに考えております。
  21. 鳥居一雄

    鳥居委員 減りはしないどころか、これを頼りにせざるを得ない状況にあるのじゃないですか。八割を占めている業務用通信が全部なくなったら、どうなんですか、いまの郵便事業というのはやっていけるのですか。「郵政要覧」によると、この伸びが期待されるという表現が出ていますよ。また、実際に昭和四十年度を一〇〇として昭和五十三年度、切手を張った郵便が一一二であるのに対して、料金別納料金後納といういわゆる業務用郵便が一六八ですよ。ですから、新たな郵便需要を生み出す可能性としては、普通の常識であれば、この拡大のために骨を折ろうという着眼に立つのじゃないですか。どうですか。
  22. 魚津茂晴

    魚津政府委員 八〇%が大口と申しますか、事業所から差し出されているというこの現実というのは、われわれいろいろな施策考える場合に基本として据えながらやっていかなければならぬ。財政面においても、郵政財政を支える大きな柱であるということは仰せのとおりでございます。  したがいまして、私どもといたしまして、今後の郵便物をふやすという観点施策の際にも、先ほどお話しさせていただいたとおりでございまして、大口利用者あるいは事業所向けのコンサルタントというものの活躍、その効果をわれわれは期・待をしているということに相なるわけでございます。
  23. 鳥居一雄

    鳥居委員 やはりわが国の社会においては偏見があると思うのですよ。欧米のバルクメールあるいはダイレクトメールといいましょうか、この発展の過程においては一定の評価がなされているわけですね。つまり、バルクメールに対して、発信者が受益者であると同時に受信者も受益者であるという考え方に立っているわけですよ。生活情報はこのメールによって十分かち得ていくのだ、こういう意識の中に、実際にこのバルクメールというのが発展してきましたね。ですから、非常に後発といえば後発でしょう。しかし、わが国においてはもはや八割という、事業所通信あるいは事業所から私人あてのものが占める比重というのが八割ですから、これは全く無視できない。むしろこれに対して手を差し伸べると同時に、郵便事業の全く大きな柱になっているというのが現状じゃないですか。それで欧米、特にイギリス、西独、フランスあるいは豪州、アメリカを見てみますと、発信人はお客さんだという考え方があるのですよ。日本の国には全くありません。発信人はお客さんだ。もちろん一通出してくださる発信人も大事です。しかし、まとめて発送してくださるということに対して、取りに伺いましょうという制度もあります。それから、まとめて出してくれるのであれば割引をしましょう、二分の一まで郵便料金を割り引きます。調べました。  それで、いまわが国に料金減額制度というのがありますね。三千通以上をまとめて出す場合に減額。減額というけれどもこれは手数料を払っているにすぎない。わずか四%です。四%から一〇%、物数によって違いますが、三千通を超えるとこの比率で出す。ただし郵便番号を全部記入することと行き先別に仕分けをすること、つまり窓口内でやる手数を省くためにひとつ窓口の外で勝手に仕分けをして持ってきてください、そうすれば受け取りましょう、そのかわり窓口の中でやる手数料を考えてお支払いしましょう。実際には料金減額制度というのはその手数料じゃないのですか。どうなんですか。
  24. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  現在三千通以上の郵便物を差し出しまして、先生仰せのとおり、こちらから要請する一定の区分をしてきたものに対して減額をしているわけでございますが、これは、そうすることによって郵便の私たちでやるべき仕事が軽減されることに見合う手数減というものに対する性格のものでございます。
  25. 鳥居一雄

    鳥居委員 アメリカの場合には手数料としての支払いですから文字どおり手数料だと思いますが、イギリス、フランス、西独の場合には明らかに大量にお受けするかわりに制り引きましょうという割引制度です。いまの答弁によって手数料であるということがわかりました。料金減額制度というのは手数料である。  それじゃ、大量に発信をしてくださる大口利用者に対して今後割引の制度考える用意はありませんか。
  26. 魚津茂晴

    魚津政府委員 結論からまず申し上げますと、私たちそういった制度をつくっていくということについては慎重に扱わなくちゃならないというふうに考えているわけでございます。なぜかと申しますと、いま先生おっしゃったように、イギリスでございますとかフランスでございますとかあるいは豪州でございますとかそういったところは、大量に差し出すそのことに対して一通当たり幾らというディスカウントをするという制度があることは承知しているわけで、絶えずわれわれ今後のあり方を検討する際の貴重な制度であるということも承知しているわけでございます。じゃなぜそういったことを考えないかといいますと、先ほど先生のおっしゃった、現在の日本における料金の減額制度、これは手数料の性格であるということに対してよく理解をしていただけなくて、大口利用者に対して安い料金郵便を差し出していることが郵便赤字になっているのじゃないか、大口利用者優遇の制度であるという反対の御議論も案外強うございます。そういうような一つのバルクメール的な考え方をとるとすればどういう社会的な反応を呼ぶかということをうかがう一つのよすがになるわけでございまして、そういった点から、われわれ今後引き続いて検討はさせていただきますけれども、たくさん出した、即一通当たり料金を割引するということはいかがなものかという意味で慎重に扱ってまいりたい、こう申し上げた次第でございます。
  27. 鳥居一雄

    鳥居委員 ぜひ前向きにひとつ御検討いただきたいと思うのです。そう言ってはなんですけれども、いまのままでは恐らくはできないだろう。料金別納という制度がありますね。料金別納というのは、大口に品物を持ち込む、と同時に支払いをする。その支払いをする場合に、現金だと大変な額になりますから、小切手で持ち込もう、この小切手の上限が幾らだというふうに、大正年間に五十万までと決まっていたわけです。この五十万までというのは、持ち込む人間の便宜のために小切手持ち込みを認めてきたはずなんですね。ところが、わが郵政事業では、昭和五十二年までこれは五十万に据え置きのままです。その後三百万に限度額が引き上げられました。つまり持ち込み三百万円まで結構だと。三百万円だと、仮に大口利用者がその発送に当たって一千万の支払いをしなければならない、こういうときに窓口ではどういう扱いをするかといいますと、一日三百万までです、だからひとつ出直しして明日三百万までを持ってきてください、こんな笑い話みたいな話が現にあるのですよ。それじゃ現金で持ち込めばどうなのか。現金で持ち込めば受け取るというのです。これがいまの郵政の郵便規則じゃないですか、こんな石頭の。よその国では車で取りに行くんですよ。それは、大口利用者によって支えられているという意識の中から当然出てくることなんです。商売人であればそれをやると思います。親方日の丸を言いたくないですけれども、明治以来の伝統といいますか、私には、官が民に対してしてやっているんだという郵政事業に見えてならないのです。こういう点の改善というのはどうなんでしょうか。
  28. 澤田茂生

    澤田政府委員 お答え申し上げます。  小切手での納付の限度額でございますが、先生指摘のとおり、ただいま三百万でございますが、これは五十三年の四月に五十万から三百万に引き上げたという経緯がございます。確かに大量お出しいただく方々に対して、三百万という一つの限度を区切るということ自体いろいろ問題があろうかと思うわけでございますけれども、片やたくさんの窓口からのものもお引き受けをするという形での郵便の窓口ということを考えてみますと、現金でない、小切手ということについての一つの安全性と申しましょうか、決してお客様を疑ってかかるということではないわけでございますけれども、不渡りというような事例もなきにしもあらずということで、先生当然御承知のことでございましょうが「証券ヲ以テスル歳入納付ニ関スル法律」というのがございまして、それに基づく一つの制限というものがございます。これも三百万ということで、私どもの場合も、それを受けまして三百万ということになっている次第でございます。先生の御指摘趣旨はまことにごもっともだと思うわけでございますけれども、何分ついこの間上げたばかりでもございますし、御趣旨を体しながらなお検討させていただきたいと思う次第でございます。
  29. 鳥居一雄

    鳥居委員 郵便事業というのは現業部門ですよ。お客様相手の商売じゃないのですか。郵政省がそんな弱腰じゃ、この改革というのはできませんよ。何とかひとつ、利用の幅を広げてもらおうという姿勢に立って施策を練ってもらいたいものだと思いますよ。収支改善に大事な役割りを果たすそのバルクメールを何とかしょうという発想に立てないんでしょうかね。もちろん一通一通出す信書は大事なものだと思います。信書も出せなくなってしまうじゃないですか、だって郵便事業がつぶれてしまったら。そういうことじゃないのですか。もっともっと利用者の意見を聞こうという考え方に立てませんかね。  ですから私は、郵政審議会の中に労働組合の代表、これは必ず入れるべきだと思うのです。一方、利用者の代表、これも入れるべきだと思うのです。いま、どうでしょうか、四十五人の定員の中で三十六人だと思いましたが、この中に加える考え方はありませんか、利用者側の意見、また現場で働く人の意見。いかがでしょう。
  30. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵政審議会の委員の人選に当たりましては、広く各界の意見が反映されるよう各層の有識者を網羅するように常に配意しているところでございますが、その中で、ただいま御指摘利用者、特に大口利用者というふうな点について見ますと、現在の委員の中にいわゆる実業界、産業界、そういった畑での経歴をお積みになった方という方も相当数おられまして、その中に、自分の関係される企業あるいは関係されていた企業自体がかなり大きな郵便利用者であると思われる向きもございますし、また、お仕事柄、先ほど来御指摘のような郵便営業上の大きな手段として使っている業界の状況等について詳しい知識を持っておられるというような向きも何名か入っておられるというふうに考えるわけでございます。また、労働界の声を反映するように、あるいは労働者の代表を入れるようにという御指摘につきましては、現在の委員の中に、かつて労働界の指導者として長年の経験を積まれたような方が現在も数名おられまして、そういった形で労働界の声も審議会に反映されるよう配慮しているところでございます。もちろん、ただいま御指摘のように郵政審議会の任務はきわめて重大でございますので、今後とも審議会の構成、委員の人選については、ただいまの御指摘趣旨も体しながら、一層慎重に配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  31. 鳥居一雄

    鳥居委員 思うのですけれども、向きもあるというのじゃなくて、明らかに大口利用者の代表、それから諸外国等でやっているような、イギリスには郵電事業利用者全国協議会、フランスには上級審議会というのがあって、明らかに郵政労組出身者というその立場の人が加わって意見が反映される、こういう形になっているわけですから、ぜひともその方向で実現をさせていただきたいものだと思うのです。  いろいろな意見が実はあるのですけれども、配達の一度化、二十数局について来年度からこれの実験を始めたい、こう新聞発表されておりますけれども、これは郵政審議会でもたびたび、三度目、実現されてないという指摘があるとおり、発信人の方の要求として速やかに配達してもらいたいというものは速達を頼りにするだろう、そして多少遅くても確実に届けばいいんだ、こういうものが普通郵便を頼りにするんだと、こういうことですね。それで、一号便午前、それから午後の二号便、八割が午前の一号便で運搬されている、こういう実情。それから、これは一つ調査です、全逓の一万人調査結果。これによりますと、配達一日一度化をした場合に影響があるかないか。影響がないと答えた人が八七・四%。貴重な数字だと思うのです。そして受け取る側の影響をこれから調べよう、これは結構な話だと思うのですが、郵政省として、一度化を実施した場合にどういうふうになるのか、省力化合理化効率化、この上でどういう試算をされているのか、私は、過酷な労働条件のもとで従業員さんが働いているのですからこれは改善しなければならない余地があり、人員をふやせない状況の中では一つはこういう効率化によって要員を確保していかなければならない要素もあるだろうと思うのです。また一方においては、一度化によって、長い目で見たときに、五年先、十年先かわからないが、一度化の効果というのは必ずあらわれる、それを郵政審議会でも指摘している、こう思うのですけれども、その辺の推計と申しますか試算と申しますか、これはどうなっていますか。
  32. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  現在配達の二度をやっている全国的な区画を一度のそれに比べると、大体五三対四七程度に相なろうかと思います。その四七%に相当する区数を今度一度にするということでございますから、マクロ的な計算をいたしますと、当然そのことによって要員のゆとりができるということは間違いないと思います。  では、どの程度定員の節減ができるだろうかということになりますと、個々の集配区数の調整という至って技術的な点との関連で、一つ一つの積み上げた作業が必要になってくるわけでございます。しかしながら、最後になってみなくてはどれだけかというのもちょっと問題でございますので、先生も御案内のとおりでございますが、試行いたしましてお客様への影響、そしてお客様の御意見という対外的な意味での問題点を見きわめるということと同時に、観念的と申しますか、マクロ的な意味での要員節減ということが、では現実的にどの程度の節減になるだろうかという点をできるだけ早い機会にまとめまして、それを生かしていきたいというふうに私ども考えている次第でございます。
  33. 鳥居一雄

    鳥居委員 実験は実験だと思うのですよ。しかし、実験に踏み切るのですから、踏み切る背景、根拠といいますか、そういうものが本省にあって当然だと私は思うのですがね。要するに、全国五万の局がありますが、この局で五万集配区、このうち二度地がいま二万三千区あるわけですね。この二万三千区の二度地において一度化が実現した場合にはどういう計算ができ上がるのか、これを聞きたいのですよ。
  34. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのことについて、・いま申し上げましたように、どれだけの人間が節減できるかということは、本省の机上計算では、郵便の実態を知る者からいたしますとできかねるわけでございます。あくまでA局の場合にどうなるか、B局の場合にどうなるかということが一番正確な計算をする手だてでございますが、そこまでいかなくても、幾つかのパターンを設定しまして、そのパターンによってこういう状況のところは何割程度、別の型の場合には何割程度というようなことでやらなければ、本省でマクロ計算をするということにはなじまない施策でございますので、私、持ち合わせているものをことさら申し上げないということでなくて、事の性格上いま申し上げるという段階ではない、こういうことで御了承を願いたいと存ずる次第でございます。
  35. 鳥居一雄

    鳥居委員 それで、現場の声ですけれども、年間を通じて大変に忙しい時期がある。しかし、二月のように比較的閑散とした時期がある。それから一日でも、夜は戦場みたいなもので、昼間はどちらかというと閑散とした時間がある。これを見てみたときに、外国にある遅達便、さして急がないものは全くひまなときに整理をして配達にかかる、これは非常に効率的だと思うのですね。この考え方はどうなんでしょうか。わが国において研究をし、取り入れ、やっていこうというお考え方がありませんか。
  36. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の郵便料金の体系といたしまして、フランスでございますとかイギリスにおいては、同じ料金手紙はがきを扱っている。料金差というのは、早い郵便、遅い郵便という二速度郵便という言い方で言っているわけでございますが、これを私ども四十年代の初期に承知をしましたときに、郵便の今後のあり方、これはかなりいろいろな意味影響の大きい、それだけにまた国民郵便ということで御関心の強い仕組みになるわけでございまして、当時の関係者が早速英国とかフランスに行きましてその辺の詳細なデータを集めるということをやりまして、そしてうちの方に持ち帰った上で、郵政局とかそれこそ現場の管理者等にもそういう実態を紹介しながら、日本郵便でとることのプラスマイナスという点を真剣に議論したことはございました。ございましたが、結論といたしまして、二速度郵便をやった場合に定員増というものがかえって出る。結局遅い郵便の作業工程、それから早い郵便の作業工程、もちろんいろいろのバリエーションがあると思いますけれども、うちの郵便の現在の運営の仕方を前提にして考えてみますと、どうしてもそれを処理するための要員の増加は避けられないのじゃないだろうかというような判断をいたしまして、その時点でとらないという結果を出しているわけでございます。その後それを見直すというようなことがなされていなくて今日に至っているわけでございますが、私どもそういう新しい、あるいはまた外国の郵便制度に絶えず目を向けながら、私たち郵便にも採用できるかできないかというようなことを絶えず世界に目を向けながら進めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  37. 鳥居一雄

