○山原
委員 詳しく
説明していただきましたが、その判断の問題がありまして、一応いまおっしゃった動燃
事業団の資料も含めて、四つの資料を
もとにして、私はこういうことを申し上げたわけです。だから、判断をする場合に、これはもう心配ないとかいうようなこと、それは判断の問題ですから。
でも、御承知のように、「地震と活断層の本」の中を見ましても、たとえばA級活断層、B級活断層——C級といういまおっしゃったような非常に弱い活断層が、明治以来の十の活断層地震の中の半分を占めている、こういう資料も出ているわけでして、これは決して軽視すべきものではなくて、特に高速増殖炉の場合に、これについては十分な
検討をすべきだと思います。したがって、さらに
調査をされまして、そういう、いまおっしゃったように、一応私が言いました断層破砕帯の問題については認められておって、そしてなおかつ心配ないんだという判定を下されておりますが、たとえば
アメリカの例を見ましても、相当厳しくやっているんですね。もう中止をさせたり、あるいは十二・五マイル以上離れることとなっておりまして、活断層から十二・五マイル、二十キロ離れたところでなければだめだということまで言う
状態から比べますと、これについての
調査あるいは判断を求める場合の専門
委員会の三名の先生方を初めとして、さらに
検討して、県が安心するような事態をつくることが私は設置者としての任務ではないかと思うのです。だから、福井県議会はこの九月二十九日に、高速増殖炉
推進についての陳情を否決しているのです、お聞きしますと。
そういうことから考えましても、いまおっしゃったような御
説明はされましたけれども、私も専門家ではありませんからしっかりと腹へまだ入りません。ましていわんや、福井県の現地のさまざまな心配しておる方々に対して、果たしていまの御
説明で納得させられるかどうかという問題があるわけですからね。その点で、
最初に
長官にもお聞きしましたように、
安全性、地震に対する耐震性の問題は大事だ、
長官もそうおっしゃっておるわけですから、この点につきましてはさらに
調査検討を加えていただくように強く御要請を申し上げたいと思います。
次に、もう
一つの原発誘致問題についてです。これは大変恐縮ですけれども私の県でございますが、高知県高岡郡窪川町というところがございまして、ここではいま原発問題をめぐって大変な事態が起こっておるわけでございます。
これは簡単に
説明しますと、四国電力との関係でございますけれども、窪川町の隣の佐賀町というところへ、昭和五十一年に原発問題が起こりました。——
事業団の方、どうも済みません。ありがとうございました。なおよろしくお願いします。
ところが、大騒動になりまして、町の中にも特別
委員会を設置するなどということになって、町民大会も開かれる。ところが、これがいつの間にか立ち消えになるわけです。そうして今度は、四国電力の山口さんという社長が、四国の太平洋岸に原発設置の構想があるという発表を昭和五十三年十月にいたしまして、にわかに隣の町である窪川町原発問題が発生をしてくるわけであります。そして本年の六月の町議会におきまして、町長さんが、原発の誘致もあり得るという発言をいたしておるわけであります。
実はこの町長さんが町長さんになる前は、原発は誘致しないということを公約として出されているわけでございますが、誇致もあり得るという発言になりますと、次に原発
研究会というのがこの町につくられまして、そしてこの八月に署名運動が始まるわけです。それは、
立地調査を四国電力に要請する、言うならば設置者に
立地調査を要請するという中身でございますからこれ自体もおかしいんですが、一万三千人の有権者のうち何と一挙に九千五百五十七人の署名を集めるという事態が起こりました。これに対して、この原発設置に反対する連絡会がその後生まれまして、七千五百の署名が集められました。町の有権者が一万三千人ですから、数字が合わないわけですね。九千五百と七千五百と合わせたら数字がはみ出るわけです。そうすると、どういうことかといいますと、いわゆる
立地調査を要請する署名をした人が、今度は三千人が反対の署名もしておられるという事態が起こったわけでございます。
そして、これまでにどういうことがあったかといいますと、佐賀の原発が中止になった後約五年から三年の間に、四国電力がいわゆる招待旅行というのをやるわけです。何とこの数が町民を三千六百人、招待旅行として県外へ案内をするわけであります。しかも、これはいまも続いておるわけです。これはどういうかっこうでやるかといいますと、各地区に募集者をつくります。その募集者というのは、四国電力の社員の御家族であったりあるいは地域の有力者といいますか常会長さん、民生
