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1980-10-23 第93回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年十月二十三日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 小沢 貞孝君    理事 阿部 文男君 理事 上草 義輝君    理事 高橋 辰夫君 理事 上原 康助君    理事 島田 琢郎君 理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    小渡 三郎君       川崎 二郎君    高村 正彦君       中村正三郎君    伊藤  茂君       小林 恒人君    松本 幸男君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       柿澤 弘治君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君  出席政府委員         沖繩開発政務次         官       岩崎 純三君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖繩開発庁振興         局長      海原 公輝君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         中小企業庁計画         部長      中澤 忠義君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部施設調査官  梅岡  弘君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       千秋  健君         防衛施設庁施設         部施設企画課長 前田 栄三君         外務省北米局安         全保障課長   丹波  実君         農林水産大臣官         房地方課長   長野不二雄君         農林水産省経済         局保険業務課長 湯浅 昌治君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     長野 孝夫君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      小坂 隆雄君         農林水産省農蚕         園芸局畑作振興         課長      畑中 孝晴君         農林水産省食品         流通局砂糖類課         長       岩崎 充利君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     堀田 俊彦君         運輸大臣官房審         議官      山下 文利君         運輸省航空局監         理部監督課長  近藤 憲輔君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 平井磨磋夫君         運輸省航空局技         術部運航課長  石井 俊一君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       岡  利定君         労働大臣官房参         事官      田代  裕君         建設省河川局防         災課長     川合 恒孝君         建設省道路局地         方道課長    山科 喜一君         日本国有鉄道旅         客局荷物課長  岡村 毅郎君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十六日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     榊  利夫君 同日  辞任         補欠選任   榊  利夫君     瀬長亀次郎君     ――――――――――――― 十月十六日  嘉手納基地爆音被害防除等に関する陳情書  (第七一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 小沢貞孝

    小沢委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  まず、去る九月二日から五日まで四日間にわたりまして、沖繩振興開発計画実施状況及び沖繩県が当面いたしております諸問題につきまして、現地実情調査のため派遣されました委員を代表いたしまして、私からその概要を簡単に御報告申し上げます。  御承知のように沖繩振興開発計画は、本土との格差を是正し、自立的発展基礎条件整備するという目標のもとに、公共事業を初めとしてもろもろの事業が進められてまいりまして、本年度はちょうど九年目を迎えているわけでございますが、この間、道路、港湾、空港及び教育施設等、いわゆる社会資本整備といったハード面におきましては、おおむねその目標を達成し、あるいは達成しつつあるように思われるのでございますが、一方、社会福祉、保健・医療の問題等県民生活環境整備といったソフト面につきましては、本土と比較していまなお相当の立ちおくれが認められますし、また、農業基盤整備を初め、その他の産業基盤整備などにつきましても、今後ともさらに積極的な施策を進める必要があるように思います。  今回、沖繩本島におきましては、市立病院としては沖繩では初めて設立されたという那覇市立病院、中城湾港の建設予定地を初め、屋我地土地改良区、福地ダム飼料穀物共同サイロ泡盛貯蔵施設等、また、宮古島におきましては、上野村土地改良区、皆福地下ダム、宮古少年自然の家及び池間島架橋予定地下地島空港ミナミクロダイ養殖場等を視察してまいりました。  最後に、沖繩県が当面する諸問題のうち、特に沖繩電力電気料金値上げの問題につきましては、この値上げが申請どおり認可されるとなれば、県民生活はもとより、沖繩産業経済全般に多大な打撃を与えることは必至であるという点で、各党派遣委員全員の意見が一致いたしましたので、この問題について、政府は十分慎重に配慮し、なお今後の沖繩電力に対する助成策についても、一層の強化を図るよう政府に申し入れることにいたしまして、去る九月十日及び十一日に、宮澤内閣官房長官田中通商産業大臣及び中山沖繩開発庁長官その他資源エネルギー庁長官等に対しまして、要望書を提出してその善処方を要請した次第でございます。  なお、調査の詳細及び現地要望事項等につきましては、調査報告書として第九十二回国会の本委員会会議録附録に掲載してございますので、ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告いたします。     —————————————
  3. 小沢貞孝

    小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渡三郎君。
  4. 小渡三郎

    小渡委員 質問をいたします前に、委員長を初め特別委員会皆さんやそれから開発庁長官初め開発庁皆さんが、沖繩問題に対して熱意を持ってお取り組みいただいていることにまず感謝をいたしながら、二、三の点につきましてお尋ねをしてまいりたい、このように思っております。  まず、第一点でございますが、時間が限られておりますので、できるだけ簡明にひとつお答えをいただきたいと存じますが、沖繩軍事基地米軍基地または自衛隊基地についてでございますけれども復帰と同時に適用された法律には、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律がございます。これは有効期間が五年でございましたけれども、五十二年五月十五日以降継続的にこれを使用するという前提に立ちまして、政府としましては期間の延長を必要として、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地位置境界明確化等に関する特別措置法の立法を見たわけでございます。この法律によりまして、その附則第六項で、沖繩における公用地暫定使用法の第二条第一項のただし書きの五年をさらに五年延長するということになったわけでございますが、五十七年五月十四日にはこの法律の期限が参ります。  そこでお尋ねをするわけでございますが、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律は期限切れがいま迫っているのだけれども施設庁としてはどうお考えであるのか、その辺をまずお尋ねいたします。
  5. 梅岡弘

    梅岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生質問沖繩自衛隊あるいは米軍施設の用に供しております土地使用権原の問題でございますが、御指摘のとおり、暫定使用法あるいは地籍明確化法によりまして、五十七年五月十四日まで使わしていただくという形になっております。おおよそのところただいまから約一年半後でございます。  私ども沖繩復帰以来、土地所有者方々にいろいろ御説明申し上げまして、当初、復帰の際に約三千件近い契約の未同意がございましたが、昨日現在で自衛隊米軍施設合わせまして約二百件余りの未同意を残すという状況になっております。私どもとしては、残された一年半の間にこれらの方々になお引き続いて事情を説明し、目的必要性というものを御理解いただいて契約努力をいたす所存でございますが、それと同時に、米軍の方にも交渉いたしまして、米軍の方で支障は生じるがやむを得ないというものについては、部分的な返還措置もあわせて考えていきたいと思います。ただ、そういったこれまでの措置だけではなくて、現実使用権の取得が最終的にできないという事態になりますと、条約義務の履行上ゆゆしい問題が生じますので、私どもとしては最終的には駐留軍用地特別措置法、そういった法律に基づく使用手続をとることも考えざるを得ない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  6. 小渡三郎

    小渡委員 これはいま御説明がありましたように、未契約地主と言うのでございましょうね、これがあと二百件ばかり残っているというのだけれども復帰のときから今日までの移り変わりを見ますと、大変な努力の跡を私ども知ることができるわけです。いわゆる契約をしようという考え方に立つように施設庁を初め皆さんが御努力をなさった跡がそこにありありとわかるのでございますけれども、最終的にはやはりゼロになることが一番望ましいのでございます。それは思想、信条上等の問題がございまして、土地の確認は一応認めても、判を押すということになると非常に抵抗があるということは感ずるわけでございますけれども、そういうような場合、やはり地位協定実施に伴う土地使用特措法の適用ということになりますと、言うなれば土地収用でございますね、そうするとかなり時間がかかると思うのですよ。したがって、いろいろその手続方法はあろうかと思いますけれども、少なくとも年内にはそういう見通しなどを立てて準備をしていくということがなければ、私はこれはまた前回と同じような空白という問題が起きやしないかということを危惧するわけです。空白という状態が起きることは、いたずらに県内において混乱を起こす要因にもなるわけですよ。適切な措置がいかに大事であるかということを私は前回に体験をいたしております。したがって、そのスケジュール等について、大まかで結構です、余り詳しくおやりにならぬで結構ですから、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  7. 梅岡弘

    梅岡説明員 前回の五十二年の五月の時点では、沖繩現地を中心といたしまして、立場はいろいろなお立場の方がございましたが、総体として私どもの不手際のためにいろいろな形で御迷惑をかけた事態があったことは事実でございます。そういった意味で、そうした混乱を極力排するという形で、私どもとしてのとり得る措置を極力御理解を得つつやらざるを得ないわけでございますが、そのスケジュールと申しますか、いわゆる駐留軍用地特別措置法、これは大部分土地収用法手続を準用しているわけでございますが、現実全国各地における幾つかの例あるいは沖繩におきます例等を見ましても、収用委員会審理等で実際一年余りを費やしている、これは現実としまして長いもの短いものございますが。その前に私ども駐留軍特措法の場合には認定申請というのがございまして、内閣総理大臣認定という手続がございます。そういった収用委員会に持ち込む前の手続考えましても、半年ぐらいかかります。そういたしますと約一年半というもの、つまり先ほどの御質問で五十七年の五月まで一年半ございますと申し上げましたが、まさに一年半、もうそろそろこの時期に政府としての態度を考えなければいけなくなっているというのが実情でございます。
  8. 小渡三郎

    小渡委員 いまお答えでよくわかりましたけれども混乱を起こさないように、よく話し合いながら目的を達成するように努力をしていただきたいと思います。  政府は、この日米安保条約支障を及ぼさない範囲内で基地整理統合を進める方針で、第十四、十五、十六回の日米安保協議委員会返還合意に達したのが六十三件ございますね。これは五万七千平方キロに上っているようでございますが、実際五十五年の一月までに返還された件数というのは約三十件、面積にして二六・五%なんですね。この合意された物件が返還されない理由は何ですか。
  9. 千秋健

    千秋説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の第十四、十五、十六回の安全保障協議委員会において返還が了承されている施設のうち、これは移設条件として返還が了承されたものと、移設を要せずに返還される施設というのが両方入っておりますが、移設条件として返還が了承されている施設につきましては、この移設工事を早く進めなければならないということで私ども努力しているわけでございますが、その移設工事をやります移設先地関係市町村等同意協力が得られない場合、また適当な移設先地がない等によりまして工事がおくれるために返還が実現しないというものもあります。また移設を要せずに返還される施設につきましては、地元の要望等を勘案しまして、計画的にかつ円滑にこの返還が実施できるように現在取り進めているところでございます。
  10. 小渡三郎

    小渡委員 せっかく返還合意がなされているものについて実施率が二六・五%ということは、私はきわめて低いと思うのです。理由のいかんを問わず、軍事基地の所在しているその地域が、沖繩自立的経済発展基礎条件を備えれば何とか産業開発になり得る要素を含めている地域も多かろうと思うのですね。したがってその点については、合意されたものを御努力なさって達成するようにしていただかなければ困る。それは復帰のときの整理統合本土並み基地の達成ということになることからしましても矛盾するのではないかと考えるわけでございます。  さらに、私が調べた範囲でございますけれども米軍施設の中には、施設目的はわかっておりますけれども使用条件が明確でない施設が三十一施設あるのですよ。具体的に例を挙げる時間がございませんが、おわかりとは思いますけれども、三十一施設使用条件が全く不明なんです。残りの施設については使用条件がはっきりしているのです。たとえば空域の場合は地上から何メーターまで使用するのだとか、水域を使用するのだとか、あるいは道路交通についてはどうするのだとか、あるいは部落への進入はどうするのだとかいろいろ条件があるわけですね、条件が全く付されていないのが三十一施設もあるわけです。その辺は県としても全然把握することができないわけです。このこと自体は質問を留保しておきますが、後日またの機会にこの問題だけで議論してみたい、このように思っております。  私は軍用地返還につきましては、基地問題の中では最も重要な課題一つであると思うわけです。というのは、開放するだけが能じゃなくて、その跡地利用するということなんですよ。そういう意味で、復元の補償費なんというのは原状回復費だけですから、土地使用収益を上げることはそれだけでは困難なんですね。そんなようなことで、仮に土地改良事業だとか区画整理事業を始めるのだといっても、これは二、三年でできるものじゃないのです。五年も、物によっては十年もかかるわけです。そういうこともありまして、返還をすることについて、地主に与える打撃も大きいし、またその跡地利用計画の果実も相当おくれた期間でしか達成できないということになりますので、だからいま基地問題の中の最も重要な課題一つにその跡地利用という問題があるのだということを私は主張しているわけでございます。そこで、この際政府も、軍用地跡地利用をする法律、特別な措置法でも結構でございましょうし、そういう法律を準備しなければならないのではないか、こういうぐあいに思います。これは基地全面返還意味しているわけではございません。日米委員会合意をした上で、さらに地主了解地域了解も得られて開放される土地については、それをどう利用するのだという法律をぼくはつくらなければいかぬと思うのです。その点についていかがですか。
  11. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいまの御質問は、軍用地返還跡地利用につきまして法律等考えたらどうかという御趣旨でございます。私どもといたしましては現在、沖繩土地利用につきましては、土地区画整理あるいは農地の基盤整備等につきまして種々の特例を設けまして、その整備の促進に努めておるところでございまして、これらの諸制度の活用によりましてその跡地有効利用を図っていきたいと基本的に考えておるところでございまして、現在、特段の法律の制定というものは考えていない状況にございます。
  12. 小渡三郎

    小渡委員 現在の時点ではお考えではないでございましょうけれども、後ほどまた開発庁長官にも、第二次振計につきましてもちょっと触れたいと思うのでございますが、私は軍用地が政策の重要課題であるという見地に立ちますと、その跡地利用というものにずいぶんと期間がかかるのでございまして、しかもそれが放置されているものもたくさんあるわけですよ。その跡地利用されなければ意味がないので、それをする一つ方法として私が考えているものには、軍用地転用公社をつくったらどうだろうかということも考えているわけでございます。具体的な骨子はどんなものだというようなことは、これもまた時間の関係がございますから後日この委員会で申し上げますけれども跡地を適切に計画立てて利用できる軍用地転用公社などの設置をいまこの機会に私は提唱しておきたい、また御検討もしていただきたい、本当にそういうぐあいに思っております。  次の点でございますが、軍用地地籍がはっきりしている地域、しかも軍用地内なんです。そこで分筆登記ができないのですよ。これは法務省になろうかと思うのですが、現地へ立ち入りして測量したりなんかすることができないわけです。もう三十年も経過しておりますから、次男、三男、いろいろな成長がございます。やはり分筆しなければならないことも起きているのですよ。ところが、これではせっかく自分の土地がはっきりしたけれども分筆登記ができない。この点についても、しかるべき要請にこたえるようなことをきちんとやってもらわねばいかぬ、このように思います。  もう時間がだんだんたちますが、さらには防音設備に対する維持費電気料補助でございます。沖繩電気料金は今度また一九%も上がったし、後でこの問題にもちょっと触れたいのですけれども沖繩年がら年じゅう暖かいでしょう、それで、騒音と言えば二十四時間あると言っても過言じゃないのですよ。本土基地周辺とはちょっと違うのです。そこで、防音装置はしたけれども電気料が物すごくかさんでいるのです。それは生活保護世帯等については特別な御配慮があるようでございます。しかし、これも必ずしも生活保護世帯ばかりじゃなくて、そのことが生計費を圧迫していることだけは間違いないのですよ。本来ならば、基地がなければ、騒音がなければその問題は起きてこないわけなんですよ。そよ風を部屋いっぱい入れて気持ちのいい快適な生活ができる。それを防音装置をやって冷房をかける。そうしたら、電気料をしこたま取られる。あなた、これでは生活できないですよ。これは補助の点を考えなければいかぬなと思うのです。法律がないと言うのならば、地財法第十六条を適用すればいいのです。いかがですか。
  13. 梅岡弘

    梅岡説明員 分筆登記の問題でございますが、地籍明確化手続認証手続を終わりますと、後は土地分筆その他の措置が可能でございます。先生指摘現実飛行場等で使われているために入れない、こういうケースにつきましては、具体的なケースに応じまして米軍と交渉して、せっかく提供していただいている所有者方々に御不便をかけないように措置したいと思います。  それから電気料金の問題でございますが、私ども指摘趣旨はよくわかります。ただ私どもといたしまして、まだ全国に四十万戸以上のこれからやらなければならない防音を抱えて途方に暮れているというのが実情でございます。沖繩は確かに騒音の程度あるいはまた気温の高さ、そういった面から電気料金の負担が他の地域に比べて大きいということはよくわかりますので、なお私ども勉強させていただくということで御理解いただきたいと思います。
  14. 小渡三郎

    小渡委員 さらにお尋ねしておきたいことは、地主年金の問題なんです。  地主はもともと三十五年前はほとんど農民だったんです。その土地を強制収用されまして三十五年、六年と経過しているわけです。四十歳まで農業をやっておれば農民年金が得られるし、さらに国民年金が得られるわけです。ところが地主皆さんは、年金としては国民年金しか対象になっていないわけです。そしていざ返還する、はい、あんたは元農民だから農業をやりなさいと言ったって、当時三十歳の人だったら六十五歳になっている。六十五歳で農業をやれと言ってもできるわけがない。体力的にも限界が来ているし、そればかりでなく、農業技術も忘れているし、農産物市場もわかりません。農業をやれと言うのは酷なことです。四十歳までに基地返還された農民に対しては農民年金対象になるわけです。ところがそうでないのが大多数なんです。あなたの財産を国の防衛のためにこれだけ使わしていただいたのだから、これから後お返しいたしましょう、大変御苦労さんです、これは賃貸料とは別個です。ですから、もともと農民なんですから、それに相当するような何らかの年金制度、いわゆる地主年金、まあ仮称でございますけれども、そんなことを考えないと、基地整理縮小などということは犬の遠ぼえにしかならない、私はこのように思っております。そうしないと地主協力は得られない、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  15. 梅岡弘

    梅岡説明員 先生地主年金の構想を以前からお持ちであることは私ども承知しております。私どもとしましても、沖繩のたくさんの地主方々、その中の大部分は比較的小規模の土地を持っておられる方でございますが、そういった地主さん方の具体的な生計実態がどういうものであるかということを残念ながら今日ただいま掌握しておりません。これを早急に掌握するために本年度予算でいささかの調査費をいただいておりますので、これを執行してその生計実態を掌握した上に立って、そういった問題についても検討していきたいと思います。
  16. 小渡三郎

    小渡委員 施設庁には最後質問になりますが、軍事基地が海岸に面しているところの護岸でございます。これは何で工事をやらないのですか、お答えください。
  17. 梅岡弘

    梅岡説明員 これにつきましては、具体的には中部地区の西海岸に残っております。あの土地は遊んでいるように見えますが、実は中にたくさんの排水路等が通っておりまして、最終的に地主さんにお返しするためには、排水路整理統合する事業が必要でございます。その計画をいま練っている最中でございます。ただ、それを行いまして地主さんに返す暁におきましては、原状回復という枠組みの中で、護岸も含めてしかるべき返還補償なりそれなりの措置を講じたい、このように思っております。
  18. 小渡三郎

    小渡委員 お答えでございますが、私の郷里、これはもう三十五年接収されております。それで、開放されたところは政府全額補助のもとで土地区画整理事業をやっております。ところが、泡瀬通信隊というのがありますが、その先の護岸は全然手をつけていない。だから、暴風のたびにだんだん浸食されていきまして、これでは大変だということで、元の護岸の跡が残っておりますから、海の中ですが、そこに石を並べて、もともとは国土はここまであったのだぞということを、実は私が指揮をいたしましてやってございます。現に接収されておるところの護岸は実際やられていないのですよ。だから、軍用地内の護岸の建設をする計画を、開発庁とも大蔵省とも十分話をされて年次的にやっていかないと、これは本当に海岸法違反ですよ。許されないと思うのです。そして開放されたら今度、その地域の周辺の農民や何かはみんな仕事ができないですよ。そればかりじゃないです。暴風のときにはみんな心配で心配で大変ですよ。生活ができないです。そういう状況があるということを特に強調しておきます。  次に、沖繩電力についてお伺いをいたしたいと思うのでございますが、先般、沖繩県民に電気料金が年間二回も上がったということで大きな打撃を与えましたが、いろいろ政府、長官を初め皆さんが御努力をなさって一九%、約五〇%で抑えていただいた御熱意、御努力に対して県民は理解をしているところでございます。しかしながら、私が非常に問題にしているのは、閣議決定により来年度末までには民間へ移行するのだということが決定している特殊法人の整理統合の一環でございますけれども、これはその条件として民営移行のための諸条件整備するということがうたわれているのです。どんな諸条件整備するのですか、そこをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  19. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 沖繩電力の民営移行につきましては、五十年来、閣議了解なり閣議決定で民営移行を早急に実施するというラインでその条件整備が進められてきたわけでございます。先ほど委員長の御報告にございましたけれども沖繩電力の発電、送電、配電のいわばハードの面ではかなり進んできておりまして、あの土地柄に合わせてみた場合、ほぼ九電力の水準に達したと私ども考えておる次第でございます。  そこで、昨年末の閣議決定で五十六年度末を目途に民営移行をするということが決まったわけでございますが、この閣議決定がございます前から、すでに私どもは従来の方針にのっとりまして、沖繩県の学識経験者にお集まりいただきまして、民営移行のあり方ということを御審議願っておったわけでございます。本年七月末にその中間報告をいただきました。  この中間報告にはいろいろな事項が盛られておるわけでございますが、その骨子を大きく二つに分けて考えますと、一つは、これまでに累積した赤字をまず解消しなければならない。この解消は料金によるのではなく、別途思い切った措置を講じてすべきであるということであります。次に、将来の沖繩電力の供給コストをできるだけ低減する必要がある。なぜならば、沖繩電力はいろいろハンディキャップを負っておる。電源の全部を石油に依存しておりますし、数々の離島を抱えておるというような条件がございまして、このようなハンディキャップを克服するための措置をとらないと、沖繩電力の将来の供給コストは本土に対比して上がっていくのではないか。よって、そのハンディキャップを克服すべきであるという中間報告をいただいております。  特にこの二点につきまして、私どもはこの中間報告の趣旨を踏まえまして、その実現に向かってできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。その際には、関係省庁とも十分御相談をして考えていくつもりでおります。
  20. 小渡三郎

