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1980-10-17 第93回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月十七日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       大野  明君    鹿野 道彦君       金丸  信君    鴨田利太郎君       田村 良平君    竹中 修一君       谷  洋一君    登坂重次郎君       中西 啓介君    堀之内久男君       村田敬次郎君    井上 普方君       小野 信一君    山花 貞夫君       横山 利秋君    林  保夫君       瀬崎 博義君    林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      石川  周君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         法務省民事局長 貞家 克己君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         文部省体育局ス         ポーツ課長   戸村 敏雄君         厚生省薬務局安         全課長     有本  亨君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課長     須藤良太郎君         運輸省港湾局倉         庫課長     橋本 信明君         建設省都市局下         水道部長    遠山  啓君         建設省河川局次         長       佐藤 毅三君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         消防庁消防課長 野沢 達夫君         消防庁危険物規         制課長     椎名  泰君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 十月十七日  農住組合法案内閣提出第一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十六日  山村振興対策充実強化等に関する陳情書  (第三九号)  桃花台ニュータウン開発に伴う関連公共事業  等の促進に関する陳情書  (第五四号)  早明浦ダム上下流治山治水対策等促進に関す  る陳情書  (第五五号)  モデル定住圏計画の推進に関する陳情書  (第五六号)  地方有料道路事業経営改善に関する陳情書  (第五七号)  住宅宅地関連公共施設整備促進事業制度の拡充  に関する陳情書  (第五  八号)  四国開発幹線自動車道建設促進に関する陳情  書  (第五九号)  主要地方道国道昇格に関する陳情書  (第六〇号)  下水道整備促進に関する陳情書  (第六一号)  第四期住宅建設五カ年計画策定に関する陳情書  (第六二号)  琵琶湖の富栄養化防止のため下水道施設改善に  対する財政援助に関する陳情書  (第六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農住組合法案内閣提出第一三号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 本日、私は三つの問題について政府意見を伺いたいと思うのでありますが、大府倉庫火災、それから田原判決日光周辺土地問題またきょう関係閣僚会議がございましたオリンピックの問題、三つともきわめて重要でございますが、時間が一時間でございますから、政府側としてはでき得べくんば簡潔に、私も十分内容はわかっておるわけでありますから、政府の御意見を伺いたいのでありますから、簡潔に要点を得て御答弁を願いたいと存じます。  まず、愛知大府市における倉庫火災でございますけれども、御存じのように、十月一日十二時十分に大府中原地内の丸全昭和運輸東海倉庫より火災発生いたしましたところ、中に劇毒物がございましたために長時間、十六時間にわたって中和剤が到着するまで、また到着いたしましても、中天高く黒煙が吹き出して七千名の付近住民避難をする、そしてまた川にあった魚が推定約二万匹死ぬ等々、全国的にも大変な話題になったわけであります。この際ひとつ大府火災についての総合的な御報告をまずお願いしたいと思います。
  4. 椎名泰

    椎名説明員 御報告申し上げます。  去る十月一日、愛知大府市におきまして、毒劇物を多量に貯蔵いたします倉庫火災発生いたしたわけでございますけれども、その概要は次のとおりでございます。  愛知大府大府中原二十六の一にあります丸全昭和運輸株式会社中部支社においては、九月二十八日から同事業所内A棟倉庫B棟倉庫との間にあります荷役用の建屋において雨どいの金具を取りつける溶接作業が行われていたわけでございますけれども、十月一日正午過ぎの十二時十分ごろ、引き続き行われていました溶接工事溶接火花が、軒下の二段積みラックに積んでありますグラスファイバー製ボートがあるわけでございますけれども、このグラスファイバーボートにかけておきましたオレンジ色塩ビシート、これは百六十センチ掛ける百二十五センチのものが二枚重ねてあったわけでございますけれども、この上に火花が落ちまして、このグラスファイバー製ボート及び梱包用ビニール等に着火いたしまして出火したというような現状でございます。  これによりまして、鉄骨造平家建ての同倉庫三千四百四十八・八平方メートルをほぼ全焼いたしまして、十月二日の七時過ぎに鎮火いたしております。  このA棟倉庫には、三十五種類の化学製品等のほか、合成樹脂、原綿、板紙、ボート部品冷蔵庫等が区画して保管されていたわけでございますけれども、特に化学製品の中に青化ソーダ別名シアン化ナトリウムといいますが、この青化ソーダあるいはモノクロル酢酸等劇毒物に該当するものが多量に貯蔵されておりまして、これらの物品の収納容器火炎等により破損し、混合した場合は、消火活動における注水等によりまして猛毒の青酸ガス発生する可能性があったために、消火活動は困難をきわめまして、その消火に約十九時間を要する結果となったわけでございます。  この火災におきまして、化学製品の燃焼により塩化水素ガス等有毒ガス発生する一方、青酸ガス発生する可能性もあったために、十五時三十分、付近住民およそ一千世帯、四千名に対しまして避難勧告が出され、十八時には前のおよそ一千世帯を含めまして約千五百世帯、六千名に対しまして避難命令が出されたわけでございます。また、その後、風向きが変わりまして、二十一時四十五分にさらにおよそ六百世帯、二千名に対しまして避難命令が出されたわけでございます。  この火災に対しまして、大府市の消防車両十五台、消防職員消防団員二百五十五名が出動するとともに、名古屋市を初め近隣の刈谷市、豊明市、東海市、知多市及び常滑市の各市から消防車両等が二十九台、消防職員百三十名が応援出動いたしまして消火活動に従事いたしまして、青酸ガス発生は回避された次第でございます。  なお、この火災におきまして消火活動中の消防職、団員三名が軽傷を負っております。  以上で終わります。
  5. 横山利秋

    横山委員 問題は、倉庫内にありました青化ソーダ百四十二個、硅弗化ソーダ千五百五十六個、クロルピクリン千百六十七個、それからドロクロール六百八十五個、ジロペン百五十一個等々の劇毒物倉庫の中に一般倉庫保管商品混合保管をされておったということではないか。あるいはまた中和剤が到着するまでに十六時間を要し、しかも千葉からそれを持ってこなければならず、それを手配したのは地方自治体なり消防でなくて、その倉庫会社が手配したということではないか。その倉庫の中に劇毒物保管をする、そしてそれは、私の承知するところにおいては、たしか倉庫業法なりいろいろな法律によって届け出の必要がないというふうに言われておるが、どうか。当の劇毒物倉庫——いまは倉庫に限って言うのでありますが、倉庫にあった、それが火災発生しても方法がなかった、こういう点にしぼって政府側の見解を伺いたいのであります。
  6. 稲村利幸

    稲村委員長 きのうから政府委員答弁に時間がかかるので、若干質問時間が延びているので、簡潔に、スピーディーにお願いいたします。
  7. 橋本信明

    橋本説明員 お答え申し上げます。  今回の倉庫火災、私ども運輸省所管しております営業倉庫について起こったわけでございます。先生営業倉庫の中で劇物毒物が他の一般貨物と一緒に保管されておったという御指摘でございますが、営業倉庫に限りまして申し上げましても、危険物等とは違いまして、毒物劇物を特にそれだけを分けて保管するようなこと、体系にはなっておりません。
  8. 横山利秋

    横山委員 これからどうするのだ。
  9. 橋本信明

    橋本説明員 新聞に伝えられるところによりますと、劇毒物が全国で二千カ所とかそういうふうに伺っておりますが、私ども運輸省ではそのうちの営業倉庫のみについて所管しておるわけでございます。  毒劇物保管全般につきましては、毒劇物を一元的に所管しておられます厚生省といろいろ御連絡をとりつつ今後のことを考えてまいりたいと思います。
  10. 横山利秋

    横山委員 中和剤については、中和剤設置義務は……。
  11. 橋本信明

    橋本説明員 中和剤につきましても、毒劇物保管場所中和剤を備えつける義務というようなものは法令上ないというふうに聞いております。
  12. 横山利秋

    横山委員 現状を聞くのはそれでよろしいのですが、だれが聞いてもいまのお答えでわかりますように、厚生省とそれから運輸省とそれから消防庁消防署、その三つ関係が今回非常に何かぎくしゃくしておる。動員だけは一生懸命にやった、あるいは避難命令だけは徹底的にやったと言うけれども、もし別棟の倉庫事務所なり別の棟に中和剤保管されておったならば、あるいはまたもし中和剤千葉から持ってこなくても、そういうことが教育訓練が行き届いておって、愛知県内のどこかに中和剤があったならば——あるはずであります。あったならば、もしこの混合保管がされておらなかったならば、もし倉庫にあります劇毒物状況が適切に周辺消防署通知義務があって知っておったならば、このような実に愛知県下を震駭させ、世間に大評判を呼んだこの事件というものに発展をしなかったと痛感を私はしておるわけであります。ですから、いまのお答えではだれが聞いても納得できないのでありますが、この事件以後、運輸省消防庁あるいはまた厚生省あるいは建設省を含んで関係各省が、劇毒物保管並びにそれについての事件発生についての処理のあり方、法令改正等について協議をなさったことがありますか。
  13. 稲村利幸

    稲村委員長 答弁は時間をとらせないでください。
  14. 有本亨

    有本説明員 厚生省の方からお答えさしていただきます。  私ども厚生省では毒劇物取締法所管いたしておるわけでございますけれども、主として保健衛生上の危害を防止する面からの従来取り扱いの適正化を図って指導を行ってきたわけでございます。  今回の事故は、主に火災対策の面で問題を提起したわけでございますが、中でも倉庫の中にどのような毒劇物が貯蔵されているかということが速やかに把握できなかったということが問題の一つであったのではないか、こういうふうに理解しております。したがいまして、今後倉庫等保管されております毒劇物の実態が速やかに把握できるように関係省庁とよく御検討していきたいというふうに思っております。  また、今後とも都道府県におきます毒劇物担当部局消防その他警察等関係部局との連絡を一層緊密にするように指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  15. 横山利秋

    横山委員 問題は、人間には緊急避難が徹底したものですから数名ののどあるいは目まいということで済んだようであります。しかし、川が汚染をされまして、魚が推定約二万匹死にました。そして今後検討さるべき問題として、一体畑が汚染されておるのか、あるいはでき上がった農作物についてこの劇毒物の被害が影響があるのかどうか、そういう点については河川局点検をしていますか。どこで点検をするのですか。きょうは実は農林省を呼んでいないのでありますが、どこかで点検をしていますか。
  16. 小坂忠

    小坂政府委員 お答えいたします。  河川局では調べておりません。
  17. 横山利秋

    横山委員 大臣、お聞きのとおりであります。あなたに問題を投げかけては大変恐縮でございますけれども、きょうは短い時間でございますし、いまおおよそ各省の話をお聞きになって何か不徹底な現場の状況、それから今後の対策につきまして不徹底な気がしてならないのであります。私ども地元では膨大な資料を整理して、地元としての対策については遺憾のないようにしておるわけであります。これは倉庫法にしたところで、消防のやり方にしたところで、厚生省劇毒物はいままでこういう火災だとか大地震だとかあるいは大事件について何らの考慮をされておりません。安全保管という点について注意されているだけでありますから、総合的にこれらの問題について今事件の教訓を生かして処理をするように、ひとつせっかくでございますから、大臣にお手配を願いたいと思います。いかがでございましょうか。
  18. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいままでのやりとりを聞いておって、先生指摘のように大変心配いたしております。建設省所管ではごございませんけれども倉庫建築物そのものについては所管でございますけれども、防災、防火等々についてはいままで以上に配慮するわけでありますけれども、こうした問題についてはいま御指摘各省間の連絡も密でないようであります。先ごろのガス爆発等々考えたときに、こうした問題は、大きい犠牲がなかっただけ、消防士が三名軽傷で済んだということだけでおかないで、災害のないように関係者にひとつ連絡を密にするように私からも配慮いたしたい、このように考えます。
  19. 横山利秋

    横山委員 第二番目に、田原というところにつきまして裁判所の判決が出ました。判決の要旨は、いわゆる水没地域が国の土地であるかあるいはまた地主のものであるかという長年の論争に一つの終止符を打ったわけであります。けれども、それは両方、国は控訴をしておるわけでありますが、それと同じように名四国道であります。  名四国道の一部、名古屋市港区南陽町藤高新田字千鳥、そこを名四国道が通過をしていますが、この名四国道をつくるについて、中部地建建設省は、愛知県に要望いたしましてその水没地域地主から買いました。買って、それを名四国道の竣工に資したわけでありまして、建設省としては買ったのであるから、国の土地として法務局にそれを登記を依頼いたしました。しかるところ名古屋法務局は、地図の備えつけがなく位置が不明確かつ水没した地域という理由で、分筆登記却下をされました。却下をされ、所有権移転登記却下をされたわけであります。そこで困った愛知県知事審査請求をすべきであるけれども、それを審査請求をしなかったのであります。したがいまして、名四国道がいま一部地域は国のものであるのかあるいは地主のものであるのか、土地不明のままに推移をいたしておるわけであります。これは愛知県としてもあるいは中部地建としても、これが発生したのは、売買されたのが三十六年でありますから、まさに十九年にわたって名四国道の一部地域がそのままになっておるわけであります。四十一年、国会で私が民事局長不動産登記法に基づく八項目調査を要望いたしましたところ、当時の民事局長は八項目調査不動産登記法に基づいて行うと約束したのでありますが、十四年たった今日もそれが行われていないのであります。かたがた愛知県並びに中部地建に確かめてみましたところ、名四国道の拡張や堤防修理等交通災害対策上、これはどうしてもいま改修なり工事をしなければならぬと主張をいたしております。のみならず、この地域を含んで名古屋全般立場からいたしましても、速やかにこの紛争地域については解決をさるべきことが公共上必要とされておるわけであります。  この間、先ほど申しました田原というところについての判決が出ました。田原判決は、海面下といえども支配可能性それから財産的価値ある土地、そういう二つの条件を満たすところは土地であるとして私権存在を認めたわけであります。この判断は最高裁も恐らく変わらないであろうと、私は従来の経過から想像しているわけであります。  したがいまして、この問題の放置は公共上も、公共的な工事の上からも許されないことでありますが、法務省建設省本件について二面性を持っておるわけであります。  その二面性といいますのは、田原判決に対して上告をする愛知県及び国、上告をしている、あくまでこれは理論的に海面下であるから国の土地である、公海であるという立場。それからもう一つは、愛知県も中部地建つまり建設省も、海面下といえども土地を買って名四国道をつくった、したがって国の土地であると言って法務省分筆登記を要求しておる、地主存在を認めてその土地を銭を出して、国費、税金を使って買って、これは私権存在を認めた行為をしておる。こういう二面性があるわけであります。国は、片一方の手で海面下公海だから私権を認めないと言いながら、片一方の手でおまえの土地だけれども買わしてくれと言って買って名四国道をつくったという二面性があるわけであります。  したがいまして、この際国も県も、国といいますのは建設省法務省でありますが、その矛盾した立場を整理して、そして速やかにこの名四国道を含む周辺改修工事拡幅工事が円滑に行われるよべに前向きに措置すべきである、そう痛感をいたすわけでありますが、いかがでございますか。
  20. 貞家克己

    貞家政府委員 日光関係土地につきましては、横山委員非常に詳細に御承知になっておられます。したがいまして、ここで一々法務省立場、従来の経緯その他を説明することを省略させていただきますが、本件処理につきましては、私ども十年来調査を続けているところでございまして、先ほども御指摘がございました民事局長調査を約束したではないかという点でございますけれども、この点につきましては、何とかして糸口をつかみたいという一心で方々に照会をして調査をいたしましたけれども、結果的には、残念ながら問題の解決を図る糸口を発見することができなかったわけでございます。  しかしながら、いま横山委員指摘のとおり、この問題はいろいろな点で早期に解決を図らなければならない点だということは重々承知しております。現に係争土地所有権登記名義人から国及び県を相手として訴訟が起こされているわけでございますけれども、その点につきましても訴訟代理人として、法務省建設省中部地方建設局、県の土木部というところからそれぞれ代理人が出ておりまして協力してそれに当たっていることも御承知のとおりでございます。  訴訟と離れまして、私どもはこの問題の具体的な現実的な解決を図るために、十分名古屋法務局中部地方建設局及び愛知県の間で協議をしたいと思っておりますし、現にそういった協議を続けているわけでございます。もちろんこれには所有権登記名義人といたしまして私人もございますけれども私人同意、そういった利害関係者同意協議というものが必要になっていることは当然でございますけれども、私ども法務省といたしましても必要に応じ可能な限りいろいろ資料の提供あるいは法律上の意見を申し上げる、その他の方法によりまして関係行政機関協議をしてまいりたい、それによって速やかな本件解決を図りたい、かように考えている次第でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 建設省にお伺いをいたしますが、理論上の問題は大事な問題でございます。法務省は国を代表して、海面下私権存在を認めない、満潮下水没地域については土地ではない、こういう理論的な立場で終始をしておる。そこへ田原判決がおりた。海面下といえども支配可能性と財産的価値ある土地私権存在するという立場をとった。ただ、田原日光川と違うと法務省が言っておりますのは、一つ干潮時、田原は干がたになる場面がある、日光川はないと言っているんですけれども日光川の堤防から中の方は堤防があるものだから干潮時干がたが出ないけれども堤防の外は干潮時干がたが出るのです。ですから、その点についても田原判決は大きな影響をすると思うのですが、その理論的な問題について建設省法務省がコンセンサスをしなければ、法務省の訟務局が勝手にあくまで純粋理論で、従来からの理論でやっている限りにおいては話がつかないのです。  それから、もう一つ建設省に聞きたいのは、たしか愛知県が名四国道拡幅堤防修理というものを要望いたしておるはずでありますが、建設省に来ておりますか。
  22. 小坂忠

