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國場委員長 昭和五十二年度
決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、各位のお手元に配付をいたしております。
これより議決案を朗読いたします。
議決案
昭和五十二年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
本院は、毎年度
決算の審議に際し、
予算の効率的執行並びに
不当事項の根絶について、繰り返し
政府に
注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実が上がつていない点があるのはまことに遺憾である。
一
昭和五十二年度
決算審査の結果、
予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていない事項が見受けられる。
左の事項がその主なものであるが、
政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を
報告すべきである。
1 国の
機関の一部及び
公団・
事業団等の
特殊法人・特に日本鉄道建設
公団、国際電信電話株式会社等において、幾多の経理上の
問題点が
指摘され、
予算執行に対する国民の不信感を招いたことは誠に遺憾である。
不適正な経理は手段、方法、
金額の多少にかかわらず許されない行為であり、厳に慎まなければならないことである。
政府は、この際、勇断をもって綱紀を粛正し、
予算執行の適正化を図り、いやしくも国民の疑惑を招くことのないよう措置すべきである。
2 本院が年々議決しているように、会計
検査の充実は刻下の急務である。
政府は、昨年来、
法改正の是非を含む
会計検査院の
検査機能の充実強化についての検討を行つてきたが、いまだに結論が出ていないのは遺憾である。引き続き検討の上、早急に結論を出すべきである。
3
行政改革については、昨年以来決定されてきた諸計画の着実な実施を推進するとともに、今後は
行政改革の本旨に沿って
事務・
事業の整理合理化に一段と努め、行政経費の節減を図り、もって
財政再建にも資すべきである。
また、
特殊法人については、そのあり方を検討するとともに、いわゆる
天下りの規制など
役員の
人事運用の厳正化、給与及び退職金の
見直し等に努めるべきである。
さらに、
認可法人については、その
監督を強化すべきである。
4 日本
中央競馬会の経理については、種々の
問題点が
指摘された。特に、場外馬券発売所に対する建設協力金、賃借料の支払い、その他
中央競馬会の業務及び経理について、さらにまた、日本発馬機株式会社等競馬会の
出資会社の
実態に関して、今後、十分調査検討の上、必要な改善措置を講ずべきである。
5 実験用静止通信衛星あやめ二号の打ち上げが、一号に続いて失敗したことはまことに遺憾である。
政府は、その原因究明に全力を尽くし、その結果を今後の宇宙開発に反映させるとともに、これを契機に、自主技術の早期確立を図るべきである。
また、国損を極力抑えるため、保険の活用等も検討すべきである。
6 直轄の灌漑排水
事業及び干拓
事業の中には、大規模
事業で大幅に
事業の進捗が遅れているもの、地元との調整がつかないため中途で
事業を休止しているもの、
事業は完了したが土地配分が行われないため負担金を徴収できないもの等がいくつかある。
事態解決のためには、何よりも地元との密接な接触が必要であり、今後とも一層事前に地元
関係者等と十分調整を図つて、確実な見通しのもとに
事業を開始すべきである。
7 国庫補助により全国の港湾三十九ケ所に設置した廃油処理施設の中には稼働率が極めて低いものがある。
政府は、船舶からの廃油の不法な投棄の防止に努めるとともに、これらの廃油処理施設が有効に活用されるよう適切な指導を行うべきである。
8 日本国有鉄道では、多額の資金を投じて導入した近代化省力化のための設備で長期間にわたり稼働率が著しく低い例がある。
当局は、今後の設備投資に際して見通し、対応策についてきめ細かな配慮をするよう努めるとともに、既に導入した機械の活用計画を樹立するなど、受け入れ体制を整備して効果を上げ、国鉄
経営の再建に資すべきである。
9 公害健康被害補償制度の地域指定に当たっては、窒素酸化物の濃度と健康被害との因果
関係を究明し、その結果を考慮すべきである。
また、公害保健福祉
事業については、依然として年々多額の不用額を出しているが、
事業内容の質的充実及び運用方法の改善等により、実施率の向上を図るべきである。
二
昭和五十二年度
決算検査報告において、
会計検査院が
指摘した
不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような
不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三
決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
政府は、今後
予算の作成並びに執行に当たっては、本院の
決算審議の経過と結果を十分考慮して、
財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。
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