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田島委員 当局としては、何とかしてたった一つの不交付団体の存在は、それを守らなければ交付税
制度そのものが瓦解しますから、それはわかるのです。別にそれを、東京都が不交付団体であることはけしからぬとあくまで言うつもりはない。つもりはないけれども、そのような理不尽な形でたった一つの不交付団体を残す、残すことによって辛うじて守らなければならぬ
制度というものが果たして正しい
制度なのかどうなのか、ここが私が言いたいところなんですよ。だけれども、その問題についても税財源の配分の問題が絡んでくる。国も台所が大変ピンチだということになるからむずかしい問題で、現実にはそれを右から左へというわけにいかぬでしょうけれども、基本的なものの
考え方としては、いいものはいい、悪いものは悪い、これだけははっきりしておかないと物事の筋というものは立っていかないと思うのです。これは十分御承知のことですから釈迦に説法のようですけれども、都民感情だってあるわけなんです。先ほど
地方自治の本旨とはというお言葉があるとおり、都民は都民なりの感情を持っている。
そこで、都民感情を代弁するわけではありませんけれども、
昭和五十二年度の決算の数字で言うと、都民一人当たりの税負担額は五十九万七千八百円、これは当然のことでしょうけれども全国一位です。では、全国の
平均はどのぐらいかというと二十四万一千九百円。東京が全国一位ならナンバーツーはどこかというと大阪なんです。大阪の一人当たりが三十五万二千百円。要するに東京都民は全国一位を誇りながら、一人当たり五十九万七千八百円納めているわけなんです。全国の
平均はその半分にも満たない二十四万一千九百円である。
そのような負担の上で、納税者が当然希求する反対給付というものがありますね。この反対給付として受ける都民の実質的配分額、還元分といいましょうか、それはどうかというと、同じ
昭和五十二年度決算の数字で都民一人当たりが二十一万一千三百円、これは全国三十四位なんです。そしていわゆる税負担に対するパーセンテージから言うと三五・三%、それに対して全国の
平均はどうかというと、全国の
国民一人当たりの還元分二十一万七千六百円、還元率は九〇%なんです。東京都と東京都民が他の道府県——同じ
国民、仲間てすから、その仲間であり、同じ仲間の団体のために負担を背負うのは恐らく誇りに思うでしょうけれども、誇りにも限界があって、
平均的な還元分が二十一万七千六百円であるにもかかわらず、その
平均よりも少ない還元分しか受けないということは明らかに不当だ。これは
地方自治の本旨もヘチマもない、まるきりそんなものはどこかへすっ飛んでしまったようなものだと思うのです。これは納税者たる都民の断じて容認できないところだろうと思うのです。
それからまた、いまも言ったとおり、もしそれ
大臣の見解そしてわれわれも同じような見解を持つ
地方自治の本旨の
精神からしたら、本当に
地方自治を踏みにじっているようなものだと思う。そういう実態があって、しかもなおその上で東京都を不交付団体の一つとして辛うじて
地方交付税
制度を守り、税財源の配分はいつまでも抜本的な
改善をやらぬ、これじゃ
自治省何をやっているのかということになるんじゃないかと思います。もちろん、このことについては大蔵省の大変
理解ある、勇気ある決断が必要だと思います。大蔵省が協力しなければそれはできない。そういう
意味では大蔵省もまことに無
理解また非協力だと思いますけれども、やはり当の
自治省そのものが強い意思を持ってこのことの
改善に当たらなかったら、大蔵だってなかなか乗ってこないんじゃないかと思うのです。
それからもう一つ、事のついでですから申し上げますけれども、東京は富裕団体だ、確かに全国の中で有数な豊富な税源のあるところだということはだれも否定できないと思います。しかし、そういうような東京には東京なりのマイナス面での特色もあるわけです。一番わかりやすい話が、たとえばここに
国会議事堂がある。議長さんのいるところもあれば、総理
大臣閣下のいるところもある。その周りは御承知のように毎日
警察官が警備している。これは
地方だったらそんなことはあり得ない。外国の大公使館等についてもそうだろうと思いますけれども、そういうようにどなたにでもすぐ
理解のできる東京なるがゆえに抱えている問題もある。
そればかりではなくて、たとえば数字にあらわれた資料からしても、目的別歳出で見てみますと、
地方財政計画の中で、いま言った
警察費は全国の
平均は三・九なんです、ところが東京は一〇・六かかっておるわけです。それから清掃費が
地方財政全体の計画の中では二・七%、ところが東京は六・一%。下水道は全体が一・二、東京が二・八。それから
消防費は全体で一・七、東京は三・六。交通事業費は全体の
平均が〇・五、東京は二・四。一例を申し上げたわけですけれども、東京なるがゆえに、大都市なるがゆえに、富裕団体と見られるような大都会なるがゆえに抱えている別の面のマイナスもあるわけですね。
だからといって私は、それらのことを一生懸命しゃべって東京も交付団体にしてくれと言っておるわけじゃない。なぜかというと、東京が交付団体になったら交付税
制度はあってなきに等しくなる。あってなきに等しいというよりはもう成立しないでしょうね。だから、東京はやはりその点を
理解してがまんしなきゃならぬと思うけれども、だからといって、がまんさせておくということは
地方自治じゃない。いつの日か東京の苦労に、東京都民の苦渋にこたえる日があっていいと思うし、それは一日も早く来なければならぬと私は思うのですけれども、いかがでしょうか、
大臣。