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1980-10-16 第93回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月十六日(木曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 金子 岩三君    理事 楢橋  進君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 中西 積介君    理事 鍛冶  清君 理事 小渕 正義君       麻生 太郎君    太田 誠一君       北口  博君    北村 義和君       久間 章生君    古賀  誠君       保利 耕輔君    渡辺 省一君       八木  昇君    小沢 和秋君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省通商         政策局次長   真野  温君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    弓削田英一君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       浜岡 平一君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     伊藤 欣士君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  先般、大洋州・米国エネルギー事情調査議員団として本院から派遣され、関係各国における石炭を中心とするエネルギー事情について調査してまいりました。  この際、本委員会における調査参考に資するため、議員団を代表して鍛冶清君から、調査概要について説明を聴取いたしたいと思います。鍛冶清君。
  3. 鍛冶清

    鍛冶委員 先般、私どもは、本院から派遣されまして、大洋州・米国エネルギー事情調査議員団といたしまして、豪州並び米国などを訪問をいたしまして、主として石炭事情について調査をいたしてまいりました。私どもの正式な報告書は、議長に対しまして提出することになっておりまして、ただいま作成中でございますが、私ども調査議員団は、本委員会メンバーをもって構成されたものでありますので、この際、御参考までに調査概要につきまして、調査団を代表いたしまして私から御報告を申し上げたいと思います。  議員団の構成は、森中委員長を団長といたしまして、愛野興一郎君、小沢和秋君と私鍛冶清の四名でございますが、これに岡田利春君が特別参加として加わり、また、事務局から商工委員会倉田主任調査員、通産省から資源エネルギー庁石炭部竹沢鉱害課長が同行いたしました。  調査の期間は、八月十九日から九月四日までの十七日間であります。  私どもは、去る八月十九日夜、成田を出発し、まず豪州に参りまして、ニューサウスウェールズ州のミューロック鉱山大臣並びにヒルズ工業関係大臣との会談日系石炭会社商社等の幹部十一人の方々との意見交換ハンターバレーにあるクルーサ開発会社ニューデル炭鉱フォイブロック鉱坑内視察及びハウイック鉱オープンカット視察、ニューキャッスル港ポートワラターコールサービス会社石炭積み出し施設の視察豪州連邦政府アンソニー総理大臣ガーリック国家開発エネルギー大臣スカリー貿易資源次官及びストーン大蔵次官との会談、ラトローブバレーにあるビクトリア電力公社モーウェル褐炭田の大規模オープンカット及びブリケット製造工場視察ビクトリア州のバルフォア鉱物エネルギー大臣及びビクトリア褐炭評議会スミス委員パーキン委員等との会談等を行いました。  その後、八月二十七日にニュージーランドのオークランドから米国に向かいまして、ホノルル、ロサンゼルス、アトランタを経て、バージニア州西南部山間部にありますピッツトングループ、クリンチフィールド社マックロア炭鉱坑内視察及び選炭工場視察、ニューヨークにおいて日系商社原料炭担当方々との意見交換、ワシントンにおきましてエネルギー省ソーヒル副長官及び石炭タスクフォースメンバー五人との会談等を行いました。  そのほか、現地駐在の大使、総領事等から、政治経済事情エネルギー事情、特に石炭事情等について説明を聴取いたしまして、九月四日に帰国した次第であります。  次に、視察個所状況豪州米国両国政府首脳との会談内容等につきましては報告書に譲ることにいたしまして、私どもが今回の調査によって感じました点を若干申し上げたいと思います。  御承知のように、最近、世界エネルギー情勢を背景といたしまして、石炭、特に一般炭に対する関心が高まってきておりますが、豪州米国とも、産炭国として、世界第一位の輸入国であるわが国に対する期待はきわめて大きいものがあります。特に豪州は、石炭輸出余力が大きく、資源輸出所得に依存する国であり、豪州炭の最も大口の輸入国であるわが国と長期的な取引関係維持したいと考えております。  そのために、わが国の長期的な需要明確化国際市場価格による取引が必要であるとしておりまして、これによって、必要なインフラストラクチュア整備と新鉱の開発が可能になると言っております。もちろん、わが国にはわが国の立場がありまして、これをそのまま肯定するわけにはまいりませんが、日豪間の石炭取引長期安定化を図ることは、わが国としても重要な政策課題であります。その意味で、需要の変動をカバーする制度的仕組み検討日豪を通じたコールチェーン整備等を急ぐ必要があろうかと考えます。  また、豪州石炭企業に対する資本参加につきましては、メジャー等の進出が先行していることは事実でありますが、まだ十分可能性はあるのでありまして、個別企業の枠を超えた豪州投資会社というような構想も検討に値する考え方ではないかと思うのであります。  一方、当面の現実的な問題といたしまして、現在、豪州一般炭に対する需要が急増しておりますが、豪州の物理的な供給能力を十分把握し、長期的な予測のもとに取引を進めることが必要であると思います。  米国におきましても、原料炭取引増加のほか、わが国一般炭輸入に強い関心を示しておりまして、わが国需要明確化に対応して、インフラストラクチュア整備を図りたいとしております。そして、当面は東部炭、将来は西部炭引き取り期待しております。  この問題は、本年八月にノーフォークで開催された日米石炭会議においても議論されたところでもありますが、当面は相互理解を深める努力を続けることが必要であります。しかし、これとは別に、米国世界最大産炭国であり、将来、中西部炭の西海岸からの輸出も、スラリー・パイプライン等インフラストラクチュア整備により可能となるものと考えられますので、将来をにらんだ中西部炭鉱会社に対する資本参加検討することも、十分価値があるものと思うのであります。  石炭液化の問題につきましては、豪州米国とも深い関心を示しておりまして、米国は、わが国がSRCI及びEDSに参加したことを高く評価し、その持続的な展開期待しておりましたが、豪州においては、最近、石炭液化生産物について、輸出を認める連邦政府閣議決定が行われたことが明らかにされました。この点は、従来必ずしも明確にされていなかったところでありまして、注口すべきものと思うのであります。  そのほか、多々申し上げたい点がありますが、とりあえず以上にとどめたいと存じます。  最後に、本委員会をベースとする今回の議員団の派遣に関しまして、委員各位の御協力を得ましたことを心から感謝する次第であります。まことに充実した日程と各関係諸公に会えましたことを皆様方に御報告を申し上げまして、報告とさしていただきます。(拍手)
  4. 森中守義

    森中委員長 ありがとうございました。     —————————————
  5. 森中守義

    森中委員長 この際、田中通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣田中六助君。
  6. 田中六助

    田中(六)国務大臣 第九十回国会における衆議院石炭対策特別委員会の御審議に先立ち、石炭政策につきまして私の所信の一端を申し述べさせていただきます。  御承知のように、近年、国際石油情勢は、OPECの相次ぐ原油価格引き上げイランイラク紛争勃発等厳しさを増しつつあります。  また、中長期的なエネルギー情勢を展望いたしますと、国際石油情勢の根底には、産油国資源温存政策の強化や政治的不安定性など楽観を許さない要因が存在しております。IEAその他の予測によっても、中長期的に国際石油需給逼迫化の方向に向かうことは避けられないものと見られます。  こうした状況を踏まえ、昨年六月の東京サミットに引き続き、本年六月のベニスサミットにおいては、石油依存度低減の有力な方策として、石炭利用拡大についてへ合意が行われるなど、世界的に石炭の見直しがいよいよ本格的になってまいりました。  わが国は、エネルギー供給石油依存度及び海外依存度がともに主要先進国中最も向く、わが国にとって、石油依存からの脱却は喫緊の課題となっております。  このような基本認識に立って、政府といたしましても、本年度から石油代替エネルギー開発導入を推進するため、皆様の御協力を得まして、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律を制定する等、総合的かつ計画的な政策展開を図っているところであります。また、このような総合エネルギー政策の一環として、石炭利用促進を目指して引き続き石炭政策を推進することといたしております。  具体的には、まず、貴重な国産資源である国内炭生産を長期的に維持するよう努めているところであります。このため、石炭火力発電所の建設の促進等により需要確保に努めるとともに、各般にわたる助成措置実施により、石炭鉱業の経営の安定を図りつつ、生産体制の一瞬の改善を図っているところであります。  その際、保安確保は不可欠の前提条件であり、保安確保対策についても、一層の充実に努めているところであります。  また、今後の石炭需要拡大に応じて、国内炭利用とあわせ、海外における炭鉱開発から国内におけるコールセンターに至る一連海外炭安定供給システムを早急に確立するため、所要助成措置等を講じているところであります。  加えて、石炭利用技術研究開発についても石炭石油混合燃料などの開発とともに、石炭ガス化液化技術等につき、国際協力も図りつつ、積極的に推進する所存であります。  さらに、石炭鉱業合理化臨時措置法の期限切れを明後年三月に控え、わが国石炭鉱業を取り巻く新しい環境に対応すべく、今後の石炭政策あり方について、明年半ば答申を目途に、現在、石炭鉱業審議会において御審議をいただいているところであります。政府といたしましても、その結論を受けて、新石炭時代にふさわしい石炭政策展開を図ってまいりたいと考えております。  鉱害対策及び産炭地域振興対策につきましても、従来から、国土の保全及び民生の安定並びに産炭地域における鉱工業の計画的発展等を目的として実施されてきたものでありますが、今後とも引き続き所要措置を講じてまいる所存であります。  特に、産炭地域振興対策については、対策基本法である産炭地域振興臨時措置法が明年十一月に期限が到来することから、別荘、今後の産炭地域振興対策あり方について産灰地域振興審議会で御審議いただいており、近く答申の運びとなる予定であります。  政府といたしましては、来るべき答申を受けて、産炭地域の実態に即した所要措置検討してまいる所存であります。  最後に、ただいま申しあげました一連石炭政策実施に関しては、昭和五十五年度の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計電源開発促進対策特別会計において所要財源措置を講じているところであり、今後とも財源確保には遺漏なきを期してまいりたいと考えています。  衆議院石炭対策特別委員会方々におかれましては、かかる方針を御理解の上、今後とも石炭対策に御支援、御協力をいただきますようお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。     —————————————
  7. 森中守義

    森中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
  8. 麻生太郎

    麻生委員 それでは、本国会開会に当たりまして最初の質問をさせていただきますけれども、久しぶりに石炭政策に明るい田中大臣就任であります。御存じのように、前向き後ろ向き大変複雑な問題を抱えておりますこの石炭の問題において、石炭事業に精通しておられる大臣の御就任ということで、委員といたしまして大いに期待を持っておるのが正置な、実感かと思います。  それでは、まず質問に入らせていただきます前に、今年の三月二十七日に開かれましたこの特別委員会におきまして、四つの点について質問をさせていただきまして、一つ国内炭対策一つ海外炭対策、、一つ石油代替エネルギー開発一つ鉱害対策並びに地域開発問題、以上四点について政策促進をお願いしたわけであります。  そのうち海外炭対策につきましては、もう御存じのように、いま鍛冶委員の方からお話がありましたとおり、豪州炭を初め進展をいたしております。代替エネルギーにつきましても、一応機構もでき上がる、入れ物ができ上がったという点においてそれなり進展をいたしております。また、鉱害対策並びに地域開発の問題につきましては、これは石炭六法の延長問題等、問題は最も深い関係を持つところでありますけれども、この点につきましても、過日の参議院等において通産大臣みずからこの問題について、足切りを含めて延長の意向を発言しておられますので、この問題についてもそれなりの形ができつつあると思います。残る国内炭対策につきまして、きょうは主に質問させていただきたいと思います。  国内炭につきましては、四つ質問の中で余り進展をしていなかったという点もあるように思います。また、そのとき北炭事故があった等もありましょうけれども、少なくとも今後日本国内炭対策のメインである二千万トン体制維持というものにつきまして、日本産業政策全体の中でどのように考えられ、位置づけをしておられるのかという点について何ってみたいと思います。  まず、大まかで結構でありますので、本日のごあいさつの中にも一部触れておられますけれども、この点全体につきまして大臣の御見解を伺ってみたいと思います。
  9. 田中六助

    田中(六)国務大臣 麻生委員にお答え申し上げます。  御承知のようにイランイラク紛争があっておりますので、エネルギー問題はいやが上にも国民の大きな課題となっておりますし、私も毎日のようにこの問題が頭にあるわけでございます。現在のエネルギー、特に、石油事情などを勘案いたしまして、イランイラク紛争問題があろうがあるまいが、そういうことはお構いなしというわけにもいきませんけれども国民皆様あるいは経済全体にとっていまのところ大きな響きを与えるというようなことはないということを断言いたしますけれども、中長期的に見ますときに、エネルギー問題というのは日本経済の脆弱さというのを示しておるというのは、御存じのように九九・八%を石油に依存しております。  顧みますときに、石炭日本唯一エネルギー資源でございまして、いままで第六次にわたる答申をやってきております。五年前に答申されたあの答申の中に二千万トン体制ということを大きく明記して、それが石炭対策の中にどっかりと腰をおろしているわけでございますけれども、それなら現在二千万トンがキープされておるかと申しますと、いろいろな事情で千八百万トンを切っておるのが現実じゃないかと思っております。  しかし、長期的な観点から、エネルギー対策としてそのように石油に依存するわけにはいきませんので、十年後を目指して石油依存率を五〇%に下げるということを目安に、私ども長期エネルギー需給暫定見通しの中にも明記しておりますし、そういう点から石炭原子力発電あるいは地熱、太陽熱、この中でも石炭というものをもう一回はっきり位置づけなければいけない対象でございます。  それには、技術開発と申しますか、そういうものを加味して石炭というものを考えなければいかぬということで、将来の見通しといたしましては、一時落ちております二千万トンという体制をもう一度はっきりして、五年先の一九八五年あるいは一九九〇年代、つまり昭和六十年、昭和六十五年に至る間に二千万トンというものをはっきりしておかなければならないというふうに思っております。  他面、産業政策といたしましては、先ほども申しましたように技術革新、これの根本的なものはやはり省エネルギーということが頭にあるわけでございまして、省エネルギー対策のための設備投資ということから、これに裏づけとなる技術開発をやって産業構造を変化させなければならないというふうに考えております。ただ言えることは、私どもエネルギー安定確保省エネルギー対策あるいはその他の石油代替エネルギー開発という三つの柱をあくまで堅持すると同時に、この間にあって、石炭というものの位置づけを二千万トンにして廃業政策を確立しなければならないというふうに考えております。
  10. 麻生太郎

    麻生委員 いま質問をさせていただきました理由を申し上げてみたいと思いますのは、いま言われましたけれども、そのようになるであろうかという、過去の歴史から見てそういう疑問を感じるから申し上げたわけであります。  今日、海外からの輸入炭が約百六十万トンくらい。いまお話がありましたとおりに、昭和六十五年までに石油依存率現行七五%から五〇%に引き下げるためには、その十年後の輸入炭の総量が約五千三百五十万トンになるという予想というか前提に立ってこの話は進んでいる。現行の百六十万に対して約三十三倍になりますが、こういった急激な形で伸びていくのは、いまから約二十年前の昭和三十三年から三十五年くらいまでにかけて石炭から石油に変わっていった、あの時代のことを思い出させるわけでございます。  当時、高度経済成長に入る真っ最中でありますけれども、当時政府としては、石油は安い、そして豊富である、そして便利だという理由で、経済効率一本に的をしぼられてスクラップ・アンド・ビルドの名のもとに行政指導をされたのであります。確かに、この高度経済成長が大変成功いたしましたのは否定すべくもない事実であります。  しかし、この場合、考えてみる必要があったのは国の安全、これはいろいろな意味で、国防とかまた経済安全保障の問題とかを含めて、国家の安全の意味から考えますと、結果としてはエネルギー多消費型の産業構造を今日形成することになった。これは今日、国家安全保障の方から大変な問題になっているわけであります。  ところが、これに対して過日、これは昭和五十五年四月三日、当委員会において当時の田中委員参考人で出られました田尻参考人との間に交わされた質疑内容があります。  簡単に申し上げて、委員の方からの質問では「石炭に転換するのですが、企業側として、場当たり的で非常に先見性がなかったという反省がなければならないと私は思うのです。」という御指摘に対して田尻参考人は、「燃料転換過程に対する一つ歴史的展望あるいは構造的展望、こういうものに対する反省企業側として不足しておったんじゃないかという御指摘でございまして、これはまさに先生のおっしゃるとおり非常に大きなポイントでございまして、私どもさらに反省を深くしておるところでございます。」このように答えられて、企業側の責任を言ったのに対して参考人もそれを認めておられる事実がある。  しかし、これはこの話だけを読みますと、いかにも政府の方は指導はよかったんだが、企業側の方が先見性がなかったのではないか、かような感じを持つわけでありますけれども、これは政府の方としてもそのように指導されたことは間違いない事実であるわけで、経済効率一本の指導というものが、結果としてエネルギー安全保障という見地から見た場合、今日大きな問題になっておるという点は事実だという気がいたします。  したがいまして、この二千万トン体制維持というものは、いま二千万トンもいかなくて千八百万トンいくかいかないか、北炭事故がありますから千八百トンをさらに切るかもしれないというような状況になっておるわけです。重ねてお尋ねをいたしますけれども政府としては、この二千万トン体制は今後とも維持していこうという見地に立って指導しておられるのでしょうか。これは福川部長の方に伺います。
  11. 福川伸次

    福川政府委員 麻生委員指摘のとおり、石油価格は一九五〇年代、六〇年代を通じまして大体二ドル前後で維持されてまいりまして、非常に安定して、なおかつ価格も低い供給が行われておりましたために、日本はもとより世界経済全体が石油に依存する構造になっていったわけでございます。その過程におきまして、石炭対策におきましても需要確保あるいは石炭鉱業合理化ということに鋭意努力をしてまいったわけでございますが、その競争条件の結果、委員指摘のような形で閉山が行われ、二千万トンということに推移をしてまいったわけでございます。  今後この二千万トンの体制をどういうふうに守っていくかということでございますが、冒頭、大臣からのごあいさつにもありましたように、国内唯一資源ということでございまして、ウエート自身は、将来のエネルギー需要状態を考えますとそれほど大きなパーセンテージにはなりませんけれども、最も安定した供給源である、しかも国内採炭技術等を保存する効果もある、また対外的に日本がある程度の資源を持つことによってバーゲニングパワーを持つこともできるということでございまして、国内生産規模というものは適正な形で守っていかなければならぬというふうに思っております。  それで、第七次の石炭対策答申を求めまして、現在、石炭鉱業審議会において、今後の国内石炭政策あり方国内石炭生産規模あり方というものを御審議いただいております。この審議過程でどの程度の規模がいいかということについては審議会から御答申をいただき、私どももそれを尊重してまいりたいと思いますが、私ども期待といたしましては、大臣がお答え申し上げましたような形で、二千万トン前後のものを期待をいたしたいというふうには思っておりますが、最終的には審議会の御答申を待って私どもも判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  12. 麻生太郎

    麻生委員 いま二千万トン維持というのは、審議会答申が二千万トンというところになるかならないか別にいたしまして、政府の方としては維持をしたいというお答えのようでありますけれども、これは御存じのように、第六次石炭政策という答申の中では、その大前提として、石炭企業いまや六社でありますけれども石炭企業経常損益をできる限り早い時期に黒字にする決意をうたっておられる。これは第六次答申の中によく書かれておるわけです。しかし今日、石炭企業収支というものをよく見ますと、これははっきり申し上げて、経常収支の段階で黒字になっているというような状態ではないのであって、少なくとも今日、企業収支が大きく崩れておる、そういった企業収支というものが黒字になるという大前提が大きく崩れておるという認識対策なくして二千万トン体制維持、仮に千八百万トン、二千百万トンの維持というのは今後ともむずかしくなっているということになりかねないという意味で、こういったものに対する対策なり方針なりというものをどのようにお考えでありますか。
  13. 福川伸次

