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1980-11-04 第93回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十一月四日(火曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       植竹 繁雄君    桜井  新君       竹下  登君    近岡理一郎君       上田  哲君    前川  旦君       田中 昭二君    辻  第一君       田島  衞君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         総理府賞勲局長 小玉 正任君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局次         長       楢崎 泰昌君  委員外出席者         防衛庁装備局航         空機課長    藤井 一夫君         外務省欧亜局東         欧第一課長   兵藤 長雄君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省主計局法         規課長     角谷 正彦君         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省理財局資         金第一課長   亀井 敬之君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 桜井  直君         文部省管理局私         学振興課長   坂元 弘直君         厚生省医務局管         理課長     田中 健次君         林野庁指導部長 黒川 忠雄君         建設省住宅局住         環境整備室長  中田  亨君         会計検査院長  知野 虎雄君         会計検査院事務         総局次長    藤井健太郎君         会計検査院事務         総局事務長官         房検定審議官  西川 和行君         会計検査院事務         総局事務長官         房審議室審議官 磯田  晋君         会計検査院事務         総局事務長官         房会計課長   吉田 知徳君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         会計検査院事務         総局第二局長  丹下  巧君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第四局長  高橋  良君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   前川  旦君     矢山 有作君 同日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     前川  旦君 同月二十三日  辞任         補欠選任   辻  第一君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     辻  第一君 同月二十四日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     植竹 繁雄君 十一月四日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   田島  衞君     山口 敏夫君     ————————————— 十月二十七日  会計検査院法の一部を改正する法律案新村勝  雄君外四名提出、衆法第一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (全所管会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三年度政府関係機関決算書並び昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書の各件を一括して議題といたします。  大蔵大臣から各件について概要説明を求めます。渡辺大蔵大臣
  3. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十三年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和五十三年度予算は、昭和五十三年四月四日に成立いたしました。  この予算は、財政節度維持にも配意しつつ、民需の動向を踏まえ、内需の振興のため財政が積極的な役割りを果たす必要があるとの基本的な考え方に立って、臨時異例財政運営を行うこととして編成されたものであります。  さらに、その後における経済情勢等にかんがみ、公共事業関係費、文教・社会福祉施設等整備費構造不況業種中小企業等特別対策費等の追加を行うほか、水田利用再編対策費等について所要の措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十三年十月十二日、その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十三年度一般会計予算は、歳入歳出とも三十四兆四千四百億四千三百六十七万二千円となりました。  以下、昭和五十三年度決算につきまして、その内容を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入決算額は三十四兆九千七十二億六千五百八万円余、歳出決算額は三十四兆九百六十億三千二十万円余でありまして、差し引き八千百十二億三千四百八十八万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十四年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十三年度における財政法第六条の純剰余金は三千四百三十八億三千三百三十六万円余となり、その全額を公債または借入金の償還財源に充てることといたしております。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額三十四兆四千四百億四千三百六十七万円余に比べて四千六百七十二億二千百四十一万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額二千三百三十億五千四百七十四万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十三年度歳入の純増加額は二千三百四十一億六千六百六十六万円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入における増加額七千七百五億三千百十万円余、専売納付金における増加額百八億五千六百九十四万円余、官業益金及び官業収入における増加額二十一億千四百五十万円余、政府資産整理収入における増加額二百二十四億六千九百九十三万円余、雑収入における増加額三百九十二億千三百八十五万円余、公債金における減少額六千百十億千九百六十七万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額三十四兆四千四百億四千三百六十七万円余に昭和五十二年度からの繰越額二千二百八十五億千三十三万円余を加えました歳出予算現額三十四兆六千六百八十五億五千四百万円余に対しまして、支出済み歳出額は三十四兆九百六十億三千二十万円余でありまして、その差額五千七百二十五億二千三百七十九万円余のうち、昭和五十四年度に繰り越しました額は二千四百九十一億千三百六十五万円余となっており、不用となりました額は三千二百三十四億千十四万円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十三年度一般会計における予備費予算額は二千五百五十億円であります。その使用額は二千五億三千三百五十一万円余でありまして、その使用につきましては、すでに国会において御承諾をいただきましたので、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一兆四千五百十五億千四百九十七万円でありますが、実際に負担いたしました債務額は一兆三千九百九十五億六千六百九十七万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額一兆二千九百六十四億百九十六万円余を加え、昭和五十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額一兆千四十七億千九百四十七万円余を差し引きました額一兆五千九百十二億四千九百四十七万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は千億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は九十九億五千二百二万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額九十八億四千三百四万円余を加え、昭和五十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額九十九億五千五百五十八万円余を差し引きました額九十八億三千九百四十七万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  次に、昭和五十三年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十九でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十三年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は二十二兆五千三百三十七億千七百七十九万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は二十二兆四千七百四十四億九千八百三十一万円余でありますので、差し引き五百九十二億千九百四十七万円余が昭和五十三年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十三年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十三年度末における国の債権総額は六十兆七千六百六十七億三千四十五万円余でありまして、前年度末現在額五十二兆四千八百八十五億六千五百四十四万円余に比べて八兆二千七百八十一億六千五百一万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十三年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十三年度中における純増加額は二千八百十二億三千二百七十三万円余でありますので、これに前年度末現在額一兆五千三百七十三億四千七百七十七万円余を加えますと、昭和五十三年度末における物品総額は一兆八千百八十五億八千五十一万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十三年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和五十三年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、百六十四件に上る不当事項について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第九十一回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。  昭和五十三年度中に増加いたしました国有財産は、行政財産一兆千七百五十七億四千七百三十六万円余、普通財産一兆二千六百四十三億千四百六十三万円余、総額二兆四千四百億六千百九十九万円余であり、また、同年度中に減少いたしました国有財産は、行政財産二千五百四十九億三千六百四十七万円余、普通財産四千九十四億四千三百六十五万円余、総額六千六百四十三億八千十二万円余でありまして、差し引き一兆七千七百五十六億八千百八十七万円余の純増加となっております。これを昭和五十二年度末現在額二十四兆六千七百三十六億三百五万円余に加算いたしますと、二十六兆四千四百九十二億八千四百九十二万円余となり、これが昭和五十三年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳分類別に申し上げますと、行政財産十六兆二千七百八十八億六千九百九十九万円余、普通財産十兆千七百四億千四百九十三万円余となっております。  なお、行政財産内訳種類別に申し上げますと、公用財産九兆三千五百四十五億千百五十六万円余、公共用財産二千九百二十二億八千三百八十二万円余、皇室用財産三千二百九十七億千百十七万円余、企業用財産六兆三千二十三億六千三百四十二万円余となっております。  また、国有財産総額内訳区分別に申し上げますと、土地七兆千八百二十億三千三百四十五万円余、立木竹三兆八千七百九十八億六千百四十八万円余、建物三兆千四百八十六億千八百九十八万円余、工作物二兆八千七百七十三億三千二十万円余、機械器具九億千五百五十六万円余、船舶五千百五十一億八千八百九十一万円余、航空機六千二百十九億五百二十四万円余、地上権等十二億五千四百六十一万円余、特許権等二十五億七千三百六十八万円余、政府出資等八兆二千百九十六億二百七十六万円余となっております。  次に、国有財産増減内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十三年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は二兆四千四百億六千百九十九万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加いたしました財産は二兆七百七十八億四千七百三十一万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は三千六百二十二億千四百六十八万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は六千六百四十三億八千十二万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は二千五百五十九億五千四百八十六万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は四千八十四億二千五百二十六万円余であります。  以上が昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書概要について申し述べます。  昭和五十三年度中に増加しました無償貸付財産総額は千百七十億三千四百九十九万円余であり、また、同年度中に減少いたしました無償貸付財産総額は千百十一億八千四百九万円余でありまして、差し引き五十八億五千九十万円余の純増加となっております。これを昭和五十二年度末現在額三千八百十九億三千六百八十六万円余に加算いたしますと三千八百七十七億八千七百七十六万円余となり、これが昭和五十三年度末現在において無償貸付をしている国有財産総額であります。  以上が昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 國場幸昌

    國場委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明並びに同検査報告中特に重要な事項について説明を求めます。知野会計検査院長
  5. 知野虎雄

    知野会計検査院長 昭和五十三年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十四年十月十二日、内閣から昭和五十三年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十三年度決算検査報告とともに五十四年十二月十四日内閣に回付いたしました。  昭和五十三年度一般会計決算額は、歳入三十四兆九千七十二億六千五百八万余円、歳出三十四兆九百六十億三千二十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において五兆四千七百三十六億四千二百二十六万余円、歳出において五兆三百六十一億八千八百四十六万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入七十一兆九千五百八十三億四百三十一万余円、歳出六十二兆五千五百二十七億三千二百三十三万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において十一兆三千九百六十二億千八百四十八万余円、歳出において十兆二千八百四十三億四百九十二万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額二十二兆五千三百三十七億千七百七十九万余円、歳入組み入れ額二十一兆八千三百九十億五千百八十万余円であります。  政府関係機関昭和五十三年度決算額の総計は、収入十八兆千八百七十三億七千四百九十五万余円、支出十七兆七千三百十二億九千六百二十一万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において九千七百九十六億八千六百三万余円、支出において一兆千六百九十四億九千八百七十九万余円の増加になっております。  昭和五十三年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万七千余冊及び証拠書類六千八百五十万余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万二千余カ所のうち、その八・四%に当たる三千五百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い関係者に対して、約千五百五十事項質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果検査報告に掲記した不当事項等について、その概要説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計百六十四件であります。  このうち、収入に関するものは六件、十四億四千六百五十二万余円でありまして、その内訳は、租税徴収額に過不足があったものが一件、十一億六千八百五十四万余円、保険料徴収額が不足していたものが三件、二億六千五百五十三万余円、職員不正行為による損害を生じたものが二件、千二百四十四万余円。  また、支出に関するものは百二十二件、二十九億九千百四万余円でありまして、その内訳は、予算経理に関するものとして、架空の名目による旅費等を別途に経理していたものなどが六件、三億二千二百一万余円、工事に関するものとして、事前の調査計画等が適切でなかったなどのため不経済になったもの、工事設計が適切でなかったため不経済になったもの、予定価格積算が適切でなかったため契約額が割高になったもの、契約処置が適切でなかったため割高な契約となったもの、監督、検査が適切でなかったため設計と相違して施工したもの、及び工事着工時期の見通しのないまま多額の前払金を支払ったものが十一件、十二億七千五百九十八万余円、物件に関するものとして、物品購入計画等が適切でなかったため不経済になったもの、予定価格積算が適切でなかったため契約額が割高になったもの、及び契約処置が適切でなかったため購入価額が著しく高価となっているものが十五件、一億九千三百十万余円、役務に関するものとして、予定価格積算が適切でなかったため不経済になったもの、及び契約処置が適切でなかったため不経済に支払われていたものが三件、四千九百四十万余円、保険に関するものとして、保険給付金支給が適正でなかったものが二件、一億四千百三十七万余円、補助金に関するものとして、補助事業実施及び経理が適切でなかったものが六十七件、四億四千三十八万余円、貸付金に関するものとして、貸し付け後の調査確認が十分でなかったなどのため貸し付けの目的または条件に沿わない結果となっていたもの、担保の調査及び評価が適切でなかったため貸付金が回収不能となっていたものが十三件、五億四千九百五十二万余円、不正行為に関するものとして、職員医療用消耗品購入を装い国庫金を領得したもの、及び賃金支給書を偽造するなどして資金を領得したものが四件、四百八十七万余円、その他、トンネル工事に伴う水田減渇水対策費支払いが適切でなかったものが一件、千四百三十九万円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、郵便貯金預入金等について職員不正行為による損害を生じたものが三十六件、一億千九百三十八万余円ありまして、これらの合計は、百六十四件、四十五億五千六百九十六万余円となっております。これを前年度の九十三件、六十四億五千三百七十三万余円に比べますと、件数において七十一件の増加金額において十八億九千六百七十六万余円の減少となっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  五十四年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしましたものは十四件でありまして、その内訳は、大蔵省の、練肉機使用している冷却用水循環使用に関するもの、農林水産省の、農業構造改善事業等により設置した農機具格納庫の規模に関するもの、農用地の地目別集団化を伴う土地改良事業実施地区における水田利用再編奨励補助金の交付に関するもの、建設省の、トンネル用照明器具の仕様及び積算に関するもの、日本専売公社の、建物等取り壊し工事費積算に関するもの、葉たばこ倉庫管理運営に関するもの、日本電信電話公社の、青電話機キャビネット業務委託取扱費積算に関するもの、医療金融公庫の、業務委託手数料の算定に関するもの、日本住宅公団の、現場従務旅費支給に関するもの、有料駐車場敷地等貸し付けに関するもの、日本道路公団の、高速道路新設工事における軟弱地盤処理工費積算に関するもの、日本鉄道建設公団の、特別手当等支給に関するもの、中小企業共済事業団の、小規模企業共済事業に係る事務処理委託に関するもの、公害防止事業団の、中小企業者に対する公害防止施設の譲渡に係る債権保全措置に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものは十五件であります。  その内訳は、農林水産省の、飼料用外国産大麦の政府備蓄に関するもの、徳用上米用原料米穀売り渡し価格に関するもの、運輸省の、港湾改修等工事におけるセルラーブロック等型枠費積算に関するもの、空港施設における電力ケーブル等保護用管路設計に関するもの、建設省の、特定多目的ダム等建設工事予定価格積算に関するもの、場所打ちコンクリートU型側溝のふたの価格の積算に関するもの、日本国有鉄道の、東北新幹線における通信・信号用ケーブルの敷設工法に関するもの、手小荷物等の自動車輸送業務の委託等に関するもの、客貨車用十二トン長輪軸の利活用に関するもの、日本道路公団の、舗装工事におけるアスファルトプラント運転経費の積算に関するもの、日本鉄道建設公団の、上越新幹線におけるトンネル内照明等設備の設計及び通信用ケーブルの材料費の積算等に関するもの、地域振興整備公団の、土地造成工事における掘削運出費の積算に関するもの、日本蚕糸事業団の、生糸の保管料に関するもの、日本中央競馬会の、建築工事等における配管、配線工事費の積算に関するもの、帝都高速度交通営団の、下水道料金の支払いに関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業運営の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、昭和五十三年度決算検査報告には、次の一件を掲げてございます。  すなわち、郵政省の、逓信病院の運営に関するものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。  昭和五十三年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十四年十月二十六日、内閣から昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十三年度国有財産検査報告とともに五十四年十二月十四日内閣に回付いたしました。  五十二年度末の国有財産現在額は、二十四兆六千七百三十六億三百五万余円でありましたが、五十三年度中の増が二兆四千四百億六千百九十九万余円、同年度中の減が六千六百四十三億八千十二万余円ありましたので、差し引き五十三年度末の現在額は二十六兆四千四百九十二億八千四百九十二万余円になり、前年度に比べますと一兆七千七百五十六億八千百八十七万余円の増加になっております。  また、国有財産無償貸付状況につきましては、五十二年度末には三千八百十九億三千六百八十六万余円でありましたが、五十三年度中の増が千百七十億三千四百九十九万余円、同年度中の減が千百十一億八千四百九万余円ありましたので、差し引き五十八億五千九十万余円の増加を見まして、五十三年度末の無償貸付財産総額は三千八百七十七億八千七百七十六万余円になっております。  検査の結果、昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十三年度決算検査報告不当事項または意見を表示しまたは処置を要求した事項として掲記したものはありません。  以上をもって概要説明を終わります。  引き続きまして、昭和五十三年度決算検査報告に掲記いたしました主な指摘事例について説明いたします。  まず、不当事項のうち、収入に関するものは六件、十四億四千六百万円となっており、その大部分を占めておりますのは、例年どおり大蔵省関係で、租税徴収額に十一億六千八百万円の過不足が生じたというものであります。この徴収過不足額につきましては、本院の指摘後、いずれも徴収決定または支払い決定の処置がとられております。  次いで、支出に関するものは百二十二件、二十九億一千四百万円となっており、これは前年度に比べて件数で四十三件の増、金額で約二十億円の減となっております。件数が増加した主な理由は、貸付金に関する不当事項が十三件、いわゆる押し売りによる物品の高価購入が十二件、旅費等の不正経理が六件と多数に上ったことなどであり、金額減少したのは、前年度においては一件で三十四億円余に上る不当事例があったのに対し、五十三年度には金額的にそれほど大型のものがなかったことによるものであります。  ここで、その主な事例について説明いたします。  まず、本州四国連絡橋公団の事例について申し上げますと、同公団では大鳴門橋に接続する門崎高架橋を建設中でありますが、このうち二基の橋脚の基礎等の積算におきまして、基礎の掘削費は三億二千三百万円とすべきところを、約二倍の六億四千三百万円としていたというものであります。すなわち、この基礎はいわゆる潜函工法で施工しているものでありますが、この潜函作業室の面積が通常の場合より広いところから、当局では、掘削に当たる作業員とブルドーザーの編成を通常の二倍の二編成にすることとして設計したのでありますが、積算に当たって人件費や機械損料などの掘削経費の方は二編成分を計上しておきながら、掘削量の方は一編成分として計算していたことなどによって、このように大きな開差が生じたものであります。  もう一つ工事に関する事例として、水資源開発公団において、工事に着工できる見通しが全く立っていないのに、六億円余の前払い金を支払ったという事例があります。すなわち、同公団では三重用水事業の一環として五十二年度契約しました幹線水路等の九件の建設工事におきまして、いずれも契約日の翌日には業者に対して工事の中止を指示しておりながら、前払い金については請負人の請求に基づいて支払っておりました。しかし、これらの各工事契約当時、地元住民との間にそれぞれ未解決の問題がありまして、工事に着手できる条件が整っておらず、現実には短いものでも九カ月、長いものでは二十九カ月も未着工となっていたものもありまして、このようなものに対して多額の前払い金を支払っていたものであります。  次に、物件に関する不当事例について申し上げますと、不当事項として指摘したものは十五件で、そのうち十二件は文部省ほか十一省庁等で物品を市価より著しく高い価格で購入していたという事態であります。  すなわち、これらの省庁等で購入したマット、シート等の庁用物品等について検査いたしましたところ、これらの物品はいずれも一般に市販されているものであるのに、団体等の職員と称する者から購入を強要されたとして、市販価格の調査も行わず、また、再発を防止する対策もとらないで、市販価格よりも著しく高い価格で繰り返し購入していたものでありまして、総額で市価よりも約一億六千万円高価に購入していたものであります。  また、今回の検査報告には、旅費等架空経理の事態について五省庁等で六件三億二千二百万円を掲記いたしました。これは、旅費や会議費について、旅行や会議などの事実がないのに、これらを行ったかのように書類を作為して支出し、これを別途に経理して、会食等の経費に使用していたものでありまして、会計経理が著しく紊乱している事態であります。  次に、会計検査院法第三十四条の規定により意見を表示しまたは処置を要求した事項計十四件のうち、その主な事例について説明いたします。  まず、農林水産省関係で、水田利用再編奨励補助金の交付が米の生産調整の趣旨に沿わない結果となっていた事例がありました。この補助金は、水稲から他作物に転作が実施された水田を対象に交付されるものでありますが、実質的に水田面積が減少していないものに対してこの補助金が交付されるという事態が、北海道の富良野市ほか四町で見受けられました。すなわち、これらの市町におきましては、土地改良事業に伴って、水田から畑地に変換される地区がある一方、畑地から水田に変換される地区もありますので、実質的に水田面積の減少を伴わないものもあるのでありますが、このような畑地転換面積三百三十万平方メートルに対してもこの補助金約二億円が交付されておりました。  このような不合理な事態が生じましたのは、補助金の交付要綱等の不備に基づくものであると認められましたので、関係通達等を整備するよう是正改善処置を要求したものであります。  次に、公害防止事業団中小企業者に対する公害防止施設の譲渡に係る債権保全措置が適切でないと認められる事例がありました。  すなわち、公害防止事業団では、産業公害が著しい地域において、中小企業者等に対し共同公害防止施設を設置して譲渡するなどの業務を行っておりまして、この施設の譲渡価格については、建設に要した費用の総額を割賦金総額とし、長期の割賦で譲り受け人から支払いをさせることとしております。そして、この債権保全措置としては、譲り受け人から譲り渡し施設を担保として徴し、そのうち土地建物については、所有権移転登記を行った後、これに第一順位の抵当権設定登記を行うこととなっており、担保額が不足する場合には、追加して添え担保を徴し、これに抵当権の設定を行うこととなっております。  これについて、債権の保全状況などを検査いたしましたところ、抵当権の設定登記を怠っているものが十一件、被担保債権額にして八十億余円、また、担保額が不足しているのに添え担保を徴することを怠っているものが二十件、担保不足額にして二十二億余円ありました。  同事業団においては、今後も引き続き多数の公害防止施設の建設譲渡業務を実施することが見込まれますので、債権の保全について遺漏なきを期するよう関係規程を整備する必要があると認め、是正改善処置を要求いたしました。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。これは、会計検査院検査の過程で不適切な会計経理を発見し、その是正改善処置を要求しようとして検討を進めている間に、本院の指摘を契機として当局是正改善処置を講じたという事例でありまして、十四件を掲記しておりますが、その主な事例について説明いたします。  まず、農林水産省関係の飼料用外国産大麦の政府備蓄に関する事例であります。農林水産省では昭和五十年度に飼料穀物の備蓄計画を定め、その一環として飼料用外国産大麦四十五万トンを食糧庁に備蓄させることとしました。この計画に基づく備蓄数量は五十三年度末までに三十七万二千トン、買い入れ価額にして約百六十億円に達しており、これに係る保管経費は約五十四億円に上っております。一方、食糧庁における古米の持ち越し量は、五十三年十月末で五百七十二万余トンに達しており、農林水産省ではこのうちの二百三十一万余トンを五十四年度から五カ年計画で配合飼料用原料として処分することとしております。  しかし、この処分計画によっても過剰米穀は五十七年度末で七十一万余トン残ることになりますので、備蓄大麦にかえて過剰米穀を充てることが可能でありまして、このようにすれば予定している備蓄用外国産大麦七万七千余トン、約二十九億円の買い入れが不要となるばかりでなく、すでに備蓄している大麦の品質低下による更新補充分の買い入れ費及び保管経費が五十四年度分だけでも約三十七億円節減できるわけであります。このように、今後過剰米穀が備蓄大麦に代替し得る間は、これを活用して備蓄に伴う財政負担の軽減を図る必要があるという本院の指摘を受けて、農林水産省では備蓄大麦の買い入れを当分の間中止し、品質低下による更新補充も原則として行わないように改めたものであります。  もう一つは、日本国有鉄道における客貨車用十二トン長輪軸の利活用に関する事例であります。国鉄では、貨物輸送近代化の一環として、五十一年度から貨車約二万両を廃車する方針でその解体作業を行っており、五十三年度中に約一万両を解体しておりますが、これに伴い、十二トン長輪軸が約二万対回収されました。  この輪軸は、国鉄で使用している車両の大半に使用されているところから、その管理基準が定められておりまして、それによると、一定の基準を満たすものはこれを再使用し、あるいは新製車両の製作用として車両メーカーに支給することになっていますのに、五十三年度中に回収した輪軸の大部分約一万五千対はスクラップ価格で売却されておりました。しかし、回収された輪軸について再使用等が可能かどうかを本院が調査いたしましたところ、その半数は新製車両にも十分使用できるものでありまして、この調査結果から見まして、売却されたもの約一万五千対の中にも新製車両に使用できるものが相当量含まれていたことになり、仮に五十三年度中に新製車両用として新規に購入してメーカーに交付した二千三百対にかえて回収したものを充てたとすれば約四億五千万円が節減できたと認められました。この点を国鉄に指摘いたしましたところ、国鉄では五十四年度以降製作する新製貨車には回収した輪軸を交付するように改めたものであります。  以上、概括的ではありますが、昭和五十二年度決算検査報告の主な事例について説明いたしました。
  6. 國場幸昌

