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1980-10-30 第93回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月三十日(木曜日)     午後三時二分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 金子 岩三君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 中西 積介君 理事 鍛冶  清君       麻生 太郎君    太田 誠一君       北村 義和君    久間 章生君       倉成  正君    保利 耕輔君       渡辺 省一君    塚田 庄平君       細谷 治嘉君    八木  昇君       斎藤  実君    小沢 和秋君       石原健太郎君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君  委員外出席者         環境庁大気保全         局企画課長   佐藤 良正君         通商産業省立地         公害局石炭課長 安藤 勝良君         資源エネルギー         庁長官官房エネ         ルギー企画官  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁石炭部計画課         長       弘津 匡啓君         資源エネルギー         庁石炭部炭業課         長       檜山 博昭君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     伊藤 欣士君         建設省住宅局住         宅建設課長   高橋  徹君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 十月三十日  辞任         補欠選任   八木  昇君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     八木  昇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  北炭夕張炭鉱株式会社坑内火災事故後の経営問題について調査をするため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森中守義

    森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 森中守義

    森中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が十分ありませんので、二、三の点について御質問しておきたいと思います。  いわゆる石炭六法と言われるものが、産炭地域振興臨時措置法が来年の十一月期限切れになるのと一緒に、来年度でほとんど大部分期限が参ります。そこでお尋ねしたい点は、一番先に期限が来る、五年、五年延長して、十年延長して、二十年の期限が来る産炭地域臨時措置法の問題について、審議会等諮問をいたしまして、九月の下旬ごろには答申があるだろうと言われておりましたけれども、いまだにその答申が出ておらないようであります。どこに問題点があるのか、おくれたのはどうしたのか、まずお答えいただきたいと思います。
  6. 福川伸次

    福川政府委員 御案内のとおり、産炭地域振興臨時措置法は明年十一月期限切れとなります。六月二日から産炭地域振興審議会にその後の取り扱いにつきまして諮問を申し上げております。現在、小委員会を設けまして、その答申取りまとめをいただいておりますが、何分にも、関係いたします省庁、それからまた関係いたします地方公共団体等が多岐にわたりますので、意見取りまとめに若干時間を要しております。  私どもなるべく早くお取りまとめを願いたいと存じておりますが、現在、そのお取りまとめ作業も大体最終的な段階に来ておるように私も承っております。私ども今度もしこの法律延長国会にお諮りするといたしますれば、この次の通常国会ということになりますので、当然、その必要があれば所要の措置をそこでとらなければならないと思っております。  したがいまして、答申の方もできるだけ早くと思っておりますが、私どものいまの見通しといたしましては、十一月、来月の半ば前後をめどにはお取りまとめを願い、御答申がいただけるのではないかということで、現在鋭意作業をお進め願っておるところでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 来月の中旬ぐらいまでには答申があるものと思う、そうしてその答申に基づいて、暮れから来年にかけてのいわゆる通常国会審議をする、こういう状況のようであります。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、この問題について答申があってからでなければ答えられないということではなくて、この問題について、主管省である通産省としてはどういうような基本的態度で臨んでおるのか、対応しようとしているのか、お聞かせいただけますか。
  8. 福川伸次

    福川政府委員 現在審議会でいろいろと検討していただいております。大体私ども考え方といたしましては、産炭地域振興施策、あるいは産炭地域振興現状認識あるいは基本的な考え方、それから施策の今後の取り扱いといったあたり骨子になるのではないだろうかというふうに思っております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 いま関係知事会あるいは市長会町村長会、言ってみますと石炭関係の六団体あるいはそこの住民あるいはいろいろな団体が最大の関心を持っておることはこのことなんですよ。石炭六法、そのうちの産炭地域振興という問題がどういうことになるのか、こういうことでございますけれども、いまのあれでは主管省としての通産省通産大臣は現地に行った際にかなりはっきりしたことを言っているわけですが、あなたは少しふやふやだね、どうですか。
  10. 福川伸次

    福川政府委員 私どももいま、答申で今後の施策がどういうふうになるか、御答申を待っておるところでございます。私どもの方も今後の産炭地域振興政策内容諮問申し上げておるわけでございますが、大臣もかつて答弁申し上げておりますように、私どもとしては、その答申をいただきませんと最終的な判断はいたしませんが、私どもの方も、答申方向産炭地域振興臨時措置法延長というようなことが骨子になるのではないかというふうに思っております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 法律延長をする、こういうことでありますけれども、どうも審議会論議方向あるいは新聞等で報ぜられる内容等を見ますと、十年ということでありますけれども単純延長ということが議論されておる、こういうふうに承っております。この十年という単純延長、こういうのが議論中心ですか、お答えいただきたい。
  12. 福川伸次

    福川政府委員 審議会におきましては、今後の産炭地域政策全般を見直すということで御審議をいただいております。したがいまして、今後の産炭地域政策あり方ということでございますので、この法律延長問題あるいはその法律運用問題等についていろいろな御意見が出ておるというふうに私どもは承っております。たとえば今後の方向につきまして、産炭地域振興を図っていく場合に、従来からもいろいろ施策基調として流れておりました発想として、たとえば広域的な考え方をもう少し導入してはどうであろうかという御意見も出ておるわけでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 かつて佐藤総理が筑豊の地を訪れた際に、あの悲惨な姿を見て、一体政治は何をしておったんだということを言ったということであります。  ところで、私がお尋ねしたいことは、今日まで、やがて来年の十一月で満二十年になるこの産炭地域振興対策というものについて、それなりのメリットがあったかと私は思うのですけれども欠陥もあった、デメリットもあった、反省すべき点もあった。だから佐藤総理にああ言わせたし、いま産炭地人たちは必死で何とかこの法律延長していただかなければならぬ、こういう血の叫びをしておるゆえんだと思うのですよ。そういう点で、従来の二十年を反省して、足らなかった点、この機会にこの点は補強しておかなければならぬという点がありますか、ありませんか。率直にお答えください。
  14. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申しましたように、答申考え方現状認識現状認識と申しますと、従来やってまいりました評価を踏まえまして、いまどう考えていったらいいだろうかということが一つの骨格になると思っております。先生お話しのように、これまでも二十年にわたりまして産炭地域振興施策をやり、団地の造成あるいは融資事業等展開をしてまいったわけでございます。それなり効果は上げておるというふうにも思いますが、なおまだ産炭地域振興政策というものを続けていく必要があるだろうというふうな判断考えを私どもも持っておるわけでございます。  それについて、いまいろいろ審議会で御審議を煩わしておるわけでございますが、今後産炭地域振興政策展開いたしていくにつきまして、それぞれの地域特性を分担をしながら広域的な発展を図って、全体としてのレベルアップを進めていくというあたりは、先ほど申しましたように、一つの反省として今後力を入れていかなければならない問題ではないだろうかというふうに考えており、そういう論議審議会等でも行われておるわけでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、今日までの二十年間を振り返ってみて、問題点が二つあると思うのです。  一つは、今日まで市町村単位で進められてまいりました産炭地域振興政策というものが、疲弊し切っておる産炭地市町村にとってはまだ不十分であった。結核の三期のような状態にあったわけですから、それでは立ち直ることができないような、まあ綱をちょっと投げてやったけれどもその綱につかまることができない、おぼれる寸前、そういうような状態にあった。これについてこの時期に何らかのカンフル的なものをやってやらなければ、特に六条市町村というのは一人前になることはできない。したがって、この法律延長するとするならば、その点について配慮をしなければならぬじゃないか、これが第一点であります。  第二点はどういうことかというと、そういう市町村単位にしてコップの中ではある程度やることをやってまいったけれども市町村市町村をつなぐブロックとしての振興対策というのがなかった。あるいはブロックブロックをつなぐ振興対策がなかった、県全体がなかった。県と県をつなぐ広域的な対応が全くなかった。全くないと言うとおしかりをいただきますけれども、まあ言いますと、法律の第十条による県に対する利子補給が一年間に三億五千万くらいあった程度で、あとは何もない。そういう広域的な対応がなかったというのが欠陥でありますから、これもひとつ補強しなければならぬ、延長するならばこれが絶対必要である。  この二点が補強しなければならぬ点だろうと私は思っております。この点についてどうお考えですか。
  16. 福川伸次

