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1980-10-15 第93回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年九月二十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 伊賀 定盛君 理事 木間  章君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       大野  明君    鹿野 道彦君       金丸  信君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       中村  茂君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    林  百郎君       甘利  正君 ————————————————————— 昭和五十五年十月十五日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       大野  明君    鹿野 道彦君       金丸  信君    鴨田利太郎君       桜井  新君    谷  洋一君       中西 啓介君    堀之内久男君       村田敬次郎君    井上 普方君       山花 貞夫君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         建設省住宅局参         事官      松谷蒼一郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   加藤  晶君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省主税局調         査課長     滝島 義光君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         厚生省環境衛生         局企画課長   山内 豊徳君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   小島 幹生君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   石田  寛君         消防庁消防課長 野沢 達夫君         消防庁危険物規         制課長     椎名  泰君         住宅金融公庫理         事       篠田 信義君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     新野喜一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大竹 達哉君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   中谷 善雄君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    国塚 武平君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山本 成美君         参  考 人         (地域振興整備         公団理事)   中村  清君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     武田 晋治君         参  考  人         (日本下水道事         業団理事)   上田 伯雄君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員異動 十月八日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     山花 貞夫君 同月九日  辞任         補欠選任   小野 信一君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     小野 信一君 同月十一日  辞任         補欠選任   井上 普方君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     井上 普方君 同月十五日  理事伊賀定盛君同月八日委員辞任につき、その  補欠として中村茂君が理事に当選した。     ————————————— 十月十三日  国立療養所邑久光明園及び長島愛生園所在の長  島、本土間架橋に関する請願(山田太郎君紹  介)(第四〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第一六五号)  同(菅直人紹介)(第一六六号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一六七号)  同(矢山有作紹介)(第一六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、理事中村茂君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  一、建設行政基本施策に関する事項  二、都市計画に関する事項  三、河川に関する事項  四、道路に関する事項  五、住宅に関する事項  六、建築に関する事項  七、国土行政基本施策に関する事項 以上七項目について、建設行政及び国土行政実情調査し、その運営を適正ならしめるため、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めるため、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 稲村利幸

    稲村委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として、日本住宅公団理事有賀虎之進君、日本道路公団理事新野喜一郎君、日本道路公団理事大竹達哉君、日本道路公団理事持田三郎君、首都高速道路公団理事中谷善雄君、水資源開発公団理事国塚武平君、本州四国連絡橋公団理事山本成美君、地域振興整備公団理事中村清君、宅地開発公団理事武田晋治君及び日本下水道事業団理事上田伯雄君の御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  8. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、建設大臣及び国土庁長官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。斉藤建設大臣
  9. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 この際、今後の建設行政推進するに当たっての私の基本的な考えを申し上げたいと存じます。  わが国をめぐる現下の厳しい内外情勢のもとで、国民が平和で安全で快適な、そして潤いのある生活を営めるようにするとともに、経済の活力を保ちつつ、内需を中心とする安定的な成長を持続することを目標として、次のような諸施策中心に、建設行政推進を図る所存であります。  すなわち、第一に、社会資本整備に対する国民需要の増大と多様化等に対応するため、公共投資計画的な推進を図ることであります。  第二に、国民すべてが良好な住生活居住環境を享受し得るよう、住宅宅地対策を総合的に推進するとともに、国民の大部分都市に生まれ、生活を送る本格的な都市化社会形成されつつあることにかんがみ、都市整備を強力に推進することであります。  第三に、国土の均衡ある発展と魅力ある地域社会形成を図るため、その基盤となる交通網整備国土の保全、水資源開発等計画的に推進することであります。  このほか、建設業振興不動産業近代化国際技術協力等につきましても、鋭意その推進を図ってまいります。  以上、いずれをとりましても国民生活に直結する重要な施策でありますので、これを積極的に推進してまいる所存でありますが、この場合におきましては、特に適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手
  10. 稲村利幸

  11. 原健三郎

    原国務大臣 国土行政を進めるに当たって、その基本的な考えを申し上げたいと存じます。  狭い国土、乏しい資源の中で、二十一世紀初頭には約一億三千万人を超えると見込まれる国民が健康で文化的な生活を享受していくためには、国土の均衡ある発展を図り、住みよい国づくり地域づくりを進めていくことが不可欠でございます。このため国土行政役割りはますます重要となってきております。国土庁はこの国土行政総合調整官庁としての役割りを担っております。  私といたしましては、第一に、第三次全国総合開発計画の柱である定住構想積極的推進を図ります。第二には、適正な土地利用を促進し、地価の安定を図るための総合的土地対策推進をいたします。第三は、総合的な水資源対策推進、第四には首都圏近畿圏及び中部圏整備推進であります。第五は、地方振興推進、第六は、災害対策総合的推進であります。これらの当面の重要課題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  何とぞ委員長初め各位の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  12. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木間章君。
  13. 木間章

    木間委員 いよいよ八〇年代に入りまして、いま斉藤建設大臣原国土庁長官からも、国民生活をさらに前進させるための決意が述べられました。私もそういう点での御協力をこれから積極的に申し上げていきたいと存ずる次第であります。そういった意味で当面する幾つかの問題について一般質問を申し上げますので、それぞれ簡潔にして明快な御答弁お願い申し上げる次第であります。  まず、質問の第一点でございますが、さきの九十一国会建設委員会の所管する法案も多く成立をしたところであります。そしてそれぞれの法案はきわめて重要な中身を持っておりましたので、同時に、施行に当たりましての附帯決議もそれぞれの官庁に要請をされたところでもありました。その附帯決議につきまして、どのように処理をし、あるいはまたこれからされようとしておるのか、若干のお尋ねを申し上げたいと思うのです。  明日香保存法についてでありますが、きょうは担当のところからの出席を求めておりませんでした。きわめて残念でありますが、重要な中身を持っておったのでありますが、一応次回に譲らせていただきたいと思います。  公営住宅法の一部改正の問題でございましたが、さき国会での改正は、あるいは身体障害者なりあるいは一人生活者を積極的に入れていこう、こういう中身を持っております。この法案につきましては、わが党も毎年予算要求時に建設大臣以下に御要望申し上げてきたところでありまして、今回の改正でそのことが実現を見るに至りまして、大変御同慶に存じておるところでありますが、その問題について、二、三、お尋ねをしたいと思います。  住宅ストック不足あるいは困窮者の多い現状から見まして、公共賃貸住宅建設についてはこれからもより一層の努力をしていただかなければならないところでありますが、さきの五カ年計画ではその達成はまだまだ不十分だと私たちも申し上げてきたわけであります。この改正を契機にさらに努力をされるでありましょうし、期待をするものでありますが、そうした中では、いま国土庁長官もおっしゃられたのでありますが、土地の取得についてはかなり厳しいものがあるわけであります。ですから、自治体の今日の用地確保についての財源難も御承知のとおりでありますが、ぜひこの問題についてこれからも建設省は思い切った投資をいただけるように、附帯決議でも言っておるわけでありますが、その方向についての所見をまずお伺いを申し上げたいのであります。
  14. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅需要についての御所見、全くそのとおりであります。  建設省といたしましては、特に住宅難を解決する上で一番重要な問題は宅地対策でございます。御案内のような宅地需要に対応するだけの宅地環境というものがなかなか思うように進んでおらないのが事実でございます。昨日も予算委員会で御質問があったわけでありますけれども、宅地開発公団等々を通じ、あるいは地方公共団体等関係方々の御理解をいただきながら、なお積極的にこの宅地問題を解決しながら、特に勤労者方々住宅需要について前向きで進んでまいりたい、このように考えております。
  15. 木間章

    木間委員 ぜひそのようにお願いを申し上げたいのであります。  次に、これからは建てかえ事業を積極的にやっていこう、こういうこともすでに取り組まれておるところでありますが、その際にどうしても心配になるのは家賃のはね上がりであります。この問題につきましても、激変緩和をぜひやってもらいたい、このようにも附帯決議が言っておりますが、いまお考えになっておる施策について所見をただしたいと思うのであります。
  16. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたとおり、今後の公営住宅につきましては、建てかえによりましてその戸数の増を図り、居住条件を改善していくことが重要になってまいります。その際に、お話がありましたように、家賃激変緩和ということも進めてまいらなければいけないと思っておりまして、五十六年度の概算要求につきましては、こういった建てかえ住宅に移行することを円滑に進めるために国費四億円余り、あるいはまた公営住宅改善円滑化のための助成金といたしまして一億四千万円余り要求をいたしております。こういったようなことによりまして円滑に推進できるように図ってまいりたいと考えております。
  17. 木間章

    木間委員 いま一つお尋ねをしたいのでありますが、単身者入居国民の皆さんも大変歓迎をされておるのでありますが、やがて五年、十年後の状況考えてみますと、スラム街になる中身を持っておるのじゃないだろうか、そういった意味での委員会での議論もあったわけであります。特に身障者の単身入居についても大変心配されるところであります。とりわけその中で問題になるのは、車いす利用者等々の単身入居の場合に、いまの公営住宅構造では対応し切れない。そういった意味での改善事業も進められてきたところでありますが、その改造を進めるに当たっての今日の現状あるいはそれに対する国の財源自治体にどのように処置をされておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  18. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御承知のとおり、従来から心身障害者方々のためには特定目的公営住宅建設を進めてまいっております。その際の構造につきましては、具体的にそれらの方々の症状の程度、そういったものとか、あるいはまた、利用のあり方、家族構成等によりまして個々具体構造等につきましては配慮しなければいけない点があるかと思います。そういったようなことにつきましては、従来とも関係公共団体につきまして適確に対応できるように指導してまいっております。
  19. 木間章

    木間委員 局長、ただいまの答弁でもう少し食い足らない面があるのですが、特に自治体に対する、設置者に対する財源の手当てが大事だろうと思うのです。そういった意味での財源処置をも同時に強力に取り計らっていただきたいことを御要望申し上げておきたいと思います。  次に、道路問題で若干御質問をさせていただきたいのでありますが、最近の主要地方道などからの国道への昇格といいましょうか、国道指定状況を調べてみますと、昭和四十四年十二月に七十一件追加指定がされ、引き続いて四十七年四月に五件、四十九年十一月に七十三件といわゆる主要地方道からの昇格がなされておるわけであります。つまり建設省は五年ないし六年に一回、国道状況を点検をされながら全国網の確立のために国道昇格をやっておいでになる、私はこのように見ておるわけでありますが、道路局長さん、そのような見方でいいのでしょうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  20. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お話のありましたとおり、従来からおおむね数年置きに国道昇格を続けてきているわけでございます。将来のわが国幹線道路網体系というものを考えておりまして、国道はいまのままではまだ不足であるという考えでございます。したがいまして、既往に昇格をいたしました国道がある程度整備されました段階になりますとまた次の昇格考える、こういうことで、なお今後とも続けてまいりたいと考えております。
  21. 木間章

    木間委員 一番近い時点での昭和四十九年に指定をされましてからすでに六年間経過をしておるわけであります。ですから、ただいまの局長答弁などから判断いたしますと、いまその時期に直面をしておるのではないだろうか、このように私は受けとめております。  そして同時に、今日、地方では国道昇格要望が大変高まっております。先ごろ国土庁でまとめられましたモデル定住圏計画の骨子を見てまいりますと、四十圏域全部が特別事業計画道路整備事業を挙げている現状がありましょうし、また、地方道改良面舗装面国道と比較いたしましても、特に市町村道では格段の開きがあるということでありましょう。  そういった意味では、当然財政上の問題もありますが、私は財政上の問題だけでの地域要望ではなかったと思うのです。特に技術面での指導、積極的な協力もこの中には含んでおると私は見ます。  一つの例でございますが、いま富山県から陳情されております富山氷見羽咋線は、富山市を起点に新湊市、高岡市、氷見市、そして石川県の羽咋市に至る六十キロに及ぶものであります。この道路は、もちろん市街地も通過をしておるわけでありますが、山あり川あり、多くの部分海岸線と切り立ったがけっ縁の狭いところを通過をしておる。こうなってまいりますと、財源上の問題よりもむしろ技術面での国の積極的な指導が待たれると私は思っておるわけであります。ですから、いま全国的にその機運が高まっておるのでありますが、それぞれの地方でそのような悩みを抱えておる、同時に、その道路市町村を連絡する幹線道路網でもあって、交通量が日増しに頻繁さを増しておる、こういう状況でありますから、強力にそれらを進めておる現状もお互いにうかがい知れるところであります。ですから、そういった意味でのいま進められております作業内容なりあるいはいつごろその見直しをされるのか、特に建設大臣に所信をお尋ねしたいと思うのであります。
  22. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的な個所づけの問題でございます。道路局長から後で詳しく答えさせますが、国道昇格につきましては、いませっかく検討中でございまして、個々の問題についてはまだ結論を得ておりません。いまお申し出路線につきましても、当然対象路線として考えていく問題であろうかと思いますので、具体化方向の中で明確にお答えできるのじゃなかろうかと思います。  なお、足りないところにつきましては、補足的に道路局長からお答えさせていただきます。
  23. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 大臣からお話のございましたように、国土の均衡ある発展に資する高速自動車国道整備の進捗に伴いまして、これと一体となって機能するような国道網形成であるとか、あるいは地方における自動車交通役割りが非常に増大してまいっておりますので、新たな交通需要に対応する国道網形成、それから国土庁長官からもお話のございましたような地方生活圏定住圏を確立するために交通広域化に対応する国道網形成といったような視点からただいま検討を進めてまいっておるところでございます。  したがいまして、全国から非常に数多くの御要望をいただいておりますが、先生お話富山氷見羽咋線もそのうちの一つでございます。道路法国道指定要件等もございますし、こういったものを満たすかどうか、あるいは適正な国道の網を形成するものであるかどうか、相当の交通需要が見込まれるものであるかどうか、こういったことにつきまして現在検討を進めてまいっておるところでございます。お話しの線につきましても、全国的な調査の一環としてそういった検討を続けている最中でございます。
  24. 木間章

    木間委員 道路の問題でいま一点お尋ねをしておきたいのでありますが、特に地方道整備状況はこれからだという表現が私は適切だろうと思うのであります。たとえば道路改良状況のことですが、一般国道ではすでに九〇%近い達成率を示しております。都道府県道では六〇%ですが、市町村道に至っては二六・七%と改良が大変おくれておるということであります。御案内のとおり、特に市町村道地域住民に直結する生活道路でもありますから、この改良面においてもより進めていかなければならないのは当然でありましょう。舗装面においても同様に市町村道については三八・五%の状況であります。したがいまして、いま申し上げました地方道からの昇格もさることながら、特に地方道市町村道整備について財源処置を思い切ってやっていただかなければ成果が上がらないのじゃないだろうか。おくれればおくれるだけ地域住民が難渋をするわけでありますから、その点についての道路局長決意お願い申し上げたいと思うのであります。
  25. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 地方道の現況につきましては先生からもいろいろお話があったところでございまして、いわゆる生活基盤づくりということに対しましてまだまだ整備が十分でない実情でございます。  そこで、特に地方部につきましては自動車交通が果たす役割りがかなり大きいわけでございまして、道路整備が急務であるわけでございます。このために、現在行っております第八次道路整備五カ年計画におきまして、地方におきましてはバス路線整備であるとかあるいは木橋、老朽橋のかけかえ、交通不能区間の解消、こういった生活基盤整備を積極的に推進したいと考えております。  なお、御参考までに申し上げますならば、五十六年度の要求につきましては大変厳しい枠が課せられていたわけでございますが、この中でも市町村道の伸び率はほかのものよりも相当上回った要求をいたしておるところでございます。また、バスが唯一の公共輸送機関であるような地方部につきまして、定住基盤整備に資するため一定の整備計画に基づきまして生活幹線バス路線整備事業というようなことを五十六年度から始めたいという要求もいたしておるところでございます。御指摘のように十分意を用いて進めてまいりたいと考えております。
  26. 木間章

    木間委員 次に、静岡駅前爆発事故と、これに関連いたしまして若干お尋ねをしておきたいと思うのであります。  去る八月十六日に発生した静岡駅前ゴールデン地下街の爆発事故は大変悲惨な実態でありました。また、悲惨さばかりではなくて、災害は忘れたころにやってくるといいましょうか、お互いにすきがあったところへやってきたんだろうと私は思っておるわけであります。  そこで質問に入る前に、亡くなられた方々とその遺族、そしていまなお事故の恐ろしさと障害によってその苦痛と闘っておいでになる方々に対しまして謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げたいのであります。  それで、この惨事の最大の原因は地下街を中心とする防災機能のもろさと日常のガス保安対策と事故に対応するまずさが指摘されるのであります。都市、とりわけ繁華街での火災、ガス爆発事故のこれまでの教訓を行政当局やあるいはガス供給者が生かしてこなかったものであろうときわめて残念でなりません。そうした意味でのこの事故は、天災とか不慮の災難ではなくて明らかに人災と言えるものでありましょう。したがいまして、今度の事故でとうとい人命、財産を失ったわけでありますから、再度このことのないように、事故を起こさないように、国会もあるいは行政も、そして国民挙げての英知を出し合って今後に対処しなければなりません。  そこで、質問の第一点でありますが、地下街の建設許可については基準をもっと強化さるべきところであります。消防法の適用で規制を受けておるところにつきましては、それぞれ定期点検も行われておるでしょうし、そういったところについては、あるいはスプリンクラーをつけるとか、排煙設備、連結送水管の設置など義務規定もあるわけでありますからまだいいといたしましても、今回の静岡もそうでありますが、地下鉄銀座駅前の地下店舗のように、法の適用のないいわゆる地下室の連続のような状況ともなれば全く野放しという状況でありましょうし、また道路そのものも道路法の規定にいう道路ではなかったというそういう現状も随所に見られるわけでありますから、ぜひ道路の設定につきましても認定道路として取り組む必要があろうと思うのでありますが、局長のお考えお尋ねしたいのであります。
  27. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいまの先生お話は、地下街のいわゆる通路の部分等が道路の下にあるから道路に認定ができないかというお話であろうと思うわけでございますが、一般的に地下街は道路の下だけで全部ということではございませんで、先日の静岡の場合も、一般のビルの下の部分の店舗が地下通路に面しているというようなことで地下街に類した構造を有していたわけでございますけれども、地下街の扱いといたしましては、地下通路部分を含みまして道路法上のいわゆる占用物件という扱いを従来いたしてきたわけでございます。これは、つまり店舗等一般公共の通行の用に供されない部分まで含んだ全体が地下街である、こういうことでございます。したがいまして、地下街の全体を道路法上の道路として取り扱うというわけにはまいらないわけでございますが、地下街をつくるにいたしましても、例の中央協議会というものを設けておりまして、地下街そのものは厳に抑制をする方向ではございますが、一般の方々の通行が非常に多いところという場合に限りましていろいろな条件を付して許可をしておるわけでございますけれども、御指摘のような場合に対して、大変申しわけございませんが、たとえば国道の下をくぐっております横断地下道、こういったものはもちろん道路法上の道路としてやっているわけではございますけれども、一般的に地下街の部分道路法上の道路に認定をするというのは、いささかほかにいろいろ問題もあろうかと思いまして、私どもとしては若干消極的な考え方を持っておるわけでございます。
  28. 木間章

    木間委員 たとえば私もこの事故に関連いたしまして金沢駅前の地下街、高岡駅前の地下街も見てまいったわけであります。駅前広場はかなり大きな空間を持っておるわけでありますが、当然そこは人ばかりの往来ではありません。いろいろの車両も入るわけですし、特に交通の利便から大型バスの往来も盛んになっております。勢い人は地下へもぐるという仕組みになっておるのであります。高岡市の例で申し上げてみましても、すぐ広場の手前までは主要地方道なり市道が来ておるわけでありますが、その駅の前広場といいますか、これは駅の構内ではありません、私有地も一部あるわけでありますが、そこにはそうした地上面での道路がないわけであります。したがいまして、勢い人の往来については地下道、地下街へ入っていくような構造、仕組みにもなっております。ですから、十分今度の事故を反省いただきまして、全国のそういった状況も的確に把握をいただいて対応をお願いを申し上げておきたいのであります。  それから、続きまして建設省関係の再就職の問題で二、三お考えをただしておきたいと思うのであります。つまり国家公務員の天下り問題といいましょうか、私の資料によりますと、政府関係特殊法人の役員を出身官庁別に見てみますと、昨年の場合に、一位通産省、二位農水省、三位大蔵省、四位建設省、五位文部省、このような順序でこの四、五年来ずっと建設省の四位が保たれておるところでありまして、各省庁の中でも上位になっておるという実態であります。これは、A法人のBポストは建設省が受け持つんだぞ、つまり建設省のOBのものなんだぞ、こういう指定席といいましょうかなわ張り的なものがあってか、そのようになっておると思うのであります。また、これを二つ以上の省庁にまたがる法人を調べてみますと一番よくわかるわけでありますが、たとえば住宅金融公庫の役員十名は、建設省で六名が担当されております。大蔵省が二名、その他が二名。結局こういうことで空席ができますと例外なくその主務省庁から送り込まれておる、こういう仕組みがあるわけでありまして、これも役人天国だと指摘をされておる、そういった実情であろうと思うのであります。  そこで、いま行政改革断行のときでもありますから、この機会に思い切った役員定数の削減を行うことはもとよりでありますが、全ポストについて天下りで占めるのではなくて、内部登用を図って人心の一新をする、あるいは、こういう表現はどうかと思いますが、もともとそこへ入った子飼いの職員の皆さんが希望を持てるように職場からの引き上げを図るとか、また民間から登用して新たな活力を入れるとか、そういった意味での対応をお願いをしたいわけであります。特に近年不況下で就労の機会がだんだん狭められつつあるわけでありますから、この民間登用というのも就労の場を広げるということできわめて大きな意義があろうとも思いますが、建設省決意をお伺いしたいのであります。
  29. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  建設省関係の公庫、公団といいますと道路公団、住宅公団等々でございます。この業務内容がどうしても国の行政と密接した関係の業務内容になっております。したがって、その業務運営の上からも、やはり行政と密接に関係ありますだけに、経験者といいますか公務員がそちらに転職するという場合もあるわけで、まあ便宜主義と言えば便宜主義かもしれません。先生御指摘のお考えに私も全く同感なんです。ただ、公庫、公団のいまの業務内容等々考えて、全部がそういう形でいくということがむしろその業務の効率的な運営のためにいいかどうかということもあわせて考えなければならないことと思います。  五十二年、五十四年の閣議決定、閣議了解で、特殊法人等々の天下り問題につきましては十分な対応をするように指示をいただいております。建設省におきましては、五十一年、五十四年にそれぞれ六名、七名等々の役員を減らすように指導して、それを実施いたしております。公庫、公団の中から登用するということに私も全く同感でございます。いま少しく機能的に、機構的に、歴史的なバックを持って十二分に内部から登用できるような形で進んでいきますれば、そうしたことについても十分な配慮がなされるかと思いますけれども、まだ事業的にも過渡的だというように私は考えておりますので、いましばらくの間は経験者としての建設省からの転職というものも十分あわせ考えながら公庫、公団の運営の業績、そして着実な事業面の執行を図ってまいりたい、このように考えておりますが、とにもかくにも先生の御指摘の問題についてはなおこれからも十分配慮の上に検討し、実現方を進めるように前向きでやってまいることを申し上げる次第でございます。
  30. 木間章

    木間委員 次に、特殊法人との関係お尋ねしたいのであります。  この一年間、建設省の特殊法人への再就職の状況は十二名でした。五十二年は五名、五十三年は三名だったのですが、これに比較いたしますと、急激に増加をしておるわけであります。どのように理解をすればいいのかお尋ねをしたいのであります。  また、営利企業への再就職についても調べてみますと、人事院の年次報告では昭和五十四年一年間で営利企業へ再就職したのは、建設省では二十六名にも上っておるわけであります。これはそれぞれ人事院の定めによっての承認を得ておる、こういうことであろうと思いますが、でも私はそれだけでは済まされないと思っておるのであります。行政は従来から企業に甘いと言われてきましたし、また企業との癒着関係国民のひんしゅくを買ってきてもおるわけであります。  参考までに、昭和五十二年は二十一名でした。昭和五十三年は十六名。営利企業への再就職については当時は適正化されつつある、この委員会でもそのように評価をされておったのでありますが、昨年に至って急激にふえておる、これをひとつ明快な御答弁お願いしたいのであります。
  31. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 お答えいたします。  まず、特殊法人の役員の問題でございますが、いま先生が申されました数字は政労協の天下り白書に載っている数字だと存じます。これでは確かに十二名ということになっていますが、この調査対象となっておりますものは、建設省関係特殊法人につきましては日本住宅公団日本道路公団首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び水資源開発公団の五公団でございます。  この白書によりますと、五十三年十一月から五十四年十月までの一年間に十二名の建設省関係の天下りがあった、こういうことになっておりますが、これを拝見いたしますと、天下りの範囲を大変広く解釈しておられるようでございます。と申しますのは、たとえば建設省出身の方が理事で行かれまして副総裁になられた場合も一というような数え方をしておりまして、現実にこの期間に建設省から直接役員に就職した者は三名でございます。しかしながら、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、今後におきましては適材適所主義で公団、公庫の内部の人材の登用にも努めてまいりたいと考えているわけでございます。  それから二番目の営利企業の就職関係でございますが、これはただいま先生のおっしゃられましたように昭和五十四年には二十六名ということになっております。いま先生も申されましたように、在職中の職務に関連する営利企業へ再就職する場合には、職務の公正さについて疑念を生じないようにするために離職後二年間は人事院の公正な審査を経て、その承認を得た者のみが就職できることになっているわけでございまして、この二十六名はすべてこの承認を得て行っているものでございます。しかしながら、いまもお話のございましたように、営利企業へ建設省の退職者が就職いたしました場合、その営利企業と建設行政との関係につきまして、いささかも国民の疑惑のないようにこれからもくれぐれも厳正な態度で処置してまいりたいと考えているわけでございます。  なお、昨年度二十六名というようにふえた関係でございますが、これは人事院の承認をとるべき退職者の数が大ぜいであったということでございまして、その年々によって違うわけでございます。やはり五十歳前後でやめるわけでございますから、第二の職場を探さなければならないわけでございまして、そういう点は先生の御理解も賜りたいと存ずるわけでございます。繰り返すようでございますけれども、行った場合の建設省との関係につきましては厳正な態度で臨む考えでございます。
  32. 木間章

    木間委員 続きまして、最近新設され、またこれから新設されようとしておる特殊法人について若干お尋ねをしておきたいと思うのであります。  昨年発足いたしました財団法人自転車駐車場整備センターですが、役員名簿もここにもらっております。役員数は二十一名とかなり膨大な構成となっておると私は指摘せざるを得ないのであります。その二十一名の以前の職業についてはこの名簿ではわからないわけでありますが、この二十一名は業界代表がずらりと勢ぞろいをされておるわけであります。業界から寄付があったのでしょうけれども、これでは業界との癒着がなお続いておるという見方ができるわけでありまして、きわめて残念であります。  そこで、まずこの二十一名の中に利用者代表が一人も入っておらないということであります。また、この仕事そのものは市町村の、つまり地方協力を全面的に受けていかなければなりませんし、設立の趣旨にもそのことに触れておるわけでありますが、市町村代表がきわめて少ない、こういうことになっております。残念でならないわけでありますが、官房長のお考えを——いや、どなたでしょうか、お願いいたします。
  33. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように自転車駐車場整備センターの役員の構成におきましては、現状におきまして消費者代表が含まれておりません。大部分は非常勤の役員でございまして、業界、財界関係の代表の方がかなり多く入っておられることも事実でございます。しかし、このセンターの最高責任者の立場にあります者は公的な立場を経由した公正な執行を期待できる者が就任いたしておりますし、事業の執行には遺憾がないものと考えておる次第でございます。  なお、消費者代表というお話もございましたが、また一面この自転車駐車場整備というものは大変採算のとりにくい事業でございまして、御承知のように駅前広場等の大変土地の高いところを利用して駐車場設備を設置利用に供するということでございますので、行く行くはいろいろ検討も必要かと思いますけれども、まずはその事業の採算性の確立ということを第一に考えてまいりたい、それが結局、庶民の方々に便益を提供する一番の基本ではないかというふうに考えて運用をいたすつもりでございますし、役員の構成もそのような見方から、あるいはおただしのように若干は偏った構成になっておるかと思いますが、将来にわたって十分留意をいたしてまいりたいと思います。
  34. 木間章

