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1980-07-31 第92回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十五年七月三十一日(木曜日) 午前十時三十四分
開議
出席委員
委員長
田邉
國男君
理事
菊池福治郎
君
理事
津島 雄二君
理事
羽田 孜君
理事
福島 譲二君
理事
新盛 辰雄君
理事
松沢 俊昭君
理事
武田 一夫君
理事
稲富
稜人君
逢沢 英雄君
上草
義輝君 亀井 善之君 川田 正則君 岸田 文武君 北口 博君 北村 義和君
近藤
元次
君 佐藤 隆君 菅波 茂君
田名部匡省
君 高橋 辰夫君
玉沢徳一郎
君 丹羽 兵助君 保利
耕輔君
三池 信君 渡辺 省一君 小川 国彦君 串原 義直君 島田 琢郎君 田中
恒利
君 竹内 猛君 日野 市朗君 安井
吉典
君 吉浦 忠治君 神田 厚君
近藤
豊君 寺前 巖君 野間 友一君 木村 守男君
出席国務大臣
農林水産大臣
亀岡
高夫君
委員外
の
出席者
大蔵省主計局主
計官 的場 順三君
国税庁間税部長
小泉 忠之君
農林水産政務次
官 志賀 節君
農林水産大臣官
房企画室長
鴻巣 健治君
農林水産省農蚕
園芸局長
二瓶 博君
食糧庁次長
小野
重和君
農林水産委員会
調査室長
小沼 勇君
—————————————
七月二十五日 一、
農林水産業
の
振興
に関する件 二、
農林水産物
に関する件 三、
農林水産業団体
に関する件 四、
農林水産金融
に関する件 五、
農林漁業災害補償制度
に関する件 の閉会中審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
農林水産業
の
振興
に関する件(
昭和
五十五
年産
米穀
の
政府買
入
価格等
) ————◇—————
田邉國男
1
○
田邉委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
昭和
五十五
年産米穀
の
政府買い入れ価格
についての
諮問
に関し、
政府
から
説明
を聴取いたします。
小野食糧庁次長
。
小野重和
2
○
小野説明員
本日、
米価審議会
が開催されまして、これに
昭和
五十五
年産米穀
の
政府買い入れ価格
につきまして
政府諮問
をいたしたわけでございます。お手元に「
諮問
」というペーパーと、別に「
昭和
五十五
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」がお配りしてあると思いますが、これに基づきましてその
内容
の御
説明
をいたしたいと存じます。 まず「
諮問
」でございますが、これは朗読させていただきます。
昭和
五十五
年産米穀
の
政府買
入
価格
につい て、
米穀
の
需給
の
均衡
を図るための
対策
が行わ れている
需給事情
に即応しつつ
生産費
及び
所得
を考慮して
決定
することにつき、
米価審議会
の 意見を求める。以上でございます。 これにつきましての
説明
がおめくりいただきますと書いてございます。これも短いものでございますので、朗読させていただきます。
米穀
の
政府買
入
価格
は、
食糧管理法
第三条第 二項の規定により、
生産費
及び
物価
その他の経
済事情
を参酌し、
米穀
の再
生産
の確保を図るこ とを旨として定めることになっており、その算 定については、
昭和
三十五年以降
生産費
及び所
得補償方式
により行ってきたところでありま す。
米穀
の
政府買人価格
は、最近における
米穀
の
需給事情
を考慮し、
昭和
五十三
年産
及び
昭和
五 十四
年産
についてその
水準
を据え置いてきたと ころであります。また一方で、
水田利用再編
対 策をはじめとする各種の施策を通じて
米需給
の
均衡
を回復するための
努力
が続けられておりま す。 しかしながら、
米需給
の現状は、
需要面
では
米消費
の減退が続いている一方、
生産面
では、
稲作志向
が根強いこと、
水田生産力
の向上が見 られること、天候に恵まれたこと等により
生産
が
計画
を上回っているため、なお、深刻な
供給
過剰の
事態
にあります。また、このような
事情
の下で
食糧管理特別会計
の
財政運営
も極めて困 難な状況にあります。 他方、
農家経済
をとりまく最近の諸
事情
の下 で、
農業生産
の再
編成
に取り組む
農家
の
意欲
に 及ぼす
影響
にも何らかの
配慮
を払う必要がある と思われます。 本
年産米穀
の
政府買
入
価格
につきましては、 以上の
事情
を
総合勘案
のうえ、現下の
米穀
の需
給事情
に即応しつつ
生産費
及び
所得補償方式
に より
算定
することとしてはどうかということで あります。 次に、「
昭和
五十五
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」につきまして、ポイントだけ御
説明
いたしたいと存じます。
最初
の
算式
は、いろいろ書いてございますが、これは要するに過去三年の十アール
当たり
の
生産費
、これはいわゆる
必要量生産費
をとっておりますが、これの過去三カ年の十アール
当たり生産費
、これを最近の
物価
なり
賃金
に置きかえてそれを
平均
する、こういうものでございます。それを過去三年の十アール
当たり
の
平均収量
で割る、こういう
基本
的な
算式
をここに書いておるわけでございます。これにつきましては昨年と
基本
的に同じでございます。 おめくりいただきまして、次は「
算定
」の
内容
でございます。「求める
価格
」とかいろいろ書いてございますが、こういう出し方は
基本
的には全く従来と同じでございます。
最初
に「求める
価格
」ということで、要するにあらゆるお米の
生産費
を出す。「
基準価格
」、これはいまの「求める
価格
」に
運搬費
、
政府
が買う場所までの
農家
の
運搬費
、これを足したものを「
基準価格
」と申しております。これを一万七千四百十八円にするということでございます。これは前年の
基準価格
に対しまして二・四%の
引き上げ
になります。 その「
基準価格
」をもとにしまして、最終的には、四の「うるち一〜五類、一〜二等
平均
、
包装込み
、
生産者手取予定価格
」これは普通、
基本米価
と言われておるものでございます。普通、
生産者米価
と言っておりますのはこれでございます。これはいろいろ細かい過程がございますが、結論的に申し上げますと、一万七千六百七十四円でございまして、これは前年の
価格
に対しまして二・三%、額にいたしまして三百九十五円の
引き上げ
になっておるわけでございます。 実際問題として
政府
が買う場合には、類別、
等級別
の
一定
の
価格
で買うわけでございまして、その額が参考の表でございます。括弧の中の
数字
がございますが、これがいわゆる
品質格差
でございまして、この
品質格差
につきましては、昨年これを新たに導入いたしたわけでございますけれ
ども
、この額につきましては去年と同様の額になっております。 その次に、さらに具体的といいますか、その
算定
の基礎でございますが、まず十アール
当たり平均生産費
を
算定
いたすわけでございます。この場合に、いわゆる
必要量生産費
というものをとっております。この
考え方
は去年と同じでございますが、
数字
は三ページの上の方に八四%とか八九%とか
パーセンテージ
が書いてございますが、この
数字
は去年と違いまして、これは各年の米の出回り
数量分
の
昭和
五十五
年産
のお米の
予約限度数量
、これを
パーセンテージ
にしたものがそれぞれのパーセントでございます。五十五
年産
は
予約限度数量
が七百八十五万トンでございます。たとえば五十二
年産
の
総出回り数量
は九百三十七万七千トンということでございますので、これを
パーセンテージ
にしますと八四%ということになりまして、これがここに書いてございます八四%ということになるわけでございます。 次に、
家族労働費
でございますが、五人以上千人未満、これは同じでございます。
賃金
の単価は最近の一年間の
都市均衡労賃
をとりますので、去年と変わってまいるのは当然でございます。 それから、四ページの
物財
・
雇用労働費
でございます。 これも
基本
的には
考え方
は去年と同じでございますけれ
ども
、
物価修正
する場合にどういう
期間
をとるかという問題がございます。この真ん中のあたりに「
米生産費パリティ指数
による
昭和
五十二年一月〜五月
平均
に対する
昭和
五十五年一月〜五月
平均
の
変化率
」こうございますが、これは、去年は十一月−五月という
期間
をとっておりましたが、これを一月−五月というふうに変えております。これは、最近のように
物価
が
上昇傾向
にあるという場合には、比較的最近の
期間
をとった方が、有利になるというのもおかしいのですが、十一月−五月よりは高くなるということでございます。
物価
については最近のものをとるということでございます。
物財
・
雇用労働費
のそのほかの
考え方
は去年と同じでございます。 それから、
副産物価額
も同様でございます。 その次の五ページの
資本利子
の
考え方
でございます。 この
資本利子
のところに「
借入金
については
年利
七・四三%、
自己資金
については
年利
五・三五%として
算定
する。」と書いてございますが、
借入金
については
農家
が実際に支払うものでございますので、最近の実勢を採用いたしております。それで七・四三%でございます。
自己資金
でございますが、これはいろいろ
論議
のあるところではございますが、現実に
農家
が支払うものではない、いわば
所得
を構成するものでありまして、これについての
考え方
は従来からいろいろな
考え方
が採用された経緯がございますが、最近
金利
が非常に上がっておりますことは確かでございますけれ
ども
、そういう
自己資本金利
という性格上、
需給事情
その他を勘案いたしまして、との
採用金利
は去年の
米価
について採用した
金利
五・三五%、去年と同様の
金利
を見ておるわけでございます。 その次に、「
概算金
に係る
利子相当額
は控除する。」こう書いてございますが、去年はこれは控除いたしておらなかったわけでございますけれ
ども
、これも過去において控除した例はございます。これは
自己資本
の
利息
を本来
計算
しているわけでございます。いま三千円の
概算金
を払っておるわけでございますけれ
ども
、それの
利息
は
農家
としては当然運用できるものでございますので、これの
利息
は全体の
自己資本
の
金利
から除いてしかるべきではないか、こう
考え
まして、本
年産
についてはこれを控除することにいたしておるわけでございます。
あと
の
物件税
、公課諸負担、地代等々につきましては、
考え方
は去年と変わっておりません。
最後
に、七ページに全体の姿といいますか、各
年産ごと
のいろいろな要素についての
数字
を
一覧表
として掲げておるわけでございます。 以上、簡単でございますが、
諮問
の
内容
につきまして御
説明
いたした次第でございます。
—————————————
田邉國男
3
○
田邉委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
近藤元次
君。
近藤元次
4
○
近藤
(元)
委員
十分という短い、限られた時間でございますので……。
米価
も、いよいよ本日から
米審
が開催をされ、
農林大臣
からの
諮問
もいま御
説明
がございました。
米審
の
諮問
前には、
農林省
もあるいは
大蔵省
も
据え置き諮問
のガードのきわめてかたい中に、
亀岡農林大臣就任早々
から
大変御苦労
をされ、そしてまた
諮問
が、振え置きから二・三%という、
農民
の期待にはほど遠いながらも、
据え置き諮問
が、その壁を打ち破って
値上げ諮問
になったという御労苦は多とし、
一定
の評価をいたすわけであります。 しかしながら、短い時間でございますから率直に言って、私
ども
が
考え
ながら
要請
をしてきた第一点が、五十四
年産米
の
算定方式
をそのまま取り入れて
計算
をしていただけないか、五十四
年産米
にも犠牲的な面やいろいろな面がありますけれ
ども
、この機会に米を取り巻く諸
情勢
を判断しても、
農家
の二年
据え置き
といい、そしてまた諸
物価
の高騰の折といい、いろいろな
情勢
を判断した中で、私
ども
は五十四
年産米
の
米価
の
計算方式
を取り入れてほしいということを強く
要請
してきたわけであります。それをもって
諮問
していただきたい、
米価決定
はまた別としても、それをもって
諮問
していただきたいという
要請
をしてきたわけであります。素面に五十四
年産米
を
試算
すると、最低でも四ないし五%のアップであり、あるいは場合によっては五・三%弱の
計算
になりはしないかということを予測しておったわけであります。 そういう点で、いま
内容
についての
次長
からの
説明
がありましたけれ
ども
、大方その
内容
は五十四
年産米
のものを取り入れたと言いながらも、その部分がなぜ予想しておった四ないし五、あるいは五・三以下の二・三になったのかというところが、やはり私
ども
はしかと定かにならない点でありますので、
次長
から先にこの違いだけを一点、再度御
説明
いただきたいと思います。
小野重和
5
○
小野説明員
昨年の
方式どおり
に
計算
すると四、五%になるという
趣旨
のことを従来から申し上げておるわけでございますが、若干具体的に申し上げますと、問題は
金利
の
とり方
でございます。この
金利
を、
自己資本
、
借入金とも
に最近の直近の
金利
をとる、一番高い
水準
でございますが、これをとると、厳密に
計算
いたしますと四・九になります。 その
数字
と今回の
数字
はどこが違うかということでございますが、三つございまして、
一つ
は、
自己資本
の
金利
については前年の
金利
をとる、それから、この
自己資本
の
金利
の中ではございますが、
概算金
の
利子
は控除するという点、これが
マイナス要因
でございます。それから、逆にプラスの
要因
は、
物価修正
の
とり方
、
期間
の
とり方
を変えまして、むしろこれは逆に高くするような
とり方
にしておりますけれ
ども
、それらを総合いたしまして二・三%という
数字
になるということでございます。
数字
についてだけ申し上げました。
近藤元次
6
○
近藤
(元)
委員
素直に
計算
すれば四・九になるということでありますから、素直に
計算
してほしいというのが私
ども
の
要望
であったわけでございます。結果として、もう
審議会
が始まっておるわけですから、いまさら
諮問
をされた問題について私
ども
がこの場でとやかくは申し上げませんけれ
ども
、これは一番
理解
がしにくい。しかも
農林省
としては、そういう
立場
に立ったら、やはり要求すべきものは素直に要求して
大蔵省
と折衝していただく、そういう態度というものが
農家
、
農民側
からの
農林省
に対する
要望
ではなかろうか、このことを一点、
指摘
を申し上げておきたいと思うのです。 もう五分間ということで時間がないので、そう多く申し上げられませんが、いま表面に出てこない
良質米
の
補助金
ないしあらゆる
制度
というものがあるわけでございます。
大臣
に
一つ
だけ
基本
的なことをお
伺い
しておきたいのですが、
良質米制度
というものをこれから推進していくことになるのか、あるいは一説に言われておるように、四類、五類の安いお米も
自主流通
に乗っけていくという
方針
が何かありはしないかということがうわさの俎上にのっておるわけでございますので、その辺の問題について
基本
的なお
考え
をお聞かせいただきたいと思うのです。
小野重和
7
○
小野説明員
若干具体的に申し上げますと、
良質米
と申しますか、むしろ
自主流通
の問題だと思いますが、
自主流通米
につきましていろいろ問題がございます。詳しくは申し上げませんが、端的に申し上げますと、
自主流通米
といってもいろいろな
種類
の
自主流通
がございまして、その
種類
によりましては
需給
がアンバランスであるという問題がございます。たとえば超
Aランク
と言われておりますササ、コシが
過剰ぎみ
であるというような問題がございます。こういう問題をどう脅えるかというような問題がございます。 それから、四、五類の米を
自主流通
に回すという話があるけれ
ども
どうかという御
質問
でございますが、四、五類の米といえ
ども
、たとえば
外食用
ということになりますと、これは
相当
に
需要
があり得るわけでございまして、そういう
需要
に応じて
自主流通
のルートで
供給
するという道を開いても、
消費者
のニーズといいますか、これに応ずる
一つ
の道ではないかということで、そういう方向で検討しているわけでございます。 そのほか、
自主流通
の
助成
のあり方の問題とかいろいろ問題がございますが、いずれにしましてもこの問題は
基本米価
の後になりまして私
ども
検討させていただきたい、かように思っております。
近藤元次
8
○
近藤
(元)
委員
四類、五類の
自主流通
に乗っける問題は後でまた
論議
をさせていただきたいと思いますけれ
ども
、少なくともいままでの
自主流通
に対する
補助
なりいろいろな
制度
を変更するという
考え
に立っておるのですか、それとも、変更しないで、
基本米価
の
決定
によって従来
どおり良質米
の
生産
に
農家
が
意欲
を持っていただいて、これからそれを促進していくという
立場
に立ってお
考え
ですかどうですか、お聞かせいただきたいと思います。
小野重和
9
○
小野説明員
自主流通
の
助成
につきましては、先ほど申し上げましたような問題のほかにもいろいろございます。たとえば、これは御案内のことだと思いますが、
Aランク
と
Bランク
との間、
Aランク
が千五百円の
良質米奨励金
、
Bランク
が七百五十円、
格差
が七百五十円もございまして、このランキングづけといいますか、これをする場合に落差が大き過ぎて問題があるというようないろいろな問題がございますので、その点を含めて検討したいと思っております。やはり
需要
に応じた
自主流通米
の
供給
という観点に立って、適正な
助成水準
といいますか
助成体系
といいますか、そういうものを
考え
ていきたいと思っておりますが、いずれにしても今後の検討問題でございます。
近藤元次
10
○
近藤
(元)
委員
これで
最後
にしなければならぬ時間でございますけれ
ども
、四類、五類を
自主流通
に乗っける、あるいは今年度の
米価
の
決定
によって
良質米
が後退し不利益になる、そういうようなお
考え
をいま持っておるのかどうかという一点だけ、
大臣
からお願いをいたしたいと思います。
亀岡高夫
11
○
亀岡国務大臣
そういう意識は持っておりません。おいしい米、
需要
の伸びる米はやはり優先して
考え
ていくということが
基本
でございます。 それから、先ほど来の御
指摘
でございますが、戦後
最悪
の米をめぐる諸
情勢
であるということも十分御
理解
をいただいておる上に立っての御
質問
ということはわかりますが、責任ある
大臣
といたしましては、そういう
事情
も考慮するということが
食糧管理法
に記載してございますので、そういう
事情
も考慮し、なおかつ、先般の国会で決議をされました
趣旨
も
十分頭
に入れながら、また
最悪
の状態の中で来年も
水田利用再編対策
というものを強力に進めていただかなければならない、そのためには
農家
の、今日まで
協力
していただいたという気持ち、また
協力
していただかなければならないという心情もよく
配慮
して、御
指摘
のありましたようにできるだけ前年度の
方式
を採用していくように指導してきたつもりでございますが、何しろ米をめぐる
需給
の
情勢
というものが、これだけお互いの
努力
をしながらも
最悪
の
事態
に入っていくということも
考え
の外に置くわけにはまいらなかった、こういう点もひとつ御
理解
をいただきたいと思うわけであります。
近藤元次
12
○
近藤
(元)
委員
時間でありますので、
あと
は午後の
質問
に譲って、
田名部
さんからやっていただきます。
田邉國男
13
○
田邉委員長
田名部匡省
君。
田名部匡省
14
○
田名部委員
なるたけ
近藤委員
と重複を避けて御
質問
をさせていただきたいと思います。 いま、
方式
は同じであっても中身を何かいじっているじゃないか、それによって大変変わってきているという感じを一般的には
農民
の
方々
が受けておられるだろう、毎年このことが
一定
していないということが大変強い
不満
となってあらわれているのではないか。私
ども
も、先ほど申し上げたような大体五%内外の
諮問
になるであろうという想定をしておったわけでありますが、大変残念でありますけれ
ども
、この
諮問
の
説明
の中で、「
農家経済
をとりまく最近の諸
事情
の下で、
農業生産
の再
編成
に取り組む
農家
の
意欲
に」こうあります。このことが非常に気になるわけでありまして、
大臣
にお
伺い
したい第一点でありますが、まず
最初
に、再
編成
という言葉から想像するところによりますと、五十六年度以降の米の
生産調整
は、
農林水産省
の農産物の
需要
と
生産
の
長期見通し
の
試算
を見ますと、米の
需要量
は、六十五年度に総
需要量
で九百七十万トンあるいは千二十万トンと言われているわけであります。このことから
生産調整
はおよそ七十六万ヘクタールとかあるいは八十万ヘクタールとも言われているわけでありますが、その
見通し
についてまずお
伺い
をしたいと思います。
亀岡高夫
15
○
亀岡国務大臣
来年の問題につきましては、今年のように途中で改変するといったような不手際なことをしないようにという
配慮
から、この
米価
が終わり次第、
農政審議会
にもいろいろ各
作目ごと
の
見通し
あるいは日本の
農政
の将来というようなことを御
諮問
しておるわけでありますので、その答申を得まして早急に取りかかって結論を出していきたい、こう思っております。
田名部匡省
16
○
田名部委員
いま
大臣
がおっしゃられたことは非常に大事だと思うのです。私は、
農家
の
方々
の
不満
というものはどういうところから出てきているだろうかということを
考え
たときに、この米の
長期見通し
がはっきりしていない、たとえば減反はどの程度やるのかということをやはり明確にしてあげる必要がある、それから
米価
の
引き上げ率
についても
事前
にはっきりしていただく、それから
消費者米価
は一体どうなっていくのか、
転作目標
あるいは
計画
、こういったものが
事前
に
政府
の
方針
というものがはっきり打ち出されておれば
農家
の
方々
は
協力
してくれる。 現にこの
転作
についても、
政府
の
要求どおり
ここ十年来
協力
してきているわけであります。にもかかわらず
過剰米
が
相当
出ている。この
諮問案
にも「
稲作志向
が根強い」こう言っております。これは当然のことだと思うのでありますが、しかしこの根強い中でも
協力
はしてきた。しかも、いままでの
転作
は戦後行われた
水田
で、比較的
転作
のしやすい
水田
であった。しかし、これからさらに
転作
を進めようということになりますと、仮に七、八十万ヘクタールの
転作
をさらにしていかなければならぬということになりますと、私は、昔からの
水田
、いわゆる
転作
がどうにもできないものがいま残ってきているのだろうと思うわけであります。これを進めるということはなかなか容易ではない。しかし、その容易ではない中で
農家
の
方々
は
協力
をしてまいりたい、こういうことを言っているわけでありますから、
計画
というもの、
見通し
というものをはっきりしていただいて、これを
農家
の
方々
に示して御
協力
をいただくということでなければならない、こう思うわけであります。 時間がございません。十分というわけですから、
あと
五分で終わりだということでありますから、次に
売買逆ざや
の
解消
について一点お
伺い
をしておきたい、こう思います。 これは、
昭和
五十一年の
米価決定
に際して、
政府
、与党間で、五十一年度以降おおむね五年以内を目途にこの
売買逆ざや
を
解消
する旨の
基本方針
が確認されて、ちょうど四年間にわたって縮小がなされてきたわけであります。ことしは一応
最終年度
になるわけでありますが、どの程度の
解消
が図られるか、その
見通し
についてお
伺い
をしたいと思います。
小野重和
17
○
小野説明員
御
質問
の中にございましたように、
昭和
五十一年の
米価決定
に際して、
売買逆ざや
を
解消
する、こういう
方針
が五十一年に確認されておるわけであります。当時
逆ざや率
が二三・二%あったわけでございますが、現在では八・七%というふうにこれは縮小してまいったわけであります。 しかしながら、今後どうするかということでございますが、
基本
的には
逆ざや解消
の必要はあろうかと思いますが、具体的な問題になりますと、この問題が
消費
に及ぼす
影響
、特に
消費者米価
の問題になりますと
消費
に及ぼす
影響
とか、あるいは
逆ざや
を縮めるとやみが出るのじゃないかという問題とか、片方ではもちろん財政問題もございます。いろいろなことを
総合勘案
して具体的な取り扱いを決めていかなければならない問題であろうか、かように存ずるわけでございます。
田名部匡省
18
○
田名部委員
この
売買逆ざや
の
解消
は、農林水産関係の予算が増額になるか、あるいは
消費者米価
を値上げするか、これ以外に
考え
られないわけであります。そこで私はお
伺い
したいのは、
消費者米価
を値上げするということを
考え
ておられるのかどうか、これが
一つ
。それから、米代の家計
消費
に占める比率というものはどの程度になっているのかという二点をお
伺い
したいと思います。
小野重和
19
○
小野説明員
後の方の御
質問
からお答えいたしますが、現在、
昭和
五十四年度の
数字
でございますが、一世帯
当たり
の米支出額は支出総額全体の二・六%でございます。
消費者米価
をどうするかという問題でございますが、先ほ
ども
申し上げましたように、具体的にことしどうするかという問題は、財政問題もございますが、一方では
需給
に及ぼす
影響
とか、あるいは
物価
、家計に及ぼす
影響
、あるいはやみとの関係、いろいろな点を総合的に考慮して決める問題だと思いますが、いま具体的にどうするかという取り扱いの
方針
を決めておるわけではございません。
田名部匡省
20
○
田名部委員
政府
が公共料金を値上げする場合には、私
ども
に
説明
の段階で、家計費に占める割合というものはわずか〇・〇何%であります、こういう
説明
で説得をするわけであります。私はそういうことから、値上げというものは、先ほど二・六%だ、上げたいときにはわずか二・六%であります、一食
当たり
何円でありますと言われると、何となくその程度であれば値上げをしてもいいのではないかという感触を得るわけであります。 時間が参りましたので、
あと
自主流通米
あるいは食管
制度
の運営の見直し等は午後に回させていただきたいと思います。 終わります。
田邉國男
21
○
田邉委員長
安井
吉典
君。
安井吉典
22
○安井
委員
亀岡
農林水産大臣
にまず申し上げたいのでありますが、社会党の私たちとしては、今日の米をめぐる経済
情勢
、とりわけ
生産費
の問題やあるいは
農家
の生活の安定というようなどの側面から
考え
ても、三年間も
据え置き
をしてよいというような
情勢
ではなく、かなりな
引き上げ
を
諮問
米価
の中で示すべきだと
考え
、そのことを
大臣
にもしばしば申し上げ、あるいはまた六野党も共同戦線でそのことを
政府
に申し入れをしていたのは御承知のとおりだと思います。ところが、いま提示されました
米価審議会
への
諮問
米価
のありよう、それからもう
一つ
は、それに至る手順なり経過であります。その問題はきわめて私
ども
として遺憾な状態にあるということをまず私は申し上げておきたいと思います。 いままでのその経過から言えば、二十九日に参議院の
農林水産委員会
があって、その際に
大臣
は、
米価審議会
には
据え置き諮問
をするということを繰り返し繰り返し言われた。私は、それは財政当局の非常に強い圧力に屈した
大臣
の態度であったように見ていたわけであります。ところが、一夜明けて、今度は一遍に二・三%アップという
諮問
米価
を
決定
された、こういうわけであります。したがって、その変化というのは、これは千変万化といいますか、二、三日のうちにそんな大きな変化が起きるとはどうも思えないわけでありますが、今度は財政当局の圧力のかわりに与党自民党の異常なかつてないような
情勢
の中での動きの中で、
大臣
はまた変わってしまった。初めは財政当局の言うままになって、後は政治圧力に属したという、そういう態度そのものが、これはどう見ても私は
理解
できないわけであります。もっともこれが大きな芝居であったというのなら、これはなおさら問題であります。これはこのことをみんなわかるように
説明
してもらわなければいかぬと私は思うんですよ。 しかも、もう
一つ
は、そのことによって
米価審議会
は全く無視されているじゃないですか。参議院の農林水産
委員
の人たちも、これはこの間の答弁ときょうとどうするんだ、こう言っておりますよ。これは国会や
米審
を全く軽視したあり方に通ずるわけであります。それからまた、二・三%上げたじゃないか、こう言われるが、今日の全体的な状態の中で、二・三%は
据え置き
と同じですよ。あるいは
据え置き
よりもっと悪い状態にあると思うんですよ。このことをまず
大臣
、明確にお話を願いたいと思います。
亀岡高夫
23
○
亀岡国務大臣
私、六野党の皆さん方がおいでになりましたときも私の気持ちは率直に申し上げておいたはずでございます。 米をめぐる
需給事情
を見てまいりますと、先ほど申し上げましたとおり
最悪
の状態である。二年間
米価
を据え置いて
生産調整
をやっていただいたにもかかわらず、ことしの秋の端境期にはあるいは七百万トンに及ぶかもしれないといったような
情勢
さえ予想されるということでございまして、その辺の
事情
をよく御
理解
いただくためには、もうこれは、責任
大臣
としてはその現実を率直に私は参議院の
委員会
において申し上げた次第でございます。 しかるところ、その後皆様方の御意向、さらには来年度の、
農家
の
農政
に取り組んでおられる真摯な姿というものに対する配意というものも考慮しなければなるまいということで、実は事務当局に対して、とにかく
基本米価
を何とかしなければならぬ、こういう指示を与えた次第でございます。もちろん私自身も政党政治家でございまするから、党の意向も十分聴取をするということは、これは先ほどの
米価審議会
においても御
指摘
がありましたので、実はるるお話を申し上げてきたところでございまして、その点は、とにかく据え置かなければならぬかなと思いつつも、いろいろ諸
情勢
を総合分析いたしました際には、やはりここのところで三年
据え置き
ということになれば、これはもう本当に
農家
の
協力
を得られない、そうすれば、米作を維持しておりますところの食管
制度
というものも崩壊の方向にでも向かったら非常に大変だ、そういう気持ちを実は持ちまして、そうして
基本米価
引き上げ
の決意を最終段階でさせていただいた、こういうことでございます。
安井吉典
24
○安井
委員
いまお話はございましたけれ
ども
、一般のわれわれの目に見える
亀岡
さんの姿というのは、前半は官僚、財政当局の言うままになって、後半は与党に無理強いされたというような印象しかないわけであります。 私たちは、この前の解散前の国会で食糧自給力強化に関する決議を全会一致でやった、そういう経過があるわけでありますが、その決議をこれから実行に移してもらうという
最初
に、御就任いただいた
農林水産大臣
があっちへよろよろ、こっちへよろよろでは、これはもうわれわれ頼りがなくてしょうがないという気がするわけであります。とにかくしっかり問題を見詰めて取り組んでもらわなければならぬということをまず申し上げておきたいと思うわけであります。 そして、こういう中においていろいろな問題が出てくるわけでありますけれ
ども
、まず、今度のこの二・三%
引き上げ
というような中での財政支出はどれぐらいになって、それはどういう形で負担をすると
考え
ているのか、その点をまず
伺い
ます。
小野重和
25
○
小野説明員
生帳者
米価
を一%
引き上げ
ますと百九十億円ほどの損失増になりますので、二・三%ということになりますと約四百四十億ということになります。 この財政処理といいますか、どうするかという問題でございますが、これは今年度の問題、また来年度の問題がございますけれ
ども
、これはいろいろな方法はあり得るかと思いますが、具体的に現在どういうふうに処理するということを決めておるわけではございません。
安井吉典
26
○安井
委員
じゃあもう上げるだけ決めて、後はどうなろうとそのときの状態任せ、そんなことで国会の中済むと思うのですか。与党の中ではいろいろ話をしたと新聞は伝えていますが、どうなんです。もっとはっきり言ってください。
小野重和
27
○
