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1980-10-15 第93回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年九月二十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       渡海元三郎君    羽田野忠文君       長谷川四郎君    早川  崇君       吹田  愰君    福永 健司君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十五年十月十五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       羽田野忠文君    早川  崇君       原田昇左右君    吹田  愰君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       米田 東吾君    竹内 勝彦君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         文部省大学局長 宮地 貫一君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         外務省経済局国         際機関第一課長 池田 右二君         大蔵省主計局主         計官      篠沢 恭助君         大蔵省主計局主         計官      伊藤 博行君         大蔵省理財局資         金第一課長   亀井 敬之君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小澤 春雄君         日本電信電話公         社総務理事   小川  晃君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社保全局長   菊地信一郎君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   福永 健司君     原田昇左右君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     福永 健司君     ――――――――――――― 九月二十九日  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第九十二回国会閣法第二号)  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  日本放送協会昭和五十三年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書 十月十四日  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第九十二回国会閣法第二号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項について、本会期中、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係方面からの説明聴取及び資料要求等方法により国政調査を行うこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郵政大臣山内一郎君。
  5. 山内一郎

    山内国務大臣 逓信委員会皆様には、平素から郵政省所管業務の適切な運営につきまして、格別の御尽力をいただき、厚くお礼を申し上げます。  私は、就任以来約三カ月を経た今日、郵政行政国民日常生活にきわめて密着したものであることを改めて認識し、かつ責任の重大さを痛感しているところであります。  まず、郵政行政にとっては、何よりも綱紀の厳格な保持と行政の厳正忠実な執行が肝要であり、これが国民の信頼を確保していくゆえんのものであることを銘記して努力してまいりたいと存じております。  今後の郵政行政運営に当りましては、情報手段高度化多様化高齢化社会の急速な到来など、社会経済の進展を見きわめながら、サービス改善向上に努めるとともに、業務合理化効率化をさらに推進し、各種の需要に対応することによって、国民の福祉の増進に寄与してまいりたいと考えております。  なお、郵政事業は、三十一万余の職員を擁し、人手に依存する度合いの高い事業でありますので、業務の円滑な運営を図るために、明るく活力に満ちた職場をつくるとともに、安定した労使関係の確立にもさらに努力してまいる所存であります。  この機会に、当面する主要な問題について申し述べさせていただきます。  まず、郵政事業につきましては、現在、業務運行はおおむね順調でありまして、来るべき年末年始におきましても、年賀郵便物の配達など正常な運行を確保し、国民期待にこたえたいと存じます。  さて、現在、郵便事業の緊急の課題として郵便法等の一部を改正する法律案国会に提出しており、当委員会の御審議をいただく運びとなっているところでありますが、仲裁裁定早期実施を図るためにも、本法律案の速やかな成立を必要とするものでありますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。  次に、為替貯金事業につきましては、今後とも国民の健全な資産の形成に積極的に寄与していく所存でありますが、そのための施策として郵便貯金一般総額制限額及び貸付限度額の引き上げ並びに高年層郵便貯金について別枠を設けるいわゆるシルバー貯金実現等努力したいと考えております。  なお、郵便貯金限度額管理につきましては、郵政省責任において従来からその遵守に努めてきたところでありますが、今後とも一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。  次に、簡易保険郵便年金事業につきましては、今後とも簡易保険普及に努めるとともに、郵便年金につきましては、来るべき高齢化社会において国民がゆとりある老後生活を送るために、各人の自助努力を促して実らせる施策として、改善充実を図りたいと考えておりますので、一層の御理解と御協力お願いをいたします。  次に、電気通信行政につきましては、過般の通常国会において成立をいたしました郵政省設置法の一部を改正する法律に基づき、去る七月一日新たに電気通信政策局が発足いたしましたが、これを機会に、ますます多様化が進む国民電気通信需要に対処し、電気通信行政の一層の充実に努めてまいる所存であります。  また、国際電信電話株式会社運営の適正を図るため、今国会関係法律案を提出いたしましたので、よろしくお願いを申し上げます。  最後に、電波放送行政につきましては、宇宙通信テレビジョン音声多重放送など、多様化高度化する国民情報需要動向国際的動向とに即応するとともに、今後もさらに増大する利用に対処し、適時適切な電波行政を推進してまいる所存であります。  また、放送大学学園につきましては、文部省とともにその実現努力してまいりましたが、今国会におきましても、関係法律案を提出いたしましたので、よろしくお願いを申し上げます。  以上、簡単に当面の主要問題について申し述べましたが、郵政省所管業務の円滑な運営のため、委員各位の御支援、御協力を切にお願いを申し上げる次第であります。
  6. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて大臣発言は終わりました。      ――――◇―――――
  7. 佐藤守良

    佐藤委員長 郵便法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  提案理由説明を求めます。郵政大臣山内一郎君。     ―――――――――――――  郵便法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  8. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における社会経済情勢動向及び郵便事業運営現状にかんがみ、郵便事業運営に要する財源の確保を図るため、第一種郵便物及び第二種郵便物料金改定を行うほか、第一種郵便物等料金決定について臨時の特例を設けるとともに、利用者に対するサービス改善を図る等のため、郵便法その他関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。  まず、郵便法の一部改正内容について申し上げます。  第一は、郵便料金改定についてであります。  郵便事業財政は、石油危機に端を発した人件費や諸物価の高騰により、昭和四十九年度以来大幅な赤字に転じ、昭和五十一年一月の料金改定によりまして好転いたしましたものの、昭和五十三年度からは、再び赤字を生ずることとなり、昭和五十四年度末における累積欠損金は、二千百二十四億円になりました。このまま推移すれば赤字はますます増大し、事業財政状況は、悪化の一途をたどることとなります。  こうした中で、昨年十月郵政審議会に対し、郵便事業財政改善する方策について諮問いたしましたところ、同審議会から、昭和五十五年度から三年間は新たな赤字が生ずることを防ぐとともに、累積赤字についてもできるだけこれを解消していく措置をとることが必要であるとして、この際、郵便料金改定を行うことはやむを得ないものと判断するとの答申がなされました。  今回の料金改定案は、この答申に示された料金を骨子とするものでありまして、第一種郵便物(封書)につきましては、定形二十五グラムまで五十円を六十円に、定形外五十グラムまで百円を百二十円に改め、また、第二種郵便物通常はがきにつきましては、二十円を四十円に改めることを主な内容といたしております。  なお、第一種郵便物のうち、郵便書簡につきましては五十円に据え置くこととし、第二種郵便物通常はがきにつきましては、昭和五十五年度中は三十円とすることといたしております。  第二は、第一種郵便物等料金決定についての特例についてであります。  郵便料金決定方法のあり方につきましては、かねて郵政審議会等から、現行料金決定方法については、弾力的に対処できる方向での改善が必要であるとの趣旨の御提言をいただいていたところでありますが、その後慎重に検討いたしてまいりました結果、郵便事業財政現状にかんがみ、郵便事業に係る累積欠損金が解消されるまでの間、一定の範囲及び条件のもとで、第一種郵便物及び第二種郵便物料金は、郵政大臣郵政審議会に諮問した上、省令で定めることができるものとする等の規定を設けることといたしたいとするものであります。  第三は、利用者に対するサービス改善を図るため、新たに郵便切手について手数料を徴してこれを他の郵便切手等交換することができることとすること、新たに図画等を印刷した郵便はがきを発行し、一般郵便はがき料金額によらない額で売りさばくことができることとすること、速達小包として差し出すことができる郵便物の大きさ及び重量の制限を緩和することについての改正を行うことといたしております。  以上のほか、郵便に関する料金を滞納した場合の延滞金延滞利率についての規定を設けること等の内容を織り込んでおります。  次に、お年玉つき郵便はがき及び寄付金つき郵便はがき等の発売並びに寄付金処理に関する法律の一部改正内容について申し上げます。  まず、お年玉につきましては、利用者に対するサービス改善を図るため、お年玉として贈る金品の単価の最高限度額現行三万円から五万円に引き上げることとするとともに、お年玉として贈る金品は、簡易郵便局においても引きかえをすることができることといたしております。  また、寄付金につきましては、その配分を受けることができる団体に、文化財の保護を行う団体及び青少年の健全な育成のための社会教育を行う団体を加えることといたしております。  最後に、印紙をもってする歳入金納付に関する法律の一部改正内容について申し上げます。  これは、郵便法の一部改正の中で郵便切手交換を行うことといたしておりますので、これにあわせまして、同様の趣旨から、収入印紙につきましても、他の収入印紙との交換ができるようにしようとするものであります。  以上、この法律案提案理由及び主な内容につきまして御説明申し上げましたが、今後とも郵便送達速度の安定を図ることにより、国民各位期待にこたえるよう懸命の努力を傾ける所存でございます。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  9. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  質疑は、明十六日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  10. 佐藤守良

    佐藤委員長 逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、日本放送協会理事田中武志君を参考人として御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんでしょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  12. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
  13. 畑英次郎

    畑委員 当面する二、三の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、電波行政の分野に入ると思いますが、今日におきましてはFM放送について非常に国民的な関心も高いわけでございますが、これにつきましての最近の郵政当局における取り組み現況あるいはまた全国普及に対します物の考え方につきまして、お答えを願いたいと思うわけでございます。なおまた、テレビジョン等拡充等につきましての考え方を、この際お示しを賜りたいというふうに考えております。部内におきましては、周波数割り当て計画等いろいろ御検討がなされておるわけでございますが、当局側の基本的な考え方を、あわせお答えお願いしたいと思います。
  14. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  まず、民放FM放送についてでございますが、民放FM放送につきましては、中波放送に対します外国混信状況と、あるいは民放FM放送の経営の可能性等周波数割り当てのための諸条件を総合的に勘案いたしまして、県域放送を原則として、できるだけ早く全国普及を図っていくという考え方でございます。  なお、本年六月、金沢、松山及び長崎の三地区周波数割り当てを行ったわけでございますが、これで、これまで放送を行っております東京名古屋大阪及び福岡の四地区のほかに、周波数割り当て済み地区は七地区ということになったわけでございますが、これらの地区に対する免許処理を急ぎまして、一日も早く新しいFM放送が開始されるように措置してまいりたいと考えております。  次に、テレビジョン放送でございますけれども民間テレビジョン放送につきましては、各地域におきます放送番組多様化要望経済力、人口、周波数事情等を総合的に勘案しながら、放送番組多様化に対する国民要望にこたえる、そうしまして、地域間の情報格差の縮小を図るという観点からテレビジョン放送拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。なお、これも本年六月、福島、大阪の二地区につきまして周波数割り当てを行ったところでございますが、これらの周波数割り当て済み地区に対します免許処理を取り急ぎまして、これも一日も早く新たなテレビジョン放送が開始されるよう措置してまいりたいと考えておる次第でございます。
  15. 畑英次郎

    畑委員 最近のテレビジョン放送の関連におきまして、いわゆる音声多重放送というものが非常な人気といいますか、あるいはまた今後における期待といいますか、そういうものが私どもの方にもいろいろな形で入ってくるわけでございますが、これにつきまして、音声多重放送の今日の普及現況についてお答えを賜りたいというように考えるわけでございます。  これにつきましては、一面、普及につきましてもいろいろ問題点が多いというようにも考えておるわけでございまして、先般でございましたか、日本テレビさんのトラブル等もあったやに承知いたしておるわけでございます。さようなものも含めまして、まずこの辺の普及現況をお伺いしまして、後ほどまたお尋ねをしたいと思っております。
  16. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョン音声多重の現在の普及状況ということでございますが、現在、音声多重放送を実施しております放送事業者は、NHK――NHKにつきましては、東京名古屋大阪、京都、神戸、和歌山の六地区から電波が出ております。民放で二十三社あるわけでございますけれども、さらにことしじゅうに放送開始する予定の社というものが五社ございますので、これを含めますと、今年じゅうには三十都道府県で音声多重放送の視聴が可能、こういうふうな状況になります。  また、全国普及の見通しについてでございますけれども、昨年十二月に電電公社音声重用中継回線というものも全国的に整備されたという状況にございますので、今後さらに普及が図られていくというふうに考えておるわけでございます。  補足いたしますと、音声多重放送用受信機普及状況でございますが、受信機にはアダプター型のものと内蔵型のものがございますが、アダプター型が五十万六千台、内蔵型が百七十三万一千台、合わせまして二百二十三万七千台というような数字をつかんでおります。  なお、NHK民放、それぞれの平均放送時間は、週でございますが、NHKの分が、定時に、時間の決まっておるものだけ申し上げますと四時間二十分というような数字が出ております。NHKにはそのほか非定時番組といたしまして、週換算いたしまして五時間四十分程度というふうな統計が出ております。なお、民放三十三社の平均でございますが、十二時間二十四分というような数字が出ております。
  17. 畑英次郎

    畑委員 いまお話がございましたように、普及しております範囲、これはパーセンテージでたしか一割程度でございますか、そういうような実際の現況じゃないかと思います。非常に興味があるといいますか、利用者側聴視者側におきましても期待しておる、そういうことでございますが、今後の利用範囲の拡大につきましてはどういうようなお考えをお持ちになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  18. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御高承のとおり、テレビジョン音声多重を始めます場合、私ども多重放送に関する調査研究会議というものからの提言を踏まえまして、さしむきはマスメディアの集中排除等々の制度上の問題の少ない、補完的利用であるということが非常に明確なステレオホニック放送と翻訳による二カ国語放送に限って認めてまいったわけでございます。こうした二つの限られた利用に適するテレビジョン番組というものを考えてみますと、スポーツ番組とかあるいは音楽番組、ニュース、外国映画という比較的限られたものになるということで、そうした面から、その普及についてある程度限界があるのではないかと考えておるわけでございます。先ほど先生一割程度だろうというようなことでございますが、いま申しましたような事情を勘案しまして、現在の有効かつ能率的な利用を図るということから、テレビジョン放送をより一層多彩と申しますか、魅力のあるものとするためには、この補完的利用範囲内での利用方法拡充、たとえば歌舞伎の解説というようなもの、あるいは災害放送等公共性緊急性のきわめて高い情報というものをテレビジョン音声多重放送を用いて効果的に行う方策等々につきまして関係者意見も聴取いたしまして、できるだけ早く具体的な成案を得たい、よってより普及を図りたいということで現在鋭意検討中という次第でございます。
  19. 畑英次郎

    畑委員 いまお答えの中にもございましたけれども、先ほどのFM放送、なおまたただいまの音声多重放送の問題に関連しまして、いわゆるマスコミの集中排除というような問題、あるいはまた今後におきます新たな波を割り当ていたします場合のローカル的な要素を生かす問題、こういった問題につきましてはただいまお答えの中にも触れられまして、お気を使っておられるようでございますが、この点につきましては従来以上にひとつ御留意を賜りまして、なおまた積極的なお取り組みお願い申し上げておきたいと思っております。  次に、五十五年度の予算編成時にかなり国民皆様方関心を呼びましたいわゆる新種の個人年金の問題についてお伺いしたいと思っております。  あの際にあれほど大きな話題を呼びまして、いわゆる民間生命保険側におきましても、いわばこの一年間猶予期間があった、さような意味合いではかなり民間サイドにおけるこの問題に対する真剣な取り組みあるいは改善、こういうものがなされたというようにも理解をいたしておるわけでございます。そういう面から申し上げました場合には、一年の猶予期間がありましたから、逆に申し上げれば、五十六年度は是が非でもその実現を期する、そういった一つの絶好のチャンスではなかろうかというようにも私は考えておるわけでございますが、御案内のとおり、五十五年度予算編成の際におきましては、五者調停案と申しますかあるいは三者の覚書、こういうものがございまして、それを踏まえまして今日までどのようなお取り組みがなされましたか、あるいはまたその進捗の度合い等につきましてまずお答えを願いたいと思います。
  20. 小山森也

    ○小山政府委員 新種個人年金の創設につきましては、先生いま申されましたように、高齢化社会の到来に備えて、従来からある郵便年金を時代の要請に合うように改善充実しようとするものでございます。その内容につきましては、ある程度物価上昇に対応できるよう年金額が逓増する仕組みとすること、また最高制限額を引き上げること、また、そのような年金に機能するために資金運用制度を改善するということであったわけでございます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、五十五年度の予算編成時におきましては、関係各機関において基本的には合意に達したのでございますけれども、一部に意見の相違がありまして、五十五年度の実施を見送ったものでございます。しかしながら、国民各層から強い期待が寄せられている施策でございますので、五十六年度予算におきましてぜひ実現させるべく、現在関係方面と鋭意調整中でございます。  なお、この昨年度の経緯を踏まえまして、五十六年度予算において重点事項としていま提案しておりますところの法案の内容といいますか制度の内容は、五十五年度に考えておりましたのと若干異なっております。  その内容を申し上げますと、まず第一に、先年度の要求におきましては、年金の種類というものの中にいわゆる即時年金と申しまして、払い込みの後直ちに年金を受け取る仕組み、この仕組みを今回は取りやめております。また、払い込み方法でございますけれども、先年度の案には、一時払いという方式と分割払いと二つのものを計画しておりましたのですが、一時払いの方式は取りやめるということにいたしました。また年金額を、現在上限が二十四万円になっておりますものを、最低十二万円から二百四十万円までということで提案しておりましたものを本年度は十二万円から九十六万円までということで、二十四万円の限度額を九十六万円までにするということで、二百四十万円を九十六万円に下げております。また、この資金の運用の方法でございますけれども、従来、五十五年度予算の計画では、この資金の運用範囲を、第一に金銭信託に、また第二に銀行等の預金、第三に外国債、第四に株式、第五に土地建物というところに投資できるようなふうに拡大したいという要望をしておったものでございますけれども、第一に株式の投資というものを行わないことにいたしました。これは一部の御意見として、郵政大臣という名前で民間企業の株主となることは適切ではないのではないかという御意見がございましてこれを取りやめまして、金銭信託の中においてこれは行うということにいたしたものでございます。また、土地建物等の不動産への投資は行わないということになっております。  先年度の予算におきます要求と異なっている点は以上の点でございます。
  21. 畑英次郎

    畑委員 ただいまお答えがありましたように、五十五年度、当初スタートいたしました時点と比べますと、その後、関係筋のお立場、そういうものをかなり尊重された、五十六年度実現を目指しました内容に相なっておるというように理解をするわけでございます。逆に申し上げれば、これ以上は後退ができない、しかも早くやるべきだ、なおまた、先ほど申し上げましたように、民間生命保険の方でもそれなりのいわゆる時間的な余裕もあった、こういう時期でございますから、私は、ぜひ五十六年度の実現を目指すべきであるというように考えるわけでございます。さような意味合いで、大変失礼でございますが、本問題は非常に国民的な期待の大きい問題でございますから、この成立を期します大臣の御決意といいますか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 山内一郎

    山内国務大臣 私が大臣に就任いたしまして郵便年金の話を聞いたのでございますけれども、現在の郵便年金にはもう全然魅力はない。いわゆる定額支給でございますので、いまのように物価がどんどん上がっているのに、いつも同じ金額を支給されるようでは老後において楽しみがなくなってくる、何か自分の財産が減ってくるような感じになるわけでございます。そこで、新しい年金を前大臣のときにお考えになりまして、皆さん方のお力を得ながらいろいろ工夫して、この線なら大丈夫であろうというような案がいま簡易保険局長から説明したとおりでございます。したがって、これからの老齢化社会に自分の力によって生き抜いていく、いわゆる自助努力といいますか、社会福祉もこれからもなかなか大変でございますので、そういう方々をぜひ救ってあげたい、こういう気持ちで私はいるところでございます。実現までまだいろいろ困難はあろうかと思いますけれども、皆さん方のお力によりまして五十六年度にはぜひ実現をしたい、こういうふうに考えております。よろしくお願いします。
  23. 畑英次郎

    畑委員 ただいま大臣も申されておりましたようにいろいろ困難性の伴う問題であるわけでございますから、ぜひひとつ、まず何といってもさような意味合いでの大臣の御熱心なお取り組みお願いしておきたいと思います。  次に、貯金の関係に移るわけでございますが、ただいま大臣のお話の中にもございましたように、高齢化社会を迎えまして、さような意味合いでの対応の一環としまして、先般、シルバー貯金でございますか、こういうものが報道されておったわけでございます。あるいはまた預け入れ限度額の引き上げの問題、こういったものも言われておるわけでございますが、この辺につきまして正確な内容をお知らせ願いたいと思います。
  24. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 シルバー貯金の構想でございますが、高齢化の傾向を強めているわが国におきまして、老後の経済生活の安定と充実ということが重要な国民的な課題となってきております。近ごろわが国の社会保障が漸次整備をされてきておりますけれども、なおみずからの貯蓄によって老後の生活の維持を図る、いま大臣も申されましたいわば自助の努力ということが基調であるということには変わりがないというふうに考えております。こういうことからいたしまして、高年層の方々が努力をして蓄えた預貯金、これを国として積極的に保護していく必要があるというふうに考えております。郵便貯金の使命は、国民の経済生活の安定を図る、それからその福祉を増進するということを目的といたしております。そういう郵便貯金といたしまして、一定年齢以上の高年層の方々が郵便貯金をしようとされる場合に、郵便貯金の預入限度額、これは現在三百万円になっておりますが、それとは別に一千万円の別枠を設けまして、非課税で郵便貯金に預入ができるようにし、いま申しましたような要請にこたえようというものでございます。
  25. 畑英次郎

    畑委員 いまお話しのシルバー貯金の問題でございますが、事のついででどうかと思いますが、いわゆる先ほど申し上げた預け入れ限度額の云々という問題、かなりこれも先ほどの新種個人年金同様に抵抗が多いというように考えるわけでございますが、この辺の限度額引き上げの算出の基礎といいますかあるいは考え方、これについてお答えを願いたいと思います。
  26. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金総額制限額を五百万円に引き上げることを、ただいま申しましたシルバー貯蓄と別に要求をいたしておりますが、この一般総額制限額が三百万円に引き上げられましたのは昭和四十八年の十二月でございます。それからこれまで七年近くそのまま据え置かれております。したがって、この総額制限額につきまして、これまでも国民所得の伸びとかあるいは国民の貯蓄保有額の伸びといったものとの均衡に配慮して引き上げを行ってきたわけでございます。いま申しましたこの総額制限額が三百万円になりました昭和四十八年の国民所得が昭和五十五年には一・九六倍、約二倍でございます。それから貯蓄の保有額、これも四十八年と五十五年の対比で平均貯蓄保有額が約二・三倍になっております。こういうふうな経済情勢にかんがみまして、郵便貯金総額制限額を三百万円から五百万円に引き上げる、そういうことによりまして国民の健全な資産形成に資していこうということを考えておる次第でございます。
  27. 畑英次郎

    畑委員 先ほど申し上げましたように、限度額の引き上げあるいはシルバー貯金の問題あるいは新種個人年金の問題、何といいますか、実現までにはいろいろ問題が多いと思いますが、積極的なひとつお取り組みお願いしておきたいと思っております。  次に、最近報道されております日中海底ケーブルの切断の多発という問題につきましてお伺いをしたいわけでございますが、本年だけですでに四回というようなことでございます。この問題につきましてはすでに積極的なお取り組みがなされておるやに伺っておるわけでありますが、これはひとりKDDのお立場にお任せしておくというようなことではなくして、それ以上の一つの積極的な取り組み、こういうものが必要であろうというように思うわけでございますが、現況並びにそれに対する対応の処置の内容につきましてお答えを願いたいと思います。
  28. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  日本国と中華人民共和国との間の国際通信につきましては、現在日中間海底ケーブルとインテルサットの太平洋衛星を利用しまして、電話電信など音声級回線に換算いたしまして三十九チャンネルの回線を設定いたしております。そのうち、日中間の海底ケーブルにつきましては昭和五十一年、日中国交正常化の前でございましたけれども国際電信電話株式会社と上海市の郵電管理局との間に共同しまして建設したものでございます。これが途中、五十三年度に一度切断障害が発生しておりますけれども、その後は比較的安定した通信の状況にございました。  ところが、本年に入りまして御指摘のように都合四回、一月二十二日と五月十六日、さらに九月二十四日、九月二十九日というふうに障害事故が発生しております。その都度通信につきましては、御説明申し上げました衛星回線によってバックアップいたしまして国際通信の確保には努めておりますし、その都度修理は事業体の方でやっておりますけれども、先生御指摘のように、このように本年に入って頻発するということで、政府自体としてもこれはやはり積極的に日中間で話を進めていかなければならぬ、こういうふうなことを私ども非常に痛感をいたした次第でございます。  したがいまして、当面の障害回線の早急な復旧ということにつきましては、もちろんKDD側の事業体としてやるわけでございますし、現在KDD丸も中国側の要請を受けまして横浜港を出まして、いま台風でございましたので大阪に避難いたしましたけれども、直ちに長崎港から出ていくということになっておりますが、単にそういう応急的な復旧と申しますか修理の問題だけでなくて、もっと事故原因の究明あるいはこれからの対策ということにつきまして、わが国内部も政府全体として取り組んでいきたい、こういうことで海上保安庁とも連絡協議をいたしまして、緊急な連絡ルートをつくるとか、保安庁は保安庁としてのそれなりの早期原因究明に努めていただく、われわれはわれわれとしてさらに政府ベースでも職員を派遣いたしまして、上海におきましてその対策につきましていろいろな角度から協議を進めていきたい、このように取り組んでおる次第でございます。
  29. 畑英次郎

    畑委員 最後に、年末を控えまして、年賀郵便の配達その他、国民としましては郵政省労使関係に非常に関心を持っておることは御案内のとおりでございます。最近さしたるトラブルもないやに伺っておるわけでございますが、この労使関係の、特に年末にかけましての取り組みにつきましての御決意を伺って私の質問を終わります。
  30. 岡野裕

    ○岡野政府委員 人事局長でございます。  平素、郵政部内の労使関係につきましては非常に深い御関心と御心配とを賜っておりまして本当にありがとうございます。  先生も御存じでございましょうが、両三年前でございますか、とりわけ五十三年の年末から五十四年の年当初にかけまして、私どもの部内の労使紛争のために、郵便を中心としまして三事業、非常に混乱がございました。国民皆様に御迷惑をおかけいたしまして本当に申しわけない次第でございました。  ただ、その後、私ども相互に正すべきは正し、反省すべきは反省をするというような立場に立ちまして、そのじみちな話し合いを積み重ねようではないか、そして労使の相互理解というものを深めていく、これが一番の要諦ではないだろうかというような考え方に基づきまして、まあ最近ではどうやら労使関係も比較的落ちついてまいりましたし、おかげさまで業務運行の方も大きな御指弾をいただくというふうにはなっておらないように考えているところでございます。幸いにしましてこんな風情でございますので、今後とも相互理解を深める中でこの労使関係の正常化を志し、かつ十分に安定をするというようなことを心がけて、一歩一歩じみちな努力を積み重ねてまいりたい、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  31. 畑英次郎

    畑委員 わかりました。  終わります。
  32. 佐藤守良

    佐藤委員長 畑英次郎君の質疑は終了いたしました。  鈴木強君。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ただいま郵政大臣から御発言がございました。その中に訪中の件についてはお触れになっておりませんが、大臣御就任以来三カ月、非常に精力的に勉強されておるようでありまして敬意を表しますが、どうぞひとつこの上とも御健闘くださるようにお祈りしております。私はあなたと一緒に参議院でやってまいりまして、ひとしお親しみも感ずるわけですが、どうぞがんばってください。  さて、第一番にお伺いしたいのは仲裁裁定のことですが、郵政職員の給与改善のための仲裁裁定はいまだにこれが実施されておりません。いろいろの事情のあることはわかりますが、最近、物価は約九%近く前年同月に比べて上がっておりますし、職員の生活も大変だと思います。これ以上遷延は許せないと思いますが、直ちにこれを実施してもらいたい、こう私は思いますけれども大臣の御所見はいかがですか。
  34. 山内一郎