    木間委員 局長、二十一名の役員に消費者、利用者の代表を入れるべきではないか、なぜ入っていないのか、こういう質問を申し上げたのですが、いま局長は、採算性についてそれなりに不安を持っておる、そのめどがついたらその時点でということであったわけですが、役員にすることと採算性とどういう関係になるのでしょうか。私はむしろ利用者、消費者の意見を率直に反映できる仕組みをつくっていくことこそこの設立の趣旨に沿っておると思うのです。私は利用者代表、消費者代表を入れて十分にお手当てをしなさい、こう言っておるのではありません。その点誤解のないように、もう一遍お答えをお願いしたいと思います。
  35. 升本達夫

    升本政府委員 整備センターの設置の趣旨が各市民の皆様方にできるだけ便宜を供与したい、そのために駐車場を整備いたしたいということでございますので、そのような趣旨に合うにはどのような運用が一番適切であるかということをよく考えながら運営を指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 木間章

    木間委員 官房長、先ほどから大臣なり官房長も国民の疑惑を招かないように、あるいはいまこそお互いにえりを正そうではないか、こういう意味での御答弁、御発言をいただいておるわけでございますが、私はどうもいままでの局長答弁では納得ができないのです。むしろ再就職、天下りというのはそうした生活上の経済面のお手当てがあるからそういうポストを持っておるのだ、これからも持っていきたいのだ、こういうふうに聞こえて仕方がないのです。そういった意味ではきわめて残念でなりません。  それからいま一つは、今月末発足を予定されております財団法人不動産流通センターについてでありますが、役員構成については現在検討中である、十月末をめどに発足をしたいのだ、こういう報告を受けておるわけであります。  よもやその役員配置についてはいままでの轍を踏まないと思いますが、念のためにお尋ねをしたいのと、同時に、この間新聞でも話題になった問題でありますが、現在の住宅公団と宅開公団との合併で近い将来、仮称ですが、住宅土地整備公団の発足を予定されておるやに聞くわけであります。この問題につきましても、新たにつくりかえるわけでありますから、この役員配置も二公団を合わせた、そういう中での運営であってはいけないと思います。思い切ってこの改革の断行をお願いしたいと思いますが、この二点についても決意、お考えをお聞かせいただきたいのであります。
  37. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  二つの問題の前段につきましてお答えいたしたいと思います。  不動産流通近代化センターにつきましては今月末発起人会を開きまして、来月設立の運びに至るように準備をいま進めております。このセンターの人事につきましては、現在のところ白紙でございます。先生からただいままでにいろいろお話ございましたような点も十分考えまして、適材適所、いい人材に役員についていただく、こういうことで業界とも今後相談をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 住宅公団と宅地開発公団の合併は、来年の十月を目途に現在準備を進めているところでございます。この場合におきます役員の構成でございますが、両者の役員を単に合わせるということは全く考えておりません。再検討をいたし直しまして、適材適所で配置したいと考えているわけでございますし、その場合におきましても最少の人数にするようにいろいろと現在苦慮しているところでございます。
  39. 木間章

    木間委員 この質問に入る前に、いろいろ建設省にも資料の取り寄せをお願いしたのでありますが、建設省関係でも、特殊法人を含めて二百社を超える、こういう膨大な状況のようでありました。したがいまして、その細部につきましてはいずれの機会にまた御質問させていただきたいのでありますが、いま鈴木内閣も誕生されまして、そしていよいよ国民期待に沿うべく鋭意努力中であろうと思いますし、その中でも、いま申し上げておりますこの種の問題はきわめて重要な根幹にもなっておるわけでありますから、それぞれの所管において万遺憾のないように今後の対応をお願いしておきたいと思います。  それから、委員長、大変恐縮でございますが、先ほど静岡問題で少し残しておりますので、最後に追加質問をさせていただきたいと思うのであります。  災害は忘れたころにやってくるとはいいながら、災害が起こってその事故に遭ってみて初めて法制度の不備もしばしば指摘されてきたところであります。そういった意味で、いま国土庁でも防災白書によりますと、昭和五十五年中には防災科学技術の総合的な基本計画を策定する、このようになっておろうと思いますが、この静岡災害、あるいはまた九月一日には全国的な規模での防災訓練も行われましたし、またアルジェリアでの大地震もあったわけでありますから、いまこういった時期にいままでの防災基準でいいのかどうか、また、いままでの法体系でいいのかどうか、十分今後に対処できるかどうか、そういった意味での基本計画の策定であろうと私は見るわけであります。そういった意味で、いま国土庁におかれましても十二分に対応の努力をされておるとは思いますが、いまの作業の状況なり、また決意をお聞かせいただければ幸いです。
  40. 原健三郎

    原国務大臣 先生のおっしゃるとおりで、最近頻繁として災害が起こっておることはまことに遺憾でございます。  災害対策基本法に基づきまして、われわれとしては逐年その法律を整備いたしておるところでございます。特に最近では災害の事前予防にも重点的に、大規模地震対策特別措置法とか活火山対策特別措置法などに基づいてそれぞれの対策を研究し、進めておるところであります。  また、防災基本の見直しについても、建築基準法とか消防関係諸法令についても逐年その内容を検討し、整備いたしておるところでございます。  また第三に、国の災害対策につきましては、中央防災会議のもとに、各省庁が連絡しながらその施策をいろいろ進めておるところであります。また、国土庁といたしましては、中央防災会議の事務局にもなっておりますので、今後、先生の御期待にもこたえるべく、積極的に取り組んで進めていきたい、そういう決意でございますので、御了承のほどお願いいたします。
  41. 木間章

    木間委員 この問題についての私の意見を申し述べて終わらせていただきたいと思うのでありますが、現状都市再開発事業推進や、また防災対策を見ておりましてでも、お金と安全性をてんびんにかけておいでになる、こういう気持ちがしてならないわけであります。コストを優先する傾向が出るわけでありますから、こうした震災や災害が起こったときの対応は不十分と言わざるを得ないのでありますし、また、起こるべくして起こっていくことになるわけであります。そう言いながらも、この悲惨な事故は頻発をしておるわけでありますから、ぜひ今後に対応するために、行政も業界もそうでございますが、甘い考え方をこの機会にかなぐり捨てるといいますか、発想の転換をするといいますか、そういった意味で臨んでいただきたいことを御要望申し上げて、私の一般質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  42. 稲村利幸

  43. 山花貞夫

    山花委員 私たち日本社会党の政策審議会は、去る八月二十八日に建設省に対して五十六年度予算案に関する申し入れを行いました。ここでは、第一、住宅対策について、第二、計画的な都市整備について、第三、中小零細建設業振興について、第四、行政改革について、第五、一九八〇年度予算の執行について、第六、都市災害対策について、第七、汚職防止についてと、七項目につきましてわが党の見解を明らかにしつつ、大臣所見を求めたものであります。そのすべてについて触れる余裕はきょうの一般質問の時間ではありませんし、また今後の審議にゆだねなければならないところですが、当面の問題として、申し上げました申し入れの中で、その総括的な問題提起としてお尋ねしております住宅基本法の制定及び第四期住宅建設五カ年計画について本日はお伺いをいたしたいと思います。  住宅基本法につきましては、わが国住宅政策の基本を初めて政府の立場で明らかにするものとして、申し入れに対する回答でも鋭意検討努力というお話でありましたし、その後新聞などを通じて次期国会に提出する方針が固められているとされているわけですが、その準備と次期通常国会に提出されるかどうか、法案の準備状況についてまずお伺いをいたしたいと思います。同時に、第四期五カ年計画につきましても、その準備状況と最終的な計画決定の時期がいつごろになるのかということにつきまして、以上総括的にまずお尋ねをしたいと思います。
  44. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  第一点の住宅基本法の問題でございます。先ごろ社会党の皆さん方がおいでくださいまして、私、お目にかかり、篤とその住宅対策についての考え方につきまして拝聴いたしまして、もとより私自身も大変参考になりますし、それを基調にしてこれから進めてまいることについて全く同感でございます。基本法につきましては、住宅宅地審議会の答申を得て、いま鋭意検討を進め、次期国会には何とか提出いたしたいというようなことで、いま一生懸命で努力しておるところでございます。内容につきましては住宅局長から説明をさせます。  なお、第四期住宅建設五カ年計画につきましても同様、三期に引き続き住宅ニーズにこたえるように、特に質面で向上を図るという考え方で、五カ年の策定の中において進めてまいる基本計画に基づいていま進めてまいっております。この内容につきましても、局長から詳しく報告をいたさせますので、よろしくお願いをいたします。
  45. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  まず、住宅基本法の関係でございますが、現在私ども来年の通常国会法案を提出すべく検討を進めておりますが、一応その中で考えておりますことは、一つには住宅政策の目標、二つ目には国及び地方公共団体の責務、三番目に住宅及び住環境の水準の目標の設定、四番目に住宅計画の策定、五番目といたしまして、住宅に関する施策の基本的方向につきまして基本的事項を盛り込もうということで、現在作業中でございます。  また、第四期の住宅建設五カ年計画につきましては、現在建設省の方で住宅宅地審議会の答申を受けまして、原案を作成したところでございますが、その考え方といたしましては、すべての国民国民経済の成長発展の段階に即応して、その家族構成、世代成長の各段階、居住する地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標といたしまして、次の四点に重点を置くことといたしております。  まず第一点は、昭和六十年度の居住水準の目標につきまして、引き続きその達成に努めることといたしまして、特に大都市地域の借家居住世帯を中心として居住水準の改善におくれが見られることから、公共賃貸住宅の的確な供給を図ること。二番目には、今後のいわゆる戦後のベビーブーム世代の方々の世帯が成長していくこと、あるいはまた人口構造の中高年齢化等によります持ち家需要にこたえまして、良質な持ち家の取得の促進を図ること。三番目には、計画的な住宅建設を住環境整備の一環として位置づけ、その推進を図るということ。四番目には、大都市地域等におきまして、特に再開発関連の諸事業等と連携を通じまして良質な市街地住宅の供給を促進すること等を盛り込んでおります。  現在、この建設省の原案につきまして、関係各省と検討を鋭意進めておるところでございます。
  46. 山花貞夫

    山花委員 住宅基本法につきましては、すでに五十年八月九日の住宅審議会の答申におきましても、その制定が強く要望されてきたところであります。いま次期国会提出予定の法案の概要についで御説明いただきましたけれども、およそ五十年段階で住宅宅地審議会が要望した内容に沿った項目ではなかろうかと、いまお伺いして五十年答申を拝見しながら考えたわけであります。われわれは、こうした経過から照らしてみるならば、わが党としては住宅保障法案という形で基本政策について問題提起していたわけでありますけれども、政府の対応はいささか遅きに失したのではなかろうか、このように感ぜざるを得ません。いずれ法案提出の段階でそこでの内容については議論をさせていただきたいと思います。  同時に、新しく策定される五カ年計画についてですけれども、いまの話によりましても、ここでは本年七月の住宅宅地審議会の答申、ここで示された基本的方向というものを土台として策定作業に当たっておられる、このようなことではないかと思うのですが、ここでの問題といたしましては、私は新しい答申、それを尊重することは当然の経過であるといたしましても、これまでの第三期の住宅建設五カ年計画、これがどのように実施、消化されたか、そして国民住宅問題に対してどのような貢献があったのかといったこれまでの五カ年計画に対する評価、そしてそこでの反省の上に新しい五カ年計画が策定さるべきではないかと考えるのであります。新しい答申によってそこでの基本方向を尊重するということだけでは私は不十分なのではないかと考えざるを得ません。この五カ年計画の評価についての議論がこの答申の中でも少ないのではないか、こういう気がしてならないわけであります。  そこで、その評価に関してですけれども、これまた内容は多面的でありますので、そのすべてについて触れるということは短い時間で困難だと思います。具体的な住宅建設という観点にしぼっていただいて結構だと思いますので、計画達成率がどのような経過になっているかということについて御説明をいただきたいと思います。
  47. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  第三期住宅建設五カ年計画昭和五十一年度から五十五年度までの計画となっておりますが、その実績につきましては、昭和五十四年度までの建設戸数につきましては、公的資金住宅が二百九十七万九千五百戸、民間自力建設住宅は三百四十四万二千戸、合計六百四十二万一千五百戸でございます。また、公的資金住宅につきましては、昭和五十五年度に七十九万一千戸の建設計画しております。したがいまして、これが達成されれば最終的には進捗率は一〇七・七%となりまして、公営住宅及び公団住宅建設の停滞が見られますが、一方、公庫住宅の順調な伸びによりまして、公的資金住宅全体としては計画達成できる見込みでございます。  なお、民間自力建設住宅の五十五年度までの建設戸数全体といたしましては約七百九十万戸、これは公的資金住宅も含めてですが、七百九十万戸程度と予想しておりまして、これは現在の八百六十万戸の五カ年計画に対しまして進捗率が九二%程度となる見込みと相なっております。
  48. 山花貞夫

    山花委員 いまの御説明によりますと、全体としては計画達成である、こういう内容であったようですが、しかし、その内容につきましては、公的住宅と自力建設を含めての公庫住宅、全部トータルしての御説明であります。若干その内訳でも伺っておかなければならないと思いますけれども、公営住宅についてはどうであったのか、公団住宅についてはどうであったのか、公的賃貸住宅関係を含めて公営、公団関係についての数字も内訳を明らかにしていただきたいと思います。
  49. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどお答えいたしました内訳に相なりますが、公営住宅につきましては、五十五年度の見込みを含めまして五カ年計画におきます計画戸数が四十九万五千戸と相なっておりますが、実績の見込みでは三十七万六千五百戸ということで、進捗率は七六・一%程度となろうかと思います。また、公団住宅につきましては、五カ年計画では三十一万戸と相なっておりますが、五十五年度までの計画を含めまして十七万三千戸程度となっておりまして、進捗率は五五・八%、このようになっております。
  50. 山花貞夫

    山花委員 いまの説明で明らかになりましたとおり、公庫住宅や民間自力建設を含めますと目的達成ということのようですが、公営住宅、公団住宅について見ると、前者については七六・一%、後者については五五・八%ということであります。したがって、この五年間、公的住宅の面におきましてはかなり計画そごが起きたということではないか、このように考えます。したがいまして、先ほどの御説明でトータル一〇七・七%であるというお話がありましたけれども、公営、公団住宅についてはかなり計画達成部分があったのではなかろうか、この部分についてはどのように評価されているのか、この点について重ねてお伺いいたします。
  51. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 仰せのとおり、公営住宅あるいはまた公団住宅等、公的直接供給の住宅につきまして、特に大都市地域中心といたしましてその建設が停滞していることは事実でございます。  主たる原因といたしましては、用地の取得難あるいはまた関連公共公益施設の整備につきまして地元との調整が十分進んでいない、あるいはまた居住環境整備、保全に関しますところの地元の住民の方々との調整が難航しておる。また、公営住宅につきましては、建てかえ事業がかなり多うございますが、これにつきまして、入居者との交渉につきましていろいろと難航しているといったようなことが主たる原因として考えられまして、今後はこういったような隘路を各面から打開する措置を講じまして、積極的な推進を図らなければならないというふうに考えております。
  52. 山花貞夫

    山花委員 同時に、五カ年計画の評価はそうした統計的な数値の比較という観点からすることもありますけれども、住宅を供給する側からの評価ではなく、供給される側からの評価、国民の側からの評価ということについても目を向けなければならないのではないか、このように考えます。  一体その方法はということになりますと大変困難でありますけれども、一つの素材としては建設省が御苦労されている「住宅需要実態調査」、これを拝見いたしますと、供給を受ける国民の側の評価というものを推測することが可能ではなかろうかと考えるわけです。暦年のものもありますけれども、最近のものとしては五十四年四月に建設省住宅局が発表いたしました五十三年の調査の結果の概要であります。  総括的に「住宅に困っている世帯の推移」というところでの調査結果を見てみますと、住宅に「困っている点がある」、「何とかしなければならない程困っている」と感じている世帯は全国で一千二百五十六万世帯、そしてこの比率は、四十四年、四十八年の調査と比較いたしまして、四十八年に比べても四ポイント増加しているし、四十四年に比べても増加傾向である、こうした調査の結果が発表されています。  同時に、問題は大都市圏ということになると思うのですが、東京、大阪を中心とする二大都市圏では大変高い。東京で四二・四%、大阪圏で四三・二%、そして名古屋では中京圏三八・九%と、こうして住宅に困っている世帯数が大変増加傾向にある。中京圏の増加が著しく、東京、大阪圏でも四ポイント増加している、こういう結果が発表されているわけであります。  そして、従来の答申の中などにも触れているところでありますけれども、持ち家の比率が高まった。このことは先ほどの一〇〇%超した達成率というところとも関係するかと思いますけれども、家を持っている人の住宅困窮度、大変困っているというその声も強まっているというのがこの実態調査の中で明らかにされた国民の受けとめ方であります。  こうして、評価の観点はいろいろあると思いますけれども、一つの資料として実態調査の結果、国民の受けとめ方がどうなっているかということについて見てみますと、一〇〇%を超えた達成率だといっても、困窮度合いはかえって強まっているということになるのではないでしょうか。したがって、われわれとすれば、一〇〇%を超えたといっても決して成功とはいえない、むしろ公的住宅の、賃貸住宅などの建設という面で見れば、達成率五〇%台というところがあったということにも見られるように大きな欠陥もあったのではなかろうかと考えるわけですが、この点についていかがでしょうか。
  53. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えします。  ただいま御指摘のとおり、建設省昭和五十三年に実施いたしました「住宅需要実態調査」によりますと、住宅に困っているという世帯の数が昭和四十八年の調査に比べまして約三・数%ふえており、全体としては三八・九%になっている実情でございます。  ただ、この内訳を見ますと、「何とかしなければならない程困っている」という方々は五・五%でございまして、これは四十八年の調査より若干減少いたしております。ただ「困っている点がある」という方々、いわば相対的な困窮という方々が相当ふえているということからトータルがこのような数字になったものと思います。  その内容を見ますと、従来は住宅が狭いあるいはきわめて老朽化しているといったような点が大きい要素でございましたが、最近は日照、通風であるとかあるいはまた公害の問題であるとかあるいはまた環境の問題であるとか等、その御要望は多様化し高度化しているということも言えようかと思います。  また一面、五十三年に総理府で調査されました「住宅統計調査」によりますと、戸数の点につきましては世帯数を上回っております。ただその内訳につきましては、先ほど昭和六十年度を展望した居住水準の点で見ますと、いわゆる最低居住水準で規模の点で満たない世帯の方々がなお四百七十五万世帯程度あります。これは四十八年の調査から比べますと相当減少し、またその改善の跡も夫きいわけでございますが、一面、大都市の、特に借家居住世帯の方々につきまして居住水準の達成のおくれが目立っているといった点につきまして、私たちは十分そういった点を踏まえ、今後の五カ年計画において重点を置いて進めていこうというふうに考えておる次第でございます。
  54. 山花貞夫

    山花委員 関連いたしまして質問を先に進めたいのでありますけれども、いまのお話でも触れられた賃貸住宅関係の問題点、そしてこの五年間の実態調査にあらわれた傾向をどのように踏まえて新しい五カ年計画を立てるか、ここでの問題でわが党の考え方と最も対立する問題点ということで伺っておきたいと思います。それはいわゆる持ち家政策を中心とした問題点であります。  実は新しい五カ年計画の策定に当たりましても、今年夏の住宅宅地審議会の答申の基本的方向を踏まえてとされているわけですが、この五十五年七月の答申も基調は持ち家政策であり、当面は賃貸住宅、ここに力点を置く、こういう内容になっているのだと思います。  全体を細かく分析するだけの時間的余裕もありませんけれども、私どもいただいている白表紙の資料によりますと、まず冒頭におきまして着工住宅の内容についての住宅供給の動向が指摘されているわけですが、ここでは持ち家と分譲住宅を合わせた持ち家系住宅は着工戸数の七割となり、四十年代の五、六割に比べて増加を見せていると全体の動向がまず指摘されます。そうして国民の側の準備といたしましても、二ページに入りますと、国民の持ち家取得のための貯蓄努力が大変大きくなっているということについてのかなり詳細なデータを含めての指摘がなされます。もっともここでは持ち家計画のある世帯の貯金保有額は五百十七万円という金額にされているわけでありますから、貯蓄努力の成果がここの水準にあるとするならば、現実には土地を取得して建物を建設するためにはかなりの借金をしなければならないということにもなるのでしょうから、この貯蓄努力をストレートに持ち家志向傾向の大変重要な資料とこの答申から見ることは私はいささか問題があるのではないかと考えますけれども、答申ではそうした基調に立ちまして三ページに、いわばそのまとめということになるでしょう、住宅の改善計画の内容について見ると、改善計画を有している世帯のうち、新築・購入等持ち家系による改善を計画する世帯は全体の九二・一%と大半を占めて、かつての調査よりも増加している、また現在借家に居住している世帯に限っても持ち家系による改善を希望する者が全体の八〇・七%に達している、こういう形で国民の持ち家志向が大変強いことを強調されているわけであります。  そうして、こうした全体の持ち家政策中心の答申となり、当面の問題として公的賃貸住宅建設についてもと、こうした結論になっているのではなかろうかとこの答申について私は拝見したわけであります。十一ページ、公的援助による住宅供給の基本的な考え方の部分については、いま私が申し上げました内容が整理されている、このように考えます。  さて、そこで、果たしてそうなのかというのが実はわれわれの疑問であるわけでありまして、この答申の中で、持ち家志向の国民の数が住宅改善計画というところから見ますと九二・一%と大半を占め、現在借家に住んでいる人でも八〇・七%に達しているというのが五十三年の「住宅需要実態調査」による実情だということですが、実は、先ほど局長も触れました内閣広報室の世論調査につきまして、過去の世論調査の動向ということで判断いたしますと、その回答に大変大きな差があるということに気がつくわけであります。私もこの内容の分析がまだ不十分でありますので、いずれまた住宅基本法の機会に譲りたいとも思いますけれども、最近ですと、四十九年の調査、五十三年の調査、五十五年の調査とほぼ同趣旨の設問、これに対する回答ということで当たってみたわけでありますけれども、どの資料を見ましても持ち家計画についての結論が大変違うわけであります。  たとえば、五十三年の三月の世論調査によりますと、持ち家居住者及び借家居住者それぞれにつきまして住宅計画の設問をしておりますけれども、たとえば持ち家居住者につきましても、計画なしというのが四九%、わからないを含めると五〇%を超します。すなわち、計画を持っている人は五〇%おらないわけであります。借家居住者につきましても、やはり同じ傾向でありまして、計画を全く持っていない人が四九%、わからない七%を含めますと五六%で、半数以上は計画を持っていないという、これが内閣広報室での世論調査の結論であります。直近のものとしては、五十五年九月に、九月号におきまして、大都市地域住宅宅地取引を中心とした世論調査が出ているわけですが、この十ページから十二ページにかけまして同じ問題についての設問があるわけですが、将来の住宅計画につきまして、持っている、持っていないの数字でありますけれども、大体基調としては五十三年と変わらないというのが世論調査の動向であります。したがって、五十三年の実態調査によりましては先ほどの八〇%、九〇%という数字が出されているようですが、内閣広報室の調査とは大変な違いがあるということであります。  そういたしますと、この面について額面どおり受けとめてよろしいのかどうかということが実はわれわれの疑問として出てくるわけでありまして、時間の関係からもう一言二言つけ加えますと、そうした各統計資料ということにつきましては五十三年の実態調査中心となるということは当然だと思いますけれども、さらにこうした内閣広報室の世論調査の動向、そうしたものについても視野を広げるべきではなかろうか、そうした中で、今日これだけ持ち家志向が強いというこの結論につきましても、若干の修正を必要とするのではなかろうかと思うのですけれども、この点について御見解を伺いたいと思います。
  55. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありました内閣総理大臣官房広報室によります世論調査の結果で、改善計画があり、なしという点につきまして、ない方が多いというお話があったわけでございます。私どもの方で調査いたしました「住宅需要実態調査」によりましても、先ほどの御指摘の持ち家による改善あるいはまた借家による改善というものは、改善計画を持っておられる方々のうちどのような方向で改善したいと考えているかということを伺って、その結果が答申の中に数字として出ておるものでございます。したがいまして、改善計画のない方もかなりいらっしゃるわけでございますので、傾向といたしましては総理府の調査と必ずしも矛盾しているというふうには考えておりません。問題は、改善計画があるかないか、ないという方は一応それでよろしいとして、ある方についてどういうふうな計画で進めようとしているかということを問うたものに対してのお答えの数値が先ほどの数値であったということでございます。
  56. 山花貞夫

    山花委員 おっしゃるような数字の発表の仕方ということに、すなわち、持ち家政策中心という大前提を置いた中でいわば形を整えるということになっているのではなかろうか、これが私たちの考えている疑問でもあるわけであります。  同時に、実は持ち家の志向ということにつきましていまの二つの統計資料などが一つの大変重要な参考資料となると思うのですが、では改善計画を持っているという国民について一体できると思っているのかいないのかというところについての世論調査の動向、これは一番的確には四十九年調査に出ているわけでありますが、大体改善計画を持っているのだけれども、半分近く、四割程度の人は持っているのだけれどもどっちみちあきらめている。大衆のあきらめ。したがって、持っているのだけれども国民の半数近くの人たちは実際には自分はだめだろうとあきらめている、こういう問題点があることについても私は重視しなければならないと考えています。数字について省略しますけれども、五十三年、五十五年の世論調査の動向の中でも、内容を分析いたしますとほぼ同じ問題点が指摘されているわけであります。  では、多くの国民が持ち家を希望しているけれども、そのうちの四割以上の人たちが実は腹の中ではあきらめているということの結果、政府に対する政策要求が一体どうなっているのかということにつきまして、これまたいま指摘いたしました三つの広報室の世論調査の傾向を見てみましても、特に大都市地域住宅問題改善ということを中心として政府に要望をした内容について見てみますと、最も多いのが何といっても公団、公社の賃貸住宅建設であります。四人に一人の二四%。次いで公営の賃貸住宅建設であります。大体二三%。そしてその後に融資などによる持ち家の建設促進、ここについての政策配慮を希望するということであり、そしてその後に公団、公社の分譲住宅建設、一五%と、こういう形で、大衆の政府のつくる政策についての期待といたしましては何といっても公団、公社の賃貸住宅、公営の賃貸住宅建設が大変強い。これが現実の国民大衆の希望であるというのがこうした調査の結果からも明らかになっているのではないかと思うのであります。  さて、そこで、また住宅基本法の議論のところに多くを譲りたいと思いますけれども、政府が持ち家政策、持ち家志向ということでの政策に走ったこの五年間の一つの決着というもの、一つの問題点というものが実は最近のローンの返済に困窮したこうした多くの出来事の中に私はあらわれているのではなかろうかという気がしてなりません。実は本年に入りましてから新聞の三面記事のトップに載ったというようなローンの返済に困って犯罪を犯したというのが大変目についている。これは大方の皆さんの御認識だと思いますけれども、実はことしの一月からの新聞をずっと読んでみますと、まさにすさまじいといった感じがいたします。過去なかった傾向であります。  これは一番最初の記事ですけれども、一月二十八日、新居を一千万円で購入したけれども、月収十六、七万で毎月三万のローンが払えないということで、五年間に四人の子供を殺したという事件が報道されました。同じ日の夕方でありますけれども、二千万のマイホームを建てて、毎月十八万のサラリーから七万を返済に充てているということで、銀行強盗傷人という事件が報道されました。また、千葉銀行柏支店の現金輸送車強奪事件、身内の犯人だったということですけれども、これも住宅ローン八百万円の返済に困窮してということでした。三月十四日、銀行支店副長が焼身自殺しましたけれども、これも住宅ローン千三百万円の返済に困ってということでありました。鉄道自殺、これは四月四日に起こりました。一千万の予算で自宅の新築にかかって七割ほど工事を進めたけれども、資金繰りに困って電車に飛び込んだというケースであります。放火事件まで出ていました。給与十八万で妻のパート六万と合わせての収入が約二十四万、毎月ローンの返済が十一万三千円ということで借金の気晴らしに放火したという事件です。あるいは自衛隊幹部や建設省の職員がローンに追われて強盗しようとして準備段階でつかまった、これは六月二十八日の出来事で、二十九日の各紙が報道したところであります。たくさんありますけれども、一番最近の例でいきますと、月収三十万円で十八万円を弁済したという、両親心中事件が実は起こりました。  こうした事態を見てみますと、持ち家政策は国民に大変夢を与えているけれども、現実には困難な問題が余りにも多過ぎる。その夢を持って手をつけた多くのサラリーマンが実は夢が破れていま言ったような事件にも至っている、これが一つの大変大きな問題点として見ていただかなければならないことではなかろうかと思うのであります。  建設省にお答えいただく前に、こうした問題につきまして住宅金融公庫における償還金の延滞の現状がどうなっているか、同時に、これは大蔵省の関係、損保関係の保険の支払いの関係がどうなっているか、この二点についてそれぞれ住宅金融公庫と大蔵省の方からお伺いをいたしまして、その上で建設省の方から御見解を伺いたいと思います。
  57. 篠田信義

