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1980-11-14 第93回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月十四日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 梶山 静六君 理事 辻  英雄君    理事 原田昇左右君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君    理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    奥田 幹生君       島村 宜伸君    田原  隆君       橋口  隆君    鳩山 邦夫君       林  義郎君    水平 豊彦君       粟山  明君    森   清君       上坂  昇君    城地 豊司君       藤田 高敏君    水田  稔君       山本 幸一君    渡辺 三郎君       薮仲 義彦君    横手 文雄君       小林 政子君    渡辺  貢君       伊藤 公介君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 河本 敏夫君         官)  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 劒持 浩裕君         経済企画政務次         官       中島源太郎君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省貿易         局長      古田 徳昌君         通商産業省立地         公害局長    松村 克之君         通商産業省生活         産業局長    若杉 和夫君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         中小企業庁長官 児玉 清隆君         中小企業庁次長 佐藤 和宏君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山梨 晃一君         資源エネルギー         庁長官官房海洋         開発室長    照山 正夫君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     伊藤 公介君 同月十四日  辞任         補欠選任   沖本 泰幸君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     沖本 泰幸君     ――――――――――――― 十一月七日  灯油価格抑制及び寒冷地特別価格設定等に関す  る請願岩佐恵美紹介)(第一一八二号) 同月八日  灯油価格抑制及び寒冷地特別価格設定等に関す  る請願岩佐恵美紹介)(第一三七六号)  同(岩佐恵美紹介)(第一四一〇号)  公益法人及び会員の経営する結婚式場写真部の  地元優先委託等に関する請願外二件(天野公義  君紹介)(第一五三五号)  同(河本敏夫紹介)(第一五三六号)  同(辻英雄紹介)(第一五三七号)  同(中曽根康弘紹介)(第一五三八号)  同外一件(三原朝雄紹介)(第一五三九号) 同月十日  灯油燃料油価格引き下げ等に関する請願(寺  前巖君紹介)(第一六六二号)  同(林百郎君紹介)(第一六六三号)  同(簑輪幸代紹介)(第一六六四号) 同月十二日  灯油燃料油価格引き下げ等に関する請願(安  藤巖紹介)(第一八八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十一日  ローカルエネルギー開発に関する陳情書外三  件  (第一二三号)  エネルギー資源開発促進に関する陳情書  (第一二四号)  工業再配置促進費補助金制度の拡充に関する陳  情書  (第一二五号)  小水力発電開発に伴うダム負担金の免除に関す  る陳情書  (第一二六号)  小売業における事業分野調整強化に関する陳  情書(第一二七号)  家庭用灯油価格抑制及び供給量の確保に関す  る陳情書  (第一二八号)  鉱山保安行政縮小反対に関する陳情書外一件  (第一二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君
  3. 粟山明

    粟山委員 河本経企庁長官にひとつ御意見を伺いたいと思います。  今月の六日から御承知のとおり公定歩合が一%引き下げになりまして、この八月の引き下げと合わせまして本年三月の水準七・二五%になりまして、引き続きまして各種金利引き下げになったという状態でございます。この底には、御承知のとおり物価が大分鎮静してきた、十月の消費者物価が前年同月比で六%アップ台になって、今後も物価はほぼ鎮静しているのではないかという見通しがございますし、もう一つは円も円高傾向が今後も続くのではないか、見方によりましては、西独のマルク等に比べましても円はもっと高くなってもいい、百円台になってもおかしくないのではないかという意見さえあるようでございます。  物価の方はそのような状態でございますが、一方景気の方はどうかというと、御承知のとおり相当低迷を続けているという状況でございまして、こういった点から、公定歩合引き下げということでひとつ景気にもう少し、維持するといいますか、多少刺激を与えてもいいのではないかというようなことでむしろ公定歩合引き下げたというように解釈しております。ところが、景気につきましては、私の感じではもっともっと深刻な状況ではないかというような感じもするわけでございます。たまたま去る十一日の経済閣僚会議内容について新聞等にも報道されておりまして、それによりますと、長官の御意見として、景気は相当警戒を要する、五つばかり理由を挙げておられました。いまの冷夏影響、つまり消費低迷、それから住宅投資のこれまた低迷と申しますか、それから在庫調整が大変これはおくれている、さらに中小企業設備投資のおくれ、もう一つイランイラク戦争長期化、こんな理由を挙げておられまして、私はこの長官意見、非常にごもっともだと存じます。ことに私の地元等に参りますと、中小企業それから一般の商店街が、私ども東北でございますから大変冷害が響いております、そしてこれによる農家購買力の低下が即中小都市商店街にも響いていて、いま大企業のことしの上半期の利益が非常にいいというような報道とはうらはらに、大変不景気感が強いわけでございます。つい二、三日前も、これは民間の調査でございますが、十月の負債一千万円以上の倒産件数が千六百六十幾つと、ことしになって最高であるという報道もなされております。  こういう状況で、景気維持どころか相当刺激する必要があるのじゃないかという感じを私は持っておりますが、現在の景気あるいは物価に対する見方をもう一度長官からお伺いしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 わが国景気動向を見ますと、昭和四十八年の石油危機によりまして大変な打撃を受けまして大混乱に陥りましたが、その後いろいろ対策が講ぜられまして、五十三年末ごろからだんだんと経済は正常に復してきたと考えております。昨年来さらに急速に回復に向かう、こういう状態でございましたので、ことしの春ごろの、つまり五十五年度スタート時におけるわが国経済政策は、景気の方はまず心配はない、しかし第二次石油危機による物価の方が大変心配である、当時の政府表現をかりますと、狂乱物価前夜の状態にある、こういう表現を使いまして、物価がよほど警戒すべき状態になっておるということを強調いたしまして物価中心経済政策を進めます、こういう方針を決めたのでございます。  ところが、夏ごろになりますと、物価の方は大勢としては鎮静化方向に進んでまいりましたが、逆に景気の方がだんだんかげりが生じてまいりました。そこで、去る九月五日に従来のように物価だけを配慮した政策では不十分である、物価にも十分配慮を続けながら、同時に景気の方もほっておくわけにはいかない、やはりある程度の対策というものを考えていかなければならぬということで、景気物価双方に対して十分気をつけましょう、こういう経済政策転換をいたしたのでございます。  ところが、私どもはその時点では、あのときに決定いたしました八項目の対策である程度よくなる、このように考えておりましたが、実はその後不測の事態等が発生をいたしました。いま御指摘がございましたが、たとえば冷害被害予想外に大きい、農産物の被害だけでも七千億を超える、さらにまた、関連の中小企業関係を入れますとさらに膨大な金額になりますし、イランイラク戦争が九月の下旬に起こりまして、予想を裏切りましてこれもいまなおおさまらない、石油の問題にも悪い影響が出ておりますし、あの方面との貿易がストップしておる、こういうこともございます。そのほかいまお話のございました合わせて五つばかりの経済問題点がございまして、なかなか計画どおり景気が回復いたしませんで、たとえば簡単な数字で申し上げますと、現在の産業全体の操業率製造業操業率を申し上げますと、ことしの初めは九二、三%見当の操業率で、非常に理想的にいっておったと思いますが、十月の段階では八三・六%という水準で、一〇%近くも落ち込んでおります。倒産も先ほど御指摘のあったとおりでございますし、たとえば一番景気動向がわかります鉄の生産なんかを見ますと、昨年に比べて一割以上落ち込んでおる、こういう状態でございます。  そこで、今月の末にはいろんな経済指標が正確に出てまいりますので、その経済指標を見まして、十二月の初めに、ことし年末から来年へかけての経済運営をどのように進めるか、何らかの対策が必要であるのかないのか、必要であるとすればどのような対策を立てるのか、こういうことについて関係経済閣僚の間で相談をしていこう、こういうスケジュールになっております。
  5. 粟山明

    粟山委員 ただいまの長官の御意見よくわかりました。  ところで、いよいよ本年末から来年度予算の編成となります。これには言うまでもなく鈴木内閣として国債の二兆円減額という大きな命題と申しますか、目標がございます。二兆円程度あるいは目途としてというような言葉でございますけれども、いまの国家財政立て直しという面からしますと、当然何とかこれを実現したい、われわれもそう思うわけでございます。  しかしながら、財政立て直しあるいは国債減額というのはあくまで手段であって、それによって経済全体が壊われてしまうということになりますと、これはむしろ目標が違うのじゃないかという気もするわけでございます。現在の状況を見ますと、先ほど申し上げたような景気が現在もすでにある程度警戒を要する、あるいは新聞紙上等に言われる警戒以上に深刻な状況と私は感じているわけでございますが、そういう状況で、この国債二兆円減額というようなこと、したがって、先般財政当局からゼロリストというようなことも発表になりましたけれども、ああいった点、さらにこの二兆円減額のためにはどうしても来年増税が必要ではないかという声も非常に強くなっております。そうしますと、そういう声だけでもさらに景気影響が出ているというような気もするわけでございます。そこで、先般公定歩合を一%下げたときも、すでに時期が遅いのじゃないか、もう一回引き下げが必要ではないかという声も産業界等に出ております。  そこでもう一つお聞きしたいのでございますが、景気がいまのような現状で、もう少してこ入れをする必要がある、ことに年末から年始にかけましての状況としててこ入れをする必要があるとすれば、公定歩合を再引き下げ、第三次引き下げを考えた方がいいかどうか、この点第一にお伺いしたいと思います。  第二問は、どうも先ほどから長官も言われたように、いままで物価景気の両にらみという点でまいりましたけれども現状からすると、むしろもう少し景気の方に振り子を戻す必要があるのではないか、そうだとすれば、先ほど今月末のいろんな指標を見た上で来月決めるというお話ではございましたけれども景気てこ入れするとすれば具体的にどんなような方法が、たとえば住宅投資とかいろいろございましょうけれども、どのような具体的な景気刺激策が考えられるか、その点につきましてお答えをお願いをしたいと思います。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 当初にお述べになりました財政国民経済との関係でありますが、私は、財政というものは国民経済の一部である、このように理解をしなければならぬと思います。財政至上主義で、財政のつじつまさえ合えば国民経済は二の次である、こういう考え方では、これは本当の財政再建はできません。やはり国民経済全体がしっかりしておって、その中で初めて財政再建ができる、こういう理解財政再建というものは進めていかなければならぬと考えておりますが、その点は全く同意見でございます。  それから、公定歩合のこれからの引き下げの問題でありますが、いま財政の力が弱くなっておりますから、景気政策を進めます上におきまして、金融政策とか物価政策とか、これは非常に大きな役割りを果たしております。九月五日に総合経済対策を決めましたときも金融政策は今後引き続いて機動的に運営をする、こういう表現をしておりますが、機動的に運営をするという意味は、現在の金利水準はいかにも高いので、条件が整い次第できるだけ低い方向に持っていきましょう、低金利政策を進めましょうということを、機動的に運営をするという表現であらわしたのでございます。  そこで、最近条件が整ってまいりましたので、先般の第二次引き下げということになりました。しかしながら、昨年来の公定歩合金利水準動向を見ますと、五十三年末から五十四年初めにかけましては御承知のように公定歩合は三・五%でございましたが、その後、昨年の四月からことしの三月までの間に連続五回の引き上げがございました。そして三・五%であったものが九%になる、こういう急上昇をしたのでございます。そこで、これじゃいかぬというので八月と十一月と二回引き下げが行われましたが、金融政策を進めます場合に、私どもも機動的に運営をする、そして景気によい影響が出てくるような方向に持っていってもらいたいということは強く期待しておるのですけれども、しかしそのためには、やはりそれができるような背景、客観条件というものをつくらなければなりません。  その第一が物価であります。物価の方はだんだんと安定の方向に進んでおります。十月は御承知のような水準でございますが、十一月は若干は高くなるかもわからぬ、こう思っております。そんな大幅なものじゃございませんが、若干高くなるかもわからぬと思っておりますが、十二月以降はずっと急速に安定の方向に進んでいく、こう考えております。そして年度間を通じて六・四%という目標がございますから、それを実現できるような方向に全力を挙げたい、また、そういう方向大勢としては急速に進んでいくであろう、このように考えております。この物価の問題が第一で、ございます。  同時に、国際収支のことも考えなければなりません。幸いに国際収支の方はこの春大幅な経常収支赤字でございましたが、最近になりまして黒字に転換をいたしております。これがこのまま定着するかどうかわからないのですけれども、大きく改善されたということは大変心強く思っておるわけでございます。  それから同時に、低金利政策を進めますと、円のレートは下がる方向にいくのが普通でございますけれども、逆にこの夏以来上がっております。それは結局、いま世界で低金利政策を進める力を持っておるのはもう日本しかない。日本がこの厳しい条件の中で低金利政策を着実に進める力を持っておるということは、これはもう高く評価しなければならぬ。こういうことから、経済学説とは逆に円高方向に行っておる。これも今後金融政策を機動的に進めやすい条件か、こう思っております。  ただ、金融政策責任者にとりましてやややりにくいと思われますことは、アメリカ経済政策がどうもうまく進みませんで、一時低金利への方向に進んでおりましたけれども、また最近は金利急上昇をしております。最近のプライムレートは一五・五%ということで、これがアメリカのみならず世界経済全体の足を大きく引っ張っておるということがございます。それからまた、日本にはやはり郵便貯金という大きな別の分野がございまして、これはもう金融政策責任者の力の外にある、こういうこともございまして、なかなか思うようにいかないということもございます。しかし、一番の基本である物価それから国際収支為替レート、こういうものは次の金融政策を機動的に展開できるような方向に態勢としては進んでおると思いますので、そういう条件が整い次第、適当な時期、具体的にはどのような判断をされますか、それは金融責任者である日本銀行の方で判断されることになるわけでありますけれども、いまの経済状態景気状態から考えますと、さらに私は、客観情勢が整い次第一段と低金利政策方向に持っていってもらいたいということを強く期待しておるところでございます。
  7. 粟山明