    小坂政府委員 お答え申し上げます。  まず、ただいま問題になっております地域でございますが、いま海面というお話でございますが、あそこには日光川がありまして、日光川の河口部になっております。私どもから申しますと、いわゆる河口締め切り堤がございます。それから上流部は私どもいわゆる河川区域として所管いたしておるわけでございますが、それから下流海面ということになろうかと思います。  それで、日光川の河口締め切り堤から上流部の問題につきまして以下述べさしていただきますが、この締め切り堤は、先ほどお話のございましたように、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機にいたしまして、高潮対策ということで計画されたいわゆる防潮堤でございます。で、また一方名四国道がそこのルートを通るということでございましたので、締め切り堤名四国道を兼用させて計画がされまして、河川管理者であります愛知県知事堤防敷を買収する、それから、その上に乗ります堤防道路になります部分は、中部地建愛知工事事務所が実際の仕事はやりますが、事業といたしましては、伊勢湾高潮対策工事であるとか中小河川改修工事それからいまの名四国道新築工事というような工事合併施行として地建において施行したものでございます。したがいまして、敷地につきましては河川管理者である愛知県知事がこれを買収し、登記しようということで名古屋法務局登記の嘱託をいたしたわけでございます。で、先ほどお話しのように、意見の相違から、これが登記されないまままた他に転売されるというようなことも起きまして、問題が非常に錯綜しておるわけでございます。  で、昨年の七月十一日に法務委員会におきまして先生の御指摘によりまして、以後、先ほど民事局の方からもお話がございましたように、愛知土木部中部地方建設局名古屋法務局、数回にわたり、厳密に言いますと、六回にわたりましていろいろ協議をいたしたわけでございますが、先ほど来のようなことで、法的な合意がまだなされておらないというわけでございます。  それで、いまお話のございましたように、日光川の下流部につきましては、堤防あるいは護岸の補強であるとか川の底のしゅんせつ工事を行う必要がございます。実態的な解決方法といたしまして、そういった工事を行う場合には、当然私ども、従来、河川法によります事業を行います場合に土地の取得をいたします、いわゆる買収でございますが、そういった実態的な解決をいたしたいということで、これは補助事業でございますので、愛知県からそういった要望も出ておりますので、それらを加味しながら解決したい。ただし、それはいま申し上げましたように河川区域——締め切り堤から上流部、ほとんど大部分の土地上流部にあろうかと思いますが、それにつきましては、そういったことで実態的な解決が図られるのじゃないかというふうに考えております。  なお、その法理論的な調整につきましては、またやらなければいかぬというふうに考えております。
  23. 横山利秋

    横山委員 地元の県と法務局中部地建が何回も議論をしております。実は私もそれを促進をしておるわけであります。しかしながら、どんなに地元が議論をいたしましても、建設省法務省との間に基本的な問題解決の方針が樹立いたしませんと、地方局長が頭をしぼったところで話がつくはずがないのであります。地方で話し合え、各省間で地方の出先機関で話し合えとどんなに言ったって、理論的な問題と問題解決の基本的方向というものを中央で指示しなければ地方局長の権限外の問題なんでありますからこれはだめなんであります。だから、もう六回もやったのなら、もういいかげんでやめて、これ以上は建設省法務省との間にコンセンサスを何らかの形でしてもらわなければだめだ、こう私は言っておるわけであります。地方へ問題をかずけないで、法務省建設省とが基本的に本問題の解決のために努力をしてもらわなければいかぬと言っているのです。その点どうですか。大臣、問題はおわかりになっていますか。——私の言うことはわかるでしょう。それなら、同感だと言ってもらえば次へ進みます。私はむずかしいこと、こうしろと言っているのじゃないのですから、基本的な方向を決めなさいと言っているのですから、同感だと言ってもらえれば——民事局長が言ったってしようがないじゃないか。
  24. 貞家克己

    貞家政府委員 ただいまの法律上の問題点でございますが、私は一もちろんそれもございます。しかしながら、本件につきまして田原湾その他と違うと申しますのは、土地の特定ということがなされていない。したがいましてどうも水没地ではないかということを申し上げておりますけれども、本来はこれは地図がございません。したがって、それぞれの当事者がこの範囲の土地だと漠然と主張されるわけでございますけれども、その土地の範囲が確定いたしませんことには、その部分を水面と見るべきか陸地と見るべきか、土地性があるかないかという判断はできないわけでございますので、私どもは、どうも現在争われております土地は明治年間にはりっぱな陸地であったらしい、しかし現在では水没していると見られる、範囲がわかりませんけれどもおおむねそういう区域が多そうだ。それから一部新たに名四国道関係で陸地が造成された、新しく土地が生成されたわけでございますけれども、それが、昔、明治年間からの土地との一体性、同一性があるのかないのかということがまさに霧に包まれたような状態でございます。したがいまして、少なくとも現在の土地の形状、位置、それが明確にされまして、それと、欲を言えば昔の土地との関連性というものがわかればそれにこしたことはないわけでございますけれども、少なくとも現在の測量技術によりまして土地の境界、範囲というものがはっきりいたしますならば、それに応じまして私どもは、理論上の問題というよりも現実的に処理をいたすということは十分考えられるわけでございます。そういった土地の特定に関しましては、これは中央で議論を重ねましてもなかなかうまくいかないわけでございます。私どもの関心は、いずれかと申しますと土地が特定されるということを期待されるわけでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 言わずもがなのことを言うと時間がかかる。そんなことを言うなら、十四年前、民事局長不動産登記法法務省が独自で八項目調査をしますと言っておいて、十四年もかかっているばかがどこにある。あなた方の責任じゃないか。いま大きなことを言うけれども昭和四十一年に民事局長が、それらを含めて、私どもで八項目不動産登記法でやりますと言っておいて、いまさら何だ。  同時に、あなたの方は、水没地でも昭和三十六年十一月二十八日、その隣地を分筆登記を受理しているじゃないか。あの当時は水没地でも分筆登記を受理する。いまはわからぬでいかぬ。なぜそんなたわけたことが言える。その際の、三十六年十一月二十八日当時の地積測量図、地形図を提出してもらいたい。  しかも、あなたの言うようなことにかかわらず、建設省愛知県に頼んで土地を買ったじゃないか。法務省の言うようなわからぬ土地だ、わからぬ土地だと言っているところを愛知県は国費を出して土地を買って、そしてそこへ名四国道をつくったじゃないか。つくっておいて、おれの土地だから、国の土地になったのだから登記をしてくれと向こうへ頼んだら、向こうがそんなわからぬものはいやだと言って登記をせぬ。登記をせぬなら愛知県知事建設省審査請求を出すべきじゃないか。それも出さずにおいて、知らぬ顔して十数年たっておる。どっちもどっちだと私は言うのであります。民事局長の開き直ったような話はまことにけしからぬよ。私はそういうことを承知の上でそんなことを言っておっても、河川局長の言うように、もういいかげんに河川の改修、どぶさらいもしなければならぬ、拡幅もしなければならぬ、台風が来たらどうするのだということがあるから、この際、基本的に建設省法務省で、理屈のけんかをやっておったらいつになるかわからないですよ、だから、話し合いをして基本方針を決めたらどうだ、そして、現地の三者へ、県と中部地建それから法務局に、こういう方針で具体的な案をつくれ、こう言いなさいと言っているのです。こうしろと言っているのじゃない。少なくとも中央で方針を決めるように協議をしなさいと言っているのです。どうですか、大臣。おわかりになりましたか。——わからぬ。わかっておるはずだが。  それから、もう時間がないから事のついでに言いますが、申請土地は、四十七年三月十四日河川保全地域であったのが、五十年三月二十四日県の告示で河川法六条の河川地域に指定されたのです。どうしてそんなふうに急に変わったのかわからぬ。私有地を河川にすることができるのだろうか。四十三年知事から買収地の分筆登記嘱託書に添付をされた地形図も提出をしてもらいたい。これはきょうここでとやかくを言わないけれども、そういうことを、法務省にも提出しろ、あなたの方の建設省にも提出しろと言っているのだけれども、基本的な問題は、建設省も二面性がある、法務省も二面性があるのです。これはいいというものとやらなければならぬというものと両方ある。だから、この際、基本的な方向を中央で一遍協議をして方向を出してもらいたい、こう言っているのですから、大臣、どうですか。もう次に移りましょうよ。
  26. 小坂忠

    小坂政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたように、実体上堤防、国道ができておりますので、私どもとしてもこれが国有地でなければ困るわけでございまして、法務省と今後詰めるべく最大限の努力をいたしたいと思います。
  27. 横山利秋

    横山委員 何で、大臣、あなたからそれを言ってくれないの。大臣、いまの言葉でいいのですか。ちょっと議事録に残してください。
  28. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御心配いただきまして恐縮でございます。いま局長からお答えしたとおりであります。私も経過措置を詳しく聞いておりませんでしたけれども、いまのやりとりを見て大変残念に思います。すでに公共物が建ち、道路として使われておる土地、ひとつ一日も早く解決いたしたい、努力することをお約束申し上げます。
  29. 横山利秋

    横山委員 次に、オリンピックの問題であります。  きょう関係閣僚会議が行われたそうでございまして、大臣も恐らく御出席だと思いますし、建設省関係に多大の仕事になると思いますから、お伺いをいたします。  まず、文部省おいでになっておると思うのですが、IOCからJOCに立候補締め切りが十一月末という文書が届いたそうです。私どもは三月末だと思っておったら十一月末というのですが、それは確定的な話でありますか。イエス、ノーだけ聞かしてください。
  30. 戸村敏雄

    ○戸村説明員 確かでございまして、この十月六日付でIOCの事務局から日本オリンピック委員会に文書が参りまして、三月末を十一月末日にしたいということでございます。
  31. 横山利秋

    横山委員 大臣、きょうは御苦労さまでした。きょうの関係閣僚会議でどんなことになりましたか。
  32. 石川周

    ○石川政府委員 閣僚会議全般のことでございますので私から御説明させていただきたいと思います。  けさ名古屋オリンピック大会招致に関する関係閣僚会議が開催されまして、その状況につきましては、その後に行われました記者会見におきまして宮澤官房長官から概要が説明されておりますが、それによりますと、まず昨日開かれました幹事会で決定されました報告が翁官房副長官から御披露されまして、ぞの報告を受け、それから関係大臣から活発な御議論がございまして、最後に総理が締めくくられました。その締めくくりの概要は、政府といたしましてはできるだけ簡素なものとすることを前提にオリンピック大会招致に前向きに対処することとしたい、ただ、この場合、財政再建に支障を生じないことに十分留意する、それから国ばかりに負担ということではなくて地元にも適切な負担をしていただくというようなことを前提として前向きに対処することにしたい、このような締めくくりをされたということでございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 きょうモンテカルロで国際競技連盟連合の会合があり、そこへ愛知県知事名古屋市長が要請に行っておるわけでありますが、きょうの関係閣僚会議の結果というものは政府からモンテカルロにお知らせを願っておられるでしょうか。
  34. 戸村敏雄

    ○戸村説明員 早速に知事さん、市長さんに対しましては愛知県のオリンピック担当者を通じまして電報を打つ手配を終わっております。  なお、清川IOC委員もモンテカルロに行っておりますので、この面はJOCを通じまして連絡をさせていただいております。
  35. 横山利秋

    横山委員 私は先般モスクワのオリンピックを見た一人でございますが、十万人規模のレーニン・スタジアムのようなそんな施設はとても日本ではやる必要はないし、東京のオリンピックの国立競技場につきましても後の維持管理が大変赤字だという話でございますから、いま、関係閣僚会議はもちろんでございますが、地元の私どもといたしましても華美にわたらないようにという気持ちで、中には一部オリンピック全面賛成とは言えないという人がおるわけでありますから、その人たちの趣旨もくんで、ひとつ簡素かつ友好的なオリンピックを開きたいと地元の者としても思っておるわけであります。  ただ、大臣に感想を伺いたいと思うのでありますが、何せ八年過ぎでございますね。ことしは非常に国の財政も窮迫しておる、そして新規のことはみんなだめというようなときに、長期にわたって負担をかけるからというわけで、オリンピックについて圧縮圧縮という話があるわけでありますが、八年後といっても工事にかかるのは数年後でございます。日本の経済がどうなっておるか、物価がどうなっておるかというようなことはいま直ちに積算ができないのではないか、こういうふうに思いますと、文部省やあるいは内閣でいたしております具体的な計画の審査といいますか、特に建設省が一番多いと思うのでありますが、そういう審査については、気持ちはよくわかっておるのだけれども、余り詰めた話は架空の議論に終わりやしないか、だから、基本方針だけ決めても、内容的にはもう少しその積算とかなんとかという点については慎重にした方がいいのではないか、現実的に合うのではないかと思いますが、大臣はどうお考えになりましょうか。
  36. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま担当課長から御報告がありましたように、きょうの閣議でそのような推移に結語され、今後文部大臣が世話役となって検討していくことになっておるわけであります。先生指摘のように、いままでのところ幹事会が数回開かれて計画等々について詰めておるわけでありますが、地元要望が非常に大きい計画でございまして、いまの財政事情ではそれをそのままとうていのみ得ない。特に財政主管である大蔵大臣は、いまのところこの計画に基づいては、オリンピック招致については賛成であるけれども、財政計画についてはいささかいかがなものであろうというようなことを申されたわけであります。私たちも、もちろんいまの国の財政事情、八年後といえどもこれからどうなるか、また四、五年たちますと債務返還時期になってまいってきておりますだけに、非常に心配するわけであります。さりとて、オリンピックは招致したいということ。したがって、今度の場合は愛知、岐阜、三重ですか、三県広域的にやるということで、既設の施設を利用するというような基本的な考え方のもとに、特に問題になっておるのは陸上競技場と屋内水泳プールと屋内体育館ですね。これが非常に大きい構想で、これは国でやるというような構想になっておるのですけれども、こうしたことももう一度詰め直してやっていくこと。当然建設省道路関係が直接的な問題でありますけれども、幸いに中京地区は一応道路整備は他地区よりは進んでおるという形にはなっておりますけれども、さてオリンピックで来られるお客さんをスムーズに運び得るかということになりますと、やはりこれも相当な計画をもって考えていかなければなりません。  したがって、前向きな検討は当然させていただくわけでありますけれども、まだまだこれから文部大臣を中心に詰めていく段階でございますので、何とかいままでと違った、いかにも日本的な、スポーツの祭典でなくて、世界大会というのでしょうか、お祭り気分でなく、何か、じみなというようなことも総理も申されておりましたので、その先にロサンゼルスのオリンピックが、私も直接調査したわけではありませんけれども、聞きますると、政府資金は一切借りないで自主的に資金を集めてやるというようなお話を聞いておりますので、それらを検討しながら進めてまいる。また、もちろん建設省といたしましては、いずれ閣議で決まらなければこれは正式決定になりませんが、決まれば、この招致についての問題について努力してまいりたい、このように考えております。
  37. 横山利秋

    横山委員 地元の者としては矛盾した気持ちがちょっとあるわけであります。それは、オリンピックのためにのみオリンピックをやるということなら、そう無理せぬでもいいではないかと。オリンピックが済んだ後も、それらによって名古屋を中心とする中京地域がより住みいい社会になるということも期待をいたしておるわけです。その期待というものが予算を膨張させるからいかぬという論理があるわけでありますが、私が承知しております地元計画八千四百十六億ですか、その中には、関連公共事業費四千六百億、期待公共事業費が二千八百億くらいあるわけですね。オリンピックがなくても、他の大都市周辺と同じように、中京地域におきましてはいわゆる期待公共事業に類するようなことは当然行われなければならぬのだ。したがって、期待公共事業費として計上することに実は誤解も生じておるのではないか。ついでにやっちまえというような印象を政府に与えたとすればこれは大変残念なことだと思うのでありますが、そういうオリンピックがなくてもやらなければならぬことと、それからオリンピックがあるからこそそれもやらなければならぬという、この違いですね、それはどう考えたらいいのでしょうか。
  38. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまお話がございました関連公共事業、期待公共事業、御指摘のような数字で地元から要望をいただいております。ただ、この場合に、この関連公共事業と申しますのは大会の開催に直接必要な事業費であると、こう地元は計算しておりますし、期待公共事業はより円滑な大会を開くために必要な公共事業だと、こういうふうな区分で計算されておりますけれども、実はこのほかに、オリンピックを開催しなくても通常やるであろう公共事業費がございまして、これが約一兆五千五百億というような数字でございます。これを合わせますと二兆三千億というような……(横山委員「ちょっと、あなたの計算はおかしいよ」と呼ぶ)それで私どもは、この地元の構想によります全体事業費につきまして、オリンピック大会の開催時期までにその全部の整備費が必要かどうかということをただいま検討いたしております。しかし、御指摘のように、いずれもこれは、長い将来を考える場合には、長期的な地域の社会資本整備の観点からは必要な事業費だとは考えております。
  39. 横山利秋

    横山委員 時間が参りましたから終わりますが、大臣、とにかくオリンピックをやるというふうに政府の方向が決まりましたことは大変結構でございまして、私ども地元の者としては、超党派で、三県の国会議員が、すべての政党を含んで賛成をしておるわけでございます。もちろん政府の意向を体して、華美にわたらぬようにと、また、地元負担が余りえらくても困るという意見があるわけでございますから、その点は私ども地元としても最善を尽くしたいと思うけれども、いずれにしても実施主体は文部大臣にお骨折り願うのですけれども工事の方は建設省に負うところ非常に多いのでありますから、私が申しました、やや矛盾するような点がございますけれども、最善をひとつ要望したいと思いますが、よろしゅうございますか。——じゃ、終わります。
  40. 稲村利幸

    稲村委員長 小野信一君。
  41. 小野信一

    ○小野委員 先輩、同僚議員から何度も大臣なり関係局長にお尋ねになっている問題でありますけれども、最初にお伺いしますのは、現在の地価に対する国土庁の認識と将来の地価の見通しについて、まず大臣の所見をお伺いしておきます。
  42. 原健三郎

    ○原国務大臣 小野先生お答え申し上げます。  最近の地価の動向は、これは見る人によっていろいろ見解もございますが、われわれの見るところでは、上昇率はやや鈍化の傾向にある。しかしながら、大都市圏の住宅地については上昇が目立っておって警戒も必要であると思っております。  地価上昇の原因といたしましては、これは、効用増によるものもあるが、根強い住宅地の需要に対して供給が不足しておる、需要が多くて供給が足らない、こういうのが根本の原因であります。しかし、昭和四十七年や四十八年には、いわゆるあの投機的なもので二割も三割も地価が上昇いたしましたが、現在はそういうのに比較するとやや安定しつつある、値上がりが鈍化しておる、こういう見方でございます。  このような状況を踏まえた今後の土地政策でありますが、基本的には過密と過疎が原因でありますが、過疎を解消して国土の均衡ある利用を図りたい。それから当面の対策といたしましては、これはどうしても、引き続き投機的土地取引を抑制していきたい。これが非常に急激に騰貴を来すゆえんでありますから、これを抑制したい。それから、宅地供給の促進を図ることが必要であります。そのために、国土利用計画法の適確な運用あるいは大都市地域の市街化区域内の農地の宅地化の促進、宅地供給促進のための財政上、金融上の措置、都市再開発土地税制の利用等々、諸般の政策をやりたい。このたび衆議院に提出しております農住組合法案もこういう一環の法律として御審議を願うことになっておるところでございます。
  43. 小野信一