    福川政府委員 確かに先生指摘のように、産炭地域振興施策考え方基調として、一つ市町村に限らずその近隣市町村を一体としてとらえて、一つ経済圏域としてその発展位置づけ考えていかなければならぬじゃないかという点は、従来もその思想としてはありながら、なかなかそういうふうに展開していなかったという点は、私ども一つ問題点として強く感じている点でございます。  それで、仮に今後延長をいたすという御答申をいただきますれば、今後産炭地域振興基本計画あるいは実施計画をつくっていきます段階で、それぞれの近隣市町村をそれぞれの特性を生かしながらやっていくような形でそれぞれ県でも御指導願い、それをまた実施計画などに織り込むというような形で、これの効果を上げるような運用を図っていかなければならないというふうに思っております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 審議会でも、やはり広域的な対応をしていかなければ産炭地振興政策というのは生きてこない、こういうことに重点を置かれておるようでありますけれども、最後に私がお聞きしたい点は、私の手元に、ある産炭地関係団体でまとめております答申案骨子概要というのがあるわけです。これは、新聞等で報ぜられるものもこの骨子概要と同じものだと私は理解しております。  その内容によりますと、十年間延長をすること、こういうことについては基本的に一致しているようでありますが、第二点として気にかかることは、地域指定の解除、変更はしない、したがって関心の強いしり切りは行わない、こういうことのようでありますが、その次に、ただし、十年間の延長期間内に振興目標を達した地域ブロックについては順次自動的に解除し得るメカニズムも確立する、こう言っております。  言ってみますと、一応は十年で延長します、単純延長しり切りはいたしません、けれども、その間に三年か四年たって、ずっとローリングシステムでチェックしてみて、そして目標を達したところを落としていく。こういうことになりますと、そしてその金は広域的に使うのだということでありますけれども、広域的にやらなければいかぬところのその卒業したというところは中心になるようなところでありますから、そういうものを落としていってしまったら、これは仏つくって魂を入れないどころか仏もつくらない、そういうことになってしまうと私は思うのです。  したがって、二十年の経験、実績を顧みてやるには、いままでの市町村のはい上がろうという意欲を十分生かせるような対応をすると同時に、市町村だけのコップの中ではなくて、市町村市町村をつなぐブロック全体としての振興策ブロックブロックをつなぐ振興策、県全体としての振興策、県と県をつなぐ広域的な対応というものを積極的にとらない限りは、十年やってももとのもくあみ、佐藤榮作さんを嘆かせるような言葉を十年後にまた出さなければならぬ、こういうことになると私は思うのですね。  その点気にかかります、審議会答申について。いま答申の前に注文つけるというわけではありませんけれども、気にかかっております。これを忘れては十年の延長の意味がないわけでありますから、その点篤とひとつ御配慮をいただきたい、こう思っております。お答えを聞いた上で、私の質問を終わらせていただきます。
  18. 福川伸次

    福川政府委員 いま地域指定の問題がございました。私ども産炭地域振興政策を実施いたします場合、これは石炭鉱業の不況によりまして産炭地域が非常に疲弊をしておる、この状況を何とか早く改善をいたしたいということで施策展開をいたしておるわけでございます。したがいまして、できる限り早い時期に経済力を回復させ、また生活環境改善を図って、それで産炭地域経済状態を他の類似の地域と同様のものになるべく早く引き上げていきたいというふうに考え、その施策を進めておるわけでございます。したがいまして、地域指定要件を満たす、回復するというようなことになりますれば、一応本来の目的は従来は達したということになろうかというふうに思います。  しかしながら、いまお話しのように、広域的にそれを考えなければだめじゃないかという御指摘がございまして、これはどういうような御答申の表現になりますか、まだ私どもの方も承知をいたしておりませんけれども考え方といたしましては、その地域振興政策を広域的に考えるということになりますれば、その地域を指定いたしました要件を満たすようになったかならないかという判断は、やはりその地域を広域的にとらえて、そのときの実情に合わせて考えなければならないというふうに思いますが、その辺は御答申をちょうだいをいたしました段階実情に即して考えていきたいと思っておるわけであります。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 いま答申が出る前でありますから、私もこれ以上は申し上げません。答申が出た上でまたゆっくり議論をしてみたい、こう思いますので、きょうはこれで質問を終わります。
  20. 森中守義

    森中委員長 細谷治嘉君の質問は終わりました。  続いて塚田庄平君の質問を行います。塚田庄平君。
  21. 塚田庄平

    塚田委員 最近の新聞を見ますと、これはどの新聞でもそうですが、いわゆる石油代替エネルギー法に基づいた供給目標といいますか、これについてあちこち、ある新聞ではもう決定したような、ある新聞では案ということでそれぞれ数字がきちっと整合されながら出ておるのですけれども、一体この案は決定したものなのかどうか。
  22. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 御説明申し上げます。  石油代替エネルギー供給目標と申しますのは、いま御指摘のありましたように、石油代替エネルギー開発導入促進法を前通常国会で成立させていただいたわけでございますが、それに基づいて通産大臣が定めることになっております。この供給目標につきましては大変問題が大きゅうございますので、通産大臣策定するに当たっては、総合エネルギー調査会学識経験者の皆様の御意見を聞くことが適当であろうというふうに考えておりまして、この九月一二十日以来、総合エネルギー調査会の方で御検討いただいておる段階でございます。したがいまして、一部日刊紙に決定されるというようなことで出ておりましたものは誤りでございまして、現在まだ検討過程にあるというものでございます。
  23. 塚田庄平

    塚田委員 法律のできたのは五月ですね。これには早急にこの目標を決めなさい、こういう規定になっておるわけですね。大体半年たちます。いまだに決まってないというのは一体法律の趣旨をどう受け取っておるのか。特に最近はベネチアサミットがあった、あるいはWOCOLのいろいろな提言がある、あるいは外国炭情勢等も二転、三転してきているという中で、いや、こういうのが静まるまでひとつ待とうじゃないかという姿勢がむしろあるのじゃないか。  そういうことであってはこれは困るわけなんで、暫定見通しとの関係ですが、一体これとの関係でどういうふうな作業を進めておるのか、あるいはこれを見直すというだけの作業に終わっておるのか、そうじゃなくて、別な何かエレメントをずっと加えながらやっておるのか、この辺について作業の手順といいますか、手法といいますか、この点をひとつお答えを願いたいと思います。
  24. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 石油代替エネルギー法につきましては、代替エネルギー開発導入緊急性にかんがみまして大変急いで御審議をいただきまして成立を見たような次第でございます。したがいまして、この法律に基づきます供給目標もできるだけ早く策定をしなければいかぬというふうに考えております。しかも先生指摘のように、エネルギー情勢が流動的であるからこそ早く代替エネルギーについて計画をつくれということでもあろうかと思います。現在そういう問題が非常に大きゅうございますので急いでつくっておりますけれども、まだ手間取っておる次第でございます。できれば十一月中にでも策定にこぎつけたいということでやっております。  それから、去年八月に発表になりました暫定見通しとの関係でございますけれども、直接には暫定見通しとの関係はございませんけれども、私どもせっかく去年暫定見通しをつくったものでございますからこれをベースに、いろいろその後の状況の変化あるいは実現可能性といったものを検討しながらつくってまいりたいということで作業を進めております。
  25. 塚田庄平

    塚田委員 必ずしも関係はないけれどもこれをベースにということですが、それじゃそれをベースにして、先ほど質問をしましたとおり、一体どういう柱を立てながら家を建てようとしておるのか、その基本的な柱を、たとえば前の暫定については国内炭位置づけとか、あるいは外国炭輸入促進の問題だとか、あるいは技術的な開発の問題だとか、幾つかの柱がありましたね。今度はせめて柱くらいは、もう十一月には出すと言うのですから、恐らくいろいろな討論の過程の中でそのくらいの柱は立っておると思うのですよ。その柱をひとつ……。
  26. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 ただいまエネルギー調査会の方で御検討いただいている段階でございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、去年から代替エネルギー法の御審議等でも御説明申し上げましたけれども、将来において石油代替エネルギーの全エネルギーに占めるウエートを、現在二十数%弱でございますけれども五〇%ぐらいに持っていきたいというようなことはベースとして考えております。その他それぞれのエネルギーについてどのくらいにするのかということにつきましては、まだ御審議をいただいておる段階でございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思っております。
  27. 塚田庄平

    塚田委員 どうも審議会が若干隠れみのになって、私はもうすでに一応の案ができておると思いますよ。だけれども、それに対するいろんな批判が、あなた方が思っている以上に上がってきたので、この際審議会を前に出してというような印象が非常に強いわけです。これは私の主観として述べておきます。  そういう中で、せめて国内炭位置づけというものを一体どう考えておるのか。六次と比べて七次というのは、もう六年間たっておりますからね、一体どう位置づけるのか。あるいはサミットというものを背景にしながら、これは御存じのとおり、石油からの脱出と言っちゃなんですが、そういった意図を持って、あるいはインフレの問題、そういうものも絡んでエネルギーの問題に大きなウエートを置いた合意だと思うんですね。国内炭位置づけということにつきまして、もう柱が立っておると思うのですよ。立たないとなったら、これはもう一体何を五里霧中でやっているのかということになりますので、この点についてひとつ詳細に報告してもらいたいと思います。
  28. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 国内炭位置づけにつきましては石炭部長からお答え申し上げるのが適当かと思いますけれども、私その前に、事務的にちょっとサミットの方の石油の方についてだけ御説明申し上げます。  いま御指摘のございましたように、石油輸入につきましては、私ども暫定見通しでは昨年の東京サミット合意を見ました輸入目標値六百三十万BDベースにして考えておるわけでございます。その後、IEAの閣僚理事会あるいはベニスサミットにおきまして、先進国石油輸入量を減らすようにしょうではないかというような合意がされておりまして、この中で日本の六百三十万BDについても減らすべきではないかという意見があります。しかしながら、私どもといたしましては、これはせっかく東京サミットで決まった数字でもございますし、具体的に日本の数量をどのくらいに減らすというような話が来ているわけではございませんので、引き続き六百三十万BDでぜひ石油輸入を確保したいというふうに考えております。
  29. 福川伸次