    國場委員長 これにて昭和五十三年度決算外二件の概要説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 國場幸昌

    國場委員長 この際、お諮りいたします。  本決算外二件の審査に資するため、例年大蔵省当局に対して提出を求めております決算検査報告に掲記された会計検査院指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、昭和五十三年度決算につきましてもこの提出を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  9. 國場幸昌

    國場委員長 引き続き、会計検査院所管について審査を行います。  まず、会計検査院長から概要説明を求めます。知野会計検査院長
  10. 知野虎雄

    知野会計検査院長 昭和五十三年度会計検査院主管一般会計歳入決算並びに会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その大要説明申し上げます。  会計検査院主管の歳入につきましては、予算額九百八十万余円に対しまして、収納済み歳入額は九百六十七万余円であり、差し引き十三万余円の減少となっております。  収納済み歳入額の主なものは、公務員宿舎貸付料等の国有財産貸付収入九百二十五万余円であります。  次に、会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額七十六億九十二万余円に補正予算額九千九十六万余円を差し引き予備費二千百七十三万余円を加えた予算現額七十五億三千百六十九万余円に対しまして、支出済み歳出額は七十五億三千百四十六万余円で、その差額二十三万余円を不用額といたしました。  支出済み歳出額のうち主なものは、人件費六十四億二千八百十五万余円、検査旅費四億九千五百十二万余円、施設整備費三億二千五百十四万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和五十三年度における会計検査院関係の決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  11. 國場幸昌

    國場委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長
  12. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度会計検査院決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  13. 國場幸昌

    國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  14. 國場幸昌

    國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東家嘉幸君。
  15. 東家嘉幸

    ○東家委員 私は、政界に入る前に二十数年間、林産業に携っておりましたので、林産業に関係する問題について質問させていただきたいと思います。  まず、会計検査院では森林開発公団施行の大規模林道の検査を行っていると聞きますが、その後実情はどのようになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  16. 高橋良

    ○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。  森林開発公団で施行している大規模林業圏開発林道事業は、大規模林業圏の開発整備のための先導的事業として位置づけられるものでございますが、私ども検査をいたしましたところ、四十八年度以降、十八路線の開設、改良工事の施行を行っているわけでございますが、その進捗状況が計画と比べまして著しく遅延している、またすでに施行された林道を見ましても、その事業効果がほとんど発現していない状況であります。こういった状況につきましては、すでに林野庁並びに森林開発公団に対しまして質問を発しまして、その理由や対応策の有無などにつきまして検討を進めております。  ただ、本件は何分にも本年の検査報告の事案といたしまして現在検討中のものでございますので、詳細につきましては説明を差し控えさせていただきたいと思います。
  17. 東家嘉幸

    ○東家委員 林野庁にお尋ねしますけれども、大規模林道の事業の今後の推進方策というものはどのように考えておられますか。
  18. 黒川忠雄

    ○黒川説明員 お答えいたします。  大規模林道につきましては、林業振興並びに地域振興を図る上の基幹的事業であることから、その緊要性はきわめて高いほか、地域住民の本事業にかける期待は大きく、その早期完工が熱望されているところでございます。  このため、全二十九路線につきまして、早期着工、早期竣工が肝要であると考えられますが、昨今の財政事情等を考慮すれば、当面施行条件が整い、かつ緊急に整備を要する区間から着工完成を図り、部分的な効果を発現させながら、逐次その効果を計画全体に波及せしめる方法によりまして一層事業の効率的な促進に努めてまいりたい、かように林野庁としては考えております。
  19. 東家嘉幸

    ○東家委員 会計検査院では、国有林材の販売について、公売を原則としてふやすべきと考えているようでありますが、市場等に対する委託販売をふやすことについてどのようにお考えでございましょうか。
  20. 高橋良

    ○高橋会計検査院説明員 国有林材の販売につきましては、四十七年十月十七日に院法第三十四条の規定により措置要求をいたしております。これは、木材関係団体の主催する展示会等への出品用として国有林が売り渡し方式で行っていたことに対しまして是正改善措置を要求したものでございますが、これに対しまして林野庁では四十八年一月に通達を発しまして、本院の要求に従いまして、主催者に販売を委託して、これを実需要者に直接売り渡しの措置を講じております。  その後も委託販売方式に全面的に変更いたしておりますが、こういった国有林材の販売につきましては、先生御指摘のように、一般競争の原則に照らしまして公売による販売をふやすべきものである、かように考えておりますが、優良品とかあるいは銘木類など、市売りに適する一般材につきましては、何といっても木材流通に関しまして専門的能力を有する原木市売り市場に対する委託販売の機能を活用することが適当であると思われますので、こういった方向は競り売りによる販売を行っていくということによりまして公売の原則に若干でも沿うものである、かように考えております。したがいまして、市売り市場に対する委託販売、こういったことは望ましいものである、かように考えております。
  21. 東家嘉幸

    ○東家委員 林野庁におきましては、特別措置法を制定して経営改善に積極的に取り組んでおられるのはよく理解しているところでございますが、ただいま御答弁の、国有林材の委託販売については積極的に推進すべきということを私は望むわけでございます。しかし、歳入歳出の混同ということで、どうしても委託販売については手数料の予算を計上してその枠でしか支出できない状況にあり、委託販売の推進ということがそうした枠にはめられるということで必ずしも円滑に進んでいないと聞いております。  そこで、会計検査院にお尋ねしたいのですが、国有林の委託販売をより積極的に推進する上で、さきにも述べましたように、歳入歳出の混同を避けるということに対し何らか法令上の制限があると聞いておりますけれども、そのことについて特別な措置ができないものかと思いますが、いかがなものでしょうか。
  22. 高橋良

    ○高橋会計検査院説明員 本件につきましては、先生御指摘のように、歳入歳出の混同を禁止しているといった財政法第十四条あるいは会計法第二条の規定がございます。このほかには法令上の制約は特段ないように思われますが、問題は、この財政法なりあるいは会計法なりの規定を何とかならないかという御指摘のように私理解いたしましたが、この点につきましては、他の企業的経営を行う特別会計などにおきましても歳入歳出混同禁止というふうな原則がひとしく適用されております、したがいまして、これらも含めた非常に広範囲な問題になる、かように考えられますので、この先生御指摘の点だけについて歳入歳出の混同禁止の原則を何か緩める方法はないか、こういった点につきましては、若干会計検査院の範囲を離れると思いますので、意見を差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 東家嘉幸

    ○東家委員 いま予算をいただいて手数料支払いをやっておりますが、たとえば一昨年のように木材が暴騰いたしますと、どうしても民間に委託販売する数量そのものが、一昨年みたいに倍にでもなりますと半減してしまうわけです。そういうようなことでは、せっかくの行革の先走りをやっております民間委託というようなことからしましても、私はそうした関係の仕事をやっておりまして大変疑問を生ずるわけです。この点についてはどうか今後何らかの措置を講じていただきますようお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。  木材の供給量の問題についてお尋ねいたしますが、特にその前に説明させていただきますれば、今日、南洋材、米材を中心に資源ナショナリズムが大変強まってきております。そして大量に外材の輸入に依存をいたしておりました日本木材も、最近は、供給に対し長期的にも大変不安を来すのではなかろうかということでございます。昭和四十五年度には全需要が一億立米、その中に国産材が四千八百万立米、外材が五千六百万立米ということで、国産材の供給率は四五・九%もあったわけです。ところが年々国産材の供給率は減ってまいりまして、五十三年度に至りましては三一・六%ということです。こういうことではこれから先外材の供給に不安を来す見地からしましても、国産材の供給率をどう高めていくかということは、私は重要な問題だと思っております。このことについて林野庁の方はこの供給率を高めるためにはどういうことで臨むべきかということでございますが、お尋ねしたいと思います。
  24. 黒川忠雄

    ○黒川説明員 お答えいたします。  御案内のように、日本の森林は二千五百万ヘクタールございますが、現在一千万ヘクタールが人工林として生立しております。しかし、この七〇%は二十年生以下の若い森林でありまして、これが国産材の供給力となるのは少なくとも十五年ないし二十年以降でございます。  いま先生から御質問がありましたように、この供給力をいかに高めていくかということにつきましては、まずその二十年生以下が七〇%を占めます人工林につきまして間伐その他の保育を十分今後やっていく、将来木材として供給できるだけの森林をつくり上げていくということがまず第一ではなかろうかと思っております。  それから第二点には、森林ができましてもこれを伐採、搬出しまして国内市場で木材を供給するというためには林道の整備が緊要ではないかと思っております。現在われわれが作成いたしました「森林資源に関する基本計画」及び林産物需給に関する長期見通しにおきまして、将来計画といたしまして二十七万四千キロメートルの林道を計画しておるわけでございますが、現在の達成率は約三〇%でございまして、これを昭和七十五年度までに整備したいということで進めてまいりたいと思っております。  この二点が最も緊要な問題ではないかと考えております。
  25. 東家嘉幸

    ○東家委員 先ほど昭和五十三年度は国産材の供給率は三一・六%と申し上げましたが、この輸入外材を金額にいたしますと九千八百億円でございます。私も業界におりますが、一昨年からの暴騰から見込みましての私の推測でございます、ほぼそのように推移するであろうということですが、昭和五十五年度見込みでは一兆六千億の輸入の金額になるのではなかろうかと思っております。  なおまた、昭和六十年に至りますと、数量的にはどうしても国産材を五〇%までに供給率を高めなければ、外材の将来の輸入見込みからしまして全体の供給率はおぼつかない。それから、五〇%まで国産材で供給することができますと、約三千億円の外貨が節約できるわけでございます。そうしたことからいたしますと、いま林野庁の方で申されましたように、間伐というものはいま二〇%しか推進しておりません。二〇%の推進率ではどうしても五〇%の供給率はおぼつかないということに計算上なるわけですが、その二〇%の間伐の進捗率というものは、どうしても林道の整備がおくれているからできないということが、私も実践の体験者としてしみじみとこれを感ずるわけです。私もそういう仕事に携わっていながら、ひとつ早く何とか間伐できるように林道をつくっていただきたいということの気持ちがいっぱいでございます。  どうか、そうしたことは外貨節約もなることだし、なおまた山村振興、過疎地帯の求人にもかなりの好影響を及ぼすと私は思いますので、その点について、こうした予算時期に大蔵省さんの方にこういうことを申し上げると大変恐縮でございますけれども、大蔵省の方の見解、この先行投資的なことについてどのようなお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  26. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  先生御承知のように、いまわれわれ五十六年度予算編成に取り組んでおるわけでございますが、御承知のような財政事情でございますので、われわれ歳入歳出の両面にわたりましてすべての問題点を洗い出して、調整合理化を図ろうということで、予算編成に取り組んでおるわけでございます。  財政需要のあらゆる分野から、いろいろな需要が大蔵省に持ち込まれております。間伐林道の整備ももちろんその一つでございますけれども、そういう需要に一〇〇%おこたえするわけにはとてもまいりません。  私はこういうふうに考えておるのですが、来年度予算は、予算編成の結果、恐らくあらゆる財政需要に対して不満が残る、その不満の度合いが各需要について大体同じ程度の予算ができれば上できなのではないか、こういうふうに考えておりまして、間伐林道に対する需要が強いことはよくわかっておりますけれども、その辺の事情も御理解をいただきたい、こういうふうに考えております。
  27. 東家嘉幸

    ○東家委員 何も追い打ちをかけて質問しようという気持ちではございませんが、石油代替の資金等についてはかなり予算もついているかというふうに聞いております。何分にも将来の木材の供給力ということから考えますと、さらにまた先行投資ということから考えましても、このことにつきましては、どうかひとつ格段の御配慮にあずかりますようお願い申し上げます。  それから、林野庁の方にお尋ねしたいのですが、いまおっしゃられましたように、予算も大変厳しいということでございます。しかし、何らかここで間伐、除伐等ができる方法というものはないものだろうか。山の中に入ってみましても、本当に植林してから十五年以後になりますと、間伐をしなければ木はもう成長しない、価値がなくなるわけです。そうすれば私は国家的な損失だと思うのです。そういうことからしましても、林野庁に最後にお尋ねしたいのですが、何らかここでその解決の方法を見出せないものだろうかと思いますので、もう一度このことについて御説明いただけますならばと思います。
  28. 黒川忠雄

    ○黒川説明員 お答えいたします。  いま先生御質問の間伐の問題でございますが、これは将来の日本林業を左右する非常に重要な問題であると考えております。しかも先ほど申し上げましたように、一千万ヘクタールの人工林のうちの七〇%以上が二十年生以下の若い森林でありまして、このうち、先生も御指摘のありましたように、間伐を要する森林の間伐が二二%ぐらいしか行われておりません。そういう実態から考えまして、われわれはもっと間伐を進めたいというふうに思っております。  その問題点がいろいろありますけれども、二十年生以下の森林が多いということは、戦後といいますか昭和三十五年以降に植栽された個所が多いということでありまして、古くからやっておる林業地域でありますと、間伐に対する知識が十分ありますし、やろうという意欲もあるわけでありますが、戦後形成された林業地域といいますかそういうところでは、間伐に対する知識というのもわりあいにないということから、間伐が余り進められておらないというのが実態ではなかろうかと思っております。  したがいまして、林野庁といたしましては、今後闘伐を進める上での総合的な対策、いままででもいろいろやっておりましたけれども、いわゆる川上から川下までということで、森林所有者に対しての間伐の知識の必要性の普及、それから間伐すべき林木の選定、それから実際に間伐いたしましてそれを搬出して販売する流通関係までの、その間の間伐林道、搬出する林道ももちろん必要でありますが、それを加工流通する段階まで、川下まで含めまして、総合的な対策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。そういった意味で、今後間伐の促進のための総合対策事業ということを考えていきたいと思っております。
  29. 東家嘉幸

    ○東家委員 最後にもう一つ林野庁にお尋ねしたいと思いますが、いま今日は、アメリカの住宅産業の不振、また国内の住宅産業の不振、なおまた、かなり輸出規制が始まるであろうという駆け込み輸入ということで、国内では木材も少しだぶついております。しかし月々に在庫量というものは減ってきております。そういうことで、間伐等が進まなければ、供給体制はどうしても整備できないと思うのです。ならば、そうした外材の輸入に今後も依存していかなければならないということからしまして、これは政府間交渉等も必要になってくるかと思います。そうした長期的な輸入というものについてどのように対処して供給を満たすかということをお尋ねしたいと思います。
  30. 黒川忠雄

    ○黒川説明員 お答えいたします。  外材の輸入についての長期の見通しにつきましては非常にむずかしい面がございまして、御案内のように丸太での輸出規制ということが東南アジアあるいはアメリカ、カナダにおいても非常に強まってきております。そういった意味で、先ほど申し上げました長期見通しにおきましても、前計画では丸太の輸入を主体に考えておりましたけれども、今回改定されました計画では、製品、丸太を問わず、不足分といいますか、需給を満たさない分は外材の輸入で賄うというふうに考えております。それがどれくらい丸太で入ってくるか、どれくらい製品で入ってくるかという見通しにつきましては、非常にむずかしい問題でありますので、明確に区分はいたしておりません。しかし、いずれにいたしましても、丸太での輸入というのは非常にむずかしくなってくるということは事実でございまして、林野庁といたしましても、そういう外国の木材輸出の動向、資源賦存状況というようなことに対しましても、いろいろ調査をいままでもやっておりますが、今後さらに力を入れましてそういった調査を進めまして、必要な外国材の輸入については措置をとりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  31. 東家嘉幸

    ○東家委員 ただいまの指導部長から御指摘がありました、丸太では輸出しない、製品で輸出する方向にいま進んでおりますが、いままで国内でかなり外材製材団地というものを政府の助成等もあって整備されておりますが、そうした製品輸入の拡大によっていまかなりの倒産の状況にあるわけでございます。そうした製材工場のことを考えますと、もう本当にこれは何とか政治的に解決してやらねばという気持ちがいっぱいでございます。こうした状況のときに、国内の木材製品については流通税がかかっておりますが外材にはいまかかっておりません。そうしたことで、少しでも外材の製品輸入に対して流通税を、そうした国内の業界の助成等にも充てるために目的税か何かということで課せられないものだろうかということをかねがね考えておりますが、このことにつきまして大蔵省の方で答弁いただければ幸いだと思います。
  32. 保田博

    ○保田説明員 申しわけございませんが、私は歳出の方を担当しておりまして税の方の専門家ではございませんので責任ある御回答はいたしかねるわけでございますが、一般論として申し上げますれば、やはり目的税というのは財政歳入歳出両面にわたる弾力性を損なうというおそれもございますので、一般論として申し上げますればなるべく御勘弁をいただきたいということになるのではないかと思います。
  33. 東家嘉幸

    ○東家委員 多分むずかしい問題だろうとは思っておりましたけれども、このままいきますと大変な問題が起きると思います。どうかそうした業界のこともよくお含み願って今後とも倒産防止のために何らかの助成等もいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  34. 國場幸昌

  35. 新村勝雄

    新村委員 最初に会計検査院長にお伺いをいたします。  会計検査院法の改正、これはすでに論議を尽くされ、しかも待望の案であるわけであります。申し上げるまでもなく、国政の執行は最も厳正に行わなければなりませんし、特に財政再建が叫ばれておる現状におきましては、なおさら国民の税金の効率的なしかも正しい使用が要請をされておるわけであります。こういう中にあって、会計検査院の使命はますます重くなるわけでありますし、会計検査院の陣容の強化、それからまた同時に権限の強化ということが要望されておるわけです。そういう状況の中で、またそういう考えのもとに院法の改正というものが考えられ、論議をされたわけでありますけれども、その後一向に院法改正が実現をしない。その後の状況とそれからこれについての院長の所信のほど、お考えをまず伺いたいと思います。
  36. 知野虎雄

    知野会計検査院長 会計検査院法の改正につきましては、この席でもたびたびお答えを申し上げましたとおりでございまして、現在内閣におきまして官房長官の手元で真剣に検討をしていただいておるところでございます。その後余り進んでないではないかというお話でございますが、これは、内閣におかれましても慎重に検討しておられるということは私どもも承知しておりますし、私どもの方で御検討をお願いしておる立場で余り催促がましいこともなかなか言いにくいという事情があるわけでございます。
  37. 新村勝雄

    新村委員 院長の立場から御遠慮をされておるような発言でありますけれども、やはりこれは日本の政治の浄化あるいは資金の効率的な使用という点からすればどうしても実現をしなければならない重要な案件でありますし、院長としてもその点を十分お考えをいただいて総理府の方へ意見を具申をされ、総理にも意見の具申をされておるはずであります。そういう点からして、遠慮をされるということではなくて、やはり日本の政治のためという見地からひとつなお一層の努力を願いたいわけでありますけれども、具体的にその後全く動きがないのか、あるいはまた院長としてどういう措置をおとりになったのか、具体的な点があれば伺いたい。
  38. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  私ども会計検査院といたしましては、いろいろ法改正につきまして会計検査院がみずから調整を図るということにつきまして限界があるというふうに考えましたので、より高い見地から御判断を願おうということで内閣に調整をお願いしたのが昨年の五月二日でございます。その後、昨年の六月十二日、首相官邸におきまして、官房副長官主宰のもとに関係各省庁の局長クラスの方がお集まりになられて調整会が持たれております。この際会計検査院からも事務総長が出席しまして、るる御説明をしておるわけでございます。また、ことしに入りましてから、一月十七日にやはり事務総長が当時の伊東官房長官にお会いいたしまして、いろいろ御説明しているところでございます。それがその後の事務当局としての経過でございます。
  39. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、ことしに入ってからは会計検査院としては余り積極的な動きをされなかったということですか。
  40. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたような事情で一応内閣に調整をお願いしたことでもございますし、また、官房長官におかれましても再三国会で言明しておられますように、真剣にこの問題を検討していただくというふうに聞いておりますので、ただいまのところその結果を待っているという段階でございます。
  41. 新村勝雄

    新村委員 この問題については、後で官房長官がお見えのときに伺いたいと思います。  次の問題として、検査院が完全に機能を発揮されるためには権限の強化と同時に陣容の強化ということが必要であると思いますが、聞くところによれば、事務の量が非常に激増しておるのに人員が不足であるとか、あるいは機構の点で十分でないというようなことも聞いておるわけでありますけれども、そういった点はいかがですか。
  42. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  いわゆる国なりあるいは政府関係機関あるいは検査対象法人の財政規模が非常に増大しております。また、行政の複雑化に対応するために、われわれとしては、予算定員の増ということにつきましては、検査旅費とあわせて増額を要求してきているわけでございます。定員につきましては、五十年度以来五十五年度までに十二名の増員を認めていただいているわけでございます。ただ、一方、旅費につきましても財政当局の理解を得ているわけでございますが、現状を申し上げますと、予算定員の伸びとそれから検査旅費の伸びは必ずしも整合しないわけでございまして、相当数の調査官が年間百日以上の実地検査を行わなければならないというのが実情でございます。したがいまして、基本的にはやはり増員を図っていく必要があると思うわけでございますが、財政事情の厳しい折でもございますので、財政当局の理解を得まして、逐年この増員を図っていこうというふうに考えておりますとともに、職員の研修、そういったものもあわせて調査官の早期育成に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  43. 新村勝雄