    小渡委員 時間が刻々と迫りますので、ひとつなるべく簡単に御答弁をいただきたいと思います。  まず電力でございますが、この中で、国庫補助による離島の海底送電事業費についてちょっとお伺いしておきたいと思います。  これは私の調査した範囲でございますが、宮古の大神島で海底送電をやったわけです。ところが当初、これは自己発電をするという計画のもとで一応、予算補助を受けるべく計画をしたものでございますが、そのときの総額が四千九百万くらいなんです。国の補助が三分の二、そして県が〇・六、それから村が〇・四という比率でもってそれぞれ負担をしたわけです。ところが、電力側とも県側とも市町村とも国ともいろいろ話し合っているうちに、長期的な視野に立つならば自己発電じゃなくて海底送電が望ましいという結論に達しまして、海底送電をすることになったわけです。総工費を出してみましたら、これも予算補助でございまして、別に法律はございません。それをやりましたら、一億二千万くらいの工事費になったわけです。そうすると、その一億二千万から四千九百万を差し引いた額が七千百五十万くらいになります。そのいわゆる負担配分について私は多少疑義を持っているわけです。  それは、きのうもずいぶん長い時間いろいろ事前に話し合いをしたのでございますけれども、当初の計画では国が三分の二を負担するという考え方に立っていたのに、結果的には国は二七・一%しか持ってないのです。そしてまた県が負担を二〇%している。〇・六というのがもともと当初の考え方であったはずなんです。市町村は〇・四なのに一三・三%持ってもらっておる。さらには、電力は当初は何も考えてなかったのです。こんな赤字の出る電力会社ですから、負担は考えてなかったんでございましょうけれども、結果的には三九・六%、四〇%の負担を強いているわけなんです。だから私は、特殊法人沖繩電力を将来民営に移行するんだという考え方からいくならば、諸条件整備する、足腰の強い電力にするということでいくなら、どうもこの配分の仕方はおかしい、このように思っているわけです。お答えをいただきます。時間がないですから簡単にしてください。
  21. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま宮古大神島の離島電気供給事業の例によりまして御質問がございました。私ども沖繩県の離島で、電力の一般供給が行われておらずに部落営で時間送電している地域、これは二十四時間送電が行われてない地域でございますが、こういった地域において一般供給によりまして二十四時間送電を可能とする、これによりまして農林漁業生産力の増大、農山漁家の生活向上を図るという趣旨で、五十四年度から離島電気供給施設整備事業を実施しておるわけでございまして、五十四年度はただいま御指摘の宮古大神島でこの事業を実施したところでございます。  この事業先生ただいま御指摘のとおり、補助率は三分の二以内ということになっておりまして、施設整備方式としては、発電機の設置による方式と海底送電による方式とを対象にしておるわけでございます。補助率の算定に当たりましては、より低い補助率で事業目的を達成する、こういう考え方から、発電機の設置の方式による経費を計算しておるわけでございます。ただ先生ただいま御指摘のように、その後の運営等を考えますと、海底送電による方式の方が、設備費は多額になるけれども、その後のコストが安く済むというような関係がございまして、地元、沖電等も含めまして協議の上、海底送電による施設整備を行っておるところでございます。そのような関係からいたしまして、ただいま先生指摘のように、発電機施設整備ということでやりますと三分の二に補助されるわけでございますけれども、海底送電によりまして施設整備するということになりますと、同額では率としては下がってくるという関係があるわけでございます。
  22. 小渡三郎

    小渡委員 時間の関係でこれは一々議論できないのですが、ただ、海底送電事業については国は一銭も負担していないのですよ、分けて見ると。プールにして見るとそういうことも言えるのですけれども、分けて見ると、七千万に対しては沖電が三分の二持っている形になっているのです。肩がわりしたようなかっこうになっているのですよ。ですからこれも、これ以後の質問については留保しておきたい。そしてまた次回に質問したいと思います。大神島ばかりじゃなくて水納島、鳩間島、皆そうなんです。ですから、その点は理解がいくまでもっとお話もいただきたいと思いますが、きょうは留保いたします。  次に、沖繩県から復帰特別措置法の期限延長の要請が当面の問題として十七項目出ているのでございます。そのうち、六項目は五十五年度措置しなければならない要請事項でございます。そこで私は自分の意見だけ申し上げて、答弁を求めません。どうするのかといったら、要請いたします。  すなわち、沖繩県における酒税の軽減です。これは五十六年度——いまから申し上げるのは全部、五十六年五月十四日までのいわゆる関税率それから間接税率、直接税率ですが、五十六年五月十四日まで適用されている諸税をそのまま向こう五カ年間延長して足腰の強い沖繩の中小企業を育ててほしい、これは雇用問題に大いに関係するからでございます。品目につきましては酒、それから牛の肉、加工用でございます牛のくず肉、バターそれから脱脂粉乳、次はコンニャクのイモ、それから生鮮バナナ、オレンジ。  それから今度は、近促法に基づいて協同組合をつくっている中小企業者の割り増し償却率、それから、商工組合などに加盟している構成員たる中小企業者の機械の償却割り増し、この比率が五十五年と五十六年は違うわけですよ。これは前に決まっていることでございますけれども、石油ショック、いろいろな事情によりまして沖繩は大変困っておりますから、政府においてもぜひ再検討をしていただきまして、五カ年延長させてほしい。  これは自民党におきましても税制調査会で真剣に討議されているところでございまして、県民の願意を達成すべく努力する様相を実は呈しております。そういう状況にございますので、きょうは聞き及ぶ程度にしていただきまして、沖繩県民の願意が達成されますよう強く要請をいたしておきたいと存じます。  それから次は開発庁長官にでございますが、復帰後八年間で沖繩県の労働力人口の実績と沖繩振計の推計値を比較してみたわけです。ぜひまた比較なさっていただきたいと思うのですが、計画どおりにいってないことは一目瞭然でございます。それから、所得水準につきましても皆ここに資料を持っておるのでございますが、時間がございません。そんなことで、振計は経済成長率一一%と読んでおりますが、実際は七・五%なんです。こんなようなことから、県民所得も全国平均の六九・五%である。どうしても当初の国としてのお約束を達成してもらいたい。そういう意味では、引き続き第二次振計を県は鋭意作業中でございます。一括して強い要請を行おうということで準備中でございます。これは県民の総意でございます。したがいまして、ぜひそれが実現できますように国としても御配慮をいただきたいわけでございますが、長官の御見解だけで結構でございますから、お聞かせをいただきたいと思います。なるべく前向きのお答えを期待いたしております。
  23. 中山太郎

    中山国務大臣 現行の沖繩振興開発計画に続く第二次振興開発計画を策定するかどうかというふうなお尋ねでございますが、沖繩開発庁といたしましては、ただいま沖繩の第一次開発振興計画の進行状況現地と相談しながら十分検討いたしております。現段階におきまして、御指摘のように県民所得が他県と比べて約七〇%にしか満たないという状況下において、政府といたしましては、第一次振興開発計画が終わるのが五十六年度末でございますから、今後さらに第二次振興開発計画が必要かと考えておりますが、この点については今後、現地方々とも十分御相談の上で、御指摘のように前向きな姿勢で検討してまいりたいと考えております。
  24. 小渡三郎

    小渡委員 いま長官の前向きな御発言をいただきまして、ほっといたしたところであります。ありがとうございました。  最後質問でございますが、これは労働省でございますが、沖繩の恒常的な失業状態というのは先刻おわかりだと思います。復帰当時一万一千人しかいなかった完全失業者が現在二万四千人もおるのです。ふえているのです。労働省としては、沖繩の失業問題を何とかせぬといかぬということで、五十一年には沖振法第三十八条に基づく沖繩県の労働者の職業安定に対する計画をお立てになって鋭意御努力をなされた。ところがその効果が出ていないのです。大変御努力いただきましたけれども、出ていないのです。私はこれから後、この恒常的な失業状態を解決していくのにもっと別な特別な政策を打ち立てない限り、これは問題にならないと思うのです。沖振法の三十八条の前段は計画の中に入れられましたが、後段は入れられていないのです。ところが、後段は失対事業でございますから、失対事業をずっと続けてくれというのは、失業の苦しさを引き延ばすだけでございまして余り効果はないのですよ。だが、それもやらなければいけないわけです。そういう失対事業については、昭和二十二年以降四十六年まで国がだんだん整備している方向は私はよく存じておりますよ。だが沖繩の場合には、必ずしもそれは適用されるものだとは思わない。  だから、これも考えながら同時に、雇用創出の特別事業考えないといかぬのじゃないか。それには、産業振興に関する事業だとか、あるいは人材養成に関する事業だとか、雇用拡大に関する事業だとか、これは現状を踏まえてですが、そういうものを柱にしたものを十分検討せぬといかぬのじゃないか。これは労働省の職業紹介ばかりではだめなんですよ。そんなのは余り意味がないのです。効果がないのです。Uターンという悪い現象がありまして、だめなんです。だから、向こうへ定着することのできるようなものを何か生み出していかなければいかぬ。そのためには、もう先刻おわかりだと思いますが、雇用対策基金制度を何とか検討してほしいということが提唱されております。これにはいろいろなものがございます。時間の関係がございますから申し上げませんが、雇用拡大のための産業振興としてこんな事業があります、それから人材養成に対してはこんな事業があります、それから現状を踏まえての雇用拡大の産業はこんなのがあります、こういうものを第三セクターなりあるいは民間、そういうみんなの協力を得て何かやっていこうじゃないか、そうすれば、雇用は拡大されていくんじゃないかというようなことが、沖繩の政治の最も大きな課題一つなんですよ。ぜひ前向きの御検討をいただきたいんでございますが、その辺はいかがでございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  25. 田代裕

    ○田代説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃられましたように、沖繩県の雇用・失業情勢というものは現在、なお大変厳しい状況にございます。御指摘ありましたように復帰以後、徐々に失業者の滞留といいますか失業率が高まりまして、五十二年の五月では、最大のピークですが、完全失業率七・九%というような水準を示した時期もございます。現在、一番最近の時点では、ことしの八月現在でございますが、完全失業率が五・八%ということで、全国の水準が大体二%前後で動いておりますので、そういう意味でも、沖繩県の雇用・失業情勢は大変厳しい状態にあると申せます。  そこで、おっしゃられましたように、五十一年の五月に沖繩県の労働者の職業安定のための計画というものを策定いたしまして、もちろん県とも十分協議して策定いたしました。ただ、沖繩県の雇用・失業情勢の特徴的なものを申し上げますと、駐留軍関係あるいは復帰時における離職者、それからもう一つの特徴といたしましては、大変若年の方が多数を占めるという特徴を示しております。また、これらの方々は県内就職志向になっております。そこで、広域職業紹介等も拡大してやりまして、それなりの成果は見たわけでございますけれども、先ほど来御指摘がございますように、人口のふえるのが大分計画以上に伸びると、全体の労働者数がふえるという形になりますので、いまのような状態を示しているわけでございます。そういう点で私どもの方も、一方では県外就職をさらに進めていくと同時に、基本的には沖繩県産業の振興が伴わないと雇用の場の確保ができないと思います。  先生指摘のとおり、従来行いました失対事業は決して雇用の安定にはつながりませんものですから、そういう意味では、産業の振興と歩調をともにする姿ということがどうしても必要になろうかと思います。そういう点で実は沖繩県といたしましては、先ほど挙げられました雇用基金制度というようなものを構想されまして、先生先ほどおっしゃられたとおりに、調査会というものがことしの八月に一応の考え方を示しております。沖繩県当局からも私どもお話を伺っておりますけれども調査会での検討は一つのプリンシプルと申しましょうか考え方、つまり産業の振興に伴って先ほど先生がいろいろ挙げられましたようなものを進めていくべきである、こういう考え方を示しておりますが、全体の構想であるとか具体的な仕事の中身であるとかについては今後県が詰めていく、こういう段階にございます。そういう点で労働省といたしましては、御指摘のように沖繩県産業振興と雇用の安定というためにさらに今後とも努力をしなければならない状況であると思いますので、そういった沖繩県考え方なり計画なりの細部につきましても今後県の詰めの状況を聞きまして、その結果によりまして、この産業振興ともつながりますので、沖繩開発庁を初めとして関係省庁ともよく打ち合わせた上で今後の対策を考えていきたい、かように思います。
  26. 小渡三郎

    小渡委員 もうこれで質問を終えるんでございますけれども、長官、いまの雇用問題を含めまして、仕事のないほどさびしいものはないという言葉がございます。それが沖繩の社会全体をすばらしくするかしないかの分けどころでございます。先ほど沖繩振計の問題についてお聞きいたしましたが、どうぞぜひひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。質問を終わります。ありがとうございました。
  27. 小沢貞孝

    小沢委員長 島田琢郎君。
  28. 島田琢郎

    ○島田委員 沖繩のことしの天気は期待に反しまして、十二号台風で大変な被害を受けた後、干ばつの被害を重ねて受ける。また私ども沖繩を訪れましたときには、私ども一緒になって何とか空から雨が降ってこぬかなというふうに祈るような気持ちで沖繩を去りましたが、その後見舞いました十九号台風は、雨だけじゃなく風まで一緒に持ってきて、これまたダブルどころか重ねての大被害をこうむるという状況に相なりました。  この災害対策については、開発庁としても政府としても真剣にお取り組みになっていることと思いますけれども、やはり心配されますのは、沖繩唯一の基幹作物でありますサトウキビ、この被害は想像を絶するものがあるのではないかというふうに考えています。とりわけ、いま年が明ければ刈り取りの始まりますサトウキビですから、砂糖の滞留の時期を迎えて非常に重要な段階に差しかかっていると思うのです。まずきょうは、いろいろな被害が起こっていると思いますけれども、農作物の被害の状況について概括的にお聞きをし、現在政府として取り組みあるいは取り組もうとされておりますこれらの対策について最初にお伺いをしたい、こう思います。
  29. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 いま先生指摘のように、台風十九号が十一日から十三日にかけまして大変長い時間沖繩付近にゆっくりと進み、滞留をしていたといってもよろしいかと思いますが、そこで二十メートル以上の風が約四十時間吹いたということで、かなり風の強い台風でございました。その結果、沖繩の本島、それから宮古地区、八重山地区というような形で沖繩全体に被害を及ぼしたという大型の台風であったわけでございます。  農産物の被害の関係でございますが、御指摘のようなサトウキビ、それから野菜というようなものを中心といたしまして、これはただいまのところでは県からの報告でございますけれども、約三十億円程度の被害になっているのではないか、大変大きな被害になっておるわけでございます。私どもの方といたしましては、サトウキビは折損をいたしましたり、あるいは風で葉が吹き飛ばされるというようなことだけではなくて、今回は風がかなり強いということもございまして塩害が発生をいたしております。そういうものを合わせましてできるだけ早く被害の状況をつかまえる、そうしてその後で、いろいろな共済の損害評価の促進だとかあるいは融資の関係措置だとか、そういったものを講じてまいりたいということで、現在被害の把握に全力を上げているという段階でございます。
  30. 島田琢郎

    ○島田委員 いまの三十億というのは、農産物全体の数字ですね。
  31. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 はい。
  32. 島田琢郎

    ○島田委員 特に野菜が、地域によってでありましょうけれども、全滅だというふうに伝えられているわけであります。野菜は地場消費が大半でありますし、これが全滅状態ということになりますれば台所に直ちに影響を及ぼす、この対策は急がなければならぬと思うのです。サトウキビ、そのほかパインとかいうものはこれからでありますけれども、花卉類、これも毎日出荷をし、毎日現金化されている作物でありますから、直ちに農家のふところに影響を及ぼす、こういう対策は非常に急がれると思うのです。こういうものを分離してでも対策を講ずるということが私は必要だ思うのですが、その点はいかがです。
  33. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 先生指摘のように現在、沖繩の方から報告が参っております数字を見る限りでは、サトウキビと野菜がほぼ同じぐらいの額、三十億の中で両方が二分をするというくらいの被害を受けております。サトウキビの場合には今後、どの程度回復するかという問題があるわけでございますが、野菜についてはいまのやられたものが回復をするというのはなかなかむずかしゅうございますので、そういう点もあろうかと思いますが、全体としての被害はまだ押さえられておりませんので、とにかく被害を早く押さえるということに全力を上げさせていただきたいというふうに思います。
  34. 島田琢郎

    ○島田委員 私の言っておりますのは、野菜というのは毎日生活に必要なんですよ。それがいまのお話だと、ゆっくり被害状況を把握する間、まだ残っている野菜で十分要求にこたえられるということになると理解していいのですか。
  35. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 ただいま被害のものにつきましては、被害状況をできるだけ早くつかむということでやっておりますけれども、追いまきができるものとかそういう後の措置のできるものにつきましては、そういったような指導を県と相談をしてやっておるということでございます。
  36. 島田琢郎

    ○島田委員 私は緊急に本土から供給するということだって必要である、こういう考えがあるからいま野菜のことを心配して言っているわけです。そういうお考えは持たなくても県内で十分供給できる体制は残されているのですか、重ねて聞きます。
  37. 畑中孝晴

    ○畑中説明員 大変申しわけないのですが、所管課長ではございませんので詳しいことは申し上げられませんけれども沖繩県につきましては、かなり本土からも野菜を送っておりますし、不足する場合には向こうで価格が高騰するというようなことがないように、きちっとした対策をとるということになろうかと思います。所管にきちっと伝えます。
  38. 島田琢郎

    ○島田委員 長官、この対策は私がいま申し上げましたように、非常に大事な急がれる対策だと思うのです。しかし、それが本土から行くと運賃がかかりますから大変高くなる。ですから、高くならないように措置するということについては、開発庁として責任を持ってお取り組み願わないといかぬと思うのですが、いかがですか。
  39. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 沖繩におきます野菜の供給等につきましては、農林水産省とも十分協議をしながら対処をしてまいりたい、このように考えております。
  40. 島田琢郎

    ○島田委員 次にサトウキビでございますが、サトウキビは農林水産省にとっては最後の行政価格決定の作物でございます。先般、北海道のてん菜を初めとする畑作三品価格決定を見たわけでありますが、沖繩は現状を考えますと、ことしのサトウキビ価格の決定に当たっては、いままでにない考え方で取り組まなければいけないというふうに私は思うのです。  まず、価格をいつごろ決めて、その際のポイントはどこに置こうとお考えになっているか、その点をお聞きいたします。
  41. 岩崎充利

    岩崎説明員 まだ価格の決定時期については決めてございませんが、十一月中旬をめどに考えたい、このように考えております。  それから価格につきましては、パリティを基準といたしまして、他作物の価格とのバランスとか、あるいはサトウキビ作が沖繩農業に占めます重要性等々を十分勘案しながら、これから検討をいたしまして適正に決定してまいりたい、このように考えております。
  42. 島田琢郎