    福川政府委員 国内炭位置づけについてのお尋ねでございます。先生案内のように、五十四年八月につくりました長期エネルギー需給暫定見通しによりますれば、六十年から六十五年も国内石炭は年間二千万トンを見込んでおるわけでございます。それで、代替エネルギー法によります供給見通しの中で国内石炭をどのように位置づけていくかということでございますが、また現在、別途御案内のように、第七次石炭政策あり方石炭鉱業審議会において検討をしていただいておるわけでございまして、その場合に、内外の諸条件検討した上で国内石炭生産規模をどのように考えていったらいいかということの御審議があろうかと思います。  それで、そういう内外の諸条件あるいは資源賦存条件等々も十分吟味しながら石炭鉱業審議会でいろいろ御議論がございますので、私どもとしても二千万トンという従来の見通し一つの基礎になるということの期待を持ってその御審議を見守っでおるところでございます。  現在、このエネルギー長期見通しの中でどのように位置づけていくかということでございますが、私ども石炭鉱業審議会考えてまいります数字というのがさらにここで一つの大きな根底になろうかと思いますが、当面ここで、エネルギー長期見通しの中では従来考えておりますようなラインがベースになってエネルギー長期見通しというものが打ち立てられるものと予想をいたしております。最終的には、先ほどからもお話がございますように、総合エネルギー調査会の方の御検討の結果を待たなければならないと思いますが、当面私どもの方としてはそのような予想を持っておるわけでございます。
  30. 塚田庄平

    塚田委員 まずサミットの話から……。  いまお話を聞きますと、日量六百二十万BD、これを何とか確保していきたい、こういうことなんですが、しかし、サミットでは四百万ぐらいに減らすべきだ、石油にそう依存しちゃだめだ、こういう結論が出ておりますし、きょうは、私新聞で見たのですけれども、IEAのそれに対するもっと削減すべきだという報告がなされて、恐らくこれは近くそれぞれの機関に諮られるものと思います。  それによりますと、日本石油輸入量で八〇年が二億五千三百万トン、日量五百十六万、八一年二億四千八百万トン、日量にして五百六万、これで済むんじゃないかということを言っておるのですよ。だんだん少なくなってきているわけですね。だから、あなたは六百二十万、これは何とか確保したい、せっかく確保したんだから、こういうことを言っても、もう国際的にはそれは許さなくなってきていると思うのですよ。そういう現実を踏んまえた計画でなければならぬと思うのですけれども、この点一体どうですか。まずその点が一つ。  それから部長、国内炭の問題ですけれども、相変わらず二千万トンでやっていきたい。ただそういうことで二千万トン、二千万トンとお念仏を唱えてもなかなか大変な事態だと私は思うのですよ。これは後で質問いたしますけれども、それにはやはり幾つかの従来考えられないもっと画期的な条件というかあるいは画期的な国の政策の肉づけ、これがなければ率直に言って二千万トンあるいは二千万トン以上、私はあえて以上と言いたいのですが、これからの趨勢から言いますと、少なくとも二千万トンじゃだめだという事態も十分考えられるのじゃないか。それに備えたそういうセキュリティーといいますか、保障といいますか、安全保障を考えたそういった計画を立てなければならぬさなかに、それじゃせめて二千万トン以上ということでどういう条件を整備したらいいのかということについて、これは部長にひとつ聞きたいと思うのです。
  31. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 ベニスサミットなりIEAの閣僚理事会におきましては、エネルギー問題につきまして、一つ石油消費の節減をやる、それから代替エネルギー開発を一生懸命にやるんだというようなことで、さらには石油の全エネルギーにおける依存度を低下するんだというような総合的なエネルギー政策を打ち出しておるわけでございまして、そういう中で石油の需要予測につきましてIEAが作業したものだと思っておりますが、私ども、将来ずっと石油に頼っておったのではだめだということで、石油代替エネルギー開発あるいは省エネルギーといったようなものを一生懸命やらせていただいておるわけでございますけれども、そういう石油代替エネルギー開発等につきましてはまだまだいろいろなむずかしい問題がございます。  したがいまして、いま石油代替エネルギー開発についてまだ完全に見通しが立っていない段階石油輸入を減らしていくということは、エネルギー政策上非常にまずいのではないかということで、ぜひ六百三十万BDの確保に努めたいと考えておる次第であります。  なお、きょう新聞に出ておりましたのは、IEAの事務局でやっております見通しだろうと思います。日本にああいう形で削減すべきだというような提言が来ておるわけではございません。
  32. 福川伸次

    福川政府委員 ただいま先生の方から、二千万トン体制というものを進めていくに当たっては画期的な発想、画期的な政策がなければならないのではないかという御指摘がございました。第六次石炭政策におきましては、先生案内のとおり国内炭の生産の維持、石炭の利用技術の開発促進あるいは海外炭の輸入というようなポイントがございましたが、いま第七次の石炭政策考えていただきます上で、私どもも現在審議会一つの大きな課題として、国内炭の最適な生産規模、また国内炭の生産維持を図る上での問題点とその対策の方向というのを重要な課題として御検討いただいておるところでございます。  もちろん、既存炭鉱の合理化あるいは周辺の開発、あるいは経済的に可能であるならば新鉱の開発、さらにまた需要業界との関係等々いろいろな非常に大きな課題がございます。いろいろ御論議がございますように、世界のエネルギー需給というのは非常に大きく変貌を遂げております。また、国内石炭の生産もだんだんと深部化、奥部化していくというような条件の変化もございます。そういう新しいいろいろな条件変化を織りまぜまして、現在どのような石炭生産規模が最適であるのか、またそれの維持を図っていくためにどのような対策を講ずべきかという点を、来年の夏を目途にいま鋭意われわれも検討し、審議会の御審議を煩わせているわけでございます。
  33. 塚田庄平

    塚田委員 どうも答弁にビビッドな情熱がさっぱり感じられないというのが率直な私の感じです。たとえば新鉱の開発にしましてもあるいは既存炭鉱の坑内の保安状況の安定も含めて、生産増強という面については、いまの経営形態あるいはいまの経営ベースでは率直に言って二千万トンもなかなかむずかしいと思うのですよ。だから、たとえば西ドイツ等でやっているような、経営を超えた大きな国の支えといいますか財政的な支えがなければ日本は大変な事態になるのじゃないか。  見直し見直しと言っていますけれども、はっきり言いますと、代替エネルギーについても、輸入炭を一体どうしたらいいのか、原子力をどうしたらいいのかということに尽きているような——そのほかに若干水力とか風力とかありますけれども、これは細かいものですよ。石炭そのものを一体どうするかということに対してもっと説得力のある、しかも大胆な国の決意というものがなければならぬ、このように思うのですけれども、これは一体どうなのか。  それからさっき言った六百三十万バレルの問題ですけれども、これを守っていくのだ、これは甘いです。もうそういう時期じゃなくなっているのです。サミット自体が四百万BDに削減する、そうして石炭については倍、こう言っているのです。これは一九九〇年という期限になっておりますけれども、ここで石炭の生産は倍にしなければならない、したがって消費も倍ということになりますけれども、こういった思い切った政策が出ているというさなか、いや、六百三十万何としても守りたいのだと言ったって、そういう甘い考え方は国際的に許さぬでしょう。そういう甘い考えとうらはらに、やはり国内炭位置づけというか、確保というか、これに対してもっと厳しい、と同時に大胆な政策があうていいと思うのですけれども、その辺はどうですか。
  34. 福川伸次

    福川政府委員 いま審議会の方でいろいろ御検討いただいておりますので、私どもの方としても新しい政策の方向を具体的に申し上げるのはまだ時期的にも早いかとも思いますし、私どもこれから鋭意検討してまいりたいと思っております。  しかし、いま先生指摘のように、国内石炭というのはもちろん確保上一番安定した供給ソースでございますし、それからまたお話しのように、諸外国からの海外のエネルギー、特に海外の石炭を確保する上での一つのバーゲニングポジション、バーゲニングパワーになるものでもございますし、あるいはまた技術を高めていく、技術の保存、あるいはまたそれを海外にも利用させるというような意味での効果も非常にあるわけでございます。  いろいろ諸条件が大きく変わっておることでございますので、またいまいろいろ体制の問題についての御指摘がございましたが、従来の石炭政策は私企業のベース展開し、それを政府が助成をするという組み合わせでやっておりますが、今後の石炭開発供給、二千万トンの生産体制を維持していくという上で現在の体制が果たして支障になるのかどうか。従来の私企業体制の効率性、これもまたそれなりの評価すべき点があろうかと思いますが、いまいろいろ諸条件が大きく変わっておりますので、その問題点を全部洗い出しまして、いま御指摘のような新しい時代の新しい石炭政策ということで第七次政策に取り組んでいく、そういう決意でやっておるわけでございます。
  35. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 輸入石油の確保というのは大変むずかしい問題だということは十分に考えておりまして、だからこそ石油代替エネルギー開発あるいは導入を一生懸命やらなければいかぬということで考えております。決して簡単にできると考えておるわけではございません。
  36. 塚田庄平

    塚田委員 いや、簡単にできるじゃなくて、六百三十万、これは計画を立てたのだから維持していきたいと言っても、石油日本にはないのです。石油は向こうから来るのです。だから、国際的な会議の中でこうしなさい、こうやるべきだと決まれば、あなた、幾らあがいたって来ないのです。恐らくこれから石油というのはそういう国際的な規制の中で大事に使われていく、そういう資源だと思うのです。だから、六百三十万、これはだめだ、四百万にしなさい、こう言われているときには、やはりそれをベースにして、一体代替エネルギーというものはどうあるべきか、これを考えなければだめなんです。六百三十万という希望だけを持っている、そんなことで、それが日本にあるならいいですよ、あるいはこれからどんどんと掘削していく、やっていますけれども、さっぱり出てこない。  だから、そういう情勢の中で、こういう国際的な会議の決定なりあるいはOPECの動向なりいろいろなものをやはり厳密にもっと厳しく見詰めないと、こういう希望だけではだめだと思うのですよ。あなた、これは危機になったらどうしますか。食糧と同じようにエネルギーが危機になったら日本は大変でしょう。そういう面で厳しくしなさいというのですよ。
  37. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 おっしゃるとおりでございまして、石油につきましては今後国際的な場で非常に厳しい規制がかかってくるものというふうに考えております。したがいまして、そういうものに将来対応し得るように、石油以外の代替エネルギー開発を一生懸命やっていかなければいかぬということで考えております。
  38. 塚田庄平