    新村委員 職員の数が少ないということで非常に御苦労をされておるようであります。しかも百日以上も出張される。これではいかに優秀な方であっても十分使命を果たせるかどうか、そういう点で、ほとんど限界を超えておる状況ではないかと思います。こういうことで、財政再建、そして行政改革というようなことも言われておりますけれども、財政再建あるいは行政改革が行われるためには、やはり検査院の機能の強化ということがその下敷きになっていなければ財政再建も行政改革もできないと言っても、これは言い過ぎではないと思うのです。そういった意味で、検査院の場合には一般のほかの官庁と違った意味での人員管理あるいは陣容の充実ということが必要だと思いますので、そういう点でひとつ、院長にはなお一層院の機能の強化のために努力を願いたいわけですが、五十六年度には果たしてどの程度人員増加を希望しておられるのか、これを伺います。
  44. 知野虎雄

    知野会計検査院長 定員の問題につきましてもたびたび申し上げてまいりました。財政規模が非常に拡大しておりまするし、行政は複雑化しておりまするし、また検査内容も非常にむずかしくなっておりますので、現在の人員では現在の検査の施行率というものをこれ以上上げることは、事実申しまして限界でございます。また、多少実情を申し上げますと、旅費につきましても、これ以上の旅費をもらいましても、現在の人間でございますれば、これはもう、百日を超すという検査は実際過酷な勤務状況になっておりまして、一昨年も犠牲者を出しておるというふうな状況でございますから、私どもは、どうしてもやはり必要な人員というものは最小限度確保しなければなるまいという考えでおるわけでございます。来年も、そういう点で人員の増ということに重点をしぼりまして、何とか一〇%ぐらいの検査率に上げたいということから、二十名ぐらいの増員をお願いしておるわけでございます。財政当局におかれましても、この検査院のそういう特別な任務というものには特別な配慮をいただいておりまして、今日までも、逐年、少しずつですけれども人員の増は認めてもらっております。非常に財政状況の厳しい折でもありまするし、特に一般職の定員につきましては削減または規制ということが非常にやかましい時期でございまして、検査院の要望どおり認められるかどうかはわかりませんけれども、そういう特殊事情を踏まえまして、私どもも今後とも努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  45. 新村勝雄

    新村委員 ひとつ検査院の御健闘を御期待をしたいわけです。  次に、具体的な点について、五十三年度決算検査報告概要の中から二、三の点を伺いたいのですが、たくさんの不当事項指摘をされておりますので一々についてはできませんけれども、その中に、九ページですが、不正経理の問題が指摘をされておるわけです。これは総理府の中の防衛庁、環境庁、通産省でありますが、この中で、きわめて遺憾な事態が指摘をされておるわけであります。そして、不正経理の額、不正経理処理の方法が示されておりまして、防衛庁については全額返済済みとありますけれども、総理府、通産、あるいは国鉄、鉄建公団等については未済ということであります。これはどういうわけであるのか、あるいはこれからどうされるのか、これをまず伺います。
  46. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生の資料は、確かに記者発表当時の資料でございますので、その後事情は変わってきているわけでございます。
  47. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、これは全額返済であるとか、しかるべき処理は済んでおるということですか。
  48. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 会計検査院処置としては、すべて済んでおるわけでございます。
  49. 新村勝雄

    新村委員 それから、もう一つですが、非常に不当な高価で買い入れたという問題が指摘をされております。これは、各省庁いずれも関係があるようでありまして、国会から総理府、文部省、ずっと各省関係があるわけですが、この処理はどうなっているのですか。中には市価の八、九倍、十倍近い高価で購入したというようなことも指摘をされておりますが、これの事後の処理はどういうことでございますか。
  50. 知野虎雄

    知野会計検査院長 高価購入をいたしましたものは、これを返すわけにはまいりませんので、不当事項として掲記したわけでございますが、そういうことをやりました職員措置という意味でございましょうか。
  51. 新村勝雄

    新村委員 国家に損害を与えた額についてはどうなんですか。
  52. 知野虎雄

    知野会計検査院長 額につきましては、したがいまして、これはそれぞれの職員が責任があるかどうかによりまして、検定というのを詳細にやってまいったわけでございますが、省庁によりましては任意弁償をいたしたところもございますし、あるいは検査院の検定の進行に応じまして、検査院の方でこれは弁償責任があるという判定がありそうだということで、それに基づいて弁償したものもございます。あるいは、これは弁償の必要がないというふうに処置したものもございます。そういう個々の問題につきまして詳細な報告が必要でございますれば、後刻説明をいたします。
  53. 新村勝雄

    新村委員 これは一割、二割高いというならばわかりますけれども、市価の七倍、八倍という高価で買い入れるということは常識的には考えられないわけですね。これは重大な過失、あるいはそれを意図してやったか、いずれかだと思いますけれども、これについては、それだけ国に損害を与えておるということからしまして明確な処置をされなければいけないのじゃないか、また、その報告をいただきたいということになるわけでありますけれども、これは後で結構ですから、その処理についてひとつ伺いたいわけです。  それから補助金の問題ですね、これは四十四ページにありますが、補助金の問題で補助金の使途がきわめて不適切であった、趣旨に反した使い方をしたことが指摘をされておりますが、こういった問題についてはその事後処理はどうなっておりますか。
  54. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  補助金の事後の処理につきましては、各省庁におかれましてすべて処理が済んでいるわけでございます。
  55. 新村勝雄

    新村委員 次の問題に入りたいと思います。  国有財産の関係でお伺いいたしますが、いま問題になっておりますソ連の軍艦のナヒモフ号の問題であります。莫大な財貨を積んだまま沈没したということでいろいろ問題になっておりますが、まず外務省にお伺いしたいのですけれども、これに対してソ連から抗議ですか申し入れがあったわけです。これに対して十月二十日、政府はソ連に対して通告をしたはずですけれども、どんな通告をされましたか。
  56. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきましたように、十月三日、ソ連のジノビエフ臨時代理大使が欧亜局長のところに参りまして、このナヒモフ号に対するソ連のすべての権利を確認するとともに、この引き揚げ作業はソ連の同意なくしては行うことができないという申し入れをしてまいりました。  これに対しまして、十月二十日、わが方から日本政府の見解といたしまして、そもそもいま引き揚げ作業が行われている軍艦がナヒモフ号であるかどうかは日本政府は最終的に確認はしていないけれども、仮にナヒモフ号であったとした場合の議論といたしまして、ナヒモフ号は日露戦争対馬海戦におきまして、わが帝国海軍によりまして明確に拿捕、捕獲をされたという史実を確認いたしまして、当時有効でございました戦時国際法、当時確立されました戦時国際法の原則によれば、拿捕された軍艦のすべての権利、積載物も含めたすべての権利は拿捕されたその時点で直ちに最終的に戦勝国側に移るということでございますので、その時点でこのナヒモフ号に関するすべての権利は日本政府に移った、したがってソ連側の十月三日の申し入れば受け入れることができないという回答をいたしたわけでございます。それに対しまして、十月三十一日、再びソ連側から再反論がございまして、その再反論の骨子は、日本政府が申し入れましたこの拿捕、捕獲の行為、これはなかったのだ、したがっていまでもソ連がすべての権利を持っているのだ、したがってこの引き揚げ作業を直ちに中止してもらいたい、こういう申し入れを再び十月の三十一日にしてまいった次第でございます。
  57. 新村勝雄

    新村委員 そのソ連の申し入れに対して日本政府はどういうふうに対応されましたか。
  58. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 お答えいたします。  十月三十一日、ポリャンスキー大使が欧亜局長のところに参りましてただいまお答え申し上げました趣旨のソ連側の再反論をしてまいりましたのに対しまして、欧亜局長よりとりあえずということで逐一、ソ連側の申し入れてまいりました点についての反論をいたしたわけでございます。  たとえば、史実そのものにつきましても、日本側はソ連側の史実も当たり、これが動かしがたい客観的な事実であるという結論に達して申し入れているのだという点を明確に反論いたしましたし、たとえばソ連側の申し入れにございましたポーツマス条約に何も書いてないじゃないかというような点、あるいはこのナヒモフ号は公海にずっと沈んでいたのじゃないかというような点につきましては、ポーツマス条約に書いてないという点は当時帝政ロシアがこのナヒモフ号は日本の戦利品になったということについて何ら疑いを持たなかったことの証拠であって、ポーツマス条約に書いてないということはむしろ日本政府の見解を支持するそういう事実であるという反論、あるいは公海上にあったじゃないかという点については、そもそも日本政府の見解によれば拿捕、捕獲された時点ですべての権利が日本側に移ったわけでございますから、公海にあろうと領海にあろうとその沈んでいた場所はこの議論に一切関係ないという反論を行った次第でございます。その後、欧亜局長はさらに日本政府として再び公式に反論する権利を留保するということをポリャンスキー大使に回答したわけでございます。その後どうするかは、ただいま政府部内で検討を開始したところでございます。
  59. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、ナヒモフと目される、ナヒモフと仮定した場合、その所有権は日本にあるということを日本政府は確認をしたわけでございますね。
  60. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 お答えいたします。  日本政府はこのナヒモフ号に関します一切の権利が日本側にあるということについては一点疑いを持っておりません。したがいまして、その点をポリャンスキー大使にも十月三十一日に再び明確に申し伝えた、そういうふうに理解をいたしております。
  61. 新村勝雄

    新村委員 そうすると、その所有権については、あらゆる点でソ連の主張に対抗できる、日本の主張をあくまで維持することができるという自信がおありなわけですね。
  62. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 お答えいたします。  本件につきましては、政府部内におきまして収集できるあらゆる資料を詳細に検討いたしまして達した結論でございますので、この権利がすべて日本側にあるという主張についてはわが日本政府は十分な自信を持っているというふうに認識しております。
  63. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、これは明確に日本の財産である、国有財産であるということになります。そうしますと、これは国有財産としての手続あるいはこれからの管理等をしていかなければいけないと思うのですけれども、この点については、これは院長、御見解がありましたらお伺いしたいと思います。
  64. 知野虎雄

    知野会計検査院長 会計検査院では、ナヒモフ号の財宝がどうだこうだという検討はまだいたしておりません。
  65. 新村勝雄

    新村委員 これは一般的に国の資産ということになれば、政府はこれを管理をする責任があると思いますけれども、それはいかがですか。
  66. 知野虎雄

    知野会計検査院長 国有財産だということになりますれば、いずれ国有財産台帳に載るというふうな問題が出てまいりますから、そういう段階では検査院の検討に入ってくると思いますけれども、まだ私どもはそこまでの検討をいたしておりません。
  67. 新村勝雄

    新村委員 この財宝については今日まで、現在でも確認をされていないと思いますけれども、確認をされていないわけですね。こういう潜在的な国有財産というのはほかにもたくさんあると思いますが、それについては一々宣言をしなくても、当然これは国有財産としての権利を日本は主張できると思いますね。ただ、こういう顕在化してきた場合には、やはり国有財産としての所定の手続なり要求される手続があると思いますけれども、外務省というよりは日本の政府がすでに日本のものであることを確認した以上は、これからは国有財産として管理をし、あるいは処分をしていかなければいけないと思いますけれども、それはどうなのでしょう。
  68. 知野虎雄

    知野会計検査院長 国有財産を担当しております第一局長から答弁をさせます。
  69. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先ほど外務省の方からも御説明ございましたように、現在権利関係について外交折衝中でございますし、それから、これがまた国内法関係のいろいろな諸問題もございます。そういったものが詰まりました段階で、私どもの方に大蔵省なり外務省からいろいろ説明があると思います。その段階で適正な財産管理のあり方といったようなものを検討してまいりたい、担当の局としてはさように考えております。
  70. 新村勝雄

    新村委員 外務省からのお答えで、はっきりともう日本のものだ、しかもあらゆる点から見て自信があるとおっしゃっておるわけですから、これは日本のものというふうに確定をして処理をしていかなければいけないのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  71. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  何分古いことでございまして、いろいろな資料の収集とかそれから調査といったようなことにかなり手間取るのではないかと思います。そういったものを踏まえまして、国内法関係の諸問題が詰まりますと私どもの方に協議してこられると思いますので、その段階で、先ほど申し上げましたように適正な財産管理ということについて検討してまいる所存でございます。
  72. 新村勝雄

    新村委員 聞くところによると、すでに民間の企業家が引き揚げ作業を始めておるというようなことでありますけれども、現在そういう事態が進行しているわけですね。そういう事態と、それから国有財産であるということの関係はどうなりますか。
  73. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほど来お話し申し上げておりますように、まだ具体的な話を全然聞いておりませんで、私どもとしても、いま先生の御質問に的確にお答えできる資料も持ち合わせておりません。この辺で答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  74. 新村勝雄

    新村委員 対外的には、日本のものだということを明確に通告をし主張しておるわけですね。そうだとすると、対内的にもこれはやはり手続をきちっとしておかなければいけないはずですけれども、この資産、これはナヒモフと目される船に入っておる財宝があるかどうかわかりませんけれども、仮にあるとすれば、これについては政府としての一定の見解を持たなければいけないと思いますね。ところが、それが明確なものがない。そしてその所有権がどこにあるのか、日本のものだということはもう間違いないということでありますけれども、日本のものであればあるほど、いま進行中の事態とそれから国とはどういう関係があるのですか。いま民間で引き揚げておるその企業家、それと国とは何か契約があるのですか、ないのですか。国に対してどういう手続をしてやっておるのか、その点はどうなんでしょうか。
  75. 桜井直

    桜井説明員 お答えいたします。  ただいまのナヒモフの財宝につきましては、拿捕された時点で日本国政府の財産となったということは、私どもも疑いのないところであると思っております。しかしながら、その後七十五年という長期間が経過しておりまして、すでに拿捕された直後といいますか、明治のころに民間の方でナヒモフの財宝を引き揚げたいというふうなことを当時の旧帝国海軍の方に申請した、それに対して帝国海軍が、どうぞ御自由にお引き揚げくださいと言ったとかいうふうなことをおっしゃる方もございまして、また長年期間がたっておりますので、いろいろその民間の方が引き揚げ等を試みたというふうなことから、そういう長い間の占有、平穏公然に占有しておるというようなことから、すでに時効というかっこうで民間の方に所有権が移っておるというふうなことをおっしゃる方もございます。そういうふうな事実関係がいろいろ積み重なっているというふうなことがございますので、現在私ども担当者全力を挙げまして古い資料の収集等を慎重を期してやっております。その結果を待ちまして、法律関係等を関係省庁と十分詰めまして、できるだけ早期に私どもの考え方をお示しするようにしたい、現在かように考えて作業しております。
  76. 新村勝雄

    新村委員 対外的にその通告の権威を不動のものにするためには、対内的にもやはり手続なり見解なりが確立をしていなければ、対外的な権威もなくなりますよ。ですから、一日も早く、即刻、対内的な関係がどうなるのかということを確立をして、その上で対外的なきちんとした姿勢をとるということが順序でしょうね。対内的にどうなっているかわからないということであれば対外的な権威も薄れるという心配を私はするわけでありますけれども、官房長官、その点はいかがですか。
  77. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この艦船がナヒモフ号であるといたしますと、ソ連がこれについて何らの権限を有しないということは先ほどから申し上げたとおりでございます。したがいまして、事柄はそうなりますと日本政府部内の問題になるわけでございますが、先ほどからお聞き取りのように、政府部内においてもこの法律関係はただいま検討中でございます。検討が進みました段階におきまして御報告を申し上げなければならないと思いますが、ただいままだ検討中の段階でございます。
  78. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、現地では事態が進んでおるというふうに報道等では伺っておりますけれども、それを停止をする必要はないのですか。対内的な国内法の関係や何かが政府の見解として確立をしていないということであれば、現地で進んでおる事態をストップする必要はないのですか。
  79. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 現地で行われております作業そのものは、艦船あるいは埋蔵物を発掘するということであると存じますので、このこと自身は権利関係を確定することに別に関係がなかろう、一応そのように考えております。
  80. 新村勝雄

    新村委員 そうはいかないでしょう。これは政府の見解がどう確立されるかということはまだわからないでしょうけれども、それによっては現在行っておることが国の権利を侵害する結果にもなりかねないということですよね。ですから、これは当然現在やっておることを差しとめて、政府部内の統一見解を出して、それに基づいて引き揚げを許すなり何なりしなければいけないのではないでしょうか。その点はいかがですか。
  81. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 埋蔵されております財産の価値を棄損するとか、あるいはそれについて変更を加えるということでございません限りは、恐らく今後確定するであろう権利関係に影響を及ぼすことはないのではないか、一応そのように考えております。
  82. 新村勝雄

    新村委員 その点についてはどうも理解ができませんけれども、しかるべくひとつやっていただかなければ、これは対外的な権威にもかかわる問題であります。  たとえばその問題について、一民間人が北方領土と引きかえてもいいというようなことを言っておりますよね。そういう放言は対ソ的に見ても外交上も大変よろしくないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その発言を確認いたしたわけではございませんが、いわゆる北方領土はわが国固有の領土でございますので、これを何かの代償と取りかえるといったような筋合いのものではないと思います。
  84. 新村勝雄

    新村委員 これは最も厳正なあるいは神聖な問題ですから。財宝と引きかえるというのなら、これは買うということですよ。そういう放言を許してはいかぬと思いますね。ですから、それには何といっても政府の見解を早く出して、対内的にも対外的にもきちんとした姿勢を政府がとるということが絶対に必要だと思いますけれども、長官、いかがですか。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いずれにいたしましても、この財産をめぐります権利関係につきましてできるだけ早く政府部内の見解を統一いたすように努力をいたします。
  86. 新村勝雄

    新村委員 その点はよろしくお願いをしたいと思います。  次に、別の問題でありますが、現在の賞勲局の陣容と経費はどうなっておりますか。
  87. 小玉正任

    ○小玉政府委員 お答えいたします。  人員は六十七名でございます。予算の方は、正確な資料、いま持っておりませんが、五億何がしだと思います。しばし時間をいただきますと、すぐ調べてまいります。五億何がしだと思います。
  88. 新村勝雄

    新村委員 それでは次に、それに関連をして官房長官にお尋ねをいたしますが、栄典のことでありますから議論はしたくないのですけれども、十一月三日の叙勲については、残念ながら若干の疑いを持たざるを得ないものがあるわけです。栄典の授与あるいは叙勲というようなことは、現在の憲法体系からすると、否定はしませんけれども、積極的には考えていないことだと思いますね。しかしこれは、私ども絶対否定しようとは思いませんけれども、この栄典制度を政府がやっていくのであれば、これはあくまで厳正に、公平に行わなければいけないわけでありまして、時の政府の春意がいささかでも入ることは絶対に避けなければいけないし、そのときどきの審査をする最高のスタッフの方々の恣意がそこへ入ってはこれは絶対いけないと思うのです。その点いかがでしょうか。
  89. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まことに御指摘のとおりであると考えます。
  90. 新村勝雄

    新村委員 それと同時に、またこれは栄典でありますから、国民が納得できるような形であり、内容でなければいけないと思うのですけれども、残念ながら、十一月三日の叙勲の中に、これは語弊があるかもしれませんけれども、ロッキード事件でいわゆる灰色高官と言われた人が入っておるわけです。しかも、ロッキード事件は現に公訴は係属中である、国民の記憶から決して消えていない、まだ記憶に新たな段階でロッキード事件のいわゆる灰色高官と目される方々が入っておるということは、これは栄典ということからいたしましても、私は少し軽率ではなかったかと考えるわけでありますけれども、長官、いかがですか。
  91. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 栄典が授与せらるべき基準はかくかくのものでなければならないであろう、ただいま御指摘になりました点はそのとおり考えておりまして、いやしくも時の政府の政治的考慮等々が左右をしてはいけないというふうに私ども考えております。したがいまして、栄典の事務は内閣におきまして賞勲局でいたしておるわけでございますが、長い伝統がある分野でございますので、賞勲局では長年にわたる積み重ねをもちまして議叙の審査をいたしておりまして、賞勲局の原案をいわゆる三長官会議で審査をするわけでございますが、今回も、三長官会議におきましては、公平を保ちますために賞勲局の所見どおりの議叙を決定いたしたわけでございます。
  92. 新村勝雄

    新村委員 栄典、その反対は刑罰でありますけれども、そういう問題については、これは恣意が入ってはならない。処罰についても同じでありますが、処罰は全く対極の行政行為だと思いますけれども、いずれもこれは恣意が絶対に入ってはならない分野だと思います。特に栄典の場合には、人によって皆評価が違うわけですから、評価をするとすれば。評価をするとすれば、その人の一生の事績についてはいろいろな評価があるわけです。ですからこれは非常にむずかしいわけですね。いかにしてその厳正を保つかということは非常にむずかしい。そこで、これはやはり最低の条件として、叙勲の基準というものをきちんと決めて、それに基づいて叙勲をすべきではないかと思いますけれども、長官、その点はいかがですか。
  93. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 恣意を排除いたしますために、賞勲局におきまして、長年の経験と積み重ねの上にできるだけ客観的な基準に基づきまして行政をいたしておるものと考えております。
  94. 新村勝雄

    新村委員 そうすると、賞勲局には叙勲の基準というものがおありですか。
  95. 小玉正任

    ○小玉政府委員 初めに、先ほどの数字は間違っておりましたので、正確な数字をお答えさせていただきます。予算は、六億四千二百二十万八千円でございます。  ただいまのお尋ねでございますが、叙勲基準というものを昭和三十九年に閣議で決定をいただいておりまして、これに基づきましてとり行っている次第でございます。
  96. 新村勝雄

    新村委員 その基準は公表されますか。
  97. 小玉正任

    ○小玉政府委員 これは大分前に国会でお話があったこともあるそうですし、公表しても構わないと存じております。
  98. 新村勝雄

    新村委員 それでは委員長、叙勲の基準、その明細について、ひとつ資料としてお出しをいただきたいと思うのですが、お願いしておきます。
  99. 國場幸昌

    國場委員長 理事会に諮ってそれに対しては処置します。
  100. 新村勝雄

    新村委員 それから長官に、これはお願いというか、お伺いをしたいのですが、栄典というのはやはり憲法に基づくかなり高度の行政行為だと思います。それを閣議決定だけですべてやる、あるいは賞勲局の判断だけでやるということについては、私は疑問があるのですが、これはできる限り具体的な点まで法定をすべきではないかと思うのですが、長官の御見解を伺いたいと思います。
  101. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから御指摘になっておられますとおり、栄典の基準をできるだけ恣意にわたらないように定めておくということはきわめて大切なことでございますが、このようなことが果たして法律事項になじむものであるかどうか、その点は検討の余地があるのではないかと私は考えております。
  102. 新村勝雄

    新村委員 法定になじまないとすれば、少なくとも基準については公表、公開をすべきだと思います。それからまた、選考の過程等についてもできる限り公開をしていく。その方の一生の業績をたたえるわけですから、こういう業績があって、こういう点で、この人はこれだけの栄典を受けられたのだということを、これはかえって公開した方がいいのじゃないでしょうか。そこらの点について、もう少し、秘密主義ではなくて、栄典の授与についても公開をしていくことが、その人の名誉をたたえる上からいってもこれは悪くないと思いますけれども、長官、いかがでしょう。
  103. 小玉正任

