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1980-10-17 第93回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年九月二十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    小渡 三郎君       片岡 清一君    亀井 静香君       久間 章生君    久野 忠治君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       野呂 恭一君    松野 幸泰君       五十嵐広三君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    松本 幸男君       斎藤  実君    部谷 孝之君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衞君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十五年十月十七日(金曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    小渡 三郎君       片岡 清一君    亀井 静香君       久間 章生君    塩谷 一夫君       五十嵐広三君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    松本 幸男君       斎藤  実君    部谷 孝之君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石破 二朗君  出席政府委員         警察庁刑事局長 中平 和水君         警察庁刑事局保         安部長     谷口 守正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         自治政務次官  北川 石松君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 降之君  委員外出席者         厚生省薬務局安         全課長     有本  亨君         建設省道路局道         路防災対策室長 吉越 治雄君         自治大臣官房審         議官      大嶋  孝君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十一日  辞任         補欠選任   池田  淳君     荒舩清十郎君   臼井日出男君     宇野 宗佑君   小渡 三郎君     小渕 恵三君   亀井 静香君     海部 俊樹君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     池田  淳君   宇野 宗佑君     臼井日出男君   小渕 恵三君     小渡 三郎君   海部 俊樹君     亀井 静香君 同月十五日  辞任         補欠選任   池田  淳君     福永 健司君 同日  辞任         補欠選任   福永 健司君     池田  淳君     ――――――――――――― 十月七日  地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害  補償等共済基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一六号) 同月十三日  小規模住宅用地固定資産税都市計画税免税  等に関する請願外二件(加藤万吉紹介)(第  二〇号)  指定自動車教習所公共性強化等に関する請願  (岩垂寿喜男紹介)(第二九号)  社会風紀環境浄化のための取り締まり強化に  関する請願(森下元晴君紹介)(第一七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  人口急増過密都市行政施策に関する陳情書  (第九号)  地方財政制度改革等に関する陳情書  (第一〇号)  地方退職公務員共済年金等改善に関する陳情  書  (第一一号)  石油化学コンビナートの保安及び防災対策確立  に関する陳情書  (第  一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害  補償等共済基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一六号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本会期中、地方行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により  一、地方自治に関する事項  二、地方財政に関する事項  三、警察に関する事項  四、消防に関する事項 以上の各事項について、国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 左藤恵

    左藤委員長 内閣提出地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由説明を聴取いたします。石破自治大臣。     —————————————  地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 石破二朗

    石破国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  政府は、すでに、一般労働者災害補償については、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しており、また、国家公務員災害補償については、人事院の意見申し出に基づき国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定でありますが、地方公務員災害補償制度につきましても、公務上の災害または通勤による災害を受けた職員及びその遺族保護の充実を図るため、これらと同様の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一は、遺族補償年金の額の引き上げであります。現在、遺族補償年金の額は、遺族人数区分に応じ、平均給与額の年額の三五%から六七%に相当する額となっておりますが、これを遺族人数区分一人の場合を最高として平均六・一%引き上げ平均給与額の百五十三日分から二百四十五日分に相当する額にすることといたしております。  第二は、身体障害に対する評価改善であります。神経系統機能精神または胸腹部臓器機能に著しい障害を残す場合において、現在、常に介護を要する程度障害障害等級第一級として、終身労務に服することができない程度障害障害等級第三級として評価しておりますが、それらの障害により随時介護を要する状態にある場合について、新たに障害等級第二級として評価することといたしております。  第三は、障害補償年金差額一時金の支給に関する制度創設であります。当分の間、障害補償年金受給権者が死亡した場合において、すでに支払われた障害補償年金及び障害補償年金前払い一時金の額が障害等級に応じ、それぞれ平均給与額の五百六十日分から千三百四十日分に相当する額に満たないときは、その遺族に対し、その請求に基づき補償としてその差額相当する額を支給することといたしております。  第四は、障害補償年金前払い一時金の支給に関する制度創設であります。当分の間、障害補償年金受給権者自治省令で定めるところにより申し出たときは、補償として、障害等級に応じ、それぞれ平均給与額の五百六十日分から千三百四十日分に相当する額を限度として自治省令で定める額を前払い一時金として支給することといたしております。  第五は、小口資金貸し付けを受けるための措置であります。年金受給者が一時的に必要とする資金の需要に応ずるため、年金を受ける権利を担保として国民金融公庫または沖繩振興開発金融公庫から小口資金貸し付けが受けられる道を開くことといたしております。  第六は、遺族補償年金に係る一時金に関する規定年金たる補償支給事務簡素化を図るための規定その他所要規定整備を図ることといたしております。  以上が、地方公務員災害補償法及び消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  次に、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、別途本国会で御審議をいただいております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案による厚生年金における年金額引き上げに伴い、地方公務員共済組合退職年金等について、その算定の基礎となる定額部分の額の引き上げ等措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員年金制度について地方公務員共済組合制度改正に準ずる所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合制度改正に関する事項についてであります。  まず、その一は、厚生年金における年金額引き上げに伴い、地方公務員共済組合支給する退職年金等について、退職年金等の額のうち通算退職年金の額の算定方式に準じて算定する場合の定額部分及び通算退職年金定額部分の額を引き上げることとしております。  その二は、厚生年金における年金額引き上げに伴い、退職年金等最低保障額引き上げることとしております。  第二は、地方団体関係団体職員年金制度改正に関する事項についてであります。  すなわち、地方団体関係団体職員共済組合支給する退職年金等について、地方公務員共済組合制度改正措置に準じて所要措置を講ずることとしております。  以上が、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  6. 左藤恵

    左藤委員長 以上で両案の提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  7. 左藤恵

    左藤委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑申し出かありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  8. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今度北海道の二区から出てまいりました社会党の五十嵐広三です。処女質問でありますのでどうかよろしくお願いいたします。  今国会の本委員会における第一陣でもありますので、自治大臣自治大臣といたしましては初答弁ということでありまして、いわば所信表明を求めるような気持ちで以下御質問申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  昭和三十五年に、総理府外局にありました自治庁国家消防本部を統合されまして自治省に独立をいたしまして、考えてみますとちょうどことしで二十年ということになるわけであります。この間日本地方自治は、波乱万丈の中ではありましたが、相当発展、成熟を見て、新しい憲法のもとに民主主義を支える主要な柱として成長をしてきたと思うのであります。また、二十年を迎えた自治省にいたしましても、地方自治体利害を代弁して地方制度を保障する立場を本来の任務とする省であるべく、その重要性を増してきていると思うのであります。  明治六年以来昭和二十二年まで約七十五年間、いわば日本の内政を支配して日本官僚制の牙城とされておりました旧内務省の性格からは、今日の自治省というのは当然全く脱皮変身をしたに違いないのであります。しかも、時代はまさに地方時代地方自治は三権分立とともに民主国家構成の原理とする評価も高まっているわけでありますが、それだけにまた自治省に対する期待と批判というようなものも非常に高まっているのではないかと思います。まさに国民の熱い視線が自治省に集まっていることをぜひ御承知いただきたいと思います。  そこで、自治省二十年の今日、わが国民主社会の中で地方自治定着度というものはどの程度とお考えになっておられるか。ちょうどきのう奥野法務大臣が参議院の法務委員会で、現行憲法は定着しているとは言えないという御発言があったようでありますが、しかしこの現行憲法の主要な柱である地方自治が今日わが国でどの程度定着を見ているかということについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思うのであります。そうして、全国三千数百の地方自治体一般的な行政能力あるいは住民自治能力と申しますか、これをどの程度評価し、またそれに信頼を置いておられるか、これもお聞きをしたいのであります。そうして今日、地方時代と言われるこの新しい時代における自治省の果たすべき新たな役割り、いわば自負心のようなものをひとつお聞きしたいと思うのであります。言うまでもなく石破大臣は、鳥取県知事を四期もお務めになられました地方自治の大ベテラン、先達者でありますので、概括的な大筋のお考えで結構でありますが、ぜひこれらについてまずお教えをいただきたいというふうに思います。
  9. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  私は、戦前旧内務省に勤務したこともありますし、御指摘のとおり鳥取県知事を務めた経験を持っておるものでありますが、地方自治制度が発足いたしました当時は戦後の地方自治制度につきまして若干の疑問も持っておりましたけれども、以上申し上げましたような過去の経験に照らしてみますのに今日の地方自治制度は間違ってなかったと思いますし、中には若干の例外なしとしませんけれども、各地方自治体とも漸次自治能力も高めてまいりましたし、相当の実績を上げており、地方住民からも高く評価されておると申し上げてよかろうと思います。つまり、それだけ今日の地方自治は定着しておると申し上げてよかろうと思います。  自治省といたしましては、憲法精神なりさらに地方自治法の定めるところによりまして、各地方自治体の健全な発展のために、また国と地方自治体との利害調整等のため、地方自治発展のために努力してまいりたいと考えております。
  10. 五十嵐広三

    五十嵐委員 自治省二十年の年に当たりまして、決意新たに地方自治の真の発展のために、ぜひ御尽力をいただきますよう御期待申し上げたいと思います。  以下、幾つかお尋ね申し上げたいのでありますが、時間の許す限り御質問申し上げてみたいと思います。  まず、政府及び地方自治体にとりましても、八〇年代の新しい政治課題といいますか行政課題であります情報公開制について御意見を伺いたいと思います。  いわゆる行政情報公開につきましては、国も昨年九月の臨時国会における大平首相答弁以来かなり前向きにお取り組みになっておられると思いますが、最近の状況を見ますと、多少どうもしりつぼみの不安がないわけでもありません。それでも諸外国の制度などを研究、検討するという学識者情報公開問題に関する研究会が発足をいたしましたり、一般にはこれではどうも情報公開制度とは余りにかけ離れているのではないかという芳しくない評判もありますが、十月一日には一応二十一省庁情報を提供する窓口を設けまして、一部の公文書閲覧の便を図るようになったりいたしましたのは、確かに一歩前進というふうに思うのであります。しかし、最近の新聞紙上の積極的なキャンペーンなどを見まして私ども知ることができますように、アメリカの情報自由法プライバシー保護法あるいは会議公開法政府倫理法など一連の情報公開に関する法律制定を初め、欧米諸国ではすでに情報公開制度は主要な政治の潮流となっていて、民主主義活性化に大きく役立っているという現実から見ますと、どうもまだわが国の場合にはかなりおくれをとっているような気がするのであります。  私は常日ごろ思うのでありますが、権力というものは必ず腐敗する、ゆえにまた必ず秘密主義になる習性を持っていると思うのであります。それは国のいかんを問わず、また歴史時代いかんを問わず、あるいはまた中央地方を問わず、保守革新を問わず、権力というものの持つ宿命のようなものだとさえ言えるのではないかと思うのであります。ですから、常に権力を浄化して政治活性化するためには、権力をいつも大衆の中に吹きさらしておくということがどうしても必要な条件であろうと私は考えるのであります。  また、政治に参加せよと言われましても、国民が知りたい情報も知り得ないで参加のしようがないわけであります。耳をふさいで目をふさいで、そうして意見を言えと言われましても、口の開きようがないということでないかと思うのであります。本来、国民主権が存するのなら、国や自治体の持つ膨大な情報の持ち主はほかでもない国民自身でありまして、原則として行政情報国民の求めに応じて公開されるのが当然であろうと思いますが、まず第一に、自治省自身における情報公開に対する基本的態度についてお尋ねを申し上げる次第であります。
  11. 石破二朗

    石破国務大臣 後で詳しく自治省のやっておりますことにつきましてお答えいたしますけれども、基本的な私個人自治大臣としての個人でありますけれども、考え方を申し述べます。  政治関係する者あるいは行政を担当します者、ときに他人様に聞こえて悪いことを機密といって隠しがちなものでありますけれども、政治といわず行政といわず、それを担当する者だけでこれが実行できるものではありません。広く国民理解がなければ何一つできるものではありません。原則として行政国民に全部知っていただく、これは民主主義でありますとか主権在民でありますとか、そういうむずかしい意味でなしに、簡単に政治を円滑にやる、行政を渋滞なくやるというためにも、全部知っていただくということが何より必要だと思います。  極言しまするならば、国際間の問題にいたしましても、えて紛争が起こるとか対立を来すのは、相互の理解が十分いってないために起こる場合が多い。さらに極言しまするならば、兵器の能力にいたしましても、日本がこれだけのものを持っておるんだということになりますと、それを知ってもらった方が相手もよけいなことをしかけてこぬというような場合もありましょうし、国際間の誤解を与えぬためにも、国家機密というようなものにつきましても十分の配慮をした上でやった方がむしろプラスになるんじゃないかとさえ考えております。  ただ、申し上げますけれども、担当しております者はえて自分に都合が悪いものですから隠しがちでありますが、その辺のないように注意してまいります。
  12. 大嶋孝

    大嶋説明員 自治省ではどうなっておるかという御質問でございますが、仰せのようにこの五月の閣議了解がございまして、自治省におきましてはことしの十月一日から閲覧窓口を設けておるわけでございまして、自治省本省におきましては文書広報課消防庁におきましては総務課というところに閲覧窓口を設けております。その窓口には、国民の生活に役立てるため一般閲覧に供することが適当であると認められる主な文書につきまして、閲覧目録を常時備えつけておるところでございます。この閲覧目録につきましては逐次整備をしてまいりたい、かように考えております。  情報公開基準でございますけれども、先ほどの閣議了解におきまして、各省庁に共通する公開基準の策定が今後の検討事項ということにされておりますことにかんがみまして、内閣審議室と各省庁と緊密な連携をとりながら検討してまいりたいと存じておるところでございます。  なお、閲覧窓口にございますのは、現在のところ自治本省消防庁合わせまして六百九十件ほど、それに法令集、こういうことになっておるわけでございます。
  13. 五十嵐広三

    五十嵐委員 大臣といたしましても個人といたしましても、きわめて評価すべき前向きの御発言で、ぜひひとつそういう気持ちでお取り組みいただきたいと思うのであります。  そこで、いま御説明をいただきました閣議了解でありますが、私、いまここにその閣議了解コピーを持っているわけであります。ちょっとお聞きしたいのですが、これの二項の2に「秘密文書期限付指定については、「秘密文書等の取扱いについて」(昭和四十年四月十五日付け事務次官等会議申合せ)第五項の趣旨に基づき、その一層の励行を図る。」というようなことがあるわけであります。この昭和四十年四月十五日における事務次官会議申し合わせコピーをいただきまして拝見をいたしました。ここで言う第五項、いま指して言っておりますのは「秘密文書には、秘密にしておく期間を明記し、その期間が経過したときは、秘密の取扱は、解除されたものとする。ただし、その期間秘密にする必要がなくなったときは、その旨を通知して秘密の解除を行なうものとすること。」というようなことで、これはこういうことであろうと思うのでありますが、同じこの申し合わせの十項目には「不要の秘密文書は、必ず焼却する等復元できない方法により処分すること。」というような項目があるのであります。私はちょっとこれはわからぬのですが、これらの項も含めて、いま秘密文書等取り扱いについては自治省等もとり行っているのかどうか、お伺いしたい。
  14. 大嶋孝

    大嶋説明員 自治省におきましても、文書管理規程におきまして大体同様の趣旨のことを規定しております。
  15. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この場では、これをそう突っ込む場ではないと思いますのでこの程度にいたしますが、ぼくはちょっと納得がいかないような気がするのであります。秘密文書であって、不要になるという意味がよくわからないのであります。秘密文書に指定するぐらいですから、軽々しい文書ではないと思うのであります。後日いろいろな歴史の中で、そういう事実というのが非常に重要な意味を持つわけでありますから、ぜひこういうようなことのない取り扱いを期待したい、こういうぐあいに思います。  そこで、自治省取り扱いにつきましてはややわかったのでありますが、次に、最近各地の地方自治体情報公開制について相当積極的に取り組んでいるところも少なくないようであります。自治省でお手持ちの最近の各自治体における情報公開への取り組み調査内容等が、たしか四月の調査ですか、もしありましたらぜひこの機会にお示しをいただきたい、説明は要りませんから。よろしいですか。(大嶋説明員「わかりました」と呼ぶ)
  16. 左藤恵

    左藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  17. 左藤恵

    左藤委員長 速記を始めてください。
  18. 五十嵐広三

    五十嵐委員 いまお配りいただきましたのは、四月一日の自治省文書広報課調査内容でありますから、これにつきまして私も仄聞しておりますので、それを踏まえた上で以下御質問申し上げたいと思います。  たしかこの調査では、現在検討中というのが八府県、検討予定が十一県であったと思うのでありますが、中でも埼玉、神奈川、滋賀各県、あるいは広島県の府中町などが相当積極的に取り組んでいるようでありますが、都道府県でいうと約四割のところが検討を大なり小なりしているということになります。  もともと地方自治体というのは、住民に非常に身近なところで仕事をするわけでありますから、住民行政内容を積極的にいつも求めるというのは当然であります。また、そういう住民参加を土台にしてこそ地方自治の内実を強めることになるわけでありますから、情報の公開というのは不可欠の要件でああうと思うのであります。しかも、地方自治体の場合には国と違いまして、あるいは安全保障や外交に関する機密がありません。けさもテレビに出ておりましたけれども、何かせんだっての民社党の大内さんの質問について、防衛上の機密がどうこうというようなことが少し問題になっておるようでありますが、そういうようなものは地方自治体には一切ないわけであって、したがって自治体における情報公開というのは比較的実施しやすい状況にあるのではないかと思います。  アメリカの場合で非常に印象深いことの一つは、情報公開制について、各州がしばしば連邦政府に先んじて実施しているということであります。連邦法で情報の自由法が生まれたのは一九六六年、そしてそれが大改正されて本当に効果を持つようになりましたのは一九七四年であります。しかし報道によりますと、南部の中で最も保守的な州の一つと言われるアラバマ州では一九四五年、ですから、いまから三十五年前ということになりますが、州法の中に三カ条から成る記録を閲覧する権利の規定を挿入しているのだそうであります。アラバマ州法第百四十五条は、すべての市民は、法により特段の定めない限り、いかなる公文書閲覧し複写する権利を持つと定めております。まことにりっぱなものだと思うのであります。しかし、戦後日本地方自治の流れを振り返ってみましても、やはり市民の権利に関する諸問題につきましては、地方自治体が国の政策に先んじて、市民生活のために先導的な役割りを果たしてきているという例もまた枚挙にいとまがないのであります。  私は、これからも日本民主主義を真に内実のあるものに深めていくためには、各面にわたる地方自治体のこのような果敢な実験がきわめて重要だと確信しているのであります。そしてまた、それは地方自治体だからこそ実は可能なことでありまして、自治省は最大限にそのような新たな政策の自発性を保障する、少なくともそれを阻害しない、それが必要でないかと思うのであります。  最近のこれら地方自治体情報公開への熱意ある取り組みについて、大臣はどのようにお感じになっておられるか。好感を持っておるのか期待をしておるのか。まさか苦々しく思ってはいないということは先ほどの御発言でもよくわかるのでありますが、できれば地方自治体情報公開について激励の一つもいただければありがたいことだというふうに思います。
  19. 大嶋孝

    大嶋説明員 地方自治体におきます情報公開制度化ということでございますが、これにつきましては地域の実情と必要に応じまして、各地方公共団体の判断と責任によって対処すべき事柄であろうかと思います。しかしながら行政の適正かつ能率的な運営に留意しながら円滑な情報の公開に努めますことは望ましいものと考えておりまして、国における検討の進め方あるいは地方公共団体の動向等を見きわめながら適切に対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。しかしながら情報公開の問題につきましては、いわゆる公務員の守秘義務あるいはプライバシー保護調整等、広く関係する分野がございますので、今後慎重に検討を進めていく必要があると考えております。
  20. 五十嵐広三

    五十嵐委員 地方自治体取り組みということは、日本の民主性あるいは地方自治を定着させていく上でも非常に重要な要因だと思いますので、自治省こそこれを推進する上でお力添えをいただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、地方自治体情報公開について検討したり踏み切ったりしていく場合に、いまお触れになられましたが、もちろん幾つかの難問にぶつかることになるわけであります。まず、はたと行き当たりますのは、膨大な国の機関委任事務関係の問題でありますが、これは事実上地方自治体における仕事のうち、一説では七割も八割も機関委任事務ということでありますから、したがってこれらの膨大な機関委任事務の公文書等につきまして、これの公開を自治体の判断でしていいのかどうか、私はいいんじゃないかと思うのでありますが、これについての一定の御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  21. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 御案内のとおり、機関委任事務は主務大臣の指揮監督を受けて行うことになっておりますので、その機関委任事務について情報公開をするかどうかという問題につきましては、やはり主務大臣の指揮監督のもとにおいて、長の責任と判断において行われるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  22. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そうといたしますと、地方自治体レベルにおける機関委任事務の公文書等の公開について、政府は連絡調整をとりながら積極的にこれに対する対応をなるべく早くお示しを願いたい。それでなければ、各自治体情報公開の問題に取り組んでまいりましても、事実上公開する分量は少ないということになるわけであります。もちろん、それでも大事なことではあるが、ぜひそのことを御要望申し上げておきたいと思います。  次に、どの自治体でも検討をする場合に中心の問題になりますのは、公文書等についてはいわば県民との共有財産でありますから、これを公開することが原則というふうには思うのでありますが、しかしどうしても非公開にしなければいかぬという部分も性質上あるものだろうと思います。それを可能な限り最小限にとどめることは言うまでもありませんが、たとえば個人に関する情報であって、開示することによって個人のプライバシーを害するおそれがあるようなものなどは公開すべきではありません。この公開と非公開の線引きというものは非常に微妙でありまして、自治体情報公開の問題に取り組む上できわめて困難な作業と言えるのでありますが、これらについて自治省は何か見解をお持ちかどうか、持たなければ持たないでいいですが、一定の見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  23. 大嶋孝

    大嶋説明員 結論から申し上げますと、具体的な見解はいまのところ持っておりませんが、公開する情報の限界、言いかえますと情報公開基準についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように国におきまして内閣審議室を中心に全省庁による連絡会議を設けて、各省庁に共通する公開基準の策定について検討を進めておるところでございます。  この公開基準のあり方につきましては、プライバシーの保護あるいは公務員の守秘義務といった問題と深いかかわりがございます。また、先ほど先生がお話しになりました諸外国の制度、その運用の実態あるいは社会的背景といったようなものを見きわめる必要もございますので、今後幅広く慎重に検討していかなければならない問題であろう、かように考えておるところでございます。
  24. 五十嵐広三

    五十嵐委員 いまもちょっと出てまいりましたが、いわゆる守秘義務のことであります。これは地方公務員法第三十四条に言う「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」とあるものによるものであります。  しかし、何でも守秘義務ということで、地方自治体職員が萎縮している向きは確かにあるのではないかと、実はぼくは感ずるのであります。ひとつこの秘密という概念をわれわれは解明していかなくてはいけないのではないかと思うのであります。仮に法ができたり条例ができたりすれば、そこで非公開とするものがその場合の秘密というものに当たるのではないかというふうにも思うのでありますが、まずこれについてそういうことかどうかということであります。  私自身にしてみますと、もちろんこれらにつきましては最小限にとどめるような方法が必要でないか。時間がありませんから諸外国の例なんかについては引くことを略しますが、ぜひひとつこんな意味でも、余り萎縮して地方公務員等がこれに消極的な対応をとるようなことのないように、やはり情報公開で一番大事なのは意識改革の問題なわけでありますから、そういう意味でも前向きの御判断がもしあれば出していただきたいと思います。
  25. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 いま御質問にございましたように、地方公務員法では公務員の守秘義務を定めております。この守秘義務の考え方は、行政の公正な運営を確保したり、あるいは個人の利益とか公の利益、こういうものを保護するために職務上の秘密あるいは職務上知り得た秘密について漏らしたりしてはいけない、こういうことを定めておるものでございます。  情報公開の問題を考える場合に、やはり同じ問題にぶち当たるわけでございまして、地方公共団体が持っております情報をできるだけ広く公開をいたしまして、住民理解と協力を得て行政を執行していく、こういうことは基本的に望ましいわけでございますけれども、公表することによりましてそれが個々人のプライバシーの侵害になったりあるいは公の利益を損なう、こういう場合には、やはり非公開とせざるを得ない問題が出てまいるわけでございます。先ほど申し上げましたように、基本的には公開できる、公開と非公開の限界について、秘密というものについて客観的な判断をして、プライバシーの保護あるいは公益の保護ということと、公開をできるだけ広くするということとの調整を今後図っていく必要があると考えておる次第でございます。
  26. 五十嵐広三