    塚田委員 これは大臣が来てからまた別な機会にもっと深めた質問をしたいと思います。何せ大臣は油買いあるいはガス買いあるいは石炭買いに、向こうの方に向いていますからね。それよりもむしろ国内エネルギーの確保ということにもっと重点を置いて、あんなものはもう外務大臣に任せておけばいいのですよ。こういう大事な時期に出かけてしまって無理をするとはもってのほか、こう思うのですけれども、これはあなた方に言ったってしようがないことです。  そこで、二千万トンの確保を何とかしたい、維持していきたい、こういう話ですが、二千万トン以上を確保する面においてやはり幾つかの隘路があると私は思うのです。その隘路を一つ一つ挙げたいと私は思いますので、それについての打開策というものがあれば、あるいは検討に値するというのであれば、そのようにひとつ率直に以下答えてもらいたい、こう思うのです。  まず第一に、いまのところ私企業経営に任せておる、それに国の財政的な援助ということでやっておるということですが、炭価の問題が毎年問題になってきておる。率直に言って、この問題が解決しなければ一歩も前へ進めないというような事態が毎年繰り返されておるのですよ。そして、極端な言い方ですけれども、生産側とユーザー側とが交渉してうまくまとまらないで足して二で割るというのが通産省の仕事だ。こういうことをしょっちゅう繰り返していたのでは、これは大きな不安定要素の一つだと思うのです。この炭価の問題はルールをつくるべきだと私は思うのですが、今後どういうルールが考えられるか、この点についてひとつ部長の方から……。
  39. 福川伸次

    福川政府委員 国内石炭につきましては、御案内のように、石炭鉱業合理化臨時措置法の第五十八条によりまして、毎年有識者、需要家、石炭企業等の関係者で構成されております「石炭鉱業審議会意見をきき、石炭の生産費、石炭輸入価格、石炭以外の燃料の価格その他の経済事情を考慮して、」定めるということになっております。その価格の決め方というのは、国内炭の引き取り問題ということとも密接に絡む問題でございますので、供給業界あるいは需要業界が相互に話し合いまして炭価の決定をしていく。それで、その状況を見ながら審議会意見を聞いて、通産省の方で決定していくということが従来行われていたわけでございます。  確かにエネルギー供給構造がかなり変わってまいりました。したがいまして、この石炭価格の決定というのは、先生指摘のように、私も今後の石炭政策の中で重要な課題であるというふうに思っております。したがいまして、現在の第七次政策の石炭鉱業審議会におきます御審議におきましても、一つの大きな課題と考え検討が行われる予定でございます。  どういうルールがいいのかというお尋ねでございますが、これを需要業界との間でどのように決めていったらいいのか、率直に言って私どもまだ案を持ち合わせておりませんけれども石炭価格を決めていくということが今後の石炭政策の中の一つの重要な課題である。この石炭の価格の決め方というものを需要業界との間で合理的な何らかの形で見出していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  40. 塚田庄平

    塚田委員 何らかの形、何らかの形でさっぱり私はわからぬのですけれども、たとえば自動的に決まるのが一番いいのですよ。幾つかの、二十ぐらいのエレメントがあって、それに指数を入れていく、そうするとイコール炭価というのが出てくる、これが一番いいのですけれども、それはなかなかむずかしいし、これは国でやっているなら別ですけれどもね。しかし、その中でも、めんどうなことをしないでも、ここだけは自動的に決まるというかスライドというか、この部分だけはという部分はあると思うのですよ。  たとえば労賃、これは毎年毎年一定の物価の上昇に応じた賃金の要求をやり、そして労使双方で決まってくる、これが炭価にはね返っていく、こういうことなのですが、これについても、少なくとも炭価の中ではその要素はこうあるべきだというものはできると思うのですよ。そういう面で、ある程度部分スライドといいますかそういったものを、つまり物価が直接はね返っていくような部分については直ちに計算ができる、こういう方式もひとつ考えられるのじゃないか、こう思うのですよ、全部スライドにせいというのではなくて。これはどうですか。
  41. 福川伸次

    福川政府委員 確かに価格というのはいろいろな機能が含まれておるわけでございまして、ややよけいなことを申して恐縮でございますけれども、それぞれ需給調節的な機能もございましょうし、コスト低減を図る、合理化を図る意欲というようなことのいろいろな機能があろうかと思います。したがいまして、この価格の決め方というのはいろいろな要素が絡み合っているわけでございます。  いま部分スライドという御指摘がございまして、どういう部分をスライドさせるべきか、これは確かにいろいろ論議があろうかと思いますが、私ども一つの御提案として、どういう形でそういうことが合理的にうまく経済システムの中に組み込めるか、研究をさせていただきたいと思います。
  42. 塚田庄平

    塚田委員 それはいま部長の言うとおり、直ちに石炭の消費といいますか引き取りにそれがつながってくるわけですね。この引き取りについても安定した方法はないのですか。生産する、余るというようなことではなくて、あるいは生産する、これだけ貯炭で余ってくるということでなくて、必ず引き取ってもらえる、そういった条件の中で出炭を伸ばしていく。そうでなければ、やはり私企業ですから、掘ってみたものの売れるかどうかということであっては、国内炭を幾ら伸ばすと言ったってなかなかそうはいかぬと思うのですよ。  そこで、その引き取りについても、これは西ドイツあたりでは一定の義務を課して、あるいは国の援助もずっと大きいですからどんどんどんどんと消化しているという情勢なのですが、そういうほかの方を見習って日本でもひとつやるというような、こういうことをやりたいという案はないのですか。
  43. 福川伸次

    福川政府委員 従来からも海外炭の輸入につきましては、石炭需要者の協力を得まして、国内炭を優先的に利用するという原則にのっとって外貨割り当て制度の運用をいたしてきたわけでございます。もちろんそのときの経済諸情勢あるいはエネルギー需給の変動等によりまして一時貯炭ができたりしたという経過はございましたけれども、原則といたしましては国内炭を優先的に利用するということで運用をしてきたわけでございます。  今後、海外炭の輸入に当たりましてどのような方法がいいかというのは、これもいろいろな角度から検討をしなければならない問題でございます。この考え方としまして、国内の需要の確保だとか、あるいは炭価の維持だとか、場合によりましては財政的な確保だとか、いろいろな観点からこの輸入の問題を考えてみようじゃないかというような意見がございます。それで、私どもまだそういうことについて十分論点を整理し切っておりませんが、今後確かに海外炭の輸入がかなり増大をいたしてくるわけでございます。今後とも、私ども国内炭を優先的に利用するという原則に立って対処していきたいと思っておりますが、その具体的な方法につきましては、今後審議会等の場を経ながら検討して、勉強してまいりたいと思います。
  44. 塚田庄平

    塚田委員 ちょっといま海外炭の輸入の問題に触れましたけれども、それに関連して、いま石炭輸入石油も五十歩百歩なのですが、勝手にみんなそれぞれ商社なりあるいは資本なりがやってますね。国内では余り石炭に熱意のないところはむしろ外国炭輸入に熱心だというようなところもあります。誤解があると、おわびしますが、いろいろやっているのですね。そういう石炭輸入の勝手な、何といいますか、商社なりあるいは資本の行動というものをやはりこの機会には一元化していく必要があるのじゃないか。これはどういう形で一元化するか、いろいろな形があろうかと思いますが、それぞれ勝手に輸入する、あるいは勝手に国内の需要を横目で見ながらやめるというのじゃなくて、コンスタントに長期にしかも低廉に入るような、そういう長期計画を結ぶためには、勝手にさせないで、やはり一元化していく必要があると思うのですよ。私は外炭輸入の一元化ということについて提案したいのですが、この点、どうでしょうか。
  45. 福川伸次

    福川政府委員 海外炭の輸入につきましては、いわゆる国内炭の需要の確保という側面と、いま先生お話がございましたように海外の石炭を長期、低廉に安定して入れるという両方の側面を見ながら海外炭の輸入の制度を考えるということが確かに必要であろうと思っております。これからいろいろな海外の石炭の需要もふえてまいるわけでございまして、これを一元化する形がいいのか、あるいはまた現在外貨割り当て制で運用いたしておりますが、それぞれの企業の活力を生かしながら、しかしなおかつ長期、低廉に入ってくる、あるいは国内炭の需要の確保も図るというようなやり方がいいのか、いろいろな立場からの御提案、御検討、視点があろうかと思います。  先ほどもちょっと触れましたように、いろいろ一元化ということの御提案がございまして、それはいろいろな目的を含んだものとして論議が行われているようにも思います。たとえば国内炭の政策のための財源の確保というような視点もあろうと思いますし、国内炭の需要の確保ということもありますし、また国内炭の炭価の維持あるいはお話のように海外からの長期、低廉な供給の確保、いろいろな意味があろうかと思いますが、そういう目的に照らしまして、どういう形が一番いいのか、果たして一元化がいいのか、あるいは一元化しないでも、いま申したようなやり方で目的が達し得るのか、あるいはまた、そういう新しい制度をとりましたときに、ほかに何か弊害が生じないかどうか、これは総合的、多角的に考えなければならない問題であると思っております。私ども一つの重要な課題として研究させていただきたいと思います。
  46. 塚田庄平