    ○小玉政府委員 お尋ねの前段に関してでございますが、春秋の叙勲の候補者は、栄典に関する有識者会議というものがございまして、ここに諮りまして、推薦の要綱をこしらえております。大筋は大体固まってはおりますが、そのときそのときの情勢を組み入れながら民間の有識者によるこの会議で要綱が定まって事をとり行っているという実情にございます。  それから、お尋ねの第二点でございますが、事は個人の名誉あるいはプライバシーに関することでもございますので、個々人の選考の状況、内容については、これは公開することはいかがかと存じます。
  104. 新村勝雄

    新村委員 プライバシーというのは、普通その人の評価のうちのマイナスの部分をプライバシーとして伏せるのであって、叙勲というのはプラスの面の個人の問題でありますから、これはむしろ公開をした方がその人の名誉を顕彰する上からいってもいいように思うのですけれども、その点についてもひとつ官房長官御検討をいただきたいと思います。  それから、先ほどの資料はひとつお願いをしたいと思います。  終わります。
  105. 國場幸昌

    國場委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。井上一成君。
  106. 井上一成

    ○井上(一)委員 官房長官に私は、会計検査院の機能強化、権限強化という意味で院法の改正が再三にわたって論じられてきたわけでありますが、この院法改正についての内閣のいままで取り組んでこられた経緯並びにこれからの取り組みについて、ここでお答えをいただきたいと思います。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題につきましては、当委員会の御意思も明確に承っておりまして、にもかかわりませず、今日まで十分な進展がないことを申しわけないことに思っております。  従来からこの問題はしばしば国会で御論議になりまして、大平前総理大臣も政府として善処をいたしたいという旨をお答えを申し上げました。それを受けまして、歴代の官房長官が何とか国会の御意思に沿うようにという努力を今日までいたしてまいりました。私も同様でございますが、十分な結果が生まれておりませんことを申しわけないことに考えております。  すでに御承知のことではございますが、問題点となりましたのは、一方において、会計検査の徹底を期しますために政府関係金融機関等の融資先の調査権を法定化することが望ましいとするのが会計検査院の基本的な御意見でありますが、他方におきまして、行政の側では、その結果として、そのような機関から融資等を受けました中小企業者あるいは農民等々に、いわば、俗語で申しますと非常にこわい検査があるといったような受け取り方がございますと、行政が目的としております融資等の目的を達することが困難になる、そのような行政側の主張がございまして、官房長官検査院並びに行政側の考え方を何とか調整する方法がないかと今日まで努力をいたしてまいりました。申しわけないことでございますけれども、今日まで当委員会の御意思に十分におこたえすることができないというのが偽らざる状況でございます。
  108. 井上一成

    ○井上(一)委員 具体的に官房長官、中小企業なり農業者から、検査を受けて何かぐあいの悪い指摘を、報告を受けたことがあるのですか。
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これにつきましては、中小企業者の団体等々から昨年も要望が出ておりまして、具体的に申しますと全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会、この三者による要望でございますが、その要望の趣旨とせられるところは、政府関係金融機関から融資を受けております中小企業者が一般的に会計処理にふなれであって、当該機関の金融審査でさえ実は負担となっておる、その上に会計検査院調査が直接行われるということになると、中小企業者等の負担がさらに大きくなって、結果として中小企業の振興発展が著しく阻害されるおそれがあるという趣旨の理由によりまして、立法化について反対である、慎重に対処されるよう政府に要望する、このような趣旨の要望書が提出いたされております。
  110. 井上一成

    ○井上(一)委員 官房長官会計検査院が中小企業金融公庫やあるいは農林漁業金融公庫の貸付先についてどういうような調査、実態把握をしているのか、そういうことは御承知なんですか。そして、いまのその要望だけですべて一〇〇%検査対象になったり、あるいはそういうことで指摘を受けたり、そういうように受けとめていらっしゃるのか。検査全体、総体象数の何%なのか。あるいはもう全部の検査対象にしてもうんと低いのですけれども、私は、それだけで今日まで国会の中でのいわゆる決議なりあるいは検査院の見解、意見、要望、そういうものをなおかつ——たったそのいまの商工会議所の要望とどちらに重きを置くのか、中身はどうなのか、そういうことについて官房長官意見を聞いておきたいと思います。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 具体的に要望があったかというお尋ねでございましたので、ただいまのことを申し上げたわけでございますが、まあ私、検査院のお立場並びに各省庁の立場を考えてみますと、いわゆる農民、中小企業者等々が持っておりますそのような心配も幾らか杞憂に過ぎるのではないかと感じられる点も実はないわけではございません。したがいまして、一方的に各省庁の言っておりますことがもっともであると考えておるわけでも実は正直を申しますとございませんが、何とかして検査院の本来の機能とそれから関係省庁のそのような融資先の心配を受けての立場、あるいは私企業の中に公権力が、できるならば入らない方がいいという一般的な希望、それらのものをどのように調整すべきか、その調整に実は苦しんでおるわけでございます。
  112. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま関係省庁に一部抵抗があるということに、官房長官は、その抵抗が必ずしも当を得ているのかどうかというのにはやはり考え得るべき点もあるであろう、こういうふうに受けとめていらっしゃるわけなんです。私も全くそうだと思うのです。検査を受けるよりも受けない方がよりましである、その方がいいのだという単純な発想もこれまたあるわけなんです。  ただ、商業道徳、政治理念、いろいろな問題を含めて現行のままでは不十分であるから、政府資金をさらに融資するそういう貸出先にまで検査、チェック機能を及ぼすべきであるという院法の改正についてはやはり前向きに取り組む、いやもう遅い感があるし、遅いわけですから、できるだけ早い来るべき通常国会にこれは政府として、内閣として提出をすべきである、私はこういうふうに思うのです。私のこの意見に官房長官は、まだ、いや時間が欲しいのだとおっしゃるのか、私の意に沿って取り組むとおっしゃるのか、どちらのお答えをいただけるか、確めておきたいと思います。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題の底にありますのは、恐らく中小企業、農業の人々がこわい検査があるということのそのような心配と別にもう一つ、帳簿等々が十分にそろっていないということが私はあるのではないかと思います。それらのことは、実は、融資を受ける者は本当は証憑書類をしっかりすべきだという、原則論としてはどうしてもそういうことになってまいりますが、なかなか表に言えないことの中には、会計検査院検査に耐えるような帳簿ができていないということが一つあるのではないかなと実は考えておりまして、それらのこともだんだんに指導をしてまいらなければならないのであろう、いずれにしても、政府関係の融資を受けるといたしますと、やはり整備をしてもらわなければ困るというのが、原則論としてはそうならざるを得ないと思います。しかし、そういう問題は含んでおりますので、なかなか私としても適当なところで調整をするというのがむずかしいというふうに感じておりますが、基本的には井上委員のおっしゃっていらっしゃることが、筋道としてはどうもやはりそうだと考えざるを得ない。ただ、ただいま申しましたように現実とそれをどのように調整していくかということになるかと思います。私としてはさらに努力を続けまして、できるだけ当委員会の御意向が事実上実現いたしますような方法を考えてみたいと思っております。
  114. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、ただ努力努力と言うのも限界があり、限度があり、待てるその忍耐というものにも程度があると思うのです。当委員会だけでも私の調査では三十数回に及んでこの問題が各委員から質疑を通してただされているわけです。そのことはむしろ国会の中でどうしてもこれを重きに置いているということだし、当然中心に置くべきだ、こういうことなんです。努力をするというその本当に心から努力をする意思を表明することは、国会の場に持ち出すということだ。それが中小企業あるいは農業者のために不利益になるなら、国会の中で論陣を張るべきだ、そういうふうに思うのです。航空機疑惑のああいう問題も、もっともっと、私なりの考えで申し上げれば、輸銀の融資の問題等もチェックしておけば、未然に防げたかもわからない。そういう意味で、さっきも申し上げたように、検査をしやすい環境づくりが必要であり、そういうことへの実現というのは政治、立法の分野だと思うのです。そのことを置き去りにして、横へ置いておいて、いや政治の倫理だとかあるいは道徳だとか、社会道徳だとか、あるいは商業道徳だと言ったって、これはまさに絵にかいたもちというのでしょうか、あるいは空念仏というのでしょうか、そんなことは心、中身のないものだと思う。そういう意味で、いろいろな意味で必要であるということが認識をされるならば、国会に出して国会の場で論議をしていくべきだ。防衛の問題については憲法の理念を踏み外してでも論議をし、あるいはそこにはめ込んでいく。もっともっと大事な国民の税金の使い道、そしてどのように使われていっているのかということについての検査機能、そういうことについては何ら十分に手当てをしようとしない。そういう物の考え方にいまの内閣の国民不在の政治がそこにある。だから、検査院それ自身が、検査当局がもっと権限の拡大なり拡充を訴えているのですから、そういう意味についてもう一度官房長官に、ここで通常国会に提出できるように内閣としては取り組むという強い決意をお答えの中で私は聞かせていただきたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ざっくばらんに申し上げますと、これが関係各省庁の間だけの問題でございますと、俗にひとつ官房長官に任してくれろというような解決の方法があるかと思いますが、会計検査院内閣に対して独立の地位を持っておられます。そういうこともございまして、いわばそのような俗に申しますような解決の方法もむずかしゅうございまして、軽率にいたすべきことでもございませんで、その辺が苦労のあるところでございます。たびたびの本委員会の御決議でもございます。できるだけ努力をいたしたいと考えております。
  116. 井上一成

    ○井上(一)委員 官房長官内閣から独立した機関であるからその機関の意思を尊重しなさいということなんですよ。各省庁間のなにでそれは官房長官に御一任願いたいという、それは内閣の意思統一というものはそういうことであろう。だから、内閣の意思なんというものはそこにはさむ余地はない、内閣から独立した機関の意思をなぜ尊重しないのかと言うのです。なぜ考える必要があるのか、そういうことなんです。だからこそストレートに国会の場に出して、そしてそこで論議すべきだ。会計検査院意見というか意思が国民のためにどうあるのか、いいのか悪いのか、あるいはそのことが非なのか非なのかということは国会の中で論じたらいいのですよ。なぜ内閣が握るのだ、なぜ出さないのだということなんですよ。どうなんですか。そういう観点からいけば、内閣から独立した機関だ、そこまで御認識があれば、なおさら一刻も早く、会期が許せば本臨時国会に、こういうことになるのだけれども、物理的に間に合わないから次の通常国会に即刻出すべきだ、こういう私の強い意見に対してもう一度長官の決意を伺っておきます。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 よく御承知のことでございますのでくどくは申し上げませんが、会計検査院の意思と関係各省庁の考え方とが一致しない状況でございますので、ただいま御指摘のことは、法律の改正案を国会に提出すればいいではないかという御指摘であろうと思いますけれども、関係省庁がそれに対して違う意見を持っておりますために内閣として提出の法律案についての意思を決定し得ない、よく御承知でございますが、そういうのが実情でございますから、実態的にまず合意がございませんと改正案を提出する手続がとれないというのが現実の問題でございます。極力努力をいたしたいと思います。
  118. 井上一成

    ○井上(一)委員 官房長官、時間がないので退席をされるということですから、あとの質問については午後に回しますが、ともあれ内閣が不統一であるから、あるいは若干の省に意見があるから、これをそのまま留保するなんという取り組みははなはだもって間違いであるし、私は遺憾であります。本委員会もそうでありますし、本院も決議しているのですから、そういうことについてもう努力なんと言うのは通り過ぎていますよ、官房長官。大平総理が本会議で、国会の中できっちりと取り組むのだと意思表明をされているのです。それを継がれた鈴木総理が次の通常国会に当然出してあたりまえのことであって、いまさら努力なんという言葉は私は聞きたくない。だから、一日も早い国会への提出を強く要望して、ひとまず私の午前の質問を終えておきます。
  119. 國場幸昌

    國場委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  120. 國場幸昌

    國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  121. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず会計検査院にお尋ねをいたしますが、過去に会計検査院の方で、いわゆる検査に際しての誤解を招くような接待等は一切しない、あるいは受けないということで、当委員会でも当時の検査院長が議事録の中で「司法権的な立入権の問題、これは非常に強硬な権限でございますので、この運用については相当慎重を期さねばならぬかと思います。今回接待を一切受けないとかいうような強硬手段に出まして、実際問題としていままでは、相手がおれを被告人扱いするのか、そば一杯食えないのかというような挑発的行、為も相当あったことは事実でございます。そういうことで検査の協力が得られないということでございますれば、そういう段階まで進まなければならないかとも存じます。しかし、ともかく今回はこちらが身を正してやってみて、その上で相手の協力を得られないのなら、その上で強権を考えた方がいいじゃないか、こう考えております。」これは、わが党の当委員会での、五十二年十二月八日の質疑の中での発言であるわけです。まず、これは国費の執行調査した際にさまざまな接待を受けたという追及に対して、あるいは世論の批判に対してこういうお答えをなさったわけでありますが、強い認識、さらに決意については変わりはないと思いますが、まずは確認しておきたいと思います。
  122. 知野虎雄

    知野会計検査院長 検査院が検査に当たりましてその検査の姿勢を正す意味におきまして、今後ともそういう接待といいますか、それは受けるつもりはございません。
  123. 井上一成

    ○井上(一)委員 この決意が述べられた以後今日までに、そば一杯という発言が妥当かどうかは別として、そういう事実関係はなかったでしょうね。
  124. 知野虎雄

    知野会計検査院長 お茶ぐらいはいただいておるかもしれませんけれども、それ以上のことはないと存じております。
  125. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、検査のために充てられる経費が余りにも少ない、こういう認識に立つわけです。あるいはまた、よけいな接待を受けないためにも、検査官の十分な出張経費等についての改善を図っていくべきである。当然、当時もそのような意思が答弁の中から伝えられておるわけでありますけれども、その後、それらの経費等について十分な手だてがなされたのか、改善された事実をひとつここでお教えいただきたいと思います。
  126. 知野虎雄

    知野会計検査院長 私どもは、接待を受けないからそういう費用をよこせというつもりはございませんけれども、検査に当たりまして検査活動に必要な経費としまして検査活動費というのを過去三年間計上しまして、現在四千五百万か五千万ぐらいになっておると思います。
  127. 井上一成

    ○井上(一)委員 私も、接待を受けないから費用をふやせ、経費を増額せよという認識ではないわけですね。ただ、やはりいろいろな意味で実質的な経費を当然見ていくべきであるという、そういう認識が予算上計上されているのかどうか。いま四千なにがしの増加があった、改善されたということですけれども、それで十分なのか、あるいはすべての要求された満額が保障されたのかどうか、そういう点はどうなんですか。
  128. 知野虎雄

    知野会計検査院長 検査活動費と申しますのは、調査官が出張検査に参りましたときに、いろいろと検査に必要な費用がかかります。たとえば車代もかかりますし、電話代もかかりますし、場所を借り上げていろいろ打ち合わせをするというふうな経費もございます。それ以外に会議費的と申しますか、なかなか、何でもかんでもできるというふうな多額の予算ではございません。四千五百万ぐらいでございますから、最小限、検査活動に必要な経費というふうに御理解をいただきたいと思っております。
  129. 井上一成

    ○井上(一)委員 昭和四十二年から五十四年までの実地検査施行状況がいま手元にあるわけなのですけれども、五十三年度では実地検査施行率が八・四%、四十二年七・一%、四十六年で七%、これは五十二年度の八・八%から比較をすれば、五十三年度は、少しですが低いわけです。このことは、実地検査施行上でその方法に何らか変化があって低くなったのか、あるいは五十二年に指摘をされた、そういうこと等が少しの原因になっているのか、こういう実態、施行率の実情についてどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
  130. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘になりました点は、恐らく五十二年度実地検査施行率が八・八%、ところが五十三年度、五十四年度は八・四%に下がっているじゃないか、これにつきまして、接待問題その他があった関係なのか、あるいはそれ以外の特殊な事情があったのじゃなかろうかということだろうと思います。特に接待問題の関係で施行率が下がったということではございません。五十二年度におきましては、私たちがいわゆる一応重要な個所と定義づけておりますところのほか、それ以外の個所につきまして若干多く見た、その結果、五十二年度は施行率が上がっているというふうに判断いたしておるわけでございます。
  131. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、さらに、いわゆる検査員に対する処遇の問題についてここで伺っておきたいのです。職員の処遇面での改善については、何回かその職務の複雑性なり困難性なり勤務条件の特殊性ですね、そういう意味を含めて、一般職の職員の給与に関する法律に基づく俸給の調整額の支給を初め幾つかの点について指摘をされてきたわけです。その後、これらの点についてどのように取り組まれてこられたのか、今後、とりわけ五十六年度において、これを実現するためにどう取り組んでいくのか、その点についても聞いておきたいと思います。
  132. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御案内の一般職の職員の給与に関する法律第十条、これによりますいわゆる職務の複雑、困難など他の官職に比べて著しく特殊な官職に対して俸給の調整額の定めがございます。調査官の諸君もこれに類するのじゃないかということで、昭和四十六年以来この俸給の調整額の要求をいたしてきておるわけでございますが、担当当局におかれましては、現在この調整額の全面的な見直しを図っているということでもございますので、まだ実現を見ておらない状況でございます。  なお、昭和四十九年度から給与法の十三条に基づきます特殊勤務手当として会計実地検査手当が支給されておるわけでございます。これにつきましては四十九年度から実施されまして、五十四年四月からさらに一部の増額が行われておるわけでございます。  以上でございます。
  133. 井上一成

    ○井上(一)委員 人事院の方では、いま私が指摘をした調整手当の問題についてはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、ここで承っておきたいと思います。
  134. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  調査官等の俸給の調整額につきましては、四十四年以来いろいろ御要望、御指摘がございまして、人事院も検討しておりましたけれども、たまたま四十七年以降、既存の調整額につきましての適正化を図るということで再検討ということをうたっておりまして、その検討の結果、本年一月から既存の調整額につきましてはその適正化問題が一段落したところでございます。それまでは大変御苦労をおかけしておりますけれども、新規適用問題につきましてはしばらく検討のための時間的な猶予をいただきたいということでごしんぼうをお願いしておったところでございますけれども、ことしの一月から既存の調整手当につきましての検討が一段落つきましたので、次期具体的な日程にのせて会計検査院調査官の調整額問題に取り組んでまいりたいと思っております。  ただ、そう申しましても、調査官等の職務の重要性、御苦労の度合いにつきましては十分認識しておるつもりでございまして、先ほど事務次長の方から御答弁がございましたけれども、特勤手当ということで一時処理したこともございます。しかし、それはそれとしまして、今後調整額そのものについて検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  135. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに、六十歳定年という問題が持ち上がっているわけですが、その職種、仕事柄から判断をして、この定年制に対して別枠というのでしょうか、特例扱いというのでしょうか、特例というのでしょうか、そういうような見解を持つことはできないのかどうか、そういうことについても聞いておきたいと思います。
  136. 知野虎雄

    知野会計検査院長 一般職の公務員の定年につきましては、原則として私どもも定年が定まりますればそれに従う考えでおります。ただ、経過的な措置としまして、若干の特例を考えていただく場合があるかもしれません。
  137. 井上一成

    ○井上(一)委員 会計検査という仕事柄、その特殊性あるいは厳正、公正、中立性、そういう観点からも十分に定年制の問題については配慮をお願いしておきたいと思います。  さらに、在外機関の検査についてその実態をひとつ説明していただきたい。とりわけ不当事項等について、あるいは何らかの問題点等について、ひとつ検査院の方から説明を願いたいと思います。
  138. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  最近五カ年間の在外公館の検査についての実施状況をお話し申し上げたいと思います。  まず、五十一年度でございますが、在アラブ首長国連邦の大使館ほか五カ所、合計六カ所でございますが、それを検査しております。それから、五十二年度におきましては、在インドネシア大使館ほか五カ所。それから、五十三年度におきましては、これは二本出ておりまして、一本は在トルコ大使館ほか二カ所、それからもう一本の方は在フィリピン大使館ほか一カ所、これを検査しております。それから、五十四年度におきましては在インドネシア大使館ほか三カ所を検査しております。それから、本年におきましては在フィリピン大使館ほか二カ所、計三カ所を検査いたしております。  検査につきましては、収入支出、それから物品あるいは国有財産の管理といったようなものにつきましてその適否を検討したわけでございますが、特に違法と認められるような事項はございませんでした。
  139. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこには何ら問題点がないという認識でしょうか。
  140. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  細かい点につきましてはあるいは検査の都度御注意申し上げた点があるかもしれませんが、違法、不当というふうに認めた事項はございません。
  141. 井上一成

    ○井上(一)委員 検査院の意見を表されたようなことはありませんか。
  142. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院として意見を表示したような事項はございません。
  143. 井上一成

    ○井上(一)委員 実地検査施行状況についてはさっき数字で指摘をしたのですけれども、これはもうほんの一けた台ということです。さらにもっとその検査施行が可能なような対応をしていかなければいけない。そのためにも、さっきは検査旅費等の問題も指摘しましたけれども、それだけではなく、やはり人の問題、人員増の問題、そういうことも踏まえて、そのことが検査機能をより充実していくのだという観点からしますと、もっともっと人も予算も含めて具体的に必要なものを満たしていくべきではないか。そういう点については検査院としてはどうお考えでしょうか。
  144. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、私どもとしましては、やはり予算定員と検査旅費、この関係でございますが、いわゆる財政規模が増大しております。それから、行政が複雑化いたしておるわけでございます。これに対応するためには、従来から、予算定員の増加検査旅費の増額ということを要求してきたわけでございます。そして、定員につきましては、五十年以来五十五年度までに十二名の増員を認めていただいているわけでございます。一方また、内部の考え方といたしましては、庶務的事務の要員をできるだけ検査要員に振り向けるといった検査要員の充実も図っているわけでございます。その結果、現状を申し上げますと、予算定員の伸びとあるいは検査旅費の伸びとが整合いたさない状況になっております。そこで、やはり一般職員の大幅な増員を図っていきたいと思っているわけでございますけれども、財政事情の厳しい折から、財政当局の理解を得まして、逐年増員を図っていきたいと考えているわけでございます。  なお、職員の研修につきましても、できるだけ早期に調査官を育成するというふうに考えております。  なお、処遇改善につきましては先ほど申し上げたとおりでございますし、検査活動費につきましてもそれぞれ要求してまいっているわけでございます。
  145. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこで、少し具体的に、五十三年度の中で空港周辺整備、そういう検査は対象件数がどれぐらいで、そして実地検査対象は何件で、その実態はどうであるのか。さらに、関西新空港調査に計上された関西新空港関係の実地検査は何件なされたのか、その点について聞いておきたいと思います。
  146. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 お答え申し上げます。  空港周辺整備機構は大阪と福岡に二つございまして、その両方とも毎年検査いたしております。  それから、関西新空港の調査費につきましては、大体大阪の第三港湾建設局でやっておりますが、これも毎年検査いたしております。
  147. 井上一成