    ○小野委員 国土庁が四月一日で公示しました五十五年の地価公示によってみましても、一八%程度ということは言われておりますけれども、民間調査機間によりますと、二〇ないし三〇%の上昇という数字が出ております。これは後に改めて詳しくお聞きしますけれども、現在の地価は日本列島改造論が出されたころの狂乱物価、土地の高騰と同じような急激な高騰を見ておると考えております。民間調査機関も国土庁も住宅地不足が続く限り、地価は落ちつくことはあり得ないだろう、こう言われておりますし、そう見ておるようであります。現在の宅地への需要が日本列島の地価水準を高めておることは間違いないのでありますけれども、幾らかでも上昇率が鈍るにしても、地価はますますこれから上がり続けるという判断に立っておられるのかどうか、局長お答えを求めます。
  44. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最初に、過去におきますやや長期の地価の事情を御説明さしていただきたいと思います。  地価公示を始めましたのは四十五年からでございまして、四十五年以後のものについては地価公示があるわけでございますが、それ以前のものについては地価公示ではなくて、全国市街地価格指数というものがございます。これは不動産研究所が全国百四十都市におきまして毎年時系列的にやったものでございます。それによりますと、伸び率の一番高かったのはいわゆる岩戸景気と言われたころの昭和三十六年ごろ、平均で四二・五%ふえております。その後の大きな山が先ほどお話に出ました四十七年、四十八年のときでございました。そのときの地価の上昇率を振り返ってみますと、平均でも四十七年には三〇・九%、それから四十九年には三二・四%ということでございました。  それで、これは平均でございまして、一番上昇したものを比べてみますと、四十七年のときにも、四十八年のときにも二・三倍、一年間で二・三倍になったわけでございます。今回の地価公示、それからこの間行いましたいわゆる都道府県地価調査等によりますと、これは効用増ということが背景でございますけれども、やはり三〇%程度上がったのがトップでございました。一応四十七、八年の当時と比べますと、相当のさま変わりになっておりますけれども、私ども、やはり消費者物価指数を超える値上がりということでございまして、大変懸念いたしておるところでございます。  今後の推移でございますけれども、最近の経済情勢を見ますと、輸出や設備投資が基調としては増加しておりますけれども、個人消費の鈍化などによりまして経済の拡大テンポは引き続き緩やかでございます。卸売物価はおおむね安定しておるというのが最近の経済事情でございます。金融情勢におきましても、公定歩合の引き下げがございましたけれども、不動産業の貸し出し残高と申しますのは伸び率の鈍化が続いております。民間住宅ローンも大幅にダウンしております。住宅建設の動向につきましても、民間資金によります住宅着工が引き続き低調でございます。過去において一回ちょっと一カ月だけ上がりましたけれども、連続で三十数カ月のダウンでございます。さらに、今後十月、十一月に金融公庫の募集がありますので、その影響が出てくるかと思いますけれども、いまのところ住宅がそんなにたくさん増加するという気配にはございません。設備投資の動向につきましても、引き続きわずかずつの増加傾向にあるということでございますけれども、やはり土地需要に当面急激には響かないと見ております。  長期にわたる地価の見通しということになりますと、大変むずかしい問題でございますが、毎月三カ月ごとぐらいの地価の見通しにつきまして土地鑑定委員会に推移の御報告をしております。その中で私ども最近の数カ月間の動きを見ますと、昨年の第二・四半期をトップにいたしまして三カ月後の伸び率がずっと下がってまいっておりますが、そういうふうなやや鈍化しながら若干は上がっていくのじゃないかというのが最近の見方でございます。
  45. 小野信一

    ○小野委員 地価公示法第一条によりますと、「標準地を選定し、その正常な価格」——土地について、自由な取引が行われると想定したときに成立すると認められる価格「を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、」と書いてあります。しかし、通常の不動産取引では公示価格に対して三〇ないし四〇%上乗せする。極端な場合には二倍以上の価格で取引されるのが通例であります。これは不動産取引をしておる人にとっては常識丙あります。  そこで大臣に、公示価格は現在の法の精神、所期の目的を達しておるとお考えになりますかどうか、お伺いします。
  46. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いま先生のおっしゃいましたとおり地価公示は目的を掲げております。地価公示法制定当時、国会でいろいろ論議がございました。そのときの論議の内容は、民間の取引価格というものは売り手、買い手の間で勝手に成立する価格じゃないか、したがいまして実際の正しい価格というものをつくるべきだ、そのために地価公示を考えろということでございました。  それで、現在地価公示をいたします際の考え方といたしましては、当該土地が売り手にも買い手にも偏らない、いわゆる売り急ぎも買い進みもない、正常価格を判定して示すということになっております。その方法といたしましては、取引事例法というのがございますが、単に取引の実態を追随するというのではなくて、収益還元法でございますとか造成原価法でございますとか、そういう鑑定の手続を経まして、売り手にも買い手にも偏らない、ちょうどつり合いがとれた値段というものを公示しておるわけでございます。  それから、民間の方で地価公示よりも高いというお話でございますが、確かに民間の一般の取引の中にはそういう買い進みもしくは売り進みという状況が少しずつはあるわけでございます。そういうものは必ず地価公示よりは高い取引になっておるというのが実態でございます。  たとえば一例を申し上げますと、ミニ開発のようなものにつきましてはそうでございますし、それからマンションの用地が非常に少ない都心におきましても、一つ売りに出ますとわっと買い手が殺到して買い進みが行われる、そういうものが確かに地価公示の規準をした価格と比べましても高いということがあることは実態でございます。しかし、さりとて地価公示が意味がないのかということになりますとそうではございませんで、土地収用の場合の裁決のときの規準、それから国土利用計画法によります届け出制度の価格認定の規準、その他いろいろな規準として使われておるわけでございます。十分効果を発揮しておるものと私ども考えております。  ただ、大変長い答弁になって恐縮でございますが、ここで一言だけつけ加えさせていただきたいと思いますけれども、地価公示と申しますのはやはりこの地点のそういう正常価格をやるわけでございますけれども、その使い方でございますが、実際には地価公示法の十一条というのがございまして、規準をして値段を決めると書いてございます。やはりどちらかといいますと、その地点と比べまして、品位、品質、品等を比べて高さを、水準を保つということでございます。したがいまして、たとえば地価公示が十五万円というのがありまして、それと比べてみたら五十万円だったという場合はその五十万円が地価公示の規準価格でございます。十万円の場合は十万円が規準価格でございます。したがいまして、公示価格がここにありまして、実際の取引は規準をしたら五十万だったという場合も、先生おっしゃいますように高い中に入っておるとしますと、それは先ほど申し上げました売り急ぎ、買い進みとは違うというふうにつけ加えさせていただきたいと思います。
  47. 小野信一

    ○小野委員 法というものは、この法でもそうですけれども、価格に対して指標を与えるという書き方をしておる以上、最低の規準、最低の価格と考えていいものなのかどうかお伺いします。
  48. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示の使われ方の中に、各法律によりまして、先ほど申し上げました規準をした価格を使えと法律に明瞭に書いてございます。いまの一般の指標とするというのは一条の二というのに入っておるわけでございますが、これは実は訓示規定でございまして、よくそれを見習うようにしなさいという訓示規定でございます。しかしながら、私ども、地価公示の価格につきましては、先ほど申しましたような意味で物差しの規準ということでございまして、いわゆる基と書く基準、マル公では絶対ないと思うのであります。したがいまして、そういうふうな最低値段かどうかということではなくて、売り手にも買い手にも正常価格であるとしか申し上げられないと思います。したがいまして、それを物差しといたしまして、それよりも高いか安いかをその取引によって決めていただくというのが地価公示の正しい使い方だと思っております。
  49. 小野信一

    ○小野委員 公示価格は少なくとも需要者、供給者の、あるいは社会条件の中で適当だと思われるそういう価格で公示されなければならないと思います。  そこでお聞きしますけれども、国なり地方団体が公共事業を行う場合に、土地買収の場合に、この公示価格によって買収いたしておりますか、売買をいたしておりますか。
  50. 山岡一男

    ○山岡政府委員 公示価格と規準をした価格と先ほど申し上げました。これは公共事業の現場ではのり準価格と言っておりますが、そののり準価格で購入しておると思います。
  51. 小野信一

    ○小野委員 わかりました。  そこで、ことしの公示価格への批判の一つに、当局の方は十分御承知のことと思いますけれども、変更と新規追加地点が非常に多いのではないか、こういう批判があります。この変更と新規追加地点というのは、特に調べてみましても、非常に地価の高いところが取り上げられておる、こういうことになります。この変更と新規追加地点が多いということは、地価公示による変動率の計算の際に、前の年はその土地は規準されませんから、その地点は当然オミットされます。したがって、地価の価格水準を上げ、実勢価格に近づけながら、しかも地価上昇率を低く抑えるという、私たちの言葉で言えば魔術が可能な操作のために、このような新規追加地点が今回の場合に多く使われたのではないか、こういう心配あるいは批判を持つわけです。これでは実際、地価公示の目的に沿った指標とはなり得ないのではないか、こういう考え方を持つのですけれども、地価公示を調査する段階からの国土庁の考え方をお聞きいたします。
  52. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示は、先生御案内のとおり、国土庁の付属機関でございます土地鑑定委員会、これは七人の先生で構成されておりまして、国会承認の人事でございます。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕 国土庁長官は、国会の承認を得て任命するということになっておりますが、その土地鑑定委員会の責任において行っておるものでございます。さらに、土地鑑定委員会は、不動産の鑑定評価に当たりまして、不動産鑑定士に委託をいたします。地価公示の場合ですと、大体二人の鑑定士に依頼をするということになっております。鑑定士は、これも先生御案内のとおり、相当むずかしい国家試験を受けられまして、責任を持ちまして罰則を背後に仕事をなさっておるということでございまして、私ども、地価公示の点につきまして行政が介入する余地はないものというふうに考えております。  それから、地価公示の標準地につきましても、これは土地鑑定委員会が決めるというふうに法律に決められております。したがいまして、地価公示の標準地につきましては、中庸性、確定性、安定性、代表性というような四原則に基づいて土地鑑定委員会に御相談をして決めておるというたてまえでございます。従来も標準地を変更したことはずっとございます。その標準地変更の場合には、たとえば標準地が分割をされたり、隣接地と合併されるなど、適当でなくなったものというのがございます。それから、その標準地の属する地域が、従来の住宅地から商業地に変わったというような場合もございます。それから、そういうものは変わりませんけれども、たとえば都道府県地価調査が始まって、標準地と調査地の間でいい距離にしたいために配置を変えたというものもあります。そういうようなものにつきまして、過去におきましては大体六%ぐらい毎年変更があったというのが実態でございます。  ただ、先生おっしゃいますように、五十四年には一四%ぐらいの変更をいたしております。これはどういうことかと申しますと、五十四年になりまして、特に住宅地におきます値上がりの監視は厳重にやらなければならないということから、九百地点の増加をいただきました。そういたしますと、従来たとえば大都市で一平方キロメートルに一地点ございましたのを二地点にいたしました。さらにその周辺地域は一平方キロメートルにつき一・三地点というふうに変更いたしました。そうなりますと、やはり使いやすくなるというためには、若干の押せ押せが出てくる、そのための変更も加えまして、そういうふうな結果になったわけでございます。昭和五十五年にも五百五十地点ふえております。したがいまして、全体を見直しながら標準地の選定もやらなければならないというふうに考えておるところでございます。  しかし、先生がおっしゃいましたような意図は私ども全くないわけでございまして、たとえば選定がえを新しくしたというような場合の中にも、確かに過去において低いものが多かった、したがって高いものの方に移った例が多いということでございますけれども、やはり押せ押せの関係で低い方に変わったというものも当然のことながらあるわけでございます。  なお、新しく変わりました標準地の値上がり率を当年度の計算に入れない、これは全くそのとおりでございまして、入れられないということなんですが、さかのぼりまして、前年度、一年前の分の鑑定評価ができましたならば本当はできるわけでございます。それを金をかけてやるのはもったいないということでやっていないわけでございますけれども、理屈の上で申しますと、同じ一年前のものを鑑定してみて、その分を基礎とした値上がりは、他のものとそう大差はないはずだというふうに私ども思っておる次第でございます。
  53. 小野信一

    ○小野委員 国土庁なり不動産鑑定士の善意は信ずるといたしましても、実際に実勢価格よりも公示価格の方が低い変化率、上昇率に抑えられておるということは事実としてお認めになりますか。
  54. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、実勢価格というのは店頭価格のことだろうと思います。たとえば、私いま世田谷に住んでおりますけれども、同じ土地につきまして、両方の店に行きますと違った値段で出ておるというのがございます。そういうのが私やはり店頭価格だろうと思います。それはいわゆる売り値でございまして、そこから話が始まって本当に取引が決まる。決まった取引の値段が標準価格と比べて高いという例はございますけれども先ほど申し上げましたとおり、標準価格と比べて駅に近いから高い、もしくは道に接しているから高い、向こうはガスがあるけれどもこっちはないから安い、それぐらいのいろいろな、あえて言えば二十ぐらいあるわけでございますが、そういうものを比較した上で、いわゆる比準と申しておりますけれども、比べた値段と比べていただければ、余り大差はないというふうに私ども思っております。  ただ、先ほど申し上げましたようなミニ開発、それから少ない土地に対する買い進み等につきまして、それをオーバーするものがあることは事実であるというふうに申し上げておるわけでございます。
  55. 小野信一

    ○小野委員 いろいろな弁解をいただいたとしても、新規地点が一四%も追加されるということになりますと、実勢価格よりも公示価格の方がかなり低く表示されるということは間違いない事実だろうと思います。  そこでお聞きしますけれども、ことしの地価表示の変動率は全国で一〇%、東京都で一七・六%、東京都の住宅地区では一九・九%の上昇でありました。そこで、東京の一四%に相当する変更あるいは新規地点だけの変動率をある種の計算で算出して、これを公示価格に加算するという方法をとってみますと、これはある民間会社の研究所の数字でありますけれども、東京都の上昇率は二七%強となります。したがって、われわれ国民の土地の上昇率の実感にかなり近いものになると言われております。  そこで、国土庁は今後地価の公示価格を、国民の実感に近くするような、しかもそれは正確な調査で行う努力をなさるおつもりがありますか、お聞きいたします。
  56. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私ども先ほど申し上げましたとおり、土地鑑定委員会の庶務の仕事をいたしておりますけれども、誠心誠意仕事をいたしておるつもりでございます。今後におきましても、そういう正確な表示につきましては本当に努めてまいりたいと心から思っております。  ただ、先生先ほどおっしゃいました数字は、エコノミストの数字だと思います。先ほど申し上げましたように、変更以前のものを母体に置きまして、変更後のものを入れればそれは相当高くなるということは当然のことでございます。私は、そういう計算をするならば、いまの新しく標準がえしたところの一年前の地価公示価格を推定いたしまして、そこから逆算した上昇率を出すべきではないのかというふうに思うわけでございます。したがいまして、そういうふうな計算も、一年前の地価公示をもう一回鑑定してもらうということは金もかかることでございまして、やっておりませんけれども、そういう方法があればそれに対する弁明はできるかと思います。そういう意味で、その数字につきましては私ども直ちに了承しがたいと思っております。
  57. 小野信一

    ○小野委員 公示価格が国民の感情とかなりかけ離れておるという一つの理由に、私はミニ開発があるのじゃないか、こう考えます。要するに、現在、ミニ開発の場合は特に更地で売りに出すという例は皆無に近いようです。したがって、土地と建物がセットになって売買される。したがって、土地が坪幾らなのか、平米幾らなのか、建物が、上物が幾らなのか、買う方にとっては全然わからないという実態で取引されております。したがって、公示価格が出てまいりますと、上物が幾らだ、それを差し引いた自分の購入した価格と比較しまして土地は大体この程度になるのじゃないのか、こう買主が胸算用をいたしまして、まことに公示価格と違うということで、公示価格に対する批判が生まれております。したがって、特にミニ開発の場合に、建物と土地をセットに売り出す場合に、買い主が理解できるような、納得できるような、あるいは標準価格というようなものを提示して国民に納得できるような、わかりやすいような方法をとるべきじゃないのか、こういう考え方があるのですけれども、いかがなものでしょうか。
  58. 宮繁護

    宮繁政府委員 不動産業者が土地と住宅を販売する場合に、土地の価格それから建物の価格をはっきり明示するようにし、たとえばいまお示しのような標準価格といったものを示す、こういうふうに規制することにつきましては、法律で規制することはむずかしいと思いますけれども、国土利用計画法によりますチェック制度も土地についてはございますし、それからそのものの土地、建物の価格を消費者に的確に重要事項説明としてやらせることは可能だと思いますので、そういう点につきましても一層指導してまいりたいと思っております。
  59. 小野信一