    ○島田委員 何度も申し上げますが、サトウキビは沖繩にとっては唯一無二のいわゆる基幹作物であって、ここによりどころを求めて沖繩農民の人たちは汗を流してがんばっているわけでありますから、その結果が直ちに県民生活にも影響を及ぼす、こういうことを考えますときに、相当の決意を持って価格決定に当たってもらいたいし、またこれらに付属いたします諸対策を進めていただかなければならない、そういう点ではかつてない厳しい年になる、こう私は思っています。もちろん、サトウキビの問題は別にまた農林水産委員会で、私も委員の一人でございますから、その機会に改めて細かく政府考え方をただしてまいりたいと思いますので、きょうはこの程度にとどめておきますが、初めて砂糖類課長になった岩崎さん、これはあなたの力の見せどころなんだからがんばって、有終の美を飾るような価格をぜひひとつ示してもらうように決意を促してだけおきます。  次に、パイナップルの問題について触れてまいりますが、この問題は私は非常に遺憾に思うのですよ。私も何回か沖繩に参りまして、サトウキビと対峙するパイナップル、これも特用作物としては沖繩にしかないものでありまして、パイナップルの耕作に対します熱の入れ方というのは大変なものであります。しかし最近、冷凍パインがたくさん入ってきているということで、私どもはこの関税率の引き上げを本委員会でも迫りまして、ようやく五十年四月から二〇%のものを三五%に引き上げることにいたした経緯がございます。当時は、一時的ではありますが輸入量が減って、少し小康が見えた感じでございましたが、しかしその後、台湾に取ってかわってタイなどから集中的に輸入されてまいりました。沖繩のパイナップルがその影響をもろに受けて大変な状態になっているということを、先般もまた重ねて現地でお聞きをいたしまして、私はこの対策が一体どのようになっているのか、改めてきょうお聞きしておかなければならぬ、こう思ってパイナップルの問題を取り上げました。一体その後どんな手を打っておられるのか、ひとつわかりやすく経過を説明していただきたいと思うのです。
  43. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 冷凍パインの輸入の問題でございますが、五十三年に年間で二万八千トン強の輸入があったわけでございます。これらにつきましては、冷凍パインを原料といたしましてかん詰め等の生産がなされているわけでございまして、これらの抑制を図ることが必要である、このようなことから昨年度来、一つは関税の暫定措置の延長を図っておるということがございます。それからもう一つは、冷凍原料の使用という文字を大きくしまして、さらにまた着色料使用の場合の表示を義務づけしておる、こういうことを図っておるわけでございます。さらにまた、かん詰め製造業者なり冷凍パインの輸入商社への自粛の要請を図ってまいった、さらには主要な輸出国でありますタイ国への注意等をお願い申し上げた、このようなことで抑制に努めておるところでございます。  このような結果もありまして、冷凍パインの輸入量は昨年以来減少いたしております。特にことしは上半期、一月から六月でございますが、五千二百五十八トンということで、対前年に比べて約半減いたしておるところでございます。このままでいきますと、ことしの輸入量は約一万トン程度にとどまるのではないか、かように見ておるところでございます。
  44. 島田琢郎

    ○島田委員 私は火がついてどうにもならなくなってから手を打つというようなことではいかぬと思うのですよ。第一、私どもがこの関税率引き上げのときにも問題にしましたのは、これは冷凍であるといってもそれが生のまま食べられるという保証はどこにもない、当然かん詰めということを頭に置かなくてはならない。そのための予防措置というのは、私どもはここでもただしたわけでありますが、その際には、確かにかん詰めにはならないものだという認識には立っているけれども、その保証はない。したがって、その保証といいますか担保措置として、かん詰めになるという事態になった場合には、その旨を表示するという意味の念書をあらかじめ缶詰協会から取るべきだ。これは取ったと思いますけれども、その念書の内容についてはどうなっているのですか。
  45. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 業界から念書を取っておりまして、この念書には、いわゆる冷凍パインのかん詰めについてはこれを表示する、こういうことでございまして、この表示を実行させております。
  46. 島田琢郎

    ○島田委員 表示するといっても、私ども間々見受けるのですが、表示そのものが小さくて虫めがねで見なければならぬような表示では意味がないわけです。これはでっかく表示をして歯どめをかうということを当時からおやりになっていたかどうか、私非常に疑問だと思うのです。そういうふうになっていますか。
  47. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 表示につきましては、当初小さかったこともありまして、このような要望があったわけでございますので大きくするということで、大きな表示がなされております。
  48. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、それもすべて後手後手でしょう。大変なことになりそうだというのであわてて行政指導をする。その当時の国会論議を踏まえて行政当局としてはやることをやるということでありませんと、これだけ大量に入ってきたものを——いま少し減って一万トンくらいだ、こう言っていますけれども、これはまた黙ってほっておけばすぐばっとふえていってしまう、こういうことになりかねないのです。常にそういうことを頭に置きながら指導に当たる、こういう行政当局の姿勢がなかったら、何度も何度も——パインの問題だってきょうに始まったことではありません。私は沖特なり農水などで沖繩の問題を取り上げれば、サトウキビとパインを必ず取り上げてきたわけであります。なるほどその当時は私どもが言えば、ある程度しゃんとした背筋で物を言ったりいたしますが、しかし業界はせこいですから、もう裏の裏をくぐってひとつ何とかやってやろうということにもなりかねないのです、なるとは言いませんけれども。そういう点に対して、行政当局が毅然たる姿勢でこういう問題の処理に当たるということでないと、いまはいいけれども、またぞろ同じようなことが繰り返される心配が私は十分あると思うのです。ですから、そういう点についてもひとつしっかりお取り組みをいただかなくてはいけないと思うのです。  さらに、タイを初めとするパインの輸出国の数量は減りつつある、こういうお話でありますけれども、何といってもいまは問題はタイですね。ですから、政府としてもタイに対して、こんなに無制限に入れてくるということに対しては、秩序ある輸出国という立場に立って要請をすべきだ、ほっておくべきではない、こう思うのですが、こういう点についてのお考えはいかがですか。
  49. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 冷凍パインの輸入につきましては、秩序ある輸入の確保をする必要があるということから、タイ国にもそのような話をして、秩序ある輸入に努めておるところでございます。
  50. 島田琢郎

    ○島田委員 パインジュースはどうなっていますか。
  51. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 パイナップルのジュースにつきましては、IQ物資でございまして、ホテル枠しか出してございませんので、ほとんど影響はありません。
  52. 島田琢郎

    ○島田委員 次に、農業保険課長お見えでありますが、どうも私は質問に立つと共済保険の話ばかりして、課長余りおもしろい顔はしておらないのでありますけれども、せっかく畑作共済が昨年から実施に入りまして、私どもは災害を期待をしているのではありませんし、なるべく災害がなくて済めばいいな、こう思っていまして、その点では保険運用について私どもはできるだけそういう事態が起こらないように祈るような気持ちでおったわけでありますが、お聞きのとおりことしは大変な災害になりました。  そこで、サトウキビも畑作共済の重要な対象の作物でございますが、気になるのはこの保険に加入する農家の考え方であります。そこのところまできょうは深くお尋ねいたしませんが、沖繩の場合、サトウキビの加入の状況は一体どんなことになっておりましょう。
  53. 湯浅昌治

    ○湯浅説明員 先生いま仰せのとおり、五十四年度から畑作共済としてサトウキビの引き受けを開始いたしております。  サトウキビ全体といたしましては、五十五年度には約五八%程度の引き受けになりますが、沖繩の場合は、五十五年度の見通しが面積にいたしまして四五%程度、大部分は鹿児島でございまして八二%の引き受けで、鹿児島に比べてかなり低い引き受けになっております。この原因でございますが、試験実施を五年間やりました際、沖繩につきましては非常に被害が少なかったというふうなこともあったかというふうに考えます。
  54. 島田琢郎

    ○島田委員 私は備えあれば憂えなしということもこの畑作共済には当てはまる言葉だろう、こういうふうに思います。なかなか畑作共済が加入者であります農家個々の考え方に基づいてそう強制もできない、こういうことが基本にあるわけですから、加入促進というのも一口に言ってなかなか御苦労の多いことだと私も思います。しかし、こんなことしのような状況一つの教訓にして、理解をもっと深めていくということの努力はやはり行政の側に必要だと私は思います。  やはりみんなは疑心暗鬼なところもありまして、入ってはみたものの、掛金は取られるし、補てん率は低いし、足切りはされるしじゃもらうところが少ないじゃないか、それなら入らぬ方がいいわいということの方がどうしても先に立ってしまいます。私も農民の一人です。共済の問題についてはなかなか言うべくして加入促進というのは思うようにいかないということについてもよくわかっている一人ですけれども、しかし、こんなときにこそ災害に備えた保険制度加入という問題は真剣に考えていかなくてはならない点だ。これは農林省がひとり旗を振っただけで促進するものではありませんが、何とかひとつ、これは沖繩に限らない話でありますが、畑作共済制度が加入者の側から見て問題があるという点があるとすれば、その点については率直に改めていくという姿勢をお持ちになって、加入促進に全力を挙げて、まず行政の立場でのお取り組みが必要だ、私はこう思いますので、沖繩の今回のこうした問題を契機に鋭意ひとつあなたもがんばってくださるように私はきょうは激励をしておきたい、こう思うのです。  さて、次は基盤整備の問題でありますが、この間沖繩の基盤整備の実態というのをかなり久しぶりに私ども見せてもらいました。前にも訪れました土地改良区あるいは構造改善事業の実施地域といったところを重ねて見せてもらいまして、私は幾度もここで申し上げてきましたが、それは金もかかるし大変なエネルギーも必要とするが、やればできるということだけは確かだというふうに私は思うのです。  この基盤整備土地改良の進みぐあいが一つ問題で心配なんでありますが、財政事情がこういう状況の中だから、農林省も予算を取るのには大変な苦労をされるのだろうと思うのですけれども、やはり思い切って沖繩のおくれを取り戻すという意味でもこの県主の改良というのが急がれる。とりわけ産業立地をいたしております環境の中においてはこれがまず先決だ。大臣も真剣に五十六年度の予算の問題では取り組んでいるのだろうと思うのでありますけれども、あの基盤整備は何もどぶに金を捨てるようなものではない。むしろそれが生きていくという点ではみごとな実証だと私は思うのです。たとえば屋我地の土地改良区、あるいは石垣島の上野村の土地改良の実態、また地下ダムの問題にいたしましても、私はその成果は上がっておるというふうに見ます。  私はかつてサトウキビの基盤整備という問題を取り上げましたら農林省は、サトウキビの基盤整備なんて幾らやったってとても多収を見込めるようなものではない、大きな金をつぎ込んでまことに効果の薄い作物の一つだという意味の答弁をしたことがあります。私はそのとき猛烈に反駁をいたしました。しかしまさに私の言ったとおりで、決して投じた金は死んでいるのではない、生きているのではないか。サトウキビだって二十トンもとっているという実例がこの間報告されました。十トン台に乗せることはなかなかむずかしい、それは基盤整備をやったってとても実現できるものではないと言い張ってまいりました政府当局の発言を、覆すような事実が現場ではちゃんと起こっているのであります。やればできるではないか、こういう気持ちでありまして、問題は金でありますが、余りにもおくれてい過ぎる。計画から見ると十年もおくれていると言う。そうしていま固有名詞を挙げました二地区でも、これの実現のためにはまだこの先一体何年かかるかわからない、実に気の遠くなるような話だという説明でございますが、それではいかぬ。思い切って基盤整備に全力を挙げるということが必要だ、こういうふうに私は思っています。いままで努力をされた点を多としながらも、一層ひとつがんばってもらいたいと思うのですが、見通しはいかがですか。
  55. 長野孝夫

    長野(孝)説明員 沖繩土地基盤整備につきましては、基幹作物でありますサトウキビ、パイン等の畑作振興を目途にいたしまして、農業用水源の開発あるいは灌漑排水施設整備、農道及び圃場の整備等の畑地における生産基盤の整備を積極的に実施しておりますが、基盤整備の現況は本土に比べまして立ちおくれております。そのために採択基準、補助率あるいは予算等につきまして特別の措置を講じておるところでございます。  昭和五十五年度におきましては、国費の総額百九十五億六千三百万円をもちまして、国営事業といたしましては二地区、一つは建設工事一つは全体実施設計でございます。それから補助事業といたしましては、灌漑排水事業、圃場整備事業、畑地帯総合土地改良事業、農道整備事業、これらを中心といたしまして、県営八十三地区、団体営百七十地区、農用地開発公団営二地区につきまして、鋭意事業の推進を図っておるところでございまして、今後とも先生の御指摘趣旨を踏まえまして一層努力いたしまして強力に進めてまいりたい、このように考えております。
  56. 島田琢郎

    ○島田委員 委員長にちょっと申し上げます。  私はいまの発言中、石垣島と申し上げましたが、まことに申しわけありません、宮古島でございますので、よろしくお願い申し上げます。  最後になりましたが、私は農事用電力問題について開発庁当局に一つお願いをしておきます。  この問題も私は何回か取り上げました。本土との格差是正という立場に立ってこの問題を真剣に考えるべきではないか。とりわけ、灌漑を非常に多く必要とする農業、これが沖繩の実態でありましょう。当然電気料が膨大にかかる。これが農家の負担にそのままかかってまいりますと営農にも大きな支障を来す、私はこう考えます。先般決まりました電気料金、私はきわめて不満でありますけれども、しかし努力した結果だということであればいたし方のないことでありますが、せめて農事用電力、これはきょうに始まった話題ではございません。きょうは通産省を呼んでおりませんが、開発庁当局として農事用電力の本土並みの是正ということについてこの際真剣に取り組んでもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  57. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生指摘農業用電力の問題につきましては、私どもかねてから関係団体等の方からも御要望を聞いておるところでございます。全般的には沖繩の電力事情は大変厳しい、こういうことで、今回もかなりの大幅の値上げをせざるを得なかったわけでございますけれども、御指摘問題等につきましても、私ども今後の検討において十分参考にさせていただきたい、このように考えております。
  58. 島田琢郎

    ○島田委員 きょうは大臣、せっかくそこに座っていらっしゃるのに、一つ質問しないで答弁の機会を与えなかった点については、まことに遺憾に思いますけれども、時間が来ましたからこれで終わります。
  59. 小沢貞孝

    小沢委員長 上原康助君。
  60. 上原康助

    ○上原委員 質問が少し多岐にわたりますので、できるだけ簡潔な御答弁を求めたいと思います。  まず最初に中山長官にお尋ねしたいのですが、初めて沖特が開かれますし、今度は臨時国会でしたので長官の所信表明も委員会でございませんでしたが、お話にもありましたように大変重要な時期に沖繩担当の大臣に御就任なされた。また、御就任早々沖繩を訪問なされたり、電気料金問題、第二次振興開発計画に向けての地ならし作業その他で、長官が積極的、意欲的に沖繩問題に取り組もうとしておられることについては、私たちも大変敬意を表しますし、ぜひその意欲を持ち続けて県民の期待にこたえていただきたいと冒頭御要望申し上げたいと思うのです。  そこで、これからいろいろの問題を抱えておりまして、やがて十年という節目に差しかかろうとしている段階で、今後の沖繩振興といいますか、沖繩問題の解決に大臣はどういうものを重点にやっていかれようとしているのか、まず決意のほどをお伺いして、具体的な問題に入ってまいりたいと思います。
  61. 中山太郎

    中山国務大臣 お答え申し上げます。  私は大臣に就任をしまして、沖繩というものを視察もさせていただき、白紙の立場で第一次振興開発計画の経過を見てまいったわけでございますが、その中で一番私が忘れてはならない問題、それは、沖繩県民所得が他県に比べて、第一次振興開発計画の所期の目標から三〇%まだ低いというところに一番の問題がある。この県民所得を上げるためにはどうすればいいかということであれば、それは沖繩という地理的条件、風土等を踏まえた産業開発ということについて政府は積極的に沖繩を支援しなければならない、こういうふうな基本的な構想を立てたわけであります。  その背景にあるものの、また必要条件というものが出てくるのは、エネルギーがどうかという問題でございますが、御案内のように沖繩電力は一〇〇%石油専焼、しかも電気事業法の規定によると原価主義をとるわけでございますから、このままでまいると沖繩の経済というものは非常に先が暗い、こういうことに私は率直に重大な問題があるということの認識を深めたわけでございまして、石油専焼からエネルギーのいわゆる構成源を転換させていくということについてどれぐらいの日数がかかるか、これが一番大きな第一次振興開発計画の最終期に当たっての所管大臣としての見解でございます。こういうことで今回は、二回引き続く電気料金の引き上げがございましたが、私はもう原価主義にとらわれないで沖繩の経済、県民所得、県民生活というものを基本に考えて、今回は処置していただきたいということを通産大臣にお願いをして、政治的な判断で決着が出たということは御了承のとおりだと思います。  私はこれから先どうするかということにつきましては、やはりエネルギーと水の問題をどう解決するかということが一番大きな問題でございます。ことに、高い山のない沖繩では、いわゆるダムによる発電というものは非常にむずかしい。それから、LNGの発電あるいは原子力の発電ということにつきましても、原子力を考えてみた場合に、三十万キロワットのものを二基置くということになると、これはもう石炭火力の方が安くつくということになってくるわけでございます。こういうことを考えていくと、やはりこれから県民方々の御意見を千分伺いながら、私は新しい沖繩開発のために第二次振興開発計画の策定が必要ではないかというふうな考えを持っておりまして、先ほど小渡議員にもお答えをいたしましたが、これからはそういうことにつきまして沖繩開発庁としては前向きに考え方を進めてまいりますが、政府内部におきましても関係各省庁と十分連絡をとって、沖繩の振興のために全力投球をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  62. 上原康助

    ○上原委員 われわれも大体そういう方向で進めていかなければいけないという考えを持っているわけです。  そこで、きょうは大筋だけお尋ねしておきたいのですが、先ほどもお答えあったのですが、確かに目下進められております振興開発計画というのは、社会資本整備あるいは基盤整備といいますか、まあ社会資本整備というと、いまおっしゃる電力あるいは水力、そういう面での欠陥というか不足がありますから、必ずしも社会資本整備が万般に推進されてきたとは私は見ていないわけです。しかし、社会基盤の整備ということは、公共部門を含めて相当促進されてきたことは私たちも評価いたします。そういう点からしますと、第二次振興開発計画は、第一次振興開発計画、目下の振興開発計画を十分検証して、その反省の上に立って新たな視点から進めていかなければいけないと私は思うのですね、おっしゃるエネルギーの確保をどうするかということ等。もう一つは、最近の県民の民度調査というのを見ましても御案内のように、要するに沖繩に適した産業というのは、県民選好度調査によりますと、振興すべき産業として挙げているのは、先ほども同僚の島田委員お尋ねにあったのですが、圧倒的にサトウキビというのが多いですね。畜産、野菜、観光、養殖業。こういう沖繩の地理的条件を生かすということになりますと、二次振計の柱というものは、基本的なエネルギー確保ということ等含めて、やはり沖繩の亜熱帯性、地理的条件をどう生かすかということをもっと重点的に掘り下げた、一過性的なものでなくして離島を含めたバランスのとれた振興というもの、緻密な計画が必要だと思うのです。恐らくこの点においては開発庁としても御異存はないと思うのですが、どういうお考えを持っておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  63. 中山太郎

    中山国務大臣 御指摘のとおりでございます。  そこで、どういう産業を振興するか。風土に適したもの、それから沖繩の土質、そういうものから見て育つ作物、育たないもの、これはもう植物学者がはっきり報告しておるわけでありますから、ここでどうしたらいいかということについて私は、やはり本土の各県あるいは政府機関が持っている研究所の知識というものをひとつ総合化して、沖繩の経済発展のための産業の選定に入るべきである、実はこういうふうな発想を立てたわけであります。そこで御承知のとおり、茅沖繩協会会長にもお願いをして沖繩協会に流動研究所というものをつくる。これは、縦割り機構の本土の各省の研究機関の位置に関係ない、一つのプロジェクトに対して関心のある人たちがこれに応じて、そして年度を切った協力をやって、そうして開発をしていく、こういう形をぜひとるべきだろう、こういうことを実は考えまして、沖繩協会の会長にもお願いして即座に御承諾をいただいて、ただいま鋭意その準備を進めていただいておるということでございます。やはりこれからの沖繩というものにつきましては、知識集約化の産業というものが育つかどうか、あるいは新しい科学技術を利用した産業というものは興らないだろうか、あるいは海洋生物学的に見たいわゆる海洋開発はいかがであろうか、こういうことについての研究を早急に進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  64. 上原康助