    山内国務大臣 公労委の仲裁裁定の件につきましては、私も一日も早く解決をして支給をしたい、こういうふうに考えているものでございます。ところが、現在の予算で計上してございますのは、必要額の約半分しかございません。したがって、すぐ支給するというのは財源的にもいろいろ問題点があろうというふうに考えているわけでございます。  そこで、まず配分交渉でございますけれども、聞きますと、二カ月ぐらいかかるのが例である、こういうことで、ひとつ早目に配分交渉をやろうじゃないか、こういうことで閣議で発言をいたしまして、多少いろいろ話はございましたけれども、配分交渉に踏み切りまして、大体基本的なことはできたというふうに私は聞いているわけでございます。したがって、もう少し肉づけをするのに時間がかかりますけれども、そういたしますと支給せざるを得ない。そこで財源の問題にぶつかりまして、郵便法の値上げをお願いしてございますけれども、それが通れば財源の問題も簡単に解決をする問題でございますので、そのときには一日も早く支給したいものである、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いろいろな御事情のあることはわかりますが、ひとつ決断を持って一日も早く実現できるように御健闘をお祈りします。お願いします。  それから次に、電波関係で質疑をいたしたいと思っておりましたが、畑委員の方から出ておりますので重複を避けます。  それで、FMの問題ですが、従来われわれは、NHKがすでに全国各県においてやっておるわけですから、できるだけ民放にもFM放送の早期免許をやるべきだという考え方で来たのでありますが、どうも郵政省のやり方を見ていると、細切れみたいに四つやってみたり三つやってみたり、何かわれわれにはわからないような形で免許がおりておると私は思うのですよ。それをよく聞きたいのですけれども、きょうは時間の関係がありますから次回に譲りますが、残された府県に対するチャンネルプランは一体いつごろをめどにやろうとしているのか、それが一つ。  それからもう一つは、テレビの音声多重の問題ですが、お話のように、二種類に限って制限がされておりますので、実際に放送時間は全体の一割くらいしかやっておらないのですよ。したがって、さっきお話しのような内容になってまいりますれば放送時間もふえてまいると思いますが、そこはもういいですから省略しますが、一体結論をいつ出して、いつごろからやろうとしているのか。いまの実情から試験局でもやれるようにも言っていますけれども、本来であれば、本放送局に切りかえてもいいわけだ。そういうことも含めて目途は一体どこに置いてやっているのか、これだけはっきりしてください。
  36. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初にFMのことでございますが、先生御高承のとおり、十年ほど前に四、東京大阪名古屋、福岡というところでスタートいたしたわけでございますが、ただいま現在割り当て済みでまだ会社ができていないというところについてできる限り早急に電波が出るような形に調整なり、役所からも仲に入りまして進めたいということでございますが、その後につきましては県域を単位ということで全国普及を図っていきたいというようなことで考えておる次第でございます。  時期の明言については、まことに申しわけないのですけれども、きわめて早急にやりたいというようなことで検討を進めておるということで御勘弁いただきたいと存ずる次第でございます。  それから、多重のもっと魅力のある拡大利用についてでございますが、これは現在関係の機関にもいろいろ御意見なりアンケートをとったりいたしまして、ただいま集計中でございます。それで、これにつきましては、年度内ということじゃなくて年内にも新しい考え方を出して対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 後の問題については、まあいろいろな点もあるでしょうから、実用化局にするためのことも含めてひとつできるだけ早くやっていただきたい。  FMについては、議事録を見ていただくとわかるのですが、あなたがおっしゃったような答弁を何回しているかわからない、きわめて近い将来とかね。ところが、いつになってもそのきわめて近い将来が来ない。ですから、そうやっている間に、何か知らぬが私たちによく理解できないような形であそこに免許がおりここに免許がおりるというような、そんなばかな話はないですよ、これは私は改めて伺いますけれども。ですから、きわめて近い将来と言うが、本当にきわめて近い将来にやれるように努力してください。それをお願いしておきます。  それから、これも畑委員からもう出ましたので、大臣が北陸郵政局管内の御視察に参りましたときに記者会見をした、郵便貯金の限度額の引き上げ、それからシルバー貯金の問題、それから個人年金問題。確かに畑先生おっしゃるように、個人年金なんかはきわめて関心が強いし実現してほしいというので、これは大体固まったようでございますね。恐らく次期通常国会に法案が出てくると思いますが、問題は三百万を五百万にするのと、シルバー貯金については、どうなんでしょうか、少なくとも大臣が言明していることでございますから、われわれとしては次の通常国会実現できるものと確信しているわけですが、次の通常国会にそれぞれの法案が改正されてくるのかどうなのか、出すおつもりかどうか、このところだけひとつはっきりしておいていただきたい。
  38. 山内一郎

    山内国務大臣 いま非常に一般の庶民の方々から要請が強い二つの問題の点でございますけれども、非常にそういう声が強うございますので、私といたしましてはどうしても実現をしたい、こういうように考えているわけでございます。ただ、法案が出せるかどうかという問題につきましては、これからいろいろ関係官庁と折衝してその成果が出てこないと出しますとも出せませんとも言えませんが、私は何とかして出したい、こういう決意でいまいるところでございます。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは民間銀行方面からかなりの抵抗が出てくると思わなければなりません。従来も郵便貯金の募集のあり方についてもいろいろと行き過ぎだとかなんとかいうような意見が出てまいっております。しかし、いろいろなグリーンカード制の問題等との関連がありまして、いま郵政省が攻撃を受けているというような立場にあると思います。ですから、大臣おっしゃるようにそう簡単にいくとも私たちも思いませんけれども、御所信ですからぜひひとつ大臣の任期中にこれが実現できるように全力を尽くしていただいて、次の通常国会に法案ができることをわれわれは期待するし、またどんなことでもわれわれのできることをやりたい、こう思っているわけです。ですから、その点はひとつぜひがんばっていただきたいと思います。  それから、五十九年からグリーンカード制が実施されることになっていますが、これもまたいろいろと大蔵省との関係、民間銀行との関係がございまして紆余曲折があったようですが、最終的にこの意見は大蔵省と一致したのでございますか。もし一致しているとすればその内容だけで結構ですから、簡単にひとつ骨子だけ示してもらいたい。
  40. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  いま先生御指摘の、郵政大臣、大蔵大臣の合意事項、九月二十六日に合意ができております。  内容を申し上げますと「民間金融機関の預貯金と郵政貯金との間の取扱いの公平を期するため」二項目ございます。一が「郵政省は、昭和五十八年十二月三十一日までの間に預入された郵便貯金については、昭和五十九年一月一日以降払戻される際に本人確認を行い、その結果、架空名義のもの及び郵便貯金法第十条に規定する貯金総額の制限を超えているものについては、国税庁に通知する。」二項目が「上記の確認及び昭和五十九年一月一日以降の郵便貯金の限度管理につき、グリーンカードによって行うことを大蔵、郵政両省間で検討のうえ、早急にその具体的方法を定める。」ということでございます。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 一応の合意点に達したようですから、これは結構なことでございます。何でも話せばお互いによくわかるわけですから、さっきの預金限度額の引き上げ、新しい個人年金等の問題についても、世論が支持していることですから、これはひとつ勇断をもって、大臣もさっきおっしゃいましたけれども、事務当局でもがんばってください。  それから、次に電電関係の問題で二、三お尋ねします。  小さい問題で大変恐縮ですが、最初に、例のポケットベルですね、これが全国的に大変普及をしてまいっております。私の選挙区のことで恐縮ですが、山梨県の場合には、甲府市を中心とする通称国中と言っているのでございますが、そこにはサービスが開始されまして、非常に喜んでおります。ところが、御坂山系から笹子を越えた東京側の方、郡内というのでございますが、そちらの方にはまだないわけです。私はこの委員会でも、ぜひ同時にサービスを開始してやってほしい、そうでないと、やはり国中の方の人と郡内の人とがいろいろな面においてハンディキャップがあると言って、政治の面においても、県政なんかでもかなり問題が出ているときですから、できるだけ一緒にサービスを開始してほしいと強く要望しておきました。しかし、もしそれができないとすれば、ではとりあえず国中、甲府盆地を中心にやるが、郡内の方、いわゆる大月、吉田、都留、この辺については大体いつごろやります、いろいろな準備で、こういうわけでできませんが、ちょっとお待ちいただきたいということをつけ加えて、やってほしいということを強く要望しておったのであります。これはその後どう進んでおりまして、いつごろサービス開始できますか。
  42. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話のございました吉田、大月、都留地区、いわゆる郡内地域のポケットベルのサービス開始でございますが、現在本年末を目途にいたしましてサービス開始をできるべく鋭意工事を進めておりまして、格別の電波障害その他が発生しない限りは、年内に、ことしの暮れになろうかと思いますが、サービス開始できる予定で進めさしていただいております。(鈴木(強)委員「暦年でいいんですか」と呼ぶ)はい、十二月の末ごろでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)委員 はい、わかりました。少し遅かったですけれども、できるだけ早くやってください。  次に、電電公社の資材調達問題についてお尋ねをしたいと思います。  きょうは、外務省からも池田第一課長にいらしていただいておりますが、御承知のように、この問題は三年にわたる日米間の重大な問題でございまして、私たち委員会におきましても非常な関心を持って見守ってきた問題でございますし、また、時には積極的に意見も出して御検討をいただいてまいったのであります。  最初に、昨年六月二日に牛場・シュトラウス会談が持たれまして、そこで日米間の合意ができました。それは双務主義でいくということ、お互いに話し合いをして、できるものとできないもの、そしてアメリカの市場にも日本が入っていく、日本へも入ってくる、そういうことを前提にしていろいろと検討しようということで、たしか事務レベルの話も五、六回やられたように聞いております。  ところが、十月の三日ですか、大来政府代表が訪米された際、アスキューさんとの会談の結果を聞きますと、これは新聞報道なんですが、どうもうまくいっておらない、場合によったら物別れに終わったんじゃないかというような報道がなされておりますが、実際にはこの交渉はどういうふうになって現在に至っておるのか、これをひとつ概略最初に説明していただきたい。
  44. 池田右二

    ○池田説明員 お答え申し上げます。  昨年六月の牛場・シュトラウス共同発表に基づきまして、昨年七月以降、日米間におきまして数次にわたる事務レベル協議及び政府代表レベルの話し合い、これは九月の六日にニューヨーク、及び十月三日にノースカロライナ州のパインハーストにおきまして行いまして、こういった協議を積み重ねてきているわけでございます。これらの協議を通じまして、日米両国の電気通信事業の実態について解明が進められました。これらを基礎にして、電気通信設備の調達に最も適する調達手続のあり方について協議を行ってきておる次第であります。  先般のパインハーストの会談におきましては、日米双方の理解がかなり深まりました。しかし、本件については種々の点でなお解決すべき点が残っておりまして、相当の時間を要するため、ごく近いうちに決着をつけることはむずかしいと見られますが、日米双方とも本年、年内に解決をしようという強い希望を有しておりまして、そのために最大限の努力をするということでは一致しておりますので、今後とも本問題の早期解決を目指して、引き続き鋭意努力していく考えでございます。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは郵政大臣にも電電公社の総裁にもちょっと伺っておきたいのですが、昨年六月二日の牛場・シュトラウス会談は相互主義でいくということで、具体的に話を進めていこうということでスタートしているわけです。ところが、アメリカ側がシュトラウスさんからアスキューさんにかわりましたね。その間におけるいきさつがどうなっておったのか、よくわかりませんけれども、私たちが聞いているところですと、ガット本文の中に、電電公社の資材調達は全部競争入札でやるべきだというふうに入れなさいというふうに、アメリカ側が日本に迫ってきたという話を聞いているわけですけれども、これは明らかに昨年の六月二日の約束違反ですから、日米間に少なくともそういうことがあってはいけないと私は思うわけです。したがって、そこを六月二日の相互主義に戻して、できるものとできないもの、そしてどうするか。まあ三段階方式ですか、政府の方ではこれを持っていっておられるようですが、そういう話をするためのものだったんですが、それがコードの変更ということになると、話が違うんですね。したがってわれわれとしても、それはおかしいではないか、だから昨年六月二日の相互主義のところまで戻して、基本的な考え方をそこまで戻してやってもらわなきゃ困るということで、これは委員長にも大変御心配をいただいておるのですが、大臣なり公社の方から、外務省を通じて大いに働きかけていただきたいという願いで私たちはこれまでやってきたんですけれども、そこいらのことは一体いまどうなったのか。郵政大臣としては、外務大臣にそれを話していただいたんですか。
  46. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私どもの資材調達問題につきましては、当委員会与野党諸先生にこぞって御支援、御鞭達賜りまして、厚く御礼申し上げます。また、二年有半にわたりまして、郵政省、外務省、通産省の関係機関におきましては、公社の意を体してというか、全く同じ方向で御努力くださいまして、厚く感謝申し上げます。  御質問のいまの問題は、確かに先般、ことしの五月ごろと思いますが、アスキューさんが初めて日本にお見えになって、私も三十分ほどお目にかかりました。時の郵政大臣も一時間ほどお会いになりました。そのときに非常に意外だったことは、六月二日のメモランダムとは全然離れて、またイロハのイに戻って、振り出しに戻って、資材の全面的な競争入札に適用すべきだということを強く主張した。同時にガットというものは、そんなに競争契約というのはむずかしいものじゃないよ、弾力性があるんだよというお言葉を吐かれていかれた。非常に意外であったということを私は非常に残念に思っておったのでございますが、その後、総選挙が終わりまして新しい郵政大臣をお迎えして、山内大臣からは、もう少しわかりやすい新しい提案をしてみたらどうかと、多分七月下旬だと記憶しておりますが、大臣のところに報告をして、大臣はこれでいいということで、いまこの三段階方式というものを、そう根本的に違う問題はございませんけれども、わかりやすい、非常に明快な段階方式で提案して、自来それで日米間の交渉を進めておるのでございますが、その後の最近の経過につきましては、ただいま池田課長から報告されたようなことを私どもは承っております。
  47. 山内一郎

    山内国務大臣 私、就任しまして、これはむずかしい問題であるなあというふうにまず感じまして、牛場・シュトラウス会談以降ほとんど進展していない、どういうわけだろうということをいろいろ考えまして、もう少しこちらが絶対できないもの、あるいはできるものということを段階的に分離して、そのできるものについて相互主義をとるような方向に会談を折衝していったらどうか、こういうことを考えて、電電公社総裁、外務省と打ち合わせをして、今度はアスキュー通商代表にかわりましたけれども、大来政府代表、アスキュー通商代表の間で、そういう線でいま進行中でございます。相当にお互いに理解を深めて、日本の考え方もよくわかる、それからアメリカも、一般公開入札にも弾力性があるものであるよ、単なる形式的なものでないというような点を、相互理解をしながら、だんだんいま詰めている段階でございます。そういう状況でございます。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私どもも新聞等の記事でいろいろ見ておるわけですが、要するに、いま最終的に日本政府が持っております三段階方式というのですか、できるもの、できないもの、さらに共同研究開発していこうという、これにもちょっと私たちは問題があると思うのですが、これ以上まだ妥協していく決意なのかどうなのか、その点はどうなんでしょうかね。これは外務省からもちょっと伺っておきたいのですが、最初にひとつ総裁ですね。詳しい内容については触れませんけれども、三段階方式というのが、これは大体通称そう言われていますが、これでもぼくらはちょっと問題があるように思いますけれども、それでも、これが譲歩の最終的なものと考えていいですか。これは大臣も一緒に答えてください。
  49. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私たちは、量というよりも、取り交わす条約というか、協定というか、その中身のどういうものが約定になって出てくるかということを非常に心配しております。いま出している提案を一歩でもまた緩める気持ちは毛頭ございません。ただ、数とかそういう点になりますと、数ということは、ただ中身、契約の仕方とかいうこととは関係がございませんから、これは相手もあることですから、まだ多少の増減はすると思いますけれども、中身については、いまの考え方を譲歩する気持ちはございません。
  50. 山内一郎

    山内国務大臣 大体総裁から述べたとおりでございますけれども、こちらとしては絶対譲れない線があるのです。いわゆる中枢部分等でございます、よく御承知だと思いますけれども。そういう点については、共同開発でもやる気があるのなら、共同開発によってお互いにうまくいきそうなものがあれば、両方の国で生産をして、そうすれば同じものができるのですから、だからこれは一般公開入札、ガットは適用するとは私は思いませんけれども、こんなものもありますよということは言ってあるわけなのです。だから、それ以上は絶対に譲れない、こういうふうに考えております。
  51. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。その態度で最後まで交渉に臨んでいただきたいと思います。  そこで、第一課長の池田さん、日米間のことですから、よく話せば円満に解決できるものと私は確信しているんですよ。特にEC関係でも、これは随契をやっていますし、アメリカ自体が随契をやっているのですよ。それなのに、日本に対して競争入札を強いてくるということは、これはもう話にならぬですね。そこいらは、アメリカさんのことですからよくわかっておられるのじゃないだろうか。なぜこういうみたいなことを言ってこられるのかなという気を私は率直に持っているわけですよ。これからまた大来・アスキュー会談というものも行われるでございましょう。ですから、さっき言った基本的な六月二日の合意に対する考え方の相違というものも、どこからどういうわけで出てきたのかよく私たちにはわかりませんけれども、いずれにしても、日米間で決めたことはちゃんと守ってもらって、その上に立って実務者会議が開かれているわけですから、その実務者会議が意を尽くして話し合いをやっていけば、そこに一つの結論が出てくるだろうと私は思うのです。  それで、まあ大統領選挙もございますから、政治的ないろいろなかかわり合いもあるのではないかと私は思います、率直に言って。ですから、それらの選挙の情勢等もにらみながらアメリカさんの方でもいろいろ物を言っておるのじゃないかと思いますけれども、ひとつ大来さんにも実は来ていただきたかったのですが、何か委員会で、国会に呼んだというそういう例はないんだそうで、来ていただけませんでした。それであなたに来ていただいたのですけれども、帰りましたら、ひとつ外務大臣の方から大来さんにもよくお願いをして、そして、一説によると決裂した、そういうふうな話も聞いておりますが、聞いてみると、決裂ではないんです、ですから何とかうまく年内にいけるだろうというようなあなたの見通しでございますから、われわれはそれを信頼して、いま総裁、大臣がおっしゃったような点を、同じ立場で外務大臣もやっていただいていると思いますから、大来さんもよくのみ込んでいただいておると思いますから、その線でひとつ最後までがんばっていただくように、それが両国の利益になるわけですから、やっていただきたいと思いますが、若干のこれからの見通しを含めて、もし意見があったらここで述べていただけますか。
  52. 池田右二

    ○池田説明員 アメリカとの話し合いにつきましては、先生ただいまおっしゃったことを踏まえまして、話せばわかるという精神に基づいて鋭意やっていくつもりであります。この問題につきましては、電電公社郵政省とも十分な密接な連絡をとりながらやってきておりますし、今後も協力してやっていこうと考えております。ただいま大臣それから総裁の方からお話があったとおりでございまして、外務省といたしましても、公衆電気通信設備の特性を生かした調達手続というものをアメリカとの間に何とか話をつけてやろうということで、鋭意努力をしておる最中でございます。アメリカという相手もございますので、むずかしい点は多々ございますけれども、先生おっしゃったように、なるべく早期に解決するというつもりでやっていこう、またその希望を持ってやっていく所存でございます。
  53. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは次に、電電公社の最近の経営についてちょっとお伺いしておきたいと思いますが、御承知のように、電電公社電気通信省から公社に移行したのは昭和二十七年十月ですから、もうすでに二十八年の歳月が流れているわけです。この間、第六次五カ年計画の三年目をことし迎えておるわけですが、約二十八年間大変な苦労をされて、三千七百万近い電話が架設されました。全国どこへでもダイヤルで通ずるという目標を達成されたのでございます。  それで、第六次五カ年計画の三年目に来ているわけですから、あともう五十六年、五十七年。五十八年から新しい第七次計画というものが想定されるわけです。ですから、従来のような加入電話については、もう大体普及するところまで普及したというふうに一般的に考えられている。したがって、これから新しい情報化社会に向けてのいろいろなシステム、サービスの開発をやらなければなりませんでしょうし、またたくさんある。三千何百万の電話をステップ・バイ・ステップあるいは新しい機械にかえていくとか、それからあなたがおっしゃった料金明細書、内訳がとれるような機械を導入して、お客さんに自分はいつどこへかけたんだというような記録がちゃんと残るような設備もしてあげるとか、また三百万近い電話が移動しているわけです。そういうものもやらなければなりませんでしょうし、われわれも見ていて、街頭に電柱が立っている、電線を引っ張っている、風景を害している、パリなんかへ行ってみると、ああいうものはみんな地下へ入ってやっている。ですから、各関係省庁とも連絡をとって共同溝をどんどんつくっていくとか、あるいは都市部における電柱は地下に入れていくとかいうふうにして、そういうような方面にまだまだやらなければならぬことがたくさんあると思うのですよ。  今度、電気通信政策局も、これは二十年近くもかかったのですが、できまして、郵政省の方としてもあらゆる面から相談にも乗ってくれるでございましょうしするので、ひとつこれから、一体建設資金というのは第六次より以上にかかるのかどうなのか、その辺は国民はよくわからぬのですから。電電公社には五兆三千億ですか、負債があるのでしょう。みんな債券を買って、それによって仕事をしてきたのですから、これは返さなければならぬ金だ。ところが電電公社はもうけている。そんな五兆円もの赤字があるなんてことはどこへ行って聞いたって知っている人はいないですよ、PRが下手ですからね。今度は、第七次にはどのくらいの金が必要になるかというくらいのことは早く計画局が中心になって、先手をとって、国民に向かって、これからは電話の普及は大体年間百万か何ぼかくらいでもって、申し込めばすぐつくようになりました、だけれども、こういう新しい仕事が残っている、保守についてもこうしなければならぬのですということをやはり国民に訴えていく必要があると私は思うのです。  そういうこれからの基本的な政策についてどう考えておるのか。三年先のことですから大変なことでしょうけれども、しかし、日本はどうも計画が三年とか五年とか短い計画であって、もう少し先の十年くらい先まで展望したものを国民に示して協力を得ていくということも必要じゃないでしょうか。そういう意味で、その辺はどうなっておるか、お伺いしたい。
  54. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいま六次の真ん中を走っているところでございますが、近い将来を見通して第七次という程度のことを私なりにも展望しますと、先生のおっしゃったようないまの電話というものはまずまず自動化も完了、積滞も終わった。しかしまず考えなければならぬことは、二十年、二十五年前に投資しました、拡充計画を始めました施設がもう更改期に来ている。ステップ・バイ・ステップを電子交換機にかえるということは常々国会でも言明しているところでございます。非常に巨大なる設備取りかえの時期がどんどんと迫ってくる。それから、新しい技術としての将来展望は、これは日進月歩の技術革新に基づいて、より安い、より効率的な技術というものが出てくるのでございまして、技術が進歩すると金がますますかかるということではこれは相ならぬことでございまして、われわれはいま新しい技術というものを、より安く、より効率的な技術革新というもので懸命にやっております。これもしかしいまの制度とだんだん取りかえていきますとまた相当なボリュームにもなる。また、ただいまおっしゃったような料金の計算の問題とか、これは大きな額ではございませんけれども、長い目でやれば必ずやはり五千億や六千億円はかかるであろうということも国会で言明しました。その他、いままでやろうとしてもなかなかやれなかった地下ケーブルの問題等も先生のおっしゃるようなものでございます。これはどのくらいまとめてかかるということは、いまとっさの御質問でございますのでまだ推計はできておりませんけれども、六次よりは減ることはなくてもふえることはあるのではなかろうかという程度に思っております。  それに非常に大きな問題は、五十七年度の末をもって長い歴史的な使命を果たしました負担金と申しますか、加入者に債券を御協力いただいた問題の時限立法が切れるのでございまして、これは財政的にかなり大きな負担になります。このために八年前から公募の電電債というものを年々歳々ふやしまして、これでバトンタッチが十分できるような用意はしておりますけれども、当面の二、三年はかなりギャップが出てくると思っております。
  55. 鈴木強

    鈴木(強)委員 第七次の長期五カ年計画というものが今日まだでき上がっておらないということでございますから、これ以上聞くことは酷かもしれませんが、しかし大体の地ならしはして、そして第七次五カ年計画というものを早い時期にひとつ国民にも示して理解をしていただくという精神でやっておられるわけですか。その点はそうですか。
  56. 秋草篤二

    ○秋草説明員 第七次をつくるかつくらないかというような御質問でございますが、やはり私は、第五次まで続けたような性格とは少し違いますけれども、一つの予算と違った大きな五カ年にわたる経営のガイダンスでございますので、管理者も従業員もそうした目標というものを見届けて仕事をするということはいいことだと思っておりますので、第七次も続けてこの計画は作成してみたいと思っております。
  57. 鈴木強

    鈴木(強)委員 若干当面の問題とそれからこれは将来にわたる問題、第七次にかかると思いますが、一つは、公社の電話の通話料の遠近格差の是正ということがございますね。これは委員会でもかなり強く要求されたことだと思います。したがって距離別時間差法というようなものを採用してきたわけですけれども、やはりいろいろな問題があるわけで、近く公社では夜間通話料の割引をやろうとしておると聞いております。それは大体いつごろからやるのか、そして具体的にはどうなるのか、それからそれによってどのくらいの減収になっていくのか、これはどなたでもいいから答えてください。
  58. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話のございました夜間通話料の割引の問題でございますが、御存じのとおり現在、いわゆる市外通話と申しておりますものの中で六十キロメートルを超える区間につきましては、午後八時から午前七時までおおむね四割引きの夜間割引をいたしておるところでございます。それに対しまして、わが国の通話料金体系と申しますのは、近距離は欧米等の諸外国に比べて二分の一ないし四分の一と非常に安うございますが、遠距離は諸外国に比べて高い、その結果、いわゆる遠近格差が大きい、こういう通話料金体系の指摘を受けてきたわけでございます。この点は公社も機会を持ちますたびに直してまいったわけですが、まだ現在のところそういった状態でございまして、これを抜本的に改正をするということになりますと、これは当然のことながら法律改正になりますとともに、近距離を上げて遠距離を下げるということになりますとなかなか利用者の方の利害が一致をいたしませんでして、実際問題として理想的な案をつくるというのは困難である、こういう状態でございますので、諸外国に比べて明らかに高いと思われます三百二十キロメートルを超える市外通話区間につきまして、夜間に、深夜にもう一段の割引を行いまして、具体的には午後九時から午前六時まで四割引きをもう一段六割引きにいたしまして、そして夜間におきます利用の便を図りたいというのが一つでございます。  それからもう一つは、そういたしますとその辺に通話のピークが出る関係もございまして、現在、六十キロメートル以上の区間につきまして午後八時から午前七時まで割り引いております四割引きの時間帯を前後それぞれ一時間ずつ延長いたしまして、午後七時から午前八時まで四割引きを行う、こういうことを計画をいたしまして、先般、郵政大臣の認可をいただきまして、これは全国的に課金メーターの改造あるいは取りかえが必要でございますので、鋭意工事を進めてまいったところでございますが、大体現在のところでは、十一月二十七日にこの工事が完了いたしまして、それ以降、ただいま申し上げましたような深夜割引等を実施できる、こういうめどが立っているところでございます。  なお、これに伴います減収額でございますが、料金上の計算をいたしますと、平年度におきまして大体千五百億くらいの減収になります。ただ、そういうことで安くなります関係で利用増を約二百億ほど見込んでおりますので、実際、実質的な公社の減収は約千三百億、このように考えている次第でございます。
  59. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはサービスをしてくれるわけですから利用者は喜ぶわけでございます。  まだほかにもいろいろあると思いますが、次に、いま正確な加入者電話というのは三千五百、六百、七百万とも言われているのですけれども、その中で、ステップ・バイ・ステップのA型、それからクロスバー等、旧の機械のままにされているのはどのくらいあるのですか。DEXとかDDXとか新しい機械にかえたのはどの程度でございましょうか。それで、これからどういう計画でやっていくのか、それを教えてください。
  60. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  現在公社で使用しております交換方式はステップ・バイ・ステップ式、それからクロスバー、それから電子交換機、大体大きく分けましてこの三種類でございます。  大体の比率で申し上げますが、五十二年度末、第五次五カ年計画が終わりました時点で申し上げますと、ステップ・バイ・ステップは約一五%ございます。それからクロスバーが約八〇%でございます。それから電子交換機が残りの約五%程度でございます。それで、特に非常に問題になりますのはステップ・バイ・ステップでございまして、これはもうシステムとしましても五十年以上使ってまいりました交換機でございまして、機能的に非常に劣っておることと、それから相当老朽も進んできております。これが五十二年度末で全国で約六百万端子ございました。これを五十三年度、五十四年度、それから今年度、五十五年度でございますが、この約三カ年で電子交換機に取りかえるという計画で、数字をちょっとはっきり覚えておりませんが、約二百七十万端子をすでにこの計画に計上をしております。したがいまして、大体五十五年度末では残存しておりますステップ・バイ・ステップというのは三百万端子ちょっとというようなことでございまして、あと毎年度百万端子程度のこれの更改を続けていきたいということで現在計画を進めております。
  61. 鈴木強

    鈴木(強)委員 新しい機械に早くかえてほしいという要望がかなり強い。昔のクロスバーだとかステップ・バイ・ステップじゃ時間もかかりますし、最近のものはさっと早くかかるしするから、それはもう少しペースを上げてやってもらえないのですかね。そこらはもう少し力を入れて切りかえをしてほしいと思います。  それから次に、料金明細がわかるような機器の導入ということについてはどうなんですか。
  62. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  いまの電子交換機とも料金明細につきましては関連するわけでございますが、基本的な明細記録をとる装置につきましては、電子交換機に更改する都度そういうことを考えていきたいと思っておりますが、これはいま申し上げましたようにかなり期間がかかりますので、とりあえずその間のやり方といたしまして、月に一回度数計を撮影している状況でございますが、これを住宅の多いところとか問題のあるところによりまして月二回にするとか三回にするとか毎週撮るとか、こういうやり方をやっておるわけでございますが、そのほか自動撮影装置を置けるところにつきましては毎日撮るとか、それから電子交換機のところですと、これをソフトに入れまして、集約の度数でございますが、これを毎日撮るというかっこうにいたしております。  それで、この回数をふやすということにつきましてはほぼ八〇%以上の局についてこれを実施しておりまして、それによっていままでありました苦情はほぼ半分以上減っておりまして、かなりお客さんに対しまして説明ができるというようなことで、それによってお客さんも、たとえば毎週ありますと、この週は使ったかもしれないというようなことで記憶が戻ってくるという点もございまして、とりあえずはそういう措置で対処しておるところでございます。
  63. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ちょっと私が聞いている基本的な考え方と全く違うのですよね。そうでなくて、少なくとも三千何百万の加入者は、できれば明細書がはっきりして、あなたはこうかけましたということがはっきりしたものが欲しいわけです。特に苦情の問題についてはできるだけいまのような形で当面はやっていかなければならぬと思いますが、基本的に明細がちゃんと読み取れるような機械を導入して、それは幾らかかるか私は知りませんけれども、実用化はもうできる段階に機械はあるのでしょう。ですから、それをこれから長期計画なら長期計画でやっていく方針なのか、それともそういうことはやめて、いま言ったような二回写真を撮ったり三回撮ったり、毎日やったりして、それで済ましていこうというのか、その基本的なことを聞いているのです。
  64. 玉野義雄