    ○小野委員 ミニ開発土地の高騰によって急激にふえておる現在、買い主が一生かかって持ち家を持つわけですから、それに対する納得できるような指導を強く要望しておきます。  東急不動産が昭和三十七から毎年、首都圏の土地の実際取引事例九千件をもとにして、地価取引事例図を発表いたしております。これは実際の取引を基本としておるだけに、公示価格よりも実際に非常に近いということで評判がいいようであります。この資料を基準にして土地百六十平米、建物百平米の住宅を建てる場合に、建設省の持っておる建築資材の単価で計算いたしますと、二千百十四万円かかります。住宅ローンの返済額は年収の二五%という条件を当てはめてみますと、この住宅を買える人は、年収六百六十一万円なければならないという計算になります。六百六十一万円以上の所得のあるサラリーマン、収入のある人々は、わが国で全世帯のわずか八・八%にしかならないわけです。したがって、現在の地価並びに上物の単価は、全国民の九〇%以上が買えないという実例になります。  この問題は、先ほど地価はその上昇率が非常に鈍るだろう、こう言って楽観しておりますけれども、幾ら上昇率が鈍って現在の価格に地価が据え置かれたとしても、住宅を求める、土地を求める国民の大部分が買えないという実態であります。したがって、これに対する対策を基本的に国が立てなければならない抜本的な改革が必要の時期に入っておりますけれども、私のこの数字は、果たして実際建設省なり国土庁が見て適正な数字であるのか、実情に合った数字であるのかをお聞きしますと同時に、これに対する抜本的な解決策に対する大臣の所見をお伺いします。
  60. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最近におきます住宅用地購入者の方々の分析を国土庁でしたものがございます。これは「土地保有移動調査」ということで、実は五十二年の取引の内容でございますので、ちょっと古いかもわかりませんが、それによりますと、職業別に見ますと、全体の六四・九%、これは会社員、公務員及び団体職員の方が買っておられます。それから所得階層別で見ますと、二百万円未満の方が一七・一%、二百万円から三百万円の方が二四・九%、三百万円ないし四百万円の収入の方が二六・三%。これまでの三つの階層を合わせますと、六八・三%の方が買っておられます。それから購入住宅用地の年齢別にどういう方がお買いになっているかという点につきましては、三十歳代が三三・一%、四十歳代が二九・三%、合わせて六二・四%ということでございます。したがいまして、職業別にもそれから所得の別にも年齢別にも六割以上占めるというイメージは、サラリーマンで、四百万以下の所得の方で、それから三十歳代を中心として、そういう方々が最近お買いになっているというのが統計の資料でございます。  私ども、これにつきまして若干まだ分析未了でございますけれども、戦後に、いわゆるベビーブームという時代がございました。二十三年、四年、五年、毎年三百万近い赤ん坊が生まれたわけでございますが、そういう方々が第二期住宅五カ年計画の半ばごろまでの間にずいぶん結婚なさいました。その当時、私申し上げて恐縮でございますけれども、第二期の半ばごろから住宅政策は量よりも質というふうに転換をしたわけでございますけれども、そのころまでは、やはり量の充足に追われたという時代がございました。確かに、そのあたりについては二DKあたりをずいぶんつくったわけでございます。皆さん方がそういうところに一たんお入りになって、最近はそろそろ子供さんが生まれている。平均二人ぐらいという数字でございます。一・七、八人ということでございます。そういうことになりますと、家が手狭くなった、したがって持ち家を持ちたいというふうな方々が非常に多くなっておるのじゃないか。しかも、さらにそういう方々がどこに住んでおられるか、現在分析中でございますけれども、たとえば、お生まれになったところでずっとそのままベビーブームの方が結婚し、大きくなったという状況ではございませんで、東京では、その当時の分から見ますと、七割ぐらいふえております。大阪も七割ぐらいその階層がふえております。したがいまして、大都市におきましてはそういうふうな人口の集中というだけではなくて、そういう階層の方々もたくさんお集まりになっているというようなことも、いま言ったような数字にあらわれておるのではないかなというふうに分析をして見ておるところでございます。  しかし、とまれ、先生おっしゃいますように土地なり住宅の価格が大変上がりましてなかなか買えないというふうなことは、だんだん実態になってきております。私どもは、そういう方々も安心して買えるようになるというためには、やはり土地の問題につきまして一番の力を注がなければならぬと思っておりますけれども先ほど来繰り返し申し上げておりますように、まず投機を抑えるということが一番大事だと思っております。これはいままでも、過去の例におきますように、そういうふうなたとえば過剰流動性のようなものが動きますとすぐに土地の投機に回る、そういたしますともうぱっと上がってしまう、二・三倍にもなるということでございまして、そういうものは必死で抑えている、また現に抑えなきゃならぬと思っております。  残る一つは、やはりどうしても供給をふやすということしかない。その供給をふやすにつきましては、本当に繰り返し申し上げて失礼でございますけれども、再開発促進と未利用地の活用と農地の活用しか手はないのじゃないかというふうな気がいたします。  したがいまして、一般の物資と違いまして、工場生産でさっとつくるというわけになかなかいかぬ点がございます。いわゆる懐妊期間がございますので、土地につきましては右から左ということにいかないというもどかしさがございますけれども、とにかく供給を促進するということに力を尽くしたいと思っている次第でございます。
  61. 小野信一

    ○小野委員 住宅問題が出ましたので、住宅に関連して、今回第三期住宅建設五カ年計画が本年度で終わって、明年から第四期建設計画がスタートいたします。そこで、住宅宅地審議会に新しい計画の内容を諮問してその答申も得られておるようであります。  そこで私がお聞きしますのは、第三期住宅建設五カ年計画の評価あるいは反省を私どもはなさなければならない、点検しなければならないと考えますけれども、その計画と実施状況の報告を求めると同時に、今後の五カ年計画に対する建設省の所見をお伺いします。
  62. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  第三期の住宅建設五カ年計画の進捗状況につきましては、公庫融資住宅につきまして大幅な伸びがありましたので、公営住宅とか公団住宅につきまして若干停滞が見られますが、トータルといたしましてはこの五カ年計画期間中に公的資金による住宅につきましては、達成といいますか、戸数といたしまして一〇七・七%というふうになろうかと思われます。  こういったようなことを一つの前提とし、また今後の世帯増であるとか、あるいはまた建てかえ需要であるとか、それからまた戦後のベビーブーム世代、いわゆるそういう世代の方々の持ち家需要、あるいはまた急激に中高年齢化していく状況、そういったことを前提にしまして、また地域別には、大都市圏におきまして特にこの居住水準の達成が借家関係の方々に問題があるといったような点を踏まえまして、第四期の住宅建設五カ年計画につきましては、大都市地域につきましては、特に借家関係の居住水準の改善を重点に置きまして公共の賃貸住宅を建設していく、それからまたいまの持ち家需要に対応いたしまして的確な援助をする、それからまた今後大都市地域におきまして職住近接というような立場から、再開発関係事業と組み合わせながら市街地住宅を建設していく、そういったようなこと等を重点に置きながら新規の五カ年計画の案を建設省といたしまして用意しまして、現在関係各省と鋭意検討中でございます。
  63. 小野信一

    ○小野委員 五カ年計画の中で計画を上回った住宅金融公庫のみを発表になりましたけれども計画戸数八百六十万戸に対して最終年度、ことしの見込みは七百九十万一尺これは総体として計画を下回る、こう思います。個別に見ましても、公営住宅は四十九万五千戸に対して三十七万六千戸、七六・一%、公団住宅は三十一万戸に対して十七万三千戸で五五・八%、住宅金融公庫のみは進捗率一三二%、これはかなり大きな役割りを果たしました。ただ、民間自力はやはり計画を下回っておる、こうであります。  また、五十三年度に住宅需要実態調査、住宅局が調べた住宅困窮世帯は、四十八年の千三万世帯から千二百五十六万世帯と、約四〇%に増加しております。家が狭いと訴えておる者は千九百七万世帯、約二千万世帯、これは五〇%近くふえております。持ち家の約三〇%が困窮世帯ということがあなたたちの結果から理解されます。  もう一つは、住宅ローンの返済に絡んで、このごろ事故が多発しており、欠陥住宅、住宅販売の際のトラブルが目についてまいりました。私はこういう資料から判断しますと、第三期建設計画は成功したという評価が与えられないのではないか、こういう感じを持ちますけれども局長はどのような評価を与えておるのか、お聞きいたします。
  64. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  いまお話がありましたような資料に基づきまして私たちもいろいろと検討いたしておりますが、昭和六十年度を目標といたしまして、最低居住水準あるいはまた平均居住水準といったものを考えてみました場合に、四十八年の住宅統計調査とそれから五十三年の住宅統計調査とを比較いたしますと、やはり居住水準の内容については相当の改善が見られているものと考えております。しかしながら、いま御指摘がありましたように、住宅需要実態調査によりますと、現在住宅に困っているという世帯の数は四十八年の調査時点よりも数%ふえております。ただ、ふえておりますが、その内容を見ますと、絶対的な困窮度というよりは相対的な困窮度というような面においてふえているように思われます。また、その困っていらっしゃる内容につきましても、従来のように、ただ住宅が狭いあるいはないといったことだけでなくて、日照、通風の面であるとか環境の面であるとか、そういった意味で需要とニーズも多様化し高度化しているというふうに考えられます。したがいまして、国民のニーズが非常に高まっておる。それから、住宅条件は改善をされているけれども、その高まっているニーズとの間において乖離がまだかなりあるのではないか、私どもはそういったような実態に着目して、今後さらに施策を進めたいというふうに考えておるところでございます。
  65. 小野信一

    ○小野委員 第三期計画が所期の目的を達しなかった最大の理由はどのように分析しておるのか、お聞きいたします。
  66. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅の建設の全体の量を八百六十万戸予定しておりましたが、今年度までの推計では約七百九十万戸程度になろうかというふうに思われますこと、それからまた公共住宅につきまして計画を若干下回った実績になると予想されること等、これらにつきましての原因でございますが、一つには用地の取得難の問題があろうかと思います。これは地価の問題とも関連があろうかと思います。それから二つ目には、関連の公共公益施設の整備について十分整合性を保ってやっていくことがなかなか困難であった。それからまた、住宅団地を建設いたします際の周辺地域住民の方々との調整、そういったことも問題であろうかと思われます。それからまた、今後は都市内に職住近接の立場からの市街地住宅というものの建設が必要かと思いますが、これにはまた権利関係等の錯綜がございまして、その調整に相当の時間を要するといったようなことを一応原因としては考えておるところでございます。
  67. 小野信一

    ○小野委員 住宅局の住宅困窮世帯調査、これらによりますと、第三期五カ年計画の失敗した原因は、私は何といっても持ち家制度に傾斜し過ぎたのではないか、こう一つは考えます。したがって、良質そして安い公共賃貸住宅の供給を怠ったという点でやはり批判されなければならないのじゃないか、こう思います。第二は何といっても地価の高騰、第三は産業、人口の集中によって需要と供給がある特定地域、特に三大都市圏でバランスが崩れてしまった、こういう三つのことがあるのじゃないか、こう考えます。     〔村岡委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、国土庁なり建設省答弁は、いつ聞いても地価の高騰は供給不足あるいは需給のアンバランスによってもたらされたものだ、こういう言い方をいたします。私はそれ自体を否定するつもりはありませんけれども土地保有が貯金や株式投資よりもずっと有利な資産運用である、こういう考え方が国民の中に浸透している以上、当然土地を手放す人は少なくなって、ますます需給のバランスは崩れるだろうと思います。土地を持っていても得にならない、そういう感情が国民の中に生まれるような方向を現在政府が考えていかなければならないと思います。そのことによって土地が放出される、これがわが国土地政策の基本であろう、こう思います。  国土庁もこんなことは十分承知のことでありますけれども、現在の政策は土地所有者への優遇対策が先行いたしております。したがって、この対策を改めることが土地問題を解決する最も近道じゃないのか、有効な政策じゃないのか、こう考えますし、このことも十分承知なはずですので、今回は大臣からその感想をお聞きいたします。
  68. 原健三郎

    ○原国務大臣 課税についてもっと考慮せよという御趣旨は賛成でございます。  それで、いま一番どこにやるかということをついでにお答えしたいのですが、市街化区域の農地に対するいわゆる宅地並み課税をどうか、これがいま土地に対する課税をやるかやらぬかの非常に問題になっている点でございます。私どもは、これは昭和五十五年の政府の税制調査会の答申が出まして、それによると、昭和五十五年度、五十六年度は市街化区域の農地に対して課税しないが、昭和五十七年度からこれについて十分——非常にややこしい答申が出ていますが、端的に申しますと、A地区、B地区のみならずC地区に向かっても課税をすべく前向きに考慮せよという考えでありますが、私自身としてはぜひ昭和五十七年から前向きに検討すべきものである、御趣旨のような線に沿うてやりたいと思っております。
  69. 小野信一

    ○小野委員 十月二日の新聞によりますと、首都圏と近畿圏で、区画整理によって家が建てられるばかりに造成されておる土地がそれぞれ一万八千ヘクタール、六千ヘクタール、主として売り惜しみから眠っておることが建設省の調べによって明らかになったことを報じております。この面積はわが国のほぼ六年分の宅地需要に相当する、こう記されてもいます。私は、いま言ったような基本的な政策の前に、補助金を出し、金融政策にのっとって行われたこれらの区画整理事業の宅地造成地が莫大に遊んでおるということは、まことに重大だと思います。この実態とその後のこれらの遊休地の放出対策について、どのような検討が行われ、実施しようとしておるのか、お聞きいたします。
  70. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  建設省では御指摘調査をやっております。これは宅地供給の促進を図る意味合いから、今後の宅地供給施策の指針とするために、昭和五十六年度から六十五年度までの十カ年間を対象期間といたします宅地需給長期見通しを今年度中に策定すべく鋭意作業を行っております。この報道されました調査は、いま申し上げました宅地需給の長期見通しの策定に必要な基礎的なデータを得るために、昭和五十四年度に調査をいたしました。それは首都圏と近畿圏の土地区画整理事業区域の市街化の速度を推計するために行ったものでございます。  本調査におきましては、首都圏と近畿圏におきまして、昭和三十六年度から昭和四十九年度まで十四年間に認可されました土地区画整理事業区域を対象にいたしまして、市街化された面積がどのくらいあるかということを四十九年の時点で把握したものでございます。いま御指摘のとおり、土地区画整理事業の認可面積は、首都圏で二万九千ヘクタール、近畿圏で約一万一千ヘクタールでありまして、このうち四十九年の時点ですでに市街化されている区域が、それぞれ首都圏で一万一千ヘクタール、近畿圏で約四千七百ヘクタールということになっておりまして、残りの首都圏の一万八千ヘクタール、近畿圏の六千三百ヘクタールは、昭和四十九年度時点におきましてまだ継続して区画整理事業をやっている区域、それからいまお話がございました区画整理事業を終わっているのだけれども、建築物が建っていない区域、さらに公共施設の予定地の面積の合計でございます。それで私ども各般の宅地の供給政策を実施しておりますけれども、この中でも土地区画整理の持つ意味は非常に重要なものでございます。御承知のとおり、公園とか街路とか公益施設の用地を確保しながら、良好な市街地ができ上がっていくわけでございます。しかしながら、区画整理が終わりましても建築物が建たないということになりますと、これは直接宅地供給につながってまいりません。それで私どもはこれに対しまして区画整理ででき上がりましたこういった優良宅地を利用いたしまして、地主さんが住宅をつくり、分譲し、あるいは賃貸する場合に、金融公庫からいろいろな融資をやっております。そうしまして、所有者によります住宅の建設の促進を図るべく努めております。それからまた本年度からでございますけれども土地区画整理事業の施行区域内の土地を住宅地として譲渡した場合には、一定の要件のもとでございますけれども、譲渡所得税について税の軽減措置を図るというようなことで、その吐き出し効果等も考えております。  しかし、いずれにいたしましても、こういった良好な市街地ができ上がっておりながら、そこに住宅が建たないということは非常に残念でございますので、私どもはこれから単に物理的に区画整理を実施するだけでなくて、地主さんに対しましていろいろなノーハウを提供するとか、あるいは資金面につきましても、先ほど申し上げました公庫の融資の条件改善を図るとか、そういった施策を続けていきたいと考えております。
  71. 小野信一

    ○小野委員 補助金なり融資という一連の国家施策をもって区画事業を行ったにもかかわらず、六年分に相当するような宅地が遊んでおるというようなことは、あらゆる政策を行う前に、抜本的に改善しなければならない、手をつけなければならない問題であろう、こう思います。改めてこれに対する強硬なる施策をお願いいたしておきます。  時間もありませんので次に進みますけれども政府の宅地開発のための予算要求は、昭和五十六年で見ますと、住宅金融公庫への融資三千二百四十五億円があります。これは毎年行われておるわけですけれども、こういう予算というものは土地の需給のバランスをとるためにどのような効果を上げておるのか測定しておるものなのかどうか、あるいは現在の土地供給のためにどの程度の役割りを果たしているものなのか、もし調査してありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  72. 宮繁護

    宮繁政府委員 民間デベロッパーに対します政策融資のお話かと思いますけれども、住宅金融公庫、それから開発銀行等から財投資金をかなりの低利で融資いたしておりまして、住宅金融公庫では年間四、五百億程度、開発銀行では二百五十億程度の融資をやっておりまして、かなりの宅地造成に貢献しておることだと思っております。
  73. 小野信一

    ○小野委員 住宅宅地関連公共施設整備促進事業、国費で昭和五十三年度に三百億円、五十四年度に六百億円、本年度は九百億円、五十六年度に一千億円を要求いたしております。あるいは住宅金融公庫に三千二百四十五億円、日本開発銀行へ二百四十一億円要求いたしております。したがって、これらの予算が、融資がわが国の宅地の提供にどのような役目を果たしておるのか、あるいは価格の上昇、地価の上昇に対して歯どめとしてどういう役割りを果たしておるのか、やはり調査しておく必要があるのじゃないか、こう考えますので御検討のほどをお願いいたしておきます。  最後に、私は、わが国の住宅あるいは宅地政策の基本を見ますと、持ち家制度の推進でありあるいは宅地については税制の優遇で供給を図る、こういう基本的な方針で進められておったと思います。ところが、先ほど申し上げましたように、三大都市圏では普通のサラリーマンでは持ち家は持つことができないという現在のレベルに達してしまったことは少なくとも理解していただけると思います。したがって、これらの制度を私は全面的に否定するつもりはありませんけれども、一般サラリーマンが住宅を持てないとなった以上、住宅政策は根本的に変えていかなければならない時期になったのではないかあるいは他の方法を主とするような政策に変えなければならない、こう考えます。したがって公共賃貸住宅、しかもそれは最低居住水準を備えて、安いものでなければならないと思います。したがって、住宅宅地審議会の中でもそのような答申がなされておると聞いておりますけれども、このような方法が主として政策遂行されるものなのか、第四期五カ年計画の中でどう評価されようとしておるのか、大臣の所見をお伺いします。
  74. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 いま御指摘の点につきましては、先ほども申しましたように、昭和六十年度を目標といたしまして最低居住水準の確保を図るという観点から見ました場合に、主として大都市地域におきましては借家居住世帯に居住水準の改善のおくれが目立っております。したがいまして、大都市地域につきましては特段にこれらの方々の居住水準を改善するために公共賃貸住宅の適確な供給を図るということを重点に置きたいと思っております。また一方、先ほど申しましたいろいろな世代の方々の持ち家需要ということにつきましても適確な対応をするというようなことで良質な持ち家取得の促進も図りたい、その上で住宅環境というものにつきましても改善を図る、そういったような点を考えてまいりたいと思っております。
  75. 小野信一