    五十嵐委員 最近の裁判なんか見ましても、要するにただマル秘としたものを形式的に秘密というのではなくて、つまりそういう形式秘説と、そうではなくて実質的な秘密、実質秘説があって、最近の判決たとえば最高裁判決では実質秘説をとっているわけでありますから、ぜひそういう点もお考えをいただきたいというふうに思いますし、いまそれぞれ御発言がございましたように、公開を原則とするという構えでこれらについてはお当たりをいただきたい。大臣自身は、情報公開はあるべきものだということを冒頭非常に力説をいただいたのでありますが、しかしながら、どうも役所は思うようにいかぬということも付言をなされておったようでありますが、どうかそういうことのないように大臣の御指導をお願いを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次の点は、今度の国会提案されている日本国有鉄道経営再建促進特別措置法、略称国鉄再建法についてでありますが、これが通りますと特定地方線は四千キロに及んで廃線される。地域社会やあるいは地方財政への影響ははかり知れないものがあるように思われますので、この場では地方行政にかかわる部分についてこの問題を御質問申し上げたいというふうに思います。  廃線対象線の選定基準は政令で定められることになるわけでありますが、たとえば北海道新聞社が最近入手したという、これは記事にも出ていたわけでありますが、政令案の基準によりますと、北海道内国鉄三十六路線のうち二十六路線が廃止される。道内の路線の約半分はなくなるわけであります。  今月の十二、十三の両日、私は社会党の調査団の一員といたしまして、北海道の国鉄留萌本線及び羽幌線の現地調査に入りました。早朝六時ころから列車に乗り込んで乗客とも話し合ったのであります。通学者、通勤者、病院通いあるいは行商のおばさんなど、列車利用者の不安は実に深刻なものがあります。またこれらの線路を通じて出来秋には農水産物、これが農村や浜から町に行く。あるいはまた生産や生活のための物資が町から村に、あるいはこれから冬場になりますと灯油やガソリンが沿線各地に運び込まれていく。こうして一本一本の線路というものは、住民一人一人の命につながっていると言える存在だと思うのであります。北海道の北側で言いますと、天北線だとか興浜北線だとか興浜南線、名寄本線、深名線あるいは美幸線や名羽線、これらのどれを切っても、住民の赤い血が飛び散るような思いの鉄道なわけであります。  こういう状況の中でありますから、旭川鉄道管理局の管内で見ましても、六十九市町村があるのでありますが、そのうち実に六十一市町村が議会で反対決議をしているのであります。していないうち七つというのは、駅がない町もあるわけでありますから、いわば全部の市町村が絶対反対という意思表示をしているというふうに思います。  自治省の皆さんには改めて言う必要はないのでありますが、地域社会から教育や福祉あるいは地域産業そうして交通の、どれを欠かしても住民生活というのは成り立たないわけであります。交通は一つの手段でありまして、目的は住民の暮らしであります。目的を忘れて手段だけを論じてもだめなんであります。これはいわば列車を置き忘れて機関車だけが走っているような結果になるのでないか。定住圏構想あるいは田園都市構想、そして広域市町村圏構想などと政府はいろいろおっしゃるのでありますが、しかし、現実にこういうようなことがあるということは全く逆行していると言わなければならぬと思うのです。知事の経験者で住民の痛みというものをよく知っている大臣は、この辺のところはよく御理解になっておられると思います。  何につけても不便な地方住民が暮らしをしている。息子たちが町に出たがるのを親は抑えて、ともかくも一緒になって地方で働いている。北海道なんかの場合には特に寒いですから、あの寒い中で、着る物だってよけい要る。建物を建てるといったって、坪単価はずっと高くなります。燃料費などというものは何倍もかかる。あの寒い中で、しかし、やはりここで骨を埋めるのだという気持ち住民は働いているわけであります。医者も少ないし、若い人たちが楽しむ場だってろくにない。そういうようなところから今度は鉄道もはぎ取るのだということでは、たまったものでないのではないかと私は思うのです。一遍そこと交代して住んでみてくれと言いたいくらいな気持ちなのであります。せめて鉄道の赤字くらいは、国民全体が負担しながら列車を走らせてやっていいのではないか、それができないで何が地方時代かという気持ちがしてなりません。  大臣、本当に住民の立場になって、地方の人たちの気持ちを閣内で発言をしてくれるのは、ぼくはやはり自治大臣しかないと思う。ぜひこの際大臣に期待したいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  27. 石破二朗

    石破国務大臣 国鉄の再建の問題は非常に大きな問題でありまして、このたび御審議をお願いすることにいたしております法案もその一環をなすものでありまして、ぜひとも御審議の上、国会の御承認が得られることを期待するものでありますけれども、御承知のとおり、廃止されることあるべき路線の基準もまだ示されておりませんし、さらに、仮に廃止されるとなった場合に、国庫なりあるいは国鉄等でどの程度の協力をされるものか、その辺まだはっきりいたしておりませんので、御審議の段階において国民がよく理解していただけるように、不明瞭な点を明らかにした上で御審議、御決定をお願いいたしたいものと考えておりますが、特に自治省といたしましては、この法案の成否、最終の結末のつけ方につきましては重大な関心を持っております。  地域住民の足を確保してやるということは、最終的には地方自治体が責任を負わざるを得ません。それだけに自治省が責任を負わなければならぬ問題と考えております。まだ具体的な方法考えておりませんけれども、なるべく早い機会に、特に地方閑散線と称するものが集中している地方があります、北海道もその地方の一つでありますけれども、そういう方々の御意見も承り、最終的にどうして片をつけるかという態度を自治省としても考えてまいりたいと考えております。
  28. 五十嵐広三

    五十嵐委員 結構なんですが、しかしどうですか、ぼくはちょっといまお聞きしながら感じたのですが、自治省が最終的に地域の交通については責任を持たなければいかぬという点はそれでいいのでしょうかね。ぼくは、そういう気持ちもわからぬものではないが、しかし国民の足の問題、しかもいま国鉄の地方線廃止にかかわる問題から言えば、それをその自治体なり自治省が肩がわりされるというのではなくて、やはり国あるいは運輸省が中心になられて、きちっと国民の足を守るんだという決意をしていってもらわなければ大変でないかなという感じがするのですが、ちょっと補足のお答えをいただいた方がいいのではないかと思います。
  29. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  運輸省は当然自分の責任として、国民の足を守ることについて今後とも御尽力願えるものと信じておりますけれども、地方自治体は従来からえてして運輸省なりあるいは政府の思いやりといいますか考え方について、必ずしも十分の満足をしていなかったというのが過去の実績であります。今度の問題、やってくれるには違いないと思いますけれども、やはり地方には地方なりの不安なり不信感というものがあろうと思います。その辺を十分くみ取って、地方の期待にこたえることができるようにしますのは、やはり自治省の責任であろうと考えております。
  30. 五十嵐広三

    五十嵐委員 重ねていまお聞きしたわけでありますから、そこでいまお答えありましたように、ぜひ最終的な結論に至るまでに自治省は十分に運輸省に意見を申し上げていただきたいし、地方住民が困るようなことにならないように最大の努力をしてほしいというふうに思います。同時に、万一、一部そういうような事態が発生した場合には、いまのお話のようにぜひ自治省でひとつ十分責任を持った対応をしていただきたい、こういうぐあいに思うところであります。  それでは、少し時間が残っているようでありますので、地方財政の問題に最後に触れてみたいと思います。  その第一点は、地方財政についてはもう頭の痛いことばかり続くわけでありますが、特にこのごろ頭にかちんときましたのは、せんだって経済同友会が地方交付税率の引き下げ論をまとめて自民党税制調査会に申し入れたという報道があった。自民党といたしましてどのようなお返事をなさったか存じませんが、しかし自民党としてもびっくりというところでなかったかと思うのであります。まことにこの意見は、見当違いもはなはだしいものと思うのであります。もともと地方交付税は、地方団体の固有財産であると思うのでありますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  31. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方交付税についての理論的なことは省略をいたしますが、基本的な点だけ申し上げますと、国の行政活動の七割は地方が受け持っておる。したがいまして、それに応じて税源というものも配分されるべきでございますけれども、現実的には御承知のように税源の偏在というのがございますので、なかなかすべて税で賄うというわけにもまいらない。そういったことで、いわば私どもとしては一種の共同税といったようなかっこうで地方交付税を考えているわけでございますので、その配分を通じて地方所要の税源を与えておるというふうに認識しておりますから、形は国の一般会計を通しておりますけれども、他の歳出とは全然性格が異なるものだと考えております。
  32. 五十嵐広三

    五十嵐委員 私もそうだと思うのでありますが、こういう基本的な交付税の考え方なり仕組みというものを理解しないで、この前のゼロリストじゃありませんけれども、ああいう感覚で他の歳出項目と同列に考えてこの削減を論ずるということは、全くのナンセンスというものだと思います。しかも地方財政は、現実に巨大な借金の中でしゃにむにつじつまを合わせているようなことであって、今年度末には地方債残高は二十九兆円、交付税借入額は累計八兆円、その合計額は国民一人当たり約三十四万円の借金になる計算であります。むしろ交付税に関する論点は、もうこの五、六年、毎年二兆円から四兆円に上る財源不足が続いている。これは明らかに地方交付税法第六条の三の二項で言う、著しくあるいは引き続いて財源不足であるのに、交付税率が引き上げられていないところがむしろ問題だというふうに思うのであります。自治省は、今年も当然大蔵省に対して強く交付税率の引き上げを要求するものと思いますが、その決意のほどを明らかにしてほしいと思います。
  33. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほど御指摘をいただいたわけでございますが、五十年度以来地方財政は大幅な収支の不均衡に見舞われておりまして、お示しのような大きな借金を抱えておるということでございまして、地方債だけでなくて交付税特別会計における借入金というのも相当ふくれ上がっております。その結果、本年度末で七兆七千億の残高が残るということでございまして、現実には三二%で足りないために大幅な借り入れを行って、五十五年度でも国税三税の四〇%近いものを配っておるという状況でございます。したがって私どもとしては、先ほど申し上げたような地方交付税の性格から見ても、相当多数の団体のために所要額はぜひ確保しなければならないというふうに考えております。  ただ、五十六年度以降どうなるかということにつきましては、いまの段階におきましてはまだ経済の動向がわかりませんし、したがいまして税収の見込みもわからない、あるいはまた国の予算編成の方針もわかりませんので、歳出への影響ということも不明である。それから税制改正等がどう行われるかといったようなこともございまして、きわめて不確定要素が多い段階でございますので、どういった赤字幅になるのか、赤字が出るのか出ないのか、そういったことがなかなかわからないわけでございますので、それについて具体的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもとしては非常に大きな財源不足が出て交付税法の六条の三の第二項に該当するような事態になれば、それに基づいた主張というのは当然すべきだと思っております。ただ、いま申し上げましたように、具体的にどういうふうになるか、まだ非常に模索しておる段階でございますので、どうするか決めておりません。いずれにしても、地方財政が困ることのないような措置というのは十分講じなければならないというふうに考えております。
  34. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この経済同友会の申し入れについて大臣の御見解を、簡単でいいのでありますが、一言……。
  35. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  どうも解せぬ点がありますけれども、同友会の意見も前書きがあるわけでございます。「地方団体の給与、退職金の水準が、国はもちろん民間大企業のそれをも上回るものがあり、行財政面での緊縮も徹底を欠くまま推移している点は看過し難い。」その次に「この際、」云々とくるわけでありまして、同友会のおっしゃられることもまんざら根拠がないとも言いかねるのでありまして、私どもは同友会など地方財政に対する素人の方からこういういちゃもんをつけられることのないように、地方団体の給与、退職金の水準等につきましても、法律の定めるところにより適正に決めていただくように地方団体を指導してかかる、その上で同友会等のおっしゃることはもってのほかであると、きっぱりはねつけられるようにしてまいりたいと考えております。
  36. 五十嵐広三

    五十嵐委員 一番おしまいのはねつけたいと思いますというところは理解できますが、少しがんばってほしい。いろいろな官庁速報等から見ると、すでに自治省意見も出ているようでありますし、この間鈴木東京都知事もこれに対して反対の申し入れをしたとかどうがという話も聞いていますし、自治体関係の人は皆頭にきている問題でありますから、これにつきましては、ぜひ大臣はその先頭に立って強い反論をしてもらいたいというふうに思います。  最後に、もう一点だけちょっとお伺いしたいと思いますが、去る七月二十八日東京高裁は、自治体の超過負担解消を求めました摂津訴訟に判決を下しまして、原告の摂津市側は再び敗れたのであります。しかしこの判決は、国への負担金請求の手続について必要な手続を経ていないという、いわば法技術面からの原告敗訴としたものでありまして、あの判決文の内容をずっと読んでみましても、摂津市が訴訟で問うた超過負担そのものにつきましてはほぼ摂津の主張を認めたものになっている。その後、この訴訟を起こすことによって国の超過負担解消の改善もかなり前進したということも含めて、訴訟の目的は実質的には十分に果たしたと申すべきものだと私は思うのでありますが、名を捨てて実をとった事実上の勝訴と評価する新聞の論調もあったほどであります。この摂津訴訟の判決の内容について、もし御意見があれば大臣の御見解を承りたいと思います。
  37. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  お話の中にもございましたとおり、摂津訴訟は名を捨てて実をとったものであると考えております。
  38. 五十嵐広三

    五十嵐委員 非常に明快なお答えで評価をしたいと思いますが、そういうことであれば、この超過負担解消のために一段の御努力をいただきたい、こう思うのです。  それで、ぼくは今度の問題を通じて思うのは、いま超過負担について訴訟を起こしていますのは摂津だけでなくて、保育所運営費の国分寺訴訟あるいは小学校建設費の下松訴訟、農業委員会費の筑後訴訟などが相次いでいるところから見ても、この問題の深刻さはわかるのであります。しかし、訴訟というものに訴えなければ問題が解決しないということについて、ぼくは非常に残念に思うわけです。  それで、冒頭に申し上げたように自治省も二十年になったわけで、ここで改めて、ぼくなんかに言わせれば自治省が本当に自治体のいわば連合事務局のような思いで取り組んでもらうということから言うと、どうか自治体がこういう訴訟を起こさなければいかぬなどということにならぬように、やはり自治省が先頭に立ってこれらの問題の解決、正しい意味の国と地方の財政秩序の確立のために、そうしてそれを通じて内実のある地方自治をつくり上げていくために自治省はひとつ奮闘してもらいたい、その気持ちでいっぱいであります。それで、この超過負担の問題でも単価差あるいは数量差あるいは対象差等、それぞれ相当の未解決部分がまだあると思いますので、これに積極的にお取り組みをいただきたいと思うが、お答えを願いたいと思います。
  39. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 最初にお話のございました摂津訴訟につきましては、国が一応勝訴したかっこうに終わっておりますが、そこで争われたのはいわゆる超過負担の問題でございます。この問題はお示しのように国、地方の間の財政秩序を乱しますし、地方財政に過重な負担をかけるということになるわけでございますから、自治省としては従来から解消に努めてきたところでございますが、その点については今後とも十分努力をしてまいりたいと思っております。  問題は、やはりいまお話のございました補助基準等の適否というところにあると存じます。補助基準が実態に即して合理的なものになりますように、地方団体の意見も聞きながら、私どもとしては、関係省庁と十分協議をして超過負担の解消を図るつもりでおるわけでございます。  ただ、御承知のようにこの超過負担の問題になってまいりますと、具体的には、いやぜいたく部分があるとかどうとかといったようなことで関係省庁となかなか意見が一致しない。私どもとしては、できるだけ実態に合うようにということで主張はいたしておりますけれども、ただ議論しただけでは済まないので、最近ではできるだけ関係省庁一緒になって実態調査をして、これを徐々に解決しておるところであります。お説のとおりだと思いますので、今後ともそういった方向を続けながら、超過負担解消については努力をしてまいりたいと思っております。
  40. 五十嵐広三

    五十嵐委員 どうか、自治省二十年の今年を契機にして一層の御尽力をお願い申し上げて、質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。
  41. 左藤恵

  42. 松本幸男

    松本(幸)委員 国会に議席をいただきまして初めての質問でございますので、質問の要領もよくわかりませんけれども、ひとついろいろ御教示をいただくという意味で、質問は下手でありましてもお答えの方は懇切、明快に、私はかりでなく国民の皆さんにもよくわかるようにお願いをしたいと思います。  第一点は行政改革についてでございますが、先般行われました鈴木首相の所信表明演説によりますると、行政改革につきましては、まず、前内閣が策定いたしました五十五年度行革の実現を図るために関係法案の成立を図ることと、さらに、新たな角度から行政の合理化と効率化を進めるために、定員の削減と仕事減らしをやっていきたいと言っておられます。また、将来に向かっての行政改革案を策定するために、第二次臨時行政調査会の設置が提案されております。  この行政改革に関しましては、御存じのとおり、昭和三十六年に臨時行政調査会法が制定されまして調査会が設置をされ、約三カ年の審議を経まして、昭和三十九年九月に行政各般にわたる改革意見がなされております。この改革意見及び勧告に基づきまして、この勧告の実施機関として行政改革本部と行政監理委員会が設置されまして、その具体的な実施を進めてきたわけでありますが、特に行政監理委員会は、監察機能の強化と行政制度行政運営の改善につきまして検討して、総理大臣意見を述べることができるとされております。したがいまして、この第一次の臨時行政調査会の意見や勧告がこのとおりに実施をされていれば、いまさら改めて行政改革、行政改革と大騒ぎをする必要はなかったのではないか、なぜこの第一次臨時行政調査会の意見がほとんど無視され、実行に移されなかったのか。特にこの改革意見の中には、行政事務の再配分に関する改革意見とかあるいは許認可等の改革に関する意見など、地方行政にかかわる意見もたくさん盛られているのでありますが、なぜこれらの意見が実行されなかったのか、ひとつ大臣の御所見をまず伺いたいと思います。
  43. 石破二朗

    石破国務大臣 前回の行政調査会の答申に対しましては、自治省としましてもできるだけの措置を講じておると思いますけれども、なお不十分な点があったかもしれませんし、さらにその後の情勢の変化によりまして、新しい見地から行政を見直すということも必要になってまいった次第でありますので、今回第二次の臨時行政調査会を設置されるものと理解いたしております。  なお、具体的に前回の行政調査会の答申に対する自治省措置につきましては、事務当局からお答え申し上げます。
  44. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 第一次臨時行政調査会の内容につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでありますが、ただいま先生からお話がございましたように、地方行政に関する事項というのも大変ございました。こさいに中を調べてみますと、許認可事務の中でも百を超える事務、事業についての問題点が指摘されておりますが、私が記憶するところでは、そのうち六十項目くらいのものが一応措置済みとして履行されておるということになっておりますけれども、大方のところは大体実現を見ていないのではないかという感じがいたしております。
  45. 松本幸男

    松本(幸)委員 第一次臨調の改革意見がほとんど実施されていないというように私は思うわけであります。  次に、行革に関しましては、行政監理委員会からも、あるいはまた各省庁ごとに設けられております各種の審議会、たくさんございますけれども、こういった審議会から、あるいはまた特に地方自治関係につきましては、地方制度調査会におきまして十七次にわたる改革意見あるいは答申というものが出されておりまして、これらのおびただしい改善、改革意見も今日までほとんどと言っていいほど無視されてきている、取り上げられていない、これが現状ではないかというように思うわけであります。これではせっかくつくられましたこれらの審議会あるいは調査会というものが、何か場当たり的に、そのときどきに何か問題があると、国民の不満をそらすための緩衝帯といいますか、あるいは中和剤といいましょうか、そういった役目を果たしている。形式的に内閣や各省庁のアクセサリーのような機関になっちゃっているのじゃないかというような感じがするわけでありますけれども、各種の審議会あるいは調査会等によるいろいろな改善意見というものがなかなか実行に移されない、このことにつきましては大臣はどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  46. 石破二朗

    石破国務大臣 国、地方を通じまする財政の再建は、わが国目下の最重要課題の一つでもありまするし、これと関連しまする行政機構の改革、効率化、きわめて緊要なことであります。それゆえに政府は、前内閣もそうでございましたけれども、行政機構の改革、本気でこれを実行しようというところで、その一つの手段といたしまして第二次の臨時行政調査会を発足させよう、こういたしておる次第であります。  と申しましても、これにすべてを任せて国民の皆さんの目を逃れるための措置にしておるのではないかという御指摘があるかもしれませんけれども、決してそうではありませんで、現に、前内閣当時に提案しました行政機構の改革につきましては、すでに本臨時国会におきまして御審議を煩わすことにいたしておりまするし、さらに、昭和五十五年六月末を目途に、都道府県単位の国の出先機関の整理統合につきましても、若干時期はずれると思いますけれども、前内閣の閣議決定いたしました趣旨に沿うた措置を、第二次臨調とは別に行政機構の改革案を立て、御審議を煩わすことにいたしております。御了承賜りたいと思います。
  47. 松本幸男

    松本(幸)委員 第二次臨調のことにつきましてはまた後ほどちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、特に、ここは地方行政委員会でありまするから地方行財政に関することについてお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、御存じのとおり十七次にわたる地方制度調査会の答申が出されているわけであります。この答申につきまして、何が実施をされ何が実施されなかったのか、この場で直ちにお答えいただくということが無理かもしれませんけれども、まあ資料でも結構でございますがひとつ整理をして、十七次にわたる答申の中でどれが実施をされ、どれがそのままたなざらしになっているのかということにつきまして説明をしていただきたいというように考えるわけでございます。  特に、最後の十七次答申につきましては、地方行財政全般にわたりましてかなり画期的な改革答申であるというように言われておりますが、この答申の実現の見通しにつきまして、これまた大臣の御所見と実現に向かっての決意のほどをひとつお伺いしたいと思います。
  48. 大嶋孝

    大嶋説明員 最初に、何が実施され何が実施されなかったかという御質問がございましたが、十七次にわたります調査会の中では非常に盛りだくさんの答申がなされておりまして、たとえて申し上げますと、広域市町村圏による広域行政体制の推進でございますとか、あるいは公有地拡大でございますとか、特別区の区長の公選制度といったようなものはすでに実施されておるわけでございます。  なお、十六次で答申がございました自治意識の向上に関する答申、これらについてはいまだ実施されてございません。詳細なことにつきましては、また後刻御説明申し上げたいと思います。  それから十七次までの調査会の答申の実施の方向でございますが、この十七次地方制度調査会の答申におきましては、今後の地方行財政制度改革の基本的な方向といたしまして、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化それから地方分権の推進という二つが挙げられておるわけでございます。これはきわめて時宜を得たものと考えておりまして、この答申の趣旨が実現されるように最大限の努力をしてまいりたいと存じております。特に答申の中におきまして、国庫補助金の整理合理化あるいは事務の再配分といった国と地方公共団体との関係にかかわります改善事項につきましては、その速やかな実現を図るよう強く要請されておるところでございます。これら国と地方公共団体との関係にかかわります改善事項につきましては、現在政府全体として取り上げております行政改革の中で推進するよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  49. 松本幸男

    松本(幸)委員 十七次の答申につきましては、各地方団体でもこれを非常に高く評価をしておりまして、ぜひ実現について努力してもらいたいというように要望しておりますので、今後の御努力を期待したいというように考えます。  それから、これから設けられようとしております先ほど申し上げました第二次臨調と第十七次地方制度調査会の答申、さらにこの臨時行政調査会と地方制度調査会との関係についてお尋ねしたいわけでありますが、端的に申し上げまして、地方行財政の改革については地方制度調査会の審議、献策にゆだねて、このことについては第二次臨調ではやるべきではないのではないか、せっかく十七次の答申も出ていることでもありますし、二つの機関で同じようなことをやるということはそごを来すようなことにもなりましょうし、大体むだだ、このように考えるわけであります。いわゆる第二次臨調で地方行財政の改革についても手を染めていこうという考え方なのか、地方行財政の改革についてはいま設けられている地方制度調査会の調査審議あるいは献策というものにゆだねようとする考え方なのか、第二次臨調と地方制度調査会との関係について大臣はどのように考えておられますか。
  50. 石破二朗

    石破国務大臣 地方の行財政そのものについての改革等につきましては、御指摘のとおり地方制度調査会が御担当願うべき筋でありまして、国のいわゆる第二臨調のごときものがあれこれくちばしを差しはさむべき問題ではないと思います。しかしながら、御承知のとおり国の行政地方行政、国の財政と地方の財政、これは裏表になるような関係もあります。国の行政機構、特に地方支分部局がどうあるかということは、地方自治体行政あるいは財政のあり方と密接不可分、盾の両面のような関係に相なっております。したがいまして、第二臨調におきまして地方の行財政そのものについてあれこれは御審議にならないと思いますけれども、それと相関連します国の財政、行政機構、特に地方支分部局のあり方等については御審議になるものと思います。その際には、各地方自治体が常に要望しておりますことも十分配慮していただいて適当な御答申がいただけるように希望いたす次第であります。
  51. 松本幸男