    鳥居委員 いまの収支の状況からいって、現状の枠の中にはまっていたら、これは改善の余地なしだと思うのですよ。つまり、収支改善していこうというからには、やはり発想の転換からかからなければならないのではないですか。新しい郵便需要を生み出していくのだ、こういう意欲じゃないのですか。西ドイツでは名あてのない配達が始まっていますよ。名あてがないのです。この街区の中に配ってもらえればいいという発信人の意思が伝わって、そして何番地のだれというのじゃないのです。その地域に何通配付をする。これもいまの郵便法からいったらできやしないのですよ。遅達便と同じですよ。遅達便でもいいのだ、スピードは余り問題にしない、そのかわりなるべく多く出したい、こういう意向の需要というのはあるのじゃないですか。ですから、新しい市場である、開拓を必要とするのだ、こういうことであれば、研究の余地大ありじゃないですか。研究もしませんか。
  38. 魚津茂晴

    魚津政府委員 新しい役務、サービスを絶えず考えるという姿勢、これは当然私たち郵便事業の場合に必要であることは申し上げるまでもないことでございますが、私いま申し上げましたのは、二速度郵便というものに限って申し上げますと、そういう検討をした上で、そして日本郵便の利用動向、そういった実態に適合するかどうかという観点から検討しました結果、賛成はできないという立場になった、事その二速度郵便についてでございますね。しかしながら、いま先生おっしゃった西ドイツでは、アドレスといいますか特定のあて名のない郵便も出しているじゃないかというような点、これは現在の郵便法の体系の中にも、試行役務をいろいろ考えてやってよろしいというような規定もございまして、絶えず私どもいろいろと検討しているわけでございまして、今後必ずやそういった先生の御意向に沿った意味での施策が打ち出されてくるものと御期待をしていただきたいわけでございます。私たちが、そういう意味で絶えず勉強もし、みんなで議論もし、国民ニーズに合った、社会の変化に応じた郵便にしたいという姿勢を持っていることだけは信頼をしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  39. 鳥居一雄

    鳥居委員 速達の配達について伺いたいと思うのですけれども、これまでの五年間で十四万四百六十七世帯の速達配達区域の拡大がされてまいりました。五年の実績です。向こう二年間で六十二万世帯基準該当地域、つまり速達配達区域にしなければならないけれどもまだなっていないというその地域をこれからされようとしておりますね。これまでの五年間で十四万に対して、二年間で六十二万というのは大変な御努力だと評価しておりますが、質は変わらないんでしょうか。従来の速達と全く同じような配達の回数であるとか、取り扱い時間であるとか、一体どうなんでしょうか。聞くところによると、五回配達したものが三回に減るんだ、午前七時から午後七時までに局に届いた分をその日に配達する、それを二時間切り上げて五時までにして、配達回数も減るんだ、こういうふうに聞いておりますのですけれども、その辺はどうなんでしょう。質の低下があるのでしょうか。
  40. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生おっしゃるとおり、基準内の地域にありながら現に速達サービスを享受できないという世帯はおおよそ六十万程度の世帯がございます。これを何とか解消したいということで、この二年間で解消させるという計画を持っているわけでございますが、一方に現在速達区域外も結構ございます。そういう点の最大のネックになっているのは、要員あるいは財政事情ということで、国民の皆様から御要望があってもそれにすぐおこたえできないというような点もございまして、現状はそういうことに相なっているわけでございます。  そこで、五年間で十四万世帯、そしてこれからの二年間で六十万世帯というのは非常にどこかになぞといいますか、そういったものがあるんじゃないかということでございますが、私どもといたしますと、これは速達の度数というものが現在数回というところがございます。数回という中に、必ずしも必要がないというような地域へ早朝の配達あるいは深夜の配達というものを続けているという、そういう実態をある程度承知しているわけでございます。そういった点を、実態に応じてその辺を調整しながらその力を得るという施策を加えた上で、いま先生のおっしゃった六十万世帯を解消していきたい、こういう気持ちでいる次第でございます。
  41. 鳥居一雄

    鳥居委員 いま申し上げた質の低下というのはお認めになるのですか。
  42. 魚津茂晴

    魚津政府委員 その質の低下というのは、五回あったのが三回になるということが、必要があるかないかという議論は別にいたしまして、そういう施策を部分的にとりながらやるということが質の低下とおっしゃるならば、その限りで質の低下を伴った速達区域の拡大、こういうことでございます。  なお、サービス基準の適正化という中に、配達度数の二度から一度ということのほかに、先生これもよく御承知のところでございますけれども、窓口取扱時間を検討してみたらどうだとか、あるいは速達の配達度数を実態に即したかっこうで調整をしてみたらどうだという御提言はいろいろのところから出ている次第もございます。
  43. 鳥居一雄

    鳥居委員 速達の役割りを果たさなかった、通常郵便と同じだったじゃないか、あるいは速達配達区域外への名あてで速達指定で投函され、事実上速達ではなかった、つまり国鉄の事故による特急料金払い戻し、これは速達料金に関して制度としてはあるはずですけれども、速達料をこれまでに受け取れたという人はいるのでしょうか。
  44. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いま先生がおっしゃったような事由の場合に速達料を還付するという制度になっているわけでございますが、そのことによって差出人またはその委任を受けた者がどれくらいこの速達料の還付を受けたか、いま資料を持ち合わせておりません、というよりも、ちょっと郵政省としてはまとまった数字を持ち合わせてないのではないか、かように思う次第でございます。
  45. 鳥居一雄

    鳥居委員 じゃ、あるかないかだけで結構です。
  46. 魚津茂晴

    魚津政府委員 それはございます。
  47. 鳥居一雄

    鳥居委員 これは還付を受けられない仕組みになっているんですよ。つまり速達の役割りを果たさずに、通常郵便として受取人が受け取った、それでその速達料そのものを還付してもらえるのだということがわかっていても、受取人には還付を要求する資格がないのです。また発信人まで戻って、発信人がそれを請求した場合に還付できる、これじゃ受け取りようがないんですよ。一定のねらいがあって速達にして、そして先方に届いた、これが鈍行で届いたからひとつ還付をしようという例が過去にあったでしょうかね。私はないと思うのです。つまり、これは受取人が請求すれば受け取れるんですよという制度をつくってPRすべきですよ。全くそういうのがないんですよ。まあ官がやっていることですからやむを得ないのでしょうかね。
  48. 魚津茂晴

    魚津政府委員 全国でどの程度の還付を受けたかということは、先ほど申し上げたように資料を持ち合わせてないわけでございますが、じゃせめてPRをやったらどうだという御提言なんですが、私ども、単に法律に書いてあるからそれでもう当然国民は知っている、そういう気持ちではおりません。  いまたまたま持ち合わせていたのでちょっと使わせていただくのですが、郵便番号簿というものを各世帯に二年に一回いままで配布をさせていただいております。各世帯に配布をいたしております郵便番号簿の中にも「速達料金の還付」ということを書きまして、こういう場合には料金の還付をいたしますということの趣旨を、それこそ全世帯漏れなく配布する番号簿に書かせてもらっているわけでございます。ですから、PRがやられていないということではないということだけ御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  49. 鳥居一雄

    鳥居委員 結構です。PRはなさっていらっしゃるのですね。それで、受取人が受け取れないのですか、還付を受けられないのですか。そこが問題じゃないですか。郵便料金が超過すると受取人が払うのでしょう。差出人の不注意が受取人にしわ寄せという形でしょう。不足料金の収納というのは受取人からじゃないですか。そうすると、速達料金の返納というのも受取人でいいじゃないですか。なぜ発信人じゃなければいけないのですか。
  50. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そこがまさに問題だという御指摘になるのかもしれませんが、速達料を納付した人が差出人である、したがって還付するのも差出人である、そういう原則の速達料の還付の制度に現行法が立っているわけでございまして、いろいろ御意見、その不合理さというものを実態に即したケースでおっしゃっていることも私は重々承知しているわけでございますが、少なくとも現行法では、受取人が請求をするということはとらないということに相なっているわけでございます。そこで、今後どうなんだということになりますと、今日ただいま鳥居先生からこういう御指摘、御提言があったということを念頭に置きながら考えさせていただきたいと存じます。
  51. 鳥居一雄

    鳥居委員 不足料金は受取人から取って速達料の支払いは発信人、めんどうくさい請求をしないであろうことを予測した現行法制、これは改めるべきですよ、矛盾ですよ。  次に、お年玉つき年賀郵便について伺いたいと思います。  一つは景品、これが大変楽しみなものでありまして、一月の十五日、皆さん期待で胸をわくわくさせるわけですが、一等料金が今回の改正案によりますと三万から五万、それで二等の場合にはおよそその半額、それから三等、四等。これまでのお年玉年賀法と通称呼びましょう、この法によると景品の限度額が百分の五と決まっておりますね。つまり一枚の年賀はがきに一円の当たりくじといいますか、宝くじの場合には期待値と言えるだろうと思うのですが、二十円のはがきで一円の景品の期待値、これを決めたのが限度額の百分の五だと思うのです。ところが、実際に三十七億枚から発行されまして、景品として総額が三十七億何がしと限度額が決まりながら、実際に執行されているのが三七・七%だというのですね。限度額にはるかに遠い、そういう執行状態。これはやはり利用者側、つまりお年玉つき年賀はがきを発送し、受け取る人に対する門戸を開くというか、サービスを充実させる必要があるのじゃないか、こう思うのですけれども、この点はどうですか。
  52. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在お年玉の賞品をどれくらい受け取りに来ておいでかという実態との関連が当然出てくるわけでございます。そこで一等の場合に、ここ数年間の平均値でございますが、おおよそ六〇%、それから二等の賞品の場合に六五%、それから三等、四等の場合がおおよそ五〇%ということになって、その賞品をこちらで買うということから三十何%という数字に相なってくるわけでございます。私どもといたしますと、実際の交付数とそれから告示に定めた基準値の違いが問題になってくるわけでございますが、その違いがあるからといって、もし七〇%とか八〇%の交付数になった、あるいは極端な言い方をして一〇〇%賞品を取りに来られるというような場合に、百分の五をはみ出すというようなこともいかがということから、実際に百分の五と言っておきながら四〇%にも満たない賞品代であるということは承知はしているわけでございますが、そういったことをどうするかということは、やはり六〇%とか六五%、五〇%程度の、賞品をおもらいになる方の数字になっているこの現状を、PR等を通じまして高めていきたい、それが当面の課題じゃないだろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  53. 鳥居一雄

    鳥居委員 三七・七%というのは年々三七・七%、ほぼ変動しない数字です。これは収支現状が悪いのですから、なるべく出さないようにしようといえばそういうことになるだろうと思います。しかし、このお年玉つき年賀はがきに期待されているサービスは、大幅にサービスをやるべきだと私は思うのです。しかし限度がある。その限度が百分の五なんですから、限りなく百分の五に近づけるような配慮はあってしかるべきだと思うのです。  四等に当たって切手のシールがもらえるわけです。この切手のシートもここ数年は変わらないのですが、昭和二十六年からはがきの値段が変わるたびにシートがだんだんだんだんお粗末になってまいりましてさびしい限りなんですけれども、これをながめてみまして、昭和四十八年、四十九年、五十年、五十一年とこうなっているわけです。一番貧弱で一番さびしいやつが本年です。これはサービスを旨とする郵便事業の中にあってちょっとさびしいのじゃないですか。図案の上からも最大限努力して、年々質は落とさないんだという心意気があればこういうことにはならないのじゃないかと思うのです。四等は四等で四十円の切手でいいんだということから来るサービスの欠如じゃないかと私は見ているのです。最近、当たってもそれを取りかえようという意欲がだんだん薄れていく傾向に皆さんあるのじゃないですか。どんなものでしょうかね。ひとつこの三七・七%とあわせて前向きに取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
  54. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の二十円の切手を二枚のシート、この四等賞品というのは五十二年から続けたわけでございますが、振り返ってみますと、最初のころは二円の切手、これを五枚で賞品にしていたわけでございます。それが五が四になり、四が三になって、現在の二枚ということになった事実を踏まえて先生ただいまのお話であったかと思いますが、いずれにいたしましても、私どもこのお年玉賞品ということについて三万から五万にするという改正案を御提案している趣旨もありますので、この機会にお年玉賞品について全体的な観点に、先生を初めとしたいろいろの御要望を念頭に置きまして前向きで検討してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  55. 鳥居一雄

    鳥居委員 質疑を終わります。ありがとうございました。
  56. 佐藤守良

    佐藤委員長 鳥居一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、木下敬之助君。
  57. 木下敬之助

    ○木下委員 早速法定制緩和についてお尋ね申し上げます。  郵便料金法定制緩和をしなければならない理由は何でございましょうか。法定制緩和せずにこのままにしておくべきではないのでしょうか。
  58. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  郵便事業財政は現在多額の累積欠損金を抱えておりまして、非常に困難な状況にございます。郵便事業が今後とも独立採算制を維持しつつ安定した郵便サービスを提供していくためには、新たな欠損金の生ずることを防ぐことはもちろん、累積欠損金の解消を図っていくということが喫緊の課題でございます。そのためには事業効率化合理化を進めることは当然でございますが、これとあわせて適宜適切な収入の確保を図っていく必要があるもの、こういうふうに考えている次第でございます。  このため、今後の料金改定に当りまして経済社会の動向、郵便事業等を考慮しながら、今回累積欠損金が解消されるまでの間、法律において厳しい要件を付した上である程度弾力的に料金改定を行い得る制度を採用することにより、健全な事業経営の確保等を図ることとするものでございます。  なお、郵便料金決定が弾力的に行われることの必要性については、昭和五十二年以来郵政審議会の重ねての御提言あるいは公共企業体等基本問題会議からも同様の趣旨の御提言をいただいているところでございます。
  59. 木下敬之助

    ○木下委員 郵便料金法定制緩和につきましては、国鉄やたばこと比較してみますと、国鉄はお客に選択の道があって、たばこは嗜好品であります。しかるに郵便はほかに手段がないので、その意味法定制緩和について国鉄やたばこと一線を画すべきではないでしょうか。
  60. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  先生仰せのとおり、国鉄は独占のシェアが次第に減少していっている、たばこは独占ではあるけれども嗜好品である、しかるに郵便事業はという御議論でございますが、郵便というものにつきましては、他人の信書の送達は確かに法律的に郵政省が専掌するということになっているわけでございますが、まず、信書の送達ということあるいは郵便の利用ということで家計支出に占める郵便料金のウエート、これが大体〇・〇一五ということでございます。それから消費者物価に与える影響というのはことしの場合〇・〇四、そういうような実態、それからまた、電話等の電気通信手段の普及の状況から、信書という形で出す限りにおいてはそれは郵便という形で利用せざるを得ないということではございますが、そういう他の通信メディアの普及度ということから、第一種及び第二種郵便物国民が利用する実態的な必要性の度合いというような点、したがってまた国民生活に及ぼす影響というような点からしまして、総合的に考えまして、比較的、相対的と申しますか、少なくなってきているのじゃないかという認識を持って、そして先ほど御説明をいたしました郵政財政の基盤の確立の必要性ということとも相まって法定緩和制というかっこうで御提案をさしていただいた次第でございます。
  61. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうふうに説明をされておりますけれども、常識的に見ましてこの郵便事業独占であり、ほかにかえるものがないというのが普通の見方であろうかと考えます。  今回の法定制緩和の内容についてお伺いをいたします。  九十三条一項の「当分の間」とありますが それはどういうことでございますか。
  62. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  「当分の間」とは、累積欠損金がある限り、ということでございます。
  63. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは、九十四条の一項や三項に「物価変動率を超えない」とあって「卸売物価指数、消費者物価指数及び賃金指数」に基づいて定めるとありますが、このような指数の変化に郵便料金改定影響を与えると考えられるので、公正な基準とはなり得ないと思うのですが、この点はどうでしょう。
  64. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  法定緩和という制度を御提案申し上げているわけでございますが、どういった期間にという意味では、先ほどお答え申し上げましたように累積欠損金がある限りと、それから法定緩和制度の中でどの程度郵便料金値上げができるかということは、いま先生指摘の条文によりまして、物価変動率の枠内でと、こういう厳しい条件が出ているわけでございます。  そこで、この物価変動率というのは、卸売物価指数、消費者物価指数、賃金指数というものの中から政令で定める仕組みによりまして計算をするわけでございますが、いずれにいたしましても、それぞれの指数は日本銀行の調査によるもの~か、それから総理府調査によるもの、労働省調査によるものという公的にオーソライズされた指数であるという客観性がまずあるわけでございます。そしてこのそれぞれの指数というものを機械的に計算するのではなくて、卸売物価の変動に影響されると認められる郵政事業経費割合が幾らかということを計算するわけでございます。この卸売物価の変動に影響を強く受けるという経費の部分というのは郵政省の場合にどういう分野であるかということはまた決まっているわけでございまして、それによって物価変動率の関係で卸売物価の変動に強く影響されるというものが〇・〇二七%であるという、これは政令等で決めるわけでございますけれども、それから消費者物価の変動に対応した経費の増加の重みというのは〇・〇九一である、そして賃金の変動に対応する経費影響割合と申しますか、そういったものが〇・八八二であるというこの数字を出しまして、先ほど申しました公的にオーソライズされた指数と政令に定める計算方法によって出します、こういう仕組みのものでございまして、いずれにいたしましても公的にオーソライズされた数字を使って、その数字郵政事業経費割合にどう連動するのかという客観的な政令に定める計算をしまして、勝手に恣意的に物価変動率がはじき出されないというかっこうで、そしてそれを上限にして郵便料金値上げの限度にするという仕組みになっておるわけでございます。
  65. 木下敬之助