    福川政府委員 麻生委員指摘のとおりに、現在石炭企業の間で格差が生じておることは事実でございます。石炭鉱業におきましては、特にその稼行部分が深部に移行している、あるいはまた奥部化しているというようなことで、その炭層の賦存条件あるいは立地条件等によりまして損益、いわゆるこれを反映いたしました各炭鉱別の損益というようなものに差が生じておるということは私ども認識をいたしております。したがいまして、私どももこの格差というものは基本的にはできる限り企業努力によって縮小されるべきだとは考えておりますが、一定の合理的な範囲内におきましては政策的な助成ということも必要でございまして、そのような観点から安定補給金の単価につきまして、諸条件が相対的に不利な、たとえば石狩地方というものについてはその安定補給金の単価に差をつけまして、そのような配慮をいたしておるわけでございます。  また、現実に企業間の損益面の格差が生じておるということが、必ずしも自然条件の格差だけによるものでもないということも考えられるわけでございまして、私どももその企業努力によってそのような自然条件の格差というようなものを吸収することができないかどうか、なお慎重に検討いたしたいと思っております。  現在、石炭鉱業審議会に諮問をいたしております今後の石炭政策あり方につきましても、この問題、企業間格差の是正のための対策というものをどのように考えていったらいいかということは  一つ課題としてお願いをいたしておりまして、その答申を踏まえまして、私どもも今後の対策を考えていきたいと思っております。
  14. 麻生太郎

    麻生委員 御存じのように、現在、国内炭石油との比較、これは基準が非常にむずかしいところでしょうけれども、マクロ的に見て一万円ぐらい、国内炭石油、カロリー計算、いろいろな手間暇の差がありますので差は出ようかと思いますけれども、これは明らかに二万円以上国内炭が安いことになっておる。また輸入炭と比較しても、原料炭は、これはとてもじゃありませんけれども国内炭においてはこの数年間に大いに努力をされた結果、値幅が大幅に縮まってきておるというような事実。またヨーロッパの採掘技術というかそういったものに比べても、今日、日本のものというのは決して見劣りしているわけではないのであって、コストの面においても、採掘コストはほぼ同程度、もしくはむしろ日本の方がすぐれている点もあるように理解をしております。  確かに、企業努力というのは、いま大手六社を見てもこれは内容に差がある。また自然条件のみでは考えられない。また、その他複合的な問題があるというのは確かでありますけれども、今後これを安定させていくためには、本年度の経常損益の見込みというのがこの間ありましたけれども、大体トン当たり経常損益のところで千四百円から千五百円くらいの赤字になるというようなことになっておりますけれども、これはよほどうまくやっていかぬとさらに差が、経常損益の赤がふえこそすれ、むしろ減る傾向にはないということが、深度が下がっていったりしますと当然採掘条件が悪くなるということも含めて、そういったような問題が出てくるわけです。これは結果的には、企業努力はある程度なされておるという前提に立って、国際的に比較してもそれなりに同じような自然条件下においては大いにがんばっておるという評価ができるとなると、残りは、さわれるところというとこれは炭価のアップというか、いま安定補給金と言われるが、何らかの形で補助、それが一つ。  もう一点は、やはり長期取引というものの安定というものは必ずついて回る問題であります。輸入炭より国内炭の方が扱いにくいからとか安いからとかいういろいろな理由で、かつての石炭から石油にかわったのと同じように、同じ石炭でも輸入炭の方が安定しているからとかいうことで、同じ石炭でも石油と違って、石炭の場合は場所によって石炭の質がかなり違いますから、そういった意味においてはむしろ三池炭よりは豪州炭の方がいいぞ、サルファも少ないしというような状況になってくると、これはよほど政府の方としてきちんとした指導をされないと、貯炭が物すごい勢いでふえてくることになってきて、これはするけれども売れ先はないということになる可能性はきわめて大きい。むしろなりつつあると私は申し上げていいと思っております。  そういった意味においては、今後石炭業界とそれから需要者側、電力とかセメントとかそういったような業界の間に立ってある程度きちんとした公平な配分をしていただかぬと、この会社においては三池をとらされたためにサルファが高くてたまらぬとか、いやこっちだったらというような格差が出てくるというのは、取引側の方が引き取らなくなるということになっていって、結果的には幾ら炭が出ても売れないということになってきては、やはり結果としてはうまくいかぬわけですから、そういった意味においてどのような形で指導をしていかれるおつもりなのか、その点伺いたいと思います。
  15. 福川伸次

    福川政府委員 麻生委員指摘の第一点は、現在の炭価の状況からいってある程度の収益に赤字が出て、それが企業間によってはさらにいろいろ拡大しているという御指摘でございました。委員指摘のとおりにトン当たり千四百円前後の赤字ということが一応試算をされておりますが、今年度の標準炭価の改定におきましてそれをかなり埋めることができたと思っております。いま大体それを企業別にばらしてまいりますと、ある程度黒字になる企業も出てくるのではないかというふうに思っております。したがいまして、いろいろそれぞれ企業によって条件が違うわけでございますが、その条件に合わせて経営が安定するようにいろいろな、先ほど安定補給金の例を申し上げましたが、そのほか合理化施策等々の対策をつきまぜまして、企業の格差の是正ということを私ども努力してまいりましたし、また今後も努力をしなければならぬ。また先ほど申し上げましたように、今後の対策あり方については審議会の御検討を経まして私どもも考えてまいりたいと思っております。  第二点は、長期の引き取りをやってはどうかという御指摘でございます。お話しのように、確かに、現在国内炭の大手の需要家との間には長期という形での取引が遺憾ながらまだ余り進んでいないように私どもも思います。これにはいろいろそれぞれ取引上の問題、量あるいは価格等も絡んだ問題でございまして、そういうふうになかなかいかなかったのが現実でございますが、できますことならば、長期的な取引が行われますれば、石炭の方も一応安心して供給体制をつくるということができますし、需要家の方も、いま品質の問題もいろいろ御指摘がございましたが、安定した品質で供給できる、しかもそれが合理的な価格であるということであれば、需要業界の方にも何らかのメリットになるのではないだろうかというふうに思いますので、できればなるべく長期的な方向に持っていきたいというふうに思っております。  しかし、なかなか現実の問題としていっていなかったのにはそれなり理由があるわけでございますので、石炭企業としてもその需要家に合った炭質のものを、しかも安定した体制でつくるということも努力してまいらねばならないというふうな問題でございます。また需要家の方としてみれば、輸入炭との格差をどうやって埋めてくれるのかという問題があろうかと思います。そういうことで、この引き取り問題というのは非常に大きな問題にこれからもなってまいると思いますし、これからの石炭政策の中での重要な課題だというふうに理解をいたしております。  第三点に、いまのような形で放置するならば国内の貯炭がふえてしまうのではないだろうかという御指摘がございます。これは従来も、そのときの景気の動向あるいは引き取り契約の状況等によりましていろいろな格差がございましたけれども、私どもも、外貨割り当て制の運用におきまして国内の貯炭がふえないように、あるいはまた国内炭引き取りというようなことと結びつけた形で、実需に結びつけた形で輸入炭を入れるというような運用をいたしておりますので、そのような需給の不均衡の生ずることのないように、今後とも従来にも増して努力をしてまいりたいと思っております。
  16. 麻生太郎

    麻生委員 いまの、在庫増ができる。結果的に掘ったは売れないはということになる。御指摘のとおり、石油と違って、同じ炭鉱の中でも層が違えば石炭の質が違ってくるというのは石炭のある宿命でありまして、サルファはもちろんのこと、灰の、アッシュの量から全部違いますので、企業側として日本の層は安定してないという条件下にありますから、もっと安定したものの方が需要家側にとってはよりコストが少なくて済むという立場になるのは当然ですから、そういった意味ではなかなか引き取らぬ。しかしある企業が、たとえば国家的な見地に立って国内炭を使ってやるべきだという大所局所からの考え方から使ってやったは、その企業だけかコスト高になって他の企業に比べて損をしたということになると、結果的にはやはり自由競争下においては使わぬことになります。  これは町家の安全保障意味からどうしても使う、国内炭二千万トンを維持するんだという前提に立って指導する場合、この点までやっていただかぬことには、結果的には使わないことになるという気がいたしますので、これはしつこくお尋ねをしたところであります。  さて、先ほどの話と一部重複いたしますけれども、今後石油依存率を五〇%に下げるために海外炭を輸入していくということでありますが、この中で国内炭が二千万トンも三千万トンも今後とも出てくるということは余り期待できない、またほぼ無理であるということになると、石油依存率を減らした分だけの差をほぼ石炭で賄う前提に立っておられると、ほとんど海外一般炭の輸入ということによって賄うより方法がないということになります。  これはまた八〇年から八一年に限ってみれば、もう世界各地の一般炭はほぼ契約済みになっておって、余り輸出余力はない。これ以上日本側なり、イギリス初めその他の国の電力業界による石炭需要、また日本の急激にふえているセメント業界の石炭需要等を考えると、これは急激にふやすと結果的には値段を引き上げることに相なる。少なくとも豪州炭の例をとれば一年間くらいで約五〇%くらい値段が上がっておるというのが事実なんであって、これは日本が急激に買い付けるがゆえにほかの国が購入価格を引き上げさせられている。これは結果的には日本によるものだ。これは集中豪雨的輸出の逆で、集中豪雨的輸入によってそういった非難を受けることになりかねない。  そういった意味で、海外からの非難を招くということは日本の最も喜ばないところであります。この点については、豪州炭というのにいま主に集中をしておるが、何で集中するかと言えば、それは政情が安定しているからでございます。最も出しやすいからだとかいろんな理由がありましょうけれども、これは長い目で見て危険負担を考えておかぬといかぬのであって、カナダ、オーストラリア、アメリカ、これは最も政情の安定しておる自由主義諸国だという点もありましょうけれども日本の近海にはインドネシアやスマトラ、ボルネオ、マレーシア、あの辺は皆石油を産する地域であって、その地域においては石炭が何も手つかずに置いてある。  しかもこれはなぜ置いてあるかと言えば、諸設備がないから、輸出設備がないから、港湾設備がないから等々の理由によるものでありますけれども、こういったものに関してある程度分散をしておかない限りは、石炭が、OPECじゃありませんけれどもペトロのかわりにコールを使ってOCECみたいなことになると、結果的には日本にとってやはりありがたくないことになりかねない。そういった意味では分散化せなければならぬというような気がいたしております。いま特に豪州に集中しているような気がしてなりませんけれども、その点に関して通産省はどのような認識をお持ちですか。
  17. 福川伸次

    福川政府委員 最近、世界的に石炭への需要石炭への関心がとみに高まっておりまして、石炭の国際的な価格も上昇傾向にあるということは御指摘のとおりだと思っております。当面は、いま御指摘のような集中豪雨的な輸入を避けるべくできるだけ実需に合った輸入を認める。また同時に、供給の分散化という点は、御指摘のとおりに確かに非常に必要なことであろうと思っております。  中長期的に考えますれば海外石炭の山の確保、それから搬出設備、輸出国側のインフラストラクチュア整備、それからまた、日本に持ってまいりました場合の流通設備の整備といったような問題が非常に重要だと思っております。特定の地域に非常に大きく依存するということにつきましては、麻生委員指摘のとおりに非常に問題になるわけでございます。したがいまして、私どももそれぞれの供給地域の政治的な安定性、鉱山の賦存状況あるいはインフラストラクチュア整備の可能性等々を踏まえながらも、できる限り供給を多角化していくということは努力すべき方向であるというふうに考えております。
  18. 麻生太郎

    麻生委員 それでは最後にもう一点質問させていただいて、時間でありますので質問を打ち切りたいと思います。  いまでありますと石炭は絶対量が少ないから余り大きな問題にはなっておりませんが、これが、五千三百五十万トンというのは輸入炭だけで、その他国内で二千万トンということになると七千三百万トンに匹敵する、原料炭を含めればもっとになるでしょう。そういった石炭が向こう十年後には日本で使用されることになると、多大なアッシュ、灰が出てくることになります。この灰は石油と違って全く出てくるわけであって、何%か炭によって違いますけれども出ます。これに対して一体どのような形で処理されようとしているのか。  たとえば、どこかに埋めちゃうといったって、なかなかいま埋めたりする場所もありませんし、これは大きな問題になりかねぬ。そういった意味では、灰がそのまま出ても、いまの日本の業界においては紙で一部、セメントで一部くらいは紙の中なりセメントの中に混入されますので問題は出ませんけれども、電力初めその他みんな問題が出てくる。  そういった点については今後一体どのようにされるか、と言われてもいますぐ答えがあろうとは思いませんけれども、この点に関しても十分配慮しておかないと、十年後になってどうにもならぬということになって、灰の捨て場がないから逆に輸入できないというようなことにもなりかねないので、ぜひこの点につきましてはお考え方なり指導なりをきらんとまとめてもらわないと、結果的には十年後せっかく輸入したは、国内炭維持したは、しかし灰がという問題でできなくなるというのでは意味がないことになりかねませんので、これは指摘すると同町にお願いを申し上げまして、質問にかえます。
  19. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおり、特に石炭火力の発電所の建設が集中してまいりますと、御指摘ような灰の処理が非常に大きな問題になると思っております。私どもも、今年度の予算におきましてその灰の処理のセンター、集中灰捨て場をどういうふうにするかといったような問題を含めて現在調査に取り組んでおります。御指摘の点は非常に重要な点であろうと思いますので、鋭意研究、努力させていただきます。
  20. 麻生太郎

    麻生委員 質問を終わります。
  21. 森中守義

  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 田中通産大臣は長い間石炭問題に関係しておりますし、先ほど麻生議長からもお話がありましたが、ちょうど石炭六法が期限が切れ、新しい石炭政策を構築をしなければならぬ、こういう時期に通産大臣就任をされましたので、私どもはこの政策の立案について実は大きな期待を併せているわけです。そういう意味で、せっかくこの期待にこたえるように御努力をまずお願いをいたしたいと思います。  そこで、石炭石油の代替である、また次の新しいエネルギーへのつなぎである、いろいろな認識の仕方があるわけであります。先般、代替エネルギー法案を審議したときには、石油代替元年であるという言葉が佐々木通産大臣あいさつの中にもあったわけです。きょう通産大臣の冒頭のあいさつの中で新石炭時代という言葉、これは田中通産大臣が初めて使われた言葉ではないか、こう私は受けとめておるわけです。  私は、世界エネルギーというものを考えてみる場合に、化石燃料時代は相当長く続くし、長期的に大宗を占めていくことは間違いのない事実ではないかと思うのです。石油石炭、天然ガスを含めて、いろいろな予測がありますけれども、大体六兆一千六百億キロリッター程度のものが活用できる。核エネルギーの場合には、大体地球上には、もちろんこれは一ポンド十五ドル、こういう前提を置いておりますけれども、三兆七千億キロリッター程度。そしてまた、この中にはいま問題になっているウラニウム238も含んで計算しても大体この程度の量で上がります。もちろん、太陽エネルギーは年間十七兆キロリッター程度あるわけです。ただ、これは拡散しておりますし薄いわけですから、この活用は相当時間がかかってまいるわけです。  こういう地球上のエネルギー資源の賦存状況を考えると、石炭は特に化石燃料の中でも埋蔵量が多いのでありますから、これからのエネルギーの中で石炭一つの柱になってエネルギー源を確保していく、その柱になるのだ、こういうきちっとした認識の中から石炭政策に取り組んでいかなければならぬのではないか。先ほどの新石炭時代というのはそういう意味通産大臣は言われたのではないか、こう私は思うわけでありますが、この機会に大臣の所信を承っておきたいと思うのです。
  23. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私は、新石炭時代と銘打ったのは、量は少なくとも、要するに、岡田委員指摘のように、日本エネルギーのバックボーンとして石炭は見逃すことができないのだ、これを一つの本筋にして考えてほしいということからそういうことを銘打ったわけでございまして、目標を二千万トンというふうに置きましても、現実に日本の炭鉱の状態北炭に見られるようにあれは非常に深部あるいは奥部ということになっておりますし、それから保安の条件など日本はよその国と違いまして非常に悪条件の中でやらなければいけません。  そういうことを考えた場合に、二千万トンというのが五年先、十年先にうまくいくかということは疑問でございますけれども麻生委員指摘しておりましたように、過去に誤りを犯しておるような気もしますし、日本国民挙げて石炭というものの意識を強く持ってほしい。  その裏を返しますと、やはり石油ばかりに依存しておっても、現実にこういう国際環境の中に置かれたときに、先ほども申しましたように、本当に脆弱な日本エネルギー状態でございますので、ひとつ国民もどっかりいろんなことを考えてもらいたいという願いも込めておるわけでございまして、新エネルギー開発機構も皆さんのおかげで十月から発足しておりますし、これは、原子力発電を除いたサンシャイン計画の中にも地熱、太陽熱、石炭を含めていろいろなことをやってもらいたいわけでございますけれども、そういう意味石炭というものを新エネルギーの中でもう一度、日本にある幅広い、唯一の、量的にも質的にも世界に比べると非常に少ない石炭ではございますけれども、新エネルギーの中でよく考えてもらいたい。  これは炭鉱の経営者もそうでございますけれども、働いておる人々もあるいは組合関係の人々もそこに頭を徹底的に置いて、炭鉱に従事する人々の使命といいますか、労使ともそのことを意識に置いて保安体制に、事故のないように少なくともそういう体制を持ってもらいたい。わざわざ大げさに新石炭時代と言わなくてもよかったのですけれども、意識に強く残してもらいたいという願いが込められておるわけでございます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 政府の長期エネルギー需給暫定見通しというものがすでに発表になっておるわけですが、この需給見通しを策定したときに、それぞれのエネルギー価格というものは中長期的に一体どういう傾向をたどっていくか、ここが、相当な見通しをもって暫定見通しが立てられたとは私は思わないわけです。  最近の動向をみますと予想を超えている。特に大宗を占めている油の価格の動向等から判断すると、そういう問題点が残されているのではないかと思うのです。ある意味では、そういう点でもう一度長期エネルギー需給暫定見通しは再検討されなければならぬ部分があるのではないかという気がしてならないわけです。  もちろん、OPECの言うとおりに価格が決まるわけではありませんけれども、すでにOPECの長期戦略としては先進国のインフレ率、ドル通貨の低下、先進国の経済成長率、これを上乗せする。だが残念ながら近く、十一月四日に予定されておったバクダードのOPECの首脳会議はああいう状況でありますから、恐らく流れるでしょう。しかし、十二月にはOPECの臨時総会が開かれることは間違いのないことだと思うわけです。したがって、いろいろな予測があって、五年後には五十ドルという説もありましたけれども、最近は六十五ドルという見通し経済研究所あたりからは出ておりますし、そうしますと十年後には、かつては八十ないし九十ドルという予測もありましたけれども、九十ドル時代に入ることも覚悟しなければならないという予感もするわけです。  私は、そういう意味で考えていくと、石油代替エネルギー確保、そしてまた最も質がよくてできるだけ安いエネルギー確保するということになってくると、従来立てられた需給暫定見通しをもう一歩前進させて、いわば石油から離陸する戦略というものを早めなければならない、これが残念ながら日本の置かれておる立場だ、このことをもう一回きちんと認識する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  25. 福川伸次