    塚田委員 時間もございません。産炭地振興の問題につきましては、いま細谷さんからいろいろ質問がありました。そのほか、保安の問題あるいはまた新鉱の開発問題等につきましてももっと突っ込んだ質問をしたいのですが、時間がありませんからやめます。  最後に、きょうは労働省が来ておりますので、二千万トン以上確保ということについての一つの隘路は、労働力の確保ということです。御存じのとおり、炭鉱の労働力というのは非常に老齢化していっている。なかなか人が集まらぬという情勢の中で、相当無理をしなければならぬという面も出てくるし、何かちょっとありますと、わずかな人数で相当無理をした仕事をしなければならぬというのが実態だと思うのです。たとえば今度の北炭なんかの場合には四交代を実施するとか、幸い清水沢から移行した人がおるのでそういうこともできるのですけれども、結局は労働時間を延長して何とかしなければならぬ、生活環境もあります、あれやこれやが重なってなかなか集まらぬと思います。  労働省としては、炭鉱のそういう労働環境といいますか、いろいろな賃金から何から全部含めて、一体これをどう見ておるか、あるいはどうしたらいいか。炭鉱全体が前向きで前進していくためには、あるいは二千万トン以上確保するためにはもっとこうあるべきではないかという視点がありましたら、ここで披瀝していただきたいと思います。
  47. 加藤孝

    ○加藤説明員 現在、石炭鉱業の置かれております労働条件は、他の産業に比べましてなかなか厳しい事情にあるわけでございます。  若干の数字を申し上げてみますと、給与そのものの総額、これは昨年の四月−十二月の平均でございますが、これで見ますと、亜炭を含めた石炭の現金給与総額が月額二十八万八千円ということになっておりますが、これは労働時間が非常に長いということでございまして、たとえば調査産業全体では現金給与総額二十六万五千円ということで、それよりややいい現金給与総額になっておりますものの、超勤が約倍の三十時間というような事情もございます。  それからまた、災害の発生状況について見ましても、たとえば全産業での災害の発生の度数率というもので見ましても、約七倍くらいの災害の発生率になっておる。あるいはまた、災害の強度率という面で見ますと、要するにより重い形になるわけでございますね、そういう強度率で見ましても全産業平均に比べまして約十三倍、こんなような数字が出ております。また、そのうち特に休業四日以上の災害の中に占めます死亡の割合も約五割高いというような事情もございます。  また、衛生面で見ましても、疾病率が全産業で〇・六に対しまして鉱業は一三というような形で、労働時間の面あるいはまた災害、あるいは衛生といったような面を見ましてもなかなか厳しい状況にあるわけでございますが、そういう意味で、御指摘のように労働力を確保していくという面で、他の産業に比べましてよほどの努力がないと一般にはなかなか確保はむずかしいという事情は推測されるわけでございます。  加えましてこういう解雇の問題が、ずっともう閉山に次ぐ閉山という形の中で来まして、今日に至りましてもそういう清水沢の閉山というような形で依然としてまだそういう解雇問題も避けがたい面もある。さらには災害もまた発生しておる、こんなような事情にございまして、非常にむずかしいわけでございます。  したがいまして、私どもは労働力の面で労務倒産になってはいかぬということで、その点非常に憂慮しておるわけでございます。そんなこともございまして、毎年労働力確保についてのヒヤリングをいたしておりますが、現在のところは、希望者、応募者が予定人員を上回っておるというのが一般でございまして、なかなか集まらないということを聞いておるのは北炭だけでございます。  しかし、将来の問題としては、やはりどの炭鉱も真剣な問題として取り組まなければいかぬということで、構えておるわけでございます。とりわけ若い労働力がなかなか集まらないという点、この辺はやはり共通しておりまして、こういう若い労働力がなかなか入らないという点については、これはまさに石炭産業の今後を担う労働力であるわけでございます、そういう人たちの確保の問題、やはりこれが今後の石炭産業にとって、大変重要な問題であろうと思っておるわけでございます。  ただ、こういう面につきましては、大変残念ながら、本当に根本になるところが、そういう石炭産業の経営の安定、それから将来性といったようなものが、結局若い人をつなぎとめていく、確保していく基本でございますので、そういった点については、私どももむしろ通産省の方にぜひそういった面で根本的な取り組みをしていただきたいということを、石炭産業の将来はそういう労働力の確保の面でもなかなか容易でないということから強くお願いをしておる、こんなような段階でございます。
  48. 塚田庄平

    塚田委員 部長、いま労働省の方から話があったとおり、労働力の確保についても、なかなかむずかしい、いろいろの問題があるということで、やはり第七次政策の立案については、そういった問題等も十分立案の中に入れ、あるいはそれを評価してどうすべきかという点がはっきり盛られなければならぬ、このように考えております。  きょうは答弁もらいましたけれども代替エネルギー石油の方については非常に甘い、逆に石炭の方については、将来については明るいものはなかなか出てこない、こういう両ばさみの中で、日本エネルギー事情というのはこのままでいいものだろうかという不安が私にはまだ残っております。いやこの不安はなかなか消えないものと思います。願わくは第七次政策あるいは供給目標等につきましても——まだ原子力問題等につきましても質問したいのですが、時間もありませんので次に譲りたいと思いますけれども、いずれにせよ、きわめて重大な時期に来ておると思います。そういう面で、特に国内炭の増強、あるいは国内炭の確固とした位置づけということを主眼にして、ひとつ計画の立案を早急にやってもらいたい。  最後に、これは答弁要りません。北炭の問題等につきまして、悪いのは北炭だなんて労働省からも言われましたけれども、北炭だけはどうも労働力のあれが悪いのだと。しかしいずれにせよ、やはり二千万トン達成のためには、あそこで三百万トンぐらいはやっているのですから、これはもうやはり生き生きとした山にしていかなければならぬ、このように考えております。  新聞等ではいろいろ出ております。しかし、私のしてほしいのは、いろいろ精査する必要があるでしょう、あるけれども、先ほど細谷さんからもちょっとありましたが、ロープを投げるときには、やはり投げるべき時期に投げないとおぼれるのですよ。そして、はっきり言って、なかなかいま自力で泳ぎ切るというような山じゃございませんので、私のところへ毎日のように現地から不安の声が上がっております。今度の問題につきましても、地域ぐるみで何とかしなければならぬ。あそこは四万人ですけれども、そのうち二万人はもうあれに頼っているわけですから、したがって地域経済あるいは地域の問題としても、いま言った二千万トン確保という問題からいっても、やはり前向きの早急な結論が必要だと思います。これは答弁をせよと言ったって、きょうは大臣もおりませんから大変だろうと思いますが、ひとつ一段の努力をお願いいたしまして、質問を終わります。
  49. 森中守義

    森中委員長 前段の答弁も要りませんね。——塚田庄平君の質問は終わりました。  引き続いて斎藤実君の質問を行います。斎藤実君。
  50. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先に通産省にお尋ねします。  政府の長期エネルギー需給暫定見通しが昨年の八月に発表されました。これによりますと、海外一般炭が昭和六十年度には二千二百万トン輸入見通し、六十五年度には五千三百五十万トン、七十年度には八千五十万トン、また七十年度には原料炭を入れると一億七千八百万トンと言われているわけです。これはこのとおり輸入されるかどうかは別として、最近の石炭の需要というのは非常にふえているわけです。したがって、海外からの一般炭の輸入が増大することは、もう目に見えているわけですね。  日本に入ってくる一般炭、これを処理するためにコールセンターが必要だということは当然だと思うのですね。そこで日本国内にコールセンターというものが必要だろう。これは通産省もお考えだと思うのですが、これに対する政府の基本的な考え方をまず最初にお尋ねしたい。
  51. 福川伸次

    福川政府委員 石炭輸入が、先生指摘のとおり今後急速に増大してまいります。その流通をどのようにしていくかというのは、本当に重要な問題であろうと考えております。  その一環として、コールセンターの問題に私どももかねてから取り組んでおるわけでございますが、このコールセンターを意図しますところは、一つは、大型船によります大量高速輸送で輸送費を低減するという効果があろうかと思います。さらにまた、海外においてスト等が発生するというようなことで供給の不安が生じますが、そういうような供給の変動を吸収して安定的な供給を図るというようなこと、あるいは貯炭機能ということを言ってもよろしいかと思いますが、そういう需要業界に対して供給の安定を図るということが、第二のメリットとして考えられるのではないかというふうに思います。あるいはまた、非常に大型な需要は別といたしまして、かなり幾つかの小規模な需要がございます場合に、まとめてその供給を確保するというようなことから、石炭の需要、石炭に転換をしていくということが可能になるというような、三つぐらいの効果があろうかと思っております。  現在、具体的にはセメント等を中心にいたしました小規模なコールセンター計画が一部に進められておりますが、電力業界等を中心にいたしました大規模なコールセンター計画が北海道あるいは九州等で検討されておるということでございます。私どもといたしましては、今後石炭にだんだんと転換いたしていきます場合に、このコールセンターというものを、地元との関係を踏まえながら、需要業界との引き取り体制というものを念頭に置きながら十分進めていかなければならない課題であると認識しております。
  52. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いまコールセンターに対する考え方を伺いましたが、北海道と九州にいま準備を進めておる。北海道ということは苫東のことだと思うのです。実は苫東のコールセンターの設立準備委員会が発足したわけです。地元ではこのコールセンターを今後どういうものにするのかということでいろいろ論議されておるわけですが、一つは、海外炭の輸送中継基地とするのか、あるいは将来石油石炭の混合燃料の開発あるいは石炭の液化、ガス化等の石炭化学コンビナートも必要でないかという論議もあるわけです。この点についてどういう形が望ましいのか、政府としてのお考えを伺いたいと思います。
  53. 福川伸次