    ○木下委員 私はその質問の趣旨としまして、そのもとになる指数に郵便料金が上がれば影響を与えるじゃないか、だから自家撞着じゃないが上がれば影響を与える、影響を与えて上がった数字によってまた上がるという形の仕組みではないか、こう申し上げておるわけでございます
  66. 魚津茂晴

    魚津政府委員 確かに、いま御提案を申し上げております郵便料金値上げによりまして消費者物価へ〇・〇四%影響するという限度においては、結果として物価変動率に何らかの影響があることは事実でございますが、どの程度影響力を持っているかということは、数字をごらんになっていただきますと御了承になっていただけるものじゃないかと考えている次第でございます。
  67. 木下敬之助

    ○木下委員 その微量であることも推定をされますが、大きく変わればまたその数字は大きく変わってくるわけでありまして、どちらにしましても自家撞着といいますか、自分の中でそういった矛盾が起こってくるような算定の仕方は余りいい基準ではないのではないか。この辺の判断をいま一度お聞きいたしたい。
  68. 魚津茂晴

    魚津政府委員 物価等変動率をどのような仕組みにするかということは私どもいろいろ考えたわけでございますが、先生御案内のとおり、国鉄の法定制緩和、たばこの法定制緩和の中に物価等変動率という概念がございまして、その先例をその限りにおいて私たちまねたといいますか、その物価等変動率の仕組みを私たちの場合も使わせていただくという考え方でこのような形になったものでございます。
  69. 木下敬之助

    ○木下委員 しつこくなりますけれども、国鉄やたばこ等との差は先ほど私が申し上げたと思います。また、この国会における審議によって値上げ国民が直接に口をはさむチャンスを取り上げられていくことに関しましては、あくまでできればいまのままでやられたらいいのではないか、私どもはこういう姿勢を申し上げたいと思います。  この法定制緩和を行った場合、累積欠損金はいつ解消するものと見込んでおられるのでしょうか。
  70. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私たち、ある一つの仮説を設けまして、いろいろ現実に違いのある数字もその限りあり得るかと思いますが、私たちの持っておりますいつになったら大体累積欠損金をなくすことができるかという点につきましては、十年間のうちに二回程度料金値上げをさせていただくことを前提にして、その時点になりますと累積欠損金が解消できるのじゃないか、また解消させたいという見込みを持っている次第でございます。
  71. 木下敬之助

    ○木下委員 この累積欠損を解消する目的でこういったことを考え、またその累積欠損金の解消への道も十年間ということで、これほどはっきり見通しがなされておるなら、国会でその見通しについてまで審議をして現行法で改定を行ったらどうでしょう。
  72. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  現行法の仕組みによる改正ということも当然財政再建の一つの手だてかもしれませんが、これは先ほど来御説明を申し上げておりますように、郵政審議会でございますとか公共企業体等基本問題会議からの御提言、それから国鉄とか専売公社のたばこの料金決定の仕組みという、あれこれ考えまして、その中から適時適切な料金決定の仕組み、そしてそのことが、大幅な料金改正というようなプロセスを経ないで財政再建をするということのためにベターではないかという私たち考えで、このような厳しい条件を付したかっこう法定制緩和による財政再建を案として選ばせていただいた次第でございます。
  73. 木下敬之助

    ○木下委員 言い方はいろいろあるでしょうけれども、私の方では緩和する理由は、こういった見通しのもとに欠損金をなくするためである、そう  いう見通しが正しいからこそこの法律改正は認められるわけでありますが、その見通しが正しければ、この場ですべてを含めた改定が行われないはずはないという私の論理を申し上げて、皆様方の使われておる論理というのは、先ほどの話もそうでありますし、この問題につきましても自家橦着しておるのではないかと私の疑問点を申し上げてこの問題については終わらしていただきます。  次に、大臣にお聞きいたしたいのでございますが、このたびのこういった諸物価値上がりの折にこういう料金改定を含めた改正をもくろまれておるわけでございますが、当然これまでにいろいろ経営努力を行った上での料金改定だと思いますが、どういう姿勢で取り組んでこられたのか、具体的にその成果、及び今後はどのように考えておられるのか、経営努力についてお伺いいたしたい。
  74. 山内一郎

    山内国務大臣 今回料金値上げをお願いして  いるところでございますけれども、一番重要なことは、一般国民の方は本当に一生懸命働いてもやむを得ずこういうことをやるのかという点に私は最重点の関心をお持ちになっていると思うわけでございます。したがって、従来も経営努力はやってまいりました。しかもいまもなお経営努力の最中でございます。機械化の問題とか配達のスピードアップの問題等そういうことをやっておりますけれども、さらにそういうことはやってまいりますけれども、これだけは今回どうしてもお願いをしたい、そういう気持ちで御提案申し上げたような次第でございます。
  75. 木下敬之助

    ○木下委員 これまでの御努力で大きなものが機械化等による合理化であろうかと考えております。二十二日の答弁の中で合理化の成果配分といいますか、合理化の哲学として、国民利用者、職員、事業の三者を挙げておられましたけれども、それなら今回の料金改定によって得られる収入増加分は単に赤字補てんに充てるだけではなくて、国民利用者にどのように配分するのか、お聞きいたしたい。
  76. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  私、昨日、合理化のメリットというのは私どもの基本として、経営のためにも使わしていただく、国民皆様方にも何らかのかっこうで還元をする、そして働く人たちにもそのメリットをお分けしたい、こういう趣旨答弁をさせていただいたわけでございますが、国民の旨様方への合理化のメリットの還元というものについては、まず私たち合理化をすることによってできるだけ経費を抑制する、抑制することによって財政的な基盤も確立することに相なるわけでございまして、そしてそのことによってできるだけ料金を上げない、あるいはまた上げても小幅なものにするということが国民へのメリットの還元の基本じゃないだろうか。それからまた、そういう財政的な基盤を確立して業務正常運行を確保して、そして信頼される郵便に絶えず保つということも合理化によるメリットの国民皆様方への還元ではないだろうかというふうに考えている次第でございます。
  77. 木下敬之助

    ○木下委員 いま、合理化によるのでございましたけれども、そういった考え方料金改定によって得られる収入の増加分をどう使おうという決意ですね、ただ赤字を補てんすると言ったのでは、片手落ちじゃないですか。その赤字というものは、こういう赤字の補てんならば認められるが、こういう赤字の補てんには認められないといったくらいの決意を持ってされるべきではなかろうか、かように考えます。
  78. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この料金改正というものを、私たちまず、大変な金額になっておりますところの累積欠損金を消していくことのために使わせていただきまして、それによって健全な財政へ志向をしながら、国民のお役に立つ郵便事業、これがやはり国民皆様方への私たちの最大の義務でもあるし、当然なすべきことじゃないだろうかと考えておるわけでございますが、そのほかに現実的な問題といたしまして、今度の料金改正の機会に国民皆様方へのいささかなりともの還元と申しますか、サービスの向上ということで二、三考えているところがあるわけでございます。  一つは、郵便切手とか収入印紙の交換をこれから始めていこうということでございますとか、それから広告つきはがき、絵はがき等を発行するとか、あるいは小包郵便物の速達扱いについての重量、大きさの制限の撤廃をするとか、あるいはお年玉賞品の限度額を高めていくとか、そういうようなことをいささかなりともさせていただきまして、国民皆様方へのサービスの向上に役立てていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  79. 木下敬之助

    ○木下委員 しつこいようですが確めさせていただきますが、いまの切手類の交換とか絵はがき、CMつきの絵はがきのようなもの、こういったものも増収分をそこに配分して行いたいということでございますか。
  80. 魚津茂晴

    魚津政府委員 切手でございますとか収入印紙の交換をやる、それに対して交換の手数料をいただくということによって郵便収入が予算的にはふえることは事実でございます。しかしながら、それは雑収入をふやすためにやるということは私たちの真意では決してございませんので、要するに交換の必要性があるが従来交換の道が閉ざされていたということについて、今度はできるようにする。それから広告つきのはがきを仮に出すことができるというふうになった場合に、結果として広告料というものが郵便事業に入るということは事実でございましょうが、それを取るためということでなくて、そのことによって国民皆様方はがき料金額から何がしかディスカウントした金額によってはかきをお求めになる道を開くという趣旨でございます。
  81. 木下敬之助

    ○木下委員 私の質問の意味は、この二つの問題について聞いておるのは、郵便料金改定によって増加した分をどう配分するのかというところからお答えになられたので、郵便料金改定ですよね、料金改定によって増収した分を赤字の補てんに充てるほかこういったサービス改善にと最初に言われたので、私は、切手の交換等は、それによって雑収入を得るというふうに聞いたのではなく、逆に収入以上に継ぎ足してやる気があるのかないのか、その点をこの二点についてただしたのでございまして、とんとんでやろうとするのか、収入を目途としてやろうとするのか、それとも幾らか継ぎ足してやろうとしておるのか、この際見解をはっきりしていただきたい。
  82. 魚津茂晴

    魚津政府委員 必要性、御要望にこたえるという意味での国民へのサービス向上という考えでございまして、そのことによって、私たちの方からその制度をやるために持ち出すという考えはございません。
  83. 木下敬之助

    ○木下委員 わかりました。そういったことを聞くと、要するに累積赤字の解消にこの料金改定がすべて充てられると考えられると思いますが、この累積赤字が出てきた原因、またこれまでに合理化等をしてきたけれどもなおかつこれだけの累積ができたということに私どもは非常な不満を感じておるわけでございます。  頭で考えて口にするのはたやすいようですけれども、きのうの西村理事の質問にありましたように、一台が一億八千六百五十万円もする読取区分機を五十四年度には十台導入して、一台につき五・九人の人員削減可能と言われながら、現実は百七十名の増員となっており、諸般の事情を考慮したとしても、合理化による国民利用者への実成果は全くなかったと考えられます。民間企業の深刻な経営努力と比較して、なお一層の努力の必要があろうかと考えられます。どうかもっと深刻に経営をしていただきたいということを申し添えさせていただきます。  それでは、ただいま話の出ました広告はがきについて具体的な実施策をお伺いいたしたい。
  84. 魚津茂晴

    魚津政府委員 広告つきはがきの具体的な実施策ということでございます。  まず、私たちは、いま一つのアイデアを持って、こういったことが国民皆様方にもプラスになるという判断で法案の中にそういう広告はがきというようなものを御提案をさしていただいたわけでございますが、それじゃ具体的に料金をどうするんだとか、あるいは広告はがきというのは一つスポンサーを見つけると何年程度そのスポンサーによるはがきを売りさばくことにするかとか、いろいろ技術的な問題がございます。そういったことで、現在スポンサーになり得る人たちに需要可能性調査ということでいろいろ調査を進めているのが現状でございます。いずれにいたしましても、御提案をいたしております法案をお認めになっていただくということになりますと、早急に詰めをしてやってまいるということでございます。  いずれにしましても、何といっても広告はがきということを法律で認めていただきましても、広告主がいるということが前提になるわけでございまして、広告主の御要望、御意見というようなものを、制度に固めるために十分把握する必要がございます。その把握をする過程が現在の段階であるというふうに御理解願いたいと思います。
  85. 木下敬之助

    ○木下委員 法案が通ったら現実問題について考えたいというのはこれは重大な発言であろうかと私は考えます。こういった新しいものをもくろむときに、まず法案が通ったら現実にどうするかを考える、こんな姿勢でいいのですか。私は大変疑問に感じます。まして、私どもはこうして一緒になって郵政事業の発展のために自分どものない知恵も出してやろうかとしているときに、そんな姿勢で私ども審議を聞くのですか。
  86. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法案の御審議をお願いすると同時に、並行してどのような構想で広告はがきを発行するかということは当然事務的には進めているわけでございますが、ただ、その結果具体的にどういうものであるかという点については、先ほども申し上げましたように、現在、御意見を聞くところは御意見を聞く、そしてさらに詰めるものは詰めるというようなことで進めているということでございまして、私ども決して法案を成立させていただきましてからすべてそこから出発するという姿勢ではないわけでございます。現に、先日NHKで何か報道をされたように私伺ったわけでございますが、広告主に広告はがきについていろいろと御意見を伺うというようなことを当然やっているわけでございまして、その結果をまとめて、私たちこういう結果でございましたというような発表をしましたところが、それが……(山内国務大臣「いま考えている構想を言いなさい」と呼ぶ)そういうことで、発行としてどういうふうに考えているかということはいろいろあるのでございますが、たとえば、私たち実施期日を五十六年十月一日にします、それから広告つきはがきの発行条件としてこういう内容のものにいたしますということで、いろいろ広告内容の制限という関連を考えているわけでございます。  それから、広告主の資格というものについては郵政省が適当と認めるということで、どんな広告でもいいというわけにもまいりませんので、そういった点も考えております。  それから、広告つきのはがき販売価格でございますが、これが一番問題になるわけでございまして、先日調査をしたのも、一枚について十一円広告代をいただく、そして十一円のうち五円をお客様といいますかはがきをお求めになる方に還元する、六円を私どものコストにするという構想を持っております。  それから、広告つきのはがき対象とするはがきの種類といたしまして、通常はがきとお年玉つきの年賀はがきにもやりたい。広告のスペースとしまして、表面の三分の一程度のスペースを使った広告にする。それから全国版と都道府県版の二種類の広告の形をとりたい。  そういうふうな内容を私ども持っておりまして、そしていろいろなところにサウンドをしているというのが現状でございます。
  87. 木下敬之助

    ○木下委員 先ほどの前の質問のときに、この前提として、これには補助をしないし、これでもうけようともしていないというふうな前提であったろうかと考えますが、いまの話の中で、五円安くして、十一円いただいて六円でその経費に充てるということですが、この六円で経費のオーバーになるのではないですか。先にどれだけかかるという算定をして、そこにそれだけのものをいただけばいいのでしょうけれども、まず価格を決めてそれからそれで費用に充てるといった場合、足が出た場合それはどこでどう補うのですか。
  88. 魚津茂晴

    魚津政府委員 広告郵便物を出して郵政省がかえって財政的な赤になるということではこれはまた問題でございますので、私どもそういう意味で十一円という仮定の上に立っていろいろと検討しているということでございまして、ただやっぱり郵便料金の刻みというものもございますから五円をお返ししたい。そういった場合に十一円というのはそれ相当のコストの計算もした上で、そのことによって郵便赤字につながるというふうには考えていないわけでございます。ただ、これは何回も申すようでございますが、いろいろとまた今後の御意見なりあるいは調査の結果をさらに見きわめをしなくちゃならない、こういうふうに考えております。
  89. 木下敬之助

    ○木下委員 私どもでは、いまのあれだけの郵政事業の中でどこでどういう販売の仕方をするか知りませんが、その費用を計算するというのは不可能だろうと思います。その不可能な数字を適当に当てはめて、後からそれがどこにどうしわ寄せが行っているかわからないような事業にこれ以上郵政省が手を出していくというのは非常に不可解な感じがするのでありますが、それはまたいずれ話させていただきたいと思います。  細かい話になりますが、スポンサーからどの時点でお金をいただくようになるわけですか。
  90. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  印刷をしまして、その広告入りのはがきの印刷を終えたときに納入告知書を発行いたしましていただく、こういう構想を持っているわけでございます。
  91. 木下敬之助