    ○小野委員 最低居住基準を備えた公共賃貸住宅を今回の建設計画の中では主として推進していただきたいとお願いしておきます。  建設省は、さきに大都市市街地域での宅地供給をふやすために都市計画法による市街化区域、市街化調整区域の線引き基準の見直しを決めて各都道府県に通達いたしました。私は線引きを固定化するつもりはありませんけれども、さきに述べました土地政策の基本を放置したままで市街化区域の拡大を急ぐことは、乱開発促進したりあるいは現在土地を買い占めておる企業の救済につながりかねないという面を持っておることもわれわれは配慮しなければならないと思います。したがって、これらの線引きの見直しのためにこれらの悪作用といいますか、国民の顔を逆なでするような問題についてどのような抑制策をお持ちなのか、あるいは政策遂行のためにどのような指導をしながら進めようとするのかお聞きいたします。
  76. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの線引きの見直しの方針につきまして、先般都道府県知事に通達をいたしたわけでございますけれども、今回の見直しに当たっての基本方針といたしまして、いたずらに市街化区域の規模を拡大するということなく、既成市街地の高度利用や遊休土地の有効利用、それから市街化区域内農地等の計画的な市街化の促進に努めるということを前提として、その上で市街化区域の線引きの見直しをやるべきであるということを申しておりますし、市街化区域あるいは調整区域の都市計画は、いわば無秩序な市街化の外延的な拡大を防止するという観点から行うものでございまして、今回の見直し方針によりまして区画整理事業の実施が確実な区域であるとか、そういう計画的な市街地整備が確実なものは取り込む、それから市街化区域線引きの中で一団のまとまりの農地のまま残っているところは積極的にむしろ調整区域にしろというような形で具体の方針を定めて指示いたしておりますので、この方針に従って各知事に適確な見直しをやっていただけますと、むしろスプロールの防止という意味でかなり有効な手だてになり得るのではないかと私どもは期待をいたしておるところでございます。
  77. 小野信一

    ○小野委員 国会という最高の審議機関であるこの場所で答弁しあるいは意見を述べられたことが土地政策、宅地政策の中でそのまま遂行されることを強く希望して、質問を終わります。
  78. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  79. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 建設大臣建設省建設省専門委員という制度がありますが、その制度の法律的な根拠と目的、何でこういう制度をつくっているかということについてまず最初にお聞きいたします。
  81. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設省の専門委員は、建設省内部部局組織規程、これは昭和二十七年に制定された建設省令でございますが、これの第八条によりまして、「建設大臣の諮問に応じて、専門の事項を調査審議させるため、専門委員三十人以内を置く。」「専門委員の任期は、二年とする。」こういうことになっております。なお、この専門委員制度は昭和二十四年からあるわけでございますが、この場合には、建設省組織規程、これはやはり省令でございますが、その第四十六条の規定によって設けられておったわけでございますが、二十七年に先ほど申しましたように建設省内部部局組織規程に変わったわけでございます。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 そういう任務を持って設けられているわけですけれども、定員三十名に対していま何名任命していますか。
  83. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 現在は二十二名お願いいたしております。
  84. 中村茂

    中村(茂)委員 それを任命する場合の選定基準というか資格要件というか、どういう要件でこれを任命しているわけですか。
  85. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 専門委員をお願いする場合に、文書によってどういう方をお願いするという規定はございません。しかしながら、大臣の御指示による場合もございますし、われわれから進言申し上げて御相談する場合もあるわけでございますが、大体建設行政に対しまして専門的知識を有する方にお願いしているわけでございますが、現在の建設行政は、国民の価値観も非常に多様化しておるわけでございますから、これに対応するためには広い範囲内でいろいろと検討することがあるわけでございますから、各界各般の方にお願いをしているような状況でございます。
  86. 中村茂

    中村(茂)委員 もう少し細かくお聞きしますが、何か、上申するとか、よそからしてもらいたいというような申し込みがあってするのか、そういうものなしにどこかで募集でもするのか、それとも、全体を見て、この人間が適当じゃないか、資格要件に合うんじゃないかということで皆さんのところで選考して大臣が任命するというふうになるのか、そこら辺のところをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  87. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いろいろな形態があるわけでございまして、お伺いする仕事の内容によりましては、それぞれの局からこのような方をお願いしたらどうかというようなお話がある場合もございますし、また、外部の方から、この人は建設行政に対して知識、経験が豊富だから、このような人の意見を聞いてみたらどうかというようなお話もあるわけでございまして、人によりまして違いますけれども、それらの方々につきまして、大臣を中心に幹部で御相談をいたしまして、所定の手続をとってお願いする、こういう形をいたしておるわけでございます。
  88. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、いま二十二名任命しているようでありますから、その二十二名の氏名を発表いただきたいというふうに思います。
  89. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 名前だけ申し上げます。  浅井新一郎さん、遠藤貞一さん、大坪健一郎さん、表俊一郎さん、金子勇次郎さん、川島武宜先生、河村芳邦さん、小林幸雄さん、沢田光英さん、沢本守幸さん、杉本一さん、中馬辰猪さん、坪井良一さん、塚田徹さん、徳安實藏さん、中島衛さん、萩原尊禮さん、萩山教厳さん、蓮実進さん、福井順一さん、松崎正躬さん、望月邦夫さん、以上二十二名でございます。
  90. 中村茂

    中村(茂)委員 この二十二名の方を、私はこういうふうに一応分類して集計をしてみたわけです。建設省の元役人が六人、それから、私の目から見てそれぞれ専門家だなと、こういうふうに見られる人四名、それからマスコミ関係二名、弁護士二名、それと衆参の元国会議員、元県会議員、それから元国会議員秘書、しかもこの人たちは八名、そしてこの八名の人たちは、一名を除いて、先般の衆参ダブル選挙で全部立候補をして不幸にして落選をした人たち、こういう任命になっているわけですね。  そこで、私が本日この委員会でこれを取り上げようと、こういうふうに思ったのは、ダブル選挙後私のところに、いまこの任命されている人たち二十二名のところから、二カ所から、実はこういう内容の申告があったわけです。専門委員ということですから、専門委員という名刺を刷って、この肩書きを利用して、特に選挙の事前の運動などについて、橋をつくるにしても道路をつくるにしても、建設省関係のことは、おれは建設省ににらみきくんだから任しておけと、こういう、立場を利用して盛んに選挙運動をやった。  それからもう一つは、この肩書きを利用して建設業界のところへ出入りして、そして選挙のときに選挙の資金かせぎに利用している向きが相当強い。二ところから来たのは大体そういう内容で私のところへ申告がありました。  そこで建設省の方へお聞きしたところが、そういうふうに専門委員に任命していても、立候補するときには一応それを取り消す。そして選挙が終わったら、先ほど御存じのように、当選すればもう国会議員という肩書きがつくわけですからそれは任命できませんが、しかも、この内容を見ると、建設大臣を経験した人、建設委員会に所属していた人、建設政務次官をやった人、国会議員の秘書をやったというような人、そしてこの大部分は次の選挙目がけて立候補しようということで準備している人、こういう人が多いわけです。ですから、全体的に見て、確かに大臣をおやりになっているのだから、これは専門知識があると言えばあるでしょう。しかし、大臣をやった人を専門委員にしてというふうに言ってみたって、専門委員という、諮問というのもありますけれども、実際には中身になかなか合わないですよね。こういうやり方を何年としてきたわけですよ。先ほどは、広範囲に検討してその人その人によって違うけれどもこれを任命する、大臣を中心にして、人事の担当のところで厳密にやったというふうに言われますけれども、私の聞くところでは、やはりそのなった人が、自分からやってもらいたいと、こういうふうに申し出た人もあるようですし、それから自民党の相当な有力者を通じて持ち込まれた人もあるようですし、そういうふうに考えてきますと、私は、結果的に、皆さんがおやりになっているのは、こういう人たちの選挙の手助け、これを任命した任務、いわゆる諮問にこたえるとか特殊的な調査をするとか、そういうこととはほど遠い内容になっているのではないか、こういうふうに思うのです。  そこで要求したいというふうに思うのですが、この専門委員というのをひとつ根本的に見直しをしたらどうですか。
  91. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  この制度が設けられてすでに二十有余年たっているわけであります。顧みて、それはそれなりの効果があって制度が設けられたことと思います。いろいろと見方があろうかと思いますけれども、こうした複雑多様化した社会の中で、衆知を集め、御意見を聞き、せっかくの経験を生かしてもらおうというようなことは、私はまた大切なことであろうかと思います。しかも、これはどちらかというと、全く無報酬でございますし、お呼びするときにはむしろ自腹を切ってお出かけくださるということなんです。したがって、私はそういうマイナス面を見るのでなく、建設的な気持ちでやはり政府としていましばらく続けさせていただいた方がよろしかろうと思うのです。私、大臣になってまだ三カ月でございまして、専門委員の方々に集まっていただいてお知恵を拝借する機会がございません。特に昨今のような宅地、住宅等々対応するためにもこのままで続けることの方がよろしいのじゃなかろうか、このように考えております。
  92. 中村茂

    中村(茂)委員 前に任命された人たちとか、そういう人たちも少し調べてみたのですよ。こういうやり方は二十有余年間大体一貫しているのですよ。あなたは大臣になってからいま言ったようにわずかかもしらぬ。しかし、実際にはこの制度ができて以来いま申し上げたような内容を含みながらずっとやってきた。それでこの任務が果たされる、こういうふうに理解するわけですか。ですから、私はとにかく見直してくれと言っている。まず制度を見直してくれということ、制度自身を見直してくれということ。各省庁を調べてみると、大蔵省とか通産省、そういうところは顧問制度というのを、四、五人あるようですね。こういう専門委員制度というのは、建設省は特に専門家が必要だからと言えばそれまでですけれども、ないのですよ。こういう専門委員は建設省だけなんですよ。しかも、任命の中身がこうだ。ですから、まず一つはこの制度自身を見直してもらいたい。これは検討が必要でしょう、時間も必要でしょう。  それから二番目に、せっかく任命したばかりですけれども、このところで全部任命し直してもらいたいと思う。その点でいかがですか。
  93. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、私が考えましてもやはり国会議員の経験者でおありになり、かつ建設大臣あるいは建設政務次官をやられたというような方は建設行政に関しては最も高い見識をもっておられる方でございますので、そのような方をお願いすることは建設行政に寄与するものと考えるわけでございます。  また、任命のし直しの問題でございますが、やはり任期が二年ということになっておりまして、最近任命した方もございますし、任期間際の方もございますから、やはり任期が切れたときに再検討するというのが筋ではないかと考えるわけでございます。
  94. 中村茂

    中村(茂)委員 任期が切れたのをやり直すのはあたりまえだ、そんなこと。こういう内容だから、それを見直しなさいと言うのだ。  それで、個人の名前を挙げて恐縮かもわからぬけれども……(発言する者あり)
  95. 稲村利幸

    稲村委員長 お静かにお願いします。
  96. 中村茂

    中村(茂)委員 特に、栃木の蓮実進さん、これは国会議員の秘書さんをやっていたのですよね。それで野球選手の江川を巨人へ獲得するために策動した人ですよね。これを専門委員にしてまさか建設省に江川をとろうというのじゃないでしょう。これはどういうふうに考えてみても、建設省の専門委員に任命されているなどということは私の知識ではわからないのです。個人の名前を挙げて恐縮ですけれども一つの例として挙げているわけです。  だから、こういう内容が含まれているのだから、任期がきて任期でやるのはあたりまえなんだ、そこのところで検討するのは。だから、一応検討して任命がえということも考えてみたらいかがです。
  97. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先生の御意見一つの御見識だとは存じますけれども、最近任命したばかりの人を何も支障がないのに任期内で罷免するということはなかなかむずかしい問題だと考えるわけでございます。
  98. 中村茂

    中村(茂)委員 任命したばかりの人をやるというのは大変だと言うけれども、任命したこと自身間違いじゃないか。根っこの方が間違いじゃないかと言っている。何でこういう人を任命しておかざるを得ないのか。  しかも、はっきり言いますけれども、ここの地域からこの人の行動について私のところへ上がってきたのです、二つの地域と言った一つは。それを調べてみると、何か今度のダブル選挙の近くまで選挙に出るとか出ないとか、いろいろあったようです。結果的には出なかったようです。それでいまも事務所を持って、次は出るという準備をしているのかどうか知りませんけれども、盛んにこの肩書きを利用しながら、先ほど言ったようにおれは建設省ににらみがきくんだから建設省のことはおれに任しておけばいい。または、建設業界へ出入りして一定の金を集めて、それで独自の事務所も持っている。私がここまで言ってわからないなら、ひとつ皆さんの方でこの内容を調査してみてください。
  99. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 蓮実さんの問題でございますが、蓮実さんは船田衆議院議長の秘書を長い間やっておられまして、いろいろと学識経験があるということを聞いております。それから現在ではPRの会社の社長をしておられまして、これからの建設行政を進める場合には、やはり国民の皆様方にいろいろと御理解を賜るというような場合には、そのような知識も拝借する必要があると考えているわけでございます。  なお、いま先生の申されましたいろいろ専門委員という肩書きを使って行動をしておられるということでございますが、冒頭に御答弁申し上げましたように、専門委員は大臣の諮問に応じまして専門の事項を調査、審議する権限しかないわけでございまして、行政権は全くないわけでございますから、そういうことはできないわけでございます。
  100. 中村茂

    中村(茂)委員 そんなものできないのはわかっている。専門委員だからね、無報酬だし。しかし、本人はできると言って宣伝して歩いているんだよ、肩書きの方が大きいような名刺をつくって。それで言い方もこういう言い方だ。私は建設省ににらみがきくんだ。あなた、にらまれているんだ。それだから私に建設省のことをさせれば——こういうことは余り私に言わせないで、一応検討してみた結果、見直してみた結果どういう結論が出るか知りませんが、一応これ全部見直してみてください。
  101. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほども申しましたように、やはり任期中に特別の支障がないのにやめていただくというのはなかなか困難だと存じますし、また建設省ににらみをきかせるということを言っておられると申されますが、われわれは専門委員の意見で左右されるような行政は絶対にしないつもりでございます。
  102. 中村茂

    中村(茂)委員 委員長、私がここまで言ってまだ同じ回答しか出てこないんだけれども、私は何もあなたたちがにらまれているからといって、それをうのみにして、言うとおりにしているということを私は言っているわけじゃないのだよ。そういうふうにみんなに言って歩いているというのだよ。それでは受ける方はどうか。肩書きを見れば、建設省専門委員というのだから、やはり建設省の方のこともこの人に頼んでおけばできるのだなと受けるのはあたりまえじゃないですか。それは皆さんの方も内容によっては受けられるのもあるでしょうね。しかし、さっきあなたの方が言ったように、何でもそれをうのみにしてはいはいと言う、そのことを私は聞いているわけじゃない。そういうふうに言って歩いているということなのだ。  そこで、こんなことをいまやりとりしていてはだめですから、いま理事会か何か開いて、この取り扱い方についてどういうふうにするか結論を出してください。
  103. 稲村利幸

    稲村委員長 いまですか。
  104. 中村茂

    中村(茂)委員 いまです。
  105. 稲村利幸

    稲村委員長 では、いま公明、民社に話をしていますから、それまで続けてお願いします。
  106. 中村茂

    中村(茂)委員 まだ理事が全部集まらないようですから、これはここで一応保留して次の問題に入ります。  次は住宅性能保証制度、この制度についてお伺いいたしたいというふうに思います。  前から欠陥住宅が問題になって、その欠陥住宅をどういうふうにしていくかということを論議する中で、建設省自身もそういう欠陥または瑕疵の住宅が出てきた場合にそういう面を保証していく、言えば住宅性能の保証制度というもので、一応試案の試案のようなものを出されたときがあります。最近になって、一地域に対してこういう制度が実施されてきているようでありますが、まずこの制度を設立した経過と現在実施しているこの制度の内容について概略御説明いただきたいというふうに思います。
  107. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅性能保証制度につきましては、住宅性能を長期にわたりまして保証することにより、住宅取得者の保護の強化と住宅の品質、性能の向上を図るというようなことを目的としておりまして、従来から私どももいろいろと勉強してまいったわけでございますが、北海道の釧路地域におきまして一部試験的にことしの四月からこのような制度を実施しておる状況でございます。
  108. 中村茂

    中村(茂)委員 概略でいいからその内容を、もう少し形が浮かんでくるぐらいな程度に説明してください。
  109. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 失礼いたしました。現在実施しております内容は、木造の戸建て住宅を対象といたしまして、建設をいたしました業者の方々が登録をしていただきまして、そしてその登録をされた業者の方々が、最長十年にわたって重要な部分のその住宅の瑕疵につきまして保証しょうというものでございます。その場合、それらの登録された業者の建設された住宅につきましては、十分な検査を受けまして、それでこれは大丈夫ということで引き渡しをするというようなことにしております。  なお、これらの保証制度をある程度担保するために、一面におきまして保険を付すというような形でこれを担保しております。大体地元で約百社程度の業者の方々がこれに加入いたしまして実施に入っておるということでございます。
  110. 稲村利幸

    稲村委員長 先ほど中村委員の質疑につきまして、建設大臣から答弁の申し出がありますので、これを許します。
  111. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先ほど中村委員から専門委員のことにつきまして御指摘がございました。御本人の行為行動が専門委員として不適格云々、あるいは地位、肩書き等々を利用されるというようなお話でございまして、まだ直接的に処置いたしておりませんので、調査の上検討させていただきたいと思います。
  112. 中村茂