    福川政府委員 苫東コールセンターにつきましては、現在苫東コールセンター設立準備委員会がいろいろと検討を進めておられます。それが、どういう需要業界との結びつきを考えていくかという問題でございましたが、現在は電力あるいは石炭の需要業界との関連でコールセンターを考えていこうということでの御検討が進んでおると承知いたしております。いま、コールセンターにCOMあるいはそのほかのもう少し付加価値の高い分野を組み合わせてやる考え方はどうだろうという点の御示唆がございました。  御承知のように、現在COMにつきましてはいろいろ技術的な検討を進めております。それからまた石炭の液化につきましてはサンシャイン計画の一環として三つ、それからまた、日米間の協力でSRCIIといったようないろいろなプロジェクトが進んでおります。石炭の液化に関しましては大体六十年代前半程度に企業化を図るということでいろいろな研究開発が進められております。したがいまして、COMあるいは石炭液化というのは、コールセンターのあり方といたしまして、需要業界との関連は十分踏まえなければなりませんが、将来の課題としては十分検討に値する一つの問題ではないだろうかと思っております。  ただ、いずれにしましても技術開発開発途上でございますので、現在時点で直ちにそういう方向がコールセンターのあり方として好ましいということを判断いたしまするのはまだ早計かと思いますが、技術開発のめどがつきました段階で、COMの利用あるいは石炭液化といったものとの関連をコールセンターの一環として考えていかなければならない問題であろうかと考えております。
  54. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 コールセンターの運営につきまして、これは大変社会的にも責任の重い仕事ですから、一法人一企業というわけにいかぬと私は思うのです。それで、第三方式というお話も出ておるようですが、通産省としてどういう運営の方法が望ましいのか、伺っておきたいと思います。
  55. 福川伸次

    福川政府委員 コールセンターの運用につきまして第三セクターのような形の方が好ましいかどうかというお尋ねでございます。  私どもも、このコールセンターを運用いたしてまいりますときに関連需要業界等の協力を得ながら、民間の企業体制で効率性を確保するということが原則であろうと考えております。ただ、このコールセンターにつきましては地元との関係が非常に密接でございます。需要業界との関係でも公平な運用を期さなければならないということでございまして、原則としては民間企業体制が原則だろうと思っておりますが、そのときの地元の事情等によりまして、地方公共団体等がそれに参画した形で企業体をつくっていく、運営の公平を期することが必要である場合にはむしろそれが好ましいと思っております。現に北海道苫小牧の例では道がかなり積極的に関与する形でこの計画が進められていると思っております。
  56. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 通産省は苫東のコールセンターを東日本一帯を含むコールセンターと性格づけているようです。これは各新聞で報道されているわけです。北海道の新規エネルギー導入検討委員会では、苫東コールセンターの取扱量は通産省と同じだけれども、東日本中継基地にするのは反対だというふうに報道されているわけです。この点に  ついて意見が食い違っているのではないかと受けとめられているわけですが、通産省は道新規エネルギー導入検討委員会意見を調整したことがあるのか、あるいはまた別な考えをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  57. 福川伸次

    福川政府委員 北海道新規エネルギー導入検討委員会が、苫東コールセンターのあり方について御検討になったわけでございますが、私もレポートを読ませていただきましたけれども、このレポートといたしましては、北海道以外の需要が必ずしも明確でないということから当面は道内の需要を対象に考えて、三百五十万トンというような規模が適切ではないかというふうに御報告になっておられると思います。したがいまして、これは経済的にどの程度のものになるかというようなことはいろいろ今後検討にまたなければならないと思いますが、私どもとしては、石炭転換の進展に伴いまして、北海道以外の需要者も含めて効率性が確保されるということでございますれば、幅広い利用が好ましいという一般的な気持ちでおりますけれども、これはむしろ苫小牧の規模なりあるいは需要業界との結びつきなりで判断すべきものであろうと思っております。
  58. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 通産省が民間の調査機関を使って、北電の苫東厚真火力発電所二号機の用地として一等地に割り込んできたということで地元で大変ショックを受けているわけですが、この辺の経過はどうなっていますか。
  59. 福川伸次

    福川政府委員 私どもも、昭和五十一年からであったかと思いますが、苫小牧のコールセンターのあり方につきましてフィージビリティースタディーあるいはモデル的なコールセンターのあり方ということでいろいろ検討を進めてまいりました。一応その調査結果によりますと、苫小牧の開発計画の一環として苫小牧のコールセンターということを考えるのはどうだということで一つの案として提案いたしたわけでございますが、これを具体的に進めます場合には、もちろん地元の設立準備委員会がどのようにこれをお進めになっていくかということでございまして、現在関係方面ともいろいろ協議が進められながら、具体的な計画検討が行われているということでございまして、私どもも、地元との意見調整をこの設立準備委員会が軸となりまして進められていくということが適当であろうと思っております。
  60. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 コールセンターの立地点は、苫東開発会社が、五十六年九月着工、北電苫東厚真火力発電所二号機の用地として出願して八月下旬に免許を受けているわけですね。北電の二号機の用地とコールセンターの用地と立地点が競合するのではないか。もし競合するようなことがあれば、公有水面埋め立ての認可あるいは使用目的の変更というものが当然起きてくる。この辺についてどうでしょう。
  61. 福川伸次

    福川政府委員 北海道電力の火力発電所といま検討が進められておりますコールセンターの土地が重複するのではないかというお話でございます。これは、検討段階でいろいろな案があろうかと思いますが、私どもといたしましては、コールセンターがほかの地域と重複するということでは、御指摘のとおり、その計画が十分具体性を持たないわけでございまして、いまコールセンターの建設計画につきましては関係企業等から成ります設立準備委員会がございますので、そこの場で、苫東の利用計画の一環の中で重複することのないような形で意見調整が行われるということを期待をいたしておるわけでございます。
  62. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、このコールセンターの予定地は長い水際線のところにあるわけでして、石油備蓄基地建設のための資材陸揚げにも、もし競合すれば支障を来す。これは十分調整をする必要があると思うのですね。ぜひともひとつ競合しないように行政指導等をまたお願いしたいと思うのです。コールセンターについてはこれで終わらせてもらいます。  次に、先般、電力、セメント向け一般炭の炭価を十月十五日に正式決定をしたわけですね。値上げ幅はトン当たり五千カロリー炭が七百八十五円、同じく六千カロリー炭が九百四十円と決定をしたわけです。炭鉱側としてみれば、こんなものではとても困る、赤字解消にならぬということで大分大幅の値上げを要求したのですが、いろいろ経過がありましてこういう数字に落ちついたのですが、なぜこういう形になったのか、この経緯について伺いたいと思うのです。
  63. 福川伸次

    福川政府委員 石炭業界といたしましては、平均で見まして五十五年度の経常損益の赤字見込み千四百円くらいでございます。これは、お話しの五千カロリーで見ますれば千円程度になろうかと思いますが、その程度の値上げを第一次案として要望され、需要業界の電力業界と交渉に入られたわけでございます。  一方、電力業界等需要業界に関しましては、電力料金の査定の際の炭価アップが非常に低く抑えられておるということからこの値上げに非常に強く反対いたしまして、それで両業界でいろいろお話し合いになったわけでございます。私どもも電力業界を初めとして需要業界等にもいろいろ働きかけをいたしたわけでございますが、最終的には石炭業界あるいは需要業界もある程度歩み寄りをし、また石炭業界の御了解を得まして、いまお話しのように、五千カロリーで七百八十五円、六千カロリーで九百四十円ということで落ちついたわけでございます。
  64. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 石炭産業は、御承知のように大変な状態になっておるわけですね。労働力も不足だ、あるいは技術者が足りない、特に北炭等は大変な状態になっておるわけです。こういう炭価の決め方というのは、私は再生産可能炭価ではないと思うのですね。そこで、今回のような炭価交渉で、通産省の調整によって二重炭価というものを認めたことになるわけです。いつもこういうことであっては、これは炭鉱側にとってみれば大変だと思うのです。  そこで、この炭価決定に際しては、こういう悪循環というものをやはりもうこの辺でやめてはどうかと思うのですね。石炭業界とユーザー、第三者が公正な炭価を決定できるような合理的なルール、体制づくりというものが必要だろうと思うのですが、いかがですか。
  65. 福川伸次

    福川政府委員 現在の炭価の決定の仕方につきましては、先生案内のように石炭の生産費、それから海外炭の値段あるいは他の石油価格等々、石炭と競合いたしますエネルギー価格、その他いろいろな諸事情を勘案いたしまして、石炭鉱業審議会意見を聞いて決定をするということになっておるわけでございます。従来、これは非常に石炭の引き取り問題と密接に絡んでおるものでございますので、需要業界との話し合いである程度の了解を得た上で決定をするということの運用がなされてきたわけでございます。今年の炭価の決定に当たりましては、需要業界もかなりの理解は示してくれたというふうに私ども考えてはおりますが、今後第七次石炭政策の一環の中で、石炭の価格の決め方というのは一つの重要な大きな論点であろうというふうに思っております。  特に今後石炭供給石炭の採掘条件が順次悪化をしていく、また、海外からの石炭輸入というものが非常に増大をしていく、あるいはまた労働力の問題等も先ほど御論議がございましたが、いろいろ客観情勢が変化をしてまいるわけでございまして、そういう中で最適生産規模を確保していく上での価格の決定のあり方というのは、いかなる形が合理的であるかというのは、御指摘のとおり私ども一つの重要な課題であるというふうに思っております。現在御審議をいただいております石炭鉱業審議会での第七次政策の中で重要な課題として研究させていただきたいと思っております。
  66. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。  わが国の採炭現場の深度というのが非常に深くなってきているわけですね。昭和四十五年の平均が五百二十七メーター、五十四年度では六百三メーター、だんだん深くなっているわけです。したがって、高度の技術が非常に要求されている産業です。  こういう実情対応するために、現在の鉱山保安センターの充実強化というものが必要だろうと思うし、深部採炭の移行による保安確保のための技術開発の促進、これも私は大事だと思うのです。中堅技術者が不足だということは、この間も北炭へ行きましてずいぶん事情を聞きました。まさにそのとおりだと私は思います。したがって、中堅技術者ですね、産炭地都市にこれの養成機関をぜひ設置してくれという声があるのですが、いかがですか。
  67. 安藤勝良