    ○玉野説明員 その点につきましてはいろいろ御意見もございますが、私たちとしましては電子交換機によりましてそういうことをいたしたいと思っておりますが、それにつきまして現在機能試験といいますか、そういうことをやった場合に、あるトラフィックが入ってどういうように技術的にトラブルが起きるのか、あるいはその辺がどの辺まで克服できるのかという技術的な試験をいまやっている段階でございますが、それが終わりましたら、それによって計画を立てていきたい、こういうふうに考えております。ただ、御承知のように、これは通信の秘密等の問題もございますので、その辺もあわせて、その技術試験の結果等も見ながら検討してまいりたい。方向は先生おっしゃるような方向で考えていきたい、こういうふうに考えております。
  65. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはやはり国民の側から見ると、やってもらいたいところだと思うのです。ただ、それではその機械を導入する場合にどれだけの金がかかるのかということが一つ問題になります。ですから、それを新しく加入者から取らなきゃならぬということになると、またこれは反発もあるかもしらぬが、どうしてもほしいという人は、多少高くてもつけてほしい、こうなると思うのですね。ですから、そういうふうなことにして、通信の秘密といったって、これは各個人個人がつけることですから、おれはこれはかけなかったということがもしわかれば、計算上はっきりしてくるわけですから、これは間違っていたということになるわけですからね。そういうことは問題にならぬと思うのです。ですから、秘密の問題がほかにあるとすれば十分配慮していただくとしても、導入するという方針なんですから、そうであれば、必要な経費は加入者の負担になるのかどうかということも含めて、もう少し的確に国民の前に示して、協力を得るようにしてほしいのですよ。  これはもう二年くらい前でしたか、そういうふうな話が出まして、いつ公社はそういうのをやってくれるのですかということを私たちはよく聞かれますからね。きょうわかりました。やる方針には変わりないのだが、また、いつからこれをやるかということについては、実験段階というか、機械そのものはもう実用化できるところまでいっているのでしょうか、これはどうなんでしょうか、これは技術局。
  66. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  先ほど私、三種類の交換方式を使っているということを申し上げましたが、このうちのステップ・バイ・ステップにつきましては、これは先ほど申し上げたようなこともこれあり、実は明細記録をとるための交換機としては、早くステップ・バイ・ステップをつぶしてしまって、クロスバーないし電子交換機で明細サービスをやりたいというふうに考えております。  それで電子交換機につきましては、これは新たにそういうプログラムをつくるということを大体主体にいたしまして、いろいろやれるものでございまして、これは要するに明細サービスをやりましても、比較的金がかからないでやれる交換機でございます。  問題は、先ほど八〇%あると申し上げましたクロスバーでございまして、この交換機につきまして、これはまだ相当長期間使っていくものでございますので、このものについて、この新しい明細記録の設備を新たに研究をいたしまして、ほぼこれの品物もできております。現在それを今年度、来年度かけまして技術的な確認の試験をやりたいということで計画を進めているところでございます。
  67. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、われわれ素人が考えてみても、これからまだまだ新しいサービスは十や十五の表題は出てくるわけですよ。ましてや電電公社は専門的にやっておられるのですから、国民のニーズにこたえて、新しい情報化社会に向かってのサービスを、どんどんと新しいサービスを開拓していく、それからいままでの古い設備もかえていって、本当にサービスをよくしていく、そういうところに全力を尽くす時期に来ていると思うわけです。  それで、総裁おっしゃったように拡充法が五十八年三月に切れます。いままで二十数年にわたって、その拡充法があったために、公社としては建設財源の調達には大変な役立ったものだと思うのですね。しかしながら、これが切れますと、後は一体どうして資金を調達するのか、電電債、公募債、縁故債その他によって資金の調達をするのだと思うのですが、聞くところによると、第六次以上に少なくとも第七次は建設資金も多くなるだろう、こういう見通しも持っているときですから、これからの公社経営というのは非常に大変だと思います。  時あたかも、五十四年度予算で四千億とか五千億とか黒字があるとか、あるいはいままで五年間で一兆何ぼかの黒字を出しているとかというようなことで、新聞紙上を見ると、利益金を国庫に納付させようという記事も私は見ました。一体これは何を考えているのだと私は思いましたね。電々公社がここまで来たのは、財務会計制度の中で、黒字になった場合、その黒字は電々公社が勝手に使うのではなくして、損益勘定から資本勘定に移ってこれは建設財源に充てるのだという、この目的のために国会の意思として第六十一条が修正されたのです。そして、その後二十八年たちました。公社制度そのものに対しても、私は時間があれば大臣にも聞きたいのです。昭和二十九年、三十一年と二回にわたって公共企業体審議会から、予算的にももっと弾力性のある公社制度に変えなさいという答申が出ているにかかわらず、それが今日までたなざらしになってきている。私は、参議院におった当時でも毎年大臣にも質問した、総理大臣にも質問した。検討します、やりますと言っておきながら、たなざらしになっている。そういう不十分な公社制度の中でとにかくがんばってきて、これだけの成果を上げたのでしょう。しかも、黒字だから勝手に公社が使えるのじゃなくて、ほとんど郵政大臣、大蔵大臣と協議しなければ使えない金である。しかも予算的にも千五百億なり二千億というものは黒字になるということを国会承認してつくった予算なんです。その上に努力をして千億なり千五百億円のさらに利益というか差益が出たということは、これら従業員の努力だったと思うのです。そういうものを、いまから大変な建設財源が必要なときに、一般会計、要するに国庫に入れろというようなことは、これは公社制度そのものを否定することだと思うのですよ。そんなばかげたことは断じて許すわけにいかぬ。だから、そういう意味でももう少し私はいろいろな意見を述べたいのですけれども、私は公社法の改正についてはできるだけ、いつも口を開けば大臣にも意見を聞いてきた。一度ぜひ二十九年、三十一年のを大臣読んでおいてください。本当にそれをやらなかったのは政府の怠慢ですよ、正直言って。私はかつてみずから党の案を出して、そして御審議をいただいたこともありますよ。われわれは数が少ないですから否決されてしまったのですけれども、そこまでやっているのに、にもかかわらず、そういうむちゃくちゃなことを言われたら、これは困る。だから、いま新聞紙上で言われているような、そういう公社の収支差益を国庫に納付すべしというような問題については、これはもう私は断じて賛成するわけにはいかない。公社法、公社精神を否定するものである。もっとよくしなければならないのに、逆じゃないですか。それは大臣どうですか、総裁も大臣も、この問題に対して私は一遍確たるところを聞いておきたかったのです、どうぞ回答してください。
  68. 秋草篤二

    ○秋草説明員 大変御理解ある御意見をちょうだいしましたが、この問題は私どもまだ何ら正式に、御当局というか行管なり大蔵省から相談に乗ってくれと言われたことはないのでございまして、新聞に出た閣議決定した行政改革の八項目と申しますか、その中に公社公団の余剰金の処理とかいう、きわめて観念的な言葉であって、電電公社ということは一言も聞いておりません。  しかし、いろいろと新聞にも出たり、ときどき意見を聞かれたりすることがございますが、いずれにしましても、公社の発足以来、公社制度について十分熱知されておる専門家でいらっしゃる鈴木先生のお説のように、そういう話は、どうもこの公社の制度そのものの原点に立って見ればなじまない議論であるということだけは、私言明しておきます。たまたまこの問題が記者会見で出て、私も大臣のところへ行って二人で、また大臣は二回記者会見に臨まれて、私と同じようなことをおっしゃられたことを記憶しております。したがって、これに対する万般の説明材料とかいろいろ準備は十分にしておるつもりでございますが、まだまだそういうものは盤に載せられておりませんので、十分注意深く対処していきたいと思っております。
  69. 山内一郎

    山内国務大臣 九月十二日の閣議におきまして行政管理庁長官から発言がございました。その内容は、特殊法人については「その経営基盤の強化に配意しつつ、財務の厳正化を図る観点から経営の実態を見直し、赤字国債の縮減に資するよう、国の歳入増加を図るための所要の措置を推進する」こういうことで行政管理庁長官から協力の要請があった。ここまでしかいまないのです。あとは、私の方がいろいろ特殊法人を考えてみますと、これは電電公社以外に余りないのですね。だからそういうことかなというような点を考えておりますけれども、どうも電電公社の、いま鈴木先生の強く言われた収支の問題についてPRが足りないように私は思うのです。何か現金がごっそり余ってしまって貯金でもしているような感じを与えるようなことを、これは強くPRをしてそういう考え方を修正してもらって、そういうことではないんだ、これこれの金はこういうような次の設備に投入しているんだというような点で、いまから、いまもやっておりますけれども、PRに強力に努めているところでございます。
  70. 鈴木強

    鈴木(強)委員 表面に出てきてないような問題を伺いました。しかし、私どもは新聞などを見ておりますと、かなり動きが出ておるのではないかというふうに懸念したものですから申し上げておいたわけです。収支差益というものは、いま大臣のおっしゃったように、決して電電公社が一存で使えるものではなくて、あらかじめ建設財源に充当するということになっているわけです。仮に千億なら千億の、国会で決めたより以上に収益を上げたというような場合には、債務償還も五兆三千億ということで、あるのですから、そういうところに回すとか、あるいはさっき夜間割引もありましたけれども、その割引とかいろいろな工夫をして加入者のサービスのために使わしてもらう。さっきの明細書の問題もあるじゃないですか。それからまた、もう一面は、公社法制度の欠陥ですけれども、やはり一生懸命働いた従業員に対して報いる道というものももう少し考えてほしいと思うのです。勤労意欲を持って、それこそいろいろな合理化の中で、猛烈な反対があるのが当然ですよ、にもかかわらず難事業をなし遂げたその労働者、働く職員の立場というものを考えていけば、やはりそういう面にさらに還元してほしいのであって、それを吸い上げていくということは公社制度の根本にかかわる問題だ、こう私は常々思っているものですから、少し早走ったかもしれませんけれどもこの席で申し上げたのですが、大臣、基本的にはそういう話があった場合には私と大体同感ですか。総裁もその点、そこだけでいいです、ちょっと考え方だけ……。
  71. 山内一郎

    山内国務大臣 鈴木先生と同じような考え方でございます。
  72. 秋草篤二

    ○秋草説明員 全く同感でございます。
  73. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  これで終わります。
  74. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  この際、午後零時五十分まで休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  75. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部喜男君。
  76. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、御就任以来逓信行政で大変御苦労なさっておるようでございまして、敬意を表します。  実は今日まで、大臣が就任された後委員会で所信表明というのをずっと行ってきたわけでございますけれども、今回は所信表明ではなくて、よくわかりませんが、ごあいさつをいただいたということだろうと思うのですけれども、これは、臨時国会では所信表明をやった前例がないからというふうな理由からおやりにならなかったと承っておりますけれども、一国の国務大臣が、行政を担当なさるわけですから、おれはこうやるというぐらいな所信表明はあっていいのではないかという気がいたしますが、どうですか。
  77. 山内一郎

    山内国務大臣 過去の例で所信表明を臨時国会でやったことがないということを聞いておりますけれども、私、就任早々でございますので何かあいさつをさせてもらいたい、こういうことで本日したような次第でございます。
  78. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 参考のために、私の記憶に間違いがなければ昭和四十七年ごろのことですけれども、各省では大臣が所信表明というのをやるわけです、ところが郵政大臣だけは所管業務説明というのをやってしまったわけです。これでは権威がないぞ、ほかの省は大臣が所信表明をやるならば、郵政大臣の権威にかけても所信表明でいけということを私が提起しまして、実はそれから郵政省も所信表明に変わったといういきさつがありますから、私は前例がどうこうということにそうこだわらなくてもいいのじゃないかという気がしますが、これは済んだことですから、内容はほぼ似たようなことを承りましたから、結構でございます。  そこで、第一点にお伺いしたいのは、大臣も御案内のとおり、今度の国会ではいわゆる憲法をめぐって多くの議論がございまして、その過程で残念ながら閣内の不統一が指摘されてきたこともやむを得ぬことだと思いますが、この傾向は憲法論議にとどまらない。最近の政府の政策発表や法案の提出等に当たっての姿勢が統一を欠いておる。たとえばの話ですけれども、いま問題になっておる、大きく国民期待されておる郵便年金法の改正の問題にいたしましても、所管する郵政大臣が年金法をこう改正する、こうおっしゃっておるのに、一方では大蔵省の方から反対が出ておるとか、マスコミですから明確なことはわかりませんけれども、ともかく国民にしてみればどちらが本当だろうか。とりわけさっき質問のありました預金限度額の引き上げの問題で、シルバー貯金などというのは、私はすばらしい思いつきだと思うのですけれども、これまた大蔵省の方が反対だなどということを打ち出しておる。そうすると、国民はどっちが本当だろうかと迷ってしまうわけです。しかも、これは国民が迷うだけでなく、それを代表する議員にまて累を及ぼしまして――衆議院にはそんな先生はおりませんよ、参議院の先生は、おれはおやじが特定局長だけれども、おれが大蔵委員だから郵政省と一戦交えなければならないと選挙区で言うて歩いているのですよ。これでは大変なことだとぼくは思うのですが、政策の発表に当たって、もう少し閣内を統一してから発表される必要があるのではないか。この点、どうでしょうか。
  79. 山内一郎

    山内国務大臣 御承知のとおりに、毎年予算編成が行われまして、予算編成のときにはいろいろ各省折衝しながら統一した予算というものを制定しているわけでございます。そのときには、予算にも関連する法令とか関連しない法令もございますけれども法律内容を統一してやっているわけでございますが、それまでの間各省で、来年はこういうことをやりたいというような考え方は、やはり自由に見解を述べた方がいいのじゃないか。それをひそかにしておいて、予算折衝のときにだけ話し合うというのは私はどうかと思っているわけでございます。そういう意味において、郵政省におきましても来年度はこういうことをやりたいという見解を発表して、そのときに大蔵省がすぐ反対するのもどうかと思いますけれども、それは十二月に十分に話し合って決めるべきものであって、その間はいろいろ意見があっても、かえって世論に対して、世間の人が、そうか、それならどっちがいいだろうというような考える余地も与えることはできますし、私はいまの段階においては意見が合わなくてもやむを得ないのじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。
  80. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう切磋琢磨をする意味からも大臣のような御意見もあろうかと思います。しかし郵政省がきょうそういう政策を発表した、あした大蔵省が反対をする、これでは国民が戸惑うのじゃないでしょうか。やはり郵政省が所管しておる国の歳入歳出に重大な影響のないような大臣の所管事項については、その真意を確かめて十分話し合った上で、どうしても賛成しがたいから世論に問わなければならないというのならば大蔵省が反対というのはいいでしょう。しかし、郵政大臣がきょう発表した、あした大蔵省は反対だと言う、幾ら切磋琢磨と言っても、これではいかがなものでしょうか。どうですか。
  81. 山内一郎

    山内国務大臣 そういう御意見もあるかと思いますけれども、私は黙っていた方がいいとは思いません。十二月決定の前といえども、やはりいろいろ意見を聞くためにも考え方を述べるのはいいのじゃないかと考えております。大蔵省のお考えはどういうことになるか、大蔵省にお聞きをいただきたいと思いますけれども、そういう点については今後も私は余り気をつけるつもりはございませんけれども、そういうことがあっても私はいいのじゃないかと考えております。
  82. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあぼくはこんなことまで言いたくなかったのですが、どうもそういう傾向だから大蔵以外の重要なところでない大臣は陪席大臣などと陰口を言われることになってくるのではないか。これは言いたくないことですが、やはり私が申し上げたように、大臣、ちょっと逃げられましたが、きょう大臣が所管事項について政策の発表を行って、直ちにあした大蔵省が反対をするというこの行き方はいかがなものか。若干の日にちかあって――何も決定してから発表するというのじゃないのです。若干の日程の話し合いがあって、政府部内の意見の調整は必要ではないのか、こうぼくは聞いているのです。どうですか。
  83. 山内一郎

    山内国務大臣 各省の政策を発表するに当たって、ある程度大蔵省で詰めて発表するということになりますと、恐らく発表する機会がなくなると思います。十二月の末になって予算折衝のときに初めて話し合いが行われるというので、先生のおっしゃるとおりになりますと発表の機会がなくなると思います。
  84. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、私が言うのは、所管をする大臣が優先すべきだ。そこで政策を発表する、財政と話し合った結果、財政上どうしてもこれは無理があると大蔵省が言うなら、その時点で大蔵の意見を出すべきであって、所管をする大臣が発表したものを翌日大蔵省がすぐ反対するというような行き方は問題があるとぼくは言っておるのであって、決して所管の大臣が政策を発表する機会を延ばせと言うのではないのです。それは大臣の所信があるわけですから、のろしを上げて結構だと思うのです。話し合いがつくかどうかは、もっと日を置いて議論して、その上でどうしてもまとまらぬものは、それは予算決定前でも結構です。大蔵省としてはこういう見解だ、それで、打ち上げた郵政大臣の政策はこうだと言えば、国民はどっちをとるか、こうなってくるのはいいのですが、いま私が申し上げておるのは、そういう所管大臣の見解が出た途端に、もう大蔵省がすぐ反対だとかなんとかいう発表をする、これでは余りにも同じ内閣の中で不統一であり過ぎるのではないか。  まあ見解の相違があるようですからこれ以上は言いませんが、そういう点について少し、これは大臣一人の責任ではないでしょう、率直に言って各省そうですから。少しはお話し合いをされる必要があるのではないかと考えております。それはお願いいたします。  次は、法案の提出に当たって、これも大臣お一人の責任じゃないのですが、非常に国会を軽視しておるように思われてならないのです。実は今回、先ほど大臣のごあいさつにもありました放送大学学園法案が提案をされるということでございますし、付託をされたようでございますけれども、その内容の賛否、これは後ほど少し議論をさせてもらいたいと思っておりますけれども現行放送法を変更しようとするものであることは間違いがないわけであります。これは現行放送体系の基本に触れる問題なのです。それだけに放送法の改正審議しなければならない当委員会責任もまた重大であると考えております。ところが、これは学園法の附則できわめて簡単に放送法の改正をうたっております。この法案が廃案になってきた一つの理由は、明らかにこの放送法の改正に対する議論が進まなかったということも間違いないのですが、この委員会ではかねがね議論をいたしまして、こういうような法案の提出に当たっては、学園法というものと、基本的な放送の体系にかかる放送法の改正は切り離して提案をしてもらいたい、逓信委員会で、放送法体系を変えることがいいかどうか徹底的に議論しなければならない、そういうことをお願いをいたしまして、それでできれば切り離してもらいたいということを強く主張してきたのでございますけれども、たまたま廃案になりました。廃案になったのですから、その機会にこれを切り離して、放送法の改正逓信委員会で十分議論をするという場と時間をつくるべきだったと私は思うのですけれども、これは付託された以上国会責任もあるでしょうが、そういうふうにこの委員会が主張し続けてきたのに、たまたま廃案になって再提案をするに当たっても、前と全然変わらないものをまた出してきておる。一体この委員会をどう考えておるのだろうか、国会というものを政府はどう考えておるのだろうか。どのような意見があってもそれは馬耳東風、一遍出したものは変えないという方針で国会というものを見ておるのだろうか、国会審議というものをその程度にしか考えていないのだろうか、この法案の提案に当たっての考え方を、政府を代表して述べてもらいたいと思います。
  85. 山内一郎

    山内国務大臣 私も参議院議員になっていろいろ経験をしてまいりましたけれども、一つの法律改正する案を提出する場合に、それにどうしても関係のある他の法律を一緒に改正しなければいけない場合がたくさんあるわけでございます。この放送大学学園法案も同様だと思いますけれども、大体のいままで私の知っている範囲では、附則で関係する法案を一緒にあわせて提出をして御審議願うような例がほとんどだというふうに考えております。  そこで、いま御審議のことに触れられましたけれども、私がそういう点まで言及するのはどうかと思われる立場でございますので、十分にこの逓信委員会においても放送大学学園法の附則である放送法のことも御審議をいただきまして、ひとつ御決定お願いしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、これは直接ではない、付託の関係があるのですが、おっしゃるように法律案改正に当たって、関連する法案でごく軽微なものについては附則でやるという場合が多いです。これは軽微であるから附則でやるのだと私は思うのですけれども、同時にまた、一昨年でありますか、進学ローンなどをつくったときには国民金融公庫法と郵便貯金法とは明らかに切り離してやっておるのです。そういう手段も講ぜられないことはないわけでございまして、特に私が申し上げておるのは、この放送法の改正という放送体系の根幹に触れるような大問題は附則などで改正すべきものではない、明らかにこれは切り離してこの逓信委員会で十分な議論を尽くすべき内容のものであるし、それが出てきて、そこで主張して、そうはならない場合は、これはもう出して終わりましょう。しかし、強く逓信委員会から要請をして、これは本来分離して出してもあいたいということをずっと言い続けてきておるのに、その機会があったにもかかわらず、やはり同じように附則で出してきておるということは、大臣の言葉からすれば、放送法の改正などというものは大したものではなくて、きわめて軽微なものであるというふうに考えておるということになりかねないのでございまして、それは先ほど附則でやるのが慣行になっておる、大体そうなっておるとおっしゃるように、同じように委員会審議の形態も、付託をされた委員会を中心にやることもこれまた慣行のようになっておるわけなのですから、したがって、出せば、これは文教委員会に付託されれば、文教が中心に審議をするというのも、これはいままでの経過から明らかでしょう。ですから、附則で出すのが大体普通のようですと言うなら、委員会審議も付託された方が中心になるのが普通です、こう言わざるを得ないのですよ。分くるか分けないか、それはやはりその法案の内容によって提案をする側が考えなきゃならぬ問題だ、早く言えば郵政省がもっと強く主張すべきだ、そう私は思っておるのですが、これは長いいきさつがありますから、大臣新任ですから、一言でいいが、事務当局の方から答弁をもらいましょう。
  87. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答えいたします。  この放送大学学園法の放送を認めることに伴います放送法の改正についてでございますが、先生ただいま御承知のように、従来国会において種々御議論をいただいたところでございます。私どもも、その辺の御議論を十分勘案いたしまして、なお関係の省庁とも十分協議した上で、なおこの法案が学園の目的なり業務と密接不可分な関係にある、そういう放送法上の関係にあるということで、まことに先生の御意見とは同じでないということは残念でございますけれども、学園の業務の実施に必要な点に限ってひとつ学園法案の附則ということで改正することを再び提案させていただいた次第でございますので、よろしく御審議のほどをお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  88. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは本当は答弁にならないので、私は、その放送法の改正というものがそれほど重要であると考えていたのか、いないのか、なぜ分離して出さなかったかということをお伺いしたのですが、それでは、法制局お願いしておりますが、ちょっとひとつ法制局の考えを……。
  89. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  まず一般論として申し上げますけれども、ある法案を御提出申し上げまして、政策目的をひとつそこで御審議を願おうという場合におきましては、やはりその政策目的が完全に満足させられるような形でお出しする方が、原則として申しますと、やはり適切なんではなかろうか。  そういう観点から申し上げますと、この放送大学学園法案につきましては、もうこれは先生の方がよく御存じだと思いますけれども放送等によりまして教育を行う大学を設置して、その放送大学における教育に必要な放送を行う等の目的の法人を設けましてそういうことをやっていこうということが法案の内容になっておりますので、したがいまして、当然に、放送を行うことになりますので、その放送を行う放送大学学園放送事業者としてどういう地位に立つのか、あるいはどういう規律の対象になるのかという問題が生ずるわけでございます。したがいまして、その点をやはり放送大学学園法案を御提案申し上げるときには一緒に解決できるような形でやりませんと、本来の業務の遂行というのについて十分わかりにくいということになろうかと存ずるわけでございます。  そういう観点からいたしまして、一体的にこれはその放送事業者としての地位なりあるいはそういう規律をするというのは当然放送法の問題でございますので、それはその法案の中で附則において放送法を改正するという形で御審議をいただくということになるのではないか。この点につきましては、先ほど来御議論がございましたように、いろいろ前からも御指摘もございますし、私どもとしても十分検討はさせていただいたわけでございますけれども、そういう点からして一体として、どうも切り離しては御提案申し上げにくいのではないかということで、前回同様の提案の仕方になったということでございます。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはまだ私、意見がありますけれども、ほかの問題がありますから、後ほどもう一点基本的に触れさせてもらいます。ちょっと委員長、いまの質問の方は保留しておきますから……。  次に、大臣もお話しになっておりますように、この郵政事業というのはその予算の七〇%が人件費でございまして、実質的には九〇%が人件費絡みの予算でございます。これはもう言うまでもなく、郵政事業が労働集約型の事業であるということでございます。したがって、この労務の管理、人事の管理、こういうものはきわめて郵政の施策の中で重点的な課題になろうと思うのでございまして、労使間の不信とか職員の不満を解決していかなければ、なかなか郵政事業はうまく回らないのではないか。このことはまた、郵政審議会郵便料金等に関する答申の中でもしばしば述べられてきたところでございます。しかるに、この郵政の労使というのは長年にわたって大変折り合いが悪くて、郵政マル生などという言葉が巷間流行するような紛争が続いてきたわけでございますけれども、最近、労使間のコンセンサスが進んでおるというふうに私、承っております。いよいよ年末首の繁忙の時期にも入るわけでございますので、労務政策についての大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  91. 山内一郎

    山内国務大臣 私も就任をいたしましてから、労使の関係というのが非常に重要である、三十一万ぐらいの郵政職員がございますけれども、一緒に仲よく労使が協調してやらなければうまくいかない事業であるということを十分認識をしているわけでございます。したがって、早速東京中央郵便局それから大阪中央郵便局にも、皆さん方が働いている状況を見に参ったわけでございますが、狭いんですね、職場が。非常に混雑をして、こういうことでは気持ちよく働けないんじゃないかということを感じましたので、従来からも改造あるいは移転、新築する計画もあるそうでございますけれども、それを促進をして、まず職場を楽しく働けるような職場にしたい、こういうことを感じたようなわけでございます。  また、公労委の裁定について一日も早くということで配分交渉も、特に閣議において発言をいたしまして、大体骨組みはできましたので、肉づけをして早くお払いをしたい、こう考えておりますし、また年末が近づきますと、毎年ございますように労使の交渉が始まりますけれども、私は誠意をもって十分に話し合いをしたい、こういう気持ちでいるものでございます。
  92. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかくコンセンサスができて労使関係改善の方向に向かっておると聞いておりますから、極力ひとつ大臣のいまのお話のような御努力お願いをしたいと思います。  これにちょっと関係しますので、人事局長お見えでしょうか。――ちょっとそれではお伺いしたいのですけれども、年末首繁忙に関連するのですが、本年の三月四日の衆議院の社会労働委員会でわが党の安田委員から詳細な御質問を申し上げておるのですが、アルバイトのあり方でございます。アルバイトのあり方についていろいろお伺いしたいのですが、まず第一点は、年末首におけるアルバイトの雇用計画と申しますか、それから賃金等も含めて大筋ちょっと御説明いただけましょうか。
  93. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 年末首繁忙の円滑な業務運行を確保するためには、当然のことでございますが、本務者の時間外労働のほかに非常勤職員の確保が不可欠の要素でございます。  そこで、本年度につきましては、十月一日からの小包郵便物料金改定に伴う物数の動向でございますとか、御審議お願いいたしております郵便法の一部改正との兼ね合いもございますので、具体的には、これらの動向を見ながら必要な雇用数を確保していくということになるわけでございますが、おおよそのところ、延べ二百十万程度の非常勤職員の雇用になるだろう、こういうふうに見ている次第でございます。(阿部(未)委員「賃金は」と呼ぶ)賃金は、ことしは内勤が予算上三千九十円でございます。それから外勤が四千六十円でございまして、これを具体的な使用ということになりますといろいろのところにアクセントをつけて使用してまいる次第でございます。
  94. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それから二点目に、アルバイトの労働条件についてですけれども、実は雇用に当たっていろいろ問題が起きておるようでございまして、前も質問しておりますように、学校によってはアルバイトをやらせないという高校などもあるようでございますが、それを黙って本人が来るとかあるいは家族が知らない間に本人がやってくるとか、いろいろな不都合もあるようでございまして、こういう職場や学校あるいは家庭、そして本人を含めて一体的な話し合いをした上で、いわゆる家族も学校も全部納得の上で学生のアルバイトの場合には使っていただくといいますか、そういうようなきめの細かい計画ができ上がっておりましょうか。
  95. 岡野裕

    ○岡野政府委員 郵務局長からお答えをいたしましたように、年末首繁忙におきましては非常勤、特に高等学校の学生さんのアルバイト、これに頼ります部分が非常に大きくなりますものですから、そういった意味で、こういった皆様方の労働条件につきましては、前々から一生懸命できる限りの配意をしてまいったところでございます。  今年もその高等学校のアルバイトにつきましては、当該地方公共団体でございますかの教育関係機関あるいはその学校、高等学校が中心でございますが、高等学校御当局等々にも早目にこういった概要等について御説明を申し上げ、その傍ら、御父兄の皆様でございますか、こういう方々にもごあいさつ状を差し上げてというようなことで御理解をいただき、私どものところでお働きをいただければな、こんなふうに思っておるところでございます。  なお、年末交渉の中では関係労働組合との間にいろいろな話し合いを、ただいま大臣からもお話がございましたように鋭意私どもも進めてまいりたいと思っておるわけでございますが、その中でまたこういったアルバイト学生等の諸君の労働条件についても必要な接触、意思疎通を図ってまいりたい。こんなふうに思っておる次第でございます。
  96. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変りっぱな方策で結果だと思います。特に本年の社会労働委員会での御議論の中で、たしか当時藤波さんが労働大臣だったと思いますけれども、労働大臣郵政大臣それぞれ、これは率直に言うと労使間の問題だというようなことで、労働条件についてはなるべく労使間で詰めてもらいたいという御意見があったようでございますから、いま人事局長お話しのように、労働条件等については関係する労働組合との間で十分ひとつお話し合いをいただきたいと思います。  それから、そのとき問題になったのが実はこのアルバイトの皆さんの労働災害の問題でございますが、大体国の機関で公務員としての身分を持たせて仕事をさせておるというのがたてまえになっておりますから、国家公務員災害補償法を適用して、あれは二名くらい亡くなった方がおいでになるんですが、補償をなさった。しかしこれは補償額に非常に無理があるのでございまして、本務者の場合の労働条件は退職金とかいろいろな問題がありますからこれは別にしまして、身分は国家公務員であってもアルバイトの場合には全くほかに補償の方法はないわけでございますね。いま文部省の方ででき上がった学災というのでも、学校教育中に起こった死亡事故については一千万円補償、そうなっておったと私、記憶しておるんです。一生懸命働いておって、早く言えば、国の仕事のお手伝いをしておって、そして命を落としたという場合に、六百何十万程度しか、補償ができないということで、郵政当局でも大変お気の毒に考えたのでしょう、関係の方と何か方法はないかということについて協議をいたしたいというのが本年の社会労働委員会の当局の御答弁になっております。人事院等にも当たってみたい、何か方法検討してみたいということでございまして、大体一年足らずたつわけでございますから、ことしの年末時の繁忙、あってはなりませんが、もしも学生の皆さんの中でそういう事故が起きた場合には万全の対策をとっていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  97. 岡野裕