    中村(茂)委員 いずれにしても、私が一番先に言ったことは、制度そのものもひとつ検討してもらいたいということが一つ。それから、中身の任用についても、不適当という言い方がどうか、まあそういう人が含まれている、私はこういうふうに思うのですけれども、そういうふうに判断できる者については、途中だけれども任命がえというような見直しをしてくれ、こういうことを言っておるわけですよ。いま大臣答弁は、一応調査させてくれ、こういうことですよ。  そこで、後段の方は、調査が必要なら調査も結構でしょう。調査するのだから、それで終わりではなしに、調査していずれにしても見直しを検討する、こういうふうに二番目の問題については、私はいまの大臣答弁について理解いたします。  それから、前段の方についても、これは結果はどうなるか知りませんけれども、いずれにしても制度上もう一度改めて見直しを検討してもらう。この二つ、こういうふうに理解するけれども、いまはそれでいいですか。
  113. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  見直しを前提ということでなく、あわせて検討させていただきたいと思います。
  114. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、皆さんの検討なり、または調査なり、その結果また質問することとして保留して、一日も早く調査を完了するようにお願いいたします。  次に、私はこういう制度について前から三つの点について意見を本委員会で申し上げてきたのです。  まず一つは、今度のこの制度も、言えば損害保険をそこに掛けておいて、それで損害保険という民間のその対象にしようというわけですよね。ところが欠陥住宅というものはどういうところから起きてくるかというと、家を求める者も、それからそれをつくる業者も、別に欠陥をつくろうと思ってやっているわけではないと思うのです。そしてまた、業者も欠陥のないものを提供する義務があるわけです。りっぱなものをつくらなければいけないわけです。ところが実際の姿はそういうものが出てくる。だから、そういうものを損害保険という枠内で保証していくというやり方がなじむかなじまないか、こういうふうに考えてみると、法律なり、そういう法律に基づく省令なりに基づいて、もっと一定の保証制度というものをつくって、それで法の保護のもとにこれを救済していく制度をつくったらどうだ、こういうことを私は主張してきているわけです。ところがこれとは全然関係なしに、民間の損害保険を活用して——ですから、このできた会社というのは、主管官庁というか監督官庁は大蔵省になるのじゃないかと思うのです。その点が一つ。  それから二つ目には、この制度で欠陥、瑕疵というものについて担保で保証していくわけですけれども、その基準をつくるのは非常にむずかしいわけです。これは何も大蔵省が、保険という枠の中で欠損が出るから、それではこれの場合にどうだということで基準をつくるということは、私はできないと思うのです。やはり建設省の建築基準法に基づくいわゆる欠陥、瑕疵の基準がきちっとつくられなければならないと思う。そういう意味で法の保護というか、そういうものが必要じゃないか。つくり方も非常にむずかしいのじゃないか。つくり方によってそれが担保になり、保証するかしないかという基準になるわけですから。これが二番目。  それから三番目に、欠陥住宅、瑕疵というものは、個人の注文住宅は一番少ないです。個人の戸建ての注文住宅というのは一番少ない。一番多いのはどこかと言えば、建て売り住宅、それとマンションとかそういう合同住宅。  ところが、今度見ますとこういうことですね。戸建てで木造で注文の建築の新築なもの、となると一番欠陥住宅が少ない。違うものは手をつけていないわけです。ですから、私は、欠陥の一番多いのをやらないで、少ないのだけ保証制度をやるとは何事だ、こう言っているわけだ。前に建設省の案が出てきたときもこういう考え方なんです。欠陥の一番多いところを手をつけないで、一番少ないところをどうして手をつけるのですか。この三つについて回答してください。
  115. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  御承知のように、本制度はまだ法律によって担保しているものではございませんで、一部地域におきまして試行的に実施しているものでございます。現段階では、お話しのとおり木造、一戸建ての注文住宅ということで実施いたしておりますけれども、将来につきましては、建て売り住宅なり共同住宅につきましても広範にこのような制度の対象といたしていきたいというふうに考えております。  ただ、一般的に申しますと、民法なり宅地建物取引業法等によりまして、瑕疵担保の責任というものはそれぞれの業者の方が持っておられるわけでありますけれども、実際問題として、中小の業者の方々では、重大な瑕疵がずいぶん後になりまして発見されたというような場合には、財政的にもなかなか大変だ。そこで事前に十分な検査等をして、しっかりいいものをつくろう。そして、それでもってお客様に迷惑をかけないようにしよう。しかしながら、万が一そういった事故が起こった場合には、保険制度によってある程度これをカバーしていこうということでございます。  したがいまして、この保険制度も、短期的なものではなくてたとえば三年以上の長期的な期間について出た場合のことを考えておりまして、二年以内の短期的なものにつきましては、当然自分たちの責任においてやっていっていただくというようなことで運用さしていただいております。いましばらくこういったようなことを試行的に勉強しながら、改善、工夫をこらし、さらに制度的にもりっぱなものにしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  116. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは聞いておきますけれども、一地域ですね。だからいま試行的にやって、それがうまくいく、しかも保険ですからね、掛金というか登録料、これも工事費の〇・七三だそうですけれども、そういうもので果たしていいのかどうか、いろいろ問題もあると思うし、それから十年というふうに決めていますね、これは民法上から来ているのかどうか知りませんけれども。それで、いま言われたように二年以内でそういうものが起きた場合については、基準はありますけれどもこれは業者持ち、それで二年から十年というのはこの担保でやっていく、こういう制度のようですけれども、それでは、二年の間に業者にやらせると言ってみても、業者が倒産したりどこかへ行ってしまったと言えばどうなるか知りませんが……。外国の例を見れば、こういう制度については業者が倒産した場合にというのが保証の対象になって特に大きく取り上げられているのが、諸外国の例にもなっているわけですよね。ですから、いま言われているように、これから研究していくのはいっぱいあるというふうに思います。だから、それは研究をきちっとしてもらって、ここでお聞きいたしておきたいのは、一地域からこれを全国的に広げたいという意思があるのかどうかということ。それから欠陥について、戸建て、木造の一番欠陥の少ないものがいま対象ですけれども、これを建て売り住宅なり、または合同住宅なりに広げていくという意思があるのかどうかという、この二点についてお聞きしておきたいと思います。
  117. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、現在は二部の地域におきまして、まあ実際的にできるというようなところから試行的に実施しているものでございますので、でき得ればこれをなるべく広い地域におきまして適用させ、そして本当に、利用者といいますか、国民の方々の保護を図るということが必要であろうかと考えておりますし、またさらには、これらがうまくいくということになれば、当然のことでありますが、建て売り住宅なり共同住宅の方にも適用したいと思っております。ただ、いま申しましたように、現在まだいろいろな問題を持っております。これをさらに勉強し、研究し、改善をしまして、本当に広範に適用できるようなものとして確立をさせたいというふうに考えております。
  118. 中村茂

    中村(茂)委員 いま言われた点、きちっとやっていただきたいと思いますが、特に、もう何回か言うようですけれども、戸建ての木造の注文住宅、これは一番少ないのですよ。だから、ここのところがうまくいくとかどうとか言っていろいろ見本にしてやっているけれども、私はやはりこれを全国的に広げるとか、そういう試行段階でも、一部でもいいですが、特に最近欠陥が多いというふうに言われている、もうみずから欠陥を承知しながらつくっている建て売り住宅です。施工主が、こういうところは薄いやつでどうだと言って、自分で承知しながら安上がりで建て売りはつくっているわけです。こういうのはきちんと包含して、できるようなところを、モデルでもいいからまず手をつけてやってもらって、それで特に建て売りなどの場合にそういうものの対象にすることが必要だと思いますのは——私はこの制度が一番いい制度だなというふうに思うのは、仕組みとかそういうものではなくて、いずれにしても自分たちでそういうものを建てていくときに、みずから検査をきちっとやっていこうということが一つ含まれているというのが非常にいい制度だなと思う。住宅金融公庫で金を借りてつくる場合には、公庫の方で一応きちっと検査します。だからあれはわりあいに欠陥がないのです。だから、欠陥を直す基本は、きちっと検査して手落ちのないようにさえ工事をやらせれば、欠陥というものはないはずなんです。ですから、特に建て売りの場合はそういうことが必要だ。制度の中にそういうものが入っているから、一日も早くそういうところへ広がるように御努力いただきたいというふうに思います。大臣、何か言うことはないですか。——なければいい。  それでは次に、今度は国土庁に伺いますが、長官は所信表明で「適正な土地利用を促進し、地価の安定を図るための総合的土地対策の推進」ということを挙げられていますね。それからいままでそれぞれ質問してきた方も、いまの地価の状態では困るじゃないか、何とかうまい手はないか、こういう立場で質問をずっとされてきたわけですね。  これはさっきの質問ともちょっと関係があるのだけれども、いま住宅を持つということは、これは大変なんです。まず、土地が上がってしまった。それで住宅をつくると、まず住宅をつくったということで財産ができるわけですから取得税を払うんです。金融公庫から金を借りてあるから、金融公庫へも金を払う。足りないといってローンで金を借りたから、またローンへ金を払う。金融公庫から金を借りていれば、火災保険に入れというから火災保険にも払う。最近は火災保険きりではいけないから、事故があった場合に返済能力がないからというので生命保険に入れさせるわけです。財産を取得したわけですから、固定資産税がかかるわけです。固定資産税がかかると、地方の都市計画税がかかるわけです。そこのところへ、今度は欠陥が起きてはいけないというのでさっきの制度で金をまた払うわけです。家を一つ持つことによって、八つも金を払っていく。しかも高い土地ということを考えると、これはなかなかいま住宅を持つことは厳しい世の中になったわけです。だから、その根っこになる宅地を何とか鎮静させて、住宅を勤労国民にも持たせていくという施策は緊急な課題だというふうに私は思うのです。ところが、先ほどからのいろいろな意見を聞いていると、どうもあの説明では名案がないんだな。果たして土地が鎮静するのかどうか、宅地が出てくるのかどうか。これは新聞の切り抜きですけれども、「ほがらか天国」というのがあって、「妻−あなたの稼ぎでは一生マイホームは持てないわね 夫−政府の地価対策ではと言い直したまえ!」こういうふうに言っております。これが庶民の感情ですよ。  そこで、これで土地が安定していくとわかるような、ひとつ大臣の考え方を聞きたい。
  119. 原健三郎

    ○原国務大臣 中村先生お答え申し上げます。  いろいろやっておることはやっておるのですが、どうも中村先生のお気に召すような施策が必ずしも十分でないことをはなはだ残念に思っているところでございますが、全然やっていないほどでもございませんので、いまのところは、適正な土地利用の促進、地価の安定を図る、そのための総合的土地対策としては長期的な対策と短期的な対策の二つをやっております。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  現下の土地問題は、基本的には大都市地域への人口、産業の急激な集中によってもたらされておると思います。でありますから、過密過疎を解消し、国土の均衡ある発展を図る、こういう方向でやっておるわけであります。  また、短期的な対策としては、宅地需給の不均衡が最近の地価上昇の主な原因であると考えますから、引き続き投機的土地取引を抑制しつつ、宅地供給の促進を図ることが緊要であると考えております。  もっと細かいことは事務当局から答弁いたします。
  120. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いまお話に出ました長期的な対策と短期的な対策ということでございますが、一つは、国土利用のための長期的な対策ということを検討いたしておりますけれども、結論を申し上げますと、三全総を着実に実施をするということでございます。  私ども国土利用を検討いたします際に与えられた与件が、ございます。一、二申し上げてみますと、国土の現況が一つの与件でございます。全体が三十七万七千方キロというところで、その中で可住地面積は二六%ぐらいと言われております。そういうところに住まなければならない、これが一つでございます。それから、現在の土地利用の状況でございますけれども、全国の土地利用の状況を見ますと、現在三千百万ヘクタール、八三%が大体農用地的な利用になっております。現在宅地の利用が百三十四万ヘクタールということでございまして、この三千百万ヘクタールの農用地等が減をしながら宅地がふえるというのが最近の趨勢でございます。  それから、さらに考えておかなければならないのは人口の問題でございます。人口につきましては、二十一世紀初頭に三全総では一億三千七百万人、しかもこれは停止人口というふうに言っております。最近の出生率等の状況から見てこれは少し下方修正する必要があるのではないかということを内部で検討いたしておりますけれども、いずれにせよ、一億三千数百万人というところで、それ以上ふえもしない、減りもしないという人口が二十一世紀初頭には到来するというのが現在の見通しでございます。さらに、その人口の内訳を見ますと、六十五歳以上人口が二十一世紀初頭で千九百万人、約一四%というふうに三全総は見込んでおります。さらに、十八歳以上の方々の中の高学歴者が全体で、たとえば五十年は一四%でございますが、そのころには二八%が高等教育を受けると言われておりまして、いわゆる文化的環境の欲求も増大するというのが前提でございます。  もう一つの前提といたしましては、やはり人口が都市へ集中をする、七二%が都市地区に住むということが見込まれております。そうなりますと、やはり産業構造も変化をいたします。言葉をかえて申しますと、複雑な地形、地質、狭い可住地、しかも限られた水質源等の中で、国土全体をうまく使う、その中に一億三千数百万人の人がうまく住むということが長期の国土利用の目標でございます。そういうことができるのかという話がときどき出ますけれども、私ども、これは卑近な例でまことに恐縮でございますが、一億三千数百万人の日本人を全部一カ所に集めますと、大臣の御出身の淡路島の何分の一というところで入るわけでございます。そういう方々が日本全土の可住地の中にうまく住むということができれば、必ずそういう目標は達成できる。たとえば、北海道のごときは国土面積の二割を占めておりますが、人口はいま五%でございます。そういうところの大いなる活用をやっていく、そのための国土利用計画というものをつくっておりまして、そういうものを着実に進めていくというのが長期の対策でございます。これはしかし、長期と申しましても相当時間がかかるわけでございます。  当面の問題は何かということでございますが、これも繰り返し申し上げておりまして大変恐縮でございますけれども、われわれの当面の問題は何かといいますと、土地の値段が高いということでございます。土地の値段が高いということに対してどうするかということがわれわれに与えられた与件でございます。これはいつも申しますように、効用増によるもの、それから投機によるもの、需給ギャップによるものとがございます。その中で、いわゆる投機によるものは影をひそめておると私どもは思っております。現在、いろいろと全国で調査をやっております。月別の調査をやっているところもございますが、いずれもそういう投機はないという報告を受けております。そうなれば、やはり需給のギャップということにつきまして最大の努力をしなければならないということが目下の急務でございまして、先ほども申し上げましたけれども、要するに、たとえばトイレットペーパーでございますと、なくなって値段が上がった、工場で増産をすればすぐ間に合う。ところが、土地につきましては、懐妊期間がございますので、なかなか直ちにそういう適用ができない点があるといううらみはございますけれども、なるべく早くそういうふうな供給をふやしていくということが目下の急務である、そのためにはやはり土地は持っておっても余りよくないのだ、もうからないのだというシステムをつくる必要があるというお話先ほどございました。  そういうふうな、土地を持っておってももうからないのだということが、逆に土地はもうかるのだという観念になりますと、二つ現象が起こると思います。一つは売り惜しみでございます。最近のいろいろな土地問題の発端となったのが売り惜しみでございます。そういう売り惜しみ対策といたしましては、今回考えておりますような農住組合法案のようなもの、もしくは宅地並み課税のようなもの、そういうようなものの対策を進めていくことが必要だと思っております。それからもう一つは、やはり投機が起こる、いわゆるインフレマインドと申しますか、地価上昇マインドに振られて、いま言いました売り惜しみの反面といたしまして、買い進んで転がすということが起こる可能性があります。これがありますと本当に土地対策と申しますか、地価対策は全滅いたします。したがいまして、そのために投機を本気で抑える、これをやりながら息長く宅地供給をやっていく、これしか手はないというふうに思っているわけでございます。農住組合法などもその一環でございまして、本当に限られた供給策の中で、いま一番大きい供給源の農地をいかにして供給していただくかというようなことでございます。  少し長期、短期というようなことで、超長期の話を申し上げて恐縮でございましたけれども、そういうふうなつもりで仕事を進めておるわけでございます。
  121. 中村茂

    中村(茂)委員 とにかく土地が上がるということは手に入らなくなるのはもちろんだけれども、いまも話があったが、土地を持っていればまた上がるだろうといって、土地が出てくるのがますます渋ってしまうのですね。だから、これを何とか、土地を持っていればまた上がっていくから土地を持っていた方がいいわい、この国民の心理というのをどこで抑えるかというのが一番必要な政策だと私は思うのです。そういう感情がなくなっていけば、いい値段へ来たし、欲しい物もあるしするから土地を出すかというつもりにもなってくる。それから、土地を買っておけば貯金しておくよりか、何にしておくよりかもうかるから、土地をいいところを見つけて財産のつもりでとっておくかという人もなくなってくる。土地投機、土地投機という言い方をするけれども、いまのように上がっていって、これはいいとなれば、そういう現象は必ず国民の間には起きてくると私は思うのです。土地を持っていれば、いま放すよりか、金もさしむきそう大きい金は必要もないから、それでもこの土地を持っていた方がいいという気持ちになってくる。ああ、いい土地があったというか、ああ、これは貯金しておくよりかそこの土地を持っている方がいいといって、そういう投機の対象になるようなことが起きてきてしまう。ですから、緊急中の一番の課題なわけです。それで具体的な対策を聞くと、どうも納得できる対策が出てこない。  そういう意味で、時間がありませんから、もう一つだけ。埼玉県の知事が諮問して、いわゆる「地価対策に関する提言」というのをまとめました。これは私見せていただいて、これきりでできるとは思いませんけれども、具体的な、しかも土地の安定というものを考えていった場合に一つ方法だな、こういう感じを受けたのですけれども、「まえがき」のところに「最近の地価の高騰は、大きな社会問題となっております。」こういう出だしで始まって、「「地価対策に関する提言」をとりまとめ、問題の解決に向けて積極的に対策を講ずるよう、国に求めることといたしました。」ですから、「国に求める」ということで五十五年の五月に出したのですから、皆さんの方へも来ていて、恐らく目を通しているというふうに思いますが、「地価を規制するために」ということで提言1、それから「宅地を供給するために」ということで提言2、提言3、その次に環境問題を取り上げています。この場では環境問題は一応省略して、「地価を規制するために」ということと「宅地を供給するために」、提言1、2、3、これについて皆さんのところのいまの考え方を、時間がありませんから簡潔にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  122. 原健三郎

    ○原国務大臣 埼玉県知事が提示されました「地価対策に関する提言」は私も拝見させてもらいました。きわめて積極的にその対策を講じておる、さすがに行政の第一線におられる埼玉県知事の御提案でございまして、今後の土地政策を進めるに当たっては大いに参考になると考えております。あるいは農地の宅地並み課税に似たようなことも言っておられるし、われわれの提案しておる農住組合法に類似するような点も強調されておりますので、大いに参考になると思います。  提言の詳細については事務当局から答弁させます。
  123. 山岡一男