    福川政府委員 岡田委員の御指摘のとおりに、エネルギー価格予測というのは大変むずかしい問題でございます。  一つには、そのエネルギー供給あり方というのが技術的あるいは自然的、政治的な要因に非常に左右されやすい。また、その価格をはかります通貨の価値というのも、これもまたいろいろな形で変動してくるということでございまして、したがいまして、これがどういう価格体系、価格水準になっていくのか、あるいはまたエネルギー相互間の価格構造、相対価格構造がどういうふうになっていくかという点は大変むずかしい問題でございまして、エネルギー需給暫定見通しがそれをどの程度検討したかという点については、私どもの方も、大変むずかしい問題を抱えておるという認識の上にできておるわけでございます。  しかしながら、いまの時点に立って、このエネルギー需給暫定見通しというのは、現在の一つ見通しといたしましては一応これで進んでいく体制でございまして、もちろん暫定見通しでございますから、今後の事態の推移かございますれば見直すということを含んではおりますけれども、現在時点では、私どもとしてはこれに準拠して政策の運営に当たりたいというふうに思っております。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、先週の土曜日に質問通告をした後、参議院の予算委員会あるいはすでに参議院のエネルギー対策特別委員会質問されて、政府から答弁されておる内容でありますから、これは省いて若干質問しておきたいと思います。  問題は、一つには、三月末のわが国の油の備蓄状況についてどういった予測をするのかという問題であります。業界では、メキシコ原油の引き取り増もあって、大体九十六日、OPECの増産があって日本に削り当てられれば、まだこれ以上好転するのではないかという含みで、たしか業界自体の見通しもすでに出されておるわけです。したがって、イランイラク状態がこのまま進んだとすれば、わが国の三月末の油の備蓄は一体どういう状況になるという見通しを持っておられるかというのが第一点であります。  それから第二点として、メキシコに対してわが国は、もちろん民間ベースでありますけれども、原油の供給をふやしてほしいという要請もいたしているわけですが、逆にメキシコ側は委託精製の点についてすでに日本側にその意向を示している。もちろん、それ以外の国からも委託精製の問題は出されておるわけです。  そしていまの石油業法は、御承知のように石油精製業界、特例として三菱商事だけが輸入権を認められておるという形で構成をされておるわけでありますから、そういう面から考えると、やはり原油を確保するとすれば委託精製も容認せざるを得ないということになるのは、残念ながらもう大体の流れである、そう言わざるを得ないと思います。そうしますと、当然それだけでも石油業法は改正しなければならぬわけですね。ですから、そういう意味で、石油業法の改正は通常国会に一体出す考えがあるのか、そういう事態に対処して、あくまでもいまの石油業法にしがみついていくつもりなのか、どういう見解か、承っておきたいと思います。
  27. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 石油部の計画課長でございます。お尋ねの第一点でございますが、ことしの三月末の備蓄は民間ベースで八十八日でございます。大体三月末が一番備蓄が低いわけでございますから、いわゆる九十日備蓄は三月末で達成する、三月末に九十日あるということが目標でございます。八月末でございますが、百四日程度でございます。九月末にはもう少し上積みになるだろうと考えております。前の需要期にピーク時からボトムまで約十日分備蓄水準が落ちておりますので、現在の状況でございますと、来年三月にはほぼ間違いなく九十日備蓄を達成できる、九十日をかなり超えるだろうというぐあいに考えております。  御指摘のように、イラクの油の積み出しにすでに支障が起きております。ただ、航海期間等の問題がございますので、日本への入着が滞り始めまして、ある程度備蓄の食いつぶしを始めるという段階に至るまでにはまだタイムラグがございますので、現在の段階では来年三月末にはやはり九十日備蓄は何とか達成しているのではながろうかというような気持ちを持っておるわけでございます。これはイラク以外の油の手当て等がどういうぐあいになるか、いろいろ不確定要因がございますが、いまの気持ちではそういう気持ちを持っております。  それから、第二のお尋ねの点でございますが、確かに、メキシコに限らず廃油国一般がダウンストリームへ進出をしたい、精製マージンを獲得したいという気持ちを強くしておりますことはそのとおりでございます。長い目で見ますと、こういう産油国の願望というものを無視してまいりますと日本自身の原油の入手が困難になると思いますので、こういう動きに臨機応変に対応していくことが必要ではないかと思っております。  ただ、たとえば委託精製の中でもいろいろなパターンがございまして、日本で委託精製をした製品を海外へ持ち出す、需要期に日本から灯油がタンカーで外へ出ていくということになりますと、なかなか国民的な支持も得にくいということもございますので、その問題は一つの原理で頭から割り切るのではなくて、どういうパターンであるか、中身を詰めまして、ケース・バイ・ケースに、是々非々で対応していくというフレキシブルな構えが適当なのではないかというぐあいに思っております。  ただ、この委託精製等の問題にどう対応していくかということでございますが、私どもがやっておりますいまの行政は、御指摘のように石油業法というものがベースにございますから、どういうパターンの部分を認めるか、あるいは委託精製をどうするかということにつきましては、必ずしも業法上の問題ではございませんで、むしろ私どもの心構えの問題ではなかろうかというぐあいに思っております。石油業法制定以来かなり長年月がたっておりまして、石油をめぐる環境もいろいろ変わっておりますから、石油行政のあり方につきましては総合的な検討が必要かと思っておりますが、現在の段階では、次の通常国会石油業法の改正案を出さなければならないという状況ではないと考えておる次第でございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 石油供給の国際的な情勢から考えますと、油の安定的な確保を図るという場合に、いまの業法に基づいて石油精製会社と特例として三菱商事だけに輸入権がある、それ以外の商社はない、石炭の方はオープンだ、こういう体制昭和三十八年に業法をつくってイージーにどこまでも守っていかなければならぬという情勢はもう過ぎつつあるのじゃないか。ストレートで業法改正をするかどうかは別にして、そういう意味では石油政策の見直しを当然しなければならない。見直しの中でそういう問題について改善するなら、やはり革新的に改善するという姿勢が必要ではないか。その結果業法の改正も当然あり得るというくらいの姿勢でないといかぬと思うのです。  かつて、業法をつくるときには、業界は猛烈に反対したわけですね。では一手買い取り機関をつくるか、これが佐藤通産大臣時代にあって、業界はそれでは大変だというので業法に賛成したという歴史もあるわけです。今日、業界からなかなか意見が出ないからといって、今日の石油をめぐる情勢から考えれば、当然積極的に、革新的に検討していく時期だと私は思うのですが、これは通産大臣いかがですか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  29. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 大変僭越でございますが、事務的な説明を二、三させていただきたいと思います。  御指摘のとおり、石油の輸入体制につきましてはいろいろな議論があるわけでございます。実は石油業法上は、石油の輸入を行いますことは届け出制でございます。許可とか承認とかという制度にはなっておりません。ただ、私どもの心構えといたしまして、一つは、現在のような国際管理が厳しくなっております状況下では、輸入窓口を余りふやしたくないということと、もう一つは、実需に結びつかない原油は御遠慮いただいた方がいいのじゃないかという気持ちを持っておるわけでございます。  そこで、現在、商社の機能でございますが、実は日本へ持ち込まれております油のうち三二・四%、五十四年度でございますが、ほぼ三分の一はサプライヤーは日本の総合商社でございます。いわば原油の産油国との取引に商社が介在することは広く容認をいたしております。ただ、日本へ持ち込みます段階で、精製業との具体的な話をつけた上で持ち込んでいただくというような仕組みにいたしておるわけでございます。御指摘のようにダウンストリームへの産油国の動きでございますとか、あるいは最近では経済協力に対しましてボーナス原油を供給するという動きがございますので、新しい構えが必要になろうかと思っておりますが、これは業法の規定は届け出でございますので、行政運営に当たりましての心構えといいますか気構えというものの考え方をどういうぐあいに整理をしていくかという、むしろ頭脳革命の問題かというぐあいに思っておりますが、基本的にはそういう気持ちで勉強いたしておる次第でございます。
  30. 田中六助

    田中(六)国務大臣 岡山委員指摘のように、いろいろな諸情勢が変わっておりますし、私ども実際のところ申し上げておきたいことは、石油業法を含めまして全体の石油政策、これを実は見直さなければいけないのではないかということから、いま実は勉強をして検討を開始しておるのです。そのことを申し上げます。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国の今日の石油消費量に対するランニングストックといいますか、きわめて正常な状態ですね。石油精製もこの中に含まれているというストックは、何日分と考えられておりますか。
  32. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 これは安全度等を見ますといろいろな議論があろうかと思いますが、私どもの気持ちとしましては、五十日分くらいではなかろうかというぐあいに考えております。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は六十五日説なわけですね。十五日差があるわけです。したがって、そういう私の立場に立つと、九十日という備蓄は結局三十日分が欠乏するといわばそういう状態になる、こう考えることが当然である、私の勉強した中でそう理解を実はしておるわけです。  それは別にしても、やはりこの備蓄が減るということは、次に積み増しをするということは、従来よりも環境は厳しいと認識をしなければならないと思うのですね。そういう意味で、やはり注意深くこれからのエネルギー政策を進めてまいらなければならないのではないか、こういう意味を込めて実は私はお伺いしたということをひとつ御認識を願っておきたいと思うわけです。  そこで、次に、特に最もエネルギーの消費としては効率の悪い電力は、しかし何といっても産業の原動力でありますし、そういう意味で、電力行政というものもわれわれは非常に注意を払わなければならないと思うのです。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕 今年は非常な冷夏とか、あるいはまた西日本の方が非常に出水がよかったとか、原発の稼働率も従来よりも上がったとか、いろいろな条件が積み重なって最高ピーク時の節約もできたようでありますけれども、私は、この中で特に伺っておきたいのは、最近電力料金値上げ以降、円はまた高目の方向で推移をして二百七円弱であるわけです。  そうしますと、当初許可した場合には、八社の場合一ドル二百四十二円で大体三十二ドルということで許可したわけです。先月は三十四ドル、今月は三十四ドル強に通関ベースではなるだろうというわけですから、円高差益というものは当然出てまいっておると思うのですね。九電力平均すると、円が一円上がれば大体百六十億のいわば差益が出る、こう認識しているのですが、その認識は間違っているでしょうか。
  34. 石井賢吾

    ○石井政府委員 本年度ベースにおきまして、全体の年度を通算した見通しというのを立てることはまだ非常にむずかしいわけでございます。たとえば夏季ピークにいたしましても、計画に比較いたしまして二〇%近い落ち込みというような異常な状況の中で、油の消費が全体として一体どうなるかというところを把握することが非常にむずかしいわけでございますので、いま直ちに先生のおっしゃるような数字がそのまま現在の電力会社につきまして妥当するかどうか、さらに検討させていただきたいと思います。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 消費は落ちたけれども、経営コストの面ではプラス、プラス、プラスとプラスの要因が出ておるわけですね。そうしますと、今回の場合は一年限りの申請だったわけですね。それで一年限りの認可をしたわけですね。しかし、ここに来ると大体経済状態見通しても、レートの予想をすることはむずかしいでしょうけれども、まあまあと見通しをしますと、少なくとも来年四月からはすぐ電気料金を値上げするということは回避できる、こう判断してよろしいですか。
  36. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先ほど先生の御指摘のような、いわば原価に好影響を与えます諸要因と申しますのが今年上期におきまして相当出てまいったことは事実でございます。たとえば出水率にいたしましても四年ぶりで一〇〇を超えたという好要因に恵まれておるわけでございます。それに加えまして冷夏によるピーク減と、先ほど申し上げましたが、それによって高い燃料を省くことができたという要因もございます。いま御指摘のような為替レート、それから油の他殺がわれわれとしては非常に安定していくことを期待いたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、それらの要因に加えまして、原子力の発電稼働率あるいは出水率が今後どうなるかというような不透明な部分がございますが、そういったものは経営合理化の努力によって、いろいろな安定努力を払ってもらうことによって、われわれとしてはできるだけ長期に電気料金が据え置かれ、安定していくということを期待しておるわけでございます。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 どうも答弁を受けなくてもいいような答弁のような感じがします。まあいいでしょう。  今日では七月、八月の最大ピーク時、摂氏一度に対して大体二百五十万キロワットから三百万キロワットぐらい違いますね。それぐらい最大電力の際の発電のユニットを下げることができる、こういう試算も実はあるわけです。  それともう一つは、消費者の中における生活価値観の中で節電、エネルギーを節約するという思想が非常に顕著に進んでいるということをわれわれは認めていいんではないか、こう思うのです。そうしますと、電源開発計画というものは従来の発想ではなくして、電源開発そのものの計画が再検討されなければならぬという大体の総括になるんじゃないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  38. 石井賢吾

    ○石井政府委員 確かに、電源開発にかかる問題につきましては二つの面があるのではないかと思っています。一つは、先生御指摘のように、いわば供給の安定性を確保するために併給予備率を十二分に持つという側面で電源開発促進するという観点がございますが、特に電源開発に関する今日的課題は脱石油化という面がもう一つあるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはその二つの目的、ときによりましてはその比重のかけ方が変わってまいるわけでございますが、その両面をにらんで今後とも電源開発促進していかなければいかぬ、そういうふうに思っておるわけでございます。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般通産省の発表では、石油火力の転換の検討の中で、石油火力が現在二百四十七基あるわけですね。検討中が二十八基、したがって二百七十五基、五千八百万キロワット。そのうち石炭転換が確実にできるというのが六基で七十四万キロ、可能性のあるのが四基百万キロ、これを合計すると百七十四万キロですね。全体から見るとウエートが小さいようですけれども、現在の石炭火力は三十七基あって、たった四百十一万キロワットでありますから、それに対しては大きい数字だ、こう言えるだろうと思うのです。LNGに転換できるのが大体三十から四十基、一千万キロワット、五十基転換できれば石油火力の二〇%弱いわば転換が可能だ、こういうことが通産省で試算されておるようにわれわれは承っておるわけであります。  したがって、そういう意味で中国電力の下関一号ですか、これは恐らく第一号じゃないでしょうか。そして今度は中国電力なりにずんずん進んでいくのでしょうけれども、この計画は、特に前の佐々木通産大臣はIEAから帰ってきて、日本の電力の考え方はどうも甘い、石炭転換なり他の代替エネルギーに転換すべきだ、積極的に進めますという方向で検討されてきたものと思いますが、この計画は着実に実行に移すことか可能である、こういう確信をお持ちですか。
  40. 石井賢吾

    ○石井政府委員 六十年度末までにできるだけ早く促進するというのを一つの目安として石炭転換を急いでおるわけでございまして、現在のところ、私ども把握しております計画かつ電力会社を指導した結果として、八基の石油からの転換を現在各社が計画をしておるという状況になっておりまして、先ほど先生のおっしゃった数値より若干上がりまして、ほぼ百十四万キロワット程度が六十年度木までに何とか転換できるのではないかと思っております。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう一つ噴気の関係で聞いておきたいのですが、今年度通産省は原発立地協力交付金について予算要求されておると思います。  問題は、東電の原発が福島県にある。ところが、今度の料金値上げで東北電力の方が大きく値上がりして東電の方が少ない。その安い電気を供給しているのが高い電気を使っている東北地方に入る。こういうところから問題が提起されてきたことは御承知のとおりであります。  その要求は、地域別料金制をぜひやってほしい。これに対して通産省は、原子力発毛施設等立地協力交付金というものを新設する、電源立地地域振興対策交付金を新設をする、交付金の改善と維持管理費交付金の新設を図る、そうして財源は電源立地の勘定のキロワットアワー当たり八銭五厘に四銭を上乗せをする、こういう予算要求をしているのでしょう。これは、一体なぜ地域別料金制という要望にこたえないのかというのが第一点であります。  第二点は、なぜ原子力発電だけに協力交付金を出すのか。安全料というのなら別ですよ。不安全だから安全料で出すというのなら理解できるのですけれども、そうではないでしょう。一体なぜ出すのか。  しかもこれからの立地をずっと考えていくと、原発と石炭火力の立地点は非常に近いところにできているわけでしょう。そういう傾向があるわけですよ。こう考えてくると、この政策は苦肉の策でひねり出してみたけれども、どうも問題が多過ぎる、私はこう言わざるを得ないし、全然関係のないところがこのために、消費者はさらに四銭の財源を上乗せされて電気料金に響いてくる。もちろん、いま電気税は五円ありますから、こっちの方を下げるというのなら消費者はプラス・マイナス・ゼロでありますけれども。  そういう問題点があるわけで、私は理解ができないわけですが、この二点についてどういう考え方を持っておられるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
  42. 石井賢吾

    ○石井政府委員 地域別料金につきましては、電力会社間における格差があるがゆえに特に発電県を中心として出てきた声でございますが、私どもとしては、これを料金制度によってこなすことはできないというのが基本的考え方でございます。基本的には、現在九電力体制をとっておるわけでございますから、むしろ各社間の今後の連携及び競争によってその格差の解消を行っていくことが基本的ではなかろうかと思っております。  なぜ電気料金でできないかというのはもうすでに先生十分御案内かと思いますし、現在の原価主義でまいりました場合にいろいろな問題が発生してまいります。たとえば、確かに発電県におきます送電コストは安いわけでございますが、今度は配電コストは果たしてどうなのか、いろいろむずかしい問題がございまして、料金制度そのものによってこれを解決し得るかどうか。またするとした場合にどういう限度があるかということを詰めるのは相当の長期を要するのではなかろうかとわれわれは思っておりまして、そういう意味におきまして、直ちに電気料金制度によってこれを解決することはできないというのがいまのわれわれの考え方でございます。  それから第二点の、いわば電源地帯のみに交付する金をなぜ全国から取っていくのかということでございますが、われわれの電源開発促進税の基本的な考え方は、電源開発促進いたしまして全国的な電気の供給の安定を図ろう、それに必要な財源確保しようという制度でございますので、したがって、これは全国の電気事業者が徴収するという基本的な考え方でございます。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はなぜ原発に限ってこういうことをするのだということを伺ったのです。
  44. 石井賢吾

    ○石井政府委員 失礼しました。  もう一つ、先生御指摘の原発に限定する理由でございますが、われわれとしましては、電源の脱石油を図っていく上におきまして、今後最も発電コストが低い、先ほど先生が暫定見通しの中にもおっしゃいましたが、経済性を追求することが一つの一番大きなメルクマールになろうかと思いますが、原発の場合には発電コストが比較的安いということが第一にございますのと、第二に、早急かつ大量な開発が必要であるという政策的な判断をいたしておりまして、一方立地が難航いたしておりますのは、現在の原子力発電所のリードタイムが非常に長くなっておる情勢からもおわかりのように、原子力発電でございます。そういう意味におきまして、原子力発電を立地する地域における地元佳局の理解を得ていくということのために今回交付金を考えておる次第でございます。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 料金体系を守るために税金に転嫁して、税金を取ってやろう、こういう安易な考え方だと私は言わざるを得ないわけです。ただ、原発が安い安いと言うのだけれども、あなた方は発電コストを公開しないでしょう。しますか。安いか高いかわからないわけでしょう。そういうことを明らかにしないで、しかも電気料金は認可料金で、決まったら消費者は徴収されるわけですよ。払わなければ電気を切られるわけです。ですから、私はそこにやはり国民が納得できない問題点があると思う。  では、お聞きしますけれども、大体似通った発電所でいいのですが、石油と実績の原子力、いままでつくった原子力のトータルの発電コスト、それから石炭の発電コスト、こういうものを明らかにできますか。
  46. 石井賢吾