    松本(幸)委員 大臣のおっしゃることもわからないではないのでありますけれども、地方の行財政に関しましては、せっかくできております地方制度調査会が第一次的にいろいろな審議をして改革意見を出していくということでやっていただきたいと思うわけであります。まだ第二次臨調ができておりませんから、いまの段階では何とも言えませんけれども、これとの連絡調整、少なくともそごを来さないような形で、しかも地方自治体というものの自主性が改革の中で損なわれることのないように十分な御配慮をいただきたいと思います。  次に移りますが、第二点は政治倫理の確立ということにつきまして、特に各種選挙を執行する主務官庁であります自治省石破大臣にお伺いしたいわけであります。  まず第一に、今日、その確立が求められているところの政治倫理というのは一体いかなるものなのか。概念がはっきりしないで確立する確立すると言いましてもやりようがないわけでありまして、そういった意味で一体その政治倫理というのはどういうものなのか、その概念につきまして大臣の認識と申しましょうか、考え方をお尋ねしたいと思います。
  52. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおり倫理という概念は非常にむずかしいものであります。私ども若いころ、学生当時から倫理学というようなものも幾らかは教えられましたけれども十分の理解をすることができませんでしたし、それだけに倫理というのはどういうものかというお尋ねでありますと非常にむずかしいものであります。しかも政治倫理ということになりますと、一般人の持ちます、一般人に必要とされます倫理観というものよりか若干は異質なものになるかもしれませんし、より高度の倫理が政治に携わる者には要求されることになるかもしれません。  私も、この間から考えておるのでありますけれども、本当に考えておるのですけれども、どうもむずかしい。政治家に求められる一番大切なことといいますと、政治に携わります者は国の安全が双肩にかかっておるんだ、さらに国民の休戚に深くかかわっておる、それだけ責任が重いものであるという自覚に基づいて行動するということが、政治家に国民が一番期待いたしておるところであろうと思います。そういうことからいたしまして、通常政治倫理といいますと、政治家がよけいな金を使わないように、あるいはおかしな金に手を出さないようにということだけが言われがちでありますが、もちろんこれは大切なことであります。おかしな金に手を出したりしたら、国民の皆さんが政治家を信頼してくれません。政治に対して信頼を持ってくれません。それでは政治が行えない。国民のためにやろうとしてもできるものではありません。それももちろん必要であります。大前提として必要でありますが、さらにそれ以上に、本当に自分を犠牲にしても国家、国民のために尽くすというのが政治家に求められる一番大切なことではなかろうかと考えております。
  53. 松本幸男

    松本(幸)委員 冒頭、大臣は、倫理という問題はなかなかむずかしくて、昔から一生懸命勉強しているけれどもよくわからない、理解できない、こういうようなことも言われたわけでございますが、それでは鈴木内閣の閣僚の一人として、鈴木内閣が大きな看板に掲げております政治倫理の確立、何か余りよくわからないんだということでは確立のしようがないんじゃないかというように考えるわけですが、さらに敷衍して、国会議員というものは国の盛衰消長について国民に責任がある、そのことを自覚していかなければいけないのだ。これは私の考えでは、倫理というよりもむしろ国会議員の義務、責務、こういうものではないかというように思うわけなんでありますけれども、私自身がきわめて浅薄な知識で考えますと、倫理とかあるいは道徳というのは、仮にその上に政治家とか、あるいは公務員とか医師とか教師とか、あるいは商人とかといういろんな言葉を冠しても、やはりそこには共通した普遍的な人間として守るべき道ということがつまり倫理じゃないかというように考えるわけであります。  特に、その普遍的な倫理というものについて、ある職業の人、政治家なら政治家といったような特定の立場あるいは職業、こういったものには特にある部分が強く要請をされる、こういうものではないかというように考えるわけでありまして、むずかしく考えれば確かにむずかしいことかもしれませんけれども、倫理というのはそんなにむずかしく考えるものじゃなくて、幼稚園の先生が子供に教えるような、うそをついてはいけませんよ、人をごまかしてはいけませんよ、あるいは人をだましてはいけませんよ、笹川さんじゃありませんけれども、親を大切にしなさい、他人に迷惑かけちゃいけませんよ、みんなと仲よくしなさいよ、こういうふうなきわめてだれでもがわかる、だれでもやらなければならない、これがつまり倫理ではないか、こういうふうに考えるわけなんです。  そういう倫理というものは、あるいは道徳というものは強制されるべきものではなくて、おのおのの良心に従って当然守るべき事柄であって、たとえばこういうところへ掲げて、うそをついてはいけません、ごまかしてはいけません、だましてはいけませんということを書いておくべきものであって、それを法律や規則で強制をすべきものではないのじゃないか。倫理というものを私はそのように考えるわけですけれども、ひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  54. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりに私も思います。倫理、もうどこまで考えたってわかりませんけれども、要するに誠実に行動するというのが正しいことだと思います。政治倫理というふうにその上に政治というものがつきますれば、やはり政治というのは国家なり国民のためにという、そこで先ほどの私の御答弁になったわけであります。御指摘のとおり、倫理を法律で強制するというのはいかがかと私も考えます。
  55. 松本幸男

    松本(幸)委員 少し問答のようになりますけれども、倫理というものを何か法律とか規則で強制をするということになれば、その時点でそのことはもはや倫理というものの範疇からは外れてしまうのではないか。要するに、倫理の倫理たるゆえんというものはなくなってしまうのじゃないか。たとえばうそをついてはいけません、ごまかしてはいけません、これは一つの倫理であると思うのですけれども、この倫理も、特定のことについて法律をもって強制し、義務づけられたものもあります。特に法律で倫理を義務づけたようなものは、たとえば税金なんかの場合に、うそをついてはいけません、虚偽の申告をしてはなりません、虚偽の申告をすれば罰せられます、こういうことで法律が規定をするわけです。しかし一般的な倫理というのは、法律や規則で義務づけられたり強制されるべきものではないと思いますし、法律によって義務づけられたものというのは、もはやその時点で倫理というものではなくなる。もう国民の義務といいますか、義務に属するものになってしまう。したがって倫理というのは、法律があるから、ないから、そういうことで守るとか守らないとか、そういうものではないというように私は思うのですけれども、その点、大臣いかがですか。
  56. 石破二朗

    石破国務大臣 お話のとおりと思います。
  57. 松本幸男

    松本(幸)委員 次に移ります。  首相の所信表明演説によりますと、「政治倫理の確立を図るためには、公正で金のかからない選挙制度の実現が急務である」このように言っております。  申し上げるまでもなく、わが国の選挙制度というのは、公職選挙法にその制度が定められているわけでありますが、いささか逆説的な言い方になりますけれども、この首相の所信表明演説で「政治倫理の確立を図るためには、公正で金のかからない選挙制度の実現が急務である」というこの考え方、これは何か制度を定めた公選法に欠陥がある、このようにも聞こえるわけでありますけれども、公選法に定められたわが国の選挙制度の中で、どこが不公正で金がかかるようになっておるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  58. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたしますけれども、総理大臣のお話しになりましたことは、単に公職選挙法だけについておっしゃったのではなかろう、ほかの選挙に関係します法令の不備ということも念頭に置かれた上での御発言ではなかったかと承知いたしております。
  59. 松本幸男

    松本(幸)委員 私も不勉強でございますのでちょっとわからないのですけれども、選挙制度というのは公選法以外にどういった法律——政治資金規正法もございますが、公選法と政治資金規正法、それ以外の法律で選挙の制度というものを定めたものがございますか。
  60. 石破二朗

    石破国務大臣 このたびの臨時国会に御審議を煩わそうと考えておりますのは、政治資金規正法の一部改正であります。もちろん、まだ内容が固まったわけではありませんけれども、大体前内閣におきまして提案され、廃案になりましたのと大差ない案を御審議を煩わそうと考えておりますが、その中におきまして中心になりますのは、個人が献金を受けた場合に、その政治個人に届け出の義務を課して明朗化を図ろうといたしております。いまはそういう制度がありません。そういうことによって政治資金を明朗化し、国民の皆さんに政治に対する信頼をお寄せ願えるようにしよう、こう考えておるのではなかろうかと思います。
  61. 松本幸男

    松本(幸)委員 大目標は政治倫理の確立なんですね。そのための手段方法として、制度を変えるとか政治資金規正法を改正するとか、こういうことになると思うのです。公正で金のかからない選挙制度の確立が急務であって、そのためには政治資金の明朗化を図る法案を今国会提案をする、こういうように首相も言っておられるわけでありますけれども、これもやや逆説的になりますけれども、政治資金を明朗化すれば、公正で金のかからない選挙が行われるようになるのかどうかということなんであります。  金のかかる選挙といいましょうか、金をかける選挙ですね。かかるんじゃなくて、これはかけるんですよ。かける選挙と政治資金の明朗化というようなことは、これはやや次元の異なる問題ではないかと思うわけですけれども、先ほどの倫理のところでお尋ねいたしましたように、法律や制度等を改めれば倫理が確立するというように考えているのか。たとえば政治資金規正法を改正してそういった収支を明確にすることによって、いわゆる政治倫理といいますけれども、これは倫理というのは人に属したことですから、政治家の倫理ということだと私は思うのです。その倫理が確立をするのかどうかということについて大臣はどう思っておられるのか。
  62. 石破二朗

    石破国務大臣 政治資金を明朗化するというだけで金がかからないようになるというものでもないと思います。御指摘のとおり、別の問題かもしれません。その辺のこともあわせて、選挙制度そのものにつきましても全体として検討してまいりたい、かように考えております。
  63. 松本幸男

    松本(幸)委員 私の持論でありますけれども、倫理というのは法律や規則で強制されるべきものではなくて、本来人間が人間として守るべき人の道だ、政治家もらち外ではない、こういうふうに考えるわけであります。一般国民は、たとえば税金についてごまかしたりうそをついてはいけません、その場合には罰則がありますよ、これは先ほども申し上げたとおり、うそをついてはいけないこと自体は倫理だけれども、税金の申告に虚偽のことをやったら罰則を受ける、こういうことは倫理のらち外で、義務というもの、責任ということになってくると思うのです。そういう観点から、一般的な倫理というものは国民に法律等によって強制されてはいない、こういうふうに私は思うのです。  ところが、何か国権の最高機関である立法府を構成する国会議員がなかなか倫理が守れない、だから政治資金規正法等の法律によって倫理を守らせるようにするんだということ、これはどうも私はみずからの権威といいましょうか、自尊といいますか、それを失うことになるんじゃないかというような感じがしてならないのですけれども、大臣はどのようにお考えですか。
  64. 石破二朗

    石破国務大臣 これもむずかしい御質問でありますけれども、私の承知いたしております限りでは、政治あるいは選挙についての主として資金でありますけれども、制限しておりますのは、アメリカ合衆国が非常に厳しいと承知いたしております。それに対しましてヨーロッパ先進諸国は、政治資金あるいは選挙の資金につきましては、ほとんど法律でこれを規制するというような方策はとっていないようであります。でき得ますならば、法律で選挙なりあるいは政治に使います金の制限等は本当はやりたくないわけでありますけれども、現在の政治資金規正法のごときものも先輩各位が長年御検討され、各党長年の御尽力の結果今日の制度を見ておるものと思います。これはやはりそうなまやさしく簡単にどうこうというようなことを批判すべきものではありませんで、現在の制度ができるにつきましてはそれなりの理由があったものと思います。それぞれの時点、つまり今日の時点において不十分な点があれば、それを改革していくという以外にはなかろうと私は考えております。
  65. 松本幸男

    松本(幸)委員 後ほどまた具体的な問題で言及をいたしますので、これはこの辺にとどめておきます。  次に、私の地元で発生いたしました例の富士見産婦人科病院の問題に関連いたしまして、二、三お伺いいたしたいと思うのです。  乱診乱療の問題とかあるいは医療制度の根本にかかわる問題につきましては、他の委員会で御論議されると思いますので、私は当委員会の所管であります警察行政に関しまして主としてお尋ねをしたいと思うわけであります。  御存じのように、富士見産婦人科病院の北野早苗という理事長が逮捕されましたのが去る九月の十日でございます。新聞によりますと、同人の無資格診療による医師法違反容疑というふうに伝えられておるのでありますが、この北野理事長の逮捕をきっかけにして、同病院のまことに残虐とも言うべき積年の乱診乱療事件がまさにせきを切ったように吹き出し明るみに出されまして、連日新聞をにぎわし、全国を揺るがすような大事件に発展をしてしまったわけでございます。地元ではかなり以前からとかくのうわさが流布されておりましたが、なかなか表面化せずに今日まで来てしまったわけであります。まさかこんなひどいとは思っておりませんでしたが、特に新聞報道などを見ますと、ここ一両年、つまり五十三年から理事長逮捕に至る本年九月までの期間が最も激しくひどかったようであります。  そこで警察庁にお尋ねしたいのは、この富士見産婦人科病院の捜査を始めた端緒といいますか、これがどんなものであったのかということと、いつからこの捜査が始められたのか、いろいろ新聞等では報道されておりますけれども、やはりきちんとした正確なお答えをいただきたいというふうに思うわけであります。  時間の関係もございますから、次の問題もちょっと触れます。  われわれの承知しておりますところではおおむね二カ年以上かかっている、こういうことでございますか、なぜ理事長逮捕までこのように——逮捕の容疑は医師法違反、資格がないのに診断をしたというきわめて単純な容疑なんでありますが、にもかかわらず二カ年以上も捜査にかかったということについてなぜそうなったのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
  66. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 埼玉県警察におきましては、一昨年の暮れごろでございますけれども、問題になりました富士見病院の乱診ぶりに関する風評を聞き込んだわけでございます。早速そういった風評の裏づけ捜査に着手いたしまして、慎重に継続してきたわけでございますけれども、この病院の理事長の北野早苗に対する容疑が濃くなったということで、先生も御指摘のように去る九月十日、医師法等の違反ということで逮捕し、現在捜査を継続しておるという状況でございます。  そこで、埼玉県警察が内偵を開始してから実質的検挙に入るまで相当期間かかったじゃないかといった点でございますけれども、その点につきましては御案内のとおり、この事件が病院内部での出来事でございます。しかも事案そのものが医療というきわめて技術的、専門的な分野の事案であること、また被疑者が実質的な病院の責任者である理事長の犯罪であるというようないろいろな理由から、犯罪事実を把握するのに相当時間がかかったということでございますけれども、埼玉県警察においては、内偵以来現在まで粘り強い捜査を継続しているという状況でございます。
  67. 松本幸男

    松本(幸)委員 このことにつきまして、これもまた新聞等では報道されているところでありますけれども、警察は富士見病院の家宅捜索を何回行ったか、それから家宅捜索で押収したものは何か。これは目録があればいいのですけれども、捜査上の問題もありますからなかなか目録を御提示いただくというわけにはいかないかもしれませんが、可能な範囲でお願いします。何回家宅捜索したのか、家宅捜索で何を押収したのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  68. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 富士見病院につきましては、医師法等の違反容疑で数回にわたって捜索を行いまして、関係資料多数を押収しておるわけでございますけれども、その内容につきましては現在埼玉県警察において捜査中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  69. 松本幸男

    松本(幸)委員 そういう答えが返ってくるのだろうと思っておりました。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕 押収されたものの中にいろいろカルテ等もあると思うのですけれども、実は現地の所沢保健所では、御存じだと思いますが、五十三年、五十四年の分娩以外の手術の件数等については、検査をして明確に数字が出されております。そして五十五年に至りましても、一月、二月の分についてははっきりしているわけです。ところが三月以降の分については、いろいろな関係書類が警察の方に押収されてしまったので、あれば、保健所が立ち入って調査をして分娩以外の手術がどれぐらいあったかということがはっきりわかるのだけれども、いま書類が押収されてしまっているのでわからない、こういうことなんです。したがって、押収された関係書類の中から五十五年三月以降の、本来保健所が調べるべき手術の件数等について警察の方ではおわかりになっているのかどうか。おわかりになっていれば、ひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
  70. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 先生のお問い合わせでございますけれども、これまた現在捜査中にかかわる事項でございますので、お答えは差し控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  71. 松本幸男

    松本(幸)委員 その辺はちょっと私にも理解ができないのですけれども、押収された関係書類の中に入っているということなんです。置いてあれは保健所か行って調べれば——その数字というものは、五十三年も五十四年も明らかになっておるわけです。五十五年分についても一月、二月ははっきりしているわけですよ。ところが書類が警察の方に押収されてしまっているから保健所ではわからないのだ、こういうことであって、そのこと自体は捜査上の秘密でもないように思うわけなんです。要するに、ほかのことを聞きたいというのではなくて、すでに保健所が五十三年、五十四年はきちんと出している数字、五十五年についても一月、二月はきちんと数字が出ているもの、これについて書類がそのままあれば、保健所が行って調べればすぐ数字が出てくるわけですが、たまたま書類が警察の方に行ってしまっているからわからない。書類を持っている警察ではわからないのかということをお尋ねしているのであって、これをしも捜査上の秘密だというようには私は考えないのですけれども、その辺いかがですか。
  72. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 去る九月十日、先ほど申し上げましたように理事長北野早苗を逮捕しまして、その後十月一日に起訴になったわけでございますけれども、御案内のとおり逮捕された旨報道されるや、現在までに約千四百人の方から被害にかかったというような申告がなされまして、現在埼玉県警察においてはそういった方々からいろいろ事情を聞き、また押収された資料に基づきまして精査しているというような段階でございます。そういうようなことで、何分捜査中の問題でございますのでお答えは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。御了承いただきたいと思います。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 松本幸男

    松本(幸)委員 一年生の議員ではその程度のお答えきりいただけないのかもしれませんけれども、捜査開始から逮捕まで約二年間かかったわけですが、先ほども申し上げたように、この二年間に千二百件あるいは千三百件というような大変膨大な数の被害者があるわけです。捜査が長引いたために、被害者の増大にあえて手をかしたとまでは言いませんが、結果的にもっと早くこれをやっていればあんなに被害者がふえることはなかったのではないかというように思うわけですけれども、その点についていま警察としてはどういうように考えておられるのですか。  それからもう一つ。被害者から、御承知のとおり同病院の医師に対しまする傷害罪の告訴が出ていると思うのですけれども、これは現在どのように捜査が行われているか。これも捜査上の秘密ということでお答えいただけないかもしれませんけれども、ひとつ可能な範囲で見通し等含めましてお聞かせいただきたいというように考えます。
  74. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 仰せのとおり、早く検挙すればそれだけ被害者の方が少なくて済んだということは言えると思いますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、何分今回の事案というものが病院内部での問題である、その他いろいろの理由から、容疑を確認するのにそれなりに時間がかかったということでございます。埼玉県警察におきましては、そういった風評を聞き込んで以来、現在さらに今後とも精いっぱいの努力をしてきたし、また努力をするということでございます。  それから傷害罪の告訴につきましては、御案内のとおり九月二十九日と十月十四日の二回にわたりまして、この病院で手術を受けられた方々から傷害罪であるという告訴が出されております。これにつきましては、告訴を出された方から事情を聴取するなど所要措置を講じておるところでございます。
  75. 松本幸男

    松本(幸)委員 実は所沢におきましては、昨年の十月に総選挙が行われたわけであります。これは所沢だけではなくて全国的に行われたわけですけれども、この北野早苗という男がおります西所沢、富士見産婦人科病院のあるところでありますけれども、この町内でいわゆる町ぐるみの選挙違反事件が発生したわけでありますが、この町ぐるみ選挙違反事件につきまして、その経過と結末、これは終わったことなんでありますが、すでに判決も出ていることなんでありますけれども、その経過と結末についてお伺いをしたいと思います。  それからもう一つは、同じ十月に所沢では市長の選挙も行われたわけでありますが、この市長選挙につきまして、富士見病院理事長の北野早苗という男が、当時同じ町内に住んでおりました助役を担ぎ出して、助役が市長選出馬を決意してやめた途端に、今度は市長派に寝返りまして引きおろし工作に入った。この引きおろし工作に当たって当時の市長から、あなたを助役に再任しますという確約書というものをとって助役を引きおろした、断念させた、こういう奇怪な行動があったわけです。その後この奇怪な行動が明るみに出されまして、所沢では大変大きな問題になりました。マスコミにも報道されました。天下周知のことになったわけであります。この一連の行為は、私ども素人判断からいたしましてもあるいは多くの市民の方々も、公選法二百二十一条あるいは二百二十三条一項四号の違反じゃないかということが言われたわけであります。しかし、この事件につきましても実態上明らかに公選法違反ではないかというように思われたわけでありますけれども、全くそのままになってしまった。うやむやといいますか、何が何だかわからなくなってしまった。  こういうことで、端的に申し上げますと、地元の市民の方々は、この産婦人科病院の乱診乱療の問題等を含めて、衆議院選挙の違反事件も、いりものとおり、小物と言っては語弊がありますけれども下の方の者が罰を受けて、当時地元の人は、この産婦人科病院の北野早苗が本当の黒幕だというふうにうわさをしていたわけです。市長選挙にかかわる違反についてもしかり。にもかかわらず、総選挙の違反事件は中途半端で終わってしまう、市長選挙にかかわる問題については全然不問。こういうことと富士見病院の乱診乱療とがかかわり合って、率直に申し上げまして警察に対する信頼感といいますか、おかしいのじゃないか、何かあるのじゃないか、こういうのが地元の皆さんの声だったわけです。  そういう点からあえてお尋ねをするわけでありますが、選挙違反事件とこの市長選挙にまつわる事件について全然手がつけられなかったのかどうか、あるいは総選挙における選挙違反事件の経過と結末はどんなものであったか、御答弁をいただきたいと思います。
  76. 中平和水

    ○中平政府委員 お尋ねの第一点の、昨年の総選挙の際における買収供応事案の処理の問題でございますが、この事件につきましてはただいま先生からも御指摘がありましたように、すでに一応結審もいたしておる次第でございます。  事件の筋書きを申し上げますと、総選挙の告示の前一月くらいの段階で後援会の名義の供応事案がある、しかし実態的にはどうもこれは二区から選出されました某候補派の事前運動、要するに事前における買収供応事案の疑いがあるということで、所沢署では内偵の結果おおむね事実を確認いたしまして、投票日の翌日一斉に捜査に着手いたしまして、まず被供応側、ごちそうになった側を任意で、これは十九名でございますがこれを固め、供応した側、これは二名でございますが、この者を一応逮捕いたしましてこの事件を固めた上、これに使われた金が約五万円あったわけでございますが、その五万円の金の出所を追及した結果、某代議士の私設秘書が逮捕された次第でございます。事件は、当該私設秘書がみずからの金をもって処理をいたしたということになりまして、さらにその背後にある関係につきましては十分なといいますか、その段階で捜査は一応終結をいたしておる次第でございます。  ただいま御指摘のございました北野某なる者がこの事件に関与しておったか、こういうことでございますが、その問題につきましては、捜査記録その他一切を精査いたしましても出てまいっていないわけでございます。御案内のように、選挙というのは——選挙に限りませんか、刑事事件というのは証拠に基づいて積み上げてまいるわけでございますが、関係者の供述あるいは捜索の結果等から、いささかも北野が関与しておったという状況が出てまいっていないわけでございますから、その形において終結しておるわけでございます。  第二点の、所沢の市長選挙にまつわる問題でございますが、選挙は去年の十月に行われているわけでありますが、ことしの二月になりましてある新聞に、所沢市長選挙に絡んで北野が最初に助役を担ぎ出そうとし、次に市長との話をつけて一応助役をおろした、こういう趣旨で、そこに御指摘のありましたような買収事件あるいはそれにかかわる、要するに周旋行為等があったではないかということが記事に出ておったわけでございます。所沢署あるいは埼玉県警といたしましても、事柄を一応重視いたしまして、当時捜査二課員も含めて捜査に着手しているわけでございます。  この種の事件というのは、当然のことでございますが周辺の者から聞いてまいる。新聞の記事かあったから直ちに当該関係者を呼ぶわけにはまいりませんので、周辺の事情をだんだん聞いてまいっているわけでございますが、一つには何分にも選挙が済んですでに三カ月余たって、周辺の情勢がかなり変わってまいっているわけでございます。この種の事件というのは、ある程度供述というものが中心になるわけでございますから、周辺の関係者から事情を聞いているわけでございます。事情を聞いておりますが、当該報道等になされたような事実を証拠上裏づけるような供述も得られませんでしたし、新聞に掲げられております、ある確認書のようなものがあったということになっておるわけでございますが、これについても証拠上そういうものが私どもの手に入らなかったといいますか、そういう状況等も含めまして私ども立件送致するに至っていない、これが一応いきさつでございます。  ただ、今回北野某が埼玉県警におきまして医師法違反等の容疑でつかまっておりますので、この問題につきましても埼玉県警としては関心を持って、事実があるとすれば適切に対処してまいる、こういうことになろうかと考えております。
  77. 松本幸男

