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1980-11-26 第93回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)     午前十時八分開議  出席小委員    小委員長 島村 宜伸君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    田原  隆君       辻  英雄君    鳩山 邦夫君       原田昇左右君    水平 豊彦君       粟山  明君    渡辺 秀央君       後藤  茂君    藤田 高敏君       長田 武士君    北側 義一君       宮田 早苗君    渡辺  貢君       伊藤 公介君  小委員外出席者         通商産業省立地         公害局鉱山課長 松下  弘君         工業技術院総務         部総括研究開発         官       高田 利男君         資源エネルギー         庁長官官房石油         代替エネルギー         対策課長    川田 洋輝君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山梨 晃一君         参  考  人         (日本エネル         ギー経済研究所         理事長)    生田 豊朗君         参  考  人         (日本経済新聞         社論説委員)  鎌田  勲君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 十一月二十六日  小委員渡辺貢君同月七日委員辞任につき、その  補欠として渡辺貢君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員伊藤公介君同月十三日委員辞任につき、  その補欠として伊藤公介君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員宮田早苗君同月二十一日委員辞任につ  き、その補欠として宮田早苗君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員橋口隆君及び宮下創平君同日小委員辞任  につき、その補欠として辻英雄君及び鳩山邦夫  君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員辻英雄君及び鳩山邦夫君同日小委員辞任  につき、その補欠として橋口隆君及び宮下創平  君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件      ————◇—————
  2. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  本件について、参考人として、エネルギー経済研究所理事長生田豊朗君及び日本経済新聞社論説委員鎌田勲君の御出席お願いいたしております。  この際、参考人一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  まず、当面のエネルギー情勢及び今後あるべきエネルギー政策の方向について、参考人各位からそれぞれ十五分程度意見をお述べいただき、その後懇談をいたしたいと存じますので、どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。  それでは、生田参考人お願いいたします。
  3. 生田参考人(生田豊朗)

    生田参考人 日本エネルギー経済研究所生田でございます。  いただいた時間が大変短いものですから、私は、石油の問題に限定をいたしまして、当面の石油情勢、特にイランイラクの間の戦争影響及び今後の展望につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  この問題を考えますのに論点を整理した方がわかりやすいわけでありますので、三つに論点を分けて御説明を申し上げたいと思います。  それは、まず九月の末にイランイラクの間の戦争が始まりまして、本格化し、現在も継続しているわけでありますが、この戦争が始まる前の世界石油需給情勢はどうであったかというのが第一点。それから戦争勃発、拡大によって世界石油情勢がどういう影響を受けたかというのが第二点。