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藤井説明員 公務員の生産性の問題というのは、これは大変むずかしい問題でございまして、一部ではいろいろ検討もされ、論議もされた
段階がございますが、確たる客観的な結論というようなものまで出す
段階には至っておらないというふうに私は承知をいたしております。
というのは、先生も御承知のように、
民間の企業の場合におきましては、端的に生産性が上がるからどうかというようなことは、その企業の利潤、社会貢献度というようなことで
それなりの物差しというものがわりとわかりやすいということがございます。
それに対しまして
公務員の場合は、たとえば教員の場合でもそうでありましょうし、治安維持の警察というものもそうでありましょう。また、公共事業に従事をしている
公務員というようなものもございますし、そのほか税金の徴収に当たっておる税務職員というふうに非常に種々雑多でございまして、それぞれについていわゆる
民間並みの生産性というようなものを論議できるだろうかという、大変なむずかしい障壁がそこにあるわけでございます。
したがいまして、それらの点をひっくるめて九十何職種にわたるものについて生産性を云々してやっていくということは、理屈としては
考えられても、現実問題としてはとても納得できるような結果は出ません。そういうことから、
民間の実情というものを
把握をいたしまして、それとの
比較によって結論を出して、
較差があればそれを埋めていただくということでやっておるわけでございます。この点が一つございます。
それからもう一つの点は、これは私の
立場から申すべき筋合いのことではないかもしれませんけれ
ども、たとえば端的なことを申し上げまして、戦後になって特にここ最近、第何次にわたりまして行政整理、定員
削減というものをやっております。明らかに一般の
公務員その他についてはほとんどふえておりません。ふえておる部面は、要するに教育関係でありますとか医療関係。地方
公務員の場合は、現場がございますので
伸び率はどうしても国家
公務員の場合よりもふえているようであります。
そういうことを
考えてみますると、一つの例を申し上げまするならば、いま申した税務職員一人について申しましても、それの課税徴収額というものは過去の
経過から見ますとそれこそ何倍にもなっておる。それに対してほとんど人はふえないというようなことでございまして、これは
考え方によってはやはり減量経営という結果になっているのではないだろうか。逆に言えば、それが
公務員の生産性の向上というふうに見てもいいのではないかという
感じがいたしております。
しかし、いずれにいたしましても、職種が非常に種々雑多でございまして、一概に言うことができませんですから、そういう
意味でいまのところは行政職
俸給表の(一)、(二)という職員を対象にいたしまして、それと類似の
民間の
給与の
実態を調べて、それとの均衡の上で結論を出しておるということでございます。
この点は先生には釈迦に説法で申しわけございませんが、たとえば
公務員の
給与はどういうふうにあるべきかということは、やはり世界各国でもいろいろ問題になっております。その結果現在は、これは口幅ったいようでありますが、日本の
人事院制度がのっとっておる
民間給与との
比較方式というものがおおむね先進国では定着をしておるようであります。
言葉はほぼ同じでございますが、アメリカにおいては、
民間と
公務員との同種のものというものが匹敵をする、匹敵性の原則と言っておりますし、ドイツ、イギリス等では均衡性の原則ということを言っておりまして、ほぼ日本のやっておるやり方を踏襲をしておる。言葉が悪いですがまねてきておる。やはりこれしかないのじゃないだろうか。それで
公務員にも一応納得してもらうし、国民にも曲がりなりにも納得をしていただく。そういうことの結論からいって、いまの方式よりほかにとるべき
方法というものは、現
段階ではなかなかむずかしいのではあるまいか、私はかように
理解いたしております。