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1980-07-24 第92回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年七月二十四日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村佐近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       上草 義輝君    小渡 三郎君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    田名部匡省君       宮崎 茂一君    森  美秀君       上原 康助君    角屋堅次郎君       矢山 有作君    渡部 行雄君       市川 雄一君    小沢 貞孝君       榊  利夫君    中島 武敏君       河野 洋平君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    斧 誠之助君         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府総務副長         宮       佐藤 信二君         総理府人事局長 亀谷 礼次君         行政管理庁行政         管理局審議官  門田 英郎君         大蔵省主計局給         与課長     水谷 文彦君         大蔵省主計局主         計官      畠山  蕃君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 七月二十三日  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願山村治郎君外四名紹介)(第一号)  傷病恩給等改善に関する請願細田吉藏君紹  介)(第五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十三日  靖国神社公式参拝に関する陳情書外二十件  (第一号)  靖国神社公式参拝及び国家護持反対に関する  陳情書  (第二号)  旧軍人軍属恩給欠格者補償に関する陳情書  (第三  号)  行政改革の推進に関する陳情書外一件  (第五号)  旧軍人軍属等恩給等改善に関する陳情書外  一件(第六号)  傷病恩給等改善に関する陳情書  (第七号)  文書館法の制定に関する陳情書  (第八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  公務員制度及び給与に関する件  請 願  一 青少年健全育成のための社会環境浄化    に関する請願山村治郎君外四名紹    介)(第一号)  二 傷病恩給等改善に関する請願細田    吉藏紹介)(第五九号)      ――――◇―――――
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 例年のことながら、人事院皆さん勧告を目指して大変な作業を続けておられることに、最初に敬意を表しておきたいと思います。  言うまでもありませんけれども人事院勧告公務員労働者生活と権利に決定的な影響を持っていることから、公務員共闘を初め公務員関係組合の人々が、いままで人事院やあるいは政府に対して直接要求やあるいは交渉を重ねてきたことは私どもも存じております。皆さん誠心誠意それらの関係団体諸君と話し合いを重ねてこられたことにも感謝をしながら、今後ともそういう立場誠意のある協議を続けていただきたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思うのです。  勧告に向けて大詰めの作業が行われている段階で、従来、内閣委員会を開きまして、勧告問題について質問あるいは審議を続けてきたことはいまや慣例になっておりまして、本委員会も、そうした慣例に基づいて私ども要請に対してこたえていただいた各位にお礼を申し上げておきたいと思います。  最初に、勧告作業が現在どのようになっているか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  4. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告作業は大体例年どおりのベースで進んでいるというふうに考えております。現在、民間給与調査の結果が漸次明確になって人事院会議に上がってきておるという段階でございます。  較差の点は、これは大変な作業でございますので、いつものとおりもう少し時間がかかると思いますが、民間における今度の春闘のベースアップの結果どのような層に重点を置いて配分がなされておるかとか、その他扶養手当通勤手当等状況は逐次明らかになっております。これを中心に現在鋭意連日作業を続けておるという段階でございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 昨年は八月の十日に勧告が行われました。ことしは十日は日曜日でございますから八月の八日ころをめどとして努力をしているというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  6. 藤井貞夫

    藤井説明員 具体的な日程は、いろいろ作業状況等もございまして、いま本日ここで何日ということを断定して申し上げるわけにはまいりませんですが、しかし、全般的に申しまして、なるべく勧告の時期は早めるようにという要請もございます。また、われわれもその方が好ましいということで毎年努力をいたしておるつもりでございます。  昨年は十日ということでございましたですが、本年はいまお述べになりましたように十日は日曜日ということになります。それを過ぎますとやはり去年よりおくれるということに相なりまして、これはわれわれの本意でもございませんので、そこに行くまでの時期に勧告がやれるように努力をいたしたいというつもりでおります。  したがいまして、いまお話しになりましたように、大体八日中心にということで、これは常に、内閣に対して勧告をいたしまする際には閣議の日ということを一応目安にいたしております。今度いろいろ事情がございまして、閣議の日取りその他につきましては、大体夏はなるべくひとつ休もうというような空気もあるようでございます。それはそれといたしまして、総理大臣その他の方がいらっしゃればいいわけでございますので、それらは十分連絡をとりながら、大体八日を中心とする日に勧告を出すということで現在努力をいたしておるという段階でございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 作業状況もございますから、一概に申し上げることは考えなければなりませんけれども早期勧告という、私どもお願いをしてまいりましたし、関係労働者もそのことを求めておりますので、八日というふうに私は理解をしたいと思いますが、おくれないように御処置を願いたい、このことをお願いをしておきたいと思います。  念のためあえて、念のためと申しますのは、一昨年も昨年もそういうことでございましたから念のためと申しますけれども、五%を割った場合でも勧告が行われてきたわけでございまして、いま割るか割らないかという議論を申し上げるのが前提ではございませんけれども、ことしもその方針をお貫きになるおつもりかどうか、それについての見解を承っておきたいと思います。
  8. 藤井貞夫

    藤井説明員 累次いままで機会のあるごとに申し上げておりますような理由に基づきまして去年、おととし、両年にわたりまして五%の較差を割るという状況が出てまいりましたけれども、やはりこれは無視するべきではないという観点からあえて勧告に踏み切ったわけでございます。この方針は、結果がどのようになるかはいまのところわかりませんけれども、今年も基本的な方針は堅持をしてまいりたい、かように考えております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 昨年の勧告に当たって、総裁が「勧告にあたって」ということで前文で付言をされておられます。その中で「国会及び内閣におかれては、この勧告の実現のため、速やかな措置を執られることを切望する。」と述べておられます。昨年の勧告後の経過を振り返ってそのスケジュールを私は申し上げるつもりはございませんが、そうした総裁の希望というものが、昨年の場合は生かされたというふうにお考えですか、これは私見で結構でございますが。
  10. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは内閣事情もございます。そのときの国会情勢もございます。またわれわれがいろいろ言うことは差し控えなければならない政治情勢というものもあるわけでございまして、その点についてはとやかくの批判は申し上げることは差し控えたいと思いますが、しかし、早期実施ということは結果的には果たされなかった。いろいろな情勢がございました。これはわれわれとしてどうこうという筋のものではございませんですが、結果的にはそれが果たされなかった。そういう意味においては、人事院立場としてはやはり遺憾であったと言わざるを得ないというふうに考えております。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 具体的な問題で御質問をいたしますが、労働省調査による賃上げ状況を昨年と比較してどのように把握をなさっておられるか。それは民間の場合、それから公労委仲裁裁定について、その二つの点について私どもそれなりの資料を持っておりますが、人事院はどのように把握をされておられるか、御説明を煩わしたいと思います。
  12. 長橋進

    長橋説明員 お答え申し上げます。  労働省春闘調査では昨年は六・〇%、それに対しまして本年は六・八%の伸びになっておる。昨年に比べまして〇・九%ないし一%伸びておるというような状況になっております。  公務員の場合について申し上げますと、四月時点におきます民間事業所におきまして実際支払われた額と、それから四月時点におきます公務員に実際支払われている額、その額を比較いたしましてその差額を埋めるという方法をとっております。  一方、労働省等におきます数字民間大手におきます伸びを平均したものでございまして、したがいまして、その数字を置きかえるかっこう比較するということになりますと、数字自体性格の違うものでございますから、一概に比較というのはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、いずれにしましても、基本的には民間給与動きというものをもとにしておりますので、従来からそう乖離した数字が出るというかっこうではございません。  ただ、公労委裁定との比較等を見ますと、人事院勧告数字とそれから裁定数字と大変近寄ったときもございますし、またかなり開いたときもございまして、ここ数年の動きを見てまいりますと、ちょっと隔年ごとにそういうような傾向が見られますけれども、その事情は先ほど申し上げましたようなかっこうであろうと考えております。  したがいまして、ことしについて見ますと、従来の経緯から考えまして、昨年の状況よりもやや高目に出るのではないかというような観測が持てますけれども目下集計作業中でございますので、いずれにしましても、その結果を待って明らかにされるであろうという考えでおります。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう一遍そこの点を確めておきたいのですが、労働省統計大手企業中心でございますけれども、六・八七%の引き上げ率、そして仲裁裁定の場合はこれは数字のとり方はいろいろございますけれども定昇を除いて四・三九というふうな数字でとらえてようございますか。その点はどうですか。
  14. 長橋進

    長橋説明員 先ほど御答弁申し上げますときに公労委裁定数字をちょっと落としましたけれども、御指摘のとおり、三公社五現業に対します仲裁裁定では率にしまして六・六三、これは定昇を除きますと四・三九という数字であると承知しております。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ことしの春闘経過を見ると、公務員共闘が最終的な賃金交渉基準について国公労働者基本賃金を五%、一万円程度引き上げるという要求にまとめたことは、率直に言ってきわめて控え口要求だと私は考えますけれども、この点についての率直な御見解を賜りたいと思います。
  16. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務員共闘その他の組合態度も最近特に非常に現実的と申しますか、いろいろ諸般の情勢をにらんだ要求をまとめるというやり方になってきております。最初要求は別といたしまして、その後いろんな推移をながめながら、まあこの程度のことでぜひということでまとめてやってくるというのがここ二、三年の顕著な傾向になってきております。その態度自体は私たちも高く評価しております。  ただ、この点はあくまでも官民較差という前提に立ってのことでございますので、結果的にどういうことになるかはいまこの段階で申し上げるわけにはまいりませんが、しかし、去年に引き続いてことしの要求自体についても、理不尽という言葉はおかしいですが、現実から大変遊離した要求を出すんだ、形式的に要求するんだということではなくて、現実的な姿勢をとってきておるということについては、それなりの評価はいたしております。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ことしの仲裁裁定について、私は実は少なからぬ問題点指摘せざるを得ません。  これは人事院に伺うことではないのですけれども、私の見解を含めて申し上げておきますと、実は私自身が直接かかわったのですが、昭和三十九年の例の池田・太田会談によって確認されました民間準拠、それから導かれたいわゆる私鉄国鉄連動方式を含めての、私鉄賃上げ民間賃金を代表するということが慣行として公労委調停作業の中でも、あるいは仲裁裁定作業の中でも慣例化してきている。  にもかかわらず、ことしの春闘というのは、財界あるいは政府の圧力とあえて申し上げなければなりませんが、公労委の一部委員態度によって  一発回答みたいな形になってしまったわけであります。その結論を振り返ってみるまでもなく、いま私が申し上げたいままでの慣例というものが一方的に踏みにじられたという点を私としては強調せざるを得ないと思うのです。  そのことを前提にして、しかし、あえていままでの経過について申し上げますと、この十年来、人事院勧告仲裁裁定を上回ること〇・一ないし〇・三ぐらいのところで動いてきたという経過を私なりに振り返ることができると思うのです。ちょっと聞きにくい、また同時にお答えしにくいことになるのかもしれませんが、そういう経過というものを私たちは頭に置いて勧告数字統計的に判断してよろしいかどうか、率直な御答弁をいただきたいと思います。
  18. 長橋進

    長橋説明員 先ほど申し上げましたとおり、数字の算出に当たりまして方法なりまたは性格自体が違うものでございますから、いきなりその数字を置きかえるというわけにはまいらぬと思いますけれども、ただ経験的に見まして、数年来の動きを見ておりますと、そういう傾向というものとは大体馴致したかっこうになっているというふうに考えております。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これはあえて蛇足になりますが、仲裁裁定を下回るというようなことは考えなくてよろしゅうございますね。これも経験的に御答弁を煩わしたいと思います。
  20. 長橋進

    長橋説明員 正確に申し上げますと、やはり実態調査の結果に基づきまして較差を算出するわけでございますので、多分そうならないであろうということだけでございまして、果たしてどう出るかということは、やはり集計結果を待って判断しなければならない事項だというふうに考えております。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 公務員共闘が五%、一万円という最終的な現実的な要求をしているという状況もとで、いま私が数字的にたどってみると、仲裁裁定定昇部分を除いた四・三九プラス幾らということの導き方、そして経験的に言えば〇・三とか四とかがそれに加わっていくということのように私なりに判断をするわけですが、公務員共闘要求がそこにあることをあえて人事院立場でも——まあ官民較差数字であらわれてきますから政治的にというわけにもなかなかいかぬと思いますが、切実な要求実態というものを御考慮願うようにあえて要請をしておきたいと思うのです。  そうしますと、六年ぶりで前年実績を上回るものになるというふうに私は判断をいたしますが、この点、御答弁しにくいと思いますが、少し輪郭がわかるような御答弁をいただきたいと思います。
  22. 長橋進

    長橋説明員 どちらも民間動きというものをもとにして数字を算出するわけでございますから、したがいまして、そういうことから予測いたしますと、ことしの場合には昨年よりもやや高目に出るのではなかろうかという期待は持っております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もうそれ以上数字を詰めてもなかなか言いにくいし、また言える状況でもなさそうでございますから、その辺で数字やりとりはやめますが、最近の消費者物価指数を見てみますと、ことしに入って前年同期比、総合全国平均になりますが、一月が六・六、二月が八・〇、三月が八・〇、四月が八一四、五月が八・二という数字が、これは雑誌の統計でございますけれども、出ているわけであります。また、きのうの新聞だったと思いますが、総理府統計局家計調査によりますと、五月の全国サラリーマン世帯平均収入は二十七万八千五百二十七円、名目では前年より七・三%増加したけれども、いま私が申し上げたような物価上昇に食われて実質では〇・八%の減少となったこと、そしてさらにこの傾向、つまり実質収入マイナスというのは五カ月に及んでいる、こういうことが明らかになっています。  こうした状況もと人事院は、国家公務員法第六十四条の「俸給表は、生計費民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、等級又は職級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。」という立場から、実質賃金を確保するために最大限の配慮を払うべきだというふうに思いますけれども、この点についての御見解を承っておきたいと思います。
  24. 長橋進

    長橋説明員 総理府家計調査によりまして消費支出が三月以来マイナスになっているということも御指摘のとおりでございます。それから労働省の毎月勤労統計調査によって見ましても、この消費者物価上昇というものを反映いたしまして、実質賃金もまたマイナスになっているというような状況でございます。  しかし、公務員給与につきましては民間給与との均衡を図るということを基本にしておりますので、そういう状況もとにおきまして、公務員給与についてだけ特別の措置を講ずるということはなかなかむずかしい問題だろうと思います。  実質賃金の向上ということになりますと、名目を上げるということも一つの方法かもしれませんけれども、しかし、いずれにしましても、やはり物価の安定を図るということが大事でございまして、私どもはその物価動きについて絶えず関心を持っておりますけれども、しかし、この際、その生計費等配慮から特別措置を講ずるということはやはり申し上げましたように大変問題があろうかというふうに考えます。  ただ、水準の問題はそういたしましても、実際、配分ということになりますと、その辺の事情は十分留意した上で配分適正化を図ってまいりたい、そういうことの配慮を加えたいというふうに考えております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは配分について伺いますが、昨年、世帯形成層及び中堅層のところにウエートをかけて上積みをやってきたということが、やりとりを通して明らかになっていますし、勧告もそのことを示しています。ことしも引き続いてこの世帯形成層のところを、つまり前だるみ是正とでもいいましょうか、そういう御努力をなさる方針でしょうかどうか、配分について若干御見解を示していただきたいと思います。
  26. 長橋進

    長橋説明員 配分につきましても、民間の動向を参考にするということは当然でございますけれども、しかし、先ほど申し上げましたような事情から、やはり世帯形成層以降のところの生活負担度が重くなっているのではなかろうかということを考慮いたしまして、ことしの場合もできれば昨年に引き続きまして若中年層と申しますか、若い層のところに注意をしてまいりたいと考えております。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 少し具体的に伺いますが、特別給の問題は、労働省調査によっても民間の場合、昨年の夏一一・五%ですか、冬も一〇・三%、ともに前年を上回っているということがはっきりしているわけであります。その意味では、たしか昨年十二月六日だったと思いましたけれども、本委員会給与局長が私の質問に対して、「私の率直な感じとしましては、来年は切り下げということの事態を生じないのではないだろうかというような期待は持っております。」こうお答えになりました。しかし、その後の経過はこの御答弁以上に前年を上回った、つまり回復してきたというふうに考えますけれども、昨年の答弁とのかかわりを含めて、この際、御答弁をいただきたいと思うのです。
  28. 長橋進

