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前田説明員 ただいまの御質問の中にもございましたように、
捜査当局といたしましては、
犯罪の
疑いがあるということでございますならば当然その
捜査をするということでございまして、そのことには全く変わりはないわけでございます。
そこで、今回の
最終報告書なるものが公表されましたので、
検察当局におきましても、その
報告書に
記載されている事実、
先ほど来御
説明申し上げているような事実につきまして、改めて
捜査をする要があるかどうかという点も当然含めながら、念のための
検討を行ったというふうに聞いておるわけでございます。そしてその結果といたしまして、
検察当局から次のような
報告を受けておるわけでございます。
すなわち、今回の
最終報告書の
内容を
検討したけれども、
指摘されている
事項は、昨年のいわゆる
日商岩井事件の
捜査の
過程において、
アメリカの
司法当局の協力を得て入手した
米側の
資料あるいは
日本国内の
関係資料、
関係証拠等によってすでに把握されていた事実の域を出ていない。したがって、こういう
関係の事実については当時の
事件処理の際にすでに
検討済みである、こういう
報告を受けておるわけでございます。したがいまして、今回の
最終報告書記載の事実に関しまして、
検察当局といたしましては改めて
捜査をすることはないというふうに理解しているわけでございます。
それが
結論と言えば
結論でございますけれども、
内容にわたって少し補足をいたしますと、
先ほども御
説明ありましたようないわゆる一万五千ドルの件でございますが、これは
先ほども御
説明しましたように、
報告書の
表現の上で若干違っておる点がございます。しかしながら、この一万五千ドルという問題は、要するに
ロッキード社から、どういうルートかあるいはどういう
いきさつかは別といたしまして、
ロッキード社から
日本の
政府関係者に対して支払われたかどうかということでございます。また私どもにとって大事なことは、そのことが何らかの
犯罪を構成するかどうか、こういうことでございますので、
報告書の
表現上の若干の差はございますけれども、実質においては問題は一致しておるわけでございます。
そういうことでございますので、
検察当局におきましては、
前回の
報告書がありました
関係で、その
内容というものを
十分念頭に置きながら、
ロッキード社からのいわゆる一万五千ドルの
流れというものについて広く
捜査を尽くしたわけでございまして、その結果
刑事訴追をすべき
犯罪の
容疑は認められなかったということになっておりまして、そのことは当時の
国会での御
報告でも申し上げておるところでございます。
そのことは今回のいわゆる再
検討と申しますか念のための
検討におきましても十分見直されて、同様のことであるというふうに承知しておるわけでございます。
また一言申し添えますと、この一万五千ドルの
授受というものは、
報告書によりましても一九七〇年
つまり昭和四十五年のことでございますから、仮に右のような金の
授受というものがございましても、すでに
前回の
捜査当時におきまして
贈収賄罪等の
犯罪というものは
公訴時効が完成しておるということになるわけでございます。
それから百八十万ドル、実際には百八十二万ドルの
コミッション料の
支払いについてでございますが、これはいずれも当時の
捜査の結果それぞれの
商社に正規の
手数料として入っておるということが明らかになっておりまして、この件につきまして何らの
犯罪も認められなかったということでございます。この点も従来
国会に御
報告をしているところでございます。
それから、二十一万三千二百二十六ドルの
コミッション料の追加の問題でございますが、これは
先ほど申しましたように、特に不正な
支払いではないということが
報告書自体にも明記されておるわけでございますし、また
前回の
捜査の当時、
ダグラス社の
軍用機の
ライセンス生産に関する
手数料の出入りといいますか
流れにつきまして
捜査を遂げ、この
手数料の
流れに関しては何らの
犯罪もなかったというふうに認められておるわけでございます。この点も御
報告済みのところでございます。
最後に、いわゆる一機につき百万ドルの
密約というふうに言われている点の問題でございますが、これは
先ほど来申し上げておりますように、
報告書の上では新たな事実のように見られますけれども、
先ほど御
説明をいたしました
検察当局の
報告によりましても、この点もすでに
前回検討済みであるということでございまして、改めて
捜査する要はない、またその考えはないということをはっきり言っておるわけでございます。ということは、
報告書の上では新たな事実のようにとられるかもしれませんけれども、当時
捜査当局つまり検察当局にとりましては了知されていた事実であり、別に今回初めてわかった事実ではないということを示しているわけでございます。
なお、さらに一言申し添えますと、この
報告書、今回の
最終報告書の
記載自体から判断いたしまして、このいわゆる
密約と呼ばれておるものは
契約書の成立が
条件ということになっていたようでございます。そのことがはっきりしております。ところが、その
条件である
契約書が署名されないままに返送されたということでございますので、そういう
条件が成就しないということが明らかであるわけでございます。
そういうふうに考えますと、一機につき百万ドルの
支払いということの
約束自体が
条件が整わなかったために成立しなかったというふうに見るのが相当ではないかというふうに思われますし、また、この
最終報告書の上で案に書かれていたような
支払いがなされたという
証拠は何ら見出せなかったということもはっきり
最後に書いてあるわけでございますから、そういう点からいたしましても、いわゆる
密約と言われるもの
自体が成立しなかったということでありますし、仮にまた、そのような交渉がなされたことに関しまして何らか
贈収賄等の
犯罪の
構成要件に当たるということを想定いたしましても、その時期が一九七四年以前
つまり昭和四十九年以前ということに相なるわけでございますから、
公訴時効は完成しているというふうに見るのが相当であろうというふうに考えられるわけでございます。
以上申しましたように、今回の
最終報告書において
指摘された
事項につきましては、
青木委員も御
指摘のとおり、
新聞等にも大きく
報道されましたし、また、それに伴いまして
国民の御
関心も深いわけでございますので、
検察当局といたしましては念には念を入れて見直しといいますか
検討をした、しかしその結果、
先ほど来申しておりますように、当時の
捜査の
過程で把握されており、その
処理の段階で
結論が出ておるということでございます。
したがって、今後改めて
捜査はしないというふうに申しておるわけでございますから、第二の
お尋ねでございます
資料要求という点も当然のことながらその必要がないというふうに相なるもの、かように考えております。