○山岡
政府委員 いま
お話に出ました長期的な
対策と短期的な
対策ということでございますが、
一つは、国土利用のための長期的な
対策ということを検討いたしておりますけれ
ども、結論を申し上げますと、三全総を着実に実施をするということでございます。
私
ども国土利用を検討いたします際に与えられた与件が、ございます。一、二申し上げてみますと、国土の現況が
一つの与件でございます。全体が三十七万七千方キロというところで、その中で可住地面積は二六%ぐらいと言われております。そういうところに住まなければならない、これが
一つでございます。それから、現在の
土地利用の
状況でございますけれ
ども、全国の
土地利用の
状況を見ますと、現在三千百万ヘクタール、八三%が大体農用地的な利用になっております。現在宅地の利用が百三十四万ヘクタールということでございまして、この三千百万ヘクタールの農用地等が減をしながら宅地がふえるというのが最近の趨勢でございます。
それから、さらに考えておかなければならないのは人口の問題でございます。人口につきましては、二十一世紀初頭に三全総では一億三千七百万人、しかもこれは停止人口というふうに言っております。最近の出生率等の
状況から見てこれは少し下方修正する必要があるのではないかということを内部で検討いたしておりますけれ
ども、いずれにせよ、一億三千数百万人というところで、それ以上ふえもしない、減りもしないという人口が二十一世紀初頭には到来するというのが現在の見通しでございます。さらに、その人口の内訳を見ますと、六十五歳以上人口が二十一世紀初頭で千九百万人、約一四%というふうに三全総は見込んでおります。さらに、十八歳以上の方々の中の高学歴者が全体で、たとえば五十年は一四%でございますが、そのころには二八%が高等教育を受けると言われておりまして、いわゆる文化的環境の欲求も増大するというのが前提でございます。
もう
一つの前提といたしましては、やはり人口が都市へ集中をする、七二%が都市地区に住むということが見込まれております。そうなりますと、やはり産業構造も変化をいたします。言葉をかえて申しますと、複雑な地形、地質、狭い可住地、しかも限られた水質源等の中で、国土全体をうまく使う、その中に一億三千数百万人の人がうまく住むということが長期の国土利用の目標でございます。そういうことができるのかという話がときどき出ますけれ
ども、私
ども、これは卑近な例でまことに恐縮でございますが、一億三千数百万人の日本人を全部一カ所に集めますと、
大臣の御出身の淡路島の何分の一というところで入るわけでございます。そういう方々が日本全土の可住地の中にうまく住むということができれば、必ずそういう目標は達成できる。たとえば、北海道のごときは国土面積の二割を占めておりますが、人口はいま五%でございます。そういうところの大いなる活用をやっていく、そのための国土利用
計画というものをつくっておりまして、そういうものを着実に進めていくというのが長期の
対策でございます。これはしかし、長期と申しましても相当時間がかかるわけでございます。
当面の問題は何かということでございますが、これも繰り返し申し上げておりまして大変恐縮でございますけれ
ども、われわれの当面の問題は何かといいますと、
土地の値段が高いということでございます。
土地の値段が高いということに対してどうするかということがわれわれに与えられた与件でございます。これはいつも申しますように、効用増によるもの、それから投機によるもの、需給ギャップによるものとがございます。その中で、いわゆる投機によるものは影をひそめておると私
どもは思っております。現在、いろいろと全国で
調査をやっております。月別の
調査をやっているところもございますが、いずれもそういう投機はないという報告を受けております。そうなれば、やはり需給のギャップということにつきまして最大の努力をしなければならないということが目下の急務でございまして、
先ほども申し上げましたけれ
ども、要するに、たとえばトイレットペーパーでございますと、なくなって値段が上がった、工場で増産をすればすぐ間に合う。ところが、
土地につきましては、懐妊期間がございますので、なかなか直ちにそういう適用ができない点があるといううらみはございますけれ
ども、なるべく早くそういうふうな供給をふやしていくということが目下の急務である、そのためにはやはり
土地は持っておっても余りよくないのだ、もうからないのだというシステムをつくる必要があるという
お話が
先ほどございました。
そういうふうな、
土地を持っておってももうからないのだということが、逆に
土地はもうかるのだという観念になりますと、二つ現象が起こると思います。
一つは売り惜しみでございます。最近のいろいろな
土地問題の発端となったのが売り惜しみでございます。そういう売り惜しみ
対策といたしましては、今回考えておりますような
農住組合法案のようなもの、もしくは宅地並み課税のようなもの、そういうようなものの
対策を進めていくことが必要だと思っております。それからもう
一つは、やはり投機が起こる、いわゆるインフレマインドと申しますか、地価上昇マインドに振られて、いま言いました売り惜しみの反面といたしまして、買い進んで転がすということが起こる
可能性があります。これがありますと本当に
土地対策と申しますか、地価
対策は全滅いたします。したがいまして、そのために投機を本気で抑える、これをやりながら息長く宅地供給をやっていく、これしか手はないというふうに思っているわけでございます。農住組合法な
どもその一環でございまして、本当に限られた供給策の中で、いま一番大きい供給源の農地をいかにして供給していただくかというようなことでございます。
少し長期、短期というようなことで、超長期の話を申し上げて恐縮でございましたけれ
ども、そういうふうなつもりで仕事を進めておるわけでございます。