    ○岡野政府委員 お答えをいたします。  ただいまお話をしましたように、非常に高校アルバイトの皆さんの労務提供に負うところが大きいということで、安全対策でありますとか、あるいは作業場におきますところの衛生対策でございますとか、一生懸命励んでいたところなのではございますけれども、先生お話しのように、昨年は残念なことに三名の学生アルバイトの皆さんがお亡くなりになる、まことに痛わしい事故が起こったわけでございます。というような意味で、この反省に立ちまして、私ども何かいい手段はあるまいかとあれ以来人事院御当局とも、職員局が中心でございますが、御接触を申し上げてまいったところでございます。これは、使用者が私ども国でありますし、それからアルバイト、非常勤の皆さんも国家公務員の非常勤職員ということでございますものですから国家公務員の災害補償法の適用以上のやり方というものができにくい、でき得ない現状になっておるわけでございます。何か便宜的に郵政省限りでといいますのも、財政、会計面からやはり不当な支出などということが許されるわけではございませんものですから、そんなところで考えますと、これはやはり現行の災害補償制度でございますか、この仕組みの中において、いま少し中身をりっぱにするというような手だてがないものかなという面につきましても寄り寄り御相談はしてまいったところでございます。  ただ、最近伺っておりますところによりますと、遺族の補償年金という制度、これが国家公務員の災害補償法の中にあるわけでございますが、この年金の改善につきまして国家公務員災害補償法の改善をしようというような御準備が関係当局の方で進んでいるようでございますし、それとの絡みにおきまして、人事院におきましては、遺族の特別支給金の問題それから遺族の特別援護金、この二つの金額をアップしようというような御計画がおありのようでございます。内々でございますものですからはっきりはいたしておらないのでございますが、こういったような中身が改善されますと、昨年あたり、先生もおっしゃいましたようにどうも五百何十万、六百何十万では少な過ぎるというお話でございましたところ、試算をいたしてみますと、二百何十万かこれにアップされるようなそんな計画になっているように承知をしているわけでございます。  というような次第で、いまのところ抜本的な施策というものはないわけでございますが、今後ともこういった意味合いにおきまして私どもも配意を十分こらしまして、事故等が発生しませんように努力をしてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  98. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何よりも事故が起こらないように配意をしてやるというのが基本でございますが、いませっかく御努力をいただいておるようでございますけれども、一例として私申し上げましたが、交通事故なんかで亡くなっても、あれは二千万ぐらいの補償になるわけですね。それから、学校の授業を受けておる間の死亡事故でも学災で一千万なんですよ。国の仕事をお手伝いしておって、そして事故で亡くなったのが二百万や三百万のアップでは、率直に言って非常にさみしい気がいたします。  そこで、もう一しぼり知恵をしぼっていただいて、三人寄れば文殊の知恵ということもございますから、関係組合等との間ででも少し話し合いをしていただいて、要すればまた人事院の方にも要請をするとか、ことしの年末に間に合うようにもうちょっと御努力がいただけませんか。
  99. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先生にいろいろ御教示をいただきまして、本当にありがとうございます。私どもも省の中の関係部局と、たとえて言いますならば、日雇健康保険法あるいは失業保険法、ああいった意味での措置といいますものが非常勤職員にはあるわけでございまして、これはただ法制度上かくあらねばならないというような定めに基づいて私どももなし得ることでございます。それ以外に、交通傷害保険制度の利用などというようなことも、ああでもないこうでもないということでやっているわけではございますが、これも任意加入でございますし、まさか国としまして保険料負担をするというようなこともいまのところでは許されておらないというようなことでございまして、先生おっしゃいますようなことで寄り寄り知恵はしぼってみたいと思いますが、なかなかむずかしいような現状になっておるわけでございます。
  100. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いろいろ方法が考えられなければならぬと思いますが、実は私がちょっと思っておったものを、人事局長がおっしゃるような賃金を少し上積みをして、その期間中の保険をかけてやるとか、本人の責任において、しかし負担は本人にならないような、何か方法がありそうな気がしてなりませんので、その辺も含めての御検討お願いしたわけでございますので、ひとつ知恵をしぼっていただきますように御要望申し上げておきます。  それから、先ほど保留いたしておりましたが、いわゆる放送大学学園の設立の問題についてもう少しお伺いをしておきたいと思います。  まず先ほど郵政省の方、法制局の方でお話しになったのは、こういう放送を使う学園をつくるとすれば、放送法のどこが抵触をするのか、そのためには放送法を変えなければならない、こういうような御趣旨に受け取れたわけでございます。私は、放送法というものがあり、郵政省がいろいろな免許制度のことを考えておるのは、放送というものが国民の生活にとってきわめて重大な役割りを果たしておるからだと思うのです。したがって、今日まで放送法体系として現行放送法体系が最もよいと言われてきたのは、その一つには、放送の国営は認めないという基本的な方針があったはずでございます。なるほど放送大学はそれ自体国営とは言えないかもわかりません。特殊法人です。しかし、実際にお金は国家が出すわけですから、金を出さぬでも権力というものは口を出したがるのです。ましてや、金を出しておって口を出さないようなものがあったら、それはお目にかかりたいぐらいでございます。そうすると、金を出す以上は当然国家権力がその放送に介入をしてくるおそれなしとしないのです。そういう問題について、電波を預かる郵政当局は、この放送法の枠を広げて教育の分野にまで利用させることの可否についてまず議論すべきだ。そういう観点からするならば、放送法を改正すべきかどうか。そういった放送法を教育の分野に使用することが望ましいという結論が出るならば、そういう放送法の改正を行った上で、大学はそれを使って教育放送するのは、それは勝手でございます。しかし放送大学をつくるから放送法を改正しなさいというのは主客を転倒したものであると言わなければなりません。現に私どもの経験からすれば、あの放送の中で、大本営発表というのが、国家権力が介入して、いかにでたらめなものであったかという経験を持っております。一たび放送を免許すれば、国家権力が介入をして、その放送がどういうふうに悪用されるか、これは想像ができません。いまの良識をもってすればそういうことはあり得ないとおっしゃるかもわかりませんけれども、それならば初めから放送法などという法律をつくる必要はなかったのです。つくってあるというのは、国民に対する放送の影響を考えて放送法というものが設けられておる。公共放送民間放送と二本立て放送が好ましいという契機や経過をたどってきた中で、いま突如国営放送とも思われるような免許をする。いや、免許するのではなく、国営放送をさせるために免許をするということになるのです。免許をしたから国営放送ができるのではないのです、言いかえれば。国営放送をさせるために放送法を改正して免許しなければならぬという理屈にこれはなってくるわけですから、主客転倒ではないか。早く言えば、われわれが、原子力の効用は説くけれども、原子力の危険について議論することを忘れておるのではないか。それと同じような心配が私はあるわけでございます。そういう意味合いから、この法案の提案に当たっては、放送法を預る郵政省責任を持ってこの委員会審議を付託するような手段を講ずべきであった、私はこうずっと主張し続けてきておるのです。きわめて便宜主義に放送を使って大学の教育をやります、だから放送法を改正しなさいなどというのは、放送法のたてまえから言えば全く主客転倒であると私は思うのですが、どなたか、この点明快な答弁のできる方は答弁をしてもらいたいと思います。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生御存じのとおり、この放送大学学園法案というものは四十四年以来いろいろ審議されてまいったわけでございますが、その間の放送大学懇談会あるいは準備のための会議というようなものを通じまして、この法案は大学教育の機会に対します広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送普及、発達を図るということできわめて有意義であるということで進めてまいったわけでございます。  先生のただいまおっしゃいました、この放送大学というものは現在の放送の基本体制に根本的な改正を与えるものではないのかということでございますが、それは現在まで二本立てと申しますか、そういう体制の中にいま一つ入るという意味では体制の改正でございますけれども、私どもいま提案、御審議いただこうとしております大学学園の放送につきましては、学校教育に基づく正規の大学のための放送にくっきりと限定をしておるということで、その意味におきまして既存の放送秩序に及ぼす影響はほとんどないというふうに考えておるわけでございます。したがって、学園の放送を認めたといたしましても、これによりまして放送の基本体制を変えることにはならないというふうに考えておるわけでございます。  また、人事その他業務につきましては、主務大臣――会計、財務に限るというような条文もありますので、その辺で十分先生御心配の点も解決できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  102. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 当局はそうお考えになっておるということは、私わかりました。しかし、それなら、当局はそう考えてそれに間違いがないものならば、何もこれを国会の場で審議する必要はないのでございまして、当局のお考えはわかりましたけれども、これはやはり大臣民間放送事業者を一つふやすとかいうようなこととは意味が違うのですね。民間放送事業者が一つ二つふえたからとか減ったからとかいうことは私はそう大したことじゃないと思うのです。これはさっきから申し上げておるように、いまのところ法規制をいろいろつくってはあるにしても、やはりこれは国家権力が介入した放送になることは間違いがないわけですよ。その放送の限界がどこまでいくのか、一体大学の学問というのはどこが限界なのか。時報は学問のうちに入るのか入らないのか、時報も学問のうちに必要でございます、天気予報はどうかということまで必ず問題になってくるわけです。そうなってきたときに歯どめがかかってこないのじゃないか。かかるかもわかりません。かかるかかからないか、だからこの放送法の改正に当たって十分な議論を尽くすべきである。私は反対というんじゃないんですよ。放送法の改正に当たって議論を尽くすべきであるというのが私の主張であって、私は何も頭から反対とか賛成とか言っているのではないのです。議論の仕方に問題があるというのが第一点です。  二点目。大蔵省、お見えになっておりますか。――これに要する予算はどのくらいの予定になっておりますか、ちょっとお聞かせいただきます。
  103. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、ただいま昭和五十五年度の予算におきましては、現在のところ放送大学の運営費とそれから出資金を合わせまして三億円の予算が計上されているだけでございますが、これを全体としてどう見るかという点につきましては、先生御案内のとおり、ただいまのところはいわゆる第一期計画というものに限定をして具体化を進めていこうという段階だと存じますので、私どもとしましては、第一期計画というのがまあこの程度の規模であるかというようなことにつきましては、大まかな話は文部省から聞いております。第一期計画の数字全体を私どもがまだ査定をしたとかいうことではございませんが、本当に毎年度の予算編成していきます中で文部省が第一期計画全体でどのくらいを考えているかということにつきましては、資本的な経費として九十億円余りがかかるんではないかというふうに聞いております。この第一期計画のそういうお金、私どもは別途検討させていただきますけれども、その総体が今後数年、第一期計画が完成するまでの間に分散して措置されるということになるのかなというふうに思っておる次第でございます。
  104. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省はそういう答弁しかせぬだろうと思っておったから余り予定してなかったのですが、私どもが聞いておるところでは、一期計画は文部省の考えでは一千億を超えておるはずです。いま大蔵省は、財政が非常に厳しいのでとにかく歳出、支出を切り詰めるということで努力をされておるというふうに聞いておるのですけれども、これは法案が成立して着手すれば金を出さぬわけにいかぬのでしょうが、同じ文部省の所管の中で、財政を切り詰めるために義務教育の教科書の無料配付さえ規制を加えなければならないのではないかという議論が起こっておる中に、私は後ほど申し上げますが、そう一日二日を争わなければならないような問題でもないこの放送大学に、一期計画一千億の支出をするなどということは、国家財政の見地からも非常に問題があるのではないかと思いますが、その点は大蔵省はどうですか。
  105. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 ただいま先生からお話ございました一千億とかあるいはそれに近いような八百億、九百億というようないろいろな数字を、全国をカバーする段階ではというふうな形で文部省から聞き取りをしたことはございます。ですが、ただいま具体的に進行しておりますのは、先ほど私が申し上げましたいわば一けた下の、ただいまの進行しております第一期計画というのは資本的経費で見まして九十億円余りというふうに私どもは承知しております。これを私どもは査定をしなければならぬと思いますけれども、またそれの支出も、これが第一期計画自体が終わるまでに相当長い期間かかるわけでございますから、そういう中で、ただ、先生おっしゃいましたように大変厳しい財政事情で私どももいろいろな歳出の見直しを各省にお願いをするわけでございますけれども、そういう中でございますから、予算編成の中で十分慎重に対処していかなければいかぬと思っておりますけれども予算の規模といいますのは、いま私が申し上げたような感じで何とか予算措置されていくのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  106. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国の財政がことし一年か来年にかけて二年ぐらいで簡単に立ち直るようなものであるならば、今日皆さんもそんなに御苦労はなさらないのじゃないですか。やはり昭和六十年なり六十五年というようなものを目標に置きながら国の財政の再建を図ろうとなさっておる。一期計画というものはそんなに百年も先にかかるわけじゃないのです。ほぼ似た期間で進行していくはずなんですよ。いやでもおうでもこれができ上がれば大蔵省は金を出さなければならぬ、つくっておいてほっておくわけにいかぬでしょう。そういうことを私はお伺いしておるのです。ですから、この計画は大蔵の立場からは財政の見通しが立つまでもう少し待ってもらいたいとか、そういう御意見はないのですかということですが、どうですか。
  107. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 先生御案内のとおり、放送大学の問題につきましてはもう昭和四十年代の早い時期からずっと今日まで議論が詰められてきたわけでございますが、そのいろいろな過程におきまして、私どもは、先生のお説にもございましたように、財政的に大変な負担である、その効果がどうであるかというような問題については相当文部省にも迫って検討していただいたつもりでございます。その結果といたしまして、政府全体といたしまして放送大学学園というものの発足あるいは放送大学の発足ということにつきまして一応の結論を得まして法案を提出しておりますので、何とぞ御了解いただきたいというふうに思います。
  108. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 こういうときには不思議に内閣は一体になるんですね。都合が悪いと内閣はばらばらですが、こういうときには内閣はきわめて一体となって、皆さんのお話ですと、法案を提出した手前反対するわけにはまいりませんのでというようなささやきも入ってくるのですが、ここに来ると内閣は完全に一体になっておるようで大変結構なことでございますが、さて、つくりたいという文部省からいろいろ大蔵省はお話を伺っておるようでございますけれども、そこで文部省にお伺いをいたしますが、私どもは、これは当初計画では大体東京タワーから電波の届く範囲しかエリアに入らない、カバーできない、そう聞いておりますが、そういうものでございますか。
  109. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 ただいま先生からお尋ねがございましたように、第一期の計画といたしましては、東京タワーから電波の届く範囲内を当面考えておるところでございます。
  110. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私、専門じゃありませんが、教育の機会均等とかのことがいろいろ言われておりますし、したがって教育が地域によって長い間にわたって差が出るというようなことは余り好ましいことではないのではないか、素人考えですが、そう思います。しかし、いまの計画によりますと、全国をカバーできるまでには少なくとも十年以上の歳月を要するように私は理解をしておるのですが、せっかくいま放送衛星という新しいシステムによって全国がカバーできるような放送の技術が開発されつつあるようでございます。しかも、それも十年や二十年先というのではなくて、昭和五十七年には試験にしろ放送衛星を打ち上げてそれを実用に向けていこうという計画が進んでおる。とするならば、当初の計画が一年か二年おくれても、その放送衛星を利用して全国をカバーできる時期がどれだけ早いのか、その方が放送学園にとっては大事なことじゃないのでしょうか。
  111. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生御指摘のように、教育の機会均等ということはもちろん大変基本的な一つのたてまえでございますので、私どもとしてもそういうたてまえに立っていろいろ教育についての施策について進めているところでございます。ただ御案内のとおり、この放送大学というのはわが国でももちろん最初の試みでございまして、しかも、先ほど来お話のございますように、全体計画としては大変大規模なプロジェクトになるものでございます。したがいまして、当面私どもの対応といたしましては、段階的にかつ慎重にこれを進めていく必要があるわけでございます。もちろんそういう観点には財政的な観点も入っておるわけでございまして、それらを全体的に勘案いたしまして、当面は東京タワーが利用できるということも留意しながら諸般の資料を得るということも必要でございます。  もちろん電波を使う放送大学でございますが、大学教育としましては、ほかに学習センターを設けてスクーリングもやるということも必要でございます。そういう具体的なスクーリングをやる際に、スクーリングと放送との組み合わせでございますとかそういうことにつきましても、もちろん先ほど申しましたように、これは新たな試みとして行われるわけでございます。さらに、こういう放送大学を進めることによりまして、従来の既存の大学についてもいろいろ、あるいは単位の互換でございますとか、そういうような各般の面でこれからの大学教育の改善といいますか、国民に開かれた大学教育を進めていくということで非常に大事でございます。しかしながら、全体を進める段取りといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、具体的な資料も得ながらそれをさらに着実に前進させていくことが必要であろうかと思って、ただいま御説明申し上げているような段階を経て進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  112. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれ私はこの法案の審議に当たってもっと詳細に議論をさしてもらいたいと思いますけれども、いま申し上げましたように、まず第一点は、放送法を改正をして大学の教育にこれを使うことがいいことが悪いことか、そこにはいわゆる国家権力の介入というような問題もいろいろ検討しなければならない疑問点があるから、もっと時間をかけて放送法の改正については議論をさしてもらいたいということが一点目。  二点目は、仮に放送利用する大学が必要であるという結論になったとしても、教育の機会均等という意味から考えればむしろ一番最後をどこに持ってくるかということの方が大事であって、最初をどこに持ってくるかというのがこの場合には大事ではないという気が私はいたします。そういう意味から、放送衛星の実用化を待って全体の計画を――これはつくった方かいいという場合ですよ、全体の計画を繰り上げる。その方がはるかに教育の機会均等という意味からも、この大学を設ける趣旨からも妥当なのではないか。  三点目は、先ほど来議論しました国家財政がきわめて緊迫しておる今日の事態の中で、同じ文部省がお金を使うならばもっといま緊急を要するところに使わなければならないところがあるはずだ。そういう意味から考えれば、これはいまあわてて審議をして成立をさせなければならないほどのものであろうかということについて非常に疑問を持っておるという意見を申し上げておきます。あとは委員会でのこの法案についての審議の際にまた意見を述べさしてもらいたいと思います。大臣もよくお聞きとりをいただきたいと思います。  それでは、引き続いて質問をさしてもらいますが、先ほど畑委員の方からもちょっと質問があったようでございますけれども郵政省がいわゆる新しい郵便年金をつくるのだというふうに誤解をされておる向きもあるようでございますけれども、私も長年郵政事業の下の方に携わってまいりましたが、私どもの感覚では、保険年金と一緒に呼ぶくらい郵便年金というものは郵政事業の中で不離一体をなしてきたものでございます。たまたま戦後の経済の変動でしばらく取り扱い中止という期間はありましたけれども、経済が落ちつけば当然これは復活するはずのものだ、そのときにどういう内容で運用されるんだろうかということについて大きい関心を持っておったわけでございます。ところが、大臣発表されましたようにすばらしい内容で、いわゆる公的年金の補完として老後を自分で守っていこうという、そういう構想からもこれは大変りっぱなものだと思いますし、気をつけて新聞も拝見しておりますが、投書などでもこれに対する反対の意見というのはほとんどありません。金融機関の一部程度で、あと多くの方々がこれに期待をしておる。  それからもう一つ、私はこの年金の制度というのは民間の保険会社にもあると記憶しておるのです。民間の保険会社にもあるのならば、この国営のいまある年金制度を改善することによって切磋琢磨して、よりよい内容のものを国民サービスすべきであるし、また国民に幅広い選択肢を与えるべきではないか、私はそういう考えを持っておるのですが、この点について、大臣なり関係の局長さんから御答弁が願えればありがたいと思います。
  113. 小山森也

    ○小山政府委員 御指摘のとおり、郵便年金は大正十五年から郵政省で取り扱っております。また、民間の生命保険は、三十五年おくれまして昭和三十五年からこの種の年金を取り扱っている次第でございます。なお、先生が御指摘になりましたように、この年金制度は大正十五年につくられました当時そのままの制度であった関係上、特に第二次大戦後の急激なインフレというような経済の大変動というものに対応し切れなかった点がございまして、一時昭和二十年に二百万件の加入があったものが現在では八万件に減少しているという状態でございます。したがいまして、このような郵便年金の仕事を郵政省がすべきであると法律によって命ぜられております郵政省といたしましては、このままで放置しておくことは法律のたてまえ上非常に問題があると考えまして、特にこれから到来を予想されております高齢化社会というものを控えまして、これを現実の社会に合わせるような形で改正すべきである、こう考えまして、約三年間にわたりまして、外国の事情調査しあるいは国内の権威ある学者の方に研究会を開いていただきましていろいろ検討しましたその結果、昨年秋、郵政省の新しい形での郵便年金の構想というものを発表したわけでございます。  なお、これにつきましては、御指摘がありましたように、まさに公的年金というものはますます今後充実されなければならないものと考えておりますが、それと同時に、公的年金の持っております性格上、画一性というものがどうしてもございます。そういたしますと、個人個人の生活の中にはいろいろな生活に対する欲望というものが段階を経てございますので、それぞれの段階において、自己の生活に対する満足感を得るためには自分自身で自助努力をしていくということをしなければならないのではないか、そういたしますならば、国営事業といたしましてもそのような国民自身の自助努力を国の事業として支えていく方式を現実的にとるべきである、こう考えている次第でございます。したがいまして、そのような観点に立ちまして、本五十五年度予算においては一部未調整の部分がありましたので発足には至りませんでしたが、五十六年度の予算においてはぜひこの制度を発足に持っていくように努力したいと考えております。
  114. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 詳細に説明をいただきまして、全く同感でございます。ひとつ大臣、不退転の決意を持ってこの実現を期してもらいたいと思いますが、決意を聞かせてください。
  115. 山内一郎

    山内国務大臣 趣旨についてはただいま簡易保険局長から説明したとおりでございますので省略いたしますが、非常に老齢化社会になりまして、自分の年金が均一に毎年同じような額をもらっていると、額は実質的に下がるのと同じですね。それじゃ非常に不安でございますので、何とかしてこの新しい年金を五十六年度から実施するように重大な決意を持って臨みたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  116. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、グリーンカードの問題については大蔵との間で意見の調整が終わっておるようでございますからその内容には触れませんけれども大臣、これは聞いておいていただきたいのでございますが、このグリーンカード制度というのは、そもそも税金を取る、いわゆる脱税を防ぐための一つの手だてだと私は理解をするわけでございます。なるほど、郵便貯金なり銀行の預金を利用して脱税をするということはこれ自体きわめて不都合なことですけれども、脱税をたくさんするほどの財産を持っておる人間がそうたくさんおるはずはないと私は思うのです。私どもの知っておる郵便貯金の分野においても、それはごく限られた一部の方たちだろうと思います。  そこで、国家財政が厳しいから何とかして少しでも税金を取らなければならないと言うし、国民として税金を納めるのはこれまた当然の義務ですけれども、一体郵便貯金が発足して以来、特に終戦後貯金をされた方々が貯金をしておってもうかったのでしょうか。郵便貯金にうたわれておる財産が安全に守られたのでしょうか。およそ消費者物価の上昇と貯金の利子とを比較してみると、いつの場合にも貯金の利子の方が低いのです、物価の上昇の方が高いのです。消費者物価よりも低い水準でしか貯金の利子は支払われていなかった。明らかに貯金は目減りをしております。それはこの三十数年の間に一年か二年ぐらいは消費者物価の方が下回ったことがあるかもわかりませんけれども、しかし、ほとんどの年次において郵便貯金の金利は消費者物価の上昇に及ばなかったわけです。ですから、大変な犠牲を払って、しかしほかに手段がないから、病気をしたときにどうしようか、子供を学校にやるためにどうしようかと思うからこそ、この貯金という手段にすがってきたわけでしょう。国民はこの三十数年間、この貯金をするために実際には大変な犠牲を払ってきておる。だれか、貯金の利子の払い方が少ないといって訴訟を起こしたのがありましたね。負けたようでございますけれども、そういう長年にわたって零細な庶民がほかに手段がないから貯金に頼ってきて、しかも――国の政策の上でこれは悪かった、よかったは言いません、いわゆる物価が上昇していったために犠牲をこうむってきた。それに対して何の補償をしてやっただろうか。何の補償もしてやっておりません。しかるに、いまごく一部の人間がこれを利用して脱税をしておるなんとかいうことで、それでこのグリーンカード制度などというものを設けて、私はこれが角をためて牛を殺す結果にならなければいいがということを非常に心配をしておりますし、またこれはきわめて繁雑な手続であるということは間違いございません。郵政省等でもいろいろお考えになるでしょうが、あの子供たちが学校でする預金一つにしても、厳格に言えばグリーンカードを持っていかなければ預金ができなくなるのです。わずかな不心得者がおるからといって、こんな繁雑な手数を国民の負担に押しつけるということは私はきわめて不満ですけれども、せっかく話し合いがついたようですから、しかし、運用をしてみて悪いところは早く改めてもらわなければならない。  一体グリーンカードを紛失したらどうなるのだろうか。気の小さい人はグリーンカードのために夜も寝られないかもわかりません。それほどこれは繁雑な手数を要するものであるし、しかも明らかなように、郵便貯金は「一の預金者」という規定がある限り、たとえば贈与とかいう問題は別にして「一の預金者」という規定がある限り、ちっちゃい子供までみんな預金はできるのです。そのちっちゃい子供の名義でする預金にもグリーンカードは要るはずなんです。これは大変なことだと思うのですけれども、せっかく大蔵との間で話が煮詰まったようですからそのことについては触れませんが、これはひとつ心をしていただきたい。特に、長年にわたってほかに手段がないから貯金をして、国はそのお金を使って財政の運営で大変楽をしておる、そして一部の方々はそのお金で投資をして莫大な土地を買い占めたり、ビルを建てたりあるいはマンションを建てたりして、お金が目減りをしないどころか何十倍にもなって返ってくる。常に犠牲をこうむっておるのは零細なお金を預金してきた庶民大衆であったということを忘れないでもらいたいということでございます。そこにもってきて大蔵省が一部の不心得者をたしなめるためにグリーンカードなんという制度を押しつけて国民全体に大変な負担をさせる。もっとほかに私は税金を取る方法はあっただろうと思うのですが、知恵の一番ある大蔵省ですが、そのことは特に大臣に心しておいてもらいたいと思います。  次に、先ほどこれも畑委員から質問の出ました貯金の限度額の問題ですが、これは、先ほど私が冒頭議論した、閣内の意見の不統一があるようでございますけれども、今日の社会情勢の中で、ちょっと物価指数を調べてみましたが、昭和四十八年にいまの総額制限を設けてから今日までの物価の指数あるいは個人の所得の伸び、おおむね指数では一九〇台に上っておるようでございます。したがって貯金の限度額が――片方でグリーンカードをつくるのですから、片方ではもっと要求に応じたものをつくってやらなければならない。その意味で私は、今日の物価指数から考えて五百万という限度は適正であろうし、また、特に老後のみずからを守る制度としての大臣の言われるシルバー貯金、こういうものは私はきわめて時宜を得た施策だと考えておるわけですが、大変先走って恐縮ですけれども大臣、大蔵省から押されがちでございませんか、どうでございますか。
  117. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ貴重な御意見で、最後の押されぎみというのはよく意味はわかりませんけれども、私は私なりに懸命に努力をいたしまして、来年度はひとつ実現したい、こういう決意でいるわけでございます。
  118. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時間が参りましたから、前の委員会でちょっとお願して、村上さんが郵政大臣でしたから昭和五十二年ごろだったでしょうか、郵便局の窓口で起こる欠損金の問題で、いわゆる任意弁償という制度をいま郵政省はとっておる。これは経理局の時代ですか、貯金も関係ありますか、これは大臣、損をしたときには、窓口の決算が合わず金が足らないときにはあんたが払いなさい、任意に弁償しなさいということですね。余ったときどうするかというと、余ったときは国庫に入れなさいというわけです。これはちょっと無理がありますので、何とかひとつ適当な解決の方法を見つけてもらいたい。たしか大臣がそのときに年度末までと言ったから、昭和五十三年の年度末には目鼻がつくと私は思っておったのですが、どういうものか、もう五十五年になってしまいまして、非常に残念でございます。時間もございませんから、関係者の間でひとつ作業を進めていただきたいと思います。  最後に、大臣お願いしておきたいのですけれども簡易保険の余裕金の運用については、これは大臣簡易保険の積立金の運用をすることになっておるのですから、同じ性格のものでございますから、このために簡易保険の加入者は年間百億損をしておるのです。これは本来国の国庫にある金じゃないわけなんですから、大臣の所管にかかわる積立金の一部を、理屈をつけて余裕金といって勝手に大臣の運用から外しているわけですから、これはひとつ積立金と同じような運用をするように鋭意大蔵省と折衝を重ねていただいて、簡易保険加入者の利益を守ってやってもらいたいと思います。  以上、全般の問題について大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。
  119. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  任意弁償の問題につきましては、会計検査院との間で種々折衝いたしておりまして、おおよそ解決にめどがつきつつあるということをお答え申し上げておきます。
  120. 小山森也

    ○小山政府委員 余裕金の問題につきましては、御指摘のとおりの点がございますので、私どもといたしましては、積立金と同様に郵政大臣のもとで運用すべきであるとして、今回の重点施策として五十六年度の運用法等の改正案として要求している次第でございます。
  121. 山内一郎

