○加藤説明員 現在、
石炭鉱業の置かれております労働
条件は、他の産業に比べましてなかなか厳しい事情にあるわけでございます。
若干の
数字を申し上げてみますと、給与そのものの総額、これは昨年の四月−十二月の平均でございますが、これで見ますと、亜炭を含めた
石炭の現金給与総額が月額二十八万八千円ということになっておりますが、これは労働時間が非常に長いということでございまして、たとえば
調査産業全体では現金給与総額二十六万五千円ということで、それよりややいい現金給与総額になっておりますものの、超勤が約倍の三十時間というような事情もございます。
それからまた、災害の発生
状況について見ましても、たとえば全産業での災害の発生の度数率というもので見ましても、約七倍くらいの災害の発生率になっておる。あるいはまた、災害の強度率という面で見ますと、要するにより重い形になるわけでございますね、そういう強度率で見ましても全産業平均に比べまして約十三倍、こんなような
数字が出ております。また、そのうち特に休業四日以上の災害の中に占めます死亡の割合も約五割高いというような事情もございます。
また、衛生面で見ましても、疾病率が全産業で〇・六に対しまして鉱業は一三というような形で、労働時間の面あるいはまた災害、あるいは衛生といったような面を見ましてもなかなか厳しい
状況にあるわけでございますが、そういう意味で、御
指摘のように労働力を確保していくという面で、他の産業に比べましてよほどの努力がないと一般にはなかなか確保はむずかしいという事情は推測されるわけでございます。
加えましてこういう解雇の問題が、ずっともう閉山に次ぐ閉山という形の中で来まして、今日に至りましてもそういう清水沢の閉山というような形で依然としてまだそういう解雇問題も避けがたい面もある。さらには災害もまた発生しておる、こんなような事情にございまして、非常にむずかしいわけでございます。
したがいまして、私
どもは労働力の面で労務倒産になってはいかぬということで、その点非常に憂慮しておるわけでございます。そんなこともございまして、毎年労働力確保についてのヒヤリングをいたしておりますが、現在のところは、希望者、応募者が予定人員を上回っておるというのが一般でございまして、なかなか集まらないということを聞いておるのは北炭だけでございます。
しかし、将来の問題としては、やはりどの炭鉱も真剣な問題として取り組まなければいかぬということで、構えておるわけでございます。とりわけ若い労働力がなかなか集まらないという点、この辺はやはり共通しておりまして、こういう若い労働力がなかなか入らないという点については、これはまさに
石炭産業の今後を担う労働力であるわけでございます、そういう
人たちの確保の問題、やはりこれが今後の
石炭産業にとって、大変重要な問題であろうと思っておるわけでございます。
ただ、こういう面につきましては、大変残念ながら、本当に根本になるところが、そういう
石炭産業の経営の安定、それから将来性といったようなものが、結局若い人をつなぎとめていく、確保していく基本でございますので、そういった点については、私
どももむしろ
通産省の方にぜひそういった面で根本的な取り組みをしていただきたいということを、
石炭産業の将来はそういう労働力の確保の面でもなかなか容易でないということから強くお願いをしておる、こんなような
段階でございます。