    ○上原委員 私たちも具体的な御提案も県なり政府の方にもやろうということで目下勉強を進めておりますので、要するにいまの沖繩振興開発計画は、先ほどもちょっとお触れになっておったのですが、高度成長を基調とする新全国総合開発計画の時代に策定された、その基調を引き継いでいるものですから、年率経済成長率も一一%と見込んだわけですね。しかもその見込んだ背景としては、沖繩の第二次産業、生産業を高めていく、これは経済理論から言うと、雇用促進という面からしてもあたりまえだと思うのですね。だが、県ではこういう具体的な——いずれまたいろいろ議論いたしますが、しかし沖繩産業構造のあり方というのは、戦前、戦中、戦後、余り変わっていないのですね。だから、理論的には成り立ってみたって、向こうに第二次産業を集中的に開発するということはなかなか不可能に近いと思う。私はそれは否定はしませんが、そこにバラ色だけ描いてみても非常に矛盾が生じてきていましたので、ここは私どももいろいろ検討しなければいけない、勉強しなければいけない、反省しなければいけない点もあると思うのですが、どうかそういった点は第二次振興開発計画を策定するに当たっては十分御留意をいただいて、先ほど大臣がおっしゃったような方向での二次振計を確立をしていただきたい。  そこで、目下県が進めておられるようで、大体十二月までには県案の策定をして、それを審議会に諮って、二月ないし三月段階で国の方に意見書として出す、そういうタイムラグになるようですが、大体そういうふうに見てよろしいでしょうかね。それを受けて国としても策定に具体的に着手していくという、先ほどの御見解はそういうふうに受けとめてよろしいですか。
  65. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 私どもこの御指摘の問題につきましては、県の方において鋭意検討されておるということは承知をいたしておるわけでございます。また一応、県の方の日程的な考え方といたしましては、先生がただいま御指摘のように、おおよそ三月ごろまでに大綱をつくりまして、県としての大綱の案を添えまして政府の方に要請したいという希望を持っておるということも、私ども聞いておるところでございます。今後とも県の方と密接に連絡をとりながら私ども検討を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  66. 上原康助

    ○上原委員 そこで、これとの関連でよく本土との格差是正、これは必要と思うのですね。一つの物差しとしてそういった県民所得なりあるいは各分野のいろいろな比較対照をするということは、いまの統計資料のとり方なりいろいろな面で基準をどう見るかということもありますけれども、一応理解する上ではそういう判断材料しかないという面があると思うのです。同時に、単なる本土との格差の是正だけという論理立てもいけないと思うのですね。やはり沖繩は何も本土以上であってもいい面もあると思うのですね。そういうことも十分押さえていただきたいということ。  それと、沖繩本島と周辺離島との格差の是正の問題ですね。私もときどき離島関係を行くのですが、離島と沖繩本島との格差というのはまだまだひどいですね。ですから、どうも東京周辺を基準にして全部格差というものを論じるわけですが、ローカルコミュニティーという面からすると、やはり那覇を基点にして宮古、八重山、西表、あるいは南北両大東とか、ほかの周辺離島も考えるということでなければいけないと思いますので、二次振計のときにはその策定に当たっては、離島振興というものをより重点にひとつ御配慮をいただきたい。この点についてはどういうお考えを持っているか、簡単でよろしいですから、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  67. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生指摘のように、沖繩県は本島のほかに多くの有人離島を抱えておるわけでございます。これらの島嶼は自然的あるいは地理的条件に由来します制約要件が非常に多いというようなことで、その発展が阻害されておるところがあるわけでございます。私どもといたしましては、このためこれら離島につきましては、かねてから住民生活の安定向上を図る、こういう考え方に立ちまして、予算の配分等に当たりましても十分配慮をいたしてきたわけでございます。それによりまして、本土あるいは本島との交通の確保、医療対策あるいは基幹産業である農業の振興、さらに教育施設整備等々の充実に努めてきたわけでございます。  計画があと一年半を残すのみとなった現在、今後の沖繩振興開発のあり方を検討することがきわめて重要な課題となってまいっておるわけでございまして、ただいま先生指摘のような問題につきましては十分今後参考とさせていただきたい、このように考えております。
  68. 上原康助

    ○上原委員 そこで離島の問題を含めて、離島振興法あるいは過疎法等も随時適用されてきておるわけですが、いろいろな問題点がありますね。ありますけれども、要するに基盤整備なり、さっきの土地改良問題でもそうなんですが、現在の特措法でうたわれているところの高率補助助成措置というものを継続していけるかどうかにかかっているわけですね。その点は、いろいろばらつきなり、達成された部門、分野があって、どうも従来どおりいかないという面も場合によっては出てくるかもしらぬが、基本としては継続をしていくという考えでないといかぬと思うのです。この点ひとつお答えをいただきたいと思うのです。  それとの関連で、先ほどもちょっとお尋ねがあったんですが、沖繩県から復帰特別措置法に関する要請書、要請案が具体的に出ておりますね、十七項目ですか、出ておる。これも消費者の立場あるいはいろいろ関係者の意向があるようですが、この件については政府としては目下のところどういうふうな御検討をしておられるのか。先ほど私が言いました高率助成措置というものは、二次振計においても基本的には生かしていきたいという開発庁の姿勢がないと、これはなかなかまた停滞、後退を余儀なくされる面が全体的に出てきますから、この点についてお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  69. 海原公輝

    ○海原政府委員 先生質問の前段の高率補助の点について、私の方からお答え申し上げます。  先ほど大臣並びに総務局長の方から二次振計等のことについてお触れになりましたが、現在いわば熟成段階と申し上げていいところかと思います。したがいまして、高率補助云々といういわば補助、助成の問題というものは、どういう青写真になるかというそのレイアウトのもとにおいてどうするか。その間におきましては、すでに目的を果たしたものあるいは伸ばすべきもの、多々いろいろあろうかと思います。そういった状況を踏まえて私どもとしては検討していきたい、こう申し上げておきたいと思います。  一方、財政当局からは昨年もことしも、いろいろ高率補助一般の議論といたしましてわが方に対しても話がある。したがって客観情勢というものはそう甘いものではないということも、事実の問題として申し上げておきたいと思います。
  70. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生お尋ね沖繩復帰特別措置法に係ります特別措置の延長要請、これが先週、県の方から私どもの方に入っております。  この問題は、先生御案内のことでございますけれども、五十二年に一度期限切れを迎えるところ、県等とも十分協議の上、また各省において検討の上、一部のものについては五年間の単純延長、また、一部のものにつきましては本土本則に段階的に近づけるというレールが敷かれた問題でございます。したがいまして、この定められた方針をここで変更するということになりますと、かなり強い理由がなければならないものというふうに私ども考えておるところでございます。現在のところ、まだ県の方から十分な説明を聴取いたしてないという状況にございますので、その辺の事情につきましてなお精力的に県の方から聞いてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 それはいろいろ問題があるというのはわかりますけれども、しかし具体的に県民の要望、意思として提出された以上は、状況変化というのもありますし、経済的変動もあるので、十分御考慮いただきたいと思います。同時に、基本的には大蔵との関係で大変でしょうが、これから本当に沖繩社会資本なり基盤整備県民生活のレベルアップを図るということであるならば、一定程度財政措置というもののウエートというのは大きくなければいかない。これは政治の話ですから大臣、そこはぜひ開発庁としてはしっかりと受けとめて御奮闘いただきたいと思うのです。  そのことと、離島振興の問題と関連して、私は南北両大東へのテレビの放映問題を随時これまで何回か取り上げてきたのですが、なかなか実現を見ておりません。相当むずかしい事情があるということも郵政省からもあるいはNHKからも聞いたのですが、ここで改めて——全然ニュースが入らない。子供さんたちだって、夏の高校野球とかそういうものも一切見れない。国会でどういう論議をされようが全然わからぬ。沖繩県にどういう事情があろうが、テレビとかそういうのはない、ラジオもうまく聞けぬ、南北両大東はこういう状態なんですね。改めてこの問題に対して早急に解決をしていかれるように御努力をいただきたいのですが、御見解を承っておきたいと思います。
  72. 岡利定

    ○岡説明員 いま先生指摘のとおり、南大東のテレビにつきましては、距離が非常に遠いということから、また同時に、それを補う通信施設としての海底ケーブルがない、そういう意味でNHKといたしましては、南大東島の方に中継局を置きまして、そしてNHKの沖繩放送局で随時編集したビデオテープを空輸するという方法で、一日大体二時間程度の放送を行っておるところでございます。沖繩本島からの同時放送を可能にするためには、そういう意味では中継回線というようなものが存在する、あるいはその他の手段が必要になってくるということでございますけれども、これにつきましては郵政省といたしましても、五十八年度に打ち上げられる予定の放送衛星を利用するという以外に根本的な改善策というのはないのではないかというのが現状でございます。  いま先生おっしゃいました番組の内容でございますけれども、郵政省と放送事業者の立場と申しますと、番組の内容あるいはその時間、あるいはどういう事項を放送するかということにつきましては、放送法によりまして放送事業者の自主性に任されておるということでございますけれども、私どももNHKに先生指摘のニュースなどがなぜできないのかというようなこともちょっと問い合わせてみました。ところがNHKの回答といたしましては、ビデオテープをつくってあらかじめ空輸で送っておいて放送するということから、ニュースの速報性なりその編集なりというのは技術的に非常にむずかしい面がある。そういう意味で現在、ニュースについて実現するのはむずかしいということの回答が来ております。われわれといたしましては、この番組内容に直接こうしろああしろということは申す立場にないわけでございますけれども、住民の方々の御要望を十分体してNHKが内容的にも改善していっていただくように、十分お伝えしていきたいと思っております。
  73. 上原康助

    ○上原委員 これは放送衛星打ち上げがないと根本的な解決はなかなかできないということですが、しかし離島という面で、いまの情報化社会に南北大東に二千名近い住民が住んでおって、全く疎外されているというのは私はいかないと思うのです。それは開発庁もぜひ一緒になって解決をしていただきたいと思いますし、いずれまた細かいことをお聞きしますが、同時に、先島におけるテレビ放映問題では、民放がいま宮古、八重山には行かないのですね。これも二次振計とも関係ありますよ。NHKは下りだけなんで上りはないのです。上りはないというか、これはこっちから行くだけで向こうからはないのですね。  これもいろいろ調べてみますと、たとえば東北あたりでは、開発金融公庫、公共金融機関からそのローカルのテレビ会社の建設資金とかそういうものをいろいろ融資をしているという点。奄美群島なんかへも民放二局がすでに行っていますね、名瀬あたりに。奄美振興開発計画の一環として国がその費用の四分の一を補助をしているという前例もあるのです。施設には相当の金がかかる、ケーブル確保とかそういう面がかかるから、RBCなりOTVの方は遠慮なさっているようなものもありますので、ここいらの点も開発庁なり郵政省として御協議をいただいて、早急に地域住民の要望が入れられるように御努力をいただきたいのですが、いかがですか。
  74. 岡利定

    ○岡説明員 先生指摘のとおり、先島諸島におきましてのテレビでございますけれども、NHKについては先生のおっしゃるとおり、放送用ということで本島から宮古の方へ回線が行っておりますので、それを使って中継局でその地域での放送を行っております。しかし、これについては先ほどもお話しのとおり、通信回線の使用料あるいは運営費が非常にかかるということから、御指摘のとおり民放はまだ現地には行っておりません。  それで私どももこの点について、沖繩の民放二社、琉球放送及び沖繩テレビでございますけれども、この放送事業者から事情聴取いたしたわけでございます。しかし、中継局をつくっていくためにもかなりの経費が必要でございますし、今度は中継局ができてから、この中継局の番組を伝送するための回線料だとか運営をしていくための運営費の負担がかなり大きい、これが現在の二社の経営状況ではちょっと耐えられないというような現状がございます。私どもも、この点について何らかの方策がないかということで、平良の市長さんも陳情に見えたこともございますけれども施設をつくるということではそれなりの、ここぞというような手段が考えられるか、あるいは当然、関係省庁とも御相談しなければいかぬわけですけれども、さらに、これに必要な運営費なり回線使用料については必ずしもそういう補助対象としてなじむかどうかという点がございまして、この解決が非常におくれておる次第でございます。  ただ、沖繩民放二社については、いずれも先島地区の難視聴解消についてみずからの課題だということは十分認識しておるようでございます。そういう意味で、私ども今後この両社の経営状況を十分見守りながら、この難視聴解消のための適切な措置を指導してまいりたいと思っております。
  75. 上原康助

    ○上原委員 開発庁、何かありますか。
  76. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 特に先生、次の第二次振興開発計画に触れられましたので御答弁いたしたいと思いますが、先生指摘の問題につきましては、二次振計の問題につきまして私ども現在検討を進めておる段階でございまして、そういった点、いま直ちにお答えするような状況にはなっておりませんけれども先生の御意見等も参考にいたしながらやっていきたいと思います。
  77. 上原康助

    ○上原委員 地方の時代とか離島振興とかいろいろ言われますが、情報化社会において大臣、全く民放も行かぬとかいうことではよくないと思うのです。そういった状態が沖繩の周辺にはまだたくさんあるということを御認識の上で進めていただきたいと思いますし、この件については、根本解決ができるまでの暫定措置としてもできるだけ逐次改善をしていただくように、ぜひ特段の御努力をお願いをしておきたいと思うのです。  次に移ります。施設庁と外務省にお尋ねしたいのですが、前々から問題になってまいりました読谷飛行場の返還問題です。パラシュート訓練場としてしばしば事故が起きたり、村民との関係で好ましくない事態も幾度か発生してきております。そこで、移転をすべきであるということを私たちはこれまで——もちろん返還をしてもらいたいということですが、何か施設庁の言い分では、十月の九日に日米合同委員会が開かれて、読谷のパラシュート訓練場の移設を検討する特別作業班の設置が日米間で承認された、十月十四日に日米合同委で特別作業班の日米代表を決めて具体的な作業を進めることになったということなんですが、実際問題として移転は可能なのか、また返還問題についてはどうお考えになっているのか、そこらについてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  78. 千秋健

    千秋説明員 お答え申し上げます。  読谷補助飛行場における落下傘降下訓練につきましては、ただいま先生指摘のような経緯がありまして、施設庁としましては、訓練場を移設するという考えに立ちましてこの三月、米側に施設委員会を通じて検討方を依頼しておったわけでございますが、この十月九日に、実際にこれを移転する場合の移転先地等の具体的な検討をやるための事務的な作業部会を設置することについて、米側と合意ができまして、その作業部会を発足させたわけでございます。  それで私どもとしましては、昨年十一月の事故を契機にしまして、読谷村長から移設の要望を受けまして、この問題を取り扱ってきたわけでございます。この交渉につきましては、米側、米軍との交渉、相手があることでございますが、われわれとしましてはその実現に努力したいと思っておりますし、そういうことで、読谷補助飛行場における落下傘降下訓練の機能を移設するという考えでございまして、読谷補助飛行場そのものの返還ということは現在私ども考えてない状況でございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 この作業班の作業の結論を出すのはいつごろですか。
  80. 千秋健

    千秋説明員 これは交渉事でございますし、また実際に適地を見つけるという作業の問題ということを考えまして、われわれ一歩一歩その努力をしたいと思いますが、いつかというめどにつきましては、いまここでお答えするほど確信は持っておりません。
  81. 上原康助

    ○上原委員 移設の可能性はどうなんですか。
  82. 千秋健

    千秋説明員 私どもとしましては現在、この読谷補助飛行場における降下訓練場の面積とかその状態、それから飛行場との距離との関係、そういう状況から見まして、それに大体見合うような施設を探さなければならないと思っておりますし、また、これは施設としては実際に探せばどこかあるんじゃないかとわれわれは思っております。それについて関係市町村なり米軍なり、それらの同意を得るということにまた今後の問題がありますので、その辺を慎重に検討していきたいわけであります。
  83. 上原康助

    ○上原委員 この件について、外務省はどういう御努力をしておられるのですか。
  84. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  本件につきましては、沖繩関係住民の方からいろいろな御心配あるいは御要望も寄せられておるということを私たちとしても十分認識しておりますので、できるだけその御要望に沿うように一歩でも本件を前進させたいということで、まず合同委員会にかけるという点につきまして外務省としては、施設庁と一緒に対米交渉をいたしまして、その結果合同委員会にかかって、その下の特別作業班ができたわけでございますので、当面はその特別作業班における話し合いの進捗状況を見ながら、外務省として今後ともできることがあったら、ぜひその一歩前進のために協力していきたいというふうに考えております。
  85. 上原康助

    ○上原委員 そこで、機能の移設となるとまた新たな基地の提供ということも考えられますね。われわれが言っていることはそういうことではないのです。それは立場が違うということで言われても困るのですが、根本的解決はあの基地返還しなさいということなんだということを十分理解をしてこの種の問題を進めていただかないと、探せばどこかにあるといっても、あの狭い沖繩で探してそう簡単にありますか、そういう御認識では少し甘過ぎると思うのですね。そのことはぜひ、読谷村も私たちが主張していることもそういう立場でこの問題は提起してきたということを、改めて注文をつけておきたいと思うのです。  これとの直接の関係はないわけですが、例の伊江島の射爆場の移転問題はどうなんですか。
  86. 千秋健

    千秋説明員 お答え申し上げます。  伊江島の射爆撃場につきましては第十六回安全保障協議会において、日米間においてはこの適当な移転が実現した場合返還するということが了承されておりますが、これにつきましても、われわれ鋭意その移転先地の選定に努力しておるわけでございます。射爆撃場というその施設の性質から、なかなかいい適地がないということで現在に至っております。これにつきましても、沖繩県の方から実は、硫黄鳥島という具体的な島を挙げましてその検討依頼もありましたが、これにつきましてもまた、その先地であります硫黄鳥島周辺の漁民の方々からも反対がありまして、現在その調査を実施することにつきまして慎重に検討している段階でございます。
  87. 上原康助

    ○上原委員 硫黄鳥島とか出砂への移転ということなどは、じゃあ具体的には進んでいないということですね。
  88. 千秋健

    千秋説明員 現在のところ、遺憾ながらそういう状況でございます。
  89. 上原康助

    ○上原委員 またいずれこれはまとめてお尋ねする機会をつくりたいと思いますので、その程度にとどめておきたいと思います。  次に、対米放棄請求権の問題でお尋ねしたいのですが、漁業補償の場合、六百五十一億円の要求に対して三十億円で一応結論が出されてしまった。人身補償は十億一千万に対して一億三千万で終わってしまっている。最近問題になっております陸上分については九百九十七億に対して百二十億で、五カ年ですかやっているわけですが、特にこの陸上分について百二十億になった根拠、これは余りにもひど過ぎると思うのですね。しかもこれで、いうところの返還協定で放棄をした請求権についてはほとんどすべて解決済みだというお立場をとるようですが、支払い方法についてもどういうふうにするのか、なぜ個人払いにはしないで団体払いにしようとしたのか。団体払い、いわゆる新たな公益法人をつくるということですが、その運用はどうなっていくのか。やはりそういった補償というのは、あくまでも個人なりあるいは被害を受けた地域、そういうことが対象にならなければいかない筋のものだと思うのです。これはきょうわずかな時間ではとても議論できませんが、いま私がお尋ねしたことについてひとつ御見解を聞いておきたいと思うのです。
  90. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいまお尋ねの件、三点についてお尋ねかと存じます。  第一点は、陸上事案百二十億円といたしましたその根拠はどうなのかということであろうかと思います。この問題につきましては、私ども最終的には県といいますか地元の推進協議会からの要請を受けまして、その要請の趣旨を入れまして来年度予算要求をいたしておるわけでございまして、その一部といたしまして、具体の予算要求といたしましては二十五億円を要求をいたしておるところでございます。なお現在折衝中の段階でございますので、最終的には今後の折衝にまたなければならない問題でございますが、基本的な考え方といたしましては、布令六十号等によりすでに米軍、米国から支払われているもの等がございます。そういった支払いの実績等を考慮したい、このように考えておるわけでございます。  それから第二点といたしまして、なぜ個人払いとせずに一括団体払いとするのかという御趣旨であろうかと思います。この点につきましては、対米請求権の問題の基本は個人の受けた被害でございますので、また、請求されておりますものは先ほど申しましたように、布令六十号その他当時の米軍補償規定等によりまして支払いがなされておりましたが、その支払いに漏れたものが大部分でございます。そういったことから、個人に対して支払うのが望ましいということが考えられますけれども、私どもといたしましては、たくさんの理由から一括団体払いが適しておる、このように考えておるわけでございまして、まず第一点といたしましては、事案が古いということのために個人払いが可能な程度に被害の存在を証明できる証拠資料等が整っている事案は非常に少ない。したがって個人払いといたしました場合には、支払いを受けられない事案が非常に多く残るのではなかろうか、結果としては問題の解決にはならない、こういう事情が一つ指摘できるかと思います。またその場合、事案が古いために立証が困難であるというのは、請求者のみの責任に帰すべきではないもの、沖繩の非常に特殊な事情の中で個人の責任をなかなか問えないということが考えられます。したがいまして、立証不能を理由に却下するということはこの問題の性格上、被害の救済という目的達成には沿わないのではなかろうか。大体私どもといたしましてはそういった事情を踏まえまして、これを団体一括払いとするという方向で考えておる次第でございます。  それから第三点でございますが、今回、陸上事案総額百二十億の要求をいたしておりますが、これによって請求権問題の最終的な処理となるのかという御趣旨であろうかと思います。その点につきまして私どもといたしましては、すでに先生も御指摘のように、請求権事案のうち漁業事案、それから人身事案につきまして本年度中に解決する予定にいたしております。残る請求権事案につきましていわゆる未請求のもの等も含めまして、これにより最終解決にしたいというふうに考えておりまして、この点につきましては、先ほど申し述べました推進協議会等もこれに同意を示しておるところでございます。
  91. 上原康助