    山内国務大臣 いま説明をした状況で、まだ完全でございませんので、できるように私は最大の努力をしたいと思います。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  123. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  124. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最初に、郵政大臣にお伺いしておきます。  この郵政行政国民日常生活に最も密着したものであること、さらにまた、一連のいままで続いてまいりましたいわゆるKDD事件や、さらにまた綱紀の粛正等々、今後国民の信頼にこたえていかなければならない立場にございます。そこで、今後また料金問題やあるいは国民へのサービス改善、安定した労使の関係等々、そういった面を含めて非常に重要な時局の中で、郵政大臣としての御決意を最初にお伺いしておきたいと思います。
  125. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほどごあいさつ申し上げた中にも入っておりますけれども、一番重大なのは、いま先生のおっしゃいましたとおりに国民の信頼を得ることである、貴重な貯金を預かったり、あるいは郵便ということを信頼してわれわれに任されておるわけでございますので、信頼ということをまず第一点に、私、方針として考えておるわけでございます。  それから、KDDのような事件がございましたので、私が郵政大臣を任命されました際には、総理から特に注意をするように、綱紀粛正が第一であるぞ、こういう強い指示を受けたわけでございます。したがって、私も就任のあいさつにおきましてその旨を伝え、なお予算の執行ということは、予算というものは国会がちゃんと決めたものである、そのとおり執行するのが国家公務員の務めであるということで、厳正な予算の執行をすべきである、こういう点を強く強調して指導してまいっておるところでございます。
  126. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、電電公社の調達問題に関してお伺いいたします。  その後日米の交渉が何回も行われて、最近大来・アスキュー会談、そういったものを踏まえてその状況を概略御説明ください。
  127. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいま先生御質問の十月三日の大来・アスキュー代表の会談に至るまで、昨年の六月二日にストラウスさんと日本の代表との共同声明が出まして以来、約七回にわたりまして事務的な折衝を持ってまいっております。  初めの四回までは主として日米間の電気通信市場の実態と日本におきます電電公社の資材調達の状況、それからアメリカにおきますAT&Tを含む電気通信市場の調達の実態、こういうものについてお互いに実態の認識を深めたわけでございます。  五月以降、先生も御承知のように、アスキューさんも五月に日本に参りまして、離日に際しまして、電電公社の調達問題はすべてガットの中で処理をしなければだめだ、こういう発言がございまして、その後電電公社としましてもこの問題の解決のために真剣に努力を重ね、検討を加えてまいりまして、外務省、郵政省の御指導のもとにいわゆる三段階方式という提案をいたしまして、この三段階方式の提案を十日以降五回、六回、七回と説明をしてまいっております。アメリカ側もこの新しい提案に対しまして回を重ねるごとに理解を深めてまいっておりまして、私どもは今後、いまの提案に対しまして最終的にどうしても話し合いをつけたい、このように考えておるわけでございます。
  128. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そのいわゆる三種に当面仕分けする三段階方式でございますが、これの内容説明してもらうのと同時に、電電公社としてこの問題を三段階方式というものにどの辺までの受けとめを持っておるのか、どういう方針で進んでいくのか、その辺も含めて説明してください。
  129. 山口開生

    ○山口説明員 ただいま提案しております三段階方式について簡単に申し上げますと、第一の段階は、電電公社が調達いたします物品のうちきわめて市販性がある物品でございまして、一般の市場で競争入札でもって調達できるものを第一の分類にしてございます。  第二の分類につきましては、電電公社が使用します機器のうちで、市販性も相当ありますけれども、必ずしもそのままずばり電電公社が使うというわけにはまいりませんで、若干の手直しなりあるいは標準化なりをいたしまして、継続的に購入をしていくものを第二分類にしてございます。たとえば汎用的な宅内装置とかあるいはモデム、こういったものがその中に入ると思いますが、そういうものでございます。  なお、第三の分類にしてございますのは、市販性のないものでございまして、公社特有のものを電電公社が研究開発をしてまいりますものですが、これにつきましては、研究開発の当初から関係のメーカーに参加を求めまして、一緒に研究開発をしていって、後、実用化を進めていく、こういうものでございます。研究開発が終わりますれば、引き続いてそのメーカーから購入をしていこう。  こういうふうに三つに分けてございますが、いずれにしましても、第二段階第二分類のもの、第三分類のものに対しましても、日本の国内だけではなくて外国のメーカーにも呼びかけよう、こういうような提案をしておるわけでございます。したがいまして、この提案に対しまして、私どもはアメリカが主張しております内外無差別あるいは電電公社の閉鎖性、こういうものに対しまして十分にこたえ得る回答案だと考えておりますし、事務レベルの交渉を重ねてまいります中で、やはりこの問題については向こうも真剣に耳を傾けてくれていると信じております。なお、私どもとしましては、この方法が今後の電気通信施設の調達の効率的な運用から考えても最もふさわしいものだ、このように考えております。
  130. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それで、今後大統領選挙等が近く行われていく、そういう中で今後の会談の見通し、そしてまたこの電電調達問題に関して今後の日本側としてのその対応の仕方、こういう方向に持っていくんだというこちらの決意、そういったものがありましたらそれを……。簡単でいいです。
  131. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  私どもとしては正式に答える立場にないのかもしれませんけれども、大来・アスキュー会談が九月に持たれましたときに、この問題の決着を十月末にというような話があったように伺っておるわけですが、その後の会談によりまして、アメリカ側から、十月末の決着には時間的な余裕がない、アメリカの中でいろいろと各方面の説得に時間がないということで、十月末決着はずれまして、十一月の選挙以降になる、こういうふうに私たちは聞いておるところでございます。したがって、そのように運ばれていくのであろうかと思っておりますが、いずれにしましても、先ほど申しましたように、私どもが現在提案しております案につきましては、郵政省、外務省の御指導を得つつ本案についての解決を図っていきたい、このように考えております。
  132. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 次に、電電公社にお伺いしたい点は、納付金とかあるいは電話税、こういった問題がクローズアップされてきておりますが、それを伺う前に、五十一年に値上げがございました。それは一体どのような根拠でもって値上げ幅を決定し、その時点での将来の見通しをどう判断したのか。また、その値上げ幅の妥当性、その意義づけ、そういったものはどういうふうに行われたのか、説明をしてください。
  133. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  前回の料金改定、これは五十一年の十一月から実施されたものでございますが、その料金改定は、五十一年から五十三年の三年間を算定期間といたしまして、もし料金を上げなければその間に見込まれる赤字等を補てんする、また改良投資充当分、これは収入比の三%でございますが、それと過年度の四十九年、五十年度の赤字回復分と、この三つ合わせたものを必要額といたしまして、基本料を二倍、それから度数料を七円から十円ということを主な内容といたしまして国会の御審議を経て定められたものでございます。この値上げ幅は平均的に見ますと約三四%の値上げ幅ということになっております。  それで、実績的に見ますと、当初は五十一年の六月から料金値上げをお願いしたいということで国会に御審議お願いしたわけでございますが、実施が十一月に遅延したというようなことによりまして実績収入は料金改定案よりも大分減ったわけでございますけれども、他方支出につきましても経費の節減というような努力を最大限図りまして、また、経済情勢が安定していたというようなことから支出の面も相当に減らすことができたということで、収支差額はその三年間でほぼ同額に、一千億円ほど少のうございましたけれども、おさめることができたということでございます。  それで、先生の御質問の最後の点でございますが、じゃこれ以降どのように考えていたかということでございますが、五十四年度につきましては公社として正式に、幾らぐらいになるだろうというようなことが実は算定してございませんで、ただ五十四年度は黒字でもつであろうということを見込みとして持っていたわけでございますが、実行的には、その後景気が非常に良好であるというようなこと、また経費の節減に努力したというようなことで五十四年、五十五年、五十六年というところまで黒字で推移していくという状況でございます。
  134. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その時点で、三年後にはまた赤字になるのじゃないかとかあるいは値上げをというような意見があったのかどうか、その見通しをどういうふうに立てたのかはちょっとまだはっきりしませんが、最近の収支状況というものが、利益剰余金、相当大きなものが計上されて累積剰余金も一兆三千億円に達しておる、こういう報道がございますけれども、最近の収支状況の実態、これはどうなっていますか。
  135. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  最近の決算は五十四年度でございますが、総収益が三兆八千五百五十六億円、総費用が三兆四千二十七億円で、差し引き収支差額が四千五百二十九億円の黒字になっております。五十四年度は御承知のとおり景気の好況も大分幸いいたしまして、収益がかなり伸びた、あわせまして、費用面につきましても、公共料金の値上げがほとんどなかったとかあるいはその他省力化、合理化施策努力をしたという点で経費の節減が図られました結果、好調な収支状況になったということでございます。
  136. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 去る九月十二日閣議決定した行政改革大綱の中で、特殊法人の経営見直しによる歳入増加、こういう方針が打ち出されておりますが、これは一体どういうことですか。まず大臣にお伺いしたいと思います。
  137. 山内一郎

    山内国務大臣 九月十二日の閣議におきまして行政管理庁長官から、特殊法人については「その経営基盤の強化に配意しつつ、財務の厳正化を図る観点から経営の実態を見直し、赤字国債の縮減に資するよう、国の歳入増加を図るための所要の措置を推進する」という協力要請があったわけでございます。この中に電電公社があるという発言はそのときには全然ございません。そこで、これは推測以外にないのでございますけれども、いま電電公社から数字を発表しましたように、収支に黒字の差額がある。これは単なる差額でございまして、これを国に納付するというようなことを考えているのじゃなかろうかという推測でございますので、まだ行政管理庁長官も正式にどういうことをやろうなんということを言っておりませんが、そういうことであるとすれば、その差額というものは、いまの設備の取りかえとか古い設備を新しい近代的な設備に漸進をするようないろいろな措置を講ずるとか、そういうことで国会において予算を御決定願っているものでございます。したがってそのとおり実施すべきである、こういうふうに考えているわけでございますが、まだはっきりした行政管理庁の見解も出ておりませんので、どういうことかということはまだこの場で詳細にお答えできないような時期でございます。
  138. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それじゃ、大蔵省来ていますか――、お伺いしておきますが、いま大臣はそういう答弁でございますけれども、大蔵省として、たとえば電電公社に対して納付金であるとかあるいは電話税、そういう考え方があるのかどうなのか、あるならば、どんなふうにそれを考えておるのか、そういった面をちょっとわかりやすく説明していただきたいと思います。
  139. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御引用になりました閣議決定は、ただいま大臣から御説明ございましたように、特殊法人の経営見直しについてということでございます。実際の作業そのものは行政管理庁の方で進めるということで検討されているというふうに承知しております。  財政当局として、大蔵省としてどうかという御質問でございますが、財政当局といたしましては、御案内のような財政の状況でございます、したがいまして歳入歳出両面にわたっての見直しがあらゆる面で要請されておるというふうに考えております。したがいまして、電電公社に対して何らかの御協力お願いできないだろうかということも含めまして今後検討していかなければならないのじゃないかというふうに考えております。ただ、現段階で具体的に何をどういうふうにというところまでには至っておりませんが、一般的に、現下の財政事情のもとでの歳入歳出の見直しの一環として、お説のような点も含めて今後の検討課題であるというふうに承知しております。――失礼しました。若干訂正させていただきます。閣議での要請ということで、先ほど大臣から答弁申し上げたとおり、特殊法人の経営見直しにつきましては行政管理庁の方で作業を進めておるという点でございます。
  140. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 大蔵省としてはそういう希望的な考え方を持っておるようでございますが、その根拠となれば、たとえば電電公社に関して、営業開始時、昭和二十八年度から四十五年度まで、この十八年間というのは連続して黒字でございますね。そして特に三十九年までの十二年間、この累計収入に対する累計利益額の比率が二〇%を超えている、こういう状態です。なぜこの期間に大蔵省としてはそういった考え方が出てこなかったのか。いま急にここへ来て、財政が大変なんだからと言うことは、これはいつも言えることであって、なぜこういった考え方になってきたのか、その辺を説明していただきたいと思います。
  141. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  私ども先ほど申し上げましたのは、主として財政の状況ということを申し上げたつもりでおりますけれども、御案内のように、昭和五十年度の補正からいわゆる特例公債を発行するというような、いわば異常な状況に立ち至っております。その状況が今日に至るまで引き続いておるということで、何としても特例公債からは脱却しなければならない。さらに、公債依存度そのものも極力下げていく方向でやっていかないと大変なことになるという認識でおるわけでございます。したがって、収支の両面、歳入歳出の両面にわたる見直しということで、単に財政当局だけではなくて、各省に対しましてもあらゆる面の見直しの検討について御協力お願いしたいということを要請している状況でございます。その中で、電電公社につきましてもその一つとして御検討お願いしたいというふうな考えでおりますが、具体的にこれをどうするとか、あれをこうするというような各論にまでには現段階では至っておりません。
  142. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 電話税あるいは納付金制度、こういったものがもしも具体的になってきますと、これは、普通のたばこだとかあるいはお酒だとか、こういう嗜好品に課せられる税、そういったものと異なって、国民のほとんどが利用しておるものに税をかけるということになるわけですから、電電公社の負担というよりも利用者である国民に負担を強いることになるわけですよ。そうなってきますと国民の生活というものをますます圧迫する。前もいわゆる一般消費税等で非常に問題になったとおり、増税路線の一環、こういうふうに考えざるを得ません。この辺の見解と、大蔵省は、もし電電公社赤字になっていったときにはどういう措置をとるのか、その辺も含めて説明してください。
  143. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  まだ具体的にどういう案でどういうふうにということを申し上げ得る段階になっておりませんので各論的なことはちょっと申し上げかねるわけですけれども一般的に、特にわれわれの立場から言えば当然というかもしれませんけれども、財政のいまのような状況を放置しておくことが一体国民経済上どういうふうな影響を持ってくるだろうかというようなことから、歳出だけではなく、歳入も含めましてあらゆる面の見直しが必要じゃないかという認識に立っての検討でございます。そういう意味で検討対象にするということで、具体的にどういう案にするというようなところまで現段階ではまだ申し上げ得る状況になっておりませんので、先生お話しのようなところまでお答え申し上げかねるわけですけれども、まず基本的認識として、現在の国の財政状況の、言うなれば異常さというものについての御理解を賜りたいというのが基本的な私どもお願いでございます。
  144. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いまの説明では、この論議自体がかみ合わなくなって私は理解することができないわけでございますけれども、特にその中で電電公社として、このような話が出てきておることは事実なのでございますので、このような納付金とかあるいは電話税というものが課せられるということに関してどう思いますか。
  145. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  ただいま答弁ございましたように、まだ具体的な形での、正式なといいますか公式なお話になっておりませんので的確なお答えもしにくいのでありますけれども一般的に、もし電電公社の収支差額についてこれをいわゆる国庫に納付をするという方式になってまいりますと、公社の事業運営が基本的には受益者負担あるいは独立採算制で行っておるということを基本にしておりますだけに、また公社の設立の経緯等に照らしまして、基本的にこうした利益金あるいは収支差額の国庫納付はなじまない、公社の制度の基本に触れるのではないか、かように考えております。  また、いわゆる利用税でございますけれども、これまた税率なりあるいは担税者その他、この辺によってもあるいは変わろうかと思いますけれども一般的に申しまして、税の問題は国の財政といいますか、あるいは租税政策の問題かと思いますけれども、公社の事業運営の立場に立ってみますと、それが利用者の負担を招くところから利用の減退につながる、あるいはまた、広くは料金水準のアップにつながるというような事態になりますと、公社の立場からしましてもまことに問題がある、かように考えております。
  146. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いわゆる建設投資というものが公社としても減少した段階ですよね。そこへ来て、先ほど説明のありました利益剰余金というものがどんどん出てきておる。利益金は利用者に還元するのが筋であると私も思います。  そこで、サービスとして今後夜間料金の割引であるとかあるいは福祉電話料金の減額だとか、特にまた長距離の料金というものは一般諸外国と比較してもかなり割り高になっていますよね、そういった面での遠近格差の是正、こういう料金体系を根本的に見直す必要があると思いますが、そのお考えはどうですか。
  147. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、わが国の電話料金は、近距離は欧米諸国に比べて非常に安くなっておりますが、遠距離は高いということで、いわゆる遠近格差が大きいという料金体系になっております。ただ、これを抜本的に改正いたそうといたしますと、違距離をわずかに下げるためにも近距離をかなり上げなければいけない、こういう収入構造になっておりまして、したがいまして、この抜本改正のためには、抜本改正をいたしまして違距離を下げますためには、どうしても近距離の料金のかなりの値上げをさせていただかないと公社財政上非常な問題ができる、こういうことでございます。また、そういうことをいたしますと、遠距離、近距離の加入者の方の利害がそれぞれ相反する関係で、公社は終戦直後二百二十倍以上の遠近格差がございましたのを、機会あるごとに遠近格差を縮めてまいりましたけれども、なお諸外国よりも大きいという実情でございます。これを抜本改正いたしますのは、事実上加入者の御理解と納得を得るのがなかなか困難な関係もございますので、今回とりあえずの措置といたしまして、ただいまお話のございました夜間の料金の割引ということを拡大ないし深夜の二段割引、こういうことをすることにいたしたわけでございます。  なお公社は今後とも適当な機会をとらえまして、この遠近格差の是正問題について取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
  148. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間がありませんので、最後に総裁にお伺いしておきますが、この間も、去る三日でございましたか、神戸市元町において電話回線が故障になりました。これは電子交換機の故障だ、こういうことで約八時間にわたって一切の通信が麻痺してしまった。これは御承知のとおりです。あるいはまた災害時における電話回線のパンクがいままでにおいても何回かございました。こういった技術の面もそうですが、それからまた調達問題やいまの上納金の問題等々、あるいはまた一部には今後また電話料金の値上げというような反対の考え方、こういうようなものまで出てくるというような中から、国民から電電公社自体が、最も密着したそういう中にあって非常に遊離した、おごりの姿勢になってしまってはこれは大変でございます。そういう面で今後公社として十分慎重な対処をお願いしたいと思いますので、その御決意を最後にお伺いしておきたいと思います。
  149. 秋草篤二

    ○秋草説明員 神戸の電子交換機の事故につきましては何とも申しわけない次第でございます。私どもが最新鋭を誇る電子交換機の事故でございまして、私たち非常に偶然としまして、直ちにこの原因を徹底的に究明するということと、今後こういう対策をどうしたらいいかということをいま懸命に検討させているところでございます。いずれにしましても、事業が大きくなればなるほど、またりっぱになればなるほど、国民からいろいろな大きな目で見られるので、一日ごとにサービスなり心構えのレベルというものは上げていかないと、国民からやっぱり信頼は失われるということを私たち、常々従業員に申しておる次第でございます。今後とも一層留意しまして国民期待にこたえるということをお誓い申し上げて、答弁にかえたいと思います。
  150. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  151. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  鳥居一雄君。
  152. 鳥居一雄

    鳥居委員 電気通信政策局の活動がございますが、最も重要な課題の一つと言われているデータ通信行政、これについて伺ってまいりたいと思います。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  最近の一連の新聞報道によりますと、仮称データ通信法案、これが国会提出また見送り、こういう報道です。これまで出るぞ出るぞと鳴り物入りで言われながら、五十三年に機情法が成立をし、そしてその後を追っかけるようにしてデータ法案が準備され、五十四年の通常国会で流れ、その翌年また提出を見送り、そして今回こそと、こういうふうに業界その他では見てまいりましたけれども、一体これは見送りを決定したのでしょうか。どうなんでしょう。
  153. 守住有信

    守住政府委員 データ通信制度関係の法案でございますけれども、五十三年度でございましたか、データ通信振興法という仮称の名前で成案を得ようと検討いたしておりましたけれども、当時のと申しますか財政事情の問題、それからまた、この問題は公衆電気通信事業者あるいは民間のデータ通信事業者、その他ユーザー等各方面の見解の問題がいろいろございますので、その関係のコンセンサスが得られなかったというふうなことで成案を得らずして、十二月段階で見送らざるを得なかった、こういうのが先生御指摘のとおりでございます。  それからなお、データ通信の実態面から、あるいはまた将来への展望、見通しというものを考えました場合に、回線の利用制度だとか、あるいはネットワーク化に伴う標準化の問題だとか、あるいはいろいろな方面での周辺部分の制度の整備だとか、さらにはこのようなデータ通信事業所の振興の問題、こういういろいろな問題がございまして、先ほど申し上げましたようなわが国の現在までの電気通信制度の基本の問題にもかかわってくるという面がございます。したがいまして、やはりいろいろ検討してまいりましたが、もっと各方面と申しますか、いま申し上げましたような公衆電気通信事業者、データ通信事業者、これは民間でございますが、それからユーザーさらには学識経験者その他多数の各方面の方々の御意見を伺いながら、そのコンセンサスを求めていかないと本物の成案は得がたい、このような判断をいたしたわけでございます。  もちろん、私ども、この七月に、国会の長い間の御論議の末、電気通信政策局というものをお認めいただきましたわけでございますので、電気通信政策全般につきましても、役人と事業体側だけで物を考えて進めていくというようなことではなくて、広く各方面、各界の有識者の方々の御意見、いろいろな御提言を承りながら、今後の八〇年代に向かっての電気通信政策というものを展開していかなければならぬ、こういう問題意識を持っておるわけでございまして、いまお尋ねのデータ通信法制の問題も含めまして、来る十月二十四日から大臣の私的懇談会としてのものを設けようと思っておりますが、その中で実は六つの分科会といいますかテーマにしよう、このように考えておりまして、その中で御議論いただきながら成案を得ていきたい。したがいまして、時間的に申し上げますと、今度の通常国会はこの面では間に合わないという結果と相なろうかと思います。
  154. 鳥居一雄

    鳥居委員 延々とお述べになりましたけれども、見送った、そう受けとめます。  それで、五十三年以降の経過の中からいきますと、そんな対応では郵政省として責任を全く果たせない、こういう状況があるわけですよ。御承知のとおり機電法が五十三年度で期限切れになる。そして、時限立法の機電法の中でコンピューターのハードウエア、この助成策をとってまいりましたけれども、やはり時代の要求ということから、ソフトまで含めて対応を新しい時代は考えなければならないだろう、こういうことで五十三年の通常国会におきまして機情法が御承知のとおり成立した。そのときに、本来情報サービス業と言われるものが助成の対象の中にあったはずなんです。これはもう公然の事実です。通産省の特定サービス業実態統計調査によりますと、情報処理サービス業、ソフトウエア業、ファシリティーマネジメント業、その他いわゆる情報サービス業、これがその機情法の中から対象の除外になった。その理由は、情報サービス業の中にいわゆる情報通信業が含まれるからだ。郵政とそれから通産との間のなわ張り争い、そういうことで実はこれが対象除外になってしまった。情報サービス業というのは、この統計調査によりますと、就業人口にして七万七千八十七人、これは最も新しい資料です。五十三年十一月一日現在、機情法成立当時の最も新しい資料として就業人口が五万九千、こういう業界です。ですから雇用規模から言って、広告あるいは証券、無機化学、化学繊維、こうした業界に匹敵するような、りっぱに認知を受けてしかるべき業界であるわけです。そういうように評価されて、実は期待しておりました。この情報サービス業は、企業の数としては当時一千十社、非常にささやかな事業形態でありますから、一社一事業所、一社平均六十人、こういう経営基盤の上からいきまして非常に脆弱な、未成熟な、保護策を必要とするいわゆる知識集約型産業の典型、わが国の重点志向していくべき業界である、こう言われているこの業界が、情報通信業のわずか五十三社がこの中に含まれているために、情報サービス業が全部対象除外になったわけです。そして一千十社のうちの八十三社、これはソフトウエアそのものですから、このソフトウエアまでは機情法の中に入れよう、そういうことで機情法が成立しました後、通産と郵政との間では情報通信業に関して助成を図る、そういう約束はありませんでしたか。
  155. 守住有信

    守住政府委員 通産と郵政との間の権限と申しますか所管と申しますか、お互いに協調していかなければならぬ面もございますが、その点で御指摘のようなことがあり、また私どもの方の所管の部分については私どもの方で助成、振興を図ろう、こういうふうな話し合いがなされたということを聞いております。
  156. 鳥居一雄

    鳥居委員 五十三年に省内にデータ通信会議が設けられました。そして五十三年の九月にその報告書ができ上がっておりますけれども、これは公開の資料でしょうか、どういう扱いですか。
  157. 守住有信

    守住政府委員 当時の電気通信監理官時代のデータ担当の参事官のもとに、八名の学者先生方とかコンピューターメーカーとか、あるいは御指摘の情報通信業者もお集まりいただきまして、たしか五十三年の五月から八月ごろまでだったと思いますが、そして議論をしておまとめいただいた、そういう報告書であると受けとめております。
  158. 鳥居一雄

    鳥居委員 この報告書は公開されたものですか。
  159. 守住有信

    守住政府委員 公表、公開をいたしております。
  160. 鳥居一雄

    鳥居委員 郵政省では、どういうふうにこの報告書を評価していますか。
  161. 守住有信

    守住政府委員 その後、実はKDD事件というのが出まして、その当時の電気通信監理官室はもっぱらそういう問題で、書類等も押収されるかいろんなことがあったわけでございまして、実はその間非常に大きなブランクが発生したわけでございますけれども、しかしそのデータ制度の問題、振興の問題につきましては、今後の展望の中での非常に重要な問題であるということでこの報告書も受けとめておるわけでございます。ただし八名の方で、どちらかといいますと冒頭申し上げましたように、わが国の公衆通信事業そのものの問題とも絡み合ってまいりますし、またユーザーの方々、広くまた各方面の方々等の御意見も入れていかないと、現実の政策として実現できるという――いろいろな障害もございますので、これを一つの勉強の場の問題といたしまして私どもとしては受けとめまして、これを基盤に置きまして、もっと広く今度は、申し上げましたような大臣の私的懇談会の各界の方々、これは公衆通信事業者の方々も入っておられますし、ユーザーの方も入っておられます。それから学識経験者の方も入っておられますので、もっと広い場で十分御議論をしていただきまして成案を得ていきたい、このように考えておる次第でございます。
  162. 鳥居一雄

    鳥居委員 五十三年五月二十七日から始まりまして八月いっぱいかけまして、九月に「データ通信の発展のために」という報告書ができ上がって、そしてこれをベースにして同年の十二月、今度は電気通信監理官室として「データ通信の発展のため」という方策を小冊子にしました。そしてこれをベースにして、データ通信振興法案をぎりぎりの三月十六日の閣議に提出する段取りまで全部とれていたはずじゃありませんか。その経緯はどうですか。なぜ流れてしまったのですか。
  163. 守住有信

    守住政府委員 その点は私は不勉強でございましたが、閣議提出まで至らなくて、政府内は意見一致にならないで事務段階で落ぢておる。その事情、理由等はなお私どもとしても今後に向かって勉強してまいりたいと思います。
  164. 鳥居一雄

    鳥居委員 ですから、五十四年三月十六日に流れてしまったその理由、原因が明確にならない以上、これは何年でも流れ続けるものじゃないのですか。ことしも見送りですよ。それは単に新しくできました電気通信政策懇談会の結論を待つんだと言う。それは別な理由によるのじゃないですか。理由は何とでもつくのです。つまり、本質的に電気通信政策上このデータ通信振興のための法案というのはなぜ流れるのか。流れる最大の理由というのはほかにあるじゃないですか、どうなんですか。
  165. 守住有信

    守住政府委員 まず一つの面は、振興策につきましての国の財政、助成あるいはまた税制措置、この問題について意見の一致を見るに至らなかった、こういう点を聞いておる次第でございます。
  166. 鳥居一雄

    鳥居委員 それだけですか。あと外部圧力というものはありませんか。
  167. 守住有信

    守住政府委員 つまびらかにはいたしておりませんけれども、私自身の受けとめ方といたしましては、公衆電気通信事業者の方の受けとめ方、理解の問題、これを十分に理解させ、リードしていかなければならぬ、こういう感じを持っておる次第でございます。
  168. 鳥居一雄

    鳥居委員 いずれにしましても、産業構造審議会情報産業部会では、現状のデータ通信促進のための阻害要件になっているさまざまな問題の検討に入っております。それからまた、伝えられるところによると、データ通信を正常に発展させるためには一体何が阻害要因なのか行政管理庁の方で調査しようというような話も聞いております。ですから、電気通信政策局としてはいま当面の最大の課題がこの問題だと私は思うのです。何かいたずらに時間かせぎをしているように見えてならないのですが、厳正な立場でこの問題に対処していけますかどうですか。この辺は大臣でしょうか。
  169. 山内一郎

    山内国務大臣 私が就任する少し前に政策局というのができておりまして、どういうことをやるんですかということを聞いたのでございますけれども、データ通信を中心にしていろいろ政策を練っていくんだ、こういう話でございましたけれども説明を聞いてもなかなかはっきりしたものが私は理解できないのです。そこで、今度懇談会をつくってひとつやろうじゃないかというので、最近懇談会を発足することになっております。  そこで、いろいろ聞いてよくわからないのですけれども電電公社が現在一部やっている、それから民間も大いにやりたいというので、どの辺でお互いに協力してやるのか、これはなかなかむずかしいのですね。鳥居先生御指摘のようにいろいろな問題が過去にあってまだ現在でもあると思うのでございますけれども、そういうような解決を懇談会の先生方によくお聞きをして推進をしてまいりたいと現在私は考えておるところでございます。
  170. 鳥居一雄

    鳥居委員 「データ通信の発展のために」つまり報告書、この内容を尊重する考え方に立たない限りはこれは何の意味もないだろうと思うのですね。この報告書をめぐりましてさまざま波紋がございました。そのことも私たち承知しております。ですから、先ほど評価と申しましたけれども、この報告書に沿って尊重する方向でさらに幅広い意見をくみ入れていく、こういう姿勢に立たなければならないと思うのです。政策局長、どうですか。
  171. 守住有信

    守住政府委員 その報告書は一つの勉強会のものだとは申しましたけれども電気通信監理官室時代のデータ通信関係の諸君たちが学者先生方等と苦労してまとめた基本のものだ、こういうふうに理解しておるわけでございます。したがいまして、そういうものを中心としながら、さらにはいま申し上げましたようないろいろな問題がございますし、さらには振興とかいう角度での税制なり財政の問題も出てまいるわけでございますので、そういう点も加味しながら今後コンセンサスを得るように、推進できるように努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  172. 鳥居一雄