    長橋説明員 昨年、そのような御答弁を申し上げましたことは事実でございます。後から反省いたしまして、やや少し行き過ぎの答弁だったかなという感じもしないではございませんけれども特別給につきましては、民間調査の結果をいま集計中でございますので何とも申し上げかねますけれども労働省の発表なされました調査等によりますと、確かに大手企業においては伸びておりますが、一方、毎勤の三十人以上の事業所調査でございますが、それによりますと、やや伸びが鈍っておるというような状況でございますので、切り下げなくて済むのではないかという程度のことは言えるかと思いますけれども、それ以上のことになりますと、集計結果に基づきまして、それを分析した上で明確な線を出したいというふうに考えております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ここで算定の仕方や数字の見方などについて細かくは申しません。これは当該労働組合諸君人事院とのやりとりの中で示していることでありますから、計算の仕方などについての問題点は御理解をいただいていると思います。  しかし、衆議院において可及的速やかな復元措置をとるべきであるという国会決議もございます。二年にわたって〇・三の削減という経過があるわけでございますから、やはり復元措置を、いまの国会決議を生かす意味で今回の勧告の中にもぜひそういう要求配慮なされることが望ましい、こういうことを申し上げておきたいと思うのです。  いずれにしても、これも実はきのうの新聞なんですが、日経連が、大手企業のことしの夏のボーナスについての集計を行っております。日経連はいつもちょっと低目に出るわけですけれども、その中でも、六年ぶりに一〇・五%の二けたの伸び率ということを発表いたしております。このような実績というのはことしの勧告の中に入るルールではないと思いますけれども、たとえばことしやらなかった、来年は、確かに数字は出たが、景気がどうなるかによっては公務員諸君はがまんしてもらわなければならぬということになりかねない経済状況というものを考えますと、ことし復元措置について人事院が積極的な態度をぜひお示し願いたい、こんなふうに思いますけれども、その点御答弁をいただきたいと思うのです。
  30. 長橋進

    長橋説明員 確かに、削減のとき以来の経緯につきましては十分理解できるところでございますけれども人事院といたしましては、客観的な確実な数字に基づいて対処していくということが生命であろうと思います。したがいまして、削減のとき以来の事情はよくわかりますけれども、やはり確実なデータに基づいて対処していく姿勢は従来どおり堅持してまいりたいというふうに考えております。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 予断を持つことは人事院としてどうかというふうにお考えになるのかもしれませんが、昨年の経過、そしてことしもし復元措置がとられないという場合に、ことしの夏、そして私なりに判断をすれば、ことしの冬という状況を展望しても、来年は楽しみだというふうにはお考えになっていらっしゃいませんか。率直な御感想を御答弁願いたいと思うのです。
  32. 藤井貞夫

    藤井説明員 いわゆる賞与、特別給につきましては、前年の五月からことしの四月まで一年間にわたる状況を詳細に調べて、その結果に基づいて措置をいたしておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、ことしの夏あたり特別給伸び、これは現実にあるというふうに私どもも思います。しかし、調査方法自体についての批判は別といたしまして、従来やってきたところから申しますと、これはことしの場合には反映をいたしません。そのかわりに来年の場合においてはそれが加味されてまいるということもあるわけでございます。  この点はあくまで民間との対比でもって事を決定をいたしてまいりますので、仮に景気がこれから下降していって、世間の情勢から見て、来年の場合に公務員のあり方等についていろいろ批判が仮にあるといたしましても、そのことは調査の結果という冷厳な事実に基づいて措置をし、判断をするということでございますので、そういう点は情勢判断としては頭の中には入れながら、しかし、あくまでそういうことにはとらわれずにやっていくということが人事院の従来からのやり方でございます。したがいまして、率直な結果というものが出れば、これは調査の結果で、確実に反映されてまいるものでございますから、そういう点につきましては、われわれも若干の楽しみはあるということは申し上げて差し支えないかと思います。  そもそもこの二年にわたって特別給を引き下げたということにつきましては、累次申し上げておりますように、私自身といたしましても非常に心ないと申しますか、やむを得ない措置ではあったものの、非常に気持ちといたしましては進まないということであったことは事実でございます。特に国会においても速やかにひとつ復元措置を講じろということの附帯決議をいただいておることもございます。そういう点を十分頭に入れながら今後とも対処をしてまいりたい、かように考えております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 来年のことまで立ち入った形になってしまったわけですが、いまのような状況というものを含めて、私はいろんな危惧を持たざるを得ない。  しかし、いま総裁から、かねてから御主張いただいているように、政治的なあるいは財政的な事情に拘束されることなく、純粋な数字の議論とでもいいましょうか、官民較差の出てきた結論に基づいて勧告は繰り返していくという御見解を承りましたので、その点は大変敬意を表するわけですが、しかし、ことしは一般的には大手の場合好況と言われる局面にあるわけでございまして、その  一般的には好況だと言われている局面の中で、いま私が申し上げたような実績が昨年来積み重ねられてきている。これらが、計算がどういうふうに出てくるかわかりませんけれども公務員共闘諸君復元をことしこそというふうに求めている背景だと思いますので、その点について十分な御配慮を願いたい、このことを率直に申し上げておきたいと思います。  昨年の十二月、私はこの委員会で、昇給期間の延伸の問題について政府閣議決定を行ったということ、そして閣議決定を人事院にお知らせをしたという手続、そしてその手続が持っている意味ということを含めて、人事院の自主性を損なうものではないのかというやりとりを、総務長官やあるいは総理府、大蔵省の担当者との間に行いました。まだ記憶に新しいところであります。その中で、小渕総務長官でございますけれども人事院を「拘束するものではありません。」という答弁を最終的にはなさったわけでございます。  さてそこで、改めてこの問題をやりとりしようと思いません、ここで一つの区切りがついていますから。しかし、もう一遍確かめておきたいのですが、昨年、昇給期間の延伸などの改正問題というのは人事院勧告事項だという給与局長を初め総裁の御答弁をいただいた、その趣旨に変わりはないというふうに理解してよろしいかどうか、この点は、新しい総務長官もおられるものですから、念には念をという気持ちを込めて、御答弁をいただきたいと思います。
  34. 藤井貞夫

    藤井説明員 昇給期間の延伸の問題、これはいま御指摘がございましたように、昨年の給与勧告についての閣議決定をいたされるときの一つの条件と申しますか、一つの項目としてこの措置を検討をしてもらいたい、しかし、事柄は給与制度の問題だから、人事院でもって検討をしてもらうように依頼をするんだという趣旨のことが決められました。それに従いまして、総理府の方から私あてに、こういうことがございましたという連絡がありました。それはそれなりに十分承知をいたしております。  また、政府立場として、財政再建という非常にシビアな問題を控えておりますので、それなりのお気持ちというものは、あながちわれわれとして問題にならぬということできめつける気持ちはございませんが、しかし、事柄はやはり人事院制度のあり方、その前提になる公務員給与制度のあり方ということにつながる問題でございます。財政再建だから、金がかかるから、金の節約のためだからこれをやってくれということを人事院に頼まれても、それは見当違いというふうに思います。  給与制度としては検討はいたしますけれども、金の節約のために人事院がその問題をとやかくするということは筋の違う事柄であるということは、昨年来申し上げておるとおりでございます。その基本的な態度については全然変わりはございません。  ただ、そういう検討依頼がございましたので、本年の場合は、例年よりも特に念入りに民間の昇給制度のあり方等について調査をいたしております。調査結果はまだ私のところにも参っておりませんが、どういう調査結果が出ますか、それを取り入れる余地があるのかどうかということも含めて、それなりに十分検討はするつもりでございますけれども、しかし、これはあくまで給与制度の一環として取り上げていかなければならぬ問題でございますので、その点は筋道を踏み外さないように十分に気を配ってまいりたい、かように考えております。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま総裁からかなり明確に御答弁をいただいたから、念のためにという言葉は必要ないのかもしれませんけれども、やはり人事院民間調査を念入りにやっておられるというお答えをいただきましたので、これは今回の勧告に間に合いますか、それらの点について御答弁をいただきたいと思います。
  36. 藤井貞夫

    藤井説明員 調査の結果を見ませんと、その点は申し上げかねます。間に合うかもしれないし、間に合わないかもしれません。  しかし、繰り返しますが、基本姿勢というものは、財政的な見地ではないということです。これはベースが出た場合に、その配分をいたしまする際には、やはりあくまで昇給ということを前提にしてやっておるわけです。毎年それを繰り返してやってきたわけですから、較差の問題にもこれは直接的に影響する問題でございます。したがって、これは慎重の上にも慎重にやらざるを得ない問題であるという確信は持っております。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ただ政府から調査依頼があった、そういう事実の経過があるわけでありまして、それに対する扱いというものが、扱い方によっては、いまの総裁の御決意にもかかわらず、やはり因果関係としてとらえられる、そして第三者機関としての性格について疑惑が生まれてくるというふうな懸念もございますので、これは率直に、そういう因果関係としてでなしに、人事院の明確な態度を担保し得るような、そういう措置を求めたい。その意味では、そういうことを性急になさることは私は正当でないというふうに思いますので、これは私の希望でございますけれども、申し述べておきたいと思います。  そこで、いま、延伸問題に関連をして、事実上人事院のスタンスといいましょうか、立場を明らかにされました。念のためにもう一遍申し上げておきます。  人事院は、かねてから民間給与追随の原則のもとに官民給与較差の解消を図ることを目的として勧告を行い、勧告内容は財政事情に左右されることはないという立場を、いまも、そして過去も総裁を初め関係局長が明らかにしてきたのであります。今後ともこのお立場を変えるつもりはない、それは変えることはあり得ないというふうにきつく判断をしてよろしいかどうか、再度御答弁を煩わしたいと思います。
  38. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告制度基本的な運用の姿勢並びにやり方等につきましては、いま御指摘になりましたそのとおりでございまして、これは私もこの席上その他をかりて繰り返し申し上げておることでございまして、これは公務員制度基本に触れる問題であるという認識に立って処理をしてまいりましたし、今後ともその道を踏み外すことはございません。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ちょっと各論に入って恐縮なんですが、昨年の委員会で、私は灯油の値上がりに関連をいたしまして、寒冷地手当についての再調査、そして改善措置要請いたしました。それに対して人事院は検討をいたします、調査をいたします、こういう御答弁をいただいて、その後検討をなすったようでございますが、今回の勧告でそれはどのように扱われるのか、その基本的な方向を明らかにしていただきたいと思います。
  40. 藤井貞夫

    藤井説明員 寒冷地手当につきましては、累次改善すべき点は改善をしてきたわけでございますが、ここ数年のいわゆる灯油の大変急激な値上がりという事態はやはり大変異常でございまして、これは無視することができない状況にあるということはいままでも述べてまいりましたことでございます。ただ、時期その他の点がございまするし、また人事院といたしましては、何かやる際にははっきりとした調査をやって、その結果を見て判断をしていくというやり方をいたしておりますので、今年も六月時点でもって詳細な調査を実施いたしました。その結果、やはりこれは放置でき得ない状況に来ておるものと考えております。  したがいまして、まだここではっきり明言はいたしかねますが、給与勧告と並行して寒冷地手当についても何らかの勧告を出したいということで、並行して鋭意現在作業を続けておるという段階でございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総裁のおっしゃるその並行してという意味は、時期がずれるという意味ですか、それとも別建ての勧告になるから並行してというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点をはっきりさせていただきたいと思います。
  42. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは別建ての勧告でございますので並行してというふうに申し上げたのでありまして、できれば、無論時期は同じということで御了解を賜って結構だと思います。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 かねてから同僚の上原委員が、寒冷地手当があるのだから沖繩など酷暑手当について検討すべきではないかという指摘をされまして、人事院も今後検討してみたいという御回答を得ているわけですが、上原委員はちょっと姿が見えませんけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。
  44. 長橋進

    長橋説明員 沖繩に勤務する人たちに対しまして酷暑手当を支給してほしいという御要望は数年来続いておりまして、私どもそれなりにいろいろ検討してまいりました。ただ、寒冷地手当ということになりますと、やはり北海道等の寒冷地に在勤する職員の冬期間におきます寒冷増高費の一部を補てんするということでございまして、沖繩に勤務する人たちの沖繩の高温多湿の特殊な気候案件を配慮すべきじゃないかという御要望も、もっともと思うのですけれども、ただ、いずれにしましても、そういう生計費の一部を補てんするという角度から考えますと、寒冷地手当との均衡という立場から考えますと、生計費面の支出増に結びつくような数字が出てくるかどうかということでいろいろ検討はしておったのでございますけれども、現在のところではまだ決定づけるような明確なデータというものは得てないというような状況でございます。  一方、ことし沖繩の事務所で、沖繩におきます民間事業所におきましてそういった酷暑手当あるいはそれに類似するような特別な手当を支給しているかどうか調べてもらったのですけれども民間の一部には出しているところもございます。しかし、総じましてそういうような手当を出しておるところはないということでございます。ただ、これは従来の検討の方向といいますか、それがやはり寒冷地手当との見合いというかっこうで、そういう観点から検討を進めてきたということも一つの原因じゃないだろうかなという反省もいたしまして、もう少し多角的な観点から気候条件の特殊性に対応する何かの措置ができるものかどうか、誠意を持って引き続き検討してまいりたい、このように考えております。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 手当について少し質問いたします。  住居手当はことしはどのような対応をなさるおつもりか、伺っておきたいと思うのですが、公務員共闘は、借家等について共通負担額の関連で最高支給額について検討することや、あるいは持ち家についての現行支給基準のうち、所有と居住と世帯主の原則運用の緩和を求めています。これは私、具体的には時間がかかりますから言いませんけれども、その点を含めて検討がなされているかどうか、住居手当全体を含めて勧告でどのような扱いをお考えになっていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  46. 長橋進

    長橋説明員 住居手当につきましては、民間の借家、借間に居住している人たちの負担が著しいということもありまして、その負担を軽減するという趣旨で設けたものでございますが、ことしにつきましては、民間給与調査調査項目の中に住居手当の支給状況という項目を入れておりますので、その集計結果を待って具体的な検討をしたいというふうに思っております。  ただ、いわゆる自宅居住者の関係になりますと、これは昨年もそうでございましたけれども、借家、借間居住者の取り扱いをどうするかということとの関連で対処しておりますので、ことしも恐らくそういうことになるのではなかろうかというふうに考えております。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 扶養手当改善はもう切実であることは私から申すまでもございません。公務員共闘が配偶者には千円の引き上げで一万一千円、子供各五百円の引き上げで各三千五百円の要求をし、さらに支給基準、これは細かいことですけれども、高校在学中でも十八歳に達すると打ち切りになってしまうという点や、あるいは年間七十万程度の収入があれば支給されないというふうなこと、これらが今日の社会情勢にマッチしているかどうかということなどを含めて要望が出されているわけですが、扶養手当改善措置というものはことしおとりになるというふうに判断をしてよろしゅうございますか。
  48. 長橋進

    長橋説明員 現行給与制度上、扶養手当世帯形成層以上の職員の生計費的な面から見まして非常な効用を持っておるということの認識のもとに、これまでも扶養手当については特に重視して改善してまいったところでございます。本年におきましても、物価それから実質賃金、そういった状況が先ほど申し上げましたような状況でございますので、いわゆる世帯形成層以上のところにどういう面から生活負担度をやわらげていくかということから扶養手当について重点的に臨んでいきたいと思っております。  ただ、そうは申しましても、やはり従来からこの種手当につきましても民間との均衡というものをとっておりますので、したがって、具体的な措置内容につきましては民間におきます調査結果を待って対処していきたいと思っております。  それから扶養手当の問題で、一つは支給範囲の問題でございますけれども、これはいろいろ御要望がございまして検討しておりますけれども、各種諸制度を見ますと大体十八歳ということになっておりまして、この制度的な改正をするということになりますとやはり影響するところもあるのだろうと思いますので、なおこの点については慎重に検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どうも細かいことばかりで恐縮ですが、通勤手当、これも一般的にことしどうするかという点で御答弁をいただきたいのですが、実はたとえば通勤をする場合に国鉄のダイヤと出勤時間が合わない、やむを得ないので、いろいろなあれがあるけれども、省エネなどの要請はあるけれども遠距離マイカー通勤をせざるを得ない、そういう場合のガソリン代などの問題も考慮してほしいというのは、これは一概にぜいたくだとか、あるいは細か過ぎるとかという議論で片づけるわけにはいかないと思う。これらの問題についても、含めて通勤手当をことしどうなさるおつもりか、御答弁をいただきたいと思います。
  50. 長橋進

    長橋説明員 概論としましては機械的な答弁になってまことに恐縮でございますけれども、やはり通勤手当につきましてもせっかく民間調査をやっておりますので、具体的にはその結果を待って対処することになろうと思いますけれども、その中で、御指摘の車等の利用者の問題につきましては、通勤の実態、特に車等を利用される方にはそれなりの理由というものがおありと思いますけれども、特に交通不便等によりまして余儀なく車等を利用せざるを得ないといったような遠距離の通勤不便者につきましては、従来からもできる限り措置してまいりましたけれども、その点についてはことしも従来どおりの認識のもと考えてまいりたいというふうに思っております。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 手当の問題について言うと、おさらいですが、住居手当と通勤手当は、これからさらに民間実態調査との関係を詰めてみなければわからない、しかし、扶養手当はこの際改善をする、中身はこれからの検討にまつ以外にないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  52. 長橋進

