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阿部(未)
委員 次に、グリーンカードの問題については大蔵との間で
意見の調整が終わっておるようでございますからその
内容には触れませんけれ
ども、
大臣、これは聞いておいていただきたいのでございますが、このグリーンカード制度というのは、そもそも税金を取る、いわゆる脱税を防ぐための一つの手だてだと私は
理解をするわけでございます。なるほど、
郵便貯金なり銀行の預金を
利用して脱税をするということはこれ自体きわめて不都合なことですけれ
ども、脱税をたくさんするほどの財産を持っておる人間がそうたくさんおるはずはないと私は思うのです。私
どもの知っておる
郵便貯金の分野においても、それはごく限られた一部の方たちだろうと思います。
そこで、国家財政が厳しいから何とかして少しでも税金を取らなければならないと言うし、
国民として税金を納めるのはこれまた当然の義務ですけれ
ども、一体
郵便貯金が発足して以来、特に終戦後貯金をされた方々が貯金をしておってもうかったのでしょうか。
郵便貯金にうたわれておる財産が安全に守られたのでしょうか。およそ消費者物価の上昇と貯金の利子とを比較してみると、いつの場合にも貯金の利子の方が低いのです、物価の上昇の方が高いのです。消費者物価よりも低い水準でしか貯金の利子は支払われていなかった。明らかに貯金は目減りをしております。それはこの三十数年の間に一年か二年ぐらいは消費者物価の方が下回ったことがあるかもわかりませんけれ
ども、しかし、ほとんどの年次において
郵便貯金の金利は消費者物価の上昇に及ばなかったわけです。ですから、大変な犠牲を払って、しかしほかに手段がないから、病気をしたときにどうしようか、子供を学校にやるためにどうしようかと思うからこそ、この貯金という手段にすがってきたわけでしょう。
国民はこの三十数年間、この貯金をするために実際には大変な犠牲を払ってきておる。だれか、貯金の利子の払い方が少ないといって訴訟を起こしたのがありましたね。負けたようでございますけれ
ども、そういう長年にわたって零細な庶民がほかに手段がないから貯金に頼ってきて、しかも――国の政策の上でこれは悪かった、よかったは言いません、いわゆる物価が上昇していったために犠牲をこうむってきた。それに対して何の補償をしてやっただろうか。何の補償もしてやっておりません。しかるに、いまごく一部の人間がこれを
利用して脱税をしておるなんとかいうことで、それでこのグリーンカード制度などというものを設けて、私はこれが角をためて牛を殺す結果にならなければいいがということを非常に心配をしておりますし、またこれはきわめて繁雑な手続であるということは間違いございません。
郵政省等でもいろいろお考えになるでしょうが、あの子供たちが学校でする預金一つにしても、厳格に言えばグリーンカードを持っていかなければ預金ができなくなるのです。わずかな不心得者がおるからといって、こんな繁雑な手数を
国民の負担に押しつけるということは私はきわめて不満ですけれ
ども、せっかく話し合いがついたようですから、しかし、運用をしてみて悪いところは早く改めてもらわなければならない。
一体グリーンカードを紛失したらどうなるのだろうか。気の小さい人はグリーンカードのために夜も寝られないかもわかりません。それほどこれは繁雑な手数を要するものであるし、しかも明らかなように、
郵便貯金は「一の預金者」という
規定がある限り、たとえば贈与とかいう問題は別にして「一の預金者」という
規定がある限り、ちっちゃい子供までみんな預金はできるのです。そのちっちゃい子供の名義でする預金にもグリーンカードは要るはずなんです。これは大変なことだと思うのですけれ
ども、せっかく大蔵との間で話が煮詰まったようですからそのことについては触れませんが、これはひとつ心をしていただきたい。特に、長年にわたってほかに手段がないから貯金をして、国はそのお金を使って財政の
運営で大変楽をしておる、そして一部の方々はそのお金で投資をして莫大な土地を買い占めたり、ビルを建てたりあるいはマンションを建てたりして、お金が目減りをしないどころか何十倍にもなって返ってくる。常に犠牲をこうむっておるのは零細なお金を預金してきた庶民大衆であったということを忘れないでもらいたいということでございます。そこにもってきて大蔵省が一部の不心得者をたしなめるためにグリーンカードなんという制度を押しつけて
国民全体に大変な負担をさせる。もっとほかに私は税金を取る
方法はあっただろうと思うのですが、知恵の一番ある大蔵省ですが、そのことは特に
大臣に心しておいてもらいたいと思います。
次に、先ほどこれも
畑委員から質問の出ました貯金の限度額の問題ですが、これは、先ほど私が冒頭議論した、閣内の
意見の不統一があるようでございますけれ
ども、今日の社会情勢の中で、ちょっと物価指数を調べてみましたが、
昭和四十八年にいまの総額
制限を設けてから今日までの物価の指数あるいは個人の所得の伸び、おおむね指数では一九〇台に上っておるようでございます。したがって貯金の限度額が――片方でグリーンカードをつくるのですから、片方ではもっと要求に応じたものをつくってやらなければならない。その意味で私は、今日の物価指数から考えて五百万という限度は適正であろうし、また、特に老後のみずからを守る制度としての
大臣の言われる
シルバー貯金、こういうものは私はきわめて時宜を得た
施策だと考えておるわけですが、大変先走って恐縮ですけれ
ども、
大臣、大蔵省から押されがちでございませんか、どうでございますか。