    ○篠田説明員 ただいまの御質問の数字を申し上げます。  五十三年度年度末の貸し付け残件数が三百十三万五千件でございますが、このうち六カ月以上延滞になっている件数は千五十九件でございます。パーセンテージで申し上げますと、〇・〇三%になっております。なお、五十四年度末、すなわち五十五年三月末の貸し付け残件数、お客さんの件数が三百五十七万七千件でございますが、六カ月以上の延滞件数は千三百八十二件、パーセンテージで〇・〇四%ということになっております。
  58. 松田篤之

    ○松田説明員 民間のローンの関係でございますが、私どもの方で所管しておりますいわゆる保険会社が行っておりますローンの融資保険という分野は、一般の民間のお客様が公庫等で借りられない場合に借りるものを保険で担保するわけですが、利用率がおよそ三割程度でございまして、全体の傾向を申し上げるには必ずしも適当じゃないかもしれませんが、そのものについて申し上げますと、四十六年にこの制度が発足をしておりまして、五十四年度末までの総契約件数と申しますかローン保証保険というものを利用しているお客様の数が二百十八万件でございます。そのうち事故になった、六カ月以上延滞して支払いをした件数と申しますのが一万七千九百件程度でございまして、率にいたしますと〇・八%程度でございます。なお、最近の数字は必ずしもわからないのですが、五十三年約五千件、五十四年約七千件ということで、最近若干増加をしているというのが事実でございます。
  59. 山花貞夫

    山花委員 住宅金融公庫の方に、保証協会の関係で保証委託契約の実績ですね、これで保証の債務の履行、要するに払えなくなって保証協会がめんどうを見たという実態はどの程度になっているのか、これもできましたら関連してお話しください。
  60. 篠田信義

    ○篠田説明員 早速調べまして、恐縮でございますが後で御報告申し上げます。
  61. 山花貞夫

    山花委員 局長にお答えいただく前に、いまの問題の整理なわけですけれども、いまのお話によりますと、住宅金融公庫の償還金の延滞件数ということにつきまして五十三年、五十四年の数字を伺ったわけですが、これはいろいろな数値のとり方もあるかと思いますけれども、五十年が百三十件、五十一年が二百六十五件、五十二年が五百六十三件、五十三年が一千五十九件、五十四年が一千三百八十二件であります。全体の契約件数がふえておりまして、住宅金融公庫につきましてパーセンテージでとりますと、いわばそうした住宅金融公庫に限っては大変国民の弁済率が高い、異常に高いと言っていいくらいだと思うのです。いま私ども重ねてお伺いいたしました保証協会の関係について、実はせんだっていただいた資料を見てみますと、債務の保証履行状況ということで見てみると、五十年度三件、五十一年度二十件、五十二年度三十九件、五十三年度二百十五件、五十四年度四百五十一件と、五年間に三件から四百五十一件、スタートが四十八年でありますから、そうした問題を若干見たとしても、五十三年度二百件から五十四年度四百件というように、倍々ゲームのように実は内容がふえているわけであります。また大蔵省からお答えいただきました住宅ローンの保証保険の支払いにつきましても、全体の三割ぐらいがこの住宅ローンの保証保険を掛けているということでありますけれども、たしか五十四年度、今年度は恐らく保険料収入よりも支払った金額の方が多くなるであろうというのがおよその見通しではなかろうかと私判断しているわけです。こうした実態を見てみますと、どうも持ち家政策がゆがんだ需要というものを国民に与えている面があるのではなかろうか。この点について私は、建設省としても十分その実態を踏まえて今後の計画策定に当たっていただきたいということを強く要望したいと思います。そして、現実にこのようにして起きた当面の悲劇に対する何らかの配慮も必要ではなかろうか。  過日、参議院の予算委員会の方で利率をどうこうするということはなかなかむずかしいというお答えがあったようでありますけれども、しかしそれだけではなくて何らかの、たとえば指導において無理のない弁済ということもあるかもしれません。そういうことも必要ではないかと思いますし、大変むずかしい実態がある場合には、たとえば具体的に三年間ぐらいの猶予の方向とか、あるいはその弁済計画についての対処の仕方、何らかの配慮をしないとこうした悲劇がさらにふえるのではなかろうか、この点について建設省のお考えを伺いたいと思います。
  62. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の住宅金融公庫におきます貸し付け事故の発生状況につきましては御指摘のとおりでございますが、これらの個々の延滞の原因といたしましては、いわゆるオイルショック後の経済変動、景気の停滞による失職あるいは収入の低下等が挙げられようかと思います。  こういった貸し付け事故に関する対策といたしましては、まず借り入れ時におきます適切な指導、それからまた現実に返済が困難となった場合の的確な対応といったことが重要であろうかと思いますが、従来から住宅金融公庫におきましては、借り入れ時におきます相談、返済困難時の償還方法の変更等の措置を講じているところでございます。今後ともこれらの措置を強化いたしますとともに、計画的な貯蓄努力の誘導といったようなことも図りまして、公庫の資金の健全な利用推進、貸付事故の未然の防止を図ってまいりたいというふうに考えております。
  63. 山花貞夫

    山花委員 持ち家政策の一つの傾向として、実は今年夏の答申にも指摘されているわけですが、持ち家住宅の中では分譲住宅、とりわけ分譲共同住宅の割合が増加している、要するに分譲マンションの問題でありますが、こういう指摘があります。実は持ち家、持ち家といったところで土地を買って家を建てるということはなかなか困難である、せめてマンションをというのが大衆の一つ期待となっているわけでありますけれども、実はこれ、取引の面その他におきましても大変問題が多いということにつきましては従来から議論されてきたところであります。過日の国会で成立いたしました宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案の九十一国会の成立に当たりまして、特にこうしたマンション取引などをめぐっての問題点、幾つかの附帯決議がなされております。  実は、これがどのようになされていくかということは今後の取引において大変重要な意味を占めていると私は考えるわけでありますけれども、すべてについてお伺いするだけの余裕がございませんので、その四項にありました「媒介契約については標準約款を作成するとともに、業者、依頼者双方に十分周知徹底を図ること。」という附帯決議と、六項にありました「宅地建物、特に分譲マンションの取引については、重要事項の説明の遵守、設計図、仕様書の閲覧等購入者の権利を十分保護するよう指導するとともに、標準規約の早期策定をはじめマンションの管理体制等について対策の確立に努めること。」という附帯決議がなされているわけですが、この附帯決議についてその後の対応がどうなっているかについて建設省にお伺いしたいと思います。
  64. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  九十一国会におきまして、宅地建物取引業法——宅建業法でございますけれども、これの改正をしていただきました。その際の御審議の際にもいろいろ御意見を賜りましたし、また附帯決議をいただいたわけでございます。これらにつきましてはそれぞれ適切な措置を講ずべく取り組んでまいっておりますけれども、おただしの二点につきまして御説明いたしますと、一つは不動産の売買等につきまして仲立ち、いわゆる媒介契約をいたすわけでございます。これにつきましては改正法案におきまして、いままでは口頭で、口約束という点が多かったわけでございますけれども、必ず書面でそういう契約をする、しかもその内容を明確化するという規制が行われることになったわけでございます。これらはいま申し上げましたように、いままでは口頭でやっておったものを業者と依頼者の間で書面化するという大変大きな変化もございますので、二年間の猶予期間を置きまして、この規定の趣旨徹底を図るとともに諸般の準備を進めるということにいたしております。  まず、その標準の約款の作成につきましては現在いろいろ調査、勉強いたしまして、一応の素案をこの七月に得ることができました。これにつきましてはなお検討の余地もございますので、消費者あるいは学識経験者、業界代表等が入っております住宅宅地審議会におきましてこの素案につきまして御意見を伺った上で標準約款としたいと考えております。  この成案を得ました上は、直ちに関係業者に対しましても十分注意をし、二年間に必要な指導を行ってまいりたい。また、依頼者の方々に対しましても、消費者団体その他を通じまして、内容の理解につきましてのPRも行ってまいりたいと考えております。  二番目の、分譲マンションの取引の際の重要事項説明の遵守等でございますけれども、これも五月の業法改正におきましてマンションの建物、敷地等につきまして取引の際に重要事項の説明を一層徹底化させ、トラブルを防止することといたしております。今後は、改正されました業法の内容に伴いましてこれを厳正に業者が遵守するように指導を続けていきますとともに、消費者を保護する観点から、マンションの設計図とか仕様書等につきましても事前に閲覧が可能となるような指導も行ってまいりたいと思っております。  また、マンションの維持、修繕その他の管理体制の充実を期するためにも、また居住者が入居いたしまして共同生活を始める場合に円滑な共同生活ができるようにという観点から、標準の管理規約あるいはまた、この管理を管理会社と契約いたします場合の標準管理委託契約の作成を現在急いでおりまして、これらにつきましても、成案を得た上で、住宅宅地審議会の御意見を聞きまして作成いたしまして、関係業界その他につきまして指導を行ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  65. 山花貞夫

    山花委員 いま御説明いただいた問題は、現実にちまたで大変ふえているトラブル解決のために非常に重要な問題だと思いますので、一層の御努力要望する次第であります。  同時に、従来、業界関係に対する指導の面でありますけれども、これはどうなっているかということにつきまして、簡単に御説明いただきたいと思います。
  66. 宮繁護

    宮繁政府委員 分譲マンションは、先ほどもお話にございましたように、現在年間大体全国で十万戸程度建設されております。首都圏におきましては、昭和五十年ごろは一万戸程度でございましたのが、現在では年間約三万戸というような状況だと考えられます。都市におきましては、こういった新しい住まい方が定着しつつあるものと考えております。既成市街地の土地の高度利用の観点からも望ましいことだとは考えておりますけれども、お話しのように、この取引をめぐりましていろいろな問題が発生いたしております。このような状況を受けまして、建設省では、昨年の十二月に関係業界団体あるいは都道府県等に対しまして、マンションの建設の場合の施工管理の徹底、また分譲の際の取引の公正の確保、あるいはまた入居後の管理の適正化について、計画局長住宅局長名で通牒を発しました。  その内容は、マンションの業者、宅建業者に対しましては、講ずべき措置といたしまして第一番目に、工事の竣工図、工事管理報告書等の特徴によりまして、販売物件の事前検査を徹底すること、二番目に、広告宣伝の内容の適正化に努め、公正競争規約を遵守すること、三番目には、共有敷地等におきます使用収益関係の明確化を図ること、四番目には、苦情の受け付け窓口を契約書等に、どこそこの何係というようなものを明記させること、最後の五番目に、取引段階におきまして居住者の円滑な共同生活を確保するために管理組合の設立を勧奨すること、こういったことをマンション業者に指導することにいたしております。  それから二番目には、業界団体につきましても、いま申し上げましたような点につきまして十分業界ぐるみで対応するようにということを通牒いたしております。  さらに、マンション業者から発注を受けましてマンションを建設する建設業者において講ずべき措置といたしまして、施工管理の適正化、それから建築士との連絡調整をさらに徹底いたしますとともに、工事の竣工図とか工事の報告書の提出を励行することを指導いたしております。  四番目といたしまして、マンションの設計、工事管理を行います建築士において講ずべき措置といたしまして、工事管理の厳正な執行、建築主への工事管理報告書の提出等をさらに徹底すること。  以上のような事柄が通牒の内容の概略でございますけれども、今後ともこの通牒の趣旨が徹底するように関係方面に対しまして十分な指導をいたし、マンションをめぐる取引関係のトラブルを未然に防止するように努力をしていきたいと考えております。
  67. 山花貞夫

    山花委員 大変大事な通達だと私ども考えています。  実は、かつても建設委員会で問題となったケースですけれども、たくさんある中の一つだけ指摘して、また建設省の御指導もいただきたいと思うのですが、後楽園マンションというところがあります。青田売りでありまして、大体、皆さんが買うときの広告を見ると七階建てということだったわけですが、買ってみますと八階建てになっている、こういうことです。実は建築確認の申請などを見てみますと、敷地面積が千百六十・三三平方メートルということになっているわけですが、でき上がりますと、土地を売っ払ったかどうかいたしまして、さっきの共有関係に関連するわけですが、四百九十五・八六、土地は半分になってしまいました。竣工年月日がいつかということですけれども、竣工年月日などは全く届け出にも出ていないということであります。いろいろ問題があるので、その建築業者に対して設計図とか竣工図をいろいろ見せてもらいたいということを言いますと、そんなものはなくなってしまってないとか、あるいはなんとかかんとか言ってなかなか見せないということでありまして、これは、時間の関係で一部だけ御紹介しましたけれども、もっとたくさんの問題がある。こういう個別ケースがたくさん出ているわけでありまして、先ほどの通達が非常に大事だと考えています。  この問題につきましては、なお私ども調査をしておりますので、追ってまたいろいろ御指導と御助力をいただきたいと思います。きょうはこの点、御要望だけさせていただきたいと思います。  残る問題、実は建設が進んでおりますいわゆる昭和記念公園の問題についてお伺いしたいわけですが、大体現時点における工事の進捗、どうなっているか、今後の開園の見通しその他につきまして、現状を簡単に御説明をいただきたいと思います。
  68. 升本達夫

    升本政府委員 国営昭和記念公園の建設状況でございますが、五十三年度五億円、五十四年度十億円弱、五十五年度二十億円という事業費をもちまして現在事業進行中でございまして、今年度は既設の建物の取り壊し、整地ということで経過をいたそうかと思われます。膨大な土地でございますから、全部整備後に一斉に開園という運びは無理かと存じます。整備ができた部分から一部開園の運びで考えておりまして、五十七年度初めには一部開園の運びに至りたいというふうに考えておる次第でございます。
  69. 山花貞夫

    山花委員 実は、まずその一部開園という部分に関してでありますけれども、この基地跡地の公園につきまして、多くの住民の中から多摩地区に美術館の建設を促進してもらいたい、こういう要望が起こって、るわけであります。三多摩地区はこの十年間に約百万人人口がふえまして、人口三百万を超えるに至りました。学校も、小中高校はもとより、大学も含めて六十校近くになりまして、多摩地区全体が広域学園都市の様相を呈しているわけであります。ところが、この地区は、人口三百万、普通の一県分ありながら、文化施設が非常に少ない。公立の美術館に至ってはただ一つもないということから、この公園の中にぜひ美術館をつくってもらいたい、こうした地元の要求もあるわけですけれども、一応基本問題懇談会で基本構想についてはすでに確定ということだと思いますが、今後の工事進捗の中で、こうした地元の声についても十分聞いていただきたいということをお願いしたいと思います。  この点どうかということが一つと、もう一つは、たくさんの問題があるわけですけれども、国営公園ですから入園料を取るのではなかろうか。入園料というのは一体どのくらいを予定しているのでしょうかということについてもひとつお伺いしたいと思います。
  70. 升本達夫

    升本政府委員 第一点のおただしの、美術館を建設せよという地元の御要望があることは承っております。この昭和記念公園内にどのような施設を設置するかということにつきましては、ただいま先生からお話がございましたように、昭和記念公園基本問題懇談会におきまして、いろいろと御検討をいただいておるところでございまして、この公園の性格上、文化的な内容を備えた公園にいたしたいということから、各種の文化施設が考えられるわけでございますが、なお現時点におきまして、具体的にどのような施設を設置するかは決定を見るに至っておりません。そこで、これからこの文化施設の内容につきましてどのようなものを設置すべきか懇談会にもお諮りをいたしまして、地元の御要望等をよく御披露いたしまして、御議論をいただき、決定をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。  それから、第二点の料金の問題でございますが、ただいまのような進行状況でございますので、現時点ではまだ方針として確立したものを持つに至ってはおりません。しかしながら、公園の性格上、すなわち利用者の誘致圏域が大変広いということ、それから施設の内容が当然のことながら大変高度でございます。利用者の受ける便益も大きいということから、何がしかの入園料をいただくということになろうかと考えております。  御参考までに申し上げますと、現在国営の公園で開園をいたしております武蔵丘陵森林公園の入園料は、一般の場合、十五歳以上の者で三百円、六歳以上十五歳未満の者で八十円いただいております。このような料金を一つの参考にいたしまして、決めさせていただくことになろうかと思います。
  71. 山花貞夫

    山花委員 もう質問を終わりますけれども、公園ができる、しかし入園料を取る、国営公園であるということですと、大体が地元の利用というのが非常に妨げられるのじゃないかということを私も心配するわけであります。なおオープンスペースをもっとつくって地元利用についても考えてもらいたい等の意見がございますので、今後またいろいろ要望させていただきたいと思います。  もう一つは、約三百万の入園というふうに伺っているわけですが、たとえばあの地域における多摩動物公園で百五十万人ちょっと、神代植物公園で八十万人ちょっとということでありますから、交通渋滞を含め大変大問題が起こるのではないかということも心配されておりますので、これも今後いろいろお伺いしたいと思います。  時間の関係がありますので、沿道整備関係につきまして調査していただいておったわけですが、この次に質問を譲らせていただきたいと思います。  では、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  72. 稲村利幸

    稲村委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  73. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上普方君。
  74. 井上普方

    井上(普)委員 けさほど大臣の所信表明を承りまして、この前の七月二十四日の大臣のあいさつと対比いたしてみました。国土庁の長官のこのたびの所信表明は、前のごあいさつの前の部分と後ろの部分を入れかえただけにすぎない。これはえらい信念のある御答弁だなと思いますので、後ほどゆっくりこのことについてお伺いいたします。それから、建設大臣のは大分様子が違っておるのでございますので、このことからまずお伺いいたしたい。  最初に、所信表明を見ますというと、「経済の活力を保ちつつ、内需を中心とする安定的な成長を持続することを目標として、次のような諸施策中心に、建設行政推進を図る所存であります。」こうございます。具体的にどういうことをやられるんですか、ひとつお伺いしたい。
  75. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  建設行政は、御案内のように国民生活に密着した諸般のことについて全般的に推し進めているところであります。道路、公園、住宅、水資源あるいは災害対策もありましょう、等々を考えていったときに、単にそれを現時点でとらえて環境整備をするということでなく、やはりそこには生き生きとした未来像を描いた、国民に安定した生活の中から活力を与えていかなければなりません。活力を与えるにはどうするかといいますと、やはりこれらの関連整備であろうかと思います。たとえば道路一つをとりましても、やはりネットワークをもとにした総合性をもとにして、国土全般にわたって平均的な面で経済の活力のための道路網の整備でなければならないというようなことを含めて、内需ということについて触れたわけであります、現象面でなく。それから、それを踏まえつつ将来、未来に向かって私たちの生活行動社会というものを有機的に機能的にどのようにしていくかという、そういう面の内需的活力というものを考えながら建設行政を進めてまいりたいというようなことで、こうした表現を使ったわけであります。
  76. 井上普方

    井上(普)委員 いまのお話、どうも私らぴんとこない。いつ建設大臣は経済企画庁の長官になられたのかと思いながら私承った。現に、公共事業が景気を浮揚するためにどかっと使われる。伸び率三〇%あるいは三五%近くまで使われる。景気がよくなったと言えば前年と同率に、あるいはそれ以下に抑えられておる。ために建設業が非常に倒産が多くなってきている。この九月におきましては千六百件の中小企業の倒産がある。そのうちの大きな比重を建設業が受け持っておるんじゃないかと私は思う。こういうようなことを、それじゃ具体的に、あなたの言うように安定的な成長を持続することを目標とするならば、工夫があってしかるべきだ。少なくとも建設業振興のために——後ほど振興のためにということを一応書いてございますけれども、どういう具体的な処置をとりながら安定成長を維持することを目標としてやられるのか。具体策がないじゃありませんか。どういうようなやり方をしようとするんですか、お伺いしたい。
  77. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  具体策といいましても、やはり年度計画によって漸次進めている事業でございます。特に、来年度を初年度とする道路関係住宅関係の諸計画が作成されて、発足していくわけであります。それを一つ一つ積み上げていって、いわゆる内需にこたえた活力ある経済社会になっていく。公共事業等も、非常に厳しい財政事情の中ではありますけれども、先生いま御指摘のように、第三・四半期三〇%増というような昨年比の増枠をいただいておりますので、そうしたことについても、やはり完全執行、有効的確な実施をしてまいるというようなことで、具体的な事業は進められていくもの、このように考えておるわけであります。
  78. 井上普方

    井上(普)委員 いまのお話の中からもいろいろお伺いしなければならぬ点があるのでございますけれども、「経済の活力を保ちつつ、内需を中心とする安定的な成長を持続することを目標」とするということであれば、いいですか、私は、建設業がこれほど——中小企業の倒産に対してどういうような処置をとっていくんだ、具体的な策がなければならないと思う。それよりもむしろ根本的に、こういう方法をとるならば、公共事業を景気の動向で左右する、増額するというようなことをやめなければならないと思うのですが、この点はどうです。あるいはまた景気の過熱を防ぐためには、公共事業を前年比と同様にするというような処置、これに対して建設大臣としてのお考え方がなかったら、私は安定的成長というものはあり得ないと思う。ここらあたりを一体どうお考えになるのか、いかがでございますか。
  79. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  建設業界が非常に不況に陥っていることは確かであります。特に中小企業の倒産件数は千六百件のうち何%になるか、相当のあれになっておると思います。非常に不幸なことであります。御案内のように継続的な事業をやっておる過程においてこうしたことが起きたことについて、私ども大変残念にも思いますし、積極的指導がなかったと言えば大変恐縮でございますけれども、経済環境の変化に伴う諸施策、特に中小企業に対する関係については、やはり事業主体における大中小とのバランスの問題特に地方の公共事業についてそうした配慮もなかったと言えばなかったことであろうかと思いますけれども、経済バランスの影響をもろに受けた中小企業の倒産ということについて、これからも素材の問題あるいは経営実態の問題、あるいは下請、元請等との関係について、なおその面についても指導してまいりたい、このように考えております。
  80. 井上普方

    井上(普)委員 私が言っているのは、経済の動向について、景気を高揚するために公共事業を使うというのは、これは四十年、五十年前からとってきた手法でございます。しかし、景気がよくなったので今度はひとつ公共事業を抑えて景気の過熱を防ごうというやり方、これに対しては何らかのお考え方がなければ、これは景気を冷やそうとするときにもろにかぶるのは中小企業の建設業の諸君じゃございませんか。あなたのおっしゃるように、経済の活力を保ちつつ安定的な成長を持続するということであれば、私は、公共事業を景気の支えに使う、あるいは景気を冷却させるために使うというこの手法に対しては、建設大臣としては一言あってしかるべきだと思うのです。しかも、あなたのこの前のごあいさつの中には、建設省というのは計画的に事業を執行しなければならない。「建設行政計画的かつ適正な執行に専念努力してまいる所存でございます。」ということを七月の二十四日に仰せられた。この「計画的かつ適正な執行」につきましては後ほど伺いますけれども、計画的にやっていくんであれば、使う中小企業の建設業の倒産というものはあってはならないことだ、安定的な成長を図るんだから。そこらあたりについてどうです。いままで五十年間世界各国がとってまいったこの公共事業を景気の支えにする、あるいは抑制の道具に使う、このやり方に対してはこういうごあいさつがあった以上は少なくとも一言あってしかるべきだと思うのですが、いかがでございます。
  81. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  公共事業によって景気対策をするという時代的なずれもあろうかと思います。先生もおっしゃるように、私自身も公共事業を進めることによってそれが直ちに景気刺激策になるとは考えておりません。ただ、公共事業というものは景気対策だけではなく社会環境整備、要するに社会資本充実のための継続的な事業としてあることが本来的な問題であろうかと思います。したがって外的要因、オイルショック等々の大きな経済変革の中で公共事業の執行についてやはりもろにかぶった日本の経済というものも抑制策をとらざるを得なかった。その抑制策が結果的には中小企業に影響したということは否めない事実であります。これは私も認めます。したがって、今度の場合、昨年度対比率三〇%というものの、それがどの程度に中小企業の方々の倒産を防止し得るか、また立ち直し得るかということに照らし合わせて、私自身はいまのところ確信を持たないということになりますと大変なことになりますけれども、確信を持って事業執行をやるという姿勢で臨んでいるわけであります。先生のおっしゃることよくわかるのですけれども、なかなか多種多様化した社会構造の中で公共事業の対応というものが、諸般の問題に合わせながら進めるということの非常な困難性ということについてもやはり御理解をぜひしていただきたい。  ではこの救済措置はどうするかといいますと、やはり計画を立てて五カ年計画に改めて見直していくということに結果的になっていくかと思います。直ちに注射して健康が回復するというようなわけにはちょっとまいらないような経済バックグラウンドじゃなかろうかというように私は考えているのですけれども……。
  82. 井上普方

    井上(普)委員 いままでのケインズ理論といいますか、これらに対しまして、一応景気が回復し、これを冷却させるために五十五年度も前年と同率の伸びだったのでしょう、公共事業というのは。また来年度、五十六年も伸び率はゼロにすると大蔵省当局は言っておる。これに対して一体計画的に、それじゃいまも申しましたように、公共事業一つの景気高揚あるいは景気抑制のための手段として使うことに対しては建設大臣もある程度——程度の問題だと私は思うのですよ。年間に前年比よりも三〇%も増加させるというような、年度の予算ですよ。いま建設大臣のおっしゃっておるのは五十五年度の枠内においての話なんだ、第三・四半期を三〇%ふやすとかふやさないとかいうのは。そこらあたりはやはりこれこそ適正なる予算執行をやっていただかなければならぬ事柄ではありますが、しかしいずれにしても景気の抑制、浮揚の道具として公共事業をいまの日本の現状において果たしてどれくらいやるのかということについては私は大きな疑問を、程度の問題ですけれども、考えざるを得ない。したがって、来年度の公共事業予算は対前年度比ゼロ%にする、二年続いてやるということについて適正かどうか、ここらあたりは大臣としていかにお考えになっておられるのか。安定的な成長を持続することを目標としておるということを所信表明の中で言われておる以上は、来年度の予算は一体どういう公共事業、と言えば建設省の予算の大体が入りますが、それについてどういうようなお考え方で今後臨まれるおつもりであるのか、この点をひとつお伺いしたいのです。
  83. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  景気浮揚策の公共事業については先生と同感でございます。私もそのような考え方でいままで来ておったのです。担当大臣としてはそれをはっきり申し上げるということになりますといろいろの問題、差しさわりがありますので露骨に申し上げなかったわけでありますけれども、公共事業が果たして極端に景気浮揚策になるかということについては、いままではそうであったかもしれませんけれども、これだけ経済環境が変わってきまするとそうそうはまいらない。だからこそ安定的な発展をしていくためには予算面においても、前年対比率ということもさりながら、とにもかくにも予算面において本年度は昨年度よりも少なくとも景気バランスを考えながら、でき得るだけひとつふやすことにいませっかく努力をしておるわけであります。大蔵省の提示のシーリングについては御案内のとおりであります。とにもかくにもあれこれ考えながら苦しい財政の中で、当初申し上げましたようなバッググラウンドを考えながら建設行政を進めてまいるという所存でございます。
  84. 井上普方

