○阿部(昭)
委員 そこで土地問題でありますが、私は長年、十四年間の国会生活を通しまして土地問題に非常な関心を持ってまいりました。
そこできょう申し上げたい問題は、皆様のお手元に
資料を差し上げてございますが、丸紅、この商社に登場していただかなければなりません。
資料にありますように、全国に約十七ヵ所、土地の取得を丸紅及び西沢商事という、これは大阪の会社のようでありますが、丸紅の言葉で言いますと関連会社と言っております。私の言葉で言いますとダミーだと思います。その下にもう
一つ大東何がしという関連のこの土地十七ヵ所の取得に当たった
業者がいる。この土地を
調査をしてみますると、いまから五、六年前までの間に、昭和四十年代に二十数億円で取得をした。これをいま国土庁の地価公示価格によって、国土庁の方に計算をしていただきますと二百十二億円と言っております。これ以外に、一件はこの地価公示価格がないということでありますから、もっと金額になるのだろうと思います。地価公示価格というのは、御案内のように売買実勢よりは少し安いのが通例であります。五、六年前まで数年の間に二十数億円で取得した土地というのがとにかく二百数十億円しておるということであります。これをめぐってダミー及び丸紅、そのダミーの恐らく手先になって動いたのであろうと思いますが、この三者の間にトラブルが起こっておる。私はこのトラブルの姿を見ると、この膨大な土地値上がりに絡む仲間割れだろうというふうに見るのであります。その中で、お手元にありますようなこの「三社代表(物件)権利者間の協約書」なるものがある。この協約書が本当のものかどうかでいま大変な争いになっておるようであります。私は、本来商社というものは、ひとり丸紅のみならず、いろいろなあこぎなことをやって、もうかることを一生懸命やっておるのだろうと思うのであります。これが前の総合商社の行動
基準、こういうものに照らして節度あるものかどうかということは議論は別にいたしまして、私がこの中で最も問題にいたしますのは、お手元に差し上げてあります
資料の丸紅のダミー西沢商事、これとその手先だったと思うのでありますが大東コンツェルン何がしというところの関係者、
当事者が昭和五十五年の五月二十三日に話し合っておるわけです。ここにありますのは、そのテープのいわば翻訳をしたものなんであります。
これをずっとごらんいただいて、三ぺ−ジ、この中に赤く引いてございますが、この大東の問題について、「加茂田組の親分とモリオカときて」云云、それからずっときて、「もともと金はわし貸してやってあった、」これは丸紅ダミーの西沢商事という会社の社長の言葉であります。「大東に、それで金もってこんので長いあいだ、四十億ぐらいなったんとちがうかな、貸金の金利、金利加算していくと」。五十五年の五月の話であります。金利その他を加算すると四十億と違うかというところを見ると、このトラブルの一番の原因は約二十数億円で十七の物件を取得したといういろいろな状況と合致をする。
そこでずっときまして、この問題は暴力団——
警察庁のお話を聞くと暴力団と言っておりますが、三億五千万で話はつけたんだ、こう言っておるのであります。そこで、つけたのでありますからこの協約書なんというものはいまごろ効力を持つはずがない、こういう言い方になっておるように私はとるのでありますが、この問題は、モリオカという人物は
警察庁によると暴力団まがいの方のようでありますけれ
ども、その人に丸紅のダミー西沢商事の社長、山本さんという人は「処置付けさす」、こういっておるのであります。そしてこのテープでは、加茂田組の親分とかモリオカとかというのが随所に出てくるのであります。そうすると、丸紅の言葉で言いますと関連会社というのでありますが、この西沢商事はわれわれの常識ではダミー。少なくともこの十七の土地に関するやりとりの中に、私は丸紅グループと呼んでおるのでありますが、暴力団絡み、こういうことが商社のあり方として許されていいのかどうかということであります。
実は私はこの問題はちょうど一カ月近く前にいろいろ問題があるというので
調査を開始いたしました。そういたしましたら、二週間ほど前であります。私の議員宿舎に夜の十時ごろえたいの知れない電話が入ってまいりました。その電話は、あなたは代議士の阿部昭吾ですか。そうです。丸紅相手に何か国会でやるそうだが、あなたの身辺はきれいなんでしょうな。こういう
意味の電話でありました。これはたしか私の記憶に過ちがなければ、今月の七日の日だと思う。名前は名のりませんでした。
それから私は、冒頭申し上げたように、この問題はこの三者間のべらぼうな土地のいわば値上がりをめぐっての仲間割れだろうと、私は総体の枠組みを私の
調査では見ておるのでありますが、その仲間割れをいたしました
部分が丸紅社長の松尾さんあてに内容証明か何かで手紙を出した。先月の十月七日の話であります。二日三日たってその手紙は丸紅社長のところに着いたでありましょう。そうしましたら十月十七日に——丸紅の社長や丸紅の会社からはその手紙を出した方に何の意思表示もない。ところがこれも
警察庁のお話だとそっちの関連の人であるようでありますが、加茂田組の相談役だと言われておるそうでありますが、大山武夫さんという人から、手紙を出した、仲間割れをした方の組であろうと思うのでありますが、その人のところに、あなた何で丸紅にああいうものをやったか、おれとおまえでさしで話をつけようじゃないか、こういう電話が来るというのであります。
私はこれを見ると、少なくとも日本の大商社丸紅、たとえばロッキード事件などをずっと振り返ってみると、
田中元総理にもいろいろな過ちがあったでありましょう、政治家の基本的な過ちがあったでありましょう、しかし見ると、商社というものの、丸紅というもののすさまじさを感ずるのであります。総理
大臣をやったほどの政治家が、実際は丸紅絡みで政治的には食いつぶされるという事態になったのではないかとさえ私は思います。私はいま海外に行った人々からいろいろな話を聞く。そうすると日本の商社のあり方というものに対して、一面では日本の商社の猛烈活動というものが、ある
意味では今日の日本の貿易なり
経済なりいろいろなものに
一つの活力を与えておることも事実でありましょう。しかし同時に、この行動
基準に照らしてみると非常に逸脱をしておる。私は、このはみ出しがどうも国際摩擦なりいろいろな問題を引き起こしておる根源のように思えてならないわけであります。
そこで、私はきょうは具体的なことを申し上げましたので、
通産省は
捜査権はございませんが、きょう提起いたしました問題について、
通産大臣におかれてぜひひとつ商社のあり方に対して、行動
基準は出されました。確かにいま私が提起いたしました土地問題というのはあの狂乱物価時代のころの話で、いまはその後始末問題で仲間割れが始まったということだろうと私は見るのであります。あのときはばっと買い集めた。したがって、この商社に対する
通産大臣の
指導のあり方というものをぜひいま一歩進めていただかなければならぬのではないかと私は思うのでありますが、
通産大臣の御所見をぜひお聞かせいただきたいと思います。