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久保(三)
委員 社会党の
久保です。
参考人の皆さん、本日はお忙しいところをおいでいただきまして、貴重な御
意見を拝聴することができまして、大変有意義でありがたくお礼申し上げておきます。
そこで、限られた時間でありますので、全部の
参考人の
方々からお聞きできないかもしれませんが、できるだけ補充した御
意見をお願いしたいと思っております。
まず第一に、
関参考人にお伺いしたいのでありますが、
一つは、いまもお話がありました新しい
鉄道の
建設についてであります。
新
線建設について、今度提案されてきたものは
鉄道建設公団法の法律の例外
規定みたいなものを出してまいりまして、
国鉄の新
線建設は、御
承知のように、敷設法に基づいて
国鉄の
経営を前提にして
建設するわけでありますが、その中でも特にAB線と言われるローカル線、そういうものについて、われわれとしてはこの際
国鉄の
再建ばかりじゃなくて、
日本の
交通体系そのものを一遍見直す必要がありはしないかとも考えております。
特に
地域の
交通については、いま提案されておるように、在来線であるローカル線、特に
輸送効率の低いローカル線は、
基準の決めようにもよりますけれ
ども、一定の
基準によって
廃止をしていこうというのが大きな問題になっております。そこで、その問題はなるほど問題でありますが、それほどに考えているなら、まず第一に、われわれは、
輸送効率が関与しても、法律に予想するような
特定地方交通線というものに該当するようなものは改めて
建設すべきではないではないかというふうに考えております。
そういうことを前提にすれば、ただいま申し上げたような法律、敷設法あるいは公団法の特例のように
地方鉄道業者によって、中身は業者並びに第三セクター、特に第三セクターの問題が多いように思いますけれ
ども、その手によって要請があれば従来どおり
建設をします、そして、できたものは貸し付けまたは譲渡、当然いまの
国鉄に貸していることと同じ方式で無償で貸し付けることになろうかと思うのですが、われわれとしては、
国鉄の
経営がこういうふうになったし、
国鉄の
特定地方交通線を処分しようというさなかでありますから、
政府自体も
国鉄のためにそういう
路線をつくることにやはり内心じくじたるものがあって、風穴をあけておく、しかし新
線建設はやめられないということで、
政治路線と一言で言いますが、
政治路線を今後も引き続いてつくるためには特例が必要だというので、この法律でそういう
条項を設けようとしているのではないかというふうに思うのでありますが、
国鉄の新線と言われるいわゆるAB線の
建設について関さんはどういうふうにお考えでありますか。これが
一つです。
それからもう
一つは、いまもお話がありました
整備五線の問題がありますが、これまで新
幹線をやってまいりましたし、遠からず東北あるいは上越、そういうものができ上がるわけなのでありますが、それにさらに列島改造論で
全国ネットワークの一環としてやろうというのが
整備五線でありまして、
政府はこの
建設についていまだに明確な線を出していません。私は、お話しのとおり、もしもこういうものをこのままの体制の中で
建設していくとするならば、なるほどお説のように割り安の
建設費でよしんばつくったにしても、在来線の維持は困難になるであろう、こういうふうに思っています。私は単に在来線を死守しようとか固守しようということだけでは
交通政策は進められませんけれ
ども、やはり
判断の問題だと思うのですね。将来の
交通体系の中で主要
幹線は全部新
幹線にするということは、決めようによっては
一つの決め方であります。その場合には、在来線の処理はもはやこれは廃線を前提にしなければならぬだろうというふうに私は思うのです。それは極端な考えかもしれませんが、そういうものを何ら議論もせずに列島改造論に見られるような形で
整備五線をつくるというのは、私は間違いではないかというふうに思うのです。
それからもう
一つは、いま
政府・与党の中で議論しているのは、
国鉄の
経営は非常に苦しいから
整備五線の
建設費はひとつ
国鉄の負担にならない金でやろうじゃないかというので、財源調達について検討を加えているようであります。また、
国鉄当局、特に総裁は、利息のつかない金ならば結構でございますという答弁もこの席でしたことがあります。非常に不見識だと私
