○
説明員(
小野重和君) お
手元に
米価に関する
資料と、それから五十四
年産の米の
生産費調査の結果がお配りしてございますが、この
二つの
資料に基づきまして、まず
米価に関する
資料に基づきまして
需給事情あるいは
財政事情を御
説明申し上げ、さらに
生産費調査の結果につきましては
統計情報部長から御
説明させたいと存じます。
この
米価に関する
資料でございますが、
米価に関するいろんな
数字が載っておりますが、時間の
関係もございますので、
需給事情、
財政事情につきまして御
説明申し上げたいと思います。
大変恐縮でございますが、まず四十四ページをお開きいただきたいと存じます。
生産関係の
資料でございます。
作付面積が左の欄にございますが、
水稲、陸稲、計。計の欄をごらんいただきたいと思います。
昭和三十年代は三百二、三十万ヘクタールの
作付面積でございました。これが四十五年が、御
案内のように
生産調整といいますか、転作の四十五年はまあ
試験実施ということでございましたけれども、二百九十二万三千ヘクタール、三百万ヘクタールをここで切ったわけでございます。以後
生産調整を実施しておりますので、また
生産調整を強化しつつございますので、現在、五十四
年産では二百四十九万七千ヘクタール、こういうことに相なっております。
その次の右の欄、
真ん中でございますが、十アール
当たり収量、
水稲についてごらんいただきたいと思いますが、これは最近の稲作の
生産性の向上、非常に見るべきものがございまして、
反収が大変向上いたしております。これは、
作況がいろいろ変動しておりますので的確に申し上げるのはなかなかむずかしいのでございますが、五十四
年産、一番下の欄でございますが、四百八十二キロでございます。去年の五十四
年産は、右の方にございますが、
作況指数が一〇三でございます。一〇三で四百八十二キロであったわけでございます。ちなみに、少し上の方へまいりまして
昭和四十五
年産を見ていただきますと、これも同様に
作況は一〇三でございます。したがいまして、これと比べてみますと四十五年の
収量は四百四十二キロでございまして、同じ
作況の五十四
年産、昨
年産でございますが、四百八十二キロ、四十キロの
反収増が見られると、こういうことでございます。さらに五十三
年産でございますが、四百九十九キロでございますが、これと同じ
作況ということで、一番上の欄の三十五年、いまから二十年前でございますが、これも
作況一〇八でございます。このときが四百一キロ、二十年間に百キロの
反収増と、こういうことでございます。
その
作付面積と十アール
当たり収量を掛け合わせたものが一番右の
収穫量でございますが、計の欄をごらんいただきますと、
真ん中の上の方の
昭和四十年代、四十二年に千四百四十五万三千トン、千四百万トンの大台に乗りまして、四十二
年産からいわゆる第一次
過剰時代が始まったわけでございます。四十五年が
生産調整のスタートの時でありまして、千二百六十八万九千トン、以降ごらんのような
数字でございますが、
生産調整で
面積が減っておりますが、それ以上に、以上にといいますか、一方、
反収の増がございますので、
面積が減るほどは
数量は減っていないということでございます。
以上が
生産関係の
数字でございます。
次に
消費関係に移らしていただきますが、恐縮でございますが七十八ページをお開きいただきたいと存じます。
米の
消費量の推移でございます。一番左の
全国の
平均の欄でございますが、これも御
案内かと思いますが、
昭和三十七年に一人
当たりお米を百十八・三キロ日本人は食べたのでございますが、これが戦後の
最高でございます。以来少しずつ減っておりまして、特に
昭和四十年代に入りまして減り方が多くなってきておるわけでございます。一番最近は五十三年の
数字でございますが、八十一・六キロ、こういう
数字になっておるわけでございます。
その右のところに対前年比というのがございますが、最近では、いろいろでこぼこはございますが二%ないし三%、二%前後、こういう減り方になっておるわけでございます。これを
消費者世帯と
農家世帯に分けてみますと、右の欄にございますが
——もっともこれは注にございますが、外食あるいは加工、お酒のようなもの、こういうようなものは入っておりませんので、この点お含みいただきたいと思いますけれども、
消費者世帯は五十三年で四十六・九キロ、
農家世帯は百十三・一キロ。いずれも最近減り続けておりますけれども、まあ絶対の
水準からいいますと
農家世帯の方が
相当御飯を食べている、こういうことでございますが、
農家世帯といえども、減り方は、ここの
数字にございますように、最近は減っている、こういうことでございます。大体日本の
人口は一%ずつふえておりますので、一人
当たりの
消費量が二%前後でございますが、最近では二%超えておりますが、
あと人口増の一%を引いたものが全体の
需要量の減、こういう形になってあらわれてくるわけでございます。
そこで、
生産関係、
消費関係、あわせまして全体の
需給はどうなっているかということでございます。これは八十六ページでございます。八十六ページに米穀の
