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国務大臣(
宇野宗佑君)
行革の実を上げるためには、
行管庁あるいは
予算をにぎっている大蔵、あるいは人事をにぎっている総理府、そうしたものが一体化した方がもっと効果があるがという最初の御
意見でございますが、実は私、私的にはそういうふうに考えております。何も私は戦前を賛歌しようとは思いませんが、戦前の話をこの間も承りますと、戦前の法制
局長官はいまの
行管庁長官と同じ権限を有し、人事院総裁と同じ権限を有し、そのもとに人事権を持っておったから、たとえ
予算がついて百名の
定員がふえても人事管理上五十名でよろしいというときには
予算を無視して五十名つけた。あるいは法制
局長官が鉛筆をなめなめ
行革案をつくると、勅令によって議会の頭を飛び越えてそれが実現できた。そういうことは今日とてもとても考えられることではなく、お互いに人事とまた
予算、そうしたものがチェック・オブ・バランスというような形で成り立っておる。だから、
定員管理にいたしましても、
行管庁は
定員管理ですが、肝心の人事は総理府でございますから、ここにおいてもやはり
一つのチェック・オブ・バランス、また人事院もございますから、戦後は戦後としてそういう機能を発揮し合っておるからそれを尊重しながらやらなければならないのじゃないか、そこにやりやすい点もあれば、やりにくい点もあるということをひとつ私といたしましても率直な感想を申し述べておきます。
だから、それをどうしようということではございませんが、確かに臨調におきましては、大蔵省の
予算編成権というものをひとつ別のところへ持っていけ、総理府へ持っていけということが提示されておりますが、片一方におきましては、じゃ歳出はだれが組むのだ、歳出は歳入を無視してどんどん組み得るのかとかいろいろ問題がありまして、歴代ああいう臨調の答申をいただいてからわが党の中におきましてもいろいろな
意見がそれに対してありましたので、なかなかまとまりを見せておらないというのが現状でございます。
その次に、私は本
会議で、不正経理に対するあるいは一連の不正事件に対する
国民の怒り、これを今回の
行革の
一つの下敷きにしておかなければならぬ、そういう考え方で進めておると申し上げましたが、大蔵省に対する
佐藤さんのただいまの御
意見、これは私といたしまして、それがいいか悪いかということはこういう公の席で申し上げるべきでなく、また大蔵省が悪の根源だというようなことはいささかどうかと思いますが、いずれにいたしましても、天下り規制をもう少しく厳密にやりたい、こういうふうに思っております。そのためには人事院がチェックをいたしましても史上最高の天下りだったといって昨日の新聞が報道するぐらいで、あれはもう人事院が、五年以上在職中に
関係の深かったところに行く場合には人事院の許可を得るべしと、こういうふうな
一つの規定でやっておるわけでございます。それでもあれだけある、特に大蔵が多いということはひとつ今後注目をしなければならないところではなかろうかとわれわれも考えておりますが、片一方におきましては政府間の天下り、これに対しましては特に
特殊法人は自分
たちの意思でつくってそこへ天下っていくわけですから、これは本日の閣議におきましても実は一割カットということで、総数百二十名、閣議で正式にこの
行革の間に天下りの場所を削除してしまう、こういうふうに徹底いたしました。そして、残る役員に関しましては五割以上は民間を用うるべし、こうしたことも決定いたしておりますので、御
質疑の点に関しましては十二分に目を見張ってやっていく。
片一方においては、やはり定年制というものも今回の
国会の御
審議を仰ぐわけですが、役人としてのライフサイクルとは何であるかということもこの際に十分研究して、人事院はかつて役人が第二の人生を考えなくて済むように考えてやれと、こういうふうに言っておりますから、これはあらゆるところから私としても
行革の
一つの問題点として
関係閣僚と協議を進めていき、また研究をしなければならない問題ではなかろうか、こう考えております。