    松本(幸)委員 現地の警察もいろいろ御苦労をされているとは思うのですけれども、その御苦労のかいもなく、結果的には乱診乱療事件と衆議院総選挙における違反事件と市長選挙の事件とが、警察側にとりましては不本意かもしれませんけれども、地元では一緒くたになりまして、現実の問題として地元では非常に首をかしげるといいましょうか、疑惑というか不信といいますか、信頼感、そういったものが大変低下しているということは事実なんです。それはいまから申し上げても仕方がありませんが、そういうことがあるということで、少なくとも警察の威信あるいは信頼というものを回復するために、今度の病院の事件ではぜひ徹底的にやっていただきたいというようにお願いを申し上げます。  それからもう一つ。これは警察庁にかかわることじゃなくて、自治省の選挙部にかかわることですけれども、日本病院会政治連盟というのはどういう政治団体なのかということと、この日本病院会政治連盟の五十四年度の収支報告がどのようになされているのか、まずお伺いしたいと思います。
  78. 大林勝臣

    ○大林政府委員 お尋ねの日本病院会政治連盟というのはどういう団体であるかという点でございますが、この政治連盟は自治大臣所管の政治連盟として届け出をされております。目的は、「本連盟は日本病院会の目的および事業を達成するために必要な政治活動を行う。」とされております。設立年月日は昭和五十一年十一月一日、代表者は河野稔という方であります。会計責任者も同じく河野稔さんがやっておられるようであります。主たる事務所の所在地が東京都千代田区麹町二丁目十四番ということになっております。  それから第二点の、病院会政治連盟の五十四年度収支報告についてのお尋ねでありますが、恐らくお尋ねの内容は、これまで新聞で報道されております献金関係のお尋ねであると思います。病院会政治連盟の昭和五十四年分の収支報告書について確認をしたわけでございますが、御指摘の点に関する支出の記載は見当たりません。
  79. 松本幸男

    松本(幸)委員 余り具体的なお答えではなかったわけですけれども、御承知のように、今度の富士見産婦人科病院事件に関連をいたしまして、中央地方の多数の政治家に献金が行われているというようなことが新聞等で報道されているわけでありますが、このたくさんの政治家のうちで、前厚相あるいは元自治相、新自由クラブの幹事長、これらはいずれも日本病院会政治連盟から五百万円ずつの献金を受けたということをそれぞれ認めているというように報道されております。新聞報道によれば、この病院会政治連盟に領収証が発出をされていると言われております。ところが、献金をした側の日本病院会政治連盟の昭和五十四年度の収支報告には、こういう献金はしてないというようにいまお答えがあったわけです。支出していないところに領収証が発出されているわけでありますけれども、金を受け取った方は、確かに受け取りました、ところが領収証を出した相手方は私の方は金を出していませんよ、こういうことになりますと、そのお金というのは一体どこから来たことになるのでしょうか。
  80. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今後の収支報告書の処理の問題になるのだろうと思いますけれども、現在のところは、いろいろな事情が新聞で報道されております。こういった事実関係が一体どういうことであったのかということがわからなければ、そのあたりがわからないということになるのでありまして、今後関係政治団体の方がどういう処理をされるのか、私どもはそれを待つ以外にないと存じております。
  81. 松本幸男

    松本(幸)委員 比較的事実関係のはっきりしておりますことから申し上げますと、実は入間比企開発協議会という後援団体を持っている議員、この方は病政連から五百万円をいただいたということで病政連に領収証を発行し、そして埼玉県の選管にもそのような報告をされているわけです。しかし一方、いまそちらから御答弁があったように、出した側の病政連ではそこには差し上げていませんと言うのです。これも明白なんです。事実関係がはっきりしている。病政連の方ではその人には出していません、いただいた方は県選管へ、そこからいただきましたというふうに出しているのですから、先ほども申し上げましたように、これは虚偽ということになるのでしょうか。そういう事実関係がきわめて明確な場合に、選挙の主管をする自治省としてはどうなされますか。
  82. 大林勝臣

    ○大林政府委員 一方はもらったと言い、一方は出さないと言う、こういう食い違いが起こるといたしますれば、どちらかが誤解をしておるか、間違っておるかのどちらかだと思います。結局はもらったということであれば、もらったという収支の報告が後刻出てくるのであろうと思いますけれども、それについて片一方は出していないということになりますれば、そのどちらが間違っておるかという白黒を行政庁においてつける立場に実は私どもは立っていないわけであります。先生十分御承知のように、政治資金の収支報告につきましては行政権力の介入はできるだけ避けるという趣旨から、行政庁としては出てきたものを、要するに計算が間違っておるとかその他の、全く一見してわかる形式的な審査というところにとどめられておりまして、そのためにこそそれぞれの収支報告書の末尾に会計責任者に、これに絶対に間違いありませんという誓約書い誓約文言を書いていただくというシステムになっておるわけでありまして、御質問の、どちらが間違っておるかという問題についての白黒、決着をつける立場に私どもがないということを御了解賜りたいと思います。
  83. 松本幸男

    松本(幸)委員 片方の寄付をした側の政治団体というのは自治省に届け出をする二都道府県にまたがる政治団体、片や一つの都道府県の政治団体である、こういうようなこともございますけれども、一つの地域の中での政治団体であるとすれば、たとえば埼玉県内なら埼玉県内だけの政治団体であれば、当然、提出をされる先が県の選管ということになりますから、そこで見れば両方引き合わせるということもできるわけですが、いまのような場合に、それらについて是正の措置を講じさせるという行政の権限がない、こういうようなお話に伺ったわけです。そうなりますと、その部分についてはきわめて法が不備であると言わざるを得ないわけですけれども、その辺のことにつきまして最後にひとつ大臣のお考えを伺いたいと思うのです。
  84. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  政治資金規正法の問題、これについての御意見もいろいろあろうと思いますけれども、先ほどもお答えいたしましたが、私どもの先輩が長年にわたって御尽力の結果今日の制度ができておるものと思います。今後とも国会、各党各会派の御意見等も十分拝聴いたしまして、法令の不備がありとしますならば、できるだけ改善の方向で今後努力してまいりたい、かように考えております。
  85. 松本幸男

    松本(幸)委員 質問もなたのような質問ですから、なかなか明確なお答えがいただけなかったという点もありまして、私自身としては多少の疑念を残したままでございますけれども、初めての質問でございますので、この辺で終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  86. 左藤恵

    左藤委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  87. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  88. 斎藤実

    斎藤(実)委員 自治大臣にお尋ねをします。  大臣、知事の経験もおありになるし、私は地方自治に対する深い造詣を持っていらっしゃる自治大臣だというふうに認識しているわけです。内閣もかわりましたし、自治大臣大臣に就任されて地方行政に対する所信表明が当然行われるべきだと私は思っておったのですが、所信表明もないままに委員会が開かれたわけです。非常に残念だと思います。  そこで大臣地方自治に対する基本的な考え方を伺うわけでございますが、これからは地方時代だ、こういうふうに言われておるわけでございます。八〇年代あるいは地方時代と言われている中で、本当に地域住民のためにこれから地方行政を一体どういう形で進めていかれるのか、基本的な大臣考え方をまず最初にお尋ねをしたいと思います。
  89. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  何事についてもそうでありますけれども、地方自治につきましても、いい点さらに悪い点、両面あると思いますけれども、総じて地方自治はきわめて重要なものであり、戦後地方自治を強化しましたことは大きなプラスであったと思います。  御承知のとおり、日本人はお互い、諸外国と比べますと一億一千何百万という人間、単一民族であります。地域も狭うございます。したがいまして、国民の意識が地方によって、都道府県によってそう差があるとは言いかねますので、たとえばアメリカ等と比べますと地方自治の必要性という点は比較的少ない、少なくあってしかるべきものと思います。しかしながら、地方自治制度をしいた最大の効果は中央集権が行えなくなった、やりにくくなったという点だと思います。中央集権そのものもいい点はありますけれども、一番あれの困ります点は、全体主義が行き渡りやすいと言わなければならぬと思います。地方自治発展しました日本の今日で、左右いずれの中央集権も全体主義による中央集権はなかなかやりにくくなっておると思います。地方自治の最大の効果であったと思います。今後とも地方自治の強化に向かってさらに努力をしてまいりたい、かように考えております。
  90. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣地方自治の強化についてこれから積極的に取り組んでいくという答弁がございました。ぜひひとつそういうことでお願いをしたい。  大臣、いま中央集権という言葉を使われましたね。私はそれに関連をしまして、現行の国と地方め行財政の構造というものは、許認可事務あるいは機関委任事務の増大のほかに補助金行政によって、私はこれは中央集権と言っていいかわかりませんけれども、どうしても中央集権という形になっていると思うのですね。また、中央主導型と言ってもいいと思うのですが、こういうことが果たして地方自治にプラスになるのかどうか、非常に私は疑問に思っておる一人なんです。いまの形は、何と言っても機関委任事務だとか許認可事務あるいは補助金行政ということで中央集権的になっていると思うのですが、こういうことに対して大臣、これはどういうふうに認識されているのか、あるいは地方自治体に権限を移譲していこうというお考えがあるのか、今後の施策についてお尋ねしたいと思います。
  91. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  機関委任事務をなるべく整理して地方の固有事務に回したらどうかという点についてでありますけれども、正確には局長からお答え申し上げますが、私のただ勘でございますけれども、両者制度は別といたしましてそう大した差異はないと思います。しかしながら、補助金行政というのは地方自治の本旨に反するような気がしてなりません。何とかして補助金行政をやめるように、そうしますと、ひょっとするとむだな補助金になっておるかもしれぬというような財政の冗費を節約することになりますのはもちろんでありまするし、補助金をもらうために、また補助金を交付するために、地方中央双方が非常なエネルギーを使っております。極言しますれば、私の経験からしますと、中央も地方も半分以上のエネルギーを補助金の受け取り、交付のために使っておるのじゃないかとさえ言ってもいいと思います。何とかしてこれを自主財源的に振りかえていただくということができないものかと思います。  原因はいろいろありまして、言うべくして一朝一夕にこれは改まらぬと思いますけれども、関係者みんなで補助金行政を何とか少なくしていくということに努力してまいりたいと思います。
  92. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣確かにおっしゃるとおり、これはもう地方自治体は大変なものなんですね。ぜひひとつ、御答弁がございましたように、できるだけ整理をして自主財源に持っていくようにお願いをしたいと思うのです。  次に、国、地方を通じての財政再建の問題でございます。この財政再建の問題は、当面の緊急かつ重要な問題でございますが、特に地方財政の再建は当面の急務であります。大臣、この地方財政の再建についてどう考えておられるか。えらい赤字が出ておるわけですが、また来年度も相当な赤字が見込まれるだろうと言われておりますが、今後の施策について大臣どういうふうに反映されようとしていらっしゃるのか、まずこの点からお答えをあただきたいと思います。
  93. 石破二朗

    石破国務大臣 御承知のとおり、戦後しばらくの間、地方財政は非常に窮迫いたしておりましたが、高度経済成長の始まりました昭和三十年代中ごろからはだんだんと楽になりました。それが石油ショック以来また非常に苦しくなった、こういう状況であります。  そこで、これについての考え方でありますけれども、行政の需要は一体どの程度のことが適正なのか。つまり、地方自治に求める地方住民の期待がどの程度なのか、それにどの程度こたえるのが地方行政なのか、そこから決めてかかりませんことには、幾ら金があっても私は足りないと思います。これで十分ということは、地方財政が十分という時世は来ることはなかろうと思います。つまり、地方自治体は一体どの程度の仕事をすればそれでいいのかという点をまずセットしてかかりませんことには、いつまでたっても問題か解決しないのではないかと考えております。もちろん、これも言うべくしてなかなかむずかしい問題ではありますけれども、ただ当面の問題として国、地方自治体それぞれ大体毎年総じて同じ程度の四十数兆円という財政規模になっております。五十六年度の予算編成に当たりましても国がどういう予算を組むのか、それに対応して地方はどういう予算を組めればいいのかという検討をして、地方財政に不都合の起こらぬように処置してまいりたいと考えております。
  94. 斎藤実

    斎藤(実)委員 細かい問題に入る前に一点だけちょっとお聞きしたいのですが、昨年第十七次の地方制度調査会の答申がございましたね。これは地方行政に関する基本的な事項について答申を出されておるわけでございますが、この答申は新しい地方時代にふさわしい自治体づくりのために重要な課題を指摘をしているのでございまして、私も評価をしております。  大臣、十七次地方制度調査会の答申について伺っておきたいのですが、この答申について大臣どういう御認識なのか、この内容の実現についてどういうふうに取り組まれるのか、ひとつ率直にお伺いしたいと思います。
  95. 石破二朗

    石破国務大臣 地方制度調査会の第十七次の御答申についてでありますけれども、正直申し上げまして就任まだ日も浅うございまするし、今後あれをどの程度具体化し、どういう手順でやっていくかということについては確たる成算を持っておりませんけれども、十分検討させていただき、忠実に御答申の趣旨に沿うて処置してまいりたい、かように考えております。
  96. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次は財政問題に触れたいと思うのですが、これから十二月にかけまして五十六年度予算の編成が行われるわけでございます。過日も予算ゼロリストを発表したり、あるいは政府は増税の必要性を大変強調されているわけでございますが、来年度の地方財政の見込みについてお伺いをしたいと思うのです。  率直に言いまして、五十四年度の地方財政計画上の財源不足というのは四兆一千億で、昭和五十五年度二兆五百五十億、五十六年度のことについては先ほどなかなかつかみにくいという御答弁がございました。これについて自治省としてどの程度の把握をしておられるのか、全く見通しがつかないのか、この点どうでしょうか。
  97. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 五十六年度の見通しでございますが、私どももその点についてはいろいろな情勢を分析しながら検討しておることは事実でございます。ただ、先ほども御説明申し上げたわけでございますけれども、一つには明年度の経済の動向というのがどういうふうになるかわからない、したがって、地方の税収等がどういうふうになるのかあるいはまた国税に伴います交付税がどういうふうになっていくのかといったことがわかりませんし、また国の歳出自体がどういった方針で組まれていくのか、これも非常に重要な影響を与えるわけでございますから、そこらがわからなければなかなか歳出規模もわからないし、また税制改正その他これから検討されるわけでございますが、そういった動向もわからないわけでございまして、非常に不確定要素が多いので、私どももどう申し上げようもないわけでございます。  ただ、五十四年度は四兆一千億であった赤字、財源不足が五十五年度はたまたま二兆五百五十億になった、そこらの方向がどうなるのだろうかといったようなことも含めてのお尋ねでございますが、確かに五十年度以降財源不足がどんどんふえて、五十四年度は四兆一千億ということに相なったわけでございますが、五十五年度に二兆五百五十億と減りましたのはかなりな減ではございますが、これには三つの理由があったと私ども思っております。  一つには、国と同じように財政再建ということで思い切って歳出の抑制ということに心がけた。その点で近来になく財政規模の伸びが低かったということと、もう一つは、五十三年後半以降経済が順調に回復してまいりまして、五十四年度思ったよりも税収が伸びる、したがって五十五年度もかなりなものが見込めたということ。第三点は、これも率直に申し上げまして、五十四年度に税収がかなり伸びたために国の補正予算がありまして、そこで生じてまいりました交付税四千億余りというものを五十五年度に繰り越して使うといったようないろいろな事情がありまして、結局二兆五百五十億となったわけでございます。  そういった点で来年度はどうかということになりますと、結論としてはただいま申し上げたようなことで不明でございますけれども、ただいろいろ検討の中で考えますと、税収そのものが来年度そんなに調子よく伸びるとも思えない気がいたしますし、また交付税そのものも五十五年度も八千九百五十億というものを借りてやっと五%の伸びを図ったという程度でございますから、来年度大蔵省あたりのいろいろな試算を見ましてもそれほど伸びるとも思えません。歳入面でもいろいろな点で窮屈でございます。一方歳出は、抑制基調に立つといたしましても、必要な義務的な経費の伸びというものもございますし、また住民のニーズにこたえた仕事もしなければなりませんので、そう極端に切り詰めるというわけにもまいらないという気もいたしますので、そこらから見ればそう楽な形にはならないだろうと思います。  ただ具体的にそれではどうなるのだということになりますと、まだいまちょっとお答えできるような状況ではございません。いずれにしても私どもは、そういった財政の状況、今後明らかになってくるいろいろなものに基づいて検討を進めて、地方財政の運営に支障がないように十分取り組んでいかなければならないということだけはかたく思っているわけでございます。
  98. 斎藤実

    斎藤(実)委員 確かに厳しい状況ですから、税収もそんなに伸びはないと思うし、厳しく見ておいた方がいいと私は思うのですね。  そこで、財源不足を補てんする対策としては、地方税、交付税の引き上げだとかあるいは国が二分の一負担をするという交付税の借り入れ、あるいは財政対策債の増発とかいろいろあるわけですが、何といっても交付税の引き上げということが基本だろうと思うのですね。予算要求のときには毎年大蔵省にいろいろ要求をしているようですが、来年度の分についてもひとつがんばっていただきたいと特に要望申し上げておきたいと思います。  次に法人税の問題でございます。法人税の引き上げが具体的に論ぜられているわけですが、同時に地方自治体における法人関係税の充実強化ということについて私はお伺いしたいと思うのです。  法人税は国税ですから、全額国の収入に入るわけですね。法人税の負担を増強する場合に、国の法人税の税率アップだけが表に出ていまして、地方団体の法人関係税の強化充実ということが表に出ていない。これはちょっと困ると思うし、不公平ではないかと思うのですが、大臣考えはいかがですか。
  99. 石原信雄

    ○石原政府委員 税制改正の問題につきましては、現在税制調査会で中期の改正内容について御論議が行われております。恐らく十一月上旬には結論が出るのであろうと思います。これは中期の改正でございますので、五十六年度の改正内容についてはこれに引き続いて論議されることになると思います。そうした中で法人課税のあり方についても、その基本的な仕組みの問題あるいは負担水準の問題等について論議が行われておりまして、その中で、なお全体としては法人の租税負担の水準について若干の引き上げの余地があるのじゃないか、こういった考え方が出されております。その結論が出るまでには、なお若干時間がかかると思います。  そこで、法人課税を含めまして税源全体についての強化の問題が論議されておるわけでありますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、現在地方歳入中に占める地方税源の割合が非常に低いという認識のもとに、これを引き上げるべきである、税源充実の場合には地方税源の強化充実を図るべきであるという考え方で取り組んでいきたいと思っております。法人課税につきましてもその基本的な考え方のもとに、当然地方の法人課税についても充実が図られるべきである、中でも都市税源、市町村の法人課税が非常に少ないじゃないかという考え方が指摘されておりますので、私どもその線に沿って最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  100. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、先般全国の知事会がございました。そのときに鈴木総理が、いまの厳しい財政状況の中で根本的な税財源の配分はやれる状態ではないというふうに言われたと新聞報道がされているわけでございますが、税財源の再配分について、これは私は思い切ってやるべきだと思うし、大臣、ひとつどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  101. 石破二朗

    石破国務大臣 総理大臣が申されましたこと、やむを得ないことではなかろうかと考えております。たとえば地方交付税の税率の引き上げ一つとってみましても、地方自治体といたしましては、したがって自治省といたしましては、幾らかでも地方交付税の税率を引き上げたい、引き上げてほしいと切なる願いではありますけれども、これは同時に国の取り分がそれだけ減るという結果になるわけでありまして、総理大臣、この際国の財政の厳しい折から税財源を根本的に再配分し直すというのはむずかしいと申しましたのも、その辺が  一つの理由ではなかろうかと考えております。
  102. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、私はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、きわめて重要な問題だと私は思うのですね。税源につきましては、やはり税源を地方に移譲するということ、これは大臣も先ほど触れておりましたが、国税のうち税目あるいは税率などを再検討して地方税の強化を図るということ、これはぜひやっていただきたいと私は思うし、また現在、各種譲与税の地方への配分割合をふやすということ、これも私は大事だと思うのです。大臣、先ほど触れておりましたが、税源について交付税の引き上げあるいは国からの地方団体に対する補助金を一切やめて一般財源とする、これは大臣もそうおっしゃっておりました。こういうことを考えますと、やはり国と地方との立場あるいはあり方を考えれば、国の財政事情が苦しいという立場も十分わかりますけれども、これはひとつ思い切って自治大臣として、もう一度税財源の配分についてのお答えをいただきたいと思います。
  103. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  重ねての御質問でありますけれども、なるほど地方交付税という形では現在三二%しか渡してないわけでありますけれども、ここ数年来の地方財政計画の策定につきましては、国も何らかの形で、形は交付税でありませんけれども、財政措置を講じております。見方によりますれば、実質四〇%の交付税率に及んでおるという程度まで、何らかの形で地方財政に手当てをしておるわけであります。本来の姿から言うと、あるいはそれはよくないことかもしれませんけれども、とにかく地方財政が何とかしてやっていけるだけの措置はこれまでもとってまいっておりまするし、五十六年度の予算編成に当たりましても、姿は別といたしまして、実質地方が必要な仕事をおやりいただくのに不自由はかけないように善処いたす決心でありますので、御了承賜りたいと思います。
  104. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ぜひひとつ、大臣のいまの答弁のとおりお願いをしたいと思うのですが、大臣、この間総理が全国知事会でこういうふうに言っているのですね。中央の人減らしのためにも、国庫補助金の統合、メニュー化をすべきだとの考えは傾聴すべき意見だ、わずかな補助金よりも、これをまとめて地方が特性に応じて使う方が経済効率的にもよいとの考えを持っている、こう総理がおっしゃっているわけですね。これは今後の課題として検討していきたいという、きわめて前向きな話をされているわけです。これは私は結構だと思うのですが、自治省としても、この問題についてずいぶん取り組んではきていると思います。しかし、なかなか一遍には私はいかないと思うのですが、総理もこうおっしゃっているのですから、この際思い切った国庫補助金の整理統合、メニュー化をぜひ進めるべきだと思うのですが、大臣いかがですか。
  105. 石破二朗

    石破国務大臣 三千数百に上ります地方自治体であります。あるいは中には不心得な自治体なきにしもあらずと申さざるを得ないと思いますけれども、戦後の地方自治制度しかれまして三十年たったわけであります。地方自治体行政、これは信用していただいていいと思います。けれども、えてどうも中央政府の主として役人でございますが、地方自治体に対する信頼感が少ないように思います。地方におりましたころもそれを感じておりましたし、その後もそういう気がしてなりません。中央政府の役人諸君が地方自治を信頼しない、何とか補助金等で監督せぬことには安心ならぬ。まあ親切心には違いないと思いますけれども、よけいな干渉をし過ぎる、これはどうしても直していかなければならぬと思います。  なお、自治省も最大限、補助金の一般財源化等については努力するつもりでありますので、各界、国会の諸先生におかれましても、どうぞその辺のことにつきましても格別の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  106. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、私は北海道の集中豪雨に伴う地方自治体の財政問題について伺いたいと思うのですが、これは八月三十一日、道南地方に集中豪雨がございまして、災害救助法並びに災害対策に対する地方自治体への財政問題について伺いたいと思いますが、たとえば登別という市がございまして、これは復旧計画の実施などによりまして単独市費、市の持ち出し——災害応急単独事業用として、この災害があってから九月末まで市単独で一億六千二百二十三万三千円を支出しているわけです。さらにこれとあわせまして公共災害復旧の自己負担等が加われば、地方自治体としては大変な財政負担になるわけでございます。これに対する措置としては、この特別交付税による以外はないわけですが、こういう緊急かつ災害の場合、増額配分などの財政措置がとれないものかどうか、伺いたい。
  107. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方団体といたしましては、災害対策にいろいろな手段を講じて一生懸命やっておられるわけでございますが、いわゆる災害復旧その他制度化されておりますものは、そのルールに従って復旧を行う。ただ、それ以外の目に見えないもろもろの施策等がございまして、おっしゃるように地方団体としてはいろいろな対策費がかさむということはございます。私どもとしては、そういった災害対策についてはできるだけ特別交付税でめんどうを見たいということで従来からやっておるわけでございますけれども、ただ、地方団体が実際にこれだけかかったという実額をそのまま交付税で配るといったような仕組みではございませんで、私ども特別交付税としての一つの枠もございます。そういう中で、当該団体の被害の状況なりあるいはまた財政状況等も十分勘案した上で、適切な配慮をするということにいたしておるわけでございます。  ただ、いまおっしゃいましたことは、ことしは特別交付税の伸びも非常に低くて、総枠としてもなかなか乏しいのではないかというようなことも含めてのお尋ねかと存じますけれども、そういった点では確かに冷害があり、その他の災害もあり、将来また豪雪等がどうなるか、いろいろな意味で特別な財政需要というものは出てくるかとも思います。私どもも、できるだけそういった実態を見ながら現在の特別交付税の枠内で処理したいと思いますけれども、非常に伸びが少ないので十分というまでには至らぬ場合もあるかもしれません。全般的に今後のいろいろな状況を見ながら、どう対応するかということはそれなりで私ども真剣に考えてみたいと思っております。ただ、ある範囲内においては、十分災害の実態を見て対応したいと思っております。
  108. 斎藤実