    鳥居委員 問題はこの内容なんですが、回線利用制度、制限と申しますか、また回線料金問題、実はさまざまな障害があるわけで、きょうは時間の都合で次の機会に議論をさせていただきたいと思います。  もう一つ、有線音楽放送いわゆる音放につきまして伺っておきたいと思うのです。この委員会でもまた衆議院の逓信委員会以外の各委員会でもここ数年の間にざっと十回を超える論議をいたしております。未成熟だからこの業界は手の加えようがないとか、いろいろ郵政はこの対応をしてまいりましたが何十回やっても現状は全然改善されないというのがいまの姿だと思うのです。どんな状況かと言いますと、有線音楽放送の業界が公正な競争であればいいんですけれども、秩序を全く乱していくような、しかも監督の掌にある電気通信政策局あるいは電波監理局、いまの法律の体系でその無秩序な現状を一定の秩序を回復できる考え方でしょうか。いまの法律の体系の中では全く手のつかない状況で、何らかの手だてをとらなければならない、こういう考え方に立つんでしょうか。どういう考え方ですか。
  173. 守住有信

    守住政府委員 先生御承知のように、これを法制面からながめてみました場合、私どもの所管いたしておりますのは有線電気通信法、設備の技術基準という面で届け出を通じてこれを所管いたしておるわけでございます。一方では、有線放送事業者としての業界と申しますか業種と申しますか、そういう関連に関しましては電波監理局の放送部の方の関連で、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律という流れの中でこれを監理しておる。他方、事実上の問題といたしましては、これが道路、電柱に有線を添架していかなければならぬということで道路法の関係あるいは電力会社、電電公社の電柱の使用契約の関係、こういうふうな四つの側面があるというふうにとらえておるわけでございます。いろいろな道路上の不法占有だとか電柱への無断添架の問題等々ございますし、通信面からも有線面からと放送事業者としての面、両面ある、このようにとらえておるわけでございます。  私も七月から、参りましてこの問題をいろいろ勉強させていただいておるわけでございますし、従来のようなことでなくて、建設省から始まりまして、私ども二つございますけれども、さらには検察の方、法務の方ともこの関係についていろいろ御相談を申し上げたり、緊密な今後の連絡調整をやっておるところでございますが、この一方で、現実に行われております道路法の占用許可を受けないで不法な占用をやるという問題あるいは無断添架の問題等と私どもの通信、この両面につきましていろいろ案を考えまして法務当局の方とも御相談をしておるところでございますが、現行のこの不法、無法な状態に対する方向としては、通信関係の規制ではなくて、むしろそうい道路とか電柱の規制、こちらの方へ力を入れるべきではないかということを一つの意見としてはいただいておるところでございます。  私どもといたしましても、実は有線電気通信法に基づく告発もいたしましたが、道路の方は起訴になりまして、その有線電気通信法上の関連では不起訴になっておる。これも実は検察御当局そのものの考え方とかいうことも承りながらおるところでございます。  もう一つ、今度は実態面として、御指摘のように秩序ある姿の中で自由な競争と申しますか、それができるようにという点がございますが、もともとこの有線ラジオ放送自体もその区域が独占という発想ではございませんし、私どもの所管しておる有線電気通信法の面から見ましても、他人の通信に妨害を与えなければ、これは別段独占でなければならないとかいうことでもございません。ただし、現実には例の一柱一条、一つの電柱に一条しかかけないという電力会社、電電公社の方針といいますかやり方があるわけでございます。したがいまして、一柱一条でございますために、これを同じ地域に二社ということになりますと、不法といいますか承認なしの添架になってくるというふうな不法状態という面も出てくるのではないか、このように考えておりまして、いろいろな各省にまたがる問題でございますので、郵政省は通信、放送の主管庁といたしまして関係者を集めながら、検察、法務御当局の御意見も聞きながら、従来でないようなやり方で、あるいは告訴、告発も積極的にやっていくとか、民事上の仮処分も電力会社、電電公社に積極的にやらせていくといいますか指導していくというような点についても力を尽くしていきたい、このように考えている次第でございます。
  174. 鳥居一雄

    鳥居委員 守住さんの話は、結局おっつけ合いっこを言っているようなものじゃないですか。道路は道路管理者の建設省、柱の方は電電公社と電力。この業の監督の責任というのは郵政省にあるのじゃないですか。有線電気通信法の上からいけば、設備の設置に当たっての技術基準、この監督の衝にあるのじゃないですか。また、電波監理局の方では業務の監督をする。ですから、道路にしろあるいは電柱にしろ、被害を受ける立場からの発想にしか立てないわけでしょう。未成熟とはいいながらもこの業界の監督をする責任は、郵政省がみずからその衝にあるのだ、こういうところからこの対策が出発するのじゃないですか。それがない限り、この話は省庁間のおっつけ合いっこで、いつまでたったって解決なんかできません。今後どうやっていくのですか。
  175. 守住有信

    守住政府委員 実は御指摘のとおりのように私も感じたわけでございまして、たとえば建設省と議論いたしました場合も、この業界の公益性というものをどのように位置づけるか、その次第によっては道路の使用の許可だとかあるいは道路使用料とかいうことについてもいろいろな対応ができるのだという御意見も出ております。したがいまして、実はこれは電波放送部のことになるわけでございますが、放送事業としての位置づけ、性格をより明確にして、それを基本としながらその監督、業界の指導というものを原点に置きながら各方面とやっていかないと、ばらばらになってしまうのじゃないか。先生御指摘のような点も踏まえて、やはり有線放送、音楽放送事業者の位置づけというものをまず明確にして、これへの対策の手を打っていくということではないかと感じておる次第でございます。
  176. 鳥居一雄

    鳥居委員 今後の対策、これに重大な関心を持つものです。大いに期待したいと思います。  以上、質問を終わります。
  177. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 木下敬之助君。
  178. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣にはこの委員会の冒頭におきまして抱負をお伺いさせていただきました。大変むずかしい状況のたくさんの諸問題のある中でございますが、どうか国民の声を十分に聞いて行政に生かしていただきたいとお願い申し上げます。  私は、当面する幾つかの問題につきましてお尋ねしたいと存じます。  まず、去る三日神戸市元町電話局の電子交換機の故障で神戸市の加入電話約二万本とデータ通信など八時間も不通に陥ったとのことでありますが、事故の原因はどのようなものだったのでしょうか。この事故の内容はどのようなものだったのでしょうか。原因と今後の防止対策についてお伺いいたしたいと思います。
  179. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、十月の三日の夕刻でございますが、神戸元町の電話局の電子交換機が障害になりまして約一万九千八百の加入者の方々に八時間三十分にわたり非常に御迷惑をかけたわけでございますが、このことを深くおわび申し上げます。  電子交換機と申しますと、装置の本体でありますいわゆるハードウエアと言っておりますが、それと、それを動かすプログラム、いわゆるソフトウエア、こういう組み合わせによりまして運用されておるわけでございますが、実は今回の障害というものは、たまたまこの両方が障害になったという私どもにとりましてもきわめてまれなケースが起こったということであります。  ちょっとその辺につきまして詳細に申し上げますと、引き金になりましたのはハードウェアであったと思います。このパッケージ部分、電子回路の集積部分でございますが、これが障害になりまして一時的に接触不良を起こしたのではないか、それが引き金になった。このような場合に、電子交換機は通常二重化されており、重要な部分は片一方がやられましても片一方で動くというようなことになっておりまして、いい方に切りかわるということによりまして信頼性を高めるということになっておるわけでございますが、実はいま申し上げましたように、神戸の場合にはこの障害を切り離して正常にこれを立ち上げるためのソフトウエア自体が予想がつかないようなむずかしい原因によりまして破壊されておった、こういう事実がございます。そのためにいろいろ工夫をこらしたのでありますが、なかなか正常の運用に立ち上がらなかったということでございます。  まことにそういうことで申しわけない事故を起こしたわけでございますが、公社といたしましては今回の事故を真摯に受けとめまして、このような事例を教訓といたしまして、今後一層サービスの安定の確保に努めたい。そのためにこの事故の原因を十分いまチェックして、大体原因がわかっておりますので、信頼性の確保のための施策、それから異常が発生しましてもこれが速やかに回復するための施策、こういう二本立てによりまして、今後このような事故が起こらないように検討を進めてまいりたい、こう思っております。  以上でございます。
  180. 木下敬之助

    ○木下委員 このたびの事故の際に、緊急電話を含む全回線が不通になったと聞いておりますけれども、どのような対応をそのとき臨時に行っておったでしょうか。
  181. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答えいたします。  非常に長い時間障害が回復しなかったということでございまして、その理由につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、緊急の措置といたしまして私どもがとりました施策内容を申し上げますと、たとえば一一〇番でありますとか一一九番でありますとか、こういった緊急通話の確保のために、一般利用者の方々の通信手段といたしまして公衆電話、いわゆるボックス公衆電話でございますが、これを第一番に復旧するということを行いました。たまたま元町の局にはユニットが二つございまして、片一方のユニットは動いておりましたので、そちらの方へ切りかえたということでございます。  そのほか、神戸の駅前に臨時に公衆電話を設置いたしまして、一般の方々に御利用いただけるようお世話すると同時に使っていただいた、こういうようなことでございます。  そのほか、広報車でありますとか、あるいは広告板にいろいろ掲示いたしましたりして周知を図りまして、お客さんの御理解と御協力を賜るというようなことも進めてやってまいりました。  そのほか、公共機関、たとえば行政機関でありますとか医療機関でありますとか、そういった大切な電話につきましても切りかえましてその通話の確保を図った、こういうようなことで進めてまいったところでございます。  以上でございます。
  182. 木下敬之助

    ○木下委員 なかなか敏速にやられていることと思いますけれども、一応念のためその時間的な経過を、八時間半の中で、いま幾つか言われましたユニットを切りかえるのはどのくらいでできたとか、もう少し詳しいことがわかりましたらお聞かせ願いたい。
  183. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  事故が起こりましたのが十月三日の四時二十五分でございますが、それからどういうことをしたかと申しますと、まず最初に、その最も危ないのじゃないかと思われる部分についてのハードウエアの探索をいたしました。ところが、そこに原因がない。それで、あちらではないかこちらではないかということで次々とハードウエアの障害探索を行った。これで完全に異常がないということを確認いたしましたので、ソフトウエアによりまして立ち上げを何回か試みた。ところが、先ほども申しましたように、普通だと異常が起こりました場合には緊急に処理をするプログラムが働くわけでございますが、これが働かなかったということもございまして、前後たしか四、五回ソフトウエアの入れかえを行った。このソフトウエアの入れかえが非常に時間がかかった一番大きな要素だ、こう思っております。  以上でございます。
  184. 木下敬之助

    ○木下委員 私の質問の趣旨は……。
  185. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 どうも申しわけございません。改めてお答えさせていただきます。  ボックス公衆電話につきましては、二時間たちました時点で三十二個ほど切りかえております。それから逐次切りかえ数をふやしまして、合計八十八個について切りかえたということでございます。  それから、先ほど一般の公共機関のお話を申し上げましたが、こういう大切な機関につきましては、これも二時間後には二十二回線。それからこれも逐次切りかえまして、トータルで八十一という形で切りかえたところでございます。  以上でございます。
  186. 木下敬之助

    ○木下委員 この二時間というのは、簡単に片づくと思って――片づくと言うと語弊かあるかもしれませんけれども、いろいろな原因を探索しておるうちにロスした時間だろうと思いますので、今後こういった事故があったときにはこの二時間というのはもっと短縮できると考えてよろしゅうございますか。
  187. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 自動交換機には自動的な立ち上がり機能があるわけでございますが、公衆電話は別といたしまして、一般のお客さんの場合にはほかの局へ切りかえるというようなことになりますと加入者の番号、お客さんの番号が変わるということもございます。そのような点でお客さんの御了解を得ないといけないという面もございます。したがいまして、そういう面と障害回復の見込みと、見込み時刻と申しましょうか、そういうものを勘案しながら進めてまいることが必要じゃなかろうかということでございますので、余り早くということもいかがなものかというような問題があろうかと思っております。
  188. 木下敬之助

    ○木下委員 このたびの事故によって加入者はいろいろな損害を受けたと思われますが、これに対する補償等の対策はどのように考えておられますか。
  189. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  電電公社が提供いたしております公衆電気通信役務の主要な提供条件と申しますのは公衆電気通信法に定められておるところでございますが、その中で公社が今回の障害等によりましてサービスを提供しなかった場合の規定が設けられておるわけでございます。具体的には公衆電気通信法の七十八条及び百九条に、料金返還を行う場合、それから損害賠償を行う場合という規定がされておるところでございまして、一般的に申しますと、加入電話等につきましては二日以上通話ができないときには基本料等の料金返還を行う、それから五日以上通話ができないときには損害賠償を行う、こういう規定がございまして、今回いまお話しのように約八時間半にわたりまして通話が不能になったわけでございますが、法律上におきます料金返還とか損害賠償の対象には、いま申しました関係でまだならない、こういうのがいま現在の実態でございます。
  190. 木下敬之助

    ○木下委員 電電事業に対する信頼というものと補償というのは密接な関係があろうかと考えております。警備保障会社等もこういった電話は通じるものという信頼のもとに会社等とも契約をなされておることと思いますので、今後について、こういった事故のないようにするのが最良でございますけれども、あった場合にも、信頼のおけるものという前提でいろいろな社会の契約がなされているということも大いに勘案していただきたいと考えております。  次に、電話通話料の遠近格差についてお尋ねいたしたいと思います。  通話にかかるコストの遠近差に比べて、現行の通話料の遠近格差は余りにもひど過ぎると考えておりますが、この点どのように考えておられますか、お伺いいたします。
  191. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま先生からお話のございましたとおり、わが国の電話の通話料は、近距離は諸外国に比べて非常に安うございまして、逆に遠距離は諸外国に比べて高いという料金体系になっております。それで、公社といたしましては、できるだけこの遠近格差を縮めてまいりたいということで、終戦後間もない昭和二十二年ごろにはこの遠近格差が二百二十倍以上ございましたのですが、それを機会あるごとに逐次縮めてまいったわけでございます。しかしながら、ただいま申しましたとおりに諸外国等に比べてまだ遠近格差が大きいという実態でございまして、これを一挙に抜本的に解決をするためにはどうしても近距離の料金を上げて遠距離を下げなければいけない、こういうことでなかなか一挙に実施するということは困難でございますので、できるだけいろいろな機会をとらえて逐次これを実施してまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、その一環といたしまして、諸外国に比べて明らかに高いと思われます三百二十キロメートルを超えます長距離区間につきましては、現在大体四割の夜間割引をいたしております。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 それにもう一段の夜間割引をいたしまして、夜の九時から明け方の六時までの間に六割引きの料金割引を行いますとともに、六十キロメートルを超えております区間につきまして、現在午後八時から午前七時まで四割引きを行っておりますが、これをそれぞれ前後一時間ずつ拡大する、こういう施策をとりまして、この遠近格差問題について多少とも実態とかあるべき姿に近づけていきたい、このように考えておるところでございます。
  192. 木下敬之助

    ○木下委員 諸外国に比べて高いというのはそのとおりでございますけれども、私率直にお聞きしたいのですが、コストの遠近差は幾らかあるでしょう。それと実際にいただいている通話料との差が大きいのではないかと申し上げておるので、コストとの関係についてはどう考えておられますか。
  193. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま距離別の、一定の時間をおかけになったときのコストがどのくらいかという御質問かと思いますが、電話のコストの大宗を占めます設備にかかわります費用でございますが、これにつきましては、設備の新しいもの、古いもの、いろいろございますし、それから区間によりまして、コールの多い非常に大束の回線が行っておる区間もございますし、田舎の方に行きますと非常に少ない通話しかない電話局間の設備もございます。それから、たとえば東京から大阪等に通話しますときに、現在の電話ルートといいますのは斜め回線といいまして、非常にコールの多いところは電話局電話局に直通回線を持っておりまして、それをあふれたものは他のルートを通る、そこがまたあふれますと、たとえば東海道回りのルートがあふれますと北陸回りをするとか、途中非常にたくさんの階梯を通りまして、つながるルートが多い区間によりますと十を超えるというような、いろんな複雑な通話経路をたどっておるわけであります。したがいまして、これを厳密に原価計算をするということは実質上不可能でございまして、また、これはわが国だけではございませんでして、世界各国ともこの電話料金の市外の距離別のコストというのは、計算をしている国は、私ども知っておるところでは、どこの国も不可能だということで計算をいたしておらない、出せないというのが本当の実態でございます。  ただ、そうは申しましても、何か大体の大ざっぱな、そういうものをある程度平均化したと申しますか、何かの計算をしなければいけないだろうということで、公社といたしましては、ここ数年来、公社の中で、研究会を設けましていろんな案を検討中でございます。できるだけ早くこれをまとめまして、大ざっぱな案でもまとめていきたい、このように考えておるところでございます。
  194. 木下敬之助

    ○木下委員 コストが計算しにくいのはわかりますけれど、一応受益者負担という観点で考えたときに、何らかの方法で出していただかないと、負担する方は納得がいかないと思います。  私どもは、いま厳密なものは出なくても、大きな幅の中で比較した場合でも、大変その実態に外れた通話料の差になっておるのではないかと考えておりますが、この点、大変大ざっぱですが、もう一言、この実態のコストと現実の通話料との差についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたい。
  195. 西井昭

    ○西井説明員 再度のお尋ねでございますので、非常に、やや勘的な要素も入ってまいろうかと思いますが、一番近い単位料金区域内と一番遠い七百五十キロメートルを超える区間で申しますと、大体一対二十ぐらいに開くのではないか。そうしますと、大体これは諸外国の遠近格差の料金ともほぼ見合ってまいっておりますので、まあそういうのがほぼコストに近いのではないか、このように考えている次第でございます。
  196. 木下敬之助

    ○木下委員 ありがとうございます。  その一対二十が現実は一対七十幾つというようなかっこうになっているというこの格差は放置できないと考えております。特にこの遠近格差問題は、首都に遠い地方に行くほど不公平な負担を強いられていると考えますが、この点どうお考えでしょうか。
  197. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま先生のおっしゃるとおりかと思いまして、まあ原価的に申しますと市内の方が原価に比べて安い料金でおかけになっていただいて、長距離の方は原価をかなり上回る料金をお払いいただいておるというのが実態だろうと思います。
  198. 木下敬之助

    ○木下委員 市内、各県で考えればその中心となると思いますけれども、国全体で考えたときにはやはり大都市のある周辺が安くなっておる。こういう地域的な格差という考え方をすれば、もっと抜本的に早く解決しなければならない。不当とも言えるような料金の徴収の仕方をされておる地域があるという見方もできるのではないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  199. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま先生のおっしゃるとおりかと思いますが、ただ、実際的に通話をおかけになる方は、市内と申しますか単位料金区域内ばかりおかけになる方もいらっしゃろうかと思いますが、市内、市外、それぞれいろいろおかけになっておられるのが実態だろうと思います。そういう加入者別にどういうような通話のおかけになっておる実態かというのは、なかなか詳細なるものは困難でございますが、大ざっぱに申しますと、事務用と住宅用という公社の電話料金の種類がございますが、事務用の方のほうがこれはおかけになる回数も圧倒的に多うございますし、その中でいきますと、市内、市外に割りますと、やはり事務用の方がやや長距離におかけになる方が多い、住宅用は比較的回数も少のうございますし近距離の方が多い、こういうのが大ざっぱな実態でございますが、もちろんこれは各人の、個人個人のいろんな方の実態によって大きく変わってまいってきておるのが実態だろう、このように考えている次第であります。
  200. 木下敬之助

    ○木下委員 地域差についての一つの考え方に、ちょうどこの郵便法改正法律案の資料の中にあります家計費に占めるいろいろなものの割合というのがあります。これを全国を画一に見ずに地域で見た場合に、やはり電話料の多くなっている地域もあったりするんじゃないか、かように考えるわけでございますが、一度その点詳しく調べて、公平を期していただきたいと思います。  先ほど話に出ました、深夜割引の実施を考えておられるようですけれども、単純な遠近格差の是正には役立つと考えますが、地域格差としてとらえてみますと、地域に関連したものには、夜間に通話をするように勧めていくこととなって、本来の遠近格差是正の観点から見たときに前進とは思えないのでありますが、どう思われますか。
  201. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  この電話料金体系が、いかなる電話料金体系が最も合理的なのかということにつきましては、なかなかいろいろむずかしい問題もございまして、ただいま先生からるるお話がございましたとおり、原価というのも一つの大きな要素かと思います。しかしながら、原価というのは、先ほど申しましたとおりなかなか出にくい関係でございますので、結局諸外国ともどういう考え方で通話料金を決めておるかということでございますが、やはりわれわれから申しますと、この電話料金法律で相当詳細に規定しておる国はちょっと諸外国ではございませんでして、諸外国はいろいろな案を、言ってみれば試行錯誤を繰り返しまして、そして国民の方の納得をされるところでおさめておるというのが私どもの知っております関係での諸外国の実態でございます。したがいまして、諸外国は頻繁にわたりまして電話料金を変えておる。ただいま夜間料金のお話が出ましたけれども、夜間料金の扱い、それから、これは日曜、祝日の料金を割り引こうとしても現在では法律改正を行わねばならないというほど私ども料金は詳細に法律で決まっておるわけでございますが、そういういろいろなやり方につきまして、諸外国は試行錯誤をやりまして、大体世界各国とも夜間割引というのを実施しておる国がほとんどでございまして、一段割引をしておる国もございますし、今度私どもがいたしますように、夕方それから深夜と二段割引しておる国、そういうのもございますので、そういう点を勘案いたしまして、私どもの電話料金の今度の深夜割引というのは、将来のあるべき姿から言って逆行する方向では少なくともないだろう、ちょっと手前みそでございますが、そのように考えている次第でございます。  なお、電話のコストにかかわる経費といたしましては、先ほども申しましたように設備にかかわるコストが非常に大きゅうございまして、そして設備は、これは都会地におきます産業地域は昼間の十時前後が一番ピークでございまして、それに合わせて設備をつくっております。したがいまして、東京とか大阪の都心の電話局は、皆さんがお帰りになった五時過ぎ以降はがらがらに通話があいておる、逆に住宅地のところは皆さんがお帰りになった夕方の七時ごろからピークが出てくる、こういう電話のトラフィックというのは場所によっても非常にまちまちでございますし、地域によってもただいま先生のおっしゃったとおり非常に異なっておりまして、そういうものをいまのような一定のルールで料金として制定していく、こういうのにどういうのが一番合理的かということは、何度も申し上げるようでございますが、結局国民の御納得と諸外国等の例を参考にして決めさせていただくしか、それが一番結果的にはコンセンサスの得られる料金ではないか、こういうように考えている次第でございます。
  202. 木下敬之助

    ○木下委員 いずれにしましても、ほぼ税金に近いような形で徴収され、まあ公社として役立てておる料金でございますので、公平を、何しろ公平を期していただくということをお願い申し上げます。  いろいろとお話ししました。大臣、この遠近格差の問題につきまして、何か御決意を……。
  203. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ先生から御指摘ございましたけれども、遠距離の電話料が比較的に高いことはこれは間違いございません。しかし、そのかわりというわけではございませんけれども、近距離は安くなっている。そこで、これはやはり是正をしなければいけないという方向だけは私は間違いないと思うのです。ただ、いま直ちにということは非常にむずかしい問題でございますので、徐々に時間をかけてやる一つの課題だと思っております。さしあたりは夜間の遠距離の電話料金を安くすることによって多少はそういう点を考慮しているということをお認めをいただきまして、今後の課題として十分に検討しながら徐々に訂正、是正をしてまいりたいと考えております。
  204. 木下敬之助

    ○木下委員 私として重ねて最後お願い申し上げますが、これは早急にできるとか常識としてとかいった問題だけではなくて、現実に地域が、不当に差別されたという言い方は変ですけれども地域によってはやはり不当に取られておるのじゃないかというとこをよく検討いただきたい、資料をつくっていただきたいと申し上げて、この問題に関する私の質問を終わらせていただきます。  次に、資材調達の問題につきまして、昨年六月の日米共同発表以後、数回の事務レベル会合が開催され、また十月三日にはアメリカにおいて大来・アスキュー会談が催されたと聞いておりますが、その交渉経緯及び内容はどのようなものだったのでございましょう。
  205. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  昨年の六月に牛場・ストラウスの共同声明が発表されて以後、七月、九月、十一月、それから本年の二月、六月、八月と計七回にわたりまして事務レベルの交渉が持たれてまいりました。なお、その間に三月と五月には日本の安川代表とアスキュー代表の会談もございましたし、最近では九月と十月に、先ほど先生がおっしゃいましたように大来代表とアスキュー代表の会談も持たれております。  この七回にわたります事務レベルが非常に精力的に行われたわけでありますけれども、七回の前半につきましては日米双方の電気通信市場の実態、それから日本における電電公社、アメリカにおきますAT&T、これは米国で最大の電信電話会社でございます、御承知のとおりでございますが、その両者の調達の内容、実態について相互に認識を深めてまいってきたところでございます。そういった実態認識に基づきまして、第五回目以降はこの問題の解決のために日本側から先生御承知の三段階方式というものを提案しておりまして、五回、六回、七回とその提案について議論を深めてまいってきておるところでございます。  なお、十月三日、ごく最近の大来・アスキュー代表の会談内容につきましては、私ども聞いておりますところでは、当初十月末にこの問題を決着すべき予定であったところが、アメリカ側の国内事情といいますか、アスキュー代表が国内的に各方面の了解を求める時間的な余裕がないということで十一月以降に持ち越された、このように聞いております。
  206. 木下敬之助

    ○木下委員 日米両国の主張している要点及び相違点を御説明願いたい。
  207. 山口開生

    ○山口説明員 最も大きな相違点は、電電公社の資材調達を政府調達協定、ガットの協定に基づいて調達をすべきだ、こういうふうにアメリカ側が主張しております。私どもはこれに対しまして、電気通信設備の資材調達というのは、いわゆるガットの協定によりますと、この購入に当たっては原則として競争入札を採用することになってございます。電気通信設備につきましては競争入札という方法によって調達することはきわめて不向きだ、このように考えておりまして、日本側、電電公社側としましては、もっと電気通信設備の購入に向く方法で調達をし、内外無差別で調達をしていくのがより適当ではないか、こういう主張をしているところでございます。
  208. 木下敬之助

    ○木下委員 日米の主張が平行線をたどっているというのはどういう点に問題があるのですか。
  209. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、アメリカ側が、電電公社の調達をすべて政府協定、ガットコードのもとに調達すべきだと言うことと、私どもが考えまして、それはやはり向かない、どうしても電気通信設備の調達には、その調達に合った、私どもが提案しております調達が最も効率的な運用ができるんだ、こういうところに意見の差がございまして、この意見も、お互いに回を重ねて交渉してまいります過程では相互に理解が深まってまいってきておりますが、その点が最終的に妥結できない問題だと思っております。
  210. 木下敬之助

    ○木下委員 大変むずかしい問題で、御苦労なさっておるようでございますけれども、今後の見通しはそういった平行線のままなのでしょうか。どういったふうな見通しを持っておられるのでしょうか。
  211. 山口開生

    ○山口説明員 私ども電電公社の立場からちょっと将来の見通しということは申し上げにくいわけでありますが、外務省、郵政省の政府レベルでアメリカのUSTRと交渉をされておりますし、私どもは助言といいますか、お手伝いするという形で実は交渉に臨んでおるわけでございます。あえて申し上げますと、私どもとしましては、先ほどから言っておりますように、電気通信設備の調達に最も向く方法を現在日本側が提案しておるわけでございますから、何としてもやはりアメリカ側にこの提案を理解してもらって最終的に結論を持つ、こういうことが好ましいと思っておりますし、郵政省、外務省の御指導のもとにそのような対応をしてまいりたい、このように考えております。
  212. 木下敬之助

    ○木下委員 皆さんの主張は十分理解しておるつもりですが、良質で低廉な電気通信サービスを維持していくに当たり、通信機本体を含め開放された場合、どのような影響があると考えておられますか。
  213. 山口開生

    ○山口説明員 電気通信設備を開放された場合ということは、電気通信設備がガットコードの中に全面適用された場合というふうに受け取ってお答えしたいと思いますが、ガットコードを適用されますと、原則として競争入札で購入することに義務づけられるわけでございますが、そうしますと、私ども電気通信設備の購入に当たりましては電電公社がある一定の考えのもとに統一した設計法をとっておりまして、そのもとに電気通信機器は標準化をされてございます。したがって、その標準化された設備の中にいわゆる一般の競争入札で物が入ってくるということになりますと、大変に適合性とかというようなことで困難を生ずることは必至でございます。したがって、そういったものを避けるためには、電電公社が購入に際して提示いたします仕様書にきわめて詳細な技術内容を記述しなければならないということになります。そうなりますと、電電公社が開発の過程で得ております技術上のノーハウ、そういったものまで記入しなければならないことになってまいります。これはノーハウ流出の問題で、電電公社が共同開発しておりますメーカーがございますが、そういったメーカーも開発過程でいろいろなノーハウを得るわけでございますが、そういうものも全部第三者に開示しなければいけない、こういう問題がございまして、メーカー側から見れば、せっかく電電公社協力をしたものが全部漏れてしまうというようなこともございますので、そういうものが一点ございます。  それから、御承知のように電電公社の設備は私ども非常に高い品質と信頼性を要求しておりまして、その信頼性と品質を確保するためにはメーカーの製造設備の内容まである程度調査いたしまして、私どもが要求しております品質がつくり得るのかというようなことで製造工程までチェックをいたしております。これが競争入札になりますと、そういった事前のチェックまで工場に立ち入って調査をすることは恐らくできないだろう、こういうふうに考えております。  さらに、電気通信設備は大変に耐用年数を長くとってございまして、交換機等でございますと約二十年近い耐用寿命がございます。その間に部品の取りかえなり、あるいは増設のたびに装置を購入するわけでありますが、そういったものに対して、やはり長期間に電電公社に供給をしてくれる製造会社でなければ困るわけでございます。  こういったことがございますし、さらに設備を供給する製造業者側から見ますと、競争入札によって物を買いますと一番安いところに落札するわけでありますけれども、そうしますと、電電公社の設備というものはおおむねきわめて特殊といいますか、汎用性があまりございませんので、そういった製造設備をつくっております製造業者にとりましては一年に一遍売り込めるか、あるいはそうかわからないようなことになりまして、製造業者から見ますと、生産が平準化されて、安定した供給をするということの方がむしろコストを下げるということになるわけであります。そういう点から見ましても、競争入札は不向きだろう、こういうようなことがございまして、私どもは、電気通信設備の購入につきましては、私どもがとっておりますいわゆる随意契約的なものが最も効率的な購入ができると思っております。  なお、この私ども考え方電電公社だけの考え方ではございません。先進諸国、EC諸国の電気通信事業体も同じような資材の購入方法をとっておりますし、当のアメリカにおきましても、AT&Tの調達方法というものは、若干日本と、電電公社と違いますけれども、いわゆるガットコードで言っておる競争入札というのはとっておらないところでございます。
  214. 木下敬之助