小野説明員
これは食管財政といいますか、食管特別会計全体の中で処理する問題でございますので、食管財政全体が、たとえば今年度について言えばどういうことになるのか。ほかのいろんな変動
要因
がございますので、そういうほかのいろんな変動
要因
と、あわせて食管財政全体がどうなるかということを見きわめた上でないと、具体的な処理方法というのはその上で
考え
るということでございますので、その上で申し上げた次第でございます。
安井吉典
28
○安井
委員
大臣
それでいいんですか。そんな
見通し
のないようなかっこうでお過ごしになっていいんですか。
亀岡高夫
29
○
亀岡国務大臣
食糧管理特別会計
の中でどの程度までこれを埋め合わしていくことができるかということは、いま事務当局に対しまして綿密なる調整を命じておるところでございます。これもやはり今年の豊凶等の動向も見なければ何とも言えない部分もあることも安井
委員
御承知のところでございます。そういう点を見きわめた上で、最終的な五十五
年産米
の二・三%
引き上げ
による財政の増加分というものを
考え
ていきたい、その
対策
はその時点に立って
考え
ていきたい、こう思う次第でございます。
安井吉典
30
○安井
委員
最終的にはもちろんそうだろうと思いますけれ
ども
、どうも、きのうの段階で、この財源には、いわゆる
品質格差
の激変緩和のお金の八十三億円をやめてそっちに回すし、あるいはまた減反の特別交付金もそちらに回すんだ、新聞やラジオも皆伝えていますよ、そういう経過の中で生まれた二・三じゃないんですか。どうですか。
亀岡高夫
31
○
亀岡国務大臣
御
指摘
のとおりでございます。したがいまして、そういう意味において食管会計の中におけるどの程度の厳密な調整
数字
を二・三%
引き上げ
による財源に充当できるかということをつかんでいかなければなりません。それにつきましてはやはり本年の収穫量というものをある程度考慮をして決めなければならない部面も出てくるわけでございますので、その点等はその時点になりまして最終的な結論を出したい、こういうことで大蔵当局と話をつけた次第でございます。
安井吉典
32
○安井
委員
じゃあ私の
指摘
だけは、その二つはそっちへ向けるというお
考え
を持っているという、そのことだけは間違いないんですね。
亀岡高夫
33
○
亀岡国務大臣
この点は五十四年度限りの措置として、五十五
年産米
の
諮問
米価決定
に
当たり
ましては、あの問題についてはことしはもう実施しない、こういうことでございます。
安井吉典
34
○安井
委員
変にわざわざそう奥歯に物をはさめたような言い方をなさらなくてもいいと思うのですがね。これは後で、ひとつ午後の段階でもっと詳しく詰めていただきます、ほかの問題もあるものですから。 それからもう
一つ
申し上げたいのは、二・三%という
数字
が先に出て、
算式
は後から来たのじゃないか。きょうの報道の中でもあるのは、二・三%というものは決まっておるわけですよ。初め
政府
が二%提案したが、それがだめだというのでさらに〇・三%上乗せした、経過はどうかわかりませんけれ
ども
。二・三%がどこから来たかというそれは後回しで、先に
数字
ができて後で
算式
、さっき
次長
の御
説明
のようなものが、何か
金利
を少しごちゃごちゃとやってあの式が出てきた、そういう受け取りしかわれわれはできないですよ。毎年毎年こんないいかげんな形で
算式
を出すというようなことでは、国会のわれわれも信頼できないし、
農民
だって
不満
きわまりないものだと思います。五十四年の
方式
なら四・九だが、それがちょっといじったらこうなったと言うのだけれ
ども
、先に二・三が出て、それから後に
算式
が出たのじゃないのですか。その辺を明確にしてください。
亀岡高夫
35
○
亀岡国務大臣
そういうことは断じてございません。やはり事務当局から
説明
申し上げましたとおり、私
ども
も
引き上げ率
をどうするかということをいたしました場合には、いろいろその
数字
を詰めまして、そうして私の決心もさせていただいた、こういうことでございます。事務当局から振り回されたという御批判もあるかと思いますけれ
ども
、振り回されたようにお感じになるのは御自由でございますが、私自身としては、あらゆる
情勢
をできるだけ正確にとらえて、そうして
農林大臣
に与えられました食管法上の
米価決定
の
諮問
米価
の案をつくらせていただいた、こういうふうに信じて処理いたしましたことを御
理解
いただきたいと思うわけであります。
安井吉典
36
○安井
委員
これはどうもそのとおりには
理解
できませんね。とにかく
生産
者のあるいは国会のわれわれの信頼を失うような
算式
いじりはもうやめてもらいたいということ、そのことをひとつ明確に申し上げておきたいと思います。
算式
のさまざまな問題についても私は準備をしていたわけですが、時間がありませんからやめますが、たとえば
必要量生産費
方式
そのものにもこれはもう問題があるのだし、労賃の
とり方
、あるいはまた企画管理労働をぜひとも入れてもらいたいという
農民側
の要求もある。しかし、かつてこれを付帯労働費として入れたこともあるわけですよ、それを全く無視して今日に来ているという実態ははなはだ困ったものだと思うわけです。ただ、二・三%ぐらいの
引き上げ
で、それで何か
引き上げ
たと思っているのはおかしいという、その理由を私はこの際申し上げてみたいわけであります。
生産者米価
の
決定
は、
生産費
が
一つ
の大きな基礎になるはずなんですけれ
ども
、現実の
生産費
は、
農林水産省
の統計
調査
によりましても、六十キログラム
当たり
、五十二年度は一万五千九十八円、五十三年度は一万五千九百二十九円で五・五%アップ、五十四年度は一万七千二百八十五円で八・五%アップ、こういう
数字
を私も調べてきているわけであります。二年間据え置いているうちに、
農林水産省
自身の
生産費
の中で一四・四九%の
引き上げ
になっているわけですよ。上がっているわけですよ、
生産費
が。
米価
の方は
据え置き
になっているのにかかわらず、
生産費
だけが上がってきている。それが同じ
農林水産省
の
数字
の中にあるわけですよ。しかも、そういうことが
農家
の
所得
の中にも
影響
してきて、農外
所得
は前年から八・四%も上がっておるけれ
ども
、農業
所得
の方はマイナス六・二%。四十五、六年から八年ぶりに下がっているわけですよ。ですから、そういうふうな実態に対して、二・三上げてやったじゃないかというどころか、これでも、二・三やったって現実はまだダウンだと思いますよ。私はそうだと思う。間違いないと思うのですが、私の
数字
に間違いあるでしょうか。
大臣
、どうですか。
小野重和
37
○
小野説明員
五十二年ないし五十四年の
生産費
調査
の結果につきましての先生のおっしゃられた
数字
はまさにそのとおりでございます。五十五
年産
の米につきまして、その
生産費
がどうなるかということにつきましては、これはことしの作柄がどうなるかとか、その他コストがどうなるか、まだこれはいまの段階では何とも申し上げられる段階にはないわけでございます。
安井吉典
38
○安井
委員
五十五年度だって
生産
資材の値上がりは非常に大きいし、この間発表された分だけだって、七月以降肥料は一五%、農機具の四・五%のアップ、
賃金
も
金利
も上がっていますよ。ですから
据え置き
をされているうちに、一五%近くの
生産費
が上がっている上に、ことしまた追い打ちが来るわけですよ。そういう中で、これぐらいで頭をなでておこうというような気持ちでは困るということを私はここで
指摘
をしておきたいと思います。 いまの
生産費
調査
の中で
一つ
問題なのは地代なんですけれ
ども
、先ほどの
説明
によっても、今度の
諮問
の
米価
の
算定
の中には、地代はやはり統制小作料でいっているようですね。やはり笑納小作料でいくべきだというのが従来からの私たちの主張なんですけれ
ども
、相変わらずまた統制小作料でいっている。しかしその統制小作料なるものは、四十五年の農地法の改正によって経過措置として十年間継続してきて、ことしの九月三十日でなくなってしまうのですよ、これは。そうでしょう。統制小作料というのは九月三十日でなくなるのですよ。ですからことしとれたお米が
農家
のふところに入るときには、新しく、十月一日の新しい標準小作料や実納小作料でいくわけなんですよ。それを相変わらず、もう九月三十日で失効する統制小作料をこの中で計上したというのはどう
考え
たって
理解
できない。どうですか。
小野重和
39
○
小野説明員
この九月で統制小作料というものが廃止されることはおっしゃるとおりでございます。ただ、いま決めますのは五十五
年産
の米でございまして、この五十五
年産
の米につきましては収穫はおおむね九月には終わるわけでございます。したがいましてこの統制小作料の適用というのは、九月まで存続する統制小作料を本
年産
の
米価
について適用することは、何ら差し支えないことではないか、かように思っているわけでございます。 ただ、来年のことを申し上げるとあれでございますが、五十六
年産
をどうするか、こういう問題はおのずから別でございます。五十六
年産
の
米価
を
考え
ます場合にこの地代をどう
考え
るか、統制小作料のない場合の地代をどう
考え
るかという問題は、これはおのずから別の問題でございますが、本
年産
についてはそういう取り扱いでしかるべきものと、かように
考え
ております。
安井吉典
40
○安井
委員
現実に統制小作料というのがうまくいっているんですか、これは。実際は標準小作料だとか特別な実納小作料というようなもの、そういう実勢があるわけなんですから、それは食糧庁の
次長
はいまそう言われるけれ
ども
、同じ役所の
農林水産省
の統計の方では、ちゃんとこれだけ小作料はかかっていますよという
数字
が出ているじゃないですか。その
数字
を一方では出していて、一方の食糧庁はそんなものは無視して、昔からの一番安く出る統制小作料で
数字
をはじくという、そういうごまかしをやってきている。それを相変わらずやってきているということですね。特に最近は農地の
価格
の上昇があるし地代の上昇率も大きいわけですよ。だから相変わらずそれを抑えるという態度そのものに、そしてそれをこじつけた
説明
をされるというところに私は問題があると思います。ことしとったお米でその小作料を払うわけですから。九月三十日で切れるわけですからね。ことしとれたお米で払うわけですから。そういう問題の重大さをこの際やはり
指摘
しておきたいと思います。 次に、五十四年度にいろいろ政治加算の措置が行われていたわけです。
品質格差
の導入のための激変緩和措置だとか、
水田利用再編
推進特別交付金だとかあるいは
自主流通米
のあれだとか、いろいろあったわけでありますけれ
ども
、それはことしはどうするおつもりですか。
小野重和
41
○
小野説明員
先ほ
ども
大臣
が答弁申し上げましたように、五十四年度限りの措置として去年決められましたもののうち、
品質格差
導入に伴う調整措置、それから一俵
当たり
百円というのがございましたけれ
ども
、この二つの措置はことしは実施しないという
方針
を決めております。ただもう
一つ
、
水田利用再編対策
推進に伴う、主として市町村に対する交付金でございますけれ
ども
、これをどうするかという問題については、これは今後早急に検討する、こういうことに相なっております。
安井吉典
42
○安井
委員
自主流通米
の関係は。
小野重和
43
○
小野説明員
自主流通
の
助成
の取り扱いでございますが、これは
基本米価
が
決定
した後でその取り扱いを決めるというのが例年の姿でございまして、本年もそういうタイミングで検討したい、かように存じております。
安井吉典
44
○安井
委員
特にいまのお話の中の
品質格差
の問題に関連しての激変緩和措置の問題でありますが、大体
品質格差
ということ自体がおかしいので、食味というきわめてあいまいな非科学的な基準で、それで
米価
の上下を決めてしまうというやり方、これはまだ等級間
格差
なら物理的な状況を科学的に判断していくわけですから納得できるのですけれ
ども
、いまの一類から五類というものは、これはまさに何もないのですよ。食味などという、そういうあいまいな基準。しかも、
生産
段階でそれが買い入れの際に発動されてそれが直ちに流通にもストレートにつながっていくというならまだ話がわかりますけれ
ども
、ここで断絶してしまうわけですね、業者の中で。だからそれが全く
生産
者から信頼を受けない状況の中にあるということであります。むしろ業者の方は、うまい米よりもうまみのあるお米の方を選択する、そういうようなことになっているというのが現状じゃないんですかね。私は、だからそういうふうな中から去年置かれた激変緩和措置はこの際継続すべきではないかと思うのでありますが、さっき一年限りというふうなお話がありましたが、一年限りというのは、だれとだれがそういう約束をされたんですか。
小野重和
45
○
小野説明員
去年
政府
が
決定
する段階で
政府
自身が決めておるわけでございます。
安井吉典
46
○安井
委員
その裏でどこかの取引やら約束があったと聞いていますが、どうなんですか。それについての文書があるのですか。
小野重和
47
○
小野説明員
去年の
生産者米価
につきましての答申後のいろいろな調整の段階で、これは与党と
政府
との協議という過程はもちろんあったわけでございますが、そういう中で、その結果
政府
が決めたということは事実でございます。 どういう文書かということでございますが、これは
米価決定
の際の
農林水産大臣
談話という形で文書にしております。
安井吉典
48
○安井
委員
その前に何かあるらしいね。それはきょうここで
あと
の五分間の中でやりとりしてもしようがないから、それは後の問題にいたします。 しかし激変緩和というのは、この大きな変動を緩和するためというのですから、一年じゃなしに二年春三年もでやる。税金なんかは大抵三年ですよ。一遍に上げたりするような場合の激変緩和というのは三年ぐらいでやるのですよ。それを去年だけやってことしはもうぽいしてしまう。そういうやり方では、激変緩和なんというのは単なるつけ足りの文句だけではなかったか、こう言いたいわけであります。 さらにこのやり方は、激変緩和をいまやめるというようなことやら、さらにまたいまの減反の特別な交付金をやめるというふうなこと、それが今度の二・三%の
引き上げ
の財源になっている、そういうことにもしなれば、これは何もなってないじゃないですか。同じ日本全国の
農民
が自分の足を食って単に上げたようなかっこうだけをつくっているというだけじゃないですか。 では、これは
大臣
より
次長
に聞きますよ。北海道の第五類の
農家
は、今度の二・三%アップとそれから激変緩和をやめるということにおいて、どれだけいままでの手取り
米価
がふえますか、言ってください。
小野重和
49
○
小野説明員
これは類別、
等級別
の問題でございまして、去年とのアップ額と六分の五の五百円と比較する問題でございますが、いま
計算
しておりますので、すぐお答えいたします。(安井
委員
「早くやってください」と呼ぶ) 五類、つまり北海道の米でございますが、五類の二等で今回
基本米価
が一三百六十円上がりますが、一方で去年は例の六分の五
相当
、五百円をことしは廃止しますので、その差額の百四十円だけ去年よりも実質的に減る、こういうことに相なります。
安井吉典
50
○安井
委員
大臣
、そこまでよくお
考え
になって決断されたのだろうと思うのですが、どうなんですか。つまり上げたようなかっこうだけはするけれ
ども
、一方の負担においてこれは上げたようなかっこうをするだけだし、それからいまの減反の交付金にしたってこれはなくなっちゃって、左のポケットから右のポケットに入れただけなのですよ。そういうようなことで、さも自民党が大騒ぎをして、党全体でこんな大騒ぎをしたのは恐らく
米価
について初めてじゃないかと思います、特に
諮問
の段階で。そういうようなことで
農民
をだまそうといったって私はだめだと思いますよ。問題の本質はそこにあると思いますよ。 質疑時間の終了の通知が来たからこれでやめますけれ
ども
、今度のこんなばかげたあり方で国会と
農民
を愚弄し、しかも
米価審議会
はこんなことではパンクするおそれがあると私は思いますよ、何もかも決まったものを押しつけたんじゃ。そういうような今日のあり方に対してきわめて遺憾であり、
米価審議会
の答申があったってこれからまだ
考え
る方法があるわけですよ。
大臣
の
最後
の段階があるわけですから、その間においてより正しい方向、私たちの主張する方向にもう一度
考え
直していただきたい。どうですか。
亀岡高夫
51
○
亀岡国務大臣
御承知のような経過で、私も先ほど来申し上げてきておりますとおり、
農家
の経済の実態、二年据え置かれたというこの現実というものも十分
配慮
し、また国会における御決議並びに諸先生方からの御
要請
、これはやはり地域住民を代表するもの、
農家
の諸君の意向を代表するものと私は受け取っておるわけでございますので、それらの御意見、さらには厳しい米の
需給
の現実というものは、二年間
米価
を据え置いて
生産調整
に励んでまいりましたにもかかわりませず、食管会計始まって以来の
最悪
の
事態
になる心配もあるというこの現実、これも十分
配慮
いたしまして、
食糧管理法
に示してあります、先ほど来御
論議
のありました
生産費
、確かにこれは統計上は前年を上回るものがあるわけでございますが、一面この米の
需給
の非常に厳しい現実というものを
考え
まして、食管法にも
物価
その他経
済事情
等をしんしゃくして再
生産
を旨とする
米価
を決めろ、こういうふうになっておるわけでありまして、その精神をくんで苦慮に苦慮を重ねてこの決断をいたした、こういうことであるわけでございます。私といたしましては、もうこれが今日の日本の
米穀
事情
のもとにおいて最大のぎりぎりの
基本米価
ということでありまして、私は
農家
の
方々
からも、一〇〇%満足というわけにはまいらないと思いますけれ
ども
、十分御
理解
いただけるもの、こういうふうに確信をいたしまして
米価審議会
に提案をいたしておる次第でございます。
安井吉典
52
○安井
委員
いまの御答弁に
不満
ですけれ
ども
、時間ですからやめます。
田邉國男
53
○
田邉委員長
武田一夫君。
武田一夫
54
○武田
委員
私の持ち時間は十二分だそうでございますので、その中で
質問
いたします。 まず私は、ことしの
米価
を要求した
生産
者の皆さん方の運動を見ておりまして、要求
米価
というこの四文字の復活ということ、そしてまた
据え置き
打破というスローガンというものを、やはりまず深刻に
政府
も認めなければならない。過去二年間の
据え置き
による
生産
農家
の大変なる生活の中における苦しみ、そしてまたその間に、減反には
政府
のために大変な
協力
をしたその
協力
というもの、いろんな要素がうっせきしていたものが、今回のこうした要求
米価
は必ずかち取らなければならない、こういう意気込みとなってあらわれてきた。われわれ野党も六党が
協力
団結しまして、この皆さん方のそうした心情のもとに、ことしは何としてもこの
据え置き
を打破して
農家
の皆さん方の希望をかなえていく
米価
、こういうふうに決意してきたわけでありますが、私は、今回のこの二・三%という
数字
というものは、これは実質
据え置き
と同じだと思うのであります。それは言うなれば、
考え方
の中に、新聞なんかでは自民党の圧力による
決定
かなんという見出しもあるわけでありますが、多少
農家
の皆さん方にも御支援いただいた分の御支援分として、御祝儀として上げようという気持ちがあったのではないか。要するに
米価
そのものの中身というもの、
生産
農家
の生活というもの、さらにまた今後の農業というものに対する
配慮
はみじんもない。その点の
大臣
の
考え
というものを私はまずお聞きしたいと思うのであります。どうでございますか。
亀岡高夫
55
○
亀岡国務大臣
私は、
食糧管理法
という法律を忠実に執行をする責任者であるわけでございます。したがいまして、先ほど来るる申し上げてきておりますとおり、
生産費
並びに
物価
及び経済の諸
事情
等をしんしゃくして、再
生産
を旨として
生産者米価
を
決定
しなさい、こういうことがあるわけでございます。経
済事情
等の中には、米の
需給
の問題というものはもう無視するわけにはいかないわけであります。やはり納税者の諸君にも納得をしていただかなければなりませんし、
消費者
の
立場
も食管法にも書いてありまして、これまた十分しんしゃくをしていかなければならないわけであります。そういうもろもろの
事情
を私は
最後
の
最後
まで実は頭の中に整理をいたしまして——皆さん方、与党の
方々
からもいろいろと
要請
がございました。また野党の皆さん方からも
要請
がございまして、私もたしか二回お目にかかっていろいろとるるお話を聴取したわけでございます。そういうあらゆる
事情
を頭の中で整理いたしまして、
最初
は
据え置き
でなければという感じも持ちましたけれ
ども
、しかし
農家
の来年のことも
考え
、また経
済事情
、先ほど来お話のありましたような
事情
も
十分頭
の中で
考え
まして、まあ二・三%の
基本米価
を
引き上げ
るということをすることが、現時点において私に課せられた責任を果たす最良の方法である、こういうふうに
考え
まして決断をさしていただいた次第でございます。
武田一夫
56
○武田
委員
ここ二年間
据え置き
されまして、その間諸
物価
の上昇がございますね。
生産
資材の高騰、あるいは公共料金なんか
相当
値上がりしていますね。光熱等の値上がり等を総合的に
考え
ますと、
一つ
の
計算
では、大体
生産
資材の額が、農機具なんか八%ぐらい値上げ、あるいは肥料が八・五%とか光熱費が五〇%からあるいは七〇%というようなことも言われている。しかもまた最近の農業
所得
の前年比を比べてみますと、六・四%も低下している。こういういわゆる生活というものを抜きにした、経済指標というものを抜きにした
米価
というものがあったのでは、
農家
は何のために仕事をして米をつくるのか。自分の働く労賃さえも正当に評価されない。これじゃやはり、日本の稲作
農家
の希望というか、そういうものは全く
考え
ていただけないのではないか。
大臣
は何か二十日間あちこちの
農家
の皆さん方の声を聞かれたということでありますが、どこに行って、どういう声を聞いてきたのか、私は非常に疑問であるわけです。 まして、米の産地であるいわゆる東北の中で育った
大臣
でありますし、総理
大臣
もしかり、一番
理解
して、このときにその
理解
が
生産
農家
にぴんと響くようなものであってしかるべきである、こういうことをはっきりと示していただかなければならない。まして宮城県などを中心とした十県というものは、大体米の収入によって生活というものが
相当
大きく
影響
を受けているわけであります。非常においしい米をつくりながら
消費
拡大の面においても
相当
貢献がある、こういうような
方々
はもうどうしようもない、これではマイナス、減収疑いないわけであります。そういう生活を守って再
生産
が可能な力を与える
米価
ではないと私は思うのですが、あるというならば、しかじかかくかくでこういう
試算
の中でこのくらいありますよと、先ほど北海道の例を出しましたらマイナスでありますが、はっきりしたその
数字
を出して、納得いく回答を欲しいと思うのです。
亀岡高夫
57
○
亀岡国務大臣
先ほど来統計上の
数字
等につきましてはるる
次長
から御
説明
申し上げてきておるとおりでございます。 私
ども
も、先ほど申し上げたように、本当に真剣に誠意を持ってこの結論を出させていただいた。昨年も一昨年も、この
米価決定
に
当たり
ましては、本当に食管法に明記してあります
趣旨
に従いまして歴代の
農林大臣
が適時適切に処してきたということは、全国米作
農家
の皆さん方からいろいろ厳しい批判はありましても、やはり日本
農政
を、将来の
農家
経営を、食管法の根幹を守りながらやっていくためにはこのような厳しい段階も踏み越えていかなければならないという御
理解
をいただいておる、これは私
ども
は、先般の選挙においても十分御
理解
をいただいておるからこそああいう結果を出していただけたもの、こういうふうに思っておる次第でございます。
武田一夫
58
○武田
委員
私は、それは
理解
しているのではなくて、自分で勝手に解釈しているのだと思うのです。であるならば、今後の日本の農業ということを
考え
るときに、果たして今回の措置で満足な答えが出て、特にこれから農業を支える多くの若い皆さん方が満足して、十分に納得して農業をするか、私はとんでもないと言いたいのであります。この点については大いなる反省を持って、
米価
は
農林大臣
が
決定
するのであるということでありますから、私はその点、もう一度御反省の上に立って、
最後
の、ひとつ
農家
の期待にこたえるような
米価
というものを出していただきたいと思うのであります。 時間の関係で
最後
に。
米価審議会
とはどういうものかということを私はしみじみとまた最近になりまして疑問を持たざるを得なくなった。きょうまた安倍政調会上長が、今回の
米価
は一発主義でいくんだ、こういうことでありますと、
政府
と自民党で決めたものは、
米審
にいってどんな答申が出ようと、それはもう関係なく決まってしまうのだ、
米審
の皆さんはどうなんだ、これはもう権威はないし、要らないです、こんなことになってしまったら、
米審
の
委員
の皆さんはどうなりますか。われわれは
米審
の
内容
、構成等についてもいろいろ
不満
がある、
生産
者代表がわずか五人しかいない等々。しかしながら、それを抜きにしても、やはり
米審
の権威というものは持たせなくてはならないと思うのであります。こういうことが平然と習われたら、きょうあすの
米審
の皆さん方の取り組みなんというのはどうしてわれわれが評価したらいいかわからぬと思うのですが、この点どうですか。
亀岡高夫
59
○
亀岡国務大臣
私はそうは
考え
ないのであります。
米価審議会
が設定されましてから、
米価決定
にあらわしてまいりましたところの
米価審議会
の実績というものは、これは大きく評価すると、きょうも私は
米価審議会
で申し上げてきたところでございます。したがいまして、厳しい厳しい、しかも都市の労賃が年々上がってまいります中で、米作
農家
が今日の
生産
意欲
を持っていただいておるというまことに頼もしい面もあるわけでございまして、こういう
事態
をつくり上げてきたということは、やはり
米価審議会
において三日間にわたってあらゆる米をめぐる問題、
農政
をめぐる問題を
論議
いたしまして、その
論議
の結果が日本の米作を中心とした
農政
というものを支えてきた、こういうふうにきょうはお答え申してきた次第でございまして、私はそう信じておるわけであります。したがいまして、きょう、あすと御審議いただきます
米価審議会
の御意見というものは、日本の
農政
推進のために大きく貢献をしていくものと私は
考え
ておるわけでございまするし、私
ども
としては、先ほど来申し上げておりますとおりあらゆる
情勢
を分析し、積み上げまして作成をいたしました
諮問
米価
でありまするから、
米審
の諸先生方の御意向も十分聞いて作成をした向きもあるわけでありますから、必ずや御
理解
をいただけるものと信じておる次第でございます。
武田一夫
60
○武田
委員
時間が来ましたのでこれで終わりますが、いろいろとさきざきの
質問
、回答をお聞きしましたけれ
ども
、誠実に真剣に、日本の
農家
の皆さん方を大事にするというその政治の原点をやはり踏まえた結論を私はお願いして、私の
質問
を終わらせていただきます。
田邉國男
61
○
田邉委員長
近藤
豊君。
近藤豊
62
○
近藤
(豊)
委員
まず
最初
に事務局に
数字
だけをお聞きしますけれ
ども
、今回の二・三%のアップによってふえる財源、必要な予算、それから激変緩和
補助金
あるいは
水田
再編奨励金、そのように今度カットされるもの、プラスとマイナスでどういう
数字
に相なりますか。ちょっと
数字
だけ教えてください。お経の方は要らない。
小野重和
63
○
小野説明員
二・三%
引き上げ
に伴う損失増でございますが、これは四百四十億円でございます。それから、そのほかの去年の激変緩和措置等の
数字
でございますが、カットされるというお言葉でございますが、これは五十四年度限りの措置でございますから、ことし当然に予定されておるものでは全くないということをまず申し上げておきたいと思います。その
数字
でございますが、三つございまして、
品質格差
導入に伴う激変緩和措置、これが去年で八十三億でございます。それから、限度数量の一俵
当たり
百円というのがございましたが、この分が百三十八億でございます。それから、
水田
利用関係、これが百六十七億でございます。以上でございます。
近藤豊
64
○
近藤
(豊)
委員
食管法の三条に「其ノ他ノ経
済事情
」とある。これは先ほど
大臣
のお話でも、
米穀
需給事情
、それから現在の財政困難なる状況という二つが主なことだと思うのですが、今回の
米価
の
諮問
に至る経緯を見ておりますと、どうやらこの「其ノ他ノ経
済事情
」だけがもっぱら意識されておって、
生産費
とか
物価
の点についてはもう全然意識の中に入っておられない。食管法を忠実に執行する
立場
にある
大臣
としては、その点についてはいかが御
説明
なさいますか。
亀岡高夫
65
○
亀岡国務大臣
物価
については、そのときどきの農業資材、肥料等につきましては統計
調査
部の
調査
の中にデータとしてあらわれてきておるもの、こう
考え
るわけでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますところにつきましては、私
ども
は食管法の
趣旨
に沿ったものということで決心をさしていただいた次第でございます。
近藤豊
66
○
近藤
(豊)
委員
どうも私、
理解
の度が通常より低いかもしれませんが、なかなか難解な御答弁であります。これは国民一般はもとより、
農家
の方はもう当然のこととしてなかなか
理解
できないだろうと思うのです。平たく申し上げれば、恐らく財政
事情
がこれまでのいろいろな積年の弊で苦しくてしょうがない、また米も余りに余って、その処理に
政府
としても知恵がなかなかないから、そこでしょうがないので
農家
の皆さん泣いてください、
物価
は上がり
生産
資材も上がるけれ
ども
泣いてくれということだと思うのですけれ
ども
、それを
米価審議会
にかけてみたり、あるいはいろいろな
算式
いじりをなさいまして、悪い印象を与えることを緩和することに一生懸命
努力
をしておられる、このように受け取られるわけです。恐らくこれは国民一般の常識的な反応だと思うのですけれ
ども
、
政府
がもっと責任を持った行政をされるなら、はっきりとその点を言われて、ことしは勘弁してくれと言われるならともかく、そうでない表現でいろいろとおっしゃるのは、国民に対してはなはだ誠実でない態度であると思われてなりません。この点、
物価
及び
生産費
は十分しんしゃくされていないというふうに私は思います。 それから次に
算式
の問題ですけれ
ども
、前の国会の
委員会
でも私は
指摘
したのですが、余りにもわかりにくい
算式
をいつも使っておられる。もっと単純化すべきである。そうでなければ、
大蔵省
と
農林省
及び
政府
・自民党の間でこうこうこういう経緯でこうした
米価
の提案をするんだというふうに、もっとストレートに素直にお出しになってはどうか。つまり、もう
米価審議会
も要らない、いろいろな
算式
いじりをやるぐらいなら、
算式
もおやめになればそれだけ定員削減もできますから、行政費のコスト引き下げになる、もっと単純に責任を明確にしたやり方でおやりになったらいかがですか。
小野重和
67
○
小野説明員
昭和
三十五年以来、
生産費
所得補償方式
という
算定方式
でずっと継続してまいっておるわけでございます。ただ、その中の
算定
要素の
とり方
が何か恣意的ではないかという
趣旨
の御
質問
ではないかと思いますけれ
ども
、この
算定
要素の
とり方
の問題につきましてはいろいろな変遷がございます。 たとえば
昭和
三十年代後半から四十年にかけてでございますが、これは逆——逆といいますか、むしろ高くなるような
算定方式
に変更しております。その当時は外国から米を輸入しているような、そういう時代でございましたから、そういうことをやっております。最近はこういう過剰状態でございます。そういう
需給事情
によって
算定
要素の
とり方
は変えざるを得ないし、また変えることがそういう面から見て適当であれば、むしろ変えるべきものである、こういうふうに私
ども
考え
ているわけでございます。
近藤豊
68
○
近藤
(豊)
委員
ですから私が申し上げるのは、ころころ変える
算定方式
なら、何もこういうシグマだとか何だかわけのわからない
数字
を言われても国民はわからないので、そんなむだな作業はおやめになって、もっとストレートにその経緯を発表して国民の
理解
を求める、
協力
してくださいとおっしゃる。それはそれなりの決断をしたのですから、その決断については責任をお持ちになるということの方がいいんで、そういう単純化の作業を、
