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栗田委員 私、時間があればいろいろ伺いたいのに残念ですが、このメタンについて、何人かの学者たちが
現地に入って、床下からメタンが発生するだろうかということ、そしてたとえ多少発生しても爆発する
状態にあるだろうかということを
調査しております。
その
調査の結果を見ますと、たとえば科学者
会議静岡支部が、ここは
現地に入って
調査をしてニュースを発行しているのですけれども、爆発する
状態には全くないという結論を出しています。私は警察の
調査もずいぶん長引いているということを非常に疑問に思っておりまして、すでに二カ月たっています。ヘドロを培養すればもうとっくにメタン菌も出るだろうし、それから実際にメタンが爆発する
状態かどうかということはそれほどむずかしいものではないわけでして、なぜいつまでも結論が出ないのか。なかなか爆発しそうになくて警察庁、困っていらっしゃるんじゃないかなと実際思うのですね。これは爆発しないとはっきり科学者
会議が書いております。
それから、私は、元通産省の微生物工業技術研究所にいらして、いま大阪府立大学の農学部教授をしていらっしゃる外村健三先生にも、先日お電話でお話を伺いました。外村先生はこの方面を研究していらっしゃる権威ある学者ですけれども、一般論だけれどもとおっしゃって、メタンが爆発する
状態というのは、ヘドロがメタンが発生するだけのものが
相当量なければならないということ、それから温度が試験管でメタンを出したときには五十六度Cぐらい、常温でメタンが出る場合でも三十七度Cぐらい必要であるということ、それから空気の流通がないところで密閉性がなければならないということ、メタンの濃度は一五、六%なければならないということや、それから特に、メタンは無臭だけれども、発生していく過程にはいろんな物質が分解されて出てくるものですから、大変なふらつくような激しいにおいがする。これはアンモニアよりもひどいはずである。こういうにおいがなかったわけですからね。あそこは食品店街でそんなにおいがしていたらとても商売できる
状態じゃないですから、そういうものもなかった。ということになれば、爆発するほどのメタンがもし出るとすれば、よほどの圧力で一ぺんにメタンでも吹き込んだかなんかしないと、あるいはガスでも吹き込まない限りは、そういう床下から爆発しないであろうということを言っておられます。
そして、私、ここに今度の事故の中間
調査報告書を持ってまいりました。これは静岡駅前ガス爆発事故についてまとめられた初めての本格的な
調査報告ではないかと思いますが、きょう静岡市で二時から発表されているはずでございます。
この
調査報告書をまとめたのは、静岡駅前ゴールデン地下街ガス爆発
災害調査委員会というものです。これはどういうものかと言いますと「この
災害による「
被災者の会」弁護団の要請にもとづき、都市防災、防災計画、建築設計、設備、構造、物理、生物、土木等の各専門家によって
調査委員会を組織し、
災害の総合
調査として行われているものである。」、この
調査委員会の代表者は大屋鍾吾氏、これは
地域総合計画研究所の副所長ですけれども、この
地域総合計画研究所というのは東京の南青山にありまして、多摩川の決壊の原因なども
調査して、あの訴訟に大きな
影響を与えたりした、さまざまな功績のある研究所でございます。その方が代表になって、大ぜいの学者、専門家と一緒に
調査をして、詳細な
調査報告、中間結果ですが、出しております。
初めの方は、第二次爆発の経過とかその
影響などがずっと述べられていて、後の方に「第一次爆発について」という項があります。ここでは非常に重要な二つの点を論じております。
一つは、あの床下のピットでメタンが爆発するほど発生するかどうかということです。もう
一つは、床の盛り上がりは、床下からの爆発ではなく、床上からの爆発の
影響によって盛り上がったということを推論しております。いま警察庁は、床が盛り上がっていたから床下であろう、ピットから出るとすればメタンぐらいだろう、こういうふうに考えていらっしゃるようです。ですから、なかなかメタンが爆発しそうもなくて結びつかないでいらっしゃると思うのですけれども、こういう二つの重要な
指摘をしております。
委員長、時間が
大分近づいてきたのですが、ちょっと時間をいただけますか。——それで、このメタンが
相当量、爆発限界に達するだけ発生するかどうかという点なのですけれども、これは構造から論じております。
床下には湧水槽、それから汚水槽と雑排水槽がございます。ここにその床下の構造図があります。これは第一ビルのちょうど半分です。こっち側にもう
一つついておりまして、ちょうどこのあたりが爆発した「ちゃっきり鮨」とか「キャット」などがあるところなのですけれども、この爆発したところの下にあるのはわき水をためる湧水槽です。これらは全部湧水槽です。ここが雑排水槽、ここが汚水槽です。これはパイプでつながっておりまして、わき水をずっとためて流して、雑排水槽から汚水槽に入れて、一定の高さになるとポンプでくみ上げるようになっている、こういう構造なのです。ですから、ヘドロがそう大量にこの湧水槽の中にたまる構造にはなっていないということです。ただし、よく調べてみたら、地下街の上から手を洗う水などがちょろちょろっと落ちるようにはなっていた。もう
一つは、地下街の床を掃除したときに、ほうきで掃いていって水を落とすところがあるのですが、金網があってそこから水が落ちるようになっているので、床を掃除した水が多少入るようになっている、そういう構造なのです。しかし、メタンが爆発限界に達するほど大量に発生するだけのヘドロがたまる構造ではなく、しかも実際に
現地を見たけれども、「このビルの地階床下の構造は、他と比較してとくに汚泥が蓄積しやすい構造でもなく、また現実に、大量に汚泥を蓄積した痕跡もみられず、むしろ他よりも良好な
状況とも言える。」という結論を出しております。そして、この構造から見ますと、空気の流通があるということ、水も動いているということ、またあそこは非常に
地下水の多い
地域ですけれども、安倍川水系の
地下水が非常に多いのですけれども、ああいうふうに
地下水の多い地下では、地上がかなり暑く熱せられても、地下のピットはそんなに温度が高くなるはずはない
状態だということです。そして、さっき外村先生もおっしゃいましたようなにおいの問題もなかったということ、その他まだ非常に細かく推論しておりますが、私、いま簡略に申し上げていますけれども、だから、ここでの地下街にメタンが
相当量滞留する条件は全く考えられないという結論を出しております。次に、床が盛り上がっていた点ですけれども「床の変形の
状況から単純に床下での爆発とは断定できず、床上方での爆発と推定する方が現実的である。」と言っております。
警察庁に伺いますが、床が盛り上がっていたということはずいぶん言っていますが、床のへこんだ部分があったということは検証していらっしゃいますか。