    ○木下委員 この電電資材調達問題につきまして郵政の当局も大変御努力なさっておるようでございますが、郵政大臣、この問題につきましての御所見と今後の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  215. 山内一郎

    山内国務大臣 私が就任してからたくさんいろいろと問題がございましたけれども、その中でも重要な問題の一つでございます。公衆電気通信設備というものは時間をかけて研究しながら開発して、それを実際にいま電電公社で使っているものでございます。したがって、アメリカの言っているのは、ガットの精神に沿って、日本が調達をする公衆電気通信設備全部を要するに一般公開入札をしなさいというのがアメリカの主張でございます。これは電気設備に限りません、政府が調達するものは全部についてそうやりなさい――ところが、いま電電公社から説明がございましたように、いまの電気通信設備の中枢部までそういうこと名やるわけにはいかない。したがって、できるものは一般公開入札としていわゆる政府調達の協定の中に入れますけれども、これはなかなか入れるわけにはいかないという理由を十分に述べているという段階でございます。そこで、アメリカでも大分理解を示しておりますし、ガットによる一般公開入札といっても、この電気通信設備については弾力性を持っているんだよ、こういうような言い方をしておりますので、大分いま歩み寄っているという段階だと私は考えております。また、これは大来政府代表にお願いをしてございますので、アスキュー通商代表とは、新聞によりますと今月の末ごろまた日本でお会いになる、こういう話でございますので、よくお願いをして、円満に解決することを心から希望しているものでございます。
  216. 木下敬之助

    ○木下委員 ありがとうございました。  次に、最近新聞報道等で特殊法人を対象として剰余金吸い上げ制度が発表されておりますが、公社に対して大蔵省及び行管庁から何かこういった話があったのでございましょうか。
  217. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  大蔵省におきましては、国の財政再建を課題といたしまして、電電公社も含めまして、歳入歳出のいわゆる全般的な見直しをしておるということは私どもも聞いておりますが、具体的なまとまった話は公式には全くございません。なお、行政管理庁からもそういった形での特段の話は、公式な形ではまだございません。
  218. 木下敬之助

    ○木下委員 話は直接にないということでございますが、いろいろな考え方が取りざたされております中で、公社は良質の電気通信サービスを供給していくことを目的として、受益者負担及び独立採算制を基本として設立されておる公共企業体であると考えておりますが、このような公社の立場から見て、納付金制度をどのように考えておられますでしょうか。
  219. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  基本的に、先生おっしゃいましたように、電気通信サービスのいわば安くてよいものを提供するということが公社の使命でございますので、そういった点から考えますと、現在の公社事業の基本になっておりますいわゆる受益者負担制度ないしは独立採算制を基本としました公企体としての公社の性格またその沿革等から考えまして、もしこの収支差額ないしは利益金を対象に国庫に納付するということでございますと、基本的にこれはなじまないものというふうに考えているわけでございます。  受益者負担の問題としましては、一つには、通信設備は利用者の拠出によってでき上がったものが約八割でございまして、現在固定資産が約八兆円、五十四年度末でございますけれども、それに見合ういわば資本構成の方から見ますと、加入者引き受けの債券が約三兆円、それから過去公社発足以来二十七年間の累積の収支差額、これが約一兆三千億円、また、加入の際に御負担いただきます設備料、これは現在単独電話で八万円でございますけれども、これまた二十七年間の累積額が約一兆八千億ございます。合わせまして六兆一千億円のものを受益者拠出としてお客様からいただいておる。これが固定資産の八兆円に対しまして約八割に相当するということでございますので、こういった設備をいわばお預かりしまして、効率的に運用して、安くてよいサービスを提供するということが公社の使命でございますので、こういったところから生まれます収支差額、これを国庫に納付をするということは、そういった受益者負担の制度から見ましてなじまないのではないか、かように考えております。  また、もし赤字が出ますれば料金改定お願いしまして利用者の御負担でそれをカバーする、と同時に、黒字が出ました場合にはこれを利用者の方にいろいろな形でお返しをする、これが受益者負担の趣旨であろうかと思いますけれども、そういった考え方から、従来もこの収支差額につきましては、予算の形でいわゆる建設改良投資の財源のための必要資金として織り込みまして、国会の御承認もいただきながらこれを実施をしてまいったわけでございます。ことしの十一月二十七日から実施をいたします夜間料金の値下げ、これは年間約一千三百億円の減収になるわけでございますが、これを実施します趣旨も同様なことでございます。したがいまして、そういった趣旨から考えましても、収支差額の国庫納付というものは利用者の御期待に沿わないということになるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  また、経営の側からしましても、いわゆる独立採算制という趣旨、これは電電公社が発足しました際の公企体としての制度の柱になっているわけでございますが、こういったものにもひびが入りかねないという問題もございます。  と同時に、現実の財務状況から考えましても、現在のところ比較的好調な収支状況でございますけれども、五十五年度予算では約二千七百億円の収支差額が、来年度はこれが半減いたしまして一千四百億円と減るわけでございます。さらにまた、恐らく収入の伸びを上回った形でこれから経費の増加も懸念をされる折から、収支の傾向も経年的には悪化をしてまいるということが現在懸念されております。かたがた、資金的に見ましても、五十八年度以降は債務償還のための資金を六千数百億円必要とする。これは昭和四十八年、九年ごろ、三百万を超えます大量の電話の架設を行いました際に加入者引受債券が同時に大量に発行されたわけでございますが、この満期が十年でございますので、ちょうどその満期の到来が五十八年、九年ころピークがやってくる。そんな点から考えまして、収支面また資金面から考えまして、公社の財政的な余力も国庫にお納めするというだけの余力に乏しいという問題がございます。  結論的に申し上げまして、これからのいわゆる情報化社会に今後とも公社もその一翼を担いまして貢献をしてまいりたいと考えておりますけれども、そのためにも現在の公社制度の柱でございますこの独立採算制というものを基礎として、情報化社会の発展にも公社なりの貢献をしていくその一つの礎としたい、このように考えております。
  220. 木下敬之助

    ○木下委員 公社の収支差額というのは、どのような性格のものととらえておるのでございましょうか。一般企業の利益と違うとは考えておりますが、どうとらえておられますか。
  221. 岩下健

    ○岩下説明員 電電公社の収支差額は、さっきもちょっと触れましたけれども一般企業のいわゆる利益金とは基本的性格を異にしておりまして、たとえば新規サービスあるいは新技術の実用化ですとか、あるいは加入区域の拡大ですとか、また防災計画とか、こういった形でいわゆる現在の加入者へのサービスの改良のための設備投資の必要資金としても使われておる。しかも、それが民間企業のように、決算をしまして年度末に幾ら幾らということではなしに、予算の段階からある一定の金額をその必要資金として盛り込むということがございます。と同時に、民間会社の利益金のように、たとえば株主への配当でございますとか、ないしは役員賞与といった形で社外への流出は全くございませんで、すべてが加入者のための何らかのお役に立つ形で使われておる、そういう点におきまして民間企業の利益金と根本的に性格を異にする、かように考えております。
  222. 木下敬之助

    ○木下委員 加入電話はもうすでに一般に広く行き渡ったと思われますが、今後の電気通信サービスはどのような方向に発展していくのか、また、そのための投資に必要な資金はどうやって調達するおつもりなのか、お聞かせ願いたい。
  223. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘のとおり、電話は、現在加入電話は完全に積滞が解消しておりますし、それから全国の電話も自動化あるいは自即化という目標が達成をされております。しかし、今後公社は、いま申し込めばすぐつく電話という状態、それからどこへでもすぐつながる電話という状態をまず維持をするという大きな問題がございますほか、すでに架設されました電話加入者に故障の少ない良好なサービスを提供していきますとともに、情報化社会が非常に進展をしておりますので、それに寄与するための電信電話以外の新しい電気通信サービスというものにつきましても、今後その開発、拡充に積極的に努めていく必要があるというふうに考えております。  ちょっと具体的にサービス面と設備面について一応御説明をさせていただきますと、まずサービス面でございますが、電話が広く行き渡りましたと申しましても、現在やはり毎年百万加入を超します新規の電話の申し込みがございます。さらには、毎年約二百万を超えます電話の移転というものがございます。これらのものに対しましてすぐに応ぜられるように所要の基礎設備を拡充をしていくということは、やはりこれは相当大きな投資を要する問題でございます。  それから同じく、加入者が通話として御利用いただくということで、通話の利用増というものも毎年数%というオーダーで実はございます。このための設備というものが当然必要でございます。また、信頼性の高い通信網設備を拡充して、すぐつながる電話ということを維持していく必要があるわけでございます。  それから、次の問題といたしましては、非常に電話サービス多様化ということがございますし、さらには現在非常に移動通信サービスというような新しいサービス充実にも努めますし、こういう電話サービスの問題のほかに、情報化時代の進展に伴いまして、よく非電話系のサービスということを申し上げておりますが、非電話系サービスの基本サービスと考えられますようなたとえば新データ網サービス、私どもDDXという略称を使っておりますが、あるいは加入ファクシミリ通信サービスというような、新しいこういうネットワークの非電話系サービスを早期に全国的に拡大をしていかなければならないという問題がございます。  このほか、過疎地のサービス回線、福祉対策電話の開発普及、さらには最近非常に東海地震等の問題がございますが、こういう防災対策の推進、こういうような問題にも努めていく必要がございまして、またこれらの計画を推進するためには、当然技術開発、研究開発にも相当建設投資が必要であるというふうに考えております。  以上サービス面の問題でございますが、設備面につきましては、現在三千八百万を超えます既設の加入者がございまして、これに対して非常に故障の少ない良好な電話サービスを維持するというためには、老朽、劣化をいたしてまいります通信設備を逐次適切に整理、取りかえをしていく必要があるわけでございます。大体通信設備の寿命というのは、平均しますと十数年くらいに当たっておりますが、たまたま昭和四十年代の初めぐらいから急激に投資してまいりました設備も、相当老朽をしてきているものがぼつぼつ出てきているというような時期でございまして、このための取りかえ投資というものが非常にふえてくる時期にこれからちょうど当たっているところでございます。それの整備に当たりましては、電話網をさらに経済化を図っていく、あるいは非電話系のサービスにも適合できるというようなことで、非常に通信網のデジタル化を推進をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  以上のことを展望いたしますと、建設投資額というものは今後逐次増加するんではないかというふうに現在考えております。そのためにこの建設投資に必要な資金を確保いたしますためには、当然いま先生御指摘ございました収支差額あるいは減価償却の引当金、こういうもの等のいわゆる内部資金によりましてまず調達をするわけでございますが、当然これでは足りません。足らない分につきましては、加入者債あるいは財政投融資等に加えまして、さらに従来からも公募特別債というような、あるいは外債を発行するというようなかっこうで資金の調達をやってまいったわけでございますが、五十七年度末には一応この拡充法も期限が切れるというような問題がございます。したがいまして、今後とも一層資金調達面での努力を進めなければならないということと、それから今後の資金調達についても総合的な検討をこれからさらに進めていかなければならない時期に来ているというふうに考えております。
  224. 木下敬之助

    ○木下委員 時間も参りましたので、最後にこの問題につきまして大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  225. 山内一郎

    山内国務大臣 九月十二日の閣議の際に行政管理庁長官から、特殊法人の経営状態についていろいろ調査をしたい、その目的は国の歳入増加を図るための所要の措置を推進する、これだけの要請がございまして、電電公社の名前も出ておりませんし、その後行政管理庁長官からどういうふうにしたいのだという何の話もございません。したがって、この場所において郵政省の考えはどうだと聞かれましても、ちょっとその時期が早いのじゃないか、こういうことできようは意見を述べることを差し控えますけれども、それが出ましたときにはまた郵政省意見を申し上げます。
  226. 木下敬之助

    ○木下委員 大変ありがとうございました。ほかにもたくさん用意してまいりましたが、時間が参りましたので私の発言、これで終わらせていただきます。
  227. 佐藤守良

    佐藤委員長 木下敬之助君の質疑は終了いたしました。  藤原ひろ子さん。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣は本日の委員会の冒頭で郵政行政に対するお考えをお述べになったわけでございますが、まず第一番に触れられましたのは綱紀の問題についてでございました。私は最初にこの点についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  昨年の十月に発覚をいたしました公共通信機関国際電電株式会社、KDDの汚職事件は、不正、腐敗、そのでたらめさとその規模におきましていままで他に例を見ないというほどの物すごいものでございました。私どもは衆議院、参議院の逓信委員会において、あるいは決算委員会予算委員会におきまして、再三にわたってこの問題を取り上げて事件の解明に当たってまいりました。  それと同時に、この事件で政治家がどのようにかかわっていたのか、この点につきましても国民の皆さん方が大変な関心を持たれたわけでございます。さきの通常国会におきましては、警察庁の刑事局長の方から、KDDから贈答を受けていた政治家が百十九名だというふうに発表されましたことは、国民の政治に対する信頼を失墜した、こういうふうに申しましてもいいと思うわけでございますが、この問題につきましては、私は次に来るでありましょうKDD法の改正の提案のときに改めて触れていきたいと思いますけれども、きょうどうしても明らかにしておきたいと考えますのは次の点でございます。  大臣が「郵政行政にとっては、何よりも綱紀の厳格な保持と行政の厳正忠実な執行が肝要」である、こうおっしゃっている点なんですね。この点が本当に厳正に行われるのかどうかという問題です。これがまた国民の一番注目している点だというふうに思われるわけです。大臣は先ほど同僚議員の質問に対して、何よりも国民の信頼の回復を願うんだ、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、今日の時点では国民はまだ郵政省の幹部の皆さん方の言動について信用しているというふうには理解をされないわけです。  それはなぜかと申しますと、この事件が表面化いたしましてから、幹部職員の皆さん方がこれに関与している、こういう疑いが持たれ始められましたころに、郵政省はみずから自分たちの手で関係職員を調べるんだ、こう言って調査を開始されたわけです。その結果を委員会にも御発表になったわけです。そのときの発表は、関与している者はいないんだ、こういうのが幹部の皆さんの方の、そして大臣の御答弁また小山元官房長、必死でこういう答弁をなさったのを私ははっきり覚えているわけなんですが、しかし事実はどうだったか。事実はそうではなくて、幹部職員の中から二名の逮捕者が出てくる。とんでもないことです。そして、そのほかにも多くの幹部が多かれ少なかれ接待を受けたり贈り物をもらったり、こういうことをしていたのも事実だったわけです。ウイスキー一本、鉛筆一本に至っても、本当はそんなものは国家公務員である以上もらうべきでない。年末に差し入れがあったなど、これはささいなものだなどと言わんばかりの発表があったわけですけれども、私は全くけしからぬことだという理解をしておりましたし、そういう贈り物をもらっていたというのは事実だったわけです。  私は、郵政省がこれらの問題についてどのように省内でけじめをつけておられるのか、つけられたのか、いまだにはっきりしたことは聞いていないわけです。大臣、過去にそのように悪事はあった、あったけれどもそれは前の大臣の時代のことで私は関与していないんだ、こういうことでほおかぶりをして、とにかくこれから綱紀の粛正に努めますから前のことは水に流してくださいなどというふうな態度では国民の信頼を回復することはできない。事実は事実で明らかにし、悪い事は悪かった、国民にもごめんなさい、ちゃんと謝るべきは謝り、正すべきは正すということが国民の信頼を回復する唯一の道だと思うのですが、この省内のけじめについてどのように今日つけておられるのか、その点についてはっきりしていただきたいと思うわけです。
  229. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘のように、昨年秋省内に綱紀点検委員会を設置いたしまして、所要の調査を行いました。その結果、すでに御報告を申し上げておりますとおり、KDDから接待を受けた件数十六件、贈答を受けた者約二十二、三名、海外出張のみやげを受けた者七名というような事実が判明をいたしました。これらにつきましては、調査の結果いずれも社会的儀礼の範囲内と認められたわけでございます。その後、定期人事異動期を迎え、新たな業務の執行体制をしくに当たりましてさらに点検をいたしましたところ、一部に社会的儀礼を超える接待や贈答があったことが認められましたので、六月二十三日に、指導監督の立場にある者を含み、関係者七名に対し厳正な処分を行い、責任の所在を明確にした次第でございます。
  230. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この問題はきょうは突っ込んでやろうとは思っておりませんので、いまのはさらに次の機会に譲っていきたいというふうに思っております。  次に、来年一九八一年、これが一九七六年の第三十一回国連総会で決議をされました国際障害者年、この年に当たるわけです。この国際障害者年の目的を見ますと、障害を持つすべての人々の社会への全面参加と平等、そういうことを実現するために各国の政府や自治体、民間団体、すべての国民が積極的な行動に立ち上がり、障害者の生活と権利を守る国際的、国内的運動の新たな出発点にしよう、こういうものでございます。したがいまして、国際障害者年をわが国で取り組むに当たりましても、重要だと思われますことは、単なる集会であるとか記念行事的なものに終わるのではなくて、この国連の障害者年の訴えを真っ正面から受けとめて具体的な施策が講じられなければならない、こういうふうに思うわけです。  今日、政府の調査を見ましても障害者は百八十万人を超えております。こういう人たちの生活水準あるいは社会生活への参加、仕事や教育や福祉など、どれ一つとってみましても個人の尊厳にふさわしい処遇がなされておりません。社会への全面参加と平等というようなことは、まだまだきわめて不十分であるわけです。このことは、郵政行政の分野においても同様だと思います。だからこそ、きょう大臣のお考えに述べられました、この二ページにありますように、今後の郵政行政運営に当たっては云々というところで、最後に「国民の福祉の増進に寄与してまいりたい」こういうふうにおっしゃったんだと私は理解をしたわけでございます。  情報化社会と言われている今日ですけれども、多くの障害者が情報であるとか通信というものの面からも、社会への参加ということはいま大変困難になっているわけですね。大臣は、国際障害者年にどのように取り組むというおつもりできようのお考えを述べられたのか、その基本的な姿勢をまずお伺いをしてみたいと思います。
  231. 山内一郎

    山内国務大臣 国際障害者年が来年ございますけれども、いま情報化社会でございまして、電気通信、テレビ、ラジオ、どんどん進展をいたしていることは御承知のとおりでございます。普通の人はそれで非常に恩恵をこうむっておりますけれども、視覚、聴覚、言語障害のおありになる方々にもできるだけひとつその文化を享受していただくように、いろいろと郵政省においても従来からやっておりますけれども、さらに来年の国際障害者年についてやっていきたいと考えているわけでございます。  いま点字の郵便料を無料にいたしている、これも一つのあれかと思いますけれども、いま一番お困りになっているのは電話じゃないかと思うのです。電話が非常に便利になりましたので、聴覚が不十分な方についてどういう程度のことをやっているかといいますと、電話機を改良いたしております。耳の聞こえにくい方には、ボタンを押せばそこで声が大きく聞こえるような装置もいたしておるわけでございます。また、鼓膜が破れて普通聞こえない方には、内耳さえ残っておれば耳の後ろの骨に受話器を当てますと声が聞こえるようになっている。それから、寝たきり老人の方には、ダイヤルを回すのが御不自由でございますので、ボタンを一つ押すことによって病院なりあるいは親戚の方、御兄弟の方にすぐ電話が通ずるような施設をやっている。また、盲人の方には、ダイヤルに特別なマークをつけまして、手探りでも電話番号さえわかっていれば相手に通ずるような電話機も改良されているわけでございます。これはほんの一例でございますけれども、そのほか郵便局の施設の改良の問題、改造の問題、こういう点についてさらに逐次やってまいりたいと考えておるわけでございます。
  232. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、国際障害者年を来年に控えまして、郵政省電電公社NHK、個々にそれぞれの施策につきまして具体的にお尋ねをしていきたいと思います。  まず郵政省お尋ねをしたいのですが、先日郵政省説明によりますと、政府の推進本部の決定に基づいて、いま大臣もおっしゃった電話機器の開発なども含めて、あるいは局舎の改善、ロビー、スロープ化、トイレ、こういうものを車いすなどでも入れるようにするとか、記念切手の発行、現行の点字郵便物の無料化、こういうことなど障害者に向けての九つの対策を充実させていくんだという御説明があったわけです。私はこうした現行施策の実態を見まして障害者の方々の御意見を聞いてきたわけですけれども、いますぐにでも改善が可能なものが幾つかあるわけですね。そういったことは膨大な予算がかかるわけではなく、本当に待ち望んでおられるというふうなものはぜひとも直ちにでも実現をしていただきたいと思うわけなんです。その一つは、郵政省が毎年四月に、身体障害者福祉強調運動ということにちなんで大変いいことをしておられるのですね。それは「青い鳥のはがき」というのを発行されているわけです。今年度の場合は三千万枚のはがきを発行されていまして、障害者からの申し出によって一人について二十枚のはがきを無料で配るということをやっておられるわけです。お聞きしますと、十六万四千人の障害者に無料で配ったということなんですけれども、これはどういう目的で、またどういう方法でそれを配っておられるのかという点をお答えいただきたい。九つの施策につきましては先日もう聞きましたので結構でございますから、「青い鳥のはがき」を何の目的で、どういうふうに配っておられるかだけについてお答えいただきたいと思います。
  233. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 「青い鳥のはがき」は昭和五十一年度から身障者に、いま先生おっしゃったように一人二十枚ずつ無償で交付をしているわけでございます。これは郵政省の立場で身障者のための施策を講じたいということで始めたものでございます。現在の配付のやり方といたしましては、本人の申し出あるいは代人の申し出、そして郵便による申し出、こういったもので全国の約一万八千の郵便局でその申し出を待ちまして配付をいたしておるということに相なっておる次第でございます。
  234. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 障害者の皆さんは情報伝達の手段におきましてもさまざまな困難があるわけですね。少しでも郵便利用していただけるようにするというのは大変いいことだと私は思うのです。また事業促進の意味からも大切なお客様だというふうに思うわけです。ところが、この制度、「青い鳥のはがき」の京都での実態なんですけれども、中京局の地域にはいま九百六十六名の重度の身障者がおられるわけです。皆対象者なんですが、この方に「青い鳥のはがき」が渡ったというのは百五十人分なんですね。二八%です。京都の中郵では千八百八十六名おられるのですが、二百七十八人、つまり一四%、これだけにしか配られていないわけです。この理由は、私も考えてみたんですが、いま局長さんも言われたように本人あるいは代人の申し出、郵便でもいいということですけれども障害者手帳を持った人が取りに行くというのが大変困難なんですね。そういうためにこの普及に大変無理があるというわけなんです。郵便局へ車いすで行ったって入れないじゃないか、あの段々をどうして上がるんだ、表から、もらいに来ました、申し込みに来ましたとどなったって聞こえないじゃないか、あるいはもし入ったとしても、聾唖者は手話でなければ通じないのに郵便局に手話が通じる人がいるのか、そういう声があるとか、代人の人が身障者手帳を持っていけば、それはいつもはだ身離さず持っていなければならないというものであるのに、それを人に預けるというのは大変困難なんだ――実態、生の声を聞きますとこういう声があるわけなんですね。ですから、せっかくいいことをやられているのですから、たとえば福祉事務所ですね、いま私が調べたのは福祉事務所で調べた。重度障害が何人いるというのはちゃんとつかんでいるわけです。だからここへ送る、あるいは持っていく。そしてここから民生委員さんであるとか市政協力員さんであるとか、いろいろそういう方がしょっちゅう配っておられるものがあるわけですね、そういう方を通じて、たとえば京都では障害者相談員というような方も置かれているわけですから、こういう人にお願いをして、すべての障害者に行き渡るような配慮をすべきだ、こういうふうに私は考えるわけです。たとえば京都では市バスの老人パスというのがあるのです。これは民生委員さんが一軒一軒配られるわけです。どんなにお年寄りが喜んでおられるか。涙を流して喜んでおられる。自分は使えない人でも、なるほどこのように老人を大切にしてくださるというその心が通じるわけです。青い鳥のこれも、せっかくつくって、いま目的では郵政省の立場で障害者への施策を講じたいと言われるならば、施策に魂を入れ、血を通わせてこそ初めてその施策が生きてくる、私はこういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  235. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 現在の身障者の「青い鳥のはがき」の配付の実態を全国的に申してみますと、対象者がおおよそ三十四万九千人でございます。そして配付率がおおよそ五〇%。先ほど先生、京都の場合一六%というお話でございましたが、全国的に申し上げますとおおよそ五〇%。しかしながらそれでも半分しか配付を受けてないじゃないかという問題を踏まえてただいま御提言をなさったわけでございます。私たち、その御提言に初めから反対するということではないわけですが、二、三の問題意識を持っているわけでございます。  その一つは、身障者の意向を確かめないままに一方的に先生がおっしゃる身障者名簿によりまして配付をするのは身障者自身の御意向にそぐわないというような意見を申す方が少なからずいらっしゃるわけでございます。その点が一つございます。  それから、この名簿は法律的には福祉事務所で備えつける義務として現在まだ確立されていないわけでございます。備えつけのあるところ、ないところがあるというふうに私たち認識をしております。  それから、仮に名簿を備えつけておりましても、郵便局でそれを借りるということについては、また身障者自身のいわゆるプライバシーの観点から直ちに応じてくれるかどうかというようなあれこれございまして、決して配付率を高めて制度的な趣旨を本当に生かすという姿勢に欠けるという気持ちではないわけでございますが、そういう点がありますのでいかがなものかというふうに現在考えております。したがいまして、今後の方向といたしましては、施策をPRするという点に私たち一層検討を加えまして、その趣旨が生かされるように、生活に定着するようにいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  236. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 PRもよいと思います。しかし、結果的にいまの答弁は施策に魂を入れるという立場ではないと思います。身障者の意向を確かめないでとおっしゃる。それでは確かめたことがあるのかどうか。確かめもしないでおいて、意向も確かめないでそぐわないというようなことは、それはいただけない。名簿につきましても、名簿を郵政省が借りよなどと言っておりません。福祉事務所に礼を尽くしてお願いし、おついでに配っていただけないでしょうかというようなことは当然できることだというふうに思うわけです。ぜひとも御検討いただきたいと思います。  次に、車いすで自分の手でポストに手紙を入れたい、こういう要求があるのですが、障害を持つ人のために局舎の改善を進めていくなどという施策もこれはいいことだし、当然のことだと思うのですね。同時に、自分の手で車いすに乗ったまま手紙を入れたいのだというふうなこと、これはポストを低くすればできるわけですね。ですから、この際、障害者年に当たって――低いポストもありますけれども局長さんあたりに聞いてみますと、障害者用に低くしてあるのでは多分ないでしょうというお答えだったわけです。いずれにせよ、せっかく低くするならば車いすででも入れられる、そういうところも勘案をしたポストをつけていただきたい、これはいかがでしょうか。
  237. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 現在の郵便ポストの差し入り口、ポストに入れるその差し入り口の高さは、いろいろポストには種類がございますが、一番高いのが地上から一メートル三十センチでございます。したがいまして、私ども昨今いろいろと身障者への思いやりのある施策というようなことを当然考えているわけでございまして、その一メーター三十センチが、車いす等を利用なさる方に果たして御不便をかけているかどうか、実際にも私ども検討したわけでございますが、私どもの結論といたしまして、一番高い一メーター三十のポストであっても、身障者の方の御利用には不便がないというふうに判断をしているわけでございます。ただ、具体的に設置をされているポスト、これは全国でおおよそ十四万本余りございますが、そういった具体的事情の中では、地況の変化、道路事情の変化ということで個別的にお直しをするということがあろうかと思いますけれども、そういったものは個別的な対策ということで、今後絶えず目を配って対処してまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  238. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま一番高いものでも、障害者が車いすに乗ってポストに入れるのに不便はないとおっしゃったわけですが、私のところへは不便だという投書が来たから、こうして質問を申し上げているわけです。だから、そういう一方的な見解で断言をされるというようなことなく、もっと調査もするし、個別的要望もあればその立場に立つということが大変大切なのではないかと私は思いますので、いまの答弁に対して御注意を申し上げたいというふうに思います。  次に、電電公社お尋ねをいたしたいと思います。同じように、その投書の中で車いすでかけられる公衆電話の設置をしてほしいという要望があったわけです。調べましたところ、車いす用の公衆電話ボックスの設置というのは、いま全国で百六カ所についている。しかし公衆電話は全国八十五万台あるわけですね。八十五万の中で百六。近畿郵政局管内では、この間委員派遣で行って表をいただいたときに調べたのですが、十五万九千台の公衆電話がある。そこに車いすでかけられる公衆電話は八カ所しかない。京都には一つもないわけです。私は、市役所であるとか公会堂であるとか駅であるとか、あるいは障害者の施設、病院、こういう公共の場所、ここにぜひ優先的に、車いすでもかけられるという、ボックス型でもキャビネット型でもいいわけですけれども、そういうものを設置すべきだというふうに思いますが、その用意があるでしょうか。
  239. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えを申し上げます。  先生いまお話しのように、車いすのままで使っていただける公衆電話というのは大きく分けて二種類ございまして、一つはボックス型と言っておるものでございます。もう一つの種類が、ただいまお話しのようにキャビネットあるいは置き台のようなものにつけますところの、言うならば小型の公衆電話、この二つでございます。第一の方のボックス型につきましては、ただいまお話がございましたように、五十四年度末現在で百六カ所程度でございます。その後も増設を続けておりますので、現在では百二十ぐらいまで来ておるかと思っておりますが、昨年度末では百六ということでございまして、私どもも確かにこれは少ないというふうに認識をしております。このボックス式のものにつきましては、問題は最も適当な場所を選定し確保するということでございますが、これにつきましては、福祉行政関係に造詣の深い関係の行政当局であるとかあるいは関係の団体、こういうところからの御要望も篤と承りまして、かつまた、御案内のとおり、これは道路管理者あるいは公園等の施設の管理者の御協力をいただけなければどうにもならないという問題もございますので、そういう向きと十分連携をとりまして、今後さらにボックス型の、車いすのままでも使える公衆電話について増設を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、もう一種類のキャビネット型あるいは置き台型と申しますか、これは青電話も黄色電話もあり、赤電話もあるわけでございますが、車いすのまま使えるように高さを調整いたしましたものが五十四年度末現在、全国で約二千四百ぐらい別にございます。ちょっと申し添えておきたいと思います。
  240. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、御要望があればぜひ設置をしていただき、促進をしていただきたいと思います。  私がいまここにお持ちしましたのは、盲人用のダイヤル盤です。これは電話局へ行けばただでくださる。電電公社は大変いいことをしてくださっている。非常にモダンなものですけれども、しかしその普及ですね。視力障害者が三十三万六千人、これだけおられるのですけれども、公衆電話で一万七百個ついております。一般用で六万個というのが電電公社お答えだったわけですが、こんないいものをただでつけてくださるんですから、私も一生懸命普及しようと思って視力障害者の方に聞いたら、いや、そんなものがあるというようなことはいままで知らなかった、よく言ってくれたと喜ばれたわけですけれども、とにかく知らなかったという状態が大変問題だ。京都で船岡寮という盲人の老人ホームがあるんですね。ここには一体公衆電話についているかどうかこの間見に行きましたら、ついておりました。ところが、これがついていても何かわからないわけですね、余りにモダンですから。これを普及しようと思ったら、これは何なのか、盲人は字で書いたって読めないじゃないかと言っても、それは普通家族の方もかけられるし、目の見える方もかけられるわけですから、これはいかなるもので、どこへどうしたらただでもらえるのかというふうな説明をつけたらどうだろうかなということを私は思ったわけなんです。  同時に、こういったダイヤル盤というのは邪魔にならないわけですし、公共施設に置かれている公衆電話、こういうところへ積極的に、申し込んだり取りに来なくてもつけて回ってやるくらいの親切が要る。隗より始めよで、まず国会の中あるいは国会の周辺、こういうところにも電電公社はおつけになったらどうだろうかというふうに思うわけですが、ぜひこの普及方をお願いしたい。いかがでしょうか。
  241. 稲見保