    ○井上(一)委員 何かそこで問題の指摘はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  148. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 大阪周辺整備機構につきましては、昨年ですか、大阪周辺整備機構が保有しております移転者の代替移住地につきまして、その保有が長過ぎて、造成も一部できていないところがございますので、その早期処分について照会を発しております。その他はございません。
  149. 井上一成

    ○井上(一)委員 空港周辺整備機構の持つ、具体的には造成地、移転地ですね、そういうことについては、現状でどう受けとめていますか。
  150. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 大阪空港周辺整備機構が移住者といいますか移転者の代替地を持つということは、代替地を希望する方もありますので、仕方がない、当然であると思います。ただ、その用地が四十九年、五十年ごろに買われたものの相当部分がまだ使われていないということについては、非常に遺憾であると存じております。
  151. 井上一成

    ○井上(一)委員 代替地を持つことは、これは当然ですよ。だけれども、その持った代替地が十分その当初の目的を達してない、いわば予算執行の効率の問題で、私はやっぱり検査院の見解というものを聞いておきたい、こう思うわけなんです。
  152. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 先ほども申し上げましたとおり、昨年、それにつきましては、長期間保有して一部まだ全く未造成のものがあるということにつきまして照会を発しまして、早期処分方を強く望んでいたところでございます。
  153. 井上一成

    ○井上(一)委員 それについての整備機構からの検査院に対する回答はありましたか。
  154. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 ございまして、移住者にPRするなりして今後早期処分に努力するという旨の回答がございまして、その後、一昨年までよりは多少状況が好転しているようでございます。
  155. 井上一成

    ○井上(一)委員 繰り返して恐縮ですけれども、関西新空港についての関連については、検査院としては何ら、指摘する、そういうことはなかったのでしょうか。
  156. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 お答えします。  関西新空港につきまして現在検査院が検査しておりますのは調査費だけでございます。調査費につきましては、担当の運輸省の局に提出されました関係書類と、それから調査委託先の成果物等について検査いたしましたが、特に問題とするところはございませんでした。
  157. 井上一成

    ○井上(一)委員 五十三年度の不用額は、総額で幾らなんですか。  さらに、検査院が特にその不用額の多額なもののうち指摘をしておかなければいけない、そういうものはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  158. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 まことに失礼でございますが、不用額といいますと、何の不用額でございますか。
  159. 井上一成

    ○井上(一)委員 一般会計予算の不用額。
  160. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 それでは、ちょっと、担当者がお答えいたします。
  161. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 一般会計全体の不用額でございましょうか、それとも空港関係だけの調査費の不用額でございましょうか。
  162. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず全体額の中から実は特別会計の不用額というふうに聞いていきたかったわけですが、結構です。  特別会計の不用額は総額でどれぐらいで、その中でどういうものを指摘されてきたのか。
  163. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 いま調べておりますの  で、ちょっと……。
  164. 井上一成

    ○井上(一)委員 いまの質問に対する答えは、出ますか。
  165. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  空港整備特会の空港整備事業費の不用額は、空港整備事業費の十三億四千八百十八万余円という  ふうになっております。
  166. 井上一成

    ○井上(一)委員 空港の問題についてはちょっと……
  167. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 ちょっと訂正させていただきたいと思います。  特別会計全体としては三十四億四千二百十四万余円となっております。そしてその不用額の主なものは、空港整備事業費の十三億四千八百十八万余円というふうに相なっております。
  168. 井上一成

    ○井上(一)委員 空港の問題については余り時間もありませんので、また事前にも通告をしておりませんでしたので、次の機会にでもまた詳しく質問をします。  それでは、財投の、五十三年度財投総額さらにはこれまた積み残し額、繰り延べ額、この点について聞いておきたいと思います。
  169. 亀井敬之

    ○亀井説明員 五十三年度財政投融資計画のお尋ねでございますけれども、五十三年度財政投融資計画は、当初計画が十四兆八千八百七十六億円でございますが、それに追加がありまして、追加後改定計画額は十五兆五千四百十二億円というふうになってございます。これに対しまして、運用いたしましたものが十四兆二百七億円でございますので、差し引き一兆五千二百五億円というのが不用額という状況でございます。
  170. 井上一成

    ○井上(一)委員 繰り延べのなには……。
  171. 亀井敬之

    ○亀井説明員 大変失礼をいたしました。五十三年度の繰り越しになりました分が三兆二千四百十八億円ということでございます。
  172. 井上一成

    ○井上(一)委員 積み残しが一兆五千億、繰り越し三兆二千四百億、これは五十四年度で消化されているかどうか、これはまた五十四年度にまたがりますからね。  この積み残した額の大きい分野、どういうところでこれだけ積み残されたのか。
  173. 亀井敬之

    ○亀井説明員 ただいまの不用額、約一兆五千億円でございますけれども、その中の重立ったものを若干申し上げますと、日本輸出入銀行が四千九百八十四億円、それから日本住宅公団が三千七百三十三億円、日本住宅金融公庫が千七百六十億円、こういったところが重立ったものでございます。  それから繰越額でございますけれども、三兆二千億円の重立ったものは、主としては地方公共団体が二兆一千六百七十七億円、こういった数字でございます。
  174. 井上一成

    ○井上(一)委員 住宅公団、あるいは輸銀四千九百八十四億、これはこれだけ積み残ったという、それなりの理由があるわけですが、どのように受けとめていますか。
  175. 亀井敬之

    ○亀井説明員 いまのお話でございますけれども、私ども、一つは輸出入銀行、これが相当大きなわけでございますけれども、実は輸出入銀行の相手国でございます、主としては開発途上国がそれぞれその国内事情等によりまして計画が予定よりも進捗をいたさなかった、こういった、考えてみますと、それぞれにやむを得ざるものがあったのではないかというふうに考えるわけでございます。  また、住宅公団につきましても、すでに先生御高承のように、当時相当な空き家がございまして、こういった状況にかんがみますときに、できるだけ国民の需要に見合った住宅を建設していった方がいいのではないかということで、私どもはそこで一度立ちどまりましてその建設計画を見直しをいたしました。こういったことで、積極的に不用等を出させていったというような事情があるわけでございます。  もちろん、そういったことをすべて計画作成の時点で見通すことができればなおよかったわけではございましょうけれども、しかし全体といたしまして、私どもできるだけ資金を効率的に使ってまいりたいというふうに努力を重ねているわけでございます。
  176. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま資金課長でしたか、答えていただきましたね。あなたは財投の実態を全部すべて知っていらっしゃいますか。
  177. 亀井敬之

    ○亀井説明員 大変むずかしいお尋ねをちょうだいいたしました。私ども、理財局資金一課、二課、地方資金課、資金管理課というところで財政投融資をやっております。事務処理をいたしております関係で、その財政投融資の関係につきましてはある程度事情を存じておるというふうに申し上げたいと思います。
  178. 井上一成

    ○井上(一)委員 それならば、資金運用、現在非常に効率が悪いわけですね。財政再建だ、そして検査院の方でのチェック機能を強化して厳しくやらなければいかぬ、ということは、少なくとも財政が効率よく運用されていかなければいけないというのに一兆五千億、私の把握している数字とは若干狂いがありますけれどもいまのお答えで一兆五千億ということですから、そういう中で輸銀なり住宅金融公庫あるいは日本住宅公団、さらには開銀もあるでしょうし、そういうことを考えていけば、原因は何なのかということと、どうしたらこの資金効率がよくなるのか、それの手だてはどう考えているのか、そのことは検査院とも十分なパイプを通しているのかどうか、そんなところについてやはり答えてもらわないと。小さい問題から指摘をしていきたかったのですけれども、やはり数字が十分出てきませんので、今度は大きく財投からのひとつ見解を聞いておきます。
  179. 亀井敬之

    ○亀井説明員 いま資金の効率的な使用という御指摘をちょうだいいたしました。  ただ、一言申し上げるのをお許しいただきたいと思いますのは、いま申し上げましたような不用額といいますものが、私どもその金をむだにいたしておるということは決してございませんので、五十四年の財政投融資計画の原資に五十三年度の不用を組み込んで、計画といたしましてはお金をできるだけ効率的に使っているということを申し上げさしていただきたいと思うわけでございます。  それからまた、本質的な方向といたしまして、効率使用をどう考えているかという御指摘でございますけれども、私どもはいま申し上げましたような輸出入銀行が相手国事情といったようなこと、それから住宅公団が、先ほど申し上げましたが、重ねて同じことを申し上げますと、遠、高、狭といったようなことで、そういう需要に合うような見直しをする必要があること、そういったことから、五十三年度は各種のやむを得ざる事情があったというふうに考えておりますが、五十四年度は五十三年度に比べますと、その不用等半減をいたしておる状況でございます。ただ半減をいたして余りいばってはおれないのかもわかりませんけれども、しかし五十五年度計画につきましても、財投計画は従来に比べまして、伸び率を八%ということで一けたの伸び率でございまして、これは昭和三十三年以来二十二年ぶりということで、できるだけ内容を筋肉質のものにして、資金の効率的な使用に努めているところでございます。
  180. 井上一成

    ○井上(一)委員 財投については第二の予算だと言われるぐらいに、国家予算の二分の一に近い額になるわけなんですね。そこで一兆五千億も、さらには繰越分も入れれば五兆円に近いそういう資金が効率の悪い運用をされている。これは総枠では国会の一つの承認があったとしても、個々の各論については何らそういうチェックする機関がないわけだし、そういうことがわれわれが院法の改正を含めて検査院の充実ということにつないでいるわけなんです。いわば庶民の金を集めるだけ集めた、代表的なのは郵便貯金ですね、それを財投に回していき、そして不用額がある。これはやはり金利のかかる金だし、そこに対しては国家予算一般会計予算が何らかの形で利子補給をしていく。  私はそんなことを考えれば、やはり財投の見直しこそ財政再建の一番の決め手だと思うのですよ。まずは大蔵省に見解を聞き、さらには、これはひとつ、部外かもわかりませんけれども、検査院の院長に、中立的な見識というのでしょうか、検査院としての見識をここで聞いておきたい、こう思うのです。
  181. 亀井敬之

    ○亀井説明員 ただいま御指摘の点、二つほどございました。  一つは、財投全体が国会にかかっておるが、個々にという御指摘がございましたが、産投はそれぞれ産投会計の歳出としまして、また資金運用部資金につきましても、簡保資金につきましても、それぞれいわゆる長期運用法というもので個別に毎年度の運用計画額を国会の御議決にかけておる状況でございます。  それから、財投の再建ということを見直しをしろという御指摘でございました。特に財投がふくらみますと一般会計から補給金等も出ていくではないかというふうにあわせ御指摘がございました。私ども、財投の事業規模につきましては、先ほど申し上げましたように二十二年ぶりに一けたにするとか、あるいは五十五年度計画は、五十四機関ありますけれども、その中で十七機関は前年に対比いたしましてマイナスにするとか、そういう各種の努力を重ねてきておるところでございます。また、事業規模等の決定に当たりましても当然それを勘案いたしまして、補給金等も出しておられます主計局の方とも十分事前に協議をしながら、何が国の経済に対しまして投融資としてよろしいだろうかということを十分配慮をいたしながら、計画を策定をいたしておるところでございます。  ただ、何分にもなお一層資金を効率的に使ってまいりたい、重点的に配分をいたしてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  182. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  私ども以前、その繰越額あるいは不用額につきましてはいろいろ検討したこともございます。しかしながら、特に問題を提起する事態に至らなかったわけでございますが、国家資金と申しますかそういった点の使途につきましては、やはり検査を徹底したいということでございます。したがいまして、一応先生おっしゃることにつきましても関心を持って調査していきたい、こういうふうに考えております。
  183. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は手元に四十七年から五十三年までの財投の実績と予算の比較表を見ているのですが、さっき輸銀の積み残し五千億近いと。八千八百六十四億、それが三千八百八十億、なぜこれほどのむだな、効率の悪い財投にメスを入れないのか、あるいは検討を加えないのかということが、むしろ不思議なぐらいなんですね。そういうことがひいては一般会計を逼迫させているのだということも、この際指摘をしておきたい。  さらには、本来の目的から拡大運用をされている、そういうのは随所にあるわけなんです。一つの例としては、開銀の問題なんかもいい例ではないだろうか。だから、そういうことを踏まえていくと、特殊法人の問題がそこに浮き彫りにされてくるわけなんですね。いろいろ考えてみると、あるいは検討を加えていくと、何か政府の方に都合が悪い、そういうことなので、ただ単に、手を入れずにそのままの言いわけで過ごしていこう、輸銀にしても、いろいろ開発途上国との問題云々、それはOECDのガイドラインがあって云々だとか、いろいろなことを言われますけれども、それは私は言いわけだと思うのです。そういう意味で、大蔵の課長にこういうことを申し上げて大変失礼かもわからぬけれども、やはり財投を見直すべき、検討をすべき時期である、やはり洗いざらい見直さなければいかぬ時期に来た、そういう認識を持っていらっしゃるのかどうか。これはお決めになるのは、また別のあなたの上司、あるいはいろいろなところで最終判断はされるでしょうけれども、さっき十分御認識をいただいているということですから、あえてここで最後に、私は、財投という問題、これは非常に大きな問題ですし、これにメスを入れるというのでしょうか、この問題を掘り下げて検討していくことが財政再建につながり、そのことがやはり国民に対して大蔵としても政府としても当然の責任、義務である、その上に立って検査院の正当な検査を受けていく、こういう決意でないといかぬと思うのですが、課長、どうですか。
  184. 亀井敬之

    ○亀井説明員 御指摘の問題でございますが、先ほど来重ねて同じことを申し上げて大変申しわけないのですが、輸銀等の不用の事情といいますのが私どもとしてはいかんともしがたいような事情にあるといったようなことは御理解をいただきたいというふうに思うわけでございますけれども、私どもは、財政投融資計画自体につきましては、常にそのときそのときの経済の状況とか、公共投資の事情とか、政府資金のあり方とか、そういうことを重々考えながら資金を重点的に配分してきたというふうに考えているわけでございます。財政投融資は二十八年以来つくっておりますけれども、当時は、たとえば基幹産業に相当ウエートが、三割近くかかっておりましたというのが、最近では住宅だとか中小企業だとかそういったものにウエートが七割もかかっておりまして、基幹産業等は三%くらいというふうに、時代の流れに応じ、時代の要請に応じ、そのときどきの需要に対応をいたしてきた、そのときどきの重点を追い求め対応をいたしてきたというふうに考えているわけでございます。もちろん今後とも、そういった経済、これからどうなっていくか、経済の情勢、景気の状況、また入ってまいります原資の状況、そういったことを重々考えてまいりまして、できるだけ効率的な資金の運用を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  185. 井上一成

    ○井上(一)委員 亀井課長、私は、五十三年度決算審議に当たって、冒頭に、やはり財投の問題こそ見直す、やはりわれわれが財投の問題をオープンにして、もっともっと深くその実態を明らかにしながら審議をしていかなければいけない、こう思っているのです。だから、財投を抜いて財政再建もあり得ないし、あるいは極端な言い方をすれば決算審議もそこにはないというくらいの、本筋的にはそういう認識を私はしているのです。私は、十八兆円の財投の中で、一兆五千億もの積み残しがあり、さらには三兆円以上の繰り越し、いろいろなことを考えたら、やはり財投というものを抜きにしての審議は成り立たぬと思うので、いや効率よく使ってきましたとか、あるいは基幹産業云々とか、そういうことじゃないわけです。そういうことを聞いているのじゃない。もっともっと真剣に国会の場で財投の中身に審議を加えていくべきである、そして大蔵の方もそのぐらいのことは受けて立つべきであるということなんです。それを聞いているわけなんです。そういう用意があり、またそうすべきだと思うけれども、いかがなんですか、前向きに対応する用意があるかどうか、まずはきょうは聞いておきたい、こういうことなんです。
  186. 亀井敬之

    ○亀井説明員 いま仰せの財投の見直しという御指摘でございました。  私どもは一つ申し上げさせていただきたいと思いますのは、一般会計は税金のお金でございます。財政投融資はお預かりをしましたお金で、そういう意味では税法等で集めていくという積極的な意味合いはございませんで、集まってくるお金をいかに効率的に国家経済のために使用していくかということでございます。入りましたお金はまた郵便貯金、厚生年金等に利息をつけてお支払いをしていかなければいけませんので、できるだけ効率的に使用し効果的にやっていく。御指摘のとおり不用、繰り越しといったような事態はできるだけ抑えていきたいわけでございますけれども、しかし、あくまでも財政投融資は、一つのそういう金の性質上からいたしまして、金融的な性格でございますので、計画のときにあえて完全に見通せないような、経済の変動に対しまして事情が変わってくるというようなものでありますことは御理解をいただいておきたいというふうに考えるわけでございます。  それから、国会の御審議という点でございます。  私どもそれぞれにそれぞれの機関につきましての状況についてお尋ねがあればお答えを申し上げるわけでございますが、資金運用部の特別会計予算総則で各機関ごとの計数等も御提出をさせていただいておるわけでございます。ただ、何分にも財投に対します要請、一方ではなお公共投資とかそういった要請もありますし、また一方ではできるだけ国債を買うようにといったような御要請もございますし、そういう意味で、できるだけ資金を効率的にいたしますように、不用といったようなことをできるだけ抑制できるような形で効率的にお金を使っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  187. 井上一成

    ○井上(一)委員 やっぱりいまの答弁の中でも少し認識のずれがあるのじゃないか。財投の金は利息を払って任意的に集まってくる金だ、積極的な吸収力のない、一般会計予算資金源とは違うのだというようなことですが、確かにそうなんです。そうなんだけれども、その財投の使われていくその底で、一般会計に吸い込まれてくるいわゆる税金がそこへ持ち込まれないかといったら持ち込まれているでしょう、補助金だとかそういう形で。この財投資金が使われる中で、もっと極端なことを言えば、その中から低利で住宅資金に回す場合があるだろうし、いろんな意味でその開発資金が流れていったりするから、そういう意味で一般会計予算も財投に入っている。運用されている面にやっぱり補助金だとかいろんな性格で一般会計予算も流れていくから。これは時間がありませんからこれで私の質問は終えますが、さらに大蔵所管の中でこれは尋ねていきます。
  188. 國場幸昌

    國場委員長 春田重昭君。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 院法改正の問題は官房長官がお見えになりまして質問していきたいと思います。  まず第一点でございますけれども、昭和五十三年度の会計検査決算検査報告を見ますと、その中で特に目立つものに空出張、架空会議といった不正経理の問題がございます。検査報告の中では、防衛庁、環境庁、通産省、国鉄、鉄建公団の五機関が挙げられているわけでございますけれども、これらの各機関の不正経理額と、それからその不正経理額の処理はどうなったのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  190. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  昭和五十三年度決算検査報告に不正経理の事案として掲記いたしましたものは六件、総額三億二千二百一万円でございます。その内訳は、防衛庁の航空自衛隊第一補給処で二百三十万円、環境庁で二千二百十一万円、通商産業省の札幌通商産業局で二百六十九万円、同じく札幌鉱山保安監督局で三百六十九万円、日本国有鉄道の盛岡鉄道管理局ほか四カ所で千七百四十八万円、日本鉄道建設公団で二億七千三百七十一万円となっております。これらにつきましては、一部各省庁のところで自発的に返納したもの、それから検定等の過程におきまして返納したもの、そういったものがございますが、具体的には担当のところからお答えさせていただきます。
  191. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま次長から話がございましたように、一部その当該省庁において弁済してきた金額がございます。それは、札幌通産局で百四十六万三千円、それから札幌鉱山保安監督局で九十五万四千円、それから日本国有鉄道で五百八十八万一千円でございます。そのほか、防衛庁、環境庁におきましては全額を弁済しております。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま説明があったように、防衛庁、それから環境庁におきましては全額返済しているわけです。その他の各機関では一部返済で、かなりの残額があるわけでございますけれども、これでもって検査院としては了解しているわけですか。
  193. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  不正経理金額でございますけれども、昨年度の不正経理につきましての不当金額、これは架空出張で捻出いたしました資金の額を指しているわけでございます。この金額が直ちに国損あるいは公社の損害額ということにはならないわけでございます。と申しますのは、その資金から支払われたものでありましても、それが国や公社の業務運営上必要な経費に使用したものであれば、国損または公社の損害というものがないからでございます。この業務運営上必要な経費を除いたものが国損または公社の損害ということになるわけでございます。そこで、通産省とかあるいは国有鉄道の場合は一部弁済という形になっておりますが、この場合でも、こうした国損または公社の受けた損害相当額は弁済額の中に含まれておりますので、格別問題はない、かように考えております。
  194. 春田重昭

    ○春田委員 通産省の札幌通商産業局、それから札幌鉱山保安監督局、それから国鉄の盛岡その他の機関、これの残額返済されていないのは国損ではないと、こう検査院としてはお認めになっているのですね。
  195. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  これらの額につきまして、私ども、逐一、厳密に検討いたしました。その結果、業務運営上必要な経費とそれ以外のもの、そういう仕分けをしたわけでございます。したがいまして、業務運営上必要な経費に支払われたものというのは、国または公社のために使ったものでございますので、その部分につきましては国損ないしは公社の損害ではない、かように考えた次第でございます。
  196. 春田重昭

    ○春田委員 もう一回だけ確認しますけれども、要するに国損となるべき額は全額返されている、こう検査院としては認めているのですね。
  197. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 少なくとも国損または公社の損害と認められているものについては全額返済されていると、かように考えております。
  198. 春田重昭

    ○春田委員 防衛庁と環境庁は全額返済されていますね。これは、当然国損の対象になる額だったということで全額返済されているのですか。
  199. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  防衛庁または環境庁につきましては、これは全額すでに返済されておりましたので、私どもそれについての検定の調査をいたしておりません。したがいまして、その額についてはっきり確認して申し上げることはできませんが、少なくとも国損額またはそれを上回った金額が返済されている、かように考えております。
  200. 春田重昭

    ○春田委員 と思うのですがね、私も。そういう点からいったら、防衛庁や環境庁だけが全額返済されて、その他の機関は返済されてないわけですよね。同じ機関としては、何か不自然なような感じを持つわけでございますけれども、この点どうですか。
  201. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 先生のおっしゃることも一面確かにごもっともかとも思いますけれども、私ども検定の立場では、これは個人の弁償責任というものを考えているわけでございまして、この場合、仕分けしていった場合に国の損害になっていないというものについて、これを弁償責任があるということで、ちょっとそういう判定をするわけにはまいりませんので、おっしゃる気持ちはよくわかりますが、検定の立場からはさようなことはちょっといたしかねているわけでございます。
  202. 春田重昭