    ○石井政府委員 個別発電所の実績につきましてはこれを公表することは差し控えさしていただきたいのでございますが、一応五十五年度運開予定の、たとえば石炭でございましたら五十万キロワット二基の規模、あるいは原子力でございましたら百万キロワット、そういう規模におきますモデルケースによって一応の試算をすることはできるわけでございます。それによりますと、現在の石炭価格及び石油価格前提といたしまして一応試算した限りにおきましては、原子力はほぼ八円程度、石炭につきましては、海外炭あるいは国内炭によって若干の差が出てまいるわけでございますが、十二円から十四円ないし十五円という幅になろうかと思います。そういう意味において、一応私どもとしましては、原子力の低廉性ということはある程度確信を持って言えるのではないかというふうに考えております。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま油を言わなかったけれども石炭は油より安いわけでしょう。原子力も安いけれども石炭も安いのだから、石炭の火力発電所も、それじゃあなたの論理的な組み立て方から言えば交付金を出す、結構なことじゃないですか、政策的に見ても、油から転換するわけですから。いかがですか。
  48. 石井賢吾

    ○石井政府委員 いま先生御指摘のように、確かに油の場合でいきますと十七円ぐらいになろうかと思いますが、いま申し上げましたように原子力の方が石炭よりもはるかに安いということもまた一つの事実でございますし、かつそれが大容量に求め得るということにおきまして、原子力を中心にしてこれを推進していきたいという考え方でございます。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間もありませんから論争できませんけれども、いずれあれしますが、あなたの前提はやはりたとえば七〇%なら七〇%のロードで同じくして比較しているでしょう。だから実際とは数字がかけ離れるわけです。きょうはこの問題ばかりやっているわけにいきませんけれども、私は予算委員でもありますから、問題点として、通産省の今度の電源立地促進の発想については問題点がある、私はそう認識をいたしておりますので、この点を明確にしておきたいと思うのです。  これからわが国の、日本列島における産業構造展開等を考えた場合に、いわば動力というものは、食糧で言えば米と同じでありますから、それを受けてそれぞれの産業活動をするという体制にあるわけです。いわば上流と下流の関係にあると言わざるを得ないわけです。それが地域によって料金がずんずん差が大きくできていくという状況の中で、いままでの体制でいいということにならぬではないか。あるいは融通電力も大体五%弱くらいのところまで来ているでしょう。これは電発を入れるとまだ大きくなるわけですよ。これはさらに大きく伸びていくでしょう。一〇%をやがて超えるのでしょう。そういう情勢の中で、なおかつこれも先ほどの石油と同じで、新しい体制でいかなければならぬというわけです。これももう少し新しい時代に対応する革新的な政策展開というものをいまから準備しなければいかぬではないか、こういう気がしてならないのですが、そんな気持ちは全然ありませんか。
  50. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先生御指摘のように、確かに広域融通のウエートも全体の四%程度、これはキロワットアワーベースで試算いたしますと、大体その程度になることは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、民間活力を動員するということ、それからその効率の発揮を求めるということにおきまして、現在九電力が一応供給区域を定めましていわば競争していく、協調をしていくということによりまして、電源の開発促進と料金の安定を図ろうということを基本といたしておるわけでございます。  その間に、先ほど御指摘の電発も含めまして、広域融通ということによって全体的な電源の効率的な使用とか、あるいは安定供給度を高めるということを現在図っておるわけでございます。私どもといたしましては、先生御指摘のような供給区域だけを与えておるわけでございまして、電源の地域を分割いたしておるわけではございませんので、そういう意味におきまして、それぞれがそれぞれの適地を探し、それを競争的に開発をしていくということをひとつ今後とも進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの質問は前段と連動させて私は言っておるのではないのです。これは電力行政のあり方そのものを基本的に問うているわけです。前の河本通産大臣は、問題なんだ、問題なんだと言うわけです。問題ですが、むずかしいのです、こういう答弁であったのです。これはやはり問題なんです。どうするかということがなかなか出てこない。しかし、そういう時代に八〇年代は入りつつある。八〇年代というのはそういう問題を解決する年代なのだ、エネルギー政策からいったら。そのことを強く指摘しておきたいわけであります。  残念ながら、時間もありませんから次に進みますけれども、IQの取り扱いの問題をちょっと聞いておきたいと思うのですが、原料炭のIQは基礎産業局で扱っているのですよ。一般炭の方はエネルギー石炭部で扱う。こんなばかなことをなぜやっているのでしょうか。IQというのは通産省の所管の中で石炭と皮革くらいしかないわけですよ。これしか残っていないのです。国内石炭産業を保護するためにIQ品目に指定したわけでしょう。エネルギー庁が扱っているのは原料炭一般炭と当然両方扱っている。だから、同じところでIQを扱うようにしなければならない。これはだれに聞いたらいいのでしょうか。他の局の問題だから石油部長でもないでしょう。
  52. 福川伸次

    福川政府委員 お話しのように、原料炭につきましては通産本局の方で外貨割り当てをやり、一般炭については私どもの方で処理しておりますが、その基礎になります需給その他は、両者で連絡を緊密にとり、運用をいたしておるわけでございます。原料炭に関しましては、いろいろ伝統的な処理の仕方もございまして、基礎産業局の方で取り扱っておりますが、主として需要者に割り当てるということでございまして、これがまた粗鋼、鉄鋼の生産、需給見通し等々にも非常に密接に絡むということでございますので、現在便宜上の措置として通産本局の方で処理をいたしております。  一般炭になりますと、いろいろユーザーの範囲が広くなってまいるというようなことで、私どもの方で取りまとめてやっているわけでございますが、運用に当たりましては、需給上そごを来さないように、私ども石炭の立場から十分通産本局とは連絡をとって処理をいたしております。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし、ここ二、三年の傾向を見ますと、もちろん鉄鋼、粗鋼生産の落ち込みがあったとはいえ、国内原料炭は全消費量のわずか一一・六%くらいのものですね。なかなかこれは問題が大きいですね。今年三月末では百七十五万トン程度の貯炭になっているわけですね。そうして優先引き取りだ、優先引き取りだといって、IQ品目に指定して、心配ないようにします……。これが三〇%も四〇%も占めているなら話はわかるのですけれども、わずか一二%弱なんですから、一二%切れるものが優先引き取りになっている。値段が高いから、太刀打ちできないからIQ品目に政府は指定しているわけですね。それも厳格に運用されないわけです。そのことは、やはり石炭は内外の石炭を一元的に同じところで扱うべきです。これから新政策をやるといっても、国内生産引き取りの安定化という問題も当然大きな課題でしょう。どうこれを進めるかということです。当然これは一元化すべきですよ。これは常識ですよ。これはおかしいと思うのですが、通産大臣いかがですか。
  54. 田中六助

    田中(六)国務大臣 大臣になって受け身になっておりますけれども、私も前からそのことは不思議に思って——不思議というよりも、ちょっとおかしいなという気持ちがしておりましたので、十分検討してみたいと思います。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度の需給計画は珍しく早くつくったわけですね。去年は、ことしの三月になって去年の需給計画が策定されたわけです。ことしは早く決められるということは結構だと思うのですけれども、この需給計画は若干見置しを必要とするのではないか。もちろんそれは国内炭振興の対策だけではありません。やはり.石炭に対する需給は非常に旺盛になってきているわけですね。だから、三月末の貯炭も当初見込みより減になるのではないか。外炭の輸入についても問題点があるのではないか、こういう気がするわけです、  そして、こういう言葉を使ったら皆さん驚かれるかもしらぬけれども、来年は石炭ショックが来るのではないかと私は思うのです。石炭が欲しいけれども石炭がない、もちろん貯炭を全部使ってしまって、同じベースでいったらその分外炭で手当てしなければならぬわけです。だから、来年は石炭ショックの年ではないかと私は残念ながら予言せざるを得ないのです。そういう面から考えて、いまの需給計画を見置すということではなくして、来年を展望した需給計画の大まかな見通しというものは今年の末まで、十二月ごろまでにめどをつけておく必要がある、こう思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
  56. 福川伸次

    福川政府委員 まず、五十五年度の石炭需給でございますけれども岡田委員承知のとおり、五十五年度の合理化実施計画によりますれば千八百万トンの生産を見込んでおります。しかし、いまもお話がございましたように、一部の炭鉱における災害等もございまして、これを若干下回る可能性があろうかと思っております。  需要面におきましては、原料炭につきましては五十四年度を若干上回ります八百万トン程度になる見通しでございますが、一方、一般炭につきましては、セメント業を中心にいたしまして石炭の転換がかなり進展をいたしております。  それからまた、石炭火力の運開も予定されるということでございまして、一般炭につきましては、今年度は前年度に対しまして二〇%増の千三百二十万トン程度になるのではないだろうかというふうに思っております。この結果、昨年生産調整までいたさざるを得ない状況になりました貯炭でございますけれども、これは相当程度減少いたしまして、年度末には恐らく百五十万トン程度。前年、五十四年度末よりも三百万トン程度減りまして百五十万トン程度になるのではないだろうかというように予想をいたしております。  一方、一般炭の輸入につきましては、セメント業等を中心といたしましてかなり増加をいたしておりまして、前年度に比べまして四倍の七百七十万トン程度に達するものと思われます。  今後、五十六年度の需給の見通しをどうするかということでございますが、需要の方はセメントあるいは電気を中心にいたしましてかなり増加するものと思われます。供給につきましては、今後の災害等の復旧の過程等によりますけれども、大体五十五年度の横ばい程度になるのではないかと思われますが、今後来年度の見通しを早く決めるべきではないか、十二月までに決めるべきではないかというお話でございましたが、これは来年度の経済運営、経済見通し等の作業の進捗状況を見合わせまして、日本経済活動がどのくらいに予測されるのかという点を見きわめまして、適時適切にこの需給見通しをつくってまいりたいというふうに思っております。
  57. 岡田利春

    岡田(利)上委員 業界は安い石炭が欲しいけれども石炭はない。油は節約しなければならない。油の方が高いけれどもあるから買いやすい。こんな矛盾が起きるわけですね。私はそういう意味で、ぴしっとした見通しじゃなく、大まかなことを早目に考えていかなければならぬ情勢だということを指摘しておりますので、その点御理解願っておきたいと思うのです。  そこで、貯炭の問題を諮る場合に、わが国の一年間の出炭総量の約四〇%弱を占めている三池の貯炭を考えずに論ずることはできないわけです。三月末でどのくらいになるでしょう。このウェートはどの程度占めるのでしょうか。  そして同時に、貯炭貯炭と言うけれども、貯炭の内訳を見ると、五千五百カロリー以下のローカロリー一般炭の貯炭というのがあるのですね。たとえば、純一般炭の炭鉱である太平洋を見たって、いま五千五百カロリー以下の貯炭が二十一万トンくらいあるわけです。ですから、構造的に貯炭の内容が違うわけですね。欲しいのは高カロリーである。だから、貯炭もあるあると言うけれども内容が偏在したり、三池の場合には港が限られておるわけですから出すのも制限されてくる、またローカロリーになる、こういう点があるわけです。そういう意味で、来年度の需給関係というものは、量的なものではなくして、内容的に見ると、ことしから見ると問題にならないほど厳しくなるだろう、私はこういうふうに思っておるわけです。  この点もひとつ十分検討されて、やはり手当てができ得るものは手当てをするという努力が必要でありますから、その指針としてそういう大まかな分析を出されることは結構じゃないか、こういう意味で申し上げているわけです。  もう一つは、国内炭の場合は別にして、石炭を論ずる場合に、残念ながらマクロ的に内外の石炭を論じなければならぬわけです。鈴木内閣は大平内閣に引き続いて環太平洋構想を打ち出されている。また今度国会が終わると来年、正月ですか、鈴木さんが今度はASEANに行かれる。通産大臣も今国会中に出、帳があるという状況であります。しかし、この経済圏構想の中で基本的なエネルギーの構想というものが鮮明でないというのは、私は非常に問題点があるのではなかろうかという気がする。  同時にまた、これから資源を、たとえば石炭でも確保するという場合に、日本の国だけを考えて一体できるのか。たとえば原料炭の場合には、先進国家でそういう設備がなければ原料炭は買えませんから。一般炭の場合は、地球的に油からエネルギー転換をやるわけですから、国と国との競争というものが当然生まれてくるわけですね。ヨーロッパもある、あるいはまたそれ以外の国もあるということで、いろいろそういう動きはオーストラリアなども示されているわけです。そうしますと、環太平洋とかASEANとかの連帯と言うけれども、隣国だとかそういう国々との連帯というものをぴしっとエネルギーの分野で構築していくということが重要ではないか、そういう視点がどうも欠けておるのではないかという気が私はするのですけれども、そういう点についてどのようにお考えになっているのか、この機会に承っておきたいと思います。
  58. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いま御指摘の点でございますけれども、実は三週間前に私はASEAN諸国から帰ってきた。諸国といいましても五カ国のうらフィリピン、マレーシア、タイ。ビルマは別でございますので、三カ国。今回残りのインドネシアとシンガポールに行くわけでございます。  それで五カ国全部でございますけれども、私自身のドクトリンといいますか考えは、実は四つぶら下げていったわけでございますし、あと二カ国にもそのことを主張してまいるわけでございますが、その四点の最大の問題、課題の提起はエネルギー問題ということにしておるわけです。その他三つありますけれども、第一にエネルギーをどういうふうに五カ国のASEAN諸国とやっていくか。これはひいては環太平洋構想にもつながるわけでございますけれども、少なくともまずASEAN諸国五カ国と御相談しよう。それは五カ国の中で石油がとれるのはインドネシアとマレーシア、その程度で、あとは石炭、地熱とか太陽熱の研究をそれぞれやっておるわけでございます。  しかし、この五カ国がそれぞれのエネルギーをプールすれば、それは最後は環太平洋に結びつくわけでございますけれども日本を含めまして、それからそのほかずっと東南アジア諸国も含めてエネルギー全体を協議していくならば、それぞれ埋め合わせてロスもなくなって、全体的に見ると本当は足りるのだ。それが個々にながめてみると非常に足らないということがあるわけです。したがって、そういうふうに考えていったらどうだろうかということが私の頭にひらめきまして、それを実はそれぞれの国に主張しているわけで、私は帰りにそれらの国々の人々にエネルギー会議と食糧の会議の二つは定期的にやったらどうかということを実は提案してきたわけでございます。  したがって、私のそういう構想はいまから訪ねる二カ国についてもそれを御相談申し上げ、将来とも相互にエネルギーをいろいろな角度から検討していって埋め合わせていくならば、経済的にも、それが最大限目でございます経済協力もうまくいくのではないかということを頭に描いておりまして、これは岡田委員指摘の点もございますし、さらにその点を深めていきたいというふうに考えます。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日のエネルギー価格というものを考える場合に、それぞれのエネルギー価格の比較というものが出てまいるわけでございます。十年たってもわが国の総エネルギーの中で五〇%は石油が占める、こう需給見通しは示しておるわけであります。もちろん液化天然ガス、LNGも石油に準ずるでしょう。LPGもそうでありましょう。したがって、十年たっても五〇%を油が占める以上、わが国エネルギー価格の基本ベースというものは残念ながら石油価格にある、こう認識するのがきわめて素直ではないか、こう私は思うのですけれども、この点いかがですか。
  60. 福川伸次

    福川政府委員 現在の世界的なエネルギー供給構造を見てみますと、七八年でサミット七カ国におきますエネルギーで、石油は五二%を占めております。日本におきましても、先ほどから御審議いただいておりますように、十年後には五、六割程度ということでございます。  したがいまして、石油価格が他のエネルギー価格にかなりの程度の影響を与えるという点は私どもも否定できないところだと思いますが、しかしながら、海外炭あるいは代替エネルギー、そういったようなコストあるいは需給動向というようなこともこれまたそれなりの影響を持っておるわけでございまして、石油価格の水準が直ちに代替エネルギー価格そのものを左右するということにはならないのではないだろうか、それぞれ代替エネルギー代替エネルギーとしての需要構造あるいは供給構造、それからまたコストの状況といったようなことに影響をしていくということではないだろうかというふうに思っております。もちろん石油価格がかなりの程度の影響を及ぼすという点は私ども否定いたしませんが、それぞれのエネルギーの持つ特性に応じました価格ということも、それぞれの代替エネルギー価格を決める要因になるというふうに理解をいたしております。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 たとえば先ほど問題になっているように油と石炭国内石炭海外石炭価格を比較する。原料炭の場合は原料炭の場合で比較が出ているわけですけれどもエネルギーとしての一般炭の場合の比較は、いつでも言うことが非常に平面的なのですね。私はもう少し現実的かつ具体的に比較しなければならない、こう思うのです。だから、本当は伊達の一号、二号、三十五万キロ二基あるわけですね。二号機はことし運開したわけですね。苫厚真も運開に入ったわけですね。来年一月には松島の一号機が運開するわけです。大体五十万キロですね。この発電コストを比較したらおもしろい数字が出るわけですけれども、本当におもしろい数字が出る。この数字言えますか。
  62. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先ほど申し上げましたように、個別発電所につきましての発毛原価につきましては、いろいろ支障がございますので差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 私資料を持っているのですけれども、ここで言うのを差し控えたいと思う。ただ、少なくともそういう発電所の発電コストというものが示されないというのは私は納得できないですね。これは本当にやったらおもしろいですよ。おもしろい数字が出るわけですよ。ですから、たとえば国内炭の暖房用炭が不足で中国から適正暖房用炭を輸入した。そうすると、これは国内の炭鉱の引き受け価格よりも上回るというような現象が出ているわけですよ。もちろんこれは暖房用炭の場合。だから通関ベースで比較するのではなくて、いま持っている現有施設、能力、そういうものを前提にして比較しなければならぬと思いますね。たとえば松鳥火力にばっと六万トンで来た価格、今度は二方四千トンくらいで宇部に来ている価格、ばっと接岸するわけです。今度は徳島に六万トンで揚げて、そして五千トンなら五千トンに積みかえて供給先に持っていった価絡、大体こういう三つぐらいの視点で比較しなければならないと思います。  そうすると、先ほど質問がありましたけれども海外一般炭国内一般炭価格の差というものはなお縮まってくる。むしろ逆転するところも出てくるわけです。いまのベースで国内炭が安いという地域も必ず出てくるわけですよ。そういう比較を素直にやらないと国内炭の消化というものは決まらないと思うのです。国内炭の場合にはかつて五千五百万トンを出して、すでにいま一千八百万トンの状況に低迷している。しかし鉄道もあれば港湾施設もある。積み出しについては近代化資金を出して蓄積をしてきた。輸送船についてもマル近船をつくって、これも国が補助をしてそういう蓄積を持っている。揚げ地についてもそれに対応するものがある。こういう蓄積を大切にしなければならないのであって、そういう前提に立っての視点というものが分析として必要ではないか。そういうところのきちっとした視点がないと第七次政策も決してうまいものにはならない、こう思うのですが、こういう私の指摘についてはいかがでしょう。感想で結構です。
  64. 福川伸次