    井上(普)委員 そういうお考え方であるならば来年度の予算を楽しみにして待っております。  続いて、特に私は住宅政策を景気刺激に使ったことについて大きな疑問を持っておるのであります。そこで、ことしは住宅建設戸数がかなり落ち込んでおると思うのですが、一体全体で何戸くらい、五十三年、四年、五年と何戸の住宅戸数が建ってきたのか、この点ひとつ事務当局からお伺いしたいのであります。
  85. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  いままでの統計で見ますと、五十二年度で総計で百五十三万戸余りでございます。五十三年度は百四十九万戸余り、それから五十四年度が百四十八万戸余り、こういうような着工状況になっております。  それに対しまして五十五年につきましては、四月から八月までの累計でございますが、五十八万二千戸の着工統計となっておりまして、前年同期に比べて一七・八%程度の減少を示しております。
  86. 井上普方

    井上(普)委員 住宅建設を景気浮揚に使うことの是非について私は一応疑問もありますし、大筋においては住宅建設について民間の経済を使うという意味においてはある程度納得するものでもあります。しかしながら、この際に住宅政策とあわせてここで考えていきたい。特に建設大臣はこの前、七月二十四日のごあいさつの中では、長期的視野に立って、そして建設行政計画的、適正な執行に努力いたしたい、こう仰せられました。  そこで、けさほども同僚の山花君から住宅問題についてお話がありましたが、私は、今後住宅需要というのがどれほどあるのか、十年後あるいは二十年後にどれくらいの予測が立つのか、ここら御計算になっておられるならひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  87. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私の方で五十六年度を初年度といたします第四期の住宅五カ年計画の案を原案といたしまして作成いたしておりますが、それにつきましては五十六年度から六十年度までに必要な住宅建設戸数は約七百七十万戸程度と見込んでおります。
  88. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、ここでいま事務当局から六十年度までの住宅建設戸数の目標を言われました。需要はどれだけあるのだ、ここらはどうですか。そして、私が聞いておるのは十年後あるいは二十年後の住宅需要はどれだけあるんだということを聞いておるのです。これはどうですか。
  89. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま申し上げました七百七十万戸というのは一応そういう需要があるというふうに考えたわけでございます。さらに十年後、二十年後につきましては私どもまだ正確な数字を把握しておりませんが、この際の住宅需要につきましては、居住水準の向上についての国民方々の御要望もその時期、時期で変化し、高度化してまいりますものですから、そういったことも考えあわせましてある程度安定的に推移するであろうというふうに考えております。
  90. 井上普方

    井上(普)委員 私はそれじゃ一つお伺いしましょう。  世帯数はどれくらいの伸びがあるのですか。世帯数はどれくらいに伸びていくのですか。家族数はどれくらいふえていくのですか。
  91. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもが現在推計いたしております昭和六十年度展望での世帯数は約三千七百万世帯程度と考えております。
  92. 井上普方

    井上(普)委員 ここで問題になるのは、私は五年やそこらの住宅の予測を言っているのじゃない。大臣も長期的な視野に立っての計画的な執行と言われておる。また、建設省もそうあってしかるべきだと私は思う。したがって、十年後、二十年後の予測というものをわれわれはここで立てておかなければならないと思うのです。そこで、世帯数が一体どれほどふえるのか、これははっきりと厚生省の統計によって出てきているのです。そこで、なぜ十年後、二十年後ということをわれわれは常に考えなければならないかというのは、大臣も御存じだろうと私は思うのですが、老齢化社会が非常に進んでくるのです。老齢化社会が進んでくる中において一体住宅建設というのはいかにあるべきかということを考えざるを得ない時代に立ち至っておるじゃありませんか。これからは核家族はさらに進行するでしょう。さらにはまたその上にもってまいりまして税負担あるいは社会保障負担というものは激増してくる。特に自民党内閣が続く限りは、高負担高福祉と言っておるのですから、激増してくる。そうなってくるときに、家賃と申しますか、家の負担というものが非常に大きくなってくる。ところが、お年寄りを見てみなさい、持ち家政策でのうのうとしておって、十年しましたら私も老人の部類に入るのですけれども、のうのうと自分の家を持っておるじゃないか、われわれは家はないじゃないか、木賃アパートに住まってえらい高い家賃を払わされる、何だ、こんな社会保障は切ってしまえということで老若戦争が起こってくる、世代間戦争が起こってくる可能性がある、私はこう思うのです。したがって、いま住宅政策について真剣に考えなければならないときが来ておると私は思うのです。話を変えて聞いてみましょう。  住宅公団、来られていますね。——住宅公団にお伺いするのだが、あなた方は土地を取得されてから建築、入居までに平均して大体どれくらいの年数がかかりますか。
  93. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答え申し上げます。  私ども土地の取得につきましては、宅地開発事業としまして長年かかってやるものと当面毎年毎年買っていくものと両方ございまして、先生お話でございますので、普通住宅建設に必要な土地を買ってやっていくもの、こういうものを御説明したいと思います。土地を買ってからいろいろ整備するのに大体一年くらい、その後住宅建設につきまして約二年くらい、そして翌年募集ということで、約三年くらいのことを考えてやっておる次第でございます。
  94. 井上普方

    井上(普)委員 住宅公団、それほどりっぱなお仕事をあなた方はそれだけスムーズにやられておりますか。多摩ニュータウンは土地を取得してから何年かかっているんです。
  95. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように両方の面がございまして、いまストレートに住宅建設をする面の分を申し上げました。一方、私ども宅地開発事業というものをやっておりまして、これは大体新住事業とかあるいは区画整備事業とかそういったものでやっておるのが多いわけでございますけれども、大体十年ぐらいをめどにしてやっております。
  96. 井上普方

    井上(普)委員 宅地開発事業は大体十年をめどにしてやっておると言いますけれども、実際は十年でできてませんね。多摩ニュータウンの問題にいたしましても、大規模団地が大体そのとおり、これはもう十五年あるいは十七、八年かかっておる。それはもちろん住宅公団が老朽化してともかく動きがつかなくなっておることは私は知っておるから。  それで、ともかく土地取得で一年ぐらいかかっていると言いますが、それは恐らく大都会の非常に中心地に近いところだ。しかし近いところが現在そのように土地が手に入っておりますか。あったらひとつお示し願いたいと思います。
  97. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 最近は住宅都市中心部に持ってこなければならないというような事情がございまして、私どもも鋭意都心の方に持ってくる努力をしております。大きな土地都市の内部で取得できるということはございませんが、ことしもあるいは来年も特に賃貸住宅中心といたしましてそれらのものにつきましては市街地型の住宅を約八割くらいまでやりたい、こういうことでなるべく近間に持っていきたい、こういうようなことでやっております。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 努力目標はまことに結構です。しかし実際にやれているかといいますと、私はできてないと思うのです。計画の何割やりましたか。住宅公団は賃貸住宅は幾らに減っているのですか。いま年間の計画は二万戸ぐらいに減っているんでしょう。かつては六五尺八万戸つくっておった。いまでは賃貸住宅は二万戸以下になっておると私は思うのです。そうでしょう。それで、宅地開発事業をやるけれども十年かかると言うんです。われわれとしては十年後を考えざるを得ぬじゃありませんか。十年あるいは二十年後の日本の住宅は一体どうあるべきかということを考えるのがいまの政治家の務めではございませんか。そういう観点に立って、大臣、あなたも長期的視野に立ってとおっしゃっているんだから、せめて十年、二十年後ぐらいのことを考えながら建設行政をやろうじゃありませんか。どうです。
  99. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  井上先生が大変りっぱな識見と先見性を持って住宅宅地計画について御示唆をいただいたことに敬意を表します。大変恐縮でございますけれども、私、就任して三カ月でございますけれども、たとえば老齢化の問題について徹底した住宅対策については、実はそこまで私の思考力の中にありませんでした。老齢化の、老人と一緒に住む方々住宅対策については考えておりましたけれども、そこまで徹底して追求した十年、二十年先についての見通しについてこの三カ月の間に私の思考が及ばなかったことを大変恐縮いたしております。まさにおっしゃるとおりであります。  ただ問題は、御案内のように住宅政策を進める上で一番大きい隘路は宅地の問題がございます。何としても宅地の確保にいま頭を痛めておるわけであります。持っておられる方々に何とか——私は道徳的という言葉を使ったのですが、性格的に強制はいやなんです、何とか御理解いただきながら、財産として持つ土地、将来の値上がりを待って持っておられる土地所有者の方々に、いま申し上げる、十年、二十年、特に過密都市における住宅対策について、ぜひ御理解をいただきたいというようなことをあわせ考えながら、これからも進めてまいりたいと思いますが、本当にこれからも井上先生、何かにつけて御指導、御鞭撻をひとつこの際お願いをいたす次第であります。ありがとうございました。
  100. 井上普方

    井上(普)委員 私は、老齢化がどんどんと押し寄せてくるとき、そしてまた、核家族がどんどんと進んでおる現状において、十年、二十年後において老若戦争が起こる、民族間において老若戦争が起こってくる可能性がある。それを防ぐ一つの方法として、私は、住宅対策というのが大きな問題であろうと思うのです。したがって、いまから用意をしなければいかぬ。それには、先ほども山花君が言っておったように、持ち家政策だけで、持ち家政策中心で果たして解決できるだろうか。若い世代の諸君が、十年後の三十代の諸君が、あるいは労働力を提供しておる諸君が、われわれは住宅はない、木賃アパートに入っておる、家賃は非常に高い、月収の二〇%ないし二五%を持っていかれるということになりましたならばどうだろうか。片方、税負担は、いまは一九・五%くらいありますが、これがどんどんと上がってくるでありましょう、いまの自民党政府の高福祉島負担の政策から言えば。あるいは三〇%近い税負担になるかもしれません。そうすると、住宅と合わせますと月収の四五%ないし五〇%はそれに食われてしまう。ということになれば、果たして若い諸君が、そのような住環境の社会に対して不満を抱かないだろうか。ここを真剣に考えなければならないと思うのです。とするならば、いまからそのための用意をするには、持ち家政策ではこれは問題の解決にはならない。公共賃貸住宅をいまから用意しなければならない、こう思うのですが、いかがでございますか。
  101. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  御指摘の御趣旨、よくわかります。ただ、問題は、持ち家政策に対する対応なんですけれども、潜在的に日本の方々は自分の家、いわゆるマイホームというものを、将来の、一生のうちに持つという夢、理想というものを持っておられるというように私は承知いたしております。したがって、どうしても持ち家政策というものが前面に出てきたきらいがあろうかと思います。大体四分六、六〇%が持ち家、四〇%が賃貸というように聞いておりますけれども、これを政策的に七〇対三〇、七対三くらいに、いまの政策ですと進める計画を立てているわけであります。先生の御指摘のような考え方に立ちますと、これも多少トーンを考えなければならないようなことにもなっていくかもしれません。ただ、日本人の感覚として、自分のマイホーム、一代でできないものは二代、三代をかけてやってきたという潜在的な意識というものを、非常に持っておられると私は思います。諸外国の中で、特に日本人は家庭という問題について感覚的にも、実利的にも、実質的にも、性格的にも、非常に強く家庭というものを持っておられる。家庭は即家なんです。単に住宅ということでないんですね。だから、どうしても家というと庭が欲しい、その中に家族というものが入っている、家族というもの、それが私は、大きく日本人が考えておられる家、住宅であろうと思います。そうしたことを考えますと、でき得る限り何とかマイホーム主義、持ち家、そんなようなことをまず先行していく。しかし、いま御案内のような社会環境の変化、若い方々のニーズの問題等々を考えますと、当然公営、公共住宅によって賃貸住宅ということについてもあわせて考慮しなければならない問題であろうかと思います。これは十二分に配慮しながら、特に過密都市においては、いま申し上げた家庭を持つという考え方のうち、家と庭という考え方の持ち家ということでなく、ヨーロッパ等々、欧米等々は、もう大都市に住む場合はアパート、マンションというような考え方になっておられます。私は、それを日本で無理にしようとは思いません。ただ、大都市に住む勤労者方々が、やはり安心した定住圏の中で生活するとともに住まいして、しかも人間らしい楽しみを享受し、しかも働く勤労意欲を失わないような住環境をつくっていくということ、これもあわせてやはり賃貸住宅にかかっていく問題であろうかと思いますが、これからの課題としてひとつ検討させていただきながら、計画の上へ乗せていきたい、このように考えるわけであります。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、あなたは、日本は独特のものだとおっしゃいますけれども、日本だけじゃないですよ。これは、スウェーデンへ行ってごらんなさい。持ち家志向になっています。持ち家志向になっているけれども、向こうは土地がある。建てられるのです。日本は高くて建てられない。そこに大きな相違があるのです。しかも、若い労働力を提供する世代の諸君が、とても自分の家は持てないということ。だから、自民党政策は持ち家政策を打ち出しておるけれども、これは老人対策にすぎないと言って差し支えないと私は思う。あるいは、選挙対策のために、持ち家志向をするんだということを公言してはばからなかった時期もある。これは四十八、九年ごろそうだったんですよ。大臣は、そのときまだ代議士に出てきておらなんだかもしらぬけれども、そういう時期すらあったのです。しかし、選挙のためにこういう住宅政策を云々するというのは私は間違いだと思う。スウェーデンへ行ってごらんなさい。あれだけ完備したあれだけれども、賃貸住宅ができておるけれども、やはり持ち家志向で持ち家が建ちつつございます。そして、あいたところへ若い諸君が賃貸住宅の中に入っていっておる。やはり人間である以上、同じなのです。しかし、いまの日本では一体どうなんだと言えば、あれほどスウェーデンのような核家族の方向に今後も日本は進むでしょう。やむを得ないと思う。幾ら大平さんが日本型福祉社会の建設なんと言ったところで、やはり核家族も職場の関係からして進まざるを得ないと私は思う。そうしてまた、若い世代の諸君の考え方からすると、やはり核家族はさらに進行するだろうと思う。世帯数はこれからどんどんふえてくる。先ほど住宅局長は、世帯数の十年後、二十年後の予測をお持ちになっておらぬけれども、これは厚生省に行ったらもうはっきり出ているんだ。こういうような関係からすると、私は、いま持ち家政策を大きく見、比重をほとんどそこに置いておるいまの建設行政というのは転換する時期だ。大臣考えてごらんなさい。いまどういう人が家を建てていますか。かつては、住宅金融公庫の資料を見てみますと、三十、四十代でともかく家を建てる人と言えば、公務員それから公務員住宅に住んでおる人あるいはまた社宅に住んでおる人、こういうような連中が建てたものです、昭和四十五、六年は。これが大体済んでしまった。続いて四十八、九年ごろから建っているのは、親の財産によって、親が土地を取得した、その土地に家が建っておる。二十歳代で家を建てておるのはそういう連中ばかりだった。この点については、私は後ほど、土地を持っておる者と土地を持たざる者との間の非常に大きな日本の社会のアンバランスについて申し上げたいと思っておるのでございますけれども、いずれにしても、そういうような状況になっておる。それじゃ、いまもってわれわれ世代の者は、少なくとも私らの世代、それ以上の諸君は、ともかく何とかして昭和四十五、六年ごろまでに土地を取得して、七十平米くらいの家を持っておる人がほとんどです。しかし、建設省のお役人の中でも、退職金をもらって一戸建ての自分の持ち家を建てるということはほとんど不可能でしょう。まあ建設省の高級官僚といえば、サラリーマンとしては、勤労者としてはエリート中のエリートだ。その諸君が一生かかって退職金をはたいても自分の家が持てないというようないまの状況です。何とかしなければならぬ、こう思います。思うのは、これは政治家の常だろうと思う。  そこで、問題は、土地政策に入って、宅地をいかにして安く提供するかということなのでありますが、しかしいまの建設省あるいは国土庁は具体的に何をして地価安定を図ろうとするのか私にはわからないのです。国土庁長官のごあいさつあるいは所信表明を見てみますというと、「適正な土地利用を促進し、地価の安定を図るための総合的土地対策推進」をひとつ図るのだ、こうおっしゃっておられます。具体的に何をやられるのです。お伺いしたいのです。
  103. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最近の地価の動向を申し上げますと、住宅地の需要が根強いところで非常に高いという問題がございまして、私ども大変頭を悩ましておるわけでございますけれども、住宅地の供給ということになりますと、やはり特に三大都市圏が問題でございます。三大都市圏におきましてどういうふうな方法で宅地を供給するのかということになりますと、いろいろ突き詰めて考えますと、本当は三つくらいしかないのではないかと私は思っております。一つは、再開発の促進でございます。一つは、遊休地の活用でございます。もう一つは、三大都市圏の中に非常にたくさんございます農地の利用転換ということだろうと思います。そういうふうなものにつきまして適切な対策を講じながら宅地の供給を促進していくということが目下の急務であるというふうに考えておるわけでございます。
  104. 井上普方

    井上(普)委員 それはまずあなたのお話の認識が違う。三大都市圏の土地の値上がりとおっしゃいますが、三大都市圏以外でも、ともかく日本列島全体で土地は大きな値上がりをしています。市街化区域内において一反歩当たり幾らで買えると思います。あるいは市街化調整区域でも結構です。市街化調整区域で一反五百万円以下の土地がございますか、農地で。そんな土地はありませんよ。日本列島、まあそこらあたりに、土地さえ上がればいいわと、全体に上がっておる。しかもその値上がりした理由というものは、常に大きな政策的転換があったたびに上がっている。高度成長政策により、まず工場地が上がった。続いて商店地が上がってきて、続いては昭和三十八、九年ごろから住宅地が上がってきた。まさに工業主導型の土地の値上がりであります。高度成長政策のおかげである。そうして、四十四、五年ごろからまた上がり出した。何だというと、これは都市計画法であります。続いて四十七、八年ごろから上がったのは何だというと、日本列島改造論であります。最近は何だ、土地がない土地がない、宅地を出さなければいかぬというので、続いて起こってきたのはミ二開発。大都市圏においてはミニ開発でしょう。ミニ開発については、これを抑えなければいかぬ。私も質問いたしました。歴代大臣は、やりますと言って、何らやってきてないではありませんか。これが土地の値上がりをどんどん、どんどんと引き起こしていった大きな原因です。これは、三大都市圏はそうでしょう。しかし、田舎にまで及んできた。われわれはお互いに選挙地盤を持っておる、どうです原長官、淡路で一反歩五百万円以下の土地がございますか、お伺いしたい。
  105. 原健三郎

    原国務大臣 土地を買ったことないし、わからないですが、大体、淡路でも大分その影響を受けて地価が上昇しつつあることは事実でございます。
  106. 井上普方

    井上(普)委員 ともかく土地の、管理するといいますか、そのお役所の大将なんだ、あなたは。せめて選挙の地盤の土地の値段の動向ぐらいお知りにならなきゃ勤まるわけないですよ。少なくとも私のくににはありません、市街化調整区域の中で反五行万円という土地はございません。それほどまで値上がりしてきている。認識が違うのですよ。  それはともかくといたしまして、いずれにしろ、一体、いま土地局長は、土地の安定のために、再開発を行うことだ、あるいは遊休地を利用さすことだ、農地を宅地化さすことだ、こうおっしゃいますが、具体的に何をやろうとするのです。いままでの手法のとおりじゃありませんか。できないでしょう。
  107. 山岡一男

    ○山岡政府委員 再開発につきましては、前国会建設省の方でも再開発法の改正をしていただきまして、今後住宅供給を中心とした再開発を促進するということでお進めになっておるわけでございます。  それから、遊休土地の活用等につきましては、国土利用計画法の中にもそういう制度がございます。私ども現在全国の悉皆調査をやっておりますが、その結果を踏まえて、そういうものについての活用を図っていきたいと考えております。  農地の利用転換につきましては、今国会お願いいたしております農住組合法なども大いに活用してまいりたいと考えておるわけでございます。
  108. 井上普方

    井上(普)委員 再開発法を改正した、どんな点が開発されたのです。あれでどれほどの値打ちがあるのです、利用できるのです。宅地の開発につきましても、たくさんの法律をつくっています。その法律の適用は、富山で一カ所でしかありません。Bという宅地開発については、これは新潟県で二カ所やっておりますというような、メニューはたくさんあるのだけれども食ってくれる人はわずか一人か二人というのが現状じゃありませんか。抜本的に考えなきゃならない。  それには、いまも、遊休地については国土利用計画法を利用しましてと言うけれど、何ができているのです。何をやろうとするのです。具体的方針は何らないじゃありませんか。勇断をもってやるべき時期が来ておると私は思う。幸いにして国土利用計画法で土地というものは国民共有の資源であるということを、これは各党全部が一致した国会内での合意事項なんであります。国土利用計画法の第一条か二条にはそう書いておる。両大臣ともお聞き願いたい。土地というものは国民共有の資源であるという合意ができておる。その上に立って、いかにして土地利用するか、これを考える時期がいまもう来ておるのじゃありませんか。具体的に国土利用計画法をどういうようにして利用していくか、この点についてひとつお伺いしたいのです。  国土利用計画法というのは、これは一名地価抑制法だったと私は思っています。これを利用しながら、いかにして地価を安定させ、かつまた土地を供給させるか、この点をひとつ長官からお伺いしたいのです。これが第一点。  第二点といたしましては、もう時間がございませんので、お伺いしたいのですが、建設大臣も、あるいはまた国土庁長官も、いずれも「国土の均衡ある発展」ということを書かれておりますけれども、ごあいさつの中に、国土庁の長官は、「地方振興推進、」といって、ただこれだけしかおっしゃらないのですけれども、地域振興ということについては、建設大臣は何らお述べになっておらない。両大臣は大都市圏の土地施策についてはお話しになるけれども、この点についてはお話しにならない。これはどういうような具体的方法をもってやられようとするのか、お伺いしたいのです。
  109. 原健三郎

    原国務大臣 いわゆる国土利用計画法による規制区域制度の活用をもっと積極的にやれば効果があると思います。  一般的には、投機的取引が相当範囲にわたってみられること、地価の急激な上昇があることとなっておりますが、現況では、やはり規制区域の指定をもっと広げていくとか、調査、監視の必要があれば、指定が行えるよう規制区域事前調査をやるとか、規制区域指定については——最近の地価の上がりは、大都市において旺盛な宅地需要に供給が不足しておることでありますから、需要供給の原則が破れておりますので、だんだん上がっております。しかしながら、今後の土地取引及び地価の動向については、なお十分警戒を要するものがあることは御承知のとおりであります。引き続き監視を徹底させ、必要な場合には機動的に規制区域を指定して、地価の高騰を防いでいきたい、こう思っておるのです。  第二の地方振興については、各都道府県にまず一カ所、本年をスタートとして四十のモデル地域をつくっております。徳島県においてもそれは指定されております。  まだことし指定したばかりで、だんだんそれについて各県の地元の要望を聞いておりまして、あるところは道路をつけてくれ、あるところは工場を誘致してくれ等々、主として地方要望の線に沿うて、国土庁においてそれを調整して、いま進めようと思って、鋭意研究調査を進めております。だんだんいくと思って、地方のためにもなると思っておりますから……。
  110. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  国土の均衡ある地方振興ということが建設省考え方でありますけれども、いま国土庁長官からもお話がありましたように、中央、地方という言葉がございますけれども、やはり地方が中央よりも振興過程が格差があることは事実であります。したがって、道路、公園、公共施設等々、いわゆる均衡ある社会環境整備に努めるという意味合いでございます。地域的に特定地域指定してやるという方法もありますけれども、建設省としては全国均衡ある、そして格差のないような形で社会環境、社会資本等を整備してまいるというような考え方であります。
  111. 井上普方

    井上(普)委員 原長官、あなたちょっと間違っているのじゃないですか。規制区域をさらに指定したいと言う。さらにといったら、現在指定しておるところがあるのですか、どうなんです。——いやいや、大臣が言ったんだから、大臣だよ。
  112. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いま大臣が申されましたのは、さらに監視を徹底するとおっしゃったと思います。  規制区域につきましては、現在までのところ実際に指定した例はございません。
  113. 井上普方

    井上(普)委員 わかった。いいですか、規制区域は指定してないのですよ。あなた、指定するのだ、さらに拡充するとおっしゃいましたけれども、ないのですよ、大臣。それくらいのこと知っておいてもらわにゃいかぬ。幾ら伴食大臣じゃ、伴食の地位じゃというて、国土庁の長官言われるから、これは名誉回復のためにそれくらいのことは知っておいてもらわなければいかぬ。規制区域を、ともかく指定することが困難なんです。あなた、これを直すくらいのことは提案してもいいのじゃありませんか。  地価が高騰する、あるいは投機的な対象になっておるところは規制区域に指定することができる、この二つがそろわなければできぬのですと、なかなかむずかしいことをお役人はおっしゃる。しかし、これは勇断をもってやろうとするならば、各党が合意すれば法律なんというものはつくれるのです。現にこの国土利用計画法、金科玉条のごとくおっしゃっておりますけれども、これは議員立法じゃありませんか。どうです、ここが都合が悪いのだ、おい、直してくれぬかと言って、この建設委員の諸君に相談してごらんなさい。できるじゃありませんか。役人の抵抗があるのなら、それくらいの勇断をもってやったらどうです。国土利用計画法の改正をひとつお考えになったらいかがです。
  114. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨の点はよくわかりましたが、これはなかなか簡単にいまよろしゅうございますというわけにもいきませんので、大いに検討さしてもらいます。
  115. 井上普方

    井上(普)委員 簡単にいかぬということはわかっておるのに、さっきの御答弁では規制区域を拡充するなんて、ようおっしゃっておられたものだと思う。  最後に、もう時間がなさそうなんで、私も地元のことをひとつお伺いしたい。  原長官が国土庁長官になられると、途端に新聞記事が出ました。明石の大橋については道路橋でいくのだ、これを指示したと、新聞に大きく出たのですね。私もびっくりした。だれにどんな指示をされたのですか、お伺いしたいのです。
  116. 原健三郎

    原国務大臣 明石・鳴門架橋促進議員連盟というのが自民党の中にありまして、もちろんこれは高知、徳島、兵庫、大阪、和歌山等々入っております。過般、議員連盟においていろいろ相談したところが、明石は自動車単独橋でよろしいという了承を得ました。なぜそういうふうにするかといいますと、どうも新幹線と併用にすると、新幹線はいつ四国へ通うかわかりにくい、大分先である。単独橋でやれば、橋がかかれば直ちに自動車が本土と淡路、四国を通える。いつ通うかわからない新幹線と一緒にやっておると、併用橋というとだんだんおくれてくる。ただ抽象論としてそういうことを申し上げるのではなくて、現に鳴門の架橋に当たったときに建設省及び国鉄が非常に抵抗している。これはもう単独橋にしてくれと言って、工事がすでに計画してちゃんと進んでおるのを、建設公団等、そういう反対に遭って、半年間ぐらい工事がおくれました。そういう苦い経験を私どもは持っておりますので、なるべく早くこれは自動車単独橋で橋をかけたい。そして新幹線の方は別途にこれを後日通わす、とにかく急いでかけたい、こういう方針が議員連盟で決まりまして、それを申し上げました。その線を踏まえて国土庁の方にも、この線で議員の方がそういう希望が多いからそういうふうにやろうじゃないか、こういうことを検討してくれということを指示いたしたような次第であります。
  117. 井上普方

    井上(普)委員 時期が違いますな。この自民党の中の議員連盟というのは私的なものです。あなたが国土庁長官として指示したというのは、もう四十四、五日前に発表している。だれに指示したのです。具体的に、何をだれに指示したのです。
  118. 原健三郎

    原国務大臣 国土庁で役人に対して、これを検討してみるように申し上げた次第であります。
  119. 井上普方

    井上(普)委員 検討を指示した。しかし、この新幹線を乗せるということは、これは閣議でまで決定していることでしょう。指示するというのは、国土庁の役人にこれを検討しろということ。国土庁の調整局だろうと思うが、調整局はそんな能力があるのですか、権限があるのですか。
  120. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 お答えいたします。  大臣からこの明石大橋の件につきまして、先ほどお話がございましたような意味でひとつ検討してみるようにという御指示がございました。計画・調整局の所掌の範囲といたしましては、幹線交通施設体系の問題というのがございまして、その点が一つと、それから、全国総合開発計画の中に掲げられている関連の問題でございますから、国土庁の中の担当部局としては私どもの方ではなかろうかと思いまして、それを受けとめまして部内で検討を始めているという段階でございます。
  121. 井上普方