どもは思っているわけなんであります。本当に
国鉄再建なり
日本の
鉄道のあり方を考えているのかどうか疑いを持つような考えもあるわけでありまして、この辺について
国鉄の、しかも
技術者の最高までおやりになった関さんから、先ほどの話に続いて
整備五線の扱いについてどのようにお考えでありますか、お伺いしたい。
それからもう
一つは、
整備五線の話は別としても、間もなく開通しますところの東北や上越の新
幹線に
関連して、手前
どもはこれに連係して、ビームラインというか、その先ですね、こういうものの改良に重点を置くと同時に、在来線でいま
幹線と言われるものでも単線のものが数多くあります。そういうものを一刻も早く複線化して
国鉄の機能を十分にやらせる。あるいは電化して効率的なものをつくり出すことが先決ではないかと思うのですが、将来の展望に対して
整備五線を優先すべきか、在来の
幹線の輸送力増強、
近代化を推進することがいいのか。もちろん両方やるという説もあるかもしれませんが、われわれとしては、在来の
幹線の輸送力を
近代化し、増強するということだと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。
それから続いて、
雨宮参考人にお伺いしたいことは
運賃制度についてであります。
御指摘のとおり、今回の提案は、言うならローカル線で値上げをして
収支の
改善を図ろうという、私は先ほど手前
どもの
修正案を提案して
説明しましたけれ
ども、これは木によって魚を求めるごときものであって、
収支の
改善どころか、
収支はかえって悪くなるだろうと思うし、何かローカル線から現在の
利用者を追い出す
一つの手段として使うのではないかとさえ思っているわけでありまして、正しいやり方ではない。むしろ御指摘がありましたように、都心部を
中心にする並行する
地方鉄道軌道に対して
国鉄が
割り高な
運賃になっている面がありますから、そういうものを調整するのがまず第一に
国鉄再建の道ではないかと提言したわけです。しかしながら、基本的には
国鉄の
運賃制度というか、
国鉄ばかりじゃなくて
交通運輸の
運賃料金制度というのは、御案内のとおり、それぞれ
事業法によって個別原価主義でやっておりますから、当初の出発はかなり並行でありましたが、いまや全然土台が違ってまいりましたので、そこから出てくるところの
運賃料金はかなり格差がある、不
均衡があります。
そういうことから言って、
総合交通体系を策定しても、
運賃制度がいまのように個別原価主義でだけいくというようなことでは、
国鉄は御案内のとおり
全国にネットワークを持っておりまして、これが一律
賃率制、片方はそれぞれの
地域で個別原価主義でありますから、当然いまのような
時代になりますれば、都会地では
割り高になる、ローカルでは安くなるということになろうかと思うので、必ずしも適正な資源配分には通じないのではないかと思うのであります。
そういう意味から言って、
運賃料金制度をもう一遍総体的に洗い直し、特に都会地におけるところのような
運賃は各個ばらばらの
運賃がありますから、やはり運輸連合的なものをつくりながら、そこで共通
運賃制度を導入するとかいうのを思い切ってやらぬと、
国鉄のためにも
地域交通のためにもならぬではないか。だから、百歩譲って手前
どもは、そういう
運賃制度をもう一遍洗い直して、その中からローカル線の
運賃はどうあるべきかを考える時期ではないかと思うのであります。いまや短兵急なローカル線の追い出しのための
運賃値上げに
反対している理由はそこにあるわけなんですが、
雨宮参考人の
運賃に対する御見解を承りたい。
それから、
村尾参考人にお伺いしたいと思います。
野党はこの
法案に部分的に
反対しています。賛成する部分は、御
承知のように、過去債務のたな上げについては、
国鉄の
経営の実態から見て、これは当然やむを得ない
措置だと思って賛成であります。しかし、御指摘のように、ローカル線の扱いがあとは
中心であります。この扱いは、心情としてはわからぬことではありませんけれ
ども、扱いそのものについてはわれわれは
反対である。もう
一つは何が
反対かというと、御指摘の
政令による
基準ですね。手前
どもは、
廃止を前提にしたり、あるいは
運賃値上げを前提にしてローカル線をある一定の
基準で決めることに
反対であります。