    ○木下委員 売れ残った場合どう考えておりますか。
  92. 魚津茂晴

    魚津政府委員 広告はがきというものをどの程度販売期間にするかということが非常に重要な問題になるわけでございますが、ただ、どの期間にいたしましても売れ残った場合にどうするのだという際には、広告主に、残った枚数に相当する料金減額の分でございますね、たとえばいまの構想で申しますと五円ということになるわけでございますが、その五円をお返しして処分をするという構想を持っているわけでございます。
  93. 木下敬之助

    ○木下委員 個人が買う場合には、窓口では、いろんな図柄がスポンサーの方から出てくるでしょうが、選択して買えるようなことを考えておられるわけですか。
  94. 魚津茂晴

    魚津政府委員 当然スポンサーの御意向というものを第一義的に尊重するという図柄を……
  95. 木下敬之助

    ○木下委員 そうじゃない。買う側、利用者の一般です。
  96. 魚津茂晴

    魚津政府委員 どの広告はがきを買うかという点は、全くお買い求めになる方の御自由ということでございます。
  97. 木下敬之助

    ○木下委員 いろんな種類のものをそれぞれの窓口に置かなければならないというのも大変ですし、現実問題として非常に疑問を感じるのでありますが、特に一番大きな疑問を感じるのは、スポンサーからまず印刷することによってお金を取る、スポンサーの方は現実にはそれが売られて配布されることを期待してお金を払うわけです。一体商取引の中でこんな前金を取るということが妥当なやり方であり、特に郵政省が勧めてやるような商取引なのでしょうか。
  98. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵政省としては完売を前提に発売枚数を定めることとしておりますので、売れ残りはまず生じないという基本を持っているわけでございます。しかしながら、万一売れ残りが生じた場合には、ただいま申し上げましたように広告料を精算するということで、いま先生のおっしゃった商取引としては妥当性を欠くものとは考えていないわけでございます。なお、このことは契約上も事前に明示しておきまして、広告主も十分承知の上で契約を結ぶこととなりますので、特段問題は生じないというふうに私たち考えている次第でございます。
  99. 木下敬之助

    ○木下委員 契約書を交わしさえすればそれでいいという問題でないと思います。やはりこういった郵政省というものが推奨してやっておるやり方には、おのずと商売のあり方というものがあっていいと思います。そういったときに、世の常識の中でも非常に外れた取引になろうかと私は考えております。  一体スポンサーというのは現実に考えられるのですか。無理につき合わせてやるようなことにはならないでしょうか。
  100. 魚津茂晴

    魚津政府委員 スポンサーは、もちろん私たちがどのような条件でやるかというその条件の関連もございますが、先日調査をしました限りにおいて、全国で上場会社のうち宣伝広告費の上位三百社くらいを本省段階で選びまして、そして地方段階でも三百社程度選んで調査をしたわけでございますが、その数字を見ますと、いますぐ広告はがきのスポンサーになりたいというのは一割は切れておりましたが、現にスポンサーになりたいという会社はございます。それから、いましばらく推移を見て決めたいという会社が過半数に上っていた次第でございます。
  101. 木下敬之助

    ○木下委員 飛びついてくる特別なものは別としましても、現実に行動を起こせば、スポンサーを探すという営業的なものをやっていかなければならないのではなかろうかと思うのですが、それはどこが当たるようになるわけですか。
  102. 魚津茂晴

    魚津政府委員 その辺になりますと、まだ具体的にどういうセクションの人たちがということは決めておりませんが、ただ、本省で全国版の広告はがきをつくるということになるとすれば、当然本省の郵務局のスタッフがやるということになると思います。
  103. 木下敬之助

    ○木下委員 本省で全国版の場合、一口の金額というものが大体推定されるのではなかろうかと思いますが、おおよそどのくらいになりますか。
  104. 魚津茂晴

    魚津政府委員 全国版の最低の発行枚数をどの程度にするかということ、これもまだ具体的には詰めていないわけでございますが、広告主にこういう程度の枚数を考えているという意味で御提案をしております内容からいたしますと、大体一千万から一千五百万程度というふうに考えているわけでございます。
  105. 木下敬之助

    ○木下委員 その一千万というのは、一千万枚ですか。
  106. 魚津茂晴

    魚津政府委員 はい、そうです。
  107. 木下敬之助

    ○木下委員 金額にすると、取引契約一口大体幾らぐらいですか。
  108. 魚津茂晴

    魚津政府委員 一千万枚と仮定いたしまして、金額とすれば、先ほどお答え申し上げましたように、いまのところ十一円程度に何とかならないかということでございますので、当然その十一倍ということになるわけでございます。
  109. 木下敬之助

    ○木下委員 その一億一千万円を郵政本省が売り歩くようなことになるわけですね。一体これが、私服ではないにしても、公務員が一企業に一億一千万円もする取引を営業して回るということが、これは考えられる行為でありましょうか。
  110. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この一億一千万相当の利潤を求めて東京の街を一軒一軒歩くというようなことじゃなくて、御希望のある会社と、そういった一千万枚の広告はがきを発行をします、発行してくださいという契約そのものの問題でございまして、郵政職員の身分を持つ者がそういう契約をすることができないということは私たち考えておりませんし、私ども申し上げておりますように、今後の郵便収入をふやす、あるいは郵便物数を増加させるように努力する、新しい感覚営業感覚が必要だというのも、そういった観点で御理解願いたいと思うわけでございます。
  111. 木下敬之助

    ○木下委員 向こうから来たからしたというのなら、これは別に威力的とか圧力とか、郵政省の看板で行っておるとは思えないかもしれませんけれども事業としてやっていく中で、営業ということを考え、また電話一本でも何にしろ、あるスポンサーに声がかかったということは非常な圧力であろうかと考えるわけですが、公平な商取引になるでしょうか。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  112. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども国会のお許しを得て広告はがきを出す制度が開設された、そのことで無理やりスポンサーを探すということは、この制度の本質からいいましても、とてもそんなことは考えているはずがないわけでございまして、その制度のPRはある段階大いにさせていただきますけれども、そのPRを受けて自然に会社の計算においてお申し出のあったスポンサーを見つける、そういったことを期待し、またそれ以上われわれ考えていないわけでございます。
  113. 木下敬之助

    ○木下委員 民間で郵便局から官製はがきを購入して、これに広告を掲載して料金額面より安く販売するということは、法的に許されるのですか。
  114. 魚津茂晴

    魚津政府委員 それを禁止する法律はございませんので、許されるわけでございます。
  115. 木下敬之助

    ○木下委員 そのときの、安く販売する値引きは幾らでも構わないということでございましょうか。
  116. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございます。
  117. 木下敬之助

    ○木下委員 民間がやろうとすれば、いま郵政省でもくろまれておるのと同じことがやれるというわけであり、簡単に考えますと、あるスポンサーが自分のところで自分のところの宣伝を、先ほど言われた基準から外れたものでも、印刷してそれを販売に出せば、しかも幾らの値段で出しても構わない、こういうことでございますね。
  118. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法律論としてはそういうことでございます。
  119. 木下敬之助

    ○木下委員 改めてお聞きいたしますが、そのどこかが印刷して出したものというのは、一般の人間の手に渡ったときには書き損じということの解釈もつくのではないですか。印刷してないものとかえてくれと言われた場合に、普通の手数料でかえることもできますか。
  120. 魚津茂晴

    魚津政府委員 当然そのことが可能でございます。
  121. 木下敬之助

    ○木下委員 私、きょうこうやって並べてきましても、非常に問題点の多い構想ではなかろうかと考えますが、一考をされてはいかがかと考えます。特に、現状でも民間で広告はがきができるのであれば、こんなことは民間に任せておくべきで、改めて法改正してまで郵政省が行うべきことではないのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、やらなければならない理由は何かございますか。
  122. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど来の先生からのお話で、民間でもできるということがはっきりしてきたわけでございますが、現実には民間の業者でそういったことをやっているということは私聞いておりません、ディスカウントするという意味での。ただ、民間ではがきを買いまして印刷して高く売るというのは新聞でもよく話題になっているわけでございますが、いまの広告はがきのように安くするというようなことは私も余り聞いておりません。そういう点から、この制度に不安がないだろうかという点も私たち考えるわけでございますが、何といっても全国に私どもの窓口機関が、簡易郵便局を含めますと二万二千局にも及ぶわけでございます。そういったセールスの拠点というような財産を持っているという点からいたしますと、民間の実態がないからということでわれわれ踏みとどめるべきものであるかどうか、私たちはやはりぜひやらしていただきたいという気持ちでございます。
  123. 木下敬之助

    ○木下委員 民間がいままでやっていないのは、やれるということに気づいていなかった点もあろうかと考えますし、時期的にもいましばらく模様を見られたらいいと考えます。  また、いま言われたような郵政事業の窓口を使ってのことでございますが、これがそれだけのところで余分に利益を生んだり、そうすることによって一般の人間が五円安く買えることを大変に喜ぶ、その原動力がそれだけたくさんある窓口から発生しておるのであったら、もっと合理化することによって直接に安くできるのではないでしょうか。
  124. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そういった広告はがきを新たに始めるということから安いはがき国民皆様方にお売りするというメリット、それからそのことによって郵便物数の増加も期待するというメリット、それとむしろそういったことをやらないで、減量経営傾向でやった方が国民皆様方へのサービスに実質的につながるのじゃないかという点について、計数的にどちらの方がよろしいのか私、にわかには判断できぬのじゃないかと思います。ともあれ、私どもといたしまして、今後の郵便収入を確保するということの一つの手段として、もちろん基本は何回も申し上げておりますようにお客様へのプラスにもなるのじゃないかということではございますが、そういったものを通じながら郵便の利用を高めていくというようなことで、ぜひともやらせていただきたいという気持ちで御提案をさしていただいている次第でございます。
  125. 木下敬之助

    ○木下委員 いま一点お聞きします。  需要を高めるという意味でございますけれども、一枚の広告はがきに広告主と個人通信の両者が混在することになるわけです。考えようによれば、ダイレクトメールで広告しようとしている人たち通信とが一緒で済むわけですから、ダイレクトメールの需要を減退させることになりはしないか。また、ダイレクトメールを非常に安い料金で行っている結果になりはしないか、この点についてどうお考えになりますか。
  126. 魚津茂晴

    魚津政府委員 一枚の広告つきはがきに広告と個人通信があわせて記載される場合があり得ることは御指摘のとおりでございます。このことによって、ダイレクトメールの需要に直接影響が出るかどうかという点については、私どもさほど影響はないと考えているわけでございます。すなわち、ダイレクトメールというのは受取人を直接選択できる点に着目したいわゆるパーソナルな広告媒体である。現在すでにこうした媒体特性を生かした利用のされ方をしているものとわれわれ考えている次第でございます。  一方、広告つきのはがきは、広告主にとってはがき利用者を選択できず、そのはがきはだれに買われるかわからないということに相なるわけでございまして、そういう点では新聞とかテレビといったマス媒体という作用になるんじゃないかということで、広告つきはがきダイレクトメールとでは広告需要がそれぞれ異っていると思われますので、ダイレクトメールによる広告から広告つきはがきによる広告に移行するものはさほどないのじゃないだろうか、私皆無とは申しませんけれども、余り影響はないのではないだろうかと考えている次第でございます。
  127. 木下敬之助

    ○木下委員 結論として私の考えは、こういったものは印刷手数料をいただいて、スポンサーが買い上げて、そちらで使っていただくという性質のものではなかろうか、それがまず最初の段階ではなかろうかと考えます。本当にこういったことを、先ほどは必要があれば応じるのであって営業活動はしないということも聞いておりますけれども営業活動をしない、しかも意気込みを持ってやろうとしている、非常に矛盾しておるのでございますが、本当にやる気があるのでございますか。
  128. 魚津茂晴

    魚津政府委員 広告つきはがきを、いろいろの御意見あるいは反応を生かしながらぜひとも成功させ、そのことによってお客様にもプラスになるし郵政事業のためにもプラスになるものにしたいと考えております。
  129. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは次に、切手やはがきの交換についてお伺いいたします。  私は無料で等価交換すべきであると考えますが、そのおつもりがないように聞こえます。せめて料金改定に伴う切手やはがきの交換は、一定期間は手数料を無料にすべきと思いますが、どうでしょうか。
  130. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  料金改定に伴いまして旧料額となるはがきについては、切手を張り足すなどして使用していただけるものでございますので、利用者の方にお手数をかけるのはまことに心苦しいわけでございますが、口幅ったい言い方になるかもしれませんが、資源の有効活用の見地からもそのような形で御利用をいただきたいと考えております。また、切手についても同様、使えなくなるというものではございませんので、何らかの形で御利用をいただきたいと考える次第でございます。  なお、どうしても交換を望まれる方に対しては当然交換はするわけでございますが、その場合はやはり交換により処分することとなる郵便はがき等の調製費、交換に伴う事務に要する経費などを要しますので、交換を請求される方からは手数料をいただくことにいたしたいと考えている次第でございます。
  131. 木下敬之助

    ○木下委員 交換して引き取った切手はすべて廃棄するという計画のようですが、先ほどの資源という意味で言えば、当然売れるものは売った方がむだを省くことになると思いますが、どうでしょう。
  132. 魚津茂晴

    魚津政府委員 交換済みの郵便切手のうち、売れ残るものを再販売するということになりますと、次のようなことが問題としてはあるのじゃないかとわれわれ考えている次第でございます。  その一つは、御使用者は舌で郵便切手の裏塗りをなめて御使用になる場合が多く、衛生上の面から好ましくないと思われるということと、二つ目には、今後郵便切手を購入されるお客様が、交換済みの汚れた郵便切手を売っているのではないかとか、購入される郵便切手が新品のものであっても、お客様は交換済みの汚れた郵便切手ではないかという不信感か潜在するというような事態考えられます。このようにお客様に大きな不信感、不安感を抱かせる要因となるであろうというようなことから、廃棄処分にするという考え方で進めさせていただきたいと思います。
  133. 木下敬之助

    ○木下委員 なめるという表現が出てきましたけれども、一体あの切手は、衛生的見地で見て、なめるということで現在販売しておるのですか。
  134. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お客様がかなりそういった実態といいますか、そういうあれをされている実情があるのじゃないかということでございます。
  135. 木下敬之助

    ○木下委員 その実情に対して、衛生面はどういう気の使い方をしておるのですか。さほど気を、使って販売しているようには見えないのでございます。一度交換されたものではなくても、いま現実の新品でも郵便局員の手によって渡されておるわけでしょう。
  136. 魚津茂晴

    魚津政府委員 仰せのとおり、郵便局の窓口担当者も、単片を売りさばくということになると、確かに手が触れるといいますか、指が触れるということなのですが、それは事実そのとおりでございます。ただ、われわれ人間の心理といたしまして、とにかく一たんだれかが買って、そしてその交換をしたものと、事実は同じかもしれませんが、かなり心理的に違う感じをして受けとめるというような、その辺の人情もわれわれ考えてみたという点でございます。
  137. 木下敬之助

    ○木下委員 その点の補てんはそういうふうに考えておられる側でなさったらよろしいので、それを考えて手数料を高く取って、それしかないという道を開くというのはおかしいのではないかと考えられるわけです。
  138. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この交換手数料を取る取らないという議論になりますと、単に使う使わないの問題だけでなくて、その交換に必要とする手続といいますか、そういう意味でのコストもあるわけでございまして、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、交換をするという限りにおいては、仮に廃棄処分をするということを直しても、なお問題は残るというふうに考えるわけでございます。
  139. 木下敬之助