    井上(普)委員 もう時間が参りましたのでこの程度にさせていただきたいと思うのです。  国土庁は、運輸省、あるいはまた建設省、あるいはまた各省との調整のためにある、その調整局なんです。大臣検討を指示しろと言った、へえ、そうでございますかと言うて聞ける問題でもないと私は思う。総合交通体系、恐らく三全総の中にある話なんです。指示しろというのは、大臣になったら何でも気安に指示を出してもいいかもしれないけれども、まずやらなければいかぬことは、それをやろうとするには、閣議決定、これを覆さなければいかぬのでしょう。あるいは法律を直さなければいかぬのでしょう。法律、政令を直さなければいかぬのでしょう。どうなんです。
  122. 原健三郎

    原国務大臣 私が検討せいと言いましたのは、新幹線が無用であるから要らない、こういうことを指示したわけではなくて、新幹線といわゆる自動車道とを一つの橋の上へ、架橋にして同時に通わすというのには、いわゆる鳴門架橋のときに非常に苦い経験があるから、これは併用するのである。ただし、自動車だけを通わす橋をまず先にかける。そして新幹線は、後日、四国へ通うようになったときに通わす。このことは前の国土庁の事務次官からも半年にわたって私どもは要請を受けた。そしてそれは運輸省と相談の結果、そうしてくれ、これならよろしいと言われたんだが、やはり四国の方、徳島の方等には併用橋でなくちゃ困る、そんないまさら改めちゃ困ると言うから、それでまた押し返して、そのために半年間また工事がおくれたような苦い経験があるのであります。
  123. 井上普方

    井上(普)委員 その苦い経験というは、一部の——一部と言ってもいい。一人の政治家の反対であった。一人ですよ。そのことは御記憶になっていただきたい。先ほどは運輸省とかどこからの反対があって、そんなことじゃないんだ。それは原長官も御存じのはずだ。それはともかくといたしまして、それで半年おくれたことは、これは事実だ。しかし、あなたも気安に指示を出されるけれども、権限があるところのをお出しなさい。あなた国務大臣でしょう。閣議決定を覆すのはあなた方の責任なんだ。
  124. 福島量一

    ○福島(量)政府委員 井上先生御指摘のこの問題に関しましては、直接閣議決定ということではございませんで、三全総に、当面児島−坂出ルートを中心に云々と書いてある点においては、これは閣議決定でございます。しかし、他の二ルートについての地域開発橋としての扱いにつきましては、いま閣議決定に相なっておるわけではございません。  ただ、従来からの経緯を申し上げますと、四国架橋の問題につきましては、建設大臣、運輸大臣並びに国土庁長官の三者が寄り寄り協議をしてはその都度方針を決定しているということはございます。その意味国土庁、あえて部局を申し上げれば私どもの部局が調整役となりまして、建設、運輸両省の間に介在しながら事柄の解決を図ってきておるというのも事実でございまして、全くいわれなく、権限なきところに大臣のお考えがあったというふうに私ども考えておりません。関係はございます。
  125. 井上普方

    井上(普)委員 時間が参りましたのでこの程度にしますけれども、最大の権限は、これはあなた、法律にちゃんと書いてあるんだ。政令にもちゃんと載っているんだ。明石−鳴門は新幹線で行くということは載っているんですよ。何言っているんです。あなたはそのくらいのことを知らずに調整の役割りは勤まるものじゃない。  ともかくいずれにいたしましても、国土庁長官、あなたは指示を連発されるのがお好きのようでございますが、ともかく指示をなされるときには、どこに問題があってか十分にお勉強になってやられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  126. 稲村利幸

  127. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、本日、去る八月十六日静岡で発生しました駅前のゴールデン街地下爆発、この問題、特にその後建設省が主務官庁となりまして、建設、消防、警察、運輸、通産等で地下街の中央連絡協議会、このようなものが設置されて、この再発の防止のために鋭意努力をしていらっしゃる、このような観点から、この問題について建設省中心関係省庁のその後の対応等具体的にお伺いをしたいと思います。また、時間が許せば、台風のシーズンになりましたので、ダム防災の見地からダムの操作規程あるいは河川改修等の問題をお伺いしたいと思いますので、どうか明快な御答弁お願いをする次第でございます。  最初に、先般発生しました静岡駅前ゴールデン街、大変悲しい痛ましい大事故になったわけでございます。亡くなられた方が十五名、負傷なさった方が、重軽傷合わせて二百名を超す大惨事でございます。亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、おけがなさった方の一日も早い回復を祈りながら私はこの質問をさせていただくわけでございます。どうか各関係省庁とも単なる責任の回避ではなく、今後再びこのような事故を起こさない、このような観点に立って御答弁をいただきたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、警察庁にお伺いしたいのでございますが、事故発生から約二カ月経過をしておるわけでございますが、一番問題となります事故の原因の究明、また現在の捜査状況を御説明いただきたいのです。
  128. 加藤晶

    ○加藤説明員 お答えいたします。  警察といたしましては、当日の事故発生を認知した直後、直ちに静岡中央署及び警察本部にガス爆発事故対策本部というものを設けまして、相当多数の人員をもちまして救護、警備活動を行ったわけでございます。と同時に、初期的な捜査活動を当時から推進してまいったわけでございますが、何しろこの事故が非常にむずかしいといいますか、特殊な困難性を持っておるものでございますので、さらに強力な捜査体制をもってこれに当たる必要があるということで、八月二十一日、事故対策本部にあわせまして、静岡中央署に捜査本部を設置いたしまして、事故原因の解明及びそれに対する刑事責任の有無、存否というものを究明しておるわけでございます。  事故現場付近における目撃者、負傷者及び消防職員、ガス取り扱い事業者等につきましての事情聴取、それから現場検証及び鑑定の実施、遺体の解剖、それに被害程度の掌握等につきまして進めてまいったわけでございますが、十月十四日現在の捜査状況でございますが、関係者からの事情聴取は、現場関係者三百五十名、それから消防関係者百七十名、それに負傷者二百十九名、ガス関係者百六十四名、そのほかの者十二名ということで合計九百十五名、この人たちにつきまして事情を聞きまして調書を作成済みでございます。  それから検証関係でございますが、当日、現場の火災が鎮火した直後から、本部の鑑識課長を長といたしまする事故班の検証班を編成いたしまして、これには警察庁の科学警察研究所に勤務する爆発、火災等の専門の技術者、それに部外の専門家を立会者といたしまして、現場の第一ビル及びその周辺一帯につきまして綿密かつ慎重に徹底した検証活動を実施いたしまして、八月二十八日に終了いたしております。  事故原因の究明でございますけれども、関係者からの事情聴取及び検証の結果、さらには鑑定の結果等を総合的に検討して行っているところでございますが、複雑な事故、事件でありますだけに鑑定事項というものもきわめて多岐、多項目にわたっておりまして、その結果が出ますには今後さらに相当な日時を要するんじゃないかと思われます。  これまでの捜査及び検証等による中間検討結果から推察いたしますと、第一回目の爆発、これは第一ビル地下湧水槽部分に滞留いたしました可燃ガスに何らかの火源から引火、爆発したというふうに思われます。また第二回目の爆発は、第一回目の爆発によりまして地下街の「ちゃっきり鮨」「キャット」という喫茶店付近の天井部分等に配管されておるガス管が破損いたしまして、これから都市ガスが漏れましてダクト等を通じて、地上の一階部分の「石垣洋服店」から「トラや靴店」までの間、特に「ダイアナ」「柴田薬局」等を中心にそれが滞留いたしまして何らかの火源によってまた引火、爆発したものではなかろうかと推定されておるところでございますけれども、詳細につきましては検討中でございます。そういうところでございますので、現在鋭意鑑定を進めまして真相の究明ということに努めておるわけでございます。
  129. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと警察庁に確認しておきたいこと、二、三あるのですが、まず第一回目の爆発は地下の湧水槽で爆発したということは現中間時点においては確定した事実であるかどうか、それから滞留した可燃性ガス、これは問題をこれからいろいろお伺いしますが、メタンあるいはその他の可燃性の都市ガス等を含めてのガスということだと思うのですが、この可燃性ガスについてはまだ特定はされていないのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  130. 加藤晶

    ○加藤説明員 お答えいたします。  第一点の、地下の、さらにその通路、床面の下といいますか、そういうところの雑排水槽といいますか、湧水槽というわけですけれども、そこから第一次の爆発が起こったということは、これは検証、鑑定の中間でございますけれども、結果によりましても明白だと思います。  それから、その際のガスが一体メタンというふうに特定できるのかということでございますけれども、現在までの鑑定、検証その他によりましてメタンガスの可能性が非常に強いということでございますが、ただそれ以外のガスが全く関与しておらなかったかどうかということにつきましては、現在科学面の検証、鑑定をやりましてそれを詰めておる段階で、はっきりここでメタンガスのみによるということはちょっと申し上げかねるところでございます。
  131. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま課長の発言の中で非常に問題点があるんですが、これはもう一度確認のためにお伺いしますけれども、湧水槽と雑排水槽とは建築基準法上全然違います。湧水槽というのは本来爆発の危険性のない構造になっていなければなりません。地下水をただ排除するだけです。いまの御答弁ですと湧水槽というか雑排水槽というかと混乱しておりますけれども、もう一度明確に湧水槽部分が爆発したのか雑排水槽が爆発したのか、その点を明確にしてください。
  132. 加藤晶

    ○加藤説明員 正確に申し上げますと、これは湧水槽部でございます。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点だけ警察庁、お伺いしたいのですが、今度の爆発の中で特に問題になりますのは構造上の問題なのか、それともこういう湧水槽等の維持管理の問題が大きく原因になったのか。いわゆる構造上の問題か保全管理上の問題なのか。それから初動態勢等いろいろ問題になりますけれども、対応等に現時点では問題がなかったかどうか、お答えできないかできるかわかりませんけれども、お答えできる範囲内でお願いします。
  134. 加藤晶

    ○加藤説明員 湧水槽の構造上の問題かあるいはそれの維持管理の点の問題か、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、現在その両面につきまして捜査を進めておるところでございまして、いずれと断定できる段階まで至っておりません。  それから、ガス爆発がありました後での対応等の問題でございますけれども、もちろんこれらも含めまして鋭意捜査を進めておるところでございますが、いまだ明確な結論に達しておる段階ではございません。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 警察庁の方、御苦労さまでした。  それでは、次に建設省にお伺いしますけれども、いま警察庁の御答弁の中で湧水部分で可燃性ガスが滞留してという原因についての中間発表があったわけですが、建設省の建築基準法上湧水槽というのは、地下水がわき出る、これは純然たる水でありまして雑排水槽ではないわけです。湧水槽からメタンが発生するということ自体これは考えられない事態でございますけれども、この第一ビルの湧水槽部分は建築基準法上その法制をクリアしていたのかどうか。もしもそうであるならば雑排水が混入するという事態は構造上あってはならない、こう思うのですが、その点いかがでしょう。
  136. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  私どもが現地の県及び市から報告を受けておりますところでは、このガス爆発事故の原因となったと思われるビルの地階につきましては、その地下室の底は二重になりまして水がたまり、水圧を緩めるようにしてある、そういうようなことでございますので、一番下の床については水が出てもよい構造にしてあります。しかしそれは一般的にきれいな地下水がたまるものであるというふうに考えておりますので、建設時の構造の問題ではなくてその後の管理上の問題であったのではなかろうかというふうに考えております。ただ、また別に汚水処理につきましては、その建築物の地下に設ける場合の汚水処理施設あるいは汚水処理貯留槽、そういったようなものにつきましては建築上通常用いられる方法でありますけれども、これらの構造につきましては通気装置を設けて直接外気に衛生上有効に開放するというような規定になっております。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は第一ビルと特定してありますから、御答弁なさるとき一般論は一向にお答えいただく必要はございません、われわれの方も多少は勉強しておりますので。この第一ビルの地下湧水槽は、建築基準法上湧水槽として許可した以上雑排水が混入する状態にあってはならないと思うがいかがですかと聞いたのです。どうでしょう。
  138. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 仰せのとおり、そういうようなことは考えられないと思います。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、今度の事故では、湧水槽という完全に雑排水が入らないところへ雑排水が混入してきたという事態なんですが、私は現地を見ました。この雑排水槽の上部にマンホールがあります。私も建築の専門家等にいろいろ聞いてみました。湧水槽というものに掃除をするためであるとかあるいは保安点検上そういうマンホール等が法令上規定されるか、あるいは必要なものかと言えば、湧水槽というものは本来水がわいてくるのを定期的に排出するということで、構造上そこの中に雑排水が入るようになっていることは好ましくない、こういう点が指摘されておりますけれども、建設省の見るところ、あの構造上雑排水が入りやすい状態になっているのはどう考えますか。
  140. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまお話しの地下水につきましては、先ほど申しましたように、建築基準法上ストレートに規定はございませんが、実質的に水が出てちゃんと排水できるような状況につくるというのが当然であろうかと思います。ただ、維持管理等の問題、そういったようなものがあったのかもしれないと思っておりますが、基準法上特にその点についての規定があり、違法であるとか適法であるとかいうことはなかったと聞いております。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではちょっとほかの角度から聞いてみますけれども、湧水槽、地下にあるタンク、こういうようなものができております。こういうものの維持管理は一体どこが監督官庁なのかと言えば、御承知のように厚生省所管のビル管理法、昭和四十五年にできておりますこの法律によってビルの地下の雑排水槽等の清掃等の管理義務が課せられております。しかし、この法律は面積とそれから適用除外部分がありまして、今回の第一ビルは、地下の雑排水槽はもちろんのこと、湧水槽についての厚生省の調査の責任はありませんけれども、雑排水に関連して、あるいは湧水槽の状態がおかしいということで発見できたかもしれない。しかし、現実には現在の厚生省のビル管理法で適用除外されております。こういうところに大きな問題があろうかと思うのですが、この事故発生後、厚生省はこのような雑排水槽等についての何らかの注意を喚起するような徹底方を全国にしたかどうか、その点をお伺いしたい。
  142. 山内豊徳

    ○山内説明員 お答えいたします。  御指摘のように、雑排水槽の清掃その他の管理の責任が今回の建物に及んでいなかったということがございましたが、このような事件にかんがみまして、九月五日付で全国の都道府県及び保健所を所管しております市長にあてまして、人の多数出入りする地下街を、先生お話の特定建築物であるかないかを問わずに調査するということな一応指示いたしました。その中で、もちろんこれは清掃の頻度とかそういうものを調べますと同時に、湧水槽に汚水が流入するおそれがあるかないかは保健所の立場で調べるようにということを指示したところでございます。
  143. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと関連して消防庁にお伺いしたいのですが、今回の事故にかんがみてと、こういう立場から申し上げますけれども、本来可燃性のガスが発生することのない湧水槽で発生したことにかんがみ、現在消防法の中に「危険物」という条項がございますが、これに基づいて消防庁としては何らかの研究ないしは対応をなさったのかどうか。消防法の第三章「危険物」第十条、貯蔵、タンク等を含めてあるわけですが、これに該当するのかしないのか。今回の事件にかんがみますと、該当しなくてもこういう危険性が考慮されますが、消防庁としてはこういう問題について何らかの対応を全国に指示、徹底なさったかどうか、お伺いしたいのです。
  144. 椎名泰

    ○椎名説明員 お答えいたします。  可燃性ガスは消防法で言う「危険物」には該当いたしておりません。それから、このガス事故に関連いたしまして長官名で早速それぞれの一斉点検等、それなりの対応策を指示したところでございます。
  145. 薮仲義彦

    薮仲委員 「危険物」に該当しておらない。私がいまなぜこうやって一つ一つ問題にしておるのかというと、後ほど建築基準法もお伺いいたしますけれども、各法令に適用除外ということで適用されない部分でこの事故が起きているわけです。特に湧水槽という専門的な見地から見ても、爆発する危険性がないと思うところで爆発が起きた。メタンなど発生が考えられないところで、メタンとはまだ特定しておりませんけれども、メタンの発生の要素がその中にあるヘドロの中から検出された、こういうことも言われておりますが、いずれにしてもこのように消防法でも適用されないような事態の中で発生しております。こういうところについて、消防庁としてこういうところも念のため検査しておきなさいよということをおやりになりましたか、この点いかがですか。
  146. 椎名泰

    ○椎名説明員 ガス関係あるいは危険物関係そのほかそういう揮発性関係のものすべて一応点検をするように指示はしてございます。
  147. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、建設省引き続いてお伺いしますけれども、この第一ビル、建設されたのは昭和三十九年です。当時の建築基準法の規定についてすべて満たしておったのかどうか、その点いかがでしょう。簡単で結構です。
  148. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、この第一ビルは昭和三十九年から四十年にかけて建設されたものでございまして、当時の建築基準法の法令の規定には適合していたものでございます。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 その建築基準法が昭和四十五年に改正されて、いままで規制されておりませんでした——地下街部分はありました。しかし、ビルの地下という問題について基準法が明確にその基準を規定したわけです。防火区画あるいは排煙設備、非常用の照明等々がこの四十五年の改正で加えられた。との四十五年以降の改正で第一ビルは改善された部分があるのかどうか。もちろん私は法律の遡及するか不遡及かという問題を十分承知の上で、不遡及の原則はわかっております。その上に立って、この改正された部分で改善された個所がありますか。
  150. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お話のとおり、その後四十四年、四十五年当時におきまして建築基準法の関係の法令が改正になっておりますが、私どもの報告を受けた限りでは、この第一ビルにつきまして、この基準に合うように改善をしたということは聞いておりません。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、これは大臣にお伺いしたいわけでございますが、いままでるる申し述べました、まだこれから続きますけれども、いままでの時点で私が申し上げたいのは、建設省所管の建築基準法も充足しております。そして厚生省が当然千五百平米ですか、以上のビルであれば特定建築物としてこれはビル管理の法令があります。しかも今度の第一ビルは一〇%適用除外、店舗であるとか事務所等そういうもののほかに一般住宅が一〇%以上入っておるのでこれは適用除外で法律除外されておる。消防法上も査察をされていない。そこで起きるとは思われないガス爆発が起きたということであります。私がいま申し上げた建築基準法の改正要綱の中で、もしこれが改善されていればなと思うことが幾つかございます。  その一つは、いま局長答弁の四十四年五月一日政令第八号、ここではいわゆる防火区画に関する基準が改正されております。避難施設も改善されております。内装も制限が強化されました。四十五年法律が改正されて四十六年の一月一日に施行された政令第三百三十三号、ここでは排煙設備がうたわれております。また非常用照明もうたわれております。それから四十九年、同じく政令第二百四十二号、ここでも避難階段等のいろいろな問題が取り上げられておりますし、五十二年は換気設備等の基準の改正が行われまして、換気設備の基準もだんだんと強化されています。私がここで申し上げたいのは、今度のビルの爆発の中で、たとえば排煙設備がどうだったかな。先ほどの問題もありましたように、第二回目の大爆発、もしも換気設備が十分であればあるいは防げたかなという感じもしないではありませんし、爆発が起きたときに地下街の中は真っ暗でした。非常照明は必要だったな、避難路の基準はどうだろうかな等々の問題があそこで論じられております。不遡及の原則はわかりますが、私は、あのように駅前の繁華街、商店街等のように大ぜいの人が集まるあのような特定のビル、雑居ビルというのは当たらないかもしれませんけれども、とにかく商店街、ああいう繁華街にあるビルの基準については、確かに不遡及の原則は原則としても、やはり人命尊重の立場から行政指導の中でこういう基準を徐々に上乗せしていくべきが妥当ではないか。また静岡市としても、今度の問題にかんがみまして、今後商店街を開くに当たっては現行の建築基準法に合致する、その規制を十分満足する状態にならなければ再開はしないでください、こういうようなことが言われております。こういう観点から、不遡及ではありますけれども、私はやはり人の大ぜい集まる繁華街等はそれを乗り越えて改善をしていただきたいと思うのでございますが、大臣いかがでしょう。
  152. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えする前に、静岡ガス爆発で亡くなられた方々の御冥福、そして負傷された方々の一日も早い御回復をお祈りいたします。  私もすぐ現地へ参りまして、つぶさに視察をしてまいりました。この種の災害は想像以上に悲惨なものでございます。改めてこの対応について深刻に受けとめて、いま先生の御指摘の遡及適用ということもすぐ頭の中に上ってまいりました。大阪における雑居ビルの折々のことに考え及んで、何とかこの問題について解決しなければならぬ時期じゃなかろうかと思いますが、何さま御案内のように、既設の建設物についての改修等々は多額な費用もかかるし、また改修の困難性等々から直ちに遡及適用ということについていかがなものであろうかというようなことで今日まで来ておるのが事実でございます。したがって、強力な行政指導によって遡及適合に準ずるような形で何とかこの災害を防ぐための措置をしてまいりたい、このように考えておるわけであります。  地下街につきましては、中央連絡協議会というものがございます。私、帰りまして閣議で特に発議をいたしまして、あの協議会に通産関係が入っておりませんので、すぐ協議会のメンバーに入るように申し上げて、御案内のような形で資源エネルギー関係が入るようになりました。ガス等々についての爆発物の認識の不足、しかし、それより以前の問題としてこうしたことが再三再四にわたって起きておりますし、東京都等のビルにおいてもいまプロパンガス等々は日常に使われておる問題でありますので、先生の御卓見に敬意を表すると同時に、あれこれを考えまぜながら、何とかこれからも厳しい行政指導で臨んでまいりたい、このように考えておるところでございます。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣のお言葉どおり、法律に準ずるような行政指導によりまして安全が確保されるように心から祈るものでございます。  と同時に、厚生省、それから消防庁関係も、法律に基準は該当しない、そういうビルもございますけれども、そういうところも単なる法の適用ではなく、安全の見地から確認をいただくようなあり方、徹底をされているようでございますが、さらに十分御配慮をいただきたい、このことをお願いする次第でございます。  それでは、次の問題でございますけれども、これは具体的に先ほど警察庁の中での指摘の中に出てくるわけでございますが、今度の事故でやはり初動態勢ということが一番大きな課題にもなっております。あのような態勢でいいのかな、事後爆発を最小限に食いとめるのはやはり初動の態勢が確立しておることが一番大事であり、またそれの対応が最も適切であり、被害を最小限にする一番のポイントではないか、私は現地を見ましてしみじみ感じたわけでございますが、恐らく大臣もその点は強く感じられておると思うのでございます。  念のためにお伺いしたいのですが、消防庁、一一九番に第一報が入ったそうでございますけれども、その第一報の内容はどういう内容なのか、ガス爆発と受けたのか、ガス漏れと受けたのか、その点ここでもう一度確認をしたいと思います。
  154. 野沢達夫

    ○野沢説明員 お答えします。  一一九番に市民から通報がありましたのは、趣旨としましては、爆発がありました、ガスのにおいがする、しかし火が出ていない、大体こういう通報があったように聞いております。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 この一一九番、詳細わかりませんが、大体救急の場合あるいは火災の場合等であろうかと思うのですが、いずれにせよ、緊急事態が一一九番です。これはいまのお話しですと、概要こういうことでありますというような御返事ということは、正確にテープレコードしてあるのですか。それとも受信した人が単なる記憶であるだけであって、あとに残るものは何にもないのですか。その点いかがでしょう。
  156. 野沢達夫

    ○野沢説明員 静岡市消防本部の場合は、一一九番の通報につきましてはテープで一応レコーディングを行っております。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、内容はもう少し明確にわかると思うのでございますが、それは正確に後ほど資料をいただきたいと思うのです。  それでは消防からいろいろな関係、当該ガス事業あるいは警察あるいは病院等へ同時通報といいますか、一斉に連絡が流れると思いますけれども、その通報した内容はどういう通報をとられました。
  158. 野沢達夫

    ○野沢説明員 先ほどお答えいたしましたように、通報がございましたので、静岡市の場合には、ガス漏れ事故に際してガス爆発防止に関する申し合わせというものをガス事業者、警察、電気会社等と結んでおります。そういったことで、その申し合わせに基づきまして、こういうガス漏れ事故があったということを通報したように聞いております。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一度念のために言いますけれども、ガス爆発と徹底しましたか、ガス漏れと出しましたか。どっちです。
  160. 野沢達夫

    ○野沢説明員 ガス漏れ事故が発生しておるということを通報したように聞いております。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 通産、来ておると思うのですけれども、通産は当該ガス事業者は何と消防の連絡を聞いておりますか。
  162. 石田寛

    ○石田説明員 御説明申し上げます。  静岡瓦斯からの説明によりますと、消防電話による静岡営業所に対する通報の内容は、ガス漏れという趣旨の通報であったというふうに説明を受けております。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ここに簡単とは言えない重大な問題があろうかと思うのです。なぜかと言うならば、警察が聞いているのもやはりガス爆発、消防もガス爆発で、出動態勢はそれなりの緊急態勢をしいて警察も交通整理に始まり、危険の排除に取りかかりました。消防も第一出動で緊急態勢をとられた。  そこでお伺いしたいのですが、ガス会社からガス漏れと通報を受けて現地に行ったのは何名でしょう。
  164. 石田寛

    ○石田説明員 ただいま御説明いたしました通報を受けました後に、市内をパトロールしておりました緊急車に無線連絡をいたしまして、その無線連絡を受けた緊急車の乗務員が現地に派遣されたという説明を受けました。その緊急車の乗務員は一人でございました。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 この初動態勢に非常に問題があるというのはこれなんです。警察も消防もそれなりの緊急事態発生ということで万全とまでいかないまでもそれに対応すべき態勢で出動した。ガス事業法によって他の省庁の権限のないガス漏れ、ガス爆発にたった一人しか行かない。これが果たして初動態勢として適切であったかどうか。きょうは通産大臣がおりませんので、この点は後ほど当該の大臣にも聞いてみなければならぬ問題でございますが、これは中央連絡協議会の中で建設大臣お聞き及びと思いますので、初動態勢の対応についてはこの状態であってはならぬと私思っているわけです。  ここで大臣に御意見を伺うのもいかがかと思いますので、消防庁にお伺いしたいのでありますが、いまの御発言ですと何かこうあいまいでございますが、テープにとってあったならその内容を正確にいただくと同時に、こういう問題、ガス爆発をガス漏れと言ったところに、先般私は商工委員会でこの問題を指摘したときに、ガス保安規程によれば一名であっても保安規程に違反しない、こういうことになっております。爆発ならば特別出動で出ます。しかし、ガス漏れという通報であったのでと言っておりましたし、私がガス会社に行きました。どのような通報を受けたかと言ったときに係員が言ったのは、消防からの連絡を傍受しました、こう言いました。そこで傍受とは何事ですか、その心構えがおかしいのですよ。同時通報で来た。消防から入ったことを傍受したのではないでしょう。それを正確に聞いて対応すべきだ。傍受という姿勢をまずガス会社としては改めなさいということは言ってまいりましたが、このガス漏れあるいはガス爆発に対する消防と当該ガス事業者、もちろん警察もそうでございますが、もっと密接な連絡をとっていただいて、事態の認識について、消防がこれは危険だ、同じような認識で当該ガス事業者が立ち向かわなければならないと思いますが、今後こういうことをなくすためにこのガス漏れ、ガス爆発については、協議はもちろんのこと、通報のあり方についてももっと正確を期していただきたい。これは通産もそうでございますが、消防並びに通産から御答弁いただきたいのは、この通報の受け答え、もっと責任ある態勢でやっていただきたい。特にガス会社は何ら消防からの指令をテープレコードしていない。こういうことでは相ならぬと思うのです。こういう問題は後々大事な問題でございますから、こういう通報についてはもっと正確を期し、同じ認識で立ち向かうということについてどういうお考えか、消防並びに通産のお考えを伺いたいのです。
  166. 野沢達夫

    ○野沢説明員 お答えいたします。  静岡市の場合につきましては、ガス漏れ事故による事件が五十四年に藤枝でございました。その当時ガス爆発防止ということで申し合わせをつくったわけでございますが、ガス漏れば当然ガス爆発につながる、そういうことで特に関係機関で申し合わせをつくったわけでございます。連絡事項の中で、ガス漏れ事故を覚知したときはすぐに連絡するということになっておりますので、それによって通報したわけでございますが、いろいろそういった点については、今後関係機関の中で検討して、通報の問題についても研究をしてまいりたいというふうに考えております。
  167. 石田寛