    ○春田委員 防衛庁と環境庁は、検定会議で有責、無責が出る前に全額返済されたものですか。
  203. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 そのとおりでございます。
  204. 春田重昭

    ○春田委員 となれば、このような形で処理されたということで、防衛庁と環境庁が、他の省庁は全額返してないじゃないかと、自分たちは国損以上の金を返しているかもしれない、もう一回正式に検査院の方で見直してほしい、その上で国損以上の金を返していた場合には返還せよと言われた場合にはどうなるのですか。
  205. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 環境庁ないし防衛庁が返還してきたということは、これは恐らく道義的責任を非常に強く痛感しての返済であろうと思うのであります。したがいまして、私どもは、それはそれなりの評価といいますか、をしておりまして、それ以上のことについてここでとやかく言うことは差し控えているわけでございます。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 道義的責任で全額返したということでございまして、やはりこうした一つの例が出てしまえば、今後先に返すのは損だという形になってしまいますよね。道義的もへったくれもない、要するに検査院の最終決定を見て返せばいいという形になると思うのです。そこで、全額早く返してしまった防衛庁や環境庁は損を見たという結果になっているわけですね。後で質問いたしますけれども、備品の高価買いについてもそういう例があるわけですね。どうも、同じ国の機関でありながら、一部は全額返す、他の省庁は一部返すという形で、不公平な面があるのではなかろうかと私は思うのですけれども、この点について院長はどういう見解をお持ちですか。
  207. 知野虎雄

    知野会計検査院長 会計検査院指摘しました不正事項に基づきましてそれぞれの省庁が、これはやはりそういう不正な経理があったのだから全額自分たちで任意に弁償しようということがございますれば、これはこれとして検査院はそれなりの評価をしなければなりません。そうでないところにつきましては、個々の会計職員といいますか予算執行職員の責任を検査院としては検定する立場にあるわけでございますから、これにつきましてそれぞれ有責なり、無責の検定をしていくということでございまして、先にやったのが損をしたということは、これは率先してやられた役所がそういう責任を感じてなさったことでございますから、私どもがその点につきまして均衡論をどうこう言う筋合いではなかろうと考えております。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 官房長官はずっとよろしいですか。それでは、官房長官お見えになりましたけれども、その前にいまの問題を続けさせていただきたいと思っております。  そこで、この検定結果はいわゆる有責、無責という結果が出るわけでございますけれども、どういう結果になったのですか。
  209. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  不正経理につきましてはすでに全額ないしは有責相当と認められる金額か返済されてしまいましたので、特に有責、無責というような判断の表示、すなわち検定のそういった処理はしておりません。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 ところで、特殊法人では鉄建公団だけが指摘されておりますけれども、その他の公社、公団の方にはメスが入れられたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  211. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  鉄建公団は私どもが予責法上の責任を追及する範囲の団体に入っておりませんのでいたしておりません。いま公社、公団とおっしゃいましたけれども、国有鉄道については検定はいたしておりませんが、これも同じように弁償されましたのでいたしておりませんが、一応そういう検定のための調査ということの手続はいたしました。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 検査院としては書面検査実地検査をなさっておるわけでございますけれども、いわゆる実地検査施行率は五十三年度では平均で八・四%になっておりますが、この四、五年の実地検査の施行率の推移をずっと述べていただきたいと思うのです。
  213. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  五十年から申し上げますと、いわゆる検査対象個所と実地検査施行個所の比率でございますが、五十年は八・三%、五十一年は八・三%、五十二年は八・八%、それから五十三年が八・四%、五十四年が八・四%となっております。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 暦年ずっと八%台でございますけれども、これが限界ですか。
  215. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますけれども、私たちとしては予算定員の縛りがございます。と同時に、検査旅費の要求も行っているわけでございますが、この伸び率が必ずしも整合化していないわけでございます。したがいまして、現在の調査官の実地検査施行状況を見てみますと、相当の調査官が百日以上の実地検査を行っている、こういう態勢に置かれているわけでございます。したがいまして、先ほど院長からもお答えいたしましたけれども、実地検査施行率をこれ以上上げるということが非常に困難な状況であろうかと思います。  なお、付言して申し上げますと、この検査対象個所のうち、私たちがいわゆる重要な個所ということで選んでおります八千四百余カ所でございますが、こういった点につきましては五十三年は三二・七%、五十四年は三二・八%、約三分の一程度を施行しているわけでございます。したがいまして、こういった点から勘案いたしますと、相当な部分が検査をされているというふうに考えていただきたいと思います。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 検査院は現在の態勢ではもうこれが精いっぱいである、限度である、限界である、こういうことでございますけれども、検査院としては平均して大体何%ぐらいまで将来持っていきたい、そういう御希望はお持ちなんですか。
  217. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  過去からいろいろ予算説明の際に申し上げてきたことでございますが、一〇%程度は確保したいという希望は持っております。
  218. 春田重昭

    ○春田委員 一〇%持っていくために当然増員が必要になってくるわけでございますけれども、そういう増員の要望、要求というものは大蔵省に対しては来年度どれくらいされているのですか。
  219. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  二十名を要求しております。
  220. 春田重昭

    ○春田委員 二十名というのは全部いわゆる現地調査する調査官ですか。
  221. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 現在調査官としては四名でございます。あと一般職員十六名ということに相なっております。
  222. 春田重昭

    ○春田委員 その二十名のいわゆる増員態勢で一〇%持っていけますか。
  223. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 一般職員を十六名ということは、今後これを養成いたしまして調査官に持っていくということでございますので、いま二十名が実現したからといって早急にできるとは必ずしも考えておりません。
  224. 春田重昭

    ○春田委員 大蔵省の方がお見えになっていると思いますので、お尋ねしたいと思います。  大蔵省の方は口を開けばすぐ財政再建という形で、増員問題ではかなり厳しい査定をなさっているわけでございます。しかし私は、先ほどから論議されているように会計検査院というのは独立機関でありますし、第三者的な立場にあるわけでございますから、国の予算の適正かつ効率的な運用をチェックし改善していく上にも政府機関の行政改革、定員削減とは別の観点から考える必要がある、このように思うわけでございますけれども、大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。
  225. 千野忠男

    ○千野説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましても会計検査院検査機能の重要性といったことには十分配慮しておるつもりでございまして、五十五年度におきましても、定員全体についてきわめて厳しい抑制方針の中で現実にほとんどの省庁が皆ネットで減員になっておるわけでございますが、その中で検査院につきましては検査業務に従事する職員に重点を置きまして増強を図ったところでございます。  先ほどお話がありましたように、五十六年度予算の概算要求におきましても、会計検査院から調査官、一般職員の増員要求が出されております。これに対してどういうふうに査定をしておるかというのは、これからの作業でございまして、現在予算の編成作業中でございますので具体的な方針を申し上げることはできませんけれども、五十六年度予算の編成におきましても会計検査院検査機能の重要性というものについては十分配慮しなければならないとわれわれ考えております。ただ、同時に御承知のとおりの財政事情でございますので、政府としましても公務員の定員は厳しい抑制方針で臨む、そしてまた真にやむを得ない増員につきましても極力既定定員の振りかえによって対処するというのが政府の方針になっております。こういうことで、この政府の方針につきましては独立機関である会計検査院にも御理解、御協力をお願い申し上げているような次第でございます。いずれにいたしましても、今後とも会計検査院と十分話し合いをいたしまして慎重に検討してまいりたいと考えております。
  226. 春田重昭

    ○春田委員 実際検査に従事する人でございますけれども、この資料によりますと、毎年大体二名ぐらいしか純増されていないわけですよ。いま二十名とおっしゃいましたけれども、それはいろいろ入れかわりがありますからそうなのですけれども、純増は大体二名なんですよ。大蔵省の方も御存じだと思いますけれども、五十三年度決算では八・四%の施行率で、いわゆるむだ遣い等を指摘されたのは二百七十億なのです。これを仮に一〇〇%実施したならば、これは算術的に計算したら約三千二百億円の不正金額が挙げられてくることなんですね。そういう点で、国のとうとい税金を効率的に使うためには、この検査調査官の増員というのは必要なんですよ。そういう面において当然そういう特段の配慮をしていただきたいと要望しておきます。  時間が迫ってまいりましたので、備品の高価買いの問題につきましては、また次の機会にやらせていただきまして、院法改正の問題について若干お尋ねしてまいりたいと思います。  先ほどからも論議されているわけでございますけれども、会計検査院の院法改正に至る今日までの作業、これを簡単に御説明いただきたいと思うのです。
  227. 知野虎雄

    知野会計検査院長 この問題につきましては、たびたびの機会に御答弁申し上げましたことでございますが、かいつまんで申し上げますと、御承知のとおり、国会の両議院におきましてたびたびの御決議もございまして、当時の総理大臣が、会計検査院の案ができたならば検討しよう、こういうふうなお話もございましたので、会計検査院の憲法上の性格、それから国会の御決議、そういうものを調整をとりながら一つの案を私どもは考えたわけでございます。  その内容ももうすでに御承知のことでございますけれども、政府関係金融機関の融資の検査に当たりまして、その融資が適正であるかどうかということを検査をする、国家資金の使途の検査を厳重にするという意味で、融資が適正であるかどうかということを判断するために最小限度必要な調査権というものを融資先に及ぼそうということを主たる内容としたものでございます。  ただ、この点につきましては、これもたびたび申し上げておりますとおり、国家資金の使途の検査を厳重にするという私たちの立場と、また公権力の私企業に対する介入というものは過剰になってはならないという問題が一つございます。さらにまた、検査院の検査が融資先にまで及ぶということになりますと、政策金融に支障が出るのではないかというふうな問題もございまして、これらは、検査院の立場は立場としまして、立法政策上の問題あるいは政策金融の問題そういう問題もありまするので、より高い見地から内閣において御検討、御判断をいただきたいということで、内閣にその検討をお願いいたしまして、その後内閣におかれましては、官房長官の手元におきまして、この問題点を詳細御承知の上で、現在慎重に真剣に御検討をいただいておるというのが大体の経過でございます。
  228. 春田重昭

    ○春田委員 検査院として基本方針が決まったのが五十三年の七月ですね。その後この基本方針をもとに、この法改正を実現するために各省庁とのお話し合いがなされております。その話し合いの中でこの基本方針は若干の手直しがされていると私は思うのですが、そういう修正された個所があるのですか。
  229. 知野虎雄

    知野会計検査院長 これは、各省庁との調整の段階あるいは私ども自身の検討の段階を通じまして問題点を詰めて、一応会計検査院の案というものをまとめたわけでございます。
  230. 春田重昭

    ○春田委員 その会計検査院としての要綱がまとまったのはいつなんですか。
  231. 知野虎雄

    知野会計検査院長 それは、ただいまお話しのように、昨年の五月ごろであったかと思います。
  232. 春田重昭

    ○春田委員 昨年の五月にいわゆる最終要綱が決定したわけですね。そこで、午前中も御答弁があったわけでございますが、その後各省と話し合いをされまして、ことしに至って一月の十七日ですか、関係各省の責任者会議があったという話がございましたけれども、その中で最終要綱をお示しになって御説明なさった、いわゆる話し合いがされたと思うのですが、その段階で各省庁の反応はどうだったのですか。
  233. 知野虎雄

    知野会計検査院長 これはこの検討の段階で、各省庁の関係者並びに会計検査院の当時事務総長が出席したと思いますが、内閣におかれてなされた会議でございます。
  234. 春田重昭

    ○春田委員 事務総長も出席しているわけでしょう。事務総長の感触はどうなんですか、各省庁の対応というのは。
  235. 知野虎雄

    知野会計検査院長 ただいま私が申し上げました問題点、それはそのまま問題点として残ったわけでございます。
  236. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、いまボールは内閣の方に投げられてきているわけでございますけれども、官房長官がおいでになっておりますのでお聞きしたいのでございますが、正直言って、各省の合意が得られないから今日までまだ国会提出がなされていないわけでございますけれども、どこの省庁の合意が得られないのか、反対がきついのか、その点どうですか。
  237. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど御指摘のように、ことしの一月に私の前任者でございます官房長官検査院及び関係各省の幹部を呼びまして、検査院においでをいただき、また関係各省の幹部を別途個別に招きまして意見を聴取したわけでございますが、先ほど院長からお答えがありましたような点で合意を見なかったということでございます。大蔵省、農林省、通産省等々、いわばそのような金融機関を傘下に持っておりますところの各省、ほぼ同じ趣旨の反対意見を申しておるわけでございます。
  238. 春田重昭

    ○春田委員 検査院としては、基本方針を決めて、各省庁の意見も聞きながら若干の手直しをして、要するにかなり当初の方針と違った緩やかな院法改正になってきたのではなかろうかと私は思っているわけでございますが、その最終要綱でもまだ各省の合意が得られない、こういう現段階にあるわけですね。  そこで、これは官房長官も御存じのとおり、五十二年の五月、衆議院の本会議で議決されて、毎年本会議、これは衆議院、参議院ともです。そして当決算委員会で議決、決議がされてきているわけですね。そこで毎年問題になりながら、今日までこういう形でまだ眠っているということでございまして、官房長官は何回も中小企業等の配慮もやはりしなければならないという点でおっしゃっております。確かに中小企業等のそういう配慮もしなければなりませんけれども、それも大事でございますが、要するに院法改正の機運が盛り上がったのは、五十二年、あのロッキード問題等が相当社会的な問題になりまして、院法改正の必要があるということで上がってきて、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、毎年本会議なり委員会で議決されているわけですよ。そういう点で、中小企業等の配慮もこれは大切です。これは必要です。しかし、本来の趣旨を忘れてはならない。委員会や本会議で議決されている院法改正のこれを早急に国会に提出しなければならない義務が内閣としてあるのじゃなかろうかと私は思うのです。そういう点で、この経緯は官房長官十分御存じだと思いますけれども、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年と四年がかりの、しかも議決になっているこの院法改正ですよ。いろいろ各省との合意が非常にむずかしい面があるかもしれませんけれども、これはもう本当に真剣になって考えていただいて、早急に国会に提出するように事を運んでいただきたいと思うわけでございますけれども、この点はどうですか。
  239. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわば調整をしなければならない立場に私どもあるわけでございますが、今日までそれが結論に達しておりませんことは申しわけないことだと真実思っておりまして、今朝もお答え申し上げましたが、なお真剣な努力を払ってまいらなければならないと思っております。
  240. 春田重昭

    ○春田委員 なかなか官房長官のガードがかたいもので、午前中の答弁から一歩も出ないわけでございますけれども、仮に、院長お聞きしますけれども、昨年の四月最終要綱が決まりましたけれども、これでもまだ合意がされていないわけでありまして、内閣からもう一回合意が得られるように見直しをしろといった場合、そういうことも考える必要があるかどうか、院長にお聞きしたいと思います。
  241. 知野虎雄

    知野会計検査院長 御質問の趣旨がちょっとわかりませんが、内閣におきまして官房長官のお手元で現在真剣に御検討をいただいておる問題でございます。それにつきましてまだ結論めいたものが出ておりません段階で、こういう場合はどうするこうするということはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  242. 春田重昭

    ○春田委員 要するに、もう一回見直せ、各省の合意が得られるようにもう一回見直せ、そういう声が上がった場合はどうなのか。検査院としては、昨年の四月九日の最終要綱、これがもう最後だ、これ以上手直しする必要はない、そう思っておられるのかどうかという点をお聞きしているのです。
  243. 知野虎雄

    知野会計検査院長 私どもは会計検査院の案というものをまとめて、内閣に御検討はお願いをいたしました。しかし、これには先ほど申しましたように立法政策上の問題もあり、あるいは金融政策上の問題もあるということは私ども自身が認識をしておるわけでございます。そういう意味で、検査院の立場は立場でございますけれども、内閣におきましてさらに高い見地、広い視野に立って御判断、御検討をお願いしたい、こういうことをお願いしておるわけでございます。
  244. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、私は官房長官にお願いするわけでございまして、そういう経緯、背景があるわけでございますから、次の国会には必ず提出するように強く要望する次第でございます。  それでは私は、あと備品の高価買いの問題と、それから郵政職員の不正問題があったわけでございますけれども、時間が参りましたので、その問題は次の機会に譲るとして、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  245. 國場幸昌

    國場委員長 中野寛成君。
  246. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 院法改正問題についてさらにお伺いしたいと思います。  会計検査院としては、この院法改正の熱意を持ってその問題提示をされておられるということであります。そしてまた、この院法改正について私どももとりわけ強く要望し始めた一つのきっかけは、いわゆるロッキード事件など、政府の金を使って融資をされた相手方が汚職めいたことをやってはならぬ、そういうことも含めましてでき得る限り検査院の権能、権限についてこれを強化していかなければならぬということが国会の論議の的になった、それがまた一つの大きなきっかけになっていると思うのであります。いずれにいたしましても、そういう一つのきっかけ等考えますと、でき得る限り、だれしも、強い権限を持った調査を行われるというのは決して愉快なことではありませんから、抵抗するというのは、これまたある意味では至極当然とも言えると思います。そういう意味では、国会の意思ないしは政府中枢部の意思というものがむしろ強く作用してこれをある程度強引にでも進めていくという姿勢がなければ、不正を正していくために最大の努力をしていくという姿勢がなければこれは解決できない、こういうふうに思うのであります。  そういう基本的な姿勢の上に立って、まず第一点お聞きしたいのは、不必要なものまでも権限を強くする必要はないわけでありますから、先般来の政府資金を政府機関を通じて借りる、とりわけその中で抵抗がきついといいますか、政策上問題があるということで言われておりますのは、中小企業の問題だと思うのであります。私どもが問題にしたい、また国民の目から見て、ややもすると不正が起こりやすいということで疑惑を持っている、また問題意識を持っているのは、むしろ大きな企業の方なんですね。ですから、会計検査院としてはそういう問題点を整理して、むしろ大きな融資の部分について枠をはめていくといいますか、制限を設けていく、むしろ中小零細企業については後回しにしてもというふうな配慮があってもいいのではないか。その辺のことにつきまして、検査院として御検討なさったことはございませんか。
  247. 知野虎雄