    ○山岡政府委員 御提言の中で「地価を規制するために」ということでは、国土利用計画法につきまして規制区域制度の広域的運用、投機要件の緩和、届け出面積の引き下げが提案されております。  私ども規制区域制度の広域的運用につきましては、やはり地域の実情に通じた知事さんが総合的判断によって行うのが基本ではないかと、お会いしたときに申し上げております。なお、たとえば総理大臣の権限もあるわけでございますけれども、御案内のように、本法制定当時のいきさつがございまして、やはり知事さんの御判断を基本とすべきであって、これはその基本を変えるべきではない、ただし、さらに隣県にわたるような場合に、十分御相談をしながら広域的運用は図っていったらどうであろうかというふうに申し上げました。  それから、次に投機の要件を外すことにつきましては、これはたびたび申し上げておりますけれども、私どもといたしましては、立法上にもまだ問題があるという気もいたしますが、同時に、投機という異常な事態がないのに規制区域を指定するというようなことは、かえって健全な土地取引を困難にさせまして宅地供給を阻害するということになる面もございますので慎重に対処してまいりたいというふうに申し上げました。  それから、届け出面積の引き下げにつきましては、現状では面積基準を直ちに引き下げる必要はないとは判断しておりますけれども、地価はなお警戒を要しますので、最近の地価情勢を引き続き監視しながら十分検討をしていきたいというふうにお答えいたしました。  提言では、宅地供給促進のための施策といたしましては、宅地並み課税といいますか、いわゆる選択的土地利用制度の提言がございます。たとえば「市街化区域内農地の有効利用を図るため、選択的土地利用制度の創設を」というのがございますが、この中身といたしまして、その三番目に「宅地又は農地としての利用を選択した土地について、それぞれ集団化し、計画的利用が促進できるような措置を講ずること。」という御提案がございます。私ども、これはいま考えておる農住組合法案に大変近いな、応援してくださいというようなことを申し上げました。  それから、賃貸借促進区域のような制度の創設の御提案もございます。これにつきましては、やはり宅地供給促進のための一手法として十分参考になるものだということで検討してまいりたいというふうに申し上げました。  それからもう一つ、市街化区域内農地に対します固定資産税のいわゆる宅地並み課税につきましては、たびたび御答弁申し上げておりますけれども、五十五年度税制改正の税制調査会の答申の趣旨にのっとって十分検討してまいりたいというふうなことを申し上げました。実は知事さんの方からのお話に対しましてすでにそのようなお話を私どもしたわけでございます。現在もその考えに変わりはございません。
  124. 中村茂

    中村(茂)委員 土地の規制の問題は局長とも私何回かやってきておるのだけれども、どうも規制すればなお土地は出なくなるんじゃないか、その辺はいろいろありますけれども、ここで言っている、言えば広さですよね、広さの問題、これは前の法案の審議のときにも私ども言っておいたけれども、もう少し狭くした方がいいか広くした方がいいか、これはもう時間がありませんから保留して、論議していきたいと思います。  それから、宅地並み課税の見直しの中で選択申告制という制度を取り入れてやったらどうだ、これは一つの提言だと私は思うのです。見直しの時期に十分考えていただきたいというふうに思います。申し上げただけで、この点はあなたの方の回答は必要ございませんから、時間が参りましたのでこれで終わります。
  125. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 林百郎君。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、時間がありませんので、建設行政の中で重要な、近代的な環境整備の上で大きな役割りを果たす下水道問題に限ってお尋ねしたいと思います。  まず建設大臣、おたくの下水道部で編さんした「日本の下水道」というのがございますが、これを見ますと、下水道の普及率が、発達した資本主義国で国民総生産が世界で第二位だというのに、五十四年度末における総人口普及率二八%とあるのですね。ちなみによその国を見ますと、イギリスが九七、西ドイツが八八、オランダが九〇と、日本が際立って普及率が低いのですね。それで国民総生産は世界で第二位だと言っているのですが、これはどういうわけなんでしょうか。どこに原因があるのだとお思いになりますか。
  127. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生指摘のように、その表で示すとおり日本は二八%、五カ年計画ができてようやく三〇%というところでしょうか。欧米、特にイギリスは九七%ということでございます。日本の明治以後の社会環境が下水道事業に対するおくれということの基本的な問題ではなかろうかと思います。戦後急速に日本の経済社会が発展して三十有余年たつわけでありますけれども、敗戦という経済環境の中でこうした社会資本の充実投資というものが徹底して行われていなかったということで、行政の面でもあるいは実際の広域下水道問題についても立ちおくれていたということは否めない事実であろうかと思います。したがって五カ年計画等々策定して、経済大国と言われる国として、社会資本の充実、特に御指摘の下水道事業というものについては今後前向きに取り組んでいくべき大きな、主要な課題ではなかろうか、このように考えております。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大臣こういうことになるのですか。国民総生産は世界で第二位、資本の発達もアメリカに次いで日本ということに資本主義国ではなっているのですが、そうすると、国の財政投資が資本の蓄積の方へ大部分投下されて、環境整備だとかそういう社会生活を改善する方へいままで投資がされていなかった、その結果こういう数字が出ている、こういうことですか。どうして国民総生産は世界第二位になっているのに社会生活で一番大事な下水道がイギリスの四分の一ですか、三分の一と四分の一の間、これはどういうことなんですか。結局、国家資本の投下が資本の蓄積の方へぐっと大きくやられて、国民生活の改善だとか住宅、道路、下水道、そういう方面への投資が非常に少なかった、プアだった、こういうようにお考えになりますか。これは戦後長い間自民党が政治をやっていたんだから、あなた方の責任なんだ。
  129. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  敗戦後の日本ということをバックグラウンドに考えますと、とにもかくにも衣食ということを重点的に過ごされてきたと思います。したがって、どうしてもそういう先生指摘のような形で言えばおくれているようではありますけれども、とにかく衣食足りるということに前向きに、われわれは経済基盤の整備ということが優先してきたことと思います。ようやくいまの時限で経済大国と言われるように経済基盤が安定して衣食が足りてきた。もちろんあわせて社会資本の投下も行われてきたわけでありますけれども、具体的にその面については並行していけなかったことは事実でありまして、経済と社会資本の充実のアンバランスということは、結果的に下水道は三〇%なんですから、そういう面では指摘されるかもしれませんけれども、とにもかくにもあの廃墟の中から立ち上がるのにまず生きることであるということからこうしたアンバランスが生まれたもの、私はこのように考えております。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかよくわからないのですが、廃墟の中から立ち上がって資本の方はこんなに大きくなっているのに、国民生活の方はこんなに低い。しかも福祉は、財政危機から来年さらに切り下げていく。それじゃちっとも直っていかないと思うのです。  まあそこをあなたとここでやっていても仕方がありませんから次に進みますが、来年の下水道予算ですね、下水道事業費は幾らの概算要求をして、それは対前年度比幾ら増しになっていますか。
  131. 升本達夫

    升本政府委員 下水道事業につきましては、来年度の要求領が補助対象事業費で一兆三千四百七十億余、国費で七千九百六十五億円弱でございます。これの前年度に対する倍率は、補助対象事業費で一・一二倍、一二%増、国費で一・一七倍、一七%増となっております。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 数字は他のものに比べて非常にいい数字が出ているのですが、大臣、責任持てますか、大蔵省と交渉してどうですか。
  133. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 大蔵省にいま予算を提示しまして、せっかくこれから煮詰めていく段階でありまして、何とか要求どおり獲得してがんばりたいと思っております。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、第四次下水道整備五カ年計画が本年で終了するわけですね。新しく第五次下水道整備計画が行われるわけなんですけれども、ことしはこの第四次下水道整備五カ年計画の締めくくりの年なんですね。これに対してはどういうように総括をなさって、五次の水道計画にはひとつどういう方面へさらに積極的な手を伸ばそうとか、あるいはこういう点を改善しておこうとか、そういう点大筋だけで、あとは事務当局でいいですけれども大臣としてはどうお考えになっておりますか。
  135. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  計画としては一応達成でき得る見込みであります。これから都市と地方都市とのアンバランスを考えながら、特に地方都市における下水道の要望が非常に強うございますので、もちろん五カ年計画策定の中で、予算、計画等々にらみ合わせながらしていかなければなりませんけれども、均衡ある下水道対策というものを考えながらやってまいりたい、このように考えております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣にお尋ねしますが、おたくの方の第五次下水道五カ年計画案が出ているわけです。これを見ますと、あなたのおっしゃるように地方都市それから農山漁村の生活環境を改善するために下水道整備を推進する、こういうことが強調されていますし、それから都市計画中央審議会の「今後の下水道整備のあり方」を見ましても、地方都市と周辺農山漁村への下水道整備の推進が必要だ。下水道というと何か大都市ばかりというようにいままで考えられていたのですが、農山漁村の下水道あるいは地方都市での下水道の整備が重要になってくる。「大都市、地方都市のへだてなく市街地について下水道を完全に整備するとともに、農山漁村の中心集落、自然環境を保全すべき湖沼等についても下水道整備を進め、下水処理人口の対総人口普及率をおおむね九〇%まで引き上げる。」こういう方向が出ていますね。この方針については大臣もこういう方向で進まれるわけでしょうか。最近生活の近代化ということから、地方都市や農山漁村でも下水道の要求、いろいろの形の公共下水道等もありますし、農林省の管轄の下水道もありますけれども、そういうものに対する関心が非常に高くなってきているわけですね。こういう方面にも手を伸ばさないと、日本の国の下水道普及率全般を底上げするということは非常にむずかしいと思うのですが、そういう点は大臣、どういうふうにお考えですか。
  137. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 数字的なことはまた事務当局から申し上げますけれども先生と全く同感であります。よく言われる均衡ある都市環境の中で等しく国民が生活を享受するためには、やはり日常使われる下水道というものが平均的に整備されなければならない問題であろうと思います。比較しまして五〇%以上の都市もありますれば、地方においては二〇%、一〇%、ゼロという県もございます。私も建設省へ来て一番最初に要望を受けたのが道路、下水道でありました。調べてみましたら、まだ日本の国でくみ取り式の環境が七千三百万人、六五%ということでありまして、驚いたわけであります。したがって、そうしたことを踏まえて、何とか先ほど申し上げましたように下水道予算についてはお願いをしたい。そうした均衡ある下水道対策を進めてまいりたい。基本的にこういう考え方で進めさせていただきたいと思います。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ事務局、具体的な計画を言ってください。
  139. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの地方都市の下水道の整備のおくれでございますが、先ほど大臣から御答弁ございましたように、全体としての人口普及率は三〇%弱でございますけれども、これを大都市とその他の地方都市とに分けて見てみますと、大都市は七〇%強、それからこれに対しまして一般の地方都市は一九%という数字でございます。したがいまして、御指摘のとおり確かに地方都市のおくれが目立っているという現況にございます。  そこで、来年度からスタートを予定いたしております第五次の下水道五カ年計画におきましては、公害防止計画あるいは水質環境基準の早期達成のために下水道の整備を促進するということと並んだ二つ目の柱といたしまして、第三次全国総合開発計画、三全総の定住構想を推進いたしますために地方都市の下水道の整備を積極的に推進するということにいたしております。  そこで、具体的に私どもがただいま考えております施策方向といたしましては、第一番目に大都市と地方都市とを分けました地域別の事業費の配分の比率を地方都市に多くしていくというような配分方法を施行していきたいということが第一点でございます。  それから第二点は、地方都市のうち特に人口五万未満の小さな都市につきまして、補助対象率の引き上げを考えております。  それから、第三点といたしまして、流域下水道、これは御承知のとおり現在都道府県が行う大型の下水道でございますが、これをただいまの流域下水道のほかに新たに別種の流域下水道を考えさせていただきたい。これはもう少し小回りのきく小さな形の流域下水道という形で都道府県がやれるようにいたしたい。そのことによって地方都市の下水道の整備を促進いたしたい。おおよそそのようなことを柱として考えておるところでございます。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので直接お聞きしますが、都市局から出ておる予算の概算要求概要の中で、「下水道事業の推進」の新規要求事項の中で、「次の(イ)又は(ロ)における公共下水道及び特定環境保全公共下水道の補助対象範囲の拡大」(イ)として「人口五万人未満の都市」というのがありますが、これはここに書いてあるように補助対象率七五%を七七%に上げるということでしょうか。あるいはそのほかの意味で補助対象の拡大というのがあるのですか。  それからいまお答えになった部長さんですか。——局長さん。第二種流域下水道事業というのがありますね。このことをたしか局長言っていたと思います。これをもうちょっと事務的に説明願いたいと思うのですが、対象人口どのくらいで、どういう規格で、補助率どのくらいか。時間がありませんから、ごく簡単でいいです。
  141. 升本達夫

    升本政府委員 第一点のおただしでございますけれども、人口五万人未満の都市について補助対象率の拡大と申し上げましたのは、おただしのとおり補助対象率現行七五%というものを七七%に引き上げたいという趣旨でございます。  それから、第二点の第二種流域下水道事業につきましては、これは対象といたします計画人口およそ三万人以上という計画をこの第二種の流域下水道事業に乗せてまいりたい。現在は十五万人以上が流域下水道の対象人口と一応なっております。十五万人が原則でございますが、実施条件といたしまして最低十万人まで下げておりますけれども、これに対しまして新たに三万人以上の計画人口の流域下水道事業を創設いたしたい。この場合の補助率でございますが、管渠、処理場に対する補助ともに三分の二の国庫補助を考えております。現在の流域下水道は管渠につきましては三分の二、処理場につきては四分の三の国庫補助率になっております。  以上でございます。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 用語の中で、下水道関係の管渠の口径がたしか私の方の調査ですと三百五十ミリまでのものには国庫補助が出るが、これを三百ミリ口径ですか、流域下水道だと思うのですが、ちょっとこの辺私も正確ではないのですけれども、管渠の口径をもう少し細いものにも補助金を出してもらいたい。数字は余り正確ではありません、皆さんの方が専門ですから。この点については改善はあるのですか、ないのですか。
  143. 遠山啓

    ○遠山説明員 お答えいたします。  御指摘の管渠の口径でございますが、流域下水道につきましては、決められたものがほとんど補助になっております。  恐らく先生いまお感じになっておられるのは、三百五十ミリというのは一般の公共下水道じゃなかろうかと思います。公共下水道の場合には、末端の一番細いところが市町村の単独事業になっておりまして、その単独事業と総体の事業との比率が先ほど言いました国庫補助対象率七五%と言いましたが、残りの二五%に相当しておるわけでございます。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 公共下水道の末端の口径が現在幾らだけれども、それをもう少し細いものまで国の補助を出すようにするということなんですか。ちょっと最後のところがはっきりしないのですが。
  145. 遠山啓

    ○遠山説明員 率を上げるということは、わかりやすく言うと、細くするということになります。ただ、三百五十が三百になるかどうかというところでございまして、それは処理区域の大きさによってそれぞれ違っておりますので、一概に三百五十が三百になるということにはなりません。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的な問題でお聞きしたいと思うのですけれども、長野県の、地元の問題で非常に恐縮ですが、下水道事業現状を非常によくあらわしておると思うのですけれども、諏訪湖の、流域下水道ができていま公共下水道をやっておるのです。これは計画は四十六年度から進んでおるわけなんですが、いままで五十三年度が約十九億、五十四年度が四十五億、五十五年度が四十億ですか、投資しているようなんですけれども、問題は、流域下水道の方は完成率四五%、終末処理場もできまして、幹線が四本が二本できまして四五%という数字が出ているのですが、この公共下水道の方が実際接続する条件があるもののうちの実績が二六%しか接続がされてないというのです。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕 これはそういう数字をお持ちでしょうか。
  147. 遠山啓

    ○遠山説明員 いま御指摘のように諏訪湖流域でございますが、四十六年度から開始しまして、五十四年度に処理を開始いたしております。そしてその処理開始と同時に市町村がこれに取りつけるわけでございますが、いま御指摘の問題は、取りつけるべき戸数があるにもかかわらずまだ取りつけてないではないだろうかという御質問ではなかろうかと思いますが、おっしゃるように現在約二六%余りの戸数が下水道に取りついておる状況でございます。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 これは新聞の記事にもありますが、同時にまた終末処理場が、排水の流入量は一日約六千トンで、目標の一万五千トンに対しこれも四〇%と少なく、これは旅館、工場など大口事業所の接続がおくれているためと認められる。こういうもののために、せっかく一〇〇%できるのが二六%でとまっている。大口事業所や大きな旅館、これがこの汚水の大きな理由になっておると思うのですが、こういうものに対して規制をする道が一体ないのか。これがそのまま放置されていれば、いつまでたっても諏訪湖の清浄化というのはできません。私たちの調査によりますと、諏訪湖の全燐濃度はリットル当たりのミリグラムで、燐が霞ケ浦の二十倍、琵琶湖の北の百倍。透明度は霞ケ浦の二・五分の一、琵琶湖湖北の十八分の一。十二年たってもこういう状態で、しかも取りつけ施設があるのに二六%しかできておらない。  それで、これも新聞の記事ですが、こういう記事が出ているのです。さっき言ったように、四十六年からそういう下水道を始めて、四十六年ですから、ことしまでの間には約十年たっているのですが、「「アオコ」大発生 好天で急増、悪臭放つ「異常」な土用入りの腐敗」「梅雨が明けた諏訪湖に汚濁のシンボル、アオコの「水の華」が咲いた。同湖のアオコは、七月初旬から発生していたが、二十日からの好天で“爆発”。二十一日の湖岸には、死んだアオコの黄色と、青白色、発生したばかりの緑色とが幅二十メートルにわたって絵の具を流したような層をつくり、悪臭を放っている。」十年たってこういう状態で、それで接続率が二六%。それからヘドロ。これは県がやっているわけなんですけれども、十二年かかって諏訪湖のヘドロの一割をやっとくみ上げた。それは二十七億かかる。これで第一期なんです。十二年かかって一割しかヘドロのくみ取りが、始末ができなかった。今度さらにやるためには百億ははるかに超えるだろう。こういうようなネックが方々に出ていて、公共下水道ができたと言っても、何ら改善されておらないどころかだんだん悪化しているわけなんですね。しかも、これの事業年度はたしか六十七年で、これからさらに十二年かかるのですが、十二年かかって諏訪湖の湖水が湖水らしい湖水になり得るのかどうか、そこら辺のところを少し説明してもらいたいと思うのです。これじゃ、幾ら金をつぎ込んでもそれこそどぶに金を捨てるようなことになってしまう。
  149. 遠山啓