    ○上原委員 いろいろ何か仄聞しますと、大分開発庁長官なり県知事がやりとりをなさって結論を出した数字だということも聞いておりますし、予算の追加要求をするにも御努力をいただいたことは多とするのですが、かなり政治がらみでやられておるという点も聞かされております。私たちはこのような処置のやり方については絶対不満です。県民の受けた被害九百九十七億をわずか百二十億に値切るということは断固許されない。改めてこの問題については議論したいと思いますが、強い不満があるということを申し上げておきたいし、公益法人をつくって、場合によってはこれは一部の人が利用しないとも限りませんよ、こういうやり方は。百二十億というと相当の金だから変な温床になっては困る、その点だけは強い不満があるということを指摘しておきたいと思うのです。  そこで、最後になるかもしれませんが、例の軍用地特措法のことについてちょっと聞いておきたいのですが、さっきの答弁を聞いていますと、一体地位協定でいう軍用地特措法なり土地収用法を適用できる条件整備はできたという判断なのか、政府は。それと、きょうは時間がありませんから議論できませんが、この地位協定に基づく法律を見ましても相当の手続期間が要るし、法律を適用するには適正かつ合理的でなければいけないわけですね、そういう問題。あるいは、その施行令によっても、施行令の第一条にいろいろ条件がつけられていますね。「使用し、又は収用しようとする土地等の調書及び図面」そして「二 使用し、又は収用しようとする土地等の全部又は一部が土地収用法第四条に規定する土地等であるときは、当該土地等の調書及び図面並びに当該土地等の管理者の意見書」、三にもいろいろ書いてある。手続面でこういう細かい収用規定があるわけなんだ。一応は民主的なそういう何か所有者の権利というものを相当細かく規定されているわけですが、暫定使用法の期限が切れたときに、まずこういう条件整備ができているかということと、それには相当の期間がかかるんだが、いつからそういう不当なまた新たな土地収用をやろうとするのか、きょう基本的な見解だけ聞いておきたいと思うのです。この点はきわめて重要なんです。
  92. 梅岡弘

    梅岡説明員 上原先生指摘のとおり、特措法あるいは収用法は非常に厳密な手続が規定されております。したがいましてまた御指摘のとおり、この手続を確実にやっていくためには相当の期間がございます。その意味で、私どもとしては残された暫定使用法期間、約一年半の間に契約説得はなお引き続きやらさせていただきますが、と同時に、近く特別措置法手続をとらざるを得ない、このように考えております。
  93. 上原康助

    ○上原委員 ですから、いつからその事務手続とかそういうことを開始するのですか、予定は。
  94. 梅岡弘

    梅岡説明員 私どもといたしましてはこの問題について、時日の切迫を念頭に置きながら、いろいろな地籍明確化の作業の進捗状況その他の全般状況を慎重に検討してまいりました。そういった結果、そろそろやらなければならない、こういう状況に至っているというふうに考えている次第でございます。
  95. 上原康助

    ○上原委員 これは経過がありますから、そう簡単にいきませんよ。その点強く指摘をして、大体皆さんがやろうとしていることがわかりましたので、最後に外務省に聞いておきたいのですが、一、二分程度で終えますから……。  最近、沖繩基地をめぐってのいろいろな動きがまた出てきております。これはもちろんイラン、イラク戦争など中東情勢の悪化というのが私たちは背景にあると見ておるわけですが、また最近、米軍はタイ国へ軍事援助を再び開始をする動きがある。インドシナ情勢が非常に悪化をしてきて、すでに嘉手納基地からF15あるいはE3A等がタイ国へ軍事展開をして共同訓練を行っている、こういうことがありますね。つい最近B52が来たというのもどうも腑に落ちない面がある。復帰時点から問題になったSRの偵察飛行の問題など、さらにはNEACPS、つまりE4B空中指揮機、これは核戦争を想定したもの、核戦争想定というのは核戦争に直接備えての国家非常時空中指揮機なんですね、そういった機能を持っているのが去る十月四日に嘉手納飛行場に飛来をしてきた。こういう一連の動きからすると、新たな軍事緊張というものが沖繩基地、在日基地をめぐって出てきているんで、私はいずれ内閣委員会のあれで詳しくお尋ねしたいんで、きょうのところは、そういった軍事展開についてアメリカは一体安保とか地位協定、そういうものに一切抵触しないという自由意思でやっているのか、それとも、特にタイへの軍事展開、軍事援助の動き等と関連した、あるいは中東との関係においては何らかの形で日本政府に通告してやっているのか、そこらの点だけはきょうのところひとつ御答弁しておいていただきたいと思うのです。
  96. 丹波実

    ○丹波説明員 まず第一に申し上げたいことは、在日米軍施設、区域が客観的に申し上げて沖繩に集中しておる、そういうこととの絡みで米軍の活動も沖繩に集中しておる、このために沖繩関係住民の方に常々いろいろ御心配をおかけしておるということにつきましては、私たちといたしましても大きな頭痛の種であるということを常に考えております。この点をまず申し上げたいと思います。  それから、アメリカがいろいろな最近の活動をするに当たって、特に日本政府に申し入れをしてきておるとかそういう事実はございません。私たちは基本的にアメリカのいろいろな動きというものは、安保条約及び地位協定の範囲内で行われておる、こういう認識を持っております。
  97. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  98. 小沢貞孝

    小沢委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  99. 小沢貞孝

    小沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉城栄一君。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に一言お礼を申し上げておきたいと思います。九月二日から五日まで当委員会とされまして、小沢委員長を団長とされて沖繩をつぶさに視察をしていただき、また、特に遠く離島まで足を運んでいただきまして離島の実態も御視察いただき、関係者のいろいろな要望等を快くお聞きいただきましたことに私、地元選出の議員としてこの席をかりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。大変ありがとうございました。  質問に入らしていただきます。最初に国鉄の方に伺っておきますが、長い間懸案になっております例の国鉄連絡運輸契約に基づく鉄道小荷物駅の先島延長に関する問題でありますけれども、長い間関係者の強い要望があったわけでありますが、御存じのとおりこれまでなかなからちが明かないわけです。どういうことでこれが今日まで未解決になっておるのか、その経過を最初にお聞きしたいと思います。
  101. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 お答えいたします。  御指摘のように国鉄の荷物の先島への連絡運輸の延長につきましては、長い間懸案になっておるわけでございますが、私ども何とか御意向に沿いたいということでいろいろ検討しておるわけでございます。私どもの側にも、たとえば現行運賃体系なり連絡運輸の制度との整合性の問題といったことの解決を図る必要がございますし、一方、連絡運輸と申しますのは、御案内のように会社と私どもとの契約行為でございますので、琉球海運株式会社の採算性の問題もございまして、まだ条件が整っていないという段階でございます。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、国鉄とされては今後どうするおつもりですか。
  103. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 私どもも何とか御要望に沿いたいということで、ただいま申し上げました制度上あるいは運賃体系の問題につきまして内部でも検討をいま重ねておるところでございますし、また琉球海運株式会社と、これは事務的にではございますが、いろいろな検討の場あるいは私どもなりの打診をしておる段階でございまして、会社の方でも現在、真剣に検討をしていただいておるようでございますので、いましばらく時間をおかりしたい。私どもとしても、関係個所あるいは関係官庁の御指導を得ながら、できるだけ早く御要望に沿うように精いっぱいの努力はしたいと思います。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私たちが見受けるところ、国鉄側がきわめて消極的なのです。関係省庁の御指導ということをおっしゃいますけれども、運輸省にしましてもあるいは総合事務局、開発庁等は、当然ですがそういうことをやるべきだという意思表示はすでにされておるわけですね。ですから、どういうわけでそんなに消極的になっていらっしゃるのですか。
  105. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 私どもといたしましては、消極的な姿勢でこの問題に取り組んでおるとは思っておりませんので、申し上げましたようにこれからもいろいろな問題に精いっぱいの努力をいたしたいと思っております。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 精いっぱい努力だとか検討だとかいうことですが、四十九年から六年ぐらいになるわけですね、いつまでそんなことでやっていらっしゃるのですか。いつごろ結論を出されるのですか、やる意思はちゃんとあるわけですか。
  107. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 念のため申しますと、会社と私どもとのいわば対等の契約行為に基づくものでございますので、いつごろというお約束はできませんけれども、申し上げましたように私どもの方の内部検討もある程度進んでおりますし、それから会社の方でもいろいろと真剣に検討していただいているようでございますので、できるだけ早い機会に結論を得るようにして契約の成立を見るように努力したい、このように考えております。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私から実例を申し上げなくても御存じのとおり、県も含めまして強い要望があるわけです。会社といいましても、地元の琉球海運ということをおっしゃいましたが、これは小さくて赤字を抱えて大変ですね。国鉄はそれの何千倍、何万倍の力を持っているわけでしょう。そこで話がまとまっていないということは、国鉄側に誠意がない、そうとしか受け取れないわけです。ですから、早急に結論を出したいということでありますが、これは手続としてはどういうことになるのですか。
  109. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 手続と申しますと、連絡運輸一般について申しますと、会社の方と私どもでいろいろ事実上の下打ち合わせはするわけでございますが、会社側にもいろいろな手数なりあるいは費用の負担なりをお願いするケースが多うございますので、会社の方からの正式の申し入れをまって、その上で私どもの方と会社側とで正式に連絡運輸協定というのを結びまして、それで実施に移す、こんなかっこうになろうかと思います。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 会社側からの正式な申し出をまってということでありますけれども、すでに事務段階では国鉄と琉球海運さんとはいろいろ話し合いは進めていらっしゃるわけでしょう。それで、いま会社側の負担の問題とかいろいろな問題があるということですが、そういうことで国鉄が突っ張っている限り、これはいつまでたってもできないと思うのですね。国鉄が沖繩に入ってないとかいろんなそういうものを踏まえての、これを沖繩本島から先島まで延ばしてもらいたいという強い長い間の要請があるわけですから、運輸省もそのとおりであるということで、なかなかそれが煮詰まってないわけですからね。  そこで、会社側の方にもちょっと聞きましたけれども、会社の方としては、新造船をつくりましてそれに対応したい、もちろん地元のそういう企業であるので基本的には賛成であるということで、そういう誠意も示しているわけですからね。それで皆さんの方がそれに乗ってこないとなりますとね。ですから、料金の割賦率の問題だとか、先島まで延ばした場合のいろんなカバーをどうするかとか、そういう話になってくると思うのですが、その辺どうですか。
  111. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 申し上げましたように、会社側の方で現在、真剣に御検討いただいておるということは私どももお聞きしておりまして、ありがたいと思っております。  割賦等の問題につきましては、御案内のように私どもの財政事情もいろいろございますし、大変な問題も含んでおるわけでございますが、何とか全体的な連絡運輸との整合性をとりながら解決点を見出していきたい、また、見出し得るのじゃないかと思っております。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 国鉄が大変な状況であることは百も承知です。そういう国鉄の再建論議ということ、これは別な話ですね。先島まで延ばしたからといって国鉄が傾くというような、そんな大変なものじゃないでしょう。ですから、そこは国鉄がやはりそういう特殊な情勢を踏まえて一歩乗り出していくべきだと思うのですが、いかがですか。
  113. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 確かにこれ一つを見ますと金額はわずかなものでございましょうが、これが全体の制度にわたりますと、これは積み重なって非常に大きなものになりますので、何とかその辺の整合性を見つけ出しながら対処していきたいと考えております。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 全体の制度とかなんとかおっしゃいますけれども、私もいろいろ勉強さしていただいたのですが、やる気があればこれはできるのです。  それで、ここで時間なんですが、さっきも申し上げましたとおり、会社としては新造船をつくって、五千トンというふうに伺いましたけれども、来年の四月ないし五月に建造して、話がつけばもう実行していきたいというところまで——その前に契約はもう済ましていきたい。それで、先ほどのお答えで早く結論を出したいというお話ですから、その点いかがですか。
  115. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 できるだけの努力はいたすつもりでございます。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは結局四月ないし五月、その以前に契約が完了されるというふうに理解してよろしいですか。
  117. 岡村毅郎

    ○岡村説明員 契約のことでございますので、明確なお約束はできませんが、そのように努力をいたしたいと思っております。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に長官にこの件でお伺いしたいのですが、長官もすでによく御存じのとおりでありまして、先島のそういう離島苦、そういういろいろな流通体制の問題、沖繩県全体で両先島が物価の二、三割アップとかいろいろな問題がありまして、長い間関係住民、関係市町村、それから県あるいは現地の総合事務局、運輸省等も、国鉄あるいは琉球海運側に対してもそういう要請もしておるわけでありますので、長官とされても積極的にこの問題を推進していただけるかどうか。
  119. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の御発言の御趣旨を尊重して努力をしてまいりたいと思います。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、沖繩電力の民営移行の問題でございますけれども、その前に通産省の方に伺いたいのですが、この間再値上げを認可されたわけでありますが、なぜそのように急いでされたのか。特にこの機会に私、一言申し上げておきたいのですが、たしか八月の三日だったと思いますが、私たちもこの問題は県民生活に非常に大きな影響を与えるということで十万人の署名をしまして、これは考えてもらいたいということを、そのときは野田政務次官だったかと思いますけれども課長さんも御同席であったわけですが、これはいま申し上げました沖繩電力の民営移行の問題もありまして——済みません、八月じゃなくて、九月三日ですね。そのときに十万人の署名簿も添えまして、強く御要望申し上げました。そのときには、やはりこれは臨時国会も近々開かれるんだから、その場で少し議論をさせていただいてからでも遅くはないのではないかというようなお話も申し上げて、そのとおりであるというようなお約束もたしかいただいたと私は思っておりますが、そのような性急なまでの大幅なこういうことをされたということについて、いかがですか。
  121. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 沖繩電力は本年の二月に、本年のいわば第一次の料金改定を行ったわけでございます。当時、昨年の暮れのOPECのカラカス総会を中心といたしまして油の高騰がどんどん進捗している状況でございました。したがいまして、その二月に料金改定はしたものの、沖繩電力の経営は改善されるところがなくて、いかなる経営努力をもってしても、もうこのままでは立ち行かなくなるという状況になったものでございますから、沖繩電力株式会社の経営陣も料金改定再申請ということで踏み切ったものと考えております。その結果、八月に申請が出てまいりました。  九月一日に私ども電気事業法の規定に基づきまして公聴会を開催いたしましたけれども、そのほかにも、本委員会委員長を初めとする先生方からいろいろお話も伺いましたし、地元の先生方からもいろいろなお話を伺いました。消費者団体からも、産業界の代表の方々からも伺いました。二回目の料金改定が沖繩県民、沖繩県産業に与える影響が大きいということは私ども十分認識しておったところでございます。その結果、公聴会の意見その他各方面の意見を取り入れましたし、また沖繩開発庁からもいろいろ御意見をいただきました。経済企画庁とも相談をした結果、厳正の上にも厳正に査定をいたしまして、申請率三七・二二%のところを一九・一八%ということで認可を行ったわけでございます。その結果、この料金が十月八日から実施されておりますけれども、申請率と認可率とを対比していただきまして、私どもがどのような考え方で認可をしたかお察しをいただきたいと存じております。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 その料金値上げそのものも問題なんですけれども、私が申し上げているのは、いまおっしゃいました公聴会等も開いて意見を十分聞いた、あるいは厳正の上にも厳正というようなこと、私がお聞きしたいのは、国会で議論をさせてくれということをあのとき強く要望したわけですね。なぜそれをさせなかったかということです。
  123. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 電気事業法の規定では、電気料金の認可というのは行政機関の長の権限にゆだねられておるわけでございます。もちろん国民を代表される国会の御意見というのは、私ども十分伺って審査に当たるつもりでございますけれども、私どもはその審査の過程で、委員会に付議するというような形はとっておりませんけれども、地元の先生方を初めとしまして沖特の当委員会先生方の御意見は十分拝聴したつもりでおります。その御趣旨に沿うよう最大限の努力を払ったつもりでおります。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはちょっとそういう言い方はおかしいですよ。公式な国会の場で議論させてくれという強い要望をし、それはそのとおりであるということだったわけですからね。これは発言を封ずるような結果になりかねない、たてまえはそういうことも言えるでしょうけれども。これは一つ苦言を呈しておきます。過ぎ去ったことでありますけれどもね。これは問題になっております民営移行とのいろいろな絡みがあるだけに、やはりそういう基本的な問題を議論させてもらいたいということだったのです。ここでおたくに申してもちょっとなんでしょうから……。  それで、民営移行についての基本的な考え方について御説明をいただきたいと思います。
  125. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 民営移行につきましては、沖繩電力が昭和四十七年に特殊法人として発足する際から、将来は本土の九電力と同じように民営移行するんだという考え方でおりまして、その民営移行が円滑に実現できるようこれまで努力をしてきたわけでございます。  具体的にどんな民営移行をしたらいいかという話につきましては、昨年の五月でございますか、現地の学識経験者にお集まりいただいております沖繩電気事業協議会にお諮りをいたしまして、一年以上経ましたこの七月にその考え方をまとめていただいたわけでございます。この電気事業協議会の中間報告の意見を踏まえましてできるだけ円滑な民営移行を私ども実現したい、その実現をするための施策の実現に努力したいと思っておるわけでございます。  どういう施策をとるかにつきましては、かなり多岐にわたるわけでございますが、大きく分けて累積赤字の解消、それから将来の沖繩県の電力供給コストをできるだけ下げるように電源の多様化を図る、この二点が中心であると考えております。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまおっしゃいました大きな問題になりますところの累積赤字の解消というのは、具体的にどのようにされるのですか。
  127. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 累積赤字の解消につきましては、これを料金に転嫁するということは私どもいたさない方針でございます。県民には負担をかけないで解決をしたい。具体的にどうするかということにつきましては、これから関係省庁と具体的な話し合いに入るわけでございますけれども、私ども考え方では、たとえば現在の資本金を減資するという形、あるいは累積赤字を国が資金を投入して解消するという形、あるいは企業が自分の持っている余裕資産を処分するといったようないろいろな形を考えております。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまおっしゃいましたいろいろな方法というのは、二年ぐらいでできるわけですね。
  129. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 昨年末の閣議決定で昭和五十六年度末を目途に民営移行するという決まりがございまして、私どもその閣議決定に沿えるよう最大限の努力をいたすつもりでおります。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 出資者の確保ということ、これは地元優先ということになりますが、域外の安定的出資者の確保ということですけれども、これは具体的にはどういうことが考えられますか。
  131. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 民間出資者を募ります場合には、当然のことでございますけれども、累積赤字を完全に解消してきれいな姿にしなければ民間出資者を募れるはずがない、そう思っております。したがってまずその前提条件を達成した上で、先ほど申し上げました沖繩電気事業協議会の中間報告では、沖繩県民を主軸とする民営会社への移行という考え方が示されておりますので、その考え方に沿いまして、資本規模は一体どれくらいがいいか、その資本金を一体どのように配分して募ったらいいかといった問題については、もう一度私ども電気事業協議会の場をかりて、専門家も加えて御討論いただきたいと考えております。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 地元資本の優先と域外の安定的出資者の確保ということですが、それは具体的にはどんなことが考えられますか。いわゆる県外資本ということですか。
  133. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 これはこれから電気事業協議会の御意見も伺い、関係省庁にもお諮りしなければならない問題でございますけれども、私どもがざっと描きました青写真では、県民といいますか沖繩県にかかわりのある資本がたとえば三分の二ぐらいを占めるような資本構成にする。もう一つ考え方としては、いきなり純民間資本に切りかえることがいささか困難かと思われますので、いわゆる第三セクター方式といった考え方を取り入れて、公的資本も導入する、たとえば沖繩県関係金融機関なり県その他の地方公共団体の資金を導入したいと考えております。  他方本土からの資本の導入でございますけれども、いま九電力会社の株主、もちろん大衆株主が数の上で圧倒的に多いわけでございますけれども、額の上ではいわゆる機関投資家の株が非常に大きなウエートを占めております。沖繩電力も九電力のように、民営移行するのであれば同じような投資家からの出資を期待していいのではないかと考えております。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 この民営移行に当たってはいろいろな考え方がございますけれども、その中で一つお聞きしておきたいことは、離島の電力供給コスト軽減に関する配慮という項目がございますね、これは具体的にどういうことが考えられるのですか。
  135. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 離島に対する配慮をしなければならないということは、昨年末の閣議決定の文章にもわざわざ明示されておる事項でございます。それから電気事業協議会の中間報告にも、離島に対する電力供給が沖繩県全体の電力供給コストを過度に押し上げることがないように配慮することとなっております。実際に離島に対する対策としてどんな施策をとっていくかについては、これから関係省庁と御相談をしていきたいと考えておるアイテムでございまして、いまだその具体案は固まってはおりません。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、石油代替電源の開発調査、早期導入、脱石油化の促進、これは民営移行するしないにかかわらず当然必要な措置だと思いますが、具体的にこれはどういうことを考えていらっしゃるのですか。
  137. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 石油代替電源の導入につきましては、今回の料金改定にも関連して沖繩開発庁の方から強い御意見を伺ったところでございます。また、代替エネルギーを導入するということは私ども通産省の方針でございます。  具体的には現在、沖繩電力に早期に導入可能な石油以外の電源といたしましては、石炭火力であると考えております。沖繩電力は昭和五十九年五月に、石川三号と称しまして、沖繩県では恐らく石油火力で一番大きい発電機になるはずでございますが、石川三号というのを計画しておったわけでございますが、この計画をこの際取りやめて、この段階から石炭火力を導入していこうということで現在、関係機関の協力も得まして具体案の調査にかかったところでございます。  また、石炭以外の電源ももちろん重要でございますが、とりあえずは私どもの予算の中で、海水揚水発電といったものの実証試験をして、石炭火力と組み合わせで実験できるかできないか当たってみたいと考えております。将来のその他の電源につきましては、これも鋭意考えてまいりたいと思っております。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので、最後にこの問題で長官のお考えを承りたいのですが、この民営移行について、克服しなくてはならない問題等多々あるわけでありますし、従来のように特殊法人という形態がいいのか、あるいはまた考えられることは、九電力の資本参加という形の、これは民営移行になるでしょうけれども、いろいろなことが考えられるのです。いまるる御説明がありましたけれども、閣議の決定されたとおり、また長官御自身、参議院の予算委員会等でもこれは再考の要ありというような趣旨のお考えも示されているわけでありますが、いかがなものでしょうか。
  139. 中山太郎