    知野会計検査院長 私ども会計検査院は、本来汚職とか犯罪とかを追及する役所ではございません。ただ、国家資金の使途の検査を厳重に見ていくというのは、これは検査院に与えられた重大な使命であると考えておるわけでございます。私どもがただいま内閣に提出して検討をお願いしております案には、輸・開銀だけでございませんで、農林漁業金融公庫でございますとか中小企業金融公庫でございますとかあるいは環衛公庫でございますとか、すべて、政府関係の融資機関の融資に当たりましてその適正であるかどうかを検査するために融資先にまで調査が及ぶ場合があるということを想定したものでございますので、中小企業の方からそういう御意見が出るのであろうと思うわけでございます。ただ、私どもも、そういう点で政策金融と申しますか、中小企業者の方々の杞憂といいますか、そういうものをなくするためにできるだけの配慮はしたつもりでございまして、こういう法案が通りました場合でも、現在やっております肩越し検査というものを原則としてやりまして、法律を発動して権限をもって調査に乗り込むというふうなことはできるだけ避けよう、それからまた、調査に当たります場合でもいろいろ法律しの歯どめも考えておるわけでございます。しかしながら、それでもなお政策金融の上でいろいろ問題があるのではないかという御議論がなおあるわけでございまして、その点につきまして論議を進めてまいりますと、これはどうしても政策論議に入ってまいります。われわれ会計検査院としましては、政策論議に深く立ち入るというのは立場上避けたいと思っておりまして、そういう意味で、これはやはり広い視野から内閣なり国会なりの御検討、御判断にまつべきものであろうと考えておる次第でございます。
  248. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 政策論議に踏み込んでしまうので、その部分については検査院としては意見を差し控えたい、こういうことであります。  ならば、その政策を中心にして論議をし、そして詰めていく、この問題をいまお預かりになっておられる官房長官のお立場で、その政策論議の問題点は何であり、そしてネックは何であるのか、そのことを少し具体的に御説明いただけませんか。
  249. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、けさほどもお答え申し上げましたし、先ほど会計検査院長もお答えをいただいておるわけでございますが、ただいまのような御提言、実はそのことは会計検査院の御意向を伺ってみたわけでもございません。ただ、検査院の出されました改正案ではそのようなことはお考えでありませんでしたし、行政各省庁の方もただいまのようなことにも同じような反対論を述べておるということでございますので、つまり、どちらからもそこらあたりならばという感触を得ておりませんものでございますから、私として、そのようなことになりました場合、どのような反響が検査院並びに各省庁側からあるかということはただいまちょっと定かに申し上げることができません。
  250. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先ほど院長の御答弁の中にも、でき得る限り肩越し検査を行って、そして権限の発動というふうな形はしない、そしてまたそのための法律上の歯どめも考えている、こういうことでありまして、単に運用上権限の発動というものを強く押し出していくことはしないということだけであると問題だと思います、心配が残ると思います。しかし、法律上適確な歯どめがなされておれば、これは各省庁も比較的のみやすいのではないか。しかし、いまの官房長官のお答えですと、そこまで詰めた話がなされていないということであれば、果たして、先ほど来同僚委員質問に対して、いろいろな努力がなされているような御答弁が行われておりましたけれども、しかし端的にこのこと一つ——これは言うなれば話し合いの取っかかりの問題だと思うのですね、いまのような条件というのは。そういうことさえもまだ話がされていない、その程度の段階なんだということになるのですか。
  251. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 問題を輸・開銀に限ってみたらどうかという御提言なわけでございますが、何ゆえに輸・開銀に限るかという法律上の、何と申しますか、説明というのは実はなかなか容易でない。ごく現実的に、それであれば関係省庁側の持っている反対も心配が少ないではないかとでも申しますか、そうでも申せばともかくでございますが、何ゆえに輸・開銀に限るかということの法律上の説明国会に申し上げるとなりますと、これはまた実は非常にむずかしいものでございますから、そういったような案を現実に打診してみたことがない、こういうことでございます。
  252. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先ほど来、法律論と政策論の話が並行して出てきているわけです。国会も決してやぼな場ではないのでありまして、こういう問題が取り上げられてきたそのきっかけは何であったかということ、それはきわめて政策的な意味から生まれてきているはずなんです。法律論上の問題ももちろんあると思います。しかし、そのよって立つもの、そこに立てば、政策論的に考えてもいいのではないか、そして法律的な整合性を詰めていくためには、いろいろとこれからやらなければいけないことがあるでしょうし、時間もかかるでありましょう。そのことをむしろ整理して、そしてでき得るところから取りかかっていく、そのことが、現在まで起こった、またこれからも心配されているいろいろな不正事件やその他を防止することにも、それが会計検査院の直接的仕事でないにしても、少なくともそのことが結果的に効果を発揮する。そのことを期待してむしろ国会は今日までいろいろな意思表示をしてきた、私はこう考えているのでありますけれども、そのことについて、むしろ前向きにお考えならばそういうことも含めての御検討がなさるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  253. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘の点がわからないではございません。そういうことを考えればいわゆる中小企業であるとか農民であるとかが持っておるであろうそのような心配というものも回避できるではないか、こういう御主張はわからないではございません。が、仮に政府がそういう提案を国会に申し上げます場合に、何ゆえに輸・開銀というところで切ったかという御説明をいたすとなりますと、これはなかなか実は容易なことでなかろうというようなことがございまして先ほどから申し上げておるわけでございますが、せっかくの御提言でございますから、そういうことの可能性につきましても、もう少し私の手元で考えさせていただきたいと思います。
  254. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は官房長官の御答弁としてかなり前向きの御答弁をいただいたと思うのでありますが、たとえばオンブズマン制度のことがいろいろ提案され始めたのも、そして今日まで会計検査院法の改正が提案をされたのも、立法、司法、行政挙げて国民に信頼される政治を確立しようという熱意から生まれたことであります。少なくとも、国会説明がしにくいという官房長官の御答弁もありましたけれども、むしろこの問題は、全党一致で会計検査院法の改正ということが今日まで決議をされているいろいろないきさつから考えれば、国会へむしろありのままに御相談いただいても、それは文字どおり前向きの協議の対象になるのではないか、こういうふうにも私ども考えるわけであります。全部が全部愉快な気持ちを持たないことも事実であります。別に輸・開銀の問題だからといって、私どもはそういうちゅうちょするものを考える必要はないわけでありまして、もっと前向きにこの問題の趣旨を考えながら、それがたとえ政策論であろうとも、むしろ私は法律のための法律ではなくて、政策のための法律だと思うわけでありますから、そういう意味で官房長官のいまの御答弁が、本当に本気で、しかも早急に検討をされ、そしていい結論が出ることを心から期待してやまないわけであります。  こういうもので期限を切ることはむずかしいのでありますが、いま国会の中でも、たとえばあの航特委の衆議院における廃止であるとか、いわゆる現在の自民党政権のもとにおいて不正追及の姿勢というものがややもすると後退しているという批判が、また国民の心配が強く出ているときでもありますから、こういう問題が前向きに取り上げられるということになれば、これはこのこと一つでも大きな不正追及に対する前進として国民の目には映ると思いますし、またそのことが政界そしてまた経済界に与える心理的影響も決して少なくない、こう思うわけでありまして、そういう意味で、今日までせっかくの御検討でございましたけれども、これらの問題については全く期限なしの検討事項なんでしょうか。簡単に期限は切れないとは思いますけれども、どのあたりをめどにして官房長官は調整をしていかれようとしているのか。先ほどの前向きの御答弁に、もう一歩突っ込んで御答弁いただければありがたいと思います。
  255. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題は以前から御指摘をいただきながら、かなり長い時間がたちましても成案を得ることができないというのが現実でございまして、それだけ問題のむずかしさを示しておると思いますが、いずれにいたしましても、ただいまのような御提案もございましたので、それらのことも考えながら、もう一度ひとつできるだけ早く調整をやってみたいと思いますので、どうぞなおしばらく御猶予いただきたいと思います。
  256. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 折に触れてまたお尋ねをしたいと思いますし、これからの御努力を見守りたいと思いますが、あわせましてこの機会に一つ御提案といいますか、お尋ねをしたいと思います。  先般、五十二年度決算に対する議決を採決いたしまして、その中で、私どもの討論の中でちょっと触れさせていただいたのでありますが、大蔵省予算査定の段階で、これは新しい提案なのであれですが、他の国にも例がないとは言えないと思うのでありますが、予算査定または予算審議の過程で会計検査院意見大蔵省のその査定の中へ反映されるように、その予算査定段階における会計検査院意見を求める、またはそのアドバイスを受ける、そのようなシステムというものは考えられないものでしょうか。いわゆる、もう会計検査をやってその報告を出しました、そしてそこで意見を述べました、それで会計検査院の仕事が終わりということではなくて、そういう一連の検査を行う作業の中で、もっと契約段階においての見積もりだとかそういう問題について、いろいろな検査段階において経験を得られると思うのであります。こういうことに注意をすれば、これからそういう問題について問題が生じるということはないであろうというふうな御意見も当然お持ちになってくるだろうと思うのであります。予算の査定段階において、何しろ世界一と言ってもいいほどしっかりしておられます官僚機構の大蔵省ですからミスはないのだろうと思いますけれども、しかしながらやはり人間のやることであります。そしてまた、そういう段階においても十分行き届かないからこそ、今日まで問題点がなくなっていないわけであります。そういう意味では、より一層行財政の効率化を図るために、会計検査院役割りというものがもう一歩前向きの形にまで発展させられないものであろうか。先般の討論でも申し上げたところでありますが、いかがでございましょうか。
  257. 知野虎雄

    知野会計検査院長 会計検査院決算検査報告が出ました場合に、それだけを見ておるということではございませんで、ただいま御提言のありましたと全く同様の趣旨におきまして、大蔵省の主計局と検査院は、予算査定に入る時期であったかと思いますが、主計官と担当の検査課長の会合がございまして、そこでいろいろと検査上の問題点を申し上げて、予算査定の上の参考にしていただくという機会をずっと持ち続けておるわけでございます。
  258. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ある意味では実際にそれが適確に運用されておれば、それ以上申し上げることもありませんけれども、しかしながら、もう少し総括的に突っ込んで制度化してやっといくということは、私はこれは会計検査院の権限の強化にもつながっていくと思うのであります。そして、それは決して政策判断やその他のことに対して邪魔になるものではないと思うのでありますが、それをもう一つ突っ込んで前向きに検査院としてお考えになるお気持ちはございませんか。
  259. 知野虎雄

    知野会計検査院長 現在行っておりますものをさらに一歩進めて、これをどういうふうに制度化といいますか、実効あるようにするか、そういう方法について検討しろということでございますので、その点は十分に検討させていただきます。
  260. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは、会計検査院の権限等の問題については以上で終わりまして、次に質問を移らせていただきたいと思います。  いま行財政の立て直し、とりわけ財政再建というのが、これは国民みんなの関心の的でありますし、そしてまた、われわれに課せられた当面の最大の課題である、こういうふうに申し上げていいと思うのであります。その中で、単に行政改革だけではなくて国庫補助金補助金を洗い直せというのがこれはまた強い意見でもあると思うのであります。なぜならば、五十四年度、五十五年度ともに十三兆円強という巨額な補助金、負担金が支払われているわけであります。  私どもはそういうことを考えますと、この補助金のあり方と同時に、補助金の使われ方について、とりわけ会計検査院のお仕事に絡めて考えれば、補助金の使われ方についてわれわれとしては十分な目を向けなければならぬ、このように思うわけであります。とりわけ、厚生省、文部省、農林水産省そして建設省、この四省だけで補助金総額の八八%に当たる。こういうことを考えますと、この四省はとりわけ責任を持っていま申し上げたことに配慮をしてもらわなければならぬと思うのでありますが、先般来ちょうだいをいたしました報告書の中から二、三気づきましたことを事例として申し上げてお尋ねをしたいと思うのであります。とりわけ、補助金執行状況に関しては、同じような指摘が毎年繰り返されているわけでありまして、そういう意味でお尋ねをするわけであります。  たとえば建設省補助金の中で言えば、五十三年度決算検査報告の中に出ております和歌山県有田市が実施した有田市小集落地区改良事業、これは当時新聞紙上等にも大きく報道されまして、私もずいぶんひどいことがあるものだと思って読んだものですから記憶をしているのでありますけれども、この用地の取得についてですが、買収面積やそれから価格を水増しして偽りの補助申請を行った、そして一億七千万もの国庫補助金建設省から不正に受給していたというわけです。これも出した方も出した方なら、その申請をした方もした方だ、ずいぶんいいかげんだなという印象を大変強く持つわけであります。先ほど実は予算の審査の段階からと申し上げるのはこういうところにもあるのでありますけれども、これの実態とその後の経緯はいかが相なりましたか、お伺いしたいと思います。
  261. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 お答え申し上げます。  有田市の小集落地区改良事業につきましては、昭和四十九年度から五十二年度までの間に不良住宅六十二戸の買収と、それから住宅、道路、子供の遊び場等の用地五万四千平米を三十六億三百万円で実施したとして補助金二十四億二百万円を受領しておりました。ところが検査の結果、面積のうち千七百四十平米は水増しされたものであり、また不良住宅の買収価格とか用地の取得価格も水増しされておりまして、結局二億五千五百万円が過大に申請され、補助金一億七千三十四万円が不正に受給されていたという事態でございます。これにつきましては、建設省において、本院の指摘後、過大になっておりました補助金一億七千二十四万円について交付決定の取り消しを行い、それを返還させ、なお適正化法による課徴金を徴取しております。
  262. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは建設省にお伺いしますが、その後この事業はどのように相なりましたか。
  263. 中田亨

    ○中田説明員 お答え申し上げます。  この小集落地区改良事業等につきましては、常々その事業の適正な執行につきまして機会あるごとに県や市町村を指導してまいったわけでございますけれども、御指摘のような事件を引き起こしましたことはまことに申しわけなく遺憾に存じているところでございます。この事業につきましては、ただいま検査院の方からも御答弁がございましたように、補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律に基づきまして建設省といたしましては補助金の返還を命じ、その返還が昨年夏なされております。また、県及び市におきましても、その責任を明らかにいたしますために関係職員の必要な処分等をいたしております。  そこで、事業そのものについてでございますが、これは同和対策事業の一環といたしまして緊急に実施すべき事業でございますので、過去の不正受給のことは不正受給といたしまして、その後も継続して完成させるように指導いたしております。
  264. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 せっかくの有意義な事業ですから、ぜひ正しい内容で、正しい内容というのは、本来の趣旨に基づいた内容で完成させていただきたいと思いますが、なぜこのような実態が起こったのでしょうか。これは、地方自治体の負担が補助金だけでは足りない、もっと財政的な問題やいろいろな問題がその中にあったということでしょうか。このような問題が生じた原因は何だとお考えですか。
  265. 中田亨

    ○中田説明員 お答え申し上げます。  この事業は、先ほども申し上げましたように、同和対策事業の一環として行われている事業でございまして、同和対策特別措置法に基づきまして、特別な三分の二の補助がなされているものでございます。ただ、有田市の場合事業量が非常に大きいということもございます。事業量の大きさに比較いたしまして市の執行体制が十分でなかった、また県の事業の指導監督等にも必ずしも十分でない面があったといったことからこういったような事態を生じたものと考えております。
  266. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いまの御答弁ですと、何かいかにも同和事業であったがためにこういう不正事件が起こったような感じを受けかねません、御答弁の趣旨は決してそうではなかったでしょうけれども。同和対策事業というのは、その趣旨にのっとった充実した事業ができるだけ早く早期に完成させられなければならぬということで、国会でわざわざ附帯決議までつけて先般同特法三年延長ということもあったわけですね。そういうことを考え合わせて、同和事業というのはやはりその趣旨にのっとって進められなければならぬと私は思うのです。ですから、問題は同和事業だからどうこうということでは全くない。しかし、同和事業であるがゆえにそのような事件が起こったとするならば、これはまたゆゆしい問題です。同和事業であるといえども、それは決していいかげんなさじかげんがなされていいはずのものではありません。あくまでも趣旨にのっとって、正しい制度と法律に基づいてなされなければならぬ、このことは建設省も当然お考えのことだと思うのであります。先ほどからその原因を聞きましても、実は明確な原因はわからぬ。個人的な問題ですか、制度的な問題ですか、だれかが意図的にごまかそうと思ってごまかしたのですか、そして、それをなくするためにはどうしたらいいといま建設省ではお考えですか。
  267. 中田亨

    ○中田説明員 お答え申し上げます。  この事業は同和対策事業であるということを申し上げましたのは、先ほどの御質問に対しますお答えといたしまして、特に同和対策事業といたしまして特別な財政的な措置もなされているということを念のため申し上げた趣旨でございますので、ひとつよろしく御了解いただきたいと思います。  そこで、こうした事態が起こった原因でございますが、確かに御指摘のとおり、市にとりましてこの事業はかなり大きな財政上の負担になっておったということはあろうかと思います。しかし、いずれにしましても、基本的には、先生御指摘のとおり、法律に従って適正に行うべきことは当然のことでございまして、その点につきまして事業主体の方に十分な認識がなく、また私どもの指導も十分でなかった点があろうかという点は反省いたしております。
  268. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私も地方議員をしておりましたから、それなりのことはわかるのです。これは、同和事業であると否とを問わず、地方自治体の厳しい財政事情というものがこういう判断をさせたのではないのか。私はそのことにむしろ問題意識を感ずるのです。もちろん、よく超過負担という言葉も使われます。こういう事業計画をやりますときに、住民要求とそして財政との関係は大変厳しいわけですけれども、しかし、そのことを十分認識する中から的確な行政判断をして、そして正しい執行をしていくということがとりわけ大事であろうと思います。ですから、私はこれを一事例として取り上げましたけれども、建設省が行います地方自治体への補助金その他につきましても補助制度そのもの全体が見直されなければならないという問題が起こってくるはずです。できるだけむだ遣いをなくさなければなりませんけれども、そのことは、すなわち使われるべきところへ使うためのいわゆる厳しい査定でありますから、私どもはそのことを認識して今後ともやっていただきたい、こう思います。  時間が進みましたので続いていきますが、もう一つ、いま教育問題というのは大変重要なところに差しかかっているわけでありますが、私学振興財団のことが今回も指摘されております。大学のうち私立大学の占める割合は七四%にも達しているわけでありまして、大学教育の中における私学振興財団の位置づけは大変大きなものがあると思うのであります。そういうことでお伺いをしたいのであります。  この財団を通じまして、専任教職員の給与それから教育研究に要する経常的な経費に充てるための助成を行っているわけであります。むしろこの内容については、経常経費の二分の一補助という要請が逆になされている段階でもあるわけであります。それだけに、逆に言えば、一つ一つの具体的な事項については決して不正は許されない、こう思うのでありますが、毎年三大学ないし四大学この不正事項指摘されているわけであります。特に五十二年度決算検査報告の中では、福岡歯科学園、福岡歯科大学ですか、これが五十一年、五十二年両年度で二億九千九百万円の補助金の不当性が取り上げられているわけであります、ここだけに限りませんけれども。こういう問題については、財団の方では補助申請書類を初め清算書類等にも目を通していると思うのでありますけれども、文部省、こういうものが会計検査院から指摘されるまでわからないというのはどういうことでしょうか。こういう問題について現在どのように対応しておられますでしょうか、お聞きしたいと思います。
  269. 坂元弘直

    ○坂元説明員 先生御指摘のとおり、毎年大体三大学ないし四大学ばかり補助金の過大交付等で御指摘を受けておるということは、私どもとしましてまことに恐縮に存じております。  補助金の過大交付の内容を見てまいりますと、大学、法人側の方で、故意と申しますか、意識してそういう間違いをするという例と、それから、本当にケアレスミス、不注意と申しますか、きわめて恐縮な言葉ですが、ちょっとした事務的なミスで計算間違いをするというのと二種類ございますが、会計検査院から御指摘を受けるのは大体後者が多いようでございます。  そこで私どもとしましては、私学振興財団と文部省共催で各大学、短大の補助金事務担当者の研修会を毎年ブロックごとに二度ばかり持って指導しておりますし、それから、東京に夏休みに比較的長期間事務担当者を集めまして、補助金執行についての事務処理を適正に行うような研修会もあわせて行っております。それから、私学振興財団が現実に補助金執行する場合には、教員実態調査票あるいは学生定員調査票等、補助金の基礎資料になりますものを書面でいただきまして、それで書面上の審査を一応した後に個別的にヒヤリングを行いまして、いろいろ事情を聞いてから補助金執行するということで、財団としましても適正に執行するよう努力はいたしております。  しかし、先ほど申し上げましたとおりに、毎年数件ずつ御指摘を受けるということは大変恐縮に思っております。今後とも、いま申し上げましたような方向で、そういう研修会なり財団の審査等を適正に行うという方向でこの問題に対処してまいりたいというふうに考えております。
  270. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 時間が参りましたから終わらざるを得ませんが、このような事例が出てまいりますために大学に対する信頼感が薄れていく、また今度、大学間同士で疑心暗鬼が生まれてくる、それに基づいてのいろいろないわゆる悪い認識が生まれてきているということを幾つかの事例でお聞きをしているわけでありますが、いま御指摘のような、いわゆる集めて研修会をやるということだけではなく、それだけではないようですけれども、そのお金がどういう意味で、そしてどういうところから出されて使われているのか、そのことをはっきりと大学自身が認識をし、そして教育の場にふさわしい会計処理が行われるように、なお一層の適確な御指導をお願いしたいと思います。  なお、国立病院の不正行為のことにつきましてもお尋ねをしたいと思いましたが、厚生省の方に大変申しわけありませんけれども、時間が参りましたのでこれで終わって、改めて厚生省関係の審議のときにお伺いをするようにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  271. 國場幸昌

    國場委員長 辻第一君。
  272. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず防衛庁の修理契約の問題について質問をいたします。  今日、自民党政府のもとでの大企業本位の政治や経済の中で深刻な財政危機に陥っております。しかも自民党鈴木内閣は、来年度予算の編成に当たっても軍事費のみは別枠で大幅にふやそう、そして日米安保条約を再編強化をしようという道を進めております。一方ではこの数カ月実質賃金が低下をするなど、国民の生活はきわめて厳しい状況にあります。そして、福祉や教育は見直しと称して切り下げる、さらには公共料金を引き上げ、さらに大増税を推し進めようというような状況になっているわけであります。このような状況に対し、軍事費を削減して福祉や教育、生活の充実をできる予算の獲得をと、このような国民運動が大きく発展をしている、このような状況の中で私がこれから質問をしようという問題が起こってきたわけであります。  それは、防衛庁が航空機の発電用装置などの修理を神鋼電機に請け負わした、その中で水増し請求が行われたということであります。しかもこの神鋼電機には、私がちょっと調べたところでは、五十年以降一佐以上の人で四人が天下りをしている、このような会社であるわけであります。このような状況に対し、国民は激しい怒りを覚えると同時に、許すことができない問題だ、このように考えていると思うわけであります。  それでは具体的にお聞きをしたいと思いますが、この神鋼電機伊勢工場での防衛庁の航空機用発電装置などの修理は昭和五十一年から五十四年間に何件やったのか、その総金額は幾らだったのか、また、そのうち水増しが行われたものは何件であったのか、そして水増し額は幾らだったのか、この点についてお尋ねをいたします。
  273. 藤井健太郎

    藤井説明員 お答えいたします。  神鋼電機株式会社と防衛庁が航空機用の電装品の修理契約に関係しまして結んだ契約額の御質問でございますので、五十一年度から五十四年度までの数字を申し上げます。昭和五十一年度契約をいたしましたのは四十八件、約九億円でございます。五十二年度が五十四件、約十億円。五十三年度が四十八件、十三億円。五十四年度が四十一件、十一億円。この四カ年間を合計いたしますと百九十一件、約四十三億円でございます。  それから、お話のございました過払いの件でございますが、その対象となりました契約及び金額について申し上げます。過払いの件数は、お尋ねが五十一年からの契約ということでございますけれども、実際には五十年度契約を結んだもので二カ年にわたるものがございますのでそれが入っておりますが、それを含めまして、契約の件数で七十六件、約二十二億円でございます。そのうち過払い分といたしまして私どもが返還を求めました金額が四千四百万円、このような金額と相なっております。
  274. 辻第一

    ○辻(第)委員 四年間もこの問題がわからなかったというのはどういうことでしょうか。
  275. 藤井健太郎

    藤井説明員 四年間も本件がわからなかったことに関しましては、私どもの契約をめぐってこのような事案が発生しましたことをまことに遺憾に思っております。  ただ、本件につきましては、ただいま会計検査院で御調査をいただいている段階でございますので、その詳細にわたって申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように考えておりますが、簡単に申し上げますと、これは神鋼電機株式会社が航空機電装品の修理に関連しまして、洗浄とか分解とか単純な作業がいろいろあるわけでございますが、これを下請会社の方に外注をいたしました。にもかかわらず、防衛庁に対しましては、これを社内工が行ったということにいたしまして書類を提出いたしまして、その加工費の差が不当利得となった、こういうものでございますが、神鋼電機から毎年防衛庁に出されております帳票類、あるいは私どもが契約に関連いたしまして清算時に現地に参りまして帳票類を調査したわけでございますけれども、その帳票類がすべて社内工が行ったというような形で作為されておりまして、このような状況ではなかなか通常の業務処理によりましては過払い分を発見することが困難であった、こういう事情にあるものでございます。
  276. 辻第一

    ○辻(第)委員 神鋼電機は引き入れ工を使っておる、社外工を使っておるということは御存じなかったのですか。その点はどうでしょう。
  277. 藤井健太郎

    藤井説明員 私どもが企業の責任者から事情聴取いたしましたところによりますと、神鋼電機は当初この種の作業を社内工で実施しておりました。五十一年の十二月の時点で、当時会社が人員整理をした関係でこの引き入れ外注というのを始めたわけでございますけれども、それ以後の防衛庁に対しまして提出されました帳票類は、すべてそれ以前と同様に社内工が行ったという形になっておりました関係から、私どもは引き入れ外注を神鋼電機株式会社が実施していたという事実を実は先般まで承知をしていなかった、こういう状況でございます。
  278. 辻第一

    ○辻(第)委員 さきの質問で、作業伝票に作為をされたというふうにおっしゃったわけですけれども、これは改ざんされたというふうに理解してよろしゅうございますか。
  279. 藤井健太郎

    藤井説明員 防衛庁に提出されました書類には、事実と反しまして社内工で実施したという記載がなされておったということでございます。
  280. 辻第一

    ○辻(第)委員 この引き入れ工、社外工を使っておったということは、その工場の管理者にはよくわかっていたと私は思うわけですね。それを末端の作業課でございますか、そのあたりで社内工、本工がしておったというふうに書いておっても、こういうことは簡単にわかることだと私は思うわけであります。そういう点が四年間も放置をされてそのままやってこられたということは、そこの工場ぐるみ、組織ぐるみでこのような不当なことがやられてきた、私はこのように思うわけでありますが、その点に対してどのようにお考えを持っておられますか。
  281. 藤井健太郎