それから今後はどのようになるかというのが第三点でございます。この三点に分けて申し上げまして、時間がまだ余っておりました場合にはそれに対応する政策のあり方について私の考えていることを申し上げさしていただきたいというように考えております。  まず第一点のイランイラク戦争勃発直前状態における世界石油需給状況でありますけれども、これは相当量供給過剰が世界石油市場に存在をしていたわけであります。この供給過剰の量につきましてはいろいろの説がございますが、大体一日当たり二百万バレルないし二百五十万バレルと言われております。私の個人予測ではもう少し供給過剰が多かったのではないかというように考えておりますが、大体その程度、二百万ないし三百万バレル・パーデーくらいの供給過剰が存在していたわけであります。この程度供給過剰が存在いたしますと、従来の国際石油市場状況でありますともっと表面的な変化、たとえば価格下落が起きるはずでございますけれども、これはそれほど顕著には起きておりませんでした。  この価格下落が余り顕著に起きなかった理由は、世界石油供給構造が、昨年の第二次石油危機によってさらに加速されまして大きく変化したことによるものであります。つまりメジャーズのシェアが急激に低下をいたしまして、産油国との直接取引すなわちDDがふえた結果であります。このDDと申しますのは御承知のように相対取引でございますし、販売する方は一国の国営石油会社一社でございますし、それに対して買いに行く方は石油消費国が多数、しかもそれぞれの国から多くの会社が行っているわけでございます。つまり一つ供給者に対して非常に多数の需要家取引をするということでありますので、当然売り手市場を形成するわけでございます。したがって取引全体が市場経済メカニズムがうまく働かないような硬直化した形になってまいります。このために需給実態と比べまして比較的価格面への反映が以前と比べて薄かったというように考えられますが、それにいたしましても、たとえばスポット価格の動向を見ますと、八月ごろからかなりスポット価格下落の速度が速まってまいりまして、明らかに供給過剰の徴候があったわけであります。  そういう状況を前にいたしましてイランイラク戦争勃発したわけですが、その戦争によって両国石油生産はほとんど全面的にとまりましたし、輸出もほとんど全面的にとまったわけであります。最近になりまして輸出が細々と行われていたというような情報、あるいは同じく最近になってイラクトルコ経由のパイプラインで地中海からヨーロッパ向け原油輸出を再開したとか、いろいろの情報がございます。しかし、いずれにいたしましても戦争以前における両国石油生産輸出状況から比べますとほとんどネグリジブルなものでございますので、その点はほとんど無視してよろしいというように考えるわけであります。  ここで一つ申し上げておきたいと思いますのは、イランイラク両国戦争によりまして発生しました石油生産減少、それから輸出減少がかなり大きなものであるということでございます。いわゆるマグニチュードの大きさでありますが、これは非常に大きなものでございます。戦争直前状態におきまして両国石油生産が合計いたしまして約五百万バレル・パーデーであります。そのうち約百万バレル・パーデー両国国内消費でございまして、四百万が輸出されていたわけでありまして、これが先ほど申しましたようにほぼ全面的にとまったということであります。これは昨年の初め、正確に申しますと一昨年一九七八年の末から一九七九年の初めにかけましてイラン革命発生いたしまして、イラン石油生産輸出が同じくほとんど全面的にとまったわけであります。それによって昨年いわゆる第二次石油危機発生したわけですが、そのときの石油供給減少にほぼ匹敵するものであります。イラン革命以前におきまして五百五十ないし六百万バレル・パーデー石油生産し、約五百万バレル・パーデー石油輸出していた、それがほぼ全面的にとまったわけでありますが、今回はそれにほとんど匹敵するものでございますので、このイランイラク戦争の結果としての、特にイラク生産輸出がほとんどとまったということの事実の大きさを十分御認識いただきたいというふうに考えております。  それにもかかわらず昨年の第二次石油危機勃発当時におきますように、たちまち石油危機状況発生するということにならなかったのは、先ほど御説明申し上げたように戦争直前状態需給がアンバランスである、つまり供給が過剰であり、石油消費国石油消費が大幅に落ち込んでいるという状況であるから、これだけ大きなマグニチュードを持つ石油供給減少発生しても、直ちに石油危機には結びつかなかったわけでありまして、もしも石油消費国側状況が前回のイラン革命当時あるいは前々回の第四次中東戦争当時のような、石油消費がかなり旺盛であるような状況であった場合には、今回のイランイラク戦争によってそれがすぐに石油危機に結びつくことになったのは疑いないところであります。