    粟山委員 わかりました。いろいろ条件がございますし、またいまのお話しのように、金利そのものにつきましては日銀の専管事項でもございます。しかし、この暮れの景気、非常に心配されるところでございますし、一方予算面は非常に厳しい、財政政策の方が厳しいという面はございますけれども、ぜひここで一段と産業政策を盛り上げていただきたいと希望いたしまして、時間もございませんので次の質問に移らしていただきます。  そこで、通産大臣にお伺いしたいのでございますが、いま経企庁長官への質問にも触れましたとおり、大変冷夏影響農家購買力が下がっている。したがって、地方中小都市商店街に対する消費が非常に鈍化している。このために、地方中小都市商店街が大変不景気に悩まされているわけでございますが、そういった状況におきまして、大型店舗、いわゆるスーパー等進出が最近きわめて目立っております。従来は、人口十万以上の中都市と申しますか、あるいは大きな団地ができたというようなところに主としてスーパー進出して、非常に便利がられているという面はございます。もちろん流通近代化あるいは消費者ニーズ多様化、たとえば駐車場が非常に便利であるとかワン・ストップ・ショッピングができるとかいうような面で、今後ともそういった大型店舗が発達していくという流れは否めないことであろうと思います。  しかし、もちろんそれに対して小零細商店街におきましても、流通近代化に対する対応ということは当然必要だと思うわけでございますけれども、何せ最近の大型店舗進出がきわめて、異常なほど急速であるという事実がございます。先般、これは通産省からいただいた資料でもございますけれども、五十年度−五十三年度、この間においては全国で第一種だけの大型店進出が、各年度で平均二百五十から三百件という新設の届け出がなされております。五十四年度になりますと、これが五百七十六件と倍増しております。これについては、確かに法律改正に対する駆け込みの増加だということは言われておりますけれども、そして五十五年度上半期はそれほどでもない、前の状況に返ったというような説明を聞いております。しかし、私の聞いた範囲では、東北地方等においては中小都市に急速に進出計画が出ております。これはむしろ大型店舗同士の競争によって、いまのうち出ないとおくれてしまうというような考え方から、集中的にわずか二万、三万の人口というような都市あるいは町に進出しているということが非常に目立っているわけでございます。  それで、これについては大店法のいろいろな運用あるいは商店街に対する金融面あるいは運営指導近代化指導というような施策をいろいろ通産省においてもとっておられるようでありますけれども、どうもこういった急激な進出ということになりますとそれが間に合わない。たくさんの、二十も三十もの商店街の零細な店舗共同歩調でいろいろなことをやろうとしてもそう簡単にはいかない。そこへもってきて現在のような不景気ということでは、倒産に追い込まれるとかいうような面も出てくるわけでございます。まして一つの小さな町で、その町の購買力の三〇−四〇%というものを大型店進出によって奪われるということは非常な社会的な問題ではないか、こう考えるわけでございます。  そういうことで通産大臣にお伺いしたいのでございますが、こういった問題に対していま大臣はどう見ておられるか。また、この進出をもう少し緩めるというような点について、たとえばもう一度大店法の見直しをする、あるいは届け出制許可制にするとか、こういったお考えはないかどうか、ひとつお伺いいたします。
  8. 田中六助

    田中(六)国務大臣 現在の小企業と申しますか中堅企業と申しますか、非常な倒産件数から見まして、特に十月なども千六百六十件をオーバーしておるというような事態は、私自身頭を痛めている問題でございまして、こういう問題と関連していま粟山議員指摘大型店舗、つまり大型小売店舗の問題はどうしても考えざるを得ない。その周辺に与える影響というものは甚大なものがございますし、この大型店舗消費者ニーズにこたえるという一面もございますけれども、やはり何と申しましてもそういう多数の小売店に対して被害を与えておるのも事実でございます。したがって、店舗法の三条、五条、そういう問題に絡んで私どももいろいろこれをチェックする内容が、それぞれ商調協あるいは小売店の保護というような面でありますけれども、まだいろいろなトラブルをそれぞれ起こしておりますし、特に大型店舗進出が各地方で、こういう不況と申しますか、景気が悪い中で問題になっております。したがって、この問題を私どもは真剣に取り上げているのが現実でございまして、しからばどうするか、具体的にということでございますけれども、この条文にのっとって案件をチェックしております。  いま粟山議員の御指摘のように、届け出制許可制にするというところまで踏ん切るかどうかということでございますが、これも法律のことでございますので、国会の御審議にまつ以外にないのでございますけれども、いまのところ私どもはそういう大きな変更を加えるということは現実のところ考えておりませんけれども、将来の検討事項としては当然検討しなければなりませんし、現実の解決をどういうふうに持っていくかということを真剣に考えつつ、その中にこの問題も含めていきたいと思います。
  9. 粟山明

    粟山委員 次の質問はいささか細部にわたりますので、大臣じゃなくて通産当局の方で結構でございますが、いま大臣から、すぐには許可制がむずかしい、これからの国会等における検討に任せたいというお話もございました。しからば、今後届け出制といういま現在の法律を前提として運営されるわけでございますが、その運用についてひとつお聞きしたいと思います。  いま現在最も苦情の多いのは、これは何回も審議されたことでございますけれども、閉店時刻が守られてないということ、それから売り場面積の不法拡大ということであると考えるわけでございます。閉店時刻につきましては、九月五日に大店審から一つのガイドラインが出されまして、各地の商工会議所あるいは商工会に通達がなされたというので、いろいろと当局も考えておられるようでございますけれども、そういうものを出さなければならないほど閉店時刻が守られてないという見方もできるわけでございます。もう一つ、売り場面積の不法拡大という点につきましては、地元の私自身の事務所の人間が二、三調べてみたわけでございますが、個々の名前は挙げませんけれどもスーパーによっては幸か不幸か駐車場という大きなスペースを持っております。大体月のうち七日ないし十日間は駐車場にテントを張って、何々祭りとかあるいは何々セールと銘打って一定の品物を販売している。明らかにこれは売り場面積の不法拡大だと思うわけで、その点がございます。  こういった閉店時間の問題、それから売り場面積の不法拡大、もう一つは、いまの法律では、スーパーの中の飲食店はその売り場面積に含まれていないということでございます。ところが、一般の商店街では飲食業も当然一個の店舗として取り扱われている。何ゆえにスーパーだけはこれが取り扱われてないのか。そして、やがて変更届を出して仮に許可された場合には、それがたちまち売り場面積の拡大にすぐ建物として役立つ、こんな面もあるわけでございまして、いまのこの状況について運用上どういうふうに考えておられるか、当局の方にお伺いしたいと思います。
  10. 神谷和男

    ○神谷政府委員 お答えいたします。  大店舗法の施行の状況に関しまして、違反の事実がかなり目立っておるのではないかという御指摘でございますが、ただいま御例示に挙げられました営業時間の問題と、いわゆる店舗の不法拡大と申しますか、この問題、二点を特にお挙げいただきましたが、私どもがいろいろな状況から承知しておりますところでは、営業時間は、むしろ法律違反の問題と申しますよりも、大店法の手続に従って各地元地元で調整を行っていく場合にいろいろなばらつきがあるのではないか。これが小売商、特に中小小売商、周辺の商店街等から見ると、昔の百貨店法時代のように一本にならないのかという御要請があるという状況から発せられた苦情ないし御意見であろうかと存じております。  これにつきましては、私ども他方ではいまのような御意見があると同時に、やはり地域の実情実情に応じて閉店時刻は異なってくるんだ、あるいは特に都市においては共かせぎであるとかいろいろな生活態様が出てきておるので、余り一律に営業時間を決めるのは好ましくないという要請もある。こういう非常に複雑に込み合った要請の中で、どういう状況が今後調整の指針として適当であろうかということをいろいろ御検討いただきまして、各方面の御意見もお伺いいたしまして、先般あのようなガイドラインを出させていただいたわけでございます。したがいまして、あくまでも調整の過程におけるガイドラインでございますので、この法律の精神並びに私どもの通達の精神を体しながら、商調協において適切な判断を下していただくことを期待いたしますと同時に、私どもといたしましては、その後の推移を慎重にウオッチしてまいりたいと考えております。  それから、他方店舗面積の不当拡大、六条二項違反であろうかと思いますが、いわゆるこの種の苦情あるいはトラブルというものが各地で起こっておるということにつきましては、私どもも出先の通産局長あるいは担当官等からも伺っておりますが、私どもといたしましては、現時点で大店法のいわゆる法律の規制そのものがナリファイされるような形での違反は余りなくて、むしろボーダーラインのところで非常にむずかしいケースが多いのではないか、たとえば御指摘のように駐車場にテントを出すとか、あるいは軒先に物を並べて売る、あるいは通路に物を並べて売るというようなケースがあって、あちこちでトラブルがあるようでございます。この場合でも、たとえばテントを張って表で販売した場合に、あるイベントで売り出しのようなものをやる場合には、これは法律違反とは言えないと思いますが、これが恒常的と見られるような場合には、その程度によって疑いが生ずる、軒先等においても同じような問題が起きる、こういうことでございまして、事実判断の加わります問題でございますので非常にむずかしゅうございますが、商工会あるいは商工会議所さらには通産局、地方自治体等、皆様協力し合いながら、実情に即して現在までいろいろな指導あるいは勧告等を、事実上の勧告でございますが、そういうものを行ってまいりまして、これまでの件では私ども大体そのような調整で従っていただいておると考えております。かなり具体的、細かい問題が多いと思いますので、そういう形でできるだけ小まめに処理をしてまいりたいと考えております。  それから、スーパーの調整の中に飲食店が入らぬという問題につきまして、その関係業界から御意見があることは承知いたしておりますが、御承知のように、この法律は第二条の定義で、小売業ということで、小売業の用に供する店舗面積を調整するという法律になっておりまして、サービス業は法律上除かれておりますので、私どもといたしましては大規模店舗法に基づいて調整することはできないし、また法律で許されてない権限をいたずらに行使することは適当でないと考えております。サービス業をこういう調整に含めるべきであるかどうかというのは、立法論としていろいろ御意見はございますが、私どもとしては、現在の大店法の精神が大規模な売り場面積によるワン・ポイント・ショッピングというような形で、周辺の商店街影響を与えるというような観点から調整いたしておりますので、サービス業はこの立法の議題から、議論されましたが、一応除外しておるということでございます。農林省、厚生省等いろいろ所管官庁の御意見はあろうかと思いますが、私ども今後ともいろいろな御意見は伺ってまいりたいと思いますが、現時点では法律上そのようになっておりますので、むしろ事実上、所管官庁の方でいろいろ問題があれば指導していただくということになろうかと思います。
  11. 粟山明

    粟山委員 ただいまの御説明ですが、確かに時間の問題は、いまのお話のとおり消費者ニーズによってまちまちになる、これは私も承知しておりますが、ある特定のスーパーなりそういった大店舗の閉店時間が、仮にその日八時なら八時としたものが、どうも三十分ぐらいは延ばされているという実情から申し上げたのです。この間の九月八日の大店審の通達でそういった点が考えられていることは私も承知しておりますが、個々のばらつきがある中で、それぞれがどうも時間延長をやっているのじゃないかということを申し上げたわけであります。  それから、いまの売り場面積の不法拡大につきましても、恒常的というお話がございましたが、月のうち十日もいまのようなテント張りあるいは軒下販売をやられるということは、確かにこれは不法拡大と言ってもしようがないのじゃないかという感じがするわけでございます。  一つお伺いしたいのは、大店法で、各条に従って罰則がございます。一番ひどいのは営業停止あるいは三百万円以下の罰金、それぞれの問題についてあるわけでございますが、五十三年でございますか、法改正になりましてからいままで、そういった罰則が適用された事例についてどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。
  12. 神谷和男

    ○神谷政府委員 罰則では、十九条第二号で六条二項違反ということに該当いたしまして、法律上は五十万円以下の罰金に処することができるということになっております。実績は現在までのところございません。経済法でございますので、罰金を取り立てたり罪人をつくることが主眼ではございませんので、でき得れば実態で指導し、それに従っていただくという方向を第一義にとり、非常に悪質であり、法の精神並びに法の安定的運用を無視し、無効にするような状況のものがあらわれた場合には毅然とした措置をとるべきものと考えておりますが、幸いに現在までのところ指導によって十分効果を達しておるというふうに考えております。ただ、非常に細かい案件の多いものでございますので、なかなか拾い切れるものではございません。したがいまして、役所といわずいろいろ商工会、商工会議所等にお話をいただきながら、できるだけ小まめに処理をしてまいりたいと考えております。
  13. 粟山明

    粟山委員 そこで、ただいまのお話のように、確かに細かい点が非常に多いということもございますし、さらには実情が中央官庁はもとより、各地の通産局でもなかなかつかみ切れないのじゃないかという感じがするわけでございます。それに、後ほど質問したいと思っております商調協の人選あるいは事前届け出に対するいろいろな調整ということについてもなかなか見切れない面があると思うのでございますので、この際むしろ地方地方の実情を、ことに中都市、小都市の実情をよく把握しやすい都道府県に、第二種のみならず第一種に対する問題も任せたらどうか。これは行政改革の一端として中央の権限を地方に、許認可事項を初めできるだけ委譲するという方針もあると思いますので、まずその点についてそういう考え方はできないかどうか、お伺いしたいと思います。
  14. 神谷和男