    藤井説明員 なぜ本件のようなことが起こり、また長期間にわたりまして私どもがそれを発見し得なかったかという理由につきましては、ただいま会計検査院の方で御調査をいただいている段階でございますので、その結果を待ちまして私どもも判断をさせていただきたい、このように考えるわけでございます。  ただ、いま先生おっしゃいました会社ぐるみであったのではないだろうかということに関しまして、私どもがいままで独自に調査をした範囲内で申し上げますと、このような引き入れ外注を実施するという件は、少なくとも伊勢工場の現場の一部門で行うものでございまして、社内規定からいたしましても、会社の上層部は知り得なかったのではなかろうか、このように考えておりますことが一点。それから、なぜこのようなことを神岡電機株式会社が行ったかということを事情をただしましたところ、当初、人員整理の関係で引き入れ外注をやったわけでございますが、そういうことを行えば当然防衛庁に対しまして下請承認ということを行うことが契約上定められているわけでございますが、その手続を忘れた。その忘れたのを隠すという意味から誤りを重ねたというような企業側の説明があること。それから、本件事案が判明して以後、会社としてもいろいろ反省をいたしまして、人事措置を含めました改善措置を講じておる、及び、先ほど申しました過払い分につきましては、金利を付して私どもに速やかに返還をしておること。これらの事情を考えまして、現段階では必ずしも会社ぐるみでこれを行ったものとは判断できないのではないかと考えております。
  282. 辻第一

    ○辻(第)委員 会社側の釈明の話を申されて、そのようにおっしゃっても、私はやはり納得できない、大変甘いというふうに思うわけであります。  これまでにも引き入れ工というのですか、社外工というのですか、こういう問題があったことはほかになかったのですか。
  283. 藤井健太郎

    藤井説明員 航空機用部品の修理契約にかかわりませず、外注を行わせるということに関しましては、これは必ずしも悪いことではございません。私ども、品質を保証していただけるならば、単純な作業を外注するということは決して悪いことだと考えておりません。現にほかの契約におきましても外注をしている例はたくさんございます。ただ、本件のように、外注をしたにもかかわらず、それを社内工が行ったというような帳票を作成して官に提示したという例はいままでにはございませんでした。
  284. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、検査院にお尋ねするわけですが、現在の防衛庁のチェックのやり方ですね、そのような問題では十分であるというふうに考えていらっしゃるのかどうか、お尋ねいたします。
  285. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 御答弁申し上げます。  この問題は、会社側がそういう資料を提示するというふうな原始伝票の集計表というのがございますが、それにつける伝票を、社内工がしたような形の伝票を提出しているというふうな形で出しておるものですから、ただその集計表といいますか、言ってみれば机上のことだけでやりますと、その範囲の調査をやっていますと、なかなか発見は困難かと思いますけれども、私どもとしてはもう少し原価調査を徹底すれば発見できたのじゃないかというふうに思っております。
  286. 辻第一

    ○辻(第)委員 今後とも防衛庁としても十分チェックされるように、二度と再びこのようなことがないように厳しく要望して、次の問題に移りたいと思います。  次に、私は会計検査院法改正についてお尋ねをいたします。  朝からいろいろお尋ねがあったわけでありますが、現在、この検査院法改正についての作業がどのように進んでいるのか、もうめどが立っているのかどうか、官房長官にお尋ねをいたします。
  287. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今朝来申し上げておりますとおり、当委員会で再々の御決議もございまして、会計検査院の法改正に関する御意見と、行政部内の各省庁のそれについての意見、両方を内閣におきまして調整をしようと図っておるわけでございますが、今日までのところ、まことに遺憾なことでございますが、そのめどが立っていないという現状でございます。
  288. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうして進まないのか、めどが立たないのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  289. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ごく簡単に申しますと、関係各省庁、大蔵、農林、通産、厚生等の各省庁でございますが、政府関係の金融機関等から融資をいたします、そのことには行政上の目的があってのことであるが、融資を受ける先の、仮に中小企業あるいは農業等々が、自分たちまで新しく会計検査院という非常に厳格な検査機能を持っている役所の検査の対象になるということになれば、それらの人たちは十分帳簿等々の備えもない場合が多いので、したがってそのような政策融資を受けにくくなる。それによって行政目的が達成しにくいという点と、もう一つは、やや抽象的ながら、国家権力が私経済に及ぶ、その及ぶ範囲というものにはおのずから限定があってしかるべきであろう。この二つの関係省庁の主張のためでございます。
  290. 辻第一

    ○辻(第)委員 ことしの二月の委員会では、もう一つ、いわゆる肩越し検査で効果が十分上がっておる、こういうような考え方もあったと思うのですが、現在はそれはどうなっておりますか。
  291. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 関係省庁はそのことも申しておりまして、現在の法律のままでも所期の目的が達成されるのではないかということは引き続いて申しております。
  292. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、その調査を受ける側に心理的圧迫があって政策金融に支障が生ずる、こういうことが一番大きな原因であるようでありますが、検査院は、検査院法二十三条に基づいて民間に対する検査をどのぐらい行っていらっしゃるのか、また、それはどんな財政援助に関するものか、お尋ねをいたします。
  293. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  五十四年度分について申し上げますと、民間団体等に対する検査、これは会計検査院法の二十三条一項三号に基づきます財政援助団体に限定し、なお民間団体ということに限定いたしますと、農業協同組合を初め約三千七百件に上っております。
  294. 辻第一

    ○辻(第)委員 民間に非常に心理的圧迫になる、政策金融に支障が生ずる、こういうことでございますが、すでに一年間に三千七百件民間に対rる検査が行われておるというのが現状であります。  これに対して、いわゆる政策金融がうまくいかなかったという事例がたくさんあるのかどうか、お尋ねをいたします。
  295. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほどの会計検査院法二十三条一項三号に基づいて検査指定しまして検査したものと、先生がいまおっしゃいますのは恐らく融資先調査のことだろうと思いますけれども、融資先調査に関する関係の、何年度幾ら調査したかあるいは肩越し検査したかという点につきましては、実は統計をとっておらないわけでございます。しかしながら貸付金に関する、いわゆる政府出資法人が貸し付けをした際の検査報告として掲記いたしましたものは、いわゆる不当事項あるいは処置要求事項あるいは留意事項あるいは特記事項というような形で、従来検査報告に載せております。合計いたしますと、二十二年度以来、不当事項四十五件、処置要求事項八件、処置済み事項一件、留意事項四件、概説で注意いたしましたものが一件、特記事項一件、合計で六十件に相なるかと思います。
  296. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど私がお尋ねしたのとちょっと観点が違ったかもわかりません。とにかく先ほどの検査院法二十三条に基づくのはやはり強力な検査でありますが、今度の改正法案と申しましょうか、それは調査であるということでありまして、やはり緩いと思うわけであります。しかも、いろいろと約四点にわたる民間だということに対する配慮があるという点を考えても、私は政策金融がうまくいかないというふうにおっしゃるのは言い過ぎではないかというふうにどうしても思うわけであります。このような同種のものについて、より緩やかな調査権の規定で支障が生ずるとする具体的な根拠が乏しいのではないかと思うわけでありますが、その辺について少し説明をしていただきたいと思います。
  297. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、私、各省庁の行政の末端まで実は詳しくございませんので、各省庁の述べておりますことを御紹介を申し上げる能力しかないわけでございますけれども、中小企業者あるいは農民等々融資を受ける人々、その間に不正をやっておるということではないのであろうと思いますけれども、何分にも帳簿等々十分なものは持っていない、そういう場合は確かに多かろうと思います。本来ならば、だんだんそういうものは整備していくのが私は本筋であろうと思いますけれども、現実の問題としてはそうでないということになりますと、何がしかの融資を受けるためにそういうものの整備をしなければならない。それは恐らく、企業者自身にそういう能力がないということになれば、公認会計士であるとか税理士であるとかいうものも頼まなければならない。しかもそれらの人々は、どちらかといいますと家の会計と店の経理というものがともすると混同しがちな経営でございましょうから、外部の人を帳簿作成に頼むということになりますと、そういうところまで実は明かさなければならないというような問題が恐らくあるのであろうと思われます。そうしますと、それならばまあ金を借りるのをやめておくかということになって、結局政策金融の目的を達しがたい、こういう主張であろうと私は話を聞いて想像いたすわけでございますが、それらがどこまで真実の憂いであり、どの程度が杞憂であるかということについては、実は私自身十分に判断をする材料を正直を申しまして持っておりません。
  298. 辻第一

    ○辻(第)委員 その辺のところはもっとしっかりと把握をしていただいて、私はやはり検査院法を改正していただくという方向で事を進めていただきますように強く要望しておきます。  次に、肩越し検査で十分検査の目的が達せられているのではないかというふうにおっしゃるわけでありますけれども、一方、検査院は肩越し検査では検査の目的を達成できないというふうに言っておられるわけですね。この問題について検査院は具体的に実証されるべきではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  299. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  政府出資法人の融資先につきまして、検査権限のあるごく一部の法人分を除きましてはいわゆる肩越し検査実施しておりますが、ほとんどの場合、確かに融資先の協力により円満に検査実施されていると考えております。しかしながら、肩越し検査につきましては、基本的にはやはり限界があるわけでございます。それがこの会計検査院法改正の趣旨でございますが、肩越し検査はいわゆる検査の相手方の協力を前提とするということでございます。したがいまして、検査の目的を達し得るかどうか、あるいは効果的な遂行が可能であるかどうかといったことは、すべて相手方、いわゆる公社、公庫等でございますか、相手方の意向次第ということになりますので、私たちの行います検査に独立性がなくなるという点が一点でございます。  また、背後に権限を持って融資先に赴くという関係ではございませんので、調査官といたしましては、常に心理的なあるいは不安な状態に置かれまして、調査も遠慮がちになる、特に融資先におきます対応が非協力的な場合、もっと調査してみたいと思いましても調査をあきらめるということも起こってくるわけでございます。  こういった事情にありますので、ぜひとも改正が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  300. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま検査院からお話しになったように、やはり肩越し検査では十分な目的が達成できないときか多々あるということで、どうしても法的権限に基づく調査権が必要である、こういうことであります。  それでは、内閣は肩越し検査でも目的を達成できる、そういうような根拠が具体的にあるのかどうか、大変むずかしいかもわかりませんけれども、お答えいただきたいと思います。
  301. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも、どうも私が自分で体験がございませんので十分にお答えできませんけれども、いま会計検査院からお答えになりましたことが会計検査院としての御所見であるとすれば、やはり固有の権限を持っていない肩越し検査というものでは十分な目的を達し切れない、こう御判断になっておられる、それを、いやそんなことはあるまいと申し上げるほど、実は私に十分知識もございません。
  302. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変むずかしいことをお尋ねしたかもわかりませんけれども、しかし、再々この決算委員会でも、あるいは院でも決議がされておる重要な問題でありますから、官房長官としてはもっといろいろと、忙しいでしょうけれども、この問題について積極的に努力をしていただきたい。いまのお話を聞いておりますと、本当にやる気があられるのかどうか、私は非常に疑問に思うわけでありますけれども、そういう点で一層の努力をしていただきたい、何としてでも検査院法を改正するために御努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  最後に、検査院の案では、国、公社の工事以外の役務などの請負契約の相手方についても検査対象とする項目があります。これについては内閣はどのようにお考えになっているでしょうか。
  303. 角谷正彦

    ○角谷説明員 非常に事務的、技術的な話でございますので、私からかわってお答えさせていただきたいと思います。  お話の趣旨は恐らく検査院法の二十三条第一項第七号の「国又は公社の工事の請負人及び国又は公社に対する物品の納入者のその契約に関する会計」というところを、工事以外の請負等でも広げたらどうか、こういう御趣旨だと思いますが、この点について私ども一般的にお答え申し上げられるだけの立場しかございませんが、このときの検査院法等の解説書等を拝見いたしておりますと、原則として会計検査院の機能というのは、国あるいは公社あるいは国の出資している法人というところに直接的に検査の権能を及ぼす、これは当然でありますけれども、それ以外のものにつきましてどの程度まで国家権力が介入できるかということだと思います。それにつきましては、当時の解説書等拝見いたしますと、国または三公社の行う契約の真実性とか妥当性を把握するためには取引の相手方も検査する必要がある場合がある、ただ、すべての取引の相手方を検査対象とすることは、検査院が余りにも強力な権能を有し過ぎるきらいがあるので、契約の主要な部分を占めるところの工事請負及び物品購入について相手方の契約に対する会計を任意に検査することができるようにしたのだ、こういうふうに解説書においてはなっているわけでございます。そういった意味で検査院の検査のこの規定といいますのは、いわば国または公社の検査を補う意味で、その主たるものに限って特に権限を拡張してやる、こういう性格を持つものではないだろうかというふうに思うわけでございます。そういった意味で、工事以外の全般の契約にまでこれを拡張するということにつきましては、いろいろお立場はあろうかと思いますけれども、国家権力がどこまで介入できるかといったふうな点から言って、慎重に検討されるべき課題ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  304. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは最後に、今度は政府出資法人の契約については数多くの問題点、不当事項指摘をされているわけでありますけれども、政府出資法人の契約の相手方について調査できるようにするという項目は当然だと思うわけでありますが、この点についてのお考えをお尋ねいたします。
  305. 角谷正彦

    ○角谷説明員 お答え申し上げます。  国または公社につきましては、先ほど申し上げましたように、工事の請負契約あるいは物品契約につきまして特に検査権限が拡張されている、あるいは補助金等行いました場合にそういった任意検査の対象になっているということでございますが、それ以外の公団等の政府出資法人の業務でございますが、これは国の行政機関が担当するよりはむしろ独立の法人に担当させた方が、行政能率とか経営の自主性、弾力性、そういったことから言ってベターであろうというふうなことで、公社または国とは違った制度になっておりまして、一般的に公団、事業団等につきましては、その事業の認可予算等につきましても主務大臣の許認可にかかわらしめている、こういった制度になっているわけであります。  ところで、こういったところに対しますところの主務大臣の監督権を見てみますと、一般的には公社、公団の契約の相手方まで主務大臣の監督権は及んでいないといった問題がございまして、先ほど肩越しというふうなお話もございましたけれども、必要があれば公社、公団を通じましてそういった契約の相手方に対する権能も間接的にしか及ばないというふうなことになっております。そういった意味で、検査院法を直接、主務大臣の直接的な監督権も及ばないそういった分野にまで、主務大臣の監督権を飛び越えて検査権限を持つということは、やや法体系上から言ってもいかがなものであろうかというふうに考えておるわけでございます。
  306. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、いま会計検査院の機能や権限の強化ということは本当に大きく望まれている問題であります。重要な課題であると思います。内閣とされましても、どうかこの法案の改正についてもっと積極的に努力をされることを強く要望して、私の質問を終わります。  御苦労さまでした。
  307. 國場幸昌

    國場委員長 田島衞君。
  308. 田島衞

    田島委員 与えられた時間が大変少ないものですから、特にこの不当事項支出に関するものの中で、特にまた予算経理に関する点について尋ねたいと思いますが、質問する方もできるだけ時間をとらぬように短い言葉でお聞きしますので、お答えの方も要点だけをとらえて簡単に答えていただきたいと思います。  まずその一つは、いわゆる架空名目による旅費、会議費等の支払いを受けてそれを別途に経理してほかの方の使途に使った、この行為は確かに不当行為の中に入るでしょうけれども、もっと具体的に言うと、その不当行為の中のいかなる性格の行為だと考えられるか、お答えを願いたいと思います。
  309. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、いわゆる架空名義による旅費等の関係の指摘に対して、これは私どもは、不当事項の態様といたしまして、いわゆる架空の名目によって支払いを受けた旅費等を別途に経理した場合はいわゆる経理の紊乱という点に着目いたしまして予算経理というような区分をしているわけでございます。
  310. 田島衞

    田島委員 そういう答弁があろうかと思ったから要点をとらえてお答えを願いたいと言ったのですけれども、その予算経理に関するものであるということは言われなくともわかります。そうでなくて、いやしくも実際の行為というのは会計法、国家公務員等の旅費に関する法律、それらに違反していることは間違いない、さらにまた公文書偽造であるとも言える、これは単なる不当行為ですか、どうですか。
  311. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  もちろん会計検査院法に求めております予算に違反しあるいは法令に違反するという行為でございますが、何といいますか、私ども不当事項の中で不正行為として位置づけておりますのが、個人が領得した場合、いわゆる公金の領得行為があったという点に着目して、そういった場合は不正行為というふうな形で区分しておりますけれども、本件につきましては経理の紊乱という点に着目いたしまして予算経理という区分をいたしておるわけでございます。
  312. 田島衞

    田島委員 そういう物事の考え方で会計検査できますか。明らかに法律に違反した行為でしょう。違法の行為でしょう。違法の行為をそのような、いまお答えのようななまぬるい考え方でやってそういうことが直ると思いますか。
  313. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  私たちが不当事項として挙げておりますのは、そういう法令違反あるいは予算違反というものをすべて挙げているわけでございます。そして、その区分として租税でございますとか、これもいろいろ内容があると思います、保険工事、物件、補助金、そういった分類をしているということでございます。
  314. 田島衞

    田島委員 一生懸命言いわけする気持ちはわからぬではないけれども、個人が領得していないものは問題はないのだというような説明の仕方もされていますけれども、この一連の事実の中には個人が領得しているものもある、それはみずから会計検査院が認めているのじゃないですか、その点はどうですか。
  315. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  予算経理の中におきまして個人が領得したというのは、私はちょっと存じておらないわけでございますが……。
  316. 田島衞

    田島委員 私がしゃべっていると時間ばかりとられてそれで終わりになっちゃいますから、後でよく調べてみてください。私が言っているのじゃなくて会計検査院みずからが報告の中で書いているところですから、もう一回よく初めから終わりまで読んでみて、そういう事実があるかないかもう一回調べてみてください。私の質問の時間が終わったって事実は消えないですから。  では続いてお伺いしますけれども、たまたま会計検査院が調べたのは環境庁それから防衛庁、通産省、国鉄、鉄建公団、六件ですけれども、これが六件にとどまっているかどうか。おおむねこういうこと、少なくとも複数以上の省庁にわたるこのような事実というのは、極端に言えば全省庁にわたっていると思って間違いない。恐らく全省庁について検査されたわけじゃないから、検査した限りではこれだけだと言い得るでしょうけれども、検査院長さん、こういう事実がある場合には、この見つかった六件だけだとお思いになりますか、ほかの省庁にもあり得ると思いますか、どうですか。
  317. 知野虎雄

    知野会計検査院長 会計検査の結果につきましては、これは実際の検査に基づいて申し上げていることでございまして、推測をもって申し上げることは差し控えます。今後もこういう事態が発見されれば不当事項として掲記いたします。
  318. 田島衞

    田島委員 確かにそれは事実がなければ言えないでしょうけれども、しかし、たとえば五十三年度決算、その検査の結果五十二年度からあるということが発見されておる、だけれども五十二年度決算の中には、検査の結果その事実を発見していない、この事実をもってしても、検査院が発見しないことでも事実はあったということになりますな。その五十二年度も、果たして五十二年度からかもっと前からか、これも推測の域は出ないけれども、会計検査院そのものも、いや絶対にその前にはないはずだとも言えないはず。それからまた、同じように、いまの問題について仰せですけれども、この限られた六件以外には、ほかの省庁には絶対ありませんとも言えないのじゃないですか。どうですか。
  319. 知野虎雄

    知野会計検査院長 ただいま申しましたように、推測をもってないとかあるとかは言えないという意味で申し上げたわけでございまして、私どもが検査をいたしました限りにおきましては、昨年はこの六件でございました。今年度検査におきましてどういうものが上がってまいりますかは五十四年度決算検査報告をもって御報告をいたします。
  320. 田島衞

    田島委員 明らかに会計検査院そのものも、会計法や国家公務員の旅費等に関する法律に違反しておるということを認めておるわけですね。言うならば、そのような違法の事実があったことに対して会計検査院はどのような意見を与え、表示され、そしてどのような処置を求めたか、お聞きします。
  321. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 ちょっといまの御質問、もう一回いただけませんでしょうか。
  322. 田島衞

    田島委員 たった十三分しかもらってないところへ、人の聞いておることを聞いておらぬでそういうふうにやられたら時間がなくなってしまうのですよね。もう少しよく聞いておいてくださいよ。皆さんが真剣になって検査した結果を発表し、それに対してこちらは聞いているのですから、本当だったらこういうことを聞くつもりかなと先にちゃんとわかったっていいくらいです。  もう一回言います。要するに、明らかに違法の行為だと思うのです。しかも作為に基づくものですから、そのような一連の行為、しかも六省庁にわたる行為に対して、会計検査院としてはその事実に対してどのような意見の表示をし、どのような処置を求めたかと聞いているのです。
  323. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  検査報告に掲記しまして警告を発するというのが第一点でございます。  それから、これらについて予算執行職員等の責任に関する法律等に基づきまして、いわゆる検定それから懲戒処分、そういった点も検討いたしたわけでございます。
  324. 田島衞

    田島委員 検討したかどうかじゃなくて、検討した結果どうなったのですか。
  325. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  検討いたしました結果、国損と認められるものにつきましては、一応検定の段階におきまして相手方がこれを返納した、それから懲戒処分の要求関係でございますが、これはすでに関係省庁におきまして処分済みでございます。
  326. 田島衞

    田島委員 いよいよ時間がなくなってしまいましたが、五十三年度決算検査報告書の三十五ページに「本件経理はいずれも会計法、国家公務員等の旅費に関する法律等に違反して不正に資金をねん出し使用したものであって、」云々と書いてある。みずからそういうふうに検査の結果明らかにしたところについて、昭和五十三年度決算検査報告中、特に重要な事項説明という中には「意見を表示し又は処置を要求した事項」の中に入っていないのです。ではみずから各省庁が何か改善処置を講じたのかというと、そっちにも入っていない。大変経理が紊乱しておる、違法の措置である、そういう指摘をしながら、しかもなおそれについて何ら意見の表示をせず、処置も求めず、あるいは求めたかもしれないけれども明らかにしない。それはどういう意味ですか。
  327. 知野虎雄

    知野会計検査院長 ただいまの不正経理につきまして、法律に違反しておるということは明瞭でございます。そのために会計検査院はこれを不当事項として検査報告に掲記したわけでございまして、まずこれをどうするかというのはそれぞれの省庁において対応すべき事柄でございます。処置を要求するあるいは処分を求めると申しますのは、実は会計検査院法第三十四条に書いてあることでございまして、不当事項というのはそれよりもさらに明瞭に、これはもう許されないということで検査院が不当事項として検査報告に掲記することでございます。
  328. 田島衞

    田島委員 答弁に満足しませんが、時間がありませんから、それを守ってやめます。
  329. 國場幸昌

    國場委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会