    長橋説明員 さように理解していただいて結構だと思います。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 週休二日制の問題について質問をいたします。  二度にわたる試行を経て、昨年の勧告では「民間における週休二日制の普及状況など社会一般の情勢に適応させるため、これを公務に導入する」とされました。しかし、勧告以後一年たった今日の状況は、その勧告が実現を見ていません。それは、去る第九十一国会における政府の対応、ここに私はきわめて遺憾な点があったということを強調せざるを得ません。  この点で、こうした一年間のやりとり経過した人事院は、ことしの勧告で週休二日制の問題について、その実現を政府並びに国会態度に対する一定の見解を含めて表明をなさるべきだというふうに思います。そして昨年の勧告にあるように、「社会一般の情勢に適応させるため、」の対応ということを文字どおり具体的に完全実施させるべく要求をすべきではないか、こんなふうに思いますが、この点についての人事院の臨むべき姿勢をお伺いをしておきたいと思います。
  54. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制については、お話がございましたように、二回にわたる非常に慎重なテストをやりまして、われわれとしては、一部現業その他の関係では問題が絶無ではないとはいいながら、大勢としては十分やれる、特に、二日制とは言っておりますけれども、要するに交代で月に一回ということでございますので、この程度のことは何とか処理ができるという判断に立ちまして勧告をいたしたわけであります。特に、民間の企業の普及状況等もやはり着実に上がっております。それから、その内容についても完全の方にだんだん移っていくという趨勢にございます。また、世界の大勢というものを見ますと、これはむしろ日本の場合非常におくれておることは事実でございまして、放置ができないということからあえて勧告に踏み切ったのであります。  ただ、日本のいろいろの社会情勢その他から見まして、これについては一部にいろいろ論議があることも事実でございます。そういうことで、御承知のような経過をもちまして、昨年勧告はいたしましたが、国会にはついに法案として提出されない状況で終わったのであります。これはいろいろな内部事情もございましたでしょうし、自民党の方でも総務会までは通ったというようなことで、情勢は非常に進んできておるのではないかというふうに私自身は判断をいたしております。しかし、一年たってなおこれが全然実現の緒についていないということは、人事院立場としてはなはだ遺憾であると言わざるを得ません。  そういう情勢判断もとに、私といたしましては、今度の勧告の際に何らかの形においてその状況については触れて、やはり勧告をしたことでもあるし、情勢がこういうことになっておるからして、早急に実施に移していただきたいという趣旨の意思表示はいたすべきではないだろうかというふうに考えておりまして、目下いろいろな角度から検討を加えておるという状況でございます。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 勧告が行われた事柄について、勧告のない他の法案と関連をさせて公務員三法という扱いをして、事実上その問題の日の目を見ることができなかったという経過について、私は、前国会状況を踏まえて大変遺憾に思うと同時に、こういう状態では公務員労働者生活や権利というものがどういう形で保障されるんだろうかと大変な危惧を感ぜざるを得ません。その意味で、人事院がそういう客観的な第三者機関としての立場で公正に判断をなさった、そのことをことしの勧告の中にも明記を願いたい。そのことが、国民の理解をも含めて広げていく大きな手がかりといいましょうか、基礎になるだろう。私は、このことをぜひ要請をしておきたいと思います。  これはかねてから要求をされている問題ですが、公務員労働者生活実態あるいは春闘との関連で、早期勧告そして早期支払いということが言われてきたわけでございますけれども、この点、人事院制度的に検討をするということを約束されてこられました。その後の検討状態はどんなふうになっているか、その結果がことしの勧告の中に何らかの形で、これは何らかの形でとあえて申しますが、お示しになるつもりがあるのかどうか、承っておきたいと思います。
  56. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告早期実施、早期支払いの問題については、従来からもいろいろ御論議をいただいておるところでございまして、人事院といたしましても、また総理府におかれましても、いろいろな案を考えて鋭意検討を続けてまいったという実績はございます。  ただ私は、率直に申しまして、制度としてそれを考えるということも無視はできません。引き続き検討はいたしますけれども、やはり給与勧告というものの性格から申しまして、これは口幅ったいような言い方ですが、国会内閣に対して御勧告を申し上げるものでございます。したがいまして、これが何らかの形で政策的に取り扱われるということは、やはり本来の性格から言って行うべきものではないのではないだろうかという感じは従来から強く持っております。  そういうことで、これは国会運営に関して私がこの席上でこういうことを言うのははなはだ申しわけなくておしかりを受けることだと思いますが、先般参議院でも私が一つの私案として申し上げましたのは、お話し合いでもって、この案件はやはり最優先で取り扱うんだということを慣例として確立をしていただくということが、一番手っ取り早いと申しますか、しかも一番有効適切な方法ではないのだろうかという感じを実は持っております。そうではないと、制度改正をいたしましても、それがいろいろな状況でたなざらしになったり、そのときの情勢によって左右されたりすることでは、やはり本来の意思が達成できないわけでございますので、私自身の率直な感じとしては、大変口幅ったいことで恐縮でございますが、そういう最優先議案として取り扱うという慣例ができないものであろうかということを率直に実は考えて、折あるごとお願いを申し上げておるということでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人事院への最後ですが、実損回復の問題について私はもうここでは言いませんが、これは非常なアンバランスが現実にあるわけです。それらをどう是正するかということについて、人事院は何か御検討をいただいていますか。
  58. 長橋進

    長橋説明員 実損回復の問題につきましては、組合皆さん方から何か前進すべきではないかという大変強い御要望をいただいておりますけれども、一概に実損回復と申しましても、それぞれしかるべき相当の理由がありまして給与上の措置に結びついておるわけでございますから、したがいまして、問題としては、給与措置の前にそういう事柄に対する評価がどうあるべきかということとの関連で考えなければならない問題ではなかろうか、基本的にはそういうつもりでおります。しかし、具体的にこういう場合はどうか、ああいう場合はどうかという問題につきましては、事務的にいろいろ検討しなければならぬ課題であろうとは考えております。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私が常識的に考えても、かなり差別といいましょうか、アンバランスといいましょうか、言い方はいろいろございましょうけれどもあるように思われます。そういうものの扱いは漸次改善の方向に私は向かっているように思うのです。その点を含めて、具体的には申しませんがぜひ詰めていただきたい。そして改善措置を速やかにとっていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  総務長官、大変長い間お待たせをいたしまして申しわけございません。まず総務長官の所信を承らなければならないのですけれども、その前に具体的なやりとりになってしまって、事柄の性格上御理解をいただきたいと思うのです。  まず、長官には人事院勧告制度についてどのような見解を持っておられるか。歴代の総理府総務長官は、完全実施の方向を国会でも明らかにし、いわば公務員労働者を代弁する決意を込めてその努力をなさったわけでありますが、今回行われるであろう勧告に対して、完全実施を貫くその方針を踏襲される決意で臨んでおられるかどうか。これは言うまでもないことでありますが、あえて御答弁を煩わしたいと思います。
  60. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生お尋ねの人事院勧告につきましては、ただいままだ勧告が出ていない段階でございますので、明確にお答えすることはできませんけれども、総務長官といたしましては、勧告が出ました際には、従来どおり人事院勧告を尊重するたてまえを堅持しながら、関係各方面と十分検討の上誠意をもって努力をしてまいりたい、このように考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 せっかくの御答弁で、ちょっとさらに加えて申しわけないのですが、歴代の長官は完全実施のために全力を挙げて取り組んでいくとはっきりおっしゃっておられますので、そのお言葉を実は私は聞きたいわけであります。
  62. 中山太郎

    ○中山国務大臣 歴代長官同様完全実施の方向に向けて全力を挙げて努力をいたすことを申し上げておきます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 釈迦に説法でございますが、先ほど人事院総裁あるいは人事院から御答弁がございましたように、政治的、財政的に左右されてはならない。つまり労働基本権の代償措置である、この原則は、やはり人事院がおっしゃっていることが筋道であり、それが労使関係を含めて基本的な条件だということを私はあえて強調しておきたいと思いますので、その点も御理解をいただきたいと思います。  昨年の勧告でさっきちょっと私は朗読をしたのですが、人事院総裁から「勧告の実現のため、速やかな措置を執られることを切望する。」こういうふうに要望されております。  総務長官は御新任で張り切っておられると思うのですが、勧告が八日ごろ出された場合に、いま総裁が、早期勧告、早期支給ということに関係をいたしまして、制度としてということもあるけれども、その前に話し合いで最優先で取り扱うという慣例を、国会の一つのルールと同時に政府態度として求めておられるだろうと思うのです。総裁国会のことにまで口をはさむことはいかがかと思うけれどもということをあえて付言されながら、しかし、にもかかわらず、今日のような経済状況もとではそのことが非常に必要だというふうにお考えになっていらっしゃるわけですが、総務長官、この点、いま総裁が一つの提案として述べられたことについてどのようにお考えですか。
  64. 中山太郎

    ○中山国務大臣 総裁が御発言になりましたが、公務員皆さん方が大変この問題に関心を持っておられます。私どもといたしましても、できるだけ速やかに、早期に実施ができるように全力を挙げて努力をいたす覚悟でございます。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは総務長官として閣内をまとめていくということはもちろんですが、与党、野党を問わず、つまり各党の国会対策委員会になるのか委員長会談になるのか、それは別として、そういう具体的な行動によって裏打ちされませんと、考えていただけでは歩き出さないのです。その意味で、そうしたルールを築いていく上で総務長官がこの際イニシアチブをとっていただきたいというふうに私はお願いをしますが、その点についての歯切れのいい御答弁をいただきたいと思います。
  66. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私も公務員の方々の実態とかそういうものについては、かねて労働省で政務次官をやらしていただいたときに現実の問題として十分存じておりますので、いま先生御指摘のとおり、私としては閣内におきましても、指導的という言葉は過ぎるかもわかりませんが、責任のある総務長官としての立場努力を尽くすということをお約束申し上げておきたいと思います。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 かなり具体的な話になりますが、臨時国会が恐らく九月末だとかそういうふうに言われています。そうなるのかどうか、私もよくわかりませんけれども、やはり臨時国会冒頭に給与法を提案するという方針で総務長官は御努力願いたいと思うのですが、その点、念のためで恐縮ですが、御答弁いただきたいと思います。
  68. 中山太郎

    ○中山国務大臣 努力をいたす覚悟でございます。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 週休二日制の問題は臨時国会でどのような扱いをなさるおつもりか、御答弁を煩わしたいと思います。
  70. 中山太郎

    ○中山国務大臣 週休二日制の問題は、すでに人事院総裁がお答えを申し上げましたとおり、政府におきましても人事院勧告を受け入れて、これを実施すべく決定をいたしておるような経過がございます。私どもとしましては、四週半休制といいますか、そういうふうなことで十分ではないことはよく存じておりますけれども、できるだけ努力をして御期待に沿うようにやってまいりたい、このように考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 長官、四週三休じゃございませんので、四週五休というふうに私は聞こえなかったので、その点は結構です。もし間違っていたら御訂正願いたいと思うのですが。
  72. 中山太郎

    ○中山国務大臣 四週半休と申し上げたのです。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは本当の意味で、週休二日制という立場から言うとむしろいろいろな問題もあるわけですから、せめてそのくらいのことはというふうに私はあえて申し添えておきたいと思います。  時間をそれぞれ短縮し合おうという約束でございますから最後に一つだけ。  定年制や退職金の問題、これは私ども、退職金のたとえば削減の計算のやり方や基礎の考え方などを含めて非常に大きな問題を感じておりまして、反対であります。これをはっきり申し上げておきます。  そこで、政府としては、いろいろな方の御発言の新聞記事などを拝見すると、国会に出したいというふうなことをおっしゃっておられるようですが、私は、この際総務長官、この前出された法案一をそのまま自動的に国会に出していくということではなしに、やはり当該労働組合とも粘り強い話し合いといいましょうか、そういう御相談を、交渉と言っていいのかもしれませんがなさるということが、政府としてまた同時に中山長官として独自のカラーを示す上でも大切だと思うのですが、その辺の扱いについて私はちょっと伺っておきたいと思うのです。
  74. 中山太郎

    ○中山国務大臣 前国会におきまして、政府が関連法案を出す場合にも団体の代表の方々ともいろいろと御相談を申し上げた経過もございます。私といたしましても、機会を持って一度お目にかかって御意見も徴したいと考えておりますが、いずれ適当な機会に改めて御報告申し上げたいと考えております。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、臨時国会にお出しにならぬように、そして慎重に、当該労働組合や野党を含めてコンセンサスが得られるならば、そういう努力をしていただきたいということを要請しておきたいと思います。  いずれにせよ総務長官、財政事情だとか選挙後の政治情勢だとかさまざまな点で、人事院勧告がとかくまま子扱いされる可能性あるいは危険性というものを私危惧せざるを得ません。いわば総務長官は公務員労働者立場に立ってというか、彼らの気持ちを率直に受けとめながら、閣内で精いっぱい御努力願いたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  76. 江藤隆美

    江藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  77. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁、御苦労さまです。  例年八月の初旬から中旬にかけて、人事院は一般職国家公務員給与の改定について国会並びに内閣勧告を行っておるわけでありますけれども、その時期はもうわずかの間に近づいております。昨年は八月の十日に行われましたけれども、毎年早期に勧告をするという傾向を続けてこられる努力をされておりますことは、私どもまことに結構なことだと思っております。いま現在の進捗状況はどういうふうな状態になっていましょうか、まずその点について。
  79. 藤井貞夫

    藤井説明員 大体作業の進捗状況としては、例年のペースを余り狂わせることなく進んでおりまして、民間給与実態調査の結果がだんだんと出てまいっておりますので、それを基礎にしながら連日検討をいたしておる段階でございます。そういうことで、特別の事情がない限り、大体前年どおり、あるいは閣議その他の状況もございますので、でき得べくんば若干でも早期に勧告をするという気構えで、現在、鋭意作業を進めておる段階でございます。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 例年どおりの進捗状況で来ているということであります。そうなりますと大変大詰めに来ているということになろうかと思います。そこで、昨年は八月の十日ということであったわけでありますが、今回は八月十日というのは日曜日になるわけでございますから、そうなりますと、先ほどもお話がありましたように、八月の八日を目指して努力しているという考え方でよいかどうか、その点についてはどうでしょうか。
  81. 藤井貞夫

    藤井説明員 大体そういうめどで現在努力をしておるというふうに御了解いただいて結構でございます。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 八月の八日、金曜日に人事院勧告が出される、こういうことで努力をされている、こういうことで、一日も早く勧告が出されるということは、これは公務員皆さん方も待ち望んでおられる問題だけに、私は、ぜひそういう形で早期の勧告慣例というものをより尊重していただきたい、このように思っております。  勧告につきましては、御存じのとおり一つは五%という、そういう慣例俸給表の中にありますけれども、現在非常に物価高の中にあって、公務員皆さん方の生活というものは非常に大変な状況であるというふうに私ども推測をいたしております。昨年もおととしもたしか五%以下であったにもかかわらず勧告を出された、こういうことは、これは私評価するに決してやぶさかではございません。  それは、少なくとも余り官民較差を長く置いておくということは好ましくない、それがゆえに、公務員生活を守るという意味、あるいはまた官民較差という問題を早く埋めるという意味においても大変に望ましい方向であると私は思うのですが、人事院総裁は、五%以下であってもやはり今回も勧告を出されるというふうにおっしゃっておられたわけでありますけれども、その基本的な考え方についてはどういうふうにお思いでしょうか。
  83. 藤井貞夫

    藤井説明員 去年、おととしはそれぞれ五%以下という較差が出たわけでございますけれども、当時から詳しく御説明を申し上げておるような状況で、あえて五%以下でも勧告を行うことにしたわけでございます。詳しくはここで繰り返しはいたしませんが、大体三公五現というものとの均衡の問題がございますし、それから、いまお述べになりましたように、官民較差というものがあるのにそれを放置をいたしておきますとやはりいろいろ問題が生じてくるという点がございます。  それに、大体平均給与というものが毎年の勧告を通じて民間に歩調を合わせてだんだんと上がっておりますために、いまや一%といいましても、これはやはり無視できない額になりつつあるというような点もあるわけでございます。  そういうことで、あえて五%を切りました昨年、一昨年においても勧告を申し上げた次第でございますが、その点今度の較差はどういうふうに出るか、いま集計中でございますので確たることは申し上げる段階ではございませんが、基本的な姿勢は去年、おととしと変わりはございません。それは堅持していきたいということでございます。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 賃金の引き上げについては、民間とかあるいは公労協、あるいは今度の人事院勧告による官公労と、こういう形になっておるわけでありますが、民間労働省調査で単純平均で出しておる、それから公労協の方は仲裁裁定で加重平均、定昇を含まずという形で出しているわけでありますが、人事院勧告もこれにならっているというふうに思うわけでありますが、昭和五十三年、五十四年、五十五年の民間並びに公労協のアップ率、そして、ことしはまだ勧告が出されておりませんけれども人事院勧告のアップ率はどういうふうな形になっておりましょうか、その数字と金額について。
  85. 長橋進