    斎藤(実)委員 局長、確かに私はわかります。ただ、室蘭市の場合現在の特別交付税の基準で行きますと、大体三千五百万ぐらいにしかならぬではないかと言われているのですね。その中で時間外勤務だとかそういう手当だけでも大体二千万ぐらい行っちゃう。そのほかにもろもろの経費がかかっているわけですね。こういうことでございますので、十分ひとつ、こういう災害地に対しては特段の配慮をいただきたいと思うのですね。  それから、実はこの八月三十一日の集中豪雨によります国道三十六号線、富浦地区の崩壊事故によりまして、現在旧国道を迂回しているわけです。相当長い間たっているのですが、全面復旧の見込みがたっていない。これはいつごろになれば復旧するのか、お尋ねをしたい。
  109. 吉越治雄

    ○吉越説明員 お答えいたします。  八月の集中豪雨によりまして、北海道の国道につきましては十三カ所被害を受けております。そのうち三十六号線につきましては、登別から室蘭市にかけまして四カ所被害を受けておりまして、そのうち三カ所はすでに二車線で仮復旧が終わって本格復旧をやっておる最中でございます。  御質問の登別市富浦地区でございますが、これは現在市道でございますけれども、従来の国道三十六号の旧道がございますので、それを辻回路として利用していただきながら、バイパス部分につきましては現在復旧に努めているところでございます。ただ、被害個所が二キロにわたりまして、かつ崩壊土量が一万六千立米という大規模な被災でございまして、これが復旧を終わりまして供用開始されるのは十二月の下旬になるのじゃないかと考えております。そういうことでございますので、鋭意復旧に努めているつもりでございますが、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  110. 斎藤実

    斎藤(実)委員 もう一点お伺いします。  国道三十七号線は、七月、八月と二回にわたって崩壊事故が起きましたですね。これによって室蘭市の交通機関が麻痺状態になった、これは市民生活に甚大な影響を与えているわけです。そこで白鳥新道の早期開設が必要だと考えるわけでございますが、この白鳥新道の建設について建設省はどういう考えを持っているのか、お伺いします。
  111. 吉越治雄

    ○吉越説明員 お答えいたします。  先ほどの被害を受けましたのは、札幌から室蘭に参ります国道三十六号線にかかわるものでございますが、いま御質問の白鳥新道につきましては、四十九年から調査を開始しまして、一応三十七号のバイパス部分ということで改良しようじゃないかという見込みのものでございます。聞くところによりますと、この事業化につきましては、北海道開発庁において調査の結果を踏まえまして、昭和五十六年の概算要求で事業化に踏み切りたいと要求していると聞き及んでおるわけでございます。
  112. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、先ほども論議がございましたが、国鉄再建法案、赤字路線切り拾ての問題なんですが、今国会提案されておるわけですね。国鉄再建法は、北海道の住民どこへ行っても非常に関心を持っておるわけですね。これは北海道開発庁という行政機関がございますのに、全国の赤字路線の半分を北海道が受け持つということは北海道開発に逆行する、むしろ鉄道をふやしてもらいたい、こういう声が非常に強いわけです。  先ほど大臣ここで答弁されましたが、地域住民に非常に影響のある国鉄再建法、これは大臣も閣僚の一員でございますので自治大臣としてのお答えになると思いますけれども、特に北海道がねらい撃ちをされているわけでございます。私は北海道というのは、北海道のための北海道ではなくて、これから人口を吸収する唯一の国土世間ですね。だから、日本全体の中の北海道だというふうにとらえるべきだと思うのです。そういう意味で赤字ローカル線の廃止については、北海道の道議会あるいは地方団体、住民がこぞって反対をしているわけです。この赤字路線対策について、北海道については非常に困る。大臣、ひとつこの問題について再度御答弁をいただきたいと思います。
  113. 石破二朗

    石破国務大臣 赤字線廃止の問題でありますけれども、なるほど私も賛成しました上で法案の御審議をお願いしておるわけです。正直申しましてあの法律か通った——何とかして通していただかなければいけませんけれども、さあきょう通った、法律が予定しておる間に本当に現実に鉄道がはがせるものかどうか、これはよほど地方自治体なり地方地方住民の皆さんの十分の御理解を得ないことには、法律が通ったからといって実行困難ではなかろうかと私は思っております。  はなはだ無責任なようで恐縮千万でありますけれども、先ほどもお答え申し上げましたとおり、どの程度のものからその廃止の対象になるのか、廃止するとした場合にどの程度の助成を行うものなのか、どうもまだその辺、政府全体としてもはっきりした態度に至ってないようでもあります。その辺のことが詰まらぬことには、どうも反対するといって一概に反対もできませんので、こういう状況であります。とにかく通していただいて、その上で、はなはだ無責任なようで恐縮至極でありますけれども、地方自治体の御意見等も十分拝聴し善処する以外にはないと考えております。  なお、北海道についてでありますけれども、もちろん北海道を特別扱いをしたつもりは毛頭ないと思いますが、私どもは明治初年に北海道開拓使というものを設置して北海道の開発に当たったときの考え方、あの辺にもう一遍立ち返ることが必要な時期を迎えておるのではなかろうかと考えております。北海道の鉄道の処置につきましても、そういう見地からも十分の配慮が必要ではなかろうかと考えております。
  114. 斎藤実

    斎藤(実)委員 例の国鉄再建法はとにかく通してくれという答弁でございますが、何人かの同僚委員もこの問題に触れましたし、これは北海道の住民あるいはいろいろな団体、地方自治体も含めて挙げて困る、この声は大臣率直に受けとめていただいて、十分閣議でも、また運輸大臣にも強硬にお話し合いをしていただきたい、特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  115. 左藤恵

    左藤委員長 青山丘君。
  116. 青山丘

    青山委員 今月の一日に、愛知県大府市で十九時間にもわたる長時間の火災がありました。そのことは恐らく御承知おきだろうと思いますが、通常の火災であればもっと早く消火できたであろうと思われましたけれども、たまたまそこには毒物が蔵置されていた。したがって、通常の消火活動では大変危険な状態になるかもしれない。青化ソーダというのは水をかけることによって青酸ガスを発する。これはきわめて人体に有毒なガスでありまして、このガスが発生すれば非常に危険な状態になってくるということで、実は水もかけられない。といいながら、さりとてほっておくわけにもいかないということで、現場におられた消防士及び消防団員の人たちは非常に苦しい消火活動をされたわけです。  なるほど考えてみますと、今回この火災はいろいろな教訓を私たちに与えてくれたわけですが、私たち市民生活の近くにあんな毒劇物が蔵置されていた、しかもそれは消防署において十分に実態が把握できないような法の体系の中にある、制度の中にある、したがって消火活動にいろいろな支障を来してしまった。こういう状況ですから、避難命令を受けた市民にとっても非常に不安な中で一夜を過ごした。近代社会の中での市民生活というのがまことに危険な状態にあったということをいまさらながら思い知らされた、まさに危険と隣り合わせで生活をしていたということがわかったわけです。そういう状況の中で、自治大臣はあの大府の火災からいろいろなことを検討してこられたと思いますので、今回の長時間にわたる火災に対する見解と、これからの対策について御見解をまず伺っておきたいと思います。
  117. 近藤降之

    ○近藤政府委員 十月一日の大府の倉庫火災につきましては、ただいま青山先生から詳細にわたって御指摘があったとおりでございます。前の静岡のガス爆発事故もそうでございますし、引き続いて今回の大府の事故と、特異な事例がこのところ相次いでおるわけでございますが、私どもの消防法規の上からは、前の事故もそうでありますし、今回の事故もそうでございますけれども、手の届かない部分があったことは事実でございます。それにつきまして、私ども現在反省をしておるところでございまして、これらの事故に対応できるよう、法改正の問題も含めまして検討を続けておるところでございます。
  118. 青山丘

    青山委員 自治大臣に私はお尋ねしたのですが、大臣は今回の火災をどのように受けとめておられるのか。それから、今回の火災を一つの教訓としてどのような法改正考えておられるのか、制度の改革を考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  119. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  今月の一日でありましたか、大府市内において倉庫が長時間にわたって焼けたという事件についてでありますけれども、そう地理的に不便なところでもありませんし、水が不足しておったという自治体でもありません。にもかかわりませず、長時間にわたって消火できなかったといいますのは、特別の理由があったからに違いないと考えております。特別の理由とは、消防が予知していなかった消火活動に障害のある薬物等が多量に貯蔵されておった、それを事前に消防が把握してなかった。したがって、消火に困難をきわめたというのが実態であろうと思います。  つきましては、法改正等を行うに当たりましては、たとえば危険物ということで現在消防機関が把握しておりますもののほかに、危険物ではなくても、消火活動に支障のあります劇毒物等多量に倉庫等に貯蔵されておるというようなのは、必要な法あるいは制度改正を行いまして、常時消防機関がそれを把握できるような状態に置くということが必要ではなかろうかと考えております。
  120. 青山丘

    青山委員 今回の場合実態が把握できなかったのですね。それは現在の制度上では、消防法で言う危険物というのは可燃物、爆発性のもの、いわば発火性、引火性を持っているものが危険物だ。たまたま今回倉庫に蔵置されておったものは青化ソーダで、毒劇物である。しかもこれは不燃物だということで、現在の制度上では消防署が知り得ないものがそこに蔵置されておったわけです。ところが実際は、消火活動に入った人たちは、火災と聞けばまず放水をするということですから、そういう状況を知らずに放水活動をやっておった、そうして火災が進んできて二時間くらいたってから、中に青化ソーダという毒物があるということがようやくわかってきたというのですね。ところが、その毒物がどんな反応を示すかも、実は消防署員も団員も十分にはわからなかったというふうに聞いているのです。いや、それはまるで知らなかったということではなくて、はっきりと確信を持ってこういう消火活動は危険だ、こうしなければいけないという結論が出るのにはずいぶん時間がかかったそうです。  ですから、実態をある程度把握していくという努力をこれからよほど具体的にやっていかないと、消防車が現地に着いても消火活動もできないという状況がこれから出てきます。現に、浦和で化学工場が爆発して有毒ガスが発生して、住民が避難をしたという経過から、今回もまた同じようなケースを踏んでいるわけです。もしこのままでは、法体系に対してもいまの制度に対しても抜本的に取り組まなければ、また再び三たび同じ事態が必ず来る、こういうことを心配しまして、具体的にはいろいろなことを検討していただきたいと思うのですが、たとえばいま危険物についてはそれなりの届け出を受けておられるでしょうし、対策も講じられています。ところが、毒物劇物については届け出の義務がない。しかもそれは、倉庫業者から消防署に対しての届け出の義務がない。安全保管の義務はあるのですね。けれども、こういうものがこれだけ保管してあるというのはよくつかめてない。したがって、これからは倉庫業も含め、それから製造会社あるいは営業所を含めて、具体的によほど実地調査をしていかないといけないと思うのです。まず実態を把握していくということから質問するわけですが、それらの現在保管されておる状況に対して、実態を把握していこうと思っておられるのかどうか、決意を伺っておきたいと思います。
  121. 近藤降之

    ○近藤政府委員 現在、御承知のように毒物劇物につきましては厚生省所管で取締法がございまして、そこで製造所、貯蔵所、販売所、そういったところはすべて登録するという形になっております。それから倉庫につきましては、倉庫業法で運輸省が所管しておるという形になっております。そして消防の方では、倉庫につきましては消防の防火対象物という見地から捕捉しております。  さらに加えまして危険物につきましては、その危険物ということに着目いたしまして規制を加えております。毒物劇物の中で発火性のあるもの、それから燃えやすいもの、そういったものにつきましては毒物劇物でありましても危険物という概念でとらえまして、消防法の対象といたしております。ただしかし、現在問題となっておりますところの青化ソーダといったようなものは、先生もお話ございましたようにそういった性質のものではございませんので、規制の対象からは漏れております。したがいまして、まず毒物劇物がどこにどれだけあるのかということを把握しないことには消防活動はできないわけでございまして、何としてもこれをつかみたいということで、現在厚生省の方といろいろその点について打ち合わせております。  それから厚生省の方でも、製造所であるとか販売店であるとかというのはそこに物があるわけでございますのではっきり、しかも登録制になっておりますのでつかめると思いますけれども、流通過程、その典型的な例が倉庫でございますが、これにつきましてはいまも申しましたように運輸省所管でございますので、私どもと運輸省の方とで相談いたしまして、何とかこれを捕捉する道はないものかと思っております。ただ、この毒物劇物と申しましても種類が非常にたくさんございます。そしてまた毒物劇物だけで本当はいいのか、いろいろな化学薬品等で毒物劇物の範疇に入らないものでも、消防の面から言うと問題にしなければならないものもあるようでございます。  なおさらに、この毒物劇物というのは単品の性能だけではなくて、それが入りまじると変なというか、いろいろな化学反応を起こすというような複雑な面もございますし、しかも日進月歩の世の中でございますので、絶えず新しいものも出てくるというような流動的な面がございます。ただ、消防といたしましては、それをすべて捕捉し、すべてに対する対策を立てるということは不可能に近いわけでございまして、ある程度の量があって、危険性が非常に高いというものを毒物劇物の中から拾い上げまして、それについて規制の網をかぶせるということが最も現状に即するのではないかということで、現在そういう方向で洗い直しを行おうとしておるところでございます。
  122. 青山丘

    青山委員 少し私が質問している内容と違うのですけれども、現在保管されているものが倉庫業はもちろんですが、製造所、事業所あわせて実態調査をやらなければいけないように思うのです。その辺の決意をお聞かせいただきたい。  それから厚生省ですが、製造会社は登録されておりまして届け出の義務が課されておりますので、ある程度実態を把握しておられるかと思います。ところが現実には、今回の火災を通じて果たして本当に十分実態が把握し切れていたかといいますと、市民感情としてどうもそうではなさそうだなという感じがあるのですよ。その辺はいかがでしょうか。
  123. 有本亨

    ○有本説明員 お答えいたします。  厚生省の方で所管しております毒物劇物取締法では製造業、それから輸入販売業、それからいわゆる販売業、この三つの業種につきましては厚生省または都道府県に対する登録というシステムをとっておりますので、それぞれの管轄しております都道府県で、また製造業、輸入業につきましては厚生省で、その営業所、工場の所在を承知しております。ただ、今回の火災の問題になりました営業倉庫につきましては、実は届け出の対象から除かれております。その規制を受けておりませんものですから、今回の火災につきましてその実態の把握ということにつきましては、十分行われなかったという点はあったかと思います。
  124. 近藤降之

    ○近藤政府委員 先生御指摘のように、実態の把握が今回の場合でも非常に不十分であったということは私どもも認めざるを得ません。私どもはぜひ実態を把握したいのでございますけれども、特に販売店、製造所の数が非常に多うございまして、そして毒物劇物法が厚生省の所管でもございますので、厚生省の方で実態調査をとりあえずやっていただければ格別といたしまして、消防の方でというのはなかなかやりにくいわけでございます。そこで一番問題になります倉庫につきましては、私は早急に実態調査を行いたいと思っております。
  125. 青山丘

    青山委員 厚生省管轄の分野もあるのでしょうけれども、現実に火災が発生しますと、出動するのは消防署なんですよね。やはり消火活動に当たる人たちが実態が十分に把握できないと今回のような例がこれからもまだ続くという意味で、地方の火災予防条例などを検討するという市町村が出てきております。それには毒物劇物については届け出の義務化をしようではないかと。これはまだそういう市町村があるとは聞いておりませんが、その検討に入ったという市町村は聞いています。その辺の自治省及び消防庁行政指導的な方針を伺っておきたいのです。
  126. 近藤降之

    ○近藤政府委員 捕捉しなければならない劇毒物というのがどの範囲に分布しておるかということにも関連してくると思います。いま条例による措置のお話がございましたけれども、東京等の大都市を初め幾つかの団体では、すでに火災予防条例の中でそういった規定を置いて報告をとっておるというところもございます。ただ、現実にどれだけ実効が上がっているかということになりますと、ほかの法律で規制しておるもののようにすっきりといっているかどうかという点には疑問がございます。ただ、いずれにいたしましても、そういう条例でやる道もありますし、しかし全国的な問題であって個所も相当多いということになれば、法律あるいは政令ということでやる方がベターではないかというような気もいたします。その点を含めまして現在検討しておるところでございます。
  127. 青山丘

    青山委員 ぜひひとつ検討して、具体的な成果を上げていただきたいと思います。  今回の場合は、一般倉庫と危険物倉庫の保管されているものの報告が、本来ならば別個に報告されなければならないものが一括して報告されていたということをちょっと聞いています。新聞なんかで見ますと、その辺は義務違反かしらと思うのですが、運輸省の方はそれを受け付けていたというのですよね。したがって、行政指導の立場からもまだ問題があったかに思います。その辺で行政指導を強化していくという点で、市民生活が大変危険な物質と隣り合わせで営まれているということを感じますから、関係官庁のみずからの責任を促す意味で、消防庁及び自治省からもぜひお願いをしていただきたいと思います。意味がわかりますか。
  128. 近藤降之

    ○近藤政府委員 倉庫を消防法で規制しておりますものは防火対象物として規制しているわけで、これこれの倉庫につきましてはこういった消防の設備をしなければならないということでございます。中に何が入っておるかということは現行法では消防庁としては関与をしておりませんので、恐らく御指摘の点は倉庫業法に基づくところの運輸省に対する届け出であろうかと思います。(青山委員「そうです」と呼ぶ)その点につきましては、いまどういうふうになっておるかにつきまして私ちょっと承知いたしませんので、運輸省参っておりませんようでしたら、先生の御質問趣旨を運輸省の方へ伝えます。
  129. 青山丘

    青山委員 実は倉庫業に携わっておられる現場の人たちは、危険物の保管の仕方については基準がなくて非常に危険な状態で保管されている例がたくさんあるということで、それが今回の火災を通じて名古屋の南消防署が立ち入り検査をしたときに出てきました。すでに聞いておられると思いますけれども、あるところでは無水クロム酸のかんの上にびん入りのアルコールが積んで置いてあった。これは化合反応をしますと爆発をするということですが、そういう危険な化学薬品が隣り合わせ及び上下に保管してあるというようなケースがたくさんあると聞きました。まことに危険な状況だと思うのです。そういう意味で、保管の基準消防庁でもある程度持たなければいけないと私は思うのです。これが一つ。  それから、製造会社は薬品の性状について比較的内容をよく知っているわけですし、それについては書類ででき上がっているものがあるであろうと思うのです。厚生省管轄の毒劇物だから消防庁はわからないということではなくて、消防庁もみずから進んで厚生省の協力を得て、まずそういう資料を豊富に集めていく努力をこれからしていかなければいけないのではないか。青化ソーダがあるそうだということで現場に入った消防職員は、酸化物と化合すると有毒ガスが出ると言ってその危険に非常におびえたわけです。聞いてみますと二七〇PPmで即死する、一〇〇PPmでそれを吸った人は三十分ないし一時間で死亡するというのです。大変危険な状況にあったわけですが、火災を目の前にして消火活動をしてきた人たちは非常に不安な中で努力をされた。しかし現行法体系の中では、消防法において消防署が知り得ない状況だというのではいかにも不合理を感じますので、薬品の性状、性質についてできるだけ豊富に資料を集めて、そしてそれが整理されていき、後でちょっと触れさせていただきたいが、やがてそれが消火マニュアルといいますか、そういう基準、手引きを消防庁は持つべきではないかと思うのです。そういう意味で、製造会社から薬品の性質についての資料をできるだけ取り寄せる必要があると思うのですが、この二ついかがでしょうか。
  130. 近藤降之

    ○近藤政府委員 まず前段でございますが、倉庫の中に毒物劇物等がある場合には、その部分をしっかり区画してほかのものとまざらないようにするという点でございます。御承知のように危険物につきましては、危険物を入れる倉庫についてはそれなりの構造を消防法令で決めているわけでございますが、毒劇物につきましても、この倉庫は運輸省になりますもので運輸省と相談しなければなりませんが、消防の立場から申しますならば、当然そういったしっかりした区画を設けていただきたいということを、今回の事故を契機に特に強く申し入れたいと思っておるところでございます。  それから二点目でございますけれども、消防の方といたしましても、化学薬品あるいは毒劇物の主なものにつきましては、その化学反応等をいろいろ研究いたしまして、もし事故があった場合にどういう消防戦術をとるかというようなことで検討は続けてきておりますが、先ほど来申しておりますように種類が非常に多いものですから、全部について行き渡るような状況ではございません。それで、その性能を最もよく知っているのは当然のことでございますけれども製造者でございますので、そこで、この薬品の性能はこうである、これに対してはこういうことをすれば消えるというようなことを、そちらから私どもの方に教えていただかなければ消防戦術はとれないわけでございますので、われわれの方でも資料は十分集める努力はいたしますが、この点につきましても特に厚生省の方へ強く申し入れたいと思っております。
  131. 青山丘

    青山委員 ぜひひとつ厚生省と綿密な連携をとっていただいて、現場の人たちに適切な指示が与えられるような消火基準というものをつくっていただかないと、いろいろな化学薬品、化学品がこれからもっともっと出回ってまいりますのでね。新しい火災に対応し切れないという状況になってまいりますと、消防法の本旨にももとるということになってまいりますので、消防法の理念を追求するということになってまいりますとより過重な負担がかかってきますけれども、思い切って取り組む決意を示していただきたいと思います。実はいま私は、何と言ってもまず実態を把握していくためにはということで若干質問をさせていただきましたけれども、そういうことから考えてみまして、長官からはいまお答えをいただきましたように、消防法の中における危険物に対する見方、考え方を幅広くしていかなければいけない、検討すると言っていただけましたので、こういう毒劇物に対してもぜひひとつ幅広く取り組んでいただきたいと要望しておきます。  それから、いまちょっと触れさしていただきましたけれども、火災が、いままでのような日本家屋が火事に遭って水を中心とした消火活動ということからそこに非常な危険物があるという時代になってきていますから、多様な火災ということになってきます。そうなってきますと、現場の人たちは果たして水をかけていいのかいけないのかわからない。そして、たとえば発泡消火剤といった化学薬品で科学消防で対応しなければいけないのかどうか、また、それについてもあるいは反応する薬品が中にはあるかもしれないというような不安の中で消火活動に当たってきた。したがって、消防庁が一遍これと抜本的に取り組んでいただかなければならない問題だと思うのは、新しく開発されてくる膨大な化学薬品に対してどんな消火態勢をとれるのかということなんですが、その消火基準というものを実はまだ持ち合わせていないと聞いているのです。  この火災が起きるちょうど三日くらい前ですか、すでに東京消防庁の新しい火災に対応する化学プロジェクトがその消火基準、消火解説書というものをつくり出しまして、単品による性状、それから複合してきたときのいろいろなケースがあるからその消火活動はこうすべきだという基準を持つ、そういうような消火マニュアルを持ってきているというのですが、それが今回はなかったという報道を受けまして、新しい時代に即応できる消防態勢でなかったことを私は非常に残念に思うのです。  そういう意味で、具体的には消防庁が豊富な資料をたとえば電子計算機に打ち込んでおいて、そして火災の態様、それから蔵置されておる物品、そうしたものが熱に対して、あるいは放水する水に対してどんな反応を示すのか、それが複合してきたときはどんな火災やガスが出てくるとか熱化合物質が出てくるとか、そうしたものが十分予測されるマニュアルを消防庁の方で分析して現場へ指示ができるようなものがなければいけない、そう思うのです。消防庁の御見解はいかがでしょうか。
  132. 近藤降之