    ○神谷政府委員 現在第二種は先生御指摘のとおり都道府県知事にお任せをいたしております。第一種につきましては都道府県知事経由で通産大臣に上がってまいりまして、しかもなおかつ都道府県知事あるいは市町村長等の意見を付していただく、そういう形で進めておるほか、地元の商調協意見というものを大規模店舗審議会等で十分尊重する、こういう形で進めております。これを実態的に見てみますと、むしろ商調協で実態的な解決のついたものはそういう法律上の手続を経ずして円満に解決をしておる。そこで、商調協で二論、三論でまとまらなかったようなもの、これにつきましては都道府県知事の意見を付して大規模店舗審議会に上がってくる、中立委員の判断にまつ、それに基づいて通産大臣が勧告をするという形になっておりまして、この場合、当然商調協審議状況並びに都道府県知事の意見、市町村長の意見というものは十分尊重されるわけでございます。したがいまして、ある意味では地元で解決がつかなかったということで、上告審に上がってきたような事実上の運用になっておるわけでございますので、私ども、地元にすべてをお任せしてそのままにしておくというのも一つ考え方として、立法論としてはあろうかと思いますが、むしろ現在の方法の方がより適当なのではないか。また、地元では地元なりのいろいろな過去の調整の過程における経緯であるとか感情的なあつれきであるとか、そういうような問題が残って、なかなか冷静、公平に処理ができないというようなケースの場合には、やはり中央の大規模店舗審議会において処理をしていただく、しかし地方の実情、意見を十分尊重するという形で現在進めておりますので、私どもといたしましては、むしろいまの方法がより適切であり、これを事細かにいろいろな御意見を聞きながら改善をしていった方が適当なのではないかというふうに考えております。しかし、私ども何ら権限にこだわるものではございませんので、いろいろな御意見はフランクにお聞きしながら、今後とも、非常にむずかしい調整プロセスの仕組みでございますので、一歩でも二歩でも法律上の問題、事実上の運用の問題等を通じながら改善を図っていきたいと考えております。
  15. 粟山明

    粟山委員 いまのは権限の問題もございますが、そこで、事前届け出の事前調整の場合の商調協のあり方でございますが、特に委員の人選のやり方について非常に問題になっているようでございます。いまの審議官のお話のように、まず地元で調整してもらいたい、そこでどうしても解決のつかない点をいわば上告審でやるんだというお話でございますけれども、事前調整の場合ですと、商調協意見というものが非常に決定的な大きな要素を占めるのではないかと私は思うのであります。商調協の人選につきましては消費者側が三分の一、商店街が三分の一、それに学識経験者三分の一、四、四、四か三、三、三、それに投票権のない行政側の委員が加わるという仕組みと理解しておりますけれども、この中立委員であるべき学識経験者という方々が相当問題になっている。どちらかというと消費者側に偏りやすい。いままでの例を見ましてもどうもそういうように思われるわけでございまして、特に学識経験者も当然それ自身は消費者でもございますし、それに流通近代化とかあるいは消費者ニーズという面が非常に強く反映しやすいような気がするわけで、全体で九人の場合ですと三対六かあるいは四対五といったことで商店街の方が不利になるというケースが目立っておりますが、そこで、商調協の人選の問題についていまの方針がいいのか、もう少し何か考えるべき点がないか、この点お伺いしたいと思います。
  16. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、商業者、消費者、学識経験者三者均衡という考え方でおります。私どもといたしましては、地元の意見をできるだけ幅広く、しかも公正にまとめ上げていくためにはこの構成が最も適当ではないかと考えておりますが、先生御指摘のように学識経験者がどうも消費者寄りではないか、御指摘のように学識経験者も消費者でございますし、ある意味では商業者も他の物品に関しては消費者でございますので、そういう面は否めませんが、別途商業問題、小売業問題等に関しても学識のある方々もお願いしておるわけでございます。他方、私どもに参ります苦情、あるいは非常にもめた案件が中央にいろいろな形で上がってまいりますが、その場合には、ケースによりますとどうも学識経験者が商業者寄りでおかしいというような苦情を寄せられる向きもありまして、私どもといたしましては、学識経験者にはできるだけ客観的にお願いしたいという形で、そういう方々を選ぶよう商工会議所、商工会等を指導いたしておるところでございます。  ただ、もしその場合に商調協の二論併記等が六対四であるとか七対三であるとかいう形で参りましても、私どもの方の大店審におきましては、多数だからどうこうという形ではなくして、商業者の意見がどうであるか、消費者意見がどうであるかという形で審議会の先生方には判断をしていただいておりますので、そこのところの数の多さというものではなくして、むしろおのおのの分野の方々がどういう御意見を持っておるかというのを判断の材料にさせていただいております。しかし、やはりいろいろな会議の中で議論をする場合に数というものは否定できませんので、できるだけ学識経験者は中立的に、しかも幅広い見識を有する方を選ぶよう、今後とも指導を続けてまいりたいと考えております。
  17. 粟山明

    粟山委員 それでは、最後に商調協のいろいろな調整事項でございますが、私ども地元で感じておりますのは、人口の少ない、いま現在人口二、三万という小都市あるいは町に対する集中的な進出ということが非常に目立つだけに、これを何とかしてほしいなという声が地元から出ているわけでありまして、しかもそういう都市、町は、もうここ十年あるいはそれ以上もほとんど人口増がない。したがって、これからどんどん大きな店が出てくると、現在のいわゆる購買力といいますか、町の商店街の売り上げというものをそこに大きく取られてしまって、現在の零細商店街が、中には二代、三代続いた店を畳んでいかなければならぬというのが実情でございまして、これが消費あるいは経済の今後の発展の過程でもってしようがないんだという冷酷な見方をするわけにはいかないと思います。そういう点から申しましても、もう少し調整の段階で人口というような点も一つ考えられないかどうか。  また、もう一つは、ただいまの学識経験者の人選の問題にもなりますけれども現状は、小さな地域ではありますけれども、その地域の都市計画とかあるいは交通とか公害とか土地の利用とか、全体に目を配った学識経験者という方が、私どもはわずかな経験ではございますけれども、少ないような気がいたします。そういう点につきまして、もう少し商調協の人選というものを、ただ地元に任せるということだけではなくて、何かお考えができないものかどうか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  18. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、中小都市あるいは町村部等に届け出がかなり広がってきておる。そういうところのウエートが上がってきておるという事実はございます。したがいまして、従来このような調整に未経験であったような商工会等がこういう問題に直面をいたしまして、非常にトラブルがあちこちで起こっておることも事実でございます。したがいまして、できるだけ円滑にかつ公平な調整をしていただくよう、私どもとしてはいろいろな情報を提供いたしましたり、あるいは調整の方法について御指導、アドバイスをいたしたりしておるわけでございますが、先生御指摘人口の問題あるいは人口の将来の伸びの問題、あるいは行政人口と商業人口との差の問題といったような問題に関しては、私どもとしてそういうものは特に重視をしてもらうよう指導してきておりますし、今後とも指導したいと思っております。したがいまして、小さな町等におきましてはかなり大胆な調整が行われておる例もございます。また、小さな町でいままでよそへ流れていってしまったので、むしろ積極的に行政人口を呼び戻したい商業人口を呼び戻したいということで、逆にポジティブなところもございます。地域の実情によって非常に異なりますので、そのあたりはできるだけ商調協あるいは地方公共団体の御意見等も踏まえながら適切な調整を行っていきたいと考えております。それにつきましても、先生御指摘のように商調協の人選は非常に大事でございますので、通産局等とよく相談をするよう指導をいたしております。
  19. 粟山明

    粟山委員 わかりました。いまや地方の時代という状況でございますし、その地方の中核となっております商店街、これがさびれるようでは地方の発展は望めないわけでございますので、ひとつこの上とも御当局の適切な指導をお願いしたいと思います。  その件はこれで終わりまして、あと時間もございませんが、質問が全く違いますが、通産大臣一つだけ御意見を伺いたいと思います。  先般、通産大臣は豪州も含めましてASEAN三カ国を訪問されました。その前にも訪問をされてASEAN全部を訪問されまして、前回の当委員会で御報告を承りました。この正月には鈴木総理の初訪問、ASEANに予定されておりまして、通産大臣がその前に行かれていろいろと主として経済協力問題についてお話しなされたことは、まことに適切なことであると私考える次第でございます。  そこで、その中で一つだけ御意見をお伺いしたいのは、いわゆるASEAN五カ国によるASEANプロジェクトというものが御承知のとおりございます。肥料とかいろいろなものの各国それぞれの計画がございますけれども、これは、前回福田総理がASEAN諸国を訪問されたときに、ASEANドクトリンといって十億ドルの約束をなされている。ところが、その後相当な年月がたっておりますけれども、なかなか実現がしていない。これは日本側から言わせればASEAN諸国の合意が成り立ってないじゃないか、はっきりしたものが出てくれば喜んで金は出すんだというように言われますが、同時に、ASEAN諸国の声としては、どうも日本はリップサービスばかりじゃないか、なかなか乗り気になってくれないというような不平も聞かれるわけでございます。この点につきまして今後もっともっと一段と力を入れる、できればASEAN各国それぞれの主導権を損なわない程度で、ある面で日本がイニシアチブをとるくらいのことが今後の日本の対外問題で大きな意味があると私は考えるのでございますが、この点につきまして全般的な御意見を最後に大臣にお伺いしたいと思います。
  20. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いま粟山議員指摘の、ASEAN五カ国に対する援助の十億ドル、これは福田元総理がお決めになってきたことで、御指摘のようにまだ一銭も使っておりません。しかし、幸いにこのたびインドネシアの尿素のプロジェクトについての支払いを完璧にしようということが、私が参りまして具体化いたしまして、コストオーバーランの金も含めまして、鈴木総理大臣が行く前にインドネシアの尿素プラント、つまり五カ国のうちの一つを実現し、支払おうということが決まりまして、実はけさほども閣議前にそのことを総理にも報告し、総理もそれを了承したわけで、遅まきながら十億ドルの一部をインドネシアで使うということが具体的に成立することを申し上げたいと思います。
  21. 粟山明

    粟山委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  22. 野中英二

    野中委員長 城地豊司君。
  23. 城地豊司

    城地委員 当面の景気動向と、中小企業現状について質問をいたします。  先ほどの粟山委員質問と若干関連いたしますが、経済企画庁長官に伺いたいのです。先ほど御答弁がありましたが、現在置かれている経済状況予想以上に深刻な局面だというふうに私どもは考えております。特に個人消費の伸び悩みとか、市況商品の十七品目の下げ足の問題、自動車の内需不振の問題等々、さらに十月の大口倒産が千六百六十八件に達している点、どの材料を取り上げましても非常に深刻だというふうに考えているわけであります。先ほど長官は、今月末にいろいろな指標を見た上で総合的な判断をして対策を立てる、新聞等によりますと、経済閣僚会議をやって今後の打つべき手をそこで相談されるというふうなことでございますけれども、きょう現在でかなり悪い材料が、そういう経済指標を見なくてもそろっているんじゃないかというふうに私は考えます。そういう意味で、経済企画庁長官がいま頭の中で考えておられる対策はたくさんあるでしょうが、そのうちの一つでも二つでもあればこの席でぜひ所見を述べていただきたいということでございます。
  24. 河本敏夫

    河本国務大臣 景気現状についてはいま御指摘があったとおりでございまして、年の初めに比べますと相当落ち込んでおります。いろいろな指標がこれを示しておるわけでございますが、ただ、細かい正確な数字がまだわかりません。そこで、十一月末に集まってくる指標を見た上で判断しよう、こういうことを考えておるわけでございます。いろいろ考え方は出てくると思いますけれども、やはりさしあたっては第四・四半期の公共事業をどのように取り扱うかということが一つの大きな課題であろう、こう思っております。
  25. 城地豊司

    城地委員 長官の次の予定の関係がありますので、そのことだけで質問いたしますが、前回、十月二十一日に私は長官質問をいたしまして、あのときに、物価対策関係で十四項目といいますか、三十日に具体的な対策を発表されるという話を伺いました。十四項目の当面の物価対策について発表がありまして、野菜に対する手当てその他三十七億円を使って当面の物価対策にするという内容は伺いました。大分消費者物価鎮静化してきていますが、さらに第二弾、第三弾として何か考えておられる点がありましたらこの際伺いたいと思います。
  26. 河本敏夫

    河本国務大臣 この九月五日に八項目の経済対策を決めますときに、物価対策を非常に重大に考えまして、物価対策については特に六項目の対策を強力に進めていこうということを決めました。先月三十日には、さらに野党三党と自民党との物価対策についての相談がございまして、それを受けまして物価担当官会議を開き、十四項目のさらにきめの細かい対策を決めたのでございます。これは九月五日の延長である、このように私ども理解しておりますが、さらに、来月は年末でございます。年末にはどうしても物価が上昇ぎみになりますので、そういうことがあってはいけませんので、いま年末の対策関係方面と相談をしながらまとめておるところでございます。
  27. 城地豊司

    城地委員 次に、中小企業関係について質問いたしたいと思います。  この九月期の決算報告、主として中間決算でありますが、大企業の場合には円高差益等々の好条件もありまして軒並み前期に比べて利益が多く出ているというのが中間決算の概況であろうと思います。中小企業はそういう意味で、決算内容が非常に伸び悩んでいる。日本全体の状況は先ほど申し上げたとおりでありますが、それらの中で大企業が決算の内容がよくて中小企業が伸び悩んでいるという状況を、通産大臣並びに中小企業庁長官はどのように考えておられるか、質問したいと思います。
  28. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  最近のいわゆる景気かげり現象というものは中小企業に非常に色濃く出ておるということが言えると思います。特に最近の倒産の傾向から見てまいりまして、建設業、商業関係、繊維、木材関係、食料品関係と、いわゆる景気サイクル的な問題と、冷夏冷害といった問題との両方が重なりまして、しかもそれが製品的に見ますと主として中小企業製品に非常に集中をしているという傾向がございますので、そういった傾向からいたしまして、中小企業の方に特に経理圧迫、倒産、収益減退という状況が出ている、このように考えております。
  29. 城地豊司

