○高木説明員 運賃は、できれば上げない方がよろしいわけでございまして、お客様のお立場、物価の問題というようなことをちょっと抜きにいたしまして、私
どもの
経営から言いましても、どうしても現在の運賃水準になってまいりますと、他の輸送
機関の運賃水準との関係でなかなかデリケートな
状態でございますから、何とか上げないで済ませるものなら済ましたいということでございますが、どうもいまの
日本の経済の
状態では、残念ながら毎年物価も賃金も若干ずつは上がってまいるわけでございますので、それではますますこの赤字がふえるということは否定できませんし、
先ほど来いろいろ各
委員から御指摘ありましたように、最近お客様が少なくなっております一因が運賃改定にあることも私
どもも否定はいたしませんけれ
ども、しかし、いままでの
傾向では、やはり全体としては余り無理をしない程度の運賃の改定をお願いせざるを得ない
現状になっておるというのが私
どもの
判断でございます。
そこで、そのときにどういうふうにして運賃を直していったらいいかということについては、明治、大正の時代から今日まで全国を一律に
考える、特急料金とか急行料金とかあるいは新幹線料金というようなシステムはありますが、同じ地域であれば原則として一キロ幾らということで同じだということで今日までずっと来たわけでございますけれ
ども、現在の他の輸送
機関の運賃の立て方は、全国一律でバスは幾ら、あるいは全国一律で私鉄は幾らということは事実上できません関係もあって、
企業別に合理的コストを前提として、
運輸省でにらめて認可をなさっているわけでございますので、競争相手の方が高いところあり、低いところありで、当方は全国一本でというのではどうもやりようがない
状態になってきたというのが
現状でございます。
そこで、いま学者の方々、いろいろな方に伺っておりますが、やはりもう少し地域差を入れるべきではないか。その地域差の基準としては、
一つは、当方の地域別のコスト差が参考にされるべきでありましょうし、同時に、他の輸送
機関の水準というものが参考にせらるべきではないかという方向に、だんだん皆さんの意見を伺っておりますと、なってきております。そうかといいまして、
先ほど来非常に御熱心に御議論がございますように、公共的役割りを持っておるわけでございますから、著しくそのコストのみに頼ってはいけないし、また同時に、他の輸送
機関のお値段だけに頼ってもいけない。したがって、現在山手線の場合には、まことに恐縮ですけれ
ども五十円のコストのものを百円で売っておるというような
現状になっておりますので、これも何とかしなければいけないし、片一方では千円のところを百円で売っているということになっておりますので、これも何とかしなければならぬが、さりとて原価に合わすわけにもいかず、また他の輸送
機関のお値段にぴたり合わすわけにもいかず、どうしたものかということで、少しずつ、全国一律運賃体系から、線区別といいますか、地域別といいますか、そういうものを多少とも入れていったらどうかということで
考えておりますのがいまの特別運賃でございます。
その場合に、制度として地方交通線について特別の運賃をとらしていただきたいと言っておりながら、都市部における、まあ割引の方のことが制度上今度の改正案には出ておりませんけれ
ども、この点につきましては、現実にいま関西地区では特定運賃ということで、現行法のもとにおいて他の地区よりは少し低い水準のものもつくり出したりいたしておりますので、現行の運賃法の全体の思想は、割り引く方は適宜割り引け、しかし上は押さえておけという、法律を超えてはならぬというか、認可を超えてはならぬということでございますので、その弾力的な運用に近づくのについて、今回、地方交通線全般につきまして特別運賃制度をつくらしていただいたらどうかというふうに
考えておるわけでございます。これはいろいろな角度から大いに
考えました結果、いまそこにたどり着いているわけでございまして、
現状の地域的な運賃格差というものについて、どうかひとついろいろ御検討、御理解をいただきたいと存じます。