    ○近藤政府委員 今回の大府の事故の場合、大府の消防本部というのは三十数名のいわば小さな消防でございます。恐らく大府といたしましてはこういった事故の経験というのは、消防職員も初めてであるということでございます。したがって、この場合は愛知県の対応が非常に早うございまして、愛知県庁の中の消防防災課の方には情報収集のための特別プロジェクトチームを直ちにつくりまして、愛知県庁と私ども消防庁との間は無線ファックスで結ばれております。こういうような化学薬品がありそうである、青酸ソーダ等がありそうである、どういう対応態勢をとったらいいのか。水をかけてはいけない、風下の方から警備態勢をとって、そして燃焼物について手を触れてはいけないとかいろいろな指示と申しますか、向こうの照会に対して、私どもの方が東京消防庁あるいは消防研究所の方と連携をとりまして指示し、あるいは指導したわけでございます。まあ大府の場合には、そういった過去の経験もございませんのでデータが少なかったわけでございますが、特にこの数年来、ただいまも御指摘ございましたように、東京消防庁などにおきましてはこういった火災についてのデータを集め、分折し、対応方法も検討しております。もちろん、私ども消防研究所の方でも検討しております。  したがって、ただいまのところはそういった方法で対応しておるわけでございますが、将来問題といたしましては、御指摘のようにそういうデータを一カ所に集めるなら集めまして、絶えずそれが時代の進運に合うように改善を加えていき、必要に応じて直ちにどういう措置をとったらいいかということが出てくるような、そういった機構も考えなければいけないのじゃないかと思っております。
  133. 青山丘

    青山委員 今回の場合は倉庫に何があるのかよくつかめなかったこと、そして青化ソーダがあるとわかるまでに二時間もかかったこと、そして青化ソーダがあるとわかってその消火態勢に入るときに、こうなるそうだ、いやいやたとえば酸化すると猛毒ガスが出るそうだ、あるいは熱化合するとガスを発生するとか、いや燃えない物だろうから大丈夫だとか、ただしそれは水をかけない方がいいからそのまま燃やした方がいいかとか、いろいろな情報が流れまして、そして放水を一たんやめて化学消防に切りかえたというまでに、聞くところによりますと九時間かかっているというのですよ。中和剤を取り寄せて二次災害を防ごうとされたのですけれども、実際に現地で確信を持って消火活動に当たるという方法がなかなか見つけられなかった。それは、こういうものがあるからこういう反応を示しますよと明確に消防庁から指示が出てくれば、それなりの消火作業に入ることができたにもかかわらず、どうもそれがなかったというのです。ですから、よほど決意をして情報を的確に豊富に集める、そしてそれを整理し精査して、いろいろなケースをコンピューターあたりに組み込んで、そして実際の火災に備えて指示ができるような努力をひとつぜひしていただきたい。  本来ならば、ことしの五月にすでに起きていますし、また同じような火災でしかも長時間、しかも最後は住民の避難という形で付近住民に迷惑をかけることになってしまった。そういう事態を招く前に適切に初期消火に当たれば、初期消火の点についてはもう少し後で触れたいと思いますけれども、適切な指示があればこんなに長時間の火災にはならなかったと思います。  それから、ちょっと奇異に感じたのは、東京消防庁が非常に研究をしておられて、自治省消防庁がどうもまだ自治体消防に対して適切な指示が与えられないというのは、何らか疑問を持ちます。その点についてもあわせてぜひひとつ決意を聞かしていただいて、地方自治体消防消防庁に対する信頼を喚起していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  134. 近藤降之

    ○近藤政府委員 東京消防庁は実動部隊でございますし、自治省消防庁というのは実動部隊を全然持っておりません。したがいまして、どういうふうに消すかという消防戦術とかいう面になりますと、やはり現場の方々の体験というのが非常に大きなウエートを占めます。私どもの方で、御承知のように消防研究所はございます。そこでいろいろ研究しております。したがって、そういったところの皆さん方が一体となって、よりよい戦術を編み出していくということがいいのじゃないかと思っております。  それからもう一点、非常に時間がかかったということ、まことに恐縮でございます。ただ、これは青化ソーダだけではなくて十六種類、何か劇毒物が、いろいろなものが倉庫に入っておって、それがどういうふうに入っておるのかということが実はわかりませんし、それで非常に慎重の上にも慎重を期してああいうように長い時間かかったわけでございますが、結果的には、燃えたのがあの倉庫一つだけということは、消防の方の戦術としては決して間違ってないと思います。
  135. 青山丘

    青山委員 青化ソーダというのは一つの例ですね。まだほかに、なるほど危険物はありました、消防法に言う危険物が。(近藤政府委員「劇毒物です」と呼ぶ)いや、原綿とかビニクロンというのは危険物でしょう。(近藤政府委員「いいえ、特殊可燃物です」と呼ぶ)特殊可燃物というのは、しかし、消防法に言う大きな意味での危険物には入るわけでしょう。そういうものがあって今回告発されたということですが、結果論からして、後からああいう不法蔵置がされておったじゃないか、こういうことですけれども、なるほどその点についてはいま十分その責任の追及を受けています。しかし、行政機関が果たして適切な指導ができたかというと、やはりそこにも一つは法の盲点とそれから甘さがあったようにも聞き及んでいるのです。ですから、これは非常にみんなが、各行政分野での教訓としてぜひ生かしていかなければいけない、そういうふうに受けとめて質問しているのです。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕  それから、これからいろいろ多様な火災が見通されますので、都道府県別くらいに防災センターを設置すべきではないかと考えておりますが、その辺はいかがでしょうか。
  136. 近藤降之

    ○近藤政府委員 いま防災センターというお話でございますが、どういったことを目的とする防災センターであるか、その辺がちょっと不明確でございます。  私どもが現在防災センターとして設置を奨励いたしておりますのは、これからの災害というのが十一万の常備消防と百十万の消防団員だけではとても防ぎ切れるものではない、国民の一人一人がその気になって災害を防いでもらわなければならない、国民の防災意識の高揚ということを主な目的といたしまして、各都道府県単位くらいに防災センターをつくるべきである。ちょうど一番いい例が先生のお近くの旭に、愛知県の消防学校に併設いたしております防災センターがございます。御承知かと思いますけれども、あの場合には小中学校の生徒はもちろん、企業の自衛消防隊の方々あるいは婦人防火クラブの方々、その他防火管理者、そういった方々が交代でそこへ行っては防災関係の知識をいろいろ身につけるというようなことをやっておりまして、非常に効果が上がっていると聞いております。愛知県あるいは兵庫県といったところはこういった面での先進県でございますが、そういったものを少なくとも一県に一つくらいはつくるべきであろうということで、実は明年度も予算要求しているわけでございますけれども、この線を今後進めていきたいと思っております。
  137. 青山丘

    青山委員 防災センターにはいろいろな機能が要求されてまいりますので、消防意識といいますか、市民に対する啓蒙活動も結構ですし、いろいろな要素が含まれた防災センターが設置されて、そして実際に火災が起きたときに、あるいは避難命令が出されたときにも正しい認識に立ってまいりますと、今回のように八千人に対して避難命令が発せられたにもかかわらず、四カ所の避難所にはわずか四百名、実態は若干違っているようで、避難所以外に避難している人たちもずいぶんあったようですが、その問題については後でちょっと触れたいと思います。  時間がないから余りいつまでもこれをやっていられませんけれども、今回の火災を通じて、一つは千葉及び神奈川から中和剤が届かないと消火活動に当たれないかのような印象を受けました。実はそういうことは事実ではなくて、二次災害を防ぐための中和剤であったと聞きましたが、ただし、中和剤が用意された段階で活発な消火活動ができたということですから、その辺は入り組んで理解をされてもやむを得ないと思うのです。今回のこういう毒劇物の火災に当たって消火に当たられた人たちが、中和剤がもっと豊富にあったらもっと思い切って消火活動ができたのに、こう思っておられると思うのです。  その中和剤の蔵置、保管、貯蔵といいますか、それは困難なんでしょうか。今回の場合、神奈川及び千葉から三回に分けて取り寄せた。実際五、六時間かかるでしょう。名古屋にも工場がありましたけれども、ああいうところに保管義務を負わせていく。その辺は厚生省の管轄だと言わないで、消防庁としての見解はいかがでしょうか。
  138. 近藤降之

    ○近藤政府委員 消防庁といたしましては、消火活動をする上においてこういったものについて中和剤がすぐそばにあるということは非常に望ましいことで、ぜひそうあってほしいと思います。ただ、その中和剤をそばへ置いておくことを義務づけるかどうかということになると、これは毒物劇物の製造から一貫しての規制ということになりますので、毒物劇物法の上でどうするかということになるんじゃないかと思います。消防としてはぜひそうしてほしいという意味におきまして、厚生省に強く要請したいと思います。
  139. 青山丘

    青山委員 厚生省、どうですか。
  140. 有本亨

    ○有本説明員 お答えします。  現在の時点では、私どもの運搬の際におきます事故の対策としまして、中和剤その他の化学処理剤を携行するように指導をいたしております。  ただ、今回の倉庫等の問題で見ますと、いろいろな品物が出たり入ったりいたしますので、それに対する中和剤の種類その他も非常に多種類のものを置いておかなければならない、こういうようなことになろうかと思いますので、技術的な問題といたしましては多少検討しなければならないのではなかろうか。もう一つ考えられますことは、今回の営業倉庫の場合には届け出、いわゆる私どもの毒物劇物取締法では業務上の取扱者というところに入るわけでございますけれども、こちらの届け出の対象になっていなかったわけでございます。  届け出の対象になっております業種につきましては、化学知識のございます一定の資格のある方を毒物劇物の取扱責任者として設置していただく義務があるわけでございますけれども、この責任者にそういうような化学知識が十分ございますので、近隣の地域で緊急な場合にすぐ入手できるような手配をしておいていただくことも可能ではなかろうか、こういうふうに思うのでございますが、現在の法律制度のもとでは営業倉庫に業務上の取扱者としての届け出が課されておりませんので、そういう点で十分できない……(青山委員「営業倉庫じゃなくて製造会社」と呼ぶ)製造会社には現在その責任者が置いてございますから、そういう面の指導はできるわけでございます。
  141. 青山丘

    青山委員 自治体消防に中和剤を用意させておくというのはなかなか困難だと思います。そして実際問題、それが有効に活用されるかというと、これもなかなかむずかしい。今回はたまたま名古屋市が隣で豊富な器材を用意しておられたし、その応援でそれなりに消火活動がうまくいったと言えるかどうか、十九時間も燃えていますから。しかし、現場の人たちは名古屋から応援に来てもらって大変助かった、こう言っておられますし、かなり遠くでしたけれども中和剤を取り寄せれば、そしてそれが散布されるといいますか用意されれば消火活動に当たれるということで、製造会社には毒物劇物取締法で取り扱いの義務が課されておりますので、製造会社及び事業所にはそういう中和剤を保管させておく義務は考えられると思います。いま前向きに御答弁いただきましたので、その辺はぜひそのようにお取り組みをいただきたいと思います。  それから、今回の火災で初期消火が行われておったら何でもなかった。たとえば板金工親子が火花を防止するビニールシートを適切に張っていたら、あるいはグラスファイバー製のボートにその火花が入って発火しなかったであろうとか、あるいは消火栓が有効に活用できれば、あれはどうも故障しておったようですけれども、初期消火に当たれたではないか。私も現地を見ましたけれども、少し離れたところに確かにコンクリートでりっぱな池がありまして、あの水を使えばとふっと思ったのですが、なるほど水も使ってはいけないような薬品が入っておったかということでまた思い直したのです。かなり整然と蔵置されていて、しかも毒物だということでその倉庫の入り口に施錠され、中にも金網を張って分けて部屋ができておってかぎがかけられ、しかもその奥にまたコーナーが設けられてそこにかぎがかかって、その中に青化ソーダが蔵置されておったというのです。ですから、盗難予防の面では十分な対策がとられていたけれども、さて火災については全く対策がとられていなかったし、消火栓は有効に機能しなかった、こういうことですね。  それで聞いてみますと、三年に一回は点検した報告をしなければならない義務がある。と同時に、市の条例では一年に一回以上は立入検査をしなければいけない。まあいずれもなかなかできなかったというのです。さてしかし、それができておったらと思いますと、お互いに担当者がもう少し気をつけていけば今回の火災はあるいは防げたのに、こう思います。  それからもう一つは、避難勧告が発せられ、そして避難命令が二度にわたって出されたのですけれども、市民に十分な理解を得ることができなかった。それは、例の静岡における地震予知パニックの経験がありまして、青酸ガスを発したらこれは猛毒だ、非常に危険な状況になる、凄惨な状況になると言ってもいいぐらい。そういう情報をストレートに流していいかどうか疑問を持たれた。そのために、市の広報車を使って有毒ガスが発生する危険がありますということで避難を求められたが、二十人に一人が避難所に避難をされた。その他避難をされた方は親戚、知人のところへ避難されたと聞いておりますけれども、どのような情報の流し方がいいのかというのは一つの検討課題で残っています。  それで、現場の人たちあるいは大府の市長さんは、飛行機やあるいは報道機関の人たちにお願いをして本当は本当のことを流したかった、けれども例の静岡の地震予知パニックのような事態に立ち至ってはさらに危険を増す、その辺で非常に判断に迷った、こういうことですが、飛行機から拡声機を使ってやれば非常に浸透するでしょう。それから、あるいはテレビ等を使って報道していただければ幅広く実情が理解される。そういう意味で、報道機関に協力を求めるということが大変必要だと痛感した、こう言っておられるのですね。この点でも自治省消防庁は、報道機関との関係を将来にわたって十分留意していく必要があると思うのです。その辺の方針というのはお持ちかどうか。  もう時間がありませんので、これを最後に伺って質問を閉じたいと思います。
  142. 近藤降之

    ○近藤政府委員 ただいまの御質問、これはまあ非常にむずかしい問題で、御承知のようにこういった問題より以前に地震問題におきまして、どの程度どういう形で報道するか、これは国土庁が主管になっておりますけれども、こういう地震みたいな場合は当然報道機関の全面的な御協力を得て、地域の住民の方々に周知徹底を期さなければならないと思います。パニックが起きないように、整然として避難できるようにという非常にむずかしい問題でございます。  大府の場合はただいま御指摘のように、青酸ガスだと言うと刺激が強くてパニックが起きる、したがって有毒ガスということで周知徹底を図ったようです。四台の広報車をフルに活用したので、一応周知徹底はできたのだと私は思うのです。しかし、市が指定するところの避難場所へ集まられた方が非常に少なかった。どうしてだろう。親戚、知人のところへ車で行ってしまわれた方が相当あるというようなことも聞いておりますけれども、現在、御承知のように大府市でこの問題についてアンケート調査をやっておると聞いております。私は、それは非常に貴重な資料だと思いますので、それが出ましたらまたそれを分析しまして、こういった問題と報道機関の協力のあり方について、できるだけ実態に即した方針を立てていきたいと思っております。
  143. 青山丘

    青山委員 質問を終わります。
  144. 安田貴六

    安田委員長代理 三谷秀治君。
  145. 三谷秀治

    三谷委員 私は、富士見病院における問題について、国家公安委員長並びに警察当局にお尋ねをしたいと思います。  この富士見病院の事件が国民に大きなショックを与えたことは、いまさら言うまでもありません。被害者の範囲の広いこと、それから病院という場所でこういう残虐な行為が行われてきたということ、こういう異常な状況でありました。二度と再びこのようなことがあってはならない、このことを十分に阻止することがこれからの課題だと思いますが、この事件は病院という患者の生命を預かる密室で生じた事件でありますから、この犯罪性は一般にはなかなかわかりにくいわけでございます。したがってこの事件は、その察知、予防、解明には高度の専門的な知識を必要とするものでありまして、この意味からしますと、病院に対する監督権限を持ちます保健所を出先とする厚生行政の責任、これはきわめて重大でありますが、同時に、犯罪のキャッチとその予防に責任を持つ警察の責任もまことに重大でございます。この意味から、先般の決算委員会において園田厚生大臣が患者並びに国民に対して、二度とこういう事件は繰り返さないということを述べて深く陳謝されたことは、まことに当然なことだと思います。  一方、警察の方はどうかといいますと、二年間かかったけれどもようやく逮捕いたしました、病院という特殊な場所における犯罪でありましたから捜査が非常に困難でありました、捜査の中断などはありません、こういうことを繰り返されておるばかりであります。石破国家公安委員長も、二年間もかかったのは解せないとおっしゃっておられるようでありますが、この二年の間に犯罪が重ねられて犠牲者がふえ続けてきたのであります。私は、警察が暇取った責任は別にあると思うわけでありますが、もっと早い時期に北野逮捕に踏み切っていただければ、気の毒な犠牲者は確実に減らすことができたわけであります。国家公安委員長はこの警察捜査のあり方について、これで精いっぱいであったと思われておるのか、そうでなくしんから解せない面があると思われておるのか、この点について国民の疑問に答えていただきますとともに、患者の方々に対して遺憾の意を表されるべきであると思いますが、いかがでしょうか。まず、公安委員長のお答えをいただきたいと思います。
  146. 石破二朗

    石破国務大臣 所沢の富士見病院の犯人検挙に手間がかかった点についてでありますけれども、警察当局にもとより他意があったとは思いませんし、また特に怠慢であったとも思いませんけれども、いずれにしましても長い間かかったという点、ちょっと私の常識では解せない点があります。しかし、済んだことをあれこれ言っても仕方がありませんし、警察が十分努力しておったことを疑うわけでもありません。ただ、結果的に多くの犠牲者が出て被害が多人数に及んだという点、まことに申しわけないと思っております。
  147. 三谷秀治

    三谷委員 解せない面があるが済んでしまったことだからどうにもやむを得ないとおっしゃっておりますが、これは今後の再発を防止しますためには、解せない点を明確に究明をして、そして今後再びそういう事態が起きることを予防する、そういう教訓にすることが今後の再発防止の重要な処置だと私は思っております。その点、公安委員長の御答弁では満足ができませんが、問題は、厚生行政に重大な影響を持つ政治家それから現職の国家公安委員長が、園田厚生大臣の言によりますと、犯罪以上の犯罪を犯した当人から巨額の献金を受けていらっしゃることが判明しております。この方々の政治的、道義的な責任は重大であります。齋藤氏が大臣を辞職されました。澁谷氏が党の総務を辞任されるという話でありますが、しかし政治的、行政的影響力を行使できる立場にあるお二人の方に対する献金というのは、そういう道義的責任のとり方とは別に究明される必要があるのではなかろうかと私は思います。  その点について申しますと、法務省の前田刑事局長は献金の趣旨に関心を持っておるということを答えていらっしゃる。それだけの額の金が渡されたのであるから、全く意味がないわけではないと考えておる、検察庁も警察と連絡をとってやっておりますということでありました。これについて警察の方ではどのようなお考えでいらっしゃるのか、どういう方針でいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  148. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 先生お尋ねのような事実が報道されていることにつきましては承知いたしておりますけれども、現在埼玉県警察におきましては御案内のとおり、富士見産婦人科病院の理事長北野を逮捕、取り調べをしておるわけでございます。現在のところお尋ねのような件につきまして、その事実関係について犯罪として捜査をすべき事実があるのかどうかを慎重に見きわめている段階でありますので、その内容につきましては御答弁申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  149. 三谷秀治

    三谷委員 公安委員長、話を進める都合上お尋ねしておきますが、捜査段階だからお答えができないということをしばしばおっしゃっておりますが、捜査段階だから答えられないというのはどういうことなんでしょうか。捜査に支障がある内容については答えられない場合があるとしても、捜査に支障のない内容についてまで捜査段階だから言えないということをしばしば警察はおっしゃいますが、そういうことが許されていいでしょうか。その点はどうお考えなんでしょうか。
  150. 石破二朗

    石破国務大臣 警察当局がしばしば捜査段階にあるからと言うのは解せないがというお尋ねでありますけれども、どうもとっさの御質問でありまして私も確たる自信もありませんが、捜査上差し支えがなければお話し申し上げてもいいのではなかろうかと思いますが、警察当局からお答えさせていただきます。
  151. 三谷秀治

    三谷委員 それじゃもう一つ問題をはっきりさせておきますが、要するに捜査上答えられないということは、そのことがなるほどそうだという客観的な蓋然性を持たなくちゃいかぬ。何でも捜査上これは答えられないというふうなことをやってもらいますと、それはあなた方の方の権力の乱用になるわけであって、捜査に支障のない、だれが考えてもそういうことは捜査に影響がないと思量される問題については当然お答えになるべきものだと思います。それについてまずお尋ねをしてから、後また質問させていただきたい。
  152. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 先生御案内のとおり捜査というものは、われわれ警察官、捜査官が法に定められる手続に従いまして、事案の真相というか事実関係を見きわめる、そしてそれぞれ証拠を積み重ねて、さらに事件をまとめて犯罪がある場合には送致をする、後検察官の方で擬律判断し、それぞれの手続をやっていくということになっておるわけでございます。  そこで、私は一般的な問題として申し上げますけれども、私ども捜査官は、あらゆる社会事象につきましていろいろな形で情報が入ってくるわけでございます。それは単なる事実でございます、あるいは情報でございます。それにつきまして、その中に事実関係を一応確定して、仮に犯罪があるとすれば、先ほども申し上げました法の定める手続に従ってやるというような形でございます。
  153. 三谷秀治

    三谷委員 よくわからぬですけれども、要するに捜査上の秘密という言葉を乱用され過ぎる。事実上捜査に直接間接に影響のなさそうな場合でも、捜査中でありますからとか言ってあえて答弁に応じられないという態度が少し過度にわたっております。これはさっき申しましたように、捜査中の事件でありましても、捜査に支障がないことについては当然答えるなり報告するなりすべきであって、そういう態度を私は要求するものであります。  そこで、いま捜査中だそうでありますが、前田刑事局長が言っておりますのは、警察と連絡をとってやっておるということをこの献金についておっしゃっておりますが、そういう事実はないわけなんでしょうか。あるいはそういう目的意識を持ってこの問題に取り組んでいらっしゃるわけなんでしょうか。
  154. 中平和水

    ○中平政府委員 この問題につきましては、法務省の刑事局長から当該委員会において先ほどの趣旨発言のあったことは承知しております。現在の捜査の実態を申し上げますと、現在は医師法違反の問題について鋭意捜査中でございます。したがいましてこの政治献金の問題につきましては、ただいま保安部長の方からお答えがございましたように、その献金の事実の中に犯罪として捜査すべき事実があるかどうかの事実関係について、現在関係者から若干の事情の聴取をしつつある段階であって、先ほど御指摘のありましたような献金の趣旨だとか目的だとかいうことについて御答弁を申し上げる段階ではない、こういう趣旨でございます。     〔安田委員長代理退席、石川委員長代理     着席〕
  155. 三谷秀治

    三谷委員 公安委員長に対する献金でありますが、これが国民から見ますと二年間も捜査に時間を要した一つの根拠ではないかという見方がかなり広く行われております。これについてはどのようにお考えでしょうか。
  156. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 いかなる事件についてもそうでございますけれども、警察は厳正公平に捜査を行っておるところでございまして、そのようなことはあり得ないことであります。
  157. 三谷秀治