しかし、これからの問題を考えますといろいろの問題点が出てくるわけでございます。  まず一つは、いま申しましたようにことしはわが国を初めといたしまして、主要な石油消費国におきまして石油消費が大幅に減っております。国によってさまざまでございますけれども、比較的減少率の少ない国で対前年比で七、八%、それから多い国で一五、六%減っております。わが国の場合も、最近数カ月間は対前年同月と比べまして国内石油消費が一〇%程度減少しております。したがいましてこれが世界的な石油需給に好影響を与えているわけでありますけれども、ここで一つ考えなければいけないのは、ことしの主要石油消費国における石油消費減少が、実は実態よりも見せかけ上減り過ぎているということでありまして、これは非常に重要な点であります。  なぜかと申しますと、細かいことを御説明する時間がございませんので要点だけ申し上げますが、統計上の問題でございます。これはわが国だけではなく、一般に世界各国とも同じことでございますけれども、石油消費統計といわれるものは実は石油販売統計でございます。卸売段階における引き渡し量をすなわち消費量として考えておりますので、石油需給状況なり価格が安定しておりますときはそれがそのまま消費実態を反映するものとして考えてよろしいわけですが、昨今のように石油情勢が急激に変動してまいりますと、今後の見通しによって消費者対応が変わってくるわけであります。消費者だけではなくて石油会社対応も変わってまいりますし、あるいは政府自身につきましても国家備蓄を積み増しするというような各国がやっております政策が進められますと、当然その対応が変わってくるわけでありますので、そういうものを総合しましたいわゆる仮需要変化が非常に大きいわけであります。昨年は石油危機発生によって一年間で石油価格が約三倍近くまで上昇したわけでありますが、それによって仮需要実需に伴って相当発生したと私は考えているわけでございます。  イランイラク戦争勃発以前は、さっき申しましたように国際石油情勢がかなり安定しておりましたのでそれを反映して仮需要が逆にマイナスに立つというような形になりましたので、昨年とことしを対比いたしまして、たとえば一〇%減った、したがって石油危機をうまく乗り切ってより脱石油が進んだというように簡単に割り切ってしまうのはきわめて危険であります。これは統計のそういう数字の動きを無視した考え方であります。もちろん昨年の石油危機以来の世界的な経済の停滞、成長率の鈍化、それから石油価格上昇による価格効果などによって、石油実需そのものがかなり減ってきているということも事実であります。それから、今後の石油供給制約の強まりが予想されること、あるいは価格上昇が予想されることなどによって、同じく石油の各消費者、これは産業も含めまして、それが石油代替エネルギーへの転換の促進あるいは省エネルギー推進などの脱石油を進めていることも事実であります。念のために申し上げますが、ことしの需要の減り方が全部そういう仮需要変化であるということを私は申し上げているのではありません。しかし、実需減少に加えて相当量の仮需要変動があるというように考えなければいけないわけでありますから、ことしこれだけ石油消費が減った、あるいは引き締まったからそれで大丈夫だという考え方は非常に危険でございます。これは私の個人だけの意見ではございませんで、各国石油専門家が一様に同じような考え方をしているわけであります。  ということは、これから先のイランイラク戦争推移、それに関連する国際石油情勢実態的な変化によりまして、再び価格上昇あるいは需給がタイトになるというようなことが予想されますと、再び昨年と同じような仮需要発生する可能性があるわけであります。そうしますと、昨年プラスに出た仮需要がことしはマイナスに出たので差が大きくなったわけでございますが、ことしのマイナスの仮需要が今年末から明年にかけまして、情勢のいかんにもよりますが、もしもまたプラスの側に立つことになりますと、ことしと比べた来年の世界的な石油消費量は逆にふえてくるということも考えておかなければいけないわけでございます。この心理的な変化が一番心配だというのが現在国際的に石油専門家の間での定説になっているわけでございます。この点をぜひ国会先生方に御認識いただきたいというように考えております。  