    ○石田説明員 通産省といたしましても、従前より一層消防関係当局との連携を緊密にして、連絡体制に遺漏のないようにいたしたいというふうに考えているわけでございますが、ガス漏洩等に関する情報の受け付けば、先生の御指摘のとおりきわめて重要でございますので、ガス事業者においてもその受け付け体制などにつきまして、その強化充実を図ることとしているわけでございまして、ただいま先生の御指摘の点についても、その一つの方策として検討を進めてまいりたいというふうに考えます。
  168. 薮仲義彦

    薮仲委員 テープレコードするということは重要だと思うのですが、いかがですか。
  169. 石田寛

    ○石田説明員 ただいま、その他の検討項目も含めまして、通産省に設けましたガス事業都市対策調査会地下街対策専門委員会というものがありますので、そこで種々検討させていただいております。その検討課題の一つとして、一層検討を進めてみたいということでございます。
  170. 薮仲義彦

    薮仲委員 消防庁が藤枝の問題をお話しになりました。私も藤枝はよく存じておりますし、その件についても指摘をさせていただきましたけれども、その後の協議会合意書、協議書を私も持っております。しかし、出動に対する明確な打ち合わせばできておりません。出動という項目があるだけで、その中身が、何名出るとかどういうふうにするかということが明確でない協議書でございますので、この点は消防だけの問題ではないと思いますが、もっと明確な対応の仕方を検討していただきたい、これは要望しておきます。  それから通産省、この静岡瓦斯に対しまして、東京通産局の立入検査を八月の二十日から二十一日まで行ったようですが、ガス事業法等の違反はありませんでしたか。その点いかがでしょうか。
  171. 石田寛

    ○石田説明員 ただいまのお話のように、八月の二十日から二十一日にかけまして、静岡瓦斯の本社及び同社の静岡営業所に対しまして、通産省といたしまして、ガス事業法の規定に基づきます立入検査を実施いたしております。  立入検査は、ガス工作物の技術上の基準の遵守状況でございますとか、消費機器に関する周知及び調査状況でございますとかその他の点について実施いたしたわけでございますが、これらのいずれにつきましても、それぞれ基準等を遵守していなかったという事実は認められておりません。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは具体的に通産に聞きますけれども、ガス爆発をガス漏れと受信している事態、これはやむを得ないと思うのですが、これによってガス会社が係員一名しか現場へ行っていない。これは現行の保安規程等については違反しないということでございますが、それでは、緊急遮断ということがガス事業法の中でうたわれておるわけでございます。このガス事業法の中で、地下にあるガス供給弁に対しまして、地上から簡単に遮断できる、できなければならないというのがガス事業法でうたわれておるわけでございますけれども、実際、この第一通報がありました九時三十五分、地下の供給バルブをとめました。これが二カ所ありまして、一カ所が十一時、もう一カ所は十一時十五分、時間にして一時間を超える時間がかかっておるわけでございます。それからさらに、第一ビルのガスの遮断を、現地にいる警察もしくは消防関係者から早急に遮断してほしいという要請がありまして、消えたのが十三時十二分、この遮断工事終了という報告を十三時十二分に受けているわけでございますが、この報告をもとにしますと、三時間十六分遮断に時間を要したわけでございます。  地下の遮断に、早くて一時間二十五分、もう一カ所は一時間四十分、地上部分は約三時間十六分かかっておる。ガスを遮断した途端に十数分で鎮火したわけでございますが、この消すことに要した時間、これは保安基準の中あるいは通産省として、ガス爆発の場合に、ガスをとめることが被害を最小限に食いとめることと思うのでございますが、三時間十六分かかった遮断のあり方あるいはその装置あるいは遮断すべき場所等の適切かどうかを考えて、適切だとお考えなのか、問題は全然なかったとされるのか、法律に違反しなければこれは構わないというお考えなのか、その点を含めてお考えを伺いたいのです。
  173. 石田寛

    ○石田説明員 御説明申し上げます。  ガスの遮断についての操作でございますが、これも静岡瓦斯から事情聴取したところによりますと、地上からのガスの遮断装置が火災現場となった第一ビルから非常に近い場所にありましたために、火災の火勢か非常に強かったため近づくことができずに、その遮断に相当時間を要したということでございます。  先ほど申し上げました今回の立入検査は、現行のガス事業関係規則などに照らしましてどうかという点に重点を置いて検査を行ったもので、その結果を御説明さしていただいたわけでございますが、現にあれだけの災害が起こっているわけでございまして、しかも今回の事故が地下階から地上階における二回にわたる爆発が発生するというような異例の事態でございましたが、このような悲惨な事態を二度と繰り返すことのないようにという立場から、たとえば緊急ガス遮断装置の設置でございますとか、その他いろいろな措置を具体的に挙げまして、先ほど御説明いたしましたような専門委員会で鋭意取り急ぎ検討を進めているというところでございます。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほどから鋭意検討というのは何回も聞いたのですが、この間私も委員会で言ったのです。本日ただいま爆発が起きるかもしれませんよ、鋭意検討しても間に合いませんよ、どうするんですかということは、この間私が申し上げたとおり、鋭意検討も結構ですけれども、議して決せずではしようがないんで、さしあたってどうするのか。たとえばガス漏れの通報があったとき、ガス事業法の保安規程には違反しないけれども、一名でいいのか。また、地下街に対して遮断に一時間以上かかっている。あれが二次爆発の誘発の大きな原因になったかもしれない。一時間十何分かかったのがいいものか。地上、火勢があります。私はあの現場が燃えている最中、十二時過ぎに現地に行っています。恐らく大臣も知っていると思うのです。十二時前後、私も第一ビルの前、西武までずっと歩きました。燃えている最中です。私は決して火勢が強くて消せないという段階にはなかったと思うのです。私が行ってしばらくたってから、いまガス管がようやくとまりました。私は現地に発災後燃えている最中に行って、消防の方が苦労しているなと……。警察の方も言っていました、早くガスを遮断してほしいと。  ああいうことを見ておりますと、ガス事業者であるならば、ガスは火を伴うのは当然です、火災が発生したときにこの場所で管をとめられるのかどうか。あの第一ビルの前の歩道の上に低圧管があるわけですから。あの場所も私見てまいりました。私の見る限り、もう少し適切な遮断の方法をもっと早い時間にできないかなというのが私の考えです。これは専門的なことですから文句は言いませんけれども、いま申し上げた、ガス事業法には違反しないけれども、ガス漏れに一人で行ったことがいいかどうか。あるいは地下に対して一時間十数分、地上に対しては三時間有余の時間がかかった。私は、この現在のガス事業法を改善もしくは改正して、再びこのような事故の起きないように、鋭意検討は結構ですけれども、こういう事故を最小限に食いとめるためには直ちにやるべきだと思うのです。いかがでしょうか。
  175. 石田寛

    ○石田説明員 先ほど来御説明させていただいております対策項目でございますが、専門委員会において検討を進めておるわけでございますが、できるだけ早急に実施に移す、こういう方針で審議を依頼しておるわけでございまして、その答申が得られ次第、早急に実施に移したいということでございます。同時に、あの事故の直後に類似の地下街三十五カ所に対しまして一斉に点検をし、必要なところはことごとく改善措置をとっているというようなことで、再発の防止にいろいろな手段を尽くしまして努めているところでございます。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 余り課長さんに言ってもお気の毒ですからこの程度にしておきまして、それでは、本省へ帰りまして、建設委員会で大分やかましく言われたからということを含めて、対応の仕方を十分御検討お願いをする次第でございます。  次に、消防庁にお伺いしたいのでございますが、現行の消防法上におきましては、ガスに対する規制あるいは保安上の指導監督権限、そういうものが明確に規定されているかどうか。あるかないかの点と、また、現行法上の法制を運用することによって、今回のようなガス事故については少なくとも未然に防げる、たとえば、ガス事業法の問題あるいは消防法の問題とは別にして、現行のガス事業法、消防法の範囲内で消防庁としてはこういう事故の再発防止に十分対応できるとお考えか。一つは、消防法に明確に規定されているのかどうか、もう一つは、十分な対応ができるかどうか、この二点、簡単にお答えいただきたいのです。
  177. 椎名泰

    ○椎名説明員 消防法では明確にガス事業者に対しましての強制といいますか、指導監督権はございません。でき得るならば、消防機関が保安面からガス事業者に対しまして指導監督する権限を与えていただきたいと思います。そういう考えでいま通産といろいろ交渉をしている現況でございます。  先生のおっしゃることは消防法二十九条の件だろうと思いますけれども、消防法二十九条でたとえば命令権を発したとするならば、損害補償の問題が出てくるわけでございます。したがいまして、ガス事業法に基づくならばそういう問題もございませんので、できるならばそういう方法で、ガス事業法の改正検討をしていきたい。現在は通産省とそれぞれ鋭意検討中でございます。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもう少し、いま消防法のお話がございましたけれども、消防法に関係してちょっと消防庁にお伺いしたいのでございます。  いま二十九条のお話をなさいましたけれども、たとえば、第一条、第四条がございますが、第一条では、「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、」となっているわけでございます。第四条の方は立入検査等もうたわれておるわけでございますが、二十九条のみならずたとえば第一条の火災というのは、この静岡瓦斯のような爆発事故、こういうことも十分この法令の中でできるのかどうか。あるいはこの立入検査、資料の提出命令、こういうことに対してガス事業者に対して相当の強制的な権限を持っているのかどうか。その点、消防庁いかがでしょうか。
  179. 椎名泰

    ○椎名説明員 消防法の四条で申します立入検査、これは一般の立入検査でございます。消防法の中で、特に危険物関係での立入検査はまた別に規定してございます。したがいまして、この四条で言う立入検査は、従来ガス事業との関連におきましては、通産省所管のガス事業法で監督する、そういうたてまえになっておりますので、四条としては該当はしないわけです。拡大解釈をせよということならばこれはまた別の問題でございますけれども、現在の状況ではそういうことを考えてございません。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がなくなったので質問をほとんどできないのでございますけれども、それではまとめてお伺いします。  いま消防庁からお話があったのですが、私は二点についてお伺いするわけですが、一つは、事故発生以後、いま消防庁のお話のように通産、消防の間でいろいろ保安、安全をどうしたらいいかと鋭意努力して協議をしていらっしゃる、こういうことでございますが、具体的な問題について私は消防庁と通産の御意見を伺いたいと思うのです。それと、地元静岡県議会等でも今度の発災について非常に問題が多うございました。その点もあわせてまとめて質問いたしますので御答弁いただきたいと思うのです。  それでは最初消防庁にお伺いしたいのですが、さっきの、ガスを消すのに一時間、三時間かかった、あるいは遮断弁の位置が消防の方では全然わからない、あるいは低圧、中圧、高圧管の配管がわからない、通産の方では、いや建設の当時に渡すようになっておりますとかいろいろ出ております。こういうことをまとめて、われわれ事故に遭った立場の静岡県民としますと、もちろんこれは日本全体同じですが、今後こういうことを起こさないために、火を消してくれるのは消防だ、ガスの保安は通産省とはわかりますけれども、両省でもう少し権限を委譲しても生命、安全を守ってもらいたいというのが私の希望です。そこで、保安、安全ということについては通産は専門かもしれませんけれども、消す方の専門の消防の意見は通産としても十分取り入れるべきじゃないか。また、地方自治体が権限の委譲と言っておりますけれども、ガス事業すべての権限の委譲を望んでいるわけではなくて、県民のあるいは国民の生命、安全を守るために保安、安全の部分についてもう少し地方自治体の関与権を認めてほしい、こういうことなんでございます。  こういうことを含めてお伺いしますけれども、たとえば先ほど問題になりましたガス事業法で規定する保安規程、これに対して消防庁としては、この保安規程を作成する段階で協議する、関与権というものについてはどう考えるか、私はあった方がいいと思うのです。また、通産にお伺いしたいのですが、それに対してどうお考えになるか。地方自治体から保安規程について関与権——かつて伊豆大島近海地震のときに持越鉱山の堰堤が壊れました。あのときも通産の東京通産が握っているもので県は関与権がなくて、あの鉱山の堰堤の破壊に何にも手が出せなかった。あのことについても、地方自治体はやはり県民の安全のために関与さしてほしいということを言いましたけれども、がんとして受け入れなかった。私はこの事故、大爆発にかんがみて、地方自治体の関与権について通産はもっと柔軟であってほしい。消防の方に渡すべきかどうか、少なくとも協議に消防庁が関与する、あるいは地方自治体が関与することは必要と思うけれども、消防と通産の見解。  それから、緊急時の処理の問題についてもいろいろ問題がございました。これについて消防は、ああいう事故を緊急に処理するためにやはり関与権が必要なんじゃないかな、こう思いますけれども、この点はいかがか。  三番目、それは私今度聞いたら、消防も警察も配管が全然わからない、こう言うのです。どこにガス管が通っているのかわからない、これは私は問題だと思うのですね。中圧管や低圧管、特に生活の周りを回っているのは中圧、低圧管ですから、これらの埋設工事の計画等については消防並びに地方自治体の意見、関与というものは私は大事だと思いますが、この点同じく聞きたい。  それから、今度、地下の遮断弁をとめにくかった、やはり工作物の設置場所に問題があったと思うのです。しかも、場所が消防にはわからない。そういうことで私はやはり、この工作物の技術上の問題についても、消防、地方自治体の関与並びに意見は聞くべきだと思うのでございますけれども、いかがか。  それで、ガスを消すときにガス事業者だけしか消せませんよ、これはわかります。しかし、地下街などは防災センターなどをつくるべきであって、つくった上で、遮断については通産だけが握っていないで何らかの関与をさせるべきだと思いますが、以上の点、まとめてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  181. 椎名泰

    ○椎名説明員 現在通産省とこのガス事業法の改正について検討しているわけでございますけれども、先ほど先生から御指摘ありましたように、計画の届け出の問題、報告徴収権の問題でございます、それから立入検査権の問題あるいは保安規程を作成する時点におきまして消防庁との協議の問題、それから緊急時におけるガス事業者に対する遮断弁等の一時使用停止命令権あるいは損失補償の免責規定を伴う緊急やむを得ない場合の消防隊による一時使用停止権あるいはさらにガス工作物等の技術上の基準、省令で定める場合には消防庁と協議する、そういうことなどにつきまして、現在通産省とそれぞれ折衝中でございます。
  182. 小島幹生

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の自治省ないしは消防庁、地方公共団体との協調の問題でございますけれども、私ども、今回の事故にかんがみまして、前向きといいますか深刻に受けとめまして、できるだけの措置をとるようにということで現在鋭意自治省ないしは消防庁と協議中でございます。  具体的にいろいろ御指摘がございましたけれども、たとえば緊急時の措置あるいは緊急時の遮断のあり方、配管等につきましては、権限の問題につきましては、先ほど御説明がございまして、消防法でいけるのかあるいはどうなのかという問題はございますけれども、いずれにいたしましても、運用面、連携の強化という面で私どもとしてすぐにできるし、またやらなければいけないことがいろいろあろうかと思います。たとえば配管図等につきましては、日ごろから、地元におきまして消防当局とガス事業者との連携をよくしまして、その連携の中で御提供を申し上げるとか、緊急時の措置についても十分打ち合わせをしておくとかといったようなことは直ちにできることでございますし、やらなくてはいけないことでございますので、その点につきましては今後、現在続けております自治省ないしは消防庁との協議を急ぎましてなるべく早く結論を出し、しかるべき措置をとらなければならないと考えております。  なお、先生御指摘の保安規程の問題でございますけれども、この保安規程と申しますのは、各事業者がそれぞれに定めまして届けるわけでございますが、現実には、私ども本省の方でモデル保安規程というものを定めまして指導しておるというのが実態でございますので、今回の事故にかんがみまして保安規程をいろいろ改正しなければいかぬという面が出てまいります。そういったことに関しましては、本省、自治省等とも十分協議をいたした上で指示をするというようなことで前向きに考えてまいりたいと思っております。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか事故を再発させないように関係省庁御努力お願いして終わりたいと思います。
  184. 中村靖

    中村(靖)委員長代理 渡辺武三君。
  185. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本委員会の劈頭におきまして両新大臣からきわめて一般的、抽象的に御方針を承ったわけでございますが、私は実はその中の一つだけ具体的に所信をただしたいと思うわけでございます。  現在財政再建をめぐりまして大蔵省が出しております「歳出百科」を拝見いたしますと、わが国道路整備の水準というものが著しく向上した、したがって、もう道路財源の転用を検討すべきだというふうに述べておられると思います。新しく就任されました建設大臣大臣道路というものをどのように認識をしておられるのか、あるいはわが国道路現状というものをどのように理解しておられるのか、まずお答えを願いたいと思います。
  186. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えをいたします。  まず、道路への認識でございますけれども、私は、道路は人体で言えば動脈だと思っております。私たちが生活をする上で、近代社会を維持する上で最も必要なものは、生活道路であり、産業道路であり、経済道路である。これを整備しない限りは、日本のような国土における均衡ある生活環境というものは維持できないというように承知いたしておりますので、特に道路については動脈ということをあえて申し上げて、必要欠くべからざるものであるというように認識いたしております。  先生御指摘の道路財源、「歳出百科」等々を拝見して、著しく向上したというような表現につきまして、担当大臣としてはいささかいかがなものであろうかというような認識に立つものであります。終戦時等々から比べれば、確かに著しいという表現は当たろうかと思いますけれども、欧米世界各国に比べて、いまの日本の道路事情というものが著しく向上しておるとは私は全く考えておりません。  具体的に申し上げますれば、国道は一応九〇%以上の舗装率があるとはいうものの、簡易舗装を含めての上でありまして、実質本舗装はたしか八二・五%、国道都道府県道を合わせますと、本舗装率というものは何とまだ四七・八%であります。よく言われる均衡ある国土発展ということを考えた場合の一般地方道というものはまだまだ非常におくれております。特に生活関連道路、産業道路として欠くべからざる地方道については、まだ半分以上がバスもすれ違えないような道路であるし、舗装率につきましてもまさに半分以下という状況でありますだけに、私はこの道路問題につきましては、なお財政当局等々にも御理解をいただきながら積極的に道路整備について進めてまいりたいと思いますし、また、地方方々の一番強い要望であるものは道路だということをあえてつけ加えさせていただくわけであります。
  187. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大蔵省をお呼びいたしておりますが、お見えになっておりますね。  いま建設大臣が御答弁をなさいましたように、わが国道路整備の水準というものは、実はまだ大変に低いわけでございます。しかしながら大蔵省自身は、一応舗装というものだけを取り上げ、しかもその舗装というものを取り上げるに当たって、それが本舗装であろうと簡易舗装であろうとお構いなしにその舗装率を見て、そしてわが国道路整備の水準が著しく向上したのだ、こうおっしゃっておるのではないかと思うわけです。実は第六十五回国会における例の福田大蔵大臣時代ですね。このときは御承知のように自動車重量税が創設をされたときだと思いますが、この論議をめぐって時の大蔵大臣は、いま道路整備状態というものは他の先進国に比べて大変に立ちおくれておるのだ、そういうふうに実は述べておられるわけでございます。ところがそれからわずか十年足らず、今回出されております大蔵省の資料を拝見いたしますと、わが国道路整備水準が著しく向上した、こういうふうに言っておるのですが、これは、十年足らずでさきに福田元大蔵大臣答弁なさっておりましたような状態からいまおっしゃっておるような状態に大きく道路整備というものが改善され、水準が高まったのだ、こういうふうにその認識をお変えになっておるわけですけれども、その理由についてまず御説明を願いたいと思います。
  188. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  ちょうど四十五年当時の数字を持ってまいりませんでしたので残念でございますけれども、道路整備水準が高いか低いかを何をもって判断すべきかということですが、やはり基本的には改良率、舗装率というものがあって、その上で、さらに先ほど建設大臣が御説明になりましたような諸指標を総合的に勘案するということになるのではないかと思います。「歳出百科」というものは非常に各般の歳出項目について簡単な説明をしておるものでありますから、道路についてだけ非常に詳細な説明をするわけにもまいりませんし、一応あの書類におきましては道路整備の最も基本的な整備水準をあらわすものとして改良率、舗装率を用いたわけであります。数字はここでは特に申しませんけれども、いずれにせよ、昔に比べればはるかによくなっている、そういうつもりで書いたわけでございます。
  189. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 すべての発想がいわば大蔵省的発想といいますか、昔に比べればよくなったのだという発想でございまして、そのほかの書類を拝見いたしましても、公共事業全般についても実はそういうことをおっしゃっているのですね。そしていまや他国に比べて社会資本の投資比率は日本は非常に高いのだ、こうまで実はおっしゃっている。ところが現状は全然おっしゃっていないのですね。私に言わしむれば、むしろ日本は社会資本投資が非常に低かったのだ。だからいま一生懸命でそれに投資をしておる最中なんです。欧米先進諸国はもう社会資本の投資を長年にわたって積み重ねてきたのでいま非常に高い水準にある、こう見るべきだと私は思うのです。ところが現状のその比率だけをながめて、諸外国と比べてわが国は非常に高いのだ、だからその辺の公共事業を少し削ってこちらに持っていけ、こういう発想だと私は理解をしているのです。それが果たして正しいのだろうかどうだろうか。現実にはゼロから出発して十年たてば、それはゼロに比べれば著しく向上したと言えるでしょう。しかし、その出発点のゼロというものが余りにも低かったのではないか。だから、一生懸命にやってきたけれどもまだとても著しく向上したと言えるような段階ではない、こう見るのが本来の至当なあり方なのですよ。そうじゃありませんか。そうでないとするならば、それは小児病的見解と言わざるを得ない。一プラス一イコール二、二マイナス一イコール一だ、単純にそうおっしゃっているように私には聞こえるのです。そうではないと思いますね。だから、十年前に福田元大蔵大臣が認識をしておられたその状況と現在大蔵省がやっておられる認識とは、非常に大きなずれがあると言わざるを得ないのですね。細かく説明しておらぬので言葉が足らなかった、こうおっしゃられるならば、細かく説明すれば十年前福田大蔵大臣が言われたことにほぼ似通ってくる、こうおっしゃるのですか。
  190. 保田博

    ○保田説明員 御必要とあれば数字で御説明をいたしますけれども、十年前に比べますと現在の数字も相当よくなっておる、こういうふうに理解をいたしております。
  191. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 十年前と比べれば現在よくなっているというのは言われなくてもわかっておると言っておるのですよ。ゼロから出発しておるのだから十年たてばそれはよくなるでしょう。しかしその基準、出発点がきわめて低かったのではないか。だから十年前と比べて現在の水準というものが、大蔵省的発想によれば著しく高くなったんだからもう必要ないんだ、こういうふうに聞こえてくるのですよ。だから他に転用すべきだなんという言葉が出てくるのでしょう。そうではなくて、比べる出発点は非常に低かったんだという認識はございませんか。もう一回答弁してください。
  192. 保田博

    ○保田説明員 もちろん昔は非常に低かったわけでございます。(渡辺(武)委員「現在でも低い」と呼ぶ)現在よりもちろん低かったわけであります。われわれの方も現在の水準というもので十分であって道路整備は必要ないということを申し上げておるわけではないわけであります。表現としまして適切かどうかとは思いますが、一ころのいわば社会資本がゼロだった時代に比べればはるかによくなっておる。ただ、物によりましては外国に比べて一〇〇%比肩し得るものばかりであるとは思いませんけれども、道路につきますればもちろんそれは諸外国に劣る部分もあるでしょうし、場合によっては進んでいる部分もあるのではないかと思いますが、いずれにせよ一ころのあの飢餓的な状況ではない。あのスピードで今後も続けるということについては、財政事情その他を考えればややスローダウンさせていただくということもやむを得ないのではないか、こういうことを言っておるわけでありまして、道路整備はもう十分であるからもう必要ないということを申し上げておるつもりはありません。
  193. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 何かいままで高度な水準が維持されてきたというふうなことをおっしゃいましたけれども、決してそうではないのですね。いま現在第八次道路五カ年計画でしょう。ずっとさかのぼってごらんなさい。少なくとも第六次ぐらいまでは五カ年計画は三年間で達成できておったはずだ。それが七次、八次になるに従ってもう五年たっても一〇〇%達成できないというほどにスローダウンしておるのですよ、現実に。水準が高くなったからスローダウンさせてもいいんだ、いいんだではない、もうしちゃっているのですよ。それをさらにスローダウンさせるつもりですか。
  194. 保田博

    ○保田説明員 先生御指摘のように、昭和三十年代から四十年代にかけまして五カ年計画達成スピードというのは非常に速かったわけであります。それは一方におきまして道路整備に対する需要も非常に強かったと同時に財源面でもこれに応じ得たわけであります。したがって、先生のおっしゃいましたように五カ年計画は三年たてば当初の予定していたペースよりもはるかに進み過ぎるというようなことで、実情に合わなくなって、三年たつと五カ年計画の改定をするというのが常道であったわけですが、現在は残念ながらそういういい時期ではなくなっておるということであります。十分とは申しませんけれども、しかしそれに伴う財源が非常に苦しいのでその辺は御勘弁をいただきたい、こういうことであります。なお、さらに切り込むのかということでありますが、来年度の予算編成に当たりましては歳入の見積もりの問題もございますし、予算全体の骨格をわれわれとして描くところまで至っておりませんので、発言を控えさせていただきたいと思います。
  195. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 以前に比べれば現在はすでにスピードダウンをしておるのだということを大蔵省はお認めになったというふうに理解をいたします。  そこで、現在いろいろ実は新聞等で報道されておる事柄、つまりは道路そのものはいわば道路特会によってその事業量が維持されておる。したがって、冒頭の大蔵省の発想からその特会を一般財源の方へ回してはどうか。これは言いかえれば、もう道路はよくなったんだから道路をやめてもっと一般的な財源使途の方に回したらどうか、わかりやすく言えばそういうことになると思うのですが、そう極端なことではないとおっしゃるかもしれませんが、実はそれぞれの税が新設された時期、たとえばいま論議を呼んでおります自動車重量税の創設をされた経緯、あるいはそのときの国会の議事録等々私もいろいろ勉強いたしてまいりましたけれども、当時の大蔵大臣は、その自動車重量税を創設するときの発想の根源というものは第六次道路整備五カ年計画財源不足を補うのだ、そういうことを主たる理由にしてそしておつくりになった。で、道路が重量によって損壊されていく、したがって重量の重いものから税金を取っていくということは一応国民の皆さん方からも御納得が得られるのではないか、こういうふうに実はおっしゃっておるのです。したがって、あくまでもその創設の思想というものはそういうところにあった。この思想がいま現在大蔵省としての考え方と変わっているかどうか、これをまずお聞きしたい。
  196. 保田博

    ○保田説明員 自動車重量税の創設の経緯、創設の理由等については先生のおっしゃるとおりであります。われわれとしましては、創設の経緯等にかんがみまして収入の国の受け取り分の相当部分道路に充てるという心構えで大体毎年度の予算を組んでまいったつもりであります。
  197. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 昨年いわゆる揮発油税あるいは地方道路税が二五%引き上げられました。俗に言うガソリン税というものですね。この引き上げのときもいわば第八次道路整備五カ年計画、これの特定財源比率というものを国費の大体九割程度にしていきたい、そういうために実はこれが行われたというふうに聞いておるわけですが、大蔵省、間違いありませんか。
  198. 保田博

