○小坂政府
委員 松尾鉱山から北上川に流出してまいりまして、北上川上流部の水質が非常に強酸性になるという問題でございますが、ただいま御指摘のように
昭和三十年代ごろから松尾鉱山に起因いたしまして、非常に急速な悪化が示されております。
昭和初年から
昭和四十四年までは松尾鉱業所がいわゆる中和処理をいたしておりました。その後松尾鉱業所が経営不振から、それに岩手県が取ってかわりまして、
昭和四十四年から四十五年まで県が中和処理を行った経緯がございます。その後、松尾鉱業所の倒産に関しまして更生会社ができまして、
昭和四十五年から四十七年まで更生会社による中和処理が行われたわけでございます。四十七年の初めに、いよいよこの更生会社もなくなるということで、これをもし放置いたしますと、強酸性のものが北上川に流入し、非常に重大な結果になるということから、五省庁相寄りまして、それでいろいろ協議をいたしたわけでございます。もちろん岩手県も御一緒に協議したわけでございますが、そこの場ではなかなか結論が出ませんで、とりあえず緊急
措置として、
建設省におきましてそれまで行われておりました炭カル投入による中和作業、これを暫定
措置として続けようということになりまして、財政当局の方にもそういう御了解をいただきまして、
関係省庁との了解のもとに、暫定
措置として
建設省はその中和作業を続けたわけでございます。
しかしながら、やはりこれはあくまでも暫定的なものでございまして、いわゆる恒久対策が必要であるということから、私
ども建設省が中心になりまして、対策の
検討委員会を開いていただきまして、諸
先生方にもいろいろなお知恵を拝措いたしまして、その対策を
検討したわけでございます。その結果、やはり恒久処理施設、新しいタイプの鉄バクテリアでございますか、ちょっとむずかしい学問的なあれは詳しくは存じませんが、それを利用した恒久処理施設、これをつくることが一番よろしい。そのほか何件かの恒久対策、これが指摘されたわけでございます。
それで私
ども建設省の立場といたしましては、この問題、松尾鉱山からの流出が出ます以前の
状態、いわば自然の
状態のときの北上川の水質、確かに酸性の出る山ではございますが、これは非常に致命的な問題は起きていなかったわけでございます。ちなみに、昔は盛岡市内あたりまでもサケが上っておったという事実もあるわけでございまして、それがやはり鉱山とともにだんだん酸性水質が悪化しまして、その結果こういう問題が起きたのである。したがって、これを
改善するのは当然その休
廃止鉱山の所管をいたします
行政の中でおやり願うのが至当ではないかというふうに考えまして、その主張は実はこの暫定処理を始めるときから申し続けておるわけでございますが、そういった
考え方は
建設省としては一貫して持っておるわけでございますが、そういった主張も含めまして、
通産省におきまして
先ほど申し上げました恒久的な新処理施設を、
通産省の所管いたします休
廃止鉱山鉱害防止工事費補助金というのがございまして、それで岩手県が新中和工場施設の建設に五十二年度から着工いたしまして、それが今度完成するということになるわけでございます。したがいまして、その設置費につきましては一応解決したというふうに見られるわけでございますが、問題は、
先生御指摘のように、今後この施設を使いまして恒久的に永久的に運転をしなければならぬという問題がございまして、それについて県あるいは
関係者の間からこれはやはり国でやっていただきたいという
お話がございまして、私
ども五省庁もそれを受けまして再三協議をいたしておるわけでございます。いま
お話しのように、もうその完成間近でございますし、これを恒常的に運転する必要がございますので、その問題当然早期に解決しなければいかぬというふうに考えておりますが、
先ほど来申し上げておりますように、私
どもとしては、やはり原因者のある問題でございまして、原因者が休
廃止鉱山であるということから、その所管いたします
通産省の方でひとつ解決いただきたいというようなことで
お話は申し上げているわけでございますが、なかなか話がまとまらないというのが現状でございます。
しかし、私
どもといたしましては、北上川全般の河川の流水の正常な機能を維持するということにつきましては、
先ほど来申し上げておりますように重大な関心を持っておりますので、この問題、どうしても解決しなければいかぬ問題であるということでございますので、たとえば技術協力等、いろいろな御要請がございましたら、いろいろな隘路がございますが、そういったことも御相談しながら今後解決していきたいというような態度で現在臨んでおるわけでございます。