亀岡
大臣
いかがですか、おやりになるつもりはありませんか。
亀岡高夫
69
○
亀岡国務大臣
実は、前々
農林大臣
のころから、この
食糧管理法
という法律が、米が極端に不足のときにできた法律であるということでありますので、米の
需給
のバランスのとれておるときの
米価決定
はどうするのか、あるいは極端に今日のように過剰の
事態
になった場合にはこの法律はどう発動するのかといったような点できちっと法律が命じておれば、いままでずっと御質疑のありましたような点も、ある程度共通の場が出てくるんではないかというような感じがいたすわけでございます。したがいまして、ただいま
農政審議会
において
長期見通し
というものを御検討をいただいておりまするし、またこの食糧管理
制度
について、どういうふうな
考え方
をとったらいいのかというようなことも御研究をいただいておるわけでございまするし、できれば九月中にでも結論を出していただいて、そうして、皆さん方ともいろいろ御相談さしていただいて、そうして、ただいまいろいろ議論を進めてまいりましたような点が本当に
農家
に
理解
していただきやすいような方向をとるべきではないかという御意向だろうと私は思います。そういう意味において、そういう方面に向かって
努力
してまいりたい、こう
考え
ます。
近藤豊
70
○
近藤
(豊)
委員
時間がもうほとんどありませんから締めくくりますけれ
ども
、恐らく
米価
の問題というのは今後とも大変むずかしい問題であり、同時にそれは日本の食糧自給度を引き下げないように、しかも確保していこうという上では非常に中心的な問題だと思うのです。もういままでみたいにだれにでも喜ばれるような形ではできないわけなんでして、
大臣
は農業の専門家ですから釈迦に説法ですけれ
ども
、たとえば兼業
農家
、そして専業
農家
の問題をどうするんだ、そして、それを
米価
の
決定
などについてどういうふうに反映していくのだとか、これは一度原点に返って
考え
直す時期である。そして、やはり政権の責任を持っている
方々
は、いやなことをおっしゃるときには、はっきりといやなことをこういう理由で言うのだとおっしゃって、その結果は責任をおとりになる。われわれ反対の場合には、ちゃんと反対のことを申し上げるということでないと、
農民
にわかりやすいということは国民にわかりやすいということでありますので、そういう方向でひとつぜひ今後勇断をもって、勇気のある
決定
とその
説明
をしていただけるように御
努力
いただきたいと思います。 終わります。
田邉國男
71
○
田邉委員長
野間友一君。
野間友一
72
○野間
委員
瞬間が大変短いわけですから、簡潔にひとつお答えいただきたいと思いますが、
最初
に、参議院の農水の
委員会
の中でも、私
ども
共産党の下田議員からも
大臣
に直接お尋ねをしたわけですけれ
ども
、この同時選挙のちょうど中ごろですね、
農民
に対する
一つ
の公約として、
生産費
が上がっておる、そういう点を勘案し、適正な
価格
にするべきだという
趣旨
の公約をされたわけです。ところが、先ほどからも話がございますように、出ました
諮問
を見ますと、わずか二・三%、まあ実質的にはほとんど
据え置き
に近い、こう言わざるを得ないと思うのです。 そこで、初めにお聞きしたいのは、この二・三%という
諮問
、これと、
大臣
が選挙中に公約をされた、いま引用しました中身ですね、こういうものを含めて、ひとつ初めに所見を承りたいと思います。
亀岡高夫
73
○
亀岡国務大臣
選挙のときの公約という御
指摘
でございますけれ
ども
、あの出時も、私は日本の米の
需給
の状況と二年据え置いておるという現実、こういうものを頭に浮かべながら実はアンケートにお答えをいたした次第でございます。そして、やはり適正な——
据え置き
というようなことではもういかぬという気持ちも当時ございました。 しかし、いま
大臣
という
立場
に立ってみまして、
食糧管理法
に示された責務を果たしてまいります
立場
に立って
考え
ましたとき、その公約を果たさなければならないという議員としての責任感と、それから
大臣
としての、この逼迫せる国家財政の中、財政再建という至上命令の中、しかも食管始まって以来の六百五十万トンという余剰を抱えておる、こういう現実の中において、先ほど来申し上げてきましたとおり、どう決心すべきかということをるる苦慮いたしまして、そうして、どうしても
据え置き
という線だけは突破したい、こういう気持ちで最終的な決心もさしていただいて、
農家
の諸君から見ればあるいは御
不満
ということもあろうかと思いますけれ
ども
、
政府
の
立場
においては、先ほど来るる申し上げてきております逼迫の
事情
、財政の厳しさ等の中において最大のことをやらしていただいた、こういうふうに
考え
ておる次第でございます。
野間友一
74
○野間
委員
朝日新聞のインタビューの中での記事にも同じような答弁がございましたけれ
ども
、結局、議員と
大臣
という
立場
を使い分けておられる、ここに私は問題があると思うのですね。大体、
米価
を決めるのは
農林大臣
ですね。しかも、公約をされた以上
農民
は、議員としてと同時に、
大臣
になられた、これならわれわれの要求を満たしてくれるというような非常な期待を持っておった。ところが、実際には二・三%、こういうふうな大変な低額に抑えられた。大変な
不満
を持っております。 そこで、農協の中央会の要求ですが、これは一六・三%、一万九千七百六十九円ですね。仮に
農林省
の昨年度の
方式
で
計算
をした場合でも、たしか四・九形ですか、
次長
そうお答えになったと思いますが、これは間違いありませんね。縦に首を振っておられますが……。そうしますと、少なくとも昨年並みの、大変わかりにくい、しかも
農民
に不利益な
計算
方法であったとしても四・九%の値上げができるものが、今度の値上げでは二・三%に抑えられておる。先ほどからも
論議
がありましたけれ
ども
、結局、初めに結論を出して、それに合うように
数字
を並べていくということ、つまりくつに合わせて足をつくるというたぐいになっていると思うのですね。 時間がありませんので一言で結構ですから、本来ならば昨年の
計算
方法で四・九%のアップになるにもかかわらず、なぜ二・三%になったのか。冒頭にも
説明
されましたけれ
ども
、一言で結構ですから、それをまずお答え願いたいと思います。
小野重和
75
○
小野説明員
四・九というのは去年採用した
方式
ということでございまして、いわゆる生所
方式
につきましては、
基本
的な枠組みというものは三十五年以来変わっておりませんけれ
ども
……(野間
委員
「簡単に言ってください」と呼ぶ)ですけれ
ども
、やはり
需給事情
あるいはその他のいろいろな経
済事情
に即して、ある程度それに即応したような形で
算定
要素の変更ということは従来もしておるわけでございまして、そういう意味からも、本年は
金利
等の問題でございますが、変更を若干加えた、こういうことでございます。
野間友一
76
○野間
委員
結局、積み上げよりも、結論から後で理屈をつけるというたぐい、つまり基準はころころ変わる。これは先ほどからも
論議
があったところです。 次に、この九十二国会での
農林水産委員会
の請願の問題ですけれ
ども
、これは与野党問わず全会一致で採択をしたのであります。岡山の県
会議
長からの、しかも自民党の議員の紹介によるものでありますけれ
ども
、この中には「
昭和
五十五
年産
生産者米価
は、過去二年間据え置かれていることにかんがみ、
生産
資材
価格
の高騰、
賃金
の上昇等実態を十分考慮した適正な
価格
に
引き上げ
ること。」これがあるわけですね。これは自民党も含めて全会一致であるわけですね。 私は実は二・三%の値上げということで岡山の各
農民
等に対して電話をかけてみました。そうしますと、この請願が採択されたということで、大変な
理解
を示してもらった、今度は期待できる、そういう気持ちを持っておったけれ
ども
、実際の結果を見れば二・三%、しかもこれは実質的な
据え置き
にすぎない、大変な怒りがいま渦巻いております。
大臣
は
農民
には納得してもらう、そういう確信を持っておるというふうに言われましたけれ
ども
、まさにその認識は誤っておると私は言わざるを得ないわけであります。ですから、そういう請願の
趣旨
からしても、この二・三%というのはいかに低いかということ、これはわかると思います。 時間がありませんから続いて
質問
を続けますけれ
ども
、先ほどからもいろいろ言われておりましたけれ
ども
、二・三%のアップで四百四十億円の財源が必要だ、こういうことですね。ところが、これをどうして穴埋めするかということでありますけれ
ども
、これまた激変緩和措置の八十三億円があります、あるいは
水田利用再編対策
等推進特別交付金、三百五億円ですね。新聞報道等によりますと、このうちで市町村に交付する百六十七億円だけを残して、一俵
当たり
百円の、例の百三十八億円、これはやめてしまう、こういうようであります。そうしますと、八十三億円プラス百三十八億円、足しますと二百二十一億円、結局タコがみずから自分の足を食うたぐいですね。片方では二・三%と言いながら、片方ではどんどんこれをなし崩していくという結果になります。これらを差し引きしますと、結局不足分はわずか二百億円を少し上回るだけ、こういうことになります。しかも実質的には北海道あたりでは、これは値下げになるのではないか、こういう懸念すらあるわけであります。私はこれは実際には二・三%と言いながら、これだけで
計算
してみますと、一・一%ないしは一・二%の値上げにしかすぎない、こういうことになることは
数字
上明らかでございます。 そこで、
最後
にお答え願いたいのは、
大臣
には請願の
趣旨
を本当に尊重してやられたのかどうかということ。それからいま私が申し上げたこの
補助金
、交付金の問題ですね。これら私が挙げた
数字
、実質的にはしかも結論として一・一%ないしは一・二%の値上げしかないというようなことが正しいと思いますけれ
ども
、そのとおりかどうか、
最後
に答弁を求めたいと思います。
亀岡高夫
77
○
亀岡国務大臣
請願、陳情、これは国民に与えられた憲法上の
基本
的権利でありまして、したがいまして、国会で採択されました請願を忠実に実行する
努力
をすることは行
政府
として当然のことでございますので、私も、三年間
据え置き
ということがやはり世間でも強く言われておる中で、とにもかくにもこの
基本米価
の
引き上げ
という点を実現するために懸命の
努力
をさしていただいたということは、一〇〇%請願の
趣旨
を達成したというわけにはまいりませんけれ
ども
、その
趣旨
を尊重をして仕事をさしていただいておるということは御
理解
いただけるものと思う次第でございます。 後段の四百四十億円の件につきましては、お話のありました点につきましては前年度限りという問題であるわけでございますので、今回の二・三%についての財政負担というものは、
食糧管理特別会計
の中でし、調整をいたしまして、手当てをしてまいる、こういう
考え
でおる次第でございます。
野間友一
78
○野間
委員
時間がありませんのでこれで終わりますけれ
ども
、私は断固としてそれに反対して、これからも野党の皆さんと連携をしてひとつがんばっていきたいと思います。 終わります。
田邉國男
79
○
田邉委員長
木村守男君。
木村守男
80
○木村(守)
委員
時間が少のうございますから、
大臣
の答弁は簡略で結構であります。技術的に一括してまとめて
質問
をお許しいただきたいと思います。
一つ
は、まず
大臣
に、二・三%に
引き上げ
て
諮問
される、ここまでの
大臣
なりの
努力
は多といたします。しかしながら、
生産
資材等の高騰あるいは
物価
その他、相対的に
生産
農家
にとってはこの程度では追っつくものでありません。そういう意味での、まことに遺憾であるということをまず表明しておきます。 具体的な
質問
でありますが、激変緩和措置をいきさつからいったらことしからやらないのだ、特に今回は二・三%
諮問案
で上げるので、これも財政上できないというお
考え
のようですが、答申後も改めてこれを政治家として
大臣
は再度お
考え
直して、これを
配慮
する意思が、
考え
る余地が、
あと
残されていないのかどうかということ、これが第一点。 第二点は、
水田利用再編対策
のことでございますが、米の
需給
長期見通し
に基づいて、もっと長期的な
水田利用再編対策
の案を示していただきたい。そうしなければ、こういう現状にあっての
農家
は、きわめて振り回されている。対応ができません。そういう意味での
計画
案をすでにお持ちなのかどうか、それをお示し願いたい。 いま
一つ
は、食管にかかわってまいりますが、米を
大臣
は統制物資とお
考え
になっているかどうかということ、素朴な
質問
で失礼でございますが、これを率直にお答え願いたい。そして、
自主流通米
は今後強制的にこれをやっていく意思なのかどうか。これが続いて拡大されていくと統制撤廃につながっていくのじゃなかろうか、こういう点を心配いたしております。その
見通し
な
ども
お聞かせ願いたい。 いま
一つ
は、
大臣
に尋ねたいことは、たとえば国土庁の新三全総あるいは
農林省
のさまざまな資料、いままでの
大臣
の答弁など見ても、これからどっちかというと地域分担作型の適地適作で
農政
を組み立てていきたいということがいろいろな機会に議事録に残されているようであります。その場合に、今日のような
水田利用再編対策
を進めていった場合に、この東北六県、北海道をひっくるめた食糧基地化構想というものが生きているとすれば、行政の整合性からいったらその矛盾はないのかどうか、そういう点もお聞かせ願いたいと思います。 以上で終わります。
小野重和
81
○
小野説明員
大臣
は後でお答えいただくことにいたしまして、
最初
の方の
質問
でございますが、激変緩和措置につきましては、これはあくまでも去年の段階で去年限りということにいたしておりますので、ことしはこれを実施しないということにしたいと思っております。 それから、
自主流通
でございますが、これはあくまでもいまの食管法の枠の中で、これは直接統制を
基本
としているわけでございますが、その中で、市場流通のよさを生かすというのが
自主流通
制度
でございまして、そういう意味で、
自主流通
の拡大ということが、直ちにこれが食管の崩壊ということにはならないというふうに私
ども
考え
ております。
亀岡高夫
82
○
亀岡国務大臣
長期見通し
のもとに的確なる
水田利用再編対策
を
計画
的に進めよ、そうしないと
農家
の
理解
も得ることができないし、
農家
もいろいろな面で迷うという御
指摘
でございます。確かにそのとおりと
考え
るわけでございまして、
農政審議会
に対しましてそういう点を、特にこの作目別、地帯別のいわゆる六十五年度における
長期見通し
と申しますか、そういう目標をきちんと定めるということが大変大事なことは、もう農業
基本
法にも明記されておるところでございます。したがいまして、私
ども
もこの
米価
が終わりますれば、直ちに
農政審議会
の方の御結論をいただいて、そして第二期の
水田利用再編対策
、
計画
を、御
指摘
のような線を十分
配慮
し、注意いたしまして作成し、お示しをして御
協力
を願う、こういう道筋をとってまいりたい、こう
考え
ておる次第でございます。
田邉國男
83
○
田邉委員長
この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ————◇————— 午後一時四分
開議
田邉國男
84
○
田邉委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。
近藤元次
君。
近藤元次
85
○
近藤
(元)
委員
午後の時間もさほどないのでありますが、引き続いて
米価
の問題で、私
ども
がどのように
理解
をしていいかわからない点が一点ありますので、その点から
最初
に御
質問
さしていただきたいと思います。 〔
委員長
退席、福島
委員長
代理着席〕 この
諮問
の
説明
にもありますし、また食管法の第三条第二項にも書いてあるのですけれ
ども
、「
生産費
及
物価
其ノ他ノ経
済事情
ヲ参酌シ」とあるのです。米の
需給事情
については、
過剰米
が六百万、七百万トンという現状で、なお
米価
を値上げをするには困難だという
事情
はよくわかるのですけれ
ども
、そうわかりながらも、据え置かれた
米価
について、なお引き続き据え置こうかなと
考え
るような時点で、ここの部分についてはなかなか私
ども
では判断はできにくいし、また判断のしようによってはいろいろ判断ができる要素が含まれておるわけでありますから、「
生産費
及
物価
其ノ他ノ経
済事情
」というのは、この
米価
にかかわってその「経
済事情
」というのはどういう
事情
を 一体お
考え
であるかをお聞きをしたいのです。
小野重和
86
○
小野説明員
「
生産費
及
物価
」は言葉のとおりでございます。「経
済事情
」にはいろいろな
事情
があるかと思いますけれ
ども
、主として、
生産者米価
の場合には
需給事情
とそれから財政
事情
、そういうものが含まれるのではないか、かように思います。
近藤元次
87
○
近藤
(元)
委員
「経
済事情
」には
需給
の
事情
があると言うけれ
ども
、もちろん
需給
の
事情
があることはわかるのです。しかし「
生産費
及
物価
」という部分がそれで全部帳消しになってしまうというわけにはいかないし、この主なるものが
需給事情
及び財政
事情
だとすれば、来年度それでは一体財政がそのようなものにこたえていけるような、今年度よりも大きな変化が生まれてくるか、あるいは
需給事情
が来年度をもってまた改善がされるかというと、なかなか困難であろうと思うのです。そういう意味からすると、ことしも
据え置き
を
考え
て、いま二・三%
諮問
されたわけですからあえて申し上げませんけれ
ども
、来年も大きな変化がなければなおかつ引き続き据え置かれていかなければならないという理論になるわけでありますが、一方、反面から
考え
て、いまの
農家
の経
済事情
というものをどのように
農林省
の方では御判断をしていられるのか。いわば
需給事情
でありあるいは財政の
事情
であり、そのことでもって
生産
農家
に
米価
を据え置くという責任を挙げて持たせていいのかどうかという判断に立つと、われわれはそうじゃないと言わざるを得ないと思うのです。まあ
需給事情
その他について全くの責任がないとは言わないのですが、財政問題に至っては、
農家
そのものがこの責任を負わされるがごとき結果になるということに対しては大きな
不満
を持つわけでありますけれ
ども
、いまの
生産
者
農家
の経済状況というものを、
農林省
としては
米価
を上げなくても再
生産
をされる
米価
である、あるいは経
済事情
であるというふうに御判断をしていらっしゃるのかどうかということでお尋ねをいたしたいと思います。
小野重和
88
○
小野説明員
農家経済
の状況でございますが、たとえば
農家
所得
が五十四年度におきましては四・二%ふえている、しかし一方では、勤労者世帯につきましては、可処分
所得
で見ますと六・二%ふえているというような
数字
が現にございますが、最近の
農家
所得
の中の農業
所得
、その減ということは確かにございます。その
要因
は、その前の年に比べれば米の作況が落ちているというような
事情
もございますけれ
ども
、いずれにしましても勤労者世帯よりは伸び率が少ないというような
事情
があることは事実でございます。
農家
所得
についてさらに申し上げますと、勤労者世帯とその
水準
を比べてみますと、これは五十四年度でございますけれ
ども
、勤労者世帯よりは一割強高いというような
数字
もございます。見方によっていろいろ
考え方
があろうかと思いますけれ
ども
、いずれにしましても
米価
算定
の場合に、確かに
農家経済
の状況というものがございますが、むしろ端的に
生産費
というものにあらわれてまいりますので、その
生産費
をベースにいろいろ
計算
する、こういうことでございます。その場合、食管法にありますように、
物価
もございますし、先ほどこれは申し上げませんでしたけれ
ども
、
賃金
もございます。そういうような要素を見ることは当然でございます。 ただ一方では、繰り返しになりますけれ
ども
、
需給事情
、財政
事情
、その他の経
済事情
、これも考慮に入れざるを得ない、こういうことだというふうに
考え
ております。
近藤元次
89
○
近藤
(元)
委員
あまり時間がないので、これに突っ込んで議論するといろいろなところへ展開していくわけでありますけれ
ども
、そういう状況で可処分の
所得
がそう大きな変化がないのだということであれば、そういう
考え
に立って物事をやるということになっていく。だとしたら、やはり昨年の
米価
算定方式
というものを固定化をする、そこの中でいろいろ
考え
ていくということにどうしても私
ども
はしていただかなければいかぬということになるわけでございますが、もう
算定
が終わった今日でありますので、引き続き来年の
米価
の
算定
までにまたいろいろ御意見を申し上げたいと思うのです。
需給事情
について、これが一番大きな問題で、また第二期の
転作
は恐らく大幅なものが来るであろうという予想を
農民
は皆いたしておるわけであります。したがって、大幅な
転作
が来るということで、
需給
のバランスを一方ではとろうとしておるのですが、備蓄米については、
政府
も新しい
政府
になって、総合安全保障というようなことで食糧問題もその中に入れられておるようでありますけれ
ども
、食糧の備蓄ということについて
農林省
の方のお
考え
はどのようになっておるのかをお聞かせをいただきたいと思うのであります。
小野重和
90
○
小野説明員
国民に食糧を安定的に
供給
するということが農業食糧政策のまず
基本
でございます。その
一つ
の方策として備蓄ということは当然
考え
なければいけないことであると
考え
ております。 これは農産物によって違いますけれ
ども
、たとえば米について申し上げますと、適正な備蓄
水準
というのは、過去における不作の状況、たとえば四十六年が最近の一番の不作でございますけれ
ども
、四十六年のような不作が二年連続続いてもこたえられるというようなことで、二百万トンという備蓄
水準
を
考え
ておるわけでございます。ただ現実問題としてはもう六百五十万トンという、これは
過剰米
でございますが、そういう過剰状態にございます。備蓄についての
考え方
はそういうようなことでございます。
近藤元次
91
○
近藤
(元)
委員
新しい総合安全保障についてもなお引き続き二百万トンが備蓄だというふうにお
考え
をしておるとすれば、四百万ないし五百万トンというのが大体余剰米、
過剰米
だというふうに御判断をしている、こう思うわけであります。 それからあわせてもう
一つ
の問題点となるのは、財政状況の問題でありますけれ
ども
、財政状況の問題というのは、国の財政全般もそうでありますが、食管会計そのものの財政
事情
というふうに
農林省
はとらえておるのだろうと私は思うのです。国全体の財政
事情
というものはもちろんでありますが、引き続き食管の赤字ということ自体が
米価
におけるところの財政
事情
の主なる値上げをしにくい問題というふうにとらえた場合に、これから流通なり管理経費について
農林省
が改革をしていく、節減をしていくというようなものはどういう方向で実は進めていくのだろうか。
逆ざや
問題についてももちろん
米価
二年
据え置き
で向こう五カ年で
解消
していきたいということで、
米価
を二年
据え置き
ながらも
消費者米価
を二回上げてきたわけであります。今回たまたま
諮問
の段階で
米価
が上がるということでありますけれ
ども
、恐らく当初の
計画
から見ればまた
逆ざや
が出てきたということになろうかと思うのです。
逆ざや
そのものの赤字というのは私は
努力
のしようによってはある程度詰めることが可能だと思うのですけれ
ども
、しかしこれは、これ以外の管理あるいは流通関係に至りますと、行政サイドでやってやらなければ、
生産
者、
消費者
の手の届かない部分がたくさんあるわけであります。こういう問題をどのような
計画
でどのようなものについてお
考え
か、お聞かせをいただきたいと思います。
小野重和
92
○
小野説明員
米について申し上げますと、米の赤字の中身は主として売買損益と管理経費の二つに分かれるわけでございます。その中で特に管理経費についてどういう節減の方策があるか、こういうお尋ねでございますが、管理経費の中にはいろいろ
種類
がございまして、米の運送費とか保管料、
金利
、人件費とかいろいろございます。最近特にふえております管理経費が
金利
、保管料でございまして、これは主として
過剰米
の累積に伴う
金利
、倉敷でございます。ただ、そういう
事情
でございますけれ
ども
なるべく節減する必要があるということで、たとえば、これはなかなかむずかしい問題でございますけれ
ども
、流通のあり方、いまは一俵一俵流通している形が大部分でございますけれ
ども
、これを何とかバラ輸送という形にできないかとか、そういう検討あるいは推進をしておりますし、また、事務費、人件費の問題でございますが、私
ども
の組織であります食糧事務所の職員の問題、これも従来定員削減については一般の省庁の定員削減よりも倍ぐらいの率でやってきたわけでございますが、今後とも、たとえば検査の能率化、毎個検査から抽出検査に変えていく、あるいはバラ検査に持っていくというようなことで検査事務を合理化しまして検査官の縮減を図っていくなどなど、管理経費の節減についてもできるだけの
努力
をこれからしていきたい、かように存じております。
近藤元次
93
○
近藤
(元)
委員
もう時間がございませんから
要望
しておきたいと思うのですが、管理経費の削減なり、
需給
の問題なり、
逆ざや
の問題なり、あわせていろいろな手当てをこれから、いまの食糧
事情
の関係からして、二年
米価
を
据え置き
、なお三年も据え置かなければならないというような実情の中であれば、従来よりテンポを速めていかなければならないと思いますし、検査
制度
などは抜本的にひとつ改善をしていただきたい。あわせてまた、農機具とか資材関係の問題についても、いろいろこれから新たな研究をしていかなければならない問題が残っておるでしょうし、あるいは
生産
者が販売ができるというような問題についても、改めてまたこの時期、この環境を踏まえてやはり研究を進めていかなければならないだろうと思います。そういうものをぜひ研究を進めていただきたいし、管理経費の部分については、財政
事情
という観点に立てば皆さん方から特段の御
努力
をしていただきたいと思うわけです。 もう
一つ
、
最後
に、私は
良質米
の
生産
地であるだけに、また、私が第一回田の
生産調整
のときの所管の
委員長
であった当時の状況を思い浮かべて、米単作地帯である状況からして、米の過剰は減反、
転作
以外に図る道がないとすれば、
消費者
に喜ばれる
良質米
をつくり減産をし、そして
転作
、減反面積を防いでいこうということで
努力
をしてきて今日まで来た経過があるわけであります。したがって、
良質米
の増産運動というものは積極的に皆さん方からぜひとも進めて、
消費者
から喜ばれる米を増産をしていく、そして
消費
の拡大を図っていく。そういう面にはとりわけ従来も
努力
をされて、いろいろ奨励金だの
補助金
等を御
配慮
をいただいておるわけでありますが、引き続きまたこの増産運動を、
良質米
の増産運動ということで、そしてまた将来には、願わくば地域分担というものにつなげていくような形でこれからの
農政
を展開をすることによって、
需給
のバランスをとる方向で進めていけるように
努力
をしていただきたいということを
要望
を申し上げて、
質問
を終わりたいと思います。
福島譲二
94
○福島
委員長
代理
田名部匡省
君。
田名部匡省
95
○
田名部委員
午前中に引き続いて若干の御
質問
をさせていただきたいと思います。 私も、何とか五%程度の
米価
の
引き上げ
をするためには一体どうすればいいんだろうと自分で
考え
てみました。しかし残念ながら、農林水産関係の五十五年の予第三兆五千八百四十億、この中でいろいろとやりくりしてみましたけれ
ども
、なかなかいい方法がないわけです。わずかに
考え
られるのは管理費、こういうものの節減を図る、あるいは米の
消費
の拡大を図る、また個々の省エネルギーを進める、あるいは先般お決めいただいた農地三法、こういったものを活用して何とか値上げの財源を生み出すことができないかということをいろいろと
考え
ているわけであります。いまも
近藤委員
からも御
質問
がありました。私
ども
考え
ておりますのは、国の財政再建というものは長期にわたると
考え
ておるわけです。これはことし、来年くらいで
解消
されるというものではないだろう。また、米の過剰も
相当
思い切った
転作
をしなければ、ここ一、二年で
解消
するということも
考え
られない。そういうことで、
米価
の
決定
に当たって
農家
の
方々
の思うような方向に行っていないという悩みもあるわけであります。今後の国の財政を
考え
てみても、そういうことからなかなかむずかしい。しかし、この
需給事情
が勘案されているということでありますけれ
ども
、素朴な疑問として、たとえば国鉄などは乗客が減ろうが貨物の輸送量が減ろうが、赤字になりますと運賃の値上げ、あるいは給与も
引き上げ
られているというのを見たときに、米は過剰であっても、あるいは国の財政は苦しいだろうなとは思いつつも、二年も据え置かれて、農業資材も上がっている、あるいは他の
所得
が上がっているときに
農家
の
方々
を据え置くということは、どうしても納得できないという気持ちになるわけであります。 そういうことでお
伺い
したい点は、食管
制度
の運営の見直しですね。一体これをどうしようと
考え
ておられるのか。それから管理経費の節減については先ほ
ども
幾らか御
説明
をいただきましたけれ
ども
、食管の財政負担の主な
要因
として
売買逆ざや
、これは午前中も
質問
させていただきました。
自主流通
の
助成
、管理経費、こうあるわけですが、特に
金利
は一千二百五十四億という大変な金額であります。また人件費、これもまた大分人減らしをやってきましたけれ
ども
、八百七十八億という膨大なお金がかかっている。そのほか保管料においても六百六十九億。こういうことを
考え
て、今後一体どうされるおつもりなのか、この点についてまずお
伺い
したいと思います。
小野重和
96
○
小野説明員
最初
の御
質問
の食管
制度
ないし運営の見直しの問題でございますが、御案内のように食管
制度
は
昭和
十七年、戦争中にできた法律でございまして、どうしても不足の
事態
に対応するような
制度
になっておるわけでございます。ところがいまや過剰
事態
でございまして、そこでその食管
制度
、この根幹を堅持するということは当然でございますが、その中で不足の
事態
にも過剰の
事態
にも
需給
バランスしている
事態
にも、あらゆる
事態
に対応できるような
制度
にしたいということで具体的な検討を続けておる、こういう状態でございます。 その方向は、大きく言いまして、
一つ
は米の
需給
バランスを図るという方向、もう
一つ
は
消費
に応じた流通のあり方ということ、それから三番目は
制度
と実態が矛盾している問題、たとえば配給通帳のような問題これは食管法改正の問題になりまして幅広い検討が必要でございますが、そういう問題。その他、これは検査その他食管の業務の改善というような問題、そういうような方向で現在私
ども
検討を進めておるところでございます。なるべく早く結論を出したいと思っております。 それから管理経費の問題でございますが、これは実際にかかる経費でございまして、私
ども
いままでもいろいろな合理化を進めてきておりまして、これ以上の合理化というものはなかなかむずかしいわけでございます。管理経費が非常にふくらんでおりますのは、一番大きいのは
過剰米
が累積したことに伴う
金利
、倉敷等の増、それからまた
金利
が非常に上がっておりまして、これは
金利
が一%上がりますと食管では二百億の金がかかるというような非常に大きな問題でございまして、そういうような
事情
がございます。事務費につきましては、これは特に人件費でございますが、食糧事務所の職員の業務の合理化を通ずる縮減あるいは流通の、俵一俵一俵運ぶ形よりはバラで運ぶ形とか、そういうようなもろもろの改善をこれから進めてまいりたい、かように存じております。
田名部匡省
97
○
田名部委員
いずれにいたしましても、
米価
の値上げの時期になってからいろいろなことが
考え
られるが、午前中も申し上げましたようにもっと長期の
見通し
というものが本当に大事だ。特に、来年もまたこの
米価
の価上げ問題が出てくるわけであります。そのときにあらゆる
努力
をされて値上げに対応できるような
対策
というものもやはりとっておく必要があるだろう。この対応がうまくいっていない、そんな感じがするわけであります。そのためには、先ほど来申し上げておりますように
消費者米価
を一体どうするのか、
逆ざや