    城地委員 次に、中小企業景況調査報告書というのがついせんだって出たのですが、これは九月五日に中小企業一万四千社について中小企業庁が初めて中小企業景気動向調査ということで調査された内容であります。非常に大変な努力をされたことに敬意を表しますが、それらの中で細かい点は別でありますが、大きな点で、経常利益と資金繰りの動向と経営上の問題点、業況の判断という四点について要約しますと、経常利益は、前期比、前年同月比とも全産業製造業で見てもやはり二〇%前後マイナスになるんじゃないかという予測が立てられています。資金繰りの動向についてもますます悪化をする、好転するというよりは悪化をするという見方が非常に多いわけであります。経営上の問題点では、需要の停滞というようなものが非常に問題点だという答えが三八・六%、圧倒的に多いし、二番目には原材料の上昇というのが一六・六%ということになっています。さらに、業況の判断は、非常に悪化するのであろうというように中小企業は見ているわけであります。そういう点で考えていきますと、これは九月五日の調査で、いま二カ月たちまして発表になっているのですが、現在やりましたらもっと深刻な状況になるんじゃないかというふうに予測をいたしますが、それらの見通し、考え方について伺いたいと思います。
  30. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  確かにいま先生から御指摘い、ただきました調査が九月五日現在でございまして、ちょっと古うございまして、その後集計あるいは分析評価という点で時間を食ったわけでございますが、確かに先生御指摘のように、仮に現在の時間で調査をしたということになりますと、やはり九月の時点よりはさらに悪化しておるというふうに、私の印象としては持っております。
  31. 城地豊司

    城地委員 対策、要望については、第二点目の質問が終わった後、総体的に申し上げたいと思います。  第二点目としては、倒産の現況とその対策、特に小口倒産関係について申し上げたいと思います。  前回の十月二十一日にもいろいろ要望もいたしました。そして、あの時点では九月の大口倒産千六百七件というのが発表になったわけでありますが、ついせんだって十月の大口倒産千六百六十八件、大変な数字がまた発表になったわけであります。この状況からいたしますと、十月二十一日にも指摘したところでございますけれども、千五百件というのが危機ラインである。危機ラインがまた今月も続いた。さらに、過去昭和四十九年から五十四年までの五年間の倒産の統計を見てみましても、九月よりは十月が多くなる、十月よりは十一月、十一月よりは十二月と、非常に件数が増加しているのが過去五年間の傾向であります。そういう傾向からしますと、今年度も十一月、十二月が非常に心配されるわけであるし、この東京商工リサーチの分析によりましても、今年全体でいきますと、一月から十月までの倒産が一万四千五百九十九件、負債が約二兆二千五百億、今年全般、十一、十二月をプラスすれば約一万八千件近い水準になるだろう、そして負債総額は約二兆七千億内外になるのではないか。そういう意味では昭和五十二年に次いで史上二番目の倒産になるというような分析をなされているわけでございます。年間一万八千件ということになりますと月で直して千五百件、ならしても毎月毎月そういう意味では危機ラインの倒産であるという状況や、さらに先ほど中小企業庁長官がお答えになりましたように今年の場合建設業その他食料品業、繊維業等の倒産が非常に多いわけでありますが、こういう状況に対してどういうような対策を立てるおつもりなのか伺いたいと思います。
  32. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  九月五日の対策と九月十九日の対策とございまして、政府の総合対策一つの主軸といたしまして、中小企業対策を具体的措置をもって打ち出したわけでございます。  一つは、これから年末にかけまして、さらに冷夏冷害というものの影響等がございますので、金融の円滑化措置をとろうということにいたしておりまして、政府三機関に対する通達とあわせまして、銀行協会に対しましても私どもと大蔵省銀行局で、中小企業の特に緊急な融資についてはこれが円滑に行われるように、かつたとえば返済猶予あるいは担保の弾力化等についても十分配慮するようにという金融面の措置が第一でございます。  それから第二の措置といたしましては、いわゆる特定不況業種についての緊急見直しを行いまして、九月十九日付で新しく建設業、アイスクリーム製造業、清涼飲料水製造業等々のいわゆる冷夏関係業種を緊急に指定追加をいたしました。この中小企業信用保険法の追加措置をとりますと、別枠措置といたしましてのいわゆる金額、たとえば一般の普通保険でございますと七千万円の別枠というようなのが出ますし、保険料率の優遇とかあるいは保険てん補率の優遇等の効果が出てまいります。これが第二の措置でございまして、いわゆる保険法上の特定不況業種の指定という措置をとっております。  それから第三番目といたしまして、これは先ほどお話し申し上げましたように、特に今回の景気のかげりあるいは冷夏、長雨等の重なった被害が集中的に出ております建設業につきまして、官公需を建設発注の際に特に今年度目標であります三六・五%を極力達成するように努力するということが一つと、それから発注に際しましては、中小企業に対して公共事業等の傾斜発注を行ってもらいたいという点と、それから取引関係の一歩二歩の前進をねらいまして、大手元請企業が下請企業に対して、大手元請企業が受けたたとえば現金比率等については、末端までこれが均てんするようにというような措置を公共事業関係として関係方面に、建設省と通産省との間で話し合いをいたしまして、第一線の方にそういった通達を発したわけでございます。  以上申し上げましたのが具体的措置の三つでございますが、このほかにも、最近倒産が非常にふえているという事態に対処いたしまして、特別相談室というものを商工会議所あるいは商工会連合会の方に設置いたしておりまして、昨年相当な成果を上げておりますので、今年度、特に現下の情勢からいたしますとここに相当大きな役割りを期待したいということで、その活発な活動について特に訓令を発しております。  以上申し上げましたようなことが一般的な措置でございますが、それに加えまして、特に、第三・四半期の金融情勢ということで、年末を控えておりますので、一兆六千五百億円という第三・四半期の融資枠を三機関について認可をいたしまして、これは昨年の同時期に比べますと、ちょうど二六%増になっております。したがいまして、金額の点からいきますと、年末も含めまして、ほぼこれで支障なく金融の量としては確保できたのではなかろうか、このように考えております。
  33. 城地豊司

    城地委員 ただ件数が多いというだけでなくて、最近の十月あたりに見られる倒産の傾向は、中小企業倒産だけでなくて、上場企業中堅企業倒産が加わってきているという意味では非常に深刻な状況だと思うのです。そういう意味でいきますと、中堅企業や上場している企業倒産しますと当然連鎖倒産ということも考えられますし、そういう意味では、前回十月二十一日に質問をいたしまして、大臣からも意思は十分つかんで対処するという御答弁をいただきました。その問題は小口倒産の問題であります。現在百十一都市で実施しておりますから、大口倒産が千五、六百件出ているのに小口倒産は七百件内外しか数字の面ではあらわれてきていないのが現状であります。そういう意味ではいまのような状況の中でやはり小口倒産、百十一都市だけの調査で、七百件内外の調査では不十分だと私は思いますし、現状調査機構ではそれしか方法がないということでございますが、いまのような状況になってきて、まさに緊急事態だと思いますので、そういう意味で、この小口倒産の実態を早急に何らかの形で調査をするというお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  34. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  前回十月二十一日に御答弁申し上げましたように、現在は百十一カ所の地域につきまして小口倒産現状把握をやっておりますが、あれから私どもも対象都市の見直しをまず手始めにやろうということで、現在作業を進めておりますが、確かにこれを発足しました当時の情勢といまの情勢とでは事情に変化がございますので、現在の事情に即した地域の選定を改善したいということで現在当たっております。  それからもう一つは、百十一カ所では少ないという先生の御指摘でございますが、これはもちろん予算等の関係がございまして余り簡単にふやすというわけにまいりませんが、現在のところ、この百十一の都市の事業所のカバー率でございますけれども、これが四五・八%カバーしております。先生御存じのように、全国の市町村が三千三百前後ございますので、その中で百十一の都市で四五・八%ということは、地区の選び方としては相当効率は高いと私ども思っております。  それからもう一つは、こういった小口倒産調査の非常な技術的問題が一つございまして、その辺のことも若干工夫をいたしまして、私どもの現在の力で百十一カ所を若干でもふやせないかということも第二の改善点として現在検討中でございます。
  35. 城地豊司

    城地委員 その答弁ではちょっと不満なんですが、たとえば、いま非常に大変な倒産状態になっているという現状認識では恐らく一致すると思うのです。そういう意味で、大口倒産は大体千六百六十八件というふうにつかめている、小口倒産も、いま答弁がありましたが、四五・八%のカバー率だということだけではなしに、やはり倒産が大変な状況になっているんだとすれば、予算がないとかなんとかいうことではなしに、緊急に予算をプラスしてでも調査をして、そして対策を立てなければならない状況なのではないかというふうに考えております。  そういうことで、予算を増額しても当面緊急の課題として倒産現状を把握することが一番重要なわけでありますから、たとえば、いま長官が言われたように、それが確実に把握できなくても、七〇%でも八〇%でも概況でもつかめていれば対策として立てられるのではないかというふうに思いますので、そういう意味では予算を増額してでもやられるお考えがあるのかどうか、これは予算関係ですと通産大臣の方が全般掌握でございますから、大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
  36. 田中六助

    田中(六)国務大臣 一千万円以上の負債額で十月の倒産が千六百六十八件でございます。一千万円以下、零細中小企業倒産というものは百十一カ所で調査をしているわけでございまして、それが四五・幾らということでございますけれども、ただ、零細企業倒産内容でございまして、その内容がいろいろな種類に分かれておると思います。連鎖倒産もあるでしょう。本当に気の毒なところもたくさんあると思いますし、また中には放漫な経営、いろんな種類に分かれていると思います。しかし倒産すること自体は現実の問題でございましょうから、私ども十分予算の足らない面は、五十五年度予算はもうでき上がっておりますので、次の予算でそういう御指摘の点を配慮して検討していきたいというふうに考えます。
  37. 城地豊司

    城地委員 わかりました。そういうことで、対策を立てるためにもぜひ概況調査でもいいですから調査をやって、調べた上で対策を立てるということが緊急に必要だと思いますので、要望してまいりたいと思います。  それから、先ほど御答弁があった中にいろんな倒産対策、それから倒産を少なくするための対策金融面関係等々でのお話がありました。しかし、金融の面で仮に融資の枠をふやしても、現実中小企業動向調査でもおわかりのように、やはりなかなか借りにくいという一面もあるわけであります。そういう意味では選別融資なんという、銀行の場合は非常にきつくやるのは商売としてあたりまえでございますけれども、そういう状況判断の上に立って、仮に倒産に追い込まれたといったような事前の問題があったとすれば、資金繰り等々について措置をするような指導というものを十分やっていただきたいというふうに要望を申し上げたいと思います。  続いて第三点の関係につきましては、これは大臣に特に伺いたいと思うのですが、韓国産大島つむぎの流入問題に関してでございます。  これは毎回取り上げられているようでありますし、ここ数年間衆議院でも参議院でも相当取り上げられてきている。そしてついせんだっても参議院の商工委員会大臣が出席してそれらの実情について聞かれたと思います。しかしこの衆議院の商工委員会では、今回に限っては政党党派のいかんを問わず、いろんな点から出されておりますし、さらに流通委員会の中でもこれらの問題についてかなり出されています。しかし率直に言って、私はそれらの論議を聞いていますと、どうも質問と答弁ということだけで、本当の意味で解決しようというような気持ちがないんじゃないかというような感じがいたします。  たとえば三万六千五百反韓国と日本で契約している。現実は二十万反も入ってきているんじゃないか。それらのことについては矢野経済研究所の調査ではっきりしていると言うと、いやその調査の中には多少不純物もまじっているよ、大島つむぎだけじゃないというようなことを言ったり、さらに韓国からのおみやげの関係で悪徳業者がかなり持ち込んだ、警察で調査をしたらそれだけで一万八千反になったという現実があるのに、韓国から来ている報告書が三万六千五百反以下であるからそれしか入っていないと思うというような答弁であります。その質疑応答を聞いていますと、どうも非常になまぬるい感じがいたしますが、それらについて大臣としてはどういうふうに考えられて今後この問題に対処されるおつもりか、伺いたいと思います。
  38. 田中六助

    田中(六)国務大臣 大島つむぎは伝統のある地場産業で、日本でも非常に貴重な産物だと思います。したがって、これが韓国産ということで経由して日本に多量に出されて、地場産業、伝統産業としての大島つむぎ並びにこれに関連する生産者の人々が非常に迷惑をしておるということでございますので、私どももこの点は、先ほど委員も御指摘のように、国会でもいろいろ指摘されておりますし、ただ単に血の通わない調査というようなことに終わらずに、これからも十分検討あるいは調査をして、その結果を踏まえて対処していきたいというふうに考えます。
  39. 城地豊司