廃止の前提や
運賃値上げに直接通ずる
基準であってはならぬと思っているわけなんであります。ただし、ローカル線の中でも、いろいろこれから
地域交通の分担の問題あるいは
地域交通の発展のために
国鉄のローカル線はいかにあるべきか。それからもう
一つは、
国民大衆の中から大変声が出ております。ローカル線においても
サービスが必ずしも十分ではない、もっと輸送
サービスを
改善することによって
利用度は上がるわけではないかというふうにも思うし、また
地域住民のためにかなり裨益するところがあるわけであります。ところが、ことさらにローカル線から旅客や荷物を追い出す施策に終始している
国鉄の
経営に対してはかなり厳しい批判があります。そういう意味からいって
一つには
反対をしているわけであります。しかも、そういう
廃止や値上げを前提にする
基準でありますから、そういうことであるとするならば、法律事項ではないかとさえわれわれは言っているのです。
政令に任せて、役人の手によって勝手な
基準を決めさせたんでは困るということさえ言っているのであります。いずれにしても、
審議の
過程でこの
基準は最終までにはこの
委員会でわれわれはきちっと確認していくつもりであります。
いずれにしても、その
基準がどう決まろうとも、大変むずかしい問題。
廃止を前提、
運賃値上げを前提のことであってはならない。むしろ私
どもは、
地域交通にどういうふうな役割りをさせるかということは民主的な手法によって
協議させることが当然ではないか。なるほど
国鉄の心情からいけば、もはやそういう
協議をやっても
結論はつかないですよという話なんです。
結論はつかないかもしれませんね。つかなくても、これは民主的な手法を放棄すべきではないと思うのであります。そういうことの議論の分かれ目が非常にあるわけであります。いずれにしても、そういうことを考えていきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
それからもう
一つ、
村尾参考人からお話がありました
地方の権限の問題であります。
なるほど、御指摘のように、いま直ちに
運輸省の権限を
地方自治体に譲れと言っても、とてもじゃないが官僚の抵抗に遭って、これはできません。われわれ本
委員会も超党派の決議をしたことがあるのですが、これは二年以上たっておりますが、いまだに抵抗してあります。手前
どもは、少なくとも
地域の
交通に対する
計画やその他を立てるぐらいの
責任は
地方自治体が持つべきだし、
責任を持つと同時に、そうすれば財源的にも
責任を持つことが当然に出てくると思うのであります。これはなかなかそう簡単にはいかないことは事実でありますから、それを一挙にいま、きょうあすにやろうたって無理でありますから、この法律案の中で、少なくとも最終
結論は
協議会で、
結論が出ない場合には県知事の
意見を出してもらおうじゃないか、こういうことで修正をお願いしているわけであります。そういうことについていかがでしょうか、お伺いしたいと思うのです。
それから、それは必ずしも
廃止をやめさせるというか、そういう前提であって、乗らぬものは
廃止だと思うのです。どういうふうにするかは
地域の住民の問題と
国鉄当局の熱意いかんにかかわると私は思っているわけでありまして、
廃止に
反対だけととられてもこれは困ると思う。いずれにしても、それをどうするかということをオープンにかけていくのがいいのではないかと思うのです。
それからもう
一つ、
村尾参考人にお伺いしたいのは、第三セクターのお話がありまして、なるほど今度の
法案には第三セクターということを前提にして書いているものがかなりあります。それは御説のとおり、
現行法体系の中では
地方自治体は
国鉄に対して資金援助はできないということですから、第三セクターならばできるであろうということです。これはやりようだろうと思うのです。そのやりようができないから第三セクターに持っていこうというのは、当局者の言うならば口実ではないかというふうに私は思うのです。これはやろうとすればできるのです。そういうものを放棄して、簡便に、いずれにしてももはや厄介者だからどこかに
経営は分離していこうということでありまして、手前
どものとらざるところであります。
時間もありませんので、
高屋参考人にもお聞きしたいのですが、一応お三人の方からお聞きしたいと思います。
以上です。お願いします。