    ○保田説明員 道路財源といたしますと特定財源、これはガソリン税、それから石油ガス税がございます。そのほかに先生が先ほどからたびたびおっしゃっております重量税、これは法律上は一般財源でございますけれども、それを一応法律上の特定財源とわれわれが法律上は一般財源と観念しております重量税を合わせた比率で見ますと、おおむね九割ぐらいになる、そういうふうに理解をしております。
  199. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そこでお伺いをするわけですが、実は八十七国会、これは昨年の通常国会だったと思いますが、おたくの高橋局長はこういうふうにおっしゃっておるのです。「特定財源比率は国で約九割という形になりまして、道路整備五カ年計画の遂行上支障がないというふうに考えております。したがって現在のところ再度、税率の引き上げを五十八年三月までにお願いいたさなくても計画の円滑な執行は可能」であると考えております、こういうふうに実は高橋局長はおっしゃっておるわけでございますが、これはどういうことかというと、つまり五十八年三月まで、第八次道路整備五カ年計画が遂行されるまでは自動車重量税の再度の引き上げはないのだ、こういうふうに言っておられると思いますが、大蔵省のお考えはいかがですか。
  200. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答え申し上げます。  確かに渡辺先生御指摘のとおり高橋主税局長が、速記録をそのまま引用いたしますと、「再度、税率の引き上げを五十八年三月までにお願いいたさなくても計画の円滑な執行は可能であろうというのが私どもの考えでございます。」と答弁申し上げております。五十六年の税制改正あるいはその後において自動車重量税の再度の引き上げを全く行わないということかどうかという点につきましては、私がここでしっかりしたお答えをする立場にないのは残念でございますが、これからの検討課題であろうと私は思います。  御承知のとおり、政府が税制改正の案をつくります場合には税制調査会というところにお諮りをいたします。ところが、現在の税制調査会は十一月の十日に任期が満了いたします。通常任期の満了の際には一種の卒業論文と申しましょうか、中長期的に見た税制改正のあり方についての答申を出していただくことになっているわけであります。十一月の十日を目前に控えまして、いま毎週一回程度の割合でその中長期の税制の指針をいただくための作業をしていただいているわけでございます。したがいまして、五十六年度の税制改正に関する作業というものには私どもまだ入っていないわけであります。  さらに、五十六年度の税制改正の内容を考えます場合には、先ほど保田主計官からお答え申し上げましたように、今後自然増収というものがどういう経過をたどるのであろうか、あるいは主税局の立場から申しますと財政再建のためには歳出を大いに削減してほしいということを主計局に申し入れているわけでございますが、その削減状況がどうなっていくのか、こういったことを全部考え、さらに個別の税目の負担の状況が現時点で考えて適当かどうかということを考えて、最終的に結論が出されることになるのだと思います。したがいまして、来年度どういう税目についてどういう改正をやるのかということにつきましては、現在のところ全くの白紙でございます。
  201. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういう答えが出てこないためにいままで私は論議を進めてきたつもりだったのですよ。いいですか。自動車重量税が創設されたときのいきさつ、福田大蔵大臣はこう言われたのですよ、つまり、国民的な納得を得るためには、重い荷物を積む車が道路を傷めるから、それでその重量を積んだ車から税金をいただくのです。それも道路整備計画というものが別にありまして、その財源確保ということが傍らにあって、そういう傍らから、そういう発想のもとにつくられてきたという経緯を持っておるのです。  そこで、いま五十八年三月まではもう増税しなくてもやっていけるんだと大蔵省がおっしゃっておるから、ならば、その一連の発想の水準からいけばそのままでいいのではないかというふうに言ったのですが、どうもそういうふうには考えていられない。そこにはいわばごまかしがありインチキがあると思うのですね。新しい税金をつくるときには、何々に使うのです、どうぞ皆さん御理解をしてください、こう言っておきながら、それが大体忘れられてくるともうそんなことは全然忘れてしまってこれは別なものに使うんだ。これから財政事情の状態によってはどこへ使おうと一般税だから勝手じゃないか。こういう発想はちょっとおかしいですね。私は財政再建をしてはいかぬとは言っていない。財政再建は大いにやらなければならぬ。しかし、実際にはそれはあくまでも国民が納得の上で応分な均等な公正な負担をしていかなければいけないわけですよ。ととろが、現実のこの税は、形式的には一般税ではあっても、実質的には特定財源となっておる、そういう性格のものだから安易にそういう論議に発展をしていくのはおかしいではないか、こういうふうに実は申し上げておるのです。お答えありませんか。
  202. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。財政再建の必要性については先生もただいまそのとおりであるということをおっしゃっていただきまして、ありがたく思いました。  ところで、財政再建につきましては、まず現状が歳出を一〇〇といたしますと、税収で六二しかカバーしていないということで、この事態を一刻も早く直すためにはどうしたらいいのか。これは歳出の削減あるいは税収の引き上げあるいは両者の適当な組み合わせということに論理的になるわけであります。     〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、私ども、主計局は、毎年予算シーズンになりますと家に帰って夕飯を食べる日が一シーズンに一日もないというような過酷な労働を強いられているわけでありますが、その主計局の人々にさらにもっと一生懸命やってほしいと言っているわけです。その場合に、主計局の中から、いや切るといっても法律を改正しなければ予算の削減ができないものもたくさんあるというお話も受けます。私どもはそれに対して、増税をやる場合には必ず法律の改正国会お願いしなければいけない。大変なむずかしいプロセスを経て税制改正というものがあるのだから、歳出の削減についてもやはり同じような立場からやってほしいということを言っているわけであります。そういうことを主計局に申し入れ、主税局の方は安易な道がとれるかというと、それはできない。やはりすべて初心に立ち返りまして、いままで既存の税目というものが果たしていまのままでいいのかということをすべての税目について検討し直すというところまで否定されると私どもちょっと困るわけでございます。あくまでも、あわてて追加いたしますけれども、これは自動車重量税の増税を来年やるとかやらないとかいうことと全く関係がないことであります。検討の対象から外すというところまで言われると私は困るということなんでございます。  いろいろ御議論があることは私ども承知しております。私どもがこの税金の使途はかくかくだ、いままで伝統的に確立されているものを役人の一存で変えるということができる、そんなことはとうてい考えておりません。税制改正を仮にお願いすることになって、それが国会で御審議されることになるわけでありますけれども、その過程で、たとえば揮発油税の特定財源制というものをこの際財政再建期間中やめるというような議論、こういう議論はいまのところ税制調査会でほとんど出ておりませんけれども、仮にそういう御議論が国会での御議論の中での大勢ということになれば、その上で法律改正が行われるわけであります。したがって、くどいようでありますけれども、私が事務当局として現在の非常な危機にあります財政再建の問題を税制面からアプローチする際に一種の聖域というものを最初から設けて、それはもう全然検討の対象から外すということになるとちょっとそれは困るなという感じなんでございます。何とぞ御理解いただきたいと思います。
  203. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大蔵省の見解にはなかなか理解ができないわけでして、本来、つまり「歳出百科」に書いてあるような認識でしょう。だからそれが誤っているということを実は言っているわけですよ。道路というものが大蔵省的な発想ではないんだ。つまり端的に言えばいまこの日本の中で大都市に住んでいらっしゃる方、これはマスコミ論調を見ましても、確かに道路整備はもう終わったんだ、これ以上道路を拡張することは公害の拡散ではないかというような論調があることを知っております。しかし、一たん地方へ出ますと、地方の住民というのは、これはもう総理府が調査しておられますからおわかりのように、各市町村地方自治団体の要望のトップにあるものは道路整備なんですよ。だからその辺をごらんになると大蔵省的発想というのは出てこないはずなんです。しかも道路の総延長というふうに見ていきますと、市町村道というのはこれは圧倒的な多数なんですよ。もう九割近く市町村道国道、県道入れて二〇%弱なんですよ。その国道ですらまだまだ大変に整備がおくれておるところがたくさんあるのです。だから大都市の中だけ見てもう十分だ、大都市の中でもそう十分ではないでしょう。杉並の方へ行ったら、一たん火災が起きたときに消防車が消火活動に入れないという道路がまだたくさんあるんだ。そういう中でこんな何か子供だましのような、もう一〇〇%水準、終わったんだというような発想の上に立って、そしてその財源に目をつけてとりやすいところから、安易にとれるところから税金を引っ張り出してくる、そういうやり方はいけませんよということを言っているのです。もうこれ以上は答弁を求めません。気をつけてください。あと国土庁に移ります。  国土庁長官、時間がなくなってしまいましたので急ぎますが、あなたは国土行政の最高責任者として御就任になられまして、私は一番大切なものだと考えております土地というものに対するその御認識、あなたの御見解を伺いたいと思います。
  204. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  国土についての基本的理念としては、国土は限られた資源であるし、しかも生活及び生産の基盤となるものであるとの認識を持っておるものであります。したがって、その利用については、第一は公共の福祉を優先にすべきものである、第二は健康で文化的な生活環境の確保をやり、さらに国土の均衡ある発展に用いられるべきものである、こう考えておりまして、その信条に立って国土行政を進めておるところでございます。
  205. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御認識きわめて一般的でございますが、そういたしますと現在日本の土地の地価というもの、地価の状態というものはどのような御認識をお持ちでしょうか。
  206. 原健三郎

    原国務大臣 これは数字がありますので、政府委員から答弁させます。
  207. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示とそれから最近行いました地価調査が最近の地価を反映いたしております。四月一日に行いました地価調査によりますと、これは昭和五十四年一月一日から五十五年一月一日までの変動率でございますけれども、全国で一〇%でございまして、関心の最も高い住宅地につきましては全国で一二・三%、三大圏で二八・三%ということでございます。都道府県地価調査につきましては、これは十月一日に発表したものでございますが、調査期間は七月一日から七月一日までということで半年間はオーバーラップいたしております。変動率は全国で申しますと八・八%の上昇、特に地価公示と比べるためには都市計画区域内で見なければなりませんが、それによりますと九・八%ということでございまして、同じく都市計画区域内の住宅地について見ますと、全国が一一・五%、三大圏が一六%という上昇でございまして、現在の地価公示と都道府県と比べてみますとほぼ同様の値動きを示しておるという状況でございます。  こういう地価上昇の原因につきましては効用の増によるものもございますけれども、宅地需給の不均衡がその主因であるというふうに考えております。さらにこういうような地価は現在決して安定しておると考えておるわけではございませんで、今後におきましても十分警戒をしながら監視を続ける必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  208. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大蔵省の好きな国際比較をおやりになってみましたか、局長
  209. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最近の例では比較いたしておりませんが、昨年の白書に御報告いたした次第であります。
  210. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 国際比較をいたしますと、わが国土地というのは非常に高い。これは白書を見てもそのとおりになっておるわけでございます。どうしてそうなっていってしまったか。これは結局は土地政策が不在であったと言わざるを得ないのですね。本来土地国土であった時期というのは、明治初年大政奉還から明治五年に至るまでの間は文字どおり国土であったはずなんです。寸土たりといえども日本国の国土になっておった。明治五年一月十四日でしたか十五日でしたか地券の売買によって初めて永代売買が許された。自来わずか百年ですよ。わずか百年にして世界でも異常と思えるほどの地価になってしまっておる。これが実際に適正な地価政策、土地政策が確立されてきたならばこんなことにはならなかったのではないだろうか。にもかかわらず最近の新聞紙上を拝見いたしますと、国土庁の見解としては、これは投機的な取引ではなくて通常な需要と供給の関係で地価が上がっておるのだからもろもろの法律を適用する必要はないのだ、こうおっしゃっておるのですがね。通常な取引あるいは投機的取引とこう言われますけれども、投機的取引とは一体何ぞやということなんですね。それをまずお聞きしたい。
  211. 山岡一男

    ○山岡政府委員 土地の投機的取引につきましては、将来他に転売いたしましてその間における地価の上昇による価格差益を享受するということを目的として土地取引を行うということにわれわれ解しております。したがいまして、実例を申し上げますと、昭和四十七年、四十八年ごろ過剰流動性をバックにいわゆる一億総不動産屋ということでわが国の全土が買いまくられた時代がございますが、その当時のような取引はまさにそういうものであったというふうに認識しております。
  212. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現在は他に転売をする土地購入はない、こうお考えですか。
  213. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土利用計画法の対象になっている範囲におきましては、やはり資産保有が全体の六、七%あるのは実態でございます。
  214. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本来国土利用計画法ができましたのはもちろんその投機的取引を抑制しようという姿勢もあったけれども、異常に高い地価を何としても正常な価格に直したいという側面もあったはずなんですね。だから投機的取引はない、こうおっしゃるのですが、私どもは隠れた投機的取引は他に幾らでもあるという認識なんです。それのみか側面的にわれわれが意図した地価の抑制という問題はことさらにいまなおざりになってきてしまっておる、こう考えるわけですが、その辺は国土庁として地価の抑制についてどのような手段をおとりになり、どのような方向で臨んでこられたのかお聞かせを願いたい。
  215. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在私どもの考えておりますところ、地価の値上がりの原因の中で効用増というのが一つございます。これは、たとえば駅ができて便利になったというような場合のことでございます。そういうものが相当値上がりの要因になっておるわけでございますけれども、それ以外の要因といたしまして、投機的土地取引が一つの大きな原因であった時代がございますので、まずはそれを抑え込むというのが一番大事であろうと思っております。それからその次に、やはり全体として長期を見通しました需給計画の中でも年間で一万三千ヘクタールぐらいは供給があればいいなと思っておりますのに、最近の供給は一万ヘクタールを切っておるというような現状から見まして、やはりどうしても供給を促進しなければならないなと思っております。  したがいまして結論的に申しますと、引き続いて投機は抑制する、供給はあらゆる手段を総合いたしましていいと思うものは少しでも前向きに前進をいたしまして促進するということが目下の急務であるというふうに考えておるわけでございます。
  216. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 供給さえふやせれば地価が抑制できるんだ、こういうお話でございますけれども、果たしてそうであろうか、実は大変疑問に思わざるを得ないわけでございます。国がすべてを買ってしまって一挙にわあっと放出をすればあるいは実際にはそういう事態が起こるかもわからぬ。ところが、宅地造成はされたが値上がりを待ってそのままおるという事例も現実にはなきにしもあらずなんですね。供給を目的に諸施策が行われますけれども、必ずしもそれがそういうふうに結びついていっていないという現状があると思うのですよ。だから、そういう現状認識をしながら何とかして地価を抑制していかなければならぬ、そういうものが側面的にあるわけですね。  国土利用計画法の中でも規制区域を定めるということになっておるんですけれども、残念ながら法律制定以来その該当件数は一件もございません。いずれもそれらの主とする理由は、投機的取引ではないから国土法に定めるそれに該当しないんだ、こうおっしゃっているわけですが、ならば、国土利用計画法を改正する意思はおありになりませんか。
  217. 山岡一男

    ○山岡政府委員 確かに、私どもの最近の規制区域に対します運用の基本的な考え方につきましては、やはり投機が原因である場合に限るという運用だと思って運用いたしております。そのために、全国にわたりまして五十年以来二百三十一カ所ぐらいにつきましては四半期ごとの地価調査、それから、さらに蓋然性の特に高いところにつきましては本年度から特別詳細調査ということで月別の仮登記まで含めた調査を行っております。それらによりまして、現在地方公共団体の方からそういう投機の状況は一切ありませんという報告を受けております。したがいまして、なかなかそういうふうな事態に立ち至っていないんだなと認識していることは事実でございます。  将来法改正考えるかどうかということでございますけれども、これは御提案の際、四党の御協議によりましてお決めいただいた法律でございます。実際問題といたしまして、四十七年、八年当時のあの土地の急騰を目の前にされまして恐らくこういう法律が決まったんであろうと私ども想像いたしておるわけでございます。そういうものを一発で決めるような法律が本当にできるだろうか。私ども事務的には、宅地供給がむしろストップするような法案になるのではないかというような気がいたしまして、現在のところ、私どもは、現行法の運用を厳しくやるということがたてまえでございまして、改正する必要はないんではないかというように考えているのが現在でございます。
  218. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 では別の角度から質問いたしますけれども、地価の上昇というのは対前年度比何%までは抑制する必要はないんだとお考えになっているんですか。
  219. 山岡一男

    ○山岡政府委員 そのあたりは実際には一切基準を決めておりません。それで、国土利用計画法によりますと、投機の状況、地価の高騰の状況等によりましてまず知事さんが判断されるということになっております。そういう場合には抜き打ち的に指定をすることになります。法律も、指定することができるというのではなくて、「指定するものとする。」というふうに書いてあるわけでございます。しかしながら、一たん指定をされましても、そういうふうな問題でございますので、土地利用審査会の議を経てその確認をいただくという問題が残っておりまして、土地利用審査会の確認が得られなかった場合には、指定はさかのぼって無効になるというふうな二重、三重の枠をかけました規制になっております。したがいまして私どもも、こういうような場合には指定をするというような条件を決めたらどうかという事務的な検討をいろいろいたしておりますけれども、一切そういうふうなものについては方々にお示しいたしておりません。何%というようなことにつきましては、あくまで現地の実情による判断によるというふうに考えております。
  220. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも国民認識と大分違った認識をお持ちのようですけれども、一方で、われわれが生活していく上において消費者物価の上昇というのがございますわな。その消費者物価の上昇と土地の上昇、こういうものがあるわけですけれども、その関連はどのようにお考えでしょうか。
  221. 山岡一男

    ○山岡政府委員 土地につきましての値上がりの一番の問題はマインドの問題だと思っております。いろいろな物価指数との関係で申しますと、卸売物価につきましては、これは関係がないということになっております。それから、消費者物価指数の中には家賃というのが項目で入っております。家賃の中には地代ということで土地に関する代金が含まれております。過去数年間の消費者物価指数に対する寄与度は一万分の二百七十九ということになっております。その中で特に地代は八十四ということでございまして、一万分の八十四の寄与度ということで物価指数には影響がございます。ただし、そういうふうなことで地価が上がると地代がすぐ上がるのかというと、先生案内のとおりなかなか上がりません。したがいましてほとんど影響はないわけでございますけれども、私どもが一番注意しなければならないのは、あくまでそういうふうな地価は値上がりをするということが原因になりまして、一番私どもが恐れております投機的土地取引が起こるということでございまして、そういう点を厳しく抑えていくというのがわれわれの任務であるというふうに思っております。
  222. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも余分な答えが多くていかぬのだけれども、聞いていることだけ答えてくれればいいんですよ。その内容についてはわれわれは十分知悉をいたしております。だから、本来消費者物価の二倍も三倍も地価が上がっていく、それが許容されているとするならば一体どうなるであろうか、これを想定してみると大変なことになってしまうのです。物価の値上がりというのはそれだけ貨幣価値が下がることなんですね。土地に対するものだけはどんどん下がっていくということなんですよ。しかも、もう大都市圏では勤労者は自分の住む家の土地を購入するのは不可能だ、これはもうおわかりですね。それがこのまま推移をして続けられていくならば、中小都市に至るまでも勤労者土地を買うことができない状態になりやせぬだろうかという心配があるわけですよ。だからいまにして決断をしなければならぬ時期が来ているんじゃないか。  園田前国土庁長官は、国土利用計画法の規制区域の指定について前向きに検討いたします、こうおっしゃったのですが、新長官、いかがでございますか。
  223. 原健三郎

    原国務大臣 そういう規制区域を指定した方がいいという議論もございます。しかしいろいろ考えまして規制区域の指定状況はいままでもしていないし、これから監視していくのでありますが、それならばこれからどうするか。それで、いろいろな理由によって投機要件が外せないのでございますから、規制区域が指定された場合にはすべての土地取引を許可制にしなければならない。また指定時の公示価格で取引価格を凍結しなければならぬ。そういうようないい半面もあるのですが、きわめて強い規制を行うものですから、法制上投機という異常な事態を見ながら初めて認められるので、普通の状態、いまの状態では規制はむずかしいのであります。現在はそのような異常事態ではないので、私どもはただいまはないと思っておりますので、そういう異常事態でない場合にこういう強制力を持つ強い規制を行うことは、かえって健全な土地取引を混乱させるような結果になっては大変だと思って、そうなればかえって土地供給を阻害するという逆結果も招来するおそれなしとしないので、前向きと言いましても、現時点では前の昭和四十七、八年ころのように三割程度も急激に上がっておるというのではございませんので、まあこの程度であればそれほどその必要はなかろう、こういう判断を下しております。
  224. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ならば一体どうしようとおっしゃるのですか。あなたはいま冒頭にごあいさつをされたとき、地価安定を促進するための諸施策については積極的にこれに取り組んでいく、こうおっしゃったのですよ。その積極的に取り組んでいく諸施策は一体何ですか。国土利用計画法を改正したらどうですかと言うと、それはやらない。規制区域に指定したらどうですかと言うと、それはやらない。消費者物価がどんどん上がっているがどうするのですかと言うと、まあ通常の取引だからやむを得ぬ。そういう中で地価の安定促進を図っていくというのはどういうことですか。
  225. 原健三郎

    原国務大臣 その一つとしては、いま国会へ提出いたしております、近く御審議をお願いいたすことになっております農住組合法案、これも全部これで解決するとは思いませんけれども、何もやっていないというわけではございません。それもやりますし、その他いわゆる都市の再開発をやって空き地をもう少しこしらえる、そしてそこを住宅地にするとか、あるいは公用地を探してそれを住宅地にするとか、そうてきぱきではございませんが、余り明快にはいきませんけれども、だんだんその方向に向かって私どもは日夜努力いたしておるところでございますから、よろしく御了承のほどをお願いします。
  226. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 了承はできません。とにかく勇断をもってやらなければならない時期が来ておるのですよ。ごれは何年来議論してきたかわからない。全部を、寸土たりとも惜しまず規制を行えということを言っているわけではありません。地価の抑制を効果あらしむるために試行的にある部分をやってみることもできるでしょう。そういういろいろな手法を駆使して真剣になって地価の抑制のために努力しようという姿勢が見られないわけでして、ああだからやむを得ない、こうだからやむを得ない、それはむずかしいのだとかこれはむずかしいのだ。ところが、一般的には地価を安定させるための施策を大いに推進していきます。これは大きな矛盾ですよ。私は、真剣に地価の抑制のための諸対策について考慮を願いたいことを強く要望して質問を終わります。
  227. 稲村利幸

  228. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、まず最初に信濃川河川敷の買い占め事件について質問したいと思います。  これは一言で言えば、田中角榮元首相がその政治的地位を利用して、将来堤防が締め切られれば一等地になる、このことを十分知りながら農民に対しては三年に一回水をかぶるような土地を持っておってもしようがないではないか、こうだまして、ただ同様の値で莫大な土地を買い占めた、こういう事件ですね。しかし、昭和五十年前後のあの田中金脈追及のあらしに遭遇して、その廃川敷処分についてはこれが凍結をされておった。ところが、五十二年十一月に時の建設大臣長谷川四郎氏が、それまで凍結をしていたこの廃川敷処分を解除しようとしたということで改めて問題になって、本委員会でもずいぶんと激しい論議が行われた。そういう問題であります。そのために当時国会の追及をそらし、世論を欺くためにいろいろな細工が施された。その一つとしてあの土地を二分いたしまして、北半分を長岡市に譲渡するということで今日に至ったわけであります。したがいまして、現状は北半分の二十六ヘクタールが長岡市の所有分、そして南半分が室町産業の所有分、こうなっているわけです。  そこでまず、北の方の長岡市所有部分について伺います。  当時この廃川敷処分を行うに当たって長岡の小林市長と室町産業との間に「信濃川河川敷用地の利用計画及び譲渡に関する覚書」というのが締結されているわけであります。これはもちろん建設大臣にも提出され、建設大臣もよかろうという承認を与えている内容のものでありますが、この覚書に添付されました資料の一つに具体的な利用計画がついているわけであります。「信濃川河川敷用地の利用計画書(長岡市の利用する分)」この中で「まず、直ちに事業を実施するものとしては、」こう言って老人福祉センター(老人ホーム)、市営プール、県立普通高等学校、大手大橋関連道路、この四つが挙がっているのです。さて、これらの事業で直ちに実施されたものはどれですか。
  229. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  現在のところございません。
  230. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これが五十二年当時であります。直ちにというのは一体いつまでだと建設省は理解しているのですか。
  231. 小坂忠

    ○小坂政府委員 当時長岡市長からそういうお話がございまして、早急にやりたいというお話がございました。その後長岡市の市長の言によりますと、いろいろの事情によって延びておるということは伺っております。
  232. 瀬崎博義

    瀬崎委員 少なくとも直ちにと言われたものであります。これを認めた建設省、一体いつまでにこれが実現するのか、それくらいのめどはここで示して当然だと思います。いかがでしょうか。
  233. 小坂忠

    ○小坂政府委員 先生もあるいは御存じかと思いますが、現在も長岡市におきまして残地の買収等の事務をいたしておると聞いております。いろいろ関連する仕事が残っておりまして、それらを含めまして、それらの完了を待って利用するのじゃないかというふうにわれわれは考えております。
  234. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その後に、「今後逐次整備していくもの」として「次のとおり」と挙げられているのが、保健センター、自然科学博物館、体育館、クラフト村、青少年研修センター、美術館、長岡赤十字病院、公園緑地、駐車場、こうなっているのです。この方の計画はどの程度進展しておりますか。
  235. 小坂忠

    ○小坂政府委員 総括的に長岡市長から聞いておるのでございまして、具体には一々は聞いておりません。
  236. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局当事国会へまで提出されたこの覚書並びに添付書類、緊急整備を要するというこの公共施設の利用計画書、これはもともと長岡市には実行する意思のない架空のものであった、そういうことではないのですか。
  237. 小坂忠

    ○小坂政府委員 これは先生も御承知のことと思いますが、当時長岡市議会によりまして各派協議会の賛成も得、また四百名になんなんとするような町内会長さんにもお諮りした上賛成を得て市長が出したものでございます。したがいまして、私どもとしても当時その計画は大変結構なことだということでお受けしたものでございまして、その後これがそのような事情によっておくれておるということでございます。そのいろいろな事情が排除されれば逐次実施されるものじゃないかというふうに私ども期待しております。
  238. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは大臣に伺います。  当事者の小林長岡市長はこの九月十日、長岡市の本会議でこの問題について答弁しているのです。ここにその速記の起こしがあるので読んでみます。この利用計画書についてでありますが、「実は、こういうことは書けないというのを、建設省は、なんとか、まあ書いてくれということで、あれ出したんですけどねえ。」こう言っているんですよ。一体建設省のだれがどんなことを小林市長に示唆したのか、明らかにしていただきたいのです。
  239. 小坂忠

    ○小坂政府委員 小林市長がどういうような意図でそういうふうにお話ししたか、私どもにはわかりません。したがいまして、私どもの意見は控えさせていただきたいと思います。
  240. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いやしくもこれは市議会の本会議答弁であります。だから私は大臣に聞きたいと言った。市長がこう言った以上、長岡市にはこれを実行する意思なし、こう受け取らざるを得ません。一体どうするおつもりですか。
  241. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  長岡市の市長さんの御発言、自治体自治体なりの主体性があるわけでありまして、どうした意図で発言されたのか、私は内容等々について現在のところ詳しく承知いたしておりませんので、意見を差し控えさせていただきたいと思います。
  242. 瀬崎博義

    瀬崎委員 意見を差し控えているだけじゃちっとも解決にならないじゃないですか。こういうことを担保にしてあの土地には公共施設がつくられますということを国会にも確約しているのです。その真意がはかりかねると言うんならどういう処置をとられますか。
  243. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  その発言についても実は私いまここで初めて聞いたわけでありまして、どのように処置と言われましても、いまのところ対応を持っておりません。具体的に先生から御発言ありましたので、長岡市長さんの考えておられることをひとつ検討させていただきたいと思います。
  244. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、去る五十二年の十一月十八日のこの委員会質問でこの点をちゃんとついているんですよ。それは、その前の日に現地に行きまして市の当事者にも会ってきた。また、ここに幾つか挙がっている事業事業主体の責任者にも会った。その結果から見て、いろいろのメニューがここに書いてあるけれども、これは実行されそうにない、こういう確証を得たわけであります。そこで私はこう質問しているのです。「結局この陳情書なるものは、市長が建設省向けといいますか大臣向けといいますか、そのために作文したものとしか言いようのないような結果であった」、こう言っているのです。ところが、これに対して当時の長谷川建設大臣は何と答えたか。「地元の市長がこれは持ってきたのですから、地元の市長が持ってきたものを、あなたがおっしゃることは違いますと私には申し上げられません。これを信頼しないで何を信頼できましょうか。」国会では、これは実行されるものだ、こう言い切ったわけです。少なくとも今日の時点ではわれわれの指摘したことが正しかった、このことだけはお認めになりますか。
  245. 小坂忠

    ○小坂政府委員 先ほども申し上げましたように、選挙によりまして就任しておられます長岡市長が責任を持って持ってこられたものであるということと、長岡市議会の各派協議会でもその内容について了承を得ておるということでございます。それを信用しなくて何を信用するかということだろうと思います。
  246. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすると、信用した建設省が市長にだまされた、こういうことに受け取っていいわけですか、あなたの言い分でいけば。
  247. 小坂忠