をどうしていくのか、それから減反は
転作
等を含めてこれから一体どういうふうにしていくのか。たとえば最近えさ米の問題が出ておりますね。これですと、たとえば湿地田の場合に他に
転作
しなさいと言ってもやりようがないだろうと思う。しかも、これだけ減反をしてきたというのは、いままでは比較的高いところの、水をポンプアップしてやっているような
水田
、これは私は簡単に
転作
はできてきたと思うのです。ところが、
農家
の
方々
があらゆる
努力
をした結果、先祖伝来
水田
として、またそれ以外に使えないところがだんだんいい
水田
として残ってきている。これを今度減反で攻めよう、こういうわけですから、これはなかなか容易ではないだろう。そういうところにえさ米をやらせるということになれば、これはまた別のことになるわけであります。このえさ米の話もときどき聞いているわけでありますので、この点についてもお知らせをいただきたい。 それから、午前中から
自主流通米
のお話が再三されておりました。私
ども
青森県あるいは北海道というのは余り米がよくない、こう言われている地帯でありますが、最近
Aランク
米を中心にした
良質米
の
供給
が大変急増して
需給
バランスが崩れる、一方では一部値引き販売が行われたと伺っているわけですが、今後の
見通し
をお
伺い
したいことと、
良質米
以外の米の
自主流通
の問題が提起されてきているわけであります。特に北海道等ではこれを促進していくための適切な
助成
措置をしてほしいという動きを盛んにしておられるようでありますが、この点についてお
伺い
をしたいと思います。
小野重和
98
○
小野説明員
えさ米の問題は農蚕
園芸局長
から答弁いたしますので、私、
自主流通
の問題についてお答えしたいと思います。 御
指摘
のように、
良質米
と言われているもののうち、特に
Aランク
もの、そのまた特に超
Aランク
と言われておりますササニシキ、コシヒカリ、これが非常な
生産
過剰でございまして、値引き販売を一部せざるを得ないという状況にあることは御
指摘
のとおりでございます。それからまた、いわゆる
良質米
以外の、類別で申しますと四類、五類の米について
自主流通
の道を開くかどうかという問題をいま私
ども
検討しておるわけでございますが、その
趣旨
は、たとえばそういう四類、五類の米の販路をもっと拡大する必要があるのではないか、またその余地もあるのではないか。確かにおいしい米を国民が好むことは当然でありますけれ
ども
、しかし一方では、外食に見られますように、味はさほどでなくても
価格
が比較的安いものの方がいいという場合もあり得るわけでありまして、そういうものに対する販路の拡大という方法も
考え
てもいいのではないかということで、四類、五類の
自主流通
の道を開いてはどうかということを
考え
ておるわけでございます。 いずれにしましても、この問題は具体的な話になりますと
助成
の問題をどうするかという問題になります。そういう問題がありますし、そのほかにも
自主流通
の
助成
についてはいろいろ問題があります。そこで、
基本米価
が決まりました後、直ちに私
ども
自主流通
の問題についての検討に入りまして、早急に結論を得たい、かように
考え
ております。
二瓶博
99
○二瓶
説明
員
転作
に絡みまして、えさ米を
転作
作物に認めてくれないかというような
要請
等は種々受けております。 問題は、このえさ米につきましては、実はえさということでございますので非常に安い
価格
でないと売却できないわけでございます。したがいまして、そういたしますと
物財
費も償わないというほどの低い収益性ということでございます。肥料代とか農薬代も償わないという形になるというのが
一つ
の大きな問題でございます。 それから、現在生食用の
価格
、これが二十九万円近くでございますけれ
ども
、ただいま申しましたようにえさ用ということになれば三万円とか四万円近くとかというような話でございますので、約九倍ぐらいの
価格
差があるわけでございます。したがいまして、えさ用ということでつくりまして、これが主食用に横流れするのではないか、横流れすればそれはまた過剰の原因になる、したがってその辺をどうするかという問題がある。 それから、
転作
を進める観点からいたしますと、いまもお話がございましたように、従来水稲をつくっていた方がなれない麦とか大豆をつくるという話でございます。そういたしますと、今度はえさ米ということになりますと、これは大体いままで米をつくっている方がつくれる話になるわけでございます。そういうことで、
転作
を集団的にやるとかいろいろなそういう定着性を持ってというような面でマイナスではないかというような向きもあるわけでございます。 したがいまして、今後えさ米そのものの
生産
性をどう上げていくかというようなことは、いろいろ試験研究の問題もございますし、それは長期的な課題としてやはり研究等はやっていくべきだろうと思いますけれ
ども
、もう来年度から二期
対策
が始まる、したがって
転作
作物にすぐどうだと言われましても、なかなかその辺はむずかしいのではないか、かように
考え
ております。
田名部匡省
100
○
田名部委員
時間がもう来ましたので終わりますが、
要望
を一点申し上げておきます。
自主流通米
の四類、五類のことでありますが、私もそう思うのであります。何もいい米、高い米だけを国民の全部が要求しているわけではない、大学あたりの学食あるいは建設関係の飯場等ではそんなに高い、いい、おいしい米でなくても、ぜひそういうものが欲しいという人たちもたくさんあるだろうと思います。ひとつ十分お
考え
いただいて、この次に私ももう少し調べてまた議論を展開させていただきたいと思います。 以上で終わります。
福島譲二
101
○福島
委員長
代理 串原義直君。
串原義直
102
○串原
委員
諮問案
は、つまり二・三%、金額にすると、六十キロ
当たり
、時間の関係上一俵ということをこれから言いますが、三百九十五円ということになったわけでありますが、わが党の
試算
によりますと、
据え置き
になりました二年前からいろいろな
物価
はずいぶん上がっている。時間がないですから幾つも申し上げるわけにはいきませんが、
米価
据え置き
期間
中、つまり四十二年三月から今日まで、光熱費は約五〇%、肥料は八・五%、農機具は七・八%など、ずいぶんと
生産費
も上がっている、こう私たちは
理解
をしているところであります。特に秋に向けて肥料や農機具などはまだ上がっていくでしょう。でありますから
米価
が上がるのは当然である、こう私たちは
理解
をし、とりわけ
農民
は
理解
をしていた。ところが
政府
は二・三%に決めた。汗を流して農地と一生懸命取り組んでいる
農民
から見ると、
農林省
の
計算
機というのは一体どうなっているのだろうというのが率直な感じではないでしょうか。これだけ諸
物価
が上がっていく中で、どうして米だけが二・三%くらいしか上がらないのだろう。さっき
大臣
は若干の解説をいたしましたが、つまり、何が
米価
をこの低さにしているのか、御答弁を願いたい。
小野重和
103
○
小野説明員
確かに
物価
が上がっていることは、これはもう事実でございます。そこで、
米価
算定
におきまして、
農家
が実際に払うもの、
物財
・
雇用労働費
と言っておりますが、こういうものにつきましては、従来から
物価
の上昇というものは見込んでおるわけでございます。そのほかの要素、たとえば
家族労働費
あるいは
自己資本
利子
、こういうものは実際に支払うというものではなくて、これは
農家
の
所得
部門を構成するものでございます。こういう部門について、これは
昭和
三十五年にいわゆる生所
方式
が始まって以来、主として
需給事情
によりまして、あるときは
生産
をもっとしてもらわなければいかぬというときにはこれを高くなるようにし、また過剰
事態
というときにはそれに即応して要素を変更する、これは生所
方式
の枠の中の話でございますけれ
ども
、そういうことをいたしておるわけでございます。本年につきましても、確かに
物価
の上鼻ということはございますけれ
ども
、
需給事情
等非常に厳しい折でございますので、いわゆる
所得
部門を形成するそういう点につきまして若干の要素の変更をした、こういう
事情
でございます。
串原義直
104
○串原
委員
つまり米の
需給事情
、過剰の状態、こういうものが、微妙な言い方をしているけれ
ども
、今度の
算定
要素、二・三%の
米価
の
諮問案
になった要素である、こういう
理解
でいいわけですか。
小野重和
105
○
小野説明員
需給事情
、それから財政
事情
、この二点が主として
算定
要素の変更のファクターである、こういうふうに思っております。
串原義直
106
○串原
委員
財政のことは後にしまして、いま米の
需給
、つまり過剰が原因という答弁があったわけでありますけれ
ども
、私はどうにもそのところは
理解
できない、承知ができないということです。つまり
農家
は、あるいは農業団体もそうですが、
政府
、
農林省
の
方針
に従って、あるときは米づくりに汗を流した、そしてあるときは
需給事情
ということも踏まえて、大変過酷なものをも承知の上で
転作
、
水田利用再編対策
に
協力
してきた、こういうかっこうですね。とりわけ
転作
などは、五十四年は一二一%の達成である。聞くところによると、ことしは一〇七%くらいになるのではないかというふうにも聞いているわけです。つまりそのときどきに従って、意見はあったけれ
ども
、
農家
や農業団体は、ちょっと語弊がある言い方かもしれないけれ
ども
、
政府
や
農林省
の言いなりになってきたというかっこうですね。つまり
需給
のバランスが崩れたということは
農家
の責任ではない。
政府
の責任、
農林水産省
の責任である。
見通し
の甘さ、これが原因だというふうに私は
考え
る。そのことが原因で
米価
の
引き上げ
にプラスにならないとすると、どうにも納得できないというのは、私のみならず
農家
は全部そうだろうと思う。これはいかがですか。
政府
の責任じゃありませんか。
小野重和
107
○
小野説明員
米過剰の
基本
的原因は、
消費
の減退あるいは
生産
力の向上、反収の向上、ここにあるわけでございますが、いまのお尋ねは、
計画
というか目標どおり
転作
を、あるいはそれ以上にしているのになぜ余っているのか、こういうことでございます。これはたとえば
生産
力をとりますと、最近豊作続きでございまして、作況一〇〇を超える年が連年続いております。こういうような
事態
が
過剰米
の累積の大きな原因になっているわけでございまして、こういう点になりますと、
農家
の責任ではなくて
政府
の責任か、こういうお話でございますが、これはちょっと、
政府
の責任というところまではいかないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
串原義直
108
○串原
委員
この議論はまた機会を改めることにいたしましょう。 そこで次官、午前中も質疑を聞いていて実に不思議に思うのですけれ
ども
ね。
大臣
は、過般の参議院の
農林水産委員会
で、
米価
据え置き
ということを言明した。以来自民党は、かつてないと言われるほどに異常な動きを示した。もちろん、野党六党も結束をして
米価
引き上げ
を要求した。
政府
・自民党が腹を据えて昨年と同じように
米価
を決めるとするなら五%程度上がった、こういうことになるわけですね。ところが、その動きの中で結論は、昨年の
算定
基準と同じならば五%程度上がるものを、ことしはその半分にもいかない二・三%というところで
諮問案
が決まった。つまり、ここ一、二日の
政府
の動きは実に私には
理解
できない。ときには
据え置き
ということを責任者である
大臣
が言明をする。きのう一日の動きの中で二・三%と決まる。その二・三%も、いま申し上げるように去年の
算定
基準でいくならば五%程度になるものを、その半分以下に決まる。実にその
方針
が揺れ動いたと私は見ているところであります。したがって、昨日、昨晩の
諮問案
決定
に至るまでの経過、動きをあなたからひとつ御
説明
願いたい。
志賀節
109
○志賀
説明
員 すでに、その動きにつきましては新聞、テレビ等で串原
委員
も御承知のことと思いますが、要するに、今回の
据え置き諮問
が一転して二・三%アップということになりましたにつきましては、この
据え置き
のままで参りますと、
農家
の耕作
意欲
に及ぼす
影響
少なしとしない、これが憂慮されまして、さらに各方面の意見も聞いた上で、これは若干の
引き上げ
をせざるを得ない、それがむしろ
需給
調整の円滑な推進に資するゆえんではなかろうか、こういう判断に
政府
は立ちまして、現下の厳しい米の
需給事情
に即応し、これ以上に
生産
を刺激しないという範囲内、限度内で適切な
配慮
を行った、このようにお受けとめをいただけると幸いでございます。決して政治圧力に屈したわけではない、
政府
のそのような判断に基づいておる、これが
据え置き
から一転して二・三%上げに至ったその実情であり、背景である、このように御
理解
を賜りたいと思います。
串原義直
110
○串原
委員
二・三%
米価
が上がった場合、
農家
の
生産
意欲
というものを向上させることができるとお
考え
ですか。
志賀節
111
○志賀
説明
員 相対的に申し上げまして、
据え置き
よりは向上するのではなかろうか、こう
考え
ておるわけであります。
串原義直
112
○串原
委員
その議論をやっておりますと時間が経過しますからまた後に譲りますけれ
ども
、私は、二・三%というのは、熱心に
米価
の動きを見ていた
農民
から見るならば、偶然とした、この表現がまず適切だろう、こう
考え
ているわけであります。 そこで、
米価
の問題に入る前にちょっとお尋ねしておきますが、
消費
拡大策というものは大切な部分である、こう私は
考え
る。そこで
農林省
も施策を講じてきたであろうと
考え
るわけでありますが、私の手元にも若干の
政府
の資料がある。ところが、五十四年度、昨年度、あなた方の
対策
によって米の
消費
拡大はどの程度進んだ、たとえば何万トンぐらい、そういうことを
考え
て
計算
されたことはありますか、どうですか。
小野重和
113
○
小野説明員
米の
消費
拡大というのは、何分にも食生活にかかわるものでございまして、個人の好みというものが大きく左右するものでございますから、なかなかこれはむずかしい問題であります。
消費
拡大
対策
につきましては、米にまつわるいろいろな悪いイメージの払拭とか、むしろ米を食べる方が健康的であるとか、あるいは学校給食の問題とか、あるいは、米を売るのは米屋さんですから、米屋さんの販売
努力
を督励するとかいろいろやっております。ただ、事柄の性格上、これら
消費
拡大
努力
によってどれだけ効果があったかということは、計量的には把握できない問題である、こういうふうに思っております。
串原義直
114
○串原
委員
先ごろ
政府
は、余剰米を輸出をしたい、こういう
計画
を立ててそれを実施に移そうとされた。ところがアメリカから、おい、それはうまくない、言うならば圧力をかけられてずいぶん速度が鈍ってしまった、こういうことがありましたね。このことは米作
農民
、農業団体にとりましてはまことに不快な事柄であったと私は思っているところです。このことについて
政府
は、アメリカのおっしゃることだからやむを得ない、こういうことなのですか。あるいは今後それに対してどんなふうに
理解
をされていくのですか。
小野重和
115
○
小野説明員
わが国の米の輸出でございますが、これはいわゆるコマーシャルベースの輸出ではなく、
過剰米
の輸出ということで、これは主として延べ払いの輸出をしているわけでございます。これは二点ございまして、過剰農産物の輸出でございますが、これにつきましては、FAOの過剰農産物の処理原則というのがございまして、これは商業的輸出国の商業的輸出を妨げないということで、そういう商業的輸出国と協議をしなければならない、これが国際的なルールでございます。そういう意味で、米について申し上げますと、アメリカ、タイ、そのほかございますが、これが主な輸出国でございまして、こういう国と協議しなければならない、こういうことに相なっております。 もう
一つ
の問題は対米関係でございますけれ
ども
、日本の
過剰米
の輸出は、コストに比べまして国際
価格
が相対的に非常に安いわけでございますから、その分を財政負担をしなければいけない。そうしないと輸出できないわけでございます。これはいわゆる
補助金
つき輸出ということになって、これはアメリカの国内法でございますが、通商法という法律がありまして、これとの関係で、アメリカのその法律によりますと、そういう国に対しては報復措置がとれる、こういうような規定があるわけでございます。 そういうようなもろもろの問題がございますので、これはアメリカと協議しなければならぬ、こういう
事態
に相なりまして、いろいろこれは事務次官レベルの折衝をした結果、わが国の米の輸出量につきまして、
一定
数量の目標を決めまして、その目標に従って輸出するということに相なったわけでございます。
内容
について御
質問
があればお答えしますが、一応そういうような経緯でございます。
串原義直
116
○串原
委員
これを議論しておりますと、どうも……。つまり余剰問題、
需給
問題、これを米の
価格
に転嫁させていくということはまことに好ましくない
考え方
であるというふうに
考え
ますけれ
ども
、先ほど申し上げますように、時間の関係もあって、これは他日に譲ることにいたします。 そこで、
諮問
米価
のことについて若干触れておきたいわけでありますが、
最初
に、先ほど御
説明
をいただきました
諮問
の
試算
資料、この二ページ、上から二番目、
基準価格
、そのところに求める
価格
がありまして、プラス
運搬費
百七十二円とあるわけでありますけれ
ども
、この運賃は、昨年度の場合百九十二円であった。運賃値上げというのが常識の中で、昨年百九十二円であったものが二十円下がって、ことしは百七十二円になっているのはどういうことでしょう。
小野重和
117
○
小野説明員
この
運搬費
と申しますのは、
農家
から
政府
が買い入れる場所、倉庫が多いわけでございますが、そこまで自分で運搬してくる、その経費でございます。これにつきましては、統計情報部の
生産費
調査
には載っておりませんので、私
ども
、本来の
生産費
調査
がありませんので、補完
調査
というものをやるわけでございますが、最近の補完
調査
の結果では、労働時間、運搬する時間、これが
相当
減っております。そこで、そういう
調査
結果でございますので、それを反映させて、そこに記載されているような
数字
にいたした、こういうことでございます。
串原義直
118
○串原
委員
どうもちっとも
理解
できないわけですね。ともかく普通
考え
て、運賃等の諸経費は上がっているというのが常識なわけですよね。油が上がっている。そういうのに、
米価
の
試算
のときだけは下げられて
計算
が出てくる。これはどうにも納得できないですね。もう一度御答弁願います。
小野重和
119
○
小野説明員
これは集荷の合理化によるものでございまして、個別の
農家
が運搬するという形よりも、最近は、御案内かと思いますが、農協がトラック等で回りまして効率よく集荷する、そういう傾向がずっと強くなっておりますので、そういうことがこういう
数字
にあらわれているというふうに私
ども
理解
しております。
串原義直
120
○串原
委員
では、基礎資料を後で御提出願います。——資料を後で提出してください。どうですか。
小野重和
121
○
小野説明員
早速その
内容
につきまして資料を出したいと思います。
串原義直
122
○串原
委員
地代についてですけれ
ども
、九月に統制小作料が撤廃になるというわけですね。ところが、九月に統制小作料
制度
撤廃になるのを、あえてことしもまた
米価
算定
の基準に入れた。しかし、それは九月までにとれる米なんだからいいではないかというような
説明
が先ほどあった。これは私は納得できないですね。ことしとれた米の代金に、流通するのは十二月、冬ですよ、これは私が解説するまでもなく。でありますから、九月に統制小作料
制度
撤廃になるものをあえて
米価
の
計算
のときだけに入れるということは、まさに筋が通らない。これは実納小作料に変えていくべきである、私はこう思う。いかがですか。
小野重和
123
○
小野説明員
この統制小作料で
算定
しておりますのは、御案内かと思いますが自作地地代であります。本来の小作地でありますと、これは実際に払った小作料でありますから、これは笑納小作料をとるということでございます。自作地でございますので、これはいわばどういうふうに評価するか、こういう問題であろうかと思います。従来から統制小作料をとっておるわけでございますが、今
年産
はどうするかということでございます。これにつきましては、土地の使用の対価でございますので、土地の使用をする
期間
はということになりますと、これは収穫までということになりますので、収穫は九月には大体終わりますから、それまでに適用されている統制小作料、これをとるのがしかるべきもの、かように
考え
ておるわけでございます。
串原義直
124
○串原
委員
これも私は納得できませんね、納得できない。 時間の関係で次に移りますが、もう
一つ
、付帯労働費というものを算入すべきであるというふうに私は思う。とりわけ
水田
再編
対策
で、各地の
農民
は地域農業
振興
研究会などを開いて新しい農業
振興
を模索していますね。そういう
立場
から付帯労働費を算入しなければならない要素というのはずいぶん強まってきているはずだと思う。それを
算定
しないというのはどういうことですか。
小野重和
125
○
小野説明員
付帯労働費と申しますか、企画管理労働費とも申しますが、この問題につきましては、私
ども
が採用している
生産費
調査
の
内容
でございますけれ
ども
、この
生産費
の見方の問題でございますけれ
ども
、直接
生産
に要する費用、こういうことで
生産費
調査
がされておるわけでございます。企画管理労働につきましては、これは共同作業の打ち合わせ等々でございますが、これは直接
生産
に要する費用とは認められない、こういうことで
生産費
からも外れておりますし、
米価
算定
におきましてもこれを算入していないわけでございます。 ただ、では、昔採用したことがあるじゃないか、こういう御議論かと思いますが、やはりこれは、そういう問題はありましたが、当時はむしろ米不足時代でございまして、
生産
刺激的に
算定
要素を変えてきた時代でございますので、そういう時期といまとは
事情
が違うというふうに私
ども
考え
ておるわけでございます。
串原義直
126
○串原
委員
どうも議論をしておりますと、やはり私たちが
考え
たように、二・三%というのは、それを先に
考え
て、
政府
・自民党の中で
数字
を話し合いで決めておいて、そして後は
数字
を合わせたという感じがする。まずこれは間違いないところだろうと思っているわけであります。これは
農民
の期待にまさに反する、好ましくない政治である、こう
考え
ているところであります。このことについてはまた他日議論をすることがあろうと思いますが、そこで
水田利用再編対策
について触れておきたいと思うわけであります。
転作
は、五十二年に十九万二千ヘクタール、五十五年、ことしはとにかく五十三万五千ヘクタールという膨大な面積に拡大された。このままでいくならば、ちょっと大げさなことを言うならば、とどまるところを知らないほどに広がっていくのではないか、こんな無策なことをやっていれば、こういうことになる。私はこの際、思い切って米の
需給
を柱にした総合食糧
計画
というものをもう一度きちっと立てる中で、
農民
に責任の持てる
計画
見通し
を立てなければならぬ時代が来たと思う。これはもう国を挙げて、というと大げさになるでしょうけれ
ども
、そのくらいな決心で腹を据えた
計画
を立てなければならぬ時代になっている、こう
考え
ているのですよ。いかがですか。
二瓶博
127
○二瓶
説明
員
転作目標
面積等につきまして、これは五十五年度、まさに五十三万五千ヘクタールということで改定をいたしたわけでございます。 今後これはとどまるところを知らぬのではないかという御
指摘
でございます。そういうようなお話もございますので、現在米のみならずその他の農産物も含めました長期的な
需給
見通し
というものを
農政審議会
において検討を煩わしておるわけでございます。
農林省
が示しておりますたたき台としての第二次
試算
では、大体七十六万ヘクタールぐらい、六十五年度の
見通し
としてはそのぐらいの余剰
水田
が出るのではなかろうかということでございますが、それをたたき台にしながらいまいろいろ御検討をいただいているということでございます。 また、来年度から第二期
対策
というのが始まるわけでございますけれ
ども
、最近の厳しい
需給
情勢
からいたしますれば、さらに五十三万五千ヘクタールより
相当
の増加というのは避けられないのではないか、このように
考え
ております。
串原義直
128
○串原
委員
転作
と言いましても、
農民
は何をつくったらいいか、非常に迷っている、困っているというのが実情です。大豆と言っても、大豆をどこでもつくれるわけではない。麦作は御承知のように裏作である。湿田などではとても麦作はできない。養蚕に変えようと思っても、とても、糸価は低迷をしている。蔬菜なんかは豊作貧乏、こういうことですね。こういうことになって、まことに
農民
は悩み多き時代ということになっているわけでありますが、しかしこの実態をとにかく深刻に受けとめてもらわなければいかぬ。東京の空から米をやめようじゃないかというので指令をいたしましても、生きている信州の
水田
などから見ます場合に、どうしてもその指示とは歯車が合わない。これは深刻に取り上げて、もう一度取り組み直してもらわなければいかぬ。いま言われるように、八十万ヘクタールに及ぶということになればなるほど取り組まなければいかぬ問題だと思う。 このことは改めて議論をいたしますが、ここで
一つ
指摘
をしたいのだけれ
ども
、輸入に占める飼料の割合は非常に多い。えさをつくり上げていくためにもう少し真剣に取り組む必要があるのではないか。えさ米等を含めて
考え
なければいかぬのではないか、こう私は
考え
ているわけです。いかがですか。
二瓶博
129
○二瓶
説明
員 飼料穀物の輸入が
相当
ふえておる、したがいまして、えさ米等、飼料穀物の
生産
というものに力こぶを入れるべきではないかという御
指摘
でございます。
転作
の問題といたしましては、
一つ
は飼料作物でございますが、これにつきましては、粗飼料の自給率の向上を図るという、そういうような観点からいたしまして、
転作
の重点作物ということで奨励
補助金
等も五万五千円にいたしまして、積極的にこれは推進をいたしておるわけでございます。 それから、えさ米などという
一つ
の例示をされたわけでございますが、実取りの米でございますが、このえさ米につきましては、
一つ
は何といいましても、輸入の飼料穀物の
価格
、これから見ますと、えさ米の
生産
に要する
物財
費、こういうものも償わない、こういうような姿になっておりまして、非常に収益性が低いということがあるわけでございます。 それから、主食用の
価格
と、えさ米ということで売ります、想定されます
価格
との間には大きな
格差
がございます。約九倍ほどというふうに
考え
られますけれ
ども
、そういう中でえさ米
生産
を行うということにつきましては、やはりえさ用という米から主食用の方に横流れがする危険性が非常に大きいという問題があるわけでございます。 それから、麦、大豆等への
転作
を進めます際の
転作
の推進という角度からいたしますと、えさ米であればどこでもこれはつくれることになりますので、そういう面でなかなか
転作
もむずかしくなるんじゃないかというような危惧があるというようなことがございまして、長期的な問題といたしましては、えさ用の品種を育成するとかいうような試験研究等を強化していくということはあろうかと思いますけれ
ども
、えさ米を
転作
作物として認めていくということにつきましては、いろいろなむずかしい問題があるのではないか、かように
考え
ております。
串原義直
130
○串原
委員
時間が終了しましたから、終わります。
福島譲二
131
○福島
委員長
代理 竹内猛君。
竹内猛
132
○竹内(猛)
委員
私は、
米価
の
決定
をめぐる問題等々で、特に安全保障としての食糧、それから国の予算の中で占める
農政
費の状況というような
立場
から
質問
をします。 まず、前々から私はこの
委員会
で、農業は工業と同様に国の
基本
的な産業であり、食糧は国家の安全保障として重要な位置を占めている、したがって、経済合理主義や国際分業論でなくて、
農民
が参加をした長期の
生産
目標を立て、
生産
作物の地域分担と
価格
支持をし、
農家
の
所得
の目標を明示し、そのために人と水と土地を確保することが大事だと
指摘
したが、私のこの主張に対して、政務次官、どう
考え
るか。
志賀節
133
○志賀
説明
員 お答えいたします。
基本
的には先生のおっしゃるとおりであると
考え
ます。
竹内猛
134
○竹内(猛)
委員
基本
的には一緒だと言うけれ
ども
、現実は非常に違っているということについて、現実と差があり過ぎることについてどうですか、そう思いませんか。
志賀節
135
○志賀
説明
員
農林水産省
としては、先生の御
指摘
の方向で今後とも
努力
してまいりたいと思うものでございます。
竹内猛
136
○竹内(猛)
委員
鴻巣企画室長は、ある雑誌の座談会で次のようなことを言っております。 八〇年代の世界の食糧
需給
は、必ずしも楽観を許さない。たとえばアメリカで港湾のストライキがあるとかミシシッピ川が凍ると、アメリカの輸入穀物が入ってこない。あるいは短期的ケースであるけれ
ども
、国際紛争が起こった場合、輸入する量がなかなか思わしくない。あるいは石油の
価格
が上がり、日本の国際収支が赤字になってしまう、そういう場合においても自由に穀物が入ってこない。また世界の人口がふえて、
所得
もふえたが、
生産
がそれに間に合わなかった場合に
需給
が狂ってくる。いろいろなケースが予想される。そこで、いつでも緊急
事態
に対応できるようにしていかなければならない。ということで、これは長期目標の中にもそういう項目がありますが、これは経済合理主義や国際分業論では間に合わないと思うけれ
ども
、この点について室長はどういうような
考え方
を持っておられるか。
鴻巣健治
137
○鴻巣
説明
員 お答えいたします。 食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございます。それは御
指摘
のとおりです。生存のためには一口も欠かすことのできない重要な物資でございます。しかも農業の特質から、何かいざというときに
生産
を急にふやそうとしても、なかなか
生産
の
期間
も要します。そういう意味では不測の
事態
に対応するというようなことも弾力的に
考え
ながらやらなければいけないと思います。そういう意味では、食糧を通常の場合とそれからいざというような不測の
事態
と幅広く
考え
ながら、安定
供給
というのを
考え
る必要があろうと思います。 〔福島
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 そういう意味で、私
ども
いま
農政審議会
で
農政
の見直しをいろいろ御検討いただいておりますが、その中では、平時に
生産
性を高めながら食糧の自給力を維持向上するとともに、不測の
事態
が生じた場合の国民食生活の安全を守るためにどう、したらいいかという観点から、いろいろ検討いたしておるところでございます。
竹内猛
138
○竹内(猛)
委員
過ぐる第九十一国会で、衆参で食糧自給力を高める決議を行った。そういう決議と、いま
農林水産省
が
計画
をしている、やがて公表されようとしている、また
農政審議会
に付そうとしているところの農業の長期展望というものとの関係について、かなり距離があるように私は思うのです。これはうまく合っていますか。 特に今度の選挙で、自民党の候補者でさえも食糧自給率を八割というようなことを言う候補者がいる。社会党では、まず当面六〇%でやろう。また自民党の中には六割という人もいた。そういうように選挙のときにはでたらめなことを言って、いよいよ国会の中で審議をしようとするとそれはだめだと言う。現在の食糧穀物自給率は三二%ぐらいでしょう。これについて、いまやっていることと、それから国会で決議をしたこととはうまく合っていないでしょう。その点についてどうですか。
鴻巣健治
139
○鴻巣
説明
員 私
ども
は、さきの国会で成立を見ました食糧自給力強化に関する決議の
趣旨
を踏まえまして、国内で
生産
可能なものは極力国内で賄うという
趣旨
で
農業生産
の再
編成
、総合自給力の強化を心がけています。そのために現在、
農政審議会
の意見を
伺い
ながら検討いたしております六十五年を目標年次とする農産物の
需給
の
長期見通し
の
試算
では、麦あるいは大豆といったものの
生産
の大幅な拡大を図り、それから米の
生産
の減少とかあるいは畜産物の
生産