    ○木下委員 はっきりとした方針を持って、あれを言ったりこれを言ったり、それならこれだ、あれならこれだという答弁を余りなさらず、もっと基本的な姿勢でやっていただきたいということを申し述べておきます。  次に、集配状況についてお伺いをいたします。  所定の配達度数どおりに配達が行われていない現状について、配達度数別に全国的な状況をお聞かせ願いたい。
  140. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在、通常郵便物の配達のための区画は全国で約五万区ございます。このうち五四%の約二万七千区が一度地で、残りの四六%の約二万三千区が二度の配達の集配区でございます。それで、都市部及びその近郊の急激な発展地域などにおいては、遺憾ながら一部で所定の配達度数が確保できない時期あるいは特定の区というものが時折発生するという現状でございます。
  141. 木下敬之助

    ○木下委員 私の友人で、同じ時刻に同じポストに毎日毎日自分あてのはがきを出し続けて、その自宅への配達状況を克明に記録している者があるのですよ。その人の意見を聞きますと、出してから一週間たって来たり、次の日に着いたりと、非常にばらつきがあるという報告をいただいております。この点、もう少し詳しい記録がまとまりましたら、また別の機会にと思っでおりますけれども、どうか所定どおりに、計画どおりにいくように大いに考えていただきたいと思います。所定のとおりに配達が行われていないような現状において、一日一度配達を計画しているようですが、どうやって行うつもりでございますか。
  142. 魚津茂晴

    魚津政府委員 配達の一度化ということは、適正なサービス基準というものをわれわれが模索する一つの過程として試行するということを申し上げたわけでございまして、一方、所定の配達が実行されていないという実態があることも事実でございます。したがいまして、私ども一日一度のサービスすらやられていないところにそういったことをやるつもりはございませんので、段階的にやっていくわけでございますので、現在のサービスが基準どおり円滑に行われているというようなところから実施をして、そういった問題のあるところはその機会にいろいろ浮き彫りになってくるわけでございますので、そういったものを直しながら実施を進めていく、こういうふうに御理解を願いたいと存じます。
  143. 木下敬之助

    ○木下委員 取り集めの度数はどのように設定されておりますか。
  144. 魚津茂晴

    魚津政府委員 取り集めの度数というのは、郵便局に配達区がございますが、この配達区というものの中に、市内区というものと市外区というものがございます。その市内区というところは、局の所在地とそれに連携する地域というふうに定義づけておりまして、その結果、先ほど御説明いたしましたように市内の二度地というのは四六対五四、そういう現状でございます。  そこで、市内地というところには三回ないし五回の取り集めをいたします。市外区は原則的に一度という取り集めの回数でございます。
  145. 木下敬之助

    ○木下委員 一日一度配達を進めようとしている現状において、何回も取り集めを行っているのはむだだと考えますが、これを減らすことについてはどうお考えになっていますか。
  146. 魚津茂晴

    魚津政府委員 配達度数と取り集め度数というのは、やはりバランスというものがございますから、将来一度配達というかっこうで全国的に定着するということになりますと、当然取り集めの回数も手直しをさせていただく時期が来るかもしれません。しかしながら、いまの段階で、二十数局程度一度化するということで試行する時期においては、そのことによって取り集めの回数を変更するということは、さしむき考えておりません。
  147. 木下敬之助

    ○木下委員 念のためにお聞きいたしますが、一日に五回取り集めているというのは、どういう事情から五回も取り集めに行くわけですか。
  148. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど市内区で三ないし五回というふうに申し上げたわけでございますが、たとえば東京の都区内でございますが、東京の都区内あたりでございますと五回が一般的でございます。それで配達の度数あるいは取り集めの度数の考え方は、所在地と連擁する地域というふうな表現で御説明をさせていただきましたけれども、基本としては、通信力の大きいところに取り集め度数も配達の回数もふやしていくというのが今日の集配の計画の基本の考え方になっておりまして、そういう意味で大都市では五回程度取り集めを現状としてはやっているということになるわけでございます。
  149. 木下敬之助

    ○木下委員 ちょっと納得いきかねるのですが、量の多いところは回数が多い、それはその量が多い、お得意先の多いところはサービスをするという意味なんですか、それとも実際物理的に多いところは多いということですか。
  150. 魚津茂晴

    魚津政府委員 通信力が大きいということは、ポストならポストに投函する郵便物、そういったものにつきましても回数を多くしなければというような配慮も現実的にはございます。それから大都市の場合に、交通の機関といいますか運送便がたくさん出ておるわけでございますね。取り集めの回数というものをふやしても、郵便局から出ていく回数がふえなければ実際には意味がございません。ただ、時間的に短時間に集めるということから作業の平準化というような効果はできるかもしれませんが、大都会においては運送便の回数も物量が多いということから多い。そういったことも勘案しまして、現在は、一方では一度の取り集め、一方では五度の取り集めという現状になっている次第でございます。
  151. 木下敬之助

    ○木下委員 私どもいまの御説明で納得できるような内容ではないと考えます。きっと、やり方一つでもっと回数を減らして、合理化の道が開けるものと確信いたしておりますので、なお一層の努力をお願いいたしたいと思います。  次に、小包の実情についてお伺いいたします。  今回の小包料金改定による今後の小包物数の見通しについてお伺いいたします。
  152. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  五十五年度では、前年に比べて一・九%の減、それから五十六年度には、五十五年度に比べて二・八%の減、そして五十七年度以降においては、前年度に比べまして三%増という傾向をたどるというふうに考えております。
  153. 木下敬之助

    ○木下委員 小包料金値上げによっても小包赤字であると思いますが、その赤字補てんの方法をどのように考えておるのか、独占事業部門の封書、はがき等の料金値の値上げで穴埋めするつもりでございましょうか。
  154. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在、赤字部門というのは、郵便物のうちで小包部門に著しいということは実態としてございます。そういったことから十月一日に料金改正さしていただいたわけでございますが、それでもなお赤字であるという現実は否めません。  そこで、今後どうするんだということでございますが、私ども、競合している民間の業者のいろいろなサービスというものを、とり得るものをできるだけとるという姿勢ももちろん必要でございましょう。そういったことによってできるだけ私たちの方により多く小包が出るというような期待をしながら施策を進めるわけでございますが、それにしても、最終的には小包部門赤字というものが避けられないという事態が続くと私は思います。続くとすれば、いっそやめてもいいんじゃないかというような議論もあるわけでございますが、現在の民間の業者がカバーしておりますサービスエリアというのは、市町村で大体三四・五%にすぎないわけでございまして、どうしてもやはり公共性ということから小包サービスを私たち郵便部門から切り離すことはできないというふうに考えております。そうなりますと、やはり総合原価主義ということで、通常小包ということをひっくるめて収支相償という形で経営をやっていくということになろうかと思う次第でございます。
  155. 木下敬之助

    ○木下委員 何か非常にむずかしい見通しのようでございますけれども公共性を盾に赤字でもやっていく、こういうことでございますか。
  156. 魚津茂晴

    魚津政府委員 公共性ということを考えれば、赤字だからといって小包をやめるということは、やはり国民皆様方郵政省がこたえる道ではないというふうに考えております。
  157. 木下敬之助

    ○木下委員 やめないけれども、見合うようにというか、値上げを続けていく、こういう方向になるわけでございますか。
  158. 魚津茂晴

    魚津政府委員 小包の運営の合理化効率化を進めるということ、それから先ほどもお答え申し上げましたように、民間のサービスというようなものでうちの方で取り入れるものを取り入れるという、いろいろの施策を講じてできるだけ赤字を出さないようにするという気持ちを持ちながら、どうしても赤字が残るということになりますと、先ほど御答弁を申し上げました形で処理をしていくということに相なるわけでございます。
  159. 木下敬之助

    ○木下委員 気持ちではどうにもならない数字の問題であろうかと思います。もっと厳正に、はっきりと先行きの見込みを立ててやっていただきたいものだと考えております。  大臣にお聞きしますが、小包は、民間輸送企業いわゆる宅配便に食われて減少の傾向にありまして、さらに今回の値上げで大きく減少すると予想されると思いますが、思い切って民間に分離するという考えはございませんでしょうか。
  160. 山内一郎

    山内国務大臣 小包原価計算をやりますと、これは非常に高くなってしまうのです。高いとまたさらに減ってくるというような循環的な現象が起きるようなことになるわけでございます。そこで、宅配にもっとやったらどうかという御意見もございますけれども、余り辺地なところは宅配がやってくれないのですね。そういう公共性はやはり郵政省としても堅持すべきであるというので、欠損はあったとしてもそういうところのサービスをやるということにして、その欠損はやはりほかのいろいろな郵便の種類の中で補てんをするようにしてやるのが郵政省のたてまえではなかろうか、こういうふうに考えております。
  161. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、郵便局の統廃合の基準、また集配局の配置の基準についてお伺いいたしたいと思います。
  162. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵便区の統廃合あるいは集配局の設置という基準は、具体的な基準という意味では設けられていないわけでございます。ただ、その統廃合というのは、地域社会の御要望がある、あるいはまたそのことによって郵便のスピードが上がる、あるいはまた経営の立場から見まして効率化あるいは合理化に役立つという、・当然のことながら郵便局の持つ使命といういろいろの点から見て適合するものについて統廃合をする、あるいはまた現在の一局で受け持つ郵便区でやるよりも、地況の発展とか変化に応じまして二局でやった方がいろんな面でプラスであるというような場合に、郵便区を二つに分けて集配局を一つつくる、こういうことでございます。
  163. 木下敬之助

    ○木下委員 全国の市町村合併というか、地方行政単位の再編成は現在進行中でありますが、おおむね完了しているものと見られております。これに沿って実施されているでしょうか。
  164. 魚津茂晴

    魚津政府委員 市町村合併の成り行きというものが郵便区の統廃合にかなり影響していることは事実でございますが、その市町村合併と完全に並行的といいますか、パラレルにやっているかといったら、実態としてはそうでもございません。
  165. 木下敬之助

    ○木下委員 人口急増地域というか、新しい宅地造成地域、そういった新興宅地地域に対応する郵便局の配置がえについてお伺いいたしたいと思います。新設、分割を含めてお示しいただきたい。
  166. 魚津茂晴

    魚津政府委員 統廃合それから集配局の新設ということになりますと、当然配置がえという問題が起きてまいります。その配置がえということは職員にとってはかなりの重大事といいますか、労働条件の変更にもかかわってまいるわけでございますので、事前に組合とも話し合って理解と協力を得る態勢をとりながら実施をしているということでございます。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 新興の、新しく人口が密集してきた地域等につきましては、いろんな郵便事業に対する不便というか不満を感じておる地域が大変多いと考えます。先ほど私ちょっと申し上げましたが、一体自分のところにどれだけ基準どおりというか丁寧に敏速に届けられておるかというのを、自分で費用を使ってまで統計をとって、何とかしてもらいたいと思っている地域もたくさんありますし、速達等におきましてもまだまだ不便を感じておる地域が大変多いわけです。この機会に、そういった新興の住宅地のことにつきましても、時代は非常なスピードで進んでおるわけでありますから、どうかそれに合わせて、国民の末端まで平等に郵政事業の恩典を受けられますように考えていただきたいと思います。  あと問題をたくさん用意しておりましたが、やりかけて途中でやめるわけにもいきませんので、感じといたしまして、本日いろいろ聞かしていただきましたが、やはりもっとかっきりとした見通しを持ってやっていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。そうして、いまの郵便事業によっていろいろ恵まれているところも恵まれてないところもある、また実際はコストは合わないにしても公共性の上からやっていただいている面もいろいろあるでしょうけれども、どうかできるだけ大きな視野で郵政事業というものをながめてやっていただきたい、そういうことを最後にお願い申し上げます。  大臣には、いま私の申し上げましたような郵政事業の将来に向けて、これといった決意のようなものを最後に御披瀝いただければありがたいと思います。
  168. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと適切な御提案もございましたし、御指摘もございました。それらを参考にして、ひとつ大いに国民に愛される郵政事業になりたい、こういうふうにやっていきたいと思っております。  それから、最後の新興住宅地等の問題ですが、やはり局舎をつくるとか要員を準備するとか、多少ずれますけれども、そういう気持ちは持っておりますから、そういう線に沿って進めてまいりたいと考えております。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
  170. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 木下敬之助君の質疑をこれで終わります。  藤原ひろ子君。
  171. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が昨日の委員会で要求をいたしました資料が先ほど提出をされましたので、村上委員の持ち時間の中で若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、いただいた資料を見てみますと、昭和五十九年と六十二年にそれぞれ二〇・八%の値上げを予定することになっております。そういたしますと、この値上げは、封書は幾らになって、はがきは幾らになるのか、また第三種郵便物は幾らになるのか、同時に郵便物伸び率というのは幾らになるのか、お答えをいただきたいと思います。額だけで結構です。
  172. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十九年に値上げをするという場合に、封書を七十円、はがきを五十円、六十二年には封書を八十五円、はがきを六十円という試算でございます。  それで、物数についてまず申し上げますが、私どもこの物数の予測というのは、昭和三十年度以降の傾向値を求めまして、その傾向値を延ばしていくということを原則にしてやっているわけでございますが、過去のデータで、一%料金値上げすると、そのことによってどれだけ落ち込むか、俗に価格弾性値というようなことで言っているわけでございますが、そういった点からはじきまして、物数といたしますと大体、何回か私御答弁させていただいたわけでございますが、料金改正後一年間落ち込んで二年後になりますと回復するという傾向を数量化いたしまして、それをもとにしていまの料金改正とあわせて収益を見ました。そして、この支出の関係でございますけれども人件費といたしまして、過去四年間の平均の上昇率ということで大体六・七%ということで伸ばしていく。物件費は、新経済社会七カ年計画ということで、消費者物価の上昇率が五%、卸売物価の上昇率五%というような数字をもとにいたしまして、十年間経過いたしますと、その間二回値上げをさしていただくけれども、累積欠損金がまず解消できるという試算をした次第でございます。
  173. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまお答えにありましたように、五十九年の値上げで封書が七十円、はがきが五十円、それから六十二年には封書が八十五円、はがきが六十円。そういたしますと、現在から比べますと、封書というのは七〇%上がる、それからはがきは何と二〇〇%引き上げられることになるわけです。それは本当に大変なことだというふうに思います。いまおっしゃいました、ここの欄外にもあります物件費伸びは五%なんだ、人件費伸びは六・七%、仲裁裁定なんかから勘案してということですが、物件費伸び五%という根拠はどこにあるのですか。いまおっしゃったところですか。もう一度。
  174. 魚津茂晴

    魚津政府委員 新経済社会七カ年計画の中で示されている数字を使っているわけでございます。
  175. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは大臣にお尋ねをしたいのですけれども物件費については新経済社会七カ年計画というものを根拠にして出した、こうおっしゃっているのですが、この新経済社会七カ年計画というものはどういうものかといいますと、昭和五十四年から昭和六十年までの計画でございますね。六十四年までの計画ではないわけなんです。十年間の見通しというものは、経済審議会企画委員会、この暫定試算が出ておりますけれども、この委員会だって出せないわけなんですね。それほど内外情勢は流動的なのだということを明記してございます。そういう上に立って五%というものをもとにしてやっているわけなんですね。すると、その五%という上昇率にしても確信を持って示せるわけではないわけですね。だけれども五%程度上昇するであろうとこの新経済社会七カ年計画は見ているわけです。非常に不安定なものをもとにして、しかも、六十年から六十四年まではないものを十カ年計画だということで郵政省がこの暫定試算をお使いになるというのは、非常に乱暴な話だというふうに思うのです。ですから、こういうもので郵政事業がよくなるはずはありませんし、この提出されました資料は、これでは値上げ計画だけであって、値上げだけがはっきりいたしております。しかも非常に非科学的でずさんな計画だということで、私はこれをいただいて納得するというわけにはまいりませんのですが、大臣のお考えを聞かせていただきたい。大臣の御決意などを伺って終わります。
  176. 山内一郎

    山内国務大臣 昨日も申し上げましたどおり「当分の間」というのはどのぐらいになるであろう、こういう御質問もございまして、いろいろ苦心をいたしまして使える数字は使えるようにいたしまして、さらにその先の問題は、私はこれは想定をするのもやむを得ないと思うのです。したがって、そういう想定の数字も入れて試算をしておりますので、この表を御提示しても納得いかないかもしれませんと、こういうことも昨日申し上げまして、そういう仮定に基づいて十年間でひとつやってみよう、こういう決意もこの中に入っていることをお認めいただきたいわけでございます。
  177. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま申しましたように、非常に非科学的だし、幾ら試算であっても余りにひど過ぎるということを指摘いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 村上弘君。
  179. 村上弘