次に、それではこれから先どうなるかということでございますが、これはもう一にかかってイランイラク戦争の今後の推移によるわけでございますが、現在までのところ戦争が早期に終結する兆しは残念ながら見当たらないわけであります。国際的な調停の動きその他はございますけれども、まだしばらく戦争状態は継続するというように考えなければいけないと思います。まあ戦争状態が継続するにいたしましても、今回の戦争の初期の段階におきますように、両国とも戦闘爆撃機あるいはミサイルなどの近代兵器を使いまして相互に石油施設攻撃するというような状態は、現在では武器の供給不足あるいは燃料の不足によって急激に規模が縮小しているわけでございますので、今後ともそういう状況戦争規模が縮小いたします場合には、戦争そのものは存続していても、両国の領土内への攻撃が、特にイラク側へのイラン攻撃が余り行われなくなるということになりますと、これ以上の石油施設の破壊もないかもしれません。楽観的に考えますと、一方で戦争は継続しながら、特にイラクの側におきまして原油供給施設復旧作業が開始される可能性もなきにしもあらずというふうに考えるわけでございますが、ここの点は余り楽観的に考えるのは現在ではまだ危険であるというように考えます。  そういたしますと、いつの時期で戦争が終わるかということでありますけれども、かなり楽観的な予測ではありますが、本年の年末ごろで一応どうにか戦争が終わるという仮定をいたしまして、その前提から出発いたしますと、それではそれから復旧作業に取りかかりまして、原油輸出が再開されるのにどのくらいの日数を要するかという検討をしなければならないわけでございます。これは非常に予測が困難であります。なぜ困難かと申しますと、被害程度がまだわからないからでございまして、それが正確に予測できますのは、戦争が終わりまして被害調査団各国から派遣されまして、それによって正確な被害程度が把握され、それに対する復旧所要日数が計算されるということにならないと予測ができないわけでございます。現在のところ、いろいろの情報を総合いたしまして判断いたしますと、原油そのものが再び生産され、輸出されるようになるまでに最小限三カ月、恐らくは六カ月くらいは必要であろうという説が比較的多いわけであります。ただし、両国とも当初の爆撃等によって破壊されました石油精製施設につきましては、これは復旧に数年を要するということでありますので、それが復旧いたしますまではイランイラク両国とも、原油輸出いたしましても国内石油製品は海外から輸入しなければいけないということになりますので、これはやはり国際的な石油需給マイナス影響を与えるものであるというふうに考えるわけであります。したがって、先ほど申しましたようにかなり楽観的な前提ではありますが、本年末ぎりぎりのところで戦争が終結したといたしましても、両国、特にイラクからの石油の本格的な輸出の再開は早くても来年の夏ごろ、春の遅いころから初夏のころになるというように考えざるを得ないわけであります。したがって、まずこれから始まりますことしの冬、北半球に存在します石油消費国にとっての石油需要期でございますが、この間に原油輸出が再開される可能性はゼロであると考えなければいけないわけでございますので、その間徐々に石油需給は詰まってくる、タイトになってくるわけであります。しかし、何回も申しましたような戦争直前需給の緩和した状況がございますので、ことしの冬の需要に対して供給不足するというような事態は、戦争が現在程度状況で続く限りは私はまずないというように考えるわけであります。  ただいま申しましたようなことで予測をしてまいりますと、比較的早い時期に回復するということでも、来年の初夏、夏ごろにならないと原油輸出が再開されないということでありますので、それがそのとおりにいけばぎりぎりのところでどうにか国際的な石油需給は破綻を来さないでいけるというように思いますが、それが少しおくれました場合には、かなり影響が来年になって出てくるというように考えなければいけないわけでありますし、特に問題は、来年の春から秋までの石油の不需要期におきます在庫の積み増しが、石油供給減少のためにむずかしくなってくるということが予想されるわけでありますので、その場合は、仮に戦争が終わりましてもそれからしばらく間を置きまして来年の冬、一年後に石油需給の逼迫が訪れるということになるわけであります。  この石油需給は、そういうことで当面すぐ影響が出る場合と、いま御説明申し上げましたように、ある程度の時間を置いて影響が出てくる場合と両方あるわけでございます。