    三谷委員 たてまえはまさにそのとおりであります。しかし、この警察の捜査が途中で中断されておったと見られる客観的な状況がいろいろ出てきております。たとえば先日、十月の十三日でありますが、夜の八時からNHKの特別番組で富士見病院問題を放映しました。ごらんになりましたか。この中で語られております病院の元職員の証言によりますと、北野が警察の捜査の動きを知っているような発言をしておったということも述べております。北野が警察関係者を使って内々の捜査状況を探っていたという発言も行われた、あるいは捜査が下火になったという情報をキャッチしていたことなどが証言されております。つまり、捜査の状況について被疑者の方がかなり詳しく握っておるということが、このNHKの放送では裏書きされておるわけであります。  さらに、政治的な判断で捜査が左右されたのではないかと見られる証言としては、捜査の担当の責任者であります所沢署の当時の中村署長が、内偵捜査を始めた四カ月後の昨年の二月十四日に所沢市内の国民宿舎湖畔荘で開かれた保健行政関係の会合で同席した当時の小島所沢保健所長に対して、北野の産院の事件はこれ以上やらない、中断だと述べたということが証言されております。この事実は十月二日の一般紙にも公にされたのでありますが、それ以前にこれを直接私どもの方では聞いております。これは保健所長から聞いたわけであります。そして私たちだけじゃありません、社会党の県会議員団も確認して県会でこれを追及されております。そして毎日新聞がさらにこれを聞き取っていらっしゃる。繰り返し反復して同じ証言をしておるわけです。そこでわが党の方では、山崎県警本部長が中村発言を否定されましたから、本部長は認めていないがどうなのかということを再度小島氏に確認しましたところ、同氏は、中村署長から証拠が上がらないので、これ以上手が出せないので捜査を打ち切ったと聞いたと述べて、これはメモによって発言しておりますから間違いはないということを言っておるわけです。  こうしてみますと、都合四回同じことを人は違うけれども確認をされてきた。ところが十月二日付でこれが報道されるに及んで、小島氏の証言はその日重大な変更が行われました。つまりひっくり返ったわけであります。翌日の朝刊には、捜査の中断はなかったという小島氏の全面否定の発言が出た。これはだれが考えてみましても、十月二日に小島氏に対して何らかの力学的な圧力があったと考えざるを得ない。それまでは単に私たちだけにそういうふうに証言されたわけじゃない、社会党にもそういう証言をされており新聞社にもされておる。そしてもう一度確認をしたら間違いはない、メモがある、こうおっしゃった。それが新聞に出た途端に捜査の中断はなかった、こうおっしゃる。これは常識的に考えてみて、正常なものではないということは容易に判断ができることでございます。二年間かけて解明できなかった事情がここにも一つ示されておるのではないだろうか。  われわれの調査では、五十三年九月から五十四年二月にかけて五件の情報が保健所に持ち込まれております。四件の訴えが市役所に寄せられております。警察にはどういう情報があったのでしょうか。どれくらいの訴えがあったのでしょうか。そうして捜査に着手しながらその過程で事実上中断せざるを得なかったのはなぜだろうか。その中断の時期は、澁谷氏が最初の献金を北野から受けた時期と符節がぴったり合っておるわけでございますむこのときの模様は別に職員からの聞き取りがありますけれども、まずいまの点について、納得できる客観的な状況なども示しながらお答えいただきたいと思う。
  158. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 一昨年の暮れごろでございますけれども、この富士見病院の乱診ぶりにつきましての風評を埼玉県警察の方では聞き込んだわけでございます。早速内偵に入ったわけでございますけれども、先生から先ほど御指摘もございましたように、何分事案が病院内部の出来事である、また事案そのものが医療行為に絡むものである、専門的、技術的分野の知識などが要求される、また実質的な病院の経営責任者であります理事長による犯罪である、さらには被害者の方々の警察に対する被害申告につきましても、事案の性格上名前は秘してもらいたいというようなこともありまして、事実関係の把握がなかなか困難であったわけでございます。さらに、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、一つの事実関係が固まってきましても、それに対する法的な評価というか擬律判断、どのような行為がどのような犯罪を組成するかといった点の検討も必要になってくるわけでございます。そういった事実関係、法律的なあらゆる角度からの検討を加えまして、しかも事案の性格上慎重にやらなければならぬというようなことで、結果的には相当の日時を要したということになったわけでございます。  しかしながら埼玉県警察といたしましては、あくまでもその事案の究明に向けまして風評を聞き込んだ当初から現在までの捜査を継続してまいったわけでございまして、その間中断したというような事実はないわけでございます。粘り強い捜査の結果、ようやく九月十日になって理事長北野を逮捕することができ、現在なお捜査が継続されているということでございます。  それから、当時の所沢警察署長の所沢保健所長に対する本件捜査に関する報道でございます。この記事につきましては私も読んだわけでございます。埼玉県警といたしましては、当時の中村所沢署長につきまして早速いろいろな事情を聞いたわけでございますけれども、保健所長に対して捜査の打ち切りというようなことを明言した事実は全くないということでございますし、先生から御指摘がありましたように、当該保健所長もその後記者会見の席上、そういう事実はなかったんだという旨の説明があり、その旨報道されておるところでございます。  それで当然のことでございますけれども、この種事案につきましては、保健所あるいは県内には関係行政機関がたくさんあるわけでございまして、警察としましていろいろな事情を聞くというようなことはあろうかと思いますけれども、埼玉県警察におきましては事案の重大性にかんがみ鋭意努力し、ようやく検挙にこぎつけたということでございます。  率直に申しまして、風評ではいろいろ言われておりますけれども、検挙まではこのように多数の方が被害に遭われているということはわからなかったわけでございます。北野の逮捕と同時に、警察署あるいは保健所に対しまして多数の方が被害の申し出をなされているのです。千四百名だろうと思います。私どもとしましては、そういった方々からいろいろ事情を聞きまして、事実関係をはっきりさせまして刑事責任を厳しく追及してまいりたい、こういうことでございます。
  159. 三谷秀治

    三谷委員 いろいろ御説明いただきましたが、所沢の中村署長についてどのような調査をされたかわかりませんが、まずしなくちゃいけないことは、二月十四日に所沢市内の国民宿舎湖畔荘で開かれた保健行政関係の会合に出席されたのかどうか、そこで小島保健所長と会われたのかどうか、ここら辺の確認ができておりますでしょうか。ここら辺の客観的な事実の確認をしないで、当人がそうでない、そうでないと言っておりますというやり方では、これは警察の捜査におきましてもそんなことでは納得されるはずがないでしょう。私どもも同じことなんです。そういうことはどうなっているか。  それから、いまおっしゃいますように、この問題は病院の中の犯罪でありますから非常に専門的な知識を必要とする。その場合に保健所長に対して、もうこれ以上やらない、中断だと言う前に、保健所の協力を求めて医学的な専門的な知識を引き出して、捜査にこれを利するというふうなこともやられたわけなんでしょうか、どうでしょうか。
  160. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 まず第一点でございますけれども、当時の所沢警察署長が所沢保健所長に対して捜査について語ったという報道がなされたわけであります。それで早速埼玉県の警察の方では、あらゆる角度からそういうような事実についての調査をした結果、結論としては、警察署長が捜査の中断を明言するというようなことはあり得ないということが判明したということでございます。  それから第二点でございますけれども、この種事案につきましていろいろな方から専門的な知識をおかりし、そして捜査の参考にするということは行われておるわけでございます。ただ先生冒頭で御指摘がありましたように、医療行政と私どもの捜査というものは、それぞれやはり観点が違うものだと思います。医療行政の立場からのこの種乱診乱療に対する指導と、私どものいわゆる特別法規の罰則の適用というのとは立場が違う。それぞれの法律の枠内においてやるというような形になろうかと思います。やはり第一次的には、先生が鋭く御指摘になりましたように、この種問題につきましてはそれぞれ所管行政官庁の問題だろう、こう思うわけです。私どもとしては、それぞれの行政法規の行政目的を罰則適用によって担保するという最終的な手段だろう、こう思うわけでございます。
  161. 三谷秀治

    三谷委員 私のお尋ねしたことにお答えになっていないのですが、私お尋ねしたのは、二月十四日に湖畔荘で開かれた保健行政関係の会合で中村署長と小島所長が会う機会がありましたのかありませんでしたのか、これは確認されておりますか、これを一つお尋ねしたのです。そういう機会がなければ、いまおっしゃいますようにそういう発言をする場所がなかったわけでありますから別でありますが、あったのかなかったのか。  それからもう一つ、保健所の協力といいますのは、これは何といいましても専門的な知識を要する分野における犯罪でありますから、専門知識を活用することが非常に重要であります。この間わが党の社労関係委員が所沢に行きまして、この病院における異常な診療内容について調べましたけれども、結局これで一番よくわかりましたのは、防衛医大の産婦人科の教授に会って、そして超音波断層診断装置というのは、この病院で写しておったのは子宮や卵巣ではなくて小腸であったということが説明されたわけであります。これは子宮、卵巣を写しますのに一般的には腸が妨げになって撮影がしにくい。そこで小便をいっぱいにして膀胱をふくらませておけば、膀胱が動くことによって卵巣や子宮の撮影が可能であるという学理だそうであります。ところがこの病院では、小便をいっぱいにして写すのではなしに、小便を全部出してこいと言って写した。だから撮影されたものは全部小腸であったというのが、防衛医大の小林充尚教授の意見として述べられております。そういう事態でありますから、当然こういう専門的な方の意見なども聞いたりしながら、本当に捜査をするならば全面的な捜査活動を展開するのが普通でありましょうけれども、しかし事態はそのようではないようでございます。この小さい町で聞き込みをしたところでおよそ数は知れておりましょうけれども、二年を要しておるというわけでありますから、これは正常な捜査ではなしに何らかの障害がそこにあったと見るのが常識だと私は思っております。  そこで、その障害になった問題についてもう一つ申し上げておきます。  五十三年の三月まで所沢の署長のポストにありました山崎氏という方がいらっしゃいますが、この方がこの病院の顧問という職におつきになっておるわけでしょうか、どうでしょうか。
  162. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 お尋ねの山崎元所沢警察署長でございますけれども、本人の話によりますと、芙蓉会友の会、これは富士見病院の患者であった方々の親睦団体だそうですけれども、その会合に出席して、その席で理事長北野から顧問というようなことで紹介されたというようなことはあるそうでございますけれども、正式の顧問になったことはないという話でございます。
  163. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと芙蓉会というのは、患者組織ではなしにこの病院を経営する医療法人ではないのでしょうか。  それからもう一つは、署長がそこで単に顧問という形式で紹介されたというだけだそうでありますが、それですと、この署長が富士見病院を血液センターにするために暗躍されておりますのはどういう関係なんでしょうか。埼玉県では緊急時における血液の供給は、県の血液センターが中心になって供給されるとともに、県下十四カ所の血液プール病院にプールしておいて即座に手配できるシステムをとっておるそうでありますが、富士見病院は所沢においてこの血液プール病院となることによって所沢の中核病院になろうと計画した。そこで北野が二度にわたって県の血液センターの早坂業務課長を病院の理事長室に招いて話をしたことが確認されております。これは警察は把握されておりますか。  この血液プール病院の指定のために動いたのが元所沢署長の山崎氏であります。山崎氏はことしの初めに県衛生部の業務課を訪ねて、県警の方は部下もおるので何とかやるからプール病院指定を考えてくれと頼み込んでおるわけであります。この際山崎氏は、芙蓉会から頼まれたとはっきり述べていらっしゃる。県警の方は何とかするというのは、道交法上の緊急自動車の指定のことを意味しております。元警察署長という顔で何とか指定をとるということを述べておるわけであります。この状況を見ますと、山崎氏が単に患者の親睦会に出て、そこで顧問と言って紹介されただけだという説明では首肯できるものではありません。この点はどのように捕捉されておりますか。
  164. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 まず芙蓉会と芙蓉会友の会との関係でございますけれども、芙蓉会は先生御指摘のとおり医療法人芙蓉会でございます。芙蓉会友の会というのは、先ほどお答え申し上げましたように、この富士見病院で患者であった方々の親睦団体、こういうことでございます。  山崎元所沢警察署長は芙蓉会友の会の顧問ではないかというようになっておるわけでございますけれども、この点につきましては本人の話によりますと、単に形式的なものであってその会合で紹介されたにとどまるのだ、こういうことだそうでございます。  それから、血液センターの関係の事実につきましては、私ども全く事実関係を把握しておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  165. 三谷秀治

    三谷委員 いま申し上げました事実は、私どもの方が先般県の薬務課に行きまして、そこで事情を聴取しましたときに、薬務課の関係職員から説明を受けた内容でございますから間違いはないと思います。そして結局、いま部長が御説明になりました、患者会の顧問という形式だけの紹介をされただけだというお答えはもはや空中瓦解してしまっている。なぜかならば、芙蓉会から頼まれたといって、いま申しましたような血液センターの認可運動を積極的にやっている。つまりそこにこの病院と元署長との癒着の関係というものが明らかに浮かび上がってきている。しかも、それについてはどうもお調べになっていない。まあ警察内の事件というのは、しばしば警察一家的な思想によって不明確にされる場合があるわけでありますけれども、どうもここにもそういう感じが私はするわけでございます。それについては、恐らくお答えができますまい。  そこで石破公安委員長、これはこの間東京新聞か載せた写真です。ごらんになりましたか。——これは、警察が捜査を中断する直前に北野が大臣室を訪ねてきて握手をしておる写真であります。これはもちろん東京新聞に載っていますが、このもとの写真は地元のミニコミ紙に載っておったものであります。それをここに再録しておるわけでありますが、その握手をしている写真が地元所沢市におきまして頒布、販売をされておる。折からここの捜査の過程においてこういうものが発行、頒布されておる、そういうことが捜査に影響なしにおれるだろうか。国家公安委員長といいますと、地方警察署長などにしますと全く雲上の人に等しいような存在に事実上なっておるわけでありますが、その方が一緒に写真を写して歓談をされるというふうな状況ですね。この写真あるいは写真の背後にあります癒着関係というものが捜査の中断に全く影響なしでおれるだろうか。私は、警察庁の方から捜査をどうしなさい、こうしなさいと言って指示したということは申し上げませんけれども、なくてもその状態を見れば、この写真を見れば、これはうかつに手を出してはいけないというふうな判断を持たざるを得ないのではないか、そういう社会的、政治的な影響を持つものではないかと思いますが、この点はいかがでございましょう。
  166. 石破二朗

    石破国務大臣 うかつでありまして、この東京新聞はたまたま読んでおりませんでした。  そこで、これを見れば、第一線の警察官は格別の指示がなくても捜査が鈍るということがあり得ると考えるか考えないかという意味の御発言でありますが、これは重大な問題であります。予断をもって素人の私がそうであろうとかなかろうとか断言しますようなことは、あえて差し控えさせていただきます。
  167. 三谷秀治

    三谷委員 あなたは素人とかなんとか、問題をごく個人的に判断されているようだけれども、あなたは日本国の国家公安委員長であって、警察行政の運営管理についての最高の責任をお持ちになっている方であります。だから、素人だから答弁を控える、そんなことでは通用しません。それなら大臣、あなたは国家公安委員長は勤まりません。そういうお答えでは私は納得できません。
  168. 石破二朗

    石破国務大臣 御指摘のとおり、国家公安委員長警察の管理運営について責任を持つものでありますけれども、具体的な犯罪事案等をあれこれ指揮する立場にございません。あえて素人と申し上げたゆえんであります。
  169. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 問題のこの写真が掲載された地元紙の件でございますけれども、私どもの方はそういう地元紙が頒布されたという報告に接してないわけでございますし、また現実にこの事件の捜査を担当している者に聞きましても、そういう地元紙を見ていない、こういうことでございます。いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしましては、いかなる事件の捜査に当たっても厳正公平に進めるということで対処しておるところでございます。
  170. 三谷秀治

    三谷委員 厳正公平というのは言葉の上だけではだめなんですよ。いろいろな具体的な事実について、それを明快にすることによって厳正公平さというものを示してもらわなければ、いろいろなお尋ねをしましたけれどもわからない点たくさんあるわけだ。いろいろな疑いが残ってきておる。そしてそのままで厳正公平であるとおっしゃってもこれはなかなか通用する議論ではありません。  そこで、先ほどお尋ねしました件で、警察としてなお不明な点が一、二ありましたが、これらについては調査をして、そしてすべての内容についての報告をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  171. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 お答えしなかった点と申しますと、恐らく先ほどの当時の所沢警察署長が所沢保健所長と会ったか会わないかといった点、それから血液センターの関係だろうと思いますけれども、前者につきましては、先ほど申し上げましたように埼玉県警察の方が中村署長にいろいろ事情を聞いた結果が、そういう会ったということはあるわけでございます。ただし、その際に保健所長に対して捜査中断を明言したという事実はないということでございます。  それから第二点は、血液センターにかかわる事案でございますけれども、これは犯罪が絡む問題であるかどうかということなんでございますけれども、犯罪が絡む問題であるとすれば私どもとしては事実関係を見きわめる必要があろうかと思いますけれども、お聞きしている範囲ではそういう問題ではないようでございますので、先生のお話は十分受けとめまして埼玉県警察の方に正確に伝達するということで対処してまいりたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
  172. 三谷秀治

    三谷委員 これは直接の犯罪にかかわるかどうかということではありませんが、要するにこの事件が捜査が着手されましてから二年間もたった、その間になぜ適正な捜査ができなかったかということ。その一つの条件としては澁谷大臣に対する献金の問題もある、それから元警察署長の顧問としての活躍もある、そういう条件というものが重なって捜査を困難にし、遅延させた根拠になっているのではないか。その観点から元警察署長というものがどのような身分でこの病院と癒着しておられたのか、病院の仕事をどのような形で委嘱されておったのかということは、これは犯罪に関係あるなしにかかわらず行政的な、政治的な問題としては重大な関心のある問題でありますから、当然所沢に聞き合わせをしていただいて、こういう事実関係はどうかということについてお答えいただきたい。ここでお尋ねしますのは、犯罪事実、犯罪内容についてお尋ねするのと違いますよ。この委員会では警察行政についてお尋ねするわけでありますから、犯罪の内容を構成しておろうとおるまいと、警察行政としての公平性を失するおそれがある内容については明らかにして、報告などをしてもらうという性質のものだと私は思っております。ですから、この点については詳細に事実関係を調べていただきたい。  もう一つは、小島所長と中村署長の湖畔荘の話でありますが、その会議にお互いに出て会ったということはどうやら確認されておるようであります。会ったけれども言わなかった、こういう話になっている。会ったことがないとおっしゃるのであれば別でありますが、会ったことがある、そして四回にわたって証言をされている。これは私どもに対する証言だけじゃありません。さっきから言っていますように、新聞社に対してもそうであり社会党に対してもそうである。そういう状況から見ますと、あなたがいまごく単純にそんなことは言ったことはありませんとおっしゃるのでは国民は納得しません。納得しない方がむしろ当然でしょう、その方に社会生活としての法則性がある。そうしますと、いまお答えになりましたけれども、実態はいささか違っているということを私は指摘しなければならぬわけであります。ですから、これについてはすでに会ったことをお調べになっておりますから、あと一つは、いまの芙蓉会の顧問というものがどういう形で委嘱されて、どういう仕事をしてきたかという点についてお調べをいただきたいと思う。どうですか。
  173. 谷口守正

    ○谷口(守)政府委員 先生からいろいろな点につきまして御指摘があったわけでございます。そういった点につきまして、可能な範囲において調査してまいりたいと思っておりますけれども、やはり二年間にわたってというのは、先生の御指摘のように非常にむずかしい問題があって、一つずつそれを克服しながらやってきたといった点を御了解いただきたいと思うわけでございます。
  174. 三谷秀治

    三谷委員 専門的な知識のあるところ、防衛医大にしても保健所にしてもそうでありますが、そういうところとの犯罪捜査上における知識の吸収あるいは協力関係ですね、こういうこともやっていらっしゃらないようであって、一生懸命にやってきたとおっしゃいますけれども、そういうもろもろの事実というものを見ますと、なお一点の疑問を払拭できないということを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、指摘しました事項の不明確な点については調査をしてくださるそうでありますから、それをお待ちしました上でまた必要があればお尋ねしますが、公安委員長、あなたは初め、この捜査に二年を要したことに解せないという疑問を呈されました。私も国民も同じ疑問を持っております。そうして、警察当局の捜査の中断はないという一本調子の答弁ではこの疑問は解明されません。これを解明するために、公安委員長としても努力を願いたいと思います。いかがでしょうか。
  175. 石破二朗

    石破国務大臣 これほどの長い年月を要したのはどうも解せないと申し上げたのは事実でありますけれども、解せない原因は恐らく、北野なる者がどういう性格の人物なのか研究してみますと、その辺に疑問を解くかぎがあるいはあるのかもしれません。御要望でありますので、せっかく調査研究してみたいと思います。
  176. 三谷秀治

    三谷委員 人間研究をお願いしておるわけじゃないのです。事件の問題を解明してもらいたいということをお願いしたわけです。しかし、時間が来ましたからこれできようは終わりますが、どうぞよろしくお願いします。
  177. 石川要三

    石川委員長代理 次は田島衞君。
  178. 田島衞

    田島委員 私は、すでに地方自治については大変な経験者であり権威者でもある大臣に、地方行政をやる上において一番根幹とも言える地方自治の本旨ということについてお尋ねをしてみたいと思うのです。  この地方自治の本旨については、私が申し上げるまでもなく、憲法にわざわざ一章を設けて四カ条の規定があるわけでありますけれども、残念ながらその憲法の中には、たとえば九十二条に「地方公共團體の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とあるのですが、しからばその本旨とは何ぞやということについては明文の規定がない。まことに憲法も千慮の一失をしたものだなと思うのですが、憲法論議をするつもりはないのです。そこで、明文の規定のないこの地方自治の本旨ということについて、地方自治に大変長いこと御経験を持たれる大臣としてはどのような具体的な見解を持たれるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  179. 石破二朗

    石破国務大臣 憲法第九十二条に規定しております地方自治の本旨についてでありますけれども、自分の理解しておりますところでは、地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるよう地方自治制度を定め、運営することである、こういうふうに理解いたしております。
  180. 田島衞

    田島委員 大臣の言われる自主性とか自律性というのはまことに大事なことであり、特に今日の地方自治の中ではそのことが一番重要に再認識されなければいけないことだと思いますけれども、それと同時に住民の意思の尊重と住民福祉への貢献が絶対条件だと思います。そのことにおいては別に大臣のいまの御見解が違うというわけじゃありませんけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
  181. 石破二朗

    石破国務大臣 御指摘のとおりであると思います。
  182. 田島衞

    田島委員 私どもも同じような見解を持っておるのですが、私も長いこと地方自治をやってきたのですけれども、いつも壁にぶつかるのは、この地方自治の本旨なるものについて明文の規定がない。今日、明文の規定があっても、利害得失が大変複雑に絡み合う人間社会のことですから、それぞれの立場、都合で勝手な解釈をする。そこに混乱が生まれてくるわけですけれども、いわんやこの明文の規定がないというところから、地方自治の中にもいろいろな混乱が現実にあると思うのです。  そこで大臣としては、そのような考え方を持たれる根拠をどこにお求めになったのか。憲法から地方自治法地方公務員法、地方公営企業法、地方財政法、いろいろありますが、その中にいやというほど地方自治の本旨本旨とうたってあるけれども、残念ながら地方自治の本旨とは何かについてはどこにも明文の規定がない。そのことについて大臣は、どこにこれで間違いないのだという根拠を求めたらいいか、御教示いただければまことにありがたいと思います。
  183. 石破二朗

    石破国務大臣 私も確たる自信は持っておりませんけれども、地方自治という言葉があります以上、そこから当然と言っていいかとも思いますけれども、自治と言います以上はその自主性、自律性というものが十分発揮できることである、かように判断し、お答え申し上げた次第であります。
  184. 田島衞

    田島委員 いろいろ論議があるところでありますけれども、私は私なりに、憲法地方自治についてわざわざ一章を設け、そして四カ条を設けている以上は当然に、「地方自治の本旨」とうたえば、それを受けて地方自治の本旨とはかくかくしかじかであるべきものだと本当は規定してあったらいいのじゃないか。これは別に憲法改正がどうだとか、そういう意味で私は言っているのじゃないのですけれども、やはり大変りっぱな憲法だと言われている憲法にも、細かいところであるか大きいところであるか知りませんが欠陥があると思います。本来憲法規定してあるべきものだと思いますけれども、大臣、その点はいかがお考えでしょうか。
  185. 石破二朗

    石破国務大臣 御承知のとおり、憲法は基本に関する事項規定しておるものでありまして、本来その性格上事細かに規定するというわけにはまいるまいと思います。したがいまして、現憲法が言葉足りずの欠陥であるというふうには私理解いたしておりません。地方自治の本旨と言えば、当然それは地方自治団体の自主性、自律性というものを十分発揮できるように法律で規定するということを期待した上での表現であろうと思います。
  186. 田島衞

    田島委員 大臣はお詳しいことだと思いますけれども、地方自治法の中にも、地方自治の本旨に基づきとか本旨を守りとかという、その地方自治の本旨という字句はたくさんあるわけです。だけれども、これまた地方自治法の中にも、じゃその地方自治の本旨とは何だということは何の規定もない。以下、地方公務員法では何でもそうなんです。その地方自治の本旨ということを各地方自治に関する法律の中でうたっているのは、憲法地方自治の本旨に基づきとあるからそれをそのまま横滑りに使っておるわけです。ところが使っているだけで、その本旨とは何ぞやについては明文で規定していない。とすると、やはりその欠陥は憲法にあるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。それとも地方自治法で決めるべきだとお考えでしょうか。
  187. 石破二朗

    石破国務大臣 どうも私も十分のお答えができないかと恐れるものでありますけれども、地方自治と申しますれば地方自治団体の自主性、自律性というものが発揮できるようにする、これはもう特に説明を加えなくても、地方自治の本旨と言えば当然そういうことになるということではなかろうかと判断いたしております。
  188. 田島衞

    田島委員 現実にその地方自治の本旨ということを、それぞれの立場、それぞれの都合でいろいろな解釈をされていることは事実であります。その混乱の原因がどこにあるかというと、地方自治の本旨という言葉はあるけれども、本旨とは何かについては規定されてない、ここにあることだけは間違いない事実だということを申し上げまして、次に、当然またそれに関連してくると思いますけれども、地方財政の再建に関連してお伺いをしたいと思うのです。  まずその一つとして、国と地方団体との税配分についてでありますが、このことについても議論されることはもう長いと思いますけれども、たとえば五十二年度の決算からとってみましても、租税収入の面で地方団体が三七・四%、国の方が六二・六%。今度はそれに対する最終実質配分を見ますと、地方の方が八〇%、国が二〇%。もっとざっくばらんに言えば、結局のところその税金を使っているのは地方に八〇%を使っている、国の方が二〇%。それなのに税収面では、税制度からすると地方は三七・四%、国が国税で六二・六%を徴収している。このような税財源の配分そのものからも地方財政というのはいろいろな影響を受けておるわけですけれども、その点についての大臣の率直なお考えを、いますぐこれをなくせとかそういう意味ではなくて、基本的なお考えを聞かしていただきたいと思います。
  189. 石破二朗

