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柄谷道一君 私に与えられました時間が非常に短いものでございますから、以下六点につきまして質問だけ申しておきますので、これは後ほど文書をもって私の方に御回答を賜りたいと思います。
その第一は、三十五万人体制の問題でございますけれ
ども、六十
年度までの
再建期間中に約十三万五千人の自然退職者が出る、この補充を抑えて七万四千人を純減するというのが
再建案の大体骨格になっておるわけでございます。私は民間産業出身者として、これが国鉄式定員のはじき方かなと、こう思うんでございますが、これは収入に占める人件費ウエートを約五〇%に落とそうということからはじき出された定数でございます。民間産業、特に構造不況産業の場合におきましてはこれ、労使が真剣に協議いたしまして、各職場における生産性をどこまで具体的に向上し得るのか、定員——適正人員は一体何であるのか、それに対する職場の配置転換がどう関連づけてくるのか、そしてこれと関連する新規採用はいかに調整すべきか、綿密な労使協議が行われまして、そのピラミッドの築き上げられたものが総定数になるわけでございます。ところが、国鉄の場合は必ずしもそういう厳格な定員
計画がつくられたものとは把握できません。そこで、この三十五万人体制の基礎を一体どうなっておるのか、これが
一つ。次に、五十一
年度国鉄
計画によりますと一万一千人の削減を、五十五
年度の初
年度に削減すると、こう言われておりますが、その内容をどうするのか、これが第一でございます。
それから第二は、上越、東北新幹線の開業でございますが、人員は
再建計画の中に入っておりますが、収支
計算は見当たりません。この両新幹線の運営によって生ずる
赤字は年間三千億円に上るであろうと言われております。この両新幹線の運転と国鉄
再建計画との関連について明らかにしてほしい、これが第二でございます。
第三は、地方交通線の整理問題でございますが、二年間は見切り発車をしないと、これが明確になっております。二年間かかります。その結果は審議会にかけられます、また期間が必要とします。そして、審議会の結論によりましては、国鉄当局の意思に反して、その地方線が存続されるということもあり得るわけでございます。こういうシステムの中で、
再建案の中に盛り込まれている地方線の整理というものが閣議決定どおり行われる
見通しがあるのかどうかでございます。
次は上越、東北新幹線以外のいわゆる整備五新幹線の建設についてでございます。
これも五十六年での着工は見送るということは
承知いたしておりますが、国鉄
再建計画は六十年まででございます。この間に整備五新幹線の取り扱いをどうするのか、それと国鉄
再建計画との関連は一体どうなるのか、この問題でございます。
次は、青函トンネルの使用についてでございますが、北海道新幹線の建設見込みがおくれておるために、当面鉄建公団から国鉄が借り受けまして、在来線の運転をするということが新聞に報道されておりますが、これをやりますと、年間五百億円に及ぶ賃借料といいますか、使用料を約三十年にわたって支払わねばならぬという結果になります。これの国鉄
再建計画との関連をどう理解すべきなのか、この問題でございます。
次の最後の第五点は、鉄建公団が基本
計画に基づいて建設中の国鉄新線合計五十二線、このうちいわゆるAB線は四十線でございます。この取り扱いをどうしていくのか、それと同じく国鉄
再建計画との関連がどうなるのか、この五つの
問題点を詳細御質問をしたかったわけでございますが、この点につきましては時間の
関係がございまして省略をし、後ほど文書をもってお伺いいたしたい。その答えによりまして、また
再建法案などの審議の際に私の質問を続行さしていただきたいと思います。
そこで、私は、総裁と大臣、これ大変だと思うんですね。
再建の五十五
年度予算を見ても、単
年度で一兆五百十二億円の繰越損失でしょう。
再建二
年度の五十六
年度の決算見込みも営業損失五千億、経常損失約七千億と国鉄は見ているわけでございます。すると、六十
年度に五百億の黒字を出す、国鉄
再建をなし遂げる、残る
年度もう四
年度しかないんですよ。しかも五百億円の黒字を出そうとすれば、営業外損失の額を二千億円にとどめるとしても、営業利益の額は二千五百億円を上げねばならぬ、五十六
年度の営業損失が五千億円
程度とすれば、
現状に比べて七千五百億円分に
相当する
改善を行うというのが
再建計画の骨子ですね。しかも、これは
大蔵政務次官にもお伺いしたいのですが、こういう状態の中で繰り越し、たな上げですね、これについて二回は行う、こう言っておられるのでございますが、あとの残余は積立資本金で考える、積立資本金は崩しに崩しまして、現在約二千五百億円
程度の積立金しか残っていないわけです。しかも、これ現金があるわけじゃないですね。資産評価を行った
計算上の積立金が二千五百億円
程度だと。こうなりますと、たな上げは二回、そしていま五つの
問題点が明らかになれば、その関連が明確になるんですけれ
ども、この問題について容易ではないと私は思うんでございます。この点に対する運輸大臣の御見解、
大蔵政務次官の御見解をお伺いしたいことと、最後に
予算委員会の質問で、わが党の小沢代議士が国鉄経営陣、すなわち理事者は
大蔵省出身の総裁、国鉄
関係者、副総裁以下十三名、民間人は三名にしかすぎない、新しい感覚で国鉄の
再建を図るべきではないかと
指摘したことに対しまして、亡くなられました大平総理は、経営陣の構成は国鉄だけでなく、特殊法人全体について民間の活力と英知を動員していくという意味で、過半数の人間は民間からという方向で考えたいと明確に
予算委員会で答弁されているわけですね。いまの国鉄はもう民間であればこれ破産ですよ。民間会社であれば当然会社更生法適用会社ですよ。経営者総退陣、管財人が入って、労使が十分話し合いながら
再建に取り組むというのがもう
現状だろうと思うんです。亡くなられました大平総理の
予算委員会におけるこの答弁を、今後大臣はどのように生かしていこうとされるのか、この点をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。