    城地委員 この問題については、いろいろやりとりを聞いていまして、いま大臣からそういう前向きの御答弁をいただきましたが、特にこの種問題の解決については、やはり韓国との外交関係等々の問題から非常に苦心の内容については私も理解しないわけではありません。しかし問題を解決するために、できるだけ前向きで、少しでもいい方向で解決しようとして取り組む場合と、まあいろいろむずかしいから余りその問題にはという取り組み方ではやはり形が変わってくると思うのです。そういう意味で、大臣が御答弁になったような方向でぜひ善処していただきたいということを要望申し上げたいと思います。  続いて第四点の問題に移らせていただきます。第四点は、朝鮮民主主義人民共和国との貿易関係でございます。朝鮮民主主義人民共和国というのは非常に長いものですから、これからは省略して共和国ということで発言をいたしますので、御了解をいただきたいと思います。  私は、昨年の五月に労働組合の代表として、当時は国会議員でありませんから労働組合代表として訪朝をいたしました。そして、あの共和国の中でいろいろなことを見たり聞いたりしてきたわけでありますが、非常に日本製品が多い。宿舎の電気機器はほとんど日本製品である。さらにトラック等に至りましても日本製品である。化学コンビナートの見学をさせていただきましたが、その大化学コンビナートの建設に従事しているのは日本のわれわれの仲間であります。もう一年も出張して来ているという話を聞きました。共和国の建設のために日本はそういう点で非常に力をかしているわけでありますけれども現実問題、国交が回復していないのであります。行く場合には、北京経由でピョンヤンに行くというような非常に不規則な形になっているわけでございますけれども、それらの問題は本委員会でやる問題ではありませんけれども、いずれにしても日本の製品が非常に出回っている。そして昨年の暮れ、そういうことで経済的に非常に援助しているが、輸入と輸出のバランスが崩れた。日本から輸出するものは多い、輸入するものは少ないということで、非常に借財がたまったということで、十年間の延べ払いということになったようでございます。そしてそれ以降ことしの貿易高の推移を見ましても、そういうことになったので商社の関係では大口の取引がなくなったということでありますけれども、取引高はますます大きくなっているわけでございます。伝え聞くところによりますと、トラックの台数なんかは昨年よりも非常にふえている。経済建設に必要な十トントラックなんかはどんどんふえているという状況であるようでございますし、また、十月の十日から十四日まで朝鮮労働党の第六回大会に出席した日本社会党の代表からの話では、経済建設もさらに大がかりにやられる、セメント、石炭、鉄鋼、電力等を第二次八カ年計画で大幅に伸ばすということのようでございます。  そういう意味では日本の技術的な援助、助成策が非常に必要なのではないか。しかし現実にはそういう向こうの事情で十年間の延べ払いにしている。延べ払いで、いま二十回、半年ずつ十年間払うわけですが、二回しか払っていないわけなので、そういう意味で商売上はどうもなかなか信用できない。もう少し、五割でも六割でも払い終わればまた新たに考えるというのが普通商売の常識かもしれませんが、そういうような状況に置かれているということであるとすれば、また日本の国内のいろんな意味での景気の下降というようなことから考えれば、そんなに大きな市場ではないにしても、何とかそういう面で考えていかなくちゃならないのではないかというように私は考えますが、それについて通産当局考え方を伺いたいと思います。
  40. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  日朝間の貿易につきましては、先生いまお示しのように一九七四年の輸出入合計がピークでございまして、約三億六千万ドルに達したわけでございますが、その後お話ございましたように代金の支払い遅延問題がございまして停滞をいたしておったわけでございます。しかしながら関係者の御努力によりまして、昨年の末ごろから支払いが再開されることになりまして、支払い条件等なかなか厳しい問題もあるわけでございますが、ともかく支払いが再開されたことによりまして、現在はお示しのように非常に拡大の傾向にございます。  今後の日朝間の貿易の拡大につきましては、これもお話ございましたように正式の国交がございませんことから、基本的には民間ベースで行われるべきものであるというふうに考えておるわけでございますが、私どもといたしましては現在のところ、傾向として交流は拡大をしつつある、経済の輸出入の合計額も次第に大きくなりつつあるというふうな傾向であるというふうに見ておるところでございます。
  41. 城地豊司

    城地委員 共和国との貿易関係ではいま拡大の方向にあるということでありますが、ことしの一月から六月までの日朝貿易関係で見ましても、トラクターが三億円輸出されている、冷凍機が一億円、時計が一億円、工作機械に至っては十億円以上、これは民間ベースでしょうが、共和国へ日本から輸出をされているという現実があるわけであります。量そのものはそう大きくないにしても、共和国がそういう建設をしよう、いろんな意味で経済の規模を拡大しようというような方向でいるわけでありますから、民間ベースだけでなくて、ぜひ政府ベースでも何らかの助成策ができないのかというように私は考えるわけですが、国交問題その他でいろいろ問題があるので、何らかのいい方法がないのかということについて端的に質問をしたいと思います。
  42. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  端的に申し上げまして正式の国交がございませんので、政府が表立って何かをするということは非常にむずかしいわけでございます。いろいろ各方面の御努力もありまして、また政府も裏からいろいろと御援助をしまして支払いが順調になったというところにつきましても、政府としての努力はある程度お認めいただけるのじゃないかと思うわけでございます。  なお、日朝間の経済交流が拡大いたします際に、連絡事務所というふうなものが必要になることもあるかと考えるわけでございますが、そういう際には政府としても何らかのお手助けができることもあろうかというふうに考えております。
  43. 城地豊司

    城地委員 最後に、新エネルギー総合開発機構の運営とその強化の問題について質問をいたしたいと思います。  先日のこの委員会で、渡辺委員からこの関係については若干質問がありました。私は違う角度から質問を申し上げたいのですが、ついせんだってこの総合開発機構のやらなければならない課題、さらに予算等々の問題について説明を聞きました。説明を聞いてどうもぴんとこないわけですが、職員数三百二十七名で運用するということでありましたが、その中には石炭鉱業合理化事業本部の百九十一名が含まれている。とすれば、実際上この新エネルギー総合開発機構として太陽熱や石炭液化や地熱やその他いろいろなことをやる関係の人は百三十七名程度という報告でありましたが、そういうふうに理解していいんでしょうか。
  44. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 御指摘のとおり、新エネルギー総合開発機構は従来の石炭鉱業合理化事業団のスタッフをそのまま引き継いでおりますので、全体の人数三百二十七名のうち百九十一名が石炭部門に従事しておりまして、残りが管理部門と申すところに四十九名配置されております。したがいまして、新エネルギー部門に直接従事しておられる方々は全体で八十七名という数字になります。
  45. 城地豊司

    城地委員 この新エネルギー開発機構のやるべき仕事、ここに表がありますが、これで見ましても、石炭エネルギーの関係では石炭液化技術の問題、石炭ガス化の技術の問題、太陽エネルギーの関係では太陽発電技術の問題、また地熱エネルギー関係、水素エネルギーの関係、その他海洋エネルギー関係等々非常に項目が多いわけであります。そういう意味では私はこの陣容では非常に不十分じゃないかと思うことが一つと、それから特に民間とお役所の違いということについて非常に不思議に思うわけであります。なぜかと言いますと、民間の場合には何か非常に大きな事業をやる。その場合には、ありとあらゆるパートから一番優秀な人間を集める。多少日常業務が停滞をしてでも目的に向かっては人を集めて、とにかくこれが企業の最も必要なことなんだというようなことでやられる。しかも、それだけではなくて、新しい採用なんかについても十分考えていくというのが民間の企業の実態ではないかと思うのです。  今回この総合開発機構をつくられましたが、いまエネルギー庁長官から御答弁がありましたような陣容で、果たして、国家存亡のときだ、エネルギーに関してはもう大変な事態なんだ、だからこういう新エネルギー総合開発機構をつくって、しかもそういう開発を急ぐんだ、直接やるところは大学の研究所とかいろいろなところがあるにしても、その推進役の中心になるべき機構でありますから、そういう意味では非常に貧弱だという感じがするのですが、来年度、再来年度はどういうような計画でなされるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  46. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 新機構の機能の充実につきましては、御指摘のとおり一つは人員の増強の問題があろうかと思います。それからもう一つは、先生も御指摘のとおり、機構の仕組みをどう考えていくか、この二つの面から強化を図ってまいりたいと思っておりますが、とりあえず第一点の人数の点につきましては、先ほどお答えいたしました五十五年度の定員八十七名にプラスいたしまして七十三名の増員を要求いたしております。五十六年度の人員要求といたしまして新機構全体で八十名でございまして、そのうち新エネルギー部門に投入したいと考えております人間は七十三名ということでございますから、相当思い切った要求をしておるつもりでございます。  それから、再来年の計画についてどうだという御質問がございましたが、いまとりあえず五十六年度の人員要求をしておる段階でございまして、役所の機構上再来年度予算まで要求できないということもございまして、とりあえず五十六年度いま申し上げたような数字で要求しておるということでございます。  それから第二の問題、つまり機構の仕組みをどう考えていくかという問題、これは先生がお話しになりましたように、民間企業では特定のプロジェクトをやる場合に最強の陣容をそろえて事業を推進する、こういうことはまことにそのとおりのことでございまして、新機構をいわゆる第三セクターとして発足させました以上は、いま申されました民間のいいところをできるだけ採用していきたいということを考えておりまして、そのためには思い切った開放的な条件と申しましょうか、政府機関、特殊法人ということで余りクローズドシステムにしないような特別の配慮を加えていく必要があるんではないか、そういう配慮のもとでその専門の方のトップクラスの方がこの機構に参画できるような仕組みを考えてみたい。この人的数の増強と仕組みの強化と申しましょうか、その両面から御指摘の新機構の機能強化を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  47. 城地豊司

    城地委員 来年度以降のこと、よくわかりました。  最後に、通産大臣に要望してまいりたいのですが、いろいろ伝えられるところによると、来年度財政事情が非常にどうだこうだということがありますが、国の政策として最も何をやらなくちゃならないかとしたら、このエネルギー総合機構の立場というようなことから考えますと、どんなことがあってもそのことは国の最重点施策として進めなくちゃならない。とすれば、ついこの前の十一日のこの機構の発足会で通産大臣が、仏つくって魂入れずでは困る、仏をつくったら魂もしっかりと入れるんだというように言明されました。ぜひそういう方向で御努力をいただきたいということを特に要望申し上げておきたいと思います。  時間が若干残っておりますけれども、私の質問これで終わらせていただきたいと思います。
  48. 野中英二

    野中委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  49. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  50. 後藤茂

    ○後藤委員 大分情勢が動いておるようでございますので、最初イラン石化の問題をお聞きしようと思っておりましたが、これを後回しにいたしまして、まず最初に金属鉱業政策についてお伺いをしたいと思います。  大臣は、この国会の所信表明の中で、長文の大変熱意を込めた所信を表明されたわけですけれども、この中に盛られていますのはほとんどが資源エネルギーの観点から取り上げられているわけです。きょう私がこれから御質問申し上げます非鉄金属鉱業、こういったものに触れられていないから、これについては全く関心がないとか取り組まないというように思われているという指摘をするわけではございません。ただ、この国内資源の開発、国内だけではなくて、海外非鉄金属の開発、安定的な確保というものは大変重要なこれからの課題だと思いますので、最初に大臣から、最近の情勢も踏まえまして、国内鉱山と海外鉱山の開発、あるいは景気が思わしくなくなってまいっておりまして、昨年は大変な価格上昇を見せましたけれども、ことしからかげりが出てまいっております。こういった非鉄金属の価格の安定と、その鉱山の確保につきまして大臣からひとつ御答弁をいただきまして、あとはそれぞれ専門の所管の皆さん方にお伺いをしたいと思います。
  51. 田中六助

    田中(六)国務大臣 自然の鉱床と申しますか、非鉄金属関係につきましても、わが国に乏しい資源ではございますけれども、やはり最も大事な資源でございますので、その鉱脈探査、そういうものにつきましては、日本の持てる技術を駆使してかからなければならないというふうに思っておりまして、私の所信表明の中に非鉄金属関係が触れられてなかったからこれを軽視しておるというようなことは全くございませず、やはり大事な資源でございますので、私もこれには十分、いままでの通産省政策もそうでございますけれども、そういう非鉄金属関係につきましても、あらゆる組織、あらゆる能力を駆使して取り組んでいくと同時に、これが対策の保安あるいはその他の問題につきましても、従来どおり万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えます。
  52. 後藤茂

    ○後藤委員 いま大臣から、国内の資源の開発なりあるいは非鉄金属の安定的な確保ということに対して積極的な御答弁をちょうだいをしたわけですけれども、私は、ことしの五月にこの問題を、大変短い時間でございましたが、取り上げました。そのときに、昨年からことしの初めまでは非鉄金属の価格が国際的にも大変高騰をいたしまして、一息ついたかに見えたわけですけれども、もともと非鉄金属というのは大変乱高下の激しい商品です。しかもこれが厄介なことに、政治的に価格が決められていく面がある。何かちょっとした国際的な動きがありますと、価格の乱高下が激しく起きる。上がる場合はいいのですけれども、下がったときにはその犠牲をもろに国内鉱山が受けてくる、こういう性格を持っているわけです。五月に私が御質問を申し上げたときに、森山長官の御答弁では、銅が五十万、鉛が二十三万、亜鉛が二十二万という程度でございまして、何とかバランスがとれている状況だ、しかも、これからもそう大きな情勢の変化がなければ、この程度で推移をしていくのではないか、もっとも見通しを立てるということは大変むずかしいのですけれども、そういう御答弁をちょうだいをいたしております。  ところが、その後、この価格というものが大変大きくさらに落ち込んできているわけですね。いまの実勢ではどうでしょうか、恐らく銅は五十万を割っていると思いますし、また、鉛にいたしましても二十一万くらいでしょうか、あるいは亜鉛につきましては二十万切るか切らぬかというような状況になってきている。私は、今後の見通しというものは大変むずかしいと思います。むずかしいと思いますけれども、非鉄金属の需要の低迷等を見ております。あるいはまた、アメリカの産銅ストの収拾の動き、さらにはまた欧米の景気が思わしくない、こういった動きを見ておりますと、実はどうもまだ少し深刻な事態に立ち至るのではないかという心配をいたしております。  長官に最近の非鉄金属の今日の現状あるいはこれからの見通し、あれから五カ月たったわけですけれども、非常にむずかしいと思いますが、どのような見通しをお持ちになっておられるか、お伺いをいたしたい。
  53. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま後藤先生から五月のお話がございまして、私もそのときの答弁を思い出しながら若干じくじたる気持ちでおります。御指摘のとおり現在の銅の価格は四十六万円でございますし、鉛が二十一万円、亜鉛が二十万六千円ということでございまして、かなり低迷を続けておるわけでございます。今後の見通しにつきましてはこれまた大変むずかしいわけでございまして、私どもとしますと、先生も御指摘のとおり国際市況商品でございますから、高騰することもございますし、また下落することもあるわけでございまして、いまの状態で的確なる見通しを立てることはできませんが、海外筋からの情報等を総合いたしますと、亜鉛等につきましてはある程度見通しが明るいという情報もございます。ございますけれども、私どもといたしましていま直ちに海外情報を盾にとりまして、明るい市況でございますと申し上げるだけの自信は全くないということでございまして、やや悲観的な見方をしますと、いまの世界の動き、経済的な動きあるいは政治的な動き等から見まして、やや低迷状態がしばらく続くのかな、こういう悲観的な見方もせざるを得ない、こういう状況ではなかろうかと思っておる次第でございます。
  54. 後藤茂

