○
亀長友義君 第四
分科会における
審査の
経過を御
報告申し上げます。
本
分科会の
担当は、
昭和五十五年度
予算三案中、
警察庁、
北海道開発庁、
環境庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管でありまして、三月二十九日から本日までの四日間にわたり、熱心な
質疑が行われました。
以下、
質疑の要旨を
日程順に簡単に御
報告申し上げます。
まず、
警察庁、
北海道開発庁及び自治省所管につきましては、「米国スリーマイル島原子力発電所の事故から一年を
経過したが、人口稠密なわが国で事故が発生した場合、その
被害ははかり知れないものがある。防災
計画、防災訓練などの防災
体制はいかように進んでいるか。高いと言われる地方公務員の給与
水準を一律に国家公務員と同
水準まで引き下げることは、地方自治体それぞれの事情から問題がある。給与
水準が国より二〇%程度は高くても住民が納得しておれば許されるのではないか。」との
質疑があり、これに対し、後藤田国務大臣並びに
関係政府委員から、「原子力発電所事故に対する防災
体制整備は、緊急な課題である。
関係の地方自治体では、防災
計画を立ててはいるものの、いまだ十分とは言い切れない点があり、特に迅速な情報の伝達、避難
体制など平素の
計画も必要である。スリーマイル島の事故以来原子力安全
委員会で科学的に
検討されているので、これができ次第、防災
計画、訓練
体制の練り直しをしなければならないと考えている。また、警察、消防
関係の防災車両等の装備の
整備も地域の防災活動に資するよう緊急に行われねばならない。地方公務員の給与
水準が二〇%も国家公務員より上回っているものについては、これを肯定するわけにはいかない。給与
水準が高くなるということは一定条件では起こり得ず、わたりとか一斉昇給しない限り発生しないはずである。税金を納める住民が給与が高い事情を十分に理解し、納得しているということはあり得ないのではないかと思う。たとえ納得しているとしても、最も同職種に近い国家公務員の給与
水準には合わせてほしい。」との
答弁がありました。
文部省所管につきましては、「五十年に新規学卒者の就職差別解消策として統一応募様式が出されているが、依然として同和地区出身者に対する就職差別が後を絶たない。差別解消のために
努力を払っているか。幼稚園、保育所の制度一元化の
要請にどう対応していくつもりであるか。」との
質疑があり、これに対し、谷垣文部大臣並びに
政府委員から、「同和地区出身者の就職については基本的人権尊重の立場から十分な留意を求めてきたところである。能力以外の事柄で就職が不利とならないよう、統一応募様式の一層の厳守を指導していかなくてはならないが、
一般的に言って、文部省のみでは十分指導を行えない面がある。今後、労働省ともよく協議していくが、少なくとも文部省の管轄については、差別解消が実現できるよう十分
努力していきたい。幼・保の制度一元化については、現実的問題として、幼稚園を重視しているところと保育所に力を入れているところなど地域的なばらつきがあるほか、幼稚園と保育所の保育時間にも差異があるなど、要は両者の制度的な出発に違いがある。調整策としては、幼稚園に付設して保育所を設置する考え方もあるが、幼稚園及び保育所に関する懇談会での議論を見守り、その結論を待って考えて行きたい。」との
答弁がありました。
環境庁所管につきましては、「
環境庁は、燐を含む合成洗剤の国の機関での
使用を禁止する方針を打ち出したが、
各省庁に対しどのように協力を
要請しているか。環境アセスメント法案の要綱が決定されたが、法案の
国会提出の
日程はどうなっているのか。」との
質疑があり、これに対し、
土屋環境庁長官並びに
政府委員から、「燐を含む合成洗剤の
使用禁止に当たり、閣議において
各省庁に対し積極的な協力を
要請したほか、
担当官が
各省に出向いて各所管機関に対する指導を
要請しているので十分協力願えるものと思っている。環境アセスメント法案の要綱は
関係閣僚
会議において決定したものであるが、法案の作成段階で、都市
計画法との調整を特例として盛り込むこととなり、その協議のために作業がおくれているが、最大限の
努力を払い、四月中旬を目途に提出できるようにしたい。」との
答弁がありました。
厚生省所管につきましては、「腎臓移植の
普及推進を行っている腎臓移植
普及協会の財政はきわめて脆弱である。腎不全患者救済のため大幅助成をすべきではないか。人口急増地域の保育所職員の調整手当は、国の
措置基準が実態に合わないため均衡を欠いている。早急に是正すべきではないか。」との
質疑があり、これに対し、野呂厚生大臣並びに
政府委員から、「腎臓移植の
普及は患者及び医師にとって大きな励ましであるが、腎臓移植の
普及推進に当たっている協会に対する国の補助率は腎臓摘出費用の二分の一となっているため、ケースによっては十分なものとは言いがたいので、今後、経費の増額について一層の
努力をしたい。保育所職員の調整手当に対する国の
措置費は、人事院規則、すなわち国家公務員の甲地、乙地の区分に準拠して決めているが、首都圏、近畿圏では、局部的に地域区分の指定のない地域があり、実態に合っていない点がある。これまで例外
措置として官署指定によって不備な点を補ってきたが、今後も人事院等と協議し弾力的に対応したい。」との
答弁がありました。
最後に、労働省所管につきましては、「労働省
予算において高齢者の労働
対策が最初に掲げられているが、高齢者
対策を最
重点課題としてとらえているものと理解してよいか。労働基準法適用事業所が大幅に増加しているのに、労働基準監督官の数はこれに対応していない。人命尊重の立場から大幅に増員を図るべきではないか。」との
質疑があり、これに対し、藤波労働大臣並びに
政府委員から、「八〇年代の新しい経済社会に労働行政は積極的に対応していかなくてはならないが、その中で高齢化社会への移行が急速に進行しており、これに早目に手を打っていかなければならない。高齢者の雇用の
確保、定年のあり方など、総合的に最
重点課題として高齢者の労働
対策を進めなければならないと考えている。労働基準監督官の増員については、三次にわたる公務員削減
計画の中でできる限りの
努力を払ってきた。五十五年度は三十名の増員を行っているほか、労働基準局内部においても思い切った発想で行政能率を高め、適切に対処しなければならない。今後とも労働者の生命の安全を守るため、労働基準監督官の要員
確保に
努力していきたい。」との
答弁がありました。
質疑はこのほか
各省庁について
広範多岐にわたりましたが、詳細は
会議録をもって御承知願いたいと存じます。
以上をもちまして第四
分科会の
報告を終ります。(
拍手)