    ○遠山説明員 下水道の取りつけと申しますのは、下水道が処理ができるようになりまして、それで告示という行為をいたします。告示をいたしますとパイプに取りつけるべき、道路の両側の家が取りつけるわけでございまして、これはできるだけ速やかにということでやっております。  いま御指摘の十年といいますのは、下水道が始まって十年という意味であろうかと思いますが、取りつけの実際の業務は処理を開始した昨年度から実施しておるわけでございます。それで、われわれはなるべく早くその効果を出すように県当局あるいは市町村を指導しておるところでございますが、先生承知と思いますが、取りつけには取りつけの専門の業者が必要でございます。これをどこから持ってくるか。すなわち諏訪湖流域でございますと、先ほど大臣の話にもありましたように、ゼロからスタートしたようなところでございます。どこか中心で下水道をやっていてそれがにじみ出していったという状態でなくてゼロからスタートしたということで、業者の育成がまだ不十分な点がございます。したがいまして、われわれとしても業者の育成について市町村の指導をいたしておるところでございますが、御指摘のようになるべく早くこの取りつけが行われるように、技術力を持った業者を育成するように今後も指導してまいりたいと思います。  それから、そういうことによって一体諏訪湖はきれいになるかという問題でございます。  御承知のように諏訪湖流域下水道というので、諏訪湖をぐるっと取り巻く道路に幹線の下水道を入れまして、それへ全部周辺の市街地からの汚水を取り込むようになっていまして、その汚水は全部処理場に集まってまいりまして、その処理場できれいにして、そのきれいにされた水は諏訪湖の出口であります釜口水門の方まで持ってまいりまして、そこへ出すようにいたします。さらに将来計画として、その流域下水道には三次処理計画を持っております。御承知のように、湖の水理というのは非常に複雑でございまして、それらの下水処理状況、あるいは下水道ができましても農地とか山林から自然に出てくる燐等がございますので、それらによる影響度合いを考えながら三次処理を実施していきたいと思っております。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 非常に抽象的なことなんですが、終末処理場が昨年の十月一日から始動して、これも当初目標の一万五千トンが六千トンしか入らないという状態です。そして、燐の濃度が琵琶湖の北の約百倍、霞ケ浦の約二十倍、それから透明度が琵琶湖の北の十八分の一、霞ケ浦の二・五分の一、こういうものがいまの下水道計画によって、これも総額六百二十億ぐらいかかるのですから大事な国費を投下するわけなんですが、これが完成するまでにはこれから十二年たたなければいけない。改善する見込みは専門家の皆さんにありますか。正直に言ってください。あそこの湖水はもう死んじゃった湖水で、一応いまのような状態をこれ以上悪化させないためにやるというつもりなんですか。それとも燐の含有量が、琵琶湖の北の百倍もあるようなものが同じようになるのですか。六百二十億もの大きな金をつぎ込むには重大な責任がありますので、地元の国会議員としても関心を持たざるを得ないわけですね。それでお聞きしているわけですよ。
  151. 遠山啓

    ○遠山説明員 諏訪湖の浄化のためには、御指摘のように下水道整備のほかに農地だとかあるいは山林等から直接流入してまいります燐というのがございます。これがおよそ三〇%程度であろうというふうに推定されておりますが、そのほか湖底にいままで堆積いたしましたヘドロをしゅんせつするというようなこと等をあわせまして総合的に対策を立てますと、諏訪湖はきれいになるというふうにわれわれは考えておりますので、われわれ下水道の側といたしましては諏訪湖に決められております水質環境基準を守ろうということで、それを目標に現在努力しておるところでございます。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかちょっと抽象的でわからないのですが、そうするとヘドロのしゅんせつはやっと一割、これは新聞で見たところです。実際一割しゅんせつしたということですが、この事業は継続するということでお聞きしておいていいわけですね。  それから諏訪湖へ流れ込む、農村地域や山村から流れ出してくる川の水質の汚濁を浄化していく、これはどういう方法でやるというのですか。
  153. 遠山啓

    ○遠山説明員 自然に山林農地から山てまいりますのはわれわれいかんともしがたいと思います。したがいまして、そちらの方の措置が何らかあろうかと思いますが、農村集落につきましては、特定環境保全公共下水道というような、先ほどお話のありました小さな規模の公共下水道事業で実施をしてその汚水をきれいにしていこうというふうに思っております。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 せっかく農水省においで願っておりますが、農水省としては農村地域の、いま言った諏訪湖へ流入する河川の浄化も一つ入るわけですが、農水省の管轄の下水道事業というのは何種類あって、大体どういう規模でどういう補助率でやっておりますか。私の方では、モデル事業と農村基盤整備事業に付属する下水道事業とその特例の三つ、これは部屋へ来て説明願ったときメモしたのですが、ちょっと公に記録にとどめておきたいと思います。
  155. 須藤良太郎

    ○須藤説明員 お答えいたします。  いま先生おっしゃられるように、農林水産省でやっております事業は、農村総合整備モデル事業、これは昭和四十八年度に創設いたしまして一地区の標準事業費は約十五億円、国の補助率が五〇%、それと農村基盤総合整備事業、これは昭和五十一年度に創設いたしまして規模もずっと小さくなりまして、標準事業費が一地区四億円、補助率が国費五五%、それからこの農村基盤総合整備事業の中に特例地区というものを設けまして、いま申し上げました総合整備事業は基盤整備なり環境基盤整備、いろいろやるわけですけれども、特に集落排水施設に限って行うというのが特例地区でございます。  したがいまして、そういう意味からは、先生おっしゃるように三種のタイプがございます。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 建設省との関係がありますので調整が必要だと思いますが、大体いまの三つの方式、来年度は何カ所ぐらいずつこれを予定しておりますか、個所づけは。
  157. 須藤良太郎

    ○須藤説明員 はっきりはわかりませんけれども、いま申し上げた事業は集落排水施設を含まない事業が大部分でありまして、集落排水施設を含む事業といいますと、いままでの実績から申しますと、モデル事業ですと大体十数地区、それから農村基盤総合整備でもやはり十地区で、特例地区を大体六地区程度考えております。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 両方合わせて二十カ所程度ということなんですね。  国土庁長官、お見えになっていますから、手持ちぶさたでお気の毒ですから、ちょっとお尋ねします。  国土庁から出ました「重点事項説明」の中には、下水道というそのものずばりでは出ておらないのですが、当然国土庁でも下水道のことは考えておられると思います。それが含まれていると思われるところは「農村総合整備の推進」という項目がパンフレットの二十四ページにありまして「農村地域における生活環境等の整備を図り、人口定住を促進するため、農村地域の環境整備の状況、整備の目標、方法等に関する調査検討、農村定住区の整備を引き続き進める。また、農村地域の生活環境と生産基盤の総合的な整備計画の策定を推進する。」この中の農村の総合整備計画の中に「農村地域の環境整備の状況」を改善し「農村定住区の整備を引き続き進める。」こういう中に下水道関係も含まれていると思うのですが、国土庁の所管の下水道事業というのはどういうティピカルなものがあって、そしてそれはどういうような補助率で、どうやっていくのですか。何かありますか。
  159. 四柳修

    ○四柳政府委員 いま林先生ごらんの二十四ページのところでございますが、先ほど農林水産省の方から御説明ございました農村総合整備事業事業費の方は農林水産省が組んでございまして、その事業を実施するための個々の個所の計画策定費なり調査費が私の方に組んでございます。ということで、いまごらんのところ、ちょうど両方含めまして広義の公共事業になっておりますけれども、そういう意味で、事業費予算は私どもの方にはございません。私の方で計画を組んで、それを農林水産省の方で事業で御実施になる。中身は先ほど申し上げました、一地区十五億の平均二分の一の補助率ということでございます。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、マスタープランはあなたの方でつくられるわけですね。定住圏構想だとかいろいろつくられるわけです。その中で、農水省の方で、ここは農林水産省所管の下水道をつくりましょうというようにピックアップして、そしてそこへ下水道をつくる、それをおたくの方と相談しながらやっていくということになるわけなんですか。それで、ただしおたくの方は、そういう計画は立てるけれども別に予算は持ってないのだ、予算の補助は農水省から出させるのだ、こういうことになるわけなんですか。それともしわかりましたら来年度どのくらいの予定かですね。
  161. 四柳修

    ○四柳政府委員 前段の点でございますけれども、この計画をつくりますのは実は各県の担当部局の方で関係市町村からいろいろ実情をお伺いしまして……。ですから、先ほど農水省の方から御答弁がございましたように、私どもの方は計画策定費の地区数としまして五十五年度八十五地区、それから五十六年度が九十地区の要求をしておりますけれども、その中で具体的にいま例に挙げられました農村関係の下水道事業をモデル事業でおやりになるところはせいぜい十地区ぐらいというお話でございまして、そういう意味で、私の方は計画策定費の補助金が組んでございまして、そのできました事業を農林水産省の方に計画ごとお渡しするという形でございます。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  それでは、もう一度諏訪湖の方へ戻りたいのですが、問題は、旅館、工場などの大口事業所の接続がおくれていることに対して行政的な指導とかあるいは規制とか、そういう条件が完備して三年間に水洗便所にしなければ二十万の罰金とかなんとかというのが普通の家庭にありますが、こういうところを規制することはできないのでしょうか。接続率二六%を向上させるためにはここがネックになっているというふうに新聞でも書いているのですが、これを何とか促進させる方法はないのですか。
  163. 遠山啓

    ○遠山説明員 現在大きな工場とかあるいは旅館等につきましては水質汚濁防止法による水質規制がかかっておりまて、それが遵守されておるものと思います。その地域に下水道を敷設した場合に、先ほど申し上げましたような告示という行為を行いまして、これに取りつけなさいということを指導するわけでございます。したがいまして指導の強化ということが重要であろうかと思います。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、どうぞそこで。  告示をして、それでなお接続しなければどうすればいいのですか。
  165. 遠山啓

    ○遠山説明員 これにつきましては強制的に取りつけの行為をさせるわけでございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう権限あるのですか。
  167. 遠山啓

    ○遠山説明員 下水道法に速やかに取りつけるということがありますし、その中でも特に水洗便所等につきましては、告示されてから三年以内にやりなさいという……
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 問題は工場の排水ですね、それが接続されない場合、それを促進させる方法はあるのですか。
  169. 遠山啓

    ○遠山説明員 現在水質汚濁防止法で許されている範囲内であろうかと思いますので、工場側とその点につきましてはよく打ち合わせをいたしまして行政指導で取りつけるということに相なります。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、家庭には、あなたの言うように三年間にやらなければ二十万の罰金とかなんとかありますね。そうすると、工場の方の排水は水質汚濁防止法によって流し出す水は一定の水質を保たせなければいけませんけれども、しかしその水を公共下水道の方へ接続するのをさぼっていてなかなかやらない、金がかかるからやらない、生産設備でないからそういうことはやれませんと言う場合にどうしたらいいのですか。
  171. 遠山啓

    ○遠山説明員 われわれとしましては融資の道等を開いておりまして、それによりまして取りつけが可能なように、工場側に融資をするというようなことを行って取りつけを促進しております。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 家庭には罰金制度まであるのに、工場の方には金を貸してやって何とかやらせるというのはおかしいのじゃないですか。何か強制力がなければ、そういうところが抜けてしまえば、接続率はいつまでたっても上がるはずないじゃないですか。ことに諏訪なんというのは御承知のとおり精密工場がずっとあるわけですね。そこの工場の排水は水質汚濁防止法で水質は一定の水質にしているかもしれません、善意に解釈すれば。しかし、それは公共下水道に接続しなければいかぬじゃないですか。それがしてないから二六%でとまっているというのですから。  それと、もう時間がありませんが、これは県の方の仕事ですが、ヘドロのしゅんせつというのは一応ことしで終わるのですが、さらに県の方を指導して続けさせるおつもりですか。
  173. 遠山啓

    ○遠山説明員 後者の点につきましては私ちょっと所管でございませんのでわかりませんが、第一点につきましては、市町村を督励いたしまして速やかに取りつけるように行政を指導したいと思います。
  174. 小坂忠

    小坂政府委員 お答えいたします。  諏訪湖の汚泥しゅんせつでございますが、今年度までで一応の当初の計画は終わりますが、まだ工事が大変残っております。ただ、あるいは先生も御存じかと思いますが、しゅんせついたしましたどろの処分が、いままでは堤防をつくりましてその中へ埋められたわけでございますが、今後、残っております膨大な量、これをどう処理するかということが実は非常に重大な問題になっておりまして、それらにつきまして県当局でもいまいろいろ検討中である、それで事業は進めたい意向を持っておるようであります。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、いまもお聞きのようにいろいろのネックがあって、私自分の選挙区の諏訪湖のことばかり聞いて恐縮ですが、全くひどいのですよ。さっき私がお読みしたように、悪臭ふんぷんとして、温泉街だというけれども、ここへ一度来た人はもう二度と来ないと言っているわけですね。それで、燐が琵琶湖の北岸の百倍、それから霞ケ浦の約二十倍ですか、透明度は十八分の一とか二・五分の一とかというような状態ですが、この総事業費六百二十億の流域下水道、公共下水道によってこの諏訪湖がよみがえるのか。これは科学的な要素がいろいろありますから、政治家である大臣に聞いても、それはよみがえりますよと大体言うのじゃないかと思うのですよ。想像はつくのですが、率直に言ってどうなんですかね。もし専門家に十分検討させるならさせるでいいですし、あなた、政治家だから、余り科学的なことは……。
  176. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 私もよく昔の諏訪湖は知っております。いま先生お話を聞いて驚いているわけであります。そこまで汚染が進んでおるかということであります。琵琶湖の百倍、霞ケ浦の二十倍というと大変なことなんですね。建設省は下水道関係所管でございますので、何とか所管につきましては計画を遂行、執行中の事業については積極的に前向きで進んでまいりたいと思います。所管外のことにつきましては余り言及するのはどうかと思いますけれども、これは皆さんで知恵を働かして、学者方々の御指導を仰ぎながら、あのすばらしい諏訪湖を何とかこれ以上汚染させない、よみがえらせるためにやっぱりみんなで総合的に考えるべきことじゃなかろうかと思います。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問はこれで終わりますが、すばらしい諏訪湖と言っていただいて非常にありがたいのですが、夏一度来ていただくとそれがそのまま続くかどうか、ひとつ来年の夏あたり来ていただきたいと思います。  それで、驚いたというのですが、「主要湖沼の全燐濃度と透明度」というのが環境庁から出ているのですが、諏訪湖は余りひどいものだから出ていないのですよ。この一番ひどいのが霞ケ浦なんですが、こんなにもなりますものですからもうグラフへ書き切れないのですね。透明度ももうここでいっぱいでグラフに書き切れない。こういうものが出てきていますから、参考までに見ていただいて、ひとつ適切な行政指導をしていただきたい。これだけお願いして私の質問を終わります。      ————◇—————
  178. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、先刻付託になりました農住組合法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。原国土庁長官。     —————————————
  179. 原健三郎

    ○原国務大臣 ただいま議題となりました農住組合法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近における地価の動向を見ると、大都市地域の住宅地を中心に上昇傾向にありますが、これは、交通体系の整備、公共事業の進捗等による住宅地としての効用の増によるもののほか、根強い住宅地の需要に対して供給が不足していることが主因であると考えられます。このような状況を踏まえた今後の土地政策の基本的な課題は、長期的には、大都市地域における人口と産業の集中を抑制し、他方、地方への分散を促進することにより国土の均衡ある発展を図ることであり、当面の緊急な課題としては、大都市地域を中心として、引き続き投機的な土地取引の抑制に努めるとともに、特に宅地の供給を強力に促進することが必要であります。  このためには、現在講じております各般の宅地供給のための施策の拡充強化を図ることが必要でありますが、これらと相まって、主要な宅地供給源であり現在大都市地域の市街化区域内になお相当大量に存在する農地について、必要に応じて当面の営農の継続を図りつつ住宅地等への円滑かつ速やかな転換を図ることが必要であると考えられるのであります。  このような見地から、大都市地域の市街化区域内農地の所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行うための組織として農住組合の制度を設け、その組織の事業活動を通じてこれらの者の経済的社会的地位の向上と住宅地及び住宅の供給の拡大を図ることとした次第であります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、農住組合は、組合の地区内の市街化区域内農地の相当部分を含む一団の土地について、良好な住宅地等の造成を目的とする土地の区画形質の変更等を行うとともに、組合員のために住宅の建設等を行うこととしております。また、これらとともに、利便施設の建設、土地の譲渡、土地に関する権利の交換分合、組合員の当面の営農上必要な共同利用施設の設置及び管理、客土、暗渠排水、農地利用規約の設定等の事業を総合的かつ一体的に行うことができることとしております。  さらに、これに伴い、農住組合は、土地区画整理事業及び土地改良事業を施行することができることとし、土地区画整理法及び土地改良法の適用に関し所要の規定を整備することとしております。  第二に、農住組合は、当面農業上の利用が継続される一団の営農地等に属する農地について所有権または使用収益権を有する組合員で当面の営農の継続を希望するものの合意により、農地利用規約を定め、市町村長の認定を受けることができることとするとともに、農地利用規約の目的を達成するため必要があると認めるときは、組合員以外の者で当該一団の営農地等に属する農地について所有権等を有するものと、農地利用規約と同一の内容を有する契約を締結することができることとしております。  第三に、農住組合の組合員たる資格を有する者は、地区内の土地について所有権または借地権を有する者及び地区内の農地について所有権以外の使用収益権を有する者とし、組合員は出資する義務を負うほか、組合員のうち所有権者及び借地権者は各一個の議決権及び役員の選挙権を有することとしております。  第四に、農住組合を設立するには、大都市地域の市街化区域内農地について所有権を有する者四人以上が発起人となり、定款及び事業基本方針を作成し、都府県知事の認可を受けなければならないこととしております。なお、この認可の申請を行うことができるのは、この法律の施行の日から十年を経過する日までといたしております。  第五に、定款に定める組合の地区は、原則として一定規模以上の一団の市街化区域内農地を含む一団の土地の区域であり、市街化区域内農地の面積が地区面積の大部分を占めるものでなければならないこととしております。また、事業基本方針には、地区内において、組合員の当面の営農の継続を図りつつ市街化区域内農地を住宅地等へ転換するために組合が行う事業の種類及びその実施の方針等を定めることとしております。  第六に、組合は、農業団体等に対し組合の事業に関し必要な助言または援助を求めることができることとするほか、国及び地方公共団体は、組合に対して、その事業の施行の促進を図るため必要な助言及び指導を行うことができるものとしております。  第七に、管理、解散及び清算、監督、罰則等に関する規定を定めることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  180. 稲村利幸

    稲村委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会      ————◇—————