需給関係の
数字を掲げております。
先ほども
数字が出てまいりましたけれども、一番左の、供給のところの
生産の欄、これが
生産量でございます。五十三年では千二百五十八万九千トン、こういう
数字でございます。
その次に輸入という欄がございますが、これは三角のところは逆に
輸出でございます。ちょっと、それにしましても、五十三年度外米、砕米四万五千トンということが言われまして、なぜ米を輸入しているのかと、こういうあるいは御疑問があるかもしれませんが、これは主として
沖縄用のものでございます。
それから、その八十六ページの一番右の欄でございますが、「
国内消費仕向量」、これがいわば
消費量でございます。五十三年度で見ますと千百三十万六千トンということに相なっておりまして、その
生産と
消費のギャップ、
生産の方が
消費よりも多いわけでございまして、それが「貯蔵の変化」という欄にございますが、これにあらわれるわけでございまして、いわば
ストックがふえる、在庫がふえる、こういう形になってあらわれてくるわけであります。
そこで、その次をめくっていただきまして、八十九ページの一番右の欄でございます。
いま
ストックがふえるということを申し上げましたが、一番端的に申し上げますと、結局
政府米、特に古米の
持ち越しがどういうふうになるかというところでございます。
昭和四十五年の欄、上の方でございますが、七百二十万二千トン、第一次過剰のときに七百万を超えたというのがこのときの四十五
米穀年度末の七百二十万トンでございます。その後
過剰処理等が進みまして、
昭和四十九
米穀年度末には六十一万五千トン、ここまで
政府の
米持ち越しは落ち込んできたわけでございますが、
昭和五十年の
豊作——豊作だけじゃございません、
消費あるいは
生産それぞれの
要因によりまして、また、いわゆる第二次過剰といいますか、ふえてまいりまして、ごく最近では五十四
米穀年度末
——去年の十月末でございますが、六百四十九万六千トン、約六百五十万トンと私ども申し上げているのはこの
数字でございます。ただ、これは五十四年度から
過剰処理を始めておりますので、仮に
過剰処理なかりせば七百万トンになったはずのものでございます。
昭和四十五年と同じ状態になったと、こういうことがこの
数字から見られるわけでございます。
で、九十ページには
過剰米の
処理の
数字を掲げてございますが、一番上の
過剰米の
処理対策の注にございますが、
対象数量は約六百五十万トンということでございます。
工業用、
輸出用、
飼料用という
三つの用途で処分することにいたしておりますが、五十四年度、これはほぼ
実績が出ておるわけでございますが、
工業用二十六万六千トン、
輸出用九十三万トン、計百十九万六千トン、約百二十万トンを
処理しております。五十五年度は、ここにございますようなことで、百二十二万トンの
処理を
予定しておりますが、全体で六百五十万トンに及ぶ
過剰米の
処理に要する
経費は一兆四千億円かかると、こういうふうに私ども見込んでおります。そういう
事情でございまして、三たび
過剰米を出さない、出すべきでないというのがこれからの
米対策の一番大きな
問題事項だろうというふうに考えておるわけでございます。
なお、
需給につきまして、いま
農林水産省ではいわゆる
長期見通しの
改定作業を進めております。まだ確定いたしておりませんが、その
試算を九十二ページに掲げております。九十二ページをお開きいただきたいと思いますが、六十五年度の
見通し試算ということでございます。現在
農政審議会で検討中の
数字でございますが、これによりますと、一人
当たりの食べる量でございますが、五十三年度は八十一・六キロ、これは
実績でございますが、これが十年後の六十五年度には、六十三キロないし六十六キロぐらいになるのではないかというふうに見ておるわけでございます。
この前提といたしましては、二千五百カロリーという
摂取カロリーはずっと横ばいということでございますが、肉類あるいは
油脂類、これの
消費の
増加によりまして米の
消費は減っていかざるを得ないのじゃないか。
消費拡大の努力はするにしても、そういう
減少傾向というのは避けられないのではないかということでございます。これに
人口がふえますので、そういう要素をかけ合わせまして、総
需要量といたしましては六十五年度では九百七十万トンないし千二十万トン、
中央値をとりますと約千万トンということでございます。ごく最近では千百三十六万トン、これが五十三年度の
実績でございますが、約百万トン以上減るのではないかと、こういうことでございます。
そこで、それに対する
生産の体制でございますが、
消費に合わせた
生産をせざるを得ないということでございまして、一番下の欄に、
生産量は一千万トン、
中央値をとりまして一千万トンの
生産を
予定せざるを得ないのではないか。ということになりますと、十アール
収量が五百十キロ、依然として
反収はふえるであろうという
見通しでございますので、
作付面積といたしましては百九十六万ヘクタール、現在二百五十二万ヘクタールでございますので、約六十万ヘクタール