    ○後藤委員 内心じくじたるというお答えがございましたが、私もあのときにどうも少し楽観的な見通しを立てておられるのではないかというように思っておったわけですけれども、それは見通しの問題でございますから大変むずかしかったと思います。  ただ、私が指摘をしておきたいのは、たとえば昨年の四月からことしの四月の資料を見てみますと、もうすでにまた八つの鉱山がつぶれているのですね。そして、人数にいたしますと千五百六十三人が山から離れていっている。昨年の四月ということになりますとまだ景気のいいときです。大変深刻だと思うのですけれども、こういう状況にあります。  さらに、最近私も鉱山によく入るのですけれども、一番訴えられますのは、鉱量が相当ある、品位も比較的高い、にもかかわらず労働者がなかなか集まってくれないという深刻な事態も聞くわけです。そういった労務倒産的な動きが出てくるということになってまいりますと、先ほど大臣から非常に重要な資源である、何としてもこれを確保していくために行政的にも積極的に取り組んでまいりたい、こういうように言われておるやさきに、こうした鉱山が次から次へ倒れていくし、しかもそこに働いている労働者が見切りをつけて山を去っていく、あるいはまた、との労働者を確保していこうとしても将来に必ずしも展望を見出し得ないとしてなかなか集まってこない、こういうような状況がいま出てきているように思うわけです。そういう意味で、私ども質問をいたしますとすぐに平均価格で問題をとらえて、そしてその平均的な価格に合わないものは経済的にやむを得ない、こういうことで放置をしてしまう危険性があるわけですが、私は後でまた緊急融資制度の問題等についても触れてまいりたいと思うのですけれども、こうした価格安定、あるいは国内鉱山の、この前も申し上げましたが、品位は高いけれども単味鉱山である、たとえば銅なら銅だけというようなところにつきましては、相当品位が高くても泣く泣く閉山の憂き目に遭わざるを得ないというような状況が現にあるわけです。  そこで、これは大臣にお伺いをしたいのですけれども、先ほど申し上げましたように、相当手厚い対策はこれまで以上に進んできていることは認めるわけですけれども、なおきめ細かな、それぞれの鉱種あるいは賦存条件等に対応した対策というものを私はこれから講じていかなければならないのではないかというように考えております。どうも画一的な対策に終わってしまっておるというように思えてならないのです。緊急融資制度の問題にいたしましても関税の問題にいたしましてもそういう面が私はあると思います。しかも国内鉱山というものは僻地に偏在をしておる、その鉱山が閉山になるということはその地域経済に大変大きな影響を与えていくという観点から見ますと、もう少しきめ細かな対策を講じていく必要があるのではないか。たとえば銅の単味鉱山等の場合に、例を挙げて恐縮ですけれども、私も一昨々年北海道の下川鉱山に行ってみたのですが、これは銅の品位が一・八五くらいあるわけですね。もし世界各国の鉱山だとすると非常に高品位なのです。ただ、世界の鉱山というのは露天掘りとか、採掘条件が非常にいい、鉱量も非常に豊かであるということで、〇・数%においても十分にペイできる。しかし、下川なんかの場合は、悲しいかな銅だけしか持っていない。ですから一・八五ないし二%ぐらいの品位を持っておるのにいまつぶれようとしているわけです。こういったことを考えてみますと、少なくともその品位、まあどこに線を引くかわかりませんが、ある一定の、たとえば一%なら一%以上の品位を持っているものについては、これはズリあるいはボタというようなことで捨ててしまわないような政策的な支えというものがとれないだろうか、こういったことも実は考えるわけです。そこに画一的な対策ではなくて、それぞれに応じた、鉱種なり賦存条件等に応じた対策というものが私は必要だろうと思いますので、大臣の御見解をお伺いしたい。
  55. 田中六助

    田中(六)国務大臣 御承知のように日本は自由企業、つまり私企業ということが前提にあるわけでございまして、それには採算性という問題がどうしても内包されていると思います。それからこういう非鉄金属は特に国際価格、国際市況というような問題も絡んでいると思います。したがって、いろいろな内外の条件があるわけでございます。もう一つは多種多様で、いま御指摘のようにいろいろなことを当てはめて画一的な政策をとることは、特に現在の世上ではなかなか困難だと思いますし、それが的確な政策になるかどうかも疑問でございます。したがって、いままでとは別に、やはりそれぞれの環境あるいは状況、与件、条件、そういうものに応じた適切な措置をとることが妥当かと思います。したがって、いま委員指摘のような点も十分配慮した政策をこれからとることが得策ではないかというふうに思われます。
  56. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣から、配慮した方策をとっていくべきではないかという御答弁がいただけたわけですけれども長官にお伺いしたいのですが、この緊急融資制度の問題でございますが、五十四年度融資枠が百三十五億に対しまして三十八億の融資で済んだ、これはまあ大変いい結果が出たわけです。したがって、融資枠が残っているということでありますし、同時にまた五十四年度分で約四億円の拠出があったというような結果が出てまいっております。ただしかし、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、どうも先行きが暗いということになってまいりますと、また緊急融資制度を発動をしていかなければならない、こういう事態が起こってくるだろうと思うのです。  そこで、この前五月に私が質問いたしましたときには、もうやめなければならぬ、あくまでも臨時的措置であるというような御答弁もあったわけですけれども、この時限的な制度というものはむしろ恒久化していくような、こういう事態にいま立ち至ってきているのではないだろうか、こういうように考えるわけです。長官のお考えはいかがでしょうか。
  57. 山梨晃一

    ○山梨説明員 お答えさせていただきます。  先生御質問のございました緊急融資、いわゆる緊急融資制度と申しますのは、御承知のように五十三年度の下期に創設されまして、当時は一年半という期限つきで、緊急的に必要な措置ということで設立されたものでございます。この制度は五十四年度末までということであったわけですけれども、ただいま先生御指摘ございましたように、九十八億程度の使用残を残しておりましたものですから、幸い鉱況がよくなったために使い残したということになったわけでございますが、実は臨時という枠内でございましたけれども、本年度いっぱい期限を延ばしていただいている、五十五年度末までの間に使えばいいということになっているというのが現状でございます。  それで、来年度、五十六年度予算の要求に当たりましては、私ども、恒久化と申しましても単純に恒久化というわけではございませんけれども、これは臨時的な措置ではなくて、できれば、少なくとも、これから予算をふやしていくということを考えているわけではございませんけれども、使い残した九十八億円の原資を融資するという事態が起きましたときに使えるようにして残しておいてほしい、ただしこれは融資でございますからいずれ返済されるわけでございまして、返済されたものを次の貸出原資として運用されるように、ということは一種の回転資金と申しますか、こういう形で運用できるように、いま財政当局とそういうふうにしてほしいということで折衝をしておるところでございます。
  58. 後藤茂

    ○後藤委員 なお、それと関連をいたしまして、せっかく高品位の鉱山でありながら単味鉱山の悲しさ、採算が合わない、そのために倒れていかなければならない、こういうような事態現実にあるわけですけれども、その粗鉱価格の違いを前提にして、この融資発動のための制度をランク別にして融資していく、こういうことができないか。これは私、五月の質問のときにも実は申し上げました。粗鉱価格が大変高い、こういうようなものはそれなりにひとつ発動価格を考えていく。これを鉱種別、金、銀、銅、鉛、亜鉛、すずというような六業種ぐらいと、それから品位とに応じてランクをつけてやるべきではないだろうか。そうでないと、画一的にということでとらえられない、つまり平均鉱石というのはないわけですから、そういうランク別に考えられないか、ぜひ検討してもらいたい、こういうように指摘をいたしておいたわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  59. 山梨晃一

    ○山梨説明員 御指摘のような、鉱山の粗鉱価値というものが山によって違うであろうということで、おっしゃるように融資発動水準を価格別にランクしたらどうかという御指摘が五月にございまして、私どもも非常に貴重な御意見であるというふうに考えまして検討をしてきたわけでございますけれども、先生先ほどおっしゃいましたように、粗鉱の価値ということになりますと、まず第一に、銅の単味であるから粗鉱価値が高くなるということには必ずしもならぬという面が一つあるわけです。ほかの鉱山、たとえば銅の品位そのものは一%ないし一%を割っても、ほかの随伴鉱物の価値でもって非常に粗鉱価値が高くなるというものもございますので、粗鉱価値の差異というものと銅単味の品位が高いというものと必ずしもリンクされているわけではございません。それが第一点。  それからもう一つ、こういうランク分けをするという考え方を導入いたしますと、先ほど申しましたように、価格が高騰——先ほど返済の話しか申し上げませんでしたけれども、この制度は利子補給を一般会計から出していただいているわけでございますけれども、この補給した額は価格の高騰時に拠出していただいて、その拠出した原資を再度また利子補給に運用するというふうに考えているわけでございますけれども、こういう制度の基本的な枠組みからいたしまして、ランク分けをもしするということになりますと、結果的に収益性の非常に高い鉱山からの拠出した資金で、収益性の低い鉱山がその見合いとしてメリットを受けるというようなことになってしまう事態も想定されるわけでございまして、現在時点でまだ結論まで出し切っているということにはなっていない、むしろ私どもとしては若干問題があるのじゃないかというふうに現時点で考えているわけでございます。
  60. 後藤茂

    ○後藤委員 技術的には確かにいろんなむずかしい問題があります。つまり、大変品位が高く、しかも随伴鉱を持っておる、そういうところの犠牲によって低品位鉱といいますか、単味鉱石の鉱山を救済するというのはいかがなものかということもありますけれども、これはまた今度は制度の問題になってくると思うのですね。ですから、いまのような緊急融資制度とあわせて、金属鉱業安定化基金というものを、それぞれの拠出と援助によりましてその基金を充実していくような制度というものは一体いかがなものだろうか、特に支持価格制度というようなものを考えていけないだろうかということも考えているわけですけれども、こういった点はいかがでしょうか。
  61. 山梨晃一

    ○山梨説明員 ちょっと質問の趣旨がよく理解できなかったので申しわけないのですけれども、緊急融資という制度と安定化制度ですか、これは、通称緊急融資と言っているものが安定化融資制度と言われているもので、全く同じものなのでございますが、いまの制度だけの問題からしますと、先ほど申しましたように、いまのところ利子補給分を限度として返済することが可能ということになっておるわけでございますけれども、この辺のことを少し検討させていただいて、たとえば景気のいいときには利子補給した額を上回ってでも返済していただくというような方法を講すれば、原資が若干ふえていくということも考えられるわけでございますから、その辺のことは、程度がどのくらいになるかという問題はございますけれども、ある程度そういうニュアンスを出すことは考えられるのではないかというふうに思っております。
  62. 後藤茂

    ○後藤委員 そこのところは発動価格の手直しの問題が含まれてくるだろうと思うのです。この点はいかがでしょうか。現在の拠出にいたしましてもあるいは融資の発動価格にいたしましても、このままで進まれるおつもりですか。
  63. 山梨晃一

    ○山梨説明員 発動価格と申しますのは、この制度ができましたときに国内鉱山のコストにリンクされまして設定したものでございますが、国内のコストは年々いろいろな要因で上がっていく、これは当然ございますから、それに基づいていつまでも——当初この制度が発足したときには一年半限りということでございますから、当然一年半くらいは動かさないということで設定したわけでございますけれども、恒久化するという前提になりますれば、そのときどきに応じて改定していくことは当然あり得ることだというふうに考えておるわけでございます。
  64. 後藤茂

    ○後藤委員 恒久化していくとすればということではなくて、ひとつそういう方向で制度を確立していかなければならない。臨時的な措置ということは、いろいろな条件からして仮に名称は崩せないかもしれませんけれども運用の面では非鉄金属の持っておる性格からいきましても、こういった価格安定対策はどうしても必要なのですから、減耗産業でありますから、探鉱に対する資金についても、あるいは探鉱のための制度を強化していくということと、それから国際的な乱高下、これはもう必然的に持っているわけですから、それに対しては価格を安定していってやるということ、それからやはりセキュリティーの観点から考えていきましても一定の備蓄というものをつくり上げていかなければならない。  私は、金属鉱業が持っているのはそんなにむずかしい政策的な課題ではない、三つの問題だけだと思うのです。この三点の中での価格安定策がまだ非常に不安定で、しかも発動価格にいたしましてもあるいは拠出価格のところにいたしましてももっと見直しし、手直ししていかなければならぬ面があるだろうし、それからまた、平均価格をとるわけですけれども、その平均価格だけでは救われない面が相当大きく出てくる。あくまでも平均ですから、高いところがあれば平均というものはずっと上がっていくわけですから、その際にある一定の鉱量と品位を持ったものについてはきめ細かく対策を講じていく、そのための価格安定策というものをいまの臨時措置を超えて検討していってもらいたい、そういう課題が出てきているので、はないか。ちょっと価格は上がりましたけれども、これからまた下がっていく傾向の方が非常に強い。先ほども長官からの御答弁がございましたけれども、しかも政治的にこの価格が決められてくるということになりますと、そういった支えをつくっていくことが私は非鉄金属のこういう有用な資源を安定的に確保していく道であろうというように考えますので、ひとつ緊急融資制度の運用なり制度のあり方についてもぜひひとつ見直しを進めていっていただきたい。特にランクづけについては、先ほどの答弁の中ではいろいろとむずかしい問題があるという御答弁でございましたが、それはぜひひとつもっと積極的に検討していただきたいということを御要望申し上げておきたいと思うのです。  そこで、減耗産業でございますから、探鉱のための制度を充実していかなければならないということと、価格安定とあわせて鉱産物の備蓄制度の点につきましてちょっとお聞きをしてまいりたいと思うのです。これはこの前にも私は申し上げましたけれども、現行の輸入安定化備蓄制度の弾力的な運用が必要ではないだろうか、さらに進めて国家備蓄という段階に来ているのではないか、こうしたことを検討していただきたいということを前回にも私は申し上げましたけれども、こうした鉱産物の備蓄制度についてその後通産省としてはどういうように考えておられるのか、これはひとつ大臣からお答えをいただきましょうか。
  65. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 非鉄金属の備蓄問題につきましては私ども大変重要な課題だというふうに受けとめておりますが、いま後藤先生から御指摘のございました国家備蓄の必要性につきまして、いまの段階で果たして国家備蓄をする必要があるのかどうか、つまり国際市況商品という考え方、国際的な、たとえばロンドン・メタル・エクスチェンジ等の組織等から見ましても、国家備蓄のシステムとそういった歴史的なメカニズムとの整合性が必ずしもとりにくい状態ではないかなという感じがいたしておりまして、もちろん備蓄という概念から見ますと、備蓄の強化ということは当然やらなければならぬという問題意識は持っております。ただ、国家備蓄という考え方になりますと、直ちにその概念が結びつくかどうかにつきましてはまだ若干の時間をいただきたい、こういう感じを持っている次第でございます。
  66. 後藤茂