    中山国務大臣 すでに閣議決定事項でございますので、ただいま通産省から答弁がありましたように、閣議決定の線に沿って民営移行の方向に持っていく過程でどういう問題が起こってくるか。いまお話のありましたように、いわゆる累積赤字を解消することが最大の民営移行への入り口であろうと思います。いわゆる買い手がないということでは、いかに沖繩県民の方々が地元の出資の参加を求められてもできないわけでありますから、これをいつやるか、どこの財源で行うかということが大事だろうと思います。それの解決方法が確立された後に、どういう手順を踏んで、そして将来の電源の多様化を踏まえた上で民営移行の方向を進めていかなければならない、そういうことで、政府部内におきましてもこの問題につきましては、沖繩県民生活に重大なかかわりを持つものでございますから、重大な関心を払いながら鋭意努力をいたしたいと考えております。
  140. 玉城栄一

    ○玉城委員 通産省、どうもありがとうございました。  次の問題に移りたいと思います。  台風被害の状況について、概略御説明を承りたいわけでありますが、開発庁の方としてその状況をまとめていらっしゃいますか。
  141. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 十月十七日現在で沖繩県調査結果によりますと、おおむね次のとおりでございます。  人身関係でございますが、重傷が一人、軽傷が一人、それから住家では、全壊が三棟、半壊が十七棟、一部破壊が十二棟、それから畑の冠水が三・三ヘクタール、それから道路被害が二十三カ所、河川決壊が八カ所、港湾の被害が四カ所、船舶の被害が三十隻、そのほか農作物その他の関係でございますが、約三十四億の被害が出ておるというふうに承知いたしております。
  142. 玉城栄一

    ○玉城委員 その対策をどのようにとろうとしておられますか。
  143. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 個別の対策につきましては、それぞれの所管省がございまして、所管省におきましてそれぞれ検討を進めておるところでございます。  全般的な沖繩の災害対策につきましては、沖繩県が災害対策基本法に基づきまして沖繩県地域の防災計画を定めておるわけでございまして、この計画のもとに現地沖繩総合事務局等も分担協力しておるという関係になっておるわけでございます。
  144. 玉城栄一

    ○玉城委員 農林省の方、いらっしゃっていると思うのですが、こういう台風の常襲地帯ですから、農作物の被害等、台風のたびに出ているわけであります。ただ、被害が出て対策というのじゃなくて、もっと何か恒久的な考え方がおありでないのか、お聞きしたい。
  145. 長野不二雄

    長野(不)説明員 沖繩はわが国唯一の亜熱帯性の気候地帯にあると同時に、先生指摘のとおり台風や干ばつを受けやすい自然条件のもとにございます。したがいまして、沖繩農業の振興を図ってまいります上で、このような特性を十分配慮して行っていく必要があろうかと考えております。  それで、わが国唯一の亜熱帯性気候の特徴を生かすという点では、また特に最近のようなエネルギー事情もございますので、豊かな太陽熱エネルギーに恵まれているという沖繩の利点を生かしまして、冬から春にかけての野菜、花、そういったものの生産の拡大、それからまた一方、台風や干ばつに強いということもありまして、肉用牛や豚、そういった畜産の振興という問題、さらにまた沖繩の中心的な作物でありますサトウキビやパインの生産性の向上、そういったための対策を推進してまいりたいと考えておりますけれども、いま先生指摘ありましたような沖繩農業におきます防災営農の観点からの施策といたしましては、たとえば野菜等には、共同育苗施設の設置等によりまして、台風の襲来時期とずらすというようなことを考慮した野菜作型の改善とか、たとえば先ほどのような畜産の振興でございますとか、台風や干ばつに強いサトウキビ品種の育成でございますとか、そういったことに努めておりますとともに、海岸防風林や保安林の造成整備、さらにダム等による水源の確保等、農業生産基盤の整備の推進など、台風や干ばつなどの災害にも強い沖繩農業の確立のための各種の施策を今後とも行っていきたい、そういうふうに考えております。
  146. 玉城栄一

    ○玉城委員 同じような趣旨質問なんですが、建設省の方いらっしゃいますか。——防災対策ですね、そういうものを含めて恒久対策。
  147. 川合恒孝

    ○川合説明員 沖繩関係の台風十九号によります被害が、建設省所管の土木施設が全体で十五カ所、四億一千百五十万という報告を受けております。これに対しましては、緊急復旧を要する個所につきましてはたとえば道路の崩土の除去、そういったものについてはすでに工事を行っておりますし、なお本復旧につきましては、現地の準備が整い次第査定に入るということで、現在のところは十二月一日から査定のために現地に入ることになっております。この査定が済みましたら本復旧の工事に入るわけでございますが、一般に災害は三カ年復旧ということでございますから、初年度が三〇%ということでございますので、査定の結果を見まして本年度工事に着手したい。ただいま申しました三〇%といいますのは全国平均でございますので、いろいろ緊急性その他を配慮して工事を実施したいと考えているわけでございます。  なお、先ほどの沖繩は台風の常襲地帯ということでございますので、建設省といたしましても、そういった施設の設計に当たりましては、従来からの降雨量あるいは洪水の出方を参考にいたしまして、そういった出水に対して遺憾のないように設計にあるいは計画にそういった点を配慮するというようなことで進めております。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 どうもありがとうございました。  最後に、時間がございませんので、復帰特別措置の延長の問題について長官にお伺いしたいのですが、御存じのとおり八年経過をしておるわけですが、その特別措置目的、現在の県民生活あるいは現在の沖繩県のいろいろな経済情勢等を踏まえましたときに、この行われてまいりました特別措置というものの目的が達しつつあるのかどうか、それはいろいろなケースによって違ってくると思いますけれども、長官どのような御判断をしておられるのか、ひとつ……。
  149. 中山太郎

    中山国務大臣 けさの質疑でもございましたように、沖繩県の失業率がきわめて高い、あるいはまた雇用状態、県民所得の格差があるということの中で、いかなる種類の産業を興していくかということが大目的でございますが、それまでの過程においての特恵措置が行われている、私はそのように見ております。この特恵措置の延長問題については、今後重大な関心を持って検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  150. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはいろいろなケースがございまして、ここで具体的にこれこれはどうのこうのということは、恐らく開発庁としていま申される時期ではないかもしれませんけれども、これは私の要望として最後に申し上げておきたいわけですが、やはり戦争による荒廃、二十七年にわたる本土との隔絶による空白復帰前後の混乱あるいは復帰後のいろいろなショック等ありまして、御存じのとおり県民所得にしましてもまだ全国水準の七〇%弱という状況でもあるわけです。したがって、十年間で本土並みに引き上げるという趣旨のもとにいろいろな措置が講じられておるわけでありますけれども、あと一年あるいは二年、はるかにまだまだ立ちおくれていると思うわけであります。したがってそういう状況も踏まえて、やはりこれがそのとおり打ち切られるということになりますと、長官もこれは大きな打撃を受けていくと思われていらっしゃると思うわけであります。そこで、これがそのまま打ち切られるということはきわめて妥当ではないというふうに考えておるわけでありますが、最後に長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  151. 中山太郎

    中山国務大臣 重ねてのお尋ねでございますが、この問題は沖繩開発庁だけで処理のできる問題でもございません、大蔵省とも十分相談をいたしまして、沖繩開発庁としての考え方を明らかにいたしてまいりたいと考えております。
  152. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  153. 小沢貞孝

    小沢委員長 部谷孝之君。
  154. 部谷孝之

    部谷委員 私は実は昨年の十二月、第九十臨時国会におきまして、当時の沖繩開発庁長官であられました小渕国務大臣に対しまして、第二次振興計画に対する御方針についてお尋ねをしましたが、そのとき小渕長官の御答弁は、現在、振興開発計画を実行中であって、その十カ年の計画を待ってみなければその後のことを申し上げることはできない。しかし、県民皆さんの御努力と相まってかなり実効を上げてきたことは承知をしておる。「しかしながら、それで終わったかどうかという判断はなかなかむずかしいところでありますが、今日までの計画の達成度等も十分勘案しながら、当然のことでありますが、」ここが大事です。「必要とするなればさらに引き続いて各種の政策を積み重ねて、明るい豊かな沖繩県づくりのために、第二次の計画もあるいは実行していかなければならない」かもしれない、実はこういう御答弁でございまして、当時いろいろ私ども現地のお話とかあるいはいわゆる空気、そういうものを伺っておりますそうしたことと大分懸隔、乖離があるのではないかというふうな感じを実は持っておったのでございますが、このたびの委員会におきまして中山新長官の方から、そうしたたとえば県民所得にしても所期の目標に達していない、あるいは産業開発もこれからまだまだやっていかなければならない。そのためには電力、水力等々これからかなり積極的にやっていかなければならない。したがって第二次振興計画を進める方向で対処をしていきたい。そのためには、いませっかく県の方、地元の方でいろいろ御計画があるようであるから、そういうものと相まってひとつやっていきたいという御答弁でございまして、まあ小渕長官に対しては悪いのですけれども、一年間たったということもありましょうけれども、大変力強い長官の御姿勢をお示しをいただきまして、これは地元としては大変喜んでいらっしゃるだろう、このように思うわけでございます。  そうした二次振計に対する御方針等も伺ってみたかったのですが、何しろ四十分間できょうは二次振計の問題と復帰特別措置法の問題とさらに電力料金の問題の三点にわたってお尋ねしたいと思いますので、余り長々とやるのもどうかと思いますが、ひとつずばり御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  155. 中山太郎

    中山国務大臣 いまお尋ねございました沖繩の今後の開発振興につきまして、従来八年半経過したわけでございますが、その中で、当初の目的を達成したもの、達成しなかったもの、そういうものを沖繩開発庁としてはずっと洗い直しをして見てまいったわけでございます。  そこで一番大きな問題は、本土と比べて青年層の失業率が非常に高い水準を示しておる、もう一つ県民所得が他県と比べて七〇%、この二つの絡み、さらに、沖繩の地場産業としていわゆる第一次産業の農水産業がそれほど大きな所得を上げる性質のものではない、こういうことがこれからの沖繩の発展にどういうかかわりを持っていくのか、またそれを補っていくものは何なのか、それに必要なものは何なのかということを実は私、沖繩開発庁長官に就任して以来、事務当局とともに鋭意検討を進めている段階でございます。  それにつきましては、一次振計の終わりに当たって概算要求もいたしておりますけれども、ここでこれからの展望というものをどうするか。いま通産の方からも先ほどのお尋ねに御答弁がありましたが、民営移行の問題、これも重大な関係がございます。また、水の問題が沖繩県民の生活にとっては大変重大な問題であります。私はそういうふうないわゆる一つの原点に立ち返って沖繩をどうしたらいいか、これはやはり沖繩県民を代表する知事、知事部局及び県議会、これの御意見あるいは地元の経済界の御意見、各種団体の意見等を踏まえて、沖繩開発庁としてはこれからのいわゆる方向というものを立てるべきではないか、実はそういう観点に立って今日までやってまいったわけでございまして、第一次振興開発計画の八年半の立場で今日の時点では、第二次開発計画が必要ではなかろうかというふうに実は考えた次第でございます。  これからどうしていくかということについては、エネルギーの種類の選定の問題、それから海水から淡水化を図る。しかもそれが、石油に依存しない逆浸透圧を利用した新しい方式によるものを通産省ですでに開発いたしておりますから、それをいかに実用化して、いわゆる水飢饉から沖繩県民を救うかということが一つの大きな問題になってまいろうかと思います。また、沖繩一つの亜熱帯にある日本の唯一の領土でございますから、沖繩の亜熱帯の地域の特殊性を生かして、いわゆるASEANと国際性をどう展開するかということで、国際的な環境の中での沖繩の位置づくりということを一つの方向として打ち出してまいりたいと実は考えているようなことでございます。  いまさらにお尋ねのございました特恵措置等の問題につきましては、これはまだ大蔵当局とも十分相談をしなければ、この時点お答えをするわけにはまいりませんけれども、前向きの姿勢で努力を続けたい、このように考えております。
  156. 部谷孝之

    部谷委員 いまの御答弁の中でちょっとお触れになったのですが、例の逆浸透法等によるところの海水淡水化問題等々に関して、エネルギー問題の再検討をひとつ積極的に進めていきたい、こういうふうな御答弁がございましたが、実は私もこの十月四日の日経新聞に載せられました記事というものを非常に興味深く拝見をいたしました。  その記事によりますと、「第二次沖繩振興開発計画の基本構想を固めた。」こういうふうに書いてございます。大体そのような御意向であることは、さっきの御答弁の中で伺ったわけでございますが、さらに「沖繩を「脱石油エネルギー開発促進モデル地区に」指定、エネルギー源を石油から石炭・太陽熱に転換してエネルギーの安定供給を確保する計画を中心に据えるとともに1沖繩地域的特質を生かした振興開発計画としての海水淡水化センター2沖繩開発目的として全国から専門家を集めた「流動研究所」3東南アジア諸国との交流を目指す、南北センター」——などを設置する。このほか代替エネルギー政策の一環として沖繩周辺の暖かい海水を利用した海水温度差発電、砂糖キビなどをアルコール化して燃料に使うバイオマスの活用など多角的な石油代替エネルギー開発構想も検討しており、将来、脱石油燃料の開発を迫られている我が国のエネルギー政策全般に沖繩でのこうした実験成果を生かしていきたいとしている。」こういうふうな記事が実は出ておったわけでございます。  この構想の一つ一つについてお尋ねいたしますと、大変な時間をとるのでございますが、まず、こうした記事に掲げられました御構想というものを、これもひとつ概括的にお話をいただけませんでしょうか。
  157. 中山太郎

    中山国務大臣 新聞記事そのものについては私の書いたものでございませんので、その点あらかじめお断り申し上げたいと思います。  いま御指摘のありました点、代替エネルギーの問題につきましては、私は沖繩というのは非産油国日本の象徴的な地域として実は見ることができるのではないか。電力は石油一〇〇%依存です。本土の九電力は四六・九%の石油依存でございます。そうすると非常な大きな格差がある。この沖繩のエネルギー問題というものを解決することが、いわゆる世界の非産油国で経済性の弱い地域開発にもこれから非常に貢献できるモデル地域になるだろう、こういうふうな考え方で、ここにわれわれ戦後三十五年、日本人が努力をして結集してまいりました科学技術の力というものをいかに結集して、沖繩の経済性というものを高めていくかという視点に立って考えを立てていったわけであります。  そこで、御案内のように政府には各省にそれぞれの付属研究機関がございます。これはもう明治以来続いているわけでありますし、そのほかに、各県には県立研究所あるいは各市には市立の公害研究所なりいろいろな研究所がございます。あるいは、地元産業を振興するための産業の研究所もございますが、これが全部縦割り機構で横につながらないというのが、本土の研究陣たちの最大の悩みでございますが、沖繩開発庁としましては、やはりこれらの本土にある知識経験というものを結集する方法はなかろうか、こういうことから、沖繩協会に流動研究所というものをつくって、そしてそこにいわゆるプロジェクトごとに各研究機関在籍のままで参加をしていただいて、本土の知恵を沖繩開発に集約していくということを私、実は検討を命じたわけでございます。それには、やはり相当な学者が、権威のあられる人が所長でなければならない、こういうことで、元東大総長の茅先生がたまたま沖繩協会の会長でございましたから話を申し上げて、快く御承諾をいただきまして、ただいま前向きな姿勢で作業を進めていただいているような形になっておるわけであります。  またもう一つ、バイオマスのお話は、これはフィリピンあたりでも相当研究が進んでおります。オーストラリアでも進んでおります。沖繩の土壌の性質に合ったいわゆるバイオマス産業というものは育たないものだろうか、こういうことで、いま各方面と連絡をしながら、その植物の種類というようなものについてもただいま検討を進めておる段階であるというふうに御理解をいただきたいと思います。  もう一つは南北センターのお話でございますが、御案内のようにASEAN諸国、大きく言えば第三世界と非常に気候風土が似通っているのがやはり沖繩一つの特性であろう、そういうところで、距離的にもASEAN諸国とは近うございますし、できれば沖繩の地にASEAN諸国との技術交流あるいは人間交流というものをする場所をつくることが、これからの日本にとっても沖繩にとっても、国際化の中の沖繩、国際化の中の日本というものにとってはきわめて大切な位置になってくるだろうと考えます。  また、いろいろ各方面の御意見を聞きますと、日本本土の知識との接触はどうなるかというような御意見もございますが、幸い沖繩協会に流動研究所の設置が同意を見たわけでございますので、ここで非常な展開が期待できる、私どもはそのように考えて、ただいま鋭意具体的な方法を検討しておる段階であると御理解いただきたいと思います。
  158. 部谷孝之

    部谷委員 いままさに気宇壮大な御構想を伺いまして、さらにさらに沖繩県民が気を強くしておるだろうと思いますから、せっかくのそうした県民の期待にこたえて、ひとつ強力な行政に持っていっていただきますようにこの際お願いをしたいと思います。  そこで、沖繩振興開発計画に基づきましてその目標を達成するために、中城湾港の開発基本計画を策定され、各種の調査を実施されておるわけでございますが、私も実は中城湾を拝見いたしました。私が行きましたときに、たまたま一番干潮でございまして、広大な海域と港湾としてのすぐれた条件を具備しておって、そしてあの様子だと非常に用地の造成も安上がりにできて大変いいところへ目をつけられた、きわめて優位性を持った場所であるという理解を実は私もいたしましたが、そういう適地ではありますけれども、なかなか計画どおりに進まないというふうに伺っておるのですが、その辺は一体どういうところに原因があるのでございましょうか。
  159. 海原公輝