    福川政府委員 岡田委員指摘のとおりに、国内炭価格あるいはまた海外炭価格、これを比較いたしますときにどの時点でとるか、またどういう条件で比較するかというのは確かに非常にむずかしい問題がございます。現在私どもの方でも標準炭価というものを、石炭合理化法五十八条の規定に基づきまして決めることにいたしておりますが、これにつきましては、石炭審議会の意見を聞きながら、石炭生産費、それから石炭の輸入価格石炭以外の燃料価格等々を総合的に勘案いたしましてこれを決めておるわけでございます。  これを決めます場合には、国内炭引き取りと申しましょうか、需要確保を図るというようなことから、需要業界の理解を得ることもこれまた必要であるということでございまして、それらを総合的に判断をし、需要業界の話し合いを経た上でこれを決めるということでございます。いま御指摘のように、それぞれの状況により、また用途によりまして炭価の比較というのは大変むずかしい問題がございます。それはもちろん、それぞれの需要あり方等について詳細に勉強する必要がある点は私どもも十分認識をいたしておりますが、今後石炭の炭価の決定というようなことにつきましては、第七次の石炭政策につきます審議においても十分勉強をさせていただき、その審議会の結論を待って私どもとしても適切に対処してまいりたいと思っております。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣は八月六日に新政策、第七次政策の諮問を、石炭鉱業審議会にされたわけであります。そこで、この二千万トン体制という問題について、先般世界石炭研究会議においては、主要十六カ国のエネルギー専門家が集まっているわけです。もちろんこれは民間でありますけれども石炭鉱業審議会の重要メンバーがこの会議に参加をいたしておるわけです。  そこでちょうど五回の会議を開いて、「石炭−未来へのかけ橋」と題する報告書が出されている。十年ないし二十年間のエネルギーの谷間を埋める石炭、こういうような報告書が出ております。日本石炭の最大輸入国となる、西暦二〇〇〇年には二億七百万トンから一億五千万トン、少なくとも一億八千九百万トンから一億三千二百万トン、そして国内生産は千八百万トンと明確に報告されておるわけであります。これは民間と言いますけれども通産大臣承知のように、石炭鉱業審議会で長い間やってきておって、いまも中心になってやっている人が参加しているわけですよ。そして国際会議のレポートでは千八百万トン、こうなっているわけです。だからこれは当然縮小体制に入っていく答申が出るだろう、こう心配せざるを得ないのです。この報告書を恐らく大臣も皆さんも御承知だと思うのですけれども、どういう気持ちで受けとめられますか。
  66. 福川伸次

    福川政府委員 その報告につきまして、皆さん個人の資格で御参加になったというふうに理解をいたしております。したがいまして、私どもとしては、今後の石炭生産規模あり方につきましては、現在諮問させていただいております石炭鉱業審議会としての審議を経て、それの御結論を尊重してまいりたいというふうに思っております。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 この点は私は特に指摘をしておきたいと思います。きょうの議事録を審議会で読まれると思うから、そういう点では非常に敏感にわれわれは注目をしているということを明確に申し上げておきたいと思います。  同時に現有炭鉱、もちろん一定の生産安定目標があって落ち込んでいるという炭鉱がありますね。あるいは災害が起きた新鉱のような場合もありますけれども、総じて現有炭鉱の生産能力——炭鉱が深部化するとOPECと同じ考え方になるわけです。長生きするためには長生きできるような採掘をしなければならないわけですね。そうなってまいりますと、現有炭鉱の生産能力というものは、私の見方ですよ、相対的に言うと若干生産が下がる。極端には下がりませんけれども、ある程度下がる状況にあるというのが現有炭鉱の素直な状態だと私は思うのですけれども、そうではないですか。どうでしょうか。
  68. 福川伸次

    福川政府委員 既存炭鉱の生産あり方をどういうふうに見ていくかということでございますが、お話しのとおり従来までの主、要炭鉱の経過をたどってみましても、採掘深度はだんだんと深くなっていく、また坑道の延長も延びていくというようなことで、自然条件がだんだん悪化してまいるわけでございまして、そういう意味で言えば、今後既存炭鉱もいろいろ構造改善等をやりながらこれの維持を図り、またコストの増大を抑えていくという努力は必要であろうと思いますが、一般的に見ますならば、今後の既存炭鉱の能力というのは、自然条件がだんだん厳しいものになっていくことに応じてその生産も変化をしていくというふうに思います。
  69. 岡田利春

    岡田(利)委員 北炭新夕張炭鉱に災害が起きたことを私は非常に残念に思うわけでありますけれども、この北炭新夕張は既存炭鉱で一番新しい山でしょう。まだ、五年くらいしかないわけでありますから、既存の大手の炭鉱で一番新しい炭鉱ですね。そしてこの炭鉱は三百六億の投資をして開拓したわけです。産出する石炭の質は工業分析で言えば、弱粘、弱粘と言っているけれども、輸入している強粘結と比較すると強粘結と言った方がいいのですよ。工業分析上から言えば、わが国で最南の原料炭であるということも間違いのない事実だと思います。  そして既存炭鉱の生産能力を問いたわけですが、そういう点からいうと、北炭の新夕張鉱の再建というものは、もちろん北炭自身が主体的に考えなければならぬことでありますけれども政策的に見ても、そういう主体的な努力前提にしながら再建しなければならぬ炭鉱だという認識は一致するんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  70. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ノーマルな条件あるいは環境ということから考えますと、もちろん北炭を一日も早く再開してということは考えられます。現実に、十一日に保安局長から一日千トンということでもう大丈夫だという報告がございまして、それならばということで許可をしているわけでございます。  岡田委員指摘の点からすれば、当然私どもも喜んでやらなければいかぬところもございますけれども、私も長い間この委員会委員をしておって、北炭というもの、経営者の態度、そういうものにつきましても長い間ずっとながめておって、これは模範化だという解釈が成り立ちません。炭鉱で働いている採炭あるいはその他切り羽部面の人とそれ以外の人も含めて、全体的な批判をしては私の責任ある立場からどうかと思います。  事故はありましたけれども死傷打がなかったからよかったわけで、数日前から、あるいはその前から自然発火の徴候があったというようなことを現実に聞きますと、条件そのものが非常に悪い炭鉱でもございますし、そういう点を加味しても、労使が本当に自助努力というか、そういう面が一〇〇%納得できるんだろうかという疑問が私は払拭されておりませんし、もう許可をしてやり始めているわけでございますので、これからはそういう批判あるいはうわささえないように労使が努めていってほしいという気持ちでございまして、そういうことを願う業界全体の気持ち、また石炭政策そのものから見ましても、非常に歯切れの悪い表現でございますけれども、もう少し労使が緊張の度合いを深めて対処してもらいたいという気持ちであります。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 私、おととい札幌に行きましたが、北海道新聞に「北炭夕張新鉱の再建へ 政府も財政支援 田中通産相意向固める」というのがあります。ここには「田中通産相が“支援”のハラを固めたのは1石炭見直しの中で一定の国内炭生産維持したい2北炭の閉山による地元経済への悪影響を無視できない3これまでの交渉で北炭の“甘え”の体質にクギをさすことが出来た一などの判断による。」こういうふうに実は記事が出ているわけです。  私は、田中通産大臣の考え方を私なりに解釈すると、いま答弁されたのは第三番目、甘えの体質にくぎを刺すことができたではなくて、もう少しくぎを刺してその結果だということの御答弁でありますけれども、大体こういう態度で北炭の再建案というものは検討していかなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  72. 福川伸次

    福川政府委員 大臣の御答弁の前に事務的なことを一言述べさせていただきたいと思います。  北炭の再建につきましては、本日、林社長が私のところへお越しになりまして、一応おまとめになられた案をごくごく概略、あいさつのような形で承りました。明日以降私どもの方でその計画をさらにしさいに検討をさせていただきたいと思っております。  私どもの問題意識としては、この予定されております生産計画が果たして妥当なものであるのかどうか、また採算のめどがどのような形で立っていくのであろうか、当面、今年度内は当然といたしまして、さらに中期的に資金的に成り立っていけるめどがあるかどうか、またその背景といたしまして、関係金融機関あるいは需要業界等の支援の体制がどういうふうになっていくのかという点を十分検討してまいりたいと思っております。  いまも当委員会で御論議がございますように、労使の自助努力というのがその根底でございますが、その点は十分見きわめて、関係者の意見も聞きました上で私どもとしての態度を決めたいと思っております。明日以降検討してまいりますので、まだその評価、方向については申し上げる段階ではございませんが、いま申し上げたような問題点を検討してまいりたいと思っております。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 この炭鉱は、第四次政策においては、鉄鋼業界から国内原料炭確保ということは非常に重要である、こういう強い要請があって政策が組まれた。そういう中で三菱の南大夕張と新鉱が開発され、一方においては有明が自己資金で開発されて三池で採掘している、こういう経過があるわけであります。  しかもこの炭鉱は、開鉱については非常に厳しい審査があるわけです。そういう中でこれは通産省の認可を受けてやってきているわけです。そしてまだ五年しかならない。いわば炭量については、いま採掘したところは一日一千トンといいますけれども、西安八尺で六百四十万トン程度ですね。すでに一回掘ったところにまだ炭量があるわけですから地質条件がわかっている、そういう状況にもある。  そして北炭の場合は、北炭のいろいろな批判というものがありますね。私は打っております。だがしかし、時間がありませんから、言いますけれども、大手炭鉱で第三次肩がわり以降閉山した会社は北炭以外にないわけです。私の記憶では八山が閉山されております。そのうらの五山が北炭であるわけです。しかも規模が大きいわけですよ。ですから、第三次肩がわりまでは計画的なスクラップ・アンド・ビルドをやったわけでありますから、急激な閉山で肩がわりで受けとめたわけですね。そういうことも、指摘指摘、批判は批判として正確にわれわれは認識しておく必要があるのではないか、こう思うのですが、私のいま言った点、そうでしょう。
  74. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いずれにいたしましても、結論を申し上げますけれども、そういう再建の方向でやって、いまそういう気持ちで自助努力を相互に労使がやっていくというようなことを強く願って、私も再建の方向に向かってそういう決断、腹を決めたいと思いますし、岡田委員も専門家でございますから、どうかそっちの方のリードをうまくやってほしいと私の方からお願いしておきます。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 ずっと聞いてきたのですが、二千万トン体制というものをある程度考えていく場合に、いずれにしても、私は、新鉱の開発を新しい政策で組み立てなければならないと思うわけであります。  特にこれからの新鉱開発は、原料炭ではなくして一般炭でやるべきであります。その最も有望なのが北海道の大北と釧路炭田であることは、もうすでに調査で明らかになっておるわけであります。しかも原料炭の場合には、北炭新鉱のようにマイナス六百メートル以下に石炭が賦存しておるわけですね。ところが、一般炭の場合には、天北の場合には百五十から三百ぐらい、釧路炭田の場合には三百から六百メートルの間に、石炭がある。非常に浅いわけであります。  そして今日の炭価の動向や、いろいろ油の価格との関係を見ると、新鉱の開発は可能であるし当然やらなければならない、そのことが新石炭時代における一つ国内資源をわれわれ日本は十分注意して考えておるというあかしにもなるのではないか。したがって、新政策の中に、第五次政策の中には新鉱開発論というものを触れておるわけですから、第七次の政策ではこの点を当然具体化しなければならない問題である。審議会といったって、通産省が資料を出さなければそんなことはわからぬのですから、正直なことを言えば。そういう積極的な姿勢がなければいかぬと思うのですが、この点についてはどうですか。
  76. 田中六助

    田中(六)国務大臣 二千万トン体制維持ということが至上命題とするならば、あるいはそうでなくとも、現状でも新鉱開発というのはできますけれども、しかし、環境その他のことで、必ずしも昔の状態で新鉱ができるかどうかということは問題が多うございますので、答申案のことを私どもがいろいろ言うのはちょっとおかしな話でございますけれども政府の、私の気持ちとしては、新鉱開発により一層何か便宜が与えられるようなことができるならばという強い希望を持っております。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、近く通産大臣にも具体的に数字も含めて提言をしたいというような積極的な気持ちを持っておるわけです。環境問題、労働力確保の問題あるいは需給の関係、そしてまた経営の環境、鉱害の問題、こういうものがすべて評価できる地点も幾つかあるわけであります。  そういう点で、せひ意欲を持って取り組んでいただくことをこの機会に申し上げて、いずれ私からも具体的な御提言を申し上げたい、こう思うのであります。  そこで、新政策の最大の課題は、企業問格差について、先ほど質問があって答弁されておるのを聞いたのですけれども、一面においては部長の答弁は当たっていますよ。しかし、やはり基本的には違うと私は思うのですね。御承知のように、いま石炭の手取り価格で比較するといっても企業の中で最低と最高を比較すると六千円も違うわけです。そういうものなんですね、石炭というものは。しかも、空知の話でありましたけれども、急傾斜と緩傾斜があり、機械化できないところと機機化できるところがある。昔は、人力でやったときは急傾斜の方が能率的だった。ばばっとやってどすんと石炭がすぐ鉱車に来って出る、最近はそうはいかない。  そう考えてまいりますと、やはりわが国石炭の生成というのは、本来であれば褐炭なんです。これが高度な歴青炭ができるという意味は、浸食作用によって炭化作用が進んだという意味であって、諸外国は三億か四億年かかって、石炭になるものを日本は何か年代で出てきたわけですから、最も条件が悪いのですから。そこでこれだけの生産と能率を維持していくというのは大変な努力が要るのですね。国際的に比較すると素直にこういう評価ができるのですよ。全面的に、全部前提を除いて比較するから問題があるのです。だから、そういう意味では、企業間の格差というものは、努力だけでもはや格差は埋まらない、これは絶対に埋まらないのです。  たとえば、三井石炭だって、三池炭鉱を離して砂川と芦別というふうにしたらどうなるのですか。企業の中のこの格差はぐんと増大するでしょう。三菱だって二つあって、南夕と高島を比較してみるとこれは明らかなんです。住友や太平洋、松島は一社一山である。そう考えてくると、この企業間格差を埋めない限り平均政策でやっても、これは解決できる問題ではないと私は思うのですね。まして深部開発に進んでくる度合いというものを分析してみなければならぬ場合もあります。そうすると、従来の発想の延長線上には企業間格差と国内石炭生産体制の安定というものは不可能であるというのが私の持論であります。こう断定することがいいか悪いか、御批判を私はいただきたいと思います。  だから、新政策はこの面については最大の重要課題でありますから、どう一体これに対応するかということは、少なくとも今度の政策は八〇年代前半五年間は含まれるでしょう。そして八〇年代の十年間を展望する政策になることは間違いないと思うのですね。これはきょう時間がありませんから議論する気持ちはございませんけれども、そういう意味で、ひとつ十分重点的にこれは検討を願いたいということを強く申し上げておきたいと思うのです。  わかりやすく言えば、油より安い石炭をどうしてつぶすことができるでしょうか。そこに地域経済もあるではありませんか。しかも現有炭鉱は、夕張で言えばすでに多額の金をかけてやっている。鉱害という問題はないわけです。海の下か山の下でありますから当然鉱害という問題は考えられない。地域経済とより密接に結びついている。石油より安いという意味は、これはエネルギーの面で大きな貢献ができるということを意味している。同時に国際的な動向から判断すれば、エネルギーの全体的な確保という国策自信の面からいっても一定量を、ある程度高くてもむしろ日本の国はそれらを確保するという姿勢、そういう姿勢があったからようやく二千万トン近くいままで残ってきたと私は思うのです。  そして先ほど言いましたように蓄積された設備がある。今度やる場合には新しくやらなければならぬわけでありますから、七十年に一般炭だけで八千万トン入れるといったら十二万トンの専用船が百隻要りますよ。そのために一千万トンクラスのコールセンターを四カ所くらいつくらなければこの段階ではだめでしょう。そこからまた五千トンか七千トン船で運ぶ、船舶の総数は相当なものになるわけです。いまの試算でもやっている。コールセンターにトン当たり四千円かかるわけです。  そういう面で考えると、やはりいままでの蓄積というものを大切にしていく。そういう姿勢の中で国内石炭生産体制というものをどう安定させていくか。新規でやると、平均政策をやると上と下と差がある。ちょっとしたたなら平均で何とかいけるのでありますが、そういう差ではないでしょう、いまの差は。そういう意味で、これは絶対に避けて通ることのできない課題である。いわばもう一度石炭の問題は体制問題である。問題意識は体制にあるということを再びこの段階でもわれわれは語らざるを得ないし、またわれわれはそのことを議論せざるを得ないということが本当のところではないか、こう思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
  78. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いま岡田議員の御指摘の問題は私どもも長い間考えておった問題でございますし、これは懸案の課題でございます。実を申しますと、審議会に対しましてもその課題をお頼みして一応審議をしてもらうことになっております。
  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 北炭新鉱の場合にも、いまの予定清算量で見ると一千八百万トンとしても、そのウエートはわずか六%なんです。これがもしマクロ的に受けとめられるとすれば、リスクがありますから六%なんですよ。だだっと下がっているのですね。北炭は体質がああいうことになるわけですからがたが非常に来るわけですね。そして深部化へ移行するということは先ほど議論のとおりでありますから、この点、いまの石炭関係者が本当に一歩出て、真剣にわが国石炭資源というものを歴史的に、その使命を間違いなく果たさせるという決断があるだろうか、このことによって決まるのではないかと私は思いますので、せっかく大臣の御答弁もありますから、よろしく御検討願いたいと思います。  最後に、保安関係でひとつお聞きしたいのは、深部化移行に伴う対策、これはやはり新しい制度の中でも議論されなければならない問題だと思います。そういう意味で、特に深部化するということは複雑化するという意味でありますから、チェック体制というものがチームの中でより図られなければならないと私は思います。  御存じのように保安技術職員というのがあって、保安統括者から始まって保安係員があって、そしてまた特定の鉱山労働者には指定鉱山労働者や有資格鉱山労働者ということで特別の教育をして安全を保っている。だが、係員ばかり配しても、いまもこれからも炭鉱の保安を守ることはなかなかむずかしいと私は思うのです。そうすると、先山というのは部下がおるわけでありますが、保安法上何らの資格がないわけであります。特定の者には、有資格の鉱山労働としてのそういう資格要件がある。そして先山というのはないわけですよ。だけれども保安上、自分の生命も守らなければならぬ、チームの生命も守るとすれば、ある一定の位置づけを図ることが自身の保安保安を守るというチーム体制の中で必要になってきたし、今後も新政策の中で深部化対策としてもこのことは重要なものとして取り上げられなければならない問題ではないか。  あるいはこれからの内外の石炭資源確保するという意味では、採鉱学というのはいま大学にないわけですから、機械工学ですから、大学にだって採鉱学ないんですから、とらないということもありますけれども、そういう人材養成の問題もあわせて考えなければならぬのではないか。こういう点についても、第七次答申に対する保安関係についての考え方をひとつお聞きしたいということです。  次に、労働省でありますけれども、きょうは素直にお聞きしておきたいと思うのです。  これは、夕張の新鉱の場合でも大砲が言われたように、労使である程度思い切ったことをやらなければならないでしょう。しかし、私は限界があると思うのです。その点、いまの炭鉱の労働条件というものは、いろいろ言われておりますけれども決して高い水準にあるのではないと思うのです。私はそういう認識を持っているわけです。そういう意味で、労働省の方から、特に密接——そしてまた重筋度の多い鉄鋼の労働者の大体の所定内賃金、あるいはまた一時間当たりでも結構です。あるいは同じエネルギー産業労働者である電力の労働者の労働条件についてはどうなのか、同じ地下労働であるメタルマインの労働者と石炭の労働者を比べたら一体どうなるのだろうか、そういう点について労働省の方から、第七次政策に当たっての労働問題ということも、労働力の確保ということが非常に重要問題になりますから、そういう意味を込めて御答弁を願いたい、こう思います。
  80. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 ただいま質問のございました前段の部分についてお答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、わが国石炭鉱山、将来とも深部移行等が進みまして、坑内圧、地圧あるいは坑内温度等の増大等が予想されます。これに従いまして坑内条件が非常に悪化するのではないか、こういうことが実は予想されるわけでございます。私から申し上げるまでもなく、保安確保わが国国内生産体制維持するための基本的な前提条件でございます。  こういう意味合いにおきまして、先生御指摘のありました保安面につきまして審議をお願いすることとしておりますし、第七次答申におきまして、石炭鉱業審議会におきましても十分これらの問題を御議論いただきたいと実は考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても保安確保する、このためには、その前提は、われわれとしては炭鉱の自主的な努力が基本になる、こういうふうに実は考えておるわけでございまして、国といたしましても、従来にも増しまして監督行政の的確な運用を通じまして災害の防止に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  具体的な施策の骨子でございますが、一つには、国におきます監督指導の質的な充実を図ってまいるということが第一点でございます。第二点は保安確保工脚の促進、それから三番目には、先生も御指摘ございましたように山におきます保安体制整備、さらには保安教育の拡充によります坑内労働者の質の充実、それからさらには重大災害を予知し、これを予防するための保安技術の開発促進が挙げられるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、この四つ政策を軸といたしまして、特に重大災害の根絶のために努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 伊藤欣士