そういうことがありますので、石油供給減少を引き起こした原因そのものがもうずっと前に終わっているのに、いまごろになって石油がないとか、石油価格が上がるとか、これはメジャーズの陰謀であるとか、石油会社の悪いしわざであるということがよく言われるわけでありますが、これは石油需給実態を御存じない方のおっしゃることでございまして、石油需給と申しますのはそういう性格を持っておりますので、私は、ことしの冬は乗り切れても、戦争が早く終わっても、来年の冬が乗り切れなくなる危険があると考えております。  ちょっと時間が過ぎましたので一あと一言だけ申し上げさせていただきますが、そういう需給状況にもかかわらず、石油価格はもうすでに上昇を始めているわけでございまして、スポット価格は、アラビアン・ライトをとりましても一バレル四十ドル以上という高値がついております。これはイランイラクからの原油に大きく依存しております国が、その供給を確保するために現実にスポットをすでに買いに出ている結果であるというように考えるわけでありますし、スポット以外の長期契約原油につきましても徐々に価格上昇する気配にあります。  もしも予定どおり十二月にOPEC総会が開催されました場合には、当然そういう状況を踏まえて値上げの協議が行われるようでありますが、恐らく現在の戦争状況から考えて、OPEC総会は延期される公算が大きいというように私は考えております。その場合には、ちょうど昨年の上半期と同じように、OPECが統一的に価格水準を設定して上げていくということではなくて、各産油国がそれぞれ自国に対する石油消費国からの引き合いなりあるいは当面の需給状況をながめながら、それぞれ自分の判断で価格を引き上げていくというような行き方をとると思います。  いずれにしても、繰り返しますと、ことしの冬の需給実態については心配はないと私は思いますが、それにもかかわらず価格はこれから上昇していくというように考えるわけでございまして、石油価格の高価格時代がちょっと一段落して、一息ついた感じでございますが、たちまちこの戦争によってまた価格上昇時代に入ってきたというように考えております。  最後に一点だけ申し上げたいと思いますのは、かつてのスエズ動乱のころから始まりまして、中東には何度か政治的、軍事的な変動がございまして、その都度石油需給影響を与えてきているわけでありますが、歴史をたどってみますと、その政治的、軍事的な変動の起きる間隔がだんだん狭くなってきているわけであります。最近の例をとりますと、第四次中東戦争が起きたのが一九七三年、これでいわゆる石油ショック、第一次石油危機発生したわけでございますが、それからイラン革命までの間に五年の期間がございました。ところが、イラン革命発生から今回のイランイラク戦争までは一年十カ月ぐらいしかないわけであります。ということは、中東政治軍事情勢変動がますます間断なく起きるという傾向に、非常に困ったことでありますが、進んでいるわけでございまして、特にわが国のように一次エネルギーの中の石油依存度が高く、しかもほとんど一〇〇%輸入石油であって、ペルシャ湾依存度世界石油消費国の中で最高であるという国にとりましては非常に不安定な状況が進行しているというように考えますので、この際、そういう状況をぜひとも御認識いただきまして、強力なエネルギー政策国会で御審議、御立案いただきますようにお願いしたいと思います。  以上でございます。
  4. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 次に、鎌田参考人お願いをいたします。
  5. 鎌田参考人(鎌田勲)

    鎌田参考人 鎌田でございます。  わが国エネルギー政策の柱は、よく知られておりますようにそれ相応の石油安定供給の確保と、脱石油のための石油代替エネルギー開発導入省エネルギー推進という点にあるわけでございますが、このうち石油問題につきましては、ただいま日本エネルギー経済研究所生田理事長からお話がございましたので、私は、それ以外の代替エネルギー省エネルギーなどの問題につきまして私なりの考えを申し述べてみたいと思います。  まず、まくら言葉といたしまして、そういったものの必要性代替エネルギー開発導入省エネルギー推進必要性についての私としての認識を申し上げておきたいのでございます。  エネルギーをめぐる内外の環境は、長期的に見ると予断を許さないものがあるというふうに私は考えます。中東情勢の、もっとはっきり言えば中東政治軍事情勢の持続的な不安定性、また、OPEC資源温存政策と申しますか、生産制限政策と申しますか、そういう政策へ傾斜する動きを強めていることなど、この二つだけの要因をとってみましても、世界石油需給は長期的に見て不安定的であり、供給不足、高価格、値段が上がる、そういう傾向をたどる見通しが強いと思うのであります。