    長橋説明員 お答え申し上げます。  五十三年について見ますと、労働省調査によります民間主要企業につきましては、金額にいたしまして九千二百十八円、率にいたしまして五・九%ということでございます。それから三公社五現業の仲裁裁定について見ますと、定昇抜きで見ますと、金額は五千三十五円、率は三・一三%、それから人事院勧告につきましては、金額は七千二百六十九円、率は三・八四%でございます。同様五十四年について見ますと、民間主要企業におきましては、金額は九千九百五十九円、率は六・〇%、それから三公社五現業につきましては、金額は五千七百二十六円、率は三・四三%、人事院勧告について言いますと、金額は七千三百七十三円、率は三・七〇でございます。同様五十五年について見ますと、民間主要企業におきましては、金額は一万一千九百五十三円、率は六・八七%、三公社五現業について見ますと、定昇を除きまして、金額は七千六百四十七円、率は四・三九%。以上でございます。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、調査の結果によることしの人事院勧告勧告率がどうなるかということ、これは大変に注目をされている問題であり、またこれについていま直ちに数字をお出しになる、そういう状態にはならぬと思うわけであります。官公労の方においては最低五%、これは最低だという希望を捨ててないわけでありますけれども、いままで四、五年間のいろいろのデータを調査しながら数字をはじいてみますと、五%はむずかしいなという感じが私はしてならないわけであります。しかし、いままでの傾向から言いますと、大体四・七%から四・八%ぐらいかなというような感じもするのです。これは結果から見なくちゃわからないわけでありますけれども、えらい相違があるかどうか、感触はいかがでしょうか。
  87. 藤井貞夫

    藤井説明員 これはいろいろな見方なり観測の仕方というものがございます。また、いまの段階ではこれは大変微妙な問題でございますので、私からこの席上でとやかく申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、民間の景況その他から見まして、いまお話しになりましたような見方、観測というものもあり得ないことではない、変な言い方ですが、そういうふうに感じております。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 微妙なときでもありますので、それをいまここで人事院総裁にさらに追い打ちをかけるということは、これは人事院勧告が出てからまたいろいろ論議のあるところであろうかと思いますので、人事院総裁も大変言いにくいところ、そういう形で、ある程度のそういう見方もあるんだということを申されたわけでありますから、私はいまそれ以上は言いません。  そこで、官民比較調査対象の項目は、ことしはどういうようなものをやっておられるのでしょうか。
  89. 長橋進

    長橋説明員 調査項目につきましては、例年どおり民間従業員の四月に支払われた月給、それから初任給、これは毎年大体同じでございます。それから、そのほかに事業所単位に調査しておりますものは、家族手当、通勤手当、住宅手当、宿日直手当、特別給、これは賞与、臨時給与でございますが、そういうものを調査しております。宿日直手当につきましては、昨年は調べておりませんけれども、本年は調査しております。以上でございます。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 扶養手当についてちょっとお伺いいたしますけれども扶養手当についてはどのような観点から調査されておるでしょうか。官公労の方としては、配偶者手当については一万円を一万一千円・あるいは第一子は三千円を三千五百円、第二子は三千円を三千五百円というように出ているわけでありますけれども民間の動向はどういう傾向になっていましょうか。検討されている方向性についてお伺いいたします。
  91. 長橋進

    長橋説明員 扶養手当調査につきましても、基本的には大体例年どおり調査方法によって調査しております。ただ、最近の民間におきます扶養手当の支給状況を見ておりますと、それほど伸びが大きくないというような状況でございます。そこで、私どもとしましては、調査に一工夫加えまして、家族手当ということで支給しているものと、さらに家族手当的なものとして民間で支給されているものがあるとしたならば、これにどういうものがあるであろうかというようなことも考慮いたしまして、調査方法に一工夫を加えてございます。以上でございます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ボーナスについて、期末勤勉手当についてでございますが、民間においては、石油ショックのあおりを受けて、ボーナスが伸び悩んだ。そういう中にあって、官民較差比較から、公務員についても、五十一年には〇・二カ月分カット、五十三年には〇・一カ月分カットという、二年カットが行われたわけであります。  しかし、昨年の夏あたりから大変に日本経済も活気を帯びてきまして、上向き傾向にあるわけであります。今回の勧告は、その民間の活況の状況を見て、どのようにデータにあらわれようとしているか。その点についてはもうある程度集計ができていると思いますけれども、その傾向はどうでしょうか。
  93. 長橋進

    長橋説明員 民間におきます昨年度の特別給等の支給状況につきましては、目下集計しておりまして、正直に申し上げまして、現段階ではまだその結果は出ておらないという状況でございます。  ただ、労働省等の発表資料によりますと、御指摘がございましたように、大企業ではかなり伸びておりますけれども、毎勤調査等によりますと、やはり三十人以上の事業所でございますとか、そういうところではやや伸びが鈍いというように一般的には把握しております。そういう状況でございます。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和五十一年の七十八国会において附帯決議がなされております。いわゆるボーナスのカットに対して国会といたしましては、「今回の特別給の改定については、民間の動向を考慮し、可及的速やかに従前の月数に回復するよう努力すべきである。」こういう含蓄ある附帯決議国会において実はやったわけであります。今回は、経済がかなり伸びもあり、ボーナスも、いま大企業についてはかなりそういう意味においては望みがつなげるような状態にあるということでありますと、これはこの附帯決議の趣旨に沿ったような結果になるというふうに御判断されておりましょうか。それはちょっと無理だ、しかしカットはないだろうというふうにお考えでしょうか。その点についてどうでしょうか。
  95. 藤井貞夫

    藤井説明員 二回にわたってカットいたしましたが、その際に附帯決議がございまして、民間の動向等もにらみ合わせながらというようなことで、いまお述べになりましたような御指摘があったわけでございます。われわれも、十分それは頭に刻み込んでいるつもりでございます。  特別給につきましては、御承知のように、過去一年間、特に五月から四月までということで例年調べておるわけでございます。したがいまして、民間の動向その他があらわれる、反映される若干の時期的なぶれというものがございますので、そういう点についてはやむを得ない点もあるわけでございます。  いま集計中でありまして、この点は一番後で集計の結果が出るというような種類のものでもございますので、いま私自身といたしましてもどういう結果が出るかということは心待ちに待っておるという状況でございますが、感じとして申せば、民間の景況を反映した数字がそのままことしのものに出るというのはなかなかむずかしいのではあるまいかという感じがいたしておりますが、まさかもう一遍ことし下げるということは万々あるまい。私もその点は希望的観測ではございますけれども、それは恐らくはないのではないだろうかという気持ちは申し上げておきたいと思います。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まことに微妙なお話であったわけでありますけれども民間のボーナスのあれが直ちに反映されるというふうな状態には必ずしもないかもわからない、ただし、カットというようなことは、国会の附帯決議等もあるのでそれは人事院総裁としてもいたく心痛をしておる、だからそういうことについてそういう形にはならぬだろうということになると、結局はこれは附帯決議のようなかっこうにはならぬだろう。附帯決議というのは可及的速やかにもとどおりにしなさいということですから、これはなかなかそういうふうにはならぬだろうというふうにちょっと判断できる。その点について後でもう少しお話を承れれば結構でありますが……。  週休二日制でございますが、民間の実施状況というのはいま現在どういう比率になっていましょうか。
  97. 金井八郎

    ○金井説明員 民間におきます週休二日制の実施状況につきましては、例年どおり民間給与実態調査におきまして本年も調査をいたしたわけでございますが、四月現在における調査の結果は現在集計中の段階でございまして、まだ明らかになっておりません。  ちなみに、この調査の昨年四月現在の状況は、企業規模百人以上の民間事業所におきまして週休二日制の普及率は六九・三%となっております。また、その中で月二回以上の週休二日制を採用している事業所の割合は五二・五%でございました。ここ三年来大体〇・一%くらいの割りで伸びてきておる状況でございます。  それからまた、週休二日制の適用されている労働者数の割合でございますが、これは人事院の方の調査ではいたしておりませんけれども、関連のある労働省調査におきまして、これは企業規模三十人以上でございますが、適用労働者の割合は七二・九%というふうになっております。昨年九月の調査でございます。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 週休二日制という問題についてはもうすでに定着をしている、そういう段階になってきている。確かに人事院の方においても、公務員の週休については非常に慎重過ぎるほど慎重であった。二回の試行をやられたわけでありますが、試行の結果週休二日制をやるべきであるということについて勧告を出されたわけであります。これについて、実は前国会において当然週休二日制の法案が出るものと私は期待をしておったわけであります。  ところが、出た法案は御存じのとおり退職金のカットであり、定年制のそういう法案であり、大事な週休二日制という問題についての法案が出なかったわけなのですが、これは総務長官、なぜ週休二日制のあの法案が人事院勧告をされたにもかかわらず出せなかったのですか。
  99. 中山太郎

    ○中山国務大臣 前国会で法案が提出をされる前に衆議院で解散が行われました。そういうふうな事情として承っております。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 解散があったから出せなかったじゃなくして、もうすでに御存じのとおり、その週休二日制とそれからもう一つは退職金のカット、それから定年制、これはワンセットということであったわけですね。二つは出て一つは出せないという、それは現実の問題として出してなかったのですから……。これは大変に政治絡みであって、むしろこのいわゆる週休二日制だけが先行してしまって国会で通ってしまい、あとの二つが残ってしまったならば困るという、そういう政治的な配慮でお出しにならなかったのですか。
  101. 中山太郎

    ○中山国務大臣 そういうことは決してなかったと存じております。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、今度の臨時国会には週休二日制の法案はお出しになるのですか。
  103. 中山太郎

    ○中山国務大臣 すでに人事院勧告も出て、内閣におきましても勧告を尊重して、先生御案内のように四週半休の週休二日制というものについては内閣でも意見が一致しておりますので、御趣旨を尊重してできるだけ早急に法案の提出をさせていただきたいと考えております。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私が申し上げたのは裏の問題でありまして、人事院総裁、やはり週休二日制についてあなたの方も勧告されたわけですから、これに対して早く法案を出していただいて成立さして、そしてもう民間の方もそのように定着をしている状況の中にあっては、公務員の方々にも週休二日制というものを実施すべきだというお考えであろうかと思いますけれども、前の国会に二つの法案は出たけれどももう一本の法案が出なかったというのは画竜点睛を欠く、そういう思いでおられるかどうか、その点についてはいかがでしょう。
  105. 藤井貞夫

    藤井説明員 まさしくお述べになりましたような心境でございます。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、総務長官にお伺いいたしますが、大臣になられてきょうは初めての国会審議に出られたわけであります。総務長官は御存じのとおり公務員給与担当大臣です。ですから、一番御理解を示される立場にある大臣であるわけです。人事院勧告が出されるということはもう大体わかったわけですが、人事院勧告が出された場合にもう完全実施する、そういうことについて最大限の努力をするというお考えだと私は思うのです。これはいつもの大臣がそうおっしゃっておるわけですから、あなただけがもしこれについて人事院勧告をよく拝見させていただいて、それで考えましてということになると、公務員皆さん方に今回の大臣はもう政治的な理解がないというふうにはっきり言われてしまうおそれがあるので、私はそれをあえて大臣にお話し申し上げて、御決意を伺いたいと思います。
  107. 中山太郎

    ○中山国務大臣 さきにも申し上げましたように、私もかつて労働省の政務次官として、各公共企業体の労働団体の方々にもいろいろ御意見を承っておる経験もございます。御指摘のように、人事院勧告が出されました場合には、閣内におきましても完全実施をするように努力をすることをはっきり申し上げておきたいと思います。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、人事院勧告が出されまして一番早い時期といいますと、もうすでにうわさに上っております九月の臨時国会。九月の未であるか十月の初めになるかわかりませんけれども、その国会には総務長官は当然早急にこの人事院勧告を受けた給与改定の法案を出す、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  109. 中山太郎

    ○中山国務大臣 閣内でも十分協議をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えております。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昇給の延伸問題についてちょっとお伺いしたいわけでありますが、昨年の閣議決定、五十四年十一月二十二日でしょうか、政府の方から、「現下の厳しい財政状況等にかんがみ、財政再建期間中、国家公務員の昇給期間の延伸等採るべき措置について、人事院に対し、早急に検討を依頼すること。」というふうなことを閣議決定されました。  それについて人事院は検討されたと私は思うわけでありますけれども、実は昨年の十二月十日に参議院の内閣委員会でこの問題が取り上げられたことを人事院総裁は御承知だと思うのです。で、総裁は、このように答弁されております。一つは、制度自体を、枠を外れて運用することはできないのだ。それから、制度は長い間積み重ねて今日まできたもの、それについて根本的な変改を及ぼすことは適切でないという基本的な姿勢で今後も臨みたい。  私は、人事院総裁の言われたのはまさしくそのとおりだと思います。労働権の代償として人事院がある以上、そういう姿勢を貫かなければ人事院は信用されません。ですから、そういうことで、人事院総裁がおっしゃったこと、私はそのとおりだと思うのです。そのときにおっしゃったことは、確かに政府の方からそういう検討依頼がありました、これに対する答えは次の勧告の時期ということで答えが出ます、こういうことまでおっしゃっているわけだ。次の勧告の時期というのは今回の八月の勧告になるわけですが、これに対して人事院総裁はどういうふうなお考えでお答えを出そうとされているのでしょうか。
  111. 藤井貞夫

    藤井説明員 昇給延伸の措置に関するいろいろな動きについては、いまお話が出たとおりでございます。私の基本的な姿勢は、これもお述べになったとおりでございまして、いまもいささかもその態度は変えておりません。  ただ、閣議でもってそういうような検討依頼がございまして、事実こういうことがあったからお知らせをしたいという連絡がございました。そういうこともございますので、今年の民間給与実態調査をやります際には特に念入りに昇給の制度実態がどうなっているのかということを調べることにいたしました。その結論はまだ出ておりません。私のところにまだ報告が来ておりません。しかし、調べておりますことは事実でございますので、この調べた結果に基づいて何らかの結論を出すということに相なろうかと思います。  しかし、その場合にも、私が申し上げておりますように、もし今度の給与勧告の際に昇給延伸の措置について別に触れないのであれば、そのことはいまの段階でやはりノーであるというふうに受け取ってもらいたいということも申し上げたところでございます。その基本的な姿勢もいまのところ私は変えるつもりはございません。  というのは、昇給の問題というのはあくまで給与制度の一環でございます。しかも重要な一環として長年積み重ねられてきたところでございまして、それがやはり官民較差ということにも直接に反映して出てまいる重要な問題でございますので、人事院といたしましては、財政の問題その他を踏まえて物申すことは筋違いであるという考え方の基本は変えるつもりはございません。そういう姿勢でもって取り組んでまいる所存でございます。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府からそういうことで検討してくれという話があって、実際には政府の方には手足がないわけですから、当然人事院はそのことについて検討の対象にはした。したけれども、その傾向は、春闘においてこのような形でなされている以上一年一年の昇給は民間側としても全部定着しているわけですね。それをあえて人為的に昇給延伸というのは、よほど企業の内容が悪いとかというところ以外はまずはないであろうと思うわけです。何といっても人事院は国家公務員の代償機関として独立した権限を持っているわけです。  ですから、民間給与との較差については常に微妙な観点から非常に細かく調べられておるわけでありますから、財政再建とか、あるいはまた公務員だからとか、こういう形でへんぱに物を取り扱おうという考え方であってはなかなか説得力のあるものにはならぬだろう、また公務員もそれは承知しないだろうと私は思うのですが、この問題については厳然たる態度でお臨みになられるおつもりでございましょうか。
  113. 藤井貞夫

    藤井説明員 繰り返して申し上げておりますように、昇給制度というのは給与制度の一環をなす重要な問題でございます。したがって、あくまで給与制度プロパーの問題としてこれを処理していかなければならぬものであると考えておりまして、その基本姿勢はいままでも堅持をしてまいりましたし、今後もこれを堅持してまいる所存には変わりはございません。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、財政再建というのも確かに大切な問題ではあろうと思いますけれども人事院は労働基本権の代償機関として生まれている以上は、純然たるその立場を貫かなければならない。財政再建の問題については行政改革をやっていくとか、あるいは政治的な配慮だけで補助金をべたべたくっつけるようなことをやめるとか、そういう財政再建の問題は別問題である。だから、そういうところにかこつけて延伸制度をつくっていくということは筋違いであろうと私は思うのですが、総裁、どうでしょうか。
  115. 藤井貞夫