    ○村上(弘)委員 最初にちょっと大臣に要望があります。ここに何通かの手紙を私持ってきたのですが、この手紙は大阪豊中の大崎ミヤノさんという人にあてた手紙なんです。この方は聾唖者で、御主人も聾唖者で昔「名もなく貧しく美しく」という映画がありましたね、全くそういう家庭なんです。しかも御主人の大崎英夫さんという方は、あのときの主演俳優であります小林桂樹さんと高峰秀子さんに対して手話の指導もしたような人であります、まあ余談でありますが。こういう方にあてた手紙を私いただいたのです。私信であるにもかかわらず中身を見せていただいた。また、奥さんは字も十分に読めない面もありまして、絵で手紙を書いているのです。ちょっと見てください。――こういう方は聴力障害者ですから電話もほとんど使えないわけですね。ですから郵便、電報、電話、あるいはテレビや電波関係、いろいろ通信手段は変化し発展もしていきますけれども郵便というもの以外に通信手段を持たない、こういう方がいるわけですね。また、それを見ても非常に胸にじんと来るようなものですね。ところが今度郵便料金値上げになるとまた負担がふえる。ただでさえしんどいわけですね。ですから本当に冷たい仕打ちということになるわけです。まだそれは見本のようなもので、同じ方からの手紙をここにたくさんいただいているわけです。こういう方々のことをもっと考える必要がある。  きのうは同僚の藤原委員が、小学生などに対する教育用のはがきといいますか、こういうものに対して考えてはどうか、無料にするなり半額にするなり、工夫をしてみたらどうかということがありましたが、ことしから国際障害者年の準備年に入っていますし、盲人などに対しては点字郵便物ども無料の特典制度もありますね。しかし聾唖者に対してはほとんどないですね。しかも郵便だとかはがきというものが本当に必要なんですよね。ですから、こういう聾唖者の方々に、これは身体障害者の手帳も持っておるわけですから、制度的に工夫はできると思うのです。国鉄の方は割引がありますが、郵政関係は一つもないのですよ。ですからこの際こういう聾唖者に対して、年間何通という方法をとるか何か工夫をして、全く特典のないこういう人たちに対して、きのうも大臣考えてみたいと言っていましたが、あわせてひとつ考えてみる気持ちがあるかどうか、最初に聞いておきたいと思います。
  180. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生おっしゃるように来年は障害者年ということもございますし、障害者をそれぞれの分野でいまよりか優遇する手だてがないかということか各界に御提言されているという動きの中で、私どもも当然それに取っ組みたいと思っておりますが、ただ、基本的に問題になりますのは、私、具体的にはいろいろと検討さしていただきたいと思いますが、盲人の方々の無料の現在の四種の制度でございますけれども、盲人用の点字というのは郵便物で一見識別できる。しかしながら、いま先生おっしゃったようなたとえば難聴者のような場合ですと、その方のお書きになった郵便物というのは外見上わからないという実際上の問題が一つございます。その辺のことを郵便制度の中でどのように解決をしていくかというような問題もあわせながら、今後の課題ということで受けとめさせていただきたいというふうに考える次第でございます。
  181. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そういうことがいままでも検討されてひっかかっていることは知っているわけですよ。だからこそやられていないのです。それでは困る。身体障害者の数はもうわかっているわけですよ。それでそういう手紙なりはがきなりを使用される成人の数もわかるわけですね。ですから、障害手帳も持っているわけですから、そういう方に対して、たとえば年間何通分とか、それで全部賄えるかどうかわかりませんよ、そういう工夫だってできはしないかというようなことも含めてもっと知恵を出してみたらどうかということなんで、その姿勢大臣に聞いているわけなんです。
  182. 山内一郎

    山内国務大臣 郵務局長から概略の答弁はいたしましたけれども、いまの先生の御提案につきましても、ひとつあわせて検討を続けさしていただきたいと思います。
  183. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ぜひ実現する立場で検討してほしいと思います。  そこで、私はいわゆる法定制緩和、国会の議決事項でなくなる今度の第一種、第二種郵便料金の問題があるわけですが、これを今日まで国会の議決事項、つまり法定制として守ってきた理由は一体何なのかということをお聞きしたいと思います。
  184. 山内一郎

    山内国務大臣 従来の経緯、私余りよく存じておりませんけれども、財政法の三条の特例ということにつきまして、郵便物法律に基づいてやる、・こういうことに相なっているわけでございます。そこで、法律に基づいてやることは、今度のわれわれの提案についてもやはり今度はこういう法律に基づいてお願いをしたいという提案であるわけでございます。  そこで、その後いろいろの審議会、たとえば郵政審議会あるいはまた公企体等基本問題会議、これにたびたび御提案がございまして、こういう郵便料金につきましては適時適切にやらないといけないのじゃないか、そうしないと、一度に急に上げるようなことはいけないというような御提案がたびたびあったわけでございます。これに基づいて今回改正案をお願いしているわけでございますが、それでは何が何でももう郵政審議会審議をして郵政大臣が決めるかというと、そういう内容にはお願いしていないわけでございまして、いろいろな条件がついているわけでございます。特に値上げの率につきましては物価等変動率、それかはっきり天井として決められておりまして、それを郵政省が決める場合にいたしましても、そんなに上がってまた量が減れば、数量と価格との掛け算によって収入がふえることは皆さん御承知のとおりでございますので、それは一つの参考として、それ以上には絶対しない、こういうような制限を設けた法律に新しく基づいてわれわれとしては料金を適時適切にやっていきたい、こういう点でお願いを申し上げているわけでございます。
  185. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大臣、質問をよく聞いてもらわねばいかぬ。  いま、なぜ法定制緩和にするかという答えをしたように思いますが、それを聞いたのじゃないのです。いままでなぜ法定制を続けてきたのか、その理由は何かということを聞いておるのです。
  186. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、歴史的にちょっと考えてみたいわけでございますが、戦前、郵便料金というのは、通常郵便物の料金法律で定めてありました。小包郵便物の料金そして特殊取扱いに関する料金は命令で定められていたところでございますが、昭和二十三年の一月に新郵便法の制定施行という際に、通常郵便物だけでなくすべての郵便物料金のあるいは特殊取扱いの料金法律事項で定められた。これはやはり戦後の憲法あるいは財政法という観点から、その時点では、法律に基づくという受けとめ方として法律で具体的な料金まで定めようという当時のいろいろな情勢から、国民多数の御意見であったのだろうというふうに考える次第でございます。  ところがその後、郵便料金に限って申し上げますと、昭和三十六年に小包がまず政令料金という形になりまして、四十六年になりまして三種以下の料金、そして特殊扱い料金、そして小包料金を含めまして省令という形で現在の制度になっているわけでございまして、結局スタートするときは、世に言うところの財政民主主義というものの受けとめ方を具体的な金額を書くということで受けとめよう、そして三十年代、四十年代になるや、いろいろの企業というものあるいはいろいろの事業の持っている問題を変化に応じてその問題を解決するという立場から、やはり適宜適切な料金をいただくという仕組みが事業国民のものにするというためにはむしろいいのじゃないだろうかという情勢の変化、情勢と言ってもいろいろあると思いますが、社会経済あるいは国民のいろいろの生活というようなものを総合的に考えまして――とにかく財政法三条というのは法律に基づいてということに相なっておりますので、法律により料金を定めるという法形式をとってない中で、結局二十年代と三十年代、四十年代そして五十年代のその基づき方の立法政策というものが変わってくる社会的なあるいは経済的な条件の変化というふうに私ども考えているわけでございまして、そういうことを踏まえながら、一方では厳しい条件をつけて法定緩和ということで御承認をしていただきたいということで御提案をさしていただいた次第でございます。
  187. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大臣も郵務局長も法定制緩和する理屈を一生懸命言うているようですが、それを聞いているのじゃないのです。いまの制度はなぜあるのかということを聞いているのです。特に第一種、第二種郵便料金法定制であり、もっと具体的に言えば、国会で審議して議決して決めるということになっておるのですね。なぜそうなっておるのですかということを聞いているのです。
  188. 魚津茂晴

    魚津政府委員 同じ内容の答弁をするようでございますが、法律に基づき方の立法政策、その受けとめ方、その時代の変化というように私は理解をいたしております。
  189. 村上弘

    ○村上(弘)委員 何を言っているのですかね。これは昭和二十二年この郵便法が新たに提案されて、二十三年に発足してから第一種、第二種の郵便料金はずっと法定制なんですよ。国会で審議して決めることになっておるのですよ。ちっとも時代は変わってないのですよ。いまもそうなんです。変わってないのですよ。それはなぜなのか。なぜ一体そういうふうに法定制になっておるのか。なぜ国会で審議して決めるということになっておるのですか。郵便事業、特に第一種、第二種はなぜそうなっておるのですかということを聞いているのです。
  190. 魚津茂晴

    魚津政府委員 小包法定から政令になる、そして四十六年には三種以下を含めて省令になったという中で、なぜ一種、二種が法定として残ったかというような観点で私お答えするとすれば、やはり一種、二種というのは信書が圧倒的に多い、信書の送達というのは独占であるということで三種以下の郵便物の性格と異なる。その異なるところから着目しまして、財政法三条の精神を勘案しながら今日まで法定料金というかっこうに相なっている、こういうふうに理解をいたしておる次第でございます。
  191. 村上弘

    ○村上(弘)委員 独占ということが初めて出てきたのですが、これは何も四十六年のときに出てきたのではないのですね。昭和二十二年に当時の三木逓信大臣がこの郵便法提案したときから、なぜ国の事業にし、法定するのかということについて、国の独占するところでありますのでとか、国民に多大の利害関係がありますのでと、それで法律でと、こういうふうに説明しておるのですよ。これはもう一貫しているのですね。何も昭和四十六年に独占に初めてなったのじゃないのですよ。いまもそうなんです。あなたは独占だからと言いましたが、なぜ国会で議決して決めなくちゃならぬのですか。独占はたくさんありますからね。
  192. 魚津茂晴

    魚津政府委員 独占というのは、他の手段をお客様の立場からすると選べないということを意味するわけで、選べない料金というものが、財政民主主義という立場からいたしますと、国会の議に付した法律形式で定める方がいいということで今日までそういう方式がとられてきた、こういうふうに理解をいたしております。
  193. 村上弘

    ○村上(弘)委員 郵便事業がきわめて独占性の強い事業であるということ、独占というのは民間にも独占かありますし、その他の国有企業、国営事業といいますか、あるいは公社の事業独占性の強いものもほかにもありますね。しかし、郵便事業、特に第一種、第二種の郵便料金は国会で審議して決めるということにほかの分と比較して特にそうしなくちゃならないものになっておったのはなぜなんでしょうか。
  194. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど御説明、御答弁申し上げたわけでございますが、独占ということから国民がそのサービスを享有するという限りにおいてはその料金に拘束される、そのことが国民生活への影響ということで、その際に決める方式としては、国会で制定された法律というものがいいんじゃないかということで今日まで一種、二種というものが法律で定められている、こういうふうに理解をしておるわけでございます。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席
  195. 村上弘

    ○村上(弘)委員 もう一つ的確にわかりませんね。郵便事業独占事業である、ということは、他に競争事業がないのだということ、したがって、国民郵便を利用する以外に、一種、二種に関しては、いまの制度では他に手段を持たないのです。しかも、それはいかに高い値段をつけられてもそれを使う以外にないのですから、選択の自由がないのですから、ですからあなたの言うように、国民生活にも大変な影響を持つわけですね。どこでチェックするのかということになると、それは国民にかわってそれに対してチェックをしてもらいたいというのが国会になっておるのでしょう。国鉄の場合は自由化しました。専売もやりました。小包もやった。それから三種、四種も事実上自由化したわけです。他のチェック機構はそれなりにありますけれども、にもかかわらず、なぜいままで一種、二種の郵便料金は国会で審議し、議決して決めるのだという制度にし、それを守ってきたのか、その趣旨はどこにあったのですか。
  196. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど来申し上げたことを繰り返すわけでございますが、三種以下の郵便それから特殊取扱いの料金小包料金と一、二種の持つ独占制という観点、それからそのことによる公共の福祉と申しますか国民生活に及ぼす影響が、比較をすれば一、二種と他のグループのものとは違うというその観点で差のついた制度になって今日に及んでいるというふうに理解をしております。
  197. 村上弘

    ○村上(弘)委員 さっぱりわからぬね。私は、同じ独占事業でも国鉄の場合はまだ他の競争企業があります。私鉄なりその他ありますね。たばこの場合は、独占企業といっても、これはやはり専売益金が目的ですから、そういう点では性格は違うと思います。私は、三種四種が自由化されて、なおかつ一種、二種がこうやって国会で審議をして決める制度として保たれておるのには、やはりそれなりの意味があるだろうと思うのです。それほどに独占制が他の事業に比べて強いということ、またそれほどに国民生活に密接なかかわりがあるからだ。それはあなたもいま言うたとおりです。この状況、いま変わっていますか。
  198. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そういった理由で法定制が、狭義の法定制がとられてきたわけでございますが、狭義と私申しますのは、財政法の第三条で言う法律に基づいた、この法定緩和制もその限りでは法定制という意味で、そういうことでなくて、具体的な法律に金額を定めたものを狭義の法定制ということで申し上げたわけでございます。  そういったことで来たわけですが、さて、今日の条件の中で郵便がコミュニケーションのメディアの中に占める割合、昔は通信メディア郵便を主体にしてやってきたということから次第にメディアの多様化というようなもので変わってまいりました。そういったことの中で、法制上は他人の信書の送達は郵政省専掌の独占ということになっておりますが、コミュニケーションの手段そのものの多様化の中における実質的な郵便の持つウエートがかなり変わってきたのじゃないだろうか。われわれは変わってきたというふうに考えるわけでございます。現に家計の中に占める割合が、電話でございますとかそういう他の通信手段割合と比較してみても下がってきている、そしてまた、消費者物価に及ぼす影響も下がってきていることで、コミュニケーション全体の中における郵便の地位が低くなってきているということが一つございます。  それからもう一つは、郵政事業郵便事業国民皆様方に御信頼をいただける仕事をやるために財政的な基盤を確立する必要がある。ところが、現在赤字か相当の額になっている。その赤字の解消のためにはいろいろな手だてを講ずるのだけれども、やはり郵便料金改正もお願いしなければならない。そのときに適時適切な改正の方法によってやることが国民への大幅な値上げと――もちろん国会に出すことが大幅な値上げということは必ずしも言えないかもしれませんが、適時適切にやる方法が小幅なかっこうでできるのが一般的には期待できるのじゃないかとあれこれの事情の変化、それから今日の郵政事業の抱えておる課題を立法政策として見た場合に、かつて具体的に法律で定めた仕組みになっていたからといって今後そのとおりいつまでもしなくちゃならないのかというような議論の中で、先ほど来御説明しておりますいろいろな条件をつけたかっこうでやれば、財政法との関係からいっても問題はないのではないかという立場で御提案をさせていただいた次第でございます。
  199. 村上弘