    ○稲見説明員 お答え申し上げます。  先生からただいま最初におほめをいただきましたが、このダイヤル盤は、当初私どもの方でアタッチメントとして用意をいたしましたときにも、盲人の関係の方々からもいろいろ御意見をちょうだいいたしまして、おほめにあずかりまして採用に踏み切ったというふうな経過がございます。  それから、施設されておる数につきましてはいまお話しのとおりであります。実態としてはもっと多く、十万を超える程度に達しておるのではないかと思いますが、定かにつかんでおりませんので、七万以上ということをお答え申しておきたいと思います。  それで、これの公衆電話等への普及の問題でございますが、おっしゃるとおり、私ども現在の設置の状況で必ずしも十分とは考えておりませんので、今後とも関係の団体の方々等からの御意見も承りながら、適切なところへは増設の努力というものをしてまいりたいというふうに思っております。  それから、御指摘のように、関係の方々へ盲人用ダイヤル盤という便利なものがあるということについての周知がいささか不十分というか不徹底ではないかという点でございまして、これは私どもも残念に思っております。今後、全国的にも、たとえば電話帳でありますとか、そのほか、電話のユーザーさんと申しますかお客様の方へいろいろ電話局として御案内をする機会もございます。そういう機会を活用いたしまして、一般の方々にもこの盲人用のダイヤル盤の存在というものについて周知を図るというふうにしたいと思います。  それからなお、実は盲人用の電話帳というのが今日かなり不備でございまして、これにつきましても、私ども、国際障害者年ということも一応念頭に置きまして、何とか全国的にももう少し充実を図っていきたいという考えを持っておりまして、そういう盲人の方々のための電話帳というものを出すような際には、この中にも御案内を申し上げたいというふうに考えております。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それから、難聴者向けのシルバーホン「めいりょう」ですね、こういったものもいろいろ工夫して開発しておられるわけです。五十一年十二月に設置を開始されて四年になるわけですが、全国八十五万台の公衆電話のうち、設置されているのはたったの二千五百台。これは五十四年度末だそうです。ですから、障害者の施設には優先的にこういった「めいりょう」などもつけられたらどうか。先日参りました聴言センターには、公衆電話に「めいりょう」がついておりました。先ほど同僚委員の質問に対して、加入電話は申し込めばすぐにつく電話というふうにしていきたいとおっしゃっておりましたが、要望してもなかなかつかなかった、非常に時間がかかったというところへ私は見に行ったわけですが、実際ついていたからよかったものの、申し込めばすぐにでもつく電話というようにしていけばどうだろう。そのためには機器を製造してなかったらだめなんですから、そういう用意があるのかどうかという点も含めて促進方をお願いしたい。いかがでしょうか。
  243. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えを申し上げます。  シルバーホン「めいりょう」とわれわれ愛称で呼んでおりますけれども、これにつきましても公衆電話への普及も鋭意努力をしておりまして、近年では大体年間七百カ所、明年度あたりは八百カ所ぐらいを予定したいと考えておりまして、逐年増設を図っておるところでございます。ただ、一体八十五万あるいは九十万という公衆電話の中でどの程度までシルバーホン「めいりょう」をつけていくべきかということは今日定かに決めかねるわけでございますが、現在の二千数百で十分とは決して考えておりません。お話のように、利用機会が多いと一般的に認められるような場所につきましては、今後もさらに増設に努めて福祉に寄与をしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、NHKお尋ねをしたいと思います。  逓信委員会におきまして私も過去二回ほど、手話通訳などを入れたらどうかというふうな質問もさせていただいたわけです。そういったものも含めて、手話通訳だけでは不十分だというふうな点で「聴力障害者の時間」という隔週の定期番組をNHKがつくっておられるわけですけれども、これあたりも大変いいことをしていただいているわけで、この際もっと回数をふやすとか、障害者の意見も取り入れて一層の充実を図っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  245. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  われわれのところ、いま先生御指摘のように五十二年度から「聴力障害者の時間」というのを設けました。それから約三年たちまして、その間放送時間量もふやしたり、あるいは利用者の皆さん方の見やすい時間ということで現在は日曜日の午後六時四十分から七時までのところを使って放送しております。  それで、御指摘の手話通訳について、この番組の中で全面的に――普通の番組でありましたら、小さい画面を割りまして手話通訳ということになっておりますけれども、この番組は全面的に手話の方を出しまして、わかりやすくということで現在も続いているわけでございます。私たち番組をつくるに当たりましては、いま申し上げましたような手話あるいは口話法、それから字幕スーパーという三つの組み合わせでこれからも考えていきたいと思いますし、ひとつその辺は御理解をいただきたいというふうに思っております。また、ニュースの場合も、表現内容を正確にしなければいけませんので、その辺のところで手話を取り入れるということにつきましては、われわれいろいろ研究はしておりますけれども、まだ実現には至っていないということでございます。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 聾唖者の御意見を直接にお伺いしますと、テレビのドラマなど、こういうものが放映された場合、この番組に字幕を入れて貸し出ししてもらえぬだろうか、これが強い要望なのですね。京都市の聴覚言語障害者センターというのがあるのですが、それは聴言障害者の生活の充実と社会的自立のためにビデオを生かすという目的でビデオライブラリー事業というのをしているわけです。ここへ行って見せてもらったり、いろいろ職員の皆さんに聞いてみますと、ボランティアの方々が協力をされて、字幕の挿入をしたり、自主制作のビデオもつくったりしておられる。全く市民の善意による献身と奉仕、こういうことによってこの仕事がなされているわけです。しかも、三十分番組一本に字幕を入れようとしますと、業者に注文すれば数十万円かかるわけですね。ですから、大変な労力と費用が必要であるわけです。それからまた、テレビ局の了解を得てやっておられるわけですから、著作権を侵害するというふうな問題も出てきたりして、なかなかいいことをやりながらひやひやものでやらなければならないというふうな、本当に今日の日本の姿そのものだと思うのですね。こういう中で一生懸命やっておられる。とにもかくにもこうしたビデオは、聾学校や施設を初め、聴力障害者に大変喜ばれているわけですね。  ところが、残念ながらこういう事業活動が全国的に広がっているかというと、そうではなくて、京都と神奈川にあるだけということなのです。財源も少なく、職員やボランティアの皆さんの献身的な努力で支えられているというふうなことが現状ですから、点字図書館のように全国的なビデオライブラリー、こういうものをつくるということが求められるだろう。調べてみますと、そういった事業団の法人化というものも進められているというふうに聞いているわけですけれども、私は、最後NHKとしてこの法人化に対してどのようなお考えを持っておられるか、また、できつつあるのならばどのように参画をしているのかという点をお聞きしたいのと、それから郵政省に対して最後お願いをしたいのは、こういったビデオライブラリーというようなものができたとき、法人化の動きがあるのですから、そういうものができたときには、郵送料がばかにならないわけです。ところが点字郵便物というのは、先ほど大臣も御答弁になったように無料であるわけですね。盲人用と書けば無料だという特典があるわけです。郵便法やその規則にも明記されているわけですね。あるいは点字図書や出版物、テープ、こういったものを認可を受けた図書館であるとか施設であるとか、こういうところから利用者に送る場合は無料、利用者からそういう施設に送る場合も無料だというふうに明記されております。ところが、聴力障害者に対する特典は、法でも全然確保されていないわけですね。ですから、こういうフィルムライブラリーができた暁には、法改正も必要になるのじゃないか。つまりこういった聴力障害者に対して、そういうテープができて貸し出しをするときには、郵政省としても無料にしてやろう、あるいはそれを戻すときにも。テープなどの貸し出しについてはそういう配慮をしようというようなことも郵便法の上に明記されるべきではないか。私は、いますぐこれをしますとかしませんとかのお答えは無理だと思いますが、とにかく聴力障害者には電話は一人では使えません、郵便は重要なコミュニケーションの手段であるわけですから、ぜひこの点検討していただきたい。ですから、最後に、NHKでこういったフィルムライブラリーなどの法人化が進んでおれば、それにどう参画して、どういう展望を持っておられるのかという点と、郵政省側に、こういうものができた場合に、盲人に対する特典のようなことを聴覚障害者にも考えてはどうか、この検討をしていただきたい。これについてのお答えをいただいて終わりたいと思います。
  247. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  VTRに字幕を入れるということは、一番問題は、小さな画面の中にどの程度字が入るか、またその読みますスピードはどの程度なのか、理解度が問題になろうかというふうに思います。そういった点で、最近先生御指摘のように、放送文化基金という団体からの助成金を得まして、聴力障害者情報文化センターというような組織がこの春からでき上がりまして、この中で、いま申し上げましたように字幕つきのテレビ番組とか映画の製作とかいうようなことをいろいろ研究し、実行に移しているということでございますので、私たちもこういった団体に対して番組の提供とかあるいは適切な助言なども今後積極的にやっていきたいというふうに思っております。
  248. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 現在の郵便制度の中では、身体に重度の障害がある者が、別に定められた図書館から図書の送付を受けるというような場合には、書籍小包として、その料金一般の場合に比べて半額にいたしております。これは承知の上でお話しなさったものと私理解をしたわけでございますが、きょう先生のおっしゃった問題については、将来の問題として考えさせていただきたい、かように思う次第でございます。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。
  250. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  依田実君。
  251. 依田実

    依田委員 最初に、電電公社の資材調達問題についてお伺いをしたい、こう思っております。  きょうの新聞を見ておりますと、この二十三日にまたアスキュー代表が来日をされる、こういう記事が出ておったわけであります。今月の三日に大来さんが行かれまして、そのときの結末は、われわれが聞いておるところは、向こうが大統領選挙で忙しい、それ以後にしてくれと言った、こういうふうに聞いておったわけであります。そこで、この旬日の間に急遽何か情勢変化が起こったのかどうか。つまり外務省なりでいろいろ御判断になって、この二十三日にアスキューが再び来て電電公社問題について交渉をしたい、こう言っている背景について御説明をいただきたいと思います。
  252. 池田右二

    ○池田説明員 先般アメリカのパインハーストで行われました会談におきましては、日米双方のこの問題に関する理解が非常に深まったということでありまして、しかしながら、本件につきましては、日米双方でなお解決しなければならない問題点が多々ございます。そういうことで、けさの新聞の報道はありますけれども、基本的には情勢が変わっておらないものと御了解いただいていいのではないか、つまり、ごく近いうちにこの問題に決着をつけるということはかなりむずかしいのではないかと思われます。しかしながら、日米双方とも、できるだけ早期に、年内にでございますが、この問題を解決することを目指して最大限の努力をするという考えにおいては考えが一致しておりまして、今後ともそういうことでございますので、本問題の早期解決を目指して引き続き鋭意努力していくということでございます。アスキューが二十二日から二十四日に来るわけですが、このときには、先ほど申したような状況ですから、その時点で解決するといったような話し合いにはならないのではないかというふうにわれわれは考えておる次第であります。
  253. 依田実

    依田委員 九月にやはりワシントンで大来さんとアスキューとの話し合いがあった。そのときもアスキューの方から非常に厳しいことを言われたにもかかわらず、電電公社側は例の三段階方式、それ以上に譲った話は聞いていないわけであります。今度もいまのままで対処していく方針なのか、これは外交交渉でありますから、余り手のうちということにもならぬのかもしれませんけれども、お話をいただける範囲内でその辺の電電公社側の考え方をお話しをいただきたいと思います。
  254. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  今後の対応策につきましては、私どもはやはりいま先生がおっしゃいましたように、三段階方式というものをアメリカ側にも理解をしてもらって、ぜひともこの線でまとめていただきたいということを外務省なり郵政省にはお願いしておるところでございます。
  255. 依田実

    依田委員 日本側のアメリカにありますワシントンの大使館筋の話などを聞きましても、まだ何かそう差し迫ってこの問題を解決しなきゃならぬという、そういうような意欲が日本側にも余り感じられない。まだ日本側としてもアメリカ側の意向、つまり出方というものを打診をする段階だ。いまの外務省のお答えを聞いておりましても、まだ今度の交渉ではとてもとてもと、こういう感じが出ておるわけでありまして、その辺の認識、つまりまだ年内いっぱいあるのだからもう少し向こうの出方を見る、こういうような認識でいまの日本側の交渉は進められておるのでしょうか。その辺をお聞きしたいと思います。
  256. 池田右二

    ○池田説明員 われわれの気持ちは先生がおっしゃったのとは全く異なりまして、この問題は非常に差し迫った日米間の、ある意味では大きな基本的な問題だと思います。それから十二月三十一日という期限が区切られておるということで、できるだけまとめなければいけない、こういう考えでやってきておるわけですが、日米双方、アメリカにもいろいろな事情がありまして、当初十月末ということを希望しておったわけですけれども、いろいろな事情があって解決しなければならないような問題もあるものですから、そのタイミングではいくことがむずかしくなった、こういう事情であります。しかし、われわれの意欲、それから米側もその点は交渉当事者、かなりハイレベルの当事者も同じ気持ちでやっておるということでございまして、いささかも先生がおっしゃるようなまだ時間的な余裕があるというような気持ちは持っていないつもりでございます。
  257. 依田実

    依田委員 そうしますと、もう一回お尋ねいたしますけれども、この二十三日に臨むについて、三段階方式でそのまま臨むのか、あるいは二十三日を前にもう一度政府側部内でいろいろ検討をする、そういう機会を持つか、その辺についてお伺いしたいと思います。どちらでも結構です。
  258. 池田右二

    ○池田説明員 私ども外務省としましては、この問題につきましては郵政省電電公社と密接な連絡をとりながら進めておるところでございまして、アメリカに対しても公衆電気通信設備の特性というものを踏まえた調達手続でなければだめだよということを終始言っておるわけでございます。この点はきわめて基本的な点でございますので、この問題をこの段階で変えるというようなつもりは毛頭ございません。ただし相手があることですから、これは多々むずかしい点はありますけれども、けさほども御答弁申し上げましたが、先般来の大来代表とアスキューの会談においても、わが方の考え方というものについても相当理解も進んでおりますので、なお粘り強くわが国の国益を踏まえてやろうという考えでおる次第であります。
  259. 依田実

    依田委員 確かにこの三段階方式、われわれもいろいろ御説明機会があって聞いております。確かに通信機器の中枢部分に関する国益をいかにして守るか、これはまた大事なことだろうと思うのでありますけれども、しかし一方では日米経済全体のバランスを考えながらやっていかなければならぬだろう、こういうふうに思うわけであります。競争入札にした場合に、必ずしもアメリカ側に行くかどうか、これも未知数でありまして、機会均等の窓口だけあけるということも大事なことじゃないかとも思うわけであります。その辺の日本の国益と――両方国益になるわけてありますが、そういう電気通信部門の大事なところを守るということと日米経済のバランスというものをどういうふうにとっていくか、この辺が交渉といいますか、所管の大臣の一番勘どころだと思うのでありますけれども、今後の対処の仕方について大臣のお考えを一言だけ聞かしていただきたいと思います。
  260. 山内一郎

    山内国務大臣 非常にむずかしい問題で苦慮いたしておりますけれども、通信の中枢部について一般公開入札をやるということは非常に困難だと思うので、むずかしい、もう不可能に近いというふうに考えております。ということは、世界のどの国を見ても、アメリカでもやってない、それからECでもやってないというほど電気通信設備というものは各国重要に考えているわけでございます。したがってその点は守っていきたいと思いますけれども、できるものは一般公開入札、いわゆるガットの線に沿ってやっていく、こういう内容郵政省としては外務省、大来政府代表にお願いして、こういう線でひとつまとめるように一生懸命やってください、こう言っているわけでございます。
  261. 依田実

    依田委員 話題を変えさせていただきまして、やはり最近話題になっております郵便貯金の問題について一、二伺わせていただきたい、こう思っております。  新聞報道などによりますと、一種興味本位かもしれませんけれども、最近民間の金融機関から郵便貯金への預金のくらがえといいますかそういうものが起こっておる、こういうふうに言われておるわけであります。郵政省の御説明をいろいろ拝聴させていただきますと、そうではないのだ、いわゆる定額貯金の持っておる魅力であるとか、あるいは経済情勢一般の中で金利の高いものへ資金が集中する、そういう趨勢の中で起こっておることで、別に郵便貯金の方へ特別な理由があって流れているのじゃない、こうおっしゃるわけであります。しかし、実際問題としてわれわれも、この間も私の選挙区の農業協同組合の組合長にお会いをいたしましたら、やはりどうも大口で移動をされておるようだ、こういうお話が出ました。郵政省でその辺の実態、特にこれだけ話題が出ましたのですから、たとえばどこか名寄せをする貯金局のところででも、最近そういう大口の定額貯金がふえているかどうか、こういうようなことをお調べになったことありますでしょうか。
  262. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生いま前段で御指摘の点でございますが、本年度の郵便貯金の増加状況、前年度あるいは前々年度に比べますと、比較的順調な増加状況になっております。この点は先生お話しのございましたように、金利の天井感というふうなことから長期性の貯蓄手段がお客様に選好されたためであるというふうに私どもは見ているわけでございます。  それから、後段で御指摘のございました大口の貯金が引き出されて郵便局の方に回っているのではないかという点でございますが、実際問題として御指摘のような場合もあろうかと思います。また逆に、郵便局の方から同じような形で払い戻しがされるケースもあり得ると考えられるわけですが、御承知のように、郵便貯金は日々大変大量な預け入れあるいは払い戻しの事務を処理いたしております。と同時に、個々具体的な預入金の経路につきまして特別に確認調査をするという立場にございません。また実際問題といたしましても、それらを実際に把握することが困難であるということで、御指摘の調査はいたしておりません。
  263. 依田実

    依田委員 御調査をなさっていないというお話なんですが、これだけ議論になっておるわけでありますから、名寄せを実際ぴしっとやっておるのだという、そのくらいの事務能力をお持ちになっているところでありますから、多少その辺の実態について末端の方がどうなっているのかということを問い合わせるなりして中央部で情勢を把握されることが大事なんじゃないかと私は思うのです。その辺のことをぜひひとつお含みおき願いたい。  グリーンカードの制度につきまして、この郵便貯金をどう取り扱うか、先般郵政、大蔵両省の合意事項が出たわけでありますけれども、これを交わすことによっていままでのそういう議論に一応決着がつく、これで一応落ちつくとお考えになっているのでしょうか。
  264. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生御指摘の郵政大臣と大蔵大臣の合意は去る九月二十六日に取り交わされて、閣議でもこれが発表されたところでございますけれども、グリーンカードをめぐる問題につきましては、それまで種々論議がなされてまいりました。三月三十一日に成立をいたしました所得税法改正案の中で、郵便貯金昭和五十九年一月一日以降これに参加をすることは法律上決められたことでございますけれども、いろいろ御論議のありました点は、実際問題としてどうかという点がございました。郵政省といたしましても、法律上はいま申しましたようにこの春に固まったものでございますので、実際問題として種々御論議のあります点を踏まえてできる限りの最大限の措置をとろうということで大蔵省と十分な詰めを行ってきたわけでございます。その結果がいま申しました九月二十六日の合意になりましたので、私どもといたしましては、これから先さらに技術的な、あるいは実務的と申しますか、そういう詰めを行うべき点は残っておりますけれども、大綱といたしましては両省間の問題に決着があったというふうに考えております。これによりましてわれわれも、もちろんこれまでも十分な限度額管理を、あるいは本人確認をやってまいりましたけれども、これからさらに限度額管理を徹底をしてまいりたいと考えているところでございます。
  265. 依田実

    依田委員 この合意事項の一番最後のところに「大蔵、郵政両省間で検討のうえ、早急にその具体的方法を定める。」こう書かれておりまして、いまの御答弁の中にも技術的、実務的詰めをこれからやっていきたい、こういうことでございますけれども、そう早急というわけでもございませんでしょうけれども、いつごろをめどにおやりになるのでしょうか。
  266. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いま御指摘ございましたように、実施に当たりましての具体的な方法等、技術的、実務的な事項でございますが、これは現在検討を開始いたしております。さらに検討を重ねまして、遺漏のないように決めていきたいと思っております。  先生御指摘の具体的な検討につきまして一律にいつまでというふうな点につきましては、これを定めることがなかなかむずかしゅうございます。と申しますのは、たとえば予算にかかわるものがあるといたしましても、事が五十九年一月一日から始まるものでもございますので、物によりまして五十七年あるいは五十八年度予算に計上することが必要なものもあろうかと思います。そういったことで、合意事項の第一項、第二項を通じまして、要は五十九年の一月以降十分な実施に遺漏なく移れるようにしていきたいということでございますので、特にわれわれ一生懸命に詰めをする姿勢は持っておるわけでございますが、具体的な期限という点につきましては明確なものを備えているわけではございません。
  267. 依田実

    依田委員 こういうことは万々ないとは思いますけれども、そういう心配をする向きもあるということでお聞きをいたしたいのでありますけれども、具体的にいろいろ方法検討したところが、やはりその一に書いてあるようなことが無理だということで実施が見送られる、こういうことはないでしょうな。
  268. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほど大蔵省と十分な協議をしたと申し上げました中に、先生御指摘のような心配がないということをわれわれ十分確認をいたしまして合意をした次第でございます。
  269. 依田実

    依田委員 世の中いつまでも騒いでいても仕方がありませんから、ぜひこの線でお進めをいただくのがいいのじゃないか、こう思っております。  ところで、こういう合意事項ができたということをぜひ末端にまで知らせていただいて、また窓口に来られるお客さんにもそういう周知徹庭、お知らせの方をぜひ遺漏のないようにしていただきたい、こう思っておるわけでありますが、その辺の周知方法についてはすでに動き出しているのでしょうか。
  270. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいまお話しいたしました合意そのものが両省間で成立をしたという点につきましては、すでに地方郵政局を通じまして各郵便局に連絡をいたしております。  それから、この合意の具体的な中身を詰めましたものを地方に知らせるという点につきましては、先ほど申し上げました事柄を詰めていきまして、順次必要な時期に地方に十分な徹底をしていきたいというふうに考えております。
  271. 依田実

    依田委員 いずれにいたしましても、このグリーンカード制度が取り入れられましたのは、われわれも常日ごろから申し上げている不公平税制をいかにしてなくしていくか、その一環としてこれが採用されたわけであります。ですから、これを入れたためにまたどこかでひずみが出る、脱税の新しい形態が生まれてくる、こういうことじゃ困るわけであります。そういう脱税をするような者をいかにして締め出していくかということが一番大事であろう、こう思うわけであります。  そこで、大臣に一言だけ、この合意を踏まえて今後限度額管理の実が上がるようにお願いしたいと思うのでありますけれども、その辺の御決意についてお伺いをさしていただきたい。
  272. 山内一郎

    山内国務大臣 限度額管理というものは郵便貯金は三百万円まででございますので、こういうグリーンカードとは別にこれは厳に守っていかなければいけない問題でございます。郵政省におきましてもオンライン化を図っておりまして、五十三年から五十八年までに完成する、いまその途中の段階でございます。したがって、これは五十八年以降、従来の郵政省方式で名寄せをやれるわけでございますけれども、グリーンカードが五十九年から実施をされますから、それによってさらに正確を期することができる、こういうふうに確信をしております。
  273. 依田実

    依田委員 ところで、もう一つ、最近のこの郵貯の議論の中で、その運用についていろいろ議論が行われておるわけであります。郵便貯金が資金運用部を通っていわゆる財政投融資へ回るわけでありますけれども、一部輸銀などを初めとして、使い残りあるいは繰り延べ、こういうものが最近は出ておるということが言われておるわけでありますけれども、その辺の実態につきまして大蔵省の方からお話をしていただければと思います。
  274. 亀井敬之

    ○亀井説明員 お尋ねの財政投融資の使い残しということでございますけれども、私ども資金運用部に郵便貯金をお預かりいたすわけでございますが、資金運用部資金の不用額といいますか、先生御指摘のいわゆる使い残しというものでございますけれども、五十四年度は六千六百二十三億円ということでございます。若干さかのぼりまして、五十三年度は一兆四千三百八十億円ございました。五十二年度は四千七百五十一億円、こういった状況でございます。  それから、繰越額というお言葉がございましたが、私ども繰越額は使い残しというふうに認識いたしておりませんで、たまたま当該年度の中で計画として運用されていく予定が、工事が若干おくれたりといったことで、法律上翌年度に使用することが許されております。そういった意味で、次の年度に繰り越すものがそのほかにあるわけでございます。
  275. 依田実

    依田委員 郵便貯金のわれわれに支払われる利子は、資金運用部へ預託されたその利息から払われているわけでありますから、その資金運用部の方の資金が余って未使用分が出ているということになると、その分だけは利息がこっちへ入ってこない、単純に考えればこういうことになるわけであります。もっとも、いろいろそのほかの国債とかそういうもので運用されるのでしょうけれども、いまみたいに金利が高いときならば、国債を買ってその利回りでこちらの方へということになるのでしょうが、長い目で見ると、そういつまでも国債の利回りがいいというわけでもないと思うのであります。そういうところで、長期的に今後ともそういう未使用分が出るということになった場合に、では果たして郵便貯金の特別会計の方へスムーズに利息が入ってくるのかどうか、この辺についてお尋ねをさせていただきたい。
  276. 亀井敬之

    ○亀井説明員 お尋ねの点でございますけれども、現在の郵便貯金の預託に対しまして、法律で定められております金利をお支払いをいたしておるわけでございますが、お尋ねの御趣旨が、今後の運用がいまのような状況であるのかどうか、それからそういったときにどういったことになるかという非常にロングランなお尋ねでございます。  私どもは、お預かりしております預託金に対しまして預託の利子を貯金会計にお支払いいたしておりますが、一方で、それを政府関係機関であるとか、公社公団であるとか、そういったところへ運用いたしております。それは、お預かりをするものを同じレートで運用いたしておりますので、もちろん今後の金利情勢等がどういうふうになってまいるかでございますけれども、いかような金融情勢等になってまいりましても、預託が下がります場合には運用も下がるといったようなことで、状況に応じまして、常に収支といたしましてはといいますか、運用先といたしましてはそういった御指摘のような御心配はないものというふうに考えているわけでございます。
  277. 依田実

    依田委員 われわれの頭が余り理解がないのか、どうもその辺の仕組みについて、果たして長期にうまくいくのかどうか。それは一般会計の方から繰り入れる、補助として出す、こういうことになれば幾らでも成り立つわけでありますが、そうなれば、タコの足じゃありませんけれども税金でもって自分たちの郵貯の利子を出しておる、こういうことになるわけであります。  いずれにいたしましても、これだけ郵貯というものが大きくなってきたわけでありまして、また財投のいまのあり方など含めまして、郵政省としては、長期的な郵貯の安定的な運用について、いまのままでいいのか、あるいはこういうふうに改善、改革をしたい、こういうお考えがあるのか、その辺についてお伺いをしたい。
  278. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いまお預かりをいたしております郵便貯金と申しますのは、国民皆様の汗の結晶でありますと同時に、私ども関係従業員の汗の結晶でもあるわけでございます。大変大切なお金でございますので、私どもといたしましては、その運用につきましては大変大きな関心を持っているところでございます。したがいまして、その運用につきまして、より有効な、より適切な方法があるかどうかということにつきまして大きな関心を抱いておりますが、たとえば、これから先の問題といたしまして、いまお話のありましたような国債等にさらに運用の枠を広げていくというふうなことなども一つの考え方だというふうに考えております。
  279. 依田実

    依田委員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わらせていただきます。
  280. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十六日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会      ――――◇―――――