作付面積を減らさざるを得ないのではないか、こういう
試算をいたしておるわけでございます。
以上が
需給関係の御
説明でございます。
それから
財政関係でございますが、ずっと後ろの方になりますが、百五十二ページをお開きいただきたいと存じます。これは
食管特別会計への
一般会計からの
繰り入れ等の
数字でございます。
いわゆる
食管赤字というのは、「
食管特別会計繰
入等」、一番上の表でナンバー3というふうに載っておりますが、これが
食管赤字に基づく
一般会計繰り入れでございますが、五十五年度
予算では六千五百二十二億という
数字になっております。これに
水田利用再編対策を加えましたのをいわゆる
食糧管理費と私ども
予算上申しております。この
水田利用再編対策が五十五年度
予算で三千三十四億でございまして、これを合わせた
食糧管理費は、百五十三ページ右から
三つ目の欄でございますが、九千五百五十六億という
数字に相なっております。これが約一兆円というのがこの
数字でございまして、九千億台というのがごく最近大体そういう
水準にきておる、こういうことでございます。
その中で
一般会計に占めるこの
割合でございますが、これは逐次若干ずつでありますが減っておりまして、現在では二・二%、
最高のときは、この表では
昭和四十五年になりましょうか、五・六%ということでございます。これは特に
食管特別会計繰り入れにつきまして、いわゆる
逆ざやの
縮小、これをしてきておりますので、その結果がここにあらわれた、こういうことだろうと思うわけであります。
それから
農林関係予算に占める
食糧管理費の
割合は、一番右の欄にございますが、
昭和五十五年では二六・七%、一番多かったのが
昭和四十五年の四六%ということでございます。
その中で米については特にどうなっているかということでございますが、この次の百五十四ページでございます。百五十四ページの「
国内米管理勘定」、これは
損益の
数字でございます。
管理勘定を分類いたしましてここに掲げてございますが、いわゆる米の
赤字は
売買損益と
管理経費、その
二つにまず大別されるわけでございます。
売買損益の中で、
政府米についての
売買逆ざやと
自主流通米についての
助成——自主流通米助成も、主として
売買逆ざやがありますので、それを一部補てんする意味で
助成しているわけでございますが、そこで、その
売買逆ざやの分でございますが、これは五十五年では千五百九十四億円でございます。一番のピークが
昭和五十年でありまして、三千八百八十一億あったわけでございますが、
逆ざやの
縮小によりまして現在ではこういう
数字になっております。しかしながら、一方では
自主流通の
助成が逐次
数量の
増加を主たる
要因といたしましてふえておりまして、現在では千三百三十一億という
数字に相なっております。
それから、その
管理経費というのがございます。これは後で若干
内訳を申し上げますが、
金利、
倉敷あるいは運賃、
事務費、
人件費、こういうものでございますが、これは逐次
相当にふえておるわけでございます。
昭和五十五年の
予定では三千五百七十億円でございますが、ここにごらんいただけますように、これは逐次
相当の
増加を見せております。
そして全体の計がその計の欄に掲げてあるわけでございます。五十五年度で約六千四百九十五億、こういう
数字でございます。
それから、
管理経費がなぜそんなにふえておるのかと、こういうことでございますが、その次の百五十六ページでございますが、若干
内訳を掲げてございます。余り細かいことは申し上げる時間はございませんが、
自主流通米の
助成はこれは別といたしまして、
保管料、
運搬費等でございますが、軒並みみんなふえておりますけれども、特に御注意いただきたいのは
保管料と
金利でございます。過去数年をとってみますと、たとえば
保管料ですと、
昭和五十年が二百四十七億円でございますが、五十五年
予定では六百六十九億ということに相なっております。それから
金利は、五十年が五百三十一億ですが、五十五年は千二百五十四億ということになっております。
保管料、
金利、これは
保管料の
単価とかあるいは
金利の
アップということもございますが、これはその大きな一つのこれがふえる
要因といたしまして
過剰米の累積ということがございます。
過剰米が大きくなりますと
保管料、
金利がふえてまいります。たとえば
保管料は
昭和四十年代は比較的少ないのでございますが、四十八年ごろ、前後でございますが百億台でございますが、その前の四十四、五年ごろは三百億台でございます、第一次過剰のときでございまして、そういう
過剰米を抱えますと、どうしても
金利、
倉敷がかかると、こういうことがございます。
いずれにしましても、この財政問題というものは
国家財政全体が非常に厳しい折でございますので、こういう問題を私ども考えざるを得ない、こういう
事情がございますけれども、中身を御
説明いたした次第でございます。
以上、いろいろこの
資料にございますが、とりあえず
財政事情と
需給事情だけ申し上げまして、
統計情報部長の方から
生産費の問題を申し上げさせたいと思います。