    ○村上(弘)委員 先ほどから聞きもしないことばかり答えている。なぜ変えたのかということは聞いておらないのです。なぜ今日守っておるのかということを繰り返し聞いているのです。  そして、独占体であるということや国民に対しては選択の自由がないのだということ、その決める料金国民生活にも大きな影響があるのだということ、これはあなたもいまさっき認めておったことですね。そのことに今日変わりがあるのか。それについての変わりはないのですよ。あなたは独占体でなくなったということも言っていないのだ。そうでしょう。  それから、それが国民生活に及ぼす影響についても変化はないのです。あなたは郵便事業の地位が低下しておるということをいま挙げたのです。これは重大なことですね。あなたはそれを認めるのですか。それから、それをそういうふうに扱おうというわけですか。それが法定制緩和の前提になってきているのですか。これは大いに究明しなくちゃならぬことだと思います。  あなたがいまさっき家計に占める郵便料金の比率がそう高くなくなってきたのだということを言っていますが、それも違いますね。これは昭和四十六年、三種、四種を自由化して、当時井出郵政大臣が一種、二種は法定制を守るんだ、なぜならば独占体であるからと言って、そのときは大いに強調していましたね。あのときの家計消費に対する郵便関係の支出は千二百五十一円、家計全体に占める比率が〇・一%ですね。これが、昭和五十四年度に引いてみますと、三千百八十九円で同じように家計全体に占める比率が〇・一二%ですね。ちっとも変わらぬです。ですから、あなたの言うことには全く論拠がないんだ。独占体であることに変わりはないし、国民生活に与えておる実質生活上及び経済上の影響も同じなんですよ。なぜ変えるのか。いま言ったことでは赤字だけです。赤字ができておるから法定制緩和をするんです、これだけが理由のようですね。そう聞いていいですか。
  200. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、コミュニケーションといいますか通信手段、メディアの多様化の中の郵便の位置づけというようなものから、もっと端的に申しますと、電信電話が次第に、従来手紙でやられたことが電話の利用によって進むという傾向はお互いに異論はないと思うわけでございます。そういったことで、たとえば郵便料と電報電話料の家計支出に占める割合というようなものを比較してみますと、昭和四十年には郵便料は電報電話料の約三三%であったわけでございます。ところが四十五年には約一五%になってしまいました。そして五十四年には電報電話料の約七%になったというような数字からうかがえるように、コミュニケーションの手段としての郵便、その手段としての、電報ということはございませんが電話というような角度からの見方、そういうことも当然時代とともにやってみるべきじゃないかということを私たち思うわけでございますが、そういう観点でその数字の変化というものをいま申し上げさしていただいた次第でございます。  なお、私ども郵便を扱う者といたしまして、何か郵便の地位といいますか郵便の社会的使命というものが低下するような言い方は私、一番心苦しいわけでございますが、私が申し上げているのは決してそういう意味でなくて、郵便の特性として今後とも維持される、そして郵便が発展するということを将来的な展望として持っておることも私は一言つけ加えさしていただきたいと思います。
  201. 村上弘

    ○村上(弘)委員 後で言われたことは当然なことだと思いますよ。地位が低下するんだからなどということはとんでもないことですね。しかし、どうもそういう気持ちがあるということもほのめいたわけですね。  それから、通信手段全体の中での郵便の比重が、他の部分がふえたから比較的に比率として下がっているというようなことは余り論拠にならぬですよ。それは電話が発達したということであって、郵便が下がったのではないのです。物の量だって前よりもふえているし、家計に占める比率だって変わっちゃいない。ですから、何か郵便の比率が下がることを法定制緩和の理屈づけにするなどということは、そんなことは通らぬですよ。とんでもないことですよ。  ただ、あなたの言われた中で一つだけそうかなと思うのは赤字だからということです。赤字だったら国会で審議して決めなくていいんですか、どうなんです。
  202. 魚津茂晴

    魚津政府委員 赤字という理由で、たとえば御提案しております、国会の審議から、郵政審議会の議を経て郵政大臣が決めるという方式は、そのことだけで許されることではないと思います。
  203. 村上弘

    ○村上(弘)委員 私が先ほど言ったことについて、あなた、否定できないのですよ。結局残った主要な理由は、赤字が累積しておる、適時適切に何とかしたいということでしょう。それで国会にかけておったら手間がかかる、だから手間がかからぬようにしたい、そういうことじゃないのですか。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)
  204. 魚津茂晴

    魚津政府委員 赤字という理由でそのような立法政策ということを私たち考えていないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、国による独占程度それからその郵便の持つコミュニケーションの全体での実質的なウェート、そういったものとか、当該事業が提供する給付を利用することの国民生活上の必要性の限度、こういったものを総合的に考えて御提案を申し上げている次第でございます。
  205. 村上弘

    ○村上(弘)委員 相対的な関係というのはそれこそ相対的なものであって、独占事業であって他に競争手段がなくて、選択の自由がなくて国民生活に与える料金影響は大きいのだ、国民にかわって何がチェックするのか、それは国会の審議なんだ、こういうことになっておるのでしょう。そのことをあなたもいまの答弁の中で認めてきたはずだ。そうすると、それをも外す理由とは一体何かということになれば、同僚議員がそのとおりですと言っておりますが、それはもっと手っ取り早く値上げができるようにしたい、国会の審議にかけておったら間に合わぬ、こういうことじゃないのですか。しかし、それにかわるチェック手段もあるということもいままで言うておりますが、どんな手段があるのですか。
  206. 魚津茂晴

    魚津政府委員 赤字、そのことだけの理由で今度御提案しているものではないことは先ほど来答弁をさせていただいているとおりでございます。  それで、今度御提案申し上げている仕組みの中におけるチェック機能という意味では、抽象的に申しますと厳しい条件がついている、チェック機能を果たすわけでございまして、一つは累積欠損金の存する期間中に限ってということ、それから単年度赤字が出るということ、そして上げ幅として、これは政令等で具体的に定めることになっているわけでございますが、物価等変動率という客観的合理的な数値の範囲内でということを条件として設けた上に、郵政審議会の議を経てというその料金決定の仕組みあるいは決定のプロセスというものが、厳しいチェック機能の役割りを果たすというふうに理解をしているわけでございます。
  207. 村上弘

    ○村上(弘)委員 先日の十六日に郵政大臣がここで答弁したときには、その機能がいままでの国会で審議をして決めるということとほぼ同等であるということを言われたのですが、これはほぼ同等ですか。
  208. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほどいろいろ御意見ございましたけれども、いまのは最後に答えますが、従来一種、二種の料金法律で歴史的にも決められているわけですね。今度御提案したのは、この基本は残っているわけなんです。こういう特例を当分の間お認めをいただきたい、こういうことでございますので、特例の制限をこういうもので特例をお認めいただきたい、こういう提案になるわけなんです。だから、原則論を全部外してやるという意思は全くないというのが第一点ですね。  それから、いろいろこういう御審議をいただいておりますと、問題になる点は、収支の決算がどうなるかという問題とか毎年の決算はどういう状況であるかとか、あるいは値上げの幅につきましては今度はどういう考え方値上げの幅を決めているのかとか、こういう重要な事項は全部制限事項として入れて御提案いたしておりますので、私は全く同じとは言いません、いろいろここで御審議いただくのと全く同じとは言いませんけれども、大体いろいろ御議論の出るような点はこの提案趣旨の中へ入っておりますから、おおむねという言葉を使わせていただいたわけでございます。
  209. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いまの大臣答弁では、独占事業であるということやそれが排他的で選択の自由がないというようなこと、その精神、そこから出ておる国民生活への諸影響、このことについてはその原則は変わってないのだ、当分の間なんだ、その原則は復活するし、これから潜在にしていこうということのようですが、なぜ当分の間はそうするのかということと、それからチェック機能について、全く同じではないがまあしかし厳重にやっていますという話ですね。物価変動率の枠内だとかあるいは単年度赤字が出た場合だとかあるいは郵政審議会にかけるとか、こういうことはいままでだってそう変わっちゃいないですよ。何も新しく強化される部分でもないと思いますね。いままで値上げするときだってこの程度のことはあったのですよ。ですからどう強化されたかということが依然としてわからない。  それから、全く同じでないという場合、どこが同じでないのか。
  210. 山内一郎

    山内国務大臣 最初ちょっと簡単に申し上げましたけれども郵政審議会とか公共企業体の基本問題会議、こういうことでいろいろと料金決定について御提案があるわけですね。大体内容を御存じだと思いますけれども郵便事業の健全な経営を図るためには、役務の提供に必要とされる費用が料金によって適時適切に確保されなければならない。」赤字が出そうになった、あるいは赤字が出たときには適切にカバーできるようにしなければいけない、それが第一点でございます。それから「郵便物料金額を法律で定める現行の料金決定方法の下では、弾力的な料金改定が困難であり、一時にかつ大幅な改定となることが避けられない。」これは郵政審議会提案です。そういう点で、今度いろいろ御提案をいたしておりますが、それは全く同じでないというのは一つの表現でございまして、いろいろここで議決をされないで決まるということは私は全く同じでない、こう言っておるわけでございます。
  211. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ですから郵政審議会の答申が適時適切で、全く同じでないという一番の違いは、国会で審議して決めるということを外すということだということですね。しかも、いままでのやりとりの中で非常に明白になってきたのは、累積赤字がそういう問題になってきておる最大の理由だということになると思うのですね。そういう点では、潜在的にそれがあると言っても、そういう問題が現に生まれてきておるならば、そういうことをこそ国会で審議して決めなくちゃならぬと私は思うのですよ。先ほど藤原議員の要望で資料も出されましたけれども、きわめてずさんで、科学的でもないし、もちろん一部分の問題でありますということで出されているわけですけれども、全く審議にたえないようなものだと思うのですよ。こういう非常に根拠があいまいで、しかも「当分の間」という間がどういうふうに対処されるのかということについてもきわめてあいまいもことしたような状態で、しかも最も重要な郵便法成立以来のいわば一番の生命ともいうべき法定制、国会で審議をして決めていくということが当分の間外される、自由になる。これも十年たったらもとへ戻るかどうかわからぬです。さきの資料から言えば何の保証もないです。こういうような状態になっておるのですが、こうなるのは、やはり郵便事業の財政なりあるいは事業全体に対する計画と…いますか、こういうものがきわめてずさんだからそうなる。今後の再建計画なら再建計画をはっきり持って、そしてこうすれば必ずこうなるというようなことについて皆さんが出して、それをここで審議をする。いまこそそれが必要なときじゃないか。そういうような問題が起これば起こるほど国会での審議というものが重要になるのじゃないですか。どうでしょう。
  212. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いま先生のおっしゃった観点から申し上げまして、この法案といわば一緒に付議をするというような計画は持ち合わせてないことは事実でございます。ただ、私どもといたしまして、収入をより大きく確保する、そして支出をできるだけ抑制するという姿勢は何回となくここで披瀝をさせていただきましたし、それは単なる言葉だけでなくて具体的な裏打ちのある施策もここで御披露させていただいているわけでございまして、そういったことと、それから、私どもといたしますと、法定緩和というその中でむしろいままで以上の厳しい経営姿勢というものが問われているという気持ちで今後さらに引き締めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  213. 村上弘

    ○村上(弘)委員 郵務局長はいままで以上に厳しい姿勢でいきたいのだと言っていますが、本当に厳しい姿勢でおるなら国会で審議するのが一番厳しい姿勢なのですよ、そうであればあるほど。これだけ膨大な赤字を累積してきて、赤字ができた責任は国民にないです、郵政省であり政府ですから。しかも、これは物価が上がるからというのは天然現象じゃないです、政府の施策の結果ですから。外国で油が上がったからだ、そんなことだけでも通りませんね。ですから、財政政策や経済政策を全般的に見直さなくてはならないし、その中での郵政事業の問題も見なくてはならないし、そこでなぜ赤字が生まれるのか、どうすべきかということも明らかにしなければならぬ。そういう観点に立った責任の持てる財政計画なり再建計画なり立てるべきだと思うのです。そういうことをやるのが一番厳しい姿勢なのですよ。郵政事業が始まって百年来のいわば郵政人としてのバックボーンであったはずの郵政事業の一番の特徴というものを、その性格というものをみずから掘り崩すようなことをやっている。皆さんは確信を持った答弁一つもできないと思う。こんなことをやることは許せぬと私は思うのです。以上のことを意見として述べておきたいと思うのです。  次に、そういうような郵政事業の中で、職場に大変な荒廃がある。国民の信頼は必ずしもよくないし、ある地域では非常に低下してきています。大臣は所信表明のときに、人件費赤字の問題などもあるわけですが、事業の効率的運営だとか、秩序のある職場規律の確立だとか、業務の正常な運営、綱紀の厳格な保持、行政の厳正中立な執行、そして国民の信頼の確保というようなことを述べられたわけですが、ことしの五月十九日に朝の七時半にNHKの「ニュースワイド近畿」で住之江郵便局の遅配や誤配問題について放映がされましたが、御存じですか。
  214. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私はそれは直接は見ませんでしたが、そういった問題が放送されたということは承知いたしております。
  215. 村上弘

    ○村上(弘)委員 これは住吉区の福島さんという社会保険労務士の方がNHKに投書をしたのですね。遅配、誤配で迷惑をこうむっているというような問題です。それに対して近畿郵政局の郵務部業務課長上平という人が、当時の役職ですが、テレビで、遅配は申しわけない、郵便局の移転という問題もあったが、それとは直接関係はない、業務がうまくいってないのは業務の管理の仕方に問題がある、要員は現在の人員で対応できる、局舎のスペースは現在のもので間に合う、こういうふうなことを言っておるのですが、しかし、こういう苦情というものが社会問題になり、そしてテレビで取り上げられるというところになっているわけですね。しかもこれは決して住之江の郵便局だけの問題じゃないのです。各地でそういう問題が出ているのですね。たとえば、私は今月の二十日にそこの方から聞いたのですが、寝屋川の郵便局ですね、ここではもう苦情電話が鳴りっ放しだ、電話をおろしたらもうすぐリリーンと鳴るというような状態だというのですね。大体二日ぐらいはおくれるのが平常化している。ですから、火曜日か水曜日に何かの催し物をやりたいということで出して、その前の週の土曜日か日曜日に着くことを期待して出しても大体月曜日に着く。そうするともう催し物自身が成り立たないわけですね。集会がパアになる、郵便料金もパアになるわけです。こういうふうなことがたくさん起こっておるのですが、なぜこういうことが起こるのでしょうか。
  216. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども住之江の局と寝屋川局の業務運行の実態というものをこういうふうに把握をいたしております。  まず遅配に対する利用者からの照会とか苦情のことでございますが、日に三ないし五件程度寄せられているというふうにまず承知をしております。それじゃなぜそういう苦情の出るような業務運行になっているのだという原因についての理解でございますが、私どもといたしましても、局舎、集配施設、要員等の面は必要な水準を満たしていると認められ、この面に業務運行の乱れの原因があるとは考えておりません。申し上げるまでもないことでございますが、郵便仕事は人手が非常にかかる仕事でございまして、まさに集配部門になりますととりわけ人で動いているというような性格のもので、業務が正常に運行するかどうかはそれぞれの職場で職員が気持ちよく積極的に働いているかどうかということがポイントになってくるというふうに考える次第でございます。  人間関係がうまくいかなくなると具体的なトラブルが発生する場合もございますし、総体的な士気の沈滞としてあらわれる場合もありますが、いずれも職場の機能の低下を来し、業務運行の悪化をもたらすことになります。住之江局の業務運行の乱れも職員相互間の人間関係がうまくいっていないことか主因であると考えられます。したがいまして、業務運行の抜本的改善のためには人間関係の改善が基本であり、時日もかかり一むずかしいことではございますが、改善のためのじみちな努力を続けておるところでございまして、今後とも、一日も早く業務の正常な運行が確保できるよう、私どもともども努力を続けてまいりたい、かように思う次第でございます。
  217. 村上弘

    ○村上(弘)委員 人手が十分でないということもある、であればあるほど人の和ということは大事になる、言われるとおりだと思うのです。その人の和がうまくいかないという状況の中に、全く仕事をしない職員がいる。それから、自分がしないだけじゃない、ほかの職員もおちおち仕事ができないような状態にする職員がいるのですね。また、そういう状態を当局が公認しているのです。部落解放研究会という組織、いわゆる解放研というのがありますね。そのメンバーがそれなんです。私たちは、部落差別はもとより、どんな差別もあってはいかぬと思う。しかし実態はどうなっておるか。これは後で述べますが、この解放研のあるところはいま言ったような状況があります。近畿郵政局管内で解放研のそういう組織があるのはどこどこでしょう。幾らぐらいありますか。
  218. 奥田量三

    ○奥田政府委員 個別の局名についての資料をただいま持ち合わせておりませんが、近畿管内、主として大阪府、京都府、兵庫県におきまして四十の組織があるというふうに報告を受けております。
  219. 村上弘