    ○後藤委員 この備蓄制度、これをこの前から私は弾力的な運用なり制度の強化というものについて検討をお願いしておったわけですけれども、いまの御答弁だと、どうもこの備蓄制度の問題についてはそれほど検討がなされていないように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  67. 山梨晃一

    ○山梨説明員 ただいま長官から御答弁していただきました国家備蓄という問題については、先ほど長官が御答弁したようなことでございますけれども、私どもの当面の課題というのは、先生前回も御指摘がございましたように、当面はいまの輸入安定化備蓄という範囲内での弾力的運用ということであろうかというふうに、長期的には確かにその先をという問題が、御指摘があったようなことでございますけれども、当面はいまの輸入安定化備蓄制度の弾力的運用ということについてはわれわれも当時から、まだ結論が出ておりませんけれども、これは弾力的に運用せざるを得ないということは考えております。ただし、弾力的運用というのは具体的にどういうことかということになりますと、まだ検討段階でございますけれども、たとえば買い上げ価格につきましても、それから備蓄を開始するに当たってのいろいろな環境条件と申しますか、こういうものを判断する指標がございますけれども、こういう指標を若干弾力的に動かせないかということについては引き続き検討させていただく。ただし、特に指標、いろいろな数字の中では価格について当面若干弾力的なことができないかということをいま考えておるわけでございます。
  68. 後藤茂

    ○後藤委員 答弁は後でまとめてで結構でございますけれども、その弾力的運用についてはいつごろまでにその結論をお出しになるめどをお立てになっているかを、後でまとめてで結構ですからお聞きをしておきたいと思います。  そこで、次に関税の問題です。  この関税の問題も私は毎回質問申し上げるのですけれども、どうもはっきりと理解ができない面がたくさんあるわけです。特に、ことしの五月の質問のときにも御答弁をちょうだいしたのですが、ことしは特恵関税のシーリング枠を超えることがなくて一安心をした、こういうように言っておられましたけれども、どうも私は来年はこれまた相当超えるのではないだろうかという心配をいたしております。  そこで、この特恵関税のシーリング枠、せっかく枠があるわけですから、当然その枠を超えて入ってくるものに対しては何らかのペナルティーというものが必要ではないだろうか。ことしは幸いそういった問題がなかったわけですけれども、このことについて御質問しますとどうも答弁が明確にお聞きできないわけです。私はこの点をまずお聞きをしておきたい。  それから電力料金が大幅に上がってまいりまして、このことによるコストアップを勘案いたしまして免税点や税率の引き上げ等の見直しが求められているわけですけれども、この点については一体どういうように検討をなさっておられるのか。経過で結構でございますからお伺いをしておきたいと思います。
  69. 山梨晃一

    ○山梨説明員 まず、特恵関税のシーリング枠の問題でございますが、御指摘のございましたように、五十四年度におきましては銅地金の特恵輸入が四月の当初に非常に過度に集中いたしまして、シーリング枠の何十倍という量が、大幅にシーリング枠を上回ったという事実がございます。それで本年度は、また先生先ほどからお話がございましたように、価格が無税点を相当上回っていたような事態があったために、五十四年度のような特恵輸入ラッシュという事態を生ずることはなかったわけでございますけれども、来年度以降につきまして今年度と同じというようなことを予想するわけにはまいりませんで、また五十四年度の再来ということが御指摘のように現にあり得ると思っております。  それで現在、特恵のシーリング枠の管理方式にはいろいろな方法がございますけれども、これを少なくとも現在実施しているような方策よりも実効のあるような方策にすべく、関税当局とこれから詰めていこう、必ず来年の四月には五十四年度のような事態が起こらないようにしようということで、現在もうすでに中で検討を始めております。  それから、電力料金の値上げ等は確かにあったわけで、非常に国内鉱山の生産コストも上がっておるわけでございまして、そういう意味でいまのそのスライド関税の免税点そのものを引き上げをすべきではないかというお話につきましては、無税点そのものが基本的に国内生産コストというものを勘案して決定しているわけでございまして、これも先ほどの緊急融資制度の発動価格と同じように、一遍決めたりいつまでも動かさないというものではございませんで、過去の経緯を見ましても三年ないし五年ごとにこの無税点をコストの上昇に対応して引き上げを図ってきておるわけでございまして、通産省といたしましても、国内生産者の採鉱コストだとか製錬コスト等がどの程度になっているかという調査をまず実施いたしまして、その結果銅についてはことしというか、来年から引き上げをすべきかどうかという観点からしますと、ことしは見送ってもいいのじゃないかというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、鉛及び亜鉛につきましては目下関係者、関係業界を含めまして検討しておりまして、これは基本的には来年度に無税点を上げるということについて御同意いただいておるわけでございまして、具体的に幾ら上げるかというのがこの十二月に予定されております関税率審議会を目途といたしましてただいま調整いたしておるところでございます。
  70. 後藤茂

    ○後藤委員 銅についてはということを言っておられましたが、亜鉛、鉛と同じように、これからの価格変動を考えていってみますと、銅もいまから検討に入らなければならぬと思いますね。したがって、これは一応除外した関税帯の見直しということではなくて、ひとつ銅についても十分に配慮をして考えていくべきではないかというように御指摘をしておきたいと思います。  そこで、あと二点ばかり、金属鉱業について御質問申し上げたいのですが、一つはマンガン団塊の採鉱技術開発のプロジェクトの問題です。一昨日ですか、商工委員会日本電気の視察に行ってきたわけですけれども、これは御承知のように集積回路、IC、LSIですか、こういった技術を駆使して大変な高度な製品をつくっているわけです。これも大型電算機の基礎技術の開発に長い間時間をかけてきた、その成果があらわれてきているのだと思うのです。国内資源は、相当探鉱に努力をいたしましたとしても地理的な条件から見て十分ではないと思います。したがって、これからはマンガン団塊がある程度賦存しているということも確認をされてきているわけですから、これを一体どう開発していくか。聞くところによりますと能力と資力と技術、これをいまからきちっと確保しておかなければマンガン団塊の採鉱というものにも立ちおくれをするということも聞いております。こうした基礎技術の開発に対して、これまでの取り組み、それからこれからの大型プロジェクト化に乗せていく姿勢を通産省はお持ちになっておられるかどうか。ぜひ私は積極的に進めていただきたいと思うわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  71. 照山正夫

    ○照山説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘のように、深さ四千メートルないし六千メートルの深海底に賦存いたしますマンガンノジュールにつきまして、これを早期に開発するということが、一九六〇年代以降すでに基礎調査が行われておりましたが、一九七〇年代の後半以降国際的にいま問題になっているわけでございます。  私ども通商産業省といたしましても、このマンガンノジュールの存在というのは、わが国の金属鉱業資源の海外依存度が非常に大きい、その供給の安定を図りたいということが一つと、それからこれは特に準国内資源的な意味を持つものであるということで、この開発については早くからどういうふうに進めていくか取り組んでまいったわけでございますが、いま御指摘の技術問題につきましては、この技術は大きく分けまして三つほどあろうかと思います。一つは基礎調査ないし探査技術、それからもう一つは採鉱の技術、もう一つは製錬の技術でございます。  基礎調査ないし探査につきましては、金属鉱業事業団で所有いたします白嶺丸という海洋探査船がございますが、これを使いまして昭和五十年度からすでに一部調査を行ってまいったわけでございますが、今年度からはさらに第二日嶺丸というマンガンノジュール探査のための専用船を就航させまして、現在探査活動を盛んに行っているところでございます。  それから問題の採鉱の技術でございますけれども、これは非常にむずかしい技術でございまして、深海底におけるマンガンノジュールの採取、それを洋上まで揚鉱するという技術、この技術というのは機械、電子、造船、いろんな技術の複合技術でございまして、新しい技術開発が必要でございます。国際的にも現在すでに小規模な実験船、実験プラントと申しますか、ということが開発されておりまして、わが国といたしましてもこれに追いつきたいという観点から、来年度以降、工業技術院の大型プロジェクトの対象として取り上げていくよう、現在予算折衝中でございます。  それから、最後に製錬の技術でございますが、これは採鉱後に具体化する問題でございますけれども、とりあえず民間の団体におきまして、基礎的な検討を進めているというところでございます。
  72. 後藤茂

    ○後藤委員 いま大型プロジェクトを工業技術院の予算として要求をしていきたいというような御答弁がございましたが、マンガン団塊の採鉱というのはきょうあすの問題ではございません。しかし十年先あるいは十五年先には、やはり先ほども指摘しましたように、わが国の能力なりあるいは資力なり技術というものがこの採鉱、採掘段階においては十分に耐え得るものを持っていかなければならない。そのためには、いまから基礎研究というものを進めていかなければならぬわけですから、大臣、ひとつこの点は積極的に取り組むという姿勢を示していただきたい。その決意をお伺いをしておきたいと思うのです。
  73. 田中六助

    田中(六)国務大臣 冒頭に申し上げましたように、非鉄金属に対する私どもの取り組み方ということを、十分委員指摘のような観点から行っていきたいと思います。  特にいま御指摘のマンガン団塊につきましても、十分最初にお答えいたしました観点を踏まえて対処していきたいというふうに思います。
  74. 後藤茂

    ○後藤委員 ぜひひとつ、来年度予算の中にもこれが大きく取り上げられるように要望をしておきたいと思います。  時間が大分経過をいたしておりますので、もう一つ、非常にむずかしい問題であったのが大分具体化してきたようでございますが、と申しますのは、河本通産大臣のときに私どもも秋田に調査に行ってまいりました。そのときに坑廃水処理等の鉱害・保安に関する国の施策の拡充強化、この商工委員会におきましても決議をいたしました。  その後二カ年経過をする中で、この問題については積極的な取り組みをしていただいたようでございまして、五十五年の五月には坑廃水問題懇談会の報告書、さらにこの八月には「今後の坑廃水対策のあり方について」という建議もなされているようでございます。この中身に簡単に触れていただきたい。と申しますのは、私どもが五十三年の五月に秋田に調査に行ったときに、自己汚染とそれから他人汚染と自然汚染というものが一体果たして分離できるのだろうか。鉱山が一応閉山をいたしましても、その後の坑廃水を処理していかなければならぬ、未来永劫処理していかなければならない。しかもそれが大変な投資になっていくわけですから、これは何とかひとつ救済する方法はないかということで商工委員会でも決議をいたしまして、その後、いま申し上げました懇談会なりあるいは鉱業審議会等で相当詰めておられるようですが、その中で自己汚染、それから他人汚染、自然汚染等が技術的には分離ができるようになったといいますか、分離ができるのだということになりますと、自己汚染はもちろんこれは鉱業権者がその処理をしていかなければならぬわけですけれども、他人汚染あるいは自然汚染、こういったものに対しましてこれからそれぞれの費用負担というものを明確にしていく必要があるだろう。これまで取り組まれてまいりました経過と、それからこれから坑廃水の処理対策というものに対してどのように取り組もうとしているのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  75. 松村克之