の増大に伴いまして、先ほどの御議論にも出ましたえさ穀物はどうしても輸入がふえざるを得ない。そして、そういうことによってどうしても低下する可能性の強い主食用の穀物、つまり米とか麦とか、そういう主食用の穀物の自給率を現状程度で維持しようと
考え
ているわけでございます。 さらに、自給力決議を受けまして、私
ども
平時の場合のみならず、一たん海外からの輸入が削減をされた場合に、どこまで国内の
生産
をフルに展開をして、あるいは米なり麦なり芋なんかを中心に潜在
生産
力を顕在化し、フルに発揮して、どこまで国民の食生活を守れるか、その場合の守れる栄養
水準
はどのくらいになるかというような、またその場合に平時の自給率に比べてどこまで自給率が高められるかということもあわせて
農政審議会
の御意見を
伺い
ながら検討していこうと
考え
ております。
竹内猛
140
○竹内(猛)
委員
まだ十分じゃないけれ
ども
、それを達成するために予算的措置についてはどういう
考え
ですか。
鴻巣健治
141
○鴻巣
説明
員 財政的な措置につきましては、厳しい財政
事情
のもとではございますが、必要な施策の推進を図るために必要な予算の確保に努めてまいりたいと
考え
ております。
竹内猛
142
○竹内(猛)
委員
かなり抽象的な話で、どうもそれは納得がいかないですね。たとえば土地改良であれば、年間一兆円の土地改良で十年間やるというふうに具体的に物が示されている。国民食糧を安定をして自給率を高めていくのにどれぐらいの予算、財政で裏づけをするかということがはっきりしなかったら、それは絵にかいたもちよりまだ悪い、そんなものはかかない方がいい、そういうことではどうにもならないと思うのですね。 そこで、これは
委員長
にお願いですが、現在、
農林水産省
企画室が作業をしているんですね、それから衆議院と参議院では決議をした、食糧自給力を高める決議をした、これと合わせるために
農林水産委員会
に小
委員会
をつくって、十分にこの問題の議論をかみ合わせるようにしてもらいたいと思う。その点について
委員長
、どうですか。
田邉國男
143
○
田邉委員長
その点につきましては、
理事
会においてよく協議の上で決めたいと思います。
竹内猛
144
○竹内(猛)
委員
そこで、今度は
大蔵省
にお
伺い
をします。 農林予算は国の予算に一体どれくらいの位置を占めるのが理想と
考え
るのかということについて、ぜひこれは明らかにしてもらいたいと思うのです。本来、これは
農林大臣
に聞くことかもしれませんが、きょうは
大臣
が出ていないものですから、主計官にお願いをしたのですけれ
ども
、現在、
米価
を決めるに当たって、一般の公共料金や生活資材というものは、
生産費
と
所得
を補償する形で国が決めたり、商社が決めたりあるいはそういう機関でいろいろ決めていますね。電気料においても、ガス代においてもかなりの値上げをしているわけです。そういうときに、米は全国
平均
で
農家
の収入の三六・二%を占めている。これは
農林省
の統計だってそういうふうな統計を出したんでしょう。ところが、十県、青森県とか米を中心としたところでは七割以上が米の収入が中心になっているわけです。そういうことを
考え
た場合に、米は何といっても農業の
基本
なんです。それを二年間
据え置き
をして、三年目になったら二・三%という、先ほどから議論があるように、緊急の費用なり
水田
再編の費用をちょっと横の方へそらして、右のポケットから左のポケットに物を入れかえたぐらいのところでごまかしちゃった。これでは
農民
の手取りというものが何もふえたわけではないでしょう。
大蔵省
だって痛くないんだ、名目を変えただけだから。こういうようなことでは、これは欺瞞じゃないですか。 そこで、本当に
基本米価
を上げるということでなければ問題にならない。一六・三%を
農民
団体は要求してきた。それで、
小野
次長
も言われているように、去年の
方針
でやれば
基本米価
が四%ないし五%上がる、ああいうものをいじらなくとも上がると言っている。なぜ一体そういうふうな形でやらざるを得ないのかというと、これは財政が抑えたんじゃないかと言われている。国の予算に占める
農林省
の予算というものは大体どれくらいの規模が妥当かということについて、
大蔵省
としては
考え
たことがあるかどうか。
的場順三
145
○的場
説明
員 抽象的に農林水産予算が一般会計でどの程度を占めるかということは、これはなかなか議論のしにくいむずかしい問題かと思います。予算は、本来すべての財政
需要
を十分に検討いたしまして、それと財源
事情
を突き合わせて決めるべき性格のものでございますので、農林水産予算は非常に重要な
内容
を含んでいるということは十分承知しておりますが、抽象的に何%がいいかということはなかなかお答えいたしかねる問題であろうと思います。 ただ、現実、事実の問題として、
昭和
五十五年度予算におきましては、一般会計のうちから国債費、地方交付税等のようないわゆる一般施策とは若干性格の異なる経費を除きました中に占める比率は一一・七%になっておりますので、これはここ数年それほど変化のない
数字
になっている、
大蔵省
としても十分重点を置いて予算
編成
しているということでございます。
竹内猛
146
○竹内(猛)
委員
ちょっと私の調べたものと
数字
が違うのですけれ
ども
、私はこの八年間くらいこの
委員会
でこの問題について質疑をしてきたのですが、
昭和
四十八年の一般会計に占める農林予算は、補正を含めて一・四一、四十九年が一一・ 〇三、五十年が一〇・九〇、五十一年が九・三三、五十二年が八・四四、五十三年が八・三五、五十四年が八・一四、そして五十五年の当初予算では七・五四となっている。この点は間違いないですか。
的場順三
147
○的場
説明
員 ちょっと手元に昔の
数字
がございませんが、私の方で当初予算で見てみますと、五十年度以降の
数字
でございますが、一般会計予算の総額に占める農林水産関係予算の総額、これは
農林省
所管以外の農林水産関係の予算を全部含んでおりますが、その比率は五十年が一〇・二、五十一年が九・九、五十二年が九・三、五十三年が八・九、五十四年が九・〇、五十五年が八・四ということでございます。
竹内猛
148
○竹内(猛)
委員
私の調べたのは
大蔵省
の主計局、理財局の各年度の「予算及び財政投融資
計画
の
説明
」という中から出したものでありますから、とらえ方に若干の違いがあるかもしれないが、これは違ったらおかしいですね。
大蔵省
から出たものが違ったらおかしい。 そこで、じゃあ次の問題、農林水産関係の予算に占める食糧管理費の割合は、四十八年四三・六%が五十五年で二六・七%、また一般会計予算に占める食管費の割合も、四十八年が五・三%が五十五年で二・二%になっている。この点は食糧庁、どうですか。
小野重和
149
○
小野説明員
そのとおりでございます。
竹内猛
150
○竹内(猛)
委員
そこで、さらに農林水産関係予算に占める食管特別会計繰り入れ等の割合も、四十八年三二・八%が五十五年では一八・二%。
農家
が二年間も
米価
を抑えられている、ところが、国の予算に占める農林予算というのは、
農家
所得
の中心である
米価
のみならず、畜産物の
価格
も抑えられているので、
農林省
内の予算となっていなくて、結局
大蔵省
によって
農林省
の所管以外のところに、この
生産者米価
が抑えられたり、
消費者米価
が上がったり、畜産物の
価格
が抑えられた部分がどこかへ持ち去られている。
農林省
以外のところに持ち去られているということ、これはそういうふうなことを示しているのじゃないですか。だんだん農林予算が減っている、食管の予算も減ってきた、その減った分だけは土地改良とかあるいは畜産物の
価格
の保証とか、そういうところに行くのなら話はわかる。ところが
農林省
以外に行ってしまったら、
農民
も
農家
もこれは結局犠牲になったということになるのじゃないですか、どうです。その判断は政務次官だ。
小野重和
151
○
小野説明員
食糧管理費はこのところ九千億台が多いわけでございますが、約一兆円近い
数字
、これは変わっておらないわけでございます。そこで、先ほど主計官が答弁をいたしておりましたが、国債費等を除いたものに占める農林予算の割合というのは大体一〇%を超える、そういう
数字
であるということでございます。したがいまして、その農林予算もふえておるわけでございまして、そのふえた分は農業基盤整備費とかそのほか一般の
農政
費に回っている、こういうことであるというふうに私
ども
は
理解
しておるわけでございます。
竹内猛
152
○竹内(猛)
委員
そういうふうに
理解
はするかもしれないけれ
ども
、現実にそういうふうになっていないでしょう。
生産者米価
が抑えられ、
消費者米価
が上がって食管の赤字がだんだん小さくなってきた。にもかかわらず、農林予算も全体として四十八年のときよりも減っているわけなのだ。これは事実でしょう。こういう事実の上に立って農業、
農民
あるいは
農家
そのもの、
生産
をする者に対する手当てがそれだけできなくなったということじゃないですか。だから中川
農林大臣
は前に、現在の科学技術庁長官ですが、この席上で、この農林予算というものは、国の予算に占める比率は一体どれぐらいが理想なのかという私の
質問
に対して、一〇%程度は絶対必要だ、こういうふうにおっしゃった。私は実際は一〇%じゃ少ないと思う。やはり安全保障というものを
考え
ると、これは
あと
三%ぐらいふやさなくてはいけないのじゃないか、備蓄なんかということを
考え
ると。これは政務次官の話なんだが、この辺については政務次官としてどう
考え
るのだ。
志賀節
153
○志賀
説明
員 先生のお
考え方
は私も多くの部分で共感をするものでございますが、ただ同時に、
農林水産省
は現在最も行政機構の改革に
協力
をしておる省でございまして、これは各般の資料がこれを明らかにいたしております。したがいまして、よその省庁を申すのもどうかと思いますが、
農林水産省
に比べては他の省庁はそういう面で人件費等もなかなか削減がなっておらない。そういうような面から、
農林水産省
の予算が先生の御
指摘
のような削減も若干あるのでございまして、必ずしもその点、日本の
政府
が農林水産に対して冷淡である、このようにはダイレクトにならないというふうに私は
理解
をいたしておるのでございます。先生の御
指摘
は十分に心にとめて今後に対処してまいりたいと思います。
竹内猛
154
○竹内(猛)
委員
重ねて申し上げますが、総理
大臣
の鈴木さんも
農林大臣
をやられて、この席上でやはり質疑をして同じようなことを言ってきた。今度の内閣の中では渡辺美智雄大蔵
大臣
、中川科学技術庁長官、この人も、
農林大臣
をやって、ここで同じようなことを言ってきたのだ。だから、来年の予算でもし
農林省
の予算が実質に一〇%を切るようなことがあれば、それは非常にまずい。やはり米の値段を極力抑えて、今度は
消費者米価
をいずれ上げるのでしょう。そしてそこのところをつじつまを合わせる。今度の場合でも、緊急の費用とか
水田
の費用というものを右左に動かして、実際は余り
大蔵省
のふところを動かさないようなことになっていて、名目を変えて二・三%で何とかやっていこう、こういう話なんだ。これでは
生産
農民
はかわいそうですよ。たまったものではないですよ。そうでないということが言えますか、どうですか。
小野重和
155
○
小野説明員
先ほどの御
質問
でございますけれ
ども
、いわゆる食糧管理費はこのところ変わってない。農林水産関係の予算、これは
相当
にふえておるわけでございます。したがいまして、そのふえた分は土地改良その他一般
農政
費に回っている、こういうことと私は
理解
していると先ほど申しましたが、事実そうなっておる、こういうことでございます。 それから、今回の
生産者米価
二・三%
引き上げ
ということになりますと四百四十億ぐらいの損失増になるわけでございますが、これをどうするのかという問題、これは今後の食管財政全体の変動
要因
がいろいろございますので、それを見た上でどう対処するかという問題になるかと思います。 それから去年の
生産者米価
の際の
品質格差
導入に伴う調整措置とか、あるいはそのほか一俵百円のあの金とか、あれはすべて五十四年度限りの措置ということでございますので、あの金を使って今回の
引き上げ
に充当するという
種類
のものではないわけでございます。現に五十五年度の食管予算にはそういう五十四年度限りの措置を計上しているわけではないわけでございます。
竹内猛
156
○竹内(猛)
委員
いずれにしても、農林予算というものが毎年毎年漸減をしていくという事実だけはやはりここで
指摘
をしておかなくちゃならない。それは農畜産物の
価格
が非常に低く抑えられているということだ。外国に安いものがあるから国内のものを高く買えばそれはうまくないという、つまり業界の圧力に屈しているということになるのじゃないですか。 そこで、今度の
米価
の
決定
のときに
亀岡
農林水産大臣
がいつも頭を悩ましているのは、
過剰米
が多いということと財政負担が多いということ、つまりこの
米価
を決めるのに常に物と金が中心になっている。物をつくる
農民
、米をつくるのも
農民
なんだ。その
農民
の人間としての労働力、こういうものは
一つ
も
考え
られていないじゃないですか。この三年間、
農民
は高い材料を買い、そして一般の
物価
の上がった中で苦労して米をつくってきたわけでしょう。そういうことについてほとんど
考え
られない。米が余った、財政が赤字だ、それだけが中心じゃないですか、物と金が。
大蔵省
がそういうことを言うならわかるのだ、がまぐちを持っているのだから。
農林省
がそれを言ったらまずいのじゃないですか。物をつくる
農民
を
考え
なければいけない。
農民
というものは一体どういうふうに
考え
られているか、それはどうですか。これは政務次官だな。
志賀節
157
○志賀
説明
員
農民
の人としてのあるいは労働力というものに対しての
理解
、認識は、私
ども
としては決して物にだけ片寄せて
考え
ているわけではございません。なるほど従来非常に米不足の時代には米の増産に
協力
をいただきましたし、また米が過剰になってきているときにはむしろ私
ども
がお願いしておる以上の
生産調整
にも御
協力
をいただいておる。そういう
農民
のありがたい農林行政に対するあり方というものは、私
ども
十分に
理解
をしておるつもりでございます。ただ、だからといって、反面財政問題に目をつぶってもこれに対処できない、そういう悩みがあるわけでございまして、私
ども
は必ずしも
農民
を金と物だけで割り切って農林行政を進めておるわけではない、このようなことを明言をさせていただきたいのであります。今後もこの気持ち、この
考え方
で対処する ことは間違いないわけでございます。
竹内猛
158
○竹内(猛)
委員
ぜひその言葉を忘れぬようにしてもらいたいと思うのです。金と物だけで割り切らないように、物をつくるのは人間なんだということを
考え
てもらいたい。人間はよその工業
生産
品を食べながら、高い光熱費や税金、そういうものを払いながら、本当にやりきれない状態ですよ。そういう
農民
の心を、心の通った
農政
をやってもらいたいと思う。総理
大臣
も岩手県だが、特に東北地方では血の叫びじゃないですか。そういうところの心を通わせるような
農政
をやってもらいたいんだ。
大蔵省
とけんかしたっていいじゃないか。
大蔵省
の方から金は何ぼでもやるから使えとは言いにくいだろうから、それは言えないだろうけれ
ども
、ちゃんと
説明
をすればわからないことはないと思うんだ。的場さんだって、主計官、大丈夫だよ。 さてもう
一つ
、今度は次元の違った話をしますが、防衛費の問題は枠の外だと番うんだ。三、四人の
大臣
が集まって、自民党の親分が集まれば、いつの間にか枠の外に決まってしまった。伸びの上に決まってしまった。そしてそのうちの四九%か五〇%は人件費ですよ。そして古い機械をどうだのこうだの言っている。そういうことについては別に陳情もなければデモもない。こんなに
農家
の皆さんが長い間、全国から集まってきて大会を二回もやって、そこへみんな国
会議
員が出て約束をしておきながらあのざまだ。ところが防衛費の方はすっと決まっていく。これは国民としては簡単にいかないですよ。戦争の前には軍事費というものは手をつけない聖域として取り扱われたものだ。それがまた最近そういうかっこうになってしまったら、安全保障としての食糧、国の
基本
的産業としての農業、これに対する取り組み、態度というものはもう少し真剣にやってもらわなければ困るということを、これは私は
大蔵省
に注文します。
農林水産省
の方でもこのことについてはぜひ心してもらいたいと思うのですね。これはどうですか。政務次官だな、これは。
志賀節
159
○志賀
説明
員 安全保障は万般の面からなされなければならないと思います。したがいまして、防衛費の増強もさることながら、先生御
指摘
のとおり食糧の確保、自給力の向上は申し上げるまでもございません。そういう面ではなるほど世論が何がしへんぱな状況にあることは私も
理解
をしないでまございませんが、されまと申しまして、防衛に対する
努力
は現在のままでよいとは私
ども
政府
あるいは与党は
考え
ておらない
立場
でございます。もっとこの面も
努力
をすべきであると
考え
ておりますが、同時に先生御
指摘
のような農業面での安全保障に
努力
をするべきことは申し上げるまでもございません。そのための自給力の向上、このような過般の国会の決議とも私は
理解
をいたしております。 なお余談でございますが、先ほど串原先生から御
指摘
がございましたお米を海外に対して放出する件でございますが、実は私、一昨年の年末から昨年の第二次大平内閣が発足するまでの間、外務政務次官を務めさせていただきまして、その間、実は
政府
当初案によりますと、昨年度を初年度としての海外放出のお米の量は二十万トンでございました。これを私は外務政務次官といたしまして、こんな
数字
では相ならない、
政府
部内にありまして大変強硬に異を唱えまして、御承知のとおり結果的には九十三万トンにまでいったかと記憶をいたします。このようなことをやりました後、米国国
会議
員等からの異議のようなことがございまして、先ほどの先生の御
質問
に結びついたと思いますが、こういう点も、実は先ほど竹内先生御
指摘
の、
農民
をやはり
農民
として心の通う
農政
をやりたいという気持ちを私は農村県選出の国
会議
員として絶えず心に置いておるわけでございまして、先生の御
趣旨
まことによくわかりますので、そのような面からも今後対処してまいりたい、かように
考え
ております。
竹内猛
160
○竹内(猛)
委員
亀岡
農林水産大臣
は、
大臣
就任直後に
消費者米価
の値上げを
考え
るということを発言をされた。そして間もなくこれを取り消されまして、ところがまた最近ぼつぼつ
消費者米価
の値上げというようなことを言い出した。
生産者米価
を二・三%値上げをする。そうすると直ちに
消費者米価
を値上げをするであろうということはまあ思うにかたくない話だ。
消費者米価
についてはどうされます。
小野重和
161
○
小野説明員
本年の
消費者米価
をどうするかということにつきましては、いま具体的にどうするこうするということを決めておるわけではございません。
消費者米価
を
考え
ます場合にはいろいろな要素がございます。財政問題ももちろんございますし、
需給
に及ぼす
影響
もございます。いろいろなファクターがございますが、そういうもろもろの要素を総合的に
考え
て決めるべきものであるというふうに
考え
ております。
竹内猛
162
○竹内(猛)
委員
私は農蚕園芸局に対して苦言を呈さなくちゃならない。これは農蚕園芸局だけじゃなくて
農林水産省
全体ですがね。というのは、この米の減反をするということは、野党各党は対案をもってこれに対して反対をした。これは当時の福田総理
大臣
に反対をした。私は、将来この問題は問題になると思ったからそのときの全部の記録を議事録に残してありますが、対案を出してわれわれはこれに反対をした。ところが、当初の予想よりもはるかに減反面積を上乗せをした。そして先ほどからも話があるように、現在は五十七万ヘクタールぐらいになっているだろう。一〇七%
農家
はやったわけだ。これは食管を守るから、食管が壊れるから減反をやらなければならないということで、
農家
はそれを守ってきた。ところが今度は、減反は言うとおりにやったが、
米価
の方は
生産費
所得補償方式
ということではなくて、だんだんおかしくなっちゃって、最近は
必要量生産費
方式
とかあるいは地域別質金というようなことになって、ますますおかしくなってきている。こうなってくると、
農民
の方は財政的に横びんたをたたかれ、減反でまたほっぺたをたたかれて、そこへ持ってきて今度は外国食糧の輸入ということで上から押しつけられる。こういうことにいま日本の農業はなっているんじゃないですかね。そこで、長期
計画
を立てる場合にも、外国食糧の輸入を漸減するということは
考え
られないか。 そしてまた減反との関係で、特に先ほど串原さんからもお話があったように、また政務次官からもお話があったように、この米というものを、人間が食うだけの米でなしに、人間の食う食用の米、それから酒をつくるのに、最近はアルコールを添加して、この
委員会
でもすでに問題になったけれ
ども
、米から酒をとるということを
考え
る、岡山の県知事は常にこれを主張している。そうするとかなりの量が使用できる。あるいはライスワイン、さらに先ほど二瓶局長は、えさ用の米をつくれば食用の米にまぜるなんて言ったけれ
ども
、こういうことは
農政
が信頼されてないことになると思う。やはり
農政
が信頼されていると、
農家
も、言うことに対して、やることに対して、本当に心が通ずる。
農民
がごまかすだろうという懐疑心を持ってはいけない。これは官尊民卑の思想としてよくないと思う。そういう
考え方
は改めてもらいたい。やはりえさ用の米をつくったり、それからアルコールをしぼったり、もちろんこれは
価格
の関係があります、財政の関係があるが、それくらいのことをしなければ、土地改良をやって米をつくるようにして、土地改良の負担金を取っているでしょう。現在、米をつくるように土地改良をやっておきながら、負担金を取っておきながら、米をつくってはいけないなんということは、これはおかしいですよ、本当に。ここまで来ると、われわれはあの減反の議論のときの状況にも一遍返って議論しなくちゃならない。そういうことでありますから、ぜひこの点についてしっかりした答えをもらいたい。
二瓶博
163
○二瓶
説明
員
転作
の問題に絡みまして、えさ米の問題なりただいまお話しの米からアルコールをとるとか、いろいろなそういう面での話等があったわけでございます。 問題は、えさ米の問題につきましては、先ほ
ども
お答え申し上げましたように、えさ用に米を向けるということになりますと、ピーターソン
方式
等で
計算
をいたしますと三万円ちょっとぐらいにしかならないわけでございます。したがいまして、
物財
費、肥料とか農薬とか、そのえさ米を
生産
するために投入いたします
物財
費を償わない、こういうような低い
数字
になる、それを進めるというのはどういうことであろうかという感じがするわけでございます。しかし、なおえさ米を認めてくれという強い
要請
が他面あるわけでございます。そういたしますと、先ほど横流れのおそれがあるということを申し上げたのですが、それは
農政
が信頼されてないからだ、こういうふうに言われたわけでございます。別に私は、
農家
の方が非常に悪意を持ってやるという意味ではないと思います。心配だということで申し上げたのですけれ
ども
。そうではなしに、やはり九倍も
価格
差があるということからすれば、そういうことが自然として行われる可能性があり得ると思うのです。そうすればまた米の過剰の問題というのにはね返ってきやせぬか、そういう面をやはり十分詰めないといかぬだろうということを率直に申し上げたわけでございます。そういう面もございまして、やはりえさ米等につきましては、今後の収量の向上とかいう試験研究の問題等はございますけれ
ども
、こういうものも
転作
ですぐ認めていくという問題についてはいろいろ困難な問題があるということを申し上げたわけでございます。
竹内猛
164
○竹内(猛)
委員
もう時間がなくなったから終わりますが、後のことは非常に不十分でして、これでいいということにはならないので、やはりこれは研究費をつくってしっかり研究してやってもらわなければいけない。 それから先ほど政務次官が言ったように、外国にも飢えているところがあるんだから、それにもやはり米を出していくぐらいの友好的なということで、米の利用目的というものを多目的に利用していく、それで
水田
を活用するという方向で十分に研究してもらいたいということを
要望
して、終わります。
田邉國男
165
○
田邉委員長
日野市朗君。
日野市朗
166
○日野
委員
きょうは午前からずっと社会党のわが党の議員が三名質疑をしたわけであります。私は社会党としての締めの質疑に入りたいと思うのです。 昨夜からのいきさつ、この
米価
をめぐってのいろいろないきさつをじっと克明に時を追って
考え
てみる、またきょうの質疑の
内容
、これもずっと振り返って
考え
てみる、そうしまして私、持った
一つ
の感想がございます。 農水省というのは非常に冷たい役所だな、余り人間のにおいがしないなという感じが実はするのであります。一体農水省というのは
農民
に対する姿勢が、私は本来これは
農家
を保護していく、この資本主義経済の中でややもすれば劣勢に立ちがちな
農家
を保護していく、自分の翼の下にこれを抱えて守っていく、これが本当は農水省の役目だと私は思う。そのほかにいろいろ役割りがあることは私もよく知っていて言うのでございますよ。しかし、この
米価
の一連の動きを見て、そういうところが
農林水産省
、大きくこのごろ欠けてきたのではないか、こういうのが私の実は感想であります。 いままでこの
米穀
政策、ずっと跡を追って見てきても、朝令暮改と言ってもいいくらい変わったような感じがいたします。食管法の意味も大きく変わった。あるときは一生懸命
生産
を奨励し、しかも最近までそういう農水省の姿勢はずっと続いてきたわけです。それから減反をさせ、そして
水田利用再編
という大きな事業に取り組んで、そして現在まできた。しかも、
米価
を取り上げてみても、あるときは大きく上げた、そしてあるときはこれを据え置いた。そして今度は、上げたけれ
ども
、これは上げたという分には上がらない程度の値上げの
諮問案
しか出せなかった。 こういう状況を見ますと、私は、これはもう
生産
者
農民
の生活に対する思いやりというものについて非常に大きく欠けるという点を
指摘
しなければならない、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
小野重和
167
○
小野説明員
私も農水省の職員の一人でございますのでお答えいたしますが、私
ども
は
農民
の
立場
を
考え
ていないということは、これは全くないわけでございます。そういう
立場
をもちろん十分に
考え
なければならない
立場
にあるわけでございまして、その点はもう十分承知しております。ただ、それだけというわけにはまいらないわけでございまして、たとえば米について申し上げますと、やはり米の
需給
ということも
考え
ざるを得ないわけであります。また、財政問題ということになりますと、これも
一つ
の重要な問題でございますから、これも
考え
ざるを得ない。総合的に判断して物事を決めていく、こういう態度をとらざるを得ないということであるというふうに私
ども
考え
ておるわけでございます。
日野市朗
168
○日野
委員
恐らくそう答えるだろうなと思って、私、実は先ほどの問いを発したわけでありますが、
一つ
、
米価
に例をとってみても、これは大体食管法にはまず何と書いてあるかというと、こういうふうに書いてあるのですね。「
生産費
及
物価
其ノ他ノ経
済事情
ヲ参酌シ
米穀
ノ再
生産
ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」決めるんだ、こういうふうになっているのですよ。まず第一番目に挙がってきているのは
生産費
及び
物価
、こういった
農民
の側の、
農民
サイドに立った、
農民
の生活を
考え
る、農業経営を
考え
る、こういった意味合いを込めた文言でございますがね、これが先にきているのです。経
済事情
というのはその他の中に入っているのですよ。まず主たるものがあって、その他でしょう。 ところが、現在の
米価
の決め方は、経
済事情
の中に財政
事情
が入るにしても、まずその他の方が先にきてしまっている。ここらに倒立したものを私は感ぜざるを得ないのですね。これは逆立ちしているぞ、こういうふうに感ぜざるを得ないのであります。現実に
米価
の決め方を見てもそうでしょう。まず財政の
事情
からことしの
米価
はどういうふうに決めなくちゃいかぬ、まずそれを先に決めるんでしょう。そしてそれからいろいろな理屈をくっつけて、いろいろな数式にいろいろな策定要素を当てはめていく。そうなんじゃないのですか。
小野重和
169
○
小野説明員
生産費
、
物価
その他の経
済事情
を参酌する、こういうふうに響いてあることはよく承知いたしております。そこで、三十五年以来
生産費
所得補償方式
をとっておるわけでございますが、この
基本
はあくまでも
生産費
でありまして、これに
物価
あるいは
賃金
、これを
考え
て、それではじき出す、そういう
方式
であります。それが
基本
でございます。ずっと二十年間続けてきておるわけでございます。ただ、その場合に、それを
基本
としながらも、やはりいろいろな要素を勘案しないわけにはいかないわけでありまして、その勘案する要素がその他の経
済事情
でありますけれ
ども
、
需給事情
、財政
事情
も含まれるわけでございます。そういうふうに
理解
しております。
日野市朗
170
○日野
委員
ことし
亀岡
農林大臣
が就任されたころは、
米価
は上げなければいかぬのだ、こういうことが言われておったわけでありますね。それがだんだん
据え置き
だというふうに変わってきて、きのうあたりからいろいろ
政府
の側に対する与野党の圧力が強まる、こういうようなことから今度はまた若干上げ幅をつけようというようなことになった。
最初
ささやかれていた
算定
要素としてはどこを変えるのだろうなと、去年の
方式
で
算定
をするならば必ず値上げしなければいけないはずだ、それを抑えるために一体どこをいじくるかというようなことから、地方労賃、これを取り入れるんだというようなことが言われていて、恐らくそういうことで
米価
がはじき出されるだろうと思った。ところがけさになってみたら、
資本利子
のところでいじっているのですね。要するに結論は先に決まっていて、この数式にどういう要素を当てはめていくかというのは、その都度その都度場
当たり
的に、決まり切った
数字
に当てはまるような要素をとって
計算
する、そういうふうになっているのじゃありませんか。現在、コンピューターの時代ですからこんなことは非常に簡単なことです。コンピューターを使うまでもないのかもしれませんが、コンピューターにある要素をインプットすればこれくらいの数が出てくるということはわかり切っている。そうすると、私は、このような数式をあげつらい、それから
農家
のいろいろな
事情
、食管法に書いてあるような
生産費
、
物価
、こういったものを考慮しているんだなんということは
最初
から言ってもらいたくないですな。もう
最初
から、こんなものを考慮するまでもなく、ことしの
米価
は大体どのくらいにするんだということは、政治的に、それから財政
事情
、
需給
の
事情
、そういったものを通して決まってしまうんだ、こういうことを明言した方がむしろうそをつかないことになるのじゃないですか、いかがです。
小野重和
171
○
小野説明員
大臣
の御発言について私
ども
がとやかく申し上げる
立場
にないわけでございますが、これは
大臣
のお言葉でございますけれ
ども
、
農家経済
の状況が非常に厳しいことはわかっておりますし、また
需給
、財政、そういう
事情
も非常に厳しいということも当然あるわけでございまして、その辺の非常にむずかしい状況の中で、
大臣
は苦悩しているというふうに申しておりましたけれ
ども
、そういうお気持ちではなかったかというふうに私
ども
もそんくいたしておるわけてございます。 それから、そういう
算定
要素が恣意的に決められる、あるいは逆算的に決められるというお言葉でございますけれ
ども
、この生所
方式
、いわゆる
生産費
所得補償方式
というのは、本来、言ってみますと、言葉は悪いかもしれませんが、硬直的な性格を持っているものでございます。しかしながら、たとえば
需給事情
をとりましてもこれはいろいろ変わるわけでございます。それならばそういう
算定
要素をいじくるのではなくて、何か
需給
調整係数というようなものもはじいたらどうか、
考え
出したらどうかという意見も実はあるわけでございまして、こういう問題につきましては、過般、
米価審議会
におきましても
相当
の
論議
をされた経緯もございます。しかしそれはなかなかむずかしいということで、やはり従来のような、
基本
はもちろん生所
方式
でございますが、
算定
要素を
需給事情