    藤井説明員 民間でも御承知のように春闘あたりが代表的なものとされておりますが、この場合にもやはり定昇込みということで常に問題になっております。というのは、定昇は大部分のところで行われておるということでございます。景気の悪いところ、業績の上がらないところでは一時的にいろいろな措置を講ずるところはございましょうけれども、われわれといたしましては、やはり民間調査対象になるものを総合的に把握をして判断して結果を出すということをやっておるわけでございまして、この態度人事院立場として当然質かなければならないということでございます。財政再建とかなんとかということは重要な問題でございましょう、それは私も否定はいたしませんが、人事院立場としてその問題を財政再建の立場から云々するということは筋違いであると思います。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁、よくわかりました。やはりそれでなければならないと思います。  退職手当の問題についてちょっとお伺いいたしましょう。  私は、退職手当というものも広義の立場から言うならばやはり公務員の勤務に関する問題であろうと思うのですよ。その点については人事院総裁はどうお考えでしょうか。
  117. 藤井貞夫

    藤井説明員 退職手当の問題は、退職年金の問題と絡めて、最近特に生涯給与ということに関連をして、大いに論議をされておるところでございます。生涯給与という面から見れば、むしろ公務員というものは恵まれているんじゃないかとか、そういう見地からの発言も多々ございます。  私は常日ごろ申し上げておりますが、無論退職手当なり退職年金というものも無視するわけにはまいりませんので、それなりの検討比較というものはやっていかなければならないものだろうというふうには考えております。ただ、よく言われますように、退職手当、年金がいいから毎年の給与勧告も手心すべきだというのは、私は、やはり非常に逆しまな議論ではないだろうかというふうに考えております。  したがいまして、それらの点はこれからもさらに検討は続けてまいらなければなりませんが、給与給与として、あるいは退職手当は退職手当として、年金は年金としてそれぞれ比較をして、均衡を保たせるべきものであれば均衡を保たせるという方向の議論の展開をやはりやっていかないと、事柄を誤るのではないだろうかという感じを持っております。したがいまして、退職手当についても年金についても、人事院人事院なりにいろいろ関心を持って調べております。  また、退職手当については、毎年のことではございませんけれども総理府の方から、こちらに組織があるものですから調べてもらいたいという依頼もございまして、それなり調査をいたして検討はしておるつもりでございます。したがいまして、事柄は公務員についてのやはり一種の退職条件にかかわる重要な問題であるという認識ははっきりと持っているつもりでございます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年の閣議決定、五十四年十一月二十二日ですけれども、「人事院民間退職金等実態調査に基づき国家公務員等の退職手当制度の見直しを行うこととし、これに伴う関係法律の改正案は次期通常国会に提出するものとすること。」ということで、人事院はたしか勧告は出されてはおらないわけでしょうけれども政府の方にその結果の御報告を出されたのに伴いまして、政府としては退職手当というものに対してのカットをする、民間より非常に高いということでカットをするということで法案を出されたわけでありますが、これは私は大変に問題があろうかと思うのです。  なぜ問題があるかと言いますと、客観性が余りないということですね。制度化されていないということです。しかも人事院が退職手当について勧告をしたというならば、それはそれで完全実施という形で政府が取り上げるという形にもなろうと思うわけですけれども、どうも財政再建で非常に国に金がないから、公務員の方の退職手当は高いんじゃないかという、そういう観点からねらい撃ちをされる。こういうことは本来余りいいことじゃない。  確かに、五年前には公務員の方々の退職手当は民間より低かったということで、上げられたこともありますね。民間から比べれば低いんであるから上げるのは当然だということになるでしょう。しかし、今度カットということになりますと、これを当てにしておられるいわゆる公務員にしてみるならば、大変にショックは大きい、こういうことで、公務員の方はそれは許すことができない、こういう形になろうと思うのですね。  ですから、寒冷地手当とか、そういうふうな形で人事院はすでにもう手当についていろいろ勧告をされているわけです。五年がいいとか三年がいいとかいうことについては、それは専門である皆さん方が研究すればいいわけです。人事院としては、こうやって政府がすでにカットの方の法案を出される以上は、手当についても、これは何年かということで定期的にこの問題について勧告をされて、そしてカットはカットであったけれども、この次は、言うならば、民間よりも低かったからまた上げるという勧告を出されればいいわけです。こういう形になりませんと、客観的な証明がつかないわけですよ。  そのときそのときの財政の行方を見ながら、これはもうねらい撃ちをした方がいいとか、こういうところは少し民間より高いからさらに調査をしなさい、そういうふうに言われて人事院が驚いて、やるなんという、そんなみっともないかっこうをするのじゃなくして、やはり寒冷地手当とかそういうふうなことで勧告を受けて、政府がこれをどういうふうに判断するか、完全実施をするとかなんとかいう問題はこれまた政府考えるべき問題でありますけれどもね。今回のは余りにも政治的な配慮がなされ過ぎている。いわゆる退職金というものについて、これは公務員の方はなかなか納得がいかないというふうに私はなるのではないかと思うのですが、その点について人事院総裁はどういう御見解でしょうか。
  119. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻申し上げましたように、退職手当あるいは退職年金というものも公務員の勤務条件に関する重要な事項でございますので、これは人事院としても大変な関心を持っておりますことは事実でございます。ただ、退職手当につきましては、御承知のようないろいろな従来からのいきさつ、伝統、沿革というものがございまして、現在この手当の所管は総理府ということに相なっておるわけでございます。これ自体は全く不合理かというとそうでもございませんで、これも御承知でありますように、退職手当法の対象となっておりますものには三公社関係の職員もございます。それから特別公務員、裁判官、検察官等の特別公務員等も含まれておるわけであります。そういうものを全般的にひっくるめて退職手当法で規制をするというたてまえに相なっておるということもございまして、いま総理府の所管として運営されておるわけでございます。  しかし、一般公務員についてもいま申したように大変重要な問題でございますので、この点は関心を持って注目をいたしておりますし、総理府からの御依頼もございまして、毎年ということではございませんが、それなりの周到な調査も並行してやっておるわけでございます。これもだんだん、何回も回を重ねてまいっておりますので、やり方、調査の手法というものもそれなりに定着をしてきておるのではないかというふうに考えております。先般提出をせられました退職手当法案につきましても、附則でたしか、さらにこれは時日を置いて、適当な時期にもう一遍再調査をしてその結論を出すのだというような含みの規定が置かれておるようでございます。その段階においては、正式にまた総理府の方からわれわれの方に御依頼が恐らくあるのではないかというふうに考えております。  われわれといたしましては、その点大変重要でございますので、調査の手法その他についてはさらに組織的に検討を進めまして、どこへ出しても恥ずかしくない、給与実態調査と同じようなやり方ができるように努力をしてまいりたい、かように考えております。  ただ、退職手当等につきましては、民間実態、仕組みというものもいろいろございまして、毎月の給与の関係とはちょっと違ったものがございます。それをどういうふうにして比較をしていくかという技法、客観的な合理性を確保するというようなことも、技術的にも今後検討していかなければならぬ問題が残っておると思います。それらの点については今後意識的に、精力的に取り組んで、検討を続けてまいりたいというのが現在の考え方でございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま人事院総裁が言われたことはちょっと問題があるのですがね。調査の手法に改善する余地があるのだということは、要するにまだまだ問題があるということですね。そういう問題がある内容を政府に出されて、政府はそれをもとにして退職手当のカットに踏み切られた、その法案を出されたということは実際には問題があるわけです。  だから、そんな改善の余地があるなどということではなくして、少なくとも給与改善に関する調査と同じような権威を持つ内容のものがばちんと出ない限りは、政府の方から言ってくるたびごと人事院の方はその調査結果を出す、出された調査結果を政府の方はつまみ食いをするということになるわけです。財政再建が大変だからということでつまみ食いをする、これでは公務員皆さん方が退職金のカット法案を納得するというわけにはなかなかいかないのではないですか。だから、そういうやり方ではもうだめなんです。  少なくとも客観性があり、確かに民間給与との比較において公務員が高かったということであるならば、高かったなりにその調査の内容をある程度公表できる、国会においても、改善の余地どころではなしに、これは国家公務員給与と同じような権威を持っております、こういうことにならぬと、これはずいぶん問題があるのではないでしょうか。政府の方ではそれに基づいてそういう形をとっているわけですからね。だから、私は思いつきだと言うのですよ。  五年ごとだということを言っておりながら、それでは国民の皆さん方にそれを公表されているかというと公表もしないで、政府の方の要請に基づいて出されている。私はこれでは本当に説得力がないと思うのです。都合のよいときにつまみ食いされたのでは実際に困るわけです。財政再建という名のもとにおいて、公務員の人たちの退職手当はどうもカットしなくてはならぬということだけクローズアップされるということではいけない。  制度化されて、むしろ退職手当という形においてもきちっとした調査がなされ、そしてそういう中にあって皆さん方が勧告される場合に、いま現在は全く官民較差はございません、こういうことであるならば話はまた別です。ところが、五年ごとといっても、政府がそういう要請をしたときにこたえるという形だけではいけないのではないだろうか。改善する余地があると言われるそういう余地を残していながら、それを政府の法案の中に盛り込んで退職手当のカットをさせるなどということは、人事院としては全く私は手落ちだと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  121. 藤井貞夫

    藤井説明員 問題点があるということは私も認めておりますが、現行の制度自体が、給与勧告のように退職手当については勧告権というものが認められておりません。そういう点については制度改正の問題とも絡むことだと思いますが、それだからといって、私の立場からそういうものも全部こちらへよこせという言い方も、これはできにくい問題でございます。  それと、手当につきましても、問題は給与調査と同列に並べてというところまではまだ自信がないということを率直に申し上げたところでございますけれども、しかし、こちらはこちらで、調査の依頼がございました際には、いろいろ過去の実績の上に積み重ねをやりまして、それなりの確信のあるものは調べて御報告も申し上げておるつもりでございます。  ただ、その手法その他について率直に申し上げたいということで私が申し上げましたのは、給与実態調査ほどには手法がそこまで徹底をしておらない。毎年やっているわけでもございませんし、その点の問題は自覚をいたしますということを申し上げた次第でございます。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もうそろそろ時間になるし、約束はとにかく一時間より少し少なくということですからあとは余り申し上げませんけれども、しかし、少なくとも人事院から出ている調査内容というものはそれなりに客観性があり、言うならば説得力がなければだめなんですよ。完璧、完璧というわけにもいかないでしょうが、しかし自信が持てて、それをもとにして政府の方にということならいいけれども政府の方から依頼があったから五年ごとにということではいけない。そういうことによって退職手当がカットされるということになりますと、この問題については公務員の方々だって、よしきたというわけにはなかなかいかないですよ。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 いま人事院総裁勧告権がないというふうにおっしゃったのですけれども、こういう問題について総務長官は、少なくとも退職手当についてももう少し客観性のあるそういうふうな方向に進んだ方が望ましい、むしろ人事院勧告してもらったのを完全実施するという方がよろしい、そういうふうにお考えであるかどうか。その点についてはいかがでしょう。
  123. 中山太郎

    ○中山国務大臣 政府といたしましては、給与に関しましても人事院勧告の完全実施をするように努力をいたしておりますし、退職手当につきましては、人事院調査をいたしましたその調査に基づいて私どもとしては最善を尽くしたい、このように考えております。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 お約束の時間ですから、以上をもって終わります。
  125. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 小沢貞孝君。
  126. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、新中山総理府総務長官に施政方針演説とでも言った方がいいでしょうか一というのは、情勢が、自民党圧勝の中で新しい給与担当大臣が誕生したわけであります。そこで、どういう方針でもってこれから公務員給与問題に対処していくか、こういうことについて、私は、基本的な施政方針演説とも言われるようなものを実はきょうはお聞かせいただきたいと思います。  問題意識はどういうところにあるかというと、きょうも岩垂さんやいまの御質問等にもありますが、昨年の十一月二十二日の閣議決定等で、政府としては——私は国民的立場からもそうだと思います。行政費の節約、これは人を少なくすることもあるでしょうし、あるいは行政機構の改革もあるでしょうし、あの空出張、やみ給与、こういうものをやめさせるという問題等もあるでしょう。  いずれにしても、この財政再建という国家にとっての至上命令というものもまた政府考えなければならぬ問題であるし、人事院性格はまた後で時間があったらお尋ねしますが、国家の財政再建ということとは無関係に第三者機関として、争議権その他を剥脱してあるがために、民間給与に準じて給与勧告なり報告なりしなければならない、人事院としては、国家の財政なんかどうあろうとこうあろうと、第三者機関としてなすべき仕事をやっていかなければならぬという、二律背反でもありませんけれども、本当にお互いに困ってしまう問題があるわけであります。これをどういうように調和させていくかということが新大臣に課せられた大きな使命ではなかろうか、こういうように私は考えるわけであります。  いまも質問がありましたが、たとえば退職金の問題等、これは公務員法二十八条に基づけば、当然人事院が何らかの勧告なり報告なりをしなければならない性格のものだが、そういうこととは無関係に、政府は国家財政の立場を優先させて退職手当法の一部改正でカットをしていこう、こういう問題が出てきているわけなのですね。  だから、この間に制度上もう少しうまい方法はないものだろうか、この調和をどうさせたらいいだろうか、こういう問題はこれから財政再建を至上命令とする政府としては十分考えなければならない問題ではなかろうか、こういうように考えるわけです。この間に明確な矛盾もあるような気がしますし、場合によっては制度改正なり何なりにまで進まなければならぬ問題もはらんでいるかとも思うわけです。  どうぞ施政方針演説をやるようなつもりで大臣は方針をお聞かせいただきたいし、いまの質問に対して人事院総裁としてはどういうようにお考えになるか。国家の財政再建ということと、人事院勧告なり報告は一応第三者機関として無関係であるようにも考えますが、そういうところの調和を保たせなければならないのだろうか、そういうものも考慮しなければならぬのだろうか、するとするならばどういうことになるだろうか等もあわせて、もし御意見がありましたら人事院総裁からもお聞かせいただきたい、こう思います。
  127. 中山太郎

    ○中山国務大臣 先生から総務長官としてどういう心構えで当たっていくかというお尋ねでございますが、鈴木内閣発足に当たりまして、総理は、とにかく政治倫理の確立とか行政のむだをなくするとかいろいろと御意見を出されておりますが、私は総務長官といたしまして、やはり国家の基軸は公務員の働きにあると実は考えておるわけであります。りっぱな公務員を持った国家ほどりっぱなものである。  そういうことで、公務員の方々が、昔であれば公務員生活を終われば老後は心配要らない、恩給があった、こういうのがいわゆる戦前の姿であったと思います。しかし、敗戦後の経済混乱あるいはその復興の過程において、民間の企業が大変な利益を上げた場合にボーナスが高くなるとか給与が大変よくなる、そういう中で公務員給与が低く抑えられて、公務員諸君が大変苦労した時代もよく記憶をいたしております。  そういう意味で、もちろん国家のことでございますから財政を忘れてすべて理想を追うわけにはまいりませんけれども、私どもといたしましては、人事院勧告給与に関して出れば、その完全実施のために内閣としては全力を挙げて努力することが公務員制度の健全化のためにも必要であろうと考えております。  私どもとしては、行政のむだを徹底的に省くとともに、一方においては公務員諸君生活内容の充実を図るように努力を続けていきたい、これが私の偽らざる気持ちでございます。
  128. 藤井貞夫