    ○村上(弘)委員 その中で、大阪で二十七、大阪の普通局の半分近くに解放研の組織があるわけですね。そして、東郵便局のある人なんかは、解放研の出張や勤務解除があるので仕事が一向に楽にならぬということを言っていますが、この勤務解除というものが大変な状況で行われておるのです。これはどういうことかといいますと、たとえば此花局では、解放研の仕事をやるメンバーに勤務を解除しているのですが、九月中に時間数にして七十四時間、これは郵便課の人延べ十七名、集配課の場合は百八時間、延べ四十六名ですよ。ただでさえ人が少ないのですが、その中で、これは仕事しなくていいことになっているのです。これは大変なものだと思うのです。  この勤務解除の実際の状況というものは、いまの此花区の場合のあるメンバーを見ますと、此花の郵便課の萩原豊治という職員、これは解放研のメンバーですが、九月一日から十月十六日までの四十六日間にまるっきり仕事をしない日が七日間ありますね。ほぼしない日が二日ある。半日だけというのが三日ある。こういう状況ですよ。ほとんど仕事してないです。それから大阪中郵の場合、福原という解放研の会長は、数年間仕事をしてないです。住之江の解放研の会長も、毎日担務を外れて、出勤簿はかため押しか代理押しで、この二年くらい仕事をしていない。ここでは、副会長や事務局の北村という人も、ここ一年くらい仕事をしていない。わずかな人数の中でこういう状況があるわけです。こうした勤務解除というのは大阪でどのくらい行われておるのか。時間だとか延べ人員にしてどうなりますか。
  220. 奥田量三

    ○奥田政府委員 近畿郵政局管内あるいは大阪市内におけるすべての状況につきましては資料を持ち合わせておりません。先ほど先生が御引用になりました此花郵便局について申しますと、私どもの報告を受けております数字では、本年の一月から九月の間に延べ六十三名の人間が七十二時間の勤務解除を受けているという報告を受けております。そのほかにつきましては、二、三の郵便局についての報告をただいま持っているだけでございます。(村上(弘)委員「それを言ってください」と呼ぶ)ただいま承知しておりますところでは、寝屋川郵便局、同じく本年の一月-九月の間でございますが、延べ八十四名の職員が百七時間、大阪中央郵便局におきましては延べ四百二十六名の職員が千七百三十九時間、そのほか、住之江郵便局におきまして延べ五百九十六名の職員が二千七百四十時間勤務の解除を受けている、かような報告を受けております。
  221. 村上弘

    ○村上(弘)委員 これはもう大変なものですね。大阪中郵四百二十六人、千七百三十九時間、まるまる休んだ日で勘定したら二百四十日ですよ。住之江は五百九十六人、二十七百四十時間です。もう苦情電話が鳴りっぱなしになるのはあたりまえですよね。こういう状況があるのです。  いま三つ四つの局の状況だけですが、普通局の半分近くには解放研があるのです。ですから、全部についての調査をやって、ここにその資料を出してもらいたいと思いますが、どうですか。
  222. 奥田量三

    ○奥田政府委員 かなり大きな調査になろうかと思いますので、検討いたしました上、御報告を申し上げます。
  223. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いや、そうじゃないですよ、大きいか小さいかじゃないですよ。調査をするのかせぬのか、そして資料を出すか出さぬか、はっきり言ってください。
  224. 奥田量三

    ○奥田政府委員 現地に照会いたしました上、必要な御報告をいたしたいと思います。
  225. 村上弘

    ○村上弘委員 大臣、こんなことで職務が厳正にやれると思いますか、こんな状況について、あんな姿勢で。  私はその実態をちょっと述べてみたいと思うのですが、大阪では、各局の新任の管理者は、初会見ということで、就任したら解放研のメンバーの前で質問を受けることになっている。この間大阪中郵で初会見をやったのです。そして、あなたは竹本君事件を知っていますかと、こういう質問をされるのです。あるいは同和問題で職員から相談があったらどうするかと、こう聞かれるのです。それで、よく知りませんと言ったら、もうこれは差別だ。それから、相談を受けるかと言われて自信がないと言ったら、これはまた差別なんです。糾弾会が始まる。この質問会というのが糾弾会の最初の関門なんです。大体やり方の共通しておるのはこういうやり方ですね。それからもう一つは、便所だとかいろいろなところに落書きが発見されるのです、不思議に。そして、その第一発見者が解放研のメンバーであることが多いということも共通しているのです。そして、こういうことがあるのは不届きであるということで、研修会が始まり、糾弾会が始まるのです。そして、こういう例もありますね。出勤簿に事務官と事務員という官名がついておる。これは差別であるということになるのです。そして、近畿郵政局が官名を外すようにという通達まで出していますね。これは差別なんですかね。われわれは、やたらに学歴だとか官職だとかいうものでその職務以上にいろいろのことをやる必要はないと思いますけれども、そういうことにまでなってきているのです。  そして、一たん差別だということになると、差別であるかどうかは解放研が決めるのですが、糾弾会が始まることになるわけです。糾弾会はどんなことになるかというと、これは何百人かでやるんですよ。ことしの三月七日に住之江局は糾弾会をやっていますが、部落解放同盟住之江支部百人、連合解放研百三十人、全逓五十一人、全郵政百一人、総計三百八十二名参加、しかも解放研自身の総括文書でも、解同ペースになった、こういうふうに総括しています。  昨年夏の寝屋川局で行われた糾弾会では解同府連、寝屋川支部、その他多数出席して、そこで糾弾される側の一人は、進行途中突然灰ざらが投げつけられた。そして、投げつけておいた者が何と言っているかというと、ええな、いまのはおまえの手がふるえて落ちたんやな、確認するな、こういうことを言っているんですよ。その人は殺されるかと思ったというふうに人は聞いているわけです。そして、この糾弾会は夜中の一時、二時までやる。帰るときには管理者が名刺を渡すのです。今度その名刺を持ってきた者にはタクシー代を払う。ポケットマネーでやるときもあるそうです。末端職制は大変気の毒な状況です。こういう状態が起こっているのです。  大阪中郵第四普通郵便課では、たとえば十月十七日の、さきの分でいきますと、午前九時から十一時までの同和問題研修会のお知らせが当局によって掲示板に張り出されるのです。そして日勤者二十数名中十八名の氏名が出され、あなたは出さないというようなことになる。  ある職場の労働者はこのような状況を見て、こんなことを放置すれば本当に職場が荒廃しかねない、本当に暗い職場だ。郵政大臣はこの間中郵に行って、なかなかようがんばっているという話をしていますが、こういうことを聞きましたか。
  226. 山内一郎

    山内国務大臣 就任後、東京、大阪それから金沢の郵便局を視察をして、働いている職員の方の激励をしてまいりましたけれども、非常にまじめに働いておられまして、大いにこの状態を続けていただきたいというふうに感じてきたわけでございます。
  227. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そういうことですから、実態がわかってないということになるんですね。ですから、調査は必ずやってもらいたい。  この問題で非常に大事なことは、差別でないものまで差別者扱いをするというところに一番深刻な問題があるのです。悪いものは悪いように適切に直したらいいのです。  皆さんも御承知でしょうけれども、あの矢田事件というのがある。これは裁判にかかりまして去年の十月三十日に地裁で判決が出ています。これは差別でないものを差別として扱うことがどういうことになるかという問題についてもきわめて示唆のある判決文が出ていますので、ちょっと参考までに読んでみたいと思うのです。  同和問題の解決を進めるについては、さまざまな意見や理論的対立の存在することが考えられるが、特定の思想なり運動方針に固執する者が右のような差別文書 これは教員組合の役員選挙のために出したはがきの中の文字が差別であるということから事が始まっているのですが、  右のような差別文書の定義を採用するときは、 これを差別文書だと言ったということはですね、容易に反対の意見を封ずる手段として利用され、同和教育の推進あるいは同和問題の解決に対する自由な批判、討論が不活発となり、右問題に対する開かれた、自由な雰囲気がなくなつて、ついには、一定の考えや思想が独善に落ち込み、反対の理論ないし思想の存在、更には、その考えや思想に同調する人々の存在をも許さないという結果に陥ることになる これが判決文なんです。そして、これは不当な差別であると訴えた人が裁判で勝利しているわけですが、当然のことだと思うのです。  あなたは竹本事件知っていますかと、よく知らなかったらそれが差別になったり、こういう問題について相談を受けたらどうだ、まだ自信がないと言ったらそれも差別だというようなことは、これは余りにも行き過ぎじゃないのか。ですから末端の職制が一番苦境に陥っているのです。もちろん職場の中も大変です。こういう状態になっておるわけです。  かつて部落解放同盟が暴力を使って公然と不公正な同和行政を押しつけようとしていた時期がありました。その頂点が八鹿高校事件で、私も当時予算委員会で取り上げたことがありますが、こういうような問題は社会の批判を受け、また関係当局も努力して、この部落解放同盟の横暴なやり方、窓口一本化などについてはどんどん打破されて、いま窓口一本化が残っているのは全国で七県になってきているのです。しかし、郵政省郵便局などの現場にあるこういう事態というものはまだ潜在していっているのです。大臣は、皆一生懸命やっておった――こういう状況ですから、わかっちゃいないのですよ。むしろ潜行しているのです。五年前に、この委員会で同僚の東中議員が大阪中郵の問題を取り上げたことがあるのです。その後、事態が変わっていないどころか、むしろ進行して  いっているのです。   こういう状態があるわけですが、なぜ大阪がそうなのか。大阪だけが郵政関係の現場が特別に差別体質が強いからこうなるのですか、大臣
  228. 山内一郎

    山内国務大臣 私、まだ実態がよくわかりませ  んが、いろいろとお話がございましたので、ひとつ調査をさせていただきたいと考えております。
  229. 村上弘

    ○村上(弘)委員 それはぜひやってほしいと思いますね。  そして、もう一つ私申し上げたいのは、人の問題だけじゃなしに国民の財産が浪費されているという問題です。赤字赤字ということが盛んに言われるわけですが、私、びっくりしますね。さっきの大阪の住之江局では、郵政省の報告によりますと、事務室、掲示板、机、いす、戸だな、謄写版、これを解放研の事務所に提供するということになっておるわけです。なっておるのですが、実際には、ここに解放研の内部文書もあるのですけれども、これちょっと大臣、見てください。  これはことしの二月二十七日付の「二・二五第二回局交渉報告」です。新しい局舎への移行に伴う解放研の要求と当局の回答が書いてある。左側に事務所関係備品要求、二ページ目に解放研の要求として「机六コ、イス付 図書保管箱、対の物一上下一二コ、ガラス箱二コ ロッカー二コ 書類整理箱(十二コ入)二コ 輪転機一台付) ソファー机付 カベ時計 本立一回転式一三コ ロッカー(大) スタンド二コ」などと書いてある。そして右側に当局の回答が上から下まで全部「O・K」になっているのですよ。おまけに「ソファー机付」の当局の回答には「集配用の黒いソファー 新品」などと説明書きがしてある。このように郵政省の報告よりもさらにエスカレートしている。大阪府下二十八の解放研のすべてでこのようなことが行われておるのです。これらの費用は当然郵便利用者である国民が全部負担しているわけです。  大臣はこの間の当委員会での同僚議員への答弁で、値上げをしていてあんなことをしているなどと言われることが絶対にないようにしたい、こう言っているわけですが、いま値上げもやり、しかも国会で審議して決めるというバックボーンまで取ってしまおうということまでやろうとしておるときに、一方ではこういうことがあるのです。これは国民の信頼につながるものでしょうか。私は、これは余りにもひどいのじゃないかと思いますが、大臣の所信との関係からいって、どう思われますか。
  230. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろとお話がございましたので、交渉報告ですか、これも見せていただきましたので、よく調査をしたいと思います。
  231. 村上弘

    ○村上(弘)委員 特にここで問題になるのは勤務解除ということです。何を根拠にやっておるのか、これはきわめてあいまいもことしたものです。まあそれなりに、言えば理屈を言うのでしょうが、これは本当にひどい。ですから、実態を調べると同時に、この勤務解除というものについて、これは何の実際の基準もない、それは労働組合の幹部だってちゃんと協約を結んでやっているわけでしょう。こういう事態に対して、勤務解除というものについて当然調査の上、見直しもやるべきじゃないか。私は、この問題はすぐ終わる問題じゃないと思いますよ。また、大阪という一地域の問題と見てはいかぬと思います。郵政省姿勢の問題にもなってくると思うのですね。しかも、私が本当に胸が痛いのは、第一線の職制が一番えらい目をしているのです。東郵便局ではかつて二人の自殺者があったでしょう。ですから、人の問題を言い、赤字の問題を言うのであるならば、もっとこういうことに対して真剣になるべきじゃないか。そういう点では、勤務解除の見直しのことも含めて真剣に当たるかどうかということを もう一度大臣にお聞きしたいと思います。
  232. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろとお話ございましたので、よく調査をさせていただきたいと思います。
  233. 村上弘

    ○村上(弘)委員 勤務解除の見直しもやりますか。
  234. 山内一郎

    山内国務大臣 まず調査をさせていただきたいと思います。
  235. 村上弘

    ○村上(弘)委員 調査の上、勤務解除の実態に対するそのやり方について、ぜひ見直しをしていただきたいと思います。  最後に、第三種の問題について少しお聞きしたいと思います。  今回の一種、二種の料金値上げ、これは大変なものです。それから、それの法定制緩和する、緩和という名の当面の自由化、これは復活するかどうかわからぬのです。さきの試算を見ましても、この十年間に今回を含めたら四回上げることになっていますから一まことにこれは大変な事態だと思うのです。そういうことが、昭和四十六年度にすでに一足早く自由化された第三種郵便物値上げに加速的役割りを果たすということは明白だと思うのです。ですから、この第三種郵便物に大きく依存している三種認可団体は非常に深刻な状態に置かれておるわけです。  私は、大阪で三種を認可されている団体など約八十団体に対してアンケートを行ってみました。また、・七団体には私どもが直接会っていろいろ聞きました。一様に言っておることは、当然経費がふえる、そのために新聞だとか機関紙などの頒布活動が狭められるということが言われています。単に負担がふえる、しかし頒布が維持できるという状況じゃないのですね。これは当然産業、文化、そういうものに非常に大きな影響を及ぼしてくるだろうと思うわけです。障害者の組織である障害者(児)を守る全大阪連絡協議会、障連協と言っていますが、ここでは年間郵送料が今度の三種値上げで二十万円になる。年間経費が全部で八十万円だそうですから全経費の一割以上を三種郵便料金にかけなければならぬ。それから、先ほど言いました聾唖者の方々の組織大阪の聾唖者の協会、ここでは今度の三種値上げによって毎月一万三千円の負担がふえる、こういう状況になるわけです。こういう第三種に大きく依存している団体の状態に対して当局はどう考えておるか、このままやるつもりかどうか、聞いておきたいと思います。
  236. 魚津茂晴

    魚津政府委員 郵政省といたしましては、現在の第三種郵便物料金は安きに失しているという理解をまずしているわけでございます。したがいまして、今度の料金改正の際に、三種郵便物を利用される方々にも適正な負担をお願いしようという気持ちでいるわけでございます。
  237. 村上弘

    ○村上(弘)委員 採算の面から安きに失するということは言えるのかもしれませんけれども、利用する側から言ったら、先ほど言ったような状態です。ですから、私は今度の法改正、一種、二種の値上げの問題にしても、あるいは法定制緩和の問題にしても、またもしそれがそうなったとすればますます三種値上げのテンポも早くなるであろうというようなことからも考えて、今度の改正案にはもう全部反対でありますけれども、第三種値上げ幅などの問題については、ちょっと度が大きいのではないか、この点について再検討するつもりはないかどうか、大臣答弁を聞いて終わりたいと思います。
  238. 山内一郎

    山内国務大臣 先般も第三種値上げの問題について特に御質問がございまして、いろいろ影響があるという御意見もございますし、また陳情も三種だけがたくさん参っておりますので、郵政審議会に検討していただくときに、そういう意向は伝えてまいりたいと考えております。
  239. 村上弘

    ○村上(弘)委員 終わります。
  240. 佐藤守良

    佐藤委員長 村上弘君の質疑は終わりました。  次回は、明二十四日金曜日午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会