    ○伊藤説明員 ただいま岡田先生から御質問がございました炭鉱労働者及び類似の労働者の賃金はどうかという御質問でございますけれども、毎月勤労統計調査を労働省でやっておりますが、これは昨年の四月から十二月の毎月平均の数字でございますが、いわゆる石炭鉱業の労働者の所定内給与の平均は月平均で十七万八千円余という数字になっておるわけでございます。類似のといいますか、鉄鋼業の数字は同じく所定内で十九万二千六百円、それから金属鉱業の労働者の賃金が二十万千五百円、それから電力業界、電気業の労働者の賃金が二十万八千五百円、こういうような数字になっておるわけでございます。
  82. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  83. 森中守義

    森中委員長 岡田利春君の質問は終了いたしました。  引き続き鍛冶清君の質問を行います。鍛冶清君。
  84. 鍛冶清

    鍛冶委員 きょうは大臣のごあいさつをいただきました。田中通産大臣は旧産炭地域御出身で、旧産炭地域にとりましては、いま問題になっております石炭関係の六法が延長されるかどうかという重大な時期でございまして、そういう大変いい時期に詳しい大臣通産大臣としてお座りになったということについては、私ども超党派で産炭地域の浮揚ということを考えておる立場からいいましても、大変うれしい思いをいたしております。さらには、そういう旧産炭地域の振興について大臣からいろいろ前向きな、ユニークな御発言があるようでございまして、そういう問題も含めて、きょうは限られた時間でございますので、数点にわたって御質問を申し上げたいと思います。国内炭海外炭その他前向きの問題もございますけれども、これはまた本会期中に機会もございますので、後の機会に譲ることにいたしたいと思っております。  最初の大臣のごあいさつの中で「産炭地域振興対策については、対策の華本法である席炭地域振興臨時措置法か明年十一月に期限が到来することから、現在、今後の産炭地域振興対策あり方について滝炭地域振興審議会で御審議いただいており、近く答申の運びとなる予定であります。」こういうごあいさつがございました。この諮問については近いうちにということでございますが、大体いつごろ答申が出るようになるのか、最初にお尋ねをいたします。
  85. 福川伸次

    福川政府委員 産炭地域振興審議会に対しましては、六月二日に通産大臣の方から諮問事項についてお願いをしておりまして、現在鋭意審議が進められておりまして、取りまとめに近い段階になっております。正確な日時を申し上げるまで見通しが立っておりませんが、そう遠くない時期に答申を出していただき、それで私どもとしては、通常国会にはこの法律の取り扱いについてお諮りできるというようなことの体制ができるようなタイミングで、できるだけ早く答申をちょうだいいたしたいというふうに思っております。
  86. 鍛冶清

    鍛冶委員 大体今月中には答申が出てくるというような見通しはございますか。
  87. 福川伸次

    福川政府委員 現在、関係委員の間で御意見のお取りまとめをしておるわけでございます。ちょっと今月中ということは、私どもとしてはまだはっきり見通しが立っておりません。
  88. 鍛冶清

    鍛冶委員 この答申につきましては、もう取りまとめに入っているというようなことから、大変いろいろ新聞報道等も最近なされているわけですが、特に私どもの地元の新聞、西日本新聞でありますけれども、九月六日付の報道の中で社説で取り上げられておりますが、その中に「産炭法の答申期待する」こういう大きな見出しで次のように言っておるわけです。   末年秋、期限切れを迎える『産炭地域振興臨時措置法』の延長と見直しを通産大臣から諮問されていた産炭地域振興審議会が、今月末の答申を前に、その骨子をまとめた。   1法の延長期間を十年間とする2振興地域として指定されている市町村を選別し直す『足切り』はしない3新たに、市町村のワクを超えた、ブロック別発展計画をつくる、というものである。   先にわれわれは、石炭関係六法の全体系を根本的に見直すべきことと、産炭法の延長の必要性を主張した。   答申案の骨子は、大筋において評価できる。二十年近い産炭地振興の歴史からみて、新たな前進と展望につながる芽も指摘できる。こういうふうな形で社説に取り上げて報道されておるわけでございます。  これがそのまま答申の骨子として、全体はどういうようになるかわかりませんが、答申されるのであるならば、私自身も、この報道を見て、これは大変評価できるいい内容を盛られた答申案である、こういうふうにも思うわけでございます。この社説に書かれておる骨子、これは骨子ということになっておりますが、審議会でここ何回か審議がされてきた経緯もあると思いますし、そういう中で通産当局も御列席になったかと思いますし、報道されている骨子というものはほぼ盛り込まれるという見通しがあるのかどうか、そこらあたりをお聞かせ願えればと思います。
  89. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私が通産大臣になっておりますので、鍛冶委員も御承知のように、答申というものはこちらが頼んでやっておるものでございまして、その答申が出ない前に、通産当局の最高責任者である私が、内容がどうであった、こうであったというようなことを言うことはとんちんかんな話でございます。  ただ、産炭地の人々の要望、それから政府がこれから石炭政策をやっていこうというような一つの筋道から、この延長の問題それから石炭政策全般を考えまして、通産大臣というポスト、地位を離れまして、いままで石炭対策をやってきておった国会議員の田中六助といたしましては、十年間の延長という希望、それから内容がそう余り変わらない、その期間中に何とか産炭地の人々も含めて——いまの産炭地の状況というのは、私はまだまだ正常だというような判断をしておりませんので、正常になればという希望も含めまして現在の立場におるわけでございまして、事務当局が言いましたように、近く審議会答申がございますので、それを待った上で、その答申にのっとって私の決断、判断をいたしたい、こういうふうに思います。
  90. 鍛冶清

    鍛冶委員 さらに大臣にお尋ねして申しわけないかもわかりませんが、いまの新聞報道の中の答申の骨子の内容というものは、いまおっしゃったように、一は法の延長期間十年、二番目が地域指定の足切りはしない、それから三番目は市町村の枠を超えたブロック別の発展計画をつくる、こう三つに要約されておるわけでございますが、答申云々、骨子云々ということを離れまして、この三つというものはぜひ産炭地域の振興には必要なことであろう、こう思うわけでありますが、この点についての大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  91. 田中六助

    田中(六)国務大臣 鍛冶委員指摘のいまの三点は、これからの産炭地並びに日本エネルギーというようなことを考えまして、社会的にも経済的にもあらねばならない骨子ではないかというふうに考えます。
  92. 鍛冶清

    鍛冶委員 これもまた先ほどの社説の後の方に出てくるので、これについてまたお答え願えればと思うのでありますが、その中に「答申の骨子で注目されるのは、ブロック別発展計画の導入と、これを裏付けるため『特定事業促進調整費』として、来年度予算に十一億円の概算要求がなされていることである。」こういうふうに書かれてあるわけです。これは、特定事業促進調整費ということになりますと、大蔵省に五十六年度の概算要求もすでになさっていらっしゃると思うわけでございますが、そういう中にこの十一億円というものを概算要求なさっておられるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  93. 田中六助

    田中(六)国務大臣 これもまた非常に答えにくい話でございますけれども、来年度の予算につきましては、時期的には当然折衝しなければなりませんし、そういう意味では、答申を待たずしていろいろなことを予測してやることは行き過ぎの点もございますけれども、予算全体の割り振りでございますので、やらねばならないことでございますし、その点は予測して含まれております。
  94. 鍛冶清

    鍛冶委員 大変お答えにくいことをお尋ねして申しわけないのですが、実は変な意味ではございませんで、やはり旧産炭地域、特に私の地元の地域におきましては、こういう関係のものが、法の延長と絡んでの問題が生き死にの問題にかかっておりますし、大変前向きに、いい形で推し進めていただくものはむしろどんどんやっていただいた方がいい、こういう立場で御質問を申し上げておりますので、お答えにくい中にそういうお答えをいただいて大変ありがたいと思っておりますが、この特定事業促進調整費というのは、どういう内容で使うような形になるのか。さらに突っ込んだ御質問で大変申しわけありませんけれども、お答えが願えれば、差し支えない範囲でお聞かせ願いたいと思います。
  95. 田中六助

    田中(六)国務大臣 十一億、私は余りそういうことを口にするのはなにでございますけれども鍛冶委員の御指摘の点を折衝しておりますし、それ以上、内容をどうとかこうとかということは、答申が出れば、もういろいろ折衝でございますので申し上げると思いますけれども、もうしばらく待っていただければ幸いだと思います。
  96. 鍛冶清

    鍛冶委員 ひとつ、そういったいろいろな意味も含めまして、ぜひ前向きに、産炭地の皆さんにとって大変いい形での推進がなされ、予算の裏づけがなされるようにお願いをいたしておきたいと思います。  この問題はそれでおきまして、これもまた大臣が御発言をされたという報道の中での確認を含めて、前向きにぜひ推進をしていただきたいという切なるお願いのもとに御質問を申し上げるわけでございます。  これも西日本新聞に報道をされておりましたけれども、ここにございますが、「筑豊でエネルギー博」ということで、実はエネルギー博覧会を筑豊地域で開くという提案と申しますか、そういったものが通産大臣からお話が出たというふうにこの新聞報道がされているわけです。この記事の最後のところに「田中通産相の話」といたしまして、要約して書かれたのだと思いますが、事実かどうかはわかりませんけれども、「博覧会開催は一時的には金がかかるが、沖繩海洋博に見られるように地域開発への投資効果は大きく、長い目でみれば国としても安上がりになる。来年度予算でエネルギー博開催のための調査費をつけ、ぜひ実現させたい。この博覧会開催を契機に筑豊の社会基盤を充実させ、本格的なエネルギー産業を誘致するなど筑豊が新しいエネルギー基地になるよう努力する。」こういうふうに報道されているわけです。  旧産炭地域だけでなくて、いろいろな地盤沈下しているような地域に対しては、こういう考え方、いわゆる博覧会等をやりながら地域の浮揚を図るということは、公共投資で国民の皆さんの税金を投入して、その経済的な波及効果を求めていくという何倍かの波及効果が出てくるし、大変ユニークな、すばらしい考えだというふうに私は思います。  こういうものを実際に筑豊地域でやるという観点に立って、いろいろ改めて産炭地域の見直しを考えてみますと、交通体系にしろ、道路の問題それから国鉄の赤字線の問題、いろいろな形のものを含めまして、産炭地域、筑豊地域の浮揚には大変いい形ですべてのものが進行するのじゃないか。  これは当然、準備もずいぶんかかりましょうし、それから、こういうものを一つやるについては大変膨大な予算を伴うわけですから簡単にできるとは思いませんけれども、そういう地盤沈下に対して、仮に法の延長十年が認められたとしても、その十年間に、今度はいわゆる地域の振興というものに本格的に腹をくくって取り組んでいかなければならないというときに来ておりますし、この十年間が特に旧産炭地にとっては重大な時期になっておるときにこういう形のものが出てくると、生きがいと申しますか、非常に暗い中で明るい展望と、よし、これを一つの機会に、足がかりに立ち上がろうというような機運が出てくると思います。  そういう形での明るい感じというものが、これが実現できればという中で実は地元でも声が上がってきておることは事実でございます。そういう意味も含めまして、このエネルギー博の開催ということについて大臣が御発言をなさっておるということの報道でございますが、この点についての大臣のお考えなり前向きのいろいろな施策があればお聞かせ願いたいと思います。
  97. 田中六助

    田中(六)国務大臣 この問題の真相を申し上げますと、私が語ったと称せられるいまの後ろの方の私の談でしょうが、みごとに私の談になっておるのですけれども、それはしかし、私の頭の中に描いておったことと非常によく似ているということは言えると思います。  それで、筑豊をいかにして浮揚させるかということは、この大臣というポストを離れて私どもが、中西さんももちろん、鍛冶先生もそうでしょうし麻生太郎さんも含めてでしょうが、どうしたらいいのかということは強く頭にどうしてもあったと思います。筑豊地帯の人口が四十数万、五十万近くあるわけで、小さな一つの県にも似たようなところで、御承知のように田川郡下で四つか五つの町は三軒に一軒ぐらい生活保護者がいまだにおるというようなところ、あるいは炭住街が残っておるというようなところの生活環境で、あるいは不良化した青少年が非常に多いというようなことも一挙に解決するならば、時間というものが非常に経過していくわけで、その間にできることをやり得るのはどういうことであろうかということを頭に常に描いておったわけです。  ところが、ある町の町長さん二、三人が、たまたま私がその話をしたら、それがいいということで話を新聞記者にしたんじゃないかと私は思います。私のところに来ましたから、私は、それはまだアイデアで、書くとか書かぬとかいう問題じゃないよと、いずれにしてもあたふたと帰ったわけです。それから二、三日したら福岡県の方からそういうようなことを言ってきたわけでございます。  現実には、万国博というようなことになりますと、いま私ども日本国内で科学技術博覧会を筑波で六十年ですか、やることになっておりますけれども、そのことにつきましても万全の措置をいま一生懸命やっておるところで、膨大な金がかかるわけでございます。また名古屋のオリンピックをやるとかやらぬとか、あるいは大阪空港をどうとかというように、一つの万国博というのはそれに等しいようなことで、しかし実現できれば、確かに鍛冶委員のおっしゃるように、効果というのは、波及効果というような簡単に済まされるものじゃなくて、一度に問題解決できるわけでございますけれども、それはあくまで熱望、希望であって、現実にそれがいますぐできるというようなことは困難でございますし、もう一つエネルギー博をアメリカが再来年開くわけです。  そういうようなことで、万国博となりますとそれこそ世界各国でいろいろな万国博の規定がございますし、国の予算もさることながら、世界の各国の万国博関係の人々の興味からいろいろなものを具体的にやっていかなくちゃいかぬわけで、いま筑豊にすぐさま、あるいはこの数年以内あるいは十年見てもなかなか困難なところがあろう。  しからば、そういう万国博覧会ができなければ国内国内博覧会というようなことも考えますと、そのことになりますと国の予算とか国の援助というものは皆無でございまして、調査費といってもそんなものもつくわけはないのですけれども、何か方法をしぼって、多少国から何らかの形で出るというような程度で、あとは地方、県とかあるいは会社関係企業関係それから市町村関係、そういう人たちの金の出資でできるというようなことになるわけで、そうなりますと、国内博となりますと、万国博で浮揚したような形、あるいは大阪の万国博というようなこと、東京オリンピックというようなこと、そういうようなことを頭に描いて、それに等しく国内博というものを結びつけることはほとんどできないことでございますので、そういう点の開きというものも十分考えなければいけませんが、少なくとも国内の博覧会にいたしましても、そういうことが一つの動機になっていろいろなことができ得るならば何か国で支援できることはしなければならない。  しかし、アイデアとしては一応何らかの形で取り上げ、それが筑豊地帯の浮揚につながるならばという気持ちは持っておりますけれども、現実のところ、もしでっかいことを頭に描いてそれをいろいろ希望に結びつけていくならば、むしろいまそれを冷やしておく方がいいような気持ちもしているのが偽らざる私の現在の心境でございます。
  98. 鍛冶清

    鍛冶委員 大臣のお気持ちは、やりたいけれども、いろいろな状況の中では厳しいものもあるというような御答弁をいただきましたが、お気持ちは十分わかりますし、大臣がおっしゃったことだということを一切抜きにいたしまして、事務局の方も含めてちょっとお尋ねをするのですが、こういう問題については、何をやるにも一つの時期というのがあるような気がいたします。そういう意味では、こういう話が起こってきたということは、私は決して悪いことではないというふうにも思うわけです。いま大臣からいろいろお話を伺った中で、国際的な博覧会、国内的な博覧会、こういろいろあるようですが、いま筑豊で仮に地元の意見がまとまって、いろいろやりたいというような中でこういう博覧会を開催するといたしますと、どういう形でどういうように進めていくと一番いいのか、そこらあたりのことをひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  99. 神谷和男

    ○神谷政府委員 国内博覧会につきましては過去に行われた例もございますし、近くは神戸でも、たとえば御承知のようにポートアイランド博覧会、これは国内博でございます。それから現在計画中ということでございますが、四国の仁尾で太陽博ということで、これはエネルギーの中でも太陽をテーマにいたしまして、現在いろいろ準備が行われておる状況にございます。  こういうものにつきましては、やはり地元といたしまして、皆様方でいろいろ具体的に計画を固めていかれるということが手始めでございまして、しかし博覧会などやったことないし、どういうことをやったらいいのかというような点、いろいろ戸惑われると思いますが、そういう点につきましては、第一義的に私どものところでは担当課でいろいろ御相談をしたり、過去の例をお示ししたり、御助言をさしていただいたりしております。  これが手始めでございまして、具体的に計画が固まり進んでまいりますれば、たとえば私どもの省に非常に関係が深い、まあエネルギーとなれば当然でございます、非常に関係の深いものに入りますが、通産省が後援することができるかできないか、後援名義の使用の問題というようなもの、あるいはそれを通じて事実上いろいろ御助力をするというようなことが一般的に行われておりますし、また、一部の国内博では大臣が顧問に就任されるというようなケースもございまして、こういたしますと企業の動員その他も非常にはずみがついてまいります。そういうような点を、従来、おのおのその計画の内容等をお聞きし、あるいは御相談しながら行ってきております。また、産炭地であるということから、この面も含めてどういう御助力ができるかということは、いろいろ工夫しながら考えていくべきだと思います。
  100. 鍛冶清

    鍛冶委員 いままでのことを要約いたしますと、国際的な博覧会についてはいろいろ国際的な取り決めの中での問題もあるし、エネルギー博は一九八二年にアメリカでも開催する予定なんです。そういう意味から、国から補助の出る国際博覧会についてはまず不可能であろう、やれば国内博覧会で、いまおっしゃったような流れの中で、地元が、きちっと盛り上がりがあって、そしていろいろな準備が整ってくれば、その相談に応じながらこれは開催ができる、こういうことでしょうか。
  101. 神谷和男

    ○神谷政府委員 まさに先生御指摘のとおりでございます。国際博覧会につきましては条約でいろいろな約束がございます。具体的にはアメリカでやるエネルギー博がありますほかに、昭和六十年に筑波でやりますので、どうしてもそれから一定の間隔はあけませんと、同一国ばかりに博覧会を持ってくることはむずかしゅうございますので、国際博という問題を検討しますとかなり先の話に——検討そのものも先の話になろうかと思います。
  102. 鍛冶清

    鍛冶委員 時間は若干早いようですが、私がきょう御質問を申し上げたいことは大体終わりましたので、最後大臣に、今後は審議会答申を持ちまして、個々いろいろ言われておる内容、また、先ほど大臣からこういう形でありたいというようなお話もございましたが、そういうことも含めて、石炭六法の再延長、それに絡む産炭地域の振興、こういうことについては、われわれ地元から出られました大臣といたしまして、私どもも超党派で応援をしながら、いろいろな強力な施策の推進をぜひお願いをいたしたい、こういうふうに思いますので、その点についてくどいようでございますが、最後大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  103. 田中六助

    田中(六)国務大臣 鍛冶委員の御指摘もございますし、地元の人たちの希望も、私も十分痛いほどわかっておりますし、そういうものを総合して考えて対処してまいりたいと思います。
  104. 鍛冶清

