○村山(喜)
委員 だから、そういう意味において、さっき長官は、研究投資の割合は余り高くないとおっしゃる。それはなるほどそうです。
科学技術全体の
予算を見てみますと、確かに外国に比べて、国民所得に対する比率は二・一%から二・一五%
程度で、必ずしも高くないですね。だから、これを三%
程度に引き上げたいという気持ちをお持ちになることはよくわかります。理解ができます。
しかしながら、原子力は、平和
利用という名において、もう二兆円余りの金をつぎ込んできているという客観的な事実。しかもサイクルの問題は、高レベル、低レベルの廃棄の問題まで含めて、まだ完結を見ていないわけでしょう。そして、あと原子炉のそういう廃止をした際の
技術、あるいは経費というようなもの等の積算もできていない。こういう意味では、
科学技術庁のあり方の問題から考えまして、どうもビッグサイエンスに偏り過ぎているんじゃないか、もっと国民に身近な役所として存在をしてもらうためには、ここら辺で現在のシステムというものを見直しをする
段階に来ているんじゃないだろうか、私は
予算をながめながら、また、最近の国民のニーズにこたえるために
科学技術はどうあるべきかという点を考えてまいりますと、そういう気がしてなりません。
そこで、私は、さっき長官がいみじくも言われました
四つの目標というものについて、さらにただしてまいりたいと思うんですが、通産省が五十六年度に対する
技術の問題を取り上げたのがございます。要約して申し上げますと、
技術立国の道を目指してわれわれはがんばるんだ、そして次の世代の
産業を創造する
基盤的な
技術、それから
エネルギー制約を克服する
エネルギー技術を
中心にして、創造的な自主
技術開発を行って
世界最先端の独自
技術を確立するんだ、こういう大変雄大な
一つの目標を持ちながら
予算要求を行い、政策を進めていこうとしているわけですね。それはそれなりに、
一つの方向として価値あるものだと思うんです。
そこで、私がお尋ねをいたしたいのは、
科学技術庁の場合は
科学技術白書——私も
科学技術の
委員になりましたけれ
ども、なかなかもらえませんでしたので、持ってきてくれないかということでもらいまして、これを見てみたんです。そうしたら、まあいろいろ書いてございます。
「
科学技術の革新的な飛躍を図るためには、」
基礎科学の振興や創造的な人材の育成などで「自主
技術開発力を高める必要があろう。」「ある」じゃなくて、「あろう」です。「自主
技術開発によって、我が国の特性に適合し
国際協調にも資する独創的な
技術を
開発し、経済
発展の原動力とするとともに国際的なバーゲニングパワーとする「
科学技術立国」の推進が八〇年代には特に要請される。」——「要請される」です。
ここで取り上げていくのは、五十二年の
科学技術会議第六号
答申「長期的展望に立った総合的
科学技術政策の基本について」というのと、五十五年の通産省の「八〇年代の通産政策ビジョン」、それから五十四年に行った
科学技術庁の「
民間企業の研究
活動に関する
調査」を取り上げてみることにする、こういうふうに書いてあるわけですね。
だから、非常に客観的にと言えば客観的にしか書いてないわけですが、五十二年の
科学技術会議の第六号
答申というもの、これは
科学技術の最高の諮問機関だそうですから、それを受け継いで、いまの時点においても、これからやっていくのだというとらえ方だろうと推測をするよりほかにないような記述の仕方ですね。
そうなりますと、これから「
期待される
科学技術の
進展」は、八つほど挙げてあるその中で、一体
科学技術庁としては、さっき大臣がおっしゃったそういうようなものの
要求をこの白書の中からくみ取って、そして来年度の
予算に対する
要求の柱というものを
科学技術庁自身としても持っていらっしゃらなければおかしいと思うのですが、そういうようなことで、八〇年代における
科学技術庁としてのビジョン、方向性は一体どういうことをお考えになっていらっしゃるのだろうかということが読み取れないものですから、
科学技術庁の八〇年代の方向性というものは、この
委員会等を通じて、どういうような方向で進めていこうとお考えになっていらっしゃるのですか。さっき大臣が要約されたそれでいいのですか。再度お尋ねします。