○
河本国務大臣 公共事業は、
例年を見ますと完全
執行した場合でも大体九八%前後でございますが、それはいま御
指摘がございましたように
用地買収がどうしても
解決をしないところが出てまいります。それで二%前後は繰り延べになる、こういうことでございまして、
用地買収による
影響はある程度出てまいります。しかしこれは
例年のことでございますから、このことで特別に悪い
影響がことし出てくるということではございません。先般の
決定では昨年の第三・
四半期に比べまして三〇%
公共事業の
執行をふやすということを言っておりますけれ
ども、しかし、昨年の第三・
四半期の
事業量が非常に少なかったものですから、三割ふやしましても
中央関係では七、八千億にしかならない、こういうことでございまして、ある程度のいい
影響は出てまいりますけれ
ども、このこと自体が決め手になるとかそういうものでは決してございません。
シェアとしてはきわめて小さい、こう思っております。むしろ
住宅建設などの金額の方がはるかに大きいわけでございまして、いまもお話がございましたが、実は
住宅建設が
計画よりもずいぶん落ち込んでおります。
建設省にお聞きいたしますと一七%ぐらい落ち込むのではないかと言われておりますが、あるいはいまの
情勢では二割近く落ち込む
危険性もなきにしもあらずである。二割近く落ち込みますと三十万戸からの家が
計画より減るということでございます。これはもう大変なことでございまして、
景気の足を非常に大きく引っ張ります。この背景はやはり土地問題が
最大の
原因になっておる、私はこう思うのです。現在の
金利水準も非常に高くなって、
金利負担が非常に重いということも
一つの
原因でございます。それから
建築費そのものが高くなっているということも
原因でございます。
所得の伸びが低いということも
原因でございます。いろいろ
原因がございまして土地問題だけではありませんが、やはり土地問題が
最大のがんになっておる、こういう
感じがいたします。だから、
住宅建設計画が
予定どおり進むということのためにはいろいろなことをやらなければなりませんが、やはりこの問題を
解決しなければならぬと思いますけれ
ども、この問題の
解決は
政府全体が当たっていく必要があろうかと思うのです。むしろ私は国を挙げての
最大の
課題じゃないか、こういう
感じを持っております。
国土庁、
建設省でもいろいろ苦心をしておられますけれ
ども、やはり国全体としてこれに取り組んでいって
土地対策をバックアップしていくということが必要だ、このように思います。
それから
投資も、大
企業の
投資は相当伸びておりますけれ
ども中小企業の
投資が減っております。これは現在の
金利水準が非常に高い、とてもいまの
金利水準で、しかも比較的
金融が窮屈でありますから借りにくい、こういう
情勢のもとで
投資ができないという
傾向が非常に強いように思います。
したがいまして、
住宅と
中小企業投資を
考えてみましても現在の
金利が非常に高いことは事実でありまして、御
案内のようにことしの二月、三月、
狂乱物価前夜だということで、事実当時
狂乱物価前夜の状態になっておりました。
卸売物価が月に二%あるいは二%以上伸びるということでございますから、そういう表現もあながちオーバーではなかったと思いますが、そういう
情勢のもとでこれは大変だ、どうしても
金融によって
物価にある程度水をかけなければならぬということで、思い切った公定歩合の引き上げをしたわけでありますが、現在はしかし
情勢がすっかり変わってしまったと思うのです。
卸売物価は完全に鎮静化しておりますし、
消費者物価も大体安定の
方向に行きつつございます。九月が
ピークではないかと思っておるのですが、そういうことでございますからこの
金融政策も
実情にあったようにやはり進めることが必要だと思います。先月五日に
金融政策は機動的に運営するということを
政府の方で正式に決めておりますが、この
意味は、いまの
金利水準は非常に高いから
景気の足を引っ張っておる、できるだけ早く現在の
金利水準を下げましょうというのがその具体的な
意味でございますが、こういう問題もございます。
それから
電力投資につきましては、これは
通産省からお答えになるのがいいと思いますが、いまの二百万キロという
数字は十月までの
数字でございまして、
下半期、
電源開発を促進しておられる責任の省である
通産省におきましても力いっぱいやっておられるようでございますから、相当ふえるのではないか、こう思っております。
まだほかにも八
項目でございますから幾つか
対策があるのですけれ
ども、
一つだけでは問題が
解決いたしませんで、この八
項目を並行して強力に進めていく、これがぜひ必要である。これに成功いたしませんと来年の
経済運営も大変むずかしくなりますので、来年を展望しながらこの八
項目の
政策を強力に進めることがいま当面の
課題であろう、こう思っております。