委員さんあるいは農業
委員、いわば非常勤の公務員みたいな人たちが署名を集める中心になります。その背景には観光会社とゴルフ場の経営者がおるわけでございまして、バスに積みまして三十人、四十人単位で連れていく先は、愛媛県の伊方原発が大体中心です。それから、遠く福井県の美浜の原発、ここなどは幾ら少なく見積もっても二泊三日くらいはかかるわけですね。そして、その間に食事、宿料あるいは夜になれば一杯出るというようなことが長期にわたって行われているわけです。言うならば一種の買収行為ですね。住民は全く
責任がないわけでございます。いまの観光ブームの中でどこかへ行こうといえば、お金も要らないということならば行くのはあたりまえなんです。そうしてこれが一種のわななんです。
私に言わせれば、これはクモの巣へひっかけて、次第にクモの中心へ住民を連れていく一種のわなだ、こう私は思っているわけでございますが、そのバスには電力会社の職員が乗りまして、この窪川町は財政が厳しい、だから原発をつくってそれによって救われるというようなお話もされるわけでございます。こういう形でずっと続いてまいりまして、結局今度のような事件が発生をしまして、町議会は先日、
立地調査を四国電力に要請をするという決定を多数決でいたしたわけであります。
ところが、実はそのいわゆる
立地要請の署名、言うならば賛成署名と後で変化するわけでありますけれども、その中心になった発起人の方が五十九名おいでになります。ところが、五十九名のうち九人の方がこういう申し入れ書を町長、町議
会議長に出すわけです。
それを読んでみますと、この九名の方はそれぞれ町における有力者の方たちでございますけれども、「私たちもこの問題については設置の可否を考える前提として、
調査研究は必要であるという立場から窪川原発
研究会が実施した「
原子力発電所立地問題に関する請願書」に署名しました。ところが私たちのこのような考えに反し、この請願書が
推進という立場に置きかえられ、また報道されているのは全く心外の至りであります。
立地調査を四国電力に依頼するという請願は、これが採択されるならば、多くの請願者の意志に反し、誘致
推進に道をひらくものであることが、三日間の特別
委員会で明かになりました。現在、この問題を正しく解決する道は、町民すべてが合意できる道を議会ならびに特別
委員会がえらぶことであります。」という、この切々たる申し入れ書を、先頭に立っておった方がするという事態が起こっているわけであります。
なぜ長々とこんなことを申し上げたかと申しますと、私は、伊方原発のときにもこの
委員会で取り上げたことがございます。あのときには、四国電力は
最初、伊方の用地買収に当たって、火力
発電所をつくるということで買収が始められて、買収がほぼ終わったときに、いや、実は
原子力発電所だということになって、伊方問題はあれから紛糾が続いておるわけです。そういう
一つのケースをここで取り上げたことがございますが、今度の場合は、これとはまた手口を変えました新しい、住民の意思を反映する
状態を相当周到な用意の
もとに、しかも相当のお金を使ってやられているということを感じたわけであります。
こんなことをやられますと、結局だれが
責任者かといいますと、町長さんに言わすと、町議会が決定したから私はやるんだ、こう言う。町議会に言わすと、何だ、町民が請願書を出してきたかち請願を採択しただけじゃないか。さらに四国電力に言わすと、町が県を通じて
調査をやってくれと言ったからやるんだ、こうなる。結局、町民が一番悪いということになるわけですね。実に巧妙な手口の原発誘致作戦といいましょうか、そういうものだと思うのです。
町民の間には、素朴に賛成する人、反対する人がおっていいわけですから、それに対して、本当に
安全性の問題とかあるいは実際に原発が来た場合にはどういうふうになるのだというようなことをお知らせして、住民のコンセンサスを得るとかというような
努力が続けられるならばいいのですけれども、私はこれはやり過ぎだと思うのです。こういうやり方でやる原発誘致作戦というのは、何と考えても住民を欺瞞するやり方だと考えざるを得ません。
きょうは通産省からもお見えくださっておると思いますが、こういうことに対してもっと正常な形で、原発をやるならばやるやり方があると思います。この点について通産省、私の話を聞きましてどういうお考えを持つか、
最初に伺っておきたいのです。