東京サミット各国首脳石油輸入目標の設定という前例のない申し合わせをしたのも、こうした点についての共通の危機意識によるものであるというふうに考えます。ことしのベネチア・サミットではこの考え方がさらに前進いたしまして、経済成長石油消費の問のリンクを断ち切るべきことが提唱され、そのために、石油代替エネルギー源生産と使用を大幅に拡大すること、省エネルギー推進、この二つがぜひとも必要だとされたわけであります。  こうした中で、五十三年度にエネルギーの七二%を石油に、しかもその九九・八%を輸入に頼っているわが国が、国民経済と国民生活の安定を確保していく、つまりセキュリティーを確保していくためには、格段の努力で省エネルギー推進し、石油代替エネルギー開発導入を最大限に進めて、過度の石油依存体質の改善を図らなければならないことは当然であると思うのでございます。そのことは、エネルギー問題における国際的責任を果たすことにもつながっていると考えます。このうち石油代替エネルギーの開発、導入につきましては、いま総合エネルギー調査会の需給部会が石油代替エネルギー法に基づく供給目標と導入指針についての検討を進めておりまして、近く結論をまとめる見通しでございますので、きょうは、時間の関係もありまして、冒頭にまずこれを中心にしてお話を申し上げてみたいと思うのでございます。  石油代替エネルギーは、言葉の感じからいたしまして、いかにも石油が主役であるのに対してわき役であるかのごとき感があるわけでございますけれども、実は石油代替エネルギーこそ、今後のわが国エネルギー政策、また、世界各先進国のエネルギー政策における主役となるべきものであることは明らかだと思います。この総合エネルギー調査会の需給部会の検討報告を受けました政府がこれをどう扱うかは、政府部内の問題でございますので私はわかりませんが、それができるだけ早く閣議決定されるようになることは間違いないだろうと思うわけでございます。  内容の細部につきましては、まだ最終的な審議を経ていないので申し上げられませんですけれども、基本的な考え方について私見をも交えつつ申し上げれば、まず石油代替エネルギー供給目標及び導入指針策定の前提となる将来のエネルギー需要につきましては、いまのエネルギー情勢のもとでは不確定な要因も多く、予測がむずかしい面もあるわけでございますが、さりとて政府としては放置しておくわけにもいかないわけでございますので、新経済社会七カ年計画などの各種経済フレームを前提といたしまして、また主要な各エネルギー消費産業についての個別的な検討をし、さらに産業、運輸、民生各消費部門において、現段階で見込み得る省エネルギー努力を織り込んだ検討を進めて、六十五年度における一次エネルギー需要量を想定することにしているわけでございます。他方、こうした需要に即応するためには、内外の諸情勢から見まして石油代替エネルギーの開発、導入を早急かつ強力に進めなければならないわけでございまして、五十二年度に代替エネルギー供給比率が全体の二五・五%、ということは、逆に言いますと輸入石油が全体の七四・五%であったものを、六十五年度においてはエネルギー需要の少なくとも五〇%を石油代替エネルギーによって供給することをわが国政策目標として掲げる必要があるという方向で、いま検討が進められているわけであります。そして、こうした目標のもとでの石油代替エネルギーごとの供給数量の目標につきましては、それぞれの供給の実績見通しを冷静に踏まえつつ、政府と民間の最大限の努力と協力を前提にいたしまして、高度の判断を下すという形で検討しているところであります。どの代替エネルギーをとってもその達成はなまやさしいことではございませんけれども、それでもなおかっこのくらいの代替エネルギーはぜひとも必要だという政策目標が掲げられることになろうかと思うのでございます。  以上のような検討の結果、目標値はおおむね前につくりました長期エネルギー需給暫定見通しに掲げた数字に即したものになるのではないかと考えるのでございます。もちろん国際エネルギー情勢の大きな変動あるいはIEA等における新しい政策決定あるいは政府の新経済社会七カ年計画等の経済フレームにおける大きな変化などが生ずれば、必要に応じてこれを見直すことになるのは当然であろうと思いますが、現段階ではそうした形の供給目標及びそれに基づく導入指針というものがつくられることになるのではないかと思うのでございます。  問題は、こうした代替エネルギーの開発、導入には乗り越えなければならない多くの課題があるということでございます。