    ○松村政府委員 お答えいたします。  鉱害防止義務者が存在しない場合の休廃止鉱山対策については、御承知のとおりこれまで国の四分の三補助金によりまして地方自治体がこれを処理するという方式が確定しているわけでございますけれども、鉱害防止義務者が存在している休廃止鉱山における坑廃水問題につきましては、いま先生からお話がございましたように、自然汚染の問題あるいは他人汚染の問題等がございまして、非常に困難な問題とされているわけでございます。  御指摘がありましたように、昭和五十三年の五月にこの衆議院の商工委員会の御決議をいただきまして、この問題について積極的に取り組むようにというお話がご富ました。その後、金属鉱業事業団によります処理費用の低利融資が行われまして、処理者の負担軽減を図ってきたわけでございますが、さらにいま先生からもお話がございましたように、五十四年の六月、立地公害局長の私的諮問機関といたしまして坑廃水問題の懇談会を設置いたしまして、費用負担のあり方について検討を行い、報告書が本年の五月に提出されております。また、鉱業審議会からもこの検討結果を踏まえまして、本年の八月二十二日に「今後の坑廃水対策のあり方について」という建議が通産大臣に提出されているわけでございます。  これら二つの報告ないし建議の内容をかいつまんで申し上げますと、主たる内容は、第一に坑廃水の中の自然汚染分及び他者汚染分の処理に要する費用については、これは処理者の負担から軽減するのが妥当ではないかという点でございます。第二番目には、このような処理者の負担軽減に当たっては、国及び地方公共団体の負担について考慮検討をしなさい、こういった内容でございます。  私どもといたしましては、このような検討結果及び建議を受けまして、現在昭和五十六年度予算要求といたしまして、自然汚染分及び他者汚染分の処理に要する費用を国及び地方公共団体が負担する、こういった補助制度を財政当局に対して要求しているわけでございます。  この問題につきましては、いま御指摘ございましたように非常に困難な問題もございます。財政当局のみならず、地方公共団体の御理解ということも必須の条件でございますし、非常に困難な問題もございますが、今後関係の各省及び地方公共団体等とも十分折衝を行って、最大限の努力を払ってこの実現に努めたい、かように考えております。
  76. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、これは商工委員会の現地調査等もございまして、経過もございます。先ほどの御答弁の中にもありましたように、確かに最終鉱業権者がこの自己汚染分についてはもちろん責任を負っていかなければならないわけですけれども、長い歴史、もう徳川時代からあるような山もあるわけですから、あるいは自然汚染等に対しましてはそれぞれの責任において処理をしていく、そのための休廃止鉱山坑廃水処理費の補助制度といいますか、この創設のために、ひとつ大臣の積極的な取り組み、決意をお伺いをしておきたいと思います。一言で結構でございます。
  77. 田中六助

    田中(六)国務大臣 坑廃水問題は二年前の附帯決議も私読んでおりますし、十分これを配慮して対処していきたいというふうに思います。
  78. 後藤茂

    ○後藤委員 立地公害局にちょっと要望だけしておきたいと思います。  これはもうすでに法律が上がっていっているわけですけれども地方支分部局整理再編について、特に鉱山保安にかかわっている人々のサービスが低下をしないように、これは両院で「行政サービスの低下をきたさないよう配慮し、関係機関に勤務する職員の処遇や勤務条件について適切な配慮を加えること。」こういうふうに附帯決議もなされているようでございますが、やはり保安行政というのは末端をより強化されていかなければならない。そういう意味で、支分部局の整理再編成がサービスの低下にならないように、ぜひひとつこの点は要望をしておきたいと思いますので、そういう配慮でお願いをしておきたいと思います。  それからもう一点、これは金属鉱山の問題ではないわけですけれども石油天然ガス資源の国内開発の問題です。これにつきましては、第五次国内石油及び可燃性天然ガス資源開発五カ年計画に関する答申が五十四年に出まして、そして、現在これが実施をされているわけでございますけれども、私この間新潟の方に調査に行ってまいりました。時間があれば詳しく申し上げたいのですけれども、天然ガスの開発あるいは国内石油開発というものは、実はなかなか大変なリスクのかかるものだということを改めて認識させられました。たとえば新関原というのですか、一号井等は四千三百メートルの予定深度をずっと掘削をいたしまして、四千三百八十五メートルまで掘ってみた。しかしこれは天然ガスも油も出ないで、結局五億四千九百四十一万円というのですか、これが全く効果ゼロになっている。さらに第二号井を見ましても、三千五百五十メートルまで掘って大変な資金を投下してなおかつ出てこなかった。第三号井が四千五百三十メートル掘ってなおかつ出てこなかった。四号井になって初めて四千五百二十メートル掘って、そして十二億の資金を投下をして天然ガスの採掘に成功した。あるいは越路原ですか、これも四千七百七十メートル掘って成功した。このように非常にリスクのかかる、しかも大変重要な国内石油あるいは天然ガス資源でございますから、これに対して五カ年計画では十分に国の助成というものを、義務といいますか、負わせているわけです。したがって、ぜひ石油審議会の答申を受けての石油天然ガス開発について、国内においても積極的な対策を講じていただきたいと思います。  現在、昭和五十五年度を初年度としての第二次五カ年計画に入っているわけですけれども、どうも初年度の事業が計画より少しおくれているようです。基礎調査等のための補助金について十分に対策を講じていただかなければ、大変リスクの高いものでございますからついしり込みをしていくということにもなるわけです。ほとんどの石油、天然ガス資源を国外に仰いでおるわが国でございますから、ぜひひとつ国内の石油、天然ガス資源の開発に対しまして積極的に取り組んでいくように、これはひとつ決意を森山長官からお伺いをしておきたいと思います。
  79. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 現在私どもが考えておりますのは、昭和七十年度までに国内石油を千四百万キロリットル開発をいたしたいということでございまして、これまた貴重な国内資源でございますので、ただいま後藤先生から御指摘のございました点を踏まえまして、積極的かつ鋭意努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  80. 後藤茂

    ○後藤委員 それでは、私の最後の質問になるわけですけれども中小企業の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  ことしの五月の三十日に「一九八〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策方向について」、こういう答申が出ているわけでございますけれども中小企業者の範囲でございますが、これは古くして新しい問題、常にその範囲が議論になるわけでございます。この答申の中におきましても、「下請対策、小売商業調整、分野調整等、事業活動の一定分野における規制又は調整が行なわれる場合については従来の定義を変えることによって規制、調整対象が変わり、またそのために保護されていた者が保護されなくなる等の問題が生ずることに留意する必要があり、そのため具体的な定義の基準の引上げについては、実態に即した慎重な検討を必要」とする、こういうように言っているわけですけれども中小企業庁としてはこれをどのように理解をされておりますのか、お伺いをしたいと思います。
  81. 佐藤和宏

    ○佐藤(和)政府委員 お答え申し上げます。  中小企業の定義の改定につきましては、現在分野調整法等に基づきまして、大企業等の事業活動の規制あるいは調整が行われており、定義の改定に伴いまして、従来保護されていた者が保護されなくなるといったようなことが生ずるおそれもございます。それからまた、中小企業の範囲が広がる結果といたしまして、中小企業施策が従来よりも上位の階層へシフトする、そういうことの結果として、小規模の事業者への助成が薄くなるのではないかというおそれを言われる方もございます。そういったようないろいろな問題がございますので、現在、いま先生がおっしゃられました中政審の意見の具申においても「具体的な定義の基準の引上げについては、実態に即した慎重な検討を必要」とするという旨が指摘されているところでございます。  現在、定義改定の問題につきましては、十月末に中政審の中に定義改定問題小委員会が設置されたところでございますけれども、この小委員会におきましては現行の中小企業の定義の問題点関係中小企業施策への影響等を踏まえながら、さらには中小企業関係団体の御意見等も十分に承りまして、中小企業の実態に即した慎重な検討が行われるというふうに私ども理解しておるところでございます。
  82. 後藤茂

    ○後藤委員 現行の中小企業基本法に基づく定義においても、それを準用しておる分野法で、これはどうも業種の実態にそぐわない事例がたくさん出ているわけです。たとえば豆腐業、これは製造業の扱いになっているわけですけれども製造業といいますと、資本金一億円または従業員数三百人以下というように大変大規模ですね。ところが、豆腐業の実態というのは、平均従業員が二・三人というように言われている。家族従業員、零細家内工業というような性格を持っているわけですし、あるいはまたクリーニング業等も、これはサービス業の中に入っているわけですね。サービス業の資本金は一千万円または従業員数五十人以下、実態は豆腐業と似たような家内工業的性格を持っている。こういった状況にあるわけでございますので、業種の実態にそぐわない今日の状況中小企業庁はどういうようにお考えになっていらっしゃるのか。  それからもう一点、パート従業員の扱いなんです。ある企業が大企業なのか、中小企業なのか、その目安は資本金と従業員の数によって判断する。その従業員というのは常時使用する者となっているわけです。ところが最近の雇用形態を見ますと、サービス業ではパートという雇用形態が大変幅広く取り入れられている。しかもこれは本当に臨時雇用という性格ではなくて、長期常用の雇用がパート的な性格を持っている。このパートを持っておる企業が大企業なのかあるいは中小企業なのかという判断をする場合、どういうように扱っていくのか、この点を中小企業庁としてはどう判断されているか、この二点をお伺いしたいと思います。
  83. 佐藤和宏

    ○佐藤(和)政府委員 中小企業の定義の問題につきましては、基本法制定当初よりいろいろ議論のあったところでございますけれども基本的には大企業中小企業の事業活動の調整ということは、両者の間の競争力の格差というところから出てくるということでございまして、基本法自身がそういう考え方で現在の定義を下しておるということでございますので、現在基本法を初めとして一連の法律では、こういう考え方に基づいた現在の定義が行われていると理解しているところでございます。ただ、先生おっしゃるとおり、いろいろ問題が出てきているということもございますので、先ほど申しましたとおり、定義改定小委員会等で十分各般の意見を聞いた上で、なお検討していただきたいと思っているところでございます。  パートの問題につきましては、パート従業員というものを一般的に従業員として見るかどうかという点については問題はあろうかと思いますが、パート従業員として雇われた者でございましても、一定期間引き続き雇用されるに至っているといった要件に該当する者につきましては、常時雇用する従業員というふうに解すべきではないかと考えておるところでございます。
  84. 後藤茂

    ○後藤委員 その方向でひとつ実態に即した慎重な検討を進めていただきたいと考えております。ただ、実態に即した慎重な検討ということになってまいりますと、中小企業基本法と、一つの大きな枠でくくってしまうということから、さらにきめ細かく、小規模企業基本法といいますか、そういったものも必要になってくるのではないだろうかと実は考えるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  85. 佐藤和宏

    ○佐藤(和)政府委員 小規模企業の問題につきましては、現在の基本法でもかなり配意しているところでございまして、小規模企業についての二十人、五人という特別の定義を設けまして、それにつきまして、条文の各条で特別の配慮をなすよう各所に書いてあると私ども了解しているところでございます。
  86. 後藤茂

    ○後藤委員 なお私は、きょうはイラン石化の問題につきましてお伺いしたいと思っておりましたけれども、時間がございませんので、ただ一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、辻(英)委員長代理着席〕  それは、十月十三日に八尋社長が発言をされる。さらにそれに対して大臣が、軽々に発言をすべきではないというような意見も出されている。そうすると、またこの間は通産省首脳の見解というものが新聞に報道されている。一昨日は鈴木総理が発言する。また同じ日に伊東外務大臣が発言される。イラン石化の問題については、相手国もあることですから非常にむずかしい問題をいまいっぱい含んでおると私は思うのです。しかも昨年、官房長官のときでございましょうか、ナショナルプロジェクトにしていくときにも大変御苦労なさったわけでございますけれども大臣は、いまイラン石化のことについて、不規則発言のように思い思いに観測気球を上げていることに対しましてどのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  87. 田中六助

    田中(六)国務大臣 IJPCの問題は、いまイランイラクの紛争が起こっておる最中でございますし、爆撃も五回ほど受けておりますし、私どもがいまの段階で結論を出すことは慎重でなければならないと根本的には考えておるわけでございます。しかし、問題が重大な問題でございますので、しょっちゅうマスメディア、ジャーナリスト、そういう人たちからそれぞれみんな尋ねられるわけでございます。こちらから積極的に答えるわけではないのでございますけれども、それぞれの人がみんなそれぞれ毎日のように質問を受けているような実情じゃないかと思います。したがって飛び飛びに、何か間欠温泉みたいに見解がそれぞれまちまちに出るような模様が展開されておりますけれども基本はそういう状況じゃないかと思います。私は政府責任者の一人といたしまして、この問題は、紛争が終わって、本当に被害状況、あるいはイラン側の政府あるいはIJPC相互の会社の実情、あるいはそういう人たちの見解、そういうものがただされてこそ初めて結論らしきものに対処すべきでありまして、いまの段階でどうとかこうとか言うべきじゃないと基本的には考えております。
  88. 後藤茂

    ○後藤委員 この問題につきましては、特に一体ナショナルプロジェクトというものはどういうことなのか、あるいはナショナルプロジェクトということと国の責任というものはどういうことなのかというようなことについて、いろいろお聞きいたしましてもどうも理解のできない点がいっぱいあるわけでございますけれども、これはまた後日、このナショナルプロジェクト、これからは発展途上国に対しましても、あるいはカナダとの間に今度何か北極海油田等の開発のためのプロジェクト等も組まれている。あるいはサウジにおいては三菱グループがナショナルプロジェクトというような形で積極的に進出をしている。私も二月にジュベールに行ってみたわけですけれども、こういったナショナルプロジェクトというものは一体どのように理解していったらいいかということについて、私の時間が参りましたので、後日にさらに突き詰めてお伺いしたいと思いますけれども大臣の御見解を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 田中六助

    田中(六)国務大臣 経済協力という観点から見まして、先進国もあるいは発展途上国もこれから先非常にむずかしい問題を抱えております。と申し上げますのは、御承知のように日米関係でもECとの関係でも、経済摩擦というものが非常に起こるわけでございます。追い上げられたり追いついたり、そういう関係日本は自由貿易あるいは自由主義貿易を提唱する以外に日本の生きる道はないわけでございます。そういうときに、ただ輸出するだけあるいは輸入するだけでは問題が解決できない。やはり一つの相手国側と共同のプロジェクトをつくっていくという方向がこれから大切じゃないかというふうに思うわけです。そうしますと、どうしても民間同士の話し合いもさることながら、国同士、ひいてはナショナルプロジェクトという問題が浮かび上がってくると思います。     〔辻(英)委員長代理退席、委員長着席〕 したがってそういう観点から、これからも国家のある程度の金が、国民の皆様の金が回る可能性があるわけでございますので、より一層、普通の民間企業だけではない責任もございますので、ナショナルプロジェクトという問題には慎重でしかも責任ある解決の仕方あるいは取り組み方をしていかなくちゃいかぬのじゃないかというふうに考えます。
  90. 野中英二

    野中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時五十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