    石破国務大臣 御承知のとおり、各地方自治体ごとに自治体の中の企業その他の納税者に差があります。国税であろうと地方税であろうと、とにかく税金をたくさん納める企業なり個人がたくさん住んでおる自治体とそうでない団体があります。したがいまして、地方で上がります税金だけで、国との関係を断ち切って文字どおり地方自治ということを実現しようと思いましても、それは事実上不可能なことであろうと思います。したがいまして、御指摘のとおりあるいは三分の二程度のものは国で国税の形で徴収する、そのうち三分の一程度のものは交付税という形で地方に還元する、さらに補助金という形で地方に配分する、結果的には全体の八割程度のものが地方自治体の手を通じて国民に還元されておるというふうに理解いたしております。
  190. 田島衞

    田島委員 大臣の言われるいわゆる国と地方団体との財政調整といいますか、富裕団体あり、そうでない団体がある、結局それらの団体に対する調整の面で、国がよけいにとって、そして結果的には地方へまた還元するということの意味もわからぬではありませんけれども、そうなると、それに関連して当然考えられるのが地方交付税法であります。この地方交付税法はいま大臣が言われるような、そのような財政調整の意味を持ってつくられた法律でありますけれども、ところが、その地方交付税法によるところの都道府県段階での不交付団体というのは東京都ただ一つ。果たしてその東京都ただ一つだけが不交付団体であるような地方交付税法のあり方が本当にその目的を達しているというか、目的を達することができると大臣考えでしょうか、どうでしょうか。
  191. 石破二朗

    石破国務大臣 その年々の状況によって違うわけでありますけれども、御指摘のとおり現在都道府県段階では東京都だけが不交付団体だといいますのは、余りそう正常な姿ではないような気がいたしております。
  192. 田島衞

    田島委員 私も、東京都だけが不交付団体であるという形からすると、もう交付税制度はあってなきに等しいのじゃないか、そういうふうに言われてもやむを得ないと思うのですけれども、大体どのくらいのパーセンテージ、それははっきりこうとは言えないでしょうけれども、たとえば三分の一とか、どの程度の不交付団体というものがあることが望ましいと考えられるか。
  193. 石破二朗

    石破国務大臣 担当の局長がお答え申し上げます。
  194. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろとお話があったわけでございますが、基本的には地方団体がまさに自主、自律性を持って仕事をする上において、自主財源というものが特に税金の取る度合いが大きい、それで自主的に運営ができるということになればそれは一つの理想であろうと思うのでございますけれども、先生自身がおっしゃいましたように財源偏在があるということで、国税の一定割合を交付税というかっこうで財源調整をしておるという形でございます。  そういったことで標準的な財政需要に対応できるように制度がつくられておるわけでございますが、それならば、基本的に交付団体と不交付団体の割合というのはどれくらいがいいかということになりますと、これは理論的にこの程度がよろしいという理屈づけはなかなかできないのだろうと思います。やはり全体の仕事と、いわゆる行政のレベルというものと国民の負担との間を考えながら、国と地方がどういった機能分担でどういった仕事の分け合いをするか、そこらにおいて適切な税の分け方をやり、その場合に、この財源の偏在を何かのかっこうで調整するということで交付税制度を持ち込んでおるわけでございますから、そこの基本的な全体の姿を合理的にする中でこれくらいが適当だということは、あるいは一つの試算の中で出てくるかもしれませんが、現在の姿の中で、全般的に国も地方も非常に財源不足で大きな赤字を出しておる、そういった中でどういった財源の配分をするか、どの程度交付税があればいいのか、あるいはまたどの程度そういう不交付団体になるように税を地方に与えればいいのかということになりますと、なかなか一概には言い切れない、全体の姿の中でもう一回よく見直しをして整理をしてみなければいかぬのだろうというふうに考えるわけでございます。
  195. 田島衞

    田島委員 確かにその点は、おっしゃることの意味はわからぬではありませんけれども、ではもう一回もとへ戻って、少なくとも東京都だけ、都道府県段階でたった一団体だけが不交付団体であるという形で、どこへ出しても恥ずかしくないと言えるかどうか、これがりっぱな交付税制度でありますと言えるかどうか、その点はどうですか。     〔石川委員長代理退席、工藤委員長代理着席〕
  196. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 交付税制度そのものよりも、もう一つその前にいまのような不交付団体というのは東京都だけであるということは、結果的には全般的に税収というものが標準的な財政需要を賄うに十分でない、そういった意味で税源の配分という点にあるいは問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。それで十分でないから、結果的に標準的な行政をやるために何らかの形で交付税によって穴埋めをするというような形になってくるだけでございますから、交付税制度はそれによって現在その財源を借金等をもって埋めておるにしても、できるだけそれは配分をいたしまして地方団体が標準的な財政が運営できるように仕組んでありますから、それはそれなりで機能しておるのだからと思います。ただ、いまおっしゃいますように不交付団体わずか一つ、あとは皆そういう形でやらなければ標準的な仕事ができないということは、別の面で申しますならば、地方税源そのものが十分でないということにあるいはなるのではなかろうかというふうに逆に考えておるわけでございます。
  197. 田島衞

    田島委員 いまお話しのような点があるから最初に税財源の問題を取り上げたわけですけれども、それについては大臣としても余り御意見がなかったものですから、そこでまた逆に交付税法の方へ入っていったわけです。  結局交付税法と税財源の配分とは切っても切れない関係にあると思うのですが、私は別に東京都出身だから言うわけじゃありませんけれども、交付税法のあり方といいますか、いまのままでいいのかどうかということについては、たった一つの不交付団体ということで非常に貴重な議論の対象だと思いますので、もう少し突っ込んで聞いてみたいと思うのですが、本当に東京都は地方交付税法の不交付に値する団体だ、金持ち団体だ、黒字で黒字でうれしくてたまらぬという団体だとお考えかどうか。
  198. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 問題は地方団体がどういったレベルの行政をやるかということと、それに対応する財源というものがどういうふうになっておるかということとの兼ね合いの問題だろうと思うのでございます。現在私どもが交付、不交付というかっこうで区分けをいたします際は、まずこれだけは標準的な行政としてどうしてもしなければならないということをずっと積み上げるわけでございまして、そういった中で、これくらいは最低必要だろうというものを基準とした場合に、税収との関連において交付税をやらなくてもいいという意味で東京は富裕だということになるわけでございまして、あくまで富裕団体というのは他に比べての相対的な富裕だということだと思います。  そういった意味で、あり余って困るとかどうとかというような、そういった表現で言うべきものではないのだろうと思います。日本のいまのいろいろな全体的な税財源、国民が負担し得る税財源能力ということと行政のレベルということとの対比において、せめてこれくらいはしなければいかぬという一定の行政というものを保障する、そういう意味のものでありますから、そういうものを算定する際に東京都は東京都なりのいろいろな実情を加味した算定方法をやって需要を出しておるわけでございますが、それでも税収等がそれを上回るということで、まあ不交付団体ということでございます。それがどの程度富裕かということは、いまそこらの前提の置き方によって違うわけでございます。まあ相対的に見て、東京がほかよりは不交付団体であるだけに富裕であるとは言えますが、あくまでもそれは相対的な物の言い方だろうと思います。
  199. 田島衞

    田島委員 たとえば、いまのお話の中に、東京都が黒字だとは言わぬけれども他に比較して富裕だ、こういうお話が出ました。ではその他とはいかなる基準考えて、その基準に対して富裕だと言えるのか。これが東京都ほか幾つかの団体があれば、それは一つの基準もあるでしょうけれども、東京都一つしかない。この一つしかないということが本当に地方交付税制度上まことにみごとな富裕団体で不交付団体に値するということで、不交付団体の一つとして存在するのか、もしそれ東京都も正直に言ってみれば不交付団体じゃないよ、これもまた交付団体に値するものだよと考えたら、不交付団体というのはなくなっちゃうのですよね。不交付団体というのがなくなったら地方交付税制度は成り立たない、だから無理やりに東京都を不交付団体の唯一の存在として残しておく、そのために東京都は実質赤字の中で相当の苦悩を味わう、これが国の制度として望ましいあり方でしょうか。別に東京都のために弁じているわけじゃないのですけれども。
  200. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 結局いまの不交付団体になるかならないかというのは、ただいま申し上げましたように、標準的な行政需要にこたえ得る財政収入というものを比較しました場合に、需要よりも収入が超えておるという意味において、交付税をもって埋める必要はないということを言っておるわけでございます。  したがって、要するにその標準的な行政需要というものは何か、そこがぜいたくなのかぜいたくでないのか、地方団体によっていろいろ需要の内容は違うではないか、そういうところを十分測定しておるのかどうか、そういう意味も含めてのお尋ねだと思うのでございますが、私どもは、教育行政にいたしましてもその他もろもろの行政も、いまの、たとえば国で決めております学級編制基準その他いろいろな要素というものを克明に洗い上げて、おおむねこの行政であればこの程度のものはナショナルミニマムとしても維持していかなければならない、そういうものを詳細に洗って積み上げて財政需要というもの、基準財政需要額というものをはじき出しておるわけでございます。それと基準収入というもの等とを比べまして、それがオーバーしておるかしてないかということで、せめてその基準財政需要は保持してやりたいというところには、足りないところは交付税を出すということでございますから、そういった意味での相対的な形での富裕団体、不交付団体ということでございます。  したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、それはまさに行政のレベルとの関連もあるわけでございますから、この程度のことでは済まない、もう少しこういうふうにやらなければいけないということになれば、それ相応の財源が必要になってくる。あるいはそういう見方をしていきますと、東京でもただいますぐどうこうということはないと思います、やり方、計算の仕方によっては税だけで足りないということはあり得ると思うのでありますけれども、どの程度地方団体の仕事として保障するかという点で分かれてくる。その際に、ただどこの地方団体もみんな同じかと申しますと、東京の場合は流入人口も非常に多い、いろいろな面で地価も高い、いろいろな事実がございます。そういった意味で、行政需要が同じことをやるのでも割り高であるといったような事実はあるわけでありますから、交付税算定上も、結論的には不交付団体でありますが、需要算定においてほかと同じにはしていないわけであります。そういった要素を加味をし、いろいろな補正を加えて、それで算定してなお財政需要を収入の方が上回るということで、交付団体にはなっていないということでございます。  もちろん、そういった行政需要の算定の仕方についてはいろいろと問題がありましょうし、いろいろな議論があろうと思います。私どもは、毎年毎年そういう点は実態を調査をし、実情に合うようにしておるわけでございますが、そういったことでもなおかつ計算上は不交付団体になってきておる、こういうことでございます。
  201. 田島衞

    田島委員 当局としては、何とかしてたった一つの不交付団体の存在は、それを守らなければ交付税制度そのものが瓦解しますから、それはわかるのです。別にそれを、東京都が不交付団体であることはけしからぬとあくまで言うつもりはない。つもりはないけれども、そのような理不尽な形でたった一つの不交付団体を残す、残すことによって辛うじて守らなければならぬ制度というものが果たして正しい制度なのかどうなのか、ここが私が言いたいところなんですよ。だけれども、その問題についても税財源の配分の問題が絡んでくる。国も台所が大変ピンチだということになるからむずかしい問題で、現実にはそれを右から左へというわけにいかぬでしょうけれども、基本的なものの考え方としては、いいものはいい、悪いものは悪い、これだけははっきりしておかないと物事の筋というものは立っていかないと思うのです。これは十分御承知のことですから釈迦に説法のようですけれども、都民感情だってあるわけなんです。先ほど地方自治の本旨とはというお言葉があるとおり、都民は都民なりの感情を持っている。  そこで、都民感情を代弁するわけではありませんけれども、昭和五十二年度の決算の数字で言うと、都民一人当たりの税負担額は五十九万七千八百円、これは当然のことでしょうけれども全国一位です。では、全国の平均はどのぐらいかというと二十四万一千九百円。東京が全国一位ならナンバーツーはどこかというと大阪なんです。大阪の一人当たりが三十五万二千百円。要するに東京都民は全国一位を誇りながら、一人当たり五十九万七千八百円納めているわけなんです。全国の平均はその半分にも満たない二十四万一千九百円である。  そのような負担の上で、納税者が当然希求する反対給付というものがありますね。この反対給付として受ける都民の実質的配分額、還元分といいましょうか、それはどうかというと、同じ昭和五十二年度決算の数字で都民一人当たりが二十一万一千三百円、これは全国三十四位なんです。そしていわゆる税負担に対するパーセンテージから言うと三五・三%、それに対して全国の平均はどうかというと、全国の国民一人当たりの還元分二十一万七千六百円、還元率は九〇%なんです。東京都と東京都民が他の道府県——同じ国民、仲間てすから、その仲間であり、同じ仲間の団体のために負担を背負うのは恐らく誇りに思うでしょうけれども、誇りにも限界があって、平均的な還元分が二十一万七千六百円であるにもかかわらず、その平均よりも少ない還元分しか受けないということは明らかに不当だ。これは地方自治の本旨もヘチマもない、まるきりそんなものはどこかへすっ飛んでしまったようなものだと思うのです。これは納税者たる都民の断じて容認できないところだろうと思うのです。  それからまた、いまも言ったとおり、もしそれ大臣の見解そしてわれわれも同じような見解を持つ地方自治の本旨の精神からしたら、本当に地方自治を踏みにじっているようなものだと思う。そういう実態があって、しかもなおその上で東京都を不交付団体の一つとして辛うじて地方交付税制度を守り、税財源の配分はいつまでも抜本的な改善をやらぬ、これじゃ自治省何をやっているのかということになるんじゃないかと思います。もちろん、このことについては大蔵省の大変理解ある、勇気ある決断が必要だと思います。大蔵省が協力しなければそれはできない。そういう意味では大蔵省もまことに無理解また非協力だと思いますけれども、やはり当の自治省そのものが強い意思を持ってこのことの改善に当たらなかったら、大蔵だってなかなか乗ってこないんじゃないかと思うのです。  それからもう一つ、事のついでですから申し上げますけれども、東京は富裕団体だ、確かに全国の中で有数な豊富な税源のあるところだということはだれも否定できないと思います。しかし、そういうような東京には東京なりのマイナス面での特色もあるわけです。一番わかりやすい話が、たとえばここに国会議事堂がある。議長さんのいるところもあれば、総理大臣閣下のいるところもある。その周りは御承知のように毎日警察官が警備している。これは地方だったらそんなことはあり得ない。外国の大公使館等についてもそうだろうと思いますけれども、そういうようにどなたにでもすぐ理解のできる東京なるがゆえに抱えている問題もある。  そればかりではなくて、たとえば数字にあらわれた資料からしても、目的別歳出で見てみますと、地方財政計画の中で、いま言った警察費は全国の平均は三・九なんです、ところが東京は一〇・六かかっておるわけです。それから清掃費が地方財政全体の計画の中では二・七%、ところが東京は六・一%。下水道は全体が一・二、東京が二・八。それから消防費は全体で一・七、東京は三・六。交通事業費は全体の平均が〇・五、東京は二・四。一例を申し上げたわけですけれども、東京なるがゆえに、大都市なるがゆえに、富裕団体と見られるような大都会なるがゆえに抱えている別の面のマイナスもあるわけですね。  だからといって私は、それらのことを一生懸命しゃべって東京も交付団体にしてくれと言っておるわけじゃない。なぜかというと、東京が交付団体になったら交付税制度はあってなきに等しくなる。あってなきに等しいというよりはもう成立しないでしょうね。だから、東京はやはりその点を理解してがまんしなきゃならぬと思うけれども、だからといって、がまんさせておくということは地方自治じゃない。いつの日か東京の苦労に、東京都民の苦渋にこたえる日があっていいと思うし、それは一日も早く来なければならぬと私は思うのですけれども、いかがでしょうか、大臣
  202. 石破二朗

    石破国務大臣 お答えいたします。  お答えいたします前にお断り申し上げたいと思いますが、万一私が申し上げますことに間違いがございましたら事務当局に訂正をしてもらうつもりでありますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。  昭和五十二年の都民の負担しまする税額と都民が受ける行政サービスの金額と御比較になりまして、東京都民は税金を納めておる割りには還元額が少ないんじゃないかという御指摘がありました。まさにそれはそのとおりであろうとは思いますけれども、明治初年以来と申しますよりか徳川幕府が江戸に創設されまして以来、東京都に対する社会資本の投資というものはもうはかり知れないほど大きな額に上っておるだろうと思います。したがいまして、なるほど五十二年あるいは近ごろの行政サービスと税負担との間のアンバランスがあるのは事実でありましょうけれども、過去にはそういう時代がありまして、東京都のために恐らく全国民相当の犠牲を背負った時代もあったろうと思います。そういう過去の実績もありまするし、さらにまた御指摘のように、東京都なるがゆえに特別の行政需要があるんだという御指摘であります。この点よく知りませんけれども、これは政府委員から答弁した方がいいと思いますけれども、恐らくこれは特別の行政需要として算定した上で、なお不交付団体としておるに違いないと思います。  あれこれ事情はありましょうけれども、田島委員の御指摘になりましたこと、東京都民の多くの方々がお持ちの実感であろうと思います。ひとり交付税制度とか地方財政の問題に限りませんけれども、どの制度にいたしましてもやはり年月がたちますれば、それなりに欠陥というものがわかってき、これをそのときに応じて訂正していく、見直していくということは必要なことであろうと思います。現在の交付税制度が必ずしも不適当であるとかというわけではありませんけれども、都民の方々に相当の御不満があり、それを代表しての田島委員の御指摘だと思いますので、この上とも地方財政の財政制度のあり方等につきましては検討を怠らないようにしてまいりたいと考えております。
  203. 田島衞

    田島委員 大臣から、私たちにも大変勉強になるような古いお話も聞かしていただきました。きょうというのはいきなりきょうではない、きょうの前に長いきのうがあったわけですから、そのきのうの日に東京なり東京都民が受けておる恩があれば、これを今日返すのはまことに結構なことだし、当然のことだろうと思いますけれども、私が申し上げているのは、東京都民の現在の立場に何らかの救いを与えようということでありませんで、それは一つの論旨の中の材料に使っておるわけであります。もちろん、だからといって東京都をいまのままで全然よろしいということじゃありません。一日も早くやはり東京都もよそ並みに同じような扱いをということは、何でもくれということではなくて、ことさらに故意に不交付団体の一つとして位置づけられるということからは何とか救われるべきだ、こういうことは考えておりますけれども、そのことに重点を置いているのではなくて、そういうことを含めた現在の交付税制度のあり方そのものについてもうそろそろ勇気を持って抜本的な改善に取り組まれていいんじゃないかということが、実は一番言いたいわけであります。  特に、これはほかの方からも触れられておることでありますけれども、地方交付税法六条の三に、地方自治体一般財源の不足額に対し、普通交付税の総額が引き続き著しく異なる場合には制度改正または交付税率の引き上げを行うものとされているわけですね。では、その引き続きとはどのぐらいの期間考えるかというと、これについての役所側の考えは三年ということなんです。とすると、明らかにもうそれ以上の期間、六条の三に該当するような状態が続いている。とすれば、法を守る立場、法に従う立場からすれば、当然この地方交付税法そのものの制度改正か、あるいは税率の改正かを考えなければいけないと思うのです。そういう法がみずから規定した点から言っても、先ほど来一生懸命強調しているところの国と地方の税財源の配分、その配分に関連して地方交付税制度をつくった。つくったけれども、その実態たるやまさに無理やりに東京都を抑えつけて、おまえだけはがまんして不交付団体でおれよということの形にしておかなければもたない、かっこうがとれないというような状況の一切を考えたら、もう抜本的に考えるべきだ、これが一番言いたいわけであります。  そのことが前に進まなかったら、恐らく地方自治に関してどんなに議論しても地方財政の問題は解決していかないんじゃないか。やはり財政が解決しなかったら、私が言うまでもないことですけれども、地方自治そのものにもあしたの進展はないと言わざるを得ないわけでありますので、その御認識の上でもう一回お答えをいただきたいと思うわけです。
  204. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろと御意見を承ったわけでございますが、確かに、いまの地方財政の状況から見ますと交付税の額が足りないということで、借り入れ等をやっておるわけでございます。その状況は地方交付税法六条の三の第二項に当たるかどうかということにつきましては、私どももこれはまさにその状況に当たるということを申し上げておるわけでございます。  そういった意味で、交付税率の引き上げ等について地方財政対策を年度末にやります際、大蔵当局ともいろいろと話をするわけでございますけれども、なかなか国、地方を通じての財源の苦しい状況の中で、国と地方との基本的な財源配分の方法であります交付税率を一挙に引き上げるというのはむずかしかった、そういった状況でございましたので、一応当面の措置といたしまして、交付税特別会計における借入金をいたしまして交付税は必要な額を配る、そのかわりに返済をします際は、国が実質その二分の一を持つという措置をとることによってしのいできた、これは六条の三第二項の一つの方法であると私どもは考えております。それが抜本的な改善方法だとは思っておりませんが、それはそれなりで一つの方法としていましのいできておる、こういった状況にあるわけでございます。  そういうことをいたしまして、借金をしながら交付税を確保いたしておりますが、これが十分確保されるということと、先ほどから先生何度も言われるのに大変恐縮でございますけれども、東京都を無理に不交付団体にしておるということではないのでございまして、必要な一定の行政需要というものを賄う、そういう基準のもとで計算しました際に、東京都はまだかなりな財源を、差し引きしました場合に収入の方が高い、その結果交付税を配らないというだけでございまして、足りないからそういうふうに不交付団体にしておるというものではなくて、一定の行政水準が足りない、東京も含めて全国でもっと高い水準の行政をしなければならぬという必然性と必要性が出た場合に財源が足りなければ、東京も交付団体になることはあり得ると思うのでありますけれども、いまの財政需要と財政収入との関連でそういう結果になっておる。しかし、東京都が一つだけそうなっておるということは、基本的に、先ほど申し上げましたように、基礎になる税源というものが必ずしも十分でない、これは私どもも考えておるわけでございまして、そういった点の充実ということは、国の財政もございますが、全体的に考えなければならないと申し上げておるわけでございます。  そういう意味での交付税制度でございますから、それを一つだけ東京都を残すためにやっておるとか、あるいは交付税の原資が足りないからそういうことをやっておるんだということは毛頭ないということは、御理解をいただきたいと思うのでございます。
  205. 田島衞

    田島委員 東京都については、決して無理やりに不交付団体の存在に置くためにやっているんじゃないという再三のお答え、もちろんそんなことは言えないでしょうから、まさかに東京都だけしゃにむに不交付団体にしておかなければまずいんだからとは言えないでしょうから、その説明といいますか答弁を一応了解はしておきますけれども、もしそれ本当に東京都が不交付団体であるのは当然なんだということに御意見があるならば、いずれその問題について徹底的に対決してみてもいいと思います。私がさっきから言っておるように、東京都をどうこうしろと言うならば、私この次改めて時間をいただいたときに、もうそれ専門にあなたと討論してみてもいいですよ。それはその基準というものの置き方なんですよ。東京都を不交付団体にしようと思えば、そのような基準をつくれば幾らでもそうなる。そんなことは何も議論の余地はない。だから、私はそのことを言っているんじゃなくて、そういう一連の現実の事実を踏まえて考えれば、いまの交付税制度、税財源の配分、こういう問題についてはやはり抜本的に考え直していかなければいけないんじゃないか、まあまあ、いいわいいわでいつまでもいたんじゃだめじゃないかということを言いたいわけだ。  前の大臣にも大変期待をしたんです。相当有効に、有力に大蔵に働きかけて、何とか幾らか道を開いてくれるかなと思ったけれども、なかなかそこまでいかなかったんですけれども、今度の大臣も大蔵にも大変力が発揮できる方だと思っておりますので、ぜひともひとつ大蔵と大いに折衝していただいて、私どもが考えているところについて幾らかここで道が開けそうだなという何らかの動きを打ち出していただきたい、こう思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。
  206. 石破二朗

    石破国務大臣 力は至りません、足りませんけれども、昭和五十六年度の予算編成に当たりましては、各地方自治体がどうしてもやらなければならぬ仕事、いかに国の財政事情が困難でありましても、地方自治体がその財源に困ることのないように最大限の努力をいたしたいと考えております。
  207. 田島衞

    田島委員 もう一、二点質問の予定をしておりましたけれども、あえてそれを御遠慮申し上げまして、以上で終わります。
  208. 工藤巖

    工藤委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会      ————◇—————