によって若干変更していくということもやむを得ないのじゃないか、そういう
論議
経過もあったことも付言いたしたいと思います。
日野市朗
172
○日野
委員
しつこいようですが、現在の
生産費
所得補償方式
を取り入れていく限りは、やはり
物価
の上昇率であるとか
賃金
の上昇率であるとか、そういったものをきちんと読み込まない限りは、大体名前にふさわしいものにはならないでしょう。すでに二年間据え置いてきたのですから、
生産費
のアップだけを見ても、
農林水産省
の方でちゃんと
試算
しているところから見たって五%上昇する、このことだけはもうはっきりしているにもかかわらず、適当な要素を使ってこれを抑え込む。これは
農民
に対して妙な幻想を与えてしまいますよ。大体このくらい上がらなければならないはずだというのに上がらない。これは
農家
に対して幻想を与えることにしかならないじゃないですか。期待を裏切ることにしかならないじゃないですか。現実の
生産費
を補償することにはならないではないですか。毎年こんなにぐらぐら変わられたのでは、
生産
する側にとってはたまったものじゃない。ここらについてどうお
考え
ですか。
小野重和
173
○
小野説明員
三十五年に発足して以来いろいろな変遷があるわけでございますが、米の不足時代、三十年代後半なり四十年にかけて不足時代でございまして、外米を輸入しておりまして、もっと国内
生産
をふやさなければいかぬ、こういう時代があったわけでございます。この際は、同じ生所
方式
でございますけれ
ども
、
算定
要素を高くするように変えてきたというような経緯もございます。反対のことをしたケースもあるわけでございまして、この辺はそういう
需給事情
も考慮して
考え
ていかなければならぬということでありますし、経緯もそういう経緯でございます。
日野市朗
174
○日野
委員
結局ことしの
米価
を決めるその決め手になっているものは、財政との関連、それから
需給事情
、そういったものであろうかと思うのです。ただ、私は、
米価
が上がらないで困るのは
生産
者であると思います。実際の
生産費
や
所得
が償ってもらえない、これは
生産
者は困ると思いますよ。米の
需給
がアンバランスになって困るのは
農家
じゃないですよ。また財政の
事情
が悪化して困るのも
農家
じゃないのです。しかもそのアンバランスをつくり出してきたのは、とりもなおさず現在まで続いてきた
農政
でございましょう。財政のこういった逼迫、財政
事情
の悪化をつくり出してきたのも国の政治でございましょう。これの間にどういう関係があるのです。この
需給
のアンバランス、財政
事情
の悪化、これを
農家
にしわ寄せする合理的な根拠は何ですか。いかがでしょう。この点については次官にも政治的な観点からのお答えもちょうだいしたいと思いますが、一体どこにどういう理由があって
農家
にそういう犠牲を強いるのか、すぱっとお答えいただけませんか。私はわからぬのです。
小野重和
175
○
小野説明員
一般の農産物でございますとフリーマーケットで販売されるわけでございまして、
需給
によって
価格
が大きく変動するのが通例でございます。そういう場合であれば
需給
と
生産
者というのはまさにつながっておるといいますか、別のものとは何ら言えないわけでございます。たまたまといいますか、食管
制度
で直接統制ということで米は管理されておりますけれ
ども
、米といえ
ども
一つ
の商品でございますので、やはり
需給事情
というもの、そういう要素を無視して食管の運営をするというわけにはいかない、こう思うわけでございます。もちろんほかのいろいろな要素がございますが、そういう観点も入れて
算定
するという場合に、そういう
算定
の仕方が
農家
とは関係ない、あるいは責任ないとおっしゃいますけれ
ども
、そういう
需給
を反映した結果が確かに
生産
者に及ぶということになるわけでございますけれ
ども
、それはやむを得ないことではないかというふうに思うわけであります。
日野市朗
176
○日野
委員
全くわからないですね。米といえ
ども
商品だとおっしゃる。これが全くの自由なマーケットシステムに任せられている商品であればわかるかもしれない。しかし、これはそうじゃないでしょう。しかも、米が不足時代には米の
生産
をしきりと奨励をした。その時代というのはそう古いことではありません。しかも、農業というのはそう急カーブを切ることはできないわけですね。米が余ってきたぞ、じゃあ、
水田
をつぶして大豆を植えろなんていうわけにはまいりません。
水田
をつぶして小麦を次の年から植えろなんていう、そんなむちゃなことは、事柄の性質上できないのですね。そうすれば、やっぱり国としては、米が余ってきた、では
生産
を調整して別の作物をつくらせるにしても、適当なリード
期間
がなければいけませんね。リードタイムがなければいかぬと思うのです。その閥
生産
を推し進めてきた側として負担すべきものはあるでしょう。いかがでしょう。それは
米価
という形で表現されませんか。されるべきではないですか。
小野重和
177
○
小野説明員
国民の必要とする量以上の米をつくるということはまことに問題のあるところでございまして、そういう意味で
転作
をいま進めている、こういうことでございますが、その場合でも、米と他の農産物、これの相対
価格
関係が米に著しく有利であるということになると、これは
転作
の推進にとって障害になるわけでございます。そういうような関係があるわけでございますから、やはり食管の中にある米の値段といえ
ども
、全体の状況を
考え
て決めませんと問題があるというふうに思うわけであります。
日野市朗
178
○日野
委員
いろいろおっしゃっていますけれ
ども
、結局、いろんな
算式
を立てていろんな
計算
をしました、こう言っているけれ
ども
、いかにもこれが空疎に響くわけですね。本当に、むなしい
説明
をし、むなしい儀式をしている。
米審
なんかも、あれは
一つ
のむなしい儀式と言わざるを得ないですね。これは私だけの印象ではないと思う。こういう状況を見ていまして、この
米価
の問題に重くのしかかってきている財政
事情
、こういったものについてやっぱり考慮せざるを得ないことは私もよくわかります。考慮もいたしましょう。ただ、それより先に、まず
農民
の生活を
考え
ろ、
生産費
の値上がり、
物価
の値上がり、こういったものを
考え
ろということを私は強く言いたいのです。 それで、まず、財政の問題について若干伺っておきましょう。 非常に
大蔵省
サイドからの強い
要望
といいますか、
大蔵省
からかなりきついことを言われているのだというようなことも仄聞いたします。ことしの
米価
を
引き上げ
ることについて、
大蔵省
との間のやりとり、これはここ数日などということではなくて、もっと長い時間、
大蔵省
とこの点についてのいろんな話はあったのですか、どうですか。
小野重和
179
○
小野説明員
財政負担に関連する問題でございますから、当然のことながら財政当局とは相談いたしているわけでございますけれ
ども
、ただ、何か
大蔵省
から言われてどうこうということでは実は財政問題はないのでございまして、これは国の財政全体が厳しいことはよく御案内のとおりでございます。その中で、農林水産関係の予算、これをどうするかという問題も
考え
なければいけませんし、その中で、一番大きな要素でございます食管財政、これを取り上げましても、これ自体の中で、
過剰米
の累積に伴う
金利
、倉敷の増加とか、あるいは
金利
自体も非常に上がっておりますし、また国内麦も大幅な赤字が出るというような、ただでさえ大変な損失増の
要因
がある中で
生産者米価
を
考え
なければいかぬということ、そういう状況にあるということも率直に申し上げまして否定できないわけでございます。
日野市朗
180
○日野
委員
それは、農林予算全体の問題については先ほど竹内
委員
の方からいろいろ
質問
をしたわけであります。しかし、ここ数日の本年度の
生産者米価
をめぐってのやりとりというのは、まさに常軌を逸したほどの動きがあったと私には感じられるわけなんですが、それでもなかなか、
据え置き
の壁を破るということについては非常に大きな苦労があったようでありますが、それについての大蔵の方からの何か注文があったかどうかというようなことを具体的に
伺い
たいのです。
小野重和
181
○
小野説明員
大蔵と農林のやりとりいかんという御
質問
でございますけれ
ども
、それぞれ
農林省
がこう言ったから
大蔵省
がこう言ったというような折衝ではありませんで、全体の状況の中でどうするかということで御相談しているわけでございまして、一々のやりとりを申し上げるようなそういう折衝の
内容
ではございませんので、そういうことで御勘弁いただきたいと思います。
日野市朗
182
○日野
委員
小耳にはさむところによりますと、
米価
を値上げするようなことになったらもう来年度の農林予算については知らぬよというようなことを
大蔵省
の方から言ったとか言わないとか、そんなことまで小耳に入ってまいります。いかがでしょう、
大蔵省
。
的場順三
183
○的場
説明
員
米価決定
というのは大変大事な話でございますし、財政負担を伴う話でございますから、それぞれの職責に応じまして
大蔵省
と
農林省
と十分相談した事実はございます。ただ、ただいま一番
大蔵省
が頭を悩ましておりますのは財政再建の問題でございまして、なかなか一般財源を確保することがむずかしいということもあって、できるだけ経費を節減していただきたいというのは
大蔵省
の
立場
から申し上げております。ただ、来年度予算につきまして全然見ないよとかそんなことは申し上げておりませんので、それは来年度予算の段階で十分に他の諸施策とのバランスあるいは歳入の状況等を
考え
て真剣に検討して決める問題であろう、これからの問題であろうと
考え
ております。
日野市朗
184
○日野
委員
もう少し立ち入らせていただきますと、上げるのならそっちの責任でやりなさいよ、よそのところからちゃんと転用してそのくらいの財源は押さえておきなさいよぐらいのことは言ったのでしょう。いかがでしょう。
的場順三
185
○的場
説明
員 五十五年度の年度途中の話でございますので、新たに財源が要るようになりますとなかなかその財源を見つけてくるのはむずかしいから、農林予算は三兆五千以上ございますので、極力その中で工夫
努力
をして振り回すようにしていただきたいということを申し上げております。
日野市朗
186
○日野
委員
私非常に違和感を覚えていることが最近ございます。というのは、防衛予算の別枠と、こういうことなんですね。大体食管会計でございますから食管こそ別枠でいいはずなのに、この別枠が全然別枠扱いをしてもらえずにずいぶん大蔵さんからいびられて、本当は別枠でも何でもないはずの防衛予算が別枠だというようなことになってしまう。どうなんですか、防衛予算は別枠でいくのですか。
的場順三
187
○的場
説明
員 先ほ
ども
竹内先生からそういうお話がございましたけれ
ども
、防衛予算のいま問題にされております事柄は、来年度予算のシーリング、つまり予算の枠をどうするかということに伴う
一つ
の問題でございまして、現実の予算がこれで決まったという性格のものではございません。 それから、もう
一つ
、来年度の予算の要求の枠の限度内を決めるに当たって、防衛費だから別であるというふうにしているわけではございません。ここのところは大変大事なところでございますので、御承知と思いますが、七月二十九日に閣議了解をされました要求の
基本
的な
考え方
をちょっと申し上げますと、現在の非常に厳しい財政状況、財源状況等に顧みまして、
昭和
五十六年度の予算の各省の要求枠につきましては、一般事務費の系統については前年同額の範囲内、それから他の政策経費については七・五%増の枠の中で要求をしていただきたい。ただし、これによりがたい経費もある、その例外として、その七・五%に
相当
する金額を上回る部分について、各種年金については特別扱いの
考え方
があり得るというふうなこと、あるいはこの防衛のところで問題になっておりますのを具体的に申し上げますと、なお
政府
開発援助に必要な経費、石油税財源の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー
対策
特別会計繰り入れに必要な経費、及び国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の
昭和
五十六年度歳出化にかかわる経費についても、極力ゼロと七・五の範囲内で要求するように努めていただきたいと
考え
ておりますけれ
ども
、これによりがたい部分を生じた場合には、一部限度を超えて要求することもやむを得ないということになっているのでございまして、防衛予算につきましては、この条約上の義務の履行に伴い不可避的に必要とされるものであるという経費の性質に着目してシーリングの例外としたものでございまして、防衛予算を全然別扱いにしているということではございません。 それから、一番
最初
に申し上げましたように、これはあくまでも五十六年度の予算要求の枠の話でございまして、そういった枠で要求されました経費を、各種それぞれの重要施策を横に並べまして、真剣に検討して、各省とお話し合いをしていって予算を
決定
するというのはこれからの問題でございます。
日野市朗
188
○日野
委員
時間がなくなりますので、その問題にばかり深入りできません。 ちょっと観点を変えますが、先ほどから伺っておりますと、激変緩和措置、これについては予算に計上してあるという手のものではないのだ、こうおっしゃっておりました。恐らくそうでしょう。では去年はどういうところからひねり出したのですか。
小野重和
189
○
小野説明員
去年は予備費から支出しております。
日野市朗
190
○日野
委員
ことしはその予備費からやはり激変緩和措置として出すことを一応予定したのじゃありませんか。去年の単年度限りの措置というふうにやったことは私も十分に承知していますよ。しかし、あれが決まったころは、単年度だ単年度だとは言いながらも、だれも単年度の措置だというふうに
理解
した人はいないと思うのですね。これからも何年かは続くと思ったのじゃないですか。ことしもそれを予備費から出すことを一応予定していたのではありませんか。それが今度は出せなくなったのじゃありませんか。いかがですか。
小野重和
191
○
小野説明員
あくまでも五十四年度限りの措置ということで去年決まったものでございますから、ことしは全くそういうものを予定しておりません。
日野市朗
192
○日野
委員
私先ほどからずっと伺ってまいりましたが、こういうことをやっていると、
農家
の収入というのは実質的にどんどん落ちていくわけですね。
転作
、
生産調整
をやらせる、そして麦や大豆の大幅な拡大を図るんだというようなことを先ほ
ども
おっしゃっておりましたね。
次長
さんお話しになったんだと思いますよ。ただし、私ここで心配するのは、日本でとれる麦や大豆というのはしょせん国際的な競争力という観点から見れば、国際競争力はありません。これは勢い
転作
奨励金というような形でカバーをしなければいけないわけですね。麦や大豆は一応そういった奨励金をずっとつけるんだという
考え方
を農水省の幹部も持っておられるようですが、それ以外のものについていまこれの見直しをする、また場合によっては奨励金をカッしようというような動きがあるというふうに私承っておるのですが、いかがでございましょう。そんなことをしたらますます日本の
農家
の収入というのが激減することは目に見えているわけですが、いかがでございますか。
二瓶博
193
○二瓶
説明
員 現在
水田利用再編対策
を進めておるわけでございますが、その際に
転作
します麦なり大豆なりの収入というのは当然あるわけでございます。しかし米の
所得
と
転作
いたしますそういう
転作
物の
所得
というのには大きな
格差
があるわけでございます。したがいまして稲作
所得
とのバランスをとるという角度で
転作
奨励金を出しておるわけでございます。そういう姿でやっておるわけでございます。 問題は、この
転作
奨励金の
水準
、これは五十三年一月の閣議了解によりまして、
水田利用再編対策
は期ごとにやることになっております。五十六年度から第二期に入るわけでございます。したがいまして第二期の全体の仕組みをどうするかというようなこと等もいま検討をやっておるわけでございますが、その際に当然この
転作
奨励
補助金
、これの
水準
をどうするかというのも
一つ
の大きな検討対象であることは事実でございます。しかしこれにつきまして、現段階においてこれを据え置くとか上げるとか下げるとか、そういうようなところまで別に結論は出しておりません。引き続いて現在検討をいたしておるところでございます。
日野市朗
194
○日野
委員
一分ほど残っておりますから
最後
に
伺い
ますが、
自主流通米
の
助成
、これは
基本米価
決定
の後のタイミングだというふうにおっしゃっておりますが、これをいじるつもりがあるのかないのか、ずばり
伺い
ましょう。
小野重和
195
○
小野説明員
幾つかの要素がありますが、たとえば
良質米奨励金
がございますが、これの
Aランク
、
Bランク
のそれぞれの単価の問題、これはそれぞれに格づけを変更する場合に、いまの
格差
ですと七百五十円の
格差
がありまして、これはちょっと
格差
としては大き過ぎるのではないかというような問題が
一つ
の問題としてあります。ほかにもいろいろございますが、そういうことでこの
自主流通
の
助成
のあり方につきましては、
基本米価
の終了後でございますが、見直しを行いたい、こう思っております。
日野市朗
196
○日野
委員
Aランク
と
Bランク
、これは
Aランク
を下げるのか
Bランク
を上げるのかいまのお答えではわかりませんけれ
ども
、これは単なる行政措置でやられていたとしても、既得権というものは大事にしなければいけません。もし
Aランク
を下げることでそんなことを解決するというようなことにでもなれば、これはまた第二の
米価
闘争とでも言うべきものを組織しなければいけない。そこらは十分に
配慮
をしてやっていただきたい、こういう
要望
を申し上げて、
質問
を終わります。
田邉國男
197
○
田邉委員長
武田一夫君。
武田一夫
198
○武田
委員
午前中に続きまして
質問
いたします。 まず政務次官にお尋ねしますけれ
ども
、
農家
と財界という
一つ
のものがあるわけです。今回の
米価
は、要するに自民党が大勝利を得た
一つ
の恩賞としまして財界の声も
相当
聞いているという話です。要するに、その結果、
米価
を上げる、下げるについては財界のごきげんというか御意見も
伺い
に行ったということも聞いている。そして、結局のところは防衛予算の、先ほ
ども
質問
がありましたようなものは何の
政府
内の異論もなく通っていく。しかしながら、
農家
が一生懸命こうして連日のようにお願いにやってきているその大変なエネルギーというものはほとんど無視されているのではないか。こういうことを
考え
ますと、われわれここ数日間皆さん方にお会いするたびごとに、
農家
と財界をはかりにかけてこうした
米価
というものを
考え
ているようにしか思われない、そういう
農民
軽視、
農家
軽視の
米価
であるということを深刻に反省させなければならない、そういう空気を私はうかがってきたわけであります。そういうようなことでこの
米価
がこういうふうな形になったのだと私は信じたくないのですが、政務次官はどうですか、米が大事か、ミサイルが大事か、端的に答えてほしいと思うのです。
志賀節
199
○志賀
説明
員
農家
と財界と、二通り分けてどちらを尊重し、どちらにウエートを置くかという御
質問
でございますが、私
ども
政府
あるいは与党の
立場
といたしまして申し上げますと、どちらにウエートを置いているということは全くないわけでございます。私
ども
国民すべてに
配慮
をしてまいらなければならない、こういう
立場
でございますので、どちらの意見を尊重し、ウエートを置いた、こういうことはないと御
理解
をいただきたいと存じます。 なお、この機会に申し上げさせていただきますと、よく海外に工業製品を売る、そういうことの見返りとして日本は農産物の輸入をしなければならない。結局、工業
生産
の犠牲に
農民
が供されているのだというような御議論もございます。しかし、私自身みずからの選挙区で
農家
の
方々
とお話をする際にも申し上げてきておるのでございますが、工業
生産
に従事しているそういう者からの国庫への収入が農業の保護育成にもつながっているということにかんがみて、どうか農業と工業との間に三十八度線を引くような発想はとらないでいただきたい。私
ども
は常に同じ日本人としてやってまいりたいのだ、こういう
立場
でございますので、御
理解
を賜りたいと存じます。
武田一夫
200
○武田
委員
米価
のときにいつも
政府
が口を開いて値上げに対する困難な訴えをすることは、過剰の問題であります。それから財政難の問題。大体この二つが話題に上がってくるわけです。しかしながら、たとえば米の過剰
一つ
とりましても、御承知のとおり、毎年大変な中で
生産調整
に
協力
をしてきていまして、五十三、五十四年はもう一一二%ないし一二一%でしたか、目標を上回る大変な
努力
をしているのになおかつ過剰である。だから、そういう中で米の値段を上げるわけにいかないということは、何か過剰というものを
農家
みずからがつくっているというような責任の転嫁になりかねない。私はこの点がまず第一番問題だと思うのです。 これはこのままでいきますと、この論理というのは毎年
米価
の値上げに歯どめをかけようとする要素として上がってくるわけであります。しかしながら、こうした過剰というのはやはり
政府
自身の
需給
見通し
の甘さというものをはっきりさせているわけでありますから、それを
農家
に転嫁するというようなことは、まずもって
農民
の生活権の侵害であるし、まことに
農家
に対する侮辱であると私は思うのですが、こういうようなことを値上げを渋る理由の中に入れるということはとんでもないと思うのです。 またもう
一つ
財政難の問題を取り上げてくるわけでありますけれ
ども
、食管赤字というものは、国家の安全保障ということがよく問題にされますけれ
ども
、やはりこれは必要上の経費と見なければならないのじゃないか。たとえば今後の食糧を安定的に確保する、主食の安定確保というような問題は、全国民的な課題として、当然の経費と見るべきではないかと私は
考え
るのであります。その観点からも、この問題を
米価
の価上げということを妨げる
一つ
の
要因
として取り上げてくることは問題である。 しかも最近、国の財政負担の中において、国の総予算に占める一般会計からの食管特別会計への繰り入れ額の比率を見ますと、
昭和
四十四年の五・一%をピークにいたしまして、その後年々低下しているわけです。昨年などは当初予算で一・七%ですか、本年度の予算においても一・五%と落ち込んでいるということは、稲作
農家
がそういう財政負担の面の軽減にも
相当
協力
していると見なければならない。しかるに出てきたものは全く実質
据え置き
と変わらないような状況である。
農家
はどこに自分たちの生存権としての頼りを求めたらいいのか。私はこれは大変な問題だと思うのです。今後これは毎年のように出てくるわけでありますから、この点に対する明確なる御答弁、
農家
の皆さん方が納得いくような回答が欲しいと思うのですが、どうでございますか。
小野重和
201
○
小野説明員
まず過剰の問題でございますが、なぜ
過剰米
が累積したのか、
農家
に責任はないじゃないか、こういう御
質問
でございますが、私
ども
も
過剰米
がたまったということが
農家
の責任であるとは申したことはないわけでございます。じゃ
政府
の責任か、こういう御議論もあろうかと思いますが、
生産面
でとってみますと、ともかくここ数年のところ作況が一〇〇を超える豊作が続いておりまして、これが大きな原因になっておるというようなことでございまして、これは
政府
の責任ということにはならないのじゃないかというふうにも思うわけであります。 いずれにしましても、このような過剰問題でございますが、今後三たび過剰を出さないということが必要であることは言うまでもないところでありまして、そういうことでこれからも
需給
計画
の見直しなりあるいは
転作
の推進をしなければいけませんけれ
ども
、その場合でも稲作と
転作
作物との相対
価格
といいますか相対収益、そういう問題は
転作
の推進上非常に重要な問題でございますので、そういう点も
考え
ざるを得ないのじゃないか、こう思うわけであります。 それから財政問題でありますが、食管
制度
は国民食糧の確保を目的とする、これは第一条に書いてあるとおりでございます。そういう意味で食糧の安全保障と食管
制度
というものは密接な関係があると思いますけれ
ども
、食管赤字自体は安全保障とは必ずしも直接関係がない問題じゃないか、こう思うわけであります。別個の問題だろう、こう思うのであります。 それから、食管赤字は年々一般会計なり農林水産関係の全体の予算の中に占めるシェアが低下しているではないか、にもかかわらずなぜ財政問題を
米価
算定
の
一つ
のしんしゃく事項にするのか、こういうお尋ねでございますが、確かに食管赤字のシェアは低下しておりますが、額は、いわゆる食糧管理費で言いますと、ほぼここのところ数年変わっておりません。しかし、シェアが低下しているその分というのは、これは
農林水産省
のほかの予算、土地基盤整備あるいはそのほかの一般
農政
費の方に回っておるわけでありまして、これは政策判断の問題にもなろうかと思いますけれ
ども
、やはり私
ども
は、土地基盤整備そのほかの
農政
費というものもきわめて大事なものでございますから、そういうものを削減せざるを得ないような状態に食管赤字がどんどんふえていくというようなことは避けるべきじゃないかと思うわけであります。
武田一夫
202
○武田
委員
供給
の過剰、いわゆる米の過剰という問題をちょっと聞きますけれ
ども
、今後また
生産調整
をするわけですね。七十六万ヘクタール、八十万ヘクタールというのですが、これからやってどんどん
協力
しますね。ことしも非常に
協力
しております。ほとんど目標にいっているんじゃないかと思いますけれ
ども
、それでなおかつまた余っていくと、いつのときにこれがバランスがとれるかという、その
見通し
は全くないと思うのですよ。となれば、私はこれから、
生産調整
に
協力
した、それでもなおかつ余ったものは
政府
が全部買っていただくしかないのではないかと思うのです。そうでないと、
農家
としましてはこれはえらい減収でございますから、いかに
転作
奨励金をつけてほかの
転作
作物をつくれなどと言ったって、いま見合うものというのはもうほとんどないこともはっきりしておるわけですから、こういうことをここで約束すべきではないですか。これからは過剰になったとしても、きちっと
生産調整
をやって、そしてその目標を突破した場合には、あるいは目標にいった場合には、全部
政府
はその米は買い上げますというくらいのことをやらないと困るのじゃないですか。それでなくても稲作
農家
というのは、特に東北を中心とした北陸などの十県、ああいう米作地帯というのは米への依存度というのは大変大きいわけですし、またおいしい優秀な米を提供しているようなところほどこうした
事態
は深刻でありますから、この点を
考え
ていただかなければならないと思うのですが、どうでございますか。
小野重和
203
○
小野説明員
生産
過剰になりますと、それはすべて結果は
政府
在庫にはね返る、こういうことでございますので、三たび
生産
過剰にならないことにするのが第一だと思っておりますが、仮に
転作目標
を達成してもなおかつ過剰になる、いわゆるこれは限度超過米の問題だと思いますが、これにつきましては、
過剰米
が出るようなそういう
需給事情
のもとで、これを
政府
がなおかつ買い入れるということは適当ではないのではないか、こう思っておるわけでありまして、しかし、これは売り先はきちっとしなければいけませんから、そういう意味で、
自主流通
ルートでこれは販売していただくということを従来もやっておるわけでありまして、今後仮にそういう余り米が出れば、同じような方法で販売していただくということになろうかと思うわけであります。
武田一夫
204
○武田
委員
大蔵省
が来ておりますので
大蔵省
にお尋ねしますが、先ほどから問題になっているように防衛予算の問題ですけれ
ども
、非常に窮屈な台所であるということはわれわれも
理解
しているわけですね。ですが、そういう中で、一般の要求に非常に厳しいけれ
ども
、防衛予算には非常に寛大であった。しかも、何か新聞によりますと、大蔵
大臣
は、
大臣
になって非常に気をよくしているんでしょう、もし追加要求があれば御相談に応じますと、非常に気前がいいわけですね。このくらいのことをやはり
農林省
の方の予算の場合にもお願いしたいと私は思うのです。非常に気前がいいですね。追加要求も御相談に応じます、こう言ったそうでありますが、どうなんですか。
農林省
はいま非常に大変ですね、答弁を聞いていても。防衛というのを
考え
るときは、内政の問題あるいは外交の問題いろいろありますけれ
ども
、内に強くなくてはいけないわけですから、やはり食べ物も食べないで飛行機を飛ばすとかミサイルとかはとてもできっこない。恐らく
大蔵省
は飯を食わないというわけじゃないでしょう。一番お世話になっているでしょう。
考え
てみますと、そういう
農民
を逆なでするような話がちらちら出てくるなんということ自体に、しかもこれを
米価
の一番の大変なときに新聞の上に出すなんということは、皆さん方の鈴木内閣、そして
大蔵省
を含めた
政府
の姿勢を暴露したんだと私は思うのでありますが、どうなんですか。この際、追加要求を
農林省
からもお受けしますからというようなことをちょっと言えないものですか。そして、お役人さんというのはやはり
大臣
をそういうことできちっと首の根っこを押さえているのではないかと私は思うのですよ。ですから、私はここでお願いしたいのですが、一兆円くらいの一ここで二兆四千億くらいの要求をすんなり合意したとありますから、やはり食管赤字の六千五百億くらいなんかは当然の経費として認める、一兆円までは任せてくださいというくらい言ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
的場順三
205
○的場
説明
員
大臣
がどういう御発言になったかということは、私も直接
大臣
から伺っておりませんので、どういうことを先生がおっしゃっているのか必ずしも明らかでございませんが、ただ、防衛庁長官とうちの
大臣
が会われました際に防衛庁長官から、今後
情勢
の変化により追加要求の必要が生じた場合は相談に乗っていただきたいとの御
要望
があったということのようでございます。それは、そのときはそのときでまた相談しましょうというふうに答えられたというふうに聞いておりますので、追加要求をしてよろしいとかあるいはそういう話が具体化するということではないと思っております。 それから、先ほ
ども
日野先生の御
質問
にお答えいたしましたとおり、その防衛庁の関係の話は、シーリング、つまり来年度予算要求の話でございます。来年度予算要求の話は、
一つ
の原則を決めまして、その原則によりがたいものについては例外的な措置を講ずるということでございまして、防衛費について全面的に枠外とするというふうな話ではございません。したがいまして、来年度予算の要求につきましては、
農林省
に、農林関係予算につきましても、その原則の枠の中、あるいは例外に当たるものについては例外を取り込んでいただきまして御要求いただくということでございます。
武田一夫
206
○武田
委員
ですから、この食管赤字というものを
大蔵省
としては正常な経費として、国民の生命を守るという、大事な食糧をつくるという観点から、当然の経費の中で認めるくらいの、そういう気持ちで
大臣
をひとつ説得して、
農林省
を喜ばしてもらいたいと思うのです。そうでないと、もう
農家
の皆さん方は、ここ数日会っていまして、特にきのうきょう、われわれの生活を守ることよりもほかの国の攻めてくることに気を使うということ、これは主客転倒ではないか、こういう大変な憤りがあるわけですよ。そのくらいの金があったら半分くらいこっちへ回せと、これは私は当然だと思うのです。いまどこから攻めてくるんだ、そう言うと、今度は、では食糧が危機になるというのはいつなんだ、こういうふうに言ってくる。同じだと思うのです、いまどこから敵が攻めてくるんだと言うのと。食糧が大変な危機になると言うと、そうすると
農林省
も
大蔵省
も、いや、そんな心配は要りませんよ、いつがそのころですかなどと、こういうふうに平然とした答えが返ってくると思うのです。いついかなるときなるかわからないからこそ、そのために必要なものとして確保しておくのが国家の安全保障というか、そういう問題の
一つ
の基礎だと思うわけでありますから、そのことは答弁を求めませんけれ
ども
、またそのうちやろうと思っているのですが、
大臣
に言っておいてください。 それから、
農林省
は
農家
の生活をどのように見ているか。ここ二年
据え置き
をやって、諸
物価
の高騰いろいろあるわけでありますが、稲作
農家