    鍛冶委員 どうもありがとうございました。
  105. 森中守義

    森中委員長 鍛冶清君の質問は終わりました。  引き続き小渕正義君の質問を行います。小渕正義君。
  106. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、きょう通産大臣も所見の中で言われておりました、要するに新しい環境に対応するための今後の、石炭政策あり方について、俗に言う第七次石炭政策ですか、これらの問題を中心に御質問をしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕  八月六日ですか、通産大臣石炭鉱業審議会にいま申し上げたような新しい石炭政策あり方についての諮問をしておるわけであります。きょうのお話によりますと、明年の半ば答申を目途に現在審議中だということでありますが、通産大臣として、今回この石炭鉱業審議会に諮問をした主な内容、考え方、そういうものをでき得ればここで明らかにしていただきたい。  あと一つは、来年の半ばごろを一応目途にしてあるようでありますが、その答申を受けた後の手順といいますか、どのような形の中で、どういう方向に、それを受けて処理していこうとされておるのか、そういう日程的なものを含めてひとつ考えを明らかにしていただきたい、かように思います。
  107. 福川伸次

    福川政府委員 諮問に関しましては、先生御承知のように、現在石炭は有力な石油代替エネルギー資源一つといたしまして、国際的にも非常に大きな見直しが進められておるわけでございます。また、国内的にも第六次の石炭政策実施してまいりましたが、その後、自然条件、採掘条件あるいは雇用の状況等々にかなりの変化が見られるわけでございます。エネルギー需給、それからまた石炭をめぐる諸環境が大きく変わってきておりますので、今後の石炭政策あり方いかんということで諮問をし、御検討を煩わしておるわけでございます。  御承知のように、五十年七月十六日の第六次等申には、国内炭生産維持海外炭開発、輸入の促進石炭利用技術開発促進といった問題が織り込まれておりますが、現在石炭鉱業審議会におきましては、今後の国内炭生産規模あり方、あるいは生産維持を図る上での問題点と対策海外炭の安定供給確保華々の問題、さらにまた石炭利用技術開発促進を図る上での問題点と対策、こういった問題を新しい環境のもとで全般的に見直して、新しい政策を構築していきたいということで諮問を申し上げておるわけでございます。  現在、石炭鉱業審議会の中に検討委員会を設けまして、向坂正男委員委員長にお願いいたしまして、現在までに数回検討をいたしております。一応私どもとしては、その検討委員会審議を中心にいたしまして、いま申し上げたような問題を御検討を願い、来年の半ばを目途に答申をちょうだいいたしたいというふうに思っております。  石炭鉱業合理化臨時措置法一連の法律は五十七年の三月三十一日に期限が参ることになっております。したがいまして、来年の夏に答申をいただきまして、必要な予算要求等の処置がございますれば予算要求に織り込み、それで来年の暮れから始まります通常国会に必要な法的な措置の御審議を煩わすということで準備を進めたいというふうに考えております。     〔岡山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この第七次石炭政策の新しい環境の中でどのようにあるべきかということ、いま数項目の、要点が説明されたわけでありますが、これはやはり第六次の石炭政策との関連の中で初めて第七次が生かされてくるんじゃないか、かように私は思うわけであります。  したがいまして、そういう関係で考えました場合に、行政当局としての見解を明らかにしていただきたいと思いますが、昭和五十年のあの第六次石炭政策答申が果たして現在どこまで生かされてきたのかという点について、私たちの側から見ました場合に非常に大きな不満を持っているわけでありますが、当局としてはそれらについてどのような判断をお持ちなのか。私は、やはりこのことは第七次石炭政策審議する上できわめて大事な問題だと思います。そういう意味で、そこらあたりの見解をお示しいただきたいと思います。
  109. 福川伸次

    福川政府委員 小渕委員指摘のとおりに、新しい政策展開を考えます場合に、従来の政策の評価というのが前提になる点は御指摘のとおりでございます。いろいろな問題点がお考えの中にあろうかと存じますが、たとえば二千万トンの体制ということが一つ従来大きな問題点として指摘されております。その後、第六次政策実施いたしましても、これが二千万トンの生産を上げることができませんでした。昨年度も千七百七十六万トンという生産規模にとどまっております。今年度も、先ほど北炭事故等との関連で申し上げましたが、千八百万トンという現在の実施計画の生産規模見通しを若干下回る可能性もあるという状況でございます。  このように、生産量が二千万トンを下回ってきたというような理由はいろいろあろうかと思います。需要面、供給面双方から考えてみなければならないと思っております。たとえば五十年に幌内炭鉱の災害といったようなものがあった、そういった災害の発生という不幸な事態もございますし、また一方、需要面では五十二年からかなり円高になり内外炭の格差の拡大が見られた、あるいはまた景気の回復のおくれに伴いまして、原料炭需要先であります鉄鋼生産が低迷をするといったことから引き取りが減少するといったような事態がございます。そんな需要面あるいは供給面双方からそういう状況がありまして、第六次政策の基盤となりました二千万トンというのが維持できなかったという状況になっております。  これからの需要面につきましては、石炭火力がだんだんと運転開始に至っていく、また、セメント業界の石炭転換が進行するというようなことで、貯炭も減少し需給は改善に向かいつつございますが、今後その生産あり方をどのように考えていったらいいかということは、国内の諸条件を十分見直すと同時に、また国際的な石炭の需給及び価格の動向等を踏まえて見直してまいらなければならぬというふうに思っております。  また、あるいは石炭企業の経営を改善していこうということも第六次答申の大きなねらいでございましたが、先ほど申しましたような内外炭の格差の拡大といったようなことから、炭価が石炭企業の赤字を消すには至らない水準にとどめられたといったような事態がございましたが、私ども第七次の答申検討するに当たりましては、第六次の施策の効果、成果あるいはその反省といったものに立って検討してまいりたいと思っております。
  110. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ここで一つ大臣にお尋ねいたしますが、この第六次石炭政策は五十一年ですか、閣議了解事項で、答申を受けてスタートしておるわけですね。それで、それぞれ情勢の変化はありますし、社会は御承知のように動いておりますから何もあえてかた苦しいことは申しませんが、そういう事情はわかるにいたしましても、いま申し上げたようないろいろな要因があって、必ずしもこの六次の答申の性格は生かされていなかった。生かされてないという言葉はちょっと語弊がありますが、期待するほどのものはされてなかったという感じを私たちは受けます。  そういうことから見ました場合に、閣議での了解事項、閣議で一つのものを決める、これがもろもろの条件の変化はあるかもしれませんが、閣議で決めた後その結果が形としてどのように実行されるのか、そこらあたりについての閣議としての、俗に言う、一般的な言葉で言う閣議で決めた場合における拘束力といいますか、そういうもののほかにどの程度までそういうものについて深くお考えになっておられるのか。閣議では決めっ放し、あとは状況の変化でしようがない、こういうことでは私は閣議の了解事項というものは余りに権威がなさ過ぎるのではないかと思うわけでありますが、そういう意味で見まして、閣議で少なくとも決めるからにはあらゆる努力を行政としてしなければいかぬと思うわけです。そういう意味で、閣議で決められた了解事項、決定事項というものをどの程度重きを持って皆さん考えておられるのか。簡単に言うと、俗に言う拘束力ですけれども、そこらあたりをどの程度判断されるのか、ひとつ大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 田中六助

    田中(六)国務大臣 そのときの政府閣議決定でございますので、その重みは、行政の最高機関でございますし、行政面ではやはり一番重いというふうに考えます。ただ、いままで石炭は第一次答申から第六次答申までございましたように、それぞれ全部閣議決定で出されたわけでございます。あるいは了解もあったかもわかりませんけれども、少なくとも閣議に諮ってきたわけでございます。それが、くるくるとまではいきませんけれども、五千五百万トン体制からずっと六次の二千万トン体制、その二千万トン体制も、先ほどから各委員も私も申し上げておりますように、千八百万トンさえ切っておるような状態、そういうことで希望を——これも実は石炭鉱業審議会答申を受けて、政府はそれをのんで閣議でそういうふうにしたわけでございまして、これは言い逃れではございませんけれども、閣議の前にそういう審議会がこうしなさいということ、これは政府が頼んだわけでございますので、そうですが、それではそのとおりやってみますということで、もちろん責任、義務というものは政府にございます。だから、それを何とかその目標どおりしなければなりませんけれども、いろいろな関係、諾情勢で、石炭関係だけではなくても変わっていくことは非常に多うございますし、特に石炭事故というものが日本の場合非常に多うございまして、今回の六次答申の間にも炭鉱の事故が多くあって、それがこの二千万トン体制に響いたことも事実でございます。  そういうようなことで、炭鉱そのものも深部に入れば日本の場合、熱気とかそれから通風関係保安関係、そういうものが非常に加味されまして出炭量に響くというようなこともあって、二千万トンということはできない場合もございます。そういうことで、閣議そのものの重みということは私は最高だと思いますけれども、ただ、それが現実に閣議決定したからそのとおりにならないことを結び合わして、閣議というものの一つの重みが非常に軽くなっておるし、それから、そのとおりやらないことは怠慢じゃないかというような御批判、御指摘もあるでしょうけれども、しかし、決まったことをそのまま現実に一致させるということはできない場合も多々あって、それが即閣議の重みに大きく作用するというような考え方については私は疑問を持ちます。  ただ言えることは、閣議決定というものについてはあくまでその目的達成に努力しなければならないということははっきり言えると思います。
  112. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 社会は常に生きて動いているわけでありますし、そういう状況の変化に敏速に対応していくのが行政の役目でもあると思います。そういう意味で、閣議決定事項がそのまま機械的にすべて行われなかったという意味で責める気は何もありません。  ただ問題は、そういう情勢の変化の中で、行政府というものは答申案との関係をどこまで生かそうと努力していったかどうかという見方、評価だと思います。そういう点で、ここらあたりをしっかりしておかぬと、また第七次石炭政策というりっぱなものが出されたりしまして、また皆さん非常に期待しておるわけでありますが、結果的には、そういう恣意的な客観情勢に置かれる状況の変化ということだけで、またそれが半分は、言葉は悪いかもしれぬが、空文になるようなことであっては、何のための答申であり、閣議決定かということになると私は思うのであります。  そういう点で、また第七次の答申を受ける際にも、第六次のこういったいままでの経緯、答申案と実際とのギャップというもの、本当にこれはなお努力すべき問題でなかったのかどうか、これはどうしてもやむにやまれぬ問題であったのかどうか、そういう点でもっと真剣に深く掘り下げた中から第七次というものが出てくるべきじゃないか、こう私は思います。  そういう点で実は申し上げるわけでありますが、二千万トン体制ができなかった。これはいろいろな要因があるでしょう。しかし、需給上のバランスもありましたけれども、結果的には炭鉱で働いておる人たちも大きなしわ寄せを受けて、貯炭のために減産体制に入る、そのために福利厚生その他あらゆる労働諸条件の低下を余儀なくさせられる、そういう問題も発生したわけでありますが、やはり答申をどういうふうに生かしていくかという努力をしようにも——行政当局としてそれに本当に真剣にそういう角度から取り組んでいれば、もう少し積極的な姿勢があれば、もう少し変わった状況が生まれたのじゃないか、そういう気もするわけであります。  したがいまして、いま申し上げたように、閣議というのは果たして重さがどこにあるのかということを言いたくなるような感じがしたわけでありますが、ただいま大臣の見解で一応の理解をします。そういう関係から考えまして、先ほどちょっと触れられましたが、今回の第六次石炭政策の中における実際の大きなギャップ、ずれはもうやむを得ない事情としてだけ受けとめていいのかどうか。私は行政当局としてそれだけではいかぬのじゃないか、こういう指摘をしたいわけでありますが、その点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  113. 田中六助

    田中(六)国務大臣 第六次答申内容に関する反省も含めまして、次の第七次答申については取り組みたいというふうに考えます。
  114. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いま大臣の方からそういう見解といいますか、私は一つの決意と受けとめて、第七次の答申を実際に閣議で受けて通る際には、第六次答申については行政当局の怠慢とは申し上げませんけれども、やはりそこらあたりについては行政当局なりのもっと積極的な取り組みが欲しかったという意味で、ぜひ謙虚に受けとめていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、労働力確保関係の問題について二、三点触れて申し上げます。  いろいろな方からも言われておりますし、行政当局でも十分御承知と思いますが、わが国の炭鉱の実際の技術というものは非常に優秀な、世界に冠たる技術があるわけでありますが、残念ながら非常に老齢化していく、若い人たちは集まってこない、そういう面で一つの非常に大きな問題点を持っているわけであります。何をさておいても一番のポイントは、やはり魅力ある職場といいますか、こういうものが何といっても大事だと思いますが、魅力ある職場づくりをどうするかといういろいろな問題を含んでおります。  そういう意味で、労働力の確保という意味で若い層を考えました場合に、一例を挙げますと、長崎県下にある松島炭鉱では、非常に苦労しながら、会社経営上苦しいながらも、従来から高卒資格の学校の中で三年間勉強さして、そしてそれを第一線の炭鉱の現場に送り出す、こういう養成学校といいますかそういうシステムを採用して、苦しい中でもやっているところでありますが、若い人に魅力ある職場をつくるためのいろいろな条件がありますけれども、そういう意味での技術力の確保とあわせて若手労働力を確保するためには、高校卒の資格を上げるような実務的な養成所といいますか、そういうものがまたある程度魅力あるものの一つになるんじゃないかという気がするわけです。そういう意味で、非常にむずかしい地域的な環境に置かれておりながらも何とか若い人を確保できている要因は、ともかくこういうものが一つあるんじゃないかと思います。  しかし、これはなかなかむずかしい問題です。特にいまの炭鉱の企業の場合にはそれぞれ各社非常に腰が弱いといいますか基盤が非常に弱まっておりますので、そういうものを一社だけでやることについては非常にむずかしいかもしれませんが、何とかそういう方向で行政当局も助成といいますか、そういう形の中でこういう問題に取り組めないものだろうかということを考えるわけでありますが、そこらあたりについて当局の見解があればお聞きしたいと思います。
  115. 福川伸次

    福川政府委員 労働力の確保が重要な課題であるということは、私どもも十分認識をいたしております。そのためには、多角的ないろいろな努力、施策が企業の段階ではもとより政府のベースでも行われなければならないというふうに思います。  広く全体的に考えますれば、石炭鉱業の将来性の展望ということを明らかにすることも必要でございますし、いま委員からも御指摘ございましたように、経営基盤の確立ということも非常に必要であろうというふうに思います。もちろん、いま御指摘のような個別の企業がいろいろな知恵を出し、努力をしているということも、これもまた非常に有力な労働力確保の対応策ではなかろうかというふうに思います。  また、政府といたしましても、たとえば教育訓練に関しまして、保安技術職員の養成を鉱山保安技術講習所において行う、そのための助成措置をする、あるいはまた鉱山保安センターにおきます保安技術者教育あるいは有資格者教育、さらに新入者の基礎教育などの教育訓練ということのために補助金、助成金を出すというようなことを行っております。また、生活の安定あるいは福祉の向上ということもこれまた重要なことでございまして、福利厚生施設の整備あるいはそれに対する助成といったようなものにも取り組んでおるわけでございまして、そのための融資制度等も努力いたしておりますが、そういう努力企業のサイドでももとより、また政府でも助成策を講じていくというようなことで、そういう多面的な魅力ある職場づくりということが必要ではないかというふうに考えております。
  116. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 こういった教育投資といいますか、こういうものは非常に長期的な視野で見ていかなければならぬと思いますし、そういう意味でこれからも積極的な行政当局のそういう措置期待したいと思います。  最後になりますが、あと一つだけ、これは労働省にお尋ねいたします。  現在、わが国も高齢化社会を迎えておりまして、定年六十歳というのか一つの大きな課題になっておりますね。それで、現在政府の方では、何とか六十年には六十歳定年が社会的に定着するようにということで、いろいろな施策をやられておりますが、それぞれの基幹産業においてはそういう傾向になりつつありますが、炭鉱の場合には、御承知のように、坑内と坑外というふうに仕事が二つに分かれておりまして、実際に坑内労働ということを考えますと、これはとても六十歳までのそういうことは考えられないというのが現実ですね。そういうことで、五十五歳から厚生年金の支給が開始されているわけであります。  ところが、そういう社会的な風潮の中で、炭鉱の坑外で働いている人たちにとっては、当然六十歳までは十分労働可能な状態に置かれているわけであります。そういう意味で、企業側でも労働側でも、これは真剣に取り組む問題ですけれども、特にそういう特異的な状況に置かれているのが炭鉱の状態ですね。だから、この六十歳定年という問題は一概に律しられない、そういう特殊な状況に置かれております。  労働省としては、基幹産業である石炭産業に対しましても、ここらあたりについて何らかの考え方がないのかどうか。やはりこれは単に企業側だけ、労働側だけに任しておいて解決できるかどうかということになりますと、私は非常に困難ではないかという面がいろいろあると思いますので、ここらあたりで何か御見解があれば、最後になりましたけれども、お聞きしたいと思います。
  117. 加藤孝

    ○加藤説明員 御指摘のように、高齢化社会が進んでいきます中で、定年延長問題、大変重要な問題として取り組んでおるわけでございますが、石炭は、坑内の場合には五十五歳で厚生年金の支給が開始される。また、その金額等につきましても一般よりもやや優遇されておるというような問題等もございまして、一応五十五歳をさらに延長することについてはむずかしい問題があろうと思います。  坑外の関係の問題についてでございますが、結局そういうような労使慣行の中で、坑外だけもっと延ばすというような形が簡単にいけるものかどうか、企業の中における労使慣行の中でうまくいけるものかどうか。これは私もまた研究させていただかなければならぬと思いますが、基本的には、この問題は、やはり労使でよくその辺についてのコンセンサスづくりをやっていただきませんと、一概にどうも外部からどうこうはなかなか言えない問題である。どうしても労働側からも延長したいという強い要望がある、あるいは企業側の方でそういう方向については同意しながらも、具体的な方法論はどうするかというようなところまできていない。そういうことでございまして、今後私どもも、そういう問題について、労使とも意見交換していかなければならないと思いますが、ひとつ今後の勉強課題にさしていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  118. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 確かにこれはそれぞれの労使関係の中の問題でありますけれども、先ほど若干特異性として申し上げましたように、問題は、坑外の人たちも五十五から厚生年金をもらえれば問題ないですね。やっぱりそういう方たちはいまのところ六十歳厚生年金受給、そこにギャップがあるものですから、非常に深刻な問題になりつつあるわけですよ。  ただ、もちろん、そういうことを考えますと、やはりそういう定年の年齢を延ばすということとあわせて、それ以外の対策、たとえばそういう人たちに対して、年金じゃないにしても、何らかそれにかわるべきようなものの新しい制度を、労使関係の中で十分研究していかなければいかぬのじゃないかという気もしますけれども、そういう意味で、行政側としての指導とか助言とか、でき得ればそういう制度をつくる場合の助成といいますか、そういうものをぜひ検討課題一つにしていただきたい。なかなかすぐ結論の出る問題ではございませんけれども、といってやはり見逃せない一つの大きな課題であるということだけを申し上げて、私の質問を終わります。
  119. 加藤孝

    ○加藤説明員 具体的な手段といたしましては、定年延長奨励金ということで、私ども、定年延長する場合の相当高額な援助措置は持っておるわけでございます。問題は労使が、そういう坑外について延長しようということについてのコンセンサスが得られれば、それを具体化するためのそういう奨励金制度はぜひ活用していきたい、こう思います。
  120. 森中守義