    藤井説明員 私も実は長い間公務員生活をさせていただいております。その間いろいろなポストを経験させていただきました。地方行政、地方財政の問題にもかなり突っ込んで勉強させていただいた経験もございます。そういう角度から、私なりにいろいろな問題について関心を持っております。  したがいまして、そういう意味からいけば、財政再建その他につきましても並み並みならぬ大変な時期に来ておる、そういう認識は私なりにございます。詳しいことは申し上げる必要もございませんが、いまの財政における国債依存度なんというものをこのまま放置しておいていいものかどうかということになりますれば、これはやはり大変な問題であることは認識はいたしております。  ただ、それと人事院立場というものはやはり違うわけでございまして、人事院制度というものは、公務員について労働基本権を制約しておる、それの代償機能として第三者機関として設けられたものでございます。したがいまして、そういう立場から与えられた勧告権というものは、やはり財政の再建とは別問題として一定の基準でもって結論を出して、これはぜひやっていただきたいということを内閣及び国会に対して申し上げる次第でございます。また、勧告という事柄の性質上、これは当然たてまえとしては尊重していただかなければならないという筋合いのものでございます。  ただ、その間に何らかの調整措置があり得るのかどうかということ、それは別個の問題でございましょう。人事院としては、勧告をする限りは、また人事院立場からすれば一定の基準でもって出した勧告はぜひともやっていただかなければ困るということは、どんな場合でも申し上げます。しかし、最終的な措置としてどうなるかということは、国権の最高機関としての国会でもって御審議をいただく問題だろうと思います。そういう場合においても、人事院は、いまの制度のたてまえである限りは、結論的に言って、勧告はしかるべき措置でやっているのだからこれは尊重していただかなければ困るということは言い続ける、そういう基本的な姿勢を堅持してまいりたいということでございます。
  129. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 まず第一回のそれぞれのお話としては、たてまえ上それぞれ私はごもっともなことだと思います。長官の方は、国家の主軸はりっぱな公務員によらなければならないし、それには勧告の完全実施に努めます、まことにそのとおりです。それから人事院総裁の方も、国家の財政再建というようなこととは関係なくできている人事院でありますから、やはり民間企業との比較等勧告をする、それは完全実施してもらわなければ困る、これはそのとおりなんです。  そのとおりであるにもかかわらず、財政再建という至上命令があって、たとえば昨年の十一月二十二日の閣議決定等がなされていて、その中に両々相矛盾するような問題が錯綜して出てくるものだから先ほど来の質問があるようなことになっていくと思うのです。だから私は、そこの調和をどうするか、そこを聞いているわけで、第一発の演説として、私は、それぞれの立場上まことにごもっともな御回答をいただいたわけです。  だから、たとえば第一項の退職手当、先ほど来質問があります。これは人事院も、公務員給与の問題に関係あることだから、当然ノータッチでいるわけにはまいらぬような性格のものだと思いますが、政府の方としては、財政再建という至上命令からこの退職手当制度にメスを加えていく、こういうことになってくるわけで、私の質問が大変抽象的かどうか知りませんが、お互いの間にそれぞれそっぽを向いておったのではうまくやっていけない問題が出てくるような気がするので、その間の調和をどうしていったらいいかという問題、そこを私は質問をしているわけで、具体的には先ほど来質問があったから繰り返しませんが、どういうようにしたらいいでしょうか。
  130. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 国家公務員の退職手当の問題につきましては、先般来御質疑ございますように、先国会に国家公務員等退職手当法の一部改正法案を提出いたしたわけでございます。退職手当そのものにつきましては、先ほど人事院総裁並びに総務長官からも御答弁を申し上げたことに関連をいたしますけれども、国家公務員の退職手当につきましては、私どもといたしましては、基本的な性格といたしましてやはり長期に勤続をして退職をされる職員の方に対する勤続報償である、こういう基本的な性格だと理解をしております。  したがいまして、現在この退職手当制度の運用につきましては総理府が所管をしておる、こういうふうに理解をいたしております。そういった観点から、退職手当につきましては人事院勧告を待たず所要の改正をする、こういうたてまえに従来なっておるわけでございます。  しかしながら、先ほどの鈴切委員の御質問にもございますように、やはり公務員の退職手当という重要な問題でもございますので、適時人事院お願いをいたしまして民間における同様の実態調査を精査をいただいた上で、所要の措置をとる必要があるときにはこれを行うというたてまえをとっておりますので、委員も御案内のとおり、おおむね五年ごと人事院お願いをいたしました民間調査に基づいて所要の措置をとってきたというのが今日までの実情でございます。  御承知のように、昭和四十八年にも、そういった観点から民間の退職手当の実態調査に基づきまして、国家公務員とのそれを比較した上でいわゆる改正を行ったわけでございまして、今回の、先般国会お願いをいたしました法案の中身も、同様の手法をもって民間における水準の調査をいたしましたものと国家公務員のものとを比較した上で、改正の要ありということで御提案を申し上げた経緯があるわけでございます。先ほども総務長官申し上げましたように、やはり民間におけるそういった水準を的確に人事院で御調査をいただいたものをもとに、適正な措置をとるという姿勢を今後も持っていく必要があろう、かように考えております。
  131. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 よくわからない。この前の国会に出した退職手当のカットの法案ですね、これはさしあたってそう出しておいて、いまの御答弁によると、これから人事院でよく調べていただいて、五年後なり何なりに結論を出してもらったらまたそのときに直そう、こういう趣旨ですか。だから、臨時応急的に差し迫って五年間ぐらいの間のために出した、こういう意味ですか。だから、最初からそれをやっておいて、しかる後に法案を出す、これの方が人事院立場を尊重する本当の立場じゃないでしょうか。
  132. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 私の答弁が若干舌足らずであったかもわかりませんが、私が御答弁申し上げた趣旨は、申し上げましたように、人事院に御依頼を申し上げて調査をいたしました民間の退職手当の支給の実態調査というものを、おおむね五年に一度過去においても時系列に行ってきた経緯がございます。それを踏まえて、昭和四十八年において退職手当法の改正を行いました際も、民間と国家公務員のそれを比較して所要の措置をとったのでございます。  したがいまして、今回はたまたま民間等の実態調査の結果において公務員の退職金の実支給額の方が若干上回っているということで、改正をしたわけでございますが、基本的には四十八年の引き上げの際と同様の手法でやったわけでございまして、今後もそういった基本的な姿勢でやっていこうということがたてまえでございますので、御案内のとおり、廃案にはなりましたけれども、一部改正法案の中にも昭和六十年度をめどにさらに見直しをするということを明記した次第でございます。
  133. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういういきさつであるならば、人事院も完全に了解——完全に了解というのはおかしいのですが、人事院立場を尊重されて政府でやっているんだ、こういうように理解していいんですか、人事院
  134. 長橋進

    長橋説明員 問題が退職手当の具体的な問題に及んでまいりましたので、その間の経緯について若干御報告申し上げますと、人事院は従来から退職手当につきましては、これは公務員の勤務条件の中でやはり重要な問題であるということで関心を持ちまして、毎年というわけにはまいりませんけれども、主として部内資料といいますか、そういう動向を把握するという意味で五年ごと調査をしてきたところでございます。  今回の問題につきましては、たまたま五十三年に政府側から退職手当についてひとつ調査お願いしたいという要望もございまして、あわせて調査をしたということでございます。もちろん、調査の内容というものはそのときにおけるできる限りの手法を行使いたしまして、調査する側としましては適正な調査をしたというふうに感じておりますけれども、いかんせん退職手当の問題につきましては現在総理府の方で所管しておりますので、したがって、公務員の退職金の支給実態につきましては人事院の方に資料がございません。そこで民間の退職金支給状況調査した結果を総理府の方にお届けしておるということでございます。  現行制度におきましては退職手当法は総理府の所管になっておりますので、総理府の方で手持ちの実支給額の資料、それから人事院民間調査、それをいろいろ分析検討されておるというふうに了解しております。したがって、人事院としてはこの調査について調査結果をお届けしたということでございます。
  135. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間の関係でこれをいろいろ押し問答していてもいけないと思いますが、どうしてもその間に人事院立場政府の財政再建というものを調和する立場が相矛盾して、こういう問題が今後もたくさん起こってくるのではなかろうか、私はこういうように考えます。その間を調和する方法というものを別途に私は考えなければならないような時期に来ているような気がするわけです。これはせっかく御検討をいただくことにして、次の問題に進ましていただきたいと思います。  けさ来の話を聞いていると、大体八月八日の日に公労協の賃上げ率を上回ると判断してもよさそうだと思われるような勧告が出されるんだ、私たちはそういうようにきょう聞いたわけですが、その場合に、政府としては、先ほどの中山長官のごあいさつにありましたように完全実施をする、こういうようにわれわれは理解をしていいかということであります。  たとえば、マスコミ等においては、本年度の人事院勧告については二歩アップというものは予算に組み込まれているけれども、これを上回るものは実施をしないとか、来年度の公務員のベアは凍結をしたいとか、これはどこがどういうように流した記事か知りませんけれども、そういうものが巷間伝わっているわけです。そこで、先ほど中山長官は完全実施をやっていきたい、こういうことでこの勧告に対処をするか、この点をもう一回念を押したいと思います。
  136. 中山太郎

    ○中山国務大臣 人事院勧告がまだ出されておらない現在の時点で具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、勧告が出ました際には、先生御指摘のように二%アップのような予算措置しかできておらないということでございますが、私といたしましては勧告の完全実施のために全力を払いたい、このように考えております。
  137. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、新長官にさらにお尋ねをいたしたいわけですが、週休二日制の問題も、これは先ほどの大臣の施政方針演説にあるように、むちみたいなもの、退職金制度あるいはまた昇給期間の延伸、こういうものだけが先にやられようとしているが、週休二日制等について、新大臣としては勧告されたとおりにこれも実施していく、こういう方針と見ていいですか。
  138. 中山太郎

    ○中山国務大臣 私といたしましては、公務員諸君が一生懸命国民へのサービスに努力ができるような状態をつくることが政府の責任だというふうに考えております。  ただいま仰せの二日制の問題につきましても、勧告が出、すでに閣僚会議では決まっております。そういうことでは、できるだけ早急に国会での法案の審査をお願い申し上げたいというふうに考えております。
  139. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私はまた一つ別個の立場からお尋ねしたい点があるわけです。  たとえば公労協のベアにしても、国鉄あたりは赤字でありながらベアができるのだ、これは民間人が考えると大変な矛盾みたいに感ずるわけです。  制度の上から言えば、いかに赤字であろうと、たとえば国鉄等の職員についてベアをやらなければならない事情はそのとおりだと思いますが、民間人から比べると、われわれは減量経営のときに昇給なんかやるどころじゃない、人減らしまでやって協力をして再建をして、そしてベアができるような原資をみずから生産性を上げながらやってきたのだ、基本的にそういうものを持っているわけです。  だから、きょうは公労協の問題については触れようといたしませんが、そういうことに対して、私は国民感情として非常な不満を持っていると思います。  そこで、こういうことをいまだかつて論議されたことはないかと思うのですが、公務員の生産性、そういうものについては論議されたことがあるのでしょうか。民間のベアと比較する場合に、民間はやはり賃金を上げなきゃならないような場合、その原資をみんなで生産性を上げてかせぎ出して、そして賃上げをやっているわけで、このごろ労使相協力して、そういう立場でみんなベアの原資を獲得してはやっている。  こういうことで、ただそれを見習う、見習う、こう言うだけでは、生産性が上がって能率が上がっていることと無関係に一体公務員はベアが行われるのだろうか、やはり国民はこういう素朴な疑問を持つわけです。  こういうものについて外国でもよし、わが国内でもよし、人事院でもよし、公務員の生産性というものはいかにあらねばならないか、民間がこういうように生産性を上げてそしてベアの原資をかせぎ出しているが、公務員は一体どうであろうか、こういうものを検討、研究あるいは資料等があるのでしょうか。これは先に人事院の方に聞いた方がいいですかね。
  140. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務員の生産性の問題というのは、これは大変むずかしい問題でございまして、一部ではいろいろ検討もされ、論議もされた段階がございますが、確たる客観的な結論というようなものまで出す段階には至っておらないというふうに私は承知をいたしております。  というのは、先生も御承知のように、民間の企業の場合におきましては、端的に生産性が上がるからどうかというようなことは、その企業の利潤、社会貢献度というようなことでそれなりの物差しというものがわりとわかりやすいということがございます。  それに対しまして公務員の場合は、たとえば教員の場合でもそうでありましょうし、治安維持の警察というものもそうでありましょう。また、公共事業に従事をしている公務員というようなものもございますし、そのほか税金の徴収に当たっておる税務職員というふうに非常に種々雑多でございまして、それぞれについていわゆる民間並みの生産性というようなものを論議できるだろうかという、大変なむずかしい障壁がそこにあるわけでございます。  したがいまして、それらの点をひっくるめて九十何職種にわたるものについて生産性を云々してやっていくということは、理屈としては考えられても、現実問題としてはとても納得できるような結果は出ません。そういうことから、民間の実情というものを把握をいたしまして、それとの比較によって結論を出して、較差があればそれを埋めていただくということでやっておるわけでございます。この点が一つございます。  それからもう一つの点は、これは私の立場から申すべき筋合いのことではないかもしれませんけれども、たとえば端的なことを申し上げまして、戦後になって特にここ最近、第何次にわたりまして行政整理、定員削減というものをやっております。明らかに一般の公務員その他についてはほとんどふえておりません。ふえておる部面は、要するに教育関係でありますとか医療関係。地方公務員の場合は、現場がございますので伸び率はどうしても国家公務員の場合よりもふえているようであります。  そういうことを考えてみますると、一つの例を申し上げまするならば、いま申した税務職員一人について申しましても、それの課税徴収額というものは過去の経過から見ますとそれこそ何倍にもなっておる。それに対してほとんど人はふえないというようなことでございまして、これは考え方によってはやはり減量経営という結果になっているのではないだろうか。逆に言えば、それが公務員の生産性の向上というふうに見てもいいのではないかという感じがいたしております。  しかし、いずれにいたしましても、職種が非常に種々雑多でございまして、一概に言うことができませんですから、そういう意味でいまのところは行政職俸給表の(一)、(二)という職員を対象にいたしまして、それと類似の民間給与実態を調べて、それとの均衡の上で結論を出しておるということでございます。  この点は先生には釈迦に説法で申しわけございませんが、たとえば公務員給与はどういうふうにあるべきかということは、やはり世界各国でもいろいろ問題になっております。その結果現在は、これは口幅ったいようでありますが、日本の人事院制度がのっとっておる民間給与との比較方式というものがおおむね先進国では定着をしておるようであります。  言葉はほぼ同じでございますが、アメリカにおいては、民間公務員との同種のものというものが匹敵をする、匹敵性の原則と言っておりますし、ドイツ、イギリス等では均衡性の原則ということを言っておりまして、ほぼ日本のやっておるやり方を踏襲をしておる。言葉が悪いですがまねてきておる。やはりこれしかないのじゃないだろうか。それで公務員にも一応納得してもらうし、国民にも曲がりなりにも納得をしていただく。そういうことの結論からいって、いまの方式よりほかにとるべき方法というものは、現段階ではなかなかむずかしいのではあるまいか、私はかように理解いたしております。
  141. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 民間にはほとんど生産性の物差しというものがあるわけですね。銀行は何でやるかというと一人当たりの預貯金額だ、こう言う。私なんかの地元の木曽川の発電所あたりを見ると、関西電力なんですが、昔は八百人もいたが、いま百人以下の者でやって、発電量は何倍かやっているわけです。そういうようにしていくと、それぞれみんな生産性の物差しというものがあって、それを目標にして努力をしているわけですね。  たとえば、いまも総裁が言われたように、税務職員であったならば、昔一人当たり百万円の徴税をしたが、いまは三百万円やっていると言えば、これは三倍になったなと簡単にわかるわけですね。私はやはり公務員の国民にサービスするサービスのメジャーというもの、何らかの方法で生産性のそれというものを、これは人事院がやるべきことかあるいは総理府がやるべきことか知りませんけれども、そういうことを検討する必要があるのではないか。欧米先進国もやはり困っているようなんですが、日本独自でそういうことを考えてもいいのではないか。  私の言うのは高能率高賃金ですよ。小坂徳三郎さんは、役人というものは休まず、おくれず、働かずと言って「産業人宣言」に書いたんだけれども、私は、やはり高能率高賃金、これが目指すべきものだと思うのです。だから、これは人事院でやるか総理府でやるか知りませんけれども、何らかのめどというものをみんなつけられないことはないと私は思う。  保育園の保母さんは、昔は三十人も四十人も扱っておったが、だんだん減らしてきて二十五人にして、いい保育ができるようにと言って減らしてくることは、これは質的な向上という中身もあるでしょうから、何らかのそういうことのめどというものをつけなければならぬが、民間というのは血の出るような苦労をしながら、みずからの首切りもあえて労働組合が提起して、そして賃金を上げる原資を獲得しながら賃金を取ってきている、これとの比較ですから、やはり公務員にも生産性というものについて何らかのめどというものがあってしかるべきものだ。これは総理府人事院でまた検討をしていただいたり、いいお知恵があったら拝借させていただきたい、私はこういうように考えます。  それからいま一点お聞きしたいことは、行管からも来ていらっしゃると思いますが、省庁間の異動ですね、農林省にいた者が今度は税務職員になるとか、そういうことを行管の方は唱えて前からやってきておるのですが、これはスムーズに実際行われているか、行われていないとするならばそのネックは何か、この点について、これは行管ですか……。
  142. 門田英郎