    ○安藤説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、今後の深部保安の確保や技術者の確保、その養成は大変重要であるということは、私どももその認識に立っておるわけでございます。本来こういった教育というのは企業が第一義的にやるべきであるというふうに考えておりますが、それらを補完するということで保安技術講習所あるいは鉱山保安センター、こういったものの拡充に努めてきたわけでございます。特に鉱山保安センターにつきましては、四十二年に設立し、以降、四十三年からこういった教育を実施してまいりまして、救護隊の訓練または技術者の養成、新人教育といったようなものを逐次織り込みながら今日まで拡充してきたわけでございます。  いま先生の御指摘のあった新しい機関の設置というお話のようでございますが、まずは、私どもといたしましては、せっかく今日まで鉱山保安センターを拡充してきたわけでございますから、やはりこの機関を十分に活用することが早道じゃないかというようなことで、今後ともさらにこの機関の拡充に努めていきたいということで、さらにそういった案の検討をいましているところでございます。
  68. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これから石炭の需要がますますふえてくるわけでございまして、発電所、セメント、紙パルプ、これらの工場など、産業界の石炭への転換ということは急に進んでいるわけですね。この石炭の利用の拡大ということで、一方では石炭の燃焼に伴う新たな問題として、大気汚染その他公害の問題も今後出てくるのではないか。これは国民は大きな関心を持っているわけでございますが、これらについての対策、今後どういうふうに大気汚染防止についての取り組みをされようとしているのか、伺いたいと思います。
  69. 佐藤良正

    佐藤説明員 いま先生指摘のとおり、エネルギーの転換に伴いまして石炭利用の増大が図られるというような状況が必至でございます。したがいまして、環境庁といたしましては、特に石炭利用と大気環境保全対策の調査をするための検討会というものを九月末に発足させたわけでございます。  特に大気汚染の観点から申しますと、石炭の利用は窒素酸化物、硫黄酸化物あるいはばいじん等が非常に多いというようなことが想定されておりますので、まず現状調査したいということでございます。検討会の中には四つほど分科会を設けておりますが、まず個々の石炭の排出状況と申しますか、内容成分、それからどういう汚染を及ぼすかというようなものを調べるための石炭種別の分科会、それから実際の工場、事業場に使用されるための利用プロセスがございますが、利用プロセスを実際に調査するというような利用プロセスの分科会、それからあわせまして大気に及ぼす環境影響のものを全部はからなければいかぬということで環境影響分科会というようなものを設けております。これを総合した総合分科会、これで一応いま申しました検討会ということになるわけでございます。  とりあえず今年度初めて予算を計上いたしたわけでございまして、この中でそれぞれの石炭の種別によりまして大気汚染の影響を負荷評価調査をするということ、それから利用施設のばい煙の排出状況調査する、それから石炭利用に伴う環境影響の調査をする、この三つの柱でもって調査を始めたというような状況でございます。
  70. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
  71. 森中守義

    森中委員長 以上で斎藤実君の質問は終わりました。  引き続いて小沢和秋君の質問を行います。小沢和秋君。
  72. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに、この前の委員会のときに私は一つ部長に宿題を出しておるのですよ。小竹団地の問題について引き続いて積極的に努力を行ってもらいたい、あれから二週間たつのですが、私は、とにかくあなたの任期中に片づけるという意味では大いにテンポを上げて取り組んでくれというふうに言っているのですが、具体的にこの問題についてすでに手をつけられておるかどうか、お尋ねしておきます。
  73. 福川伸次

    福川政府委員 小竹団地につきましては、その後地域振興整備公団の九州支部の方で福岡の通産局あるいは小竹町開発公社等々と連絡をとって、その段取り等について御相談をいただいております。  先生案内のように、現在小竹町の土地開発公社におきまして、この土地の交換分合などに関しましてアンケート調査を実施いたしております。これが来月にはまとまるという予定と私ども聞いておりますが、私どもといたしましては、このアンケート調査の結果を踏まえながら、地域振興整備公団、小竹町あるいは小竹町土地開発公社と共同して、この前御答弁申し上げましたように、現在時点での実現可能な構想を見つけ出すように努力をしてまいるつもりでおります。
  74. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、その問題は引き続いて見守っていくということにいたしたいと思います。  きょう私がお尋ねをしたいと思うのは、筑豊にたくさん残っております炭鉱住宅、これがもうつぶれかけて大変な状態を私しょっちゅう見て胸を痛めているわけですけれども、この炭住改良の促進についてお尋ねをしたいと思います。  初めに、現状ですけれども、筑豊に現在炭住がどれぐらいあり、急いで改良しなければならないものがどれぐらいあるか、最近数年間どういうような改良実績になっておるか、そのテンポでいったらどれぐらいかかるか、こういったような点についてお答え願います。
  75. 福川伸次