    ○小坂政府委員 私どもはだまされたとは思っておりません。
  248. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど大臣は一遍真意をただしたいというお話であった。先ほど紹介しましたように、かつての建設大臣が絶対的な信頼を置いたその人がいま全く反対の答弁を長岡市の本会議でする、こういうことが出たわけですね。これはやはり大臣としても、この市長に対していずれにこういう食い違いが起こったのか、それだけは明らかにしてもらう、それこそ責任をいま国会に対して有していると思うのです。きちんとやっていただきたいと思うのです。再度答弁を求めます。
  249. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  ただいま局長からもお話しのように、当時の議会で、しかも四百名になんなんとする町の代表者の方々によって決められた一つの成案でございますので、このたびの発言について先ほど申し上げましたようにいま私聞いたばかりでございますので、その点については、検討という表現ではちょっといかないかもしれませんけれども、事実関係を確かめさせていただきたいと思います。
  250. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では続いて今度は南半分、つまり室町産業の所有部分について伺いたいと思います。  この部分についても形式的に言えば長岡市と室町産業との間に覚書が交わされておる。さらにこれに対して長岡市と建設省との間にも一定の文書が交わされ、そしてその覚書内容の実行が担保されている、こういう形になっているわけですね。  まず長岡市と室町産業が交わしている覚書の第六条では「乙」、すなわち室町産業「が利用することになる土地については、公益性の強いものを主体に計画し、その利用計画の決定に当たっては、第一条の精神に基づき乙はすべて事前に甲」、つまり長岡市「に協議のうえ同意を得るものとする。」こうなっているのですね。この「第一条の精神」とは、「当該土地は、長岡市の都市計画上極めて重要な土地であり、」その利用は「市民全体の利益を優先して行われるべきものであることを甲、乙両者確認する。」こうなっているわけであります。  そこで、今日この土地計画されている事業、たとえば砂利の採取事業、自動車教習所の建設事業、こういうものがいわゆる市民全体の利益を優先して行われる事業に当たるのかどうか、この判断を伺いたいと思います。
  251. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  自動車教習所あるいは自動車学校そのものが公益性があるかどうかということについては直ちに判断はいたしかねると思います。この南半分の土地利用につきまして公益性の強いものを主体として計画するということでございまして、個々一つずつ取り上げまして判断するというのは非常にむずかしいのじゃないか。要は、先ほども申し上げましたが、長岡市民が公益的に使えるようなものであるということでございますので、教習所等もそういった観点から総合的に市の御判断により判断されるのじゃないかというふうに考えます。
  252. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう建設省のあいまいな判断が出てはいけないからというので、五十二年十一月十五日、参議院の建設委員会では共産党の上田耕一郎参議院議員が当時の長谷川建設大臣質問をしているわけですね。それに対して長谷川建設大臣は非常に明確にこう答えているのですよ。いろいろ問題があった土地だから市で全部取って、そして市でもって全部公共性のものに使ってもらえないか、ぜひそうしてくださいよということを申し上げました。全部というわけにはいかぬというようなお話で、それではあとは、つまり室町占有部分は「公共性のものを、必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやります」と言っている。だから、一つ一つについて必ずしも公益性があるかどうかは別にして、全体で見てこんなあいまいなことではなくて、必ず公益性のものに限る、こう言っているのですよ。いまの答弁では、当時の建設大臣答弁を覆すことになる。だから、建設省はまずこの答弁を確実に実行してもらいたい。
  253. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま御質問がございましたので自動車教習所というようなのを例に挙げて申しましたが、現在までのところ、砂利採取のお話しか具体的には聞いておりません。今後そのようなお話が出た段階で判断するものであろうというふうに考えます。
  254. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、現在出ている砂利採取が必ず公益性のあるもの、これに該当するのですか。これは一遍大臣に判断を聞きたいですね。どうですか。大臣答弁ですよ、これは。
  255. 小坂忠

    ○小坂政府委員 砂利採取そのものが公益性があるかどうか、むしろ砂利を採取するということは土地利用一つではあるかとも思いますが、土地の形質あるいは形状、これを決定的に変えてしまうものではございません。特にこの場合、跡地を埋めるというようなことも聞いております。したがいまして、そのあとの利用がどうなるかということが最終的な土地利用じゃないかというふうに考えております。
  256. 瀬崎博義

    瀬崎委員 五十五年の、つまりことしですね、一月二十六日に室町産業は株式会社千秋ケ原工業による開発のために国土利用計画法二十三条の届け出、つまり土地の権利の移転ですね、その届け出をしております。県はこれを受け付けて、二月二十二日にこれを了承しているのですが、この行為について建設省は事前のチェックをしましたか。してないのですか。
  257. 小坂忠

    ○小坂政府委員 いたしておりません。
  258. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに三月三日、具体的にその千秋ケ原工業が設立されます。この設立について建設省、チェックしましたか。
  259. 小坂忠

    ○小坂政府委員 いたしておりません。
  260. 瀬崎博義

    瀬崎委員 次いで三月五日、今度は室町産業と新しくできた千秋ケ原工業の両社名で市長に対して、千秋ケ原工業が先ほどの市と室町産業の間に交わされている覚書第六条を継承する、こういう申し出をしております。そしてこれが承認されます。この千秋ケ原工業が砂利採取計画を持っているわけですね。これについて建設省、事前のチェックどうしました。
  261. 小坂忠

    ○小坂政府委員 市長を通じまして、千秋ケ原工業が長岡市と結んでおります覚書、この趣旨を継承するということは聞いております。
  262. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは時期はいつですか。
  263. 小坂忠

    ○小坂政府委員 今年の七月八日と思います。
  264. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私どもはこの覚書が万全なものとはちっとも思っていないのです。先ほど言いましたように、一つのペテンかもわからぬという危惧も十分持っておりました。全部を公共地に使うべきだ、こういう意見も持っておりました。しかし、少なくともこういう覚書を交わした、そしてこういう覚書をちゃんと事前にチェックしながら建設省は実行に責任を持ちます、こう言ってきたのです。特にこれは室町産業とそれから長岡市との間に交わされた覚書でしょう。その当事者の一方が変わってくるわけです。下手をすると、この覚書の中身というものは場合によっては、引き継がれなかったら御破算になる、あるいは引き継いだといっても、相手の会社がたちが悪ければ事実上踏みにじってしまうかもしれない。こういう点ではいろいろなことがあるでしょうけれども、何よりもあの問題の土地の一部がだれかに権利譲渡される、つまり転がされる、このこと自身は、この覚書そのものをあいまいにしていく最大の問題点になるはずなんです。これについていまあなたがお答えになったように、事前チェックはしなかった、結局事後承認だ、こういうことですね。この責任は重大だと私は思うのです。これは覚書実行のまず最初のケースじゃないかと思うのですが、出発点からなぜこういうふうなずさんなことを建設省はやっておるのですか。この点を答えてほしいと思います。
  265. 小坂忠

    ○小坂政府委員 長岡市長に対しましては、今後利用計画を立てる際には河川局長に協議するようにという申し入れはしてございました。ただ残念なことに、今回結果的に七月八日に私ども協議を受けたわけでございますが、事の内容は、ただいまのように地形、地質、まだ全然変える段階ではございませんし、会社設立ということで市長が会社との対応でいろいろ議論もし、その経過で時間がたったというようなことがございました。私どもといたしましては、やはりこれは事前に私どもに打ち合わせしていただかなければ困るというお話は、当日七月八日に市長には厳重に申し入れしてございます。  ただ、結果としておくれましたが、事の内容につきましては、市長から聞きましたところ、特に公益的利用云々、あるいは暴利を得させない云云、それには抵触しないというふうに考えております。
  266. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、いま事後承認になったことについて残念なことだ、こういうふうに局長が言っておられる。ところが、当時の長谷川建設大臣国会に対してここまで言明しているのですよ。先ほど紹介しましたわが党の上田議員に対する答弁のその続きです。「必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやります」に続いて、「あらかじめ連絡をして、建設省でよろしいと言った場合にのみそれはオーケー出してくださいよ、」こういう約束をしておる、こう言明をしておるのです。  また、衆議院の方の建設委員会でも、同僚議員の質問に対して同じようなことを答えています。私は市長に対して、取り交わしができたからといってそのままじゃ危ない。そこで「室町産業というのが何か仕事というか事業を、」——事業ですから当然これは砂利採取も入りますよ、「仕事というか事業を、公共性のものをやるときには必ず市長というものとの合意があって、合意の上にやる。その合意ではあるけれども、こういうことを言ってまいりましたというときには直ちに建設省に通知をする。」のことをきちっと約束しているんだ、こう言明しているのです。  これが実行されていないということは、これは国会答弁じゅうりんになるのですが、この点を大臣はっきりさせていただきたい。国会答弁にこれは違反している、この事実をお認めになりますね。
  267. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  国会答弁に違反しているというには、私はいまお話を初めて聞くのですが、考えられないんじゃなかろうかと思います。覚書は覚書、その履行を市長の方で手続上の問題としておくれた。河川局長は事後承諾のような形であったけれども、注意の上最終的には相談を受けたという結果でございますから、私は国会答弁についてそれをいろいろな形で尊重しなかったということにはならないかとも思いますが。
  268. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その大臣の論法でいけば、こういうことが今後とも繰り返される、こういうことなんですか。
  269. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そういうことが繰り返されては困るわけで、先ほど局長もお答えいたしましたように、市長の方にもよく申し上げて繰り返すことのないようにこれから連絡を密にして進めてまいりたい、このように考えます。
  270. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほど言われた七月八日の建設省の了解なんですが、このとき三つの問題に了解を与えているわけでしょう。ですから、そのことから見ても、千秋ケ原工業という新しい会社に土地の権利が譲渡される、こういう問題、あるいは千秋ケ原工業が砂利採取を行う、こういうことについては当然のことながら建設省のチェックを得た上でなければやってはならない問題だ、こういう認識はあった、このことだけは間違いありませんね。
  271. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ちょっといまの御質問の趣旨を聞き漏らしましたのですが、申しわけございません。
  272. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなた方は長岡市長に対して「信濃川河川敷地の廃川敷地等の処分について」、こういう文書を公式に出しておることは御承知ですね。そこには「貴市」、つまり長岡市が「その利用計画の同意をしようとするときは、あらかじめ、本職に協議されたい。」ここにも「あらかじめ」つまり事前に協議されたいとある。このことは十分御承知になっているわけですね。その上で七月八日了解を与えられたという内容を見ると、千秋ケ原工業の設立問題とかあるいは千秋ケ原工業が室町産業の交わした覚書を引き継ぐということであるとかあるいは砂利採取事業を行うということが入っているわけです。本来ならばこれは、先ほどの市長にあてて出した覚書の線から言えば、事後ではなしに事前に協議があって、建設省が大丈夫かどうか事前にチェックすべき性質のものなんだ。こういう性質のものであるという理解はあるのですね。このことなんです。
  273. 小坂忠

    ○小坂政府委員 そのとおりでございます。
  274. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが、建設省はそういう理解かしりませんが、ことしの九月十九日、つい最近です、長岡市議会の総務委員会が開かれておりますが、この会議録を見ると本当に重大なんです。ここで市長はこういう答弁をしているんです。「覚書に関する建設省の文書は、事前に協議をされたいということであって」、これは先ほどの河川局長名の文書でしょう、「私は長岡市の名誉のために「承知する」とは言わなかった。」こう明言しているんですよ。「何でも建設省の言うことを聞いていればよいというものではない。」これでは今後守られる保証はどこにもないじゃないですか。こういう覚書に関して、一体建設省がだましているのか、小林市長がだましているのか。特に、これは国会にすべて報告され、われわれ国会議員、個々考えは別として、最終的に廃川敷処分が承認されている、こういう経過から見て、事は重大だと思うのですよ。
  275. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの御質問ですが、非常に短絡して物事を結論づけられますとそのようなことになるかと思いますが、長岡市長が今後室町産業あるいは千秋ケ原工業といろいろな交渉をいたします、その逐一を私どもの方に協議をしろというようなことは、これは私ども申せないと思います。ある段階で、話がまとまった段階で私どもへの御協議がある。そういう意味では、何でもかんでも逐一建設省と協議というようなことは当たらないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、事の決まる前にはこちらと御協議していただきたいというふうに申し上げております。
  276. 瀬崎博義

    瀬崎委員 何でもかんでも、はしのこけたものまでというふうに論理のすりかえをあなたこそやっているのじゃないかと思うのです。いま私どもが論議しているのは、この覚書を結んだ当事者以外の者があの土地に割り込んでくる、このときに、その割り込んできた第三者、これが覚書をきちっと引き継ぐかどうか、これは重大問題だと思う。最も重大な問題だと思う。こういうものについて事前協議がされていない。しかもそれに対して市長は、本来事前協議するとは約束してないんだ、こう言っているのですね。こういうことが重大ではないか、一体建設省は何をしておったんだ、こうなるじゃないか、こういう質問なんですよ。
  277. 小坂忠

    ○小坂政府委員 その市長の発言の真意につきましては私どもはかりかねますので、それについての私どもの意見は差し控えさせていただきたいと思います。
  278. 瀬崎博義

    瀬崎委員 真意がわからないから意見を差し控えているだけでは事態の解決には少しもならない。建設省として余りにも無責任過ぎると思うのですね。市長を信頼して、間違いがないという前提のもとにいままでいろいろな国会答弁が行われた。ところがその市長が建設省のあるいは建設大臣の信頼を裏切っているわけです。当然この事前協議問題についても、市長は承知するとは言っていない、こう言っているのです。これはやはり真意をきちっと確かめて、これまでの経過をわれわれにも明らかにして、なぜこういう大きな食い違いになったのか報告してもらいたいと思うのです。大臣
  279. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  どこかでボタンのかけ違いというか食い違いがあるようでございます。確かめさせていただきたいと思います。
  280. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あの河川敷の砂利採取は、概算見積もっても三十億円ぐらいの利益になるであろう。まさに金のなる土地ですね。百億の土地の評価の上にまたそれだけの大きな利益が生まれてくるようであります。  実はこの廃川敷処分が行われた後、越後交通それから室町産業、いずれも田中ファミリーでありますが、その関連会社がにわかに設立されてくるのです。五十四年二月には越後交通商事、それから五十四年二月、同じときですが、東北物産、五十五年三月には千秋ケ原工業、ちょっと前になりますが五十四年十一月、蓮潟自動車教習所、ことしの二月、トヨタビスタ越後等々なんですね。このうち蓮潟自動車教習所の社長が山田泰司氏、これも田中ファミリーの主役の一人ですね。他は全部越後交通の片岡社長の兼任になっているわけであります。こういう会社がこの信濃川河川敷の利権といいますか、利用をめぐって設立されたものではないか、こういうふうに危惧するのでありますが、この点建設省、どう見ておりますか。
  281. 小坂忠

    ○小坂政府委員 私どもは全然関知いたしておりません。
  282. 瀬崎博義

    瀬崎委員 局長、よく聞いてくださいよ。これらの会社の事業目的を見ますと、越後交通商事、東北物産、千秋ケ原工業はいずれもセメント、砂利販売を掲げているわけでなんです。しかも越後交通商事は現在はその事務所を越後交通本社内に置いておりますが、設立当時の本社というのは東京都新宿区の室町産業と同じ場所に置かれておったのであります。こうした事実は、あの田中金脈追及の中で次々明らかになった田中ファミリーの会社で土地転がしが行われましたね、ああいう事態を想起する。つまり砂利転がしなどがここで行われるのではないか、こう思うのです。いま関知しないと言われたけれども、よもやお忘れではないと思う。五十年十月三十日の参議院予算委員会で当時の三木首相はこの信濃川河川敷について、特定の企業のみに暴利を得させない、こう明言しているわけです。目の前に砂利転がし等やって暴利が上げられようとしているときに、じゃこの特定の企業に暴利を上げさせないようにしようと思ったら、建設省はどういう手を打つつもりなんですか。関知しないで済みますか。
  283. 小坂忠

    ○小坂政府委員 どのような暴利がいま得られようとしておるのかわれわれは全然関知しておりません。
  284. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、これは一国の総理、自民党政府の総理がかつて国会に約束していることなんです。だから暴利を得させないようにしようと思えばそれなりの調査もし実態の把握もやる、これはぼくは当然だと思います。いまの局長答弁はもう過去の政府の公約を根本から覆すものとして全くけしからぬと思うのですね。大臣はこういう過去の政府の約束に基づいて暴利を特定の会社が得ないしかるべき措置をとるべきだと思うのですが、いかがですか。
  285. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  暴利という範疇の問題でありますけれども、現実に暴利をむさぼっておるのか、これから可能性があるのか、そういうようなことをいろいろ考えておりますと、一つの会社が事業目的を持って、営業権を持って営利活動をするということ、事業活動をするということ、営業活動をするということについて私たちがどの程度権限があるのかということもあわせ考えなければならない問題であろうかと思います。現実を踏まえながら、もし覚書等々にそごがあるような形でありますれば当然覚書にのっとっていろいろな面で指導してまいりたい、このように考えます。
  286. 小坂忠

    ○小坂政府委員 私、先ほどから暴利は関知しないと申し上げましたが、砂利採取のことでございましたら通常行われる砂利採取の事業は、これは暴利とは言えないんじゃないかというふうに思っておりますので、砂利採取即暴利ということとはつながらないんじゃないかというような意味で関知しないということでございます。
  287. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は時間の都合で省略をしているのですけれども、これは莫大な砂利が採取されるのですね。当然それの売り先も確定していないと、掘っただけでは金にならないわけでしょう。それについては、これも田中ファミリーの転がし地であります柏崎の東電の原発用地、これがいま建設にかかっています。そこに使われるのであろう、これが現在もっぱらの話なんでしょう。こういう形で、いわゆる政治というものを利用しながらもうけていく、これをわれわれは暴利だと言うのだと思うのです。そういう仕掛けがつくられつつあるのではないか、こういうことを言っているのですから、そういう意味ではかって三木総理が国会答弁した暴利の範囲に入る危険は十分にある、この点については政府はしかるべき監視は必要だろう、私はこう思うのですね。時間の関係で、先ほど大臣実情を一遍検討すると言っていますから、ぜひやってもらって、改めて質問したいと思うのです。
  288. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま柏崎云々のお話でございますが、私どもにはそういうお話は全然来ておりませんし、長岡市長からも聞いておりません。
  289. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そんな、悪いことをしようとしている者がみずから局長のところに言うてきますか。だからそれを政府が約束に基づいて調べろ、こう言っているのですよ。  特にこの問題の最後に大臣に言っておきたいのは、先ほどの長岡市議会の総務委員会で市長はこういうことも言っているのです。いろいろこの問題疑問があるじゃないかという質問に対して、「疑問を残しておいてもらっては困る。建設省は長岡市が事前協議をしなかったことに対して不当であると思うなら私を訴えたりすることもできるのにそんなことはせずに了解をしたわけである。」こういう言い方をしているわけなんです。こんな状態だから、私は今後あなたたちの期待どおり事前に協議があるかどうかきわめて危ういと思うのです。だから、これだけ市長が議会で明言をしているのですから、建設省も腹をくくって、なぜこんな大きな行き違いを起こしたのか。ある意味で言えば、建設大臣国会に責任を持てないような事態が起こっておるわけですから、重ねて、先ほどおっしゃったこの経過についてはきちっとした調査もしていただきたい。そして本来ならば、事前協議が行われないまま既成事実が先に積み上げられたこの問題については一たん白紙に戻して、この覚書並びに覚書に伴う河川局長の文書、国会答弁、こういうものに従った厳正な措置をとられることを私は期待したいと思うのです。大臣答弁を求めます。
  290. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 調べさせていただきます。
  291. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは委員長に申し上げたいのですね。  もともとこの河川敷問題がこんな大きな政治的事件になったのは、最初当時の橋本建設大臣が、これが本堤になるかどうかという質問に対しては、その意思はない、つまり霞堤を締め切る意思はない、こういう答弁をしておったのです。これが逆に締め切られて本堤になった、こういういきさつがあるでしょう。  それから、かつて三木首相が予算委員会で、真相が究明されるまでは廃川敷処分は行わないという言明をしたでしょう。その後亀岡、仮谷、中馬建設大臣はその言明を守ったけれども、長谷川建設大臣のときになって、究明が行われていないにもかかわらず廃川敷処分が行われた。そして今回またその廃川敷処分のときに、幾つかの約束が建設大臣によって国会で行われたのにもかかわらずこれが現に破られてきているわけです。これを放置するということは国会の権威にもかかわるし、またこういうときにこそ国会国民期待にこたえるようにその機能を発揮しなければいかぬと思うのです。そういう点では、われわれとしては小林市長をぜひ本委員会参考人として呼んで、われわれも真相の究明に当たる必要があると思うのです。また国会自身も、一体これまでの約束どおりに現時事が運んでいるのかどうか、こういう点についても調査をしてみる必要があると思うのです。ぜひひとつこれは実現をしていただきたいと思います。
  292. 稲村利幸

    稲村委員長 理事会で協議をいたします。
  293. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これで河川敷問題を終わって、次にこれはある自治体が町営住宅敷地を売却した疑惑の問題について質問したいと思うのです。  問題が起こったのは滋賀県の甲西町でありまして、この甲西町は同町岩根というところに昭和三十六年一種町営住宅八戸、二種十四尺それから三十七年に一種十戸、二種二戸、合計三十四戸を建てたわけであります。これを同町は五十一年七月二十六日に町営住宅の用途廃止申請を出しているわけであります。この用途廃止申請は五十一年十一月三十日付で建設大臣承認を受けております。さらに五十二年一月二十七日には、甲西町から用途廃止の手続を完了した旨の報告が出されている、こういう経過があるわけですね。  建設省が五十一年十一月三十日付で用途廃止申請を承認したその根拠は何か、明らかにしていただきたいのです。
  294. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  いまのお話は滋賀県甲西町におきます茶釜という公営住宅の団地、これは昭和三十六年度から三十七年度にかけて第一種公営住宅と第二種公営住宅計四十八戸を建てたものでございますが、そのうち一種公営住宅十八戸、二種公営住宅十六戸、計三十四戸を昭和五十一年七月二十六日付で公営住宅法第二十四条第三項の規定によりまして、用途廃止の申請がございまして、これを同年十一月三十日付で建設大臣から承認をしたものでございます。
  295. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その二十四条三項とはどういうことですか。
  296. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 甲西町からの申請は、当該公営住宅が老朽化がはなはだしくて居住の用に供せられないのでこれを建てかえたいということで申請があったものでございます。したがいまして、私ども二十四条の三項で、「その他の特別な事由により」云々という規定がございますが、それによりまして承認をいたしたものでございます。
  297. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ところが、現実には建てかえが行われなかった。そして、その敷地約四千五百平米が結局民間に売却されてしまったのであります。八百七十二平米は五千二百七十六万円でT不動産業者へ、二千三百十四平米は一億四千万円でK自工へ、八百三十九平米は五千七十二万円でK商店へ、四百七十四平米は二千八百七十万円で滋賀銀行へ。建設大臣公営住宅建てかえ事業のために用途廃止をしたといまおっしゃったのですが、その敷地を町が勝手に民間業者に売却できるのでしょうか。
  298. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもといたしましては、当然それが整地されました上で、新しい公営住宅が建てられるものと思って承認したものでございますので、いまの御指摘のようなことにつきましては適正を欠くのじゃないかというふうに思っております。
  299. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その上、少し注釈を加えますと、八百七十平米はT不動産へと言いましたが、T不動産業者はまたその一部をOという他の不動産業者に転売をして、最終的には農協の担保に付されている。こういうふうな目まぐるしい動きを示します。それから、K自工は金が全部払えませんで五千五百万円ほどは手形払い、その期日も延ばしてもらっておる、こういうふうな状況がある。それから滋賀銀行は、これを駐車場にする、こういうふうなことなので、いずれも営利を目的としているわけですね。  そういう点では、まことにわれわれとしてはこれは不愉快な処理だ、こう思っているわけなんですが、この町が建てかえのための用途申請を出した五十一年といいますと、この町営住宅は建ててまだ十四、五年当時なんですよ。先ほど老朽化と言われましたけれども、決してそんなひどい老朽の状況ではなくて、そこの居住者はできればそのまま住んでいたい、こういう強い希望があったのですね。そういう点では軽率に用途廃止を認めた、つまり建てかえを認めた建設省承認行為も問題があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  300. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 建設省といたしましては、この公営住宅の用途廃止等につきましては県を経由して申達していただくことになっておりまして、県の方からも、恐らく管理その他の状況で必ずしも今後居住の用に供することは適当でないということであったかと思いますので、その段階におきましてはやむを得ないものとして承認をいたしたと理解いたしております。
  301. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当時、居住者がいかに追い出しに抵抗したか。それは居住者に対して町長が、園田俊之助という人ですが、サインした誓約書を見ればわかるのです。これによりますと、「一、後地利用について、個人又は企業に転売せず公営住宅を建てます。」「一、建設後、茶釜住宅にもどりたい人は優先的に入居させます。」こういう条件をつけて、とにもかくにも追い出した。こういう経過なんですね。そこで、渋々住民も同意した。こういうことを見ますと、法律上から言っても、また住民に対する責任の点から言っても、敷地の売却というものは絶対に許されるものではないと私は考えるのですが、いかがでしょう。
  302. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも事実を知りませんでして、つい最近になりましてそのようなお話を伺いましたので、町当局の方からも事情聴取をしたかったのでありますが、責任者と連絡がとれませんで、県庁を通じまして事情を聴取いたしましたところ、御指摘のような事実があるように思います。したがいまして、今後なお詳細に調査をいたしまして適正な処置をとりたいと考えております。
  303. 瀬崎博義

    瀬崎委員 仮に百歩譲って住宅以外の用途に供するという場合でも、これは県道に直接面している土地で、しかも約四十社の工場が入っている湖南工業団地、その入り口にある、住宅公団の開発した団地です。交通もすこぶる便利。これは売却単価が平米当たり六万円を超していることからも推察できると思いますね。ですから、こういう土地が民間の営利事業土地転がしに利用される、こういうことは決して適法ではないと思うし、もう一点、これは昭和三十六、七年ですから当然国の補助金は用地に対しても入っているわけですね。そういう意味から、法律的に言うと、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがありますが、その第二十二条には財産の処分の制限があって、建設大臣承認を受けないで敷地を譲渡することは禁じられていると思うのです。いわゆる適化法と言うのですか、これの方にも触れるきらいがあるのではないかというふうに思ったりするのですが、いかがですか。
  304. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 事実を調べてみませんと正確にはわかりませんが、いまのお話のようなことがあったとすれば、いま御指摘の補助金適正化法等に抵触する問題もあろうかと思われます。なお、調査をしまして、適正な処理を図りたいと思っております。
  305. 瀬崎博義

    瀬崎委員 最後であります。一つは、これまでにこういうふうに建てかえで用途廃止の承認を得ておいて、実は建てかえないでその敷地を処分した、こういう例が全国的にあったのかどうか。あった場合に、その事後処理をどうしたか。これが一つ。  それからもう一つ。現に起こっている甲西町の問題に対してでありますが、私は決して出してしまった補助金を取り返せなどということを言っているのではないのです。住民の方は何もこれは知らないことなんですから、そういうことで住民に犠牲が及ぶ道は避けてもらいたい。したがって、とにもかくにもこんなことになった責任の所在はまず第一点、明らかにしてほしい。  第二点は、これは原状回復はまだ図り得る状況にあります。その土地が完全に利用されたのではありませんから。金も全部払い込まれていないケースもあります。  それから第三は、まずはやはり建てかえ事業が正しく行われるように指導され、努力されるべきではないか。  四つ目は、もし今日時点で住民の総意によってより緊急な公共の用に供する、こういう必要性があるのならば、これはきちっと法律に定めた手続もとって、そういうふうに進めるべきではないか、こう思うのです。  大きく言ってこの二つに対して建設省の見解を求めて、終わりたいと思います。
  306. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもの方の資料では、建てかえるということで用途廃止をしたものがその他の目的に使われたということは聞いておりません。  第二番目の今後の処理の方針でございますが、なおよく実態を調査いたしまして最も適切ないい方法で処理をしたいというふうに考えております。
  307. 瀬崎博義

    瀬崎委員 終わります。
  308. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、来る十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会