    ○門田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の省庁間の配置転換という問題につきましては、非常に昔から所々方々で指摘されてきているわけでございますが、なかなかにいままで実現に至っておりません。最近における民間部門の血の出るような合理化努力というものも当然に引き合いに出して、公務部門においても省庁間配置転換に当然踏み切るべきであるという御指摘もまたたくさんございます。  こういったように、非常に古くて、かつまた新しい課題でございますが、いままで実現に至っていないということで先生おわかりのように、大変に困難な問題でもございます。しかしながら、現在のような厳しい情勢、これにかんがみまして、やはりこの際ぜひとも実現を図ってまいりたいというふうに私ども考えてまいったわけでございまして、昨年末に閣議決定いたしました昭和五十五年行革、これにおきましても「行政需要に応じて部門間配置転換の推進を図ることとし、配置転換推進連絡会議の場等を通じて、その具体的実施に着手する。」こういうふうに決めたところでございます。  ちなみに、この配置転換推進連絡会議というのは、各省庁の官房長レベルでもって構成している会議の場でございます。この下に各省庁人事担当課長レベルの幹事会を設けております。そういうことで政府としての意思決定をしまして、当面、昭和五十五年度において初年度始めようではないか。  初年度の道づけといたしまして、各省庁受け入れ可能数を募りまして、送り出し可能数との勘案等も含めまして、最初の試みでございますので、各省庁合計二百五十四人の受け入れ可能数を設定いたしました。ただいまこのトータル二百五十四人という数を目標といたしまして、各省庁バイラテラルに、それぞれ人事の衝に当たる部局お話し合いの上で進めていただいているという段階でございます。私どもといたしましては、逐次こういうお話し合いを通じまして、その成果というものが実ってまいるということを非常に強く期待している次第でございます。
  143. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは時間ですからこれで質問をやめますが、来月八日ごろ勧告が出たら、どうぞ新長官、完全実施、それから週休二日制も、これは勧告の中にあるわけですから、つらいことだけ押しつけないでそういうこともきちっとやっていただくということを希望いたします。  私の求めるものはやはり高能率高賃金だ。それで生き生きとして公務員の人もまた国家のために奉仕してもらえるような体制をつくり上げることが必要ではなかろうか、こう思います。私は、その生産性の問題は一つ問題を投げかけておきますが、ぜひ研究をしていただきたい、こういうようにお願いをしまして、質問を終わらせていただきます。
  144. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 中島武敏君。
  145. 中島武敏

    ○中島(武)委員 人事院勧告に臨む人事院基本的な姿勢についてまず伺いたいと思います。  生涯賃金では公務員の方が民間より高い水準にある、そういう主張が財界を中心に行われておりますけれども、こういう議論に対して、人事院は科学的調査に基づく実証的な立場勧告に臨まれるものと思います。しかし念のため、基本的な姿勢に属することですから、総裁から伺いたいと思うのです。
  146. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま御指摘がございましたように、近年、公務員の生涯給与その他の問題を中心としていろいろ論議がなされております。われわれの立場から申しますると、これらの見解の中には思い違いもございますし、また研究不足という面もございます。ただ、形式的なことだけを申しますれば、たとえば年金にいたしましても、厚生年金と比較して受給開始年齢がどうこうというような問題がございます。しかし、それにしてもやはりこれは一つの沿革がございまして、従来の恩給制度がなお引き続いておるというようなことがございますから、それらの点を分析してよく検討いたしませんと、簡単に有利である、あるいは不利であるという結論が出にくいだろうというふうに感じております。  そういう面から、先刻もちょっとお話を申し上げましたが、私自身の考え方としては、やはり給与給与、退職手当は退職手当、年金は年金というふうにして、それぞれ調査対象を限定いたしまして、その上の比較に立って事柄を処理していくというのでなければ、決して正確なまた客観性のある結論は出ないのではないかという感じを痛切に持っております。  そういうことで、今後とも精力的に調査すべきことは調査するということで、作業を進めるために検討は続けたいと思っておりますが、基本的にはそれらの問題は別にして、やはり公務員給与を預からしていただいております人事院立場というものは、これは一つ大きな筋がございます。その筋は、いろんな声について謙虚に聞くべきことは聞いていくという態度はとりますけれども、しかし、大きな筋というものはあくまで堅持してやっていくという態度は貫きたいということでございます。
  147. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ基本的な態度についてお伺いをしておきたいと思うのですが、五十五年度の給与改善費は、先ほどから議論に出ておりますように二%しか組まれておりません。五十三年度以前はこれが五%、五十四年度が二・五%、そして五十五年度がいま申し上げたようにわずか二%しか組まれていない。政府のとっておられるこういう事情によって給与勧告が影響を受けることはないと私は思いますけれども、しかし、これも基本的な問題に属することですから、そのようなものには影響されないということをはっきり総裁の方から断言をしてもらいたい。
  148. 藤井貞夫

    藤井説明員 給与改善の財源としてことしは二%、去年は二・五%ということであったことは御指摘のとおりでございます。去年もいろいろ国会においても御論議がございまして、そのときに明言をいたしましたように、それらの計上財源とは一切かかわりのないことである、人事院人事院としての立場において勧告をいたしますということを申し上げましたが、その点はことしにおいても毫も変わりはございません。
  149. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次に、ことしの春闘の妥結状況を見ますと、大手で六・七%、そして消費者物価上昇率は、これも先ほど来出ておりますが、四月で八・四%、五月で八・二%、そして総理府統計局がたしか二十二日に発表した家計調査報告によりますと、ことしの一月から実収入が減少を続けている、連続五カ月にわたって減少をしている、こういう状況であります。つまり実質賃金が維持されない、マイナスになっているという状況であります。  そこで、民間準拠という考え方からしますと、勧告の水準についても、実質賃金を維持できない水準ということが考えられます。しかし、国家公務員法の第二十八条の情勢適応の原則を受けて、御存じのように同じく国家公務員法の六十四条二項で「俸給表は、生計費民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、」云々とあります。  現在は主として民間における賃金の改定、ここに重点を置いておられるようですけれども、いま言いましたように、その民間賃上げ状況物価上昇率を下回る、つまり実質賃金が維持できないという状況でありますから、そうしますと、やはりこの際考えなければならないのは、民間準拠ということだけではなくて、生計費、それからまた「その他人事院の決定する適当な事情」ということを考慮して勧告を決めるべきではないかというように思うのですけれども、御見解を聞きたいと思うのです。
  150. 長橋進

    長橋説明員 公務員給与を決めます場合の基準原理につきましては、先ほど来申し上げておるように、手がたい方法として、また大方の納得を得られる方法としては、民間賃金との均衡を図るということが一番ではないかということで、先進の諸外国においても大体人事院のこれまでのそういう方式によっておるということでございます。  確かに、御指摘のように一月来の実質賃金伸び、それから消費支出の動向を見ますとマイナスが続いておりますけれども、しかし、この際公務員についてだけ特別の措置を講ずるということになりますと、公務員給与が税金によって賄われておるということから考えましても、国民一般の大方の納得というものはなかなか得られないのではなかろうかというふうに考えられます。  したがいまして、やはり水準の面につきましては民間給与との均衡を図っていくということを基本原則にいたしますけれども、その辺のところは、配分の面につきまして、生計費の、特に負担の多いところについてはこころもち配分するように気を使っていくということが大事でございまして、配分の面につきましてなるべく配慮していくということになるのではなかろうかというふうに考えております。
  151. 中島武敏

    ○中島(武)委員 やはり民間賃金との較差あるいはそれとの均衡ということをいま主に考えておられる。それを是正する、つまり実質賃金マイナスにならないようにするということになれば、国民の理解が得られないといういまの答弁なんですけれども民間労働者が実質賃金マイナスになる、だから公務員労働者もやはりマイナスでがまんしなければならないというのはいかがなものかと思うのです。  その点は、マイナスでないときならいいですよ。しかし、先ほどから明らかになっておりますように、ことしは一月から五月まで実質賃金マイナスであります。そうすると、民間マイナスだから公務員もそれにならわなければならないというのは一考を要するのじゃないか。これはやはり法律でも言われておりますように、民間との間の問題というだけではなくて、生計費の問題であるとかあるいは人事院が決定する事情というところを考慮して、公務員だけが何か高い賃金を取っているということではなくて、やはりマイナスにはしないという姿勢を打ち出すことが必要ではないかと私は重ねて思うのですけれども、どうでしょう。
  152. 長橋進

    長橋説明員 御指摘のとおり、国家公務員法の中に公務員給与におきます俸給表を決定する場合には、生計費民間における賃金物価等を考慮するということになっております。しかしながら、これは水準の話として見ました場合に、やはり官民給与の均衡を図るということが筋ではなかろうかというふうに考えております。  したがいまして、先ほど申し上げましたような物価上昇消費支出の動向、そういったようなものを反映いたしまして民間賃金が動くということでございますれば、やはり情勢適応の原則に基づきまして公務員もそれに合わせていくということが筋ではなかろうかということでございます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、水準の問題としてはやはり従来どおりの姿勢を堅持せざるを得ないのではなかろうか。ただ、配分の問題としましては、やはり公務員独自の状況というものも考慮して差し支えないのではなかろうかというふうに考えております。
  153. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はその議論を了とするものではないのですけれども、それではいま言われたその配分の問題にかかわってお尋ねしたいと思うのです。  私は、この配分という場合に幾つかのことが考えられると思いますが、低賃金階層の底上げを図るとかあるいは行(二)に対する底上げを図るとか、あるいは諸手当について、特に生活給とも考えられる扶養手当あるいは住居手当といったようなものの改善を図るということが必要だと思うのです。これは単に手当だけの問題ではなくて、やはりいま言ったような点が全般的に改善をされるということが必要ではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  154. 長橋進

    長橋説明員 配分の問題として考えました場合には、御指摘のように俸給表の問題と手当の問題と二つあると思います。したがって、俸給表の問題につきましては、いわゆる職務別、階層別にどのような配分をしていくかという段階配慮していくことになりましょうし、それから手当の面につきましては、やはり生計費を支えるということについて効用ある手当について特に意を用いた配分をしていくということになろうかと思います。それは先ほど申し上げましたその水準の範囲内でどう配分していくかという場合でございます。
  155. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまの問題ですが、近年の給与勧告における本俸、諸手当その他はね返り分のそれぞれの原資配分を見てみますと、昭和五十年で一〇・八五%の勧告がなされておりますが、このときの本俸分は八七・〇七%です。それから昭和五十一年は六・九四%の勧告がなされておりますが、本俸分は八六・五〇%です。それから五十二年は六・九二%の勧告で八八・三九%、五十三年は三・八四%の勧告で八一・八一%、昨年は三・七%の勧告で八二・九四%、つまり一昨年、昨年と、本俸の占める比率が低下をして、手当分がふえるという形をとっているわけです。これは勧告が低くなるとともにそういうふうになっております。  そこで、先ほどの総裁答弁にもありましたように、人事院は決して生涯賃金論の立場には立たないということを言っておられるのですけれども、これを見ますと、結果的には本俸分が落ちる傾向を示している。そうしますと、民間でいま第二基本給の考え方というのがいろいろと出されておりますけれども、これに従っていると言い切るとこれは言い過ぎになると思うのですけれども、しかし、ここは一体どうなんでしょうか。ここのところの見解をひとつ聞いておきたいのです。
  156. 長橋進

    長橋説明員 確かに、俸給月額に対します配分傾向を見てみますと、御指摘のように率が若干ずつ下がっているということがございます。これは昨今、やはり生計費を見るということで、扶養手当への配分をかなり重く見ておるということでございます。したがいまして、官民の較差が大変少ないというような状況になってまいりますと、特にその傾向が顕著になってあらわれてくるということであろうと思います。  扶養手当につきましては、民間状況を調べましても、伸びを見ますと余り大きな伸びはないということでございまして、その辺につきましては人事院はより精細な調査をいたしまして、なるべく扶養手当の方に金が回るようにという努力をしてまいりましたので、その結果がそういう状況になってきておるというふうに考えております。
  157. 中島武敏

    ○中島(武)委員 物価やインフレの影響というのは、公務員全体に影響が及ぶわけです。ですから労働組合ども、本俸分を九〇%に引き上げてもらいたい、こういう要求をしているのです。私は、この点はもっともだと思うのです。そういう点では、ことしの勧告に労働組合期待をしているわけでありますから、本俸分は引き上げるというふうにされたいと思うのですけれども、どんなふうにお考えでしょう。
  158. 長橋進

    長橋説明員 本年におきます具体的な配分につきましては、総合較差が出てから後にさらに詰めたいと思っておりますけれども組合皆さん方から出されておりますポイント要求といいますか、俸給表配分についての重点の置きどころ、そういうことにつきましては十分念頭に置きまして配分してまいりたいと考えております。
  159. 中島武敏

    ○中島(武)委員 本俸分配分を引き上げる方向で検討してもらうというふうに理解をして、関連してもう一つお尋ねしたいのです。  悪名の高い地域最低賃金、これは五十四年度で見ますと、東京の場合に日額で二千七百九十五円です。二十五日働いたとしますと月額で六万九千八百七十五円になります。しかし、五十四年度中卒の見習い職員を採用するということになりますと、行(二)五等級一号俸は俸給月額六万九千円であります。これに調整手当が五千五百二十円加えられますので、七万四千五百二十円。したがって、五千五百二十円上回っている。ところが、乙地で見ますと、二千七十円の調整手当がついて七万一千七十円。二千七十円しか上回っていない。ほんのわずかしか上回っていない、そういう結果が出ているのです。  それで私は、こういう状況だと、民間との間の争奪戦において、端的に言って破れるのではないか。これからの八〇年代の職員の年齢構成というようなことを考えてみますと、この点はやはり配慮して、そして初任給を引き上げていくということが非常に必要じゃないか。端的に言えば、低初任給政策といいましょうか、この辺は改める必要があるのじゃなかろうかというように思うのです。この点はどうでしょう。
  160. 長橋進

    長橋説明員 公務員給与と最低賃金との関係でございますけれども、確かに、公務員賃金を決めます場合にもやはり最低賃金というものを十分勉強しながら決めていかなければならぬということであろうと思います。ただ、御指摘の点につきましては、五等級の一号俸、二号俸というところは現実に職員はおりませんけれども、しかし、制度上の問題としましては、やはり制度としてそういうふうな状況にあるということは問題であろうと思いますので、この点は今後十分注意してまいりたいというふうに考えております。  それから初任給の問題につきましては、やはり官におきましても民間並みに人材を確保する、もちろん、官のみに人材をかき集めるという必要はございませんけれども、官民、同じような状況に人材が散らばっておらなければならぬということは当然でございまして、そういう意味から申しましても、やはり民間と均衡のとれた初任給を国についても設定することは大事であろうというふうに考えております。
  161. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ちょっと細かい問題に入りますが、手当の問題です。  この問題で幾つかの問題がありますが、扶養手当改善問題について伺っておきたいのです。御存じのように、現行の扶養手当で、配偶者と配偶者以外の扶養親族のうち二人の場合とのバランスを見てみますと、制度創設当初は六百円と四百円だったのですけれども、いまははるかにこの比率が大きくなって——大きくなってといいますか、格差が開いてしまっております。それで私は、先ほど来の実質賃金を確保するという上からいいましても、この点、配偶者以外の扶養親族に対する手当を引き上げる必要があるのじゃないかというように思うのです。御存じのように、これまた児童手当なども五千円であります。五千円に引き上げろと、ここでストレートに言うわけじゃありませんけれども、できるだけその方向へ近づけていく必要があるのじゃないかと思うのですが、見解を聞きたいと思うのです。
  162. 長橋進

    長橋説明員 扶養手当につきましては、確かに現在配偶者が一万円でございまして、子供といいますか、二人目までは三千円ということで、二十鶴前と比べますと、その間かなり格差があるということでございます。総額として見ました場合には、それぞれ民間との均衡をとって支給しておるわけでございますけれども配分につきましては、確かに御指摘のように格差はございます。特に児童手当との関係で対比してみますと、児童手当五千円、それに対して子供三千円ということでございます。しかし、扶養手当の問題につきましては、確かにおっしゃるように、なるべくならばいわゆる配偶者以外の方たちにも均衡のとれた形で持っていきたいとは考えておりますけれども、なお、民間におきます支給状況でございますとか、あるいは職員層といいますか公務員の意見というものも聞きながら対処してまいりたいと考えております。
  163. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それから、住居手当についても当然改善されなければならないというように私は思っております。借間、借家の関係は年々改善されてきているのですが、ことしも改善を図られるつもりかどうかという点が一つ。  それから、持ち家についての住居手当は、昭和四十九年に創設されてから千円で、住宅が新築または購入されてから五年間は千五百円加算ということになっているのですね。この額は変わっておりませんね。私は、そういう点では、住居手当の効果がこれでは薄くなってきているというように思いますので、この点についても改善を図るべきじゃないか。特に先ほどのお話によれば、なかなか実質賃金を維持する勧告期待できそうもないので、生活給的な意味を持っている扶養手当とかあるいは住居手当の改善を図ることは大事だと思いますので、そうするべきだと思うのですけれども、この点も見解を聞いておきたいと思います。
  164. 長橋進