    福川政府委員 五十四年三月末現在で産炭地域市町村によります調査をいただきましたが、六条市町村につきまして今後改良を要する炭鉱住宅の戸数は約三万一千戸というふうに伺っております。そのうち、六条地域におきます福岡県での要改良戸数、これは二万二千五百戸程度というふうに承知をしております。  福岡県下におきます炭鉱住宅の改良実績はどうかということでございますが、これにつきましては、五十三年度で五百六十八戸、五十四年度で七百九十四戸、五十五年度には八百八十二戸の改良が予定されていると承知をしております。
  76. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だからそれでやると何年ぐらいかかるかということですね。ざっと二万二千五百戸、八百戸ぐらいの戸数でいくとなるというと、これは三十年ぐらいかかるということになってしまうんじゃないかと思うのですよ。これでは、大体いまでも崩れかけているというような状況のところが非常に多い。そして雨漏りがして、ビニールのテントを上に張ったりしてようやくしのいでいるというような状態が多いというような状況から考えてみて、全くそれこそ向こう流には間尺に合わぬ話だと思うのですね。  いままでも皆さん方に努力していただいて、産炭地振興臨時措置法の十一条のかさ上げの対象に入れていただいたとか、あるいは間取りも広くするとか、あるいはああいう中高層というかああいうのじゃなくて簡易でやるというようなことやら、いろいろ工夫していただいて、それが促進の大きな要素になっているということは私認めているわけですけれども、しかし先ほどから、この産振法自体もあと十年延長になるかどうかといったような議論で、それ以上というのは非常にむずかしい状況だというような感じがする。だからなおさら今度延長されるとしても、この十年のうちにはどうしても片づけてしまわないというと大変なことになってくるんじゃないかというように私は思うのですよ。いまのテンポでいったら三十年ぐらいかかりはせぬかというのと、現実にもう急いでやらなければいけないというこのギャップをどのようにしてあなた方が克服していこうと思っているのか、そこのところをお尋ねしたいわけです。
  77. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおりに、炭住の改良に関しましては、従来いろいろな問題があっていろいろな手だてを講じながらも、いま申し上げたようなテンポで推移をしてきたわけでございます。今後、入居者の同意、これが一つの大きな問題になっておるわけでございますが、その入居者の同意のもとに策定されます地元の計画、これが十分に達成できるように、関係方面、関係市町村とも協議をしながら、私どももできるだけ早くその炭住の改良に取り組むように、関係省庁にも働きかけながら最善の努力をいたしたいと思います。
  78. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いま入居者の同意が問題だというふうに言われました。確かに特に一番おくれていると思われる個人持ちの炭住の場合は利害関係などが錯綜したりして、あるいはいままで家賃払ったことがないのが家賃を払うというようなことになってくるとどうなるんだろうというような、いろんなそういう不安や利害関係やらが錯綜して、非常におくれておるのになかなか進まない。しかし、じゃもう不可能かといえばそういうことはないわけで、やはり私が承知をしておるのでも、たとえば嘉穂郡碓井町の昭嘉の炭住などというのは百戸ぐらいのところがまとまったとか——もう建っていますね。あるいは川崎町などでも東川崎炭住など、やはり百戸足らずですけれどもこれもまとまっているとか、やはり熱心にその合意を何とかつくり出そうということでそこの人たちが努力もする、また行政機関も取り組むというようなことになるというと進んでいるわけですね。やはりここは私は、行政機関あるいはそこに住んでいる人たちも含めて全体の熱意、努力というのが一番肝心じゃなかろうかと思うのですよ。  そういう意味で、こういう実際に何とか話をまとめてもうどんどん建っているというようなところの事例なども研究していただいて、どうやってこれを打開していくかというようなことについてもっと国としても、何か国は申し出があったらこういう計画を許可するというような受け身の立場で待っているのじゃなくて、もっとこれを積極的に促進するためにいろいろ研究したり、そういういい事例があれば問題の処理の仕方について教えてやるとか、もっと国としても努力をしてほしいと思うのですが、その点どうですか。
  79. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど先生からもお話がございましたように、炭鉱住宅の改良を促進するためにいろいろな措置を私どもそれなりに講じてきたわけでございますが、なかなか合意が得られにくいというような御指摘もございましたように、いろいろ問題を抱えております。今後におきましても、私どもいろいろな事例を研究し、あるいは促進が図られますように関係省庁とも十分協議して、この促進方につきましてまた市町村にも十分お願いをしながら、この炭鉱住宅の改良促進に努めてまいりたいと思います。
  80. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いま申し上げたように、熱心にやったところはできた事例はいろいろ出ているのですから、そういうところをあなた方も待つのじゃなくて研究してやってもらう、うなずいていらっしゃるから、そういうことで今後の努力を見守りたいと私は思うのです。  次に、これは建設省にお尋ねをすることになるかと思いますけれども、どういう点が障害になるかということで私もいろいろ関係者に聞いたりするわけですが、一つの問題として話が出るのは、この炭住改良を実行する場合に、いわゆる住宅地区改良法に基づいてやる。ところがこれは、もともとは大都市などのスラム街をどういうふうにしてなくしていくかという発想でつくられた法律じゃないでしょうか。だからそれを適用してやっていくということになると、実情という点ではいろいろと合わぬようなところが出てくる。その合わぬようなのをこの住宅地区改良法というのにはめ込もうはめ込もうとすると、これがやはり進まない大きなネックになるというようなことがあるのじゃないかと思うのです。  そういう点で、私はこの地区改良法の運用などに当たっては、もともとが想定しないものに当てはめるわけなんだから、そこのギャップを埋めるためには弾力的な運用ということも考えてやってもらわなければいけないのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  81. 高橋徹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  住宅地区改良事業は、先生指摘のような性格もあわせ持ちまして、全国的に相当多数の地区のクリアランス、それから住宅の建設を行ってきたものでございますが、御指摘のとおり弾力的な適用ということを炭住について図るために、よく御案内のとおり五十三年度に小規模炭住についての制度というものを予算上設けまして、住民の方々の要望を施行者である自治体がつかみやすいようにして施行してまいったわけでございますが、今後ともそのような努力は続けてまいりたいと思っております。
  82. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、もうちょっと具体的に私が問題にしたい点を言ってみますと、炭鉱住宅というのはあなた方もおわかりのとおり坑口を中心にしてずっと形成されているわけですね。だから、町に近いとか交通が便だとかそんなこととは関係なしにもともと建っているわけです。だから、そういうところにいわゆる現地改良主義ということでそのまま建てかえるという考え方というのにはやはり無理があるのじゃなかろうか。  先ほどの住民の皆さんの合意という点から考えてみても、建てかえたいという魅力を引き出していくためには、やはり通勤やら通学に便利だとか、あるいはショッピングにも便利だとか、こういうようなことが一つの大きな魅力になるでしょう。あるいは町づくりという点で考えてみても、そういう人里離れたようなつぶれたところの坑口の辺にまた建てかえてくれても、そういうようなところというのでは町づくりの全体の計画から見ても、町としてもそれでは一向に力が入ってこないのじゃないかと思うのです。  だから私は、あなた方の住宅地区改良法という法律では現地改良主義、確かに大都市などではそのスラムをなくさなくちゃいけないのだ、だからそこに建てかえなければいけないということはよくわかりますが、そこのところが私が言う一つのギャップですね。だからこういうような点などについても、ケース・バイ・ケースで弾力的に考えていただかなければいけないのじゃないかと思うのです。そういうような点、どうですか。
  83. 高橋徹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  御指摘のような御希望が地区住民におありになる場合もありましょうが、施行者でございます地方公共団体は、そのような事情をも勘案いたしまして鋭意計画を練っているものと思うわけでございます。現状では、御指摘のとおり住宅地区改良事業は現地主義ということをとっておりますし、また土地の取得の容易さその他からこの方針は原則としては貫きたいと思うわけでございます。今後とも、地区住民の方々の御希望を施行者がよく把握するよう指導してまいりたいと思っております。
  84. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまのお答えで、ケース・バイ・ケースで弾力的に処理していきたいという気持ちがにじみ出ているというように私は評価をして、今後を見守っていきたいと思うのです。  それから、この改良法のもう一つの問題として私が感ずるのは、一つの炭住の大きな団地があるとしますと、いまはそれ全部の話がまとまらないとその事業はスタートできないということになっているわけですね。そうするとこれはなかなか簡単にいかない。先ほどから言っているようにいろんな利害関係が絡んでいるようなところについて、そんな大きなところで全部まとまるというのを待っておったららちが明かないということも、これはわかっていただける話じゃないかと思うのですよ。  だから私は考えるのですけれども、そういう一つの大きな団地を形成しながら、同時にたとえばこの一角については話がまとまった、そこはあなた方が言うような五十戸を満たしておるとか、こういうようなことになった場合には、どうせそれだけ大きければ一年でぽんと全部やってしまおうたってもともとできっこないのだから、そういうような一つの団地全部についてまとまるのを待つという硬直した運用ではなくて、そういうここならばまとまっているというようなところで始めていただく。するとおもしろいもので、みんなその実例を見てああこれはいいなということになると、また人の気持ちというのはうんと動くという面だってあるわけですね。だからこういうような点も含めて、この点もっと弾力的に処理を考えていただいたら大変進むのじゃなかろうかというように私は思うのですが、どうでしょう。
  85. 高橋徹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  個々の地区ごとにお話がまとまる、それが予算の採択基準にも合うものであればというケースかと存じますが、そのようなことであるならばたとえば工区を分けるとか、あるいは地区ごとの採択をその都度一地区、一地区として事業施行をやっていただくとかという方法でいままでも弾力的に処理してまいりましたし、今後もそのようなことが可能でございます。  なお、蛇足でございましょうが、合意を取りつけるというのは最初の時期にきちんといたしておきませんと、合意していた事業が途中でまたとまるというような弊害も考えられますので、私どもとしてはなるべくその合意が取りつけられ、その範囲を広くという原則にも立っているわけでございます。
  86. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 住民の合意という点はそれくらいにして、あと自治体の関係者から私どもが聞いている、この建設促進の上での障害になるというような点をもう一、二質問として申し上げたいと思うのです。  その一つは、自治体の施行能力の問題ですね。小さな町などになりますと、建築課とか住宅課なんというようなものはないようなところもあるのですよ。だからそういうようなところは、もともと技術者なども人員が非常に不足をしている。ところが、そういう炭住の改良をやろうというと、かなり短期間に相当な戸数をどっとやらなければいけない、それが非常に悩みだというわけですね。それで何とかそういうようなのを応援していただけるというようなことはできぬものでしょうかねという話を私小耳にはさんでおったわけです。  今度住宅地区改良法というのをひっくり返して見ておったら、なかなかこれは使えるんじゃないかというような条文があるんですね。第三十二条というのに「技術的援助の請求」ということで、「市町村は建設大臣又は都道府県知事に対して、」「住宅地区改良事業の施行の準備又は施行のため、それぞれ住宅地区改良事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。」という項があるのですね。だから、いま言ったような悩みを持っているような町村に対して、市になるとある程度機構はあるのかもしれませんが、町などに対しては建設省は地元の県などと相談をしていただいて、そういう技術的な職員を一時的に派遣してもらうとか、いろいろな形でそういうようなネックなどについても手を差し伸べてもらうということになれば、これもまた非常に大きな促進する力になるのではないかと私は思うのですよ。どうでしょうか。
  87. 高橋徹

    ○高橋説明員 御指摘のとおりの条文の規定もございまして、都道府県が市町村を指導するということは鋭意やっておるところでございますし、また建設省も、一々直接ということはいかがかと存じますが、たとえば制度の理解その他で自治体の方々と事前によく協議をするとか、場合によりますと現地に参りまして指導をするというようなことはやっておりましたし、今後も業務のあれを見ましてそのような努力を続けてまいりたいと思います。
  88. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 大体時間も来たようですから、最後に要望ということでもう終わってもいいと思いますけれども、自治体が、もともと非常に疲弊したところがこういうことをやるわけですね。それで皆さんから産振法十一条で大幅にかさ上げをしていただいた。これが非常に威力になっていることは間違いないわけです。しかし、そうなるとたとえば田川市のようなとかあるいは宮田町のようなとか、ああいう何千というような単位で住宅改良が集中してくるというようなところになると、一つ一つについてはずいぶん負担が軽くなったといっても、そういう疲弊した町村にしてみると、それでも何千というようなものが重なってきたら、これは相当に負担が大きくなるという問題もあるのですね。  だから、こういうような点については、その特殊性に着目して、もう一つ何か手を打っていただけると、こういうような非常に大量にそういう問題を抱えているところで促進することができる、これももう一つの問題なんだということを私は申し上げたいと思うのです。何か答えてくださるというのなら答えてもらってもいいが、もう時間がないから遠慮してもいいです。
  89. 福川伸次

    福川政府委員 確かに住宅改良の問題がいろいろな障害があるという点は、私どももこれからいろいろな施策展開の中で考えていかなければならない課題だというふうに思っております。いろいろ問題がありますが、また建設省等ともいろいろ相談をし、施行者たる市町村等の実情も聞きながら、助成策はいろいろすでにこれまで講じておりますので、さらにそれ以上付加することが可能かどうか、いろいろ問題があろうかとは思いますが、実情に即して建設省とも御相談をさせていただくことにしたいと思います。
  90. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  91. 森中守義

    森中委員長 以上で本日の質問は終了いたしました。  次回は、来る十一月六日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会