たとえば原子力については、原子力発電の安全性の確保に万全を期しながら、信頼性の向上及び稼働率の向上を図るとともに、パブリックアクセプタンス対策の充実強化などによる立地の促進、また立地にかかわる諸手続の円滑化などが必要でございます。現在では電源立地には三十三の法律と六十六の手続があるわけでございまして、またそうした中で電調審にかかるまでに五年くらいかかる。また着工までにそのあと四年程度、さらに運転開始までには五年程度かかるということが実績として出ているわけでございます。今後これらをどう縮めるかが一つのポイントになるわけでございます。さらにまた、自主的な核燃料サイクルの確立を図る必要があるわけでございます。  石炭につきましても、天然ガスにつきましても、さらにまたそれ以外の水力、地熱、太陽エネルギーその他の新エネルギーにつきましても、それぞれに思い切った条件整備というものが必要になるのではないかと思うのでございます。時間があれば、後ほどまた申し上げたいと思うのでございます。  したがって、この代替エネルギー供給目標の達成のためには、これらの課題解決に全力を注がなければならないわけでございまして、政府はこれに重点的かつ計画的なきめ細かい政策推進によって、この問題解決、課題解決に当たらなければならない。同時に、民間はこれに最大限の努力と協力を惜しんではならない。こういうような形になろうかと思うのでございます。  特にこの石油代替エネルギーの開発、導入に当たりましては、先行的な基盤整備を必要とするもの、リスクを伴う大規模な投資を必要とするもの、また投下設備資金の回収に長期の期間を要するものなどがあることから、石油代替エネルギーの開発、導入の促進を図る上で必要な前提条件、投資環境の整備を図るために、政府の果たすべき役割りはきわめて重大であるというふうに考えるわけでございます。政府においては、民間の活力を最大限に引き出すための財政上、金融上、税制上の特段の助成措置を強め、拡充するとともに、パブリックアクセプタンス対策の充実、強化等による立地の促進、環境問題への積極的な取り組み、また開発、導入両面における加速的な技術開発の推進等の、諸対策の強化を図らなければならないと思うのでございます。  特に必要なのは、関係省庁間の協力体制を確立することなのではないかと思うのでございまして、政府を打って一丸とする石油代替エネルギー開発、導入体制の確立がなければ、こういった供給目標をつくっても、それは単に絵にかいたもちに終わってしまうおそれがあることは明白であります。今度の需給部会がまとめようとしているところの結論、提言、報告は、そういう問題点を政府に投げかけたものと私は考えるわけでございます。むろん、この代替エネルギー開発の主役となる者は民間でございまして、民間の活力と創意が基本となるべきものでございますから、民間といたしましてもこれに対する最大限の努力と協力が必要でございまして、エネルギー需給両面の関係産業、関係企業は積極的にこれらの課題に取り組んでいかなければならないというふうにも思うのでございます。  こうした政府、民間の努力と協力を支えるものは、結局は国民一人一人のエネルギーマインドでございまして、国民がエネルギー問題をみずからの問題としてとらえ、たとえば省エネルギーにつきましてみずからなし得ることを一つ一つ積み上げていく、そういうようなことからみずからのエネルギーマインドを高めていくという、そういう国民の努力が、結局はエネルギー問題に対する国民の理解と協力につながり、代替エネルギー開発問題におきましても問題解決の基本的な前提になるということを改めて思い起こしたいと考える次第でございます。  もうちょっとお時間をおかりいたしまして、次に、この省エネルギー政策推進のための方策、電源立地促進対策のあり方、エネルギー関係財源のあり方についてごく簡単に、少しずつ申し上げてみたいと思うのでございます。  まず省エネルギー政策推進のための方策についてでございますが、長期エネルギー需給暫定見通しによりますと、エネルギー需給全体に対する省エネルギー率は、六十年度で一二・一%、六十五年度で一四・八%、七十年度で一七・一%を見込んでいるわけでございますが、この見通しを机上の計算に終わらせず達成するためには、いわゆる省エネルギー法の施行、実施というものを踏まえつつ、各般にわたる省エネルギー対策を、政府、民間の協力で強く進めなければならないと思うのでございます。