    ○海原政府委員 中城湾の進捗状況についてのお尋ねでございますが、先生御案内のとおり本年度予算におきまして、港湾計画を地方港湾審議会、中央港湾審議会にかけなければいけませんので、それのための水理模型を中心とした所要の調査費が計上されております。そして一応予定といたしましては、当初聞いておりましたのは、九月に地方港湾審議会、十一月に中央港湾審議会というスケジュールでございましたが、諸般の事情でそれが年を越すというふうに聞いております。それが進捗状況の概況でございます。
  160. 部谷孝之

    部谷委員 その進捗状況、そうした港湾整備のための進捗状況もさることながら、ちょっと言葉が適当でないのですが、入居者といいますか入ってくれる企業が余り見つからない。特にこの地場産業、たとえばあそこに木材センターを設けるというふうな構想があるようですが、そういうこともうまくいっておるのかどうか、特にまた本土からの進出企業が来れる状態であるのか、あるいはそういう関係がどうなっておるのか、その辺もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  161. 海原公輝

    ○海原政府委員 六十年目標におきまして予定しておりますのは百五十ヘクタールで、工業用地といたしましては大体五十八ヘクタールということでございます。そこで、これはどちらが卵かどちらが鶏かという相関関係の問題がございます。どのくらいのあれで造成してくれるのかという問題もございますが、一応現段階で掌握しておりますところは、大体百四十九ヘクタールの要請があるというような話を聞いておりますので、その意味では、予定しております五十八ヘクタールに対しては約三倍、しかしこれも条件その他いろいろの問題と絡みますので、そっくりそのまま三分の一というふうには考えておりません。この計画は、六十年目標もあるいは六十五年目標でもいずれも地元企業の展開を主体に考えておりまして、六十五年目標の段階では、それを補完する意味で新たなる企業の導入ということも予定されておりますが、当面は地元企業の展開というふうに理解しております。
  162. 部谷孝之

    部谷委員 それから、いまアジアポート構想というのがあるそうですが、これをここへ持ってくるという御計画なのかどうか、その辺はどうでしょう。
  163. 海原公輝

    ○海原政府委員 六十五年目標におきましては、面積三百六十四ヘクタールということでございます。それで予定しておりますのは、一番大きいのでマイナス十三メーターのバース、それが中城湾の話でございます。  一方、アジアポートの方に話を移させていただきますと、これは昨年の八月に日本とブラジルの閣僚のあれで、正式の議題でございませんが出て来た話と聞いております。この構想のポイントは三つございまして、日本側において、備蓄それから中継基地、行く行くは加工という話があるいはあるかもしれません。一方におきましてブラジル・サイドにおきましては、港湾をつくり、内陸部からインフラをつくらなければいけないということ。それで、それによりまして、現在のパナマ運河経由というものでございますと大体五万トンくらいの船舶になりますが、それが喜望峰経由になりますと二十五万トンぐらいまでいけるだろう、これまた非常に壮大な構想でございます。  これがまだ構想の段階でございまして、ブラジル側といたしまして、そのブラジル・サイドのインフラはだれがやるのか、だれが持つのかという問題も多少不明確でございます。それから同時に片荷の問題も、ブラジルの方からこちらに持ってきたときに、あろうかと思います。それから沖繩に投影いたしました問題といたしまして、仮にそれが備蓄であり、それから中継でとどまるということになりますと、果たして雇用の効果が波及効果といたしましてどれほどのものが期待できるかというような感じがいたします。いずれにしてもまだ具体的には進んでおりませんので、いま申し上げたようなコメントをするのもいささか早いかと思いますが、私の感じているところはそういうところでございます。
  164. 部谷孝之

    部谷委員 アジアポートの問題につきましては現地でもいろいろ、せっかくブラジルの方からそうした構想を示されたけれども、どうも沖繩の方が反応が遅くて、すでに高知とか大分とかその辺がもう食指を動かしておるんだという話も聞いたわけでございますが、何かブラジルには沖繩県の出身者の方が多くて、むしろその辺を頭に入れてのアジアポート構想であるというふうにも聞いておるわけでございますが、そういうことでありますならば、そうしたことに対して積極的な姿勢をひとつとっていってあげた方が、県民方々あるいは在伯の県出身者の方々の御期待にも沿うことになるわけでございますので、積極的にお取り組みを願いたいと思います。  それともう一つ、いまお示しのように六十五年度、三百六十四ヘクタールでバースがマイナス十三メーターということでございますと、大体五万トン程度がマキシマムだと思いますが、これは石川発電所等にかかわるいわゆる石炭専焼の火力発電所とも関係があるのですが、将来火力発電所を石川が十五万キロワットいま計画しておるようですけれども、さらにたとえば中城湾の電力をあそこで賄うとすればむしろ、中城に石炭専焼の発電所をつくった方がいいのだというような、これはまだ漠たる意見ですけれども、そうすればさらに、せっかくつくるならばコールセンターもあわせてつくっていったらどうだろうか。コールセンターということになりますと、恐らく船は十万トン、二十万トンの船ということになろうかと思うわけですが、石油のようにシーバースでぽっとやるというわけにもまいりますまいから、そうした計画がさらに合わさってくるということになりますと、あそこのしゅんせつの問題、もちろん用地の問題等々出てくるわけでございますが、私はやはりいま長官も言われたようなエネルギーのメッカにあそこをするということであれば、そこまで希望は広がっていく方がいいのではないか。そういうことになりますといまの中城湾の開発構想というものはいろいろな相乗作用が出てきまして、すばらしい大きなものができるだろうというふうに感じておるわけですが、これはいまお尋ねをしても漠たる話でありますので、私の夢物語を聞いていただいたということにとどめたいと思います。  それから、この中城湾の計画だけではなくて二次振計を進めていかなければならぬわけですが、私が申し上げるまでもなく、いま国の財政がきわめて巌しい。そういう状態の中で財政再建の問題もありましょうし、そういう中でさらにそういうことを克服して振興していくためには、かなり強力なパワーで進めていっていただかなければならぬと思うのですが、その辺はどのようにお考えでございましょうか。
  165. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生ただいま御指摘のように、わが国の財政経済の先行きが必ずしも明るくないという状況にあるわけでございますが、そういう中で沖繩の今後の振興開発考えていくことは、大変厳しいものがあるものと私ども考えております。そのためには、従来にも増して沖繩の自立的あるいは地理的、歴史的な特性を生かしながら、相互に有機的に関連し、相乗的な効果を発揮していくというような産業のあり方とかあるいは公共施設整備の仕方、こういったものは、これまでも種々工夫はしておるわけでございますけれども、より一層そういった面での工夫努力が必要なのではないかというふうに私ども考えております。
  166. 部谷孝之

    部谷委員 次に、復帰特別措置に移ります。  いま御答弁いただきました美野輪局長語るということで、琉球新報の十月九日に、復帰特別措置の延長は困難だ、こういうふうにおっしゃった。「復帰特別措置が五十二年に延長された際、三−五年間で本土制度に移行させることになった——ことを指摘し、これをさらに再延長させるには、それ相当の理由がなければ困難だろう、」という厳しい見方を示した、これは記事でございますが、そういうふうに書いてあるわけなんです。この辺の事情はどうだったのでございましょうか。
  167. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいまの記事に関連します動きといたしましては、ちょっと日は忘れましたけれども、しばらく前に県の方から県の幹部の方が来られまして、沖繩復帰特別措置法について県サイドに延長してほしいという希望があるのだということで、内々の感触を打診されたことがございます。その際私といたしましては、五十二年にこれらの復帰特別措置につきましては一度期限切れになるはずのところ、国、県等とも十分協議の上で、これをおおむね五年間延長する、そのうち、多くのものにつきましては段階的に本土の本則に近づけて、五十七年の五月までには本土本則に合わせていくのだ、こういうお互いの合意のもとにその措置がとられたというような経緯がございます。現在の財政事情等まことに厳しいものがございまして、一般的には租税特別措置等はできるだけ減らしていこう、こういうような状況の中にございます。一たん方針として決まっておりますものを、さらに方針の変更といいますかレールを敷きかえていくということには、それ相当の理由がなければならないであろう、こういう私としての感触を申し上げたわけでございまして、その辺の県の幹部の方に申し上げた私の話が恐らく記事の出所になっているのではなかろうかというふうに私は推測いたしております。
  168. 部谷孝之

    部谷委員 復帰特別措置に関する要請書が十月に県から持ってこられた、そのときの応対の中でのやりとりの中でそのように書かれたというふうな事情のようでございますが、この十七項目を詳細に調べますと、五十七年から現在の措置をそのままに延ばしてほしいという項目のものと、それから、五十六年に現行のものを本土本則に近づけるソフトランディングと申しましょうか、そういう形で一年後に変更されるものを現行のままでやってもらいたい、こういうものと二つに分かれておるようですね。  ですから、きょうは時間がございませんので、五十七年度からの分はまだ幾らも議論するあるいは討議する、御相談する余地がございますので、来年たとえば税率を本土本則に近づけるというふうな問題の中で一つだけ具体的な問題を、これはむしろ農林の方にお尋ねした方がよろしいかと思うのですが、そうした復帰特別措置法が有効に働いていないという例が幾つかあるわけです。  ガソリンの問題は新聞に出ましたし、しかも担当課長さんがほかの方の御用でおいでになりませんので、この方は省略いたしまして、農林省にお尋ねしたいのですが、バナナの関税が沖繩では現在二〇%、今度五十六年から現状のままいけば三〇%になるということになるわけですね。しかし、いま二〇%といたしまして、本土では四月から九月の間が三五%、それから十月から三月までの間が四五%というふうになっておるわけでございます。そういう意味で関税の特恵が与えられている、こういうふうになっておるわけですが、実際に店頭でバナナを買いますと、百グラム当たり沖繩で二十二円から二十五円。ところが東京では大体十八円ぐらいで売っておるのですね。大阪で二十円、福岡で十九円。大体二十円以下で売られておるわけです。そういうふうに関税の関係でそれだけ優遇措置がとられておりながら、実際には沖繩県で買った方が高いというのでは、これはどうにも納得がいかない。ガソリンの問題もそうです。リッター当たり七円の免税措置がありながら、実際に現地で買いますと本土よりも十円高いのですからね。特別措置がありながらそれが有効に働いていない、そういう状態が実はあるわけです。いまのバナナで言えば、優遇さるべきものが二億円に近いというのですが、その金は一体どこへどう流れておるのでしょうか、その辺を農林省の方では実態を把握しておられますか、どうなんでしょうか。
  169. 小坂隆雄

    ○小坂説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、沖繩県本土とのバナナの小売価格を比べてみますると、沖繩県の価格がやや高目に推移しておりますことは事実でございます。その原因といたしましては、御案内のようにバナナにつきましては、フィリピンからの輸入が大部分でございますが、フィリピンからのバナナの輸送船が荷揚げの効率化を図る、このような観点から、まず本土の横浜なり神戸に荷揚げをしてその後沖繩に移送する、このようなことがいわゆる輸入価格の割り高さの原因になっておる、このように私ども理解いたしております。
  170. 部谷孝之

    部谷委員 復帰特別措置はそれだけにいたします。  時間がもう迫ってまいりましたので、最後の電力料金の問題に移りたいと思います。  沖繩電力の料金値上げにつきましては、三七・二二%の電気料金の要請に対しまして、沖特、長官あるいは庁を挙げての非常に強力な運動の中で一九・一八%にとどまったことにつきましては、私も大きく評価をしたいと思うのです。政府は昨年十二月、沖繩電力を五十六年度末に民間に移行するという旨の閣議決定をしていらっしゃることは、いままでの質疑応答の中で明らかなのですが、沖繩電力の設置根拠法でありますところの振興開発特別措置法がなくなるわけでありますので、五十六年度末までにこれを民間に移行しなければならないことは当然だと思うのです。  いろいろと調べてみますと、百四十六億円の赤字で、資本金が百四十七億でございますから、これは常識では考えられないような大変な経営状態にあるわけでございます。したがって、民営移管をするためにはそれ相応の手だてをやっていかなければむずかしい、そのためには、赤字解消にはああしたいこうしたいという御説明もあったわけでございます。それともう一つ、離島に対する電力供給については、収入一に対して支出が一・七ということで非常にコスト高である。そのことによって、年額で大体二十億から二十四億ぐらいの持ち出しになっておる。こういう状態を解決していかなければならぬわけでございますが、この離島への電力の供給が沖繩電力全体のコストを押し上げておることに対する手だてについては、どうもいま妙薬が浮かんでこないけれども、鋭意これから検討したい、こういうふうな御答弁でございました。もう時間がございませんので、こうしたことは飛ばします。  今度の協議会ですか審議会ですかの中間報告の中にも、また通産省の方からのこの前の報告書の中にも載っておらないのが、燃料対策なんです。申し上げるまでもなく、沖繩が一〇〇%石油専焼であることがそうしたいろいろな事態を起こしておるわけでございますが、そうした石油優位時代から一転して、OPECの話も先ほどありましたけれども、この十二月には総会が開かれる、あるいはその状況も非常にむずかしいというふうな新聞報道がなされておりますが、そうした問題を踏まえましても、まず将来に向かって石油の価格が上がっていくだろうということは容易に想像できるわけであります。原価に対する燃料コストが大体何%ぐらいかかっておるのか、ちょっと専門家の方から数字を教えていただきたいと思います。
  171. 堀田俊彦

    ○堀田説明員 先ごろ認可をいたしました沖繩電力の料金算定原価計算期間は、五十五年の下期から五十六年の上期一年間でございますけれども、総括原価八百四十五億八千五百万円のうち、燃料費は五百二十六億八百万円でございまして、比率をとりますと六二%に相当いたします。
  172. 部谷孝之

    部谷委員 沖繩電力が六二%、この数字が実は私、見つからなかったものですから……。  九電力は大体四八%というふうにはじいておるようです。ですから、四八%と六二%でございますから、燃料費、特に石油がコストに与える影響がきわめて大きいということを示しておると思うのですが、こうした燃料コストの比率を見ましても、いま言いましたように経営の圧迫要因になっておることは明らかです。電源の脱石油ということが盛んに言われておるのですが、揚水発電や海洋温度差、こうした問題はもちろんまだ調査研究の段階でございます。それから石川発電所の三号基の石炭化、これもいまから最短距離でやっても五年から七年ぐらいはかかると私は思うわけでございまして、その間の石油対策が実は述べられていないのです。ここをどうするかということがいま喫緊の問題だと思うのです。  私はいろいろあると思うのです。たとえば電力用の石油に対する関税の問題、これは定額六百五十円ということになっておりまして、四十七年の復帰のときには、燃料費が二十二、三億に対しまして二億六千五百万円の免除がされておる。つまり一割以上免除されておったわけですね。ところが五十四年度の数字を見ますと、燃料費四百六十五億円に対しまして四億四千万、これは一%以下なんです。したがって、復帰時に比べまして政府の助成がきわめて薄くなっておることを示しておると私は思うのでございまして、さっきの復帰特別措置等々の見直しのときにこれを延長するというふうな書き方がどこかにしてありましたが、それでは追っつかないと思うのです。ですから、復帰特別措置でなしに振興特別措置の中にこうした問題を組み込んで根本的な対策をとっていかないと、ここ数年間の沖繩の電力問題というものは解決しないというように思うわけでございますが、それに対する御見解を伺いたいと思います。
  173. 中山太郎

    中山国務大臣 いま御指摘の点がきわめて重大な点であることは、私どももよく認識いたしておりまして、この問題点につきましては、慎重に対処してまいりたいと考えております。
  174. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  175. 小沢貞孝

  176. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は最初にいわゆるアメリカへの思いやり予算について伺いますが、実例を挙げると、嘉手納基地にアメリカのF15戦闘爆撃機のシェルターをつくることになっていて、今度の予算で、概算要求で六千万円の調査計画費を計上しておるということですが、六基つくる。問題は、アメリカ側から要求されてシェルターをつくるための調査研究をしようというのか、アメリカから要求はないが、日本政府防衛庁あるいは施設庁から進んで思いやりという形でやっているのか、これは時間がありませんから一問一答の形をとりたいと思います。  アメリカからの要求に基づくのか、日本政府の自主的な発想なのか。
  177. 前田栄三

    ○前田説明員 昭和五十四年度から実施しております提供施設整備につきましては、安保条約の目的達成と、安保条約の目的に基づいて日本に駐留する米軍の駐留活動をより円滑にするために、わが国の判断において実施しているものでございます。
  178. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アメリカの要請ではないが、わが国の判断でアメリカの戦闘機を援護する。これは何基づくりますか。アメリカの要求は二十基とも言われているし三十基とも言われている。何基つくるつもりですか。
  179. 前田栄三

    ○前田説明員 昭和五十六年度において調査、設計を行おうとしております航空機掩体は六基分でございます。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 一基幾らぐらいしますか。
  181. 前田栄三

    ○前田説明員 昭和五十六年度におきまして調査、設計した上で具体的に建設をしていこうという計画でございますので、現段階で一基幾らするということについてはつまびらかにしておりません。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この前防衛庁の職員に聞きましたら、今度千歳、三沢につくられる自衛隊のシェルターですが、約三億。いろいろ聞きましたら、物価の関係その他もあって一基四億ぐらいかかるんじゃないか。もし四億かかるとすれば、六基分で二十四億円。  私は開発庁長官にお伺いしたいのですが、嘉手納基地と言えば極東随一の基地であり、あるいは、海兵隊基地を含めて沖繩基地はまさにアメリカの力の政策に組み込まれている基地である。そこでいわゆる思いやりということでやる。防衛施設庁あるいは防衛庁の説明は、安保条約に基づく区域、施設の提供、滑走路まで含む、滑走路の補修、これは底知れなく拡大するものと思っております。私はそういったような米軍基地強化のためにではなく、思いやりではなく、総理府長官でもありますが、総理府で調査した統計でもいまだに沖繩の失業率は全国一である。そして失業救済の問題、労働者、農民の要求、中小企業の要求、非常に多方面にわたってかつ深刻であります。  これは鈴木総理大臣の所信表明でありますが、「恵まれない立場にある人々に対してきめ細かい配慮の行き届いた、思いやりのある社会を築いていかなければなりません。」所信表明ではっきり言っております。思いやりはむしろそういったときにやれ、私は長官に、沖繩の窓口の長官でもありますので、そういったような戦争準備のための費用にではなく、いま言ったように県民のために思いやりをむしろそこに向けることが筋が通っていると思うのですが、私の言うのは無理でしょうか、長官いかがですか。
  183. 中山太郎

    中山国務大臣 政府沖繩県民も含めて国民の生活の安全と防衛に責任を持っておるわけでございます。沖繩基地はそういう意味で、日米間の安全保障条約に基づいて使用を認めておる場所でございますので、私どもは国を守ることと県民方々への行き届いた政治というものとは、両方並行してやるべきものだと考えております。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 両方並行してはできない状態に追い込まれている。     〔委員長退席、高橋(辰)委員長代理着席〕 いわゆる軍事費がふえるとどうしてもそのしわ寄せは、県民や国民の方に覆いかぶさってくる。私がいま申し上げるのは、アメリカの軍用機のシェルターはつくる、じゃはっきり言えば、沖繩県民の防空ごうもつくるのかというと、そうはいかぬでしょう。そんな予算はないでしょう。まだそこまで来ておるのじゃないでしょう。私の言いたいのは、そういう思いやりを県民に向けるということが正しい、こう思っておるわけです。基地も強化する、それから思いやりも県民にやる、そういうことが両立しないということは子供でもわかります。私はその点を聞いておるわけなんです。
  185. 中山太郎

    中山国務大臣 見解の相違と申しましょうか、別に沖繩に限ったことではございませんで、本土におきましてもやはり基地がございます。そういう意味で私どもとしては、そういう考えに立っておらないというふうにお答え申し上げます。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 こういったような問題は見解の相違ではなくて、安保条約というものがいかに危険なものであるか、具体的に示しておるものであります。絶対に見解の相違ではない。安保条約があるから基地がある。基地があるからアメリカ軍のF15のシェルターをつくらなければいかぬということになる。それはアメリカとのいわゆる安保条約、これを堅持して、日本国民の安全と平和を守ると言いながら、安全と平和を脅かされておるのはまさに沖繩である。爆音を見てごらんなさい。あるいは長官は知らないかもしれませんが、百ホン以上の爆音、これはやめろと言ってもやめない。特に夜間飛行をやめろと言ってもやめない。安保条約があるからなんだ。それが見解の相違ということで片づけられた。これは沖繩県民あるいは日本国民が正しい判断を下すと思います。  次に機雷と魚雷の問題、これについてお聞きしたいと思います。  八月十八日から航空自衛隊の緊急発進戦闘機に対空ミサイル搭載が始まっており、防衛庁が急ピッチに進めている平時におけるいわゆる有事即応態勢として、海上自衛隊の艦艇に魚雷、機雷を実装するということを矢田幕僚長は発表しました。この趣旨の内容を説明してください。いつから始まっていつごろまでに完成するか。どこから始めるか。
  187. 友藤一隆