    長橋説明員 住居手当につきましては、ことしも民間の支給状況調査いたしましたので、その集計結果を見て具体的に詰めたいと思っておりますが、ここ数年民間におきます住居手当の支給状況を見てまいりますと、支給の仕方というのが大変多様性を帯びているということもございます。そういうことも考慮した上で対処したいと思っております。  それから、持ち家居住者との関係でございますが、住宅手当そのものが借家、借間に居住している人たちの住居費負担、これを多少なりとも軽減しようということでございまして、持ち家居住者につきましては、借家、借間居住者との均衡を考慮して措置する、制度上の均衡といいますか、そういうことになっておりますので、持ち家居住者につきましては、民間の借家、借間居住者に対する住居手当、これがどうなるかということとの関連において決めたい、このように考えております。
  165. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは改善方を強く要望しておきたいと思います。  あと、手当の問題について二つ伺いますが、通勤手当の問題です。  これは、交通機関については実費補償がかなりの程度確立されているわけですけれども、自家用車あるいはバイク、単車、自転車といったような交通用具使用者、特にその中でも交通不便者、この問題をことしは改善を図る必要があるのじゃないかと思うのです。なぜならば、石油の価格がかなりの程度上がっておりますので、距離数に応じて改善を行うというようなことを図るべきではないかと思っておりますが、これについて伺いたい。  それからもう一つは、いまも言いました石油の暴騰、この問題と関連して寒冷地手当の問題が出てくると思うのです。この点は従来から加算額の手直しというようなことはやっておられるわけですけれども、しかし、定額部分については十年ほど動かしておられない。ここも手をつけるべきではないか、改善を図るべきではないかというように考えるのですけれども、どうでございますか。
  166. 長橋進

    長橋説明員 まず、御質問の第一点の通勤手当の問題でございます。  交通用具使用者に対します通勤手当の支給額でございますが、これは現時点で見ますと、いわゆる石油等の高騰に伴うガソリンの値上げ、そういったものに対応するような割合での改定ということは今日まで努力してまいっておりますので、現時点考えますと、それなりに一応対応したかっこうになっておるだろうというふうに考えております。  ただ、車等を利用して通勤される方につきましては、それなり事情もおありですし、ことに交通不便等によって、遠距離を余儀なく車等を利用せざるを得ないという方につきましては、やはりそれなり配慮というものは加えてまいりたい、このように考えております。  それから、第二点の寒冷地手当の問題でございますが、寒冷地手当につきましては、灯油の異常な価格上昇に伴う加算額の改定、それからさらには、数年前に国会で附帯決議もございまして、制度改正の問題とかいろいろございます。灯油価格の上昇から考えましても、寒冷地手当について現状のままで放置しておくということは問題であろうという認識は十分持っております。したがいまして、そういった加算額、それから基準額、そういうものを含めまして、さらに制度改正も含めまして、制度改正ということで目下検討しているところでございます。
  167. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間の関係もありますので、ちょっと先を急ぎますが、昇給延伸問題です。  この問題について、先ほどからいろいろ議論をされてきておりますが、大変くどいようですけれども、私は、これは公務員給与制度の根幹に触れる問題だと思うのです。そういう点から、くどいようで恐縮ですけれども総裁見解を聞きたいのです。
  168. 藤井貞夫

    藤井説明員 昇給延伸の問題は、繰り返し申し述べておりますように、給与制度の一環をなす、しかも重要な問題であるという認識を持っております。民間でも、昇給ということは、春闘の場合、おしなべて行われているところが多いようでございますし、そういうにらみ合わせのもとに、給与制度の重要なる一環として検討をしていきたいというふうに考えております。  今度の場合は、民間実態につきましても、いままでよりは詳細に調査をしたいということで調査をいたしました。その結果については目下集計中で、まだ私のところに結論は参っておりません。したがって、いまの段階でどうこうするということを申し上げる段階ではございませんが、しかし、事柄は重要でございますので、この問題につきましては、ひとつ慎重の上にも慎重な態度で臨んでまいりたいという気持ちでございます。
  169. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは昨年の十一月の二十二日に閣議決定をされて、この閣議決定の内容を見ますと、どうも財政的な観点から問題が提起されていると思うのです。この点については、先ほど来議論もあったところですが、財政的な観点でこの問題を考えるということは、私は全く不見識だと思っているのです。その点もちょっと伺いたい。
  170. 藤井貞夫

    藤井説明員 私も、この問題は財政的な見地から云々するということは、特に人事院立場としては筋違いであろうと考えております。
  171. 中島武敏

    ○中島(武)委員 退職手当法、それから定年制法、これについて次の国会に提出されるというような話がありますけれども、これは私は大いに反対であります。ちょっと態度を明らかにした上で、その上で私聞きたいのですけれども、さきの国会で法案が提出されたときに、私どもの方に退職手当法改正の参考資料というのが配られました。これを見ますと、退職金の官民比較のデータが載っているのです。  ところが、国公労連が退職金の実態調査を行っているということを聞いたので、私もどんな状況かということを聞いてみたのですが、これは中間的な状況ですけれども、どうも総理府の出されたデータは、官民比較で国家公務員の退職金の額はこんなに高い額にはならないと思うということを述べているんですね。  そこで私聞きたいのですけれども、これは非常に簡単なものでありまして、何も書いてないのです。何も書いてないというのはあれですが、たとえば学歴は一体何なのか、それから対象人員は一体どうなっているのかということについて何も書いてないんですね。これは一体どういうことなのか、この点をちょっと伺いたいのです。
  172. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 先ほどの委員の御質問にも関連してお答えをした内容にも触れますが、先般の国会に提案を申し上げました退職手当法の一部改正法案に関連しまして、参考資料を御提出申し上げたところでございます。  退職手当の民間調査につきましては、先ほど来御答弁をしたところでございまして、人事院お願いをしまして、五十二年度におきます民間企業の退職金支給の実態調査したのでございまして、参考資料として御送付申し上げました中に触れておったかと思いますが、四十八年におきますところのいわゆる退職給与の引き上げをいたしました際と同様の手法をもちまして、百人以上の企業約二万六千社のうち、層化系統抽出法によりまして選定いたしました千五百社について同様の調査お願いしたところでございます。  その結果に基づきまして、私ども調査をしております国家公務員の退職金支給の実態との比較をいたしました上で結論を出したところでございまして、いま細かい点につきましての御質問もございましたが、総括的に申し上げまして、四十八年における実態調査の手法をそのまま踏襲をしておる。さらに、モデル調査等も付加をいたしまして、調査お願いしたものを参考に国家公務員との比較を行ったわけでございます。
  173. 中島武敏

    ○中島(武)委員 問題は、民間の方じゃないのです。国家公務員の方は、一体これはどういうところから出てきているのですか。たとえば学歴はどうなのか、それから人数はどうなのかという点についてお聞きしているのです。
  174. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 御答弁に漏れをいたしまして、追加申し上げますと、国家公務員につきましては、五十二年度におきます行(一)の高校卒というところで対比をいたしております。
  175. 中島武敏

    ○中島(武)委員 人数は……。
  176. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 対比いたしました実人員が三千四百三十名でございます。
  177. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは労働組合からも疑問の出ているところですから、この労働組合からの疑問にもきちんと答えていただきたいと思うのですけれども、どうですか。
  178. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 先ほどの御質問にも関連をいたしますが、私ども組合皆さん方とも数次にわたり退職手当法の内容についても話し合いを持ったわけでございますが、近い国会におきまして再度退職手当法の改正法案が提出される際には、さらに審査のための資料は別途提出をいたしたい、かように考えております。
  179. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私の言っておりますのは、こういうのを出された。いまお話を聞いてみると、根拠がないわけじゃなさそうなんですね。そうすると、やはりもっと詳細なデータを明らかにしなければならないのじゃないか。特に労働組合の方からもずいぶんと疑問が出ているのだから、それに答えてもらいたい、そういう趣旨なのです。この次出すときにどうだというお話じゃないのです。
  180. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 ただいま申し上げましたように、退職手当法に関連をいたしまして、関係の職員団体と十数度にわたり私どももお話し合いをした経過がございますが、その都度所要の問題については意見の交換をしてまいった経緯がございますので、今後さらにお話し合いを持つ機会がございますれば、必要なものについてお話をいたす、こういうことについてはやぶさかでございません。
  181. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは、総理府総務長官に最後に伺って、榊議員の関連質問に譲りたいと思うのですが、週休二日制の問題です。これは昨年、人事院から勧告がされて、政府の方では法案を出しておられない。それで、これは端的に言うと、勧告の無視あるいは軽視になるのではないか。どうされるつもりかということを長官に伺って、私の方の質問は、これで関連質問に譲りたいと思うのです。
  182. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お尋ねの国家公務員の週休二日制の問題につきましては、かねて政府においても慎重に検討いたしてまいりましたが、人事院勧告が出されまして、本年三月に、その勧告を尊重して閣僚会議で決定したという経過はすでに御承知のとおりだろうと思います。政府といたしましては、四週一回交代半休制、これを実施してまいりたいということで法案の準備をいたしておったところでございますが、先般国会が解散になりまして、事実上御審査をいただくことができなかった、こういうことでございますが、しかるべき機会にできるだけ早く法案を提出させていただきたいと考えております。
  183. 江藤隆美

    江藤委員長 榊利夫君。
  184. 榊利夫

    ○榊委員 それでは、私の方から二、三質問させていただきます。  昨年の人事院給与勧告の場合は三・七%だったと記憶しております。大蔵省は、当初は、給与改善費としては二・五%しか計上していなかったと思うのですが、結果的には、人事院勧告の三・七%を支出したというふうに承知しております。その際、どういう補てんの方法をとられたのか、お尋ねいたします。
  185. 水谷文彦

    ○水谷説明員 ただいま御指摘がございましたように、昨年度の人事院勧告改善率は三・七%でございました。その所要額は、一般会計で申し上げますと二千百三十七億円でございます。その財源といたしましては、当初予算に計上しておりました給与改善費、御案内の二・五%でございますが、それが千四百十六億円、これを充てますとともに、人件費の不用見込み額等、これが四百八十九億円でございます。このほか、補正による追加財源といたしまして二百三十二億円を計上いたしまして措置をしたわけでございます。
  186. 榊利夫

    ○榊委員 いま説明を承りましても、いろいろ切り詰めた財政支出を行っているということがわかります。  ところで、国家公務員給与のうち、防衛庁、自衛隊関係の給与は何%でしょうか。それから、仮に数%の給与改定だとして、それを上乗せしただけでも、防衛費のGNP比は〇・九%をはるかに超えるのじゃないかと思うのですが、このあたりはどうなんでしょう。
  187. 畠山蕃

    ○畠山説明員 御質問の御趣旨は、五十五年度について給与改善費を上乗せした場合にどうであるかということかと存じますが、五十五年度につきましては、防衛関係費全体で対前年度六・五%の伸びでございまして、その結果GNP比が〇・九〇という形でございました。したがいまして、その中には当然五十四年度の勧告に基づく給与改善費が含まれておりますので、その給与改善費を加えたところの五十五年度の予算額全体として〇・九%になっておるということでございます。
  188. 榊利夫

    ○榊委員 これからの話ですよ。〇・九%をはるかに超えるんじゃないでしょうか。
  189. 畠山蕃

    ○畠山説明員 これからの話とおっしゃいましたので、御質問の趣旨は五十六年度の予算についての現在問題になっております概算要求の枠、すなわちシーリングの問題としての話であろうと了解いたしますが、これにつきましては、一つには、まだGNP自身が推定でございまして、その後成長率がどうなるかわからぬということがございますので、その〇・九%というものがどうなるかわからぬという問題がございます。それから、シーリングの原則率を去年一〇%であったものを、五十六年度につきましてはどのようにするかということを現在まだ検討中の段階でございます。  したがいまして、五十六年度において給与改善費、給与改善費と申しましても、これは五十五年度の人事院勧告に基づく改善が、平年度化されて乗っかるということでございまして、五十五年度の人事院勧告は御承知のとおりまだ出ておりません段階ですから、これが何%になるかということを正確には把握しがたいということもございます。そのような不確定要素が非常に多くございますので、GNP比がどれを超えるかとかどのぐらいになるかということは、現段階ではちょっと予測しがたいところだと考えます。
  190. 榊利夫

    ○榊委員 なかなか答えにくいということのようでありますけれども、いずれにいたしましても、国家予算における自衛隊費の比重というのは、人件費だけでも相当高いということだけは現状に即しても言うことができるだろうと思います。その人件費プラス装備、施設費、これを含めたいわゆる防衛費、軍事費、これをNATO並みにというふうな要求が最近アメリカ筋などからもしきりになされておりまして、それを受けて御承知のように政府部内でも防衛費の枠外とかあるいは特別扱いを求める向きが最近報道されております。  そこで質問でございますけれども、現在でも日本の人件費を含む軍事費、これはNATO諸国の核兵器の装備費を含めた軍事費と大体等しいんじゃないかと思うのですけれども、どうなんでしょうね、たとえばフランスだとかイギリスと比べまして。
  191. 畠山蕃

    ○畠山説明員 防衛費の絶対額といたしましては、現在われわれが防衛関係費として定義しておりますものは世界で第八位ということで、イギリス、フランス等を下回っておるという現況にございます。ただ、御指摘がNATO定義並みの形で防衛関係費の範囲をとらえればということでありますとすると、このNATO定義といいますのが、NATOの方でのおおよその計算がわかっておる程度でございまして、これは厳密にはマル秘事項という形になって、われわれも正確には把握しておりません関係もありまして正確にはお答えできませんけれども、御指摘のとおり、年度にもよりますが、絶対額としてはフランス、イギリスに近いような数字になってくるという感じでございます。
  192. 榊利夫

    ○榊委員 絶対額としてほぼ近いというそのお答えのとおりだろうと思います。ナン報告などによりましても、NATO基準による軍事費には、軍人恩給とか対外軍事援助費なども入っております。いろいろ計算の仕方が違うわけでありますけれども、そういうふうにして日本の場合には、本年度予算の場合旧軍人恩給費であるとか遺族及び留守家族などの援護費、それから海上保安庁費、これは合計しますと一兆六千億を超えるんでありますけれども、これを防衛関係費に合わせますと大体三兆八千億ぐらいになると思います。そういう点ではフランス、イギリスの八〇年度の軍事費もほぼ三兆八千億、三兆六千億程度でございますので、合うわけであります。  そこで、最後ですけれども、つまり日本の防衛費というのは、そういう点ではフランス、イギリスなどの核兵器を含む軍事費と肩を並べている。もしもそれを外国からの要求があってさらに別枠で増強していく、こういうふうになっていきますと、たとえばの話ですが、今年度予算の一五%増であるとかそういうふうになってまいりますと、軍事費の場合はNATOの水準をはるかに超えるだけではなくて、五十一年度の閣議決定の枠も超えるし、あるいは他の歳出の伸び率をもはるかに出し抜くということになるわけであります。これは、公務員給与につきましても一定の圧迫要因にならざるを得ない、こういうことが私の質問の一つの問題点でもあります。  そういう点では、大蔵省としましては、そういう財政を破綻させかねないような大軍事費増、これをどういうふうにお考えなのか。まさか考えてはいないと思いますけれども、その点念のため伺っておきたい、こう思うのです。
  193. 畠山蕃

    ○畠山説明員 防衛関係費につきましては、私どもこれが一つの重要な経費であるという立場にはあるわけでございますが、しかしながら、御指摘のとおりわれわれ財政再建期間中でもございますし、厳しい財政事情の中にあるわけでございますので、防衛関係費を決める際にもこれだけを聖域化するといいますか、特別に先決めするということではなしに、他の経費とのバランスとかあるいは各年度の財政事情等を考慮しまして、適切な規模に決定してまいりたいというふうに考えておりまして、そのような基本考え方に基づいて現在も概算要求のシーリングについての検討をやっておるところでございます。
  194. 榊利夫

    ○榊委員 終わります。      ————◇—————
  195. 江藤隆美

    江藤委員長 これより請願の審査に入ります。  今会期中、本委員会に付託されました請願は、本日の請願日程に掲載してありますとおり二件であります。  両請願を議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  両請願の内容につきましては、先ほどの理事会において御検討を願いましたので、この際、両請願について紹介議員からの説明の聴取等は省略し、直ちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第二、傷病恩給等改善に関する請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  199. 江藤隆美

    江藤委員長 なお、今会期中に本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり総数七件であります。この際、御報告申し上げます。      ————◇—————
  200. 江藤隆美

    江藤委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  行政機構並びにその運営に関する件  恩給及び法制一般に関する件  公務員制度及び給与に関する件  栄典に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、委員長において適宜、議長に対し、委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣地、派遣期間、派遣委員の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会