特に先ごろのベネチア・サミットでは、先ほども申し上げましたように、経済成長石油消費のリンクを断ち切るという、いわば一種の哲学の転換のようなものがあったわけでございまして、エネルギーがほとんどないわが国にとりましては、省エネルギーというものはクリーンな新しいエネルギーをそれだけ獲得したに似た、大事なものであることは明らかでございます。今後も大いにこの問題に取り組んでいかなければならない。  ところで、これまでのわが国エネルギー政策推進のありようを見ますと、身の回りの省エネルギーについては相当進んでいる。いろいろな見方がございますけれども、各国横並びで見ると相当程度進んできているわけでございまして、いまやそれを本格的な省エネルギーに結びつけるべき第二段階に入ったのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、まず省エネルギー投資への金融財政上の支援を格段に強めることが必要になりましょうし、画期的な省エネルギー技術を開発すべきこともまた当然でありましょう。そのために省エネルギー予算の規模を思い切って拡大しなければならないと思うのでございます。  一方、基本的には経済社会全体の仕組みを省エネルギー型に切りかえていくことが望まれるわけでございまして、そのためには産業構造の転換を加速化することに取り組むべきでございましょうし、生活行動も省エネルギー型に転換していかなければならないと思うのでございます。輸送部門を再編成することも急務でございまして、自家用車、トラックにドア・ツー・ドアの便益がある、消費者の選好が高いことは念頭に置くにいたしましても、やはり省エネルギーにかなう大量輸送機関の整備とそれへの需要の移行という誘導政策を、それなりに進めるべきときが来ているというふうに言えるかと思うのでございます。  時間がもうないので一応これで切らせていただきまして、あとの電源立地促進対策のあり方とエネルギー関係財源のあり方等につきましては、御質問の際に機会を見まして申し上げてみたい、かように存じます。
  6. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 以上をもちまして、参考人各位からの御意見の開陳は終わりました。  これより懇談に入ります。     〔午前十時五十一分懇談に入る〕     〔午後零時五十分懇談を終わる〕
  7. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 これにて懇談を終わります。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
  8. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 次に、金属鉱業に関する問題について調査を進めます。  金属鉱業に関する問題につきましては、去る昭和五十三年五月、第八十四回国会における本小委員会調査に基づき、商工委員会において金属鉱業安定緊急対策に関する件について決議を行い、政府においては、これを受けて金属鉱業緊急融資基金制度の創設等の対策を講じてまいりました。この結果、金属鉱業は危機的状況を脱し、多くの問題を抱えながらも小康状態を維持してまいりましたが、最近、海外市況及び為替相場の動向等により再び困難な事態に立ち至っております。  つきましては、さきの決議に基づいて創設された金属鉱業緊急融資基金制度の存続、拡充、決議において検討を要望した休廃止鉱山の坑廃水処理等、金属鉱業の安定対策について本小委員会の総意を取りまとめ、次の案文のとおり商工委員会において政府に申し入れを行うよう委員長に申し出たいと存じます。  申し入れの案文を朗読いたします。     金属鉱業安定対策に関する件   本委員会は、去る昭和五十三年五月、第八十四回国会において、金属鉱業安定緊急対策に関する決議を行い、政府は、これに基づき金属鉱業緊急融資基金制度の創設等の対策を実施してきた。この結果、金属鉱業は、危機的状況を脱し、小康状態を維持してきたが、最近、海外市況、為替相場の動向等により困難な事態に立ち至っている。  よって政府は、このような事態等にかんがみ、金属鉱業緊急融資基金制度を存続し、その拡充整備を図るとともに、さきの本委員会決議において早急な検討を要請した坑廃水処理問題について、鉱業審議会の建議に基づき適切な措置を講ずる等金属鉱業の安定対策を推進すべきである。   右申し入れる。  以上でありますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 島村小委員長(島村宜伸)

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会