    友藤説明員 御案内のとおり自衛隊は、外部からの侵略からわが国を防衛するという任務を持っております。そのために装備いたしております艦艇、航空機、これらについては、やはり有事にすぐ任務を遂行できるように即応態勢を整える必要があるわけでございまして、砲弾等についてはすでにそういう態勢に置かれておるわけでございますけれども、魚雷、機雷につきましては、これまでこういったものを実装調整をする態勢が必ずしも十分でございませんでしたために、調整済みのものを艦船あるいは航空基地に配備するという状況に至っていなかったわけでございますが、やはり正面、後方ともバランスよく効率的な防衛態勢をしいていくという点から、有事即応態勢をこの際維持向上させる必要があるということでございますので、他の弾薬等と同様に実装魚雷を常時艦艇に搭載をし、あるいはまた航空基地に配備をしていくという方針をとっておるわけでございまして、機雷については調整したものを弾薬庫に保管しておきたいということにしております。一応いまのところ、五十五年度から逐次、実装調整を行うために必要な施設でございますとか機材、弾薬庫等の整備を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩の海上自衛隊にもその趣旨は行っていますか。
  189. 友藤一隆

    友藤説明員 こういった施設、機雷等の整備対象といたしておりますのは、対潜哨戒等の実任務を持つ基地について進めてまいるということでございますので、那覇基地もその中に入っておるわけでございます。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、十七日に那覇の海上自衛隊の司令に会いました、すでに御存じかもしれませんが。そういった指令は来ておらない。ところが、もし魚雷、機雷が実際上P2Jとかに実装されるとなると何が必要かということを司令が言っておりました。まず弾薬庫、人員を含めた調整能力、三番目に整備工場、それから、いよいよ魚雷を積んで出ようとするときに簡単にいかない。やはり航空機の搭載の場所、露天ではできない。そうすると四つの装備が完備しなければできない、この問題は私もそう思いますが、この司令に来ているだろうと聞きました。来ておりませんと。弾薬庫をつくるにしても一体どこにつくるのか、これはどういうようになっているのですか。
  191. 友藤一隆

    友藤説明員 先ほども申し上げましたように逐次整備を進めてまいるということでございまして、予算、定員あるいは教育訓練、こういった関係もございますので、そういった整備状況を見ながら各基地に逐次進めてまいるということでございます。いま申されました那覇基地につきましては、御案内のとおりの状況でございますので、いますぐこれを実施するという状況にはないわけでございます。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いますぐではないが、いつまでにやる方針ですか。
  193. 友藤一隆

    友藤説明員 これから検討をするということで、具体的な計画はまだ立ててございません。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 具体的にはいつ出ますか。
  195. 友藤一隆

    友藤説明員 現在ちょっと申し上げる段階にございません。
  196. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、この魚雷と機雷の炸薬量、威力、どのぐらいあるのか、どうなんです。それで、何を装備しようとするか。
  197. 友藤一隆

    友藤説明員 具体的な効力等につきましては、私いま手元に資料がございませんが、相当の施設、特に先ほどお話がございました弾薬庫でございますとか調整のための工場とか、そういったものが必要になることは事実でございます。
  198. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは大変な爆発物ですよ。これはジェーン年鑑ですが、この中でマーク46魚雷、これが一番最新式の魚雷です。この前、八月二十九日からでしたか、日米安保セミナーがあって、そのときにハッチ共和党議員がこのことを特に強調しています。西ドイツも持っておるが日本は持っておらぬ。これは一体幾らくらいの炸薬量かというと、四十四キロですよ。米俵は六十キロでしょう。あれの三分の二ある。その炸薬が鉄のかたまりに包まれているのですよ。  これをP2Jは何基搭載できますか。
  199. 友藤一隆

    友藤説明員 魚雷は八個でございます。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それは向こうの司令が言ったのと当たります。  ところが、八個全部積むと、機雷やらいろいろ組み合わせがあるので、大体四個。四個となりますと米俵三つくらいですよ。これを抱いていくわけだ。大変な爆発力だ。危険はわかるでしょう、これがもし装備されたら。これは那覇だけじゃありませんが、私がこれを申し上げるのは、運輸省の管轄で航空法が適用されている、その中に自衛隊がいるのは那覇空港だけなんです。千歳は逆でしょう。那覇空港は運輸省の航空法に基づいて運営されておる。至るところに陸海空自衛隊。しかもいま申し上げましたように、あなた方がやがて実装するであろう魚雷はマーク44だと思いますが、これだけの爆発力を持つ危険なのがもううようよしなくちゃいかぬということになる。  しかも、現在の航空法によりますと、これは民間航空機ですから、爆発物などいわゆる危険なものは搭載しないということが原則ですね。ところが、たとえばいま申し上げました海上自衛隊のP2J、パトロール指示が来ていないと言っておりました。その場合、実装するかどうかは上からのあれがないとできないのに、現にパトロールしておるわけです。ところが、P2Jは飛行機ですからね、飛んだり上がったりするのはどこかというと民間空港なんですよ。そこは雑居していて実に危険です。私はそれを思うときぞっとしますよ。この前もオーバーランして、米軍のF15が落ちましたね。さらに、サイドワインダーを積んでいる自衛隊の飛行機が墜落して一人即死、一人負傷。落ちない保証はないが、落ちる保証が過去においてあるわけなんです。ですからあの那覇空軍基地で、魚雷、機雷、こういった危険物を搭載した飛行機が常時上空を飛んでいるとすれば、那覇飛行場はもちろんのこと、どこに落ちるかわからぬですからね。ここに落ちなさいと言ったって、これはしようがない。海に落とすやつが間違えば、那覇空港にあるいは沖繩近海に落ちる危険性は十分あるのですね。  あなたは防衛庁の人ですから、このジェーン年鑑をお読みになっていますか。これは一九七九年、八〇年のアメリカの有名なジェーン年鑑なんですが、これにマーク46、44。この46に対するハッチ議員の説明は、これはドイツですでに行われておる、だから日本でもやれということをはっきりあの日米安保セミナーで要求しているわけなんです。こういったような危険を冒してまで那覇飛行場に発着する海上自衛隊に魚雷、機雷を装備するという意思は変えないで実行するのかどうか、答えてほしいと思います。
  201. 友藤一隆

    友藤説明員 先ほどもお答えをいたしましたが、私どもとしては日本防衛のために装備をいたしております貴重な航空機、艦艇でございます。やはり有事にお役に立つような状況にこれを持ってまいるというのが、ひいては抑止力ともなり、わが国の安全に寄与するということでございます。もちろんこれが危険であってはいけません。したがいまして各種規定、貯蔵については火薬類取締法等の規制もございますので、先ほど申し上げましたように、そういう観点から必要な施設等については万全の措置をしてまいるということで現在整備を進めておるわけでございまして、仮に配備をする場合には、そういった御指摘がございましたような点が仮にもありませんように、安全対策上万全の措置のもとに管理をしてまいる、また、民間空港の安全を阻害するというようなことがないようにしたいというふうに考えております。  なお、先ほど常時魚雷を積んで上を飛ぶというようなお話でございますが、魚雷につきましては、航空基地については一応基地の弾薬庫に保管をしておくというふうに考えておりまして、有事にはすぐそれを搭載できるようにしたいということでございます。  それから、米側からの要求によりこういったものを装備するのかという点でございますが、私どもとしては日本防衛上必要であるという判断のもとに、自主的にこういった有事即応態勢を進めてまいっておるわけでございます。  以上でございます。
  202. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 那覇のほかに海上自衛隊の艦艇、ヘリコプターあるいは飛行機に装備をすでに準備しているところはどこですか。
  203. 友藤一隆

    友藤説明員 具体的などういう船にどれくらい積んでおるのかという点については、防衛上の問題もございますので、ここでは答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  204. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 どこどこに、たとえば横須賀なら横須賀、佐世保なら佐世保、これが一番弾薬庫がつくりやすいとか、魚雷を実装するといったところがあるとすればどこかありますか、ないですか。
  205. 友藤一隆

    友藤説明員 場所につきましては現在、呉、鹿屋で一応可能な状況にございます。
  206. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それが済んだら那覇にやってきますか。
  207. 友藤一隆

    友藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在その辺は決定されていないということでございます。
  208. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 運輸省に聞きたいのです。現在の航空法で、そういった魚雷とか機雷とか危険物を積んだ飛行機、これは積んでいますよと標識を掲げるのかどうかわからぬが、現在の航空法でこれを禁止する規定はありますか。
  209. 石井俊一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりかような爆発物につきましては、航空法の八十六条では一応、輸送が禁止になっております。ただし、自衛隊法の百七条一項におきまして一応、これは適用除外となっております。しかしながら、同法の百七条五項におきまして、このような爆発物の運航に関する安全性を確保するために一応、防衛庁長官はそれなりの基準をつくりまして、その安全性を十分確保するということになっております。
  210. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が聞きましたのは、現在の航空法の枠をはみ出しているという問題、それが現在那覇空港で、安全のためのいろいろの手だてはすると言っておりますが、これはアメリカもそう言っています、日本政府もそう言っています、言いながら、次々に事故を起こしている。これは防衛施設庁からいただいた事故調査がありますが、時間がないので示しませんが、私が言ったように墜落する危険、可能性はある、過去の実績の積み重ねで。  それで、最後に長官に所信をお聞きしたいのだが、那覇軍港もそれから那覇空港復帰したら両方返す、これは当時の佐藤内閣総理大臣が目玉商品として約束したことなんですよ。これがはからずも、那覇軍港もそのまま残っている、それから那覇空港は、民間空港になったにかかわらず、いま申し上げたように陸海空自衛隊もと。これは危険だということでこの前、これは見解の相違と言わないと思いますが、沖繩の自民党の議員さんも含めて県議会で全会一致で、那覇空港を専用空港にすべきだという意見書を決議したことは長官はおわかりだと思います。私はその法律整備制度をやってということは言いません。県民の要求は県議会の全会一致の形であらわれているように、この危険な自衛隊は撤去すべきだ、いわゆる専用空港にすべきだという県民の総意、この総意が県議会の全会一致の決議になってあらわれているわけです。私も県民の一員としていま申し上げましたように、こんな危険物を抱いた、海上自衛隊P2Jなどがわがもの顔で飛んでいるということになると大変なことになる。だからこの際長官も、県議会の総意に基づいて那覇空港を民間専用飛行場としての実現のために奮闘してほしいと思いますが、どんなものでしょうか。
  211. 中山太郎

    中山国務大臣 県議会の決議は私も伺っております。現在、日本には十五カ所、自衛隊と民間共用の飛行場が存在をいたしております。このような状態は、日本全体における空港の立地その他土地事情、社会事情からやむを得ないというような環境に実はあるわけでございますが、先生指摘のように、危険が存在していることは私も否定はいたしません。私どもとしてはできる限り、安全な運営ができるように努力をいたしてまいるつもりでございます。
  212. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  213. 高橋辰夫

    ○高橋(辰)委員長代理 柿澤弘治君。
  214. 柿澤弘治

    柿澤委員 沖繩県全体が日本の国土の中で離島としてのいろいろな苦しみ、悩みというものを持っているわけですけれども、その離島県である沖繩の中で、さらにまた離島と言われる小さな島々がございます。長官ももうお訪ねになって御存じのことと思いますけれども、その離島の住民にとっては、交通手段の確保と改善ということが生活上の大変大きな問題になっていると思います。その点を少しお伺いをいたしたいと思います。  まず、一般的な交通手段としては当然、船による離島航路ということになるわけですけれども沖繩の離島航路の補助の実態はどうなっているのか。それから、石油価格が非常に大幅に上昇して電力料金の引き上げ等、県民生活を圧迫しているわけですけれども、同じように船の運航経費の上昇、運賃のアップという形で沖繩県民にとって、特に離島住民にとって大きな負担になっていると思いますが、五十五年、五十六年、来年までの離島航路の運賃なり補助なりの見通しをお述べいただきたい、できる限りの努力をしていただきたい、そう思っております。いかがでしょうか。
  215. 山下文利

    ○山下説明員 沖繩諸島相互間を連絡いたします離島航路につきましては現在、二十九の事業者が三十二の航路を維持してございます。先生指摘のようにこのうち、約四分の三近くを占めます二十三の航路が経営上赤字を計上いたしております。これにつきましては、離島航路整備法によりまして赤字の補助をいたしておるわけでございますが、この額が前年度三億六千万円でございます。これは国が赤字の七五%を補助し、残りを地方公共団体が補助しておりまして、赤字のほぼ満額は補てんされておりまして、船舶の運航が順調に行われておるわけでございます。ところが先生指摘のように、本年に入りまして石油価格の高騰がございまして、この点経営コストを非常に圧迫するんじゃないかということが懸念されている状況でございます。したがいまして今後、財政当局と協議をしながら離島航路補助制度及び事業者の経営努力によりまして、今後ともできるだけ離島住民の足を確保してまいるように努力いたしたいと思っております。  それから次に運賃の問題でございますが、本来は適正利潤を含みました適正原価を運賃でもってカバーするというのが原則でございます。しかしながら離島の場合は、旅客輸送需要が非常に少のうございますので、すべてのコストを運賃でカバーするということは非常に困難なことだろうと思っております。しかも今回のように石油価格の上昇というコストアップ要因が入ってまいりますと、ますます非常に困難となろうと存ずる次第でございます。したがいまして運賃算定に当たりましては、離島航路補助金が入るということを前提といたしましたコスト計算をいたしまして、できるだけ離島住民の方々の運賃負担が少なくなるように、今後とも努力してまいりたいと思っております。
  216. 柿澤弘治

    柿澤委員 現在の方式で計算、試算をしていくと、ことしに比べて来年はどのくらい予算がふえないといけないのですか。
  217. 山下文利

    ○山下説明員 ことしの計算は、九月末の状況を締め切って最終的に集計するわけでございますので、いまのところまだ正確な数字は出てございませんが、本年度の予定よりはかなり上回る要望が必要だろうと思います。
  218. 柿澤弘治

    柿澤委員 ゼロリストを出さなければならないような厳しい財政状況の中ですから、いろいろと御苦労も多いと思いますけれども、その点離島の住民の皆さんにかわって要望をいたしておきます。  それから離島の交通手段としては、空港整備一つ大きな問題だろうと思います。石垣、与那国等の改修工事というものが行われておるようですし、伊江島、下地についてはすでにできておるわけですけれども、私どもが先般、沖繩を訪ねましたときにも、伊平屋、伊是名等の離島についても空港整備してほしいという要望が出ているわけです。その辺については、今後の空港整備計画の中でどう取り扱われておりますか。
  219. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 ただいま御指摘ございました伊是名、伊平屋の空港整備につきましては、県の方から強い要望が出てまいっておりましてよく承知いたしておるわけでございますが、ただいま県におきまして、この空港の設置につきますもろもろの調査を行っていただいておるというふうに聞いております。その結果を待ちまして慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  220. 柿澤弘治

    柿澤委員 空港整備して航空路を確保する、これは住民にとっては大変望ましいことなんですけれども、ただ御承知のとおり、飛行機というものは大変コストの高い交通手段ですから、空港はできたけれども飛行機が飛ばないということではこれまた困るわけです。伊江島についてはかなり早い時期に、海洋博のときにできているわけですが、いま運航していないというふうに聞いております。そういうむだな投資をするようになっても困ると思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  221. 近藤憲輔

    ○近藤説明員 お答えいたします。  伊江島と那覇を結ぶ路線につきましては、柿澤先生指摘がありましたように、沖繩海洋博の期間中とその後翌五十一年七月から五十二年二月まで、合計約一年間にわたって運航いたしたわけでありますが、非常に利用率が低調であったということもありまして、そのとき以後運航は取りやめたということになっておるわけでございます。この点につきましては今後、旅客需要などを勘案して、事業者の申請が出てまいりましたならば、運輸省としても検討いたしたいと考えております。
  222. 柿澤弘治

    柿澤委員 その辺については離島の交通手段としても、やはり総合交通的な感覚というか総合交通体系、一体どの程度の住民がいる離島は航空路をつくらなければいけないか、どの程度は船である程度賄えるか、その辺の総合交通的な感覚が必要だろうと思うのです。その辺、もう一つ離島との交通手段としては当然、架橋があるわけですけれども、私どもが行きまして、かつて離島であったところが橋でつながれて本島と行き来が非常によくなったということで喜ばれている部分があるわけです。この離島に対する架橋を一体どの辺までやるつもりなのか、この辺の考え方、いかがでしょうか。
  223. 海原公輝

    ○海原政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、おのずからそこにどのくらいの人口がいるか、あるいはまた産業開発としての可能性とか、それが全体としてどういうものによらなければならないかどうか、いろいろな要素を総合勘案しまして決めている段階で、画一的にこういう基準ということを明確に申し上げることができないのは残念でございます。
  224. 柿澤弘治

    柿澤委員 私ども先般、沖繩を訪ねましたときにも宮古島で、池間島の架橋の早期実現についてということで実は陳情を受けました。小沢委員長初め私どもは、期成会の会長さんの友利金助さん、それから池間中学の譜久村典子さんという若いお嬢さんの切々たる訴えを聞いたわけです。航路はあらしが来ればとまってしまう、学校にも行けない、医療施設にも通えないというようなことで、その訴えは私どもの胸を打ちました。何とか早く実現をさせてあげたいなというふうに思ったわけですけれども、この辺のところは、いま私が基準をと尋ねましたのは、その基準に入るのか入らないのか、もし入るとすれば今後、一体どういう形で実現に持っていくつもりか、その辺を伺いたいと思ったのです。
  225. 海原公輝

    ○海原政府委員 いまお尋ねの池間大橋につきましては、人口が千三百七十七人ほどおります。そういうこともございますし、また、学校の学生が宮古の方に下宿しているという実態等を踏まえまして、これにつきましては、前向きな形で現在、政府部内で検討しておるというのが実情でございます。  なお補足的に、いまどのようなことをやっているかということを申し上げますと、昨年六月、伊平屋島と野甫島を結ぶ野甫大橋、これは完成させました。それから、伊計島とこれは本島の中部でございますが、伊計島を宮城島経由で本島と結ぶ伊計大橋、それから瀬底島と本島を結ぶ瀬底橋、これはいま整備中でございます。  以上でございます。
  226. 柿澤弘治

    柿澤委員 もう少し具体的に伺えるとありがたいのですけれども、池間島に関しては着工までの調査、これはことしじゅうには終わるのでしょうか。
  227. 山科喜一

    ○山科説明員 池間島の架橋につきましては、いままで沖繩県の方で調査をしてまいりました。地質、それから航路等いろいろな調査があるわけでございます。それから補償関係がありますが、大体今年度いっぱいでほぼ終わる見通しと聞いております。
  228. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、五十六年度には着工という運びになると考えてよろしいですか。
  229. 山科喜一

    ○山科説明員 現在、開発庁の方に県の方から採択の要請が出ております。私どももそれは聞いております。その調査が完全に終わりまして、私の方の採択基準等に照らし合わせてよろしければ、その時点で検討するというふうになります。
  230. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、それは来年度の早々ということになりますか。
  231. 山科喜一

    ○山科説明員 五十六年度の予算でございますので、五十六年度の予算確定次第検討することになります。
  232. 柿澤弘治

    柿澤委員 最後に、長官にお伺いをいたしたいと思いますが、いま申しましたように離島のまた離島ということで、沖繩の小さな島に住んでいらっしゃる方にとっては、足の確保というものが生活上の非常に重大な関心事であり、また島民の定着率をよくするという意味でも、いろいろな意味で意義を持っていると思うわけですが、沖繩開発を担当されている中山大臣のその点についての御所見と今後の御方針などを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  233. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の御指摘のとおり、離島をたくさん抱えた沖繩のいわゆる足の問題につきましては、ただいまいろいろ御意見が出ましたが、沖繩開発庁といたしましても、御趣旨を尊重して努力をいたしてまいりたいと考えております。
  234. 高橋辰夫

    ○高橋(辰)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会