がどのような窮状にあるのか、これをしっかとつかんでいるのかどうかということが私は問題だと思うのです。けさほ
ども
私は
大臣
には話したのですが、二十日間もあちこち
農家
の皆さん方の様子を伺ってきた、話を聞いてきたというのでありますが、それにしてはまことに今回の二・三%などというのは、何のことない、そういう稲作
農家
にとってはありがたみが
一つ
もないと思うのです。かえってこれによって、
生産調整
にもっと
協力
してほしい、われわれは一生懸命
据え置き
を打破して大変の中で上げたのだからなどと言われたら、
計算
してごらんなさい、二・三%上げて十アール
当たり
どのくらい上がるのか。今度は十アールのたんぼを
生産調整
しろと言われたらどのくらいのマイナスになるのか
計算
してみなさい。これを
一つ
とっただけでも、たとえば八俵としましても二、三万くらいはそれだけで
マイナス要因
です。 まして五十四年度農村
物価
指数によると、
農家
が販売する農産物
価格
指数は前年度に比べて四・一%の上昇に対し、
農家
の購入品
価格
指数は総合で五・四%、
生産
資材だけでは五・八%の上昇である。あるいはまた生活資材面でも家計光熱の一二・八%とか、住宅建材の一〇・四%の上昇等々、総体的に五・三%の上昇であるとかいう
一つ
のデータが出されているわけでありますが、そういうものを総合的に
考え
て、果たしてこれで
農家
が生活をきちっとやっていって、しかも
意欲
を持って今後の農業に励めるものであるかを、
数字
の面だけでもいいですから、このくらいになります、このくらいだったら間違いなく
農家
も安心してやれるものですよというものを、もしあるなら私は出して示してほしいと思うのです。どうですか。
小野重和
207
○
小野説明員
最近の
農家経済
の状況につきましては、私
ども
もよく承知しておるつもりでおります。
農家
と勤労者を比べてみますと、
農家
所得
は、五十四年度の場合でございますが、前年度に対して四・二%ふえておりますが、勤労者世帯はそれより約二%多い六・二%ふえているという
数字
も承知しております。その伸び率に差があることも承知しておりますし、一方では、それでは全体のレベルはお互いにどうなっているかということでございますが、五十四年度で見ますと、
農家
と勤労者のそれぞれの世帯を比べてみますと、
農家
と言ってもいろいろな
農家
があるわけでございますが、全体の
平均
で申し上げますと、勤労者よりも逆に、一人
当たり
の可処分
所得
をとりますと、一二%まだ
農家
の方が高いという
数字
も一方にはあるわけでございます。そういうもろもろの
農家経済
の状況はよく承知しておりますが、その中で、その上に立って一方では、これは食管法の規定に従って
算定
するわけでございますから、
生産費
、
物価
その他の経
済事情
を参酌して総合的に判断して今回の
諮問
を決めた、こういうことでございます。
武田一夫
208
○武田
委員
それは農外収入というものが
相当
ウエートを占めているわけではないですか。専業
農家
とか一種兼業
農家
を中心に
考え
てみてもらえますか。そうすれば、そんなのは私はとんでもないものだと思うのですよ。ですから稲作中心の、たとえば東北、秋田とか宮城、山形あるいは北陸等々の十県がありますが、米の依存度というのは、粗収入に占める収益が六〇%くらいですか、そういうような地域、そういうところを丹念に
計算
なさったらどうですか。そうすれば、いま言ったようなことはまことに外れているということがわかるのではないですか。そういうのがなくて、農外収入に大変
農家
が依存しているということも含めてやるということは私は問題だと思うのですが、そういう点はどうですか。
小野重和
209
○
小野説明員
稲作への依存の割合でございますが、これは規模が大きくなればなるほど大きくなるということは当然でございますが、たとえば二ヘクタール以上の層では七、八割というような
数字
になっておりまして、いま御
質問
になりましたようなたとえば東北の
農家
のような例でございます。一方ではそういう規模別に
生産
性の状況、端的に言えば
生産費
の状況を見ますると、規模が大きくなればなるほど
生産費
は安くなる、
生産
性は高くなるわけでございまして、そういうことで、作付規模の大きい
農家
は、その
生産費
は
米価
を
相当
に下回っておるわけでございまして、そういう規模別の問題ということもやはり考慮に入れてもいいのではないかというふうに思うわけであります。
武田一夫
210
○武田
委員
どうも
農家
の生活感情というか、生活実態というものを十分踏まえての
米価
に一生懸命取り組む姿勢が私には見られないのが残念です。これは何度も問題になったわけでありますが、
算定方式
の問題
一つ
にしましても、上昇
要因
あるいは
マイナス要因
等々判断しても四ないし五%でしょう、五・三%だと言う人もおりますけれ
ども
。ですから、常識的に言ってもそういうものは出てくるわけでありますから、
農家
の
方々
にとりましては、今回の二・三%は全くありがたみも何もなければ、
農家
軽視の中で、ただ
据え置き
などやるとまずいのではないか、そういう判断だけでなされたということは私は非常に残念でございます。 そういう意味で、今後の農業というものを真剣に活力あるものにしようという
意欲
が見られない。ですから、総理
大臣
が東北で農水
大臣
の経験者でもあって、また
亀岡
大臣
は私の隣りの県です。志賀さんは岩手県、こういうスタッフがそろっていてこういう状況であるということは、今後もしこういうスタッフでなかったらいいものか、かえってそうであったためにこうなったのか、非常に深刻ですよ。これは
農家
の皆さん方も
相当
期待したと思うのですよ。われわれの東北から
大臣
が出た。しかも総理
大臣
が出て、一番のポイントになる
農林大臣
がこうだし、まして政務次官もそうだったという三本の柱があってこういうざまだったらどうするんだ、私はこういう率直な
農家
の心情というのはばかにしてはいけないと思うのです。その点はひとつ心の中にとどめておいてほしい、こう思います。 時間でありますので
最後
に、今後もうまい米はたくさんつくるように奨励はするわけですね。
消費
拡大において宮城のササニシキや庄内米等は、東京に来れば、私も聞いてみますと大変に好評でございまして、われわれがたまに持っていって差し上げますと、これがうまいので非常にいい、こういうのが東京で食えれば、議員食堂なんかでも食えれば非常にいいことだと私はいつも言われるわけでありますから、その奨励をしていく、保護をしていくと思うのでありますが、しかしながら、反面何かうまくない米がまた
自主流通
の中のルートに乗ってくるというような
考え
があるとか、これに対する奨励金にどうも手がかけられるということになりますと、一生懸命
努力
して苦労しながら今日までおいしい米をつくってきた
農家
というものが、また大変な不安と心配の中で生活しなくてはならないと思うわけでして、先ほどやはり同じ県の社会党の日野議員からもお話がありました問題でありますが、私は確認しておきたいのです。こういううまい米については今後もさらに奨励して保護していく、その点は変わらないという一点、この点ひとつお答え願いまして私の
質問
を終わらしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
小野重和
211
○
小野説明員
基本
的に言いまして、やはりおいしい米は
消費者
はよけいに食べるわけでありますから、
消費
拡大という意味からも
良質米
の
供給
をもっとふやしていくということは
基本
的に必要であると思っております。 ただ、一言申し上げておきたいのですが、最近、超
Aランク
と言っておりますけれ
ども
、ササ、コシが極端に伸び過ぎまして、そのために一部値下げ販売をしなければならぬ、こういう
事態
が起こっておるわけであります。したがいまして、これをふやしていくという方向はそのとおりだと思いますけれ
ども
、余り急にふえますとこれまたいろいろ流通に混乱が起こるというような問題も現にあるわけでございます。しかし、準本的な方向として
良質米
の
生産
をふやしていくという方向は、まさにそういうことだろうと思っております。
武田一夫
212
○武田
委員
時間が来ましたので、終わります。
田邉國男
213
○
田邉委員長
近藤
豊君。
近藤豊
214
○
近藤
(豊)
委員
これまでずっときょうは
米価
の上げ幅の問題等が議論されておるわけですが、
政府
の
考え方
の根底に、先般の農業白書で都市生活者と農業に従事する人たちの生計費あるいは
所得
の
格差
の問題が出ておりました。これは一昨年から比べれば昨年は
格差
が開いてきておる、一〇%から一二%に開いてきておるということが出ておりましたけれ
ども
、今回の
米価
の策定に当たっては、恐らく
大蔵省
の
考え
の中にも
農林省
の中にも、このように農村の生活者の方が
所得
水準
がいまのところよいのだから足踏みさしてもいいのだという
考え
があるのではないかと推測いたしますけれ
ども
、この点、まず農林担当の主計官、
大蔵省
はいかが
考え
られておりますか。
小野重和
215
○
小野説明員
まず私が御答弁を申し上げたいと思いますが、確かに
農家経済
の状況について見ますると、勤労者世帯に比べて最近の伸び率が低いということは事実でありますが、全体のレベルから見ますとまだ高いという事実、これは事実でございますので、そういうことを頭に入れてはあるわけでありますが、それだけの問題ではございませんで、これは
生産費
、
物価
あるいはその他の経
済事情
、
需給事情
、財政
事情
と、総合的に判断して今回の
政府諮問
を決めた、こういうことでございます。
的場順三
216
○的場
説明
員
生産者米価
の
決定
に
当たり
まして、
農家
の経
済事情
等を十分に参酌されて食糧庁からお話がございまして、
大蔵省
は
大蔵省
の
立場
を十分踏まえまして、財政状況等を
考え
て、それぞれの職責に応じて御相談をし、今回の
諮問案
を決めたわけでございます。
近藤豊
217
○
近藤
(豊)
委員
もちろんそういうお答えにはなるのでしょうけれ
ども
、しかし実際に査定をされる場合、あるいは
農林省
の方で今後の農林予算全体の伸び等についての規模を
考え
られる場合、
最初
はこれはゼロだったわけですから、それがきのうになって二・三%に上がったわけですが、まだ足踏みさせておいても大丈夫なんだ、むしろ旗は立ちやしないのだ、ということは、結局いまの農業で兼業
農家
を含めた農業者と都市生活者、勤労生活者の間の
所得
格差
ということが大きな原因ではないのですか。どうもそこを迂回しておられるようですけれ
ども
、もう一度。
小野重和
218
○
小野説明員
若干歴史をさかのぼらせていただきたいのでありますが、たとえば三十五年に生所
方式
がスタートして、その後
算定
要素の問題を申し上げますと、先ほ
ども
私申し上げたのでありますが、
需給事情
、米が非常に不足の時代には
算定
要素をむしろ高くするようにした、こういうふうに申し上げましたが、そのほかにも、たとえば
農家経済
をとらえましても、三十五年をとりますと
農家
世帯と勤労者世帯、これは
農家
世帯が
相当
に低うございまして、一人
当たり
の可処分
所得
をとらえますと六八%、七割ぐらいで、三割ぐらい低かったわけでございます。それが四十五年には大体九割ぐらい、まだ低いのでありますが、現在では一〇%強高いということで、三十年代後半は、
需給事情
もありますが、こういう
農家経済
の状況というものも考慮に入れていたということは、これは若干昔の話でありますが、そういうような経緯はあるわけであります。したがいまして、今回の
政府諮問
、これは総合的な判断ということになりますけれ
ども
、
農家経済
のいま申し上げたようなごく最近の状況につきましても考慮に入れて、ほかのいろいろな要素等も
考え
合わせて総合的に判断した結果である、こう申し上げておる次第でございます。
近藤豊
219
○
近藤
(豊)
委員
恐らく同じようなお答えが主計官からも返るのでしょうから、これはまた後ほど触れていただくとして、私は実は幾つかの安全保障、特に食糧、エネルギー、軍事なんでしょうが、特に食糧の問題を
考え
る場合は、長期的に見てやはりわが国が飢えることのないようにする必要があると思うわけです。その場合に
農家
のインセンティブというものは非常に市大だと思うわけですが、いまの
次長
の御答弁ですと、やはり
所得
が都市に比べて少なかったときにはこれは大いに
引き上げ
るように
努力
された。したがって、現在逆に一二%高いわけだから、これは足踏みしてもいいということに恐らくなるのだろうと思うのです。ただ、おっしゃりにくいからそうおっしゃってないのだと思うのです。 もう
一つ
は、今回国会で食糧自給率の確保についての決議を行いました。これは恐らくどなたも反対されていない決議なわけですけれ
ども
、この食糧自給率を確保する場合にどうしても避けて通れない問題が、専業
農家
にどうやってこれから大いにインセンティブを与えて、一生懸命
生産
性の高い農業にいそしんでもらうかということだと思うのです。この場合に、
米価
の
決定
に際しては専業
農家
という問題あるいは二種兼
農家
との間の関係は一切
考え
に入れないで一応目をつむっておやりになっているわけですか。その点何か特別に
配慮
しておられるのかどうか、
伺い
たいと思います。
小野重和
220
○
小野説明員
確かにおっしゃいますように、これから専業
農家
といいますか、一種兼業
農家
の中にもあると思いますが、中核
農家
を育成するというのは農業政策の
一つ
の大きな柱であります。そういう意味で、そのためには二種兼
農家
、いわば日曜に稲作をやる、そういう
農家
が多いわけでありますが、そういう
農家
の農地を中核
農家
に移していくという、いわゆる経営規模拡大、構造政策が非常に重要であることは私
ども
十分に認識しておるわけでございます。ただ、
米価
でそういう
農家
の
種類
別に差をつけるということは、これは米も商品でございますから、その商品の
価格
でございますので、これはなかなかむずかしい、こういうふうに思っておるわけであります。
近藤豊
221
○
近藤
(豊)
委員
次に、
過剰米
の処理
対策
についてお
伺い
いたします。 結局、現在の食管赤字の中の大きな部分が
過剰米
を抱えているから経費がかかるわけでして、
過剰米
がなくなれば当然そういう経費はどんどんなくなるわけですから、それを目的として
努力
をしておられると思います。 まず第一に、米の海外への処理について、これはいままで主に輸出をしておられる場合が多い。無償援助で行われる場合はKRとか非常に限られたものでしかないと思うのです。最近でもアフリカの方では
相当
の干ばつであって、そこからかなりの食糧援助の
要請
が来ておるはずです。その中で
決定
したことは、タンザニアとかモザンビークなどに対して例の延べ払いの供与を
決定
しておられる。いわゆる無償援助という点ではどうもなかなか積極的でいらっしゃらないようです。 ただ、前の国会のときに、前
大臣
は無償援助の適格な国がないからやれない面があるとおっしゃいましたけれ
ども
、今回は
相当
アフリカでは干ばつが激しい。またアフガニスタンでは御承知のとおりの状況である。海外における無償援助で米を欲しいという二ーズは潜在的なものも入れると
相当
なものがあると思うのです。したがって、適格者はたくさんあらわれてくるわけで、その場合にもちろん青天井とはいかないでしょうけれ
ども
、同じ食管会計の経費の中でこれを管理費に入れるとか、あるいは
水田
再編
対策
費に使うとかいうその金を使って無償援助の方へ振り向けていけば、かなりのことはできるはずなんで、ポケットが違うという議論は各省間では通用しますが、国全体ではこれは
考え
なくてもいいわけですから、これはそういう点で大いに推進し得るいい
過剰米
処理の方法であり、ある意味では将来に、日本が食糧安全保障にとっての保険を掛ける、あるいは海外での評判が芳しくない日本が、特に援助ではけちけちの日本が、そういう面での評価を変えさせる
一つ
の大きないい手段だと思うわけですけれ
ども
、この点、今後は適格者があらわれれば、どんどん推進していかれると
考え
てよろしいですか。
小野重和
222
○
小野説明員
これはもう御案内のことと存じますけれ
ども
、現在米は食管特別会計でございますけれ
ども
、これを輸出するわけでありますが、輸出する場合は国際
価格
で売るということにいたしておりまして、そのコストと国際
価格
との差は食管赤字の因になる、こういうことになっておるわけであります。無償援助の場合には、それを国際
価格
分まで見る、こういうことになりますので、これを食着会計で見るかどうか、こういうことに問題は帰着するかと思いますが、そういうことでありますと、やはりあくまでも援助でございますので、これは食管会計といいますか食管
制度
といいますか、その枠外の問題でありまして、援助ということになりますとこれは現在でも外務省の予算で計上しておるわけでありますけれ
ども
、やはり扱いは外務省の予算で計上する、こういう扱いを今後とも続けることになろうか、こう思うわけであります。
近藤豊
223
○
近藤
(豊)
委員
外務省の援助予算は、これはもう非常にふところが浅いわけで、毎年援助予算をどんどんふやしておられるようですけれ
ども
、やはり国全体の
立場
から見れば、
一つ
の食管会計の赤字に使う予算、そして援助に使う予算、いずれも金が要ることは同じなんで、この点については
大蔵省
にお
伺い
いたします。
大蔵省
の
立場
からはこの点どうお
考え
になりますか。もちろん、外務省の予算枠あるいは要求枠が、無償援助についてシーリングを外したりする技術的な問題が出てくると思いますけれ
ども
、この点いかがですか。
的場順三
224
○的場
説明
員
過剰米
の処分の
一つ
としてできるだけ輸出をするという話はお説のとおりでありまして、従来から輸出をしております。その輸出に
当たり
ましては、やはり
食糧管理法
の規定あるいは輸出の延べ払いに関する法律等の規定に基づきまして行っているわけでございまして、現在の仕組みでは食管自体が無償援助を行うということは、これは法律上無理ではないかと思っております。ただ、無償援助の予算をどうするか、あるいはその無償援助の中で、相手国等の
要請
を踏まえて、そういう
要請
があれば前向きに対処していくということは可能でございますので、その範囲内で十分に対処していきたいと
考え
ております。
近藤豊
225
○
近藤
(豊)
委員
その範囲内でというのは予算の枠の範囲内ということですか、それとも、枠の問題についても弾力的に
考え
ながら、
需要
があればこれにはできるだけ応じていくということですか、どっちですか。
的場順三
226
○的場
説明
員 予算も
一つ
の枠でございますから、制約でございますから、現行
制度
のすべての範囲内ということに相なるかと思います。ただKR援助で米の無償援助というのを行っておりますのは必ずしも多くございませんので、今後相手国の
要請
も必要かと思いますけれ
ども
、相手国がそういうものを望まないということになりますればこれはできませんけれ
ども
、その範囲内で行っていくということであろうと思います。その無償援助の予算を来年度以降どうするかという話につきましては、これはほかのもろもろの歳出とのバランスで考慮していくべき話であろうと思っております。
近藤豊
227
○
近藤
(豊)
委員
恐らく今後、特に現在アメリカで熱風の被害が多い、今度のアメリカの穀物
生産
は
相当
ダウンする可能性があると思うのです、現状が続けば。そうした場合には世界じゅうに食糧は
需給
関係がタイトになり得るわけで、こうしたことは、われわれ数年見ておりましても非常に気候が全世界的に不順なわけですから、今後とも気候の急変によって食糧
需給
関係が急にタイトになることは十分あるわけです。そうしますと、現在はほとんど日本の米なんか要らないという連中が、やはり腹が減ってくれば食べたくなるわけで、援助を欲しいということはかなり予想されるわけですけれ
ども
、そういう
事態
に備えて、かつ食管会計の赤字をできるだけ速やかに
解消
していくという点から、食管法の枠を取っ外したらどうかと思うわけです。食管法の規定を改正する。もちろん食管法に一回手をつけたら大変だということもあるでしょうが、そのことだけに限ってやることもできるわけですし、現在の国会の状況からいけば当然
大蔵省
と
農林省
が力を合わせれば、われわれも大いに応援しますから、法改正で無償援助をどんどんやれるようになさったらどうか。またそれをすべきだという気がしますが、政務次官どうでしょう。
小野重和
228
○
小野説明員
法改正という大変重要な御意見でございますけれ
ども
、そういう
制度
論もさることながら、財政問題をとらえましても、いまたとえば国際
価格
はトン十万円になっておりますけれ
ども
、これを無償援助するということになるとトン十万円かかるわけでございまして、十万トン出しますと百億ということでございまして、これまた食管財政にとっても容易ならざることでございます。そのほか
制度
問題ももちろんあるわけでございますが、もろもろの
事情
から
考え
まして食管で無償援助というのはいかがか、こう思うわけであります。
近藤豊
229
○
近藤
(豊)
委員
十万円が大変だということ、確かに十万円、大変なお金ですけれ
ども
、
金利
と保管料だけお
考え
になっても
相当
の金額になるはずですね。ですから、置いておけば置いておくほどお金がかかるわけですから、恐らく
金利
と保管料だけでも三万七千円から四万円近いお金でしょう。したがって、十万円まるまる損するわけじゃなくて、
金利
と保管料以外にも置いておけばかかる金があるはずですから、せいぜい半分だろうと思うのです。したがって、それは十万円が大変だ、百億が大変だということにはストレートにならないだろうと思うのです。いかがですか、
次長
。
小野重和
230
○
小野説明員
金利
、倉敷はトン二万円、これは動きますけれ
ども
、約二万円ぐらいであります。ほっておいてもお金がかかるんではないかということでございますが、援助ということを別に
考え
なくても、ともかく
過剰米
は余り長く置いてはお金がかかるばかりでございますから、なるべく早く処理した方がいいことは間違いないわけであります。 そう言いましても、全部一年というわけにもいきませんので、御案内かと思いますが、五十四年から五カ年で処理するということにいたしておるわけであります。これは輸出用だけではございませんで、日本人が食べるのがまず先でございますので、いわゆる加工用、みそ、せんべい、しょうちゅう、これをまず第一に
考え
、それから輸出用、
最後
に残るのはえさ用でございます。せっかくつくった米をえさ用というのはいかがかということがありますけれ
ども
、ほっておけば
金利
、倉敷がかかりますから、そういうようなことで、いま早急に処理しようと思っておりますけれ
ども
、ともかく十万円かかるという、保管料は二万円という点もこれ考慮せざるを得ない。食管の性格論ということも、当然これは
制度
論でございますからまず第一に
考え
なければいけませんが、もろもろの点から
考え
まして、食管で無償援助というのはいかがなものだろうか、こう思うわけであります。
近藤豊
231
○
近藤
(豊)
委員
保管料や
金利
の問題は、これは余り細かい問題ですからいいですけれ
ども
、やはり米は置いておけば財産として、金券として残るわけじゃなくて、どんどん減価していくわけなんです。いまおっしゃったみそ、しょうゆや、あるいは菓子用に使われるということですけれ
ども
、これでもずいぶん売り渡し
価格
が問題になるわけで、すでにクレームがあることも、頭の痛い問題があると思います。業界にもクレームがあるわけですね。ですから、置いておけば古くなる、しかも古くなった米ほど喜ばれる面があるわけですから、そういうものは、やはり飢え死にしている人たちが世界にあるわけなんで、そういう人たちにどんどん日本が提供することによって——有償ではありがたがられない、無償だからありがたがられる、今後はぜひ真っ正面から少し取り組んでいただきたいと思う、これは
要望
しておきます。 それから、第二番目の過剰
米消費
について、酒米の問題です。酒造用の米のことです。 これは現在の酒税法の三条にかかわる政令だと思うのですけれ
ども
、
昭和
十七年か十八年のわれわれ米がなくて困っていた時代にできた政令が、三〇%までアルコールを使っても清酒とすることになっております。このもう全ぐ時代おくれの政令をなぜいま生かしておかなければいけないのか。これはもうそろそろおやめになって、廃止して、そして同じように食管で損をしているわけですから、酒米を安く売るなり、あるいは税金の方を、酒税の方をまけるなりして、実際の
需要
がいまの
水準
でわれわれ日本酒が飲めるようにすることも大きな
需要
促進の
一つ
だと思うのです。現在、清酒を全部米を使ってつくれということになれば、恐らく五十万トンぐらい米が要るはずなんで、そのうちの半分でも使えれば二十五万トン、これはかなりのことのはずです。それが、いままで何回も議論に上がっていながら、どうしてか納得のいく
説明
がない。なぜできないか、嗜好が違っているとかあるいは酒屋がいやがるとか、いろいろおっしゃいます。でも、どうも納得できないのですが、これは改めていまの
立場
を聞かしていただきたい。
小泉忠之
232
○小泉
説明
員 国税庁の間税部長でございますが、お酒の関係の御
質問
でございますので適宜答弁さしていただきます。 御
指摘
のように、いま全国で大体酒の量ですね、製成、
消費
の数量、これから申し上げますと、年間百五十万キロ程度、これを市販酒換算で出しております。それで使用しました原料米は大体五十七万トン程度、年によって違いますが、五十万トンから六十万トンの間ということでございます。これには御
指摘
のように
昭和
十七年以来かなりアルコールを使っておるわけでございますが、大体全体で十万キロリットルという
計算
になります。これを添加を全部やめまして米を使って酒をつくったらどうなるかということでございますが、一応想定して
計算
いたしますと、御
指摘
のように玄米換算で、百五十万キロリットルの清酒をつくるのには約百万トンの原料米が要る、こういうことになりますから、五十七万トン現在使っておるわけですが、それが九十九万トン程度要るということになりますと、差し引き四十万トン程度米を使う量がふえる、こういうことに
計算
上はなるわけなんです。 しかしながら、先生お話しございましたように、
昭和
十七年以来アルコール添加を製品としてつくってきて、これが
消費者
に一応受け入れられて、酒に対する嗜好というものが長年の間に培われてきておる、こういう現状にございますので、
消費者
の嗜好としては、米ばかりでつくりますと、これは技術的な問題になりますけれ
ども
、味としては非常にべたべたしたものになるということで、やはり淡麗な味というのは、ある程度の、適度のアルコールは、むしろ原料アルコールを使った方がよろしい、こういうような問題がございます。 さらにまた、コストの問題がございます。これが経済的には非常に大きいわけでございますが、米と原料アルコールと比べますと、約六倍のコストがかかる、こういう
計算
になるわけでございます。大体全国で使っておりますアルコールの量、いま申し上げましたように、十万キロで二百三十億程度の値段になるわけですが、これを全部米に切りかえますと千二百億というような負担になる。したがいまして、原料高となる、原価高となるということがやはり
一つ
のポイントになるわけなんです。 それから、全部米から酒をつくるということになりますと、設備の点でも、現在使っている設備をいろいろ変えていくという必要もあるわけでございます。御承知のように、現在全国で三千弱のメーカーがございますが、お酒屋さんは大部分が中小企業が経営をしておるという状況でございますので、そういった面も考慮しないといけないというようなことでございますが、
制度
上は、釈迦に説法でございますが、米を全部使ってもよろしいというようなことになっておりまして、米を使うことについての
制度
上の制約はない。ただし、逆に、御
指摘
のございましたように、アルコールをどの程度使うかということにつきましては、国税庁で製造段階で承認基準というものを設けておりまして、大体白米一トンについて二百八十リットルが上限であるということで、酒の質を落とさないように、しかも淡麗さを残した
消費者
にマッチする清酒をつくるようにというような指導をいたしておりますが、実際上は年々アルコールの使用量というのは減ってきております。現在全国
平均
いたしますと、二百八十リットルが上限でございますが、二百五十五リットル程度ということになっておりまして、十年間で大体八八%程度にアルコールが減少してきている。そのかわりに米を使っておる、こういうことになるわけなんです。私
ども
といたしましては、やはり酒づくりは企業経営でございますので、商品設計とか市場に対するアプローチとかそういったものは、
価格
もそうでございますが、やはり企業経営の
基本
に触れる問題でございますので、私
ども
からアルコールのかわりに米をというふうに一律にこれを制約していくということはいかがかというふうに
考え
ておるわけでございます。 現状としましては、繰り返すようでございますが、年々、酒の質をよくするために若干コスト高になってもやむを得ないという形で全国的には米の
消費
量がふえてきておるというような状況でございます。
近藤豊
233
○
近藤
(豊)
委員
やはり依然として同じような答弁が繰り返されるので、どうもまだ納得しかねるのですが、大体嗜好の問題については、これは先般国
会議
員もたくさん出席しましたし、
農林大臣
や前の
委員長
も出席しておられましたけれ
ども
、みんなで純米酒を飲んで、決してべとつかない、おいしい。そして、そういう嗜好を持っておる人は恐らく日本国民にたくさんいると思うのです。だからしょせん私は金の問題だという気がいたします。また同時に、全部画一的に純米酒を売れというふうに強制する必要は毛頭ないわけで、これはもう自由主義経済ですから、各企業が一番売れる酒をつくればいいわけです。その中で、米を使っても、純米酒をつくってももっとつくりやすいように、どうせ一方で捨てるような金をたくさんこの
水田
再編事業やらあるいは休耕補償やなんかで使っておるわけですから、
農民
は遊んでいて金が入るよりも一生懸命働いて金が入る方がいいわけです。そういう意味で、私はこれは今後もっと真剣に
考え
ていただくべきだと思います。 時間がないから、
あと
もう
一つ
大事な問題がありますのでいまの問題はここで終わりにしますが、こうした
過剰米
処理のことをいろいろと熱心に推進をしていく、そうした過程で、やはり長期的な見地からどうしても備蓄の問題を
考え
ておかなければいけない。この備蓄の問題については
基本
的に
農林省
としてどういうふうに
考え
ているのか、この点を
伺い
たいと思います。
鴻巣健治
234
○鴻巣
説明
員 現在でも米のほかに小麦、飼料穀物、それから大豆につきまして備蓄が行われておりますが、食糧というのは、先ほど来いろいろ御議論がありますように、国民生活に大事なもので、海外に依存している分がかなりある。たとえば小麦だとか大豆の場合がございますので、それが海外からの
供給
が削減された場合にもなおかつ国民食生活を守るために現在の備蓄をもう少しふやした方がいいかとか、あるいはその備蓄で食いつなぎながら、もっと長くそういう有時といいますか不測の
事態
が続いた場合は、備蓄を食いながらやがて今度は国内
生産
をもっとフルに発掘をしていくというようなことを
考え
るというようなことがあります。スイスでもそういう例がございますので、諸外国の例を研究しながら、食糧安全保障、国民食生活の安全の保障という観点から備蓄のあり方を含めて現在検討いたしておりまして、
農政審議会
の中でもいろいろ御議論をいただいて、なるべく早く
農政
見直しの中で結論を得たいと検討いたしているところでございます。
近藤豊
235
○
近藤
(豊)
委員
たとえばもみ備蓄にすると非常にかさがふえるから、容量が大きくなってむずかしい問題があるようなんですけれ
ども
、米について大ざっぱに
考え
て、精米ともみ備蓄の量的な目安をどのように
考え
ているのですか、その点もう少し具体的に大体の
考え
を言ってください。
小野重和
236
○
小野説明員
米を備蓄します場合に、もみで備蓄するか玄米で備蓄するかというのは従来からいろいろ
論議
のあるところでございます。それには二つの問題がありまして、
一つ
は品質面の問題、もう
一つ
はコストの問題でございます。 品質の問題でございますと、私
ども
玄米で低温倉庫に貯蔵する方がもみで貯蔵するよりも品質面でもむしろいい、そう思っております。最近コンバイン等が普及しましてもみがすれますので、どうももみはちょっと傷みやすいということが特にございます。 それから、コスト面でいいますと、これはもみの方が大体二倍かさばるということでございますので、そういう保管経費も倍かかるということがございます。 そういう二点がございますので、私
ども
は玄米の低温貯蔵をいま実施しているというわけでございます。
近藤豊
237
○
近藤
(豊)
委員
終わります。
田邉國男
238
○
田邉委員長
次は、野間友一君。
野間友一
239