    森中委員長 小渕正義君の質問は終わりました。  引き続いて小沢和秋君の質問を行います。小沢和秋君。
  121. 小沢和秋

    小沢(和)委員 この機会に、通産大臣に何点かお伺いをしたいと思うのですが、まず第一に、国内炭の増産問題についてお尋ねをしたいと思います。  いわゆる石灰の見直しということがいま盛んに言われておるわけですけれども、その中身を見ておりますと、海外から石油にかわって燃料炭を大量に入れようというような範囲のものになっております。私は、エネルギーの面での安全保障ということを考えてみても、日本国内でのエネルギー基盤の自主性というものを少しでも増大させることが非常に重要だと思うのです。そういう立場から、きょうの通産大臣あいさつを伺っておっても、国内炭生産を長期的に維持するように努めるというお話で、これは私、二千万トン程度を今後も維持するという意思表示としか思えないわけですね。もっと積極的に国内炭の増産に取り組むという姿勢をお持ちでないかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  122. 田中六助

    田中(六)国務大臣 きょう私の施政の方針として、新しい石炭時代ということを打ち出しておるわけでございますが、やはりわが国エネルギーの根本に横たわっておるものとして、唯一の大きなエネルギー資源でございます石炭をバックボーンとして置かなければいけない。  これは、もう少し砕いて申し上げますと、石油の依存率は、九九・八%を海外から輸入する。いずれにしても、石油の依存率を五〇%に下げることが至上命題でございまして、石油代替エネルギーあるいは省エネルギーというようなことをやっていくわけでございますけれども、やはり底に流れるのは石炭ということで、この石炭も、それならば海外から持ってこずに、もう少し日本国内にある石炭を掘って量をふやせということも、御質問の中には加味されていると思います。  御承知のように、五千五百万トンを採掘しておったときもございますけれども、これを続けていくことが、たとえば自然的に、自然環境として不可能になったのはいろいろございますが、やはりどんどん深部に行くと、事故、炭鉱の事故日本が一番多いわけでございまして、それは保安体制に欠陥があるということも、全部がそうだとは言えませんし、自然的な環境条件というものが、非常に深くなるに従って、ガスあるいはいろんな悪条件が出てくるというようなことがございます。  人為的なものもあるかもしれませんけれども、自然環境が、二千万トンというようなことにだんだん下がっている面に大きく作用をしておりまして、それを上回ってどうということは、埋蔵量はあったとしましても、掘ること自体が不可能、あるいは可能であっても、非常に悪い条件だというようなこと。そのほか、炭鉱が露天掘りならば別でございますけれども、いま言ったように、何千メーターという地下でございますと、労働者の確保というようなことも、やはり一番大きな要素になります。炭鉱で働くよりも外で働いた方が、同じサラリーなり、あるいはそれを下回ったとしても、別なところがいいということで、労働力の確保ということも、やはりこれには大きく重なっているわけでございまして、そういうようなものを加味しますと、石油ばかりに依存していることは、現在の環境上なかなか困難な点がありますので、それならば、代替エネルギーとして海外石炭とだんだん格差が縮みまして、むしろ石炭の方が安くなっておるというような傾向から、当然海外炭にも日が向きます。  ただ、これが二千万トンでもここでキープをしておかなくちゃいかぬということ、これはやはり消極面かもしれませんけれども日本にそういうエネルギーがあるということ、これがやはりどれだけ強みになっているかわからないという点もございまして、私は、いろいろなものを加味して、いまの体制で適当なところであるし、それから、足りない分はやはり海外炭、これもただ輸入するということでなくて、共同開発どもして輸入するという体制をとっておるいまの状況が、まあ適当なものではないかというふうな判断をしております。
  123. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私が聞いておるところでは、国内石炭の埋蔵量やあるいはその開発の可能性というようなことについては、一九五〇年代の終わりごろに調査をしたくらいがいわば最後で、その後いわゆる石炭産業の斜陽化という中で、ほとんどそういうような調査もされておらないというふうに聞いているわけです。もちろん、全国的な、大規模なものがですよ。だから、そういう意味では、現在の技術水準で、一たん閉山してしまった中にだって、まだまだあのとき惜しかったのにというような声がいま起こっているようなところだっていろいろあるわけですし、私は、もう一遍この機会に、抜本的に国内石炭資源開発の可能性についてぜひ調査をして、可能ならばここができるということで、ぜひ取り組んでいただきたい。  先ほど大臣自身も、新鉱の開発について積極的にやりたいというように言われたので、私は、その姿勢に大変期待を持ったわけですけれども、ぜひそういう立場からその調査などをやってもらいたいというふうに考えるわけですが、どうですか。
  124. 田中六助

    田中(六)国務大臣 御承知のように、埋蔵量と可採炭量というのは違うわけでございまして、埋歳量は、私に言わせれば日本にはまだたくさんございます。しかし、それが掘れるかどうか、そういう体制内容があるのかどうかということはまた別問題でございまして、採炭できるという条件というものが、なかなか困難なところがあるということを御指摘申し上げたいと思います。  それから、新鉱につきましては、もちろん私ども、掘れるところは掘らなければいけませんし、そういう意味でいろいろな点で見直しということは、あなたのおっしゃるようにやらなければなりませんし、新鉱につきましても、掘れるところは政府がいろいろな助成をしてでも掘るような体制はとっていきたいというふうに思っております。
  125. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、この開発の可能性、これについて、いまの水準でもう一遍ぜひ調査をしてほしい、そういうお考えがあるかということをただしておるのです。その点、ずばりお答えいただきたいと思うのです。
  126. 福川伸次

    福川政府委員 新鉱の開発の可能性につきましては、昭和五十年度から調査実施しておりまして、現在も二地区その調査を続行いたしております。その場合、私どもとしては、その経済性あるいは鉱害との関係、労働力の確保の問題、あるいは地上権との関係等々を十分検討しながら、その可能性を見定めていきたいというふうに思っております。今年度も予算措置を講じながらいま実施をいたしております。
  127. 小沢和秋

    小沢(和)委員 では、時間の制約もありますから、次の質問をいたしたいと思うのですが、次は産炭地の振興の問題です。  それで、私自身もこの筑豊を地元として持っているわけですけれども、失業をしている人たちが非常に多くて、働く機会をふやしてほしいというのが切実な願いであるし、そういう立場からも工場団地の造成あるいは工場の進出というようなことについて、私たち非常に大きな関心を持っております。皆さんの方からいただいた資料を見ますと、この工場団地の売れ行きも、昭和五十二年を一番底として、最近急速にその売れ行きが伸びているということは、これは今後工場が進出するいわば前兆として大変結構だと私も思うのです。  しかし、この工場団地の造成という点で、特に筑豊でいま大きなものとしては、宮田あるいは小竹、白鳥といったような団地が注目されると思うのですけれども、こういうようなところについていろいろな問題があるわけですね。たとえば宮田については、御存じでしょうけれども、団地としてはすでに完成しているわけです。ところがトヨタが来るということでもうほとんど決まったのじゃないかというようなぐらいに私ども期待を持たせるような話を聞かされておったのに、実際には、いよいよ完成するという時期になって来ない。だから、いま、非常に広大な地域だけれども全然見通しがないというふうな状況ですね。あるいは白鳥団地にしても、日産が苅田に進出してくるときには、ここに関連の工場など立地しはせぬかというようなことが言われておったけれども、これも進まぬで、結局地元の幾つかの企業が端っこの方をちょっと買い受けたというようなことになり、そして、全体としての規模も縮小するような方向に変更するのじゃないかというようなことも耳にするわけですね。  こういうような、国として積極的に計画の立案をしたような、そして推進をしたような団地の工場の立地については、私は、国も大きな責任があるのじゃないかと思うのですけれども、こういうようなところの工場進出については、国としてどういう努力をしておるのか、お尋ねしたいと思うのです。
  128. 福川伸次

    福川政府委員 御承知のように、地域振興整備公団を設けまして、土地造成事業を実施いたしております。また、その団地に進出する、あるいはその団地以外でも産炭地域に工場が進出するということにつきましては、地域振興整備公団から長期低利の融資を行うというふうな助成措置を講じておるわけでございます。それで、いまそういう助成措置を通じながら、また立地政策の一環といたしまして、それぞれいろいろな場面を通じまして、この工場の進出には努力をいたしております。地域振興整備公団におきましても、この造成いたしました土地の譲渡あるいはそこへの企業の進出には、各地を回りましていろいろその誘致に努力をいたしておるわけでございます。私どもの方も、それぞれ立地関係の部署を通じまして、その工場の進出等について、いま申し上げましたように、助成措置の円滑な運用ができるような努力をいたしておるわけでございます。
  129. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、私がお尋ねをしておるのは、具体的にこういうような大型の団地をつくった。そうすると、地元としては、男子雇用型の中核になるような企業にぜひ来てほしいということをいつも言っておりますよね。だから、そういうような工場が立地をするように、国としても当然積極的に努力をする責任があるのじゃないのか、それについて責任があるのかどうか、また努力をしたのかどうかということをお尋ねしたいわけです。  この「産炭地域振興計画」というのを、私、通産省が立案したのをここに持っておりますけれども、これを見ると、たとえば宮田地区については「大規模工業団地の造成及び九州縦貫自動車道の開通と相まって、自動車工業等大規模機械工業の導入に努める。」「努める」というふうにこの計画自体にはっきり書いてあるわけですよ。だから、いまあなたが言われたような立地をすることになったような場合には融資をしますとか、そういうことを私は言っているのじゃないのです。立地するように国として積極的に努力すべきであり、また努力したのですかと聞いているわけです。
  130. 福川伸次

    福川政府委員 いま先生御指摘のとおり、基本計画にのっとりまして私どもの方としても、その企業の誘致にはいままでもできる環境の中で努力してまいりましたし、その誘致にはいろいろな場面を通じて努力をしてまいりたいと思っております。
  131. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、そういう抽象的なお答えじゃいかぬ。もう地元の方はトヨタか何か来るのじゃないかというようなことで、非常に期待を持って一生懸命待っておったわけですね。いまでもまだあきらめ切れぬで、県やら町も働きかけているというような話も聞くのですよ。そのくらい地元は、皆さんがこういうような「努める」ということで計画を出されたというので、期待を持ってやっているのに、だから国としては具体的にはどうしたのかということなのですね。
  132. 田中六助

    田中(六)国務大臣 宮田団地にトヨタが行くとか、あるいは持っていこうというようなことを、亀井知事を初め私どももそういうことを一応トヨタにも申し上げ、いろいろあの手この手で交渉した事実もございます。しかし、これは私企業でございますし、トヨタなりに豊田の周辺とかあるいは海の近いところとかいろいろな条件がございまして、こちらは一応自動車産業ということを言っておりましても、いま御承知のように自動車産業は対米摩擦とかEC諸国との摩擦というようなこともございまして、工場を拡大するということよりも、国内拡大するならばジョイントベンチャーでアメリカの現地に来てほしいというふうなことがありまして、一応そういうことで努力はしてきたのですけれども、それがなかなか実現しない、あるいはしなかったというのが現状であります。
  133. 小沢和秋

    小沢(和)委員 国としても具体的に努力をしたというお話ですけれども、もっとひとつ積極的な努力をお願いしたいわけです。  特にトヨタがいま大臣も言われたとおりアメリカに進出をする。その地元の人にしてみれば、筑豊出身の大臣ができて、その大臣がトヨタにアメリカに進出しろというような説得をしているみたいだ、どうもこれは何かどこか間違っているのじゃないだろうか。本当に説得するというのだったら、よその国に行ってよその国の雇用のことを考えるよりも、まず出身地である筑豊に工場を立地させてここの失業を何とかしてもらいたいというのが、私は、地元の人たちの当然の感情と言えるのじゃないかと思うのですよ、だから、その点で強く今後の努力をお願いしたいと思うのです。  そしてまた、この機会に一言言っておきたいと思うのは、産炭地域振興臨時措置法ですか、この法律をひっくり返してみて私は改めて思ったのですけれども、計画は立てる、そして土地の造成などにも努める、それから幾つかのそういう助成もする。しかし、そういう土地に本当に筑豊を浮揚させるような企業を立地させるために、たとえば国が努力をする、そういうような義務づけとかいうようなことは条文の中にないのですね。だから、今度これを延長するというのであれば、そういうような積極的な国の姿勢を今後義務づけるようなこともぜひ改善の中でやっていただきたいということを、私はこの機会に要望として言っておきたいと思うのです。  それで、いま白鳥と宮田のことは申したのですけれども、ついでですから一言小竹の団地のことも申し上げたい。  もう時間が気になるから詳しいことは言う必要はないと思うのですが、部長もきのう陳情を聞いておられるわけですね。それで、地元の人たちとしては、ああいう重鉱害地帯を復旧し、そのためにボタ山を取り崩し、そしてそのことによって工場団地ができれば産炭地の振興には非常にいい計画だというので、通産省が打ち上げたときはぜひやってくれということで、これは地元としても非常に積極的にいままで土地の買収その他には協力してきたと思うのですね。ところが、買収価格が据え置きになったとかいろいろなネックが出てきて、実際には三年もかかっているけれどもろくに進まぬ。そういう中でいろいろ相談を持っていっても、通産省などの、あるいは公団などの対応がだんだんどうも熱が冷めてきているのじゃないだろうかというような不信感をきのうも私は感じたわけです。  だからお願いしたいのは、これはこういう計画の中でもわざわざ名前を出すほどの目玉になるような大型団地なんですし、ぜひいまのそういういろいろな障害を克服して、そしてこれが実現できるように国としても最後まで責任を持ってめんどうを見るということを、この問題についてはこの機会に改めてひとつ明言しておいてほしいと思います。
  134. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘の小竹団地につきましては、確かに非常に長い経緯がございまして、当初計画が発表になりまして以来十年の歳月がたっておるわけでございます。これにはいま小沢委員からもお話がございましたようにいろいろな問題が出て、いろいろな経緯をたどって、まだ今日その完成のめどが立たないというのが現状でございます。これには地元のお考え方もあり、また公団あるいは政府における施策とか制約とかいろいろな問題がございますが、私どもといたしましても、その幾つかの問題を一つ一つ解決し、関係者間での理解、歩み寄りを求めながらこの問題の解決に努力をいたしたいというふうに思っております。  現在いろいろな問題がございまして、当初意図した計画とはややかけ離れざるを得ない幾つかの問題がございますけれども、現在時点で考えて実現可能な解決策を得べく関係者間での歩み寄りを求めながら努力するということで、私どもの方も公団あるいは地元通産局等を通じ関係者間の合意が得られるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  135. 小沢和秋

    小沢(和)委員 では、団地関係の問題はこれでおくとして、あともう一、二、産炭地振興臨時措置法の関係でちょっとお尋ねしたいのですが、十一条に十七でしたかの事業を挙げて、こういうような事業については国として補助をかさ上げするという規定があるわけですね。この条文について地元で私たちが非常によく聞くのは、そこに挙げてある十七の事業についていろいろやれるような力を持っている自治体にはうんと援助が行くけれども、そうでないようなところは、いろいろやりたくても挙がっていないために援助してもらえない、もっとその枠をいろいろ広げてもらいたいというような話がよく出るわけですね。こういう要望にこたえる趣旨で今度の石特会計では、先ほどちょっと問題になったのですが、調整費ということで十一億円という要求が出たのだろう、こういうふうに私は理解しておるわけです。  それで、どういうようなものを枠を広げる対象としてお考えになっているかということについて、いま全部説明していただいたら時間がかかると思うから、後でメモでもいただきたいのですが、特に私、一言だけここで具体的に言いたいのは、筑豊では非常に子供たちに非行が多い。それで児童館などというものをつくりたいというようなことを思い立つ自治体がずいぶんあるのですけれども、いままで補助が、これについては対象にならぬというのでできてないわけですね。だから、こういうようなことについて、今度は補助として入っているのかどうか。あるいはもしいま考えている対象の中に入ってないとすれば、筑豊のように非常に非行化が多い、ますます非行年齢が下がって、小学校の上級生あたりまでそういう対象になっているという中では、とりわけ私は、これは教育の立場から見ても重要ではないかというように考えるわけですね。ぜひこの点、お答え願いたいと思うのです。
  136. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど鍛冶委員の御質問に対しまして、通産大臣もお答えいたしましたが、いま今後の産炭地域振興施策を審議会に諮問いたしまして、そのお取りまとめをいただいているところでございます。  予算要求につきましては、これは財政当局との予算上のタイミングがございますので、一応そういう調整費という形で要求を出しております。これはどうしてもタイミングの関係なものですから出してございますが、その具体的な内容等につきましては、いま産炭地域振興審議会の御答申を待って、その内容を固めて財政当局と最終的に詰めていきたいというふうに思っております。  したがいまして、いま御指摘の児童館の問題等等ございましたが、いま私どもの方でこれが入っている、入っていないということを申し上げる段階にございませんが、今後の課題として検討さしていただきたいと思います。
  137. 小沢和秋

    小沢(和)委員 ぼつぼつ時間が来たようですから、それじゃ、あと考えておった点を二点簡単に一言ずつ言わせていただきたいと思うのですが、これはぜひ大臣に直接お答えを願いたいのです。  いま国鉄のローカル線の廃止が、法案が出て大きな問題になっております。ところが、御存じのとおり、産炭地をこれから浮揚させようという場合に、そのローカル線があるということが大きな一つの起爆剤というか土台というものになって考えられているというケースが非常に多いわけですね。私は、これは産炭地の復興という立場から、通産大臣としても、そういうような振興計画を壊してしまうようなローカル線の廃止は困るということをぜひ積極的に意思表示をされるべきだというふうに考えるわけですけれども大臣、この点どうお考えになるか、これが一つ。  それから、せっかく労働省にも来ていただいたのですから、ごく簡単にもう一言労働省にもお尋ねをしますが、産炭地には失業者が非常に多いということから、その失業者に仕事の機会を与えながら、筑豊の復興あるいは産炭地の復興を図っていこうということで、緊就とか開就とかあるいは特開とか、いろいろな事業があるわけですね。しかし、これは法律の裏づけがある事業ではないというように私承知しておりますけれども、全体として、いま産炭地振興の仕組みを十年くらいのめどで延ばしていこうというような話がある中ですから、こういうような失業者の就労事業については、当然労働省も同じような考え方に立ってこれを延長するという方向で考えているというふうに私も考えているわけですけれども、その考え方について御説明願いたいと思います。  以上、二点で終わります。
  138. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ローカル線の問題で、産炭地の中にそういうものがあった場合に、それは産炭地の浮揚のために必要なものであって、それを廃止するということはどうかというお尋ねでございます。  具体的に私どもが想定しているのは油須原線というものがあるわけでございますが、これも私のことを申し上げて恐縮でございますけれども、私が当選して十七年になるわけでございますが、十七年の歩みは即油須原線の連結というような、政策の多くある中にそういうのが一つあるわけでございまして、長い間産炭地の浮揚にはこの線が要るのだという闘争に似た闘いを続けてきたわけでございますけれども、総論的に国家財政あるいはその問題についての判断、そういうことからこれを廃止しろ、ちょうど福岡財務局が熊本に統合されて行政改革をやらなければならないというような問題と同じように、私ども総論に賛成をしておいて各論では反対というわけにはまいりませず、私もあなたと同じようにこの線が生きておったならばというような希望と、そういう判断は成り立ちますけれども、しかし、全体的な国鉄再建というような問題を抱えていま埋没しておるわけでございますが、いま私にストレートで答えを言えというならば、いまそういうローカル線の問題で産炭地の浮揚ということは断念せざるを得ないような立場にあります。
  139. 加藤孝

    ○加藤説明員 炭鉱離職者の緊就事業あるいは開就事業の就職問題でございますが、現在の産炭地の雇用失業情勢はまだ厳しい情勢が続いておる。これが早急に雇用機会が拡大するというような事情にもないというような状況の中で、これら多数の失業者の方が続出をするわけでございますから、いまこれを直ちに切るというような情勢ではない、こう考えております。
  140. 森中守義

    森中委員長 本日の通告者の質疑は全部終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会