○
山花委員 関連いたしまして
質問を先に進めたいのでありますけれども、いまの
お話でも触れられた賃貸
住宅関係の問題点、そしてこの五年間の実態
調査にあらわれた傾向をどのように踏まえて新しい五カ年
計画を立てるか、ここでの問題でわが党の
考え方と最も対立する問題点ということで伺っておきたいと思います。それはいわゆる持ち家政策を
中心とした問題点であります。
実は新しい五カ年
計画の策定に当たりましても、今年夏の
住宅宅地審議会の答申の基本的
方向を踏まえてとされているわけですが、この五十五年七月の答申も基調は持ち家政策であり、当面は賃貸
住宅、ここに力点を置く、こういう内容になっているのだと思います。
全体を細かく分析するだけの時間的余裕もありませんけれども、私どもいただいている白表紙の資料によりますと、まず冒頭におきまして着工
住宅の内容についての
住宅供給の動向が指摘されているわけですが、ここでは持ち家と分譲
住宅を合わせた持ち家系
住宅は着工戸数の七割となり、四十年代の五、六割に比べて増加を見せていると全体の動向がまず指摘されます。そうして
国民の側の準備といたしましても、二ページに入りますと、
国民の持ち家取得のための貯蓄
努力が大変大きくなっているということについてのかなり詳細なデータを含めての指摘がなされます。もっともここでは持ち家
計画のある世帯の貯金保有額は五百十七万円という金額にされているわけでありますから、貯蓄
努力の成果がここの水準にあるとするならば、現実には
土地を取得して建物を
建設するためにはかなりの借金をしなければならないということにもなるのでしょうから、この貯蓄
努力をストレートに持ち家志向傾向の大変重要な資料とこの答申から見ることは私はいささか問題があるのではないかと
考えますけれども、答申ではそうした基調に立ちまして三ページに、いわばそのまとめということになるでしょう、
住宅の改善
計画の内容について見ると、改善
計画を有している世帯のうち、新築・購入等持ち家系による改善を
計画する世帯は全体の九二・一%と大半を占めて、かつての
調査よりも増加している、また現在借家に居住している世帯に限っても持ち家系による改善を希望する者が全体の八〇・七%に達している、こういう形で
国民の持ち家志向が大変強いことを強調されているわけであります。
そうして、こうした全体の持ち家政策
中心の答申となり、当面の問題として公的賃貸
住宅の
建設についてもと、こうした結論になっているのではなかろうかとこの答申について私は拝見したわけであります。十一ページ、公的援助による
住宅供給の基本的な
考え方の
部分については、いま私が申し上げました内容が整理されている、このように
考えます。
さて、そこで、果たしてそうなのかというのが実はわれわれの疑問であるわけでありまして、この答申の中で、持ち家志向の
国民の数が
住宅改善
計画というところから見ますと九二・一%と大半を占め、現在借家に住んでいる人でも八〇・七%に達しているというのが五十三年の「
住宅需要実態
調査」による
実情だということですが、実は、先ほど
局長も触れました内閣広報室の世論
調査につきまして、過去の世論
調査の動向ということで判断いたしますと、その回答に大変大きな差があるということに気がつくわけであります。私もこの内容の分析がまだ不十分でありますので、いずれまた
住宅基本法の機会に譲りたいとも思いますけれども、最近ですと、四十九年の
調査、五十三年の
調査、五十五年の
調査とほぼ同趣旨の設問、これに対する回答ということで当たってみたわけでありますけれども、どの資料を見ましても持ち家
計画についての結論が大変違うわけであります。
たとえば、五十三年の三月の世論
調査によりますと、持ち家居住者及び借家居住者それぞれにつきまして
住宅計画の設問をしておりますけれども、たとえば持ち家居住者につきましても、
計画なしというのが四九%、わからないを含めると五〇%を超します。すなわち、
計画を持っている人は五〇%おらないわけであります。借家居住者につきましても、やはり同じ傾向でありまして、
計画を全く持っていない人が四九%、わからない七%を含めますと五六%で、半数以上は
計画を持っていないという、これが内閣広報室での世論
調査の結論であります。直近のものとしては、五十五年九月に、九月号におきまして、大
都市地域の
住宅宅地取引を
中心とした世論
調査が出ているわけですが、この十ページから十二ページにかけまして同じ問題についての設問があるわけですが、将来の
住宅計画につきまして、持っている、持っていないの数字でありますけれども、大体基調としては五十三年と変わらないというのが世論
調査の動向であります。したがって、五十三年の実態
調査によりましては先ほどの八〇%、九〇%という数字が出されているようですが、内閣広報室の
調査とは大変な違いがあるということであります。
そういたしますと、この面について額面どおり受けとめてよろしいのかどうかということが実はわれわれの疑問として出てくるわけでありまして、時間の
関係からもう一言二言つけ加えますと、そうした各統計資料ということにつきましては五十三年の実態
調査が
中心となるということは当然だと思いますけれども、さらにこうした内閣広報室の世論
調査の動向、そうしたものについても視野を広げるべきではなかろうか、そうした中で、今日これだけ持ち家志向が強いというこの結論につきましても、若干の修正を必要とするのではなかろうかと思うのですけれども、この点について御見解を伺いたいと思います。