○野間
委員
午前中に続いて
質問
をいたしますが、事務当局の答弁を午前中もらえなかった分で、要するに二・三%アップで新たに四百四十億の財源が要る、こういうことですね。ところが一方では、私はこれはけしからぬ、不当だと思いますけれ
ども
、
政府
は激変緩和措置で八十三億円、それから
水田利用再編対策
推進等特別交付金の三百五億円のうち、市町村に対する交付の百六十七億円を残して残りをやめる。やめるという表現が、
政府
は一年限りで云々という話がありましたけれ
ども
、そういう
考え方
の食い違いはともかくとして、
政府
の
方針
はそういうことになるわけですね。この点は
数字
的にどうでしょうか。
小野重和
240
○
小野説明員
五十四年度限りの措置というふうに私
ども
考え
ておるわけでございますが、八十三億という激変緩和措置に係る金、それから三百五億のうちの百三十八億、これは一俵
当たり
百円というもの、これは本年度はやめるという
方針
でありますが、残りの
水田利用再編
推進のための市町村に交付する百六十七億、これは去年の
数字
でございますが、これにつきましては、金目等は別でございますが、ともかくこの種の金につきましては
農林省
としては財政当局に対しまして本年度も措置するようにという要求をこれからいたしまして折衝したい、こう思っております。
野間友一
241
○野間
委員
一年限りという話で午前中から言われておりますけれ
ども
、
農民
は既得権として、決してそういう認識を持っていません。これはずっと続くものという認識を持っておることは間違いありません。私はこういう措置が果たして、いわゆる政治加算の善悪の問題はきょうはおきまして、
基本米価
をもっと大幅に上げるのが必然だと思いますけれ
ども
、それはそれとして、いまあるものをなくしていく、しかも四百四十億円の財源が新たに要ると言いながら、これが実際になくなるわけですからね。いまの八十三億と百三十八億円を足しますと二百二十一億円になるわけですね。したがって、これらがことしも続いてあるであろうという点から
計算
いたしますと、新たな財源の不足はわずか二百十九億円になるわけであります。そうしますと、二・三%の
米価
の位上げと言われましても、実質的には一・一%ないしは一・二%になる。これはそれぞれ
趣旨
が違いますから私が言うような立論で答弁はないと思いますけれ
ども
、もし私の言うような立論、つまり
農家
の実質の手取りという点から
考え
ましたらこういう理屈が成り立つと思いますが、そのとおりですね。
小野重和
242
○
小野説明員
五十四年度限りの措置ということでございますから、五十五年度はないという前提に立てばいまおっしゃるようなことにはならないわけでありますが、額と額とを比べれば確かに二百二十億ぐらいですか、ということになると思います。
野間友一
243
○野間
委員
しかも北海道の場合には二・三%のアップで三百六十円。ところが、これがなくなることによって百四十円マイナス、つまり二百二十円アップにしかすぎない、五類の二等でこうなるという
計算
上の答弁がありました。四類では一体どうなるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
数字
で簡単で結構です。
小野重和
244
○
小野説明員
同じような
計算
をするということでございますが、四類の場合には、激変緩和措置が二百円でございます。一方、アップ額が三百六十円でございます。単純に比べるとその差額ということになりますが、本来激変緩和措置ということでございまして、五十四年度でその
品質格差
をそのまま適用すべきものを特にそういう措置を講じたわけでございますから、私
ども
はこれを
数字
と
数字
で単純に比較するのはいかがかと思いますが、
数字
自体としてはそういう
数字
でございます。
野間友一
245
○野間
委員
それから、もう
一つ
伺い
ますが、二・三%のアップというお話ですが、正確に
計算
すれば二・二九%と違いますか。
小野重和
246
○
小野説明員
私
ども
、本来アップ率を決めておるわけでございませんで、
価格
を決めるわけでございますから、
価格
が
諮問
米価
ということでございますが、去年の
米価
で割れば二・二九、私
ども
いつも小数点一けたでやりますので、二・三%ということでございます。二・二九でございます。
野間友一
247
○野間
委員
だから、アップするというか何かメリットのあるような幻想を与える
数字
は多目に言って、そして、実質はこのような措置をなくすることによりまして、実際のアップというのは、つまり
農家
の手取りはこれの約半分ということがトータルで出てくると私は思うわけです。この点にも最大の問題があると思うのです。 そこで、私は、
基本米価
を大幅に値上げをして
農民
の期待にこたえなければならぬ、こういう
基本
的な
立場
をとっておりますけれ
ども
、と同時に、いままであるこういう措置を既得権として
農民
に引き続いて保障すべきだというふうに強く
要請
をしておきたいと思います。 さて、次の問題ですが、
諮問
の特徴を見ますと、二・三%、二・二九%ですが、アップという前提に合わせまして、昨年度と
算定
の方法を変え、つじつま合わせをしておりますが、その際、必要量の
とり方
を去年までの八百三十万トンから七百八十五万トンに落とすことによって
生産
性の低い
農家
を切り捨てておるということがこういう
算定
方法から出てくるのじゃないか、私はこう思うわけです。そうしますと、このことによってコストのアップ分がまさに減殺、相殺されることになると思います。 そこで、まず
伺い
たいのは、四十二年度産
米価
の
算定
方法によって素直に
試算
をすれば、五十五年度産
米価
は六十キログラム
当たり
一体何円になり、前年対比で何%のアップになるのか、お答えいただきたいと思います。
小野重和
248
○
小野説明員
四十二
年産米
価というのは、先ほど来申し上げましたように、米の不足時代に要素を積み上げまして、
方式
としては過去の生所
方式
の最高の
方式
でございます。(野間
委員
「前置きはいいよ」と呼ぶ)という前提を述べさせていただきまして、これは
基準価格
ベースで申し上げまして、五十四
年産米
価に対しまして五〇%でございます。額はいま手元にございませんですが、率として五割でございます。
野間友一
249
○野間
委員
農林省
から来ておる資料、議員要求資料にちゃんと出ておりますね。これによりますと、二万五千七百六十五円、額ははっきり出ていますね。いかがですか。
小野重和
250
○
小野説明員
大変失礼いたしました。手元にございまして、二万五千七百六十五円、おっしゃるとおりでございます。
野間友一
251
○野間
委員
先ほどからもずっと
論議
がありましたように、
計算
方法はもうさまざままちまちに、その都度その都度、政治的、政策的な判断で変えております。いま
指摘
したように、一たん
政府
が使っておりました四十二年度産の
米価
の
算定
方法でも実に五〇%のアップ、二万五千七百六十五円という
数字
が出てくるわけであります。これは農協の要求
米価
も上回る金額であります。 そこで、もう
一つ
お聞きしておきたいのは、午前中に私、聞きましたけれ
ども
、昨年の
計算
方法では大体何%のアップになるのか。これについては四・九%のアップというふうに言われましたけれ
ども
、これは必要量を七百八十五万トンに落とした
数字
ではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。もしそうだとすれば八百三十万トンでは一体幾らになるのか、この点もお答えいただきたいと思います。
小野重和
252
○
小野説明員
そういう
試算
はしておりません。ただ、およその見当でございますが、三%くらい違うのかなという感じでございます。
野間友一
253
○野間
委員
いや、私がお聞きしているのは、
一つ
は、昨年の算出方法でやった場合に四・九%のアップだというふうに言われたわけですが、これはベース、必要量を七百八十五万トンで
計算
しておられるのか八百三十万トンで
計算
しておるのか、その点です。
小野重和
254
○
小野説明員
七百八十五万トンで
計算
しております。先ほど三%と申し上げましたのは、仮に八百三十万ということで
計算
した場合との違いでございます。
野間友一
255
○野間
委員
そうしますと、農協がいろいろ資料を出しておりますが、それによりますと五・三%という
数字
が出ておりますけれ
ども
、いま言われたこととほぼ符合するのではなかろうかと思います。 さて、確かにいま弁解されましたように、米の不足の時期とはいえ、四十二年度の
米価
の算出方法、一たんはこういう
算定
をしておるわけであります。ところが、これが実際にだんだん下がっておるわけですね。
計算
の方法が、だんだん下がるように下がるように、そういう方法に変えております。このことを
一つ
とりましても、
政府
の
生産
者に対する
米価
の
とり方
が全く恣意的なものであるということがこの事実からも明らかであると私は思うわけであります。 さて、そこで次に
質問
を進めますけれ
ども
、
転作
の拡大ですが、五十四年度が四十七万二千ヘクタール、これが五十五年度には五十七万二千ヘクタール、これは二一%増ですね。こうなりますと、農業機械の操業度の低下とか固定資産の償却の増加を五十五年度産
米価
についても当然見るべきではなかろうかと私は思うわけであります。ところが、これは実際見ていない。恐らく、来年度にこれを反映するというふうに答えるのではなかろうかと思いますけれ
ども
、もし今年度の
米価
にいま申し上げた、要するに
転作
の拡大による操業度の低下とか資産の償却の増加というものを織り込んだ場合には、いまよりも何%ぐらいアップになるのか、
計算
しておればお答えいただきたいと思います。
小野重和
256
○
小野説明員
御案内のように、現在の
生産費
所得補償方式
というのは前三カ年の
生産費
調査
をベースにして決めておるわけでございます。したがいまして、その限りにおいては過去三カ年も
転作
をやっておるわけでありますから、その時点におけるそういう
転作
をした結果の償却費というのは入っておるわけであります。 しかし、御
質問
は、五十五年でどうかということでございますが、まず第一に、そういう
計算
はなかなかむずかしくて私
ども
やっておりませんし、また仮にできたとしても、これはきわめて大胆な推計になりますので、そういう推計をするというのは、現在の生所
方式
ではとっておらないところであります。
野間友一
257
○野間
委員
しかし、
転作
の面積を五十五年度は五十七万二千ヘクタールということで、すでに決まっておるわけですね。
計算
できるわけですね。なぜ私がこういうことを聞くかといいますと、
必要量生産費
、この場合のいわゆる必要量、これの
とり方
については、すでに先取りというか、五十五年度分を採用しておるわけですね。つまりお金のかかるところは翌年度回しで、そして少しでも助かるところは直ちにこのように先取りをしてこれを
一つ
の
計算
の基礎にする。これが大変な不公正じゃないかというふうに思うわけであります。つまり五十四年度が八百三十万トン、これは七百八十五万トンですね。これを
一つ
のベースにして
計算
をしておるわけですね。したがって、二・二九というような大変に低い
数字
、率になるわけですけれ
ども
、これはしかし不公平じゃありませんか。得するところはちゃっかりこれを取り入れて、損をするところは損をしないようにやっておるという点、まさに不公平じゃありませんか。
小野重和
258
○
小野説明員
必要量生産費
に使います限度数量は、五十五
年産
の
需給
計画
をつくる前提としての限度数量であります。したがいまして、これは五十五
年産米
価を
算定
する場合にこれを採用してしかるべきものと
考え
ております。 いまの償却費等の問題でございますが、これは現実にどれだけコストがかかったか、費用がかかったかという問題でございます。そういう推計を入れ始めますと、たとえば労働時間も減るではないかとか、いろいろな推計をすることになりまして、そういう推計はしないというのが生所
方式
の大原則でありまして、来年の
米価
には五十五
年産
のもろもろのファクターが算入されるわけでありますが、今年度の
米価
について今年度の推計ということは、いまの
方式
ではできない、こう思っております。
野間友一
259
○野間
委員
そこが問題だと私は思うんですね。つまり、来年度は何とかという期待を持たせながら、たとえば家族労働報酬についてだって、
計算
の仕方をだんだん変えてきて、本年度は去年のあれを踏襲しておるようですけれ
ども
、低い額に落としてきている。そういうふうになりますと、要するに
生産費
、コストが高くつくとどこかでそれを減殺していくということになりまして、
農民
は将来に対する大変な不安、ふえた分は恐らくまたどこかで削られるであろうというような不安を持っておるわけでありますね。したがって、どうも
計算
の仕方そのものが恣意的であるということがこの点からも明らかではないかというふうに私は思うわけであります。 そこで、
質問
を進めますが、この八〇年の五月で
生産
資材の総合のアップは、・前年比で一五・一%だと思います。さらに七月一日からは、午前中も安井
委員
の方からも話がありましたが、肥料とか農業機械あるいはビニール、これが軒並み値上げが予定されているということ、しかも農業機械がことしの十二月に再値上げということも報道されております。したがいまして、これらも来年度の
米価
には反映させる、こういうふうに言われるかもわかりませんけれ
ども
、先ほ
ども
指摘
しましたように、
政府
の恣意的なそういう
計算
方法からいたしましたら、全く保証はないと言わざるを得ないと私は思うわけであります。一方では、いまの私の見解では、実質わずか一%そこそこに
米価
を抑えながら、片方では農機具とか農耕資材がどんどん値上がりをしておるわけですね。しかも奇妙なことには、
転作
、減反ですね。そしてその中で
米価
が、
据え置き
ないしは低
米価
で大変に抑えられる。ところが、農耕資材等につきましても、これらの
転作
、減反に関連して、要するに
生産
過剰になっているわけですね。本来、
生産
過剰でありましたら、その物の
価格
が
据え置き
ないしはダウンするのが筋なんですね。ところが一方、このような肥料とか農耕資材の
価格
については、これだけ
生産
過剰でありながらどんどん値上がりをしている。
農民
の率直な気持ちとしては、これはやりきれぬ、こういう気持ちであります。 そこで、
一つ
は、いま申し上げたコストの問題をどう処理するのかということと同時に、農耕資材等については、さまざまな形でこれから値上げが待っております。これらについて、
農林省
はどのような
対策
を立てていくのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
小野重和
260
○
小野説明員
諸資材の値上がりと
米価
との関係でございますが、これは現在の生所
方式
のもとでは直近までの
数字
をとるということでございまして、推計はとらないということにいたしております。したがいまして、今後の値上がりということがあるといたしましても、これは来年の
米価
に反映される、そういうものでございます。
野間友一
261
○野間
委員
質問
を変えますけれ
ども
、和歌山県で日本晴という銘柄の米をつくっておるわけです。これはいまの一類から外されることはないと私は思っておりますけれ
ども
、農協から、ぜひ維持をしてほしいという
要請
があったわけであります。もし格下げされますと、県下で約二千五百万の損失をするわけでありますけれ
ども
、これらについてはどのように対応されるのか。一類にぜひ残してほしいという
要請
がありますので、この一際、ひとつお
伺い
をしておきたいと思います。
小野重和
262
○
小野説明員
本
年産
におきます類別の格づけ問題でございますが、これはまだ具体的に決めておりません。早急に結論を出したい、こう思っております。和歌山の日本晴の問題も、私よく存じておりますが、十分に検討いたしたいと思います。
野間友一
263
○野間
委員
次に減反の問題について少しお聞きしたいと思いますが、第二期の
対策
についてであります。今年度の
転作
面積の二割増、六十五万へクタールにこれを拡大するというふうな報道が、日経の七月の二十二日付にあります。これは事実かどうか。もしそうだとすれば、これは関西、中国、四国の現在の
水田
面積の合計六十二万ヘクタールですが、これをも上回る大変な規模のものになるわけであります。まずその点についてひとつお
伺い
したいと思います。
二瓶博
264
○二瓶
説明
員 第二期の
水田利用再編対策
につきましては、現在全般的に検討を進めておるところでございます。その際に、
転作
等目標面積をどうするか、どの程度の規模にするかというのも大きな検討対象でございます。この具体的な規模につきましては、まだ結論を得ておりません。したがいまして、七月二十二日に報道されました六十五万ヘクタールといいますものは、まだ決めておるものではございませんので、
一つ
の観測記事であろうかと、かように思います。具体的な規模につきましては、最近における……(野間
委員
「いつ決めるのですか」と呼ぶ)これは全体の仕組みとの関連もございますが、なるべく早く決めたい。特にいま各県の方からは、この秋に裏
転作
として麦をまくということもございまして、なるべく早く決めてもらいたいという
要請
が強うございますので、私たちといたしましては、できるだけ早く決めていきたい、こういうことで
努力
したいと思います。
野間友一
265
○野間
委員
時間がなくなったのですが、しかも同時に私お聞きしておきたいのは、この拡大に
当たり
まして、
転作
条件の整備の問題ですが、
価格
対策
、土地基盤整備など、これを進めるどころか、事実上の単純休耕、例の農協管理
転作
ですね。これの再導入とか、単純休耕の再導入が、農協管理
転作
という名前でだんだん広げられておるというようなこと。あるいは
転作
奨励金単価の切り下げなどが行われるのでないかという懸念を
農民
が非常に強く持っているわけであります。農水
大臣
の朝日のインタビューの記事などを見ましても、何かそういうニュアンス、つまり見直しをするようなニュアンスの発言があります。これまた大変でありまして、この奨励金は三年間据え置かれておるわけであります。
農民
はむしろこれを
引き上げ
ろという強い要求を持っておりますが、これらに対する対応をぜひ聞かしてほしいと思います。
二瓶博
266
○二瓶
説明
員 第二期におきます
転作
奨励金の
水準
をどうするかというのも、これも全体の仕組みの一環として検討をいたしております。この
水準
をどうするかということにつきましては、全体の仕組みとの関連もございます。それから、
転作
作物でございます麦とか大豆とか、そういうような作物の
生産
性なり収益性が第一期を始める前に比べてどういうふうに推移をしてきておるか、あるいはまた、財政負担の問題がどうなるであろうかというようなことを
総合勘案
してこれは検討する必要があるということで、いろいろ詰めておりますけれ
ども
、現段階で確たることを申し上げる段階には至っておりません。 それから、休耕の問題でございますけれ
ども
、この休耕につきましては、かつて四十六年から四十八年まで
生産調整
をやりました際に、その三年間に限りまして単純休耕ということを認めたことがございます。ただ、これにつきましては非常に
水田
を荒らすだけじゃなしに、
農民
の心を荒らすとかいろいろな御批判もございました。そういうこともございますし、狭い国土の有効利用、自給力の強化という観点からいたしましても、単純休耕というものを導入するのは
相当
問題ではなかろうか。現在管理
転作
というのを認めておりますけれ
ども
、こういう措置でもって対応できるのではなかろうかというふうな方向で検討をいたしておる段階でございます。
野間友一
267
○野間
委員
もう時間がなくなりましたので、
最後
に
一つ
お聞きしたいのですが、
農林省
の自給率の六十五年
見通し
、これも先ほどからも
論議
がありました。これによりますと、六十五年の
見通し
は、穀物で三〇%ですね。
あと
いろいろ内訳がありますけれ
ども
、そういうことになっております。これはまた自給率の向上どころか、いまよりも低下するわけでありますね。これは大変なことであります。しかも、
大蔵省
の「歳出百科」などを見ますと、「
需要
にそぐわない
生産
」、米ですね、あるいは「収益性が極端に悪い
生産
」、これは麦とか大豆などをこの前後の脈絡からいきますと指しておると思います。これを続けることは、国民経済的に見て受容されるものではない、こう言っておるわけですね。つまり米をつくるな。ところが
大蔵省
当局は、「歳出百科」などを見ますと、麦や大豆など
転作
の目玉作物の増産についてもブレーキをかけようとしておるということすら、私はこの中で読み取れるわけであります。いま申し上げた自給率の六十五年の
見通し
におきましても、確かに穀物の中で、たとえば小麦等についてはこれをふやすというような方向の
数字
も出ておりますけれ
ども
、しかし、おしなべて、トータルとして穀物の自給率は、五十三年の三四%が、六十五年の
見通し
が三〇%と、こういうことになっております。こういうことでは国会の決議にも反するどころか、農村はますます疲弊する、荒廃するということにならざるを得ないと思うのです。 したがいまして、私はもう時間がありませんのでこれで終わりますけれ
ども
、さらに次回にもこの問題を取り上げて続けますが、このような口と実際のやっていることがうらはらではなくて、ぜひまともにひとつ
農政
を進められるように心から私、要求しまして、
最後
に政務次官から答弁をいただいて、私の
質問
を終わりたいと思います。
志賀節
268
○志賀
説明
員 野間先生の意のあるところを体してがんばってまいりたいと思います。
田邉國男
269
○
田邉委員長
木村守男君。
木村守男
270
○木村(守)
委員
午前中に引き続いて機会を与えてもらってありがとうございました。 まず私は、米が余っておる話ばかりが昨今問題になっておることは私も認識はいたしますが、米が余ったことに食糧庁にしても
農林省
にしても余り神経質にならない方がいい、政治家のわれわれも。米が足りなかった時代のことは私よくわからぬけれ
ども
、米が余ったということは、そんなにむずかしい問題だと私は思っておりません。余ったらそれをさらにつくれという必要もないし、あるいはまた余らないようにしていけばいいのであって、余ったそのことにだけきゅうきゅうとしている節がある。それじゃいけない。もっとおおらかな気持ちになって、具体的にどう解決するかということに自信ある姿勢を示してほしい。 そこで、政務次官並びに関係者にお尋ねいたします。
一つ
は、現実に
水田利用再編対策
ということで減反が余儀なくされておることはやむを得ないとは思います。その場合に、たとえば地域分担型の、日本列島の
一つ
の政策に基づいた、その辺をもっと重視したやり方を
考え
るべきじゃなかろうか。たとえば関東平野とか、あるいは関東平野から四国の一部とか日本海側などの一部を外した西側は、麦との二毛作が可能地域が多うございます。
農林省
が発表しておる。こういうことなどを
考え
た場合、やはりそういう長期的な展望に立って、皆さん方が唱えてきている地域分担型の適地適作の政策を踏まえた
水田利用再編対策
というものを打ち出すべきじゃなかろうか、私はこう思います。大体
最初
の第一次減反などは全国一律の減反から来ている。当面の余った米をどうしてなくするかだけにあなた方は目がいった。そういうことであったら、むしろ三十年、五十年後になったら、私は悔いを残すおそれなしとしない、こういう
立場
から申し上げるわけであります。そういう意味での今後の取り組む姿勢を示していただきたい、これが第一点であります。 いま
一つ
は、現実に青森県なんかでも約十七万八千トンぐらい特別搬出をお願いした経緯がございます。いわゆる古米にかかわる倉庫の問題であります。これは青森県だけでない、その地域によっても差がございますけれ
ども
、特殊な地域があるわけですが、今後は自然な
需給
の流通だけに任せることなく、
努力
はしているのでしょうが、わが青森県などにかかわる——他の県もあるようですから、こういう倉庫
事情
等を勘案して万全の策が講じられていると思いますが、今後の
見通し
はどうなっておるか、その点もお知らせ願いたい、これが第二点。 もう
一つ
は、先ほど先輩、同僚の
方々
からも備蓄の問題が出ました。この備蓄の問題について、私は、備蓄の施設とか技術もさることながら、余っているということに対応しても、日本としては何年ぐらいを妥当としているのかということを率直にお答え願いたい。それにはどう対応しようとしているのか。先進国の例によりますと、主食にかかわっては大体十八カ月以上持っているようであります。そういうことなどを判断した場合どう
考え
られているのかということですね。 それからいま
一つ
は、激変緩和措置がなくなるようでございますが、非常に遺憾であります。二・三%だけの
引き上げ
でいって、北海道、青森県など、特に青森県などは、こういうことになりますと大変な結果になりはせぬか。そこで今度のような
諮問
にそのまま答申が出た場合、それを受けて
決定
するとすれば、実質的な
据え置き
どころじゃない、落ち込みになるような心配が出てまいりました。そこで政務次官は、答申後にその辺の
事情
を踏まえて、何らかの政治加算をとる用意があるのかどうか、重ねてお尋ねしておきたいと思います。 以上、お答えをいただきます。
二瓶博
271
○二瓶
説明
員
転作
等目標面積の配分の際に、地域分担といいますか、適地適産の思想、こういうものを十分織り込むべきではないかというお話でございます。三十九万一千ヘクタールを割ります際には、七つの要素を使いまして、その際この地域分担の思想を三割のウエートでもって織り込んだというようなことで、大分これを織り込んで配分をいたしました。それから、五十五年度のときに十四万四千ヘクタール上積みをやりましたが、このときは、この割りました各県の目標面積割りを半分のウエートで見まして、
あと
は
水田
面積割りを半分のウエートで見たというようなことで五十五年度の上積み分はやらせていただきました。 そこで問題は、今度は第二期になるわけでございますが、第二期のときにやはりこの適地適産あるいは地域分担の思想を十分織り込めという御主張がございます。これは主として東北あるいは北陸等において非常に強い御
要請
でございます。他方、西の方になりますと大分趣が違いまして、
転作
率も
相当
高くなってきておる、それから飯米
農家
が多いというようなことで、飯米
農家
の方は余り食管
制度
にもお世話になってないのだから、むしろ食管
制度
にお世話になっているところに配分すべきではないか、そういうような御意見もございます。いずれにいたしましても、いろいろそういう御意見等も十分勘案しながら、適正に配分をしたいということで目下検討をいたしておるところでございます。
小野重和
272
○
小野説明員
三点ございます。 青森県における倉庫の問題でございますが、日本全体で
過剰米
が累積しておるわけでございます。特に地域を申し上げて恐縮でございますが、北海道、青森、いわゆる四類、五類の米が売れ残っている、したがって、特にその地域で倉庫が非常にいっぱいになっているという事実がございます。したがいまして、
基本
的には四類、五類の
自主流通
というようなことでもう少し販路が伸ばせないか、こういう問題がございますが、当面の倉庫問題といたしましては、ことしの出来秋にお米が倉庫に入らない、新米が入らぬということでは困りますので、特別搬出等をいたしておりまして、そういうことのないようにいたすつもりでおります。 それから二番目に備蓄の問題でございますが、現在米について申し上げますと、二百万トン備蓄ということ、そういう
方針
でおりますが、現実にはもう六、七百万トンという
過剰米
がたまっておるわけでございます。この二百万トンの物の
考え方
は、四十六年が過去、最近では最大の凶作の年でございますが、この凶作の年が二年連続してもなおかつ耐え得る、こういうことで二百万トンということにしておるわけでございます。 これをもっとふやせないかという問題でございますが、これは、それだけの備蓄をしますと大変金がかかるという問題もございますし、それからまたそれだけの必要性がそもそもあるかという問題もございますし、それからまた備蓄するということと、
消費
拡大のためになるべくおいしい新米を売るということとは全く矛盾する問題でございまして、一方では
消費
拡大をしなければいかぬことですから、その辺のもろもろの要素を
総合勘案
して現在では二百万トン、こういうことにいたしておるわけであります。 それから激変緩和措置でございますが、これは私
ども
といたしましては五十四年度限りということで去年決めたものでございますので、ことしはやらないという
方針
でいきたいと思っているわけでございます。
志賀節
273
○志賀
説明
員 お米のないことを
考え
れば余っている方がよいではないか、余り神経質になるなというお話でございましたが、過ぎたるは及ばざるがごとしのたとえもございますとおり、いずれも厳しい問題だと私
ども
は受けとめておる次第でございます。 それから激変緩和措置についての御
質問
でございましたが、実は私は、
農林水産政務次
官を拝命する
事態
に至るとはつゆ知らなかったときでございますけれ
ども
、選挙後、岩手県におきまして、盛岡で
農民
との対話集会というものが農協の主催のもとにございまして、その際、私は、二年間
据え置き
で三年目も
据え置き
というのはいかがなものであろうかということを発言をいたしております。それからもう
一つ
は、かつて四十四年、四十五年の二カ年にわたって
据え置き
で四十六年に政治加算がなされたことがあった、しかし今回は政治加算はいかがなものであろうか、やはり
基本米価
としてこれを処理しなければいかぬ時代に来ておる、私はこういうお答えをしたわけでございました。その後、ゆくりなくも現在のポストに私はついたのでございますが、たまたま今日の状況は、私がその際申し上げたこと、お約束したとおりの形になったようなことになっておるわけであります。私がその農協の対話集会で、激変緩和措置はそのまま残存させながら
基本米価
はいじらないというようなことを言えばあるいはおしかりをいただいたのではないかと思うのでありますが、私は激変緩和措置は残存させないでも
基本米価
を上げていかなければいかぬという
考え方
を申したのでありまして、その線から申し上げますと、首尾一貫して、現在とっておるような方向で御
理解
をいただきたい、私はこのように
考え
る次第でございます。
木村守男
274
○木村(守)
委員
時間ですから、終わります。
田邉國男
275
○
田邉委員長
それでは、松沢俊昭君。
松沢俊昭
276
○松沢
委員
本日、午前午後にかけて、各
委員
から
昭和
五十五
年産
生産者米価
についての熱心な御
質問
がございました。 日本社会党、公明党・国民
会議
、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブの五常で協議し、
昭和
五十五
年産
生産者米価
決定
に関する決議案をまとめましたが、自民党と合意を得ることができませんでした。 そこで、五党を代表して、
質問
で、五党の合意に達した
考え方
を申し上げますので、これについての
政府
の見解を明らかにしていただきたいと思います。 時間がございませんので、案文を朗読して
質問
にかえます。
昭和
五十五
年産
生産者米価
決定
に関する件(案)
政府
は本日、
米価審議会
に対して
昭和
五十五
年産
生産者米価
の実質
据え置き諮問
を行った。しかし、これはさきの国会で全会一致採択された「食糧の自給力強化に関する決議」の
趣旨
からして十分なものでなく遺憾である。よって
政府
は、本
年産
米価決定
に当っては、この国会決議を十分尊重し、その具体化の第一歩として左記事項に留意すべきである。 記 一、
政府
は、本
年産
の
生産者米価
の
決定
については、米作
農家
が厳しい米の
需給事情
のもとでの大規模な
生産調整
の実施と
米価
の二年連続
据え置き
により、
農家
所得
を大きく後退させている最近の農業経営の現状に深く
配慮
すべきである。よって、その
算定
に当たっては
生産費
及び
所得補償方式
により最近の
物価
、労賃、
生産
資材等の上昇を的確に反映させ、農業・
農民
団体の意見を尊重して
基本米価
の引上げを図ること。 一、
生産者米価
における
品質格差
とその拡大は、
水田利用再編対策
等で深刻な状況にある農業経営を一層困難におとし入れるので、これを行わないこと。 右決議する。 以上であります。 御答弁をお願いします。
志賀節
277
○志賀
説明
員 ただいまの御意見につきましては、本日の
委員会
においても種々御
論議
のあったところでありますが、現在
米価審議会
で審議中であり、その答申を得て適正に
決定
してまいりたいと
考